説明

オートクルーズ制御方法と装置

【課題】坂道においても制御遅れによる車速の乱れが起こらず、搭乗者には何ら違和感を感じさせないようにしたオートクルーズ制御方法と装置を提供することが課題である。
【解決手段】予め、撮像装置38により検出した道路の勾配と車速センサ26が検出した実車速とに対応したエンジンへの燃料噴射量を、車速−勾配対応燃料噴射量記憶装置24に記憶し、撮像装置38で道路の勾配と勾配開始位置とを検出したとき、目標車速と前方道路の勾配とに基づいて、車速−勾配対応燃料噴射量記憶装置24から対応するエンジンへの燃料噴射量を読み出すか記憶されたデータから算出し、撮像装置38により検出した勾配開始位置、または前記読み出すか算出した燃料噴射量に対応するエンジン回転数となるまでの時間遅れを加えて決定した勾配開始位置より手前の位置から、前記燃料噴射量でエンジンを駆動する勾配併用制御オートクルーズにより目標車速を維持するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のオートクルーズ制御方法と装置に係り、特に、坂道においても制御遅れによる車速の乱れが起こらないようにして、搭乗者には何ら違和感を感じさせないようにしたオートクルーズ制御方法と装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の運転者の疲労を軽減する装置としてオートクルーズ装置がある。このオートクルーズ装置は、高速道路などの一定速度でのクルージングが可能な道路において、運転者が望む車速を常時維持できるよう、運転者によりアクセルやブレーキを操作したと同様にエンジンへの燃料噴射量を制御したり、排気ブレーキなどの補助ブレーキを制御するようにしたものである。このようなオートクルーズ装置を搭載した車両では、オートクルーズ用メインスイッチを投入した後、アクセルペダル操作により希望の車速になったところでオートクルーズセットスイッチを押下することで、そのときの車速をコントロールユニットが目標車速として記憶し、その後はアクセルペダルを操作しなくても自動的に目標車速を維持して走行するようになっている。
【0003】
しかしながら一般的なオートクルーズ装置では、車速を検知して速度を一定に保つような制御(以下、車速制御オートクルーズと称する)を行っているため、制御遅れによる車速の乱れが避けられない。特に急坂にさしかかり、登坂によって走行抵抗が増えて車速を減速したり、下り坂で走行抵抗が減って増速したりした場合、コントロールユニットはこれら減速や増速を検知して始めて目標車速を維持しようとするため、エンジン回転数を急激に増加させたり補助ブレーキを急激に操作したのと同様な結果になることがあり、急加速や急減速によって搭乗者に違和感を覚えさせることがある。
【0004】
こういった問題に対して例えば特許文献1には、車速制御オートクルーズ走行中に平坦路から登坂路に入ると、車速を目標車速に維持しようとして燃料を急激に増量するため燃費が悪くなるから、撮像装置からなる勾配度計測手段を備え、この勾配度計測手段が車両の前方に登坂路があると判定した場合、現在の目標車速とその目標車速から一定車速だけ遅い車速との間で、検出した勾配の登坂路を最小燃費で走行することのできる最小燃費車速を求め、目標車速の値を最小燃費車速の値に設定しなおして、登坂路を燃費よくオートクルーズ走行(以下、燃費対策オートクルーズと称する)できるようにしたオートクルーズ制御方法が提案されている。
【0005】
また特許文献2には、先行車との車間距離を維持して自車を先行車に追従させるための目標加速度または目標減速度(以下、総称して目標値という)を求め、この目標値に応じて燃料噴射量を制御してエンジン出力を調整したり、排気ブレーキやリターディング装置等の補助ブレーキを作動させて制動力を調整することにより、実際の加速度が目標値に一致するようにしたオートクルーズ制御装置が示されている。そしてこの特許文献2に示されたオートクルーズ装置では、燃料噴射量増減に対する車速変動状況から平坦路か勾配かを判断し、直接、目標車速とする速度制御を行うのではなく、上り勾配では強めに、下り勾配では弱めにアクセルを制御し、徐々に加減速して人間に違和感のない車速制御オートクルーズをすることが示されている。また、一般的な車間距離追従モードでオートクルーズする場合、急カーブを抜けた先行車が加速したときに自車もそれに追従すると、自車はカーブにいるにもかかわらず加速することになって運転者が違和感を受けることがあるため、ステアリングセンサを装着し、カーブでは常に弱めのアクセルの制御を用いて違和感のないオートクルーズを実現するようにしている。
【0006】
さらに特許文献3には、目標車速と実車速との車速偏差を所定の演算周期で演算し、この車速偏差からスロットルアクチュエータに対する制御量を求め、この制御量に基づいてスロットルアクチュエータを車速偏差が小さくなるように制御する車両用定速走行装置において、スロットルアクチュエータを駆動する制御実行周期を車速偏差の演算周期よりも短くし、制御実行周期毎の制御量を小さくすることで定速走行制御中の車速変化を滑らかにし、車両乗員が違和感を感じるの防止するようにした車両用定速走行装置が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3067584号公報
【特許文献2】特開平11−20496号公報
