オートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤の使用
鳥インフルエンザ、鳥インフルエンザウイルスまたはナノメートル物質によって引き起こされる肺損傷の予防および/または処置のためのオートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤の使用。オートファジー(II型細胞アポトーシス)は、3−メチルアデニン、SB203580、LY294002またはウォルトマンニンから選択される。肺損傷には、急性呼吸窮迫症候群が含まれる。鳥インフルエンザウイルスは、H5N1型、H5N2型またはH9N2型鳥インフルエンザウイルスである。ナノメートル物質には、PAMAM G3、G4、G5、G5.5、G6、G7またはG8が含まれる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤の使用に関する。具体的には、本発明は、哺乳類の鳥インフルエンザを予防および/または処置するための医薬を調製するための、オートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤、例えば、3−メチルアデニン、SB203580、LY294002またはウォルトマンニンの使用に関する。本発明はまた、ナノメートル物質によって誘発される肺損傷を予防および/または処置するためのオートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
インフルエンザウイルスは、RNAウイルスに属する、インフルエンザを誘発する病原性ウイルスであり、多数の合併症、例えば、急性呼吸器感染症、心筋炎、肺炎、気管支炎をもたらしうる。インフルエンザウイルスは伝染性が高いため、全世界範囲でさえ極めて容易に広まる。1917−1919年の間にヨーロッパで発生したインフルエンザは、歴史上最も重篤なインフルエンザであり、2000万人の人々に死をもたらした。最近になって、H5N1型鳥インフルエンザウイルスは、家禽および渡り鳥を介して全世界に広まっている。報告によれば、H5N1型ウイルスによって感染した患者の死亡率は約50%であり、それはH5N1型鳥インフルエンザが全世界に広がりうることを意味する(Peter S.Tang,Marco Mura,Rashmi Sethら.Acute lung injury and cell death:how many ways can cells die? Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 294:L632−L641(2008))。
【0003】
インフルエンザウイルスによって誘発される急性呼吸器疾患は、死亡の主な原因であり、その主な特徴は、急性肺損傷である。炎症因子によって誘発されるサイトカインの「ストーム」は、インフルエンザウイルスの主な病因メカニズムを構成する。最近になって、病原性遺伝子によって誘発される細胞死は、肺損傷の原因となっている別の重大なメカニズムであると考えられている(Peter S.Tang,Marco Mura,Rashmi Sethら.Acute lung injury and cell death:how many ways can cells die? Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 294:L632−L641(2008))。
【0004】
鳥インフルエンザは、鳥類インフルエンザの略称であり、インフルエンザA型ウイルスの亜型(鳥インフルエンザウイルスとも称される)によって引き起こされる伝染病である。種々の病原性遺伝子にしたがって、鳥インフルエンザは、以下の3種類に分類されうる:高病原性、低病原性および非病原性鳥インフルエンザ。現在までのところ、全ての高病原性鳥インフルエンザの発症は、H5亜型およびH7亜型ウイルスによって引き起こされる。鳥インフルエンザは、トリ、ブタ、ウマ、アザラシ、クジラおよびヒトなどを含む、種々の動物に感染しうる。従来、鳥インフルエンザの病因メカニズムは明確ではなく、予防および処置のための有効な医薬はなかった。そのため、鳥インフルエンザを予防および処置するための有効な医薬を研究および探索することが重要である。
【0005】
細胞死の形態は、主に以下の2つのタイプに分類される:プログラム細胞死(PCD)および壊死。プログラム細胞死は、長期の生物の進化の間に発達した細胞自殺メカニズムであり、消耗した細胞、過剰な細胞または癌性細胞を排除し、生物の内部環境のホメオスタシスを保持する態様にて重要な役割を果たしている。近年は、プログラム細胞死の新しい形態、すなわち、自己貪食性プログラム細胞死が、細胞生物学者にますます注目されている。オートファジーは、II型プログラム細胞死として称され、その細胞死は、主に細胞質および細胞小器官を包含する豊富な液胞の発現、ならびにリソソームを介する液胞内の成分の分解にて特徴付けられる(Beth LevineおよびJunying Yuan,Autophagy in cell death:an innocent convict? J.Clin.Invest.115:2679−2688(2005).)。
【0006】
オートファジーの原因となっているメカニズムは、多数のシグナル伝達系に関与しており、mTOR(哺乳類ラパマイシン標的タンパク質)シグナル伝達経路が徐々に証明されてきている。TORキナーゼは、アミノ酸、ATPおよびホルモンのセンサーであり、細胞増殖の調節に重要な役割を果たしている。TORキナーゼは、オートファジーの発生を阻害し、負の調節因子として機能し、「ゲートキーパー」としての役割を果たしている。哺乳類細胞中に局在するリボソームタンパク質S6(p70S6)は、オートファジーの発生を阻害する。それは、TORシグナル経路の下流に位置し、その活性はmTORによって調節される(Klionsky DJ,Meijer AJ,Codogno Pら.Autophagy and P70S6 kinase.Autophagy 1(1):059−061.(2005))。従来、ラパマイシンは、p70S6の活性の阻害およびmTORの活性の阻害を介するオートファジーの発生の誘発に対して効果を発揮していた。
【0007】
新規物質として、ナノメートル物質は、科学研究、美容、衣類および製造などに広く用いられている。ナノメートル物質に関する研究は、徐々に注目の話題になっており、いくつかのナノメートル物質がオートファジー性細胞死を誘発しうることが報告されている(Zabirnyk O,Yezhelyev M,Seleverstov O.Nanoparticles as a novel class of autophagy activators.Autophagy.2007 May−Jun;3(3):278−81.)。いくつかのナノメートル物質は、肺損傷を誘発しうる(Byrne JD,Baμgh JA.The significance of nanoparticles in particle−induced pulmonary fibrosis.Mcgill J Med.2008 Jan;11(1):43−50.)。しかしながら、ナノメートル物質と細胞死の間の相互関係の原因となっている特別なメカニズムは明確ではなく、オートファジー性細胞死を介してナノメートル物質によって誘発される肺損傷の原因となっているメカニズムは報告されていない。そのため、ナノメートル物質によって誘発される肺損傷を予防および/または処置するための有効な医薬を提供する必要性がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Peter S.Tang,Marco Mura,Rashmi Sethら.Acute lung injury and cell death:how many ways can cells die? Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 294:L632−L641(2008)
【非特許文献2】Beth LevineおよびJunying Yuan,Autophagy in cell death:an innocent convict? J.Clin.Invest.115:2679−2688(2005).
【非特許文献3】Klionsky DJ,Meijer AJ,Codogno Pら.Autophagy and P70S6 kinase.Autophagy 1(1):059−061.(2005)
【非特許文献4】Zabirnyk O,Yezhelyev M,Seleverstov O.Nanoparticles as a novel class of autophagy activators.Autophagy.2007 May−Jun;3(3):278−81.
【非特許文献5】Byrne JD,Baμgh JA.The significance of nanoparticles in particle−induced pulmonary fibrosis.Mcgill J Med.2008 Jan;11(1):43−50.
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
一の態様において、本発明は、哺乳類のインフルエンザ、好ましくは哺乳類の鳥インフルエンザを予防および/または処置するための医薬の調製における、オートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤の使用を提供する。好ましくは、該阻害剤は、3−メチルアデニン、SB203580、LY294002またはウォルトマンニンから選択される。より好ましくは、該阻害剤は、3−メチルアデニンである。好ましくは、本発明は、インフルエンザ、好ましくは鳥インフルエンザを予防するための医薬の調製における、3−メチルアデニンの使用を提供する。
【0010】
本発明の一の実施態様において、哺乳類はヒトである。
【0011】
別の実施態様において、本発明は、インフルエンザウイルス、好ましくは鳥インフルエンザウイルスによって誘発される哺乳類の肺損傷を予防および/または処置するためのオートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤の使用を提供する。
【0012】
本発明の一の実施態様において、肺損傷は急性呼吸窮迫症候群である。
【0013】
本発明の一の実施態様において、鳥インフルエンザは、H5N1型、H5N2型およびH9N2型の鳥インフルエンザウイルスによって引き起こされる。
【0014】
本発明の一の実施態様において、3−メチルアデニンは、オートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤であり、PI3KクラスIIIのシグナル伝達経路の阻害剤である。
【0015】
別の態様において、本発明は、ナノメートル物質によって誘発される哺乳類の肺損傷を予防および/または処置するための医薬の調製における、オートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤の使用を提供する。そして、該阻害剤は、3−メチルアデニン、SB203580、LY294002またはウォルトマンニンから選択される。
【0016】
本発明の一の実施態様において、哺乳類はヒトである。
【0017】
本発明のナノメートル物質には、PAMAM G3、G4、G5、G5.5、G6、G7およびG8などが含まれる。
【0018】
本発明の一の実施態様において、3−メチルアデニンは、オートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤であり、PI3KクラスIIIのシグナル伝達経路の阻害剤である。
【0019】
本発明の一の実施態様において、肺損傷は急性呼吸窮迫症候群である。
【0020】
本発明において、オートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤は、細胞のシグナル伝達経路の阻害剤であってもよく、細胞のシグナル伝達経路には、TSC1/2、LC3、Atg5−Atg12、P38、TSC1/2およびPI3Kのシグナル伝達経路が含まれる。好ましくは、該シグナル伝達経路は、Atg5−Atg12−LC3細胞のシグナル伝達経路である。
【0021】
本発明において、オートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤は、細胞のシグナル伝達経路のアゴニストとして用いられうる、ここで、該細胞のシグナル伝達経路には、AKTおよびmTORのシグナル伝達経路が含まれる。好ましくは、シグナル伝達経路は、mTOR−TSC1/2−AKTのシグナル伝達経路である。
【0022】
本発明者は、オートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤が鳥インフルエンザの予防および/または処置に対して有意な効果を有し、特にその予防効果が予期せぬものであることを見出した。
【0023】
鳥インフルエンザには、限定されるものではないが、H5N1型、H9N2型、H5N2型鳥インフルエンザウイルスまたはその不活性ウイルスまたはその表面タンパク質によって誘発される鳥インフルエンザが含まれる。
【0024】
本発明者はまた、オートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤がナノメートル物質によって誘発されるかまたは悪化する肺損傷の予防および/または処置に対して有意な効果を有し、特にその予防効果は予期せぬものであることを見出した。
【0025】
該オートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤には、限定されるものではないが、3−メチルアデニン、SB203580、LY294002またはウォルトマンニンが含まれる。
【0026】
本発明は、オートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤の予防および/または処置効果が有意であり、細胞死、特に哺乳類の肺上皮細胞の死を大幅に減少させるためにオートファジー(II型細胞アポトーシス)の発生を明らかに予防しうることを証明している:実験結果は、最初にオートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤で処置し、次いで、不活化H5N1型ウイルスで処置した細胞の生存率と不活化H5N1型ウイルスのみで処置した細胞の生存率の間に有意な違いがあることを証明している。オートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤の予防および処置効果は、インビボ実験、例えば、マウスの病理写真、炎症細胞計数、肺湿/乾比、肺弾性の変化および死亡率などによってさらに証明されうる。オートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤が、鳥インフルエンザを予防および処置するために肺組織の損傷を明らかに減少させることも証明されている。さらに、オートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤が、同一のインビボおよびインビトロ実験を介してナノメートル物質によって誘発されるかまたは悪化する肺損傷を予防および処置することも証明されている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、H5遺伝子が挿入された発現ベクターPeak13 CD5L TEVヒトIgGを制限消化酵素で消化し、アガロースゲル電気泳動で分離した結果を示す。ライン1、2および3は、それぞれ、λ−HindIIIマーカー、Peak13 CD5L H5 TEVヒトIgG、D2000マーカーを示す。λ−HindIIIマーカーの大きさは、小さいものから大きい(下から上の)順に、564bp(図から識別することが困難)、2027bp、2322bp、4361bp、6557bp、9416bpおよび23130bpである;D2000マーカーの大きさは、小さいものから大きい(下から上の)順に、100bp、250bp、500bp、750bp、1000bpおよび2000bpである。プラスミドをNhe I/BamHI酵素で切断して1.56Kbフラグメントが得られ、それはH5遺伝子が発現ベクターに挿入されていることを証明している。
【図2】図2は、ウエスタンブロット法で測定した293ET細胞で発現した融合タンパク質H5Fcの発現結果を示す。それは、融合タンパク質H5Fcが宿主細胞で良好に発現され、発現タンパク質の分子量が約110KDおよび60KDであることを証明している。H5タンパク質は、宿主内の酵素によって切断され、2つのバンドを形成している。
【図3】図3は、クマシーブリリアントブルー(CBB)によって染色された、精製H5Fc融合タンパク質およびH5タンパク質のポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果を示す。それは、十分に精製された融合タンパク質H5FcおよびH5タンパク質が得られうることを証明している。精製されたH5Fcタンパク質をTEV酵素で切断し、次いで、アフィニティークロマトグラフィーに付して、約80KDの分子量を有する精製されたH5タンパク質が得られうる。
【図4】図4は、異なる方法で処置したHela細胞の電子顕微鏡写真(20000倍)および電子顕微鏡下にて観察されたオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間アジュバントで処置したHela細胞の電子顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間H5N1型鳥インフルエンザ不活化ウイルスで処置したHela細胞の電子顕微鏡写真を示し、矢印はオートファゴソームを示す。図Cは、上記2つの条件下でのオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴うHela細胞%の棒グラフを示す。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの効果でHela細胞のオートファジーが起こることを証明している。
【図5】図5は、異なる方法で処置したHela細胞の電子顕微鏡写真(20000倍)および電子顕微鏡下にて観察されたオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間アジュバントで処置したHela細胞の電子顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間不活化H5N2型鳥インフルエンザウイルスで処置したHela細胞の電子顕微鏡写真を示し、矢印はオートファゴソームを示す。図Cは、上記2つの条件下でのオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴うHela細胞%の棒グラフを示す。それは、不活化H5N2型鳥インフルエンザウイルスの効果でHela細胞のオートファジーが起こることを証明している。
【図6】図6は、異なる方法で処置したHela細胞の電子顕微鏡写真(20000倍)および電子顕微鏡下にて観察されたオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間アジュバントで処置したHela細胞の電子顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間不活化H9N2型鳥インフルエンザウイルスで処置したHela細胞の電子顕微鏡写真を示し、矢印はオートファゴソームを示す。図Cは、上記2つの条件下でのオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴うHela細胞%の棒グラフを示す。それは、不活化H9N2型鳥インフルエンザウイルスの効果でHela細胞のオートファジーが起こることを証明している。
【図7】図7は、異なる方法で処置したHela細胞の電子顕微鏡写真(20000倍)および電子顕微鏡下にて観察されたオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間BSAタンパク質で処置したHela細胞の電子顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間H5タンパク質で処置したHela細胞の電子顕微鏡写真を示し、矢印はオートファゴソームを示す。図Cは、上記の2つの条件下でのオートファジー(II型PCD)を伴うHela細胞%の棒グラフを示す。それは、H5タンパク質の効果でHela細胞のオートファジーが起こることを証明し、また、発現したH5タンパク質が生物活性を有することを証明している。
【図8】図8は、異なる方法で処置したHela細胞の電子顕微鏡写真(20000倍)および電子顕微鏡下にて観察されたオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間DMSOで処置したHela細胞の電子顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間5μMラパマイシンで処置したHela細胞の電子顕微鏡写真を示し、矢印はオートファゴソームを示す。図Cは、上記の2つの条件下でのオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴うHela細胞%の棒グラフを示す。ラパマイシンがオートファジーの発生をもたらすことは文献から既知でありうるので、陽性対照としてラパマイシンを用いる、実験方法は正確かつ有効なものであることが証明される。
【図9】図9は、異なる方法で処置したA549細胞の電子顕微鏡写真(20000倍)および電子顕微鏡下にて観察されたオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間トリ將尿液で処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示し、矢印はオートファゴソームを示す。図Cは、上記の2つの条件下でのオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴うA549細胞%の棒グラフを示す。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの効果でA549細胞のオートファジーが起こることを証明している。
【図10】図10は、異なる方法で処置したA549細胞の電子顕微鏡写真(20000倍)および電子顕微鏡下にて観察されたオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間BSAで処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間H5タンパク質で処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示し、矢印はオートファゴソームを示す。図Cは、上記の2つの条件下でのオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴うA549細胞%の棒グラフを示す。それは、H5タンパク質の効果でA549細胞のオートファジーが起こることを証明し、また、発現したH5タンパク質が生物活性を有することを証明している。
【図11】図11は、異なる方法で処置したA549細胞の電子顕微鏡写真(20000倍)および電子顕微鏡下にて観察されたオートファジー(II型細胞)を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間DMSOで処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間5μMラパマイシンで処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示し、矢印はオートファゴソームを示す。図Cは、上記の2つの条件下でのオートファジー(II型細胞アポトーシス)のA549細胞の%の棒グラフを示す。ラパマイシンがオートファジーの発生をもたらすことは文献から既知でありうるので、陽性対照としてラパマイシンを用いる、実験方法は正確かつ有効なものであることが証明される。
【図12】図12は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、異なる方法で処置したHela細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真(1000倍)およびEGFP−LC3凝集を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間アジュバントで処置したHela細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したHela細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真を示す。図Cは、上記の2つの条件下でのEGFP−LC3凝集を伴うHela細胞%の棒グラフを示す。オートファジーの発生後の細胞の典型的な特徴は、LC3(ATG8)分子が凝集して、オートファゴソームを形成することである。細胞でオートファジーが起こると、EGFPで標識化されたLC3分子が凝集し、強く放出された緑色発光が共焦点顕微鏡で観察されうる;一方、オートファジーを伴わない細胞については、緑色発光が分散するかまたはほんの少しだけ凝集しうる。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの効果でHela細胞のオートファジーが起こることを証明している。
【図13】図13は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、異なる方法で処置したHela細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真(1000倍)およびEGFP−LC3凝集を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間アジュバントで処置したHela細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間不活化H5N2型鳥インフルエンザウイルスで処置したHela細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真を示し、図Cは、上記の2つの条件下でのEGFP−LC3凝集を伴うHela細胞%の棒グラフを示す。それは、不活化H5N2型鳥インフルエンザウイルスの効果でHela細胞のオートファジーが起こることを証明している。
【図14】図14は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、異なる方法で処置したHela細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真(1000倍)およびEGFP−LC3凝集を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間アジュバントで処置したHela細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間不活化H9N2型鳥インフルエンザウイルスで処置したHela細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真を示す。図Cは、上記の2つの条件下でのEGFP−LC3凝集を伴う細胞%の棒グラフを示す。それは、不活化H9N2型鳥インフルエンザウイルスの効果でHela細胞のオートファジーが起こることを証明している。
【図15】図15は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、次いで、異なる方法で処置したHela細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真(1000倍)およびEGFP−LC3凝集を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間BSAタンパク質で処置したHela細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間H5タンパク質で処置したHela細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Cは、上記の2つの条件下でのEGFP−LC3凝集を伴うHela細胞%の棒グラフを示す。それは、H5タンパク質の効果でHela細胞のオートファジーが起こることを証明し、また、発現したH5タンパク質が生物活性を有することを証明している。
【図16】図16は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、次いで、異なる方法で処置したHela細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真(1000倍)およびEGFP−LC3凝集を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間DMSOで処置したHela細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間ラパマイシンで処置したHela細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Cは、上記の2つの条件下でのEGFP−LC3凝集を伴うHela細胞%の棒グラフを示す。ラパマイシンがオートファジーの発生をもたらすことは文献から既知であるので、陽性対照としてラパマイシンを用いる、実験方法は正確かつ有効なものであることが証明される。
【図17】図17は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、次いで、異なる方法で処置したA549細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真(1000倍)およびEGFP−LC3凝集を伴うHela細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間陰性対照、トリ將尿液で処置したA549細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Cは、上記の2つの条件下でのEGFP−LC3凝集を伴うA549細胞%の棒グラフを示す。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの効果でA549細胞のオートファジーが起こることを証明している。
【図18】図18は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、次いで、異なる方法で処置したA549細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真(1000倍)およびEGFP−LC3凝集を伴うHela細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間BSAで処置したA549細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間H5タンパク質で処置したA549細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Cは、上記の2つの条件下でのEGFP−LC3凝集を伴うA549細胞%の棒グラフを示す。それは、H5タンパク質の効果でA549細胞のオートファジーが起こることを証明し、また、発現したH5タンパク質が生理活性を有することを証明している。
【図19】図19は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、次いで、異なる方法で処置したA549細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真(1000倍)およびEGFP−LC3凝集を伴うHela細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間DMSOで処置したA549細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間ラパマイシンで処置したA549細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Cは、上記の2つの条件下でのEGFP−LC3凝集を伴うA549細胞%の棒グラフを示す。ラパマイシンがオートファジーの発生をもたらすことは文献から既知であるので、陽性対照としてラパマイシンを用いる、実験方法は正確かつ有効なものであることが証明される。
【図20】図20は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。左側の第1ラインは、1.5時間陰性対照で処置したA549細胞の溶解サンプルであり、第2ラインは、1.5時間不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞の溶解サンプルである;抗体は、それぞれ(上から下へ)、LC3およびアクチン抗体である。LC3IIの相対的発現レベルは増大しており、それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがLC3シグナル経路を活性化し、オートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発することを証明している。
【図21】図21は、Quantity one−4.6.3のソフトウェアを用いて図22に示される繰り返されたウエスタンブロット実験から得られたバンドの濃度を定量化した相対比の棒グラフを示す。左図は、ウエスタンブロット実験にて陰性対照で処置したA549細胞におけるLC3II対アクチン相対比を示し、右図は、ウエスタンブロット実験にて不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞におけるLC3II対アクチンの相対比を示す、比率の値を1に調整。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがLC3シグナル経路を活性化し、オートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発することを証明している。
【図22】図22は、棒グラフとして異なる方法で処置したA549細胞の生存率を示す。A549細胞は、対照siRNAおよびAtg12 siRNAがそれぞれトランスフェクトされ、次いで、対照試薬または不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置されている。細胞生存率の結果はMTTキットで測定される。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスが細胞の生存率を著しく減少させるのに対し、Atg12 siRNAが不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの効果を軽減することを証明している。すなわち、オートファジー(II型細胞アポトーシス)に対する抑制効果は、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発される細胞死を軽減する。
【図23】図23は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。左側ラインは、対照siRNAをトランスフェクトし、次いで、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞の溶解サンプルであり、右側ラインは、対照Atg12 siRNAをトランスフェクトし、次いで、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞の溶解サンプルである;抗体は、それぞれ(上から下へ)、Atg12およびアクチン抗体である。Atg5およびAtg12は細胞内で複合体を形成してオートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発するため、検出された結果は、アクチンに対するAtg5およびAtg12の複合体の相対量で示す。それは、Atg12 siRNAがAtg5およびAtg12の複合体の相対量を効果的に減少させることを証明している。
【図24】図24は、Quantity one−4.6.3のソフトウェアを用いて図25に示される繰り返されたウエスタンブロット実験から得られたバンドの濃度を定量化した相対比の棒グラフを示す。左図は、対照siRNAをトランクフェクトしたA549細胞におけるに対するAtg5およびAtg12の複合体対アクチンの相対比を示す、該値を1に調整。右図は、対照Atg12 siRNAをトランスフェクトしたA549細胞におけるAtg5およびAtg12の複合体対アクチン相対比を示す。それは、Atg12 siRNAがAtg5およびAtg12の複合体の相対量を効果的に減少させることを証明されている。
【図25】図25は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。左側ラインは、陰性対照でA549細胞の溶解サンプルであり、右側ラインは不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞の溶解サンプルである;抗体は、それぞれ(上から下へ)、リン酸化S6、S6およびアクチン抗体である。S6はmTORの基質であり、リン酸化S6の相対的減少は、mTOR経路の活性を阻害したことを示しており、それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがmTORシグナル経路を阻害し、さらに、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがmTORシグナル経路を介してオートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発することを証明している。
【図26】図26は、Quantity one−4.6.3のソフトウェアを用いて繰り返されたウエスタンブロット実験から得られたバンドの濃度を定量化した相対比の棒グラフを示す。左図は、ウエスタンブロット実験にて陰性対照で処置したA549細胞におけるリン酸化S6対S6の相対比を示す、該値を1に調整。右図は、ウエスタンブロット実験にて不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞におけるリン酸化S6対S6の相対比を示す。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがmTORシグナル経路を阻害し、さらに、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがmTORシグナル経路の阻害を介してオートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発することを証明している。
【図27】図27は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。左側ラインは、陰性対照で処置したA549細胞の溶解サンプルであり、右側ラインは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞の溶解サンプルである;抗体は、それぞれ(上から下へ)、リン酸化mTORおよびmTOR抗体である。リン酸化mTORの量は相対的に減少しており、それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがmTORシグナル経路を阻害することおよび不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがmTORシグナル経路の阻害を介してオートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発することを証明している。
【図28】図28は、Quantity one−4.6.3のソフトウェアを用いて繰り返されたウエスタンブロット実験から得られたバンドの濃度を定量化した相対比の棒グラフを示す。左図は、ウエスタンブロット実験にて陰性対照で処置したA549細胞のリン酸化mTOR対mTORの相対比を示す、該値を1に調整。右図は、ウエスタンブロット実験にて不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞におけるリン酸化mTOR対mTORの相対比を示す。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがmTORシグナル経路を阻害することおよび不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがmTORシグナル経路の阻害を介してオートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発することを証明している。
【図29】図29は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、次いで、異なる方法で処置したA549細胞の共焦点レーザー顕微鏡下写真(1000倍)を示す。図Aは、陰性対照siRNAをトランスフェクトし、次いで、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Bは、TSC2 siRNAをトランスフェクトし、次いで、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。TSC2 siRNAをトランスフェクトした後、EGFP−LC3凝集を伴う細胞は減少し、それは、TSC2 siRNAが不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発されるオートファジー(II型細胞アポトーシス)を阻害することを証明している。
【図30】図30は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、次いで、異なる方法で処置したA549細胞中のEGFP−LC3凝集を伴う細胞%の棒グラフを示す。左図は、陰性対照siRNAをトランスフェクトし、次いで、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞におけるEGFP−LC3凝集を伴う細胞%を示し、右図は、TSC2 siRNAをトランスフェクトし、次いで、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞におけるEGFP−LC3凝集を伴う細胞%を示す。それは、TSC2 siRNAが不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発されるオートファジー(II型細胞アポトーシス)を阻害することを証明している。
【図31】図31は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。対照siRNAおよびTSC2 siRNAをそれぞれトランスフェクトしたA549細胞のサンプルは、トランスフェクションの48時間後に溶解した;抗体は、それぞれ(上から下へ)、TSC2およびアクチン抗体である。それは、TSC2 siRNAがTSC2の発現レベルを有意に減少しうることを証明している。
【図32】図32は、Quantity one−4.6.3のソフトウェアを用いて図25に示される繰り返されたウエスタンブロット実験から得られたバンドの濃度を定量化した相対比の棒グラフを示す。左図は、対照siRNAをトランスフェクトしたA549細胞におけるTSC2対アクチンの相対比を示す、該比率の値を1に調整。右図は、TSC2 siRNAをトランスフェクトしたA549細胞におけるTSC2対アクチンの相対比を示す。それは、TSC2 siRNAがTSC2の発現レベルを有意に減少しうることを証明している。
【図33】図33は、棒グラフとして異なる方法で処置したA549細胞の生存率を示す。A549細胞は、対照siRNAおよびTSC2 siRNAがそれぞれトランクフェクトされ、次いで、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置されている。細胞生存率の結果はMTTキットで測定される。細胞生存率は、TSC2 siRNAのトランスフェクションを介して増加する。それは、TSC2 siRNAが不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発される細胞死を遅延しうることを証明している。
【図34】図34は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。左側ラインは、陰性対照で処置したA549細胞の溶解サンプルであって、右側ラインは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞の溶解サンプルである;抗体は、それぞれ(上から下へ)、リン酸化AktおよびAkt抗体である。リン酸化Aktの相対量の減少は、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがAktシグナル経路を阻害しうることを示す。
【図35】図35は、Quantity one−4.6.3のソフトウェアを用いて繰り返されたウエスタンブロット実験から得られたバンドの濃度を定量化した相対比の棒グラフを示す。左図は、ウエスタンブロット結果における陰性対照で処置したA549細胞におけるリン酸化Akt対Aktの相対比を示す、該比率の値を1に調整。右図は、ウエスタンブロット結果における不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞におけるリン酸化Akt対Aktの相対比を示す。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがAktシグナル経路を阻害しうることを証明している。
【図36】図36は、トリ將尿液または不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを注入したマウスの肺組織の電子顕微鏡写真を示す。図Aは、トリ將尿液を注入した肺組織の電子顕微鏡写真を示す;図Bは、Aの白線ボックスに示される位置の部分的に拡大した図を示す。より完全な細胞が観察されたが、オートファゴソームは観察されなかった;図Cは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを注入した肺組織の電子顕微鏡写真を示す;図Dは、Aの白線ボックスに示される位置の部分的に拡大した図を示す。より完全な細胞が観察された。細胞中のオートファゴソームが観察された(矢印によって表される)。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスが肺組織のオートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発しうることを証明している。
【図37】図37は、細胞シグナル経路の略図を示す。上記の実験結果から、本発明者らは、略図に示される結論を得ることができた:鳥インフルエンザウイルスは、AKTからTSC1/2、次いで、mTOR、そして、オートファジーの経路を介してオートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発しうる。鳥インフルエンザウイルスはAKTを阻害し、AKTはTSC1/2を阻害し、TSC1/2はmTOR経路を阻害し、mTOR経路はオートファジー(II型細胞アポトーシス)を阻害する;オートファジー経路は、Atg5−Atg12からLC3の経路を介して作用して、オートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発する。
【図38】図38は、棒グラフとして異なる方法で処置したA549細胞の生存率を示す。陰性対照、3MAまたは不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置した後、A549細胞の生存率は、MTTキットで測定された。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスが細胞の生存率を著しく減少させるのに対し、3MAが不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発される細胞死を減少することを証明している。
【図39】図39は、Balb/cマウスの肺の病理切片の写真(200倍)を示す。図Aは、対照(トリ將尿液)を気管注入し、その6時間後に肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真を示し、図Bは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入し、その6時間後に肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真を示し、図Cは、3−MA(30mg/kg)を腹腔内注射し、その30分後に不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入し、その6時間後に肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真を示す。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスが重篤な肺損傷をもたらしうるのに対し、3−MAが不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。
【図40】図40は、棒グラフとして油浸レンズ(1000倍)下の肺組織の病理切片に局在する炎症細胞数を示す。左から右に、それぞれ、対照(トリ將尿液)を気管注入した6時間後のマウスの肺病理切片数、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入した6時間後のマウスの肺病理切片数、3−MA(30mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、不活化H5N1型鳥インフルエンザを注入した6時間後のマウスの肺病理切片数を示す。炎症細胞浸潤は、最も重要な指標の一つである。不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの注入は非常に浸潤した炎症細胞をもたらしたのに対し、3−MAは不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発される炎症細胞数を減少させた。結果は、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスが重篤な肺損傷をもたらすのに対し、3−MAが不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。
【図41】図41は、Balb/cマウスの肺組織LC3のウエスタンブロットの結果を示す。第1ラインは、2時間対照(トリ將尿液)を気管注入したマウスの均質化肺組織から抽出された全タンパク質のサンプルを示す;第2ラインは、2時間不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入したマウスの均質化肺組織から抽出された全タンパク質のサンプルを示し、第3ラインは、3−MA(30mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、2時間不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入したマウスの均質化肺組織から抽出された全タンパク質のサンプルを示す。抗体は、LC3およびβ−アクチンである。それは、マウスの肺組織中のLC3 II含量が不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの刺激によって増加してオートファジーが起こるのに対し、3−MAがオートファジーの発生を軽減することを証明している。
【図42】図42は、Quantity one−4.6.3のソフトウェアを用いて繰り返されたウエスタンブロット実験から得られたバンドの濃度を定量化した相対比の棒グラフを示す。LC3 II対β−アクチンの相対比は、図42に示されるバンドの濃度に相当する。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルス刺激によってマウスの肺組織におけるLC3 II含量が増加してオートファジーを引き起こすのに対し、3−MAはオートファジーの発生を軽減することを証明している。
【図43】図43は、Balb/cマウスの肺組織の弾性の結果を示す。それは、それぞれ、対照(トリ將尿液)を気管注入したマウスの、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入したマウスの、そして、最初に3−MA(30mg/kg)を腹腔内注射し、30分後に不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを注入したマウスからの、肺組織の弾性の変化を示す。自発呼吸するマウスの肺弾性の変化を、4時間30分ごとに測定した。肺弾性は、肺機能を測定するための重要な指標である。不活化鳥インフルエンザウイルスの気管注入はマウスの肺のコンプライアンスを著しく減少させるのに対し、3−MAは誘発された損傷の軽減および肺の保護機能に一定の効果を有する。
【図44】図44は、棒グラフとしてBalb/cマウスの肺湿/乾比を示す。それは、左から右に、対照(トリ將尿液)を気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比、3−MA(30mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比、およびウォルトマンニン(1.5mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比を示す。肺湿/乾比は、肺損傷の重要な指標の一つであり、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの注入は、湿/乾比を著しく増加するのに対し、3−MAおよびウォルトマンニンは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによってもたらされた湿/乾比の増加を減少させる。結果は、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスが重篤な肺損傷を引き起こすのに対し、3−MAおよびウォルトマンニンが不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。
【図45】図45は、Balb/cマウスの生存曲線を示す。不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの気管注入の8時間前、2時間前およびその気管注入の30分後に、3−MA(15mg/kg)を腹腔内注射して、15分ごとに生存状況を観察した。それは、3−MAがマウスの死の遅延に対して効果を有することを証明している。
【図46】図46は、マウスの肺組織のリアルタイムPCRの結果を示す。マウスに対照siRNAおよびAtg5 siRNAをそれぞれ注入して、24時間後、肺組織を均質化し、RNAを抽出して、リアルタイムPCRを行った。それは、Atg5 siRNAの気管注入がAtg5 mRNAレベルの低下を効果的にもたらすことを証明している。
【図47】図47は、Balb/cマウスの肺組織の弾性の結果を示す。対照siRNAおよびAtg5 siRNAをそれぞれ注入し、24時間後、対照(トリ將尿液)および不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスをそれぞれ注入した、マウスの肺組織の弾性を30分ごとに測定した。自発呼吸するマウスの肺弾性の変化の測定を4時間行った。不活化鳥インフルエンザウイルスの気管注入はマウスの肺のコンプライアンスを著しく減少させるのに対し、Atg5 siRNAはAtg5タンパク質の発現の阻害を介して肺損傷をある程度軽減することから、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがオートファジー(II型細胞アポトーシス)を活性化して肺損傷の発生を誘発することを示唆する。
【図48】図48は、棒グラフとしてBalb/cマウスの肺湿/乾比を示す。対照siRNAおよびAtg5 siRNAをそれぞれ注入し、24時間後、対照(トリ將尿液)および不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスをそれぞれ注入した、4時間後のマウスの肺組織の湿/乾比の結果である。肺湿/乾比は、肺損傷の重要な指標の一つであり、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの注入は著しく湿/乾比を増加するのに対し、Atg5 siRNAはAtg5タンパク質の発現を阻害して肺損傷をある程度軽減することから、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがオートファジー(II型細胞アポトーシス)を活性化して肺損傷の発生を誘発することを示唆する。
