説明

オービタル切削工具によって加工された複合材料加工体孔の深さ測定方法および深さ測定装置

【課題】切削工具における切削ヘッドの軸方向切削端部と、加工体の第1表面との間の最初に接触する位置を正確に決定し、切削ヘッドの放射方向切削端部が、加工体の反対側にある第2表面を完全に貫通したときの位置を正確に決定する。
【解決手段】切削工具(14)に、低レベルの電位を印加する。また、切削工具を加工体の第1外側表面(W1)と最初に接触させることで、接地された前記加工体(W)を通じて電気回路を閉じたときに、切削工具の第1ゼロ基準位置を決定し、切削工具(14)の切削ヘッド(57)が、加工体の反対側の第2表面を貫通した時に、第2基準位置を決定する。第1ゼロ基準位置から第2基準位置に切削工具が軸方向に前進した全体長さから、加工体を突き抜けてしまっている切削ヘッド(57)の予め決められた軸方向の長さ(L)を差し引くことで、孔の深さ(d)を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主軸を中心としてオービタル運動する回転切削工具によって加工された複合材料からなる加工体の孔の深さを測定する方法および装置に関する。本発明は、例えば航空機や宇宙技術への利用のために、少なくとも二層の材料からなる各種の繊維強化複合材料,積層体,或いは材料スタックのような、特に多層化された加工体に孔を形成する場合に有用である。
【背景技術】
【0002】
例えば、航空機に用いられる多層化された構成部品は、その厚さが加工体の大きさに沿って変化する可能性があり、加工品に形成された孔の深さもそれに応じて変化する。そのため、ボルトやブラインドファスナのような、それぞれが正確に適合する留め具を、孔と正確に一致させることができるようにするためには、加工品に形成された各孔の個別の深さを、正しく測定することが重要である。さらには、加工品を貫通した後に、空中で不必要な穿孔動作を避けるために、切削工具の軸方向の動きを最小にすることが望まれる。
【0003】
切削工具と被加工体の表面との間の初期接触を検出すると共に、多層化された加工体の種々の接触面および奥底部に、切削工具がどの時点で到達したのかを決定する従来の方法が、米国特許第4,644,335号明細書に開示されている。
【0004】
この方法は、例えば出力信号の波形,振幅,周波数のような音響的形跡について、当該出力信号を検出し分析する各ステップ(手順)を含んでいる。しかし、こうした測定方法は、同一の加工体の別な各位置で機械的な加工動作が同時に行なわれることにより発生し、且つそこから転送される外乱や妨害に対して、敏感に反応する。これは、それぞれの孔の深さについて、測定結果の信頼性を危うくすることに成りかねない。
【特許文献1】米国特許第4,644,335号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、既知の方法における欠点を排除して、切削工具における切削ヘッドの軸方向切削端部と、加工体の第1表面との間の最初に接触する位置(第1ゼロ基準位置)を正確に決定できると共に、この切削ヘッドの放射方向切削端部が、加工体の反対側にある第2表面を完全に貫通したときの位置を正確に決定する新規な方法と装置を提供することにある。加工体における切削ヘッドの入口点と出口点との間の距離(孔の深さ)は、例えば機械工具に組み込まれたリニアエンコーダのような、スピンドルユニットおよび切削工具の軸方向の動きを測定する測定手段によって算出してもよい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、上記目的は、第1ゼロ基準位置から切削ヘッドが加工体を通じての電気回路を遮断した点に、切削工具が軸方向に前進した全体の長さから、加工体を既に突き抜けてしまっている切削ヘッドの放射方向切削端部における予め決められた軸方向の長さを差し引くことで達成される。より詳しくは、請求項1の方法は、
a)放射方向切削端部および軸方向切削端部を備え、予め決められた軸方向の長さを有する切削ヘッドを有すると共に、長手方向中心軸を有する電気的に絶縁された切削工具に、低レベルの電位を印加し、
b)長手方向中心軸を中心として切削工具を回転し、
c)加工体に向けて切削工具を軸方向に前進し、
d)切削工具を加工体の第1外側表面と最初に接触させることで、接地された加工体を通じて電気回路を閉じたときに、切削工具の第1ゼロ基準位置を決定し、
e)ゼロ位置基準位置から始動した切削工具の軸方向の動きを測定するために、測定手段を確保し、
f)主軸を中心として切削工具のオービタル回転を行ない、
g)加工体内に切削工具を軸方向に送り込み、