【特許文献3】特開2000−43609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら特許文献1に示されたオートクルーズ制御方法は、登坂路を燃費よくオートクルーズ走行できるようにしてはいるが、登坂路においても平坦路と同様な速度でクルージングすることを目指したものではない。また特許文献2、特許文献3に示されたオートクルーズ制御装置、車両用定速走行装置は、前記した従来の車速制御オートクルーズ装置と同様に、燃料噴射量増減に対する車速変動状況から平坦路か勾配かを判断しており、搭乗者に違和感を覚えさせないようにしてはいるものの、上り勾配、下り勾配で車速が変化した後で車速を目標車速に保つ制御を行うから、制御遅れによる車速の乱れが避けられない。
【0009】
そのため本発明においては、坂道においても制御遅れによる車速の乱れが起こらず、搭乗者には何ら違和感を感じさせないようにしたオートクルーズ制御方法と装置を提供することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため本発明になるオートクルーズ制御方法は、
目標車速と車速検出装置が検出した実車速とから、実車速が目標車速と一致するようエンジンへの燃料噴射量を制御する車速制御オートクルーズ状態において、進行方向前方を撮像する撮像装置からの撮像データにより道路の勾配と勾配開始位置とを検出し、前記勾配開始位置から前記目標車速を維持できるようにしたオートクルーズ制御方法であって、
予め、前記撮像データにより検出した道路の勾配と前記車速検出装置が検出した実車速とに対応したエンジンへの燃料噴射量を、車速−勾配対応燃料噴射量記憶装置に記憶し、
前記撮像データにより道路の勾配と勾配開始位置とが検出されたとき、前記目標車速と前記撮像データにより検出された前方道路の勾配とに基づいて、前記車速−勾配対応燃料噴射量記憶装置から対応するエンジンへの燃料噴射量を読み出すか記憶されているデータから算出し、前記撮像データにより検出した勾配開始位置、または前記燃料噴射量に対応するエンジン回転数となるまでの時間遅れを加えて決定した前記勾配開始位置より手前の位置から、前記燃料噴射量でエンジンを駆動するようにした勾配併用制御オートクルーズにより勾配における車速を目標車速に維持することを特徴とする。
【0011】
このとき、前記車速−勾配対応燃料噴射量記憶装置に記憶する車速と勾配とに対応した燃料噴射量データは、単位時間における車速変動が閾値以下の走行状態で取得したデータとする。
【0012】
そしてこのオートクルーズ制御方法を実施する装置は、
車速検出装置と、オートクルーズ時の目標車速を記憶する目標車速記憶装置と、前記車速検出装置が検出した実車速と前記目標車速記憶装置に記憶された目標車速とを比較し、実車速が目標車速と一致するようエンジンへの燃料噴射量を制御する車速制御オートクルーズを実施する制御装置と、進行方向前方を撮像する撮像装置と、該撮像装置の撮像データから前方道路の勾配と勾配開始位置を検出する画像処理装置と、を備えたオートクルーズ制御装置において、
単位時間における車速変動が閾値以下の走行状態で、前記画像処理装置が検出した勾配と、前記車速検出装置が検出した実車速と、対応するエンジンへの燃料噴射量とを記憶する車速−勾配対応燃料噴射量記憶装置を備え、
前記制御装置は、前記画像処理装置から前方道路に勾配の存在と勾配開始位置データとを受け取った状態で、前記前方道路の勾配と前記目標車速記憶装置に記憶された目標車速とに対応した燃料噴射量を前記車速−勾配対応燃料噴射量記憶装置から読み出すか記憶されたデータから算出し、前記画像処理装置の検出した勾配開始位置、または前記燃料噴射量に対応したエンジン回転数となるまでの時間遅れを考慮した前記勾配開始位置より手前の位置から、前記燃料噴射量で前記エンジンを駆動するようにした勾配併用制御オートクルーズを行うよう構成されていることを特徴とする。
【0013】
このように、予め道路の勾配と前記車速検出装置が検出した実車速とに対応したエンジンへの燃料噴射量を車速−勾配対応燃料噴射量記憶装置に記憶し、画像データから前方に勾配と勾配開始位置とを検出したとき、その勾配と目標車速とに対応した燃料噴射量を車速−勾配対応燃料噴射量記憶装置から読み出すか算出し、勾配開始位置、または燃料噴射量に対応したエンジン回転数となるまでの時間遅れを考慮した前記勾配開始位置より手前の位置から、その読み出すか算出した燃料噴射量でエンジンを駆動する勾配併用制御オートクルーズを行うことで、車が勾配に入ったときにはエンジン回転数はその勾配に対応したものとなり、坂道(勾配)においても制御遅れによる車速の乱れが起こらず、搭乗者には何ら違和感を感じさせないようにしたオートクルーズ制御方法と装置を提供することができる。
【0014】
そして、前記勾配併用制御オートクルーズ中の前記勾配において実車速と目標車速との差が閾値に満たない場合、すなわち勾配併用制御オートクルーズにより目標車速が達成された場合、前記勾配併用制御オートクルーズを継続する。一方、前記勾配において実車速と目標車速との差が閾値以上である場合、前記勾配併用制御オートクルーズによる燃料噴射量が、何らかの理由で現実と合わないと判断し、また、前記撮像データにより検出した走行中の勾配が無くなって平坦路であると判断された場合、前記実車速が目標車速と一致するようエンジンへの燃料噴射量を制御する車速制御オートクルーズに切り換える。従って、勾配併用制御オートクルーズにより目標車速が達成されなくても、通常の車速制御オートクルーズに切り換えることで、車速制御に異常を来すことの無いようにすることができる。
