説明

カセット搬送装置及びカセットの搬送方法

【課題】簡単な構成で、カセットの浮き沈みを防ぎながら、カセットの直進性を保つ。
【解決手段】製造ラインL上の各ポジションにカセット2を搬送するカセット搬送装置1において、カセット2の進行方向に間隔をあけて複数の搬送用回転軸5を配置し、各搬送用回転軸5にカセット2の裏面側に当接する搬送用ローラー6を回転可能に配置する。各ポジションの手前における複数のアライメント用回転軸7,8,9に、軸方向外側が搬送用ローラー6よりも外径の大きいガイドローラー10,11,12を設ける。これらの対向するガイドローラー10,11,12の最大径部分間の間隔をガラス基板の進行方向に向かって徐々に狭くする(L1>L2>L3)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイに使用するガラス基板などを収容するカセットを搬送するカセット搬送装置及びカセットの搬送方法に関し、特にそのカセットの直進性を改善するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、製造ライン上でガラス基板などを収納するカセットを搬送するカセット搬送装置は知られている。カセットを搬送しているうちに、このカセットが搬送方向に対してずれ、カセット内のガラス基板の取り出し作業等がしづらくなる場合がある。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1のカセットのセンタリング機構では、カセット載置部の周囲に支持片を立設すると共に、この支持片によりアームの中間部を揺動可能に支持し、このアームの先端側をカセットの縁部で押し下げることにより、アームの後端側でカセットの側面を押圧するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−89148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1のカセット搬送装置では、カセットの自重を利用しているので、カセットの浮き沈みが激しく、カセットの搬送が安定しないという問題がある。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡単な構成で、カセットの浮き沈みを防ぎながら、カセットの直進性を保つことにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、この発明では、搬送ラインの所定位置に設けた、カセットを搬送ラインの進行方向に沿って真っ直ぐ進むように押し戻すガイドローラーの幅を徐々に狭くした。
【0008】
具体的には、第1の発明では、製造ライン上の各ポジションにカセットを搬送するカセット搬送装置を前提とし、
上記カセット搬送装置は、
上記カセットの進行方向に間隔をあけて配置された複数の回転軸と、
上記各回転軸に回転可能に配置され、上記カセットの裏面側に当接する搬送用ローラーとを備え、
上記各ポジションの手前における上記複数の回転軸には、該回転軸の軸方向外側に上記搬送用ローラーよりも外径の大きい部分を有するガイドローラーがそれぞれ設けられ、各回転軸の対向するガイドローラーの最大径部分間の間隔は、上記カセットの幅よりも大きく、進行方向に向かって徐々に狭くなっている。
【0009】
上記の構成によると、進行方向に向かって対向するガイドローラーの最大径部分間の幅自体が徐々に狭くなっているので、カセットを浮き沈みさせることなく、カセットが少しずつ確実に真っ直ぐに進むように修正される。そして、カセットを進行方向に対して真っ直ぐに進むように押し戻すガイドローラーを、すべての回転軸にではなく、各ポジションの手前にのみ設けることで、ガイドローラーがカセットに当接する回数が減ってカセットの搬送が安定する。
【0010】
第2の発明では、第1の発明において、
上記各ポジションの手前の上記複数の回転軸のうち、少なくとも手前側に配置した回転軸に設けた上記ガイドローラーにおける上記カセットとの当接面は、上記回転軸の軸方向内側に向かって外径が徐々に小さくなっている。
【0011】
上記の構成によると、ガイドローラーのカセット側面に対する当接面に傾斜が設けられているので、進行方向中心からずれたカセットの側面が滑らかにガイドローラーの当接面に当接し、さらに容易にカセットの直進性が確保される。
【0012】
第3の発明では、製造ライン上の各ポジションにカセットを搬送するカセットの搬送方法を前提とし、
上記カセットの搬送方法は、
上記カセットの進行方向に間隔をあけて配置された複数の回転軸に回転可能に配置された搬送用ローラーを上記カセットの裏面側に当接させ、
上記各ポジションの手前における上記複数の回転軸に最大径部分間の間隔が上記カセットの幅よりも大きく、進行方向に向かって徐々に狭くなるように設けたガイドローラーを上記カセットの側面に順次当接させて該カセットのずれを修正する構成とする。