h)加工体)を通じて、切削工具が前進している間に電位に関する特定の特徴を監視し、
i)切削工具の切削ヘッドが前記加工体の反対側の第2表面を貫通した時に、電気回路が断たれた点を検出し、
j)第1ゼロ基準位置から加工体を通じての電気回路が断たれた点に、切削工具が軸方向に前進した全体長さから、加工体を突き抜けてしまっている切削ヘッドの予め決められた軸方向の長さを差し引くことにより、測定手段の助力で孔の深さを決定し、
以上のステップからなる。
【0007】
本発明の別な態様によれば、切削工具の切削ヘッドが同様に貫通した後で、加工体の第2表面と接触させるように切削工具を軸方向に戻すことにより、加工体とグランドを通して電気回路を再び閉状態にし、切削工具の第2基準位置を決定することでも、孔の深さを算出することができる。こうして、リニアエンコーダに記録された2つの基準位置を用いることにより、切削工具によって形成された孔の深さを正確に決定できる。より詳しくは、独立請求項2の方法は、前記各ステップa)〜i)に加えて、
k)切削工具の放射方向のオフセット量を僅かに付加的に増加させ、
l)電気回路を再び閉じたときの切削工具の第2基準位置を決定するために、加工体の第2表面と接触させるように切削工具を軸方向に戻し、
m)取得した2つの基準位置を用いて、切削工具により形成された孔の深さを決定し、
以上のステップからなる。
【0008】
本発明では、切削ヘッドが加工体を完全に貫通した箇所で、正確な位置を感知できることから、加工体を貫通した後で切削工具の軸方向の動きを最小にして、空中で切削工具が不必要に穿孔動作するのを避けることが可能になる。
【0009】
本発明の上記各方法における更なる特徴は、独立請求項3および4に示されている。
【0010】
本発明は、複合材料加工体に孔を形成し、この形成した孔の深さを測定するオービタル機械加工装置にも関係する。この装置は、独立請求項5に示す特徴を備えている。
【0011】
本発明は、添付図面を参照しながら、以下に続く詳細な説明と組み合わせて開示されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の方法において、複合材料加工体に機械加工された孔の深さを測定するために、オービタル機械加工装置10が用いられる。このオービタル機械加工装置10は、例えば国際公開WO01/15870 A2号,国際公開WO03/008136 A1号,米国特許第5,971,678号に記述されるような、従来のオービタル運動を行なう穿孔装置と同じように、孔あけ加工中に、スピンドル13と縦(長手)方向中心軸16を有する切削工具14とを回転させるために設けたスピンドルモータユニットの形態をなす第1アクチュエータ12と、工具軸16と実質的に平行で、加工体の内部に向けて軸の送り込み方向に切削工具14を動かすために設けた第2アクチュエータ20と、切削工具14の前記中心軸16と実質的に平行であり、機械加工される孔の縦方向中心軸と同軸である主軸を中心として、前記切削工具14を回転させるさせるために設けた第3アクチュエータ22と、前記主軸から切削工具の中心軸16への放射方向の距離を制御するために設けたラジアルオフセット機構24とを備え、第2アクチュエータ20は前記第1アクチュエータ12と同時に動作可能になっていると共に、第3アクチュエータ22は前記第1アクチュエータ12および第2アクチュエータ20と同時に動作可能になっている。
【0013】
図2においてさらに詳しく示すように、スピンドルモータユニット12は電気モータを備えていて、この電気モータは内側ロータ26および外側ステータ28を有していてもよく、内側ロータ26と外側ステータ28との間にはエアギャップ30が形成される。装置10は、固定スタンド32(図1)にスライド可能に取付けられるか、さもなければロボットアーム(図示せず)のような可動部材に取付けられる。第2アクチュエータ20は、固定モータ34を備えた軸送り込み機構を有し、この固定モータ34は、機械ハウジングHに固着されたボールナット38に係合するボールねじ36を動かす。モータ34を回転すると、装置10がスタンド34の前方または後方の何れかにスライドし、切削工具14を軸方向に移動させる。
【0014】