【図49】図49は、Balb/cマウスの肺の病理切片の写真(200倍)を示す。図Aは、酸吸引後Fcタンパク質を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真を示す。図Bは、酸吸引後H5Fcタンパク質を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真を示す。図Cは、酸吸引後3−MA(30mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、H5Fcタンパク質を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真を示す。それは、酸吸引後のH5Fcタンパク質が肺損傷を悪化させるのに対し、3−MAは酸吸引後のH5Fcタンパク質によって誘発された肺損傷をある程度改善することを証明している。
【図50】図50は、棒グラフとして油浸レンズ(1000倍)下にて肺組織の病理切片に局在する炎症細胞数を示す。左から右に、それぞれ、酸吸引後Fcタンパク質を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの肺病理切片数、酸吸引後H5Fcタンパク質を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの肺病理切片数、および酸吸引後3−MA(30mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、H5Fcタンパク質を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの肺病理切片数を示す。炎症細胞浸潤は、重要な指標の一つである。H5Fcタンパク質の注入は浸潤した炎症細胞数を増加させるのに対し、3−MAはH5Fcタンパク質によって誘発される炎症細胞数の増加を減少させる。結果は、酸吸引後のH5Fcタンパク質が肺損傷を悪化させるのに対し、3−MAが酸吸引後のH5Fcタンパク質によって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。
【図51】図51は、棒グラフとしてBalb/cマウスの肺湿/乾比を示す。左から右に、それぞれ、酸吸引後Fcタンパク質を気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比、酸吸引後H5Fcタンパク質を気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比、酸吸引後3−MA(30mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、H5Fcタンパク質を気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比、酸吸引後LY294002(0.25mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、H5Fcタンパク質を気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比である。肺湿/乾比は、肺損傷の重要な指標の一つである。酸吸引後のH5Fcタンパク質の気管注入は湿/乾比を著しく増加させるのに対し、3−MAおよびLY294002は酸吸引後のH5Fcタンパク質によって誘発される湿/乾比の増加を減少させた。結果は、酸吸引後のH5Fcタンパク質が重篤な肺損傷を引き起こすのに対し、3−MAおよびLY294002が酸吸引後のH5Fcタンパク質によって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。
【図52】図52は、異なる方法で処置したA549細胞の電子顕微鏡写真(20000倍)を示す。図Aの最初の写真は、4時間アジュバントで処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示し、図Cは、1時間P38経路の特異的阻害薬、SB203580で前処置し、次いで、4時間不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示す。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの効果でA549細胞のオートファジーが起こったのに対し、P38経路の特異的阻害薬、SB203580がオートファジーを減少させたことを証明している。
【図53】図53は、電子顕微鏡下にて観察された種々の処置を行ったオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴うA549細胞%の棒グラフを示す。左側の第一グラフは、4時間アジュバントで処置したオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴うA549細胞%を示し、第2グラフは、4時間不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴うA549細胞%を示し、第3グラフは、1時間P38経路の特異的阻害薬、SB203580で処置し、次いで、4時間不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴うA549細胞%を示す。結果は、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスのみで処置したオートファジーを伴うA549細胞の比率が24.3%であることを示す;P38経路の阻害薬、SB203580で処置した後に不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置すると、オートファジーを伴うA549細胞の比率は7.73%である。2つのケースの間には有意な違いがある。結果は、P38経路の阻害薬、SB203580が不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発されるオートファジーの発生を効果的に阻害しうることを証明している。
【図54】図54は、異なる方法で処置したA549細胞におけるウエスタンブロット実験の結果を示す。左側の第1ラインは、4時間アジュバントで処置したA549細胞の溶解サンプルを示し、第2ラインは、4時間不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞の溶解サンプルを示す;抗体は、それぞれ(上から下へ)、リン酸化P38、P38およびアクチン抗体である。それは、サンプル量がほとんど同量である(アクチンが同量のサンプルを確保するための内部パラメーターとして用いられる)場合に、リン酸化P38の発現レベルが著しく増加する、すなわち、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがP38シグナル経路を活性化しうることを証明している。
【図55】図55は、Balb/cマウスの肺の病理切片の写真(200倍)を示す。図Aは、対照(トリ將尿液)を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真を示す。図Bは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真を示す。図Cは、SB203580(16mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られた病理切片の写真を示す。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスが重篤な肺損傷を引き起こすのに対し、SB203580が不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがp38シグナル経路を介して肺損傷を誘発することを示す。
【図56】図56は、棒グラフとして油浸レンズ(1000倍)下の肺組織の病理切片に局在する炎症細胞数を示す。左から右に、それぞれ、対照(トリ將尿液)を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの肺病理切片数、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの肺病理切片数、マウスにSB203580(16mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、不活化H5N1型鳥インフルエンザを気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの肺病理切片数を示す。炎症細胞浸潤は、肺損傷の重要な指標の一つである。不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの注入は、非常に浸潤した炎症細胞をもたらすのに対し、SB203580は不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発される浸潤した炎症細胞数を減少させる。結果は、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスが重篤な肺損傷を引き起こすのに対し、SB203580が不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。
【図57】図57は、棒グラフとしてBalb/cマウスの肺湿/乾比を示す。それは、左から右に、対照(トリ將尿液)を気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比、SB203580(16mg/kg)を腹腔内注射し、1時間後、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比を示す。肺湿/乾比は、肺損傷の重要な指標の一つである。不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの注入は湿/乾比を著しく増加させたのに対し、SB203580は不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発される湿/乾比の増加を減少させた。結果は、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスが重篤な肺損傷を引き起こすのに対し、SB203580が不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。
【図58】図58は、Balb/cマウスの肺病理切片の写真(200倍)を示す。左図は、酸吸引後Fcタンパク質を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真である。中央図は、酸吸引後H5Fcタンパク質を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真である。右図は、酸吸引後SB203580(16mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、H5Fcタンパク質を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真である。酸吸入後のH5Fcタンパク質の注入は肺損傷を悪化させるのに対し、SB203580は酸吸引後のH5Fcタンパク質によって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。
【図59】図59は、油浸レンズ(1000倍)下の肺組織の病理切片に局在する炎症細胞数を示す。図Aは、酸吸引後Fcタンパク質を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの肺病理切片数を示す。図Bは、酸吸引後H5Fcタンパク質を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの肺病理切片数を示す。図Cは、酸吸引後SB203580(16mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、H5Fcタンパク質を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの肺病理切片数を示す。炎症細胞浸潤は、肺損傷の重要な指標の一つである。H5Fcタンパク質の注入は浸潤した炎症細胞数を増加させたのに対し、pSB203580はH5Fcタンパク質によって誘発される浸潤した炎症細胞の増加を減少させた。結果は、酸吸引後のH5Fcタンパク質が肺損傷を悪化させるのに対し、SB203580が酸吸引後のH5Fcタンパク質によって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。
【図60】図60は、棒グラフとしてBalb/cマウスの肺湿/乾比を示す。左から右に、それぞれ、酸吸引後Fcタンパク質を気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比、酸吸引後H5Fcタンパク質を気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比、酸吸引後SB203580(16mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、H5Fcタンパク質を気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比を示す。肺湿/乾比は、肺損傷の重要な指標の一つであり、酸吸引後のH5Fcタンパク質の気管注入は肺湿/乾比を著しく増加させたのに対して、SB203580は酸吸引後のH5Fcタンパク質によって誘発される肺湿/乾比の増加を減少させた。結果は、酸吸引後のH5Fcタンパク質が重篤な肺損傷を引き起こすのに対し、SB203580が酸吸引後のH5Fcタンパク質によって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。
【図61】図61は、種々の処置をしたA549細胞の生存率を示す。A549細胞を種々のナノメートル物質(PAMAM)で処置し、24時間後、A549細胞の生存率をMTT法で測定した。
【図62】図62は、異なる方法で処置したA549細胞のゲノム電気泳動図を示す。A549細胞を、対照、ジメチルスルホキシド(DMSO、6%v/v)およびナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置した後、細胞を回収し、細胞のゲノムDNAをゲノム抽出用キットで単離し、アガロースゲル電気泳動を行った。ジメチルスルホキシドは、アポトーシス誘導剤として用いた。
【図63】図63は、異なる方法で処置したA549細胞のカスパーゼ−3活性の結果を示す。A549細胞を、対照、ジメチルスルホキシド(DMSO、6%v/v)、ナノメートル物質PAMAM G5.5およびPAMAM G3種でそれぞれ処置し。24時間後、細胞のカスパーゼ−3活性をカスパーゼ−3活性試験キットで測定した。
【図64】図64は、異なる方法で処置したA549細胞の電子顕微鏡写真(20000倍)を示す。図Aは、24時間対照で処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示す。図Bは、24時間ナノメートル物質PAMAM G5.5(100μg/mL)で処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示す。図Cは、24時間ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示す。図Dは、1時間3−MA(10mM)で処置し、次いで、24時間ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示す。Aナノメートル物質PAMAM G5の効果で549細胞のオートファジーが起こり、オートファジーによって誘発される細胞死は3−MAによって軽減されうることを証明している。
【図65】図65は、オートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴うA549細胞%の棒グラフを示す。オートファジーの発生後の細胞の典型的な特徴は、オートファゴソームの出現である。100個のランダム細胞当たり2以上のオートファゴソームを有する細胞%を算出した。3−MAがナノメートル物質PAMAM G3によって誘発されるオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴う細胞%を減少させたことは明らかである。すなわち、3−MAはオートファジー(II型細胞アポトーシス)を処置または軽減しうる。
【図66】図66は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、次いで、異なる方法で処置したA549細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真(1000倍)を示す。図Aは、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、次いで、24時間対照で処置したA549細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Bは、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、次いで、24時間ナノメートル物質PAMAM G5.5(100μg/mL)で処置したA549細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Cは、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、次いで、24時間ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置したA549細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Dは、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、3−MA(10mM)で処置し、次いで、24時間PAMAM G3(100μg/mL)で処置したA549細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。
【図67】図67は、上記の条件下でのEGFP−LC3凝集を伴う細胞%の棒グラフを示す。オートファジーの発生後の細胞の典型的な特徴は、LC3(ATG8)分子を凝集してオートファゴソームを形成することである。LC3分子をEGFPで標識化した。細胞にオートファジーが起こった場合には、LC3分子が凝集して、強く発光する緑色蛍光が共焦点顕微鏡下にて観察されうる。しかしながら、細胞にオートファジーが起こらなかった場合には、緑色蛍光は分散するかまたはほんの少しだけ凝集する。それは、ナノメートル物質PAMAM G3の効果でA549細胞のオートファジーが起こり、オートファジーによって誘発される細胞死が3−MAによって軽減されうることを証明している。
【図68】図68は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。左側の第1ラインは、4時間対照で処置したA549細胞の溶解サンプルを示し、第2ラインは、4時間ナノメートル物質PAMAM G5.5(100μg/mL)で処置したA549細胞の溶解サンプルを示し、第3ラインは、4時間ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置したA549細胞の溶解サンプルを示す;抗体は、それぞれ(上から下へ)、LC3Bおよびアクチン抗体である。それは、LC3B−IIタンパク質の発現レベルが有意に増加したことを証明している。すなわち、ナノメートル物質PAMAM G3はオートファジーを誘発する。
【図69】図69は、異なる処置をしたA549細胞の生存率を示す。A549細胞を、1時間対照、ナノメートル物質PAMAM G5.5、PAMAM G3、3−MAでそれぞれ前処理し、次いで、24時間ナノメートル物質PAMAM G3および薬物対照3−MAで処置した。細胞の生存率の結果をMTT法で測定した。それは、3−MAがナノメートル物質PAMAM G3によって誘発される細胞死を有意に減少しうることを示す。
【図70】図70は、異なる処置をしたA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。サンプルは、24時間対照siRNAまたはATG6 siRNAをトランスフェクトしたA549細胞の溶解サンプルである。抗体は、それぞれ(上から下へ)、ATG6およびアクチン抗体である。ウエスタンブロット実験の結果は、ATG6 siRNAがATG6遺伝子の発現を有効に阻害することを示す。
【図71】図71は、種々の処置をしたA549細胞の生存率を示す。A549細胞に、対照siRNAおよびATG6 siRNAをそれぞれトランスフェクトした。次いで、24時間ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置した。細胞の生存率をMTT法で測定した。それは、ナノメートル物質PAMAM G3がATG6遺伝子の発現を調節することによって細胞死を誘発して、オートファジーを形成することを証明している。
【図72】図72は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。A549細胞は、4時間異なる種類のナノメートル物質(PAMAM)で処置した。次いで、細胞中のLC3−IIの発現レベルをウエスタンブロット法で検出した。それは、ナノメートル物質PAMAM G4、G5、G6、G7、G8すべてが細胞中のLC3−IIの発現レベルを増加させたことを示し、全てのこれらのナノメートル物質が細胞死を引き起こすためにオートファジーを誘発しうることを示唆する。
【図73】図73は、Quantity one−4.6.3のソフトウェアを用いて図75に示されるウエスタンブロット実験から得られたバンドの濃度で定量化した相対比の棒グラフを示す。それらは、連続して、陰性対照、G5.5、G4、G6、G7およびG8で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験におけるLC3II対アクチンの相対比を示す、対照値を1に調整。他のグループの値は、対照値で割った。それは、G4、G5、G6、G7およびG8がLC3シグナル経路を活性化し、オートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発しうることを証明している。
【図74】図74は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット法の結果を示す。A549細胞は、24時間異なる種類のナノメートル物質(PAMAM)で処置し、細胞の生存率の結果をMTT法で測定した。それは、ナノメートル物質PAMAM G4、G5、G6、G7およびG8すべてが細胞死を誘発しうることを証明している。
【図75】図75は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。第1ラインは、24時間対照で処置したA549細胞の溶解サンプルを示し、第2ラインは、24時間ナノメートル物質PAMAM G5.5で処置したA549細胞の溶解サンプルを示し、第3ラインは、24時間ナノメートル物質PAMAM G3で処置したA549細胞の溶解サンプルを示す;抗体は、それぞれ(上から下へ)、2481位リン酸化mTOR抗体および全mTOR抗体である。それは、リン酸化mTORタンパク質の発現レベルが有意に減少したことを証明している。すなわち、mTOR経路を阻害する。
【図76】図76は、Quantity one−4.6.3のソフトウェアを用いて図78に示されるウエスタンブロット実験から得られたバンドの濃度を定量化した相対比の棒グラフを示す。それは、連続して、対照、G5.5(100μg/mL)、およびG3(100μg/mL)で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験におけるリン酸化mTOR対mTORタンパク質の相対比を示す、対照値を1に調整。他のグループの値は、対照値で割った。それは、G3がmTORシグナル経路を阻害し、オートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発しうることを証明している。
【図77】図77は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。第1ラインは、24時間対照で処置したA549細胞の溶解サンプルを示し、第2ラインは、24時間ナノメートル物質PAMAM G5.5(100μg/mL)で処置したA549細胞の溶解サンプルを示し、第3ラインは、24時間ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置したA549細胞の溶解サンプルを示す;抗体は、それぞれ(上から下へ)、リン酸化S6抗体および全S6抗体である。それは、リン酸化S6タンパク質の発現レベルが有意に減少し、S6経路が阻害されることを証明している。すなわち、mTOR経路を阻害する。
【図78】図78は、Quantity one−4.6.3のソフトウェアを用いて図80に示されるウエスタンブロット実験から得られたバンドの濃度を定量化した相対比の棒グラフを示す。それらは、連続して、陰性対照、G5.5(100μg/mL)、およびG3(100μg/mL)で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験におけるリン酸化S6対S6タンパク質の相対比を示す、対照値を1に調整。他のグループの値は、対照値で割った。それは、G3がS6の活性化を阻害しうる、すなわち、G3がmTORシグナル経路を阻害し、オートファジー(II型細胞アポトーシス)を引き起こしうることを証明している。
【図79】図79は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、次いで、異なる方法で処置したA549細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真(1000倍)を示す。図Aは、24時間対照siRNAで処置し、次いで、ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置した細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Bは、24時間TSC2 siRNAで処置し、次いで、ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置した細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。
【図80】図80は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトしたA549細胞を異なる方法で処置した後の、EGFP−LC3凝集を伴う細胞%を示す。図Aは、A549細胞に陰性対照siRNAをトランスフェクトし、次いで、PAMAM G3(100μg/mL)で処置した後の、EGFP−LC3凝集を伴う細胞%を示し、図Bは、A549細胞にTSC2 siRNAをトランスフェクトし、次いで、PAMAM G3(100μg/mL)を処置した後の、EGFP−LC3凝集を伴う細胞%を示す。それは、TSC2 siRNAがPAMAM G(100μg/mL)によって誘発されるオートファジー(II型細胞アポトーシス)を阻害しうることを証明している。
【図81】図81は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。A549細胞に対照siRNAおよびTSC 2 siRNAをそれぞれトランスフェクトし、次いで、24時間ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置して、細胞の生存率をMTT法で測定した。それは、TSC2 siRNAがTSC2遺伝子の発現を有効に阻害することを示す。
【図82】図82は、種々の処置したA549細胞の生存率を示す。A549細胞に対照siRNAおよびTSC 2 siRNAをそれぞれトランスフェクトし、次いで、24時間ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置して、細胞の生存率をMTT法で測定した。それは、ナノメートル物質PAMAM G3がTSC 2遺伝子の発現を調節することによって細胞死を誘発して、オートファジーを形成することを立証している。
【図83】図83は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロットおよび定量分析の結果を示す。第1ラインは、24時間対照で処置したA549細胞の溶解サンプルを示し、第2ラインは、24時間ナノメートル物質PAMAM G5.5(100μg/mL)で処置したA549細胞の溶解サンプルを示し、第3ラインは、24時間ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置したA549細胞の溶解サンプルを示す;抗体は、それぞれ(上から下へ)、リン酸化Akt抗体および全Akt抗体である。それは、リン酸化Aktタンパク質の発現レベルが有意に減少することでAkt経路を阻害することを証明している。
【図84】図84は、Quantity one−4.6.3のソフトウェアを用いて図86に示されるウエスタンブロット実験から得られるバンドの濃度を定量化した相対比の棒グラフを示す。それらは、連続して、陰性対照、G5.5(100μg/mL)、およびG3(100μg/mL)で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験におけるリン酸化akt対aktタンパク質の相対比を示す、対照値を1に調整。他のグループの値は対照値で割った。それは、G3がaktシグナル経路の活性化を阻害しうることを証明している。
【図85】図85は、細胞シグナル経路の略図を示す。上記の実験結果から、本発明者らは略図に示されるように結論づけることができる:ナノメートル物質PAMAM G3がAkt−TSC1/2−mTOR−オートファジーの経路を活性化しうる。mTORの活性化は、オートファジーの発生を阻害しうる;TSC1/2の活性化は、オートファジー(II型細胞アポトーシス)を促進するためにmTORの活性化を阻害しうる。
【図86】図86は、Balb/cマウスの肺病理切片の写真(200倍)を示す。図Aは、対照を気管注入し、4時間後、肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真を示す。図Bは、ナノメートル物質PAMAM G5.5(100μg/mL)を気管注入し、4時間後、肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真を示す。図Cは、ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)を気管注入し、4時間後、肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真を示す。それは、ナノメートル物質PAMAM G3が重篤な肺損傷を引き起こすことを証明している。
【図87】図87は、棒グラフとしてBalb/cマウスの肺湿/乾比を示す。それらは、左から右に、対照を気管注入した16時間後のマウスの肺湿/乾比、ナノメートル物質PAMAM G5.5(100μg/mL)を気管注入した16時間後のマウスの肺湿/乾比、ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)を気管注入した16時間後のマウスの肺湿/乾比、3−MAを腹腔内注射し、1時間後、ナノメートル物質PAMAM G3を気管注入した16時間後のマウスの肺湿/乾比、および3−MA(15mg/kg)を腹腔内注射した17時間後のマウスの肺湿/乾比を示す。肺湿/乾比は、肺損傷の重要な指標の一つである。ナノメートル物質PAMAM G3の気管注入は肺組織の湿/乾比を増加させるのに対し、3−MAはナノメートル物質PAMAM G3によって誘発されるマウスの肺湿/乾比の増加を軽減する。結果は、ナノメートル物質PAMAM G3が重篤な肺損傷を引き起こすのに対し、3−MAがナノメートル物質PAMAM G3によって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。
【図88】図88は、Balb/cマウスの肺弾性の変化の略図を示す。左から右に、連続して、対照を気管注入したBalb/cマウスの肺弾性の変化、ナノメートル物質PAMAM G5.5(50mg/kg)を気管注入したマウスの肺弾性の変化、ナノメートル物質PAMAM G3(50mg/kg)を注入したマウスの肺弾性の変化、3−MA(15mg/kg)を腹腔内注射し、1時間後、ナノメートル物質PAMAM G3を注入したマウスの肺弾性の変化を示す。肺弾性は、肺損傷の重要な指標の一つである。ナノメートル物質PAMAM G3はマウスの肺弾性の変化を引き起こすのに対し、3−MAはナノメートル物質PAMAM G3によって誘発されるマウスの肺弾性の変化を軽減する。結果は、ナノメートル物質PAMAM G3が重篤な肺損傷を引き起こすのに対し、3−MAがナノメートル物質PAMAM G3によって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。
【図89】図89は、Balb/cマウスの生存曲線を示す。Balb/cマウスは以下のように処置された:対照を気管注入した;ナノメートル物質PAMAM G5.5(50mg/kg)を気管注入した;ナノメートル物質PAMAM G3(50mg/kg)を気管注入した;3−MA(15mg/kg)を腹腔内注射し、1時間後、ナノメートル物質PAMAM G3(50mg/kg)を気管注入した;および3−MA(15mg/kg)を腹腔内注射した。マウスを継続して24時間観察した。1時間おきに生存しているマウス数を計測して、統計解析を行った。結果:ナノメートル物質PAMAM G3はマウスの死亡率を増加させるのに対し、3−MAはナノメートル物質PAMAM G3によって誘発されるマウスの死亡を有意に軽減しうる。
【図90】図90は、ウォルトマンニンの構造式を示す。CAS番号は19545−26−7であり、分子式はC23H24O8であり、分子量は428.43である。
【図91】図91は、LY−294,002の構造式を示す。CAS番号は934389−88−5であり、分子式はC19H17NO3・HClであり、分子量は343.80である。
【図92】図92は、3−メチルアデニンの構造を示す。CAS番号は15142−23−4であり、分子式はC6H7N5であり、分子量は149.15である。
【図93】図93は、SB 203580の構造を示す。CAS番号は152121−47−6であり、分子式はC21H16FN3OSであり、分子量は377.43である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
用語の説明
本発明における「オートファジー性プログラム細胞死」なる語はまた、II型プログラム細胞死(オートファジー)と称される。かかる種類の細胞死は、大量の液胞を含む細胞質および細胞質における細胞小器官の出現, ならびにリソソームによる液胞内の成分の分解を主に特徴とする。オートファジーは、細胞の増殖、発達および疾患に重要な役割を果たす。オートファジーとは、主に、分解した細胞内の損傷細胞構造、老化細胞小器官および不必要な生体高分子を除去することである。オートファジーはまた、消化と同時に細胞中の細胞小器官の構築のための原料を提供する、すなわち、細胞構造をリサイクルする。
【0029】
「SB203580」なる語は、当業者にてSB 203580またはSB−203580とも称され、一般的なp38 MAPK阻害剤の一種である。SB203580は、細胞を透過し、p38 MAPK(p38 MAPキナーゼ)を阻害し、フォローアップMAPKAPキナーゼ−2およびMAPKAPキナーゼ−3の活性化を阻害しうる。SB203580は、p38 MAPKの阻害を介してある炎症因子(IL−1βおよびTNF−αなど)によって誘発されるシグナル伝達の一部を効果的に阻害しうる。SB203580はp38 MAPKを選択的に阻害し、IC50は600nMである;それは、JNK/SAPKおよびp44/42 MAPK(すなわち、Erk1/2)に対する顕著な阻害効果を有しておらず、IC50は100μMのみである。SB203580の分子量は377.43であり、分子式はC21H16FN3OSであり、CAS番号は152121−47−6である。一般的に、生成物の純度は99%以上である。
【0030】
「3−MA」または「3MA」なる語は、3−メチルアデニンの略称である。3−MAは、ホスファチジルイノシトール−3−キナーゼの阻害剤であり、それは、オートファジーにおける自己貪食空胞およびリソソームの融合を特異的に阻害することができ、オートファジーの阻害剤として広く用いられている(Per O SeglenおよびPaul B Gordon.(1982) 3−Methyladenine:specific inhibitor of autophagic/lysosomal protein degradation in isolated rat hepatocytes.Proc Natl Acad Sci USA 79(6):1889−1892)。
【0031】
「LY294002」なる語は、当業者にてLY−294,002、LY−294002またはLY 294002とも称され、ホスファチジルイノシトール−3−キナーゼ細胞シグナル伝達経路を阻害しうる一般的なプロテインキナーゼ阻害薬の一種である。LY294002は、細胞を透過し、PI3Kを特異的に阻害し、Aktのリン酸化の一般的阻害を含む、PI3K/Aktのシグナル伝達経路を阻害しうる。精製されたPI3Kに対するLY294002のIC50は、1.4μMである。LY294002の分子量は307.3であり、分子式はC19H17NO3であり、CAS番号は154447−36−6である。一般的には、生成物の純度は98%以上である。
【0032】
バフィロマイシンA1はまた、オートファジー阻害剤として用いられうる。
【0033】
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は、肺内および肺外疾患の発症、例えば、重症感染症、外傷、ショックによって誘発される肺胞毛細血管損傷によって主に特徴付けられる臨床症候群であり、重篤な段階または種類の急性肺損傷(ALI)に属する。ARDSの臨床的特徴には、頻呼吸および呼吸困難、進行性低酸素症、X線で示されるびまん性肺胞浸潤が含まれる。
【実施例】
【0034】
実施例1
発現宿主においてほとんど用いられないH15タンパク質をコードするコドンを、コドン最適化およびヒト型化の遺伝子最適化方法によって発現宿主において高頻度で用いられるコドンで置き換えた。野生型H5N1型ウイルスのH5タンパク質に相当するアミノ酸配列(A/Thailand/4(SP−528)/2004(H5N1))をNCBIで探索した。H5タンパク質をコードする多数の最適化遺伝子配列を得るために、前記アミノ酸配列をコードするコドンを、発現宿主において高頻度で用いられものに置き換えた。複合体二次構造を形成しうる配列をDNAMANのソフトウェアを用いて取り除き、膜貫通領域をコードする配列を含まない最適化H5遺伝子を抽出した。遺伝子を、プラスミド構築のための標的遺伝子として用いるためにQingke Biological,Beijing,Co.,LTDで合成した。
合成配列は配列番号1に示されている。
【0035】
実施例2
プラスミドの構築および検出(実験方法は「Molecular Cloning」、第3版参照)
ベクター:Peak13 CD5L TEVヒトIgG(発明者の実験室に保存)
挿入フラグメント:膜貫通配列を含まない最適化H5遺伝子
Molecular Cloningに示される酵素消化、電気泳動、精製、ライゲーションおよび形質転換のプロセス後に、挿入されたフラグメントを同定した。さらなる確認のために、酵素(Nhe I/BamHI)消化によって正しい試験プラスミドの配列を決定した(Qingke Biological,Beijing,Co.,LTD)。
【0036】
実験結果は図1に示される。ライン1、2および3は、それぞれ、λ−HindIIIマーカー、Peak13 CD5L H5 TEVヒトIgG、D2000マーカーを示す。λ−HindIIIマーカーの大きさは、小さいものから大きい(下から上の)順に、564bp(図から識別することが困難)、2027bp、2322bp、4361bp、6557bp、9416bpおよび23130bpである;D2000マーカーの大きさは、小さいものから大きい(下から上の)順に、100bp、250bp、500bp、750bp、1000bpおよび2000bpである。プラスミドをNhe I/BamHI酵素で切断して1.56Kbフラグメントが得られ、それはH5遺伝子が発現ベクターに挿入されていることを証明している。
【0037】
実施例3 プラスミドの大量抽出
CsCl密度勾配遠心分離法によって、大量の組換えプラスミドを抽出した(「Molecular Cloning」、第3版参照)。
【0038】
実施例4 トランスフェクション
2x105細胞を6ウェル細胞培養プレートの各ウェルに分注し、24時間後、H5遺伝子を含有する構築した組換えプラスミドをリポソーム(Invitrogen(商標)から入手可能なlipofectamine(商標)2000)を用いてトランクフェクトした。一定期間インキュベートした後、培養細胞を回収した。融合タンパク質の分子量をウエスタンブロット法で決定した。
【0039】
実施例5 ウエスタンブロット法での不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの作用によるA549細胞におけるタンパク質の発現レベルの変化の測定
1)対数増殖期のA549細胞を6ウェルプレートに分注した。
2)24時間後、感染多重度(M.O.I.)が2である、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスはまたは同量のトリ將尿液を加えた。
3)1.5時間後、溶解した細胞を回収した。LC3の変化をウエスタンブロット法によって測定し、アクチンをローディング量の内部パラメーターとして用いた;あるいは、4時間後、溶解した細胞を回収し、リン酸化mTOR、リン酸化S6、およびリン酸化Aktの発現レベルの変化をウエスタンブロット法によって測定し、対応する全タンパク質をローディング量の内部パラメーターとして用いた。
【0040】
タンパク質の分子量を、当業者に既知のウエスタンブロット法によって測定した。あるタンパク質のアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションを決定するために、半定量測定もまた行った(ウエスタンブロット法の具体的な実験方法は「Molecular Cloning」、第3版参照)。
【0041】
実験にて用いられる一次抗体、抗mTOR、抗リン酸化mTOR(Ser2481)、抗AKT、抗リン酸化AKT(Ser473)はすべて、Cell Signaling Technologyから購入した;一次抗体、抗LC3BはAbcamから購入した;抗TSC2、抗ATG5および抗ATG12の一次抗体は、Santa Cruz Biotechnologyから購入した;抗β−アクチンの一次抗体は、Sigma−Aldrichから購入した;西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)で標識された二次抗体もウエスタンブロット用キットもSanta Cruz Biotechnologyから購入した;3−メチルアデニンおよびラパマイシンをSigma−Aldrichから購入した。
【0042】
実験結果は、図2、20、23、25、27、31、34、41、54、68、70、72、75、77、81および83に示される。
【0043】
図2は、ウエスタンブロット法で測定した293ET細胞で発現した融合タンパク質H5Fcの発現結果を示す。それは、融合タンパク質H5Fcが宿主細胞で良好に発現され、発現タンパク質の分子量が約110KDおよび60KDであることを証明している。H5タンパク質は、宿主内の酵素によって切断され、2つのバンドを形成している。
【0044】
図20は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。左側の第1ラインは、1.5時間陰性対照で処置したA549細胞の溶解サンプルであり、第2ラインは、1.5時間不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞の溶解サンプルである;抗体は、それぞれ(上から下へ)、LC3およびアクチンである。LC3IIの相対的発現レベルは増大しており、それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがLC3シグナル経路を活性化し、オートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発することを証明している。
【0045】
図23は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。左側ラインは、対照siRNAをトランスフェクトし、次いで、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞の溶解サンプルであり、右側ラインは、対照Atg12 siRNAをトランスフェクトし、次いで、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞の溶解サンプルである;抗体は、それぞれ(上から下へ)、Atg12およびアクチン抗体である。Atg5およびAtg12は細胞内で複合体を形成してオートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発するため、検出された結果は、アクチンに対するAtg5およびAtg12の複合体の相対量で示す。それは、Atg12 siRNAがAtg5およびAtg12の複合体の相対量を効果的に減少させることを証明している。
【0046】
図25は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。左側ラインは、陰性対照でA549細胞の溶解サンプルであり、右側ラインは不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞の溶解サンプルである;抗体は、それぞれ(上から下へ)、リン酸化S6、S6およびアクチン抗体である。S6はmTORの基質であり、リン酸化S6の相対的減少は、mTOR経路の活性を阻害したことを示しており、それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがmTORシグナル経路を阻害し、さらに、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがmTORシグナル経路を介してオートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発することを証明している。
【0047】
図27は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。左側ラインは、陰性対照で処置したA549細胞の溶解サンプルであり、右側ラインは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞の溶解サンプルである;抗体は、それぞれ(上から下へ)、リン酸化mTORおよびmTOR抗体である。リン酸化mTORの量は相対的に減少しており、それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがmTORシグナル経路を阻害することおよび不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがmTORシグナル経路の阻害を介してオートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発することを証明している。
【0048】
図31は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。対照siRNAおよびTSC2 siRNAをそれぞれトランスフェクトしたA549細胞のサンプルは、トランスフェクションの48時間後に溶解した;抗体は、それぞれ(上から下へ)、TSC2およびアクチン抗体である。それは、TSC2 siRNAがTSC2の発現レベルを有意に減少しうることを証明している。
【0049】
図34は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。左側ラインは、陰性対照で処置したA549細胞の溶解サンプルであって、右側ラインは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞の溶解サンプルである;抗体は、それぞれ(上から下へ)、リン酸化AktおよびAkt抗体である。リン酸化Aktの相対量の減少は、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがAktシグナル経路を阻害しうることを示す。
【0050】
図41は、Balb/cマウスの肺組織LC3のウエスタンブロットの結果を示す。第1ラインは、2時間対照(トリ將尿液)を気管注入したマウスの均質化肺組織から抽出された全タンパク質のサンプルを示す;第2ラインは、2時間不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入したマウスの均質化肺組織から抽出された全タンパク質のサンプルを示し、第3ラインは、3−MA(30mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、2時間不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入したマウスの均質化肺組織から抽出された全タンパク質のサンプルを示す。抗体は、LC3およびβ−アクチンである。それは、マウスの肺組織中のLC3 II含量が不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの刺激によって増加してオートファジーが起こるのに対し、3−MAがオートファジーの発生を軽減することを証明している。
【0051】
図54は、異なる方法で処置したA549細胞におけるウエスタンブロット実験の結果を示す。左側の第1ラインは、4時間アジュバントで処置したA549細胞の溶解サンプルを示し、第2ラインは、4時間不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞の溶解サンプルを示す;抗体は、それぞれ(上から下へ)、リン酸化P38、P38およびアクチン抗体である。それは、サンプル量がほとんど同量である(アクチンが同量のサンプルを確保するための内部パラメーターとして用いられる)場合に、リン酸化P38の発現レベルが著しく増加する、すなわち、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがP38シグナル経路を活性化しうることを証明している。
【0052】
図68は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。左側の第1ラインは、4時間対照で処置したA549細胞の溶解サンプルを示し、第2ラインは、4時間ナノメートル物質PAMAM G5.5(100μg/mL)で処置したA549細胞の溶解サンプルを示し、第3ラインは、4時間ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置したA549細胞の溶解サンプルを示す;抗体は、それぞれ(上から下へ)、LC3Bおよびアクチン抗体である。それは、LC3B−IIタンパク質の発現レベルが有意に増加したことを証明している。すなわち、ナノメートル物質PAMAM G3はオートファジーを誘発する。
【0053】
図70は、異なる処置をしたA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。サンプルは、24時間対照siRNAまたはATG6 siRNAをトランスフェクトしたA549細胞の溶解サンプルである。抗体は、それぞれ(上から下へ)、ATG6およびアクチン抗体である。ウエスタンブロット実験の結果は、ATG6 siRNAがATG6遺伝子の発現を有効に阻害することを示す。
【0054】
図72は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。A549細胞は、4時間異なる種類のナノメートル物質(PAMAM)で処置した。次いで、細胞中のLC3−IIの発現レベルをウエスタンブロット法で検出した。それは、ナノメートル物質PAMAM G4、G5、G6、G7、G8すべてが細胞中のLC3−IIの発現レベルを増加させたことを示し、全てのこれらのナノメートル物質が細胞死を引き起こすためにオートファジーを誘発しうることを示唆する。
【0055】
図75は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。第1ラインは、24時間対照で処置したA549細胞の溶解サンプルを示し、第2ラインは、24時間ナノメートル物質PAMAM G5.5で処置したA549細胞の溶解サンプルを示し、第3ラインは、24時間ナノメートル物質PAMAM G3で処置したA549細胞の溶解サンプルを示す;抗体は、それぞれ(上から下へ)、2481位リン酸化mTOR抗体および全mTOR抗体である。それは、リン酸化mTORタンパク質の発現レベルが有意に減少したことを証明している。すなわち、mTOR経路を阻害する。
【0056】
図77は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。第1ラインは、24時間対照で処置したA549細胞の溶解サンプルを示し、第2ラインは、24時間ナノメートル物質PAMAM G5.5(100μg/mL)で処置したA549細胞の溶解サンプルを示し、第3ラインは、24時間ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置したA549細胞の溶解サンプルを示す;抗体は、それぞれ(上から下へ)、リン酸化S6抗体および全S6抗体である。それは、リン酸化S6タンパク質の発現レベルが有意に減少し、S6経路が阻害されることを証明している。すなわち、mTOR経路を阻害する。
【0057】
図81は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。A549細胞に対照siRNAおよびTSC2 siRNAをそれぞれトランスフェクトし、次いで、24時間ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置して、細胞の生存率をMTT法で測定した。それは、TSC2 siRNAがTSC2遺伝子の発現を有効に阻害することを示す。
【0058】
図83は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロットおよび定量分析の結果を示す。第1ラインは、24時間対照で処置したA549細胞の溶解サンプルを示し、第2ラインは、24時間ナノメートル物質PAMAM G5.5(100μg/mL)で処置したA549細胞の溶解サンプルを示し、第3ラインは、24時間ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置したA549細胞の溶解サンプルを示す;抗体は、それぞれ(上から下へ)、リン酸化Akt抗体および全Akt抗体である。それは、リン酸化Aktタンパク質の発現レベルが有意に減少することでAkt経路を阻害することを証明している。
【0059】
実施例6 ウエスタンブロットの定量分析
1)ウエスタンブロットの結果をスキャンした。
2)Quantity one−4.6.3のソフトウェアによってウエスタンブロット実験で読み込む必要があるバンドの濃度を定量化した。
3)比較する必要があるバンドの比率を計算した。
4)他の相対値を得るために対照値を1に調整した。
【0060】
実験結果は、図21、24、26、28、32、35、42、73、76、78および84に示される。
【0061】
図21は、Quantity one−4.6.3のソフトウェアを用いて図22に示される繰り返されたウエスタンブロット実験から得られたバンドの濃度を定量化した相対比の棒グラフを示す。左図は、ウエスタンブロット実験にて陰性対照で処置したA549細胞におけるLC3II対アクチン相対比を示し、右図は、ウエスタンブロット実験にて不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞におけるLC3II対アクチンの相対比を示す、比率の値を1に調整。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがLC3シグナル経路を活性化し、オートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発することを証明している。