【0013】
上記の構成によると、進行方向に向かって対向するガイドローラーの最大径部分間の幅が徐々に狭くなっているので、カセットを浮き沈みさせることなく、カセットが少しずつ確実に真っ直ぐに進むように修正される。そして、カセットを進行方向に対して真っ直ぐに進むように押し戻すガイドローラーを、すべての回転軸にではなく、各ポジションの手前にのみ設けているので、ガイドローラーがカセットに当接する回数が減ってカセットの搬送が安定する。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、製造ラインの各ポジションの手前における複数の回転軸の軸方向外側に、最大径部分の互いの間隔がカセットの進行方向に向かって徐々に狭くなるガイドローラーをそれぞれ設けたことにより、簡単な構成で、カセットの浮き沈みを防ぎながら、カセットの直進性を保つようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態にかかるカセット搬送装置を示す平面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
−カセット搬送装置の構成−
図1及び図2は、本発明の実施形態のカセット搬送装置1を示し、このカセット搬送装置1は、例えば、液晶表示パネル(図示せず)の製造ラインL上に配置され、この製造ラインL上の各ポジションに直方体の枠構造のカセット2を搬送する役割を果たしている。
【0018】
図1及び図2に示すように、製造ラインLに沿って平行に一対のレール部材3が立設されている。各レール部材3の上端には、カセット2の進行方向に所定の間隔をあけて複数の回転軸5が配置されている。各回転軸5には、カセット2の裏面側に当接する搬送用ローラー6が回転可能に配置されている。搬送用ローラー6は、円筒形状を有し、図示しないベアリングを内蔵している。各回転軸5のカセット2の進行方向の間隔は、搬送用ローラー6の外径に合わせて一定でもよく、不定でもよい。これら搬送用ローラーの駆動力により、カセット2は、製造ラインLに沿って搬送されるようになっている。
【0019】
各ポジションの手前における複数の回転軸5(例えば、本実施形態では、3対)であるアライメント用回転軸7,8,9には、回転軸5の軸方向外側に搬送用ローラー6よりも外径の大きい部分である鍔状のガイド部10a,11a,12aを有するガイドローラー10,11,12がそれぞれ設けられている。ガイドローラー10,11,12の軸方向内側は、搬送用ローラー6と同じ外径を有する円筒形状で、各回転軸5の対向するガイド部10a,11a,12aの最大径部分間の間隔(L1,L2,L3)は、カセット2の幅よりも大きくなっている。これら3対の回転軸5におけるガイドローラー10,11,12の最大径部分間の間隔(L1,L2,L3)は、進行方向に向かって徐々に狭くなり、最も狭い間隔L1はカセット2の幅よりも大きくなっている。そして、ガイド部10a,11a,12aは、軸方向内側に向かって徐々に外径が小さくなるようなテーパ面10b,11b,12bをそれぞれ有する。
【0020】
−カセットの搬送方法−
次に、本実施形態にかかるカセットの搬送方法について説明する。
【0021】
まず、ガラス基板が収納されたカセット2を製造ラインL上に載せると、カセット2は、搬送用回転軸5上の搬送用ローラー6によって裏面側を押されて前方へ搬送される。製造ラインLが長距離であると、搬送中にカセット2が進行方向に対して左右にずれてくる場合がある。
【0022】
例えば、図1に示すように、カセット2が進行方向に対して左右いずれかの方向にずれていると、3本のアライメント用回転軸7,8,9の左右外側に設けたガイドローラー10,11,12のガイド部10a,11a,12aにおけるテーパ面10b,11b,12bに当接する。
【0023】
例えば、カセット2が左右に大きくずれていると、最初に一番手前のアライメント用回転軸7のガイドローラー10のガイド部10aに当接する。このガイド部10aのテーパ面10bは、徐々に左右内側に向かって外径が小さくなっているので、カセット2の左右いずれかの側面が滑らかに当接し、カセット2を左右内側へ押し戻しやすい。
【0024】
一番目のガイドローラー10で押し戻されたカセット2の左右いずれかの側面(角部)は、1番目のガイド部10aよりも左右内側に配置された2番目のガイドローラー11のガイド部11aに当接してさらに左右内側へ押し戻される。このときも、ガイドローラー11のガイド部11aは、徐々に左右内側に向かって外径が小さくなっているので、カセット2の側面(角部)が滑らかにテーパ面11bに当接し、カセット2が左右内側へ押し戻されやすい。
【0025】
次いで、カセット2は、2番目のガイド部11aよりも左右内側にある、3番目のガイド部12aで左右にぶれないように規制されながら、次のポジションへ搬送される。
【0026】