【0015】
また、前記車速−勾配対応燃料噴射量記憶装置に記憶する道路の勾配と車速、及びエンジンへの燃料噴射量データは現走行で取得したデータであり、前記車速検出装置が実車速0を検出して車のドアが開かれた場合に消去することで、車が停車してドアが開いた場合は荷物の積み降ろしが行われる可能性があり、その場合は走行抵抗が変化するから、それまでに記憶された燃料噴射量をそのまま使うと勾配に対応した燃料噴射量にならないが、こういった場合は車速−勾配対応燃料噴射量記憶装置のデータが消去されるから、そういった心配が無いオートクルーズを実施することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上記載のごとく本発明になるオートクルーズ制御方法と装置は、勾配開始位置、または燃料噴射量に対応したエンジン回転数となるまでの時間遅れを考慮した勾配開始位置より手前の位置から、その勾配に対応した燃料噴射量でエンジンを駆動する勾配併用制御オートクルーズを行うから、車が勾配に入ったときにはエンジン回転数はその勾配に対応したものとなり、坂道(勾配)においても制御遅れによる車速の乱れが起こらず、搭乗者には何ら違和感を感じさせないようにしたオートクルーズ制御方法と装置を提供することができる。
【0017】
また、車速検出装置が実車速0を検出して車のドアが開かれた場合、荷物の積み降ろしが行われる可能性があってその場合は走行抵抗が変化するから、それまでに記憶された燃料噴射量をそのまま使うと勾配に対応した燃料噴射量にならないが、本発明ではその場合に車速−勾配対応燃料噴射量記憶装置のデータを消去するから、そういった心配が無いオートクルーズを実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明になるオートクルーズ制御方法のフロー図である。
【図2】本発明になるオートクルーズ制御方法に使用する、道路の勾配と実車速とに対応したエンジンへの燃料噴射量を、予め記憶するためのフロー図である。
【図3】本発明になるオートクルーズ制御装置のブロック図である。
【図4】本発明になるオートクルーズ制御装置を構成する勾配度計測装置で描く画像を示す画像図である。
【図5】勾配度計測装置での計測手法を示す説明図である。
【図6】勾配度計測装置での計測手法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りはこの発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
【0020】
最初に本発明の概略を簡単に説明すると、本発明においては、予め、単位時間における車速変動が閾値以下の走行中に、道路の勾配と実車速とに対応したエンジンへの燃料噴射量を車速−勾配対応燃料噴射量記憶装置に記憶する。そして、撮像装置で検出した前方勾配と勾配開始位置とを用い、目標車速と前方勾配とに対応した燃料噴射量を前記車速−勾配対応燃料噴射量記憶装置から読み出すか記憶されたデータから算出し、勾配開始位置、または燃料噴射量に対応したエンジン回転数となるまでの時間遅れを考慮した勾配開始位置より手前の位置から、前記読み出すか算出した燃料噴射量でエンジンを駆動する勾配併用制御オートクルーズを行うものである。
【0021】
すなわち、例えば平坦路を時速60kmで走行しているときの燃料噴射量は、その時の車の走行抵抗に応じた値となるから、その燃料噴射量から時速80kmで走行するときの燃料噴射量は計算で算出することが可能であり、同様に、例えば時速80kmで2%勾配と4%勾配を走行したときの燃料噴射量のデータが有れば、3%勾配における燃料噴射量を算出することが可能である。そのため、このように勾配(登坂路または下り勾配)に差しかかる前に、勾配を目標車速で走行するために必要なエンジンに対する燃料噴射量を、車速−勾配対応燃料噴射量記憶装置から読み出すか記憶されているデータから算出することで、車が勾配開始点に位置したときにはエンジン出力をその勾配に対応したものとすることができ、坂道(勾配)においても制御遅れによる車速の乱れが起こらず、搭乗者には何ら違和感を感じさせないようにしたオートクルーズ制御方法と装置を提供することができる。
【0022】
そして、勾配併用制御オートクルーズにより目標車速が達成された場合、撮像データにより検出した走行中の勾配が無くなって平坦路であると判断されるまで、この勾配併用制御オートクルーズを継続する。一方、前記勾配において実車速と目標車速との差が閾値以上である場合、勾配併用制御オートクルーズによる燃料噴射量が、何らかの理由で現実と合わないと判断されるから、実車速が目標車速と一致するようエンジンへの燃料噴射量を制御する車速制御オートクルーズに切り換える。従って、勾配併用制御オートクルーズにより目標車速が達成されなくても、通常の車速制御オートクルーズに切り換えることで、車速制御に異常を来すことの無いようにすることができ、いずれの場合も搭乗者には何ら違和感を感じさせないオートクルーズを実施することができる。
【0023】