ラジアルオフセット機構24は、セラミック軸受40によりその中にある偏心孔にスピンドル13を回転可能に保持する内側中空円筒体38を備えており、前記セラミック軸受40は、本装置の周辺部品からスピンドル13を電気的に絶縁する。この偏心孔は、内側円筒体38の縦方向中心軸とは平行であるものの、当該縦方向中心軸から放射方向の距離をオフセット(偏心)した縦方向の中心軸を有している。その一方で、偏心した内側円筒体38は、第2の外側中空円筒体42(図1)の軸方向に延びる偏心孔内に回転可能に保持される。この外側円筒体42の偏心孔は、外側円筒体36の中心軸(主軸)とは平行であるものの、当該中心軸から放射方向の距離をオフセットした縦方向の中心軸を有している。好ましくは、円筒体38,42の各孔は同じ偏心度、すなわち各孔の中心軸が、円筒体38,42自体のそれぞれの中心軸から放射方向に同じ距離だけオフセットしている。外側円筒体42の偏心孔内で内側円筒体38を回転させることにより、或いは円筒体38,42をお互いに且つ相対的に回転させることにより、内側円筒体38の偏心孔の中心軸、ひいてはスピンドル13および切削工具14の中心軸16が、外側円筒体42の中心軸と一致するように、内側円筒体38の偏心孔の中心軸を配置することが可能になる。この場合、切削工具軸16の全てで、放射方向のオフセットがなくなる。この放射方向のオフセットがゼロの位置から、内側円筒体38および外側円筒体42をお互いに且つ相対的に180°回転させることで、切削工具軸16の最大オフセットを得ることができる。
【0015】
基本的に、前記外側円筒体42は装置10のハウジングHに回転可能に保持され、外側体42に連結されたベルト輪48に係合するベルト46を介して、モータ(図示せず)により回転するようになっている。同様に、前記内側円筒体38は、ベルト52を介してさらに別なモータ(図示せず)により回転するようになっており、このベルト52は、継手56を介して円筒体38に連結されたベルト輪54に係合する。ベルト輪54は、ベルト輪48に対して同軸の位置に回転するように配置される。
【0016】
スピンドルの軸方向の動きを測定するために、例えばリニアエンコーダのような、機械加工装置の動作中にスピンドルおよび切削工具14の軸方向の位置を感知する測定手段(図示せず)を、当該機械加工装置10は備えている。図2aや図2bに図示されているように、切削工具14に低レベルの電位を印加するために、この切削工具14は低レベルの電圧源Uに接続されている。図2aは切削工具14の開始位置を示しており、この状態ではグランド(GND)に接続された加工体Wを通じての電気回路が断たれているが、図2bは切削工具14と加工体Wとの間が最初に接触する状態を示しており、ここでは電気回路が加工体Wを通して閉じることで、切削工具14の第1ゼロ基準位置を知らせるようになっている。
【0017】
ここからは、オービタル穿孔動作によって、複合材料からなる加工体Wに機械加工された孔の深さを測定する方法を記述する。図2bおよび図3に図示されているように、回転する切削工具14が加工体Wの外側表面W1と最初に接触すると、切削工具14の電位が加工体Wを通して接地される。これは工具14のゼロ基準位置を示すことになり、当該ゼロ基準位置から、機械加工装置10と関連付けられたリニアエンコーダのような測定手段の助力を得て、孔の深さが算出されることになる。ここで、回転する切削工具14が一般的なオービタル運動を行なうことで、すなわち軸方向の動きが同時に行なわれる一方で、工具14がさらに孔の中心軸に対応した主軸を中心として回転することで、孔開け機械加工の手順が開始する。図3に示すように、利用される切削工具14は、好ましくは切削ヘッド57を有するエンドミルであって、ここでの切削ヘッド57は、放射状に広がる軸方向切削端部58と、軸方向に延びた放射方向切削端部60とを備えていて、機械加工される孔の深さよりも実質的に小さく形成された軸方向の長さLを有している。
【0018】
図4に示すように、切削ヘッド57が加工体Wの反対側表面W2を貫通した時、言い換えれば、放射方向端部60の後端62が加工体Wと接触しなくなると、加工体Wを通じての電気回路が断たれる。この切削工具14における第2基準位置は、測定手段に記録される。この時点で、第1ゼロ基準位置から加工体Wを通じての電気回路が断たれた前記第2基準位置に、切削工具14が軸方向に前進した全体長さから、切削ヘッド57の前記長さL(実質的には、加工体を突き抜けてしまっている放射方向切削端部60の軸方向長さと軸方向切削端部58の軸方向高さに相当する)を差し引くことにより、仕上がった孔の深さdを算出することができる。
【0019】
別な方法として、図5に図示されているように、加工体Wの後側表面W2を突き抜けて切削ヘッド57が貫通した後に、当該切削工具の放射方向オフセット量を僅かに付加的に増加させ、次いで加工体Wの当該表面W2と新たに接触させるために、切削工具を軸方向に戻すことにより、前記第2基準位置を取得若しくは再確認することも可能である。この電気回路の閉状態で第2基準位置を示すものは、電気回路を断つことで第2の基準位置を示すものよりも、より明確に取得することができる。