【0062】
図24は、Quantity one−4.6.3のソフトウェアを用いて図25に示される繰り返されたウエスタンブロット実験から得られたバンドの濃度を定量化した相対比の棒グラフを示す。左図は、対照siRNAをトランクフェクトしたA549細胞におけるに対するAtg5およびAtg12の複合体対アクチンの相対比を示す、該値を1に調整。右図は、対照Atg12 siRNAをトランスフェクトしたA549細胞におけるAtg5およびAtg12の複合体対アクチン相対比を示す。それは、Atg12 siRNAがAtg5およびAtg12の複合体の相対量を効果的に減少させることを証明されている。
【0063】
図26は、Quantity one−4.6.3のソフトウェアを用いて繰り返されたウエスタンブロット実験から得られたバンドの濃度を定量化した相対比の棒グラフを示す。左図は、ウエスタンブロット実験にて陰性対照で処置したA549細胞におけるリン酸化S6対S6の相対比を示す、該値を1に調整。右図は、ウエスタンブロット実験にて不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞におけるリン酸化S6対S6の相対比を示す。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがmTORシグナル経路を阻害し、さらに、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがmTORシグナル経路の阻害を介してオートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発することを証明している。
【0064】
図28は、Quantity one−4.6.3のソフトウェアを用いて繰り返されたウエスタンブロット実験から得られたバンドの濃度を定量化した相対比の棒グラフを示す。左図は、ウエスタンブロット実験にて陰性対照で処置したA549細胞のリン酸化mTOR対mTORの相対比を示す、該値を1に調整。右図は、ウエスタンブロット実験にて不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞におけるリン酸化mTOR対mTORの相対比を示す。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがmTORシグナル経路を阻害することおよび不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがmTORシグナル経路の阻害を介してオートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発することを証明している。
【0065】
図32は、Quantity one−4.6.3のソフトウェアを用いて図25に示される繰り返されたウエスタンブロット実験から得られたバンドの濃度を定量化した相対比の棒グラフを示す。左図は、対照siRNAをトランスフェクトしたA549細胞におけるTSC2対アクチンの相対比を示す、該比率の値を1に調整。右図は、TSC2 siRNAをトランスフェクトしたA549細胞におけるTSC2対アクチンの相対比を示す。それは、TSC2 siRNAがTSC2の発現レベルを有意に減少しうることを証明している。
【0066】
図35は、Quantity one−4.6.3のソフトウェアを用いて繰り返されたウエスタンブロット実験から得られたバンドの濃度を定量化した相対比の棒グラフを示す。左図は、ウエスタンブロット結果における陰性対照で処置したA549細胞におけるリン酸化Akt対Aktの相対比を示す、該比率の値を1に調整。右図は、ウエスタンブロット結果における不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞におけるリン酸化Akt対Aktの相対比を示す。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがAktシグナル経路を阻害しうることを証明している。
【0067】
図42は、Quantity one−4.6.3のソフトウェアを用いて繰り返されたウエスタンブロット実験から得られたバンドの濃度を定量化した相対比の棒グラフを示す。LC3 II対β−アクチンの相対比は、図42に示されるバンドの濃度に相当する。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルス刺激によってマウスの肺組織におけるLC3 II含量が増加してオートファジーを引き起こすのに対し、3−MAはオートファジーの発生を軽減することを証明している。
【0068】
図73は、Quantity one−4.6.3のソフトウェアを用いて図75に示されるウエスタンブロット実験から得られたバンドの濃度で定量化した相対比の棒グラフを示す。それらは、連続して、陰性対照、G5.5、G4、G6、G7およびG8で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験におけるLC3II対アクチンの相対比を示す、対照値を1に調整。他のグループの値は、対照値で割った。それは、G4、G5、G6、G7およびG8がLC3シグナル経路を活性化し、オートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発しうることを証明している。
【0069】
図76は、Quantity one−4.6.3のソフトウェアを用いて図78に示されるウエスタンブロット実験から得られたバンドの濃度を定量化した相対比の棒グラフを示す。それは、連続して、対照、G5.5(100μg/mL)、およびG3(100μg/mL)で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験におけるリン酸化mTOR対mTORタンパク質の相対比を示す、対照値を1に調整。他のグループの値は、対照値で割った。それは、G3がmTORシグナル経路を阻害し、オートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発しうることを証明している。
【0070】
図78は、Quantity one−4.6.3のソフトウェアを用いて図80に示されるウエスタンブロット実験から得られたバンドの濃度を定量化した相対比の棒グラフを示す。それらは、連続して、陰性対照、G5.5(100μg/mL)、およびG3(100μg/mL)で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験におけるリン酸化S6対S6タンパク質の相対比を示す、対照値を1に調整。他のグループの値は対照値で割った。それは、G3がS6の活性化を阻害しうる、すなわち、G3がmTORシグナル経路を阻害し、オートファジー(II型細胞アポトーシス)を引き起こしうることを証明している。
【0071】
図84は、Quantity one−4.6.3のソフトウェアを用いて図86に示されるウエスタンブロット実験から得られるバンドの濃度を定量化した相対比の棒グラフを示す。それらは、連続して、陰性対照、G5.5(100μg/mL)、およびG3(100μg/mL)で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験におけるリン酸化akt対aktタンパク質の相対比を示す、対照値を1に調整。他のグループの値は対照値で割った。それは、G3がaktシグナル経路の活性化を阻害しうることを証明している。
【0072】
実施例7 一定の発現細胞株の構築
(1)約10μgの組換えプラスミドを制限エンドヌクレアーゼAvrII(NEW ENGLAND BioLabs(登録商標) Inc,USAから購入)で消化した。プラスミドを完全に消化したことを測定するために、少量の酵素消化された生成物を電気泳動に付した。残存した酵素消化された生成物を精製用キット(V−Geneから購入)によって精製し、DNAを回収し、その中の酵素およびタンパク質などを除去した。
(2)細胞をトリプシンで消化し、培地にトランスフェクトし、単細胞に分注した。2x105細胞を6ウェル細胞培養プレートの各ウェルに分注した。
(3)24時間後、キットによって提供される操作方法にしたがってリポソーム(lipofectamineTM 2000,Invitrogen TMから購入)を用いて、水(陰性対照)および0.5μgの精製されたDNAをそれぞれ、プラスミドにトランスフェクトした。
(4)48時間後、細胞を12ウェル細胞培養プレートに分注し(6ウェル細胞培養プレートの各ウェルの細胞を、12ウェル細胞培養プレートの4つのウェルに同等に分注し)、異なる濃度の薬物(プロマイシン)(CALBIOCHEM(登録商標) CLONTECHから購入)をスクリーニングのために濃度にしたがって加え、挿入されたDNAを含まない細胞を殺した。
(5)72時間後、いくつかのウェルの細胞(適当な濃度の薬物に相当)を、すべての陰性対照細胞を殺し、まだ生存していたDNAをトランスフェクトした細胞の中から、選択した。ウェル中の個々の細胞を、制限された希釈法によって96ウェル細胞培養プレートに分注した。
(6)約10日後、細胞クローンを得、ELISAおよびウエスタンブロット法によって測定した。
【0073】
遺伝子の正確な発現を測定するために、分子量をウエスタンブロット法によって測定した。タンパク質の濃度をELISAキットによって測定し、高度に発現した細胞株を選択した。
【0074】
実施例8 ELISA法による融合タンパク質の発現レベルの測定
タンパク質の濃度をELISA法によって測定した。ELISAに用いられる物質は、BD Biosciencesから購入したBD Pharmingen(商標) ELISAキットであった。
【0075】
実施例9 タンパク質の精製
H5Fcタンパク質を、AmershamのプロテインAタンパク質カラム(Amersham Biosciences AB,Sweden;CAT番号:17−04020−03)によって精製した。
一定の発現細胞株を回収し、培養した。
【0076】
透析:回収した培地を透析した。透析液の成分:11.54mM/L Na2HPO4、8.46mM/L NaH2PO4(Beijing Chemical Factory,China)、1mM EDTA(Promega U.S.A)、pH7.0。一般的には、透析時間は8時間以上であり、透析液の容量は上清の少なくとも20倍であった。
濾過:透析液を濾過した。用いた濾膜はMilliporeによって製造された0.45μmのDuraporeメンブレンフィルター(Millipore,Ireland;CAT番号:HVLP04700)であった。
精製:Amershamが提供する生成物説明書のプロトコールにしたがって精製工程を行い、用いたデバイスはBio−Rad(Bio−Rad,U.S.A)によって製造されたEcono Gradient Pump Kitであった。
【0077】
精製されたタンパク質サンプルを、ウエスタンブロットおよびクマシーブリリアントブルーのSDSポリアクリルアミドゲル染色によって同定した。タンパク質濃度をローリー法によって測定した(ローリーキットはTianxiang Bonding Companyから入手可能、CAT番号:TB090−1)。
【0078】
精製して得られたH5Fcタンパク質をTEV酵素で消化し、精製されたH5タンパク質を得るために再度プロテインAカラムに通した。
【0079】
実験結果は図3に示される。
図3は、クマシーブリリアントブルー(CBB)によって染色された、精製H5Fc融合タンパク質およびH5タンパク質のポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果を示す。それは、十分に精製された融合タンパク質H5FcおよびH5タンパク質が得られうることを証明している。精製されたH5Fcタンパク質をTEV酵素で切断し、次いで、アフィニティークロマトグラフィーに付して、約80KDの分子量を有する精製されたH5タンパク質が得られうる。
【0080】
実施例10 電子顕微鏡試料の調製および観察
1.Hela細胞およびA549細胞のオートファジー(II型細胞アポトーシス)の誘発に対する不活化鳥インフルエンザウイルスの効果
1)細胞数が2×105以上である、対数増殖期のHela細胞およびA549細胞を、6cm−プレート上に別々に分注した。
2)24時間後、MOI10のウイルス力価を有する不活化鳥インフルエンザウイルスを加えた。同量の免疫学的アジュバントは陰性対照として用いた。
3)ウイルス効果の4時間後、消化された細胞をEP管に回収した。細胞を一時静止し、次いで、800gで5分間遠心分離した。
4)上清をできるだけ除去し、次いで、新たに調製された2.5%グルタルアルデヒドを管壁に沿って徐々に加え、4℃にて保存した。
5)リン酸バッファーで3回繰り返し洗浄した。
6)1%オスミウム酸(OsO4)溶液で1時間固定した。
7)ddH2Oで3回洗浄した。
8)勾配アセトン(50%、70%、80%、90%および100%で1回、各10分間、次いで、100%アセトンで2回処理、各1時間)で脱水した。
9)1:1の812樹脂およびアセトン包埋剤で2時間包埋し、浸透させ、次いで、100%812樹脂で4時間浸透させた。
10)37℃にて12時間、45℃にて12時間、および60℃にて24時間重合した。
11)そのブロックを修復し、配置して、次いで、切片にスライスした。
12)染色:酢酸ナトリウムエトキシドで5〜10分間染色し、クエン酸鉛で10分間染色した。
13)観察および撮影した。
14)観察および計数のために少なくとも100細胞を無作為に選択した。細胞中に典型的なオートファゴソームがないかまたは一つのみである場合には、オートファジー陰性と定義した;細胞中にオートファゴソームが2つ以上ある場合には、オートファジー陽性と定義した。
【0081】
実験結果は、図4A、4B、4C、5A、5B、5C、6A、6B、6C、9A、9Bおよび9Cに示される。
【0082】
図4は、異なる方法で処置したHela細胞の電子顕微鏡写真(20000倍)および電子顕微鏡下にて観察されたオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間アジュバントで処置したHela細胞の電子顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間H5N1型鳥インフルエンザ不活化ウイルスで処置したHela細胞の電子顕微鏡写真を示し、矢印はオートファゴソームを示す。図Cは、上記2つの条件下でのオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴うHela細胞%の棒グラフを示す。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの効果でHela細胞のオートファジーが起こることを証明している。
【0083】
図5は、異なる方法で処置したHela細胞の電子顕微鏡写真(20000倍)および電子顕微鏡下にて観察されたオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間アジュバントで処置したHela細胞の電子顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間不活化H5N2型鳥インフルエンザウイルスで処置したHela細胞の電子顕微鏡写真を示し、矢印はオートファゴソームを示す。図Cは、上記2つの条件下でのオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴うHela細胞%の棒グラフを示す。それは、不活化H5N2型鳥インフルエンザウイルスの効果でHela細胞のオートファジーが起こることを証明している。
【0084】
図6は、異なる方法で処置したHela細胞の電子顕微鏡写真(20000倍)および電子顕微鏡下にて観察されたオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間アジュバントで処置したHela細胞の電子顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間不活化H9N2型鳥インフルエンザウイルスで処置したHela細胞の電子顕微鏡写真を示し、矢印はオートファゴソームを示す。図Cは、上記2つの条件下でのオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴うHela細胞%の棒グラフを示す。それは、不活化H9N2型鳥インフルエンザウイルスの効果でHela細胞のオートファジーが起こることを証明している。
【0085】
図9は、異なる方法で処置したA549細胞の電子顕微鏡写真(20000倍)および電子顕微鏡下にて観察されたオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間トリ將尿液で処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示し、矢印はオートファゴソームを示す。図Cは、上記の2つの条件下でのオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴うA549細胞%の棒グラフを示す。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの効果でA549細胞のオートファジーが起こることを証明している。
【0086】
2.Hela細胞およびA549細胞のオートファジー(II型細胞アポトーシス)の誘発に対する組換えH5タンパク質の効果
1)細胞数が2×105以上である、対数増殖期のHela細胞およびA549細胞を6cm−プレートに別々に分注した。
2)24時間後、0.5mM H5タンパク質を加えた。同量のBSAを陰性対照として用いた。
3)処置の4時間後、消化された細胞をEP管に回収した。細胞を一時静止し、次いで、800gで5分間遠心分離した。
4)上清をできるだけ除去し、次いで、新たに調製された2.5%グルタルアルデヒドを管壁に沿って徐々に加え、4℃にて保存した。
5)リン酸バッファーで3回繰り返し洗浄した。
6)1%オスミウム酸(OsO4)溶液で1時間固定した。
7)ddH2Oで3回洗浄した。
8)勾配アセトン(50%、70%、80%、90%および100%で1回、各10分間、次いで、100%アセトンで2回処理、各1時間)で脱水した。
9)1:1の812樹脂およびアセトン包埋剤で2時間包埋し、浸透させ、次いで、100%812樹脂で4時間浸透させた。
10)37℃にて12時間、45℃にて12時間、および60℃にて24時間重合した。
11)そのブロックを修復し、配置して、次いで、切片にスライスした。
12)染色:酢酸ナトリウムエトキシドで5〜10分間染色し、クエン酸鉛で10分間染色した。
13)観察および撮影した。
14)観察および計数のために少なくとも100細胞を無作為に選択した。細胞中に典型的なオートファゴソームがないかまたは一つのみである場合には、オートファジー陰性と定義した;細胞中にオートファゴソームが2つ以上ある場合には、オートファジー陽性と定義した。
【0087】
実験結果は、図7A、7B、7C、10A、10Bおよび10Cに示される
【0088】
図7は、異なる方法で処置したHela細胞の電子顕微鏡写真(20000倍)および電子顕微鏡下にて観察されたオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間BSAタンパク質で処置したHela細胞の電子顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間H5タンパク質で処置したHela細胞の電子顕微鏡写真を示し、矢印はオートファゴソームを示す。図Cは、上記の2つの条件下でのオートファジー(II型PCD)を伴うHela細胞%の棒グラフを示す。それは、H5タンパク質の効果でHela細胞のオートファジーが起こることを証明し、また、発現したH5タンパク質が生物活性を有することを証明している。
【0089】
図10は、異なる方法で処置したA549細胞の電子顕微鏡写真(20000倍)および電子顕微鏡下にて観察されたオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間BSAで処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間H5タンパク質で処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示し、矢印はオートファゴソームを示す。図Cは、上記の2つの条件下でのオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴うA549細胞%の棒グラフを示す。それは、H5タンパク質の効果でA549細胞のオートファジーが起こることを証明し、また、発現したH5タンパク質が生物活性を有することを証明している。
【0090】
3.Hela細胞およびA549細胞のオートファジー(II型細胞アポトーシス)の誘発に対する陽性対照の効果
1)細胞数が2×105以上である、対数増殖期のHela細胞およびA549細胞を6cm−プレートに別々に分注した。
2)24時間後、5μMラパマイシンを加えた。同量のDMSOを陰性対照として用いた。
3)処置の4時間後、消化された細胞をEP管に回収した。細胞を一時静止し、次いで、800gで5分間遠心分離した。
4)上清をできるだけ除去し、次いで、新たに調製された2.5%グルタルアルデヒドを管壁に沿って徐々に加え、4℃にて保存した。
5)リン酸バッファーで3回繰り返し洗浄した。
6)1%オスミウム酸(OsO4)溶液で1時間固定した。
7)ddH2Oで3回洗浄した。
8)勾配アセトン(50%、70%、80%、90%および100%で1回、各10分間、次いで、100%アセトンで2回処理、各1時間)で脱水した。
9)1:1の812樹脂およびアセトン包埋剤で2時間包埋し、浸透させ、次いで、100%812樹脂で4時間浸透させた。
10)37℃にて12時間、45℃にて12時間、および60℃にて24時間重合した。
11)そのブロックを修復し、配置して、次いで、切片にスライスした。
12)染色:酢酸ナトリウムエトキシドで5〜10分間染色し、クエン酸鉛で10分間染色した。
13)観察および撮影した。
14)観察および計数のために少なくとも100細胞を無作為に選択した。細胞中に典型的なオートファゴソームがないかまたは一つのみである場合には、オートファジー陰性と定義した;細胞中にオートファゴソームが2つ以上ある場合には、オートファジー陽性と定義した。
【0091】
実験結果は、図8A、8B、8C、11A、11Bおよび11Cに示される。
【0092】
図8は、異なる方法で処置したHela細胞の電子顕微鏡写真(20000倍)および電子顕微鏡下にて観察されたオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間DMSOで処置したHela細胞の電子顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間5μMラパマイシンで処置したHela細胞の電子顕微鏡写真を示し、矢印はオートファゴソームを示す。図Cは、上記の2つの条件下でのオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴うHela細胞%の棒グラフを示す。ラパマイシンがオートファジーの発生をもたらすことは文献から既知でありうるので、陽性対照としてラパマイシンを用いる、実験方法は正確かつ有効なものであることが証明される。
【0093】
図11は、異なる方法で処置したA549細胞の電子顕微鏡写真(20000倍)および電子顕微鏡下にて観察されたオートファジー(II型細胞)を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間DMSOで処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間5μMラパマイシンで処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示し、矢印はオートファゴソームを示す。図Cは、上記の2つの条件下でのオートファジー(II型細胞アポトーシス)のA549細胞の%の棒グラフを示す。ラパマイシンがオートファジーの発生をもたらすことは文献から既知でありうるので、陽性対照としてラパマイシンを用いる、実験方法は正確かつ有効なものであることが証明される。
【0094】
4.鳥インフルエンザウイルスによって誘発されるオートファジー(II型細胞アポトーシス)に対する薬物の予防効果および処置効果の測定
1)細胞数が2×105以上である、対数増殖期のA549細胞を6cm−プレートに別々に分注した。
2)24時間後、薬物SB203580を加え、1時間処置した。
3)MOI10のウイルス力価を有する不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを加え、同量のトリ將尿液を陰性対照として用いた。
4)ウイルス効果の4時間後、消化された細胞をEP管に回収した。細胞を一時静止し、次いで、800gで5分間遠心分離した。
5)上清をできるだけ除去し、次いで、新たに調製された2.5%グルタルアルデヒドを管壁に沿って徐々に加え、4℃にて保存した。
6)リン酸バッファーで3回繰り返し洗浄した。
7)1%オスミウム酸(OsO4)溶液で1時間固定した。
8)ddH2Oで3回洗浄した。
9)勾配アセトン(50%、70%、80%、90%および100%で1回、各10分間、次いで、100%アセトンで2回処理、各1時間)で脱水した。
10)1:1の812樹脂およびアセトン包埋剤で2時間包埋し、浸透させ、次いで、100%812樹脂で4時間浸透させた。
11)37℃にて12時間、45℃にて12時間、および60℃にて24時間重合した。
12)そのブロックを修復し、配置して、次いで、切片にスライスした。
13)染色:酢酸ナトリウムエトキシドで5〜10分間染色し、クエン酸鉛で10分間染色した。
14)観察および撮影した。
15)観察および計数のために少なくとも100細胞を無作為に選択した。細胞中に典型的なオートファゴソームがないかまたは一つのみである場合には、オートファジー陰性と定義した;細胞中にオートファゴソームが2つ以上ある場合には、オートファジー陽性と定義した。
【0095】
実験結果は、図52、52B、52Cおよび53に示される。
【0096】
図52は、異なる方法で処置したA549細胞の電子顕微鏡写真(20000倍)を示す。図Aの最初の写真は、4時間アジュバントで処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示し、図Cは、1時間P38経路の特異的阻害薬、SB203580で前処置し、次いで、4時間不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示す。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの効果でA549細胞のオートファジーが起こったのに対し、P38経路の特異的阻害薬、SB203580がオートファジーを減少させたことを証明している。
【0097】
図53は、電子顕微鏡下にて観察された種々の処置を行ったオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴うA549細胞%の棒グラフを示す。左側の第一グラフは、4時間アジュバントで処置したオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴うA549細胞%を示し、第2グラフは、4時間不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴うA549細胞%を示し、第3グラフは、1時間P38経路の特異的阻害薬、SB203580で処置し、次いで、4時間不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴うA549細胞%を示す。結果は、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスのみで処置したオートファジーを伴うA549細胞の比率が24.3%であることを示す;P38経路の阻害薬、SB203580で処置した後に不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置すると、オートファジーを伴うA549細胞の比率は7.73%である。2つのケースの間には有意な違いがある。結果は、P38経路の阻害薬、SB203580が不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発されるオートファジーの発生を効果的に阻害しうることを証明している。
【0098】
4.ナノメートル物質によって誘発されるオートファジー(II型細胞アポトーシス)に対する薬物の予防効果および処置効果の測定
1)細胞数が2×105以上である、対数増殖期のA549細胞を6cm−プレートに別々に分注した。
2)24時間後、薬物3−MAを加え、1時間処置した。
3)ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)、PAMAM G5.5(100μg/mL)および陰性対照として機能する溶媒PBSを加えた。
4)作用の24時間後、消化された細胞をEP管に回収した。細胞を一時静止し、次いで、800gで5分間遠心分離した。
5)上清をできるだけ除去し、次いで、新たに調製された2.5%グルタルアルデヒドを管壁に沿って徐々に加え、4℃にて保存した。
6)リン酸バッファーで3回繰り返し洗浄した。
7)1%オスミウム酸(OsO4)溶液で1時間固定した。
8)ddH2Oで3回洗浄した。
9)勾配アセトン(50%、70%、80%、90%および100%で1回、各10分間、次いで、100%アセトンで2回処理、各1時間)で脱水した。
10)1:1の812樹脂およびアセトン包埋剤で2時間包埋し、浸透させ、次いで、100%812樹脂で4時間浸透させた。
11)37℃にて12時間、45℃にて12時間、および60℃にて24時間重合した。
12)そのブロックを修復し、配置して、次いで、切片にスライスした。
13)染色:酢酸ナトリウムエトキシドで5〜10分間染色し、クエン酸鉛で10分間染色した。
14)観察および撮影した。
15)観察および計数のために少なくとも100細胞を無作為に選択した。細胞中に典型的なオートファゴソームがないかまたは一つのみである場合には、オートファジー陰性と定義した;細胞中にオートファゴソームが2つ以上ある場合には、オートファジー陽性と定義した。
【0099】
実験結果は、図64A、64B、64C、64Dおよび65に示される。
【0100】
図64は、異なる方法で処置したA549細胞の電子顕微鏡写真(20000倍)を示す。図Aは、24時間対照で処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示す。図Bは、24時間ナノメートル物質PAMAM G5.5(100μg/mL)で処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示す。図Cは、24時間ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示す。図Dは、1時間3−MA(10mM)で処置し、次いで、24時間ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示す。Aナノメートル物質PAMAM G5の効果で549細胞のオートファジーが起こり、オートファジーによって誘発される細胞死は3−MAによって軽減されうることを証明している。
【0101】
図65は、オートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴うA549細胞%の棒グラフを示す。オートファジーの発生後の細胞の典型的な特徴は、オートファゴソームの出現である。100個のランダム細胞当たり2以上のオートファゴソームを有する細胞%を算出した。3−MAがナノメートル物質PAMAM G3によって誘発されるオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴う細胞%を減少させたことは明らかである。すなわち、3−MAはオートファジー(II型細胞アポトーシス)を処置または軽減しうる。
【0102】
5.マウスの肺上皮細胞のオートファジー(II型細胞アポトーシス)の誘発に対する不活化鳥インフルエンザウイルスの効果
1)4−6週齢のBalb/cマウスを選択し、無作為に分類した。1%ペントバルビタールナトリウムでマウスを麻酔した。
2)マウスの気管カニューレの手術を行った。
3)マウスにトリ將尿液または不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入した。
4)ウイルス作用の2時間後、マウスを殺し、肺を摘出した。
5)PBSで洗浄し、すぐに新たに調製された2.5%グルタルアルデヒドを肺に加え、肺を保存した。
6)リン酸バッファーで3回繰り返し洗浄した。
7)1%オスミウム酸(OsO4)溶液で1時間固定した。
8)ddH2Oで3回洗浄した。
9)勾配アセトン(50%、70%、80%、90%および100%で1回、各10分間、次いで、100%アセトンで2回処理、各1時間)で脱水した。
10)1:1の812樹脂およびアセトン包埋剤で2時間包埋し、浸透させ、次いで、100%812樹脂で4時間浸透させた。
11)37℃にて12時間、45℃にて12時間、および60℃にて24時間重合した。
12)そのブロックを修復し、配置して、次いで、切片にスライスした。
13)染色:酢酸ナトリウムエトキシドで5〜10分間染色し、クエン酸鉛で10分間染色した。
14)観察および撮影した。
15)観察および計数のために少なくとも100細胞を無作為に選択した。細胞中に典型的なオートファゴソームがないかまたは一つのみである場合には、オートファジー陰性と定義した;細胞中にオートファゴソームが2つ以上ある場合には、オートファジー陽性と定義した。
【0103】
実験結果は、図36A、36B、36Cおよび36Dに示される。
【0104】
図36は、トリ將尿液または不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを注入したマウスの肺組織の電子顕微鏡写真を示す。図Aは、トリ將尿液を注入した肺組織の電子顕微鏡写真を示す;図Bは、Aの白線ボックスに示される位置の部分的に拡大した図を示す。より完全な細胞が観察されたが、オートファゴソームは観察されなかった;図Cは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを注入した肺組織の電子顕微鏡写真を示す;図Dは、Aの白線ボックスに示される位置の部分的に拡大した図を示す。より完全な細胞が観察された。細胞中のオートファゴソームが観察された(矢印によって表される)。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスが肺組織のオートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発しうることを証明している。
【0105】
実施例11 共焦点レーザー顕微鏡試料の調製および観察
1.鳥インフルエンザウイルスによって誘発されるLC3凝集
Hela細胞またはA549細胞を、不活化H5N1型、H5N2型、H9N2型鳥インフルエンザウイルス、H5タンパク質および陽性薬物ラパマイシンで4時間処置した。LC3凝集の変化を観察した。
【0106】
1)24ウェル細胞培養プレートに殺菌カバーガラムを配置し、次いで、対数増殖期のHela細胞またはA549細胞を注入した。
2)24時間後、リポソームと一緒にEGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトした。
3)72時間後、不活化H5N1型、H5N2型、H9N2型鳥インフルエンザウイルス、H5タンパク質および対応する陰性対照ならびに陽性対照(5μMラパマイシン)を加えた。
4)37℃にて4時間インキュベートした後、細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定し、カバーガラスを取り出し、それをシール剤が剥がれたスライドガラスに配置した。細胞を共焦点レーザー顕微鏡下にて観察した(Leica TCS PS2)。
5)観察するために100個の細胞を無作為に選択した。20以上の鮮緑色スポットを有する細胞を陽性と定義し、20未満の鮮緑色スポットを有する細胞を陰性と定義した。
【0107】
実験結果は、図12、13、14、16、17、18および19に示される。
【0108】
図12は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、異なる方法で処置したHela細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真(1000倍)およびEGFP−LC3凝集を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間アジュバントで処置したHela細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したHela細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真を示す。図Cは、上記の2つの条件下でのEGFP−LC3凝集を伴うHela細胞%の棒グラフを示す。オートファジーの発生後の細胞の典型的な特徴は、LC3(ATG8)分子が凝集して、オートファゴソームを形成することである。細胞でオートファジーが起こると、EGFPで標識化されたLC3分子が凝集し、強く放出された緑色発光が共焦点顕微鏡で観察されうる;一方、オートファジーを伴わない細胞については、緑色発光が分散するかまたはほんの少しだけ凝集しうる。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの効果でHela細胞のオートファジーが起こることを証明している。
【0109】
図13は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、異なる方法で処置したHela細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真(1000倍)およびEGFP−LC3凝集を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間アジュバントで処置したHela細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間不活化H5N2型鳥インフルエンザウイルスで処置したHela細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真を示し、図Cは、上記の2つの条件下でのEGFP−LC3凝集を伴うHela細胞%の棒グラフを示す。それは、不活化H5N2型鳥インフルエンザウイルスの効果でHela細胞のオートファジーが起こることを証明している。
【0110】
図14は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、異なる方法で処置したHela細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真(1000倍)およびEGFP−LC3凝集を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間アジュバントで処置したHela細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間不活化H9N2型鳥インフルエンザウイルスで処置したHela細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真を示す。図Cは、上記の2つの条件下でのEGFP−LC3凝集を伴う細胞%の棒グラフを示す。それは、不活化H9N2型鳥インフルエンザウイルスの効果でHela細胞のオートファジーが起こることを証明している。
【0111】
図16は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、次いで、異なる方法で処置したHela細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真(1000倍)およびEGFP−LC3凝集を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間DMSOで処置したHela細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間ラパマイシンで処置したHela細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Cは、上記の2つの条件下でのEGFP−LC3凝集を伴うHela細胞%の棒グラフを示す。ラパマイシンがオートファジーの発生をもたらすことは文献から既知であるので、陽性対照としてラパマイシンを用いる、実験方法は正確かつ有効なものであることが証明される。
【0112】
図17は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、次いで、異なる方法で処置したA549細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真(1000倍)およびEGFP−LC3凝集を伴うHela細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間陰性対照、トリ將尿液で処置したA549細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Cは、上記の2つの条件下でのEGFP−LC3凝集を伴うA549細胞%の棒グラフを示す。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの効果でA549細胞のオートファジーが起こることを証明している。
【0113】
図18は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、次いで、異なる方法で処置したA549細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真(1000倍)およびEGFP−LC3凝集を伴うHela細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間BSAで処置したA549細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間H5タンパク質で処置したA549細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Cは、上記の2つの条件下でのEGFP−LC3凝集を伴うA549細胞%の棒グラフを示す。それは、H5タンパク質の効果でA549細胞のオートファジーが起こることを証明し、また、発現したH5タンパク質が生理活性を有することを証明している。
【0114】
図19は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、次いで、異なる方法で処置したA549細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真(1000倍)およびEGFP−LC3凝集を伴うHela細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間DMSOで処置したA549細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間ラパマイシンで処置したA549細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Cは、上記の2つの条件下でのEGFP−LC3凝集を伴うA549細胞%の棒グラフを示す。ラパマイシンがオートファジーの発生をもたらすことは文献から既知であるので、陽性対照としてラパマイシンを用いる、実験方法は正確かつ有効なものであることが証明される。
【0115】
2.鳥インフルエンザウイルスまたはナノメートル物質PAMAMによって誘発されるLC3凝集の阻害に対するTSC2 siRNAの効果
1)24ウェル細胞培養プレートに殺菌カバーガラムを配置し、次いで、対数増殖期のHela細胞またはA549細胞を注入した。
2)24時間後、リポソームにEGFP−LC3プラスミド、TSC2 siRNAおよび対照siRNAをトランスフェクトした。
3)48時間後、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスまたはナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)を加えた。
4)37℃にて4時間(不活化鳥インフルエンザウイルス)または24時間(物質PAMAM G3)インキュベートした後、細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定し、カバーガラムを取り出し、それをシール剤が剥がれたスライドガラスに配置した。細胞を共焦点レーザー顕微鏡下にて観察した(Leica TCS PS2)。
5)観察するために100個の細胞を無作為に選択した。20以上の鮮緑色スポットを有する細胞を陽性と定義し、20未満の鮮緑色スポットを有する細胞を陰性と定義した。
【0116】
実験結果は、図29A、29B、30、79A、79Bおよび80に示される。
【0117】
図29は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、次いで、異なる方法で処置したA549細胞の共焦点レーザー顕微鏡下写真(1000倍)を示す。図Aは、陰性対照siRNAをトランスフェクトし、次いで、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Bは、TSC2 siRNAをトランスフェクトし、次いで、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。TSC2 siRNAをトランスフェクトした後、EGFP−LC3凝集を伴う細胞は減少し、それは、TSC2 siRNAが不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発されるオートファジー(II型細胞アポトーシス)を阻害することを証明している。
【0118】
図30は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、次いで、異なる方法で処置したA549細胞中のEGFP−LC3凝集を伴う細胞%の棒グラフを示す。左図は、陰性対照siRNAをトランスフェクトし、次いで、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞におけるEGFP−LC3凝集を伴う細胞%を示し、右図は、TSC2 siRNAをトランスフェクトし、次いで、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞におけるEGFP−LC3凝集を伴う細胞%を示す。それは、TSC2 siRNAが不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発されるオートファジー(II型細胞アポトーシス)を阻害することを証明している。
【0119】
図79は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、次いで、異なる方法で処置したA549細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真(1000倍)を示す。図Aは、24時間対照siRNAで処置し、次いで、ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置した細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Bは、24時間TSC2 siRNAで処置し、次いで、ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置した細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。
【0120】
図80は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトしたA549細胞を異なる方法で処置した後の、EGFP−LC3凝集を伴う細胞%を示す。図Aは、A549細胞に陰性対照siRNAをトランスフェクトし、次いで、PAMAM G3(100μg/mL)で処置した後の、EGFP−LC3凝集を伴う細胞%を示し、図Bは、A549細胞にTSC2 siRNAをトランスフェクトし、次いで、PAMAM G3(100μg/mL)を処置した後の、EGFP−LC3凝集を伴う細胞%を示す。それは、TSC2 siRNAがPAMAM G(100μg/mL)によって誘発されるオートファジー(II型細胞アポトーシス)を阻害しうることを証明している。
【0121】
3.ナノメートル物質PAMAMによって誘発されるLC3凝集の阻害に対する3−MAの効果
1)24ウェル細胞培養プレートに殺菌カバーガラムを配置し、次いで、対数増殖期のHela細胞またはA549細胞を注入した。
2)24時間後、リポソームにEGFP−LC3プラスミド、TSC2 siRNAおよび対照siRNAをトランスフェクトした。
3)48時間後、陰性対照、ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)、ナノメートル物質PAMAM G5.5(100μg/mL)を加え、1時間3−MA(10mM)で前処理した後にナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)を加えた。
4)37℃にて4時間インキュベートした後、細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定し、カバーガラムを取り出し、それをシール剤が剥がれたスライドガラスに配置した。細胞を共焦点レーザー顕微鏡下にて観察した(Leica TCS PS2)。
5)観察するために100個の細胞を無作為に選択した。20以上の鮮緑色スポットを有する細胞を陽性と定義し、20未満の鮮緑色スポットを有する細胞を陰性と定義した。
【0122】
実験結果は、図66A、66B、66C、66Dおよび67に示される。
【0123】
図66は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、次いで、異なる方法で処置したA549細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真(1000倍)を示す。図Aは、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、次いで、24時間対照で処置したA549細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Bは、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、次いで、24時間ナノメートル物質PAMAM G5.5(100μg/mL)で処置したA549細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Cは、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、次いで、24時間ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置したA549細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Dは、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、3−MA(10mM)で処置し、次いで、24時間PAMAM G3(100μg/mL)で処置したA549細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。
【0124】
図67は、上記の条件下でのEGFP−LC3凝集を伴う細胞%の棒グラフを示す。オートファジーの発生後の細胞の典型的な特徴は、LC3(ATG8)分子を凝集してオートファゴソームを形成することである。LC3分子をEGFPで標識化した。細胞にオートファジーが起こった場合には、LC3分子が凝集して、強く発光する緑色蛍光が共焦点顕微鏡下にて観察されうる。しかしながら、細胞にオートファジーが起こらなかった場合には、緑色蛍光は分散するかまたはほんの少しだけ凝集する。それは、ナノメートル物質PAMAM G3の効果でA549細胞のオートファジーが起こり、オートファジーによって誘発される細胞死が3−MAによって軽減されうることを証明している。
【0125】
実施例12 siRNAの合成
実験結果で用いられたsiRNAを、RiBo Biotechnologyによって合成した。
【0126】
図29、30、31、32および33に示される実験結果で用いられたsiRNAの配列は以下のとおりである:
TSC2 siRNA:5’ GGGACAUUCUGCUGAACAU dTdT 3’/3’ dTdT CCCUGUAAGACGACUUGUA 5’(配列番号:2、3)
【0127】
図46、47および48に示される実験結果で用いられたsiRNAの配列は以下のとおりである:
Atg5 siRNA:5’ ACCGGAAACUCAUGGAAUA dTdT 3’/3’ dTdT UGGCCUUUGAGUACCUUAU 5’(配列番号:4、5)
【0128】
図70および71に示される実験結果で用いられたsiRNAの配列は以下のとおりである:
Atg6 siRNA:5’ CAGUUUGGCACAAUCAAUA dTdT 3’/3’ dTdT GUCAAACCGUGUUAGUUAU 5’(配列番号:6、7)
【0129】
図22、23および24に示される実験結果で用いられたsiRNAの配列は以下のとおりである:
ATG12 siRNA:5’ GCAGUAGAGCGAACACGAA dTdT 3’/3’ dTdT CGUCAUCUCGCUUGUGCUU 5’(配列番号:8、9)
【0130】
図81および82に示される実験結果で用いられたsiRNAの配列は以下のとおりである:
TSC2 siRNA:5’ CCAUCAAGGGCCAGUUCAA dTdT 3’/3’ dTdT GGUAGUUCCCGGUCAAGUU 5’(配列番号:10、11)
【0131】
図79および80の実験結果で用いられたsiRNAは、Santa Cruz Biotechnologyから購入した。
【0132】
実施例13 細胞の遺伝子発現におけるsiRNAの障害
A549細胞は、対応する遺伝子の発現を阻害するために異なる遺伝子を標的とするsiRNAをトランスフェクトした。
1)対数増殖期のA549細胞を24ウェルプレートに分注した。
2)24時間後、A549細胞にsiRNA(50nM)をトランスフェクトした。
3)48時間後、A549細胞を不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスまたはナノメートル物質で処置した。
4)2〜8時間後、細胞を溶解し、ウエスタンブロットによって溶解を測定した。
【0133】
実験結果は、図23、31、70および81に示される。
【0134】
図23は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。左側ラインは、対照siRNAをトランスフェクトし、次いで、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞の溶解サンプルであり、右側ラインは、対照Atg12 siRNAをトランスフェクトし、次いで、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞の溶解サンプルである;抗体は、それぞれ(上から下へ)、Atg12およびアクチン抗体である。Atg5およびAtg12は細胞内で複合体を形成してオートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発するため、検出された結果は、アクチンに対するAtg5およびAtg12の複合体の相対量で示す。それは、Atg12 siRNAがAtg5およびAtg12の複合体の相対量を効果的に減少させることを証明している。
【0135】
図31は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。対照siRNAおよびTSC2 siRNAをそれぞれトランスフェクトしたA549細胞のサンプルは、トランスフェクションの48時間後に溶解した;抗体は、それぞれ(上から下へ)、TSC2およびアクチン抗体である。それは、TSC2 siRNAがTSC2の発現レベルを有意に減少しうることを証明している。
【0136】
図70は、異なる処置をしたA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。サンプルは、24時間対照siRNAまたはATG6 siRNAをトランスフェクトしたA549細胞の溶解サンプルである。抗体は、それぞれ(上から下へ)、ATG6およびアクチン抗体である。ウエスタンブロット実験の結果は、ATG6 siRNAがATG6遺伝子の発現を有効に阻害することを示す。