また、車速検出装置が実車速0を検出して車のドアが開かれた場合、荷物の積み降ろしが行われる可能性があってその場合は走行抵抗が変化するから、それまでに記憶された燃料噴射量をそのまま使うと勾配に対応した燃料噴射量にならないが、本発明ではその場合にそれまでのデータを消去するから、そういった心配が無いオートクルーズを実施することができる。
【実施例】
【0024】
以上が本発明の概略であるが、次に本発明になるオートクルーズ制御装置のブロック図である図3を用い、本発明になるオートクルーズ制御装置について説明する。トラック等の車両におけるオートクルーズ用コントロールユニット(以下、オートクルーズ用ECUと略称することがある)10には、オートクルーズ用メインスイッチ12、オートクルーズ車速の設定とオートクルーズを行わせるためのオートクルーズセットスイッチ14、オートクルーズ一時解除時からの復帰とオートクルーズ車速の増加を行わせるためのリジュームスイッチ16、オートクルーズ解除スイッチ18、アクセルペダルの踏み代を検出するアクセルペダルセンサ20、オートクルーズにおける目標車速の記憶装置22、単位時間における車速変動が閾値以下の定速走行状態で取得した車速と勾配とに対応した燃料噴射量データを記憶する車速−勾配対応燃料噴射量記憶装置24、ドアの開閉を検出するドア開閉スイッチ34が接続されている。
【0025】
それぞれのスイッチが閉じられたときには、コントロールユニット10にそれぞれのスイッチ信号が入力されると共に、車速センサ26から車速信号が入力されている。なお、オートクルーズ解除スイッチ18は、排気ブレーキの手動スイッチ、クラッチ及びフットブレーキの作動信号と、トランスミッションのニュートラル信号によってもそれぞれ閉じられるものである。また、車速−勾配対応燃料噴射量記憶装置24は、走行開始から走行停止までの間、単位時間における車速変動が閾値以下の定速走行状態において取得した車速、道路の勾配、燃料噴射量のデータを記憶する。
【0026】
また、コントロールユニット10は、オートクルーズ走行時にクルーズランプ28を点灯させると共に、エンジンの制御装置(以下、ENG ECUと略称することがある)30に信号を送ってエンジンへの燃料供給量を増減させ、車速をオートクルーズ目標車速に維持するように制御する。更にエンジンブレーキの作動中に車速がオートクルーズ目標車速を越えたときには、その目標車速に近づけるようにブレーキスイッチ32の作動を制御する。
【0027】
ブレーキスイッチ32により作動するブレーキは、排気ブレーキ、圧縮圧開放式エンジンブレーキ、リターダなどからなり、車速とオートクルーズ目標車速との偏差が増大するに従って、また車両の加速度が増加するに従って、必要に応じて使い分ける。また、オートクルーズ用コントロールユニット10には、勾配度計測装置36により検出された勾配度φが入力される。詳細は後述するが、勾配度計測装置36は、撮像装置(ステレオカメラ)38と画像処理コントローラ42を主要構成としており、車両の前方の道路の勾配度を画像処理技術を用いて検出する。
【0028】
車両の走行中に、メインスイッチ12が閉じられてから車両が所望の速度に達したとき、オートクルーズセットスイッチ14が閉じられるとそのときの車速がオートクルーズ目標車速として設定されて目標車速記憶装置22に記憶され、車速制御オートクルーズ走行が開始される。オートクルーズ走行が開始されると、コントロールユニット10からの指示でENG ECU30がエンジンの出力を調整し、車速がオートクルーズ目標車速に維持される。下り坂走行等により車速が増大するためエンジンがアイドル運転となり、さらに、エンジンへの燃料カットによりエンジンブレーキが作用しても、なお車両が増速する場合にはコントロールユニット10により、ブレーキスイッチ32が作動されて車速が目標車速に維持される。
【0029】
次に図4、図5、図6を用い、撮像装置により前方の勾配と勾配開始位置とを検出する方法について説明する。勾配度計測装置36は、前記したように撮像装置38、画像処理コントローラ42で構成され、撮像装置(ステレオカメラ)38は、車両前面の上下部にそれぞれ車両前方へ向けて配置された2個のCCDなどを用いた撮像装置で構成される。各撮像装置38の端子40は画像処理コントローラ42に接続されると共に、撮像装置38のクロック端子44が画像処理コントローラ42に接続される。
【0030】
画像処理コントローラ42は図4に示すように、各撮像装置の画面50にその各撮像装置の取り付け位置に応じた前方の直線平坦路モデル画像52、すなわち、走行路が直線平坦路のため、車両前面からの遠近に相応してほぼ中央へ直線的に収斂する画像が描かれると共に、その撮像装置38により写された前方走行路の実画像54が重ね合わされて表示され、この場合、路面が平坦路であれば、画面50の下端から上方への長さが車両から前方への実水平距離を表していることになる。
【0031】
画面50において、前方走行路の実画像54の左側端白線56上における適当な4つの基準点p1、p2、p3、p4と、これら各基準点p1、p2、p3、p4を通るそれぞれの上下方向の線が、右上方に傾斜した直線となるモデル画像52の左側端白線58と交わる点q1、q2、q3、q4との上下長さをそれぞれh1、h2、h3、h4とし、また、各点q1、q2、q3、q4と画面50下端との上下長さをそれぞれl1、l2、l3、l4とする。
【0032】
一方、図5に示されているように、画面50上に倒立して描かれた上下方向画像60とその実像62との間には、
V:画面50全体の上下長さ
f:撮像装置におけるレンズ64の焦点距離