【0020】
本発明は、繊維強化複合材料や、金属強化複合材,金属−金属複合材料および金属−繊維複合材料を含む金属複合材料や、さもなければ金属層からなる積層体またはスタックからなる加工体のような、一般的な複合材料加工体に適用される。つまり、ここでいう複合材料は、それ自体が複数層の材料で構成される。
【0021】
本発明は、加工品における孔の深さを測定する方法であるが、その一部は、切削工具の一体的に傾斜した皿孔形成部を用いる箇所で、皿孔の望ましい深さを決定するために利用してもよい。ゼロ基準位置を確認し、その後で、切削ヘッドの先端と傾斜した皿孔形成部の先端との間の距離に相当する長さに切削工具を前進すれば、皿孔の予め決められた深さを取得することが可能になる。さらに、貫通していないめくら孔の深さについても、同様に取得できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】従来知られているオービタル機械加工装置の縦断面図であり、このオービタル機械加工装置は本発明の装置と共通する多くの基本構成部品を備えている。
【図2】本発明のオービタル機械加工装置に用いられる電気的に絶縁したスピンドルユニットの詳細な側断面図である。
【図2a】加工体の外部にあって、この加工体と電気的に接触する切削工具の概略側面図である。
【図2b】加工体の外部にあって、この加工体と電気的に接触する切削工具の概略側面図である。
【図3】複合材料加工体と電気的に接触する状態になり始めたオービタル切削工具の概略図である。
【図4】オービタル切削工具の切削ヘッドが加工体を貫通した後に、この加工体と丁度緩やかに接触した時点でのオービタル切削工具の位置を示す図である。
【図5】オービタル切削工具の切削ヘッドが加工体を貫通し、次いでこの加工体と再び接触するようになった後に、若干放射方向に向けて移動したときのオービタル切削工具の位置を示す図である。
【符号の説明】
【0023】
10 オービタル機械加工装置
12 第1アクチュエータ
13 スピンドル
14 切削工具
16 工具軸
18 長手方向中心軸
20 第2アクチュエータ
22 第3アクチュエータ
24 ラジアルオフセット機構
57 切削ヘッド
58 軸方向切削端部
60 放射方向切削端部
W 加工体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
オービタル切削処理により機械加工された複合材料加工体(W)孔の深さ測定方法であって、
a)放射方向切削端部(60)および軸方向切削端部(58)を備え、予め決められた軸方向の長さ(L)を有する切削ヘッド(57)を有すると共に、長手方向中心軸(16)を有する電気的に絶縁された切削工具(14)に、低レベルの電位を印加し、
b)前記長手方向中心軸(16)を中心として前記切削工具(14)を回転し、
c)前記加工体(W)に向けて前記切削工具(14)を軸方向に前進し、
d)前記切削工具を前記加工体の第1外側表面(W1)と最初に接触させることで、接地された前記加工体(W)を通じて電気回路を閉じたときに、前記切削工具の第1ゼロ基準位置を決定し、
e)前記ゼロ位置基準位置から始動した前記切削工具の軸方向の動きを測定するために、測定手段を確保し、
f)主軸を中心として前記切削工具のオービタル回転を行ない、
g)前記加工体内に前記切削工具を軸方向に送り込み、
h)前記加工体(W)を通じて、前記切削工具(14)が前進している間に前記電位の特定の特徴を監視し、
i)前記切削工具(14)の切削ヘッド(57)が前記加工体(W)の反対側の第2表面(W2)を貫通した時に、前記電気回路が断たれた点を検出し、
j)前記第1ゼロ基準位置から前記加工体を通じての前記電気回路が断たれた点に、前記切削工具(14)が軸方向に前進した全体長さから、加工体を突き抜けてしまっている切削ヘッド(57)の予め決められた軸方向の長さ(L)を差し引くことにより、前記測定手段の助力で前記孔の深さ(d)を決定し、
以上の各ステップからなることを特徴とする複合材料加工体孔の深さ測定方法。
【請求項2】
オービタル切削処理により機械加工された複合材料加工体(W)孔の深さ測定方法であって、
a)放射方向切削端部(60)および軸方向切削端部(58)を備え、予め決められた軸方向の長さ(L)を有する切削ヘッド(57)を有すると共に、長手方向中心軸(16)を有する電気的に絶縁された切削工具(14)に、低レベルの電位を印加し、
b)前記長手方向中心軸(16)を中心として前記切削工具(14)を回転し、
c)前記加工体(W)に向けて前記切削工具(14)を軸方向に前進し、