【0137】
図81は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。A549細胞に対照siRNAおよびTSC2 siRNAをそれぞれトランスフェクトし、次いで、24時間ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置して、細胞の生存率をMTT法で測定した。それは、TSC2 siRNAがTSC2遺伝子の発現を有効に阻害することを示す。
【0138】
実施例14 リアルタイム−PCR
1)指示書にしたがって全RNAをTrizol(vitrogen)で抽出し、RNAの濃度およびOD280/OD260比を測定した。
2)RNAを電気泳動によって完全に同定した後、一本鎖DNAを生成するために10μg逆転写用RNA(ABI逆転写キット)を利用した。
3)BIO−RAD IQ5リアルタイム−PCRで増幅した。
4)増幅条件は以下のとおりであった:95℃にて10分間予め変性させ、95℃にて15秒変性させ、アニーリングし、60℃にて1分間伸長させる、全体で40サイクル。
5)反応後、コンピューターから自動的に各試料のAtg5およびβ−アクチンのCt値を得、β−アクチンを基準として用いた。ΔCt=Ct(Atg5)−Ct(β−actin)、ΔΔCt=ΔCt(実験群)−ΔCt(ブランク群)、2−ΔΔCtはAtg5遺伝子の相対量を示す。
【0139】
プライマー:
Atg5のフォワードプライマー:5’ CAGATGGACAGCTGCACACACT 3’(配列番号12)、
リバースプライマー:5’ GGCTCTATCCCGTGAATCATCA 3’(配列番号13)、
β−アクチンフォワードプライマー:5’ AGTGTGACGTTGACATCCGTA 3’(配列番号:14)、
リバースプライマー:5’ GCCAGAGCAGTAATCTCCTTCT 3’(配列番号15)。
【0140】
上記のプライマーは、Shanghai Sangon Biological Engineering Technology and Service Co.,Ltd.によって合成された。
【0141】
実験結果は図46に示される。
図46は、マウスの肺組織のリアルタイムPCRの結果を示す。マウスに対照siRNAおよびAtg5 siRNAをそれぞれ注入して、24時間後、肺組織を均質化し、RNAを抽出して、リアルタイムPCRを行った。それは、Atg5 siRNAの気管注入がAtg5 mRNAレベルの低下を効果的にもたらすことを証明している。
【0142】
実施例15 MTT実験による細胞の生存率の測定
1.MTT実験による3−MA処置細胞の生存率における3−MAの効果の測定
1)単細胞懸濁液に対数増殖期のA549細胞を消化させ、96ウェルプレートに各ウェル当たり200μl量を分注した。
2)37℃にて24時間培養するためにCO2インキュベーターに移した。
3)24時間後、細胞を前処理するために3mM 3MA(または対照溶媒)を加えた。
4)1時間後、MOI2のウイルス力価を有する不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを加えるか、または同量のトリ將尿液を加えるか;あるいは、ナノメートル物質PAMAMを加えた。
5)4時間(鳥インフルエンザ不活化ウイルス)または24時間(ナノメートル物質)の作用後、37℃にて1〜2時間培養するために20μl MTS試薬(CellTiter 96 Aqueous One Solution Cell Proliferation Assay,Promega)を各ウェルに加えた。
6)ELISAリーダー490nmによって測定した。
7)結果を解析し、グループの平均値および標準偏差を算出し、グラフを作製した。
【0143】
実験結果は図38、69および74に示される。
【0144】
図38は、棒グラフとして異なる方法で処置したA549細胞の生存率を示す。陰性対照、3MAまたは不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置した後、A549細胞の生存率は、MTTキットで測定された。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスが細胞の生存率を著しく減少させるのに対し、3MAが不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発される細胞死を減少することを証明している。
【0145】
図69は、異なる処置をしたA549細胞の生存率を示す。A549細胞を、1時間対照、ナノメートル物質PAMAM G5.5、PAMAM G3、3−MAでそれぞれ前処理し、次いで、24時間ナノメートル物質PAMAM G3および薬物対照3−MAで処置した。細胞の生存率の結果をMTT法で測定した。それは、3−MAがナノメートル物質PAMAM G3によって誘発される細胞死を有意に減少しうることを示す。
【0146】
図74は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット法の結果を示す。A549細胞は、24時間異なる種類のナノメートル物質(PAMAM)で処置し、細胞の生存率の結果をMTT法で測定した。それは、ナノメートル物質PAMAM G4、G5、G6、G7およびG8すべてが細胞死を誘発しうることを証明している。
【0147】
2.MTT実験によるsiRNAで処置した細胞の生存率の測定
1)単細胞懸濁液に対数増殖期のA549細胞を消化させ、96ウェルプレートに各ウェル当たり200μl量を分注した。
2)37℃にて24時間培養するためにCO2インキュベーターに移した。
3)24時間後、対応するsiRNAをトランスフェクトした。
4)48時間後、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスまたはナノメートル物質PAMAMを加えた。
5)4時間(鳥インフルエンザ不活化ウイルス)または24時間(ナノメートル物質)の作用後、37℃にて1〜2時間培養するために20μl MTS試薬(CellTiter 96 Aqueous One Solution Cell Proliferation Assay,Promega)を各ウェルに加えた。
6)ELISAリーダー490nmによって測定した。
7)結果を解析し、グループの平均値および標準偏差を算出し、グラフを作製した。
【0148】
実験結果は図22、33、71および82に示される。
【0149】
図22は、棒グラフとして異なる方法で処置したA549細胞の生存率を示す。A549細胞は、対照siRNAおよびAtg12 siRNAがそれぞれトランスフェクトされ、次いで、対照試薬または不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置されている。細胞生存率の結果はMTTキットで測定される。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスが細胞の生存率を著しく減少させるのに対し、Atg12 siRNAが不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの効果を軽減することを証明している。すなわち、オートファジー(II型細胞アポトーシス)に対する抑制効果は、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発される細胞死を軽減する。
【0150】
図33は、棒グラフとして異なる方法で処置したA549細胞の生存率を示す。A549細胞は、対照siRNAおよびTSC2 siRNAがそれぞれトランクフェクトされ、次いで、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置されている。細胞生存率の結果はMTTキットで測定される。細胞生存率は、TSC2 siRNAのトランスフェクションを介して増加する。それは、TSC2 siRNAが不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発される細胞死を遅延しうることを証明している。
【0151】
図71は、種々の処置をしたA549細胞の生存率を示す。A549細胞に、対照siRNAおよびATG6 siRNAをそれぞれトランスフェクトした。次いで、24時間ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置した。細胞の生存率をMTT法で測定した。それは、ナノメートル物質PAMAM G3がATG6遺伝子の発現を調節することによって細胞死を誘発して、オートファジーを形成することを証明している。
【0152】
図82は、種々の処置したA549細胞の生存率を示す。A549細胞に対照siRNAおよびTSC 2 siRNAをそれぞれトランスフェクトし、次いで、24時間ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置して、細胞の生存率をMTT法で測定した。それは、ナノメートル物質PAMAM G3がTSC 2遺伝子の発現を調節することによって細胞死を誘発して、オートファジーを形成することを証明している。
【0153】
3.MTT実験によってナノメートル物質で処置した細胞の生存率の測定
1)単細胞懸濁液に対数増殖期のA549細胞を消化させ、96ウェルプレートに各ウェル当たり200μl量を分注した。
2)37℃にて24時間培養するためにCO2インキュベーターに移した。
3)24時間後、ナノメートル物質PAMAMを加えた。
4)4時間の作用後、37℃にて1〜2時間培養するために20μl MTS試薬(CellTiter 96 Aqueous One Solution Cell Proliferation Assay,Promega)を各ウェルに加えた。
5)ELISAリーダー490nmによって測定した。
6)結果を解析し、グループの平均値および標準偏差を算出し、グラフを作製した。
【0154】
実験結果は図61に示される。
図61は、種々の処置をしたA549細胞の生存率を示す。A549細胞を種々のナノメートル物質(PAMAM)で処置し、24時間後、A549細胞の生存率をMTT法で測定した。
【0155】
実施例16 病理切片の調製
1.病理切片の調製
1)ブラッドフォード法によってH5N1型不活化ウイルスのタンパク質濃度を測定した。
2)各グループ当たり4−6匹になるように、マウスをグループに無作為に分類した。
3)1グループに、1時間前に3MA(30mg/kg)またはSB203580(16mg/kg)を腹腔内注射した。
4)トリ將尿液を気管注入した対照グループ、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルス(10μg/g)またはナノメートル物質PAMAM G3(50μg/g)、G5.5(50μg/g)を気管注入した実験グループのマウスの気管を単離した。
5)注入後、マウスはレスピレータ(HX−200動物レスピレータ、Chengdu Taimeng Science and Technology Co.,LTD)で機械的に換気し、5分後に人工呼吸器を停止した。6時間自発呼吸した後に肺を取り出した。
6)左肺を摘出し、13%ホルマリン固定液で固定した。
7)48時間後、ブロックを修復し、脱水し、ワックスをかけ、包理し、スライスし、病理組織切片を染色した。
【0156】
実験結果は図39、55および86に示される。
【0157】
図39は、Balb/cマウスの肺の病理切片の写真(200倍)を示す。図Aは、対照(トリ將尿液)を気管注入し、その6時間後に肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真を示し、図Bは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入し、その6時間後に肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真を示し、図Cは、3−MA(30mg/kg)を腹腔内注射し、その30分後に不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入し、その6時間後に肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真を示す。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスが重篤な肺損傷をもたらしうるのに対し、3−MAが不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。
【0158】
図55は、Balb/cマウスの肺の病理切片の写真(200倍)を示す。図Aは、対照(トリ將尿液)を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真を示す。図Bは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真を示す。図Cは、SB203580(16mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られた病理切片の写真を示す。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスが重篤な肺損傷を引き起こすのに対し、SB203580が不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがp38シグナル経路を介して肺損傷を誘発することを示す。
【0159】
図86は、Balb/cマウスの肺病理切片の写真(200倍)を示す。図Aは、対照を気管注入し、4時間後、肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真を示す。図Bは、ナノメートル物質PAMAM G5.5(100μg/mL)を気管注入し、4時間後、肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真を示す。図Cは、ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)を気管注入し、4時間後、肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真を示す。それは、ナノメートル物質PAMAM G3が重篤な肺損傷を引き起こすことを証明している。
【0160】
2.病理切片の調製
1)各グループ当たり4−6匹になるように、マウスを4グループに無作為に分類した。
2)各グループへの1M HCl(0.5uL/g)の気管注入の30分後に、マウス肺損傷のモデルを構築した。
3)2グループを選択し、HCl投与の30分前に、15mg/kg 3MAおよび0.25mg/kg SB203580をそれぞれ、腹腔内注射および気管注入した。
4)Fc(4×10−12mol/g)を気管注入した対照グループ、それぞれ、H5Fc(4×10−12mol/g)を気管注入した他の3グループのマウスの気管を単離した。
5)6時間の自発呼吸後に肺を摘出した。
6)左肺を摘出し、13%ホルマリン固定液で固定した。
7)48時間後、ブロックを修復し、脱水し、ワックスをかけ、包理し、スライスし、病理組織切片を染色した。
【0161】
実験結果は図49および58に示される。
【0162】
図49は、Balb/cマウスの肺の病理切片の写真(200倍)を示す。図Aは、酸吸引後Fcタンパク質を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真を示す。図Bは、酸吸引後H5Fcタンパク質を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真を示す。図Cは、酸吸引後3−MA(30mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、H5Fcタンパク質を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真を示す。それは、酸吸引後のH5Fcタンパク質が肺損傷を悪化させるのに対し、3−MAは酸吸引後のH5Fcタンパク質によって誘発された肺損傷をある程度改善することを証明している。
【0163】
図58は、Balb/cマウスの肺病理切片の写真(200倍)を示す。左図は、酸吸引後Fcタンパク質を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真である。中央図は、酸吸引後H5Fcタンパク質を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真である。右図は、酸吸引後SB203580(16mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、H5Fcタンパク質を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真である。酸吸入後のH5Fcタンパク質の注入は肺損傷を悪化させるのに対し、SB203580は酸吸引後のH5Fcタンパク質によって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。
【0164】
実施例17 炎症細胞の計数
実施例16から得られたマウスの肺病理切片を、顕微鏡下にて観察した。1000倍まで増大した視界を無作為に選択し、視界内の肺組織に浸潤した多核細胞およびマクロファージをカウントした。
100の視界を各実験グループから無作為にカウントした。
各グループの各視界にて浸潤した多核細胞およびマクロファージの平均値および標準偏差を算出した。
【0165】
実験結果は図40、50、56および59に示される。
【0166】
図40は、棒グラフとして油浸レンズ(1000倍)下の肺組織の病理切片に局在する炎症細胞数を示す。左から右に、それぞれ、対照(トリ將尿液)を気管注入した6時間後のマウスの肺病理切片数、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入した6時間後のマウスの肺病理切片数、3−MA(30mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、不活化H5N1型鳥インフルエンザを注入した6時間後のマウスの肺病理切片数を示す。炎症細胞浸潤は、最も重要な指標の一つである。不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの注入は非常に浸潤した炎症細胞をもたらしたのに対し、3−MAは不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発される炎症細胞数を減少させた。結果は、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスが重篤な肺損傷をもたらすのに対し、3−MAが不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。
【0167】
図50は、棒グラフとして油浸レンズ(1000倍)下にて肺組織の病理切片に局在する炎症細胞数を示す。左から右に、それぞれ、酸吸引後Fcタンパク質を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの肺病理切片数、酸吸引後H5Fcタンパク質を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの肺病理切片数、および酸吸引後3−MA(30mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、H5Fcタンパク質を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの肺病理切片数を示す。炎症細胞浸潤は、重要な指標の一つである。H5Fcタンパク質の注入は浸潤した炎症細胞数を増加させるのに対し、3−MAはH5Fcタンパク質によって誘発される炎症細胞数の増加を減少させる。結果は、酸吸引後のH5Fcタンパク質が肺損傷を悪化させるのに対し、3−MAが酸吸引後のH5Fcタンパク質によって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。
【0168】
図56は、棒グラフとして油浸レンズ(1000倍)下の肺組織の病理切片に局在する炎症細胞数を示す。左から右に、それぞれ、対照(トリ將尿液)を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの肺病理切片数、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの肺病理切片数、マウスにSB203580(16mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、不活化H5N1型鳥インフルエンザを気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの肺病理切片数を示す。炎症細胞浸潤は、肺損傷の重要な指標の一つである。不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの注入は、非常に浸潤した炎症細胞をもたらすのに対し、SB203580は不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発される浸潤した炎症細胞数を減少させる。結果は、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスが重篤な肺損傷を引き起こすのに対し、SB203580が不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。
【0169】
図59は、油浸レンズ(1000倍)下の肺組織の病理切片に局在する炎症細胞数を示す。図Aは、酸吸引後Fcタンパク質を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの肺病理切片数を示す。図Bは、酸吸引後H5Fcタンパク質を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの肺病理切片数を示す。図Cは、酸吸引後SB203580(16mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、H5Fcタンパク質を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの肺病理切片数を示す。炎症細胞浸潤は、肺損傷の重要な指標の一つである。H5Fcタンパク質の注入は浸潤した炎症細胞数を増加させたのに対し、pSB203580はH5Fcタンパク質によって誘発される浸潤した炎症細胞の増加を減少させた。結果は、酸吸引後のH5Fcタンパク質が肺損傷を悪化させるのに対し、SB203580が酸吸引後のH5Fcタンパク質によって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。
【0170】
実施例18 肺湿/乾比の測定
1.鳥インフルエンザによって誘発される肺湿/乾比の変化に対する薬物の効果の測定
1)ブラッドフォード法によってH5N1型不活化ウイルスタンパク質の濃度を測定した。
2)各グループ当たり4〜6匹になるように、マウスを5グループに無作為に分類した。
3)30分および1時間前に、3MA(30mg/kg)、SB203580(16mg/kg)およびウォルトマンニン(1.5mg/kg)をそれぞれ腹腔内注射した、2グループのマウスを選択した。
4)トリ將尿液を気管注入した対照グループおよび不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルス(10μg/g)を気管注入した、他の3グループのマウスの気管をそれぞれ単離した。
5)注入後、マウスはレスピレータ(HX−200動物レスピレータ、Chengdu Taimeng Science and Technology Co.,LTD)で機械的に換気し、5分後に人工呼吸器を停止した。6時間自発呼吸した後に肺を取り出した。
6)右肺を摘出し、その湿重量を測定した。
7)68℃にて24時間乾燥させた後に乾重量を測定した。
8)湿重量を乾重量で割って湿/乾比を得た。湿/乾比は、肺水腫の程度を評価するために用いられうる。
【0171】
実験結果は図44および57に示される。
【0172】
図44は、棒グラフとしてBalb/cマウスの肺湿/乾比を示す。それは、左から右に、対照(トリ將尿液)を気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比、3−MA(30mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比、およびウォルトマンニン(1.5mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比を示す。肺湿/乾比は、肺損傷の重要な指標の一つであり、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの注入は、湿/乾比を著しく増加するのに対し、3−MAおよびウォルトマンニンは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによってもたらされた湿/乾比の増加を減少させる。結果は、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスが重篤な肺損傷を引き起こすのに対し、3−MAおよびウォルトマンニンが不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。
【0173】
図57は、棒グラフとしてBalb/cマウスの肺湿/乾比を示す。それは、左から右に、対照(トリ將尿液)を気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比、SB203580(16mg/kg)を腹腔内注射し、1時間後、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比を示す。肺湿/乾比は、肺損傷の重要な指標の一つである。不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの注入は湿/乾比を著しく増加させたのに対し、SB203580は不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発される湿/乾比の増加を減少させた。結果は、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスが重篤な肺損傷を引き起こすのに対し、SB203580が不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。
【0174】
2.ナノメートル物質によって誘発される肺湿/乾比の変化に対する薬物の効果の測定
1)各グループ当たり4〜6匹になるように、マウスを5グループに無作為に分類した。
2)2グループを選択し、1時間前にマウスに3MA(30mg/kg)を腹腔内注射した。
3)PBSを気管注入した、対照グループおよび3MAを腹腔内注射した1グループのマウス、ナノメートル物質PAMAM G3(50μg/g)を気管注入した、3MAを腹腔内注射した他の1グループのマウス、ならびにナノメートル物質PAMAM G3(50μg/g)およびG5.5(50μg/g)を気管注入した他の2グループのマウスの気管をそれぞれ単離した。
4)注入後、マウスはレスピレータ(HX−200動物レスピレータ、Chengdu Taimeng Science and Technology Co.,LTD)で機械的に換気し、5分後に人工呼吸器を停止した。6時間自発呼吸した後に肺を取り出した。
5)右肺を摘出し、その湿重量を測定した。
6)68℃にて24時間乾燥させた後に乾重量を測定した。
7)湿重量を乾重量で割って湿/乾比を得た。湿/乾比は、肺水腫の程度を評価するために用いられうる。
【0175】
実験結果は図87に示される。
図87は、棒グラフとしてBalb/cマウスの肺湿/乾比を示す。それらは、左から右に、対照を気管注入した16時間後のマウスの肺湿/乾比、ナノメートル物質PAMAM G5.5(100μg/mL)を気管注入した16時間後のマウスの肺湿/乾比、ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)を気管注入した16時間後のマウスの肺湿/乾比、3−MAを腹腔内注射し、1時間後、ナノメートル物質PAMAM G3を気管注入した16時間後のマウスの肺湿/乾比、および3−MA(15mg/kg)を腹腔内注射した17時間後のマウスの肺湿/乾比を示す。肺湿/乾比は、肺損傷の重要な指標の一つである。ナノメートル物質PAMAM G3の気管注入は肺組織の湿/乾比を増加させるのに対し、3−MAはナノメートル物質PAMAM G3によって誘発されるマウスの肺湿/乾比の増加を軽減する。結果は、ナノメートル物質PAMAM G3が重篤な肺損傷を引き起こすのに対し、3−MAがナノメートル物質PAMAM G3によって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。
【0176】
3.鳥インフルエンザ表面タンパク質によって誘発される肺湿/乾比の変化に対する薬物の効果の測定
1)各グループ当たり4〜6匹になるように、マウスを5グループに無作為に分類した。
2)各グループへの1M HCl(0.5uL/g)の気管注入の30分後に、マウスの肺損傷モデルを構築した。
3)3グループを選択し、HCl投与の30分前に、15mg/kg 3MA、0.25mg/kg SB203580および0.25mg/kg LY294002を、それぞれ、腹腔内注射および気管注入した。
4)Fc(4×10−12mol/g)を気管注入した対照グループのマウス、H5Fc(4×10−12mol/g)を気管注入した3グループのマウスの気管をそれぞれ単離した。
5)6時間自発呼吸した後に肺を取り出した。
6)右肺の湿重量を測定した。
7)68℃にて24時間乾燥させた後に乾重量を測定した。
8)湿重量を乾重量で割って湿/乾比を得た。湿/乾比は、肺水腫の程度を評価するために用いられうる。
【0177】
実験結果は図51および60に示される。
【0178】
図51は、棒グラフとしてBalb/cマウスの肺湿/乾比を示す。左から右に、それぞれ、酸吸引後Fcタンパク質を気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比、酸吸引後H5Fcタンパク質を気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比、酸吸引後3−MA(30mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、H5Fcタンパク質を気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比、酸吸引後LY294002(0.25mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、H5Fcタンパク質を気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比である。肺湿/乾比は、肺損傷の重要な指標の一つである。酸吸引後のH5Fcタンパク質の気管注入は湿/乾比を著しく増加させるのに対し、3−MAおよびLY294002は酸吸引後のH5Fcタンパク質によって誘発される湿/乾比の増加を減少させた。結果は、酸吸引後のH5Fcタンパク質が重篤な肺損傷を引き起こすのに対し、3−MAおよびLY294002が酸吸引後のH5Fcタンパク質によって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。
【0179】
図60は、棒グラフとしてBalb/cマウスの肺湿/乾比を示す。左から右に、それぞれ、酸吸引後Fcタンパク質を気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比、酸吸引後H5Fcタンパク質を気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比、酸吸引後SB203580(16mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、H5Fcタンパク質を気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比を示す。肺湿/乾比は、肺損傷の重要な指標の一つであり、酸吸引後のH5Fcタンパク質の気管注入は肺湿/乾比を著しく増加させたのに対して、SB203580は酸吸引後のH5Fcタンパク質によって誘発される肺湿/乾比の増加を減少させた。結果は、酸吸引後のH5Fcタンパク質が重篤な肺損傷を引き起こすのに対し、SB203580が酸吸引後のH5Fcタンパク質によって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。
【0180】
4.鳥インフルエンザによって誘発される肺湿/乾比の変化に対する薬物の効果の測定
1)ブラッドフォード法によってH5N1型不活化ウイルスタンパク質の濃度を決定した。
2)各グループ当たり4〜6匹になるように、マウスを4グループに無作為に分類した。
3)対照siRNA(100μg)およびAtg5siRNA(100μg)を、それぞれ、2グループごとに注入した。
4)24時間後、対照siRNA群におけるマウスにトリ將尿液および不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルス(10μg/g)をそれぞれ気管注入し、Atg5siRNA群におけるマウスに、トリ將尿液および不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルス(10μg/g)をそれぞれ気管注入した。
5)注入後、マウスはレスピレータ(HX−200動物レスピレータ、Chengdu Taimeng Science and Technology Co.,LTD)で機械的に換気し、5分後に人工呼吸器を停止した。6時間自発呼吸した後に肺を取り出した。
6)右肺の湿重量を測定した。
7)68℃にて24時間乾燥させた後に乾重量を測定した。
8)湿重量を乾重量で割って湿/乾比を得た。湿/乾比は、肺水腫の程度を評価するために用いられうる。
【0181】
実験結果は図48に示される。
図48は、棒グラフとしてBalb/cマウスの肺湿/乾比を示す。対照siRNAおよびAtg5 siRNAをそれぞれ注入し、24時間後、対照(トリ將尿液)および不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスをそれぞれ注入した、4時間後のマウスの肺組織の湿/乾比の結果である。肺湿/乾比は、肺損傷の重要な指標の一つであり、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの注入は著しく湿/乾比を増加するのに対し、Atg5 siRNAはAtg5タンパク質の発現を阻害して肺損傷をある程度軽減することから、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがオートファジー(II型細胞アポトーシス)を活性化して肺損傷の発生を誘発することを示唆する。
【0182】
実施例19 肺弾性の実験方法
1.鳥インフルエンザウイルスによって誘発される肺弾性の変化に対する薬物の効果
1)8−10週齢のBalb/cマウスを選択し、マウスをグループに無作為に分類した。3MA(30mg/kg)およびPBSを、それぞれ、30分前に腹腔内注射した。
2)マウスを1%ペントバルビタールで麻酔した。
3)マウスの気管カニューレの手術を行った。
4)マウスを深く麻酔した後、BUXCO PFTによって0時間のマウスの肺組織のCchord(0−10cmH2O 肺組織適合性)を測定し、E(肺弾性)=1/Cchordを算出した。
5)ピペットで気管カニューレに正確に將尿液またはH5N1型不活化ウイルス(200μg)を注入し、注入時間を記録した。
6)動物レスピレータでマウスを換気した、f(頻度)=150回/分、p(圧力)=30cmH2O 3秒、p=25cmH2O 2分。
7)マウスの自発呼吸を保持した。
8)投与の1時間半後、BUXCO PFTによってマウスの肺組織のCchordを測定し、E=1/1時間半ごとのCchordを得た。
9)1時間半ごとの肺組織の弾性の変化率を算出し、曲線を作製した。
【0183】
実験結果は図43に示される。
図43は、Balb/cマウスの肺組織の弾性の結果を示す。それは、それぞれ、対照(トリ將尿液)を気管注入したマウスの、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入したマウスの、そして、最初に3−MA(30mg/kg)を腹腔内注射し、30分後に不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを注入したマウスからの、肺組織の弾性の変化を示す。自発呼吸するマウスの肺弾性の変化を、4時間30分ごとに測定した。肺弾性は、肺機能を測定するための重要な指標である。不活化鳥インフルエンザウイルスの気管注入はマウスの肺のコンプライアンスを著しく減少させるのに対し、3−MAは誘発された損傷の軽減および肺の保護機能に一定の効果を有する。
【0184】
2.鳥インフルエンザウイルスによって誘発される肺弾性の変化に対するsiRNAの効果
1)8−10週齢のBalb/cマウスを選択し、マウスをグループに無作為に分類した。マウスを1%ペントバルビタールナトリウムで麻酔した。
2)マイクロシリンジでsiRNA対照100uL(100μg)およびsiRNA Atg5 100uL(100μg)を気管注入した。
3)24時間後、マウスを1%ペントバルビタールナトリウムで麻酔した。
4)マウスの気管カニューレの手術を行った。
5)マウスを深く麻酔した後、BUXCO PFTによって0時間のマウスの肺組織のCchord(0−10cmH2O 肺組織適合性)を測定し、E(肺弾性)=1/Cchordを算出した。
6)ピペットで気管カニューレに正確に將尿液またはH5N1型不活化ウイルス(200μg)を注入し、注入時間を記録した。
7)動物レスピレータでマウスを換気した、f(頻度)=150回/分、p(圧力)=30cmH2O 3秒、p=25cmH2O 2分。
8)マウスの自発呼吸を保持した。
9)投与の1時間半後、BUXCO PFTによってマウスの肺組織のCchordを測定して、E=1/1時間半ごとのCchordを得た。
10)1時間半ごとの肺組織の弾性の変化率を算出し、曲線を作製した。
【0185】
実験結果は図47に示される。
図47は、Balb/cマウスの肺組織の弾性の結果を示す。対照siRNAおよびAtg5 siRNAをそれぞれ注入し、24時間後、対照(トリ將尿液)および不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスをそれぞれ注入した、マウスの肺組織の弾性を30分ごとに測定した。自発呼吸するマウスの肺弾性の変化の測定を4時間行った。不活化鳥インフルエンザウイルスの気管注入はマウスの肺のコンプライアンスを著しく減少させるのに対し、Atg5 siRNAはAtg5タンパク質の発現の阻害を介して肺損傷をある程度軽減することから、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがオートファジー(II型細胞アポトーシス)を活性化して肺損傷の発生を誘発することを示唆する。
【0186】
3.ナノメートル物質によって誘発される肺弾性の変化に対する薬物の効果
1)8−10週齢のBalb/cマウスを選択し、マウスをグループに無作為に分類した。3MA(30mg/kg)およびPBSを、それぞれ、30分前に腹腔内注射した。
2)マウスを1%ペントバルビタールナトリウムで麻酔した。
3)マウスの気管カニューレの手術を行った。
4)マウスを深く麻酔した後、BUXCO PFTによって0時間のマウスの肺組織のCchord(0−10cmH2O 肺組織適合性)を測定し、E(肺弾性)=1/Cchordを算出した。
5)ピペットで気管カニューレに正確にPBSまたはナノメートル物質PAMAM G3(12.5μg/g)およびG5.5(12.5μg/g)不活化ウイルスを注入し、注入時間を記録した。
6)動物レスピレータでマウスを換気した、f(頻度)=150回/分、p(圧力)=30cmH2O 3秒、p=25cmH2O 2分。
7)マウスの自発呼吸を保持した。
8)投与の1時間半後、BUXCO PFTによってマウスの肺組織のCchordを測定して、E=1/1時間半ごとのCchordを得た。
9)1時間半ごとの肺組織の弾性の変化率を算出し、曲線を作製した。
【0187】
実験結果は図88に示される。
図88は、Balb/cマウスの肺弾性の変化の略図を示す。左から右に、連続して、対照を気管注入したBalb/cマウスの肺弾性の変化、ナノメートル物質PAMAM G5.5(50mg/kg)を気管注入したマウスの肺弾性の変化、ナノメートル物質PAMAM G3(50mg/kg)を注入したマウスの肺弾性の変化、3−MA(15mg/kg)を腹腔内注射し、1時間後、ナノメートル物質PAMAM G3を注入したマウスの肺弾性の変化を示す。肺弾性は、肺損傷の重要な指標の一つである。ナノメートル物質PAMAM G3はマウスの肺弾性の変化を引き起こすのに対し、3−MAはナノメートル物質PAMAM G3によって誘発されるマウスの肺弾性の変化を軽減する。結果は、ナノメートル物質PAMAM G3が重篤な肺損傷を引き起こすのに対し、3−MAがナノメートル物質PAMAM G3によって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。
【0188】
実施例20 生存率の実験
1.鳥インフルエンザウイルスによって誘発される生存率に対する薬物の効果
1)ブラッドフォード法によってH5N1型不活化ウイルスタンパク質の濃度を測定した。
2)各グループ当たり6〜8匹になるように、マウスを4グループに無作為に分類した。
3)H5N1型不活化ウイルスの注入の8時間および2時間前ならびに注入の0.5時間後に、それぞれ、3MA(15mg/kg)を腹腔内注射した、2グループのマウスを選択した。
4)トリ將尿液を気管注入した、対照グループのマウスおよび3MAの1グループのマウスならびに不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルス(10μg/g)を気管注入した他の2グループのマウスの気管をそれぞれ単離した。
5)注入後、マウスはレスピレータ(HX−200動物レスピレータ、Chengdu Taimeng Science and Technology Co.,LTD)で機械的に換気し、5分後に人工呼吸器を停止した。マウスの自発呼吸は保持した。
6)半時間ごとにマウスの生存状況を記録した。
7)SPSSによって最終結果を統計解析し、生存率の曲線を作製した。
【0189】
実験結果は図45に示される。
図45は、Balb/cマウスの生存曲線を示す。不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの気管注入の8時間前、2時間前およびその気管注入の30分後に、3−MA(15mg/kg)を腹腔内注射して、15分ごとに生存状況を観察した。それは、3−MAがマウスの死の遅延に対して効果を有することを証明している。
【0190】
2.ナノメートル物質PAMAMによって誘発される生存率に対する薬物の効果
1)ブラッドフォード法によってH5N1型不活化ウイルスタンパク質の濃度を測定した。
2)各グループ当たり6〜8匹になるように、マウスを4グループに無作為に分類した。
3)ナノメートル物質PAMAM G3(50μg/g)の気管注入の12時間および3時間前ならびに注入の0.5時間後に、それぞれ、3MA(15mg/kg)を腹腔内注射した、2グループのマウスを選択した。
4)PBSを気管注入した、対照グループのマウスおよび3MAの1グループのマウスならびにナノメートル物質PAMAM G3(50μg/g)を気管注入した他の2グループのマウスの気管をそれぞれ単離した。
5)半時間ごとにマウスの生存状況を記録した。
6)SPSSによって最終結果を統計解析し、生存率の曲線を作製した。
【0191】
実験結果は図89に示される。
【0192】
図89は、Balb/cマウスの生存曲線を示す。Balb/cマウスは以下のように処置された:対照を気管注入した;ナノメートル物質PAMAM G5.5(50mg/kg)を気管注入した;ナノメートル物質PAMAM G3(50mg/kg)を気管注入した;3−MA(15mg/kg)を腹腔内注射し、1時間後、ナノメートル物質PAMAM G3(50mg/kg)を気管注入した;および3−MA(15mg/kg)を腹腔内注射した。マウスを継続して24時間観察した。1時間おきに生存しているマウス数を計測して、統計解析を行った。結果:ナノメートル物質PAMAM G3はマウスの死亡率を増加させるのに対し、3−MAはナノメートル物質PAMAM G3によって誘発されるマウスの死亡を有意に軽減しうる。
【0193】
図90は、ウォルトマンニンの構造式を示す。CAS番号は19545−26−7であり、分子式はC23H24O8であり、分子量は428.43である。
【0194】
実施例21 細胞内シグナル経路の作図
細胞内シグナル経路をフォトショップのソフトウェアによって作図し、シグナル経路における異なる分子または細胞小器官または組織を示すために特定の形式を用いた。矢印は上流のシグナル分子が下流のシグナル分子を活性化するかまたは特定の効果をもたらすことを示し、「T」型は阻害効果を示す。
【0195】
実験結果は図37および85に示される。
【0196】
図37は、細胞シグナル経路の略図を示す。上記の実験結果から、本発明者らは、略図に示される結論を得ることができた:鳥インフルエンザウイルスは、AKTからTSC1/2、次いで、mTOR、そして、オートファジーの経路を介してオートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発しうる。鳥インフルエンザウイルスはAKTを阻害し、AKTはTSC1/2を阻害し、TSC1/2はmTOR経路を阻害し、mTOR経路はオートファジー(II型細胞アポトーシス)を阻害する;オートファジー経路は、Atg5−Atg12からLC3の経路を介して作用して、オートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発する。
【0197】
図85は、細胞シグナル経路の略図を示す。上記の実験結果から、本発明者らは略図に示されるように結論づけることができる:ナノメートル物質PAMAM G3がAkt−TSC1/2−mTOR−オートファジーの経路を活性化しうる。mTORの活性化は、オートファジーの発生を阻害しうる;TSC1/2の活性化は、オートファジー(II型細胞アポトーシス)を促進するためにmTORの活性化を阻害しうる。
【0198】
実施例22 DNAラダー測定
1)単細胞懸濁液に対数増殖期のA549細胞を消化させ、6cmディッシュに分注した。
2)37℃にて24時間培養するためにCO2インキュベーターに移した。
3)各ディッシュに陰性対照としてPBSを加え、陽性対照として6%DMSOを加え、ナノメートル物質PAMAM G3を別々に加えた。
4)24時間後、すべての細胞を回収した。
5)Qiagen全ゲノム抽出キットによって細胞のゲノムDNAを抽出した。
6)2時間60Vでアガロースゲル電気泳動を行った。
7)UV下で観察し、撮影した。
【0199】
実験結果は図62に示される。
図62は、異なる方法で処置したA549細胞のゲノム電気泳動図を示す。A549細胞を、対照、ジメチルスルホキシド(DMSO、6%v/v)およびナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置した後、細胞を回収し、細胞のゲノムDNAをゲノム抽出用キットで単離し、アガロースゲル電気泳動を行った。ジメチルスルホキシドは、アポトーシス誘導剤として用いた。
【0200】
実施例23 カスパーゼ−3活性の蛍光測定
1)単細胞懸濁液に対数増殖期のA549細胞を消化させ、6cmディッシュに分注した。
2)37℃にて24時間培養するためにCO2インキュベーターに移した。
3)各ディッシュに陰性対照としてPBSを加え、陽性対照として6%DMSOを加え、ナノメートル物質PAMAM G3およびG5.5を別々に加えた。
4)24時間後、細胞を溶解した。
5)遠心分離し、上清を除去し、カスパーゼ−3活性蛍光検出キット(CEPREI)で検出した。
6)蛍光強度を測定した。
【0201】
実験結果は図63に示される。
図63は、異なる方法で処置したA549細胞のカスパーゼ−3活性の結果を示す。A549細胞を、対照、ジメチルスルホキシド(DMSO、6%v/v)、ナノメートル物質PAMAM G5.5およびPAMAM G3種でそれぞれ処置し。24時間後、細胞のカスパーゼ−3活性をカスパーゼ−3活性試験キットで測定した。
【0202】
実施例24 化学式
化合物の構造は、化学分野に一般的に用いられる標準規則にしたがって示される。
【0203】
実験結果は、図90、91、92および93に示される。
図90は、ウォルトマンニンの構造式を示す。CAS番号は19545−26−7であり、分子式はC23H24O8であり、分子量は428.43である。
図91は、LY−294,002の構造式を示す。CAS番号は934389−88−5であり、分子式はC19H17NO3・HClであり、分子量は343.80である。
図92は、3−メチルアデニンの構造を示す。CAS番号は15142−23−4であり、分子式はC6H7N5であり、分子量は149.15である。
図93は、SB 203580の構造を示す。CAS番号は152121−47−6であり、分子式はC21H16FN3OSであり、分子量は377.43である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、オートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤の使用に関する。具体的には、本発明は、哺乳類の鳥インフルエンザを予防および/または処置するための医薬を調製するための、オートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤、例えば、3−メチルアデニン、SB203580、LY294002またはウォルトマンニンの使用に関する。本発明はまた、ナノメートル物質によって誘発される肺損傷を予防および/または処置するためのオートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
インフルエンザウイルスは、RNAウイルスに属する、インフルエンザを誘発する病原性ウイルスであり、多数の合併症、例えば、急性呼吸器感染症、心筋炎、肺炎、気管支炎をもたらしうる。インフルエンザウイルスは伝染性が高いため、全世界範囲でさえ極めて容易に広まる。1917−1919年の間にヨーロッパで発生したインフルエンザは、歴史上最も重篤なインフルエンザであり、2000万人の人々に死をもたらした。最近になって、H5N1型鳥インフルエンザウイルスは、家禽および渡り鳥を介して全世界に広まっている。報告によれば、H5N1型ウイルスによって感染した患者の死亡率は約50%であり、それはH5N1型鳥インフルエンザが全世界に広がりうることを意味する(Peter S.Tang,Marco Mura,Rashmi Sethら.Acute lung injury and cell death:how many ways can cells die? Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 294:L632−L641(2008))。
【0003】
インフルエンザウイルスによって誘発される急性呼吸器疾患は、死亡の主な原因であり、その主な特徴は、急性肺損傷である。炎症因子によって誘発されるサイトカインの「ストーム」は、インフルエンザウイルスの主な病因メカニズムを構成する。最近になって、病原性遺伝子によって誘発される細胞死は、肺損傷の原因となっている別の重大なメカニズムであると考えられている(Peter S.Tang,Marco Mura,Rashmi Sethら.Acute lung injury and cell death:how many ways can cells die? Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 294:L632−L641(2008))。
【0004】
鳥インフルエンザは、鳥類インフルエンザの略称であり、インフルエンザA型ウイルスの亜型(鳥インフルエンザウイルスとも称される)によって引き起こされる伝染病である。種々の病原性遺伝子にしたがって、鳥インフルエンザは、以下の3種類に分類されうる:高病原性、低病原性および非病原性鳥インフルエンザ。現在までのところ、全ての高病原性鳥インフルエンザの発症は、H5亜型およびH7亜型ウイルスによって引き起こされる。鳥インフルエンザは、トリ、ブタ、ウマ、アザラシ、クジラおよびヒトなどを含む、種々の動物に感染しうる。従来、鳥インフルエンザの病因メカニズムは明確ではなく、予防および処置のための有効な医薬はなかった。そのため、鳥インフルエンザを予防および処置するための有効な医薬を研究および探索することが重要である。
【0005】
細胞死の形態は、主に以下の2つのタイプに分類される:プログラム細胞死(PCD)および壊死。プログラム細胞死は、長期の生物の進化の間に発達した細胞自殺メカニズムであり、消耗した細胞、過剰な細胞または癌性細胞を排除し、生物の内部環境のホメオスタシスを保持する態様にて重要な役割を果たしている。近年は、プログラム細胞死の新しい形態、すなわち、自己貪食性プログラム細胞死が、細胞生物学者にますます注目されている。オートファジーは、II型プログラム細胞死として称され、その細胞死は、主に細胞質および細胞小器官を包含する豊富な液胞の発現、ならびにリソソームを介する液胞内の成分の分解にて特徴付けられる(Beth LevineおよびJunying Yuan,Autophagy in cell death:an innocent convict? J.Clin.Invest.115:2679−2688(2005).)。
【0006】
オートファジーの原因となっているメカニズムは、多数のシグナル伝達系に関与しており、mTOR(哺乳類ラパマイシン標的タンパク質)シグナル伝達経路が徐々に証明されてきている。TORキナーゼは、アミノ酸、ATPおよびホルモンのセンサーであり、細胞増殖の調節に重要な役割を果たしている。TORキナーゼは、オートファジーの発生を阻害し、負の調節因子として機能し、「ゲートキーパー」としての役割を果たしている。哺乳類細胞中に局在するリボソームタンパク質S6(p70S6)は、オートファジーの発生を阻害する。それは、TORシグナル経路の下流に位置し、その活性はmTORによって調節される(Klionsky DJ,Meijer AJ,Codogno Pら.Autophagy and P70S6 kinase.Autophagy 1(1):059−061.(2005))。従来、ラパマイシンは、p70S6の活性の阻害およびmTORの活性の阻害を介するオートファジーの発生の誘発に対して効果を発揮していた。
【0007】
新規物質として、ナノメートル物質は、科学研究、美容、衣類および製造などに広く用いられている。ナノメートル物質に関する研究は、徐々に注目の話題になっており、いくつかのナノメートル物質がオートファジー性細胞死を誘発しうることが報告されている(Zabirnyk O,Yezhelyev M,Seleverstov O.Nanoparticles as a novel class of autophagy activators.Autophagy.2007 May−Jun;3(3):278−81.)。いくつかのナノメートル物質は、肺損傷を誘発しうる(Byrne JD,Baμgh JA.The significance of nanoparticles in particle−induced pulmonary fibrosis.Mcgill J Med.2008 Jan;11(1):43−50.)。しかしながら、ナノメートル物質と細胞死の間の相互関係の原因となっている特別なメカニズムは明確ではなく、オートファジー性細胞死を介してナノメートル物質によって誘発される肺損傷の原因となっているメカニズムは報告されていない。そのため、ナノメートル物質によって誘発される肺損傷を予防および/または処置するための有効な医薬を提供する必要性がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Peter S.Tang,Marco Mura,Rashmi Sethら.Acute lung injury and cell death:how many ways can cells die? Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 294:L632−L641(2008)
【非特許文献2】Beth LevineおよびJunying Yuan,Autophagy in cell death:an innocent convict? J.Clin.Invest.115:2679−2688(2005).