h:上下方向画像60の上下長さ
L:レンズ64から実像62までの実水平距離
t:路面に対するレンズ64の取り付け高さ
l;画面50の上端から上下方向画像60までの上下長さ
H:実像62の上下距離
とすると、下記(1)式が成立する。
H=L/f×h=t/(V/2−1)×h …………(1)
【0033】
従って、この(1)式を使用することにより、画面50における上記各上下長さh1、h2、h3、h4を実際の上下距離H1、H2、H3、H4にそれぞれ変換することができる。なお、撮像装置38が装備された車両の前面から、画面50上の各基準点p1、p2、p3、p4にそれぞれ相当する実際の左側端白線上における各地点までの実水平距離L1、L2、L3、L4は、画面50上の上下長さl1、l2、l3、l4からそれぞれ計測し、あるいは、撮像装置38のステレオ画像に基づく測距センサによりそれぞれ計測し、もしくは、直線平坦路モデルから予め計測しておくことができるものである。
【0034】
次に、図6に示されているように、L−H平面上において、点P1(L1、H1)、点P2(L2、H2)、点P3(L3、H3)、点P4(L4、H4)をそれぞれプロットし、各点P1、P2、P3、P4を通る近似直線Sを最小2乗法により引く。そしてその近似直線Sを、Hの1次関数として係数αを用いて表すと、
H=α(L−β) ……………………………………(2)
となり、その近似直線Sの傾き角度θ、すなわち走行路の勾配度θは下記(3)式によって近似的に求めることができる。
tan θ=α ……………………………………………(3)
【0035】
すなわち、θ>0ならば走行路は点P1〜点P4に相応する地点において勾配角度θの上り坂と判定し、θ<0ならば走行路は点P1〜点P4に相応する地点において勾配角度θの下り坂と判定し、θ≒0ならば走行路は点P1〜点P4に相応する地点においてほぼ平坦路であると判定することができる。なお画像処理コントローラ42は勾配角度θを勾配度[%]に変換して出力する。
【0036】
また、(2)式においてH=0とすると、
L=β …………………………………………………(3)
すなわち、走行路の勾配が車両の前方約βの距離から始まっていると推定することができる。
【0037】
以上のことから、点P1〜点P4に相応する走行路の地点において、走行路に上下いずれの勾配が現れるか、あるいは、走行路がほぼ平坦路であるかどうかが簡明に推定できると共に、走行路に上下いずれかの勾配が現れるときには、その勾配を数量的に算出することができるので、前方における走行路の状況を正確に把握することができる。
【0038】
また、これらの計測は瞬間々々に行うことができるため、走行路における車両運転の容易化を図ることができると共に、車両前面の上下2個の撮像装置によりそれぞれ上記計測を行っているため、その精度を容易に向上させることができる長所がある。
【0039】
なお、上記例では、撮像装置の画面上で走行路実画像の左側端線上に4つの基準点をとって、走行路の上下勾配の検出及びその勾配の大きさを計測しているが、前記基準点をさらに多数選び、例えば、連続する4基準点毎に1区間とし、複数の区間について前記と同様に上下勾配の計測を行えば、上り下りを繰り返す走行路においても、それぞれの連続した勾配変化を瞬間的に計測することができる。
【0040】
また、上記各例では、撮像装置の画面上で走行路実画像の左側端線上にそれぞれの基準点をとるようにしているが、直線平坦路モデル画像の左側端線上にそれぞれの基準点をとり、その各基準点から走行路実画像の左側端線までの上下長さをそれぞれ検出して、上記例と同等の処理をすることによっても、上記例と同等の作用効果を奏することができるものであり、あるいはまた、上記各左側端線に代えてそれぞれ走行路の右側端線を使用しても同様な作用効果を奏することができるものである。
【0041】
さらに、撮像装置は単一のものを使用し、あるいは、車両前面の左右にそれぞれ配置するようにして、上記各実施例と同様に処置することも可能であり、また、前記撮像装置は車両前面のなるべく高い位置に設置するのが計測精度の向上によいことはいうまでもない。
【0042】
なお上記実施例では、画像処理技術を利用して勾配度θを求める勾配度計測装置を用いたが、ナビゲーションシステムの情報中に勾配度を情報として入力していれば、このナビゲーションシステムを利用するナビゲーション装置から勾配度θを得るようにしてもよいことは勿論である。
【0043】
以上が撮像装置により前方の勾配と勾配開始位置とを検出する方法であるが、次に、図1の本発明になるオートクルーズ制御方法のフロー図、本発明になるオートクルーズ制御方法に使用する、道路の勾配と実車速とに対応したエンジンへの燃料噴射量を、予め記憶するためのフロー図である図2と図3のブロック図とを使い、本発明のオートクルーズ制御方法について詳細に説明する。
【0044】
本発明のオートクルーズ制御方法においては、前記本発明の概略で述べたように予め、単位時間における車速変動が閾値以下の走行中に、道路の勾配と実車速とに対応したエンジンへの燃料噴射量を図3のブロック図における車速−勾配対応燃料噴射量記憶装置24に記憶する。そのためのフロー図が図2であり、最初にこの図2のフロー図について説明する。
【0045】