d)前記切削工具を前記加工体の第1外側表面(W1)と最初に接触させることで、接地された前記加工体(W)を通じて電気回路を閉じたときに、前記切削工具の第1ゼロ基準位置を決定し、
e)前記ゼロ位置基準位置から始動した前記切削工具の軸方向の動きを測定するために、測定手段を確保し、
f)主軸を中心として前記切削工具のオービタル回転を行ない、
g)前記加工体内に前記切削工具を軸方向に送り込み、
h)前記加工体(W)を通じて、前記切削工具(14)が前進している間に前記電位の特定の特徴を監視し、
i)前記切削工具(14)の切削ヘッド(57)が前記加工体(W)の反対側の第2表面(W2)を貫通した時に、前記電気回路が断たれた点を検出し、
k)前記切削工具(14)の放射方向のオフセット量を僅かに付加的に増加させ、
l)前記電気回路を再び閉じたときの前記切削工具の第2基準位置を決定するために、前記加工体の第2表面と接触させるように前記切削工具を軸方向に戻し、
m)取得した2つの前記基準位置を用いて、前記切削工具(14)により形成された前記孔の深さ(d)を決定し、
以上の各ステップからなることを特徴とする複合材料加工体孔の深さ測定方法。
【請求項3】
前記の各ステップは、少なくとも2層の材料で構成される複合材料加工体に行なわれることを特徴とする請求項1または2記載の複合材料加工体孔の深さ測定方法。
【請求項4】
前記層の少なくとも一つが、繊維強化複合材料で構成されることを特徴とする請求項3記載の複合材料加工体孔の深さ測定方法。
【請求項5】
複合材料加工体(W)に孔を形成し、この形成した孔の深さ(d)を測定するオービタル機械加工装置であって、
放射方向切削端部(60)および軸方向切削端部(58)を備え、予め決められた軸方向の長さ(L)を有する切削ヘッド(57)を有すると共に、長手方向中心軸(16)を有する切削工具(14)を保持するための回転可能なスピンドル(13)と、
孔あけ加工中に、前記切削工具(14)の長手方向中心軸(16)を中心として、当該切削工具(14)を回転させるために設けた第1アクチュエータ(12)と、
前記工具軸(16)と実質的に平行で、前記加工体(W)の内部に向けて軸の送り込み方向に前記切削工具(14)を動かすために設けた第2アクチュエータ(20)と、
前記切削工具(14)の前記中心軸(16)と実質的に平行であり、機械加工される孔の縦方向中心軸と同軸である主軸を中心として、前記切削工具(14)を回転させるさせるために設けた第3アクチュエータ(22)と、
前記主軸から前記切削工具(14)の中心軸(16)への放射方向の距離を制御するために設けたラジアルオフセット機構(24)とを備え、
前記第2アクチュエータ(20)は前記第1アクチュエータ(12)と同時に動作可能になっていると共に、前記第3アクチュエータ(22)は前記第1アクチュエータ(12)および前記第2アクチュエータ(20)と同時に動作可能になっているオービタル機械加工装置において、
前記スピンドル(13)は、低レベルの電圧源(U)およびスピンドル(13)の軸方向の動きを測定する測定手段に接続されると共に、前記オービタル機械加工装置(10)の周辺部品から当該スピンドル(13)を電気的に絶縁するセラミック軸受(40)を備えており、
前記測定手段は、前記切削工具(14)を前記加工体(W)の第1表面(W1)と最初に接触させ、前記加工体(W)を通して電気回路をグランドで閉じた時に、前記切削工具(14)の第1ゼロ基準位置を記録すると共に、前記切削ヘッド(57)が前記加工体(W)の反対側にある第2表面(W2)を貫通したことで前記電気回路が断たれた時に、或いは前記電気回路をグランドで再び閉じることで、前記切削工具(14)の第2基準位置を決定するために、前記切削工具(14)が前記第2表面(W2)を突き抜けてしまった後に、この切削工具(14)が戻って、前記加工体(W)の前記第2表面(W2)に接触した時に、前記切削工具(14)の第2基準位置を記録するように設けられたことを特徴とするオービタル機械加工装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−526776(P2006−526776A)
【公表日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508567(P2006−508567)
【出願日】平成16年6月1日(2004.6.1)
【国際出願番号】PCT/SE2004/000837
【国際公開番号】WO2004/106847
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(503457356)ノバトール アーベー (5)
【Fターム(参考)】