【非特許文献3】Klionsky DJ,Meijer AJ,Codogno Pら.Autophagy and P70S6 kinase.Autophagy 1(1):059−061.(2005)
【非特許文献4】Zabirnyk O,Yezhelyev M,Seleverstov O.Nanoparticles as a novel class of autophagy activators.Autophagy.2007 May−Jun;3(3):278−81.
【非特許文献5】Byrne JD,Baμgh JA.The significance of nanoparticles in particle−induced pulmonary fibrosis.Mcgill J Med.2008 Jan;11(1):43−50.
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
一の態様において、本発明は、哺乳類のインフルエンザ、好ましくは哺乳類の鳥インフルエンザを予防および/または処置するための医薬の調製における、オートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤の使用を提供する。好ましくは、該阻害剤は、3−メチルアデニン、SB203580、LY294002またはウォルトマンニンから選択される。より好ましくは、該阻害剤は、3−メチルアデニンである。好ましくは、本発明は、インフルエンザ、好ましくは鳥インフルエンザを予防するための医薬の調製における、3−メチルアデニンの使用を提供する。
【0010】
本発明の一の実施態様において、哺乳類はヒトである。
【0011】
別の実施態様において、本発明は、インフルエンザウイルス、好ましくは鳥インフルエンザウイルスによって誘発される哺乳類の肺損傷を予防および/または処置するためのオートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤の使用を提供する。
【0012】
本発明の一の実施態様において、肺損傷は急性呼吸窮迫症候群である。
【0013】
本発明の一の実施態様において、鳥インフルエンザは、H5N1型、H5N2型およびH9N2型の鳥インフルエンザウイルスによって引き起こされる。
【0014】
本発明の一の実施態様において、3−メチルアデニンは、オートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤であり、PI3KクラスIIIのシグナル伝達経路の阻害剤である。
【0015】
別の態様において、本発明は、ナノメートル物質によって誘発される哺乳類の肺損傷を予防および/または処置するための医薬の調製における、オートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤の使用を提供する。そして、該阻害剤は、3−メチルアデニン、SB203580、LY294002またはウォルトマンニンから選択される。
【0016】
本発明の一の実施態様において、哺乳類はヒトである。
【0017】
本発明のナノメートル物質には、PAMAM G3、G4、G5、G5.5、G6、G7およびG8などが含まれる。
【0018】
本発明の一の実施態様において、3−メチルアデニンは、オートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤であり、PI3KクラスIIIのシグナル伝達経路の阻害剤である。
【0019】
本発明の一の実施態様において、肺損傷は急性呼吸窮迫症候群である。
【0020】
本発明において、オートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤は、細胞のシグナル伝達経路の阻害剤であってもよく、細胞のシグナル伝達経路には、TSC1/2、LC3、Atg5−Atg12、P38、TSC1/2およびPI3Kのシグナル伝達経路が含まれる。好ましくは、該シグナル伝達経路は、Atg5−Atg12−LC3細胞のシグナル伝達経路である。
【0021】
本発明において、オートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤は、細胞のシグナル伝達経路のアゴニストとして用いられうる、ここで、該細胞のシグナル伝達経路には、AKTおよびmTORのシグナル伝達経路が含まれる。好ましくは、シグナル伝達経路は、mTOR−TSC1/2−AKTのシグナル伝達経路である。
【0022】
本発明者は、オートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤が鳥インフルエンザの予防および/または処置に対して有意な効果を有し、特にその予防効果が予期せぬものであることを見出した。
【0023】
鳥インフルエンザには、限定されるものではないが、H5N1型、H9N2型、H5N2型鳥インフルエンザウイルスまたはその不活性ウイルスまたはその表面タンパク質によって誘発される鳥インフルエンザが含まれる。
【0024】
本発明者はまた、オートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤がナノメートル物質によって誘発されるかまたは悪化する肺損傷の予防および/または処置に対して有意な効果を有し、特にその予防効果は予期せぬものであることを見出した。
【0025】
該オートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤には、限定されるものではないが、3−メチルアデニン、SB203580、LY294002またはウォルトマンニンが含まれる。
【0026】
本発明は、オートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤の予防および/または処置効果が有意であり、細胞死、特に哺乳類の肺上皮細胞の死を大幅に減少させるためにオートファジー(II型細胞アポトーシス)の発生を明らかに予防しうることを証明している:実験結果は、最初にオートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤で処置し、次いで、不活化H5N1型ウイルスで処置した細胞の生存率と不活化H5N1型ウイルスのみで処置した細胞の生存率の間に有意な違いがあることを証明している。オートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤の予防および処置効果は、インビボ実験、例えば、マウスの病理写真、炎症細胞計数、肺湿/乾比、肺弾性の変化および死亡率などによってさらに証明されうる。オートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤が、鳥インフルエンザを予防および処置するために肺組織の損傷を明らかに減少させることも証明されている。さらに、オートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤が、同一のインビボおよびインビトロ実験を介してナノメートル物質によって誘発されるかまたは悪化する肺損傷を予防および処置することも証明されている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、H5遺伝子が挿入された発現ベクターPeak13 CD5L TEVヒトIgGを制限消化酵素で消化し、アガロースゲル電気泳動で分離した結果を示す。ライン1、2および3は、それぞれ、λ−HindIIIマーカー、Peak13 CD5L H5 TEVヒトIgG、D2000マーカーを示す。λ−HindIIIマーカーの大きさは、小さいものから大きい(下から上の)順に、564bp(図から識別することが困難)、2027bp、2322bp、4361bp、6557bp、9416bpおよび23130bpである;D2000マーカーの大きさは、小さいものから大きい(下から上の)順に、100bp、250bp、500bp、750bp、1000bpおよび2000bpである。プラスミドをNhe I/BamHI酵素で切断して1.56Kbフラグメントが得られ、それはH5遺伝子が発現ベクターに挿入されていることを証明している。
【図2】図2は、ウエスタンブロット法で測定した293ET細胞で発現した融合タンパク質H5Fcの発現結果を示す。それは、融合タンパク質H5Fcが宿主細胞で良好に発現され、発現タンパク質の分子量が約110KDおよび60KDであることを証明している。H5タンパク質は、宿主内の酵素によって切断され、2つのバンドを形成している。
【図3】図3は、クマシーブリリアントブルー(CBB)によって染色された、精製H5Fc融合タンパク質およびH5タンパク質のポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果を示す。それは、十分に精製された融合タンパク質H5FcおよびH5タンパク質が得られうることを証明している。精製されたH5Fcタンパク質をTEV酵素で切断し、次いで、アフィニティークロマトグラフィーに付して、約80KDの分子量を有する精製されたH5タンパク質が得られうる。
【図4】図4は、異なる方法で処置したHela細胞の電子顕微鏡写真(20000倍)および電子顕微鏡下にて観察されたオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間アジュバントで処置したHela細胞の電子顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間H5N1型鳥インフルエンザ不活化ウイルスで処置したHela細胞の電子顕微鏡写真を示し、矢印はオートファゴソームを示す。図Cは、上記2つの条件下でのオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴うHela細胞%の棒グラフを示す。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの効果でHela細胞のオートファジーが起こることを証明している。
【図5】図5は、異なる方法で処置したHela細胞の電子顕微鏡写真(20000倍)および電子顕微鏡下にて観察されたオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間アジュバントで処置したHela細胞の電子顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間不活化H5N2型鳥インフルエンザウイルスで処置したHela細胞の電子顕微鏡写真を示し、矢印はオートファゴソームを示す。図Cは、上記2つの条件下でのオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴うHela細胞%の棒グラフを示す。それは、不活化H5N2型鳥インフルエンザウイルスの効果でHela細胞のオートファジーが起こることを証明している。
【図6】図6は、異なる方法で処置したHela細胞の電子顕微鏡写真(20000倍)および電子顕微鏡下にて観察されたオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間アジュバントで処置したHela細胞の電子顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間不活化H9N2型鳥インフルエンザウイルスで処置したHela細胞の電子顕微鏡写真を示し、矢印はオートファゴソームを示す。図Cは、上記2つの条件下でのオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴うHela細胞%の棒グラフを示す。それは、不活化H9N2型鳥インフルエンザウイルスの効果でHela細胞のオートファジーが起こることを証明している。
【図7】図7は、異なる方法で処置したHela細胞の電子顕微鏡写真(20000倍)および電子顕微鏡下にて観察されたオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間BSAタンパク質で処置したHela細胞の電子顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間H5タンパク質で処置したHela細胞の電子顕微鏡写真を示し、矢印はオートファゴソームを示す。図Cは、上記の2つの条件下でのオートファジー(II型PCD)を伴うHela細胞%の棒グラフを示す。それは、H5タンパク質の効果でHela細胞のオートファジーが起こることを証明し、また、発現したH5タンパク質が生物活性を有することを証明している。
【図8】図8は、異なる方法で処置したHela細胞の電子顕微鏡写真(20000倍)および電子顕微鏡下にて観察されたオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間DMSOで処置したHela細胞の電子顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間5μMラパマイシンで処置したHela細胞の電子顕微鏡写真を示し、矢印はオートファゴソームを示す。図Cは、上記の2つの条件下でのオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴うHela細胞%の棒グラフを示す。ラパマイシンがオートファジーの発生をもたらすことは文献から既知でありうるので、陽性対照としてラパマイシンを用いる、実験方法は正確かつ有効なものであることが証明される。
【図9】図9は、異なる方法で処置したA549細胞の電子顕微鏡写真(20000倍)および電子顕微鏡下にて観察されたオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間トリ將尿液で処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示し、矢印はオートファゴソームを示す。図Cは、上記の2つの条件下でのオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴うA549細胞%の棒グラフを示す。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの効果でA549細胞のオートファジーが起こることを証明している。
【図10】図10は、異なる方法で処置したA549細胞の電子顕微鏡写真(20000倍)および電子顕微鏡下にて観察されたオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間BSAで処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間H5タンパク質で処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示し、矢印はオートファゴソームを示す。図Cは、上記の2つの条件下でのオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴うA549細胞%の棒グラフを示す。それは、H5タンパク質の効果でA549細胞のオートファジーが起こることを証明し、また、発現したH5タンパク質が生物活性を有することを証明している。
【図11】図11は、異なる方法で処置したA549細胞の電子顕微鏡写真(20000倍)および電子顕微鏡下にて観察されたオートファジー(II型細胞)を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間DMSOで処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間5μMラパマイシンで処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示し、矢印はオートファゴソームを示す。図Cは、上記の2つの条件下でのオートファジー(II型細胞アポトーシス)のA549細胞の%の棒グラフを示す。ラパマイシンがオートファジーの発生をもたらすことは文献から既知でありうるので、陽性対照としてラパマイシンを用いる、実験方法は正確かつ有効なものであることが証明される。
【図12】図12は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、異なる方法で処置したHela細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真(1000倍)およびEGFP−LC3凝集を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間アジュバントで処置したHela細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したHela細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真を示す。図Cは、上記の2つの条件下でのEGFP−LC3凝集を伴うHela細胞%の棒グラフを示す。オートファジーの発生後の細胞の典型的な特徴は、LC3(ATG8)分子が凝集して、オートファゴソームを形成することである。細胞でオートファジーが起こると、EGFPで標識化されたLC3分子が凝集し、強く放出された緑色発光が共焦点顕微鏡で観察されうる;一方、オートファジーを伴わない細胞については、緑色発光が分散するかまたはほんの少しだけ凝集しうる。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの効果でHela細胞のオートファジーが起こることを証明している。
【図13】図13は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、異なる方法で処置したHela細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真(1000倍)およびEGFP−LC3凝集を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間アジュバントで処置したHela細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間不活化H5N2型鳥インフルエンザウイルスで処置したHela細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真を示し、図Cは、上記の2つの条件下でのEGFP−LC3凝集を伴うHela細胞%の棒グラフを示す。それは、不活化H5N2型鳥インフルエンザウイルスの効果でHela細胞のオートファジーが起こることを証明している。
【図14】図14は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、異なる方法で処置したHela細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真(1000倍)およびEGFP−LC3凝集を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間アジュバントで処置したHela細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間不活化H9N2型鳥インフルエンザウイルスで処置したHela細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真を示す。図Cは、上記の2つの条件下でのEGFP−LC3凝集を伴う細胞%の棒グラフを示す。それは、不活化H9N2型鳥インフルエンザウイルスの効果でHela細胞のオートファジーが起こることを証明している。
【図15】図15は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、次いで、異なる方法で処置したHela細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真(1000倍)およびEGFP−LC3凝集を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間BSAタンパク質で処置したHela細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間H5タンパク質で処置したHela細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Cは、上記の2つの条件下でのEGFP−LC3凝集を伴うHela細胞%の棒グラフを示す。それは、H5タンパク質の効果でHela細胞のオートファジーが起こることを証明し、また、発現したH5タンパク質が生物活性を有することを証明している。
【図16】図16は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、次いで、異なる方法で処置したHela細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真(1000倍)およびEGFP−LC3凝集を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間DMSOで処置したHela細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間ラパマイシンで処置したHela細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Cは、上記の2つの条件下でのEGFP−LC3凝集を伴うHela細胞%の棒グラフを示す。ラパマイシンがオートファジーの発生をもたらすことは文献から既知であるので、陽性対照としてラパマイシンを用いる、実験方法は正確かつ有効なものであることが証明される。
【図17】図17は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、次いで、異なる方法で処置したA549細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真(1000倍)およびEGFP−LC3凝集を伴うHela細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間陰性対照、トリ將尿液で処置したA549細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Cは、上記の2つの条件下でのEGFP−LC3凝集を伴うA549細胞%の棒グラフを示す。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの効果でA549細胞のオートファジーが起こることを証明している。
【図18】図18は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、次いで、異なる方法で処置したA549細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真(1000倍)およびEGFP−LC3凝集を伴うHela細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間BSAで処置したA549細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間H5タンパク質で処置したA549細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Cは、上記の2つの条件下でのEGFP−LC3凝集を伴うA549細胞%の棒グラフを示す。それは、H5タンパク質の効果でA549細胞のオートファジーが起こることを証明し、また、発現したH5タンパク質が生理活性を有することを証明している。
【図19】図19は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、次いで、異なる方法で処置したA549細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真(1000倍)およびEGFP−LC3凝集を伴うHela細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間DMSOで処置したA549細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間ラパマイシンで処置したA549細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Cは、上記の2つの条件下でのEGFP−LC3凝集を伴うA549細胞%の棒グラフを示す。ラパマイシンがオートファジーの発生をもたらすことは文献から既知であるので、陽性対照としてラパマイシンを用いる、実験方法は正確かつ有効なものであることが証明される。
【図20】図20は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。左側の第1ラインは、1.5時間陰性対照で処置したA549細胞の溶解サンプルであり、第2ラインは、1.5時間不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞の溶解サンプルである;抗体は、それぞれ(上から下へ)、LC3およびアクチン抗体である。LC3IIの相対的発現レベルは増大しており、それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがLC3シグナル経路を活性化し、オートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発することを証明している。
【図21】図21は、Quantity one−4.6.3のソフトウェアを用いて図22に示される繰り返されたウエスタンブロット実験から得られたバンドの濃度を定量化した相対比の棒グラフを示す。左図は、ウエスタンブロット実験にて陰性対照で処置したA549細胞におけるLC3II対アクチン相対比を示し、右図は、ウエスタンブロット実験にて不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞におけるLC3II対アクチンの相対比を示す、比率の値を1に調整。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがLC3シグナル経路を活性化し、オートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発することを証明している。
【図22】図22は、棒グラフとして異なる方法で処置したA549細胞の生存率を示す。A549細胞は、対照siRNAおよびAtg12 siRNAがそれぞれトランスフェクトされ、次いで、対照試薬または不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置されている。細胞生存率の結果はMTTキットで測定される。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスが細胞の生存率を著しく減少させるのに対し、Atg12 siRNAが不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの効果を軽減することを証明している。すなわち、オートファジー(II型細胞アポトーシス)に対する抑制効果は、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発される細胞死を軽減する。
【図23】図23は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。左側ラインは、対照siRNAをトランスフェクトし、次いで、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞の溶解サンプルであり、右側ラインは、対照Atg12 siRNAをトランスフェクトし、次いで、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞の溶解サンプルである;抗体は、それぞれ(上から下へ)、Atg12およびアクチン抗体である。Atg5およびAtg12は細胞内で複合体を形成してオートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発するため、検出された結果は、アクチンに対するAtg5およびAtg12の複合体の相対量で示す。それは、Atg12 siRNAがAtg5およびAtg12の複合体の相対量を効果的に減少させることを証明している。
【図24】図24は、Quantity one−4.6.3のソフトウェアを用いて図25に示される繰り返されたウエスタンブロット実験から得られたバンドの濃度を定量化した相対比の棒グラフを示す。左図は、対照siRNAをトランクフェクトしたA549細胞におけるに対するAtg5およびAtg12の複合体対アクチンの相対比を示す、該値を1に調整。右図は、対照Atg12 siRNAをトランスフェクトしたA549細胞におけるAtg5およびAtg12の複合体対アクチン相対比を示す。それは、Atg12 siRNAがAtg5およびAtg12の複合体の相対量を効果的に減少させることを証明されている。
【図25】図25は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。左側ラインは、陰性対照でA549細胞の溶解サンプルであり、右側ラインは不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞の溶解サンプルである;抗体は、それぞれ(上から下へ)、リン酸化S6、S6およびアクチン抗体である。S6はmTORの基質であり、リン酸化S6の相対的減少は、mTOR経路の活性を阻害したことを示しており、それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがmTORシグナル経路を阻害し、さらに、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがmTORシグナル経路を介してオートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発することを証明している。
【図26】図26は、Quantity one−4.6.3のソフトウェアを用いて繰り返されたウエスタンブロット実験から得られたバンドの濃度を定量化した相対比の棒グラフを示す。左図は、ウエスタンブロット実験にて陰性対照で処置したA549細胞におけるリン酸化S6対S6の相対比を示す、該値を1に調整。右図は、ウエスタンブロット実験にて不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞におけるリン酸化S6対S6の相対比を示す。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがmTORシグナル経路を阻害し、さらに、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがmTORシグナル経路の阻害を介してオートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発することを証明している。
【図27】図27は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。左側ラインは、陰性対照で処置したA549細胞の溶解サンプルであり、右側ラインは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞の溶解サンプルである;抗体は、それぞれ(上から下へ)、リン酸化mTORおよびmTOR抗体である。リン酸化mTORの量は相対的に減少しており、それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがmTORシグナル経路を阻害することおよび不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがmTORシグナル経路の阻害を介してオートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発することを証明している。
【図28】図28は、Quantity one−4.6.3のソフトウェアを用いて繰り返されたウエスタンブロット実験から得られたバンドの濃度を定量化した相対比の棒グラフを示す。左図は、ウエスタンブロット実験にて陰性対照で処置したA549細胞のリン酸化mTOR対mTORの相対比を示す、該値を1に調整。右図は、ウエスタンブロット実験にて不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞におけるリン酸化mTOR対mTORの相対比を示す。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがmTORシグナル経路を阻害することおよび不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがmTORシグナル経路の阻害を介してオートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発することを証明している。
【図29】図29は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、次いで、異なる方法で処置したA549細胞の共焦点レーザー顕微鏡下写真(1000倍)を示す。図Aは、陰性対照siRNAをトランスフェクトし、次いで、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Bは、TSC2 siRNAをトランスフェクトし、次いで、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。TSC2 siRNAをトランスフェクトした後、EGFP−LC3凝集を伴う細胞は減少し、それは、TSC2 siRNAが不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発されるオートファジー(II型細胞アポトーシス)を阻害することを証明している。
【図30】図30は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、次いで、異なる方法で処置したA549細胞中のEGFP−LC3凝集を伴う細胞%の棒グラフを示す。左図は、陰性対照siRNAをトランスフェクトし、次いで、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞におけるEGFP−LC3凝集を伴う細胞%を示し、右図は、TSC2 siRNAをトランスフェクトし、次いで、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞におけるEGFP−LC3凝集を伴う細胞%を示す。それは、TSC2 siRNAが不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発されるオートファジー(II型細胞アポトーシス)を阻害することを証明している。
【図31】図31は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。対照siRNAおよびTSC2 siRNAをそれぞれトランスフェクトしたA549細胞のサンプルは、トランスフェクションの48時間後に溶解した;抗体は、それぞれ(上から下へ)、TSC2およびアクチン抗体である。それは、TSC2 siRNAがTSC2の発現レベルを有意に減少しうることを証明している。
【図32】図32は、Quantity one−4.6.3のソフトウェアを用いて図25に示される繰り返されたウエスタンブロット実験から得られたバンドの濃度を定量化した相対比の棒グラフを示す。左図は、対照siRNAをトランスフェクトしたA549細胞におけるTSC2対アクチンの相対比を示す、該比率の値を1に調整。右図は、TSC2 siRNAをトランスフェクトしたA549細胞におけるTSC2対アクチンの相対比を示す。それは、TSC2 siRNAがTSC2の発現レベルを有意に減少しうることを証明している。
【図33】図33は、棒グラフとして異なる方法で処置したA549細胞の生存率を示す。A549細胞は、対照siRNAおよびTSC2 siRNAがそれぞれトランクフェクトされ、次いで、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置されている。細胞生存率の結果はMTTキットで測定される。細胞生存率は、TSC2 siRNAのトランスフェクションを介して増加する。それは、TSC2 siRNAが不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発される細胞死を遅延しうることを証明している。
【図34】図34は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。左側ラインは、陰性対照で処置したA549細胞の溶解サンプルであって、右側ラインは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞の溶解サンプルである;抗体は、それぞれ(上から下へ)、リン酸化AktおよびAkt抗体である。リン酸化Aktの相対量の減少は、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがAktシグナル経路を阻害しうることを示す。
【図35】図35は、Quantity one−4.6.3のソフトウェアを用いて繰り返されたウエスタンブロット実験から得られたバンドの濃度を定量化した相対比の棒グラフを示す。左図は、ウエスタンブロット結果における陰性対照で処置したA549細胞におけるリン酸化Akt対Aktの相対比を示す、該比率の値を1に調整。右図は、ウエスタンブロット結果における不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞におけるリン酸化Akt対Aktの相対比を示す。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがAktシグナル経路を阻害しうることを証明している。
【図36】図36は、トリ將尿液または不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを注入したマウスの肺組織の電子顕微鏡写真を示す。図Aは、トリ將尿液を注入した肺組織の電子顕微鏡写真を示す;図Bは、Aの白線ボックスに示される位置の部分的に拡大した図を示す。より完全な細胞が観察されたが、オートファゴソームは観察されなかった;図Cは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを注入した肺組織の電子顕微鏡写真を示す;図Dは、Aの白線ボックスに示される位置の部分的に拡大した図を示す。より完全な細胞が観察された。細胞中のオートファゴソームが観察された(矢印によって表される)。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスが肺組織のオートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発しうることを証明している。
【図37】図37は、細胞シグナル経路の略図を示す。上記の実験結果から、本発明者らは、略図に示される結論を得ることができた:鳥インフルエンザウイルスは、AKTからTSC1/2、次いで、mTOR、そして、オートファジーの経路を介してオートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発しうる。鳥インフルエンザウイルスはAKTを阻害し、AKTはTSC1/2を阻害し、TSC1/2はmTOR経路を阻害し、mTOR経路はオートファジー(II型細胞アポトーシス)を阻害する;オートファジー経路は、Atg5−Atg12からLC3の経路を介して作用して、オートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発する。
【図38】図38は、棒グラフとして異なる方法で処置したA549細胞の生存率を示す。陰性対照、3MAまたは不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置した後、A549細胞の生存率は、MTTキットで測定された。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスが細胞の生存率を著しく減少させるのに対し、3MAが不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発される細胞死を減少することを証明している。
【図39】図39は、Balb/cマウスの肺の病理切片の写真(200倍)を示す。図Aは、対照(トリ將尿液)を気管注入し、その6時間後に肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真を示し、図Bは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入し、その6時間後に肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真を示し、図Cは、3−MA(30mg/kg)を腹腔内注射し、その30分後に不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入し、その6時間後に肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真を示す。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスが重篤な肺損傷をもたらしうるのに対し、3−MAが不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。
【図40】図40は、棒グラフとして油浸レンズ(1000倍)下の肺組織の病理切片に局在する炎症細胞数を示す。左から右に、それぞれ、対照(トリ將尿液)を気管注入した6時間後のマウスの肺病理切片数、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入した6時間後のマウスの肺病理切片数、3−MA(30mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、不活化H5N1型鳥インフルエンザを注入した6時間後のマウスの肺病理切片数を示す。炎症細胞浸潤は、最も重要な指標の一つである。不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの注入は非常に浸潤した炎症細胞をもたらしたのに対し、3−MAは不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発される炎症細胞数を減少させた。結果は、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスが重篤な肺損傷をもたらすのに対し、3−MAが不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。
【図41】図41は、Balb/cマウスの肺組織LC3のウエスタンブロットの結果を示す。第1ラインは、2時間対照(トリ將尿液)を気管注入したマウスの均質化肺組織から抽出された全タンパク質のサンプルを示す;第2ラインは、2時間不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入したマウスの均質化肺組織から抽出された全タンパク質のサンプルを示し、第3ラインは、3−MA(30mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、2時間不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入したマウスの均質化肺組織から抽出された全タンパク質のサンプルを示す。抗体は、LC3およびβ−アクチンである。それは、マウスの肺組織中のLC3 II含量が不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの刺激によって増加してオートファジーが起こるのに対し、3−MAがオートファジーの発生を軽減することを証明している。
【図42】図42は、Quantity one−4.6.3のソフトウェアを用いて繰り返されたウエスタンブロット実験から得られたバンドの濃度を定量化した相対比の棒グラフを示す。LC3 II対β−アクチンの相対比は、図42に示されるバンドの濃度に相当する。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルス刺激によってマウスの肺組織におけるLC3 II含量が増加してオートファジーを引き起こすのに対し、3−MAはオートファジーの発生を軽減することを証明している。
【図43】図43は、Balb/cマウスの肺組織の弾性の結果を示す。それは、それぞれ、対照(トリ將尿液)を気管注入したマウスの、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入したマウスの、そして、最初に3−MA(30mg/kg)を腹腔内注射し、30分後に不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを注入したマウスからの、肺組織の弾性の変化を示す。自発呼吸するマウスの肺弾性の変化を、4時間30分ごとに測定した。肺弾性は、肺機能を測定するための重要な指標である。不活化鳥インフルエンザウイルスの気管注入はマウスの肺のコンプライアンスを著しく減少させるのに対し、3−MAは誘発された損傷の軽減および肺の保護機能に一定の効果を有する。
【図44】図44は、棒グラフとしてBalb/cマウスの肺湿/乾比を示す。それは、左から右に、対照(トリ將尿液)を気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比、3−MA(30mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比、およびウォルトマンニン(1.5mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比を示す。肺湿/乾比は、肺損傷の重要な指標の一つであり、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの注入は、湿/乾比を著しく増加するのに対し、3−MAおよびウォルトマンニンは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによってもたらされた湿/乾比の増加を減少させる。結果は、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスが重篤な肺損傷を引き起こすのに対し、3−MAおよびウォルトマンニンが不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。
【図45】図45は、Balb/cマウスの生存曲線を示す。不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの気管注入の8時間前、2時間前およびその気管注入の30分後に、3−MA(15mg/kg)を腹腔内注射して、15分ごとに生存状況を観察した。それは、3−MAがマウスの死の遅延に対して効果を有することを証明している。
【図46】図46は、マウスの肺組織のリアルタイムPCRの結果を示す。マウスに対照siRNAおよびAtg5 siRNAをそれぞれ注入して、24時間後、肺組織を均質化し、RNAを抽出して、リアルタイムPCRを行った。それは、Atg5 siRNAの気管注入がAtg5 mRNAレベルの低下を効果的にもたらすことを証明している。
【図47】図47は、Balb/cマウスの肺組織の弾性の結果を示す。対照siRNAおよびAtg5 siRNAをそれぞれ注入し、24時間後、対照(トリ將尿液)および不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスをそれぞれ注入した、マウスの肺組織の弾性を30分ごとに測定した。自発呼吸するマウスの肺弾性の変化の測定を4時間行った。不活化鳥インフルエンザウイルスの気管注入はマウスの肺のコンプライアンスを著しく減少させるのに対し、Atg5 siRNAはAtg5タンパク質の発現の阻害を介して肺損傷をある程度軽減することから、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがオートファジー(II型細胞アポトーシス)を活性化して肺損傷の発生を誘発することを示唆する。
【図48】図48は、棒グラフとしてBalb/cマウスの肺湿/乾比を示す。対照siRNAおよびAtg5 siRNAをそれぞれ注入し、24時間後、対照(トリ將尿液)および不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスをそれぞれ注入した、4時間後のマウスの肺組織の湿/乾比の結果である。肺湿/乾比は、肺損傷の重要な指標の一つであり、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの注入は著しく湿/乾比を増加するのに対し、Atg5 siRNAはAtg5タンパク質の発現を阻害して肺損傷をある程度軽減することから、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがオートファジー(II型細胞アポトーシス)を活性化して肺損傷の発生を誘発することを示唆する。
【図49】図49は、Balb/cマウスの肺の病理切片の写真(200倍)を示す。図Aは、酸吸引後Fcタンパク質を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真を示す。図Bは、酸吸引後H5Fcタンパク質を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真を示す。図Cは、酸吸引後3−MA(30mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、H5Fcタンパク質を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真を示す。それは、酸吸引後のH5Fcタンパク質が肺損傷を悪化させるのに対し、3−MAは酸吸引後のH5Fcタンパク質によって誘発された肺損傷をある程度改善することを証明している。
【図50】図50は、棒グラフとして油浸レンズ(1000倍)下にて肺組織の病理切片に局在する炎症細胞数を示す。左から右に、それぞれ、酸吸引後Fcタンパク質を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの肺病理切片数、酸吸引後H5Fcタンパク質を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの肺病理切片数、および酸吸引後3−MA(30mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、H5Fcタンパク質を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの肺病理切片数を示す。炎症細胞浸潤は、重要な指標の一つである。H5Fcタンパク質の注入は浸潤した炎症細胞数を増加させるのに対し、3−MAはH5Fcタンパク質によって誘発される炎症細胞数の増加を減少させる。結果は、酸吸引後のH5Fcタンパク質が肺損傷を悪化させるのに対し、3−MAが酸吸引後のH5Fcタンパク質によって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。
【図51】図51は、棒グラフとしてBalb/cマウスの肺湿/乾比を示す。左から右に、それぞれ、酸吸引後Fcタンパク質を気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比、酸吸引後H5Fcタンパク質を気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比、酸吸引後3−MA(30mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、H5Fcタンパク質を気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比、酸吸引後LY294002(0.25mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、H5Fcタンパク質を気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比である。肺湿/乾比は、肺損傷の重要な指標の一つである。酸吸引後のH5Fcタンパク質の気管注入は湿/乾比を著しく増加させるのに対し、3−MAおよびLY294002は酸吸引後のH5Fcタンパク質によって誘発される湿/乾比の増加を減少させた。結果は、酸吸引後のH5Fcタンパク質が重篤な肺損傷を引き起こすのに対し、3−MAおよびLY294002が酸吸引後のH5Fcタンパク質によって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。
【図52】図52は、異なる方法で処置したA549細胞の電子顕微鏡写真(20000倍)を示す。図Aの最初の写真は、4時間アジュバントで処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示し、図Cは、1時間P38経路の特異的阻害薬、SB203580で前処置し、次いで、4時間不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示す。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの効果でA549細胞のオートファジーが起こったのに対し、P38経路の特異的阻害薬、SB203580がオートファジーを減少させたことを証明している。
【図53】図53は、電子顕微鏡下にて観察された種々の処置を行ったオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴うA549細胞%の棒グラフを示す。左側の第一グラフは、4時間アジュバントで処置したオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴うA549細胞%を示し、第2グラフは、4時間不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴うA549細胞%を示し、第3グラフは、1時間P38経路の特異的阻害薬、SB203580で処置し、次いで、4時間不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴うA549細胞%を示す。結果は、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスのみで処置したオートファジーを伴うA549細胞の比率が24.3%であることを示す;P38経路の阻害薬、SB203580で処置した後に不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置すると、オートファジーを伴うA549細胞の比率は7.73%である。2つのケースの間には有意な違いがある。結果は、P38経路の阻害薬、SB203580が不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発されるオートファジーの発生を効果的に阻害しうることを証明している。
【図54】図54は、異なる方法で処置したA549細胞におけるウエスタンブロット実験の結果を示す。左側の第1ラインは、4時間アジュバントで処置したA549細胞の溶解サンプルを示し、第2ラインは、4時間不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞の溶解サンプルを示す;抗体は、それぞれ(上から下へ)、リン酸化P38、P38およびアクチン抗体である。それは、サンプル量がほとんど同量である(アクチンが同量のサンプルを確保するための内部パラメーターとして用いられる)場合に、リン酸化P38の発現レベルが著しく増加する、すなわち、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがP38シグナル経路を活性化しうることを証明している。