まずステップS60で処理がスタートし、ステップS62で走行が開始されたことをオートクルーズ用コントロールユニット(オートクルーズ用ECU)10が検出すると、ECU10は、車速センサ26からの信号に基づき、ステップS64で単位時間中の車速変動がV0以下、すなわち予め定めた例えば±5km以下、または10%以下であるかどうか、すなわち定速走行がなされているかどうかを判定し、定速走行でなければまたステップS64に戻って同じ判定を繰り返し、定速走行であればステップS66に進む。
【0046】
ステップS66でECU10は、運転手がアクセル、ブレーキを操作する通常走行、車速制御オートクルーズの別なく、車速センサ26から伝えられる現在の車速、勾配度計測装置36が検出した道路の勾配、ENG ECU30が行うエンジンへの燃料噴射量を車速−勾配対応燃料噴射量記憶装置24に記憶する。そしてそれが済むとECU10は、ステップS68に進んで車速センサ26から伝えられる車速が0であるかとドア開閉スイッチ34によりドアが開閉されたかどうかを判定し、車速が0でないかドアが開閉されていなければステップS64に戻り、車速が0でドアが開閉された場合は荷物の積み卸しが行われて走行抵抗が変化する可能性があるから、車速−勾配対応燃料噴射量記憶装置24の内容を消去し、ステップS72で処理を終了する。
【0047】
次に図1の本発明になるオートクルーズ制御方法について説明すると、ステップS10で処理がスタートし、ステップS12で走行が開始されて、前記ブロック図の説明で記したように、車両の走行中に、メインスイッチ12が閉じられてから車両が所望の速度に達したとき、ステップS14でオートクルーズセットスイッチ14が閉じられるとそのときの車速がオートクルーズ目標車速として設定され、目標車速記憶装置22に記憶されて、ステップS16で車速制御オートクルーズ走行が開始される。
【0048】
オートクルーズ走行が開始されると、コントロールユニット10からの指示でENG ECU30がエンジンの出力を調整し、車速が目標車速記憶装置22に記憶されたオートクルーズ目標車速に維持される。下り坂走行等により車速が増大するためエンジンがアイドル運転となり、さらに、エンジンへの燃料カットによりエンジンブレーキが作用しても、なお車両が増速する場合にはコントロールユニット10により、ブレーキスイッチ32が作動されて車速が目標車速に維持される。
【0049】
この状態でECU10は、ステップS18で前方に新規勾配があるか否かを判断する。これは、勾配度計測装置36を構成する撮像装置38からの信号を処理した画像処理コントローラ42から、新規勾配がある、というデータが送られてくると、ステップS20でその新規勾配が勾配併用制御オートクルーズを実施する必要がある勾配か、すなわち勾配の傾斜の大小を勾配制御への切替閾値を元に判断し、小さな勾配の場合はステップS18に戻り、大きな勾配の場合はステップS22に進む。
【0050】
このステップS22でECU10は、前記した特許文献1に記された燃費対策オートクルーズで目標車速を低下させる条件か否かを判断し、低下させる場合はステップS24に進んで目標車速を低下させた値に変更し、ステップS26に進む。低下させない場合はステップS26に進み、勾配と車速に対応した燃料噴射量が車速−勾配対応燃料噴射量記憶装置24にあるか否かを判断する。有る場合はその燃料噴射量を読み出し、車速−勾配対応燃料噴射量記憶装置24に対応するデータがない場合も、そのままステップS28に進む。
【0051】
ステップS28でECU10は、車速センサ26が検出した実車速と、目標車速記憶装置22に記憶されている目標車速との差を算出し、その絶対値が予め定めた車速制御オートクルーズにおける誤差規定値の範囲S1以下に収まっているか、すなわち車速制御オートクルーズがうまく動作しているか否かを判断する。そして収まっていない場合はステップS32に、収まっている場合はステップS30に進み、今度は勾配、車速に対応する燃料噴射量が取得、又は算出できたか否かを判断する。そしてできていない場合はステップS32に進み、勾配併用制御オートクルーズの開始点に達したか否かを判断し、達していない場合はステップS26からの処理を繰り返し、ぎりぎりまで勾配、車速に対応する燃料噴射量の取得または算出を試行し、算出できないまま勾配開始点に達した場合はステップS18に戻って次の新規勾配が検出されるまで車速制御オートクルーズを続ける。
【0052】
一方ECU10は、ステップS30で検出した勾配全域の、車速に対応する燃料噴射量の取得または算出がされたと判断した場合、ステップS34で、勾配度計測装置36を構成する撮像装置38からの信号を処理した画像処理コントローラ42から、勾配併用制御オートクルーズの開始位置に達した、という信号が来ているかどうかを判断する。なお、この判断は、単に画像処理コントローラ42から勾配併用制御オートクルーズの開始位置に達した、という信号が来ているか否かだけでなく、車速−勾配対応燃料噴射量記憶装置24から読み出すか算出した燃料噴射量に対応するエンジン回転数となるまでの時間遅れを考慮した、前記勾配開始位置より手前の位置に達したか否かを判断するようにしても良く、このようにすることで、さらに滑らかな勾配併用制御オートクルーズとすることができる。
【0053】
そのためECU10は、このステップS34で勾配併用制御オートクルーズの開始位置、または燃料噴射量に対応するエンジン回転数となるまでの時間遅れを考慮した勾配開始位置より手前の位置に達したと判断した場合、ステップS36で、車速−勾配対応燃料噴射量記憶装置24から読み出すか算出した燃料噴射量をエンジン制御装置30に指示し、勾配併用制御オートクルーズを開始する。