一方、カセット2の左右のブレが小さいときには、カセット2の左右いずれかの側面(角部)は、1番目のガイド部10aには当接せず、2番目のガイド部11aにまず当接し、同様にブレが修正される。
【0027】
このように、進行方向に向かって並んだガイドローラー10,11,12のガイド部10a,11a,12aの最大径部分間の幅が徐々に狭くなっているので、カセット2を浮き沈みさせなくても、カセット2が少しずつ確実に真っ直ぐに進むように修正される。そして、カセット2を進行方向に対して真っ直ぐに進むように押し戻すガイドローラー10,11,12を、すべての回転軸5にではなく、各ポジションの手前にのみ設けることで、ガイドローラー10,11,12がカセット2に当接する回数が減ってカセット2の搬送が安定する。
【0028】
また、ガイドローラー10,11,12のカセット2の側面に対応するテーパ面10b,11b,12bに傾斜が設けられているので、進行方向中心からずれたカセット2の側面が滑らかにガイドローラー10,11,12のテーパ面10b,11b,12bに当接し、さらに容易にカセット2の直進性が確保される。
【0029】
したがって、簡単な構成で、カセット2の浮き沈みを防ぎながら、カセット2の直進性を保つようにすることができる。
【0030】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0031】
すなわち、上記実施形態では、カセット2として表示パネルのガラス基板を収納するカセット2の例を示したが、これに限定されず、他の被搬送物を収納して搬送する直方体状のカセットであれば何でもよい。
【0032】
上記実施形態では、アライメント用回転軸7,8,9の本数は、3対としたが、何対でもよく、2対や、4対以上でもよい。
【0033】
上記実施形態では、回転軸5を一対のレール部材3上にそれぞれ設けたが、各回転軸5が、左右で連結されていてもよい。
【0034】
上記実施形態では、ガイドローラー10,11,12の材質は特に限定していないが、樹脂成形品や金属成形品でもよく、ガラス基板との当接面がゴム等で覆われていてもよい。
【0035】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上説明したように、本発明は、ガラス基板等を収納するカセットを搬送するカセット搬送装置及びカセットの搬送方法について有用である。
【符号の説明】
【0037】
L 製造ライン
1 カセット搬送装置
2 カセット
3 レール部材
5 搬送用回転軸
6 搬送用ローラー
7,8,9 アライメント用回転軸
10,11,12 ガイドローラー
10a,11a,12a ガイド部
10b,11b,12b テーパ面
11 ガイドローラー
11b テーパ面
12 ガイドローラー
L1,L2,L3 間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造ライン上の各ポジションにカセットを搬送するカセット搬送装置において、
上記カセットの進行方向に間隔をあけて配置された複数の回転軸と、
上記各回転軸に回転可能に配置され、上記カセットの裏面側に当接する搬送用ローラーとを備え、
上記各ポジションの手前における上記複数の回転軸には、該回転軸の軸方向外側に上記搬送用ローラーよりも外径の大きい部分を有するガイドローラーがそれぞれ設けられ、各回転軸の対向するガイドローラーの最大径部分間の間隔は、上記カセットの幅よりも大きく、進行方向に向かって徐々に狭くなっている
ことを特徴とするカセット搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載のカセット搬送装置において、
上記各ポジションの手前の上記複数の回転軸のうち、少なくとも手前側に配置した回転軸に設けた上記ガイドローラーにおける上記カセットとの当接面は、上記回転軸の軸方向内側に向かって外径が徐々に小さくなっている
ことを特徴とするカセット搬送装置。
【請求項3】
製造ライン上の各ポジションにカセットを搬送するカセットの搬送方法において、
上記カセットの進行方向に間隔をあけて配置された複数の回転軸に回転可能に配置された搬送用ローラーを上記カセットの裏面側に当接させ、
上記各ポジションの手前における上記複数の回転軸に最大径部分間の間隔が上記カセットの幅よりも大きく、進行方向に向かって徐々に狭くなるように設けたガイドローラーを上記カセットの側面に順次当接させて該カセットのずれを修正する
ことを特徴とするカセットの搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−219246(P2011−219246A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−92464(P2010−92464)
【出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】