【図55】図55は、Balb/cマウスの肺の病理切片の写真(200倍)を示す。図Aは、対照(トリ將尿液)を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真を示す。図Bは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真を示す。図Cは、SB203580(16mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られた病理切片の写真を示す。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスが重篤な肺損傷を引き起こすのに対し、SB203580が不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがp38シグナル経路を介して肺損傷を誘発することを示す。
【図56】図56は、棒グラフとして油浸レンズ(1000倍)下の肺組織の病理切片に局在する炎症細胞数を示す。左から右に、それぞれ、対照(トリ將尿液)を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの肺病理切片数、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの肺病理切片数、マウスにSB203580(16mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、不活化H5N1型鳥インフルエンザを気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの肺病理切片数を示す。炎症細胞浸潤は、肺損傷の重要な指標の一つである。不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの注入は、非常に浸潤した炎症細胞をもたらすのに対し、SB203580は不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発される浸潤した炎症細胞数を減少させる。結果は、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスが重篤な肺損傷を引き起こすのに対し、SB203580が不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。
【図57】図57は、棒グラフとしてBalb/cマウスの肺湿/乾比を示す。それは、左から右に、対照(トリ將尿液)を気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比、SB203580(16mg/kg)を腹腔内注射し、1時間後、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比を示す。肺湿/乾比は、肺損傷の重要な指標の一つである。不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの注入は湿/乾比を著しく増加させたのに対し、SB203580は不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発される湿/乾比の増加を減少させた。結果は、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスが重篤な肺損傷を引き起こすのに対し、SB203580が不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。
【図58】図58は、Balb/cマウスの肺病理切片の写真(200倍)を示す。左図は、酸吸引後Fcタンパク質を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真である。中央図は、酸吸引後H5Fcタンパク質を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真である。右図は、酸吸引後SB203580(16mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、H5Fcタンパク質を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真である。酸吸入後のH5Fcタンパク質の注入は肺損傷を悪化させるのに対し、SB203580は酸吸引後のH5Fcタンパク質によって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。
【図59】図59は、油浸レンズ(1000倍)下の肺組織の病理切片に局在する炎症細胞数を示す。図Aは、酸吸引後Fcタンパク質を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの肺病理切片数を示す。図Bは、酸吸引後H5Fcタンパク質を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの肺病理切片数を示す。図Cは、酸吸引後SB203580(16mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、H5Fcタンパク質を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの肺病理切片数を示す。炎症細胞浸潤は、肺損傷の重要な指標の一つである。H5Fcタンパク質の注入は浸潤した炎症細胞数を増加させたのに対し、pSB203580はH5Fcタンパク質によって誘発される浸潤した炎症細胞の増加を減少させた。結果は、酸吸引後のH5Fcタンパク質が肺損傷を悪化させるのに対し、SB203580が酸吸引後のH5Fcタンパク質によって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。
【図60】図60は、棒グラフとしてBalb/cマウスの肺湿/乾比を示す。左から右に、それぞれ、酸吸引後Fcタンパク質を気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比、酸吸引後H5Fcタンパク質を気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比、酸吸引後SB203580(16mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、H5Fcタンパク質を気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比を示す。肺湿/乾比は、肺損傷の重要な指標の一つであり、酸吸引後のH5Fcタンパク質の気管注入は肺湿/乾比を著しく増加させたのに対して、SB203580は酸吸引後のH5Fcタンパク質によって誘発される肺湿/乾比の増加を減少させた。結果は、酸吸引後のH5Fcタンパク質が重篤な肺損傷を引き起こすのに対し、SB203580が酸吸引後のH5Fcタンパク質によって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。
【図61】図61は、種々の処置をしたA549細胞の生存率を示す。A549細胞を種々のナノメートル物質(PAMAM)で処置し、24時間後、A549細胞の生存率をMTT法で測定した。
【図62】図62は、異なる方法で処置したA549細胞のゲノム電気泳動図を示す。A549細胞を、対照、ジメチルスルホキシド(DMSO、6%v/v)およびナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置した後、細胞を回収し、細胞のゲノムDNAをゲノム抽出用キットで単離し、アガロースゲル電気泳動を行った。ジメチルスルホキシドは、アポトーシス誘導剤として用いた。
【図63】図63は、異なる方法で処置したA549細胞のカスパーゼ−3活性の結果を示す。A549細胞を、対照、ジメチルスルホキシド(DMSO、6%v/v)、ナノメートル物質PAMAM G5.5およびPAMAM G3種でそれぞれ処置し。24時間後、細胞のカスパーゼ−3活性をカスパーゼ−3活性試験キットで測定した。
【図64】図64は、異なる方法で処置したA549細胞の電子顕微鏡写真(20000倍)を示す。図Aは、24時間対照で処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示す。図Bは、24時間ナノメートル物質PAMAM G5.5(100μg/mL)で処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示す。図Cは、24時間ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示す。図Dは、1時間3−MA(10mM)で処置し、次いで、24時間ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示す。Aナノメートル物質PAMAM G5の効果で549細胞のオートファジーが起こり、オートファジーによって誘発される細胞死は3−MAによって軽減されうることを証明している。
【図65】図65は、オートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴うA549細胞%の棒グラフを示す。オートファジーの発生後の細胞の典型的な特徴は、オートファゴソームの出現である。100個のランダム細胞当たり2以上のオートファゴソームを有する細胞%を算出した。3−MAがナノメートル物質PAMAM G3によって誘発されるオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴う細胞%を減少させたことは明らかである。すなわち、3−MAはオートファジー(II型細胞アポトーシス)を処置または軽減しうる。
【図66】図66は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、次いで、異なる方法で処置したA549細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真(1000倍)を示す。図Aは、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、次いで、24時間対照で処置したA549細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Bは、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、次いで、24時間ナノメートル物質PAMAM G5.5(100μg/mL)で処置したA549細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Cは、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、次いで、24時間ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置したA549細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Dは、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、3−MA(10mM)で処置し、次いで、24時間PAMAM G3(100μg/mL)で処置したA549細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。
【図67】図67は、上記の条件下でのEGFP−LC3凝集を伴う細胞%の棒グラフを示す。オートファジーの発生後の細胞の典型的な特徴は、LC3(ATG8)分子を凝集してオートファゴソームを形成することである。LC3分子をEGFPで標識化した。細胞にオートファジーが起こった場合には、LC3分子が凝集して、強く発光する緑色蛍光が共焦点顕微鏡下にて観察されうる。しかしながら、細胞にオートファジーが起こらなかった場合には、緑色蛍光は分散するかまたはほんの少しだけ凝集する。それは、ナノメートル物質PAMAM G3の効果でA549細胞のオートファジーが起こり、オートファジーによって誘発される細胞死が3−MAによって軽減されうることを証明している。
【図68】図68は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。左側の第1ラインは、4時間対照で処置したA549細胞の溶解サンプルを示し、第2ラインは、4時間ナノメートル物質PAMAM G5.5(100μg/mL)で処置したA549細胞の溶解サンプルを示し、第3ラインは、4時間ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置したA549細胞の溶解サンプルを示す;抗体は、それぞれ(上から下へ)、LC3Bおよびアクチン抗体である。それは、LC3B−IIタンパク質の発現レベルが有意に増加したことを証明している。すなわち、ナノメートル物質PAMAM G3はオートファジーを誘発する。
【図69】図69は、異なる処置をしたA549細胞の生存率を示す。A549細胞を、1時間対照、ナノメートル物質PAMAM G5.5、PAMAM G3、3−MAでそれぞれ前処理し、次いで、24時間ナノメートル物質PAMAM G3および薬物対照3−MAで処置した。細胞の生存率の結果をMTT法で測定した。それは、3−MAがナノメートル物質PAMAM G3によって誘発される細胞死を有意に減少しうることを示す。
【図70】図70は、異なる処置をしたA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。サンプルは、24時間対照siRNAまたはATG6 siRNAをトランスフェクトしたA549細胞の溶解サンプルである。抗体は、それぞれ(上から下へ)、ATG6およびアクチン抗体である。ウエスタンブロット実験の結果は、ATG6 siRNAがATG6遺伝子の発現を有効に阻害することを示す。
【図71】図71は、種々の処置をしたA549細胞の生存率を示す。A549細胞に、対照siRNAおよびATG6 siRNAをそれぞれトランスフェクトした。次いで、24時間ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置した。細胞の生存率をMTT法で測定した。それは、ナノメートル物質PAMAM G3がATG6遺伝子の発現を調節することによって細胞死を誘発して、オートファジーを形成することを証明している。
【図72】図72は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。A549細胞は、4時間異なる種類のナノメートル物質(PAMAM)で処置した。次いで、細胞中のLC3−IIの発現レベルをウエスタンブロット法で検出した。それは、ナノメートル物質PAMAM G4、G5、G6、G7、G8すべてが細胞中のLC3−IIの発現レベルを増加させたことを示し、全てのこれらのナノメートル物質が細胞死を引き起こすためにオートファジーを誘発しうることを示唆する。
【図73】図73は、Quantity one−4.6.3のソフトウェアを用いて図75に示されるウエスタンブロット実験から得られたバンドの濃度で定量化した相対比の棒グラフを示す。それらは、連続して、陰性対照、G5.5、G4、G6、G7およびG8で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験におけるLC3II対アクチンの相対比を示す、対照値を1に調整。他のグループの値は、対照値で割った。それは、G4、G5、G6、G7およびG8がLC3シグナル経路を活性化し、オートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発しうることを証明している。
【図74】図74は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット法の結果を示す。A549細胞は、24時間異なる種類のナノメートル物質(PAMAM)で処置し、細胞の生存率の結果をMTT法で測定した。それは、ナノメートル物質PAMAM G4、G5、G6、G7およびG8すべてが細胞死を誘発しうることを証明している。
【図75】図75は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。第1ラインは、24時間対照で処置したA549細胞の溶解サンプルを示し、第2ラインは、24時間ナノメートル物質PAMAM G5.5で処置したA549細胞の溶解サンプルを示し、第3ラインは、24時間ナノメートル物質PAMAM G3で処置したA549細胞の溶解サンプルを示す;抗体は、それぞれ(上から下へ)、2481位リン酸化mTOR抗体および全mTOR抗体である。それは、リン酸化mTORタンパク質の発現レベルが有意に減少したことを証明している。すなわち、mTOR経路を阻害する。
【図76】図76は、Quantity one−4.6.3のソフトウェアを用いて図78に示されるウエスタンブロット実験から得られたバンドの濃度を定量化した相対比の棒グラフを示す。それは、連続して、対照、G5.5(100μg/mL)、およびG3(100μg/mL)で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験におけるリン酸化mTOR対mTORタンパク質の相対比を示す、対照値を1に調整。他のグループの値は、対照値で割った。それは、G3がmTORシグナル経路を阻害し、オートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発しうることを証明している。
【図77】図77は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。第1ラインは、24時間対照で処置したA549細胞の溶解サンプルを示し、第2ラインは、24時間ナノメートル物質PAMAM G5.5(100μg/mL)で処置したA549細胞の溶解サンプルを示し、第3ラインは、24時間ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置したA549細胞の溶解サンプルを示す;抗体は、それぞれ(上から下へ)、リン酸化S6抗体および全S6抗体である。それは、リン酸化S6タンパク質の発現レベルが有意に減少し、S6経路が阻害されることを証明している。すなわち、mTOR経路を阻害する。
【図78】図78は、Quantity one−4.6.3のソフトウェアを用いて図80に示されるウエスタンブロット実験から得られたバンドの濃度を定量化した相対比の棒グラフを示す。それらは、連続して、陰性対照、G5.5(100μg/mL)、およびG3(100μg/mL)で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験におけるリン酸化S6対S6タンパク質の相対比を示す、対照値を1に調整。他のグループの値は、対照値で割った。それは、G3がS6の活性化を阻害しうる、すなわち、G3がmTORシグナル経路を阻害し、オートファジー(II型細胞アポトーシス)を引き起こしうることを証明している。
【図79】図79は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、次いで、異なる方法で処置したA549細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真(1000倍)を示す。図Aは、24時間対照siRNAで処置し、次いで、ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置した細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Bは、24時間TSC2 siRNAで処置し、次いで、ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置した細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。
【図80】図80は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトしたA549細胞を異なる方法で処置した後の、EGFP−LC3凝集を伴う細胞%を示す。図Aは、A549細胞に陰性対照siRNAをトランスフェクトし、次いで、PAMAM G3(100μg/mL)で処置した後の、EGFP−LC3凝集を伴う細胞%を示し、図Bは、A549細胞にTSC2 siRNAをトランスフェクトし、次いで、PAMAM G3(100μg/mL)を処置した後の、EGFP−LC3凝集を伴う細胞%を示す。それは、TSC2 siRNAがPAMAM G(100μg/mL)によって誘発されるオートファジー(II型細胞アポトーシス)を阻害しうることを証明している。
【図81】図81は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。A549細胞に対照siRNAおよびTSC 2 siRNAをそれぞれトランスフェクトし、次いで、24時間ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置して、細胞の生存率をMTT法で測定した。それは、TSC2 siRNAがTSC2遺伝子の発現を有効に阻害することを示す。
【図82】図82は、種々の処置したA549細胞の生存率を示す。A549細胞に対照siRNAおよびTSC 2 siRNAをそれぞれトランスフェクトし、次いで、24時間ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置して、細胞の生存率をMTT法で測定した。それは、ナノメートル物質PAMAM G3がTSC 2遺伝子の発現を調節することによって細胞死を誘発して、オートファジーを形成することを立証している。
【図83】図83は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロットおよび定量分析の結果を示す。第1ラインは、24時間対照で処置したA549細胞の溶解サンプルを示し、第2ラインは、24時間ナノメートル物質PAMAM G5.5(100μg/mL)で処置したA549細胞の溶解サンプルを示し、第3ラインは、24時間ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置したA549細胞の溶解サンプルを示す;抗体は、それぞれ(上から下へ)、リン酸化Akt抗体および全Akt抗体である。それは、リン酸化Aktタンパク質の発現レベルが有意に減少することでAkt経路を阻害することを証明している。
【図84】図84は、Quantity one−4.6.3のソフトウェアを用いて図86に示されるウエスタンブロット実験から得られるバンドの濃度を定量化した相対比の棒グラフを示す。それらは、連続して、陰性対照、G5.5(100μg/mL)、およびG3(100μg/mL)で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験におけるリン酸化akt対aktタンパク質の相対比を示す、対照値を1に調整。他のグループの値は対照値で割った。それは、G3がaktシグナル経路の活性化を阻害しうることを証明している。
【図85】図85は、細胞シグナル経路の略図を示す。上記の実験結果から、本発明者らは略図に示されるように結論づけることができる:ナノメートル物質PAMAM G3がAkt−TSC1/2−mTOR−オートファジーの経路を活性化しうる。mTORの活性化は、オートファジーの発生を阻害しうる;TSC1/2の活性化は、オートファジー(II型細胞アポトーシス)を促進するためにmTORの活性化を阻害しうる。
【図86】図86は、Balb/cマウスの肺病理切片の写真(200倍)を示す。図Aは、対照を気管注入し、4時間後、肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真を示す。図Bは、ナノメートル物質PAMAM G5.5(100μg/mL)を気管注入し、4時間後、肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真を示す。図Cは、ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)を気管注入し、4時間後、肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真を示す。それは、ナノメートル物質PAMAM G3が重篤な肺損傷を引き起こすことを証明している。
【図87】図87は、棒グラフとしてBalb/cマウスの肺湿/乾比を示す。それらは、左から右に、対照を気管注入した16時間後のマウスの肺湿/乾比、ナノメートル物質PAMAM G5.5(100μg/mL)を気管注入した16時間後のマウスの肺湿/乾比、ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)を気管注入した16時間後のマウスの肺湿/乾比、3−MAを腹腔内注射し、1時間後、ナノメートル物質PAMAM G3を気管注入した16時間後のマウスの肺湿/乾比、および3−MA(15mg/kg)を腹腔内注射した17時間後のマウスの肺湿/乾比を示す。肺湿/乾比は、肺損傷の重要な指標の一つである。ナノメートル物質PAMAM G3の気管注入は肺組織の湿/乾比を増加させるのに対し、3−MAはナノメートル物質PAMAM G3によって誘発されるマウスの肺湿/乾比の増加を軽減する。結果は、ナノメートル物質PAMAM G3が重篤な肺損傷を引き起こすのに対し、3−MAがナノメートル物質PAMAM G3によって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。
【図88】図88は、Balb/cマウスの肺弾性の変化の略図を示す。左から右に、連続して、対照を気管注入したBalb/cマウスの肺弾性の変化、ナノメートル物質PAMAM G5.5(50mg/kg)を気管注入したマウスの肺弾性の変化、ナノメートル物質PAMAM G3(50mg/kg)を注入したマウスの肺弾性の変化、3−MA(15mg/kg)を腹腔内注射し、1時間後、ナノメートル物質PAMAM G3を注入したマウスの肺弾性の変化を示す。肺弾性は、肺損傷の重要な指標の一つである。ナノメートル物質PAMAM G3はマウスの肺弾性の変化を引き起こすのに対し、3−MAはナノメートル物質PAMAM G3によって誘発されるマウスの肺弾性の変化を軽減する。結果は、ナノメートル物質PAMAM G3が重篤な肺損傷を引き起こすのに対し、3−MAがナノメートル物質PAMAM G3によって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。
【図89】図89は、Balb/cマウスの生存曲線を示す。Balb/cマウスは以下のように処置された:対照を気管注入した;ナノメートル物質PAMAM G5.5(50mg/kg)を気管注入した;ナノメートル物質PAMAM G3(50mg/kg)を気管注入した;3−MA(15mg/kg)を腹腔内注射し、1時間後、ナノメートル物質PAMAM G3(50mg/kg)を気管注入した;および3−MA(15mg/kg)を腹腔内注射した。マウスを継続して24時間観察した。1時間おきに生存しているマウス数を計測して、統計解析を行った。結果:ナノメートル物質PAMAM G3はマウスの死亡率を増加させるのに対し、3−MAはナノメートル物質PAMAM G3によって誘発されるマウスの死亡を有意に軽減しうる。
【図90】図90は、ウォルトマンニンの構造式を示す。CAS番号は19545−26−7であり、分子式はC23H24O8であり、分子量は428.43である。
【図91】図91は、LY−294,002の構造式を示す。CAS番号は934389−88−5であり、分子式はC19H17NO3・HClであり、分子量は343.80である。
【図92】図92は、3−メチルアデニンの構造を示す。CAS番号は15142−23−4であり、分子式はC6H7N5であり、分子量は149.15である。
【図93】図93は、SB 203580の構造を示す。CAS番号は152121−47−6であり、分子式はC21H16FN3OSであり、分子量は377.43である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
用語の説明
本発明における「オートファジー性プログラム細胞死」なる語はまた、II型プログラム細胞死(オートファジー)と称される。かかる種類の細胞死は、大量の液胞を含む細胞質および細胞質における細胞小器官の出現, ならびにリソソームによる液胞内の成分の分解を主に特徴とする。オートファジーは、細胞の増殖、発達および疾患に重要な役割を果たす。オートファジーとは、主に、分解した細胞内の損傷細胞構造、老化細胞小器官および不必要な生体高分子を除去することである。オートファジーはまた、消化と同時に細胞中の細胞小器官の構築のための原料を提供する、すなわち、細胞構造をリサイクルする。
【0029】
「SB203580」なる語は、当業者にてSB 203580またはSB−203580とも称され、一般的なp38 MAPK阻害剤の一種である。SB203580は、細胞を透過し、p38 MAPK(p38 MAPキナーゼ)を阻害し、フォローアップMAPKAPキナーゼ−2およびMAPKAPキナーゼ−3の活性化を阻害しうる。SB203580は、p38 MAPKの阻害を介してある炎症因子(IL−1βおよびTNF−αなど)によって誘発されるシグナル伝達の一部を効果的に阻害しうる。SB203580はp38 MAPKを選択的に阻害し、IC50は600nMである;それは、JNK/SAPKおよびp44/42 MAPK(すなわち、Erk1/2)に対する顕著な阻害効果を有しておらず、IC50は100μMのみである。SB203580の分子量は377.43であり、分子式はC21H16FN3OSであり、CAS番号は152121−47−6である。一般的に、生成物の純度は99%以上である。
【0030】
「3−MA」または「3MA」なる語は、3−メチルアデニンの略称である。3−MAは、ホスファチジルイノシトール−3−キナーゼの阻害剤であり、それは、オートファジーにおける自己貪食空胞およびリソソームの融合を特異的に阻害することができ、オートファジーの阻害剤として広く用いられている(Per O SeglenおよびPaul B Gordon.(1982) 3−Methyladenine:specific inhibitor of autophagic/lysosomal protein degradation in isolated rat hepatocytes.Proc Natl Acad Sci USA 79(6):1889−1892)。
【0031】
「LY294002」なる語は、当業者にてLY−294,002、LY−294002またはLY 294002とも称され、ホスファチジルイノシトール−3−キナーゼ細胞シグナル伝達経路を阻害しうる一般的なプロテインキナーゼ阻害薬の一種である。LY294002は、細胞を透過し、PI3Kを特異的に阻害し、Aktのリン酸化の一般的阻害を含む、PI3K/Aktのシグナル伝達経路を阻害しうる。精製されたPI3Kに対するLY294002のIC50は、1.4μMである。LY294002の分子量は307.3であり、分子式はC19H17NO3であり、CAS番号は154447−36−6である。一般的には、生成物の純度は98%以上である。
【0032】
バフィロマイシンA1はまた、オートファジー阻害剤として用いられうる。
【0033】
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は、肺内および肺外疾患の発症、例えば、重症感染症、外傷、ショックによって誘発される肺胞毛細血管損傷によって主に特徴付けられる臨床症候群であり、重篤な段階または種類の急性肺損傷(ALI)に属する。ARDSの臨床的特徴には、頻呼吸および呼吸困難、進行性低酸素症、X線で示されるびまん性肺胞浸潤が含まれる。
【実施例】
【0034】
実施例1
発現宿主においてほとんど用いられないH15タンパク質をコードするコドンを、コドン最適化およびヒト型化の遺伝子最適化方法によって発現宿主において高頻度で用いられるコドンで置き換えた。野生型H5N1型ウイルスのH5タンパク質に相当するアミノ酸配列(A/Thailand/4(SP−528)/2004(H5N1))をNCBIで探索した。H5タンパク質をコードする多数の最適化遺伝子配列を得るために、前記アミノ酸配列をコードするコドンを、発現宿主において高頻度で用いられものに置き換えた。複合体二次構造を形成しうる配列をDNAMANのソフトウェアを用いて取り除き、膜貫通領域をコードする配列を含まない最適化H5遺伝子を抽出した。遺伝子を、プラスミド構築のための標的遺伝子として用いるためにQingke Biological,Beijing,Co.,LTDで合成した。
合成配列は配列番号1に示されている。
【0035】
実施例2
プラスミドの構築および検出(実験方法は「Molecular Cloning」、第3版参照)
ベクター:Peak13 CD5L TEVヒトIgG(発明者の実験室に保存)
挿入フラグメント:膜貫通配列を含まない最適化H5遺伝子
Molecular Cloningに示される酵素消化、電気泳動、精製、ライゲーションおよび形質転換のプロセス後に、挿入されたフラグメントを同定した。さらなる確認のために、酵素(Nhe I/BamHI)消化によって正しい試験プラスミドの配列を決定した(Qingke Biological,Beijing,Co.,LTD)。
【0036】
実験結果は図1に示される。ライン1、2および3は、それぞれ、λ−HindIIIマーカー、Peak13 CD5L H5 TEVヒトIgG、D2000マーカーを示す。λ−HindIIIマーカーの大きさは、小さいものから大きい(下から上の)順に、564bp(図から識別することが困難)、2027bp、2322bp、4361bp、6557bp、9416bpおよび23130bpである;D2000マーカーの大きさは、小さいものから大きい(下から上の)順に、100bp、250bp、500bp、750bp、1000bpおよび2000bpである。プラスミドをNhe I/BamHI酵素で切断して1.56Kbフラグメントが得られ、それはH5遺伝子が発現ベクターに挿入されていることを証明している。
【0037】
実施例3 プラスミドの大量抽出
CsCl密度勾配遠心分離法によって、大量の組換えプラスミドを抽出した(「Molecular Cloning」、第3版参照)。
【0038】
実施例4 トランスフェクション
2x105細胞を6ウェル細胞培養プレートの各ウェルに分注し、24時間後、H5遺伝子を含有する構築した組換えプラスミドをリポソーム(Invitrogen(商標)から入手可能なlipofectamine(商標)2000)を用いてトランクフェクトした。一定期間インキュベートした後、培養細胞を回収した。融合タンパク質の分子量をウエスタンブロット法で決定した。
【0039】
実施例5 ウエスタンブロット法での不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの作用によるA549細胞におけるタンパク質の発現レベルの変化の測定
1)対数増殖期のA549細胞を6ウェルプレートに分注した。
2)24時間後、感染多重度(M.O.I.)が2である、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスはまたは同量のトリ將尿液を加えた。
3)1.5時間後、溶解した細胞を回収した。LC3の変化をウエスタンブロット法によって測定し、アクチンをローディング量の内部パラメーターとして用いた;あるいは、4時間後、溶解した細胞を回収し、リン酸化mTOR、リン酸化S6、およびリン酸化Aktの発現レベルの変化をウエスタンブロット法によって測定し、対応する全タンパク質をローディング量の内部パラメーターとして用いた。
【0040】
タンパク質の分子量を、当業者に既知のウエスタンブロット法によって測定した。あるタンパク質のアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションを決定するために、半定量測定もまた行った(ウエスタンブロット法の具体的な実験方法は「Molecular Cloning」、第3版参照)。
【0041】
実験にて用いられる一次抗体、抗mTOR、抗リン酸化mTOR(Ser2481)、抗AKT、抗リン酸化AKT(Ser473)はすべて、Cell Signaling Technologyから購入した;一次抗体、抗LC3BはAbcamから購入した;抗TSC2、抗ATG5および抗ATG12の一次抗体は、Santa Cruz Biotechnologyから購入した;抗β−アクチンの一次抗体は、Sigma−Aldrichから購入した;西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)で標識された二次抗体もウエスタンブロット用キットもSanta Cruz Biotechnologyから購入した;3−メチルアデニンおよびラパマイシンをSigma−Aldrichから購入した。
【0042】
実験結果は、図2、20、23、25、27、31、34、41、54、68、70、72、75、77、81および83に示される。
【0043】
図2は、ウエスタンブロット法で測定した293ET細胞で発現した融合タンパク質H5Fcの発現結果を示す。それは、融合タンパク質H5Fcが宿主細胞で良好に発現され、発現タンパク質の分子量が約110KDおよび60KDであることを証明している。H5タンパク質は、宿主内の酵素によって切断され、2つのバンドを形成している。
【0044】
図20は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。左側の第1ラインは、1.5時間陰性対照で処置したA549細胞の溶解サンプルであり、第2ラインは、1.5時間不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞の溶解サンプルである;抗体は、それぞれ(上から下へ)、LC3およびアクチンである。LC3IIの相対的発現レベルは増大しており、それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがLC3シグナル経路を活性化し、オートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発することを証明している。
【0045】
図23は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。左側ラインは、対照siRNAをトランスフェクトし、次いで、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞の溶解サンプルであり、右側ラインは、対照Atg12 siRNAをトランスフェクトし、次いで、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞の溶解サンプルである;抗体は、それぞれ(上から下へ)、Atg12およびアクチン抗体である。Atg5およびAtg12は細胞内で複合体を形成してオートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発するため、検出された結果は、アクチンに対するAtg5およびAtg12の複合体の相対量で示す。それは、Atg12 siRNAがAtg5およびAtg12の複合体の相対量を効果的に減少させることを証明している。
【0046】
図25は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。左側ラインは、陰性対照でA549細胞の溶解サンプルであり、右側ラインは不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞の溶解サンプルである;抗体は、それぞれ(上から下へ)、リン酸化S6、S6およびアクチン抗体である。S6はmTORの基質であり、リン酸化S6の相対的減少は、mTOR経路の活性を阻害したことを示しており、それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがmTORシグナル経路を阻害し、さらに、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがmTORシグナル経路を介してオートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発することを証明している。
【0047】
図27は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。左側ラインは、陰性対照で処置したA549細胞の溶解サンプルであり、右側ラインは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞の溶解サンプルである;抗体は、それぞれ(上から下へ)、リン酸化mTORおよびmTOR抗体である。リン酸化mTORの量は相対的に減少しており、それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがmTORシグナル経路を阻害することおよび不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがmTORシグナル経路の阻害を介してオートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発することを証明している。
【0048】
図31は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。対照siRNAおよびTSC2 siRNAをそれぞれトランスフェクトしたA549細胞のサンプルは、トランスフェクションの48時間後に溶解した;抗体は、それぞれ(上から下へ)、TSC2およびアクチン抗体である。それは、TSC2 siRNAがTSC2の発現レベルを有意に減少しうることを証明している。
【0049】
図34は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。左側ラインは、陰性対照で処置したA549細胞の溶解サンプルであって、右側ラインは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞の溶解サンプルである;抗体は、それぞれ(上から下へ)、リン酸化AktおよびAkt抗体である。リン酸化Aktの相対量の減少は、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがAktシグナル経路を阻害しうることを示す。
【0050】
図41は、Balb/cマウスの肺組織LC3のウエスタンブロットの結果を示す。第1ラインは、2時間対照(トリ將尿液)を気管注入したマウスの均質化肺組織から抽出された全タンパク質のサンプルを示す;第2ラインは、2時間不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入したマウスの均質化肺組織から抽出された全タンパク質のサンプルを示し、第3ラインは、3−MA(30mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、2時間不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入したマウスの均質化肺組織から抽出された全タンパク質のサンプルを示す。抗体は、LC3およびβ−アクチンである。それは、マウスの肺組織中のLC3 II含量が不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの刺激によって増加してオートファジーが起こるのに対し、3−MAがオートファジーの発生を軽減することを証明している。
【0051】
図54は、異なる方法で処置したA549細胞におけるウエスタンブロット実験の結果を示す。左側の第1ラインは、4時間アジュバントで処置したA549細胞の溶解サンプルを示し、第2ラインは、4時間不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞の溶解サンプルを示す;抗体は、それぞれ(上から下へ)、リン酸化P38、P38およびアクチン抗体である。それは、サンプル量がほとんど同量である(アクチンが同量のサンプルを確保するための内部パラメーターとして用いられる)場合に、リン酸化P38の発現レベルが著しく増加する、すなわち、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがP38シグナル経路を活性化しうることを証明している。
【0052】
図68は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。左側の第1ラインは、4時間対照で処置したA549細胞の溶解サンプルを示し、第2ラインは、4時間ナノメートル物質PAMAM G5.5(100μg/mL)で処置したA549細胞の溶解サンプルを示し、第3ラインは、4時間ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置したA549細胞の溶解サンプルを示す;抗体は、それぞれ(上から下へ)、LC3Bおよびアクチン抗体である。それは、LC3B−IIタンパク質の発現レベルが有意に増加したことを証明している。すなわち、ナノメートル物質PAMAM G3はオートファジーを誘発する。
【0053】
図70は、異なる処置をしたA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。サンプルは、24時間対照siRNAまたはATG6 siRNAをトランスフェクトしたA549細胞の溶解サンプルである。抗体は、それぞれ(上から下へ)、ATG6およびアクチン抗体である。ウエスタンブロット実験の結果は、ATG6 siRNAがATG6遺伝子の発現を有効に阻害することを示す。
【0054】
図72は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。A549細胞は、4時間異なる種類のナノメートル物質(PAMAM)で処置した。次いで、細胞中のLC3−IIの発現レベルをウエスタンブロット法で検出した。それは、ナノメートル物質PAMAM G4、G5、G6、G7、G8すべてが細胞中のLC3−IIの発現レベルを増加させたことを示し、全てのこれらのナノメートル物質が細胞死を引き起こすためにオートファジーを誘発しうることを示唆する。
【0055】
図75は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。第1ラインは、24時間対照で処置したA549細胞の溶解サンプルを示し、第2ラインは、24時間ナノメートル物質PAMAM G5.5で処置したA549細胞の溶解サンプルを示し、第3ラインは、24時間ナノメートル物質PAMAM G3で処置したA549細胞の溶解サンプルを示す;抗体は、それぞれ(上から下へ)、2481位リン酸化mTOR抗体および全mTOR抗体である。それは、リン酸化mTORタンパク質の発現レベルが有意に減少したことを証明している。すなわち、mTOR経路を阻害する。
【0056】
図77は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。第1ラインは、24時間対照で処置したA549細胞の溶解サンプルを示し、第2ラインは、24時間ナノメートル物質PAMAM G5.5(100μg/mL)で処置したA549細胞の溶解サンプルを示し、第3ラインは、24時間ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置したA549細胞の溶解サンプルを示す;抗体は、それぞれ(上から下へ)、リン酸化S6抗体および全S6抗体である。それは、リン酸化S6タンパク質の発現レベルが有意に減少し、S6経路が阻害されることを証明している。すなわち、mTOR経路を阻害する。
【0057】
図81は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。A549細胞に対照siRNAおよびTSC2 siRNAをそれぞれトランスフェクトし、次いで、24時間ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置して、細胞の生存率をMTT法で測定した。それは、TSC2 siRNAがTSC2遺伝子の発現を有効に阻害することを示す。
【0058】
図83は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロットおよび定量分析の結果を示す。第1ラインは、24時間対照で処置したA549細胞の溶解サンプルを示し、第2ラインは、24時間ナノメートル物質PAMAM G5.5(100μg/mL)で処置したA549細胞の溶解サンプルを示し、第3ラインは、24時間ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置したA549細胞の溶解サンプルを示す;抗体は、それぞれ(上から下へ)、リン酸化Akt抗体および全Akt抗体である。それは、リン酸化Aktタンパク質の発現レベルが有意に減少することでAkt経路を阻害することを証明している。
【0059】
実施例6 ウエスタンブロットの定量分析
1)ウエスタンブロットの結果をスキャンした。
2)Quantity one−4.6.3のソフトウェアによってウエスタンブロット実験で読み込む必要があるバンドの濃度を定量化した。
3)比較する必要があるバンドの比率を計算した。
4)他の相対値を得るために対照値を1に調整した。
【0060】
実験結果は、図21、24、26、28、32、35、42、73、76、78および84に示される。
【0061】
図21は、Quantity one−4.6.3のソフトウェアを用いて図22に示される繰り返されたウエスタンブロット実験から得られたバンドの濃度を定量化した相対比の棒グラフを示す。左図は、ウエスタンブロット実験にて陰性対照で処置したA549細胞におけるLC3II対アクチン相対比を示し、右図は、ウエスタンブロット実験にて不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞におけるLC3II対アクチンの相対比を示す、比率の値を1に調整。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがLC3シグナル経路を活性化し、オートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発することを証明している。
【0062】
図24は、Quantity one−4.6.3のソフトウェアを用いて図25に示される繰り返されたウエスタンブロット実験から得られたバンドの濃度を定量化した相対比の棒グラフを示す。左図は、対照siRNAをトランクフェクトしたA549細胞におけるに対するAtg5およびAtg12の複合体対アクチンの相対比を示す、該値を1に調整。右図は、対照Atg12 siRNAをトランスフェクトしたA549細胞におけるAtg5およびAtg12の複合体対アクチン相対比を示す。それは、Atg12 siRNAがAtg5およびAtg12の複合体の相対量を効果的に減少させることを証明されている。
【0063】
図26は、Quantity one−4.6.3のソフトウェアを用いて繰り返されたウエスタンブロット実験から得られたバンドの濃度を定量化した相対比の棒グラフを示す。左図は、ウエスタンブロット実験にて陰性対照で処置したA549細胞におけるリン酸化S6対S6の相対比を示す、該値を1に調整。右図は、ウエスタンブロット実験にて不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞におけるリン酸化S6対S6の相対比を示す。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがmTORシグナル経路を阻害し、さらに、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがmTORシグナル経路の阻害を介してオートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発することを証明している。
【0064】
図28は、Quantity one−4.6.3のソフトウェアを用いて繰り返されたウエスタンブロット実験から得られたバンドの濃度を定量化した相対比の棒グラフを示す。左図は、ウエスタンブロット実験にて陰性対照で処置したA549細胞のリン酸化mTOR対mTORの相対比を示す、該値を1に調整。右図は、ウエスタンブロット実験にて不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞におけるリン酸化mTOR対mTORの相対比を示す。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがmTORシグナル経路を阻害することおよび不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがmTORシグナル経路の阻害を介してオートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発することを証明している。
【0065】
図32は、Quantity one−4.6.3のソフトウェアを用いて図25に示される繰り返されたウエスタンブロット実験から得られたバンドの濃度を定量化した相対比の棒グラフを示す。左図は、対照siRNAをトランスフェクトしたA549細胞におけるTSC2対アクチンの相対比を示す、該比率の値を1に調整。右図は、TSC2 siRNAをトランスフェクトしたA549細胞におけるTSC2対アクチンの相対比を示す。それは、TSC2 siRNAがTSC2の発現レベルを有意に減少しうることを証明している。
【0066】
図35は、Quantity one−4.6.3のソフトウェアを用いて繰り返されたウエスタンブロット実験から得られたバンドの濃度を定量化した相対比の棒グラフを示す。左図は、ウエスタンブロット結果における陰性対照で処置したA549細胞におけるリン酸化Akt対Aktの相対比を示す、該比率の値を1に調整。右図は、ウエスタンブロット結果における不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞におけるリン酸化Akt対Aktの相対比を示す。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがAktシグナル経路を阻害しうることを証明している。
【0067】
図42は、Quantity one−4.6.3のソフトウェアを用いて繰り返されたウエスタンブロット実験から得られたバンドの濃度を定量化した相対比の棒グラフを示す。LC3 II対β−アクチンの相対比は、図42に示されるバンドの濃度に相当する。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルス刺激によってマウスの肺組織におけるLC3 II含量が増加してオートファジーを引き起こすのに対し、3−MAはオートファジーの発生を軽減することを証明している。
【0068】
図73は、Quantity one−4.6.3のソフトウェアを用いて図75に示されるウエスタンブロット実験から得られたバンドの濃度で定量化した相対比の棒グラフを示す。それらは、連続して、陰性対照、G5.5、G4、G6、G7およびG8で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験におけるLC3II対アクチンの相対比を示す、対照値を1に調整。他のグループの値は、対照値で割った。それは、G4、G5、G6、G7およびG8がLC3シグナル経路を活性化し、オートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発しうることを証明している。
【0069】
図76は、Quantity one−4.6.3のソフトウェアを用いて図78に示されるウエスタンブロット実験から得られたバンドの濃度を定量化した相対比の棒グラフを示す。それは、連続して、対照、G5.5(100μg/mL)、およびG3(100μg/mL)で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験におけるリン酸化mTOR対mTORタンパク質の相対比を示す、対照値を1に調整。他のグループの値は、対照値で割った。それは、G3がmTORシグナル経路を阻害し、オートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発しうることを証明している。