【0054】
こうして勾配併用制御オートクルーズが開始されるとECU10は、ステップS38でこの勾配併用制御オートクルーズがうまく動作しているか否か、すなわちこのステップS38の右横に記載した、(目標車速>実車速)で実車速低下傾向、(目標車速<実車速)で実車速上昇傾向、のいずれかに該当しているか否かを判断し、どちらかに該当する場合は勾配併用制御オートクルーズがうまく動作していない、としてステップS40に進んで一時的に車速制御オートクルーズを使用してステップS38に戻る。
【0055】
逆にどちらにも該当していない場合、ECU10はステップS42に進み、今度は勾配併用制御オートクルーズがうまく動作しているか、を前記したステップS38のように車速の傾向だけでなく、目標車速との差の絶対値で判断する。すなわちこのステップS42では、車速センサ26が検出した実車速と、目標車速記憶装置22に記憶されている目標車速との差を算出し、その絶対値が予め定めた勾配併用制御オートクルーズにおける誤差規定値の範囲S2未満に収まっているか、すなわち勾配併用制御オートクルーズがうまく動作しているか否かを判断する。そして勾配併用制御オートクルーズにおける誤差規定値の範囲S2未満に収まっていない場合、ステップS48で車速制御オートクルーズへ切り換える。
【0056】
一方、このステップS42で勾配併用制御オートクルーズにおける誤差規定値の範囲S2を満足している、と判断された場合、勾配が終了していないか判断するステップS44に進む。そしてECU10は、勾配度計測装置36を構成する画像処理コントローラ42からの新規勾配の傾斜データを取得し、ステップS44で、その勾配の傾斜は勾配併用制御オートクルーズへの切替閾値以下か否かを判断する。そして、以下の場合は勾配の終了と判断し、ステップS48で車速制御オートクルーズへ切り換え、以上の場合はステップS46に進み、前方に控える勾配、車速に対応する燃料噴射量が取得、又は算出できたか否かを判断する。できていない場合はステップS48で車速制御オートクルーズへ切り換え、できている場合はステップS42に進んで以上のことを繰り返す。
このようにして、勾配併用制御オートクルーズから車速制御オートクルーズへの切替が行われると、ステップS18に戻る。なお、処理の終了は従来車両同様にオートクルーズの終了をもって行われる。
【0057】
このようにして勾配開始位置、または燃料噴射量に対応したエンジン回転数となるまでの時間遅れを考慮した勾配開始位置より手前の位置から、その勾配に対応した燃料噴射量でエンジンを駆動する勾配併用制御オートクルーズを行うことで、車が勾配に入ったときにはエンジン回転数はその勾配に対応したものとなり、坂道(勾配)においても制御遅れによる車速の乱れが起こらず、搭乗者には何ら違和感を感じさせないようにしたオートクルーズ制御方法と装置を提供することができる。
【0058】
そして、走行中の勾配に傾斜の変化がある可能性がある場合、変化した傾斜に対応した燃料噴射量を車速−勾配対応燃料噴射量記憶装置から読み出して、勾配併用制御オートクルーズを実施することで、いずれの場合も搭乗者には何ら違和感を感じさせないオートクルーズを実施することができる。
【0059】
車速検出装置が実車速0を検出して車のドアが開かれた場合、荷物の積み降ろしが行われる可能性があってその場合は走行抵抗が変化するから、それまでに記憶された燃料噴射量をそのまま使うと勾配に対応した燃料噴射量にならないが、本発明ではその場合に車速−勾配対応燃料噴射量記憶装置24のデータを消去するから、そういった心配が無いオートクルーズを実施することができる。
【0060】
なお、以上の説明では車速−勾配対応燃料噴射量記憶装置に、現走行における道路の勾配と車速、及びエンジンへの燃料噴射量を記憶するよう説明してきた。しかし、この車速−勾配対応燃料噴射量記憶装置に、例えば過去に走行した時の平坦路の車速、勾配、燃料噴射量と、勾配のある道路の勾配、車速、エンジンへの燃料噴射量とを対で記憶できるデータベースを設け、勾配併用制御オートクルーズを実施するにあたり、車速−勾配対応燃料噴射量記憶装置に目標車速と前方道路の勾配とに対応したデータが無い場合、現在の走行における平坦路の車速、勾配、燃料噴射量と同一値の車速、勾配、燃料噴射量のデータをデータベースの中から探し出し、対で記憶されている、又は算出した道路の勾配に対応した燃料噴射量を用いるようにしても良い。こうすれば、例えば同一高速道路を同一積荷状態で行き来することが多い場合、過去のデータから目標車速と勾配に対する燃料噴射量を得ることができるから、より、勾配併用制御オートクルーズを実施できる機会が増え、それだけ搭乗者に違和感を感じさせないようなクルージングを実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明によれば、坂道においても制御遅れによる車速の乱れが起こらず、搭乗者には何ら違和感を感じさせないようにした、自動車のオートクルーズ制御を実施することができる。
【符号の説明】
【0062】
10 オートクルーズ用コントロールユニット(オートクルーズ用ECU)
12 オートクルーズ用メインスイッチ
14 オートクルーズセットスイッチ
16 リジュームスイッチ
18 オートクルーズ解除スイッチ