【0070】
図78は、Quantity one−4.6.3のソフトウェアを用いて図80に示されるウエスタンブロット実験から得られたバンドの濃度を定量化した相対比の棒グラフを示す。それらは、連続して、陰性対照、G5.5(100μg/mL)、およびG3(100μg/mL)で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験におけるリン酸化S6対S6タンパク質の相対比を示す、対照値を1に調整。他のグループの値は対照値で割った。それは、G3がS6の活性化を阻害しうる、すなわち、G3がmTORシグナル経路を阻害し、オートファジー(II型細胞アポトーシス)を引き起こしうることを証明している。
【0071】
図84は、Quantity one−4.6.3のソフトウェアを用いて図86に示されるウエスタンブロット実験から得られるバンドの濃度を定量化した相対比の棒グラフを示す。それらは、連続して、陰性対照、G5.5(100μg/mL)、およびG3(100μg/mL)で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験におけるリン酸化akt対aktタンパク質の相対比を示す、対照値を1に調整。他のグループの値は対照値で割った。それは、G3がaktシグナル経路の活性化を阻害しうることを証明している。
【0072】
実施例7 一定の発現細胞株の構築
(1)約10μgの組換えプラスミドを制限エンドヌクレアーゼAvrII(NEW ENGLAND BioLabs(登録商標) Inc,USAから購入)で消化した。プラスミドを完全に消化したことを測定するために、少量の酵素消化された生成物を電気泳動に付した。残存した酵素消化された生成物を精製用キット(V−Geneから購入)によって精製し、DNAを回収し、その中の酵素およびタンパク質などを除去した。
(2)細胞をトリプシンで消化し、培地にトランスフェクトし、単細胞に分注した。2x105細胞を6ウェル細胞培養プレートの各ウェルに分注した。
(3)24時間後、キットによって提供される操作方法にしたがってリポソーム(lipofectamineTM 2000,Invitrogen TMから購入)を用いて、水(陰性対照)および0.5μgの精製されたDNAをそれぞれ、プラスミドにトランスフェクトした。
(4)48時間後、細胞を12ウェル細胞培養プレートに分注し(6ウェル細胞培養プレートの各ウェルの細胞を、12ウェル細胞培養プレートの4つのウェルに同等に分注し)、異なる濃度の薬物(プロマイシン)(CALBIOCHEM(登録商標) CLONTECHから購入)をスクリーニングのために濃度にしたがって加え、挿入されたDNAを含まない細胞を殺した。
(5)72時間後、いくつかのウェルの細胞(適当な濃度の薬物に相当)を、すべての陰性対照細胞を殺し、まだ生存していたDNAをトランスフェクトした細胞の中から、選択した。ウェル中の個々の細胞を、制限された希釈法によって96ウェル細胞培養プレートに分注した。
(6)約10日後、細胞クローンを得、ELISAおよびウエスタンブロット法によって測定した。
【0073】
遺伝子の正確な発現を測定するために、分子量をウエスタンブロット法によって測定した。タンパク質の濃度をELISAキットによって測定し、高度に発現した細胞株を選択した。
【0074】
実施例8 ELISA法による融合タンパク質の発現レベルの測定
タンパク質の濃度をELISA法によって測定した。ELISAに用いられる物質は、BD Biosciencesから購入したBD Pharmingen(商標) ELISAキットであった。
【0075】
実施例9 タンパク質の精製
H5Fcタンパク質を、AmershamのプロテインAタンパク質カラム(Amersham Biosciences AB,Sweden;CAT番号:17−04020−03)によって精製した。
一定の発現細胞株を回収し、培養した。
【0076】
透析:回収した培地を透析した。透析液の成分:11.54mM/L Na2HPO4、8.46mM/L NaH2PO4(Beijing Chemical Factory,China)、1mM EDTA(Promega U.S.A)、pH7.0。一般的には、透析時間は8時間以上であり、透析液の容量は上清の少なくとも20倍であった。
濾過:透析液を濾過した。用いた濾膜はMilliporeによって製造された0.45μmのDuraporeメンブレンフィルター(Millipore,Ireland;CAT番号:HVLP04700)であった。
精製:Amershamが提供する生成物説明書のプロトコールにしたがって精製工程を行い、用いたデバイスはBio−Rad(Bio−Rad,U.S.A)によって製造されたEcono Gradient Pump Kitであった。
【0077】
精製されたタンパク質サンプルを、ウエスタンブロットおよびクマシーブリリアントブルーのSDSポリアクリルアミドゲル染色によって同定した。タンパク質濃度をローリー法によって測定した(ローリーキットはTianxiang Bonding Companyから入手可能、CAT番号:TB090−1)。
【0078】
精製して得られたH5Fcタンパク質をTEV酵素で消化し、精製されたH5タンパク質を得るために再度プロテインAカラムに通した。
【0079】
実験結果は図3に示される。
図3は、クマシーブリリアントブルー(CBB)によって染色された、精製H5Fc融合タンパク質およびH5タンパク質のポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果を示す。それは、十分に精製された融合タンパク質H5FcおよびH5タンパク質が得られうることを証明している。精製されたH5Fcタンパク質をTEV酵素で切断し、次いで、アフィニティークロマトグラフィーに付して、約80KDの分子量を有する精製されたH5タンパク質が得られうる。
【0080】
実施例10 電子顕微鏡試料の調製および観察
1.Hela細胞およびA549細胞のオートファジー(II型細胞アポトーシス)の誘発に対する不活化鳥インフルエンザウイルスの効果
1)細胞数が2×105以上である、対数増殖期のHela細胞およびA549細胞を、6cm−プレート上に別々に分注した。
2)24時間後、MOI10のウイルス力価を有する不活化鳥インフルエンザウイルスを加えた。同量の免疫学的アジュバントは陰性対照として用いた。
3)ウイルス効果の4時間後、消化された細胞をEP管に回収した。細胞を一時静止し、次いで、800gで5分間遠心分離した。
4)上清をできるだけ除去し、次いで、新たに調製された2.5%グルタルアルデヒドを管壁に沿って徐々に加え、4℃にて保存した。
5)リン酸バッファーで3回繰り返し洗浄した。
6)1%オスミウム酸(OsO4)溶液で1時間固定した。
7)ddH2Oで3回洗浄した。
8)勾配アセトン(50%、70%、80%、90%および100%で1回、各10分間、次いで、100%アセトンで2回処理、各1時間)で脱水した。
9)1:1の812樹脂およびアセトン包埋剤で2時間包埋し、浸透させ、次いで、100%812樹脂で4時間浸透させた。
10)37℃にて12時間、45℃にて12時間、および60℃にて24時間重合した。
11)そのブロックを修復し、配置して、次いで、切片にスライスした。
12)染色:酢酸ナトリウムエトキシドで5〜10分間染色し、クエン酸鉛で10分間染色した。
13)観察および撮影した。
14)観察および計数のために少なくとも100細胞を無作為に選択した。細胞中に典型的なオートファゴソームがないかまたは一つのみである場合には、オートファジー陰性と定義した;細胞中にオートファゴソームが2つ以上ある場合には、オートファジー陽性と定義した。
【0081】
実験結果は、図4A、4B、4C、5A、5B、5C、6A、6B、6C、9A、9Bおよび9Cに示される。
【0082】
図4は、異なる方法で処置したHela細胞の電子顕微鏡写真(20000倍)および電子顕微鏡下にて観察されたオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間アジュバントで処置したHela細胞の電子顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間H5N1型鳥インフルエンザ不活化ウイルスで処置したHela細胞の電子顕微鏡写真を示し、矢印はオートファゴソームを示す。図Cは、上記2つの条件下でのオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴うHela細胞%の棒グラフを示す。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの効果でHela細胞のオートファジーが起こることを証明している。
【0083】
図5は、異なる方法で処置したHela細胞の電子顕微鏡写真(20000倍)および電子顕微鏡下にて観察されたオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間アジュバントで処置したHela細胞の電子顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間不活化H5N2型鳥インフルエンザウイルスで処置したHela細胞の電子顕微鏡写真を示し、矢印はオートファゴソームを示す。図Cは、上記2つの条件下でのオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴うHela細胞%の棒グラフを示す。それは、不活化H5N2型鳥インフルエンザウイルスの効果でHela細胞のオートファジーが起こることを証明している。
【0084】
図6は、異なる方法で処置したHela細胞の電子顕微鏡写真(20000倍)および電子顕微鏡下にて観察されたオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間アジュバントで処置したHela細胞の電子顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間不活化H9N2型鳥インフルエンザウイルスで処置したHela細胞の電子顕微鏡写真を示し、矢印はオートファゴソームを示す。図Cは、上記2つの条件下でのオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴うHela細胞%の棒グラフを示す。それは、不活化H9N2型鳥インフルエンザウイルスの効果でHela細胞のオートファジーが起こることを証明している。
【0085】
図9は、異なる方法で処置したA549細胞の電子顕微鏡写真(20000倍)および電子顕微鏡下にて観察されたオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間トリ將尿液で処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示し、矢印はオートファゴソームを示す。図Cは、上記の2つの条件下でのオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴うA549細胞%の棒グラフを示す。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの効果でA549細胞のオートファジーが起こることを証明している。
【0086】
2.Hela細胞およびA549細胞のオートファジー(II型細胞アポトーシス)の誘発に対する組換えH5タンパク質の効果
1)細胞数が2×105以上である、対数増殖期のHela細胞およびA549細胞を6cm−プレートに別々に分注した。
2)24時間後、0.5mM H5タンパク質を加えた。同量のBSAを陰性対照として用いた。
3)処置の4時間後、消化された細胞をEP管に回収した。細胞を一時静止し、次いで、800gで5分間遠心分離した。
4)上清をできるだけ除去し、次いで、新たに調製された2.5%グルタルアルデヒドを管壁に沿って徐々に加え、4℃にて保存した。
5)リン酸バッファーで3回繰り返し洗浄した。
6)1%オスミウム酸(OsO4)溶液で1時間固定した。
7)ddH2Oで3回洗浄した。
8)勾配アセトン(50%、70%、80%、90%および100%で1回、各10分間、次いで、100%アセトンで2回処理、各1時間)で脱水した。
9)1:1の812樹脂およびアセトン包埋剤で2時間包埋し、浸透させ、次いで、100%812樹脂で4時間浸透させた。
10)37℃にて12時間、45℃にて12時間、および60℃にて24時間重合した。
11)そのブロックを修復し、配置して、次いで、切片にスライスした。
12)染色:酢酸ナトリウムエトキシドで5〜10分間染色し、クエン酸鉛で10分間染色した。
13)観察および撮影した。
14)観察および計数のために少なくとも100細胞を無作為に選択した。細胞中に典型的なオートファゴソームがないかまたは一つのみである場合には、オートファジー陰性と定義した;細胞中にオートファゴソームが2つ以上ある場合には、オートファジー陽性と定義した。
【0087】
実験結果は、図7A、7B、7C、10A、10Bおよび10Cに示される
【0088】
図7は、異なる方法で処置したHela細胞の電子顕微鏡写真(20000倍)および電子顕微鏡下にて観察されたオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間BSAタンパク質で処置したHela細胞の電子顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間H5タンパク質で処置したHela細胞の電子顕微鏡写真を示し、矢印はオートファゴソームを示す。図Cは、上記の2つの条件下でのオートファジー(II型PCD)を伴うHela細胞%の棒グラフを示す。それは、H5タンパク質の効果でHela細胞のオートファジーが起こることを証明し、また、発現したH5タンパク質が生物活性を有することを証明している。
【0089】
図10は、異なる方法で処置したA549細胞の電子顕微鏡写真(20000倍)および電子顕微鏡下にて観察されたオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間BSAで処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間H5タンパク質で処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示し、矢印はオートファゴソームを示す。図Cは、上記の2つの条件下でのオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴うA549細胞%の棒グラフを示す。それは、H5タンパク質の効果でA549細胞のオートファジーが起こることを証明し、また、発現したH5タンパク質が生物活性を有することを証明している。
【0090】
3.Hela細胞およびA549細胞のオートファジー(II型細胞アポトーシス)の誘発に対する陽性対照の効果
1)細胞数が2×105以上である、対数増殖期のHela細胞およびA549細胞を6cm−プレートに別々に分注した。
2)24時間後、5μMラパマイシンを加えた。同量のDMSOを陰性対照として用いた。
3)処置の4時間後、消化された細胞をEP管に回収した。細胞を一時静止し、次いで、800gで5分間遠心分離した。
4)上清をできるだけ除去し、次いで、新たに調製された2.5%グルタルアルデヒドを管壁に沿って徐々に加え、4℃にて保存した。
5)リン酸バッファーで3回繰り返し洗浄した。
6)1%オスミウム酸(OsO4)溶液で1時間固定した。
7)ddH2Oで3回洗浄した。
8)勾配アセトン(50%、70%、80%、90%および100%で1回、各10分間、次いで、100%アセトンで2回処理、各1時間)で脱水した。
9)1:1の812樹脂およびアセトン包埋剤で2時間包埋し、浸透させ、次いで、100%812樹脂で4時間浸透させた。
10)37℃にて12時間、45℃にて12時間、および60℃にて24時間重合した。
11)そのブロックを修復し、配置して、次いで、切片にスライスした。
12)染色:酢酸ナトリウムエトキシドで5〜10分間染色し、クエン酸鉛で10分間染色した。
13)観察および撮影した。
14)観察および計数のために少なくとも100細胞を無作為に選択した。細胞中に典型的なオートファゴソームがないかまたは一つのみである場合には、オートファジー陰性と定義した;細胞中にオートファゴソームが2つ以上ある場合には、オートファジー陽性と定義した。
【0091】
実験結果は、図8A、8B、8C、11A、11Bおよび11Cに示される。
【0092】
図8は、異なる方法で処置したHela細胞の電子顕微鏡写真(20000倍)および電子顕微鏡下にて観察されたオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間DMSOで処置したHela細胞の電子顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間5μMラパマイシンで処置したHela細胞の電子顕微鏡写真を示し、矢印はオートファゴソームを示す。図Cは、上記の2つの条件下でのオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴うHela細胞%の棒グラフを示す。ラパマイシンがオートファジーの発生をもたらすことは文献から既知でありうるので、陽性対照としてラパマイシンを用いる、実験方法は正確かつ有効なものであることが証明される。
【0093】
図11は、異なる方法で処置したA549細胞の電子顕微鏡写真(20000倍)および電子顕微鏡下にて観察されたオートファジー(II型細胞)を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間DMSOで処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間5μMラパマイシンで処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示し、矢印はオートファゴソームを示す。図Cは、上記の2つの条件下でのオートファジー(II型細胞アポトーシス)のA549細胞の%の棒グラフを示す。ラパマイシンがオートファジーの発生をもたらすことは文献から既知でありうるので、陽性対照としてラパマイシンを用いる、実験方法は正確かつ有効なものであることが証明される。
【0094】
4.鳥インフルエンザウイルスによって誘発されるオートファジー(II型細胞アポトーシス)に対する薬物の予防効果および処置効果の測定
1)細胞数が2×105以上である、対数増殖期のA549細胞を6cm−プレートに別々に分注した。
2)24時間後、薬物SB203580を加え、1時間処置した。
3)MOI10のウイルス力価を有する不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを加え、同量のトリ將尿液を陰性対照として用いた。
4)ウイルス効果の4時間後、消化された細胞をEP管に回収した。細胞を一時静止し、次いで、800gで5分間遠心分離した。
5)上清をできるだけ除去し、次いで、新たに調製された2.5%グルタルアルデヒドを管壁に沿って徐々に加え、4℃にて保存した。
6)リン酸バッファーで3回繰り返し洗浄した。
7)1%オスミウム酸(OsO4)溶液で1時間固定した。
8)ddH2Oで3回洗浄した。
9)勾配アセトン(50%、70%、80%、90%および100%で1回、各10分間、次いで、100%アセトンで2回処理、各1時間)で脱水した。
10)1:1の812樹脂およびアセトン包埋剤で2時間包埋し、浸透させ、次いで、100%812樹脂で4時間浸透させた。
11)37℃にて12時間、45℃にて12時間、および60℃にて24時間重合した。
12)そのブロックを修復し、配置して、次いで、切片にスライスした。
13)染色:酢酸ナトリウムエトキシドで5〜10分間染色し、クエン酸鉛で10分間染色した。
14)観察および撮影した。
15)観察および計数のために少なくとも100細胞を無作為に選択した。細胞中に典型的なオートファゴソームがないかまたは一つのみである場合には、オートファジー陰性と定義した;細胞中にオートファゴソームが2つ以上ある場合には、オートファジー陽性と定義した。
【0095】
実験結果は、図52、52B、52Cおよび53に示される。
【0096】
図52は、異なる方法で処置したA549細胞の電子顕微鏡写真(20000倍)を示す。図Aの最初の写真は、4時間アジュバントで処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示し、図Cは、1時間P38経路の特異的阻害薬、SB203580で前処置し、次いで、4時間不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示す。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの効果でA549細胞のオートファジーが起こったのに対し、P38経路の特異的阻害薬、SB203580がオートファジーを減少させたことを証明している。
【0097】
図53は、電子顕微鏡下にて観察された種々の処置を行ったオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴うA549細胞%の棒グラフを示す。左側の第一グラフは、4時間アジュバントで処置したオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴うA549細胞%を示し、第2グラフは、4時間不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴うA549細胞%を示し、第3グラフは、1時間P38経路の特異的阻害薬、SB203580で処置し、次いで、4時間不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴うA549細胞%を示す。結果は、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスのみで処置したオートファジーを伴うA549細胞の比率が24.3%であることを示す;P38経路の阻害薬、SB203580で処置した後に不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置すると、オートファジーを伴うA549細胞の比率は7.73%である。2つのケースの間には有意な違いがある。結果は、P38経路の阻害薬、SB203580が不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発されるオートファジーの発生を効果的に阻害しうることを証明している。
【0098】
4.ナノメートル物質によって誘発されるオートファジー(II型細胞アポトーシス)に対する薬物の予防効果および処置効果の測定
1)細胞数が2×105以上である、対数増殖期のA549細胞を6cm−プレートに別々に分注した。
2)24時間後、薬物3−MAを加え、1時間処置した。
3)ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)、PAMAM G5.5(100μg/mL)および陰性対照として機能する溶媒PBSを加えた。
4)作用の24時間後、消化された細胞をEP管に回収した。細胞を一時静止し、次いで、800gで5分間遠心分離した。
5)上清をできるだけ除去し、次いで、新たに調製された2.5%グルタルアルデヒドを管壁に沿って徐々に加え、4℃にて保存した。
6)リン酸バッファーで3回繰り返し洗浄した。
7)1%オスミウム酸(OsO4)溶液で1時間固定した。
8)ddH2Oで3回洗浄した。
9)勾配アセトン(50%、70%、80%、90%および100%で1回、各10分間、次いで、100%アセトンで2回処理、各1時間)で脱水した。
10)1:1の812樹脂およびアセトン包埋剤で2時間包埋し、浸透させ、次いで、100%812樹脂で4時間浸透させた。
11)37℃にて12時間、45℃にて12時間、および60℃にて24時間重合した。
12)そのブロックを修復し、配置して、次いで、切片にスライスした。
13)染色:酢酸ナトリウムエトキシドで5〜10分間染色し、クエン酸鉛で10分間染色した。
14)観察および撮影した。
15)観察および計数のために少なくとも100細胞を無作為に選択した。細胞中に典型的なオートファゴソームがないかまたは一つのみである場合には、オートファジー陰性と定義した;細胞中にオートファゴソームが2つ以上ある場合には、オートファジー陽性と定義した。
【0099】
実験結果は、図64A、64B、64C、64Dおよび65に示される。
【0100】
図64は、異なる方法で処置したA549細胞の電子顕微鏡写真(20000倍)を示す。図Aは、24時間対照で処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示す。図Bは、24時間ナノメートル物質PAMAM G5.5(100μg/mL)で処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示す。図Cは、24時間ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示す。図Dは、1時間3−MA(10mM)で処置し、次いで、24時間ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置したA549細胞の電子顕微鏡写真を示す。Aナノメートル物質PAMAM G5の効果で549細胞のオートファジーが起こり、オートファジーによって誘発される細胞死は3−MAによって軽減されうることを証明している。
【0101】
図65は、オートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴うA549細胞%の棒グラフを示す。オートファジーの発生後の細胞の典型的な特徴は、オートファゴソームの出現である。100個のランダム細胞当たり2以上のオートファゴソームを有する細胞%を算出した。3−MAがナノメートル物質PAMAM G3によって誘発されるオートファジー(II型細胞アポトーシス)を伴う細胞%を減少させたことは明らかである。すなわち、3−MAはオートファジー(II型細胞アポトーシス)を処置または軽減しうる。
【0102】
5.マウスの肺上皮細胞のオートファジー(II型細胞アポトーシス)の誘発に対する不活化鳥インフルエンザウイルスの効果
1)4−6週齢のBalb/cマウスを選択し、無作為に分類した。1%ペントバルビタールナトリウムでマウスを麻酔した。
2)マウスの気管カニューレの手術を行った。
3)マウスにトリ將尿液または不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入した。
4)ウイルス作用の2時間後、マウスを殺し、肺を摘出した。
5)PBSで洗浄し、すぐに新たに調製された2.5%グルタルアルデヒドを肺に加え、肺を保存した。
6)リン酸バッファーで3回繰り返し洗浄した。
7)1%オスミウム酸(OsO4)溶液で1時間固定した。
8)ddH2Oで3回洗浄した。
9)勾配アセトン(50%、70%、80%、90%および100%で1回、各10分間、次いで、100%アセトンで2回処理、各1時間)で脱水した。
10)1:1の812樹脂およびアセトン包埋剤で2時間包埋し、浸透させ、次いで、100%812樹脂で4時間浸透させた。
11)37℃にて12時間、45℃にて12時間、および60℃にて24時間重合した。
12)そのブロックを修復し、配置して、次いで、切片にスライスした。
13)染色:酢酸ナトリウムエトキシドで5〜10分間染色し、クエン酸鉛で10分間染色した。
14)観察および撮影した。
15)観察および計数のために少なくとも100細胞を無作為に選択した。細胞中に典型的なオートファゴソームがないかまたは一つのみである場合には、オートファジー陰性と定義した;細胞中にオートファゴソームが2つ以上ある場合には、オートファジー陽性と定義した。
【0103】
実験結果は、図36A、36B、36Cおよび36Dに示される。
【0104】
図36は、トリ將尿液または不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを注入したマウスの肺組織の電子顕微鏡写真を示す。図Aは、トリ將尿液を注入した肺組織の電子顕微鏡写真を示す;図Bは、Aの白線ボックスに示される位置の部分的に拡大した図を示す。より完全な細胞が観察されたが、オートファゴソームは観察されなかった;図Cは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを注入した肺組織の電子顕微鏡写真を示す;図Dは、Aの白線ボックスに示される位置の部分的に拡大した図を示す。より完全な細胞が観察された。細胞中のオートファゴソームが観察された(矢印によって表される)。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスが肺組織のオートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発しうることを証明している。
【0105】
実施例11 共焦点レーザー顕微鏡試料の調製および観察
1.鳥インフルエンザウイルスによって誘発されるLC3凝集
Hela細胞またはA549細胞を、不活化H5N1型、H5N2型、H9N2型鳥インフルエンザウイルス、H5タンパク質および陽性薬物ラパマイシンで4時間処置した。LC3凝集の変化を観察した。
【0106】
1)24ウェル細胞培養プレートに殺菌カバーガラムを配置し、次いで、対数増殖期のHela細胞またはA549細胞を注入した。
2)24時間後、リポソームと一緒にEGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトした。
3)72時間後、不活化H5N1型、H5N2型、H9N2型鳥インフルエンザウイルス、H5タンパク質および対応する陰性対照ならびに陽性対照(5μMラパマイシン)を加えた。
4)37℃にて4時間インキュベートした後、細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定し、カバーガラスを取り出し、それをシール剤が剥がれたスライドガラスに配置した。細胞を共焦点レーザー顕微鏡下にて観察した(Leica TCS PS2)。
5)観察するために100個の細胞を無作為に選択した。20以上の鮮緑色スポットを有する細胞を陽性と定義し、20未満の鮮緑色スポットを有する細胞を陰性と定義した。
【0107】
実験結果は、図12、13、14、16、17、18および19に示される。
【0108】
図12は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、異なる方法で処置したHela細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真(1000倍)およびEGFP−LC3凝集を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間アジュバントで処置したHela細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したHela細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真を示す。図Cは、上記の2つの条件下でのEGFP−LC3凝集を伴うHela細胞%の棒グラフを示す。オートファジーの発生後の細胞の典型的な特徴は、LC3(ATG8)分子が凝集して、オートファゴソームを形成することである。細胞でオートファジーが起こると、EGFPで標識化されたLC3分子が凝集し、強く放出された緑色発光が共焦点顕微鏡で観察されうる;一方、オートファジーを伴わない細胞については、緑色発光が分散するかまたはほんの少しだけ凝集しうる。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの効果でHela細胞のオートファジーが起こることを証明している。
【0109】
図13は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、異なる方法で処置したHela細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真(1000倍)およびEGFP−LC3凝集を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間アジュバントで処置したHela細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間不活化H5N2型鳥インフルエンザウイルスで処置したHela細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真を示し、図Cは、上記の2つの条件下でのEGFP−LC3凝集を伴うHela細胞%の棒グラフを示す。それは、不活化H5N2型鳥インフルエンザウイルスの効果でHela細胞のオートファジーが起こることを証明している。
【0110】
図14は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、異なる方法で処置したHela細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真(1000倍)およびEGFP−LC3凝集を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間アジュバントで処置したHela細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間不活化H9N2型鳥インフルエンザウイルスで処置したHela細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真を示す。図Cは、上記の2つの条件下でのEGFP−LC3凝集を伴う細胞%の棒グラフを示す。それは、不活化H9N2型鳥インフルエンザウイルスの効果でHela細胞のオートファジーが起こることを証明している。
【0111】
図16は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、次いで、異なる方法で処置したHela細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真(1000倍)およびEGFP−LC3凝集を伴う細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間DMSOで処置したHela細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間ラパマイシンで処置したHela細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Cは、上記の2つの条件下でのEGFP−LC3凝集を伴うHela細胞%の棒グラフを示す。ラパマイシンがオートファジーの発生をもたらすことは文献から既知であるので、陽性対照としてラパマイシンを用いる、実験方法は正確かつ有効なものであることが証明される。
【0112】
図17は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、次いで、異なる方法で処置したA549細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真(1000倍)およびEGFP−LC3凝集を伴うHela細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間陰性対照、トリ將尿液で処置したA549細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Cは、上記の2つの条件下でのEGFP−LC3凝集を伴うA549細胞%の棒グラフを示す。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの効果でA549細胞のオートファジーが起こることを証明している。
【0113】
図18は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、次いで、異なる方法で処置したA549細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真(1000倍)およびEGFP−LC3凝集を伴うHela細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間BSAで処置したA549細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間H5タンパク質で処置したA549細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Cは、上記の2つの条件下でのEGFP−LC3凝集を伴うA549細胞%の棒グラフを示す。それは、H5タンパク質の効果でA549細胞のオートファジーが起こることを証明し、また、発現したH5タンパク質が生理活性を有することを証明している。
【0114】
図19は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、次いで、異なる方法で処置したA549細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真(1000倍)およびEGFP−LC3凝集を伴うHela細胞%の棒グラフを示す。図Aは、4時間DMSOで処置したA549細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Bは、4時間ラパマイシンで処置したA549細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Cは、上記の2つの条件下でのEGFP−LC3凝集を伴うA549細胞%の棒グラフを示す。ラパマイシンがオートファジーの発生をもたらすことは文献から既知であるので、陽性対照としてラパマイシンを用いる、実験方法は正確かつ有効なものであることが証明される。
【0115】
2.鳥インフルエンザウイルスまたはナノメートル物質PAMAMによって誘発されるLC3凝集の阻害に対するTSC2 siRNAの効果
1)24ウェル細胞培養プレートに殺菌カバーガラムを配置し、次いで、対数増殖期のHela細胞またはA549細胞を注入した。
2)24時間後、リポソームにEGFP−LC3プラスミド、TSC2 siRNAおよび対照siRNAをトランスフェクトした。
3)48時間後、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスまたはナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)を加えた。
4)37℃にて4時間(不活化鳥インフルエンザウイルス)または24時間(物質PAMAM G3)インキュベートした後、細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定し、カバーガラムを取り出し、それをシール剤が剥がれたスライドガラスに配置した。細胞を共焦点レーザー顕微鏡下にて観察した(Leica TCS PS2)。
5)観察するために100個の細胞を無作為に選択した。20以上の鮮緑色スポットを有する細胞を陽性と定義し、20未満の鮮緑色スポットを有する細胞を陰性と定義した。
【0116】
実験結果は、図29A、29B、30、79A、79Bおよび80に示される。
【0117】
図29は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、次いで、異なる方法で処置したA549細胞の共焦点レーザー顕微鏡下写真(1000倍)を示す。図Aは、陰性対照siRNAをトランスフェクトし、次いで、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Bは、TSC2 siRNAをトランスフェクトし、次いで、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。TSC2 siRNAをトランスフェクトした後、EGFP−LC3凝集を伴う細胞は減少し、それは、TSC2 siRNAが不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発されるオートファジー(II型細胞アポトーシス)を阻害することを証明している。
【0118】
図30は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、次いで、異なる方法で処置したA549細胞中のEGFP−LC3凝集を伴う細胞%の棒グラフを示す。左図は、陰性対照siRNAをトランスフェクトし、次いで、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞におけるEGFP−LC3凝集を伴う細胞%を示し、右図は、TSC2 siRNAをトランスフェクトし、次いで、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞におけるEGFP−LC3凝集を伴う細胞%を示す。それは、TSC2 siRNAが不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発されるオートファジー(II型細胞アポトーシス)を阻害することを証明している。
【0119】
図79は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、次いで、異なる方法で処置したA549細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真(1000倍)を示す。図Aは、24時間対照siRNAで処置し、次いで、ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置した細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Bは、24時間TSC2 siRNAで処置し、次いで、ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置した細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。
【0120】
図80は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトしたA549細胞を異なる方法で処置した後の、EGFP−LC3凝集を伴う細胞%を示す。図Aは、A549細胞に陰性対照siRNAをトランスフェクトし、次いで、PAMAM G3(100μg/mL)で処置した後の、EGFP−LC3凝集を伴う細胞%を示し、図Bは、A549細胞にTSC2 siRNAをトランスフェクトし、次いで、PAMAM G3(100μg/mL)を処置した後の、EGFP−LC3凝集を伴う細胞%を示す。それは、TSC2 siRNAがPAMAM G(100μg/mL)によって誘発されるオートファジー(II型細胞アポトーシス)を阻害しうることを証明している。
【0121】
3.ナノメートル物質PAMAMによって誘発されるLC3凝集の阻害に対する3−MAの効果
1)24ウェル細胞培養プレートに殺菌カバーガラムを配置し、次いで、対数増殖期のHela細胞またはA549細胞を注入した。
2)24時間後、リポソームにEGFP−LC3プラスミド、TSC2 siRNAおよび対照siRNAをトランスフェクトした。
3)48時間後、陰性対照、ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)、ナノメートル物質PAMAM G5.5(100μg/mL)を加え、1時間3−MA(10mM)で前処理した後にナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)を加えた。
4)37℃にて4時間インキュベートした後、細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定し、カバーガラムを取り出し、それをシール剤が剥がれたスライドガラスに配置した。細胞を共焦点レーザー顕微鏡下にて観察した(Leica TCS PS2)。
5)観察するために100個の細胞を無作為に選択した。20以上の鮮緑色スポットを有する細胞を陽性と定義し、20未満の鮮緑色スポットを有する細胞を陰性と定義した。
【0122】
実験結果は、図66A、66B、66C、66Dおよび67に示される。
【0123】
図66は、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、次いで、異なる方法で処置したA549細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真(1000倍)を示す。図Aは、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、次いで、24時間対照で処置したA549細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Bは、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、次いで、24時間ナノメートル物質PAMAM G5.5(100μg/mL)で処置したA549細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Cは、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、次いで、24時間ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置したA549細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。図Dは、EGFP−LC3プラスミドをトランスフェクトし、3−MA(10mM)で処置し、次いで、24時間PAMAM G3(100μg/mL)で処置したA549細胞のレーザー共焦点顕微鏡写真を示す。
【0124】
図67は、上記の条件下でのEGFP−LC3凝集を伴う細胞%の棒グラフを示す。オートファジーの発生後の細胞の典型的な特徴は、LC3(ATG8)分子を凝集してオートファゴソームを形成することである。LC3分子をEGFPで標識化した。細胞にオートファジーが起こった場合には、LC3分子が凝集して、強く発光する緑色蛍光が共焦点顕微鏡下にて観察されうる。しかしながら、細胞にオートファジーが起こらなかった場合には、緑色蛍光は分散するかまたはほんの少しだけ凝集する。それは、ナノメートル物質PAMAM G3の効果でA549細胞のオートファジーが起こり、オートファジーによって誘発される細胞死が3−MAによって軽減されうることを証明している。
【0125】
実施例12 siRNAの合成
実験結果で用いられたsiRNAを、RiBo Biotechnologyによって合成した。
【0126】
図29、30、31、32および33に示される実験結果で用いられたsiRNAの配列は以下のとおりである:
TSC2 siRNA:5’ GGGACAUUCUGCUGAACAU dTdT 3’/3’ dTdT CCCUGUAAGACGACUUGUA 5’(配列番号:2、3)
【0127】
図46、47および48に示される実験結果で用いられたsiRNAの配列は以下のとおりである:
Atg5 siRNA:5’ ACCGGAAACUCAUGGAAUA dTdT 3’/3’ dTdT UGGCCUUUGAGUACCUUAU 5’(配列番号:4、5)
【0128】
図70および71に示される実験結果で用いられたsiRNAの配列は以下のとおりである:
Atg6 siRNA:5’ CAGUUUGGCACAAUCAAUA dTdT 3’/3’ dTdT GUCAAACCGUGUUAGUUAU 5’(配列番号:6、7)
【0129】
図22、23および24に示される実験結果で用いられたsiRNAの配列は以下のとおりである:
ATG12 siRNA:5’ GCAGUAGAGCGAACACGAA dTdT 3’/3’ dTdT CGUCAUCUCGCUUGUGCUU 5’(配列番号:8、9)
【0130】
図81および82に示される実験結果で用いられたsiRNAの配列は以下のとおりである:
TSC2 siRNA:5’ CCAUCAAGGGCCAGUUCAA dTdT 3’/3’ dTdT GGUAGUUCCCGGUCAAGUU 5’(配列番号:10、11)
【0131】
図79および80の実験結果で用いられたsiRNAは、Santa Cruz Biotechnologyから購入した。
【0132】
実施例13 細胞の遺伝子発現におけるsiRNAの障害
A549細胞は、対応する遺伝子の発現を阻害するために異なる遺伝子を標的とするsiRNAをトランスフェクトした。
1)対数増殖期のA549細胞を24ウェルプレートに分注した。
2)24時間後、A549細胞にsiRNA(50nM)をトランスフェクトした。
3)48時間後、A549細胞を不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスまたはナノメートル物質で処置した。
4)2〜8時間後、細胞を溶解し、ウエスタンブロットによって溶解を測定した。
【0133】
実験結果は、図23、31、70および81に示される。
【0134】
図23は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。左側ラインは、対照siRNAをトランスフェクトし、次いで、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞の溶解サンプルであり、右側ラインは、対照Atg12 siRNAをトランスフェクトし、次いで、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置したA549細胞の溶解サンプルである;抗体は、それぞれ(上から下へ)、Atg12およびアクチン抗体である。Atg5およびAtg12は細胞内で複合体を形成してオートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発するため、検出された結果は、アクチンに対するAtg5およびAtg12の複合体の相対量で示す。それは、Atg12 siRNAがAtg5およびAtg12の複合体の相対量を効果的に減少させることを証明している。
【0135】
図31は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。対照siRNAおよびTSC2 siRNAをそれぞれトランスフェクトしたA549細胞のサンプルは、トランスフェクションの48時間後に溶解した;抗体は、それぞれ(上から下へ)、TSC2およびアクチン抗体である。それは、TSC2 siRNAがTSC2の発現レベルを有意に減少しうることを証明している。
【0136】
図70は、異なる処置をしたA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。サンプルは、24時間対照siRNAまたはATG6 siRNAをトランスフェクトしたA549細胞の溶解サンプルである。抗体は、それぞれ(上から下へ)、ATG6およびアクチン抗体である。ウエスタンブロット実験の結果は、ATG6 siRNAがATG6遺伝子の発現を有効に阻害することを示す。
【0137】
図81は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット実験の結果を示す。A549細胞に対照siRNAおよびTSC2 siRNAをそれぞれトランスフェクトし、次いで、24時間ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置して、細胞の生存率をMTT法で測定した。それは、TSC2 siRNAがTSC2遺伝子の発現を有効に阻害することを示す。
【0138】
実施例14 リアルタイム−PCR
1)指示書にしたがって全RNAをTrizol(vitrogen)で抽出し、RNAの濃度およびOD280/OD260比を測定した。
2)RNAを電気泳動によって完全に同定した後、一本鎖DNAを生成するために10μg逆転写用RNA(ABI逆転写キット)を利用した。
3)BIO−RAD IQ5リアルタイム−PCRで増幅した。
4)増幅条件は以下のとおりであった:95℃にて10分間予め変性させ、95℃にて15秒変性させ、アニーリングし、60℃にて1分間伸長させる、全体で40サイクル。
5)反応後、コンピューターから自動的に各試料のAtg5およびβ−アクチンのCt値を得、β−アクチンを基準として用いた。ΔCt=Ct(Atg5)−Ct(β−actin)、ΔΔCt=ΔCt(実験群)−ΔCt(ブランク群)、2−ΔΔCtはAtg5遺伝子の相対量を示す。
【0139】
プライマー:
Atg5のフォワードプライマー:5’ CAGATGGACAGCTGCACACACT 3’(配列番号12)、
リバースプライマー:5’ GGCTCTATCCCGTGAATCATCA 3’(配列番号13)、
β−アクチンフォワードプライマー:5’ AGTGTGACGTTGACATCCGTA 3’(配列番号:14)、
リバースプライマー:5’ GCCAGAGCAGTAATCTCCTTCT 3’(配列番号15)。
【0140】
上記のプライマーは、Shanghai Sangon Biological Engineering Technology and Service Co.,Ltd.によって合成された。
【0141】
実験結果は図46に示される。
図46は、マウスの肺組織のリアルタイムPCRの結果を示す。マウスに対照siRNAおよびAtg5 siRNAをそれぞれ注入して、24時間後、肺組織を均質化し、RNAを抽出して、リアルタイムPCRを行った。それは、Atg5 siRNAの気管注入がAtg5 mRNAレベルの低下を効果的にもたらすことを証明している。
【0142】
実施例15 MTT実験による細胞の生存率の測定
1.MTT実験による3−MA処置細胞の生存率における3−MAの効果の測定
1)単細胞懸濁液に対数増殖期のA549細胞を消化させ、96ウェルプレートに各ウェル当たり200μl量を分注した。
2)37℃にて24時間培養するためにCO2インキュベーターに移した。
3)24時間後、細胞を前処理するために3mM 3MA(または対照溶媒)を加えた。
4)1時間後、MOI2のウイルス力価を有する不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを加えるか、または同量のトリ將尿液を加えるか;あるいは、ナノメートル物質PAMAMを加えた。
5)4時間(鳥インフルエンザ不活化ウイルス)または24時間(ナノメートル物質)の作用後、37℃にて1〜2時間培養するために20μl MTS試薬(CellTiter 96 Aqueous One Solution Cell Proliferation Assay,Promega)を各ウェルに加えた。
6)ELISAリーダー490nmによって測定した。
7)結果を解析し、グループの平均値および標準偏差を算出し、グラフを作製した。
【0143】
実験結果は図38、69および74に示される。
【0144】
図38は、棒グラフとして異なる方法で処置したA549細胞の生存率を示す。陰性対照、3MAまたは不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置した後、A549細胞の生存率は、MTTキットで測定された。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスが細胞の生存率を著しく減少させるのに対し、3MAが不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発される細胞死を減少することを証明している。
【0145】
図69は、異なる処置をしたA549細胞の生存率を示す。A549細胞を、1時間対照、ナノメートル物質PAMAM G5.5、PAMAM G3、3−MAでそれぞれ前処理し、次いで、24時間ナノメートル物質PAMAM G3および薬物対照3−MAで処置した。細胞の生存率の結果をMTT法で測定した。それは、3−MAがナノメートル物質PAMAM G3によって誘発される細胞死を有意に減少しうることを示す。
【0146】
図74は、異なる方法で処置したA549細胞のウエスタンブロット法の結果を示す。A549細胞は、24時間異なる種類のナノメートル物質(PAMAM)で処置し、細胞の生存率の結果をMTT法で測定した。それは、ナノメートル物質PAMAM G4、G5、G6、G7およびG8すべてが細胞死を誘発しうることを証明している。
【0147】
2.MTT実験によるsiRNAで処置した細胞の生存率の測定
1)単細胞懸濁液に対数増殖期のA549細胞を消化させ、96ウェルプレートに各ウェル当たり200μl量を分注した。
2)37℃にて24時間培養するためにCO2インキュベーターに移した。
3)24時間後、対応するsiRNAをトランスフェクトした。
4)48時間後、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスまたはナノメートル物質PAMAMを加えた。
5)4時間(鳥インフルエンザ不活化ウイルス)または24時間(ナノメートル物質)の作用後、37℃にて1〜2時間培養するために20μl MTS試薬(CellTiter 96 Aqueous One Solution Cell Proliferation Assay,Promega)を各ウェルに加えた。
6)ELISAリーダー490nmによって測定した。
7)結果を解析し、グループの平均値および標準偏差を算出し、グラフを作製した。
【0148】
実験結果は図22、33、71および82に示される。
【0149】
図22は、棒グラフとして異なる方法で処置したA549細胞の生存率を示す。A549細胞は、対照siRNAおよびAtg12 siRNAがそれぞれトランスフェクトされ、次いで、対照試薬または不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置されている。細胞生存率の結果はMTTキットで測定される。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスが細胞の生存率を著しく減少させるのに対し、Atg12 siRNAが不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの効果を軽減することを証明している。すなわち、オートファジー(II型細胞アポトーシス)に対する抑制効果は、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発される細胞死を軽減する。
【0150】
図33は、棒グラフとして異なる方法で処置したA549細胞の生存率を示す。A549細胞は、対照siRNAおよびTSC2 siRNAがそれぞれトランクフェクトされ、次いで、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスで処置されている。細胞生存率の結果はMTTキットで測定される。細胞生存率は、TSC2 siRNAのトランスフェクションを介して増加する。それは、TSC2 siRNAが不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発される細胞死を遅延しうることを証明している。
【0151】
図71は、種々の処置をしたA549細胞の生存率を示す。A549細胞に、対照siRNAおよびATG6 siRNAをそれぞれトランスフェクトした。次いで、24時間ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置した。細胞の生存率をMTT法で測定した。それは、ナノメートル物質PAMAM G3がATG6遺伝子の発現を調節することによって細胞死を誘発して、オートファジーを形成することを証明している。
【0152】
図82は、種々の処置したA549細胞の生存率を示す。A549細胞に対照siRNAおよびTSC 2 siRNAをそれぞれトランスフェクトし、次いで、24時間ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置して、細胞の生存率をMTT法で測定した。それは、ナノメートル物質PAMAM G3がTSC 2遺伝子の発現を調節することによって細胞死を誘発して、オートファジーを形成することを証明している。
【0153】
3.MTT実験によってナノメートル物質で処置した細胞の生存率の測定
1)単細胞懸濁液に対数増殖期のA549細胞を消化させ、96ウェルプレートに各ウェル当たり200μl量を分注した。
2)37℃にて24時間培養するためにCO2インキュベーターに移した。
3)24時間後、ナノメートル物質PAMAMを加えた。
4)4時間の作用後、37℃にて1〜2時間培養するために20μl MTS試薬(CellTiter 96 Aqueous One Solution Cell Proliferation Assay,Promega)を各ウェルに加えた。
5)ELISAリーダー490nmによって測定した。
6)結果を解析し、グループの平均値および標準偏差を算出し、グラフを作製した。
【0154】
実験結果は図61に示される。
図61は、種々の処置をしたA549細胞の生存率を示す。A549細胞を種々のナノメートル物質(PAMAM)で処置し、24時間後、A549細胞の生存率をMTT法で測定した。
【0155】
実施例16 病理切片の調製
1.病理切片の調製
1)ブラッドフォード法によってH5N1型不活化ウイルスのタンパク質濃度を測定した。
2)各グループ当たり4−6匹になるように、マウスをグループに無作為に分類した。
3)1グループに、1時間前に3MA(30mg/kg)またはSB203580(16mg/kg)を腹腔内注射した。
4)トリ將尿液を気管注入した対照グループ、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルス(10μg/g)またはナノメートル物質PAMAM G3(50μg/g)、G5.5(50μg/g)を気管注入した実験グループのマウスの気管を単離した。
5)注入後、マウスはレスピレータ(HX−200動物レスピレータ、Chengdu Taimeng Science and Technology Co.,LTD)で機械的に換気し、5分後に人工呼吸器を停止した。6時間自発呼吸した後に肺を取り出した。
6)左肺を摘出し、13%ホルマリン固定液で固定した。
7)48時間後、ブロックを修復し、脱水し、ワックスをかけ、包理し、スライスし、病理組織切片を染色した。
【0156】
実験結果は図39、55および86に示される。
【0157】
図39は、Balb/cマウスの肺の病理切片の写真(200倍)を示す。図Aは、対照(トリ將尿液)を気管注入し、その6時間後に肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真を示し、図Bは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入し、その6時間後に肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真を示し、図Cは、3−MA(30mg/kg)を腹腔内注射し、その30分後に不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入し、その6時間後に肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真を示す。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスが重篤な肺損傷をもたらしうるのに対し、3−MAが不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。
【0158】
図55は、Balb/cマウスの肺の病理切片の写真(200倍)を示す。図Aは、対照(トリ將尿液)を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真を示す。図Bは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真を示す。図Cは、SB203580(16mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られた病理切片の写真を示す。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスが重篤な肺損傷を引き起こすのに対し、SB203580が不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。それは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがp38シグナル経路を介して肺損傷を誘発することを示す。
【0159】
図86は、Balb/cマウスの肺病理切片の写真(200倍)を示す。図Aは、対照を気管注入し、4時間後、肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真を示す。図Bは、ナノメートル物質PAMAM G5.5(100μg/mL)を気管注入し、4時間後、肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真を示す。図Cは、ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)を気管注入し、4時間後、肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真を示す。それは、ナノメートル物質PAMAM G3が重篤な肺損傷を引き起こすことを証明している。
【0160】
2.病理切片の調製
1)各グループ当たり4−6匹になるように、マウスを4グループに無作為に分類した。
2)各グループへの1M HCl(0.5uL/g)の気管注入の30分後に、マウス肺損傷のモデルを構築した。
3)2グループを選択し、HCl投与の30分前に、15mg/kg 3MAおよび0.25mg/kg SB203580をそれぞれ、腹腔内注射および気管注入した。
4)Fc(4×10−12mol/g)を気管注入した対照グループ、それぞれ、H5Fc(4×10−12mol/g)を気管注入した他の3グループのマウスの気管を単離した。
5)6時間の自発呼吸後に肺を摘出した。
6)左肺を摘出し、13%ホルマリン固定液で固定した。
7)48時間後、ブロックを修復し、脱水し、ワックスをかけ、包理し、スライスし、病理組織切片を染色した。
【0161】
実験結果は図49および58に示される。
【0162】
図49は、Balb/cマウスの肺の病理切片の写真(200倍)を示す。図Aは、酸吸引後Fcタンパク質を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真を示す。図Bは、酸吸引後H5Fcタンパク質を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真を示す。図Cは、酸吸引後3−MA(30mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、H5Fcタンパク質を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真を示す。それは、酸吸引後のH5Fcタンパク質が肺損傷を悪化させるのに対し、3−MAは酸吸引後のH5Fcタンパク質によって誘発された肺損傷をある程度改善することを証明している。
【0163】
図58は、Balb/cマウスの肺病理切片の写真(200倍)を示す。左図は、酸吸引後Fcタンパク質を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真である。中央図は、酸吸引後H5Fcタンパク質を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真である。右図は、酸吸引後SB203580(16mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、H5Fcタンパク質を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの病理切片の写真である。酸吸入後のH5Fcタンパク質の注入は肺損傷を悪化させるのに対し、SB203580は酸吸引後のH5Fcタンパク質によって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。
【0164】
実施例17 炎症細胞の計数
実施例16から得られたマウスの肺病理切片を、顕微鏡下にて観察した。1000倍まで増大した視界を無作為に選択し、視界内の肺組織に浸潤した多核細胞およびマクロファージをカウントした。
100の視界を各実験グループから無作為にカウントした。
各グループの各視界にて浸潤した多核細胞およびマクロファージの平均値および標準偏差を算出した。
【0165】
実験結果は図40、50、56および59に示される。
【0166】
図40は、棒グラフとして油浸レンズ(1000倍)下の肺組織の病理切片に局在する炎症細胞数を示す。左から右に、それぞれ、対照(トリ將尿液)を気管注入した6時間後のマウスの肺病理切片数、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入した6時間後のマウスの肺病理切片数、3−MA(30mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、不活化H5N1型鳥インフルエンザを注入した6時間後のマウスの肺病理切片数を示す。炎症細胞浸潤は、最も重要な指標の一つである。不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの注入は非常に浸潤した炎症細胞をもたらしたのに対し、3−MAは不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発される炎症細胞数を減少させた。結果は、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスが重篤な肺損傷をもたらすのに対し、3−MAが不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。
【0167】
図50は、棒グラフとして油浸レンズ(1000倍)下にて肺組織の病理切片に局在する炎症細胞数を示す。左から右に、それぞれ、酸吸引後Fcタンパク質を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの肺病理切片数、酸吸引後H5Fcタンパク質を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの肺病理切片数、および酸吸引後3−MA(30mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、H5Fcタンパク質を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの肺病理切片数を示す。炎症細胞浸潤は、重要な指標の一つである。H5Fcタンパク質の注入は浸潤した炎症細胞数を増加させるのに対し、3−MAはH5Fcタンパク質によって誘発される炎症細胞数の増加を減少させる。結果は、酸吸引後のH5Fcタンパク質が肺損傷を悪化させるのに対し、3−MAが酸吸引後のH5Fcタンパク質によって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。
【0168】
図56は、棒グラフとして油浸レンズ(1000倍)下の肺組織の病理切片に局在する炎症細胞数を示す。左から右に、それぞれ、対照(トリ將尿液)を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの肺病理切片数、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの肺病理切片数、マウスにSB203580(16mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、不活化H5N1型鳥インフルエンザを気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの肺病理切片数を示す。炎症細胞浸潤は、肺損傷の重要な指標の一つである。不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの注入は、非常に浸潤した炎症細胞をもたらすのに対し、SB203580は不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発される浸潤した炎症細胞数を減少させる。結果は、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスが重篤な肺損傷を引き起こすのに対し、SB203580が不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。
【0169】
図59は、油浸レンズ(1000倍)下の肺組織の病理切片に局在する炎症細胞数を示す。図Aは、酸吸引後Fcタンパク質を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの肺病理切片数を示す。図Bは、酸吸引後H5Fcタンパク質を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの肺病理切片数を示す。図Cは、酸吸引後SB203580(16mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、H5Fcタンパク質を気管注入し、6時間後に肺を摘出して得られたマウスの肺病理切片数を示す。炎症細胞浸潤は、肺損傷の重要な指標の一つである。H5Fcタンパク質の注入は浸潤した炎症細胞数を増加させたのに対し、pSB203580はH5Fcタンパク質によって誘発される浸潤した炎症細胞の増加を減少させた。結果は、酸吸引後のH5Fcタンパク質が肺損傷を悪化させるのに対し、SB203580が酸吸引後のH5Fcタンパク質によって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。
【0170】
実施例18 肺湿/乾比の測定
1.鳥インフルエンザによって誘発される肺湿/乾比の変化に対する薬物の効果の測定
1)ブラッドフォード法によってH5N1型不活化ウイルスタンパク質の濃度を測定した。
2)各グループ当たり4〜6匹になるように、マウスを5グループに無作為に分類した。
3)30分および1時間前に、3MA(30mg/kg)、SB203580(16mg/kg)およびウォルトマンニン(1.5mg/kg)をそれぞれ腹腔内注射した、2グループのマウスを選択した。
4)トリ將尿液を気管注入した対照グループおよび不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルス(10μg/g)を気管注入した、他の3グループのマウスの気管をそれぞれ単離した。
5)注入後、マウスはレスピレータ(HX−200動物レスピレータ、Chengdu Taimeng Science and Technology Co.,LTD)で機械的に換気し、5分後に人工呼吸器を停止した。6時間自発呼吸した後に肺を取り出した。
6)右肺を摘出し、その湿重量を測定した。
7)68℃にて24時間乾燥させた後に乾重量を測定した。
8)湿重量を乾重量で割って湿/乾比を得た。湿/乾比は、肺水腫の程度を評価するために用いられうる。
【0171】
実験結果は図44および57に示される。
【0172】
図44は、棒グラフとしてBalb/cマウスの肺湿/乾比を示す。それは、左から右に、対照(トリ將尿液)を気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比、3−MA(30mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比、およびウォルトマンニン(1.5mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比を示す。肺湿/乾比は、肺損傷の重要な指標の一つであり、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの注入は、湿/乾比を著しく増加するのに対し、3−MAおよびウォルトマンニンは、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによってもたらされた湿/乾比の増加を減少させる。結果は、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスが重篤な肺損傷を引き起こすのに対し、3−MAおよびウォルトマンニンが不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。
【0173】
図57は、棒グラフとしてBalb/cマウスの肺湿/乾比を示す。それは、左から右に、対照(トリ將尿液)を気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比、SB203580(16mg/kg)を腹腔内注射し、1時間後、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比を示す。肺湿/乾比は、肺損傷の重要な指標の一つである。不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの注入は湿/乾比を著しく増加させたのに対し、SB203580は不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発される湿/乾比の増加を減少させた。結果は、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスが重篤な肺損傷を引き起こすのに対し、SB203580が不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスによって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。
【0174】
2.ナノメートル物質によって誘発される肺湿/乾比の変化に対する薬物の効果の測定
1)各グループ当たり4〜6匹になるように、マウスを5グループに無作為に分類した。
2)2グループを選択し、1時間前にマウスに3MA(30mg/kg)を腹腔内注射した。
3)PBSを気管注入した、対照グループおよび3MAを腹腔内注射した1グループのマウス、ナノメートル物質PAMAM G3(50μg/g)を気管注入した、3MAを腹腔内注射した他の1グループのマウス、ならびにナノメートル物質PAMAM G3(50μg/g)およびG5.5(50μg/g)を気管注入した他の2グループのマウスの気管をそれぞれ単離した。
4)注入後、マウスはレスピレータ(HX−200動物レスピレータ、Chengdu Taimeng Science and Technology Co.,LTD)で機械的に換気し、5分後に人工呼吸器を停止した。6時間自発呼吸した後に肺を取り出した。
5)右肺を摘出し、その湿重量を測定した。
6)68℃にて24時間乾燥させた後に乾重量を測定した。
7)湿重量を乾重量で割って湿/乾比を得た。湿/乾比は、肺水腫の程度を評価するために用いられうる。
【0175】
実験結果は図87に示される。
図87は、棒グラフとしてBalb/cマウスの肺湿/乾比を示す。それらは、左から右に、対照を気管注入した16時間後のマウスの肺湿/乾比、ナノメートル物質PAMAM G5.5(100μg/mL)を気管注入した16時間後のマウスの肺湿/乾比、ナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)を気管注入した16時間後のマウスの肺湿/乾比、3−MAを腹腔内注射し、1時間後、ナノメートル物質PAMAM G3を気管注入した16時間後のマウスの肺湿/乾比、および3−MA(15mg/kg)を腹腔内注射した17時間後のマウスの肺湿/乾比を示す。肺湿/乾比は、肺損傷の重要な指標の一つである。ナノメートル物質PAMAM G3の気管注入は肺組織の湿/乾比を増加させるのに対し、3−MAはナノメートル物質PAMAM G3によって誘発されるマウスの肺湿/乾比の増加を軽減する。結果は、ナノメートル物質PAMAM G3が重篤な肺損傷を引き起こすのに対し、3−MAがナノメートル物質PAMAM G3によって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。
【0176】
3.鳥インフルエンザ表面タンパク質によって誘発される肺湿/乾比の変化に対する薬物の効果の測定
1)各グループ当たり4〜6匹になるように、マウスを5グループに無作為に分類した。
2)各グループへの1M HCl(0.5uL/g)の気管注入の30分後に、マウスの肺損傷モデルを構築した。
3)3グループを選択し、HCl投与の30分前に、15mg/kg 3MA、0.25mg/kg SB203580および0.25mg/kg LY294002を、それぞれ、腹腔内注射および気管注入した。
4)Fc(4×10−12mol/g)を気管注入した対照グループのマウス、H5Fc(4×10−12mol/g)を気管注入した3グループのマウスの気管をそれぞれ単離した。
5)6時間自発呼吸した後に肺を取り出した。
6)右肺の湿重量を測定した。
7)68℃にて24時間乾燥させた後に乾重量を測定した。
8)湿重量を乾重量で割って湿/乾比を得た。湿/乾比は、肺水腫の程度を評価するために用いられうる。
【0177】
実験結果は図51および60に示される。
【0178】
図51は、棒グラフとしてBalb/cマウスの肺湿/乾比を示す。左から右に、それぞれ、酸吸引後Fcタンパク質を気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比、酸吸引後H5Fcタンパク質を気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比、酸吸引後3−MA(30mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、H5Fcタンパク質を気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比、酸吸引後LY294002(0.25mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、H5Fcタンパク質を気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比である。肺湿/乾比は、肺損傷の重要な指標の一つである。酸吸引後のH5Fcタンパク質の気管注入は湿/乾比を著しく増加させるのに対し、3−MAおよびLY294002は酸吸引後のH5Fcタンパク質によって誘発される湿/乾比の増加を減少させた。結果は、酸吸引後のH5Fcタンパク質が重篤な肺損傷を引き起こすのに対し、3−MAおよびLY294002が酸吸引後のH5Fcタンパク質によって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。
【0179】
図60は、棒グラフとしてBalb/cマウスの肺湿/乾比を示す。左から右に、それぞれ、酸吸引後Fcタンパク質を気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比、酸吸引後H5Fcタンパク質を気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比、酸吸引後SB203580(16mg/kg)を腹腔内注射し、30分後、H5Fcタンパク質を気管注入した6時間後のマウスの肺湿/乾比を示す。肺湿/乾比は、肺損傷の重要な指標の一つであり、酸吸引後のH5Fcタンパク質の気管注入は肺湿/乾比を著しく増加させたのに対して、SB203580は酸吸引後のH5Fcタンパク質によって誘発される肺湿/乾比の増加を減少させた。結果は、酸吸引後のH5Fcタンパク質が重篤な肺損傷を引き起こすのに対し、SB203580が酸吸引後のH5Fcタンパク質によって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。
【0180】
4.鳥インフルエンザによって誘発される肺湿/乾比の変化に対する薬物の効果の測定
1)ブラッドフォード法によってH5N1型不活化ウイルスタンパク質の濃度を決定した。
2)各グループ当たり4〜6匹になるように、マウスを4グループに無作為に分類した。
3)対照siRNA(100μg)およびAtg5siRNA(100μg)を、それぞれ、2グループごとに注入した。
4)24時間後、対照siRNA群におけるマウスにトリ將尿液および不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルス(10μg/g)をそれぞれ気管注入し、Atg5siRNA群におけるマウスに、トリ將尿液および不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルス(10μg/g)をそれぞれ気管注入した。
5)注入後、マウスはレスピレータ(HX−200動物レスピレータ、Chengdu Taimeng Science and Technology Co.,LTD)で機械的に換気し、5分後に人工呼吸器を停止した。6時間自発呼吸した後に肺を取り出した。
6)右肺の湿重量を測定した。
7)68℃にて24時間乾燥させた後に乾重量を測定した。
8)湿重量を乾重量で割って湿/乾比を得た。湿/乾比は、肺水腫の程度を評価するために用いられうる。
【0181】
実験結果は図48に示される。
図48は、棒グラフとしてBalb/cマウスの肺湿/乾比を示す。対照siRNAおよびAtg5 siRNAをそれぞれ注入し、24時間後、対照(トリ將尿液)および不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスをそれぞれ注入した、4時間後のマウスの肺組織の湿/乾比の結果である。肺湿/乾比は、肺損傷の重要な指標の一つであり、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの注入は著しく湿/乾比を増加するのに対し、Atg5 siRNAはAtg5タンパク質の発現を阻害して肺損傷をある程度軽減することから、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがオートファジー(II型細胞アポトーシス)を活性化して肺損傷の発生を誘発することを示唆する。
【0182】
実施例19 肺弾性の実験方法
1.鳥インフルエンザウイルスによって誘発される肺弾性の変化に対する薬物の効果
1)8−10週齢のBalb/cマウスを選択し、マウスをグループに無作為に分類した。3MA(30mg/kg)およびPBSを、それぞれ、30分前に腹腔内注射した。
2)マウスを1%ペントバルビタールで麻酔した。
3)マウスの気管カニューレの手術を行った。
4)マウスを深く麻酔した後、BUXCO PFTによって0時間のマウスの肺組織のCchord(0−10cmH2O 肺組織適合性)を測定し、E(肺弾性)=1/Cchordを算出した。
5)ピペットで気管カニューレに正確に將尿液またはH5N1型不活化ウイルス(200μg)を注入し、注入時間を記録した。
6)動物レスピレータでマウスを換気した、f(頻度)=150回/分、p(圧力)=30cmH2O 3秒、p=25cmH2O 2分。
7)マウスの自発呼吸を保持した。
8)投与の1時間半後、BUXCO PFTによってマウスの肺組織のCchordを測定し、E=1/1時間半ごとのCchordを得た。
9)1時間半ごとの肺組織の弾性の変化率を算出し、曲線を作製した。
【0183】
実験結果は図43に示される。
図43は、Balb/cマウスの肺組織の弾性の結果を示す。それは、それぞれ、対照(トリ將尿液)を気管注入したマウスの、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを気管注入したマウスの、そして、最初に3−MA(30mg/kg)を腹腔内注射し、30分後に不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスを注入したマウスからの、肺組織の弾性の変化を示す。自発呼吸するマウスの肺弾性の変化を、4時間30分ごとに測定した。肺弾性は、肺機能を測定するための重要な指標である。不活化鳥インフルエンザウイルスの気管注入はマウスの肺のコンプライアンスを著しく減少させるのに対し、3−MAは誘発された損傷の軽減および肺の保護機能に一定の効果を有する。
【0184】
2.鳥インフルエンザウイルスによって誘発される肺弾性の変化に対するsiRNAの効果
1)8−10週齢のBalb/cマウスを選択し、マウスをグループに無作為に分類した。マウスを1%ペントバルビタールナトリウムで麻酔した。
2)マイクロシリンジでsiRNA対照100uL(100μg)およびsiRNA Atg5 100uL(100μg)を気管注入した。
3)24時間後、マウスを1%ペントバルビタールナトリウムで麻酔した。
4)マウスの気管カニューレの手術を行った。
5)マウスを深く麻酔した後、BUXCO PFTによって0時間のマウスの肺組織のCchord(0−10cmH2O 肺組織適合性)を測定し、E(肺弾性)=1/Cchordを算出した。
6)ピペットで気管カニューレに正確に將尿液またはH5N1型不活化ウイルス(200μg)を注入し、注入時間を記録した。
7)動物レスピレータでマウスを換気した、f(頻度)=150回/分、p(圧力)=30cmH2O 3秒、p=25cmH2O 2分。
8)マウスの自発呼吸を保持した。
9)投与の1時間半後、BUXCO PFTによってマウスの肺組織のCchordを測定して、E=1/1時間半ごとのCchordを得た。
10)1時間半ごとの肺組織の弾性の変化率を算出し、曲線を作製した。
【0185】
実験結果は図47に示される。
図47は、Balb/cマウスの肺組織の弾性の結果を示す。対照siRNAおよびAtg5 siRNAをそれぞれ注入し、24時間後、対照(トリ將尿液)および不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスをそれぞれ注入した、マウスの肺組織の弾性を30分ごとに測定した。自発呼吸するマウスの肺弾性の変化の測定を4時間行った。不活化鳥インフルエンザウイルスの気管注入はマウスの肺のコンプライアンスを著しく減少させるのに対し、Atg5 siRNAはAtg5タンパク質の発現の阻害を介して肺損傷をある程度軽減することから、不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスがオートファジー(II型細胞アポトーシス)を活性化して肺損傷の発生を誘発することを示唆する。
【0186】
3.ナノメートル物質によって誘発される肺弾性の変化に対する薬物の効果
1)8−10週齢のBalb/cマウスを選択し、マウスをグループに無作為に分類した。3MA(30mg/kg)およびPBSを、それぞれ、30分前に腹腔内注射した。
2)マウスを1%ペントバルビタールナトリウムで麻酔した。
3)マウスの気管カニューレの手術を行った。
4)マウスを深く麻酔した後、BUXCO PFTによって0時間のマウスの肺組織のCchord(0−10cmH2O 肺組織適合性)を測定し、E(肺弾性)=1/Cchordを算出した。
5)ピペットで気管カニューレに正確にPBSまたはナノメートル物質PAMAM G3(12.5μg/g)およびG5.5(12.5μg/g)不活化ウイルスを注入し、注入時間を記録した。
6)動物レスピレータでマウスを換気した、f(頻度)=150回/分、p(圧力)=30cmH2O 3秒、p=25cmH2O 2分。
7)マウスの自発呼吸を保持した。
8)投与の1時間半後、BUXCO PFTによってマウスの肺組織のCchordを測定して、E=1/1時間半ごとのCchordを得た。
9)1時間半ごとの肺組織の弾性の変化率を算出し、曲線を作製した。
【0187】
実験結果は図88に示される。
図88は、Balb/cマウスの肺弾性の変化の略図を示す。左から右に、連続して、対照を気管注入したBalb/cマウスの肺弾性の変化、ナノメートル物質PAMAM G5.5(50mg/kg)を気管注入したマウスの肺弾性の変化、ナノメートル物質PAMAM G3(50mg/kg)を注入したマウスの肺弾性の変化、3−MA(15mg/kg)を腹腔内注射し、1時間後、ナノメートル物質PAMAM G3を注入したマウスの肺弾性の変化を示す。肺弾性は、肺損傷の重要な指標の一つである。ナノメートル物質PAMAM G3はマウスの肺弾性の変化を引き起こすのに対し、3−MAはナノメートル物質PAMAM G3によって誘発されるマウスの肺弾性の変化を軽減する。結果は、ナノメートル物質PAMAM G3が重篤な肺損傷を引き起こすのに対し、3−MAがナノメートル物質PAMAM G3によって誘発される肺損傷をある程度改善することを証明している。
【0188】
実施例20 生存率の実験
1.鳥インフルエンザウイルスによって誘発される生存率に対する薬物の効果
1)ブラッドフォード法によってH5N1型不活化ウイルスタンパク質の濃度を測定した。
2)各グループ当たり6〜8匹になるように、マウスを4グループに無作為に分類した。
3)H5N1型不活化ウイルスの注入の8時間および2時間前ならびに注入の0.5時間後に、それぞれ、3MA(15mg/kg)を腹腔内注射した、2グループのマウスを選択した。
4)トリ將尿液を気管注入した、対照グループのマウスおよび3MAの1グループのマウスならびに不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルス(10μg/g)を気管注入した他の2グループのマウスの気管をそれぞれ単離した。
5)注入後、マウスはレスピレータ(HX−200動物レスピレータ、Chengdu Taimeng Science and Technology Co.,LTD)で機械的に換気し、5分後に人工呼吸器を停止した。マウスの自発呼吸は保持した。
6)半時間ごとにマウスの生存状況を記録した。
7)SPSSによって最終結果を統計解析し、生存率の曲線を作製した。
【0189】
実験結果は図45に示される。
図45は、Balb/cマウスの生存曲線を示す。不活化H5N1型鳥インフルエンザウイルスの気管注入の8時間前、2時間前およびその気管注入の30分後に、3−MA(15mg/kg)を腹腔内注射して、15分ごとに生存状況を観察した。それは、3−MAがマウスの死の遅延に対して効果を有することを証明している。
【0190】
2.ナノメートル物質PAMAMによって誘発される生存率に対する薬物の効果
1)ブラッドフォード法によってH5N1型不活化ウイルスタンパク質の濃度を測定した。
2)各グループ当たり6〜8匹になるように、マウスを4グループに無作為に分類した。
3)ナノメートル物質PAMAM G3(50μg/g)の気管注入の12時間および3時間前ならびに注入の0.5時間後に、それぞれ、3MA(15mg/kg)を腹腔内注射した、2グループのマウスを選択した。
4)PBSを気管注入した、対照グループのマウスおよび3MAの1グループのマウスならびにナノメートル物質PAMAM G3(50μg/g)を気管注入した他の2グループのマウスの気管をそれぞれ単離した。
5)半時間ごとにマウスの生存状況を記録した。
6)SPSSによって最終結果を統計解析し、生存率の曲線を作製した。
【0191】
実験結果は図89に示される。
【0192】
図89は、Balb/cマウスの生存曲線を示す。Balb/cマウスは以下のように処置された:対照を気管注入した;ナノメートル物質PAMAM G5.5(50mg/kg)を気管注入した;ナノメートル物質PAMAM G3(50mg/kg)を気管注入した;3−MA(15mg/kg)を腹腔内注射し、1時間後、ナノメートル物質PAMAM G3(50mg/kg)を気管注入した;および3−MA(15mg/kg)を腹腔内注射した。マウスを継続して24時間観察した。1時間おきに生存しているマウス数を計測して、統計解析を行った。結果:ナノメートル物質PAMAM G3はマウスの死亡率を増加させるのに対し、3−MAはナノメートル物質PAMAM G3によって誘発されるマウスの死亡を有意に軽減しうる。
【0193】
図90は、ウォルトマンニンの構造式を示す。CAS番号は19545−26−7であり、分子式はC23H24O8であり、分子量は428.43である。
【0194】
実施例21 細胞内シグナル経路の作図
細胞内シグナル経路をフォトショップのソフトウェアによって作図し、シグナル経路における異なる分子または細胞小器官または組織を示すために特定の形式を用いた。矢印は上流のシグナル分子が下流のシグナル分子を活性化するかまたは特定の効果をもたらすことを示し、「T」型は阻害効果を示す。
【0195】
実験結果は図37および85に示される。
【0196】
図37は、細胞シグナル経路の略図を示す。上記の実験結果から、本発明者らは、略図に示される結論を得ることができた:鳥インフルエンザウイルスは、AKTからTSC1/2、次いで、mTOR、そして、オートファジーの経路を介してオートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発しうる。鳥インフルエンザウイルスはAKTを阻害し、AKTはTSC1/2を阻害し、TSC1/2はmTOR経路を阻害し、mTOR経路はオートファジー(II型細胞アポトーシス)を阻害する;オートファジー経路は、Atg5−Atg12からLC3の経路を介して作用して、オートファジー(II型細胞アポトーシス)を誘発する。
【0197】
図85は、細胞シグナル経路の略図を示す。上記の実験結果から、本発明者らは略図に示されるように結論づけることができる:ナノメートル物質PAMAM G3がAkt−TSC1/2−mTOR−オートファジーの経路を活性化しうる。mTORの活性化は、オートファジーの発生を阻害しうる;TSC1/2の活性化は、オートファジー(II型細胞アポトーシス)を促進するためにmTORの活性化を阻害しうる。
【0198】
実施例22 DNAラダー測定
1)単細胞懸濁液に対数増殖期のA549細胞を消化させ、6cmディッシュに分注した。
2)37℃にて24時間培養するためにCO2インキュベーターに移した。
3)各ディッシュに陰性対照としてPBSを加え、陽性対照として6%DMSOを加え、ナノメートル物質PAMAM G3を別々に加えた。
4)24時間後、すべての細胞を回収した。
5)Qiagen全ゲノム抽出キットによって細胞のゲノムDNAを抽出した。
6)2時間60Vでアガロースゲル電気泳動を行った。
7)UV下で観察し、撮影した。
【0199】
実験結果は図62に示される。
図62は、異なる方法で処置したA549細胞のゲノム電気泳動図を示す。A549細胞を、対照、ジメチルスルホキシド(DMSO、6%v/v)およびナノメートル物質PAMAM G3(100μg/mL)で処置した後、細胞を回収し、細胞のゲノムDNAをゲノム抽出用キットで単離し、アガロースゲル電気泳動を行った。ジメチルスルホキシドは、アポトーシス誘導剤として用いた。
【0200】
実施例23 カスパーゼ−3活性の蛍光測定
1)単細胞懸濁液に対数増殖期のA549細胞を消化させ、6cmディッシュに分注した。
2)37℃にて24時間培養するためにCO2インキュベーターに移した。
3)各ディッシュに陰性対照としてPBSを加え、陽性対照として6%DMSOを加え、ナノメートル物質PAMAM G3およびG5.5を別々に加えた。
4)24時間後、細胞を溶解した。
5)遠心分離し、上清を除去し、カスパーゼ−3活性蛍光検出キット(CEPREI)で検出した。
6)蛍光強度を測定した。
【0201】
実験結果は図63に示される。
図63は、異なる方法で処置したA549細胞のカスパーゼ−3活性の結果を示す。A549細胞を、対照、ジメチルスルホキシド(DMSO、6%v/v)、ナノメートル物質PAMAM G5.5およびPAMAM G3種でそれぞれ処置し。24時間後、細胞のカスパーゼ−3活性をカスパーゼ−3活性試験キットで測定した。
【0202】
実施例24 化学式
化合物の構造は、化学分野に一般的に用いられる標準規則にしたがって示される。
【0203】
実験結果は、図90、91、92および93に示される。
図90は、ウォルトマンニンの構造式を示す。CAS番号は19545−26−7であり、分子式はC23H24O8であり、分子量は428.43である。
図91は、LY−294,002の構造式を示す。CAS番号は934389−88−5であり、分子式はC19H17NO3・HClであり、分子量は343.80である。
図92は、3−メチルアデニンの構造を示す。CAS番号は15142−23−4であり、分子式はC6H7N5であり、分子量は149.15である。
図93は、SB 203580の構造を示す。CAS番号は152121−47−6であり、分子式はC21H16FN3OSであり、分子量は377.43である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳類の鳥インフルエンザの予防および/または処置のためのオートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤の使用であって、該阻害剤が、3−メチルアデニン、SB203580、LY294002またはウォルトマンニンから選択される、使用。
【請求項2】
哺乳類がヒトである、請求項1記載の使用。
【請求項3】
哺乳類のインフルエンザ、好ましくは鳥インフルエンザが、インフルエンザウイルス、好ましくは鳥インフルエンザウイルスによって誘発される哺乳類の肺損傷を含む、請求項1または2記載の使用。
【請求項4】
前記肺損傷が急性呼吸窮迫症候群を含む、請求項3記載の使用。
【請求項5】
前記インフルエンザウイルス、好ましくは鳥インフルエンザウイルスが、H5N1型、H5N2型またはH9N2型ウイルスである、請求項3記載の使用。
【請求項6】
3−メチルアデニンが、PI3KクラスIIIのシグナル伝達経路の阻害剤である、オートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤である、請求項1または2記載の使用。
【請求項7】
ナノメートル物質によって誘発される哺乳類の肺損傷を予防および/または処置するためのオートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤の使用であって、該阻害剤が、3−メチルアデニン、SB203580、LY294002またはウォルトマンニンから選択される、使用。
【請求項8】
哺乳類がヒトである、請求項7記載の使用。
【請求項9】
ナノメートル物質が、PAMAM G3、G4、G5、G5.5、G6、G7およびG8を含む、請求項7または8記載の使用。
【請求項10】
3−メチルアデニンが、PI3KクラスIIIのシグナル伝達経路の阻害剤である、オートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤である、請求項7または8記載の使用。
【請求項11】
肺損傷が急性呼吸窮迫症候群を含む、請求項7または8記載の使用。
【請求項12】
哺乳類のインフルエンザ、好ましくは鳥インフルエンザの予防方法および/または処置方法であって、哺乳類の鳥インフルエンザを予防および/または処置するために有効量のオートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤を哺乳類に投与することを含み、該阻害剤が、3−メチルアデニン、SB203580、LY294002またはウォルトマンニンから選択される、方法。
【請求項13】
ナノメートル物質によって誘発される肺損傷の予防方法および/または処置方法であって、ナノメートル物質によって誘発される哺乳類の肺損傷を予防および/または処置するために有効量のオートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤を哺乳類に投与することを含み、該阻害剤が、3−メチルアデニン、SB203580、LY294002またはウォルトマンニンから選択される、方法。
【請求項14】
哺乳類がヒトである、請求項12または13記載の方法。
【請求項1】
哺乳類の鳥インフルエンザの予防および/または処置のためのオートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤の使用であって、該阻害剤が、3−メチルアデニン、SB203580、LY294002またはウォルトマンニンから選択される、使用。
【請求項2】
哺乳類がヒトである、請求項1記載の使用。
【請求項3】
哺乳類のインフルエンザ、好ましくは鳥インフルエンザが、インフルエンザウイルス、好ましくは鳥インフルエンザウイルスによって誘発される哺乳類の肺損傷を含む、請求項1または2記載の使用。
【請求項4】
前記肺損傷が急性呼吸窮迫症候群を含む、請求項3記載の使用。
【請求項5】
前記インフルエンザウイルス、好ましくは鳥インフルエンザウイルスが、H5N1型、H5N2型またはH9N2型ウイルスである、請求項3記載の使用。
【請求項6】
3−メチルアデニンが、PI3KクラスIIIのシグナル伝達経路の阻害剤である、オートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤である、請求項1または2記載の使用。
【請求項7】
ナノメートル物質によって誘発される哺乳類の肺損傷を予防および/または処置するためのオートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤の使用であって、該阻害剤が、3−メチルアデニン、SB203580、LY294002またはウォルトマンニンから選択される、使用。
【請求項8】
哺乳類がヒトである、請求項7記載の使用。
【請求項9】
ナノメートル物質が、PAMAM G3、G4、G5、G5.5、G6、G7およびG8を含む、請求項7または8記載の使用。
【請求項10】
3−メチルアデニンが、PI3KクラスIIIのシグナル伝達経路の阻害剤である、オートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤である、請求項7または8記載の使用。
【請求項11】
肺損傷が急性呼吸窮迫症候群を含む、請求項7または8記載の使用。
【請求項12】
哺乳類のインフルエンザ、好ましくは鳥インフルエンザの予防方法および/または処置方法であって、哺乳類の鳥インフルエンザを予防および/または処置するために有効量のオートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤を哺乳類に投与することを含み、該阻害剤が、3−メチルアデニン、SB203580、LY294002またはウォルトマンニンから選択される、方法。
【請求項13】
ナノメートル物質によって誘発される肺損傷の予防方法および/または処置方法であって、ナノメートル物質によって誘発される哺乳類の肺損傷を予防および/または処置するために有効量のオートファジー(II型細胞アポトーシス)阻害剤を哺乳類に投与することを含み、該阻害剤が、3−メチルアデニン、SB203580、LY294002またはウォルトマンニンから選択される、方法。
【請求項14】
哺乳類がヒトである、請求項12または13記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図15】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図16】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図17】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図18】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図19】
【図19A】
【図19B】
【図19C】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29A】
【図29B】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36A−36B】
【図36C−36D】
【図37】
【図38】
【図39A】
【図39B】
【図39C】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49A】
【図49B】
【図49C】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55A】
【図55B】
【図55C】
【図56】
【図57】
【図58A】
【図58B】
【図58C】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【図64A】
【図64B】
【図64C】
【図64D】
【図65】
【図66A】
【図66B】
【図66C】
【図66D】
【図67】
【図68】
【図69】
【図70】
【図71】
【図72】
【図73】
【図74】
【図75】
【図76】
【図77】
【図78】
【図79A】
【図79B】
【図80】
【図81】
【図82】
【図83】
【図84】
【図85】
【図86A】
【図86B】
【図86C】
【図87】
【図88】
【図89】
【図90】
【図91】
【図92】
【図93】
【図2】
【図3】
【図4】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図15】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図16】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図17】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図18】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図19】
【図19A】
【図19B】
【図19C】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29A】
【図29B】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36A−36B】
【図36C−36D】
【図37】
【図38】
【図39A】
【図39B】
【図39C】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49A】
【図49B】
【図49C】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55A】
【図55B】
【図55C】
【図56】
【図57】
【図58A】
【図58B】
【図58C】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【図64A】
【図64B】
【図64C】
【図64D】
【図65】
【図66A】
【図66B】
【図66C】
【図66D】
【図67】
【図68】
【図69】
【図70】
【図71】
【図72】
【図73】
【図74】
【図75】
【図76】
【図77】
【図78】
【図79A】
【図79B】
【図80】
【図81】
【図82】
【図83】
【図84】
【図85】
【図86A】
【図86B】
【図86C】
【図87】
【図88】
【図89】
【図90】
【図91】
【図92】
【図93】
【公表番号】特表2012−530685(P2012−530685A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507592(P2012−507592)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【国際出願番号】PCT/CN2010/072231
【国際公開番号】WO2010/124618
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(506032129)中国医学科学院基礎医学研究所 (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【国際出願番号】PCT/CN2010/072231
【国際公開番号】WO2010/124618
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(506032129)中国医学科学院基礎医学研究所 (2)
【Fターム(参考)】
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