20 アクセルペダルセンサ
22 目標車速記憶装置
24 車速−勾配対応燃料噴射量記憶装置
26 車速センサ
28 クルーズランプ
30 エンジン制御装置(ENG ECU)
32 ブレーキスイッチ
34 ドア開閉スイッチ
36 勾配度計測装置
38 撮像装置
42 画像処理コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標車速と車速検出装置が検出した実車速とから、実車速が目標車速と一致するようエンジンへの燃料噴射量を制御する車速制御オートクルーズ状態において、進行方向前方を撮像する撮像装置からの撮像データにより道路の勾配と勾配開始位置とを検出し、前記勾配開始位置から前記目標車速を維持できるようにしたオートクルーズ制御方法であって、
予め、前記撮像データにより検出した道路の勾配と前記車速検出装置が検出した実車速とに対応したエンジンへの燃料噴射量を、車速−勾配対応燃料噴射量記憶装置に記憶し、
前記撮像データにより道路の勾配と勾配開始位置とが検出されたとき、前記目標車速と前記撮像データにより検出された前方道路の勾配とに基づいて、前記車速−勾配対応燃料噴射量記憶装置から対応するエンジンへの燃料噴射量を読み出すか記憶されているデータから算出し、前記撮像データにより検出した勾配開始位置、または前記燃料噴射量に対応するエンジン回転数となるまでの時間遅れを加えて決定した前記勾配開始位置より手前の位置から、前記燃料噴射量でエンジンを駆動するようにした勾配併用制御オートクルーズにより勾配における車速を目標車速に維持することを特徴とするオートクルーズ制御方法。
【請求項2】
前記車速−勾配対応燃料噴射量記憶装置に記憶する車速と勾配とに対応した燃料噴射量データは、単位時間における車速変動が閾値以下の走行状態で取得したデータであることを特徴とする請求項1に記載したオートクルーズ制御方法。
【請求項3】
前記勾配併用制御オートクルーズ中の前記勾配において実車速と目標車速との差が閾値に満たない場合、前記勾配併用制御オートクルーズを継続し、前記勾配において実車速と目標車速との差が閾値以上である場合、または前記撮像データにより検出した走行中の勾配が無くなって平坦路であると判断された場合、前記実車速が目標車速と一致するようエンジンへの燃料噴射量を制御する車速制御オートクルーズにることを特徴とする請求項2に記載したオートクルーズ制御方法。
【請求項4】
前記車速−勾配対応燃料噴射量記憶装置に記憶する道路の勾配と車速、及びエンジンへの燃料噴射量データは現走行で取得したデータであり、前記車速検出装置が実車速0を検出して車のドアが開かれた場合に消去することを特徴とする請求項3に記載したオートクルーズ制御方法。
【請求項5】
車速検出装置と、オートクルーズ時の目標車速を記憶する目標車速記憶装置と、前記車速検出装置が検出した実車速と前記目標車速記憶装置に記憶された目標車速とを比較し、実車速が目標車速と一致するようエンジンへの燃料噴射量を制御する車速制御オートクルーズを実施する制御装置と、進行方向前方を撮像する撮像装置と、該撮像装置の撮像データから前方道路の勾配と勾配開始位置を検出する画像処理装置と、を備えたオートクルーズ制御装置において、
単位時間における車速変動が閾値以下の走行状態で、前記画像処理装置が検出した勾配と、前記車速検出装置が検出した実車速と、対応するエンジンへの燃料噴射量とを記憶する車速−勾配対応燃料噴射量記憶装置を備え、
前記制御装置は、前記画像処理装置から前方道路に勾配の存在と勾配開始位置データとを受け取った状態で、前記前方道路の勾配と前記目標車速記憶装置に記憶された目標車速とに対応した燃料噴射量を前記車速−勾配対応燃料噴射量記憶装置から読み出すか記憶されたデータから算出し、前記画像処理装置の検出した勾配開始位置、または前記燃料噴射量に対応したエンジン回転数となるまでの時間遅れを考慮した前記勾配開始位置より手前の位置から、前記燃料噴射量で前記エンジンを駆動するようにした勾配併用制御オートクルーズを行うよう構成されていることを特徴とするオートクルーズ制御装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記勾配併用制御オートクルーズ状態における実車速と目標車速との差が閾値に満たない状態で、前記勾配併用制御オートクルーズを継続し、前記差が閾値以上である状態、または前記撮像データにより検出した走行中の勾配が無くなって平坦路であると判断された状態で、前記実車速が目標車速と一致するようエンジンへの燃料噴射量を制御する車速制御オートクルーズに切り換るよう構成されていることを特徴とする請求項5に記載したオートクルーズ制御装置。
【請求項7】
前記車速−勾配対応燃料噴射量記憶装置に記憶される道路の勾配と車速、及びエンジンへの燃料噴射量データは現走行で取得したデータであり、車のドアの開閉を前記オートクルーズ制御装置に伝えるドア開閉検知装置を有し、前記制御装置は、前記車速検出装置が実車速0を検出し、前記ドア開閉検知装置からドア開の信号を受けた状態で、前記車速−勾配対応燃料噴射量記憶装置に記憶された車速−勾配対応燃料噴射量データを消去することを特徴とする請求項6に記載したオートクルーズ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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