説明

カッパ−2カラゲニンを含有する均一で熱可逆性のゲルフィルム及びそれからつくったソフトカプセル

【課題】高品質のソフトカプセルを提供する。
【解決手段】フィルム形成量のカッパ−2カラゲニン、及び所望により可塑剤、第2フィルム形成剤、充填剤、及びpH調節剤の少なくとも1からなる均一な可逆性ゲルフィルムをつくり、同フィルムからソフトカプセルをつくる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフィルム形成量のカッパ−2カラゲニン、及び所望により可塑剤、第2フィルム形成剤、充填(バルク)剤、及びpH調節剤の少なくとも1からなる均一で熱可逆性のゲルフィルム、及びその製造方法に関する。本発明はまたソフトカプセル及び上記ゲルフィルムを含有する固体形、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゼラチンは従来からソフトカプセルの製造に有用なフィルムの製造に用いられている。ゼラチンは通常動物の骨や軟骨を水と共に加圧下に沸騰させて得られるコラーゲンからの加水分解蛋白質である。しかしゼラチンの使用はいくつかの商業上の欠点を伴いうる。その例としては、動物由来であるため動物由来のカプセルを受けつけない人にしばしば受入れてもらえず、また近年では牛の海綿系脳疾患BSEいわゆる「狂牛病」、の問題も生じている。
【0003】
その結果、学術的にもまた工業的にも多年に亘り、ゼラチン代替品からのソフトカプセルの製造に一部用いられているロータリーダイその他の多くの機械や方法を用いうるゼラチン代替品の開発が試みられている。
【0004】
たとえば特許文献1には、少なくともカラゲニンと多価アルコールを含有する多糖類の組成物からのカプセル製造が開示されている。カラゲニンは、タマリンドガム、ペクチン、ゼラチン、アルギネート、寒天、ファーセララン、セルロース誘導体、ローカストビーンガム及びグアーガム等の他の多糖類と共に全面的又は部分的に用いうる。多価アルコールは、ソルビトール、グリコース、サクロース、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブタンジオール及びグリセリン等がある。このソフトカプセルは凹面スタンプダイからつくられている。
【0005】
特許文献2には、多糖質と多価アルコール及び所望によりアルカリ性物質との混合物が開示されている。それに用いうる多糖類として、カラゲニン、アルギン酸、アルギネート誘導体、寒天、ローカストビーンガム、グアーガム、タマリンド種多糖類、ペクチン、キサンタンガム、グルコマンナン、キチン、プルラン及びシクロデキストリンが記載されている。これらの多糖類を多価アルコール、シュガーアルコール、単糖類、二糖類及びオリゴ糖の少なくとも1の濃厚水溶液と合体することが記載されている。これらの混合物はソフトカプセルの外皮用に有用に記載されている。3つの実施例はこれらの混合物とゼラチンとの二重層と同発明の混合物とゼラチンの単一層をもつソフトカプセルの外皮の製造を対象としている。特定のカラゲニンについての記載はない。
【0006】
特許文献3には、主成分としての多糖類、多価アルコール及び水を含有する少なくとも1のフィルム層をもつヒートシール性可食性フィルムが開示されている。このフィルムは乾燥食品、油状食品等のシール及び包装に有用と記載されている。多糖類としては、アルギン酸とその塩(ナトリウム塩等)、ファーセララン、カラゲニン(カッパ、イオタ及びラムダ)、寒天、ペクチン(高メトキシン及び低メトキシペクチン)、ガム(タマリンド種ガム、キサンタンガム、グアーガム、タラ種ガム、ローカストビーンガム等)、プルラン、キチン誘導体(キトサン等)、デンプン(小麦、コーン及びジャガイモデンプン等)、デキストリン、可食性水溶性セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース等)及びこれらの混合物が記載されている。多価アルコール:多糖類の重量比は1:5〜1:1が好ましいとされ、また多糖類は活性成分全量に対し50%以下の量で存在させている。これらのフィルムがソフト又はハードカプセルの製造に用いうることの開示はない。
【0007】
特許文献4には、単一のゲル化剤としてカラゲニン、好ましくはイオタカラゲニンを含有するソフト又はハードカプセルの製造用の水性粘性組成物が記載されている。用いうるカラゲニンのタイプとしてイオタ、ラムダ、ミュー及びニューカラゲニンが記載されており、これらを用いる抽出法に応じ種々の異なる海草源から抽出することが記載されている。可塑剤としては、グリセロール、ソルビトール、マルトデキストリン、キシリトール、ポリオキシエチレングリコール400〜600、天然グリセリド及び半合成品及びそれらの誘導体等のポリオキシル類に属するものが記載されている。「シエラー」法でソフトカプセルを得ることが記載されている。カッパカラゲニンからつくったフィルムはハード及びソフトカプセルの製造における複合的問題をもつことが記載されている。イオタカラゲニン、カッパカラゲニン、カッパ−2カラゲニン等の記載はない。
【0008】
特許文献5には、カッパカラゲニンと可塑剤のゲルフィルムからなる水溶性親水コロイド層をもつ組成物からつくったゼラチン不含カプセルが記載されている。ゼラチン不含ソフトカプセルは、主要ゲル形成性ポリマー(熱可逆性ゲルを形成するか又は熱可逆性ゲルの形成に寄与するガムの少なくとも50重量%)としてカッパカラゲニンからつくられることが記載されている。マルトデキストリン等の加水分解したデンプンを加えて、固体濃度を高めたり、ヒートシール性を高めたりゲル形成性塩によってもたらされる曇化を防ぐことができることが記載されている。イオタカラゲニン等の他のタイプのガムは最小化すること、好ましくは全フィルム組成物の0.5%以下にすることが記載されている。
【0009】
特許文献6には、ロータリーダイカプセル化装置を用いてソフトカプセルをつくるために約90℃以下の水和温度をもつ変性デンプンとイオタカラゲニンを用いることが記載されている。変性デンプンとイオタカラゲニンの重量比が満足なフィルムの製造にとって重要であると記載されている。即ち、変性デンプン:イオタカラゲニンの重量比は1:5:1と記載されている。発明者等はイオタカラゲニンだけでは許容しうるフィルムは得られずまた変性デンプンだけでもカプセル化を用いうる許容しうるフィルムは得られないことを見出したとある。そこに述べられている理論は、イオタカラゲニンが可塑化剤として機能して他方の非弾性の変性デンプンフィルムを可塑化するというものである。カラゲニンは異なる官能性をもつ市販の極めて多くの製品と錯体をつくると記載されている。Eucheuma spinosumがイオタカラゲニンの海草源と記載されており、すべてのカラゲニンが当該発明に有用というのではなく、たとえばカッパカラゲニンはイオタカラゲニンの代替にはならないと記載されている。
【0010】
たとえばヒドロコロイドを含有するある種の高固体分、低湿分フィルム形成性組成物が得ることが困難な水和フィルムの形成をもたらす高粘性溶液を形成することが知られている。
【0011】
またヒドロコロイド等の高固体分、低湿分フィルムからソフトカプセルをつくる多くの試みがなされている。しかし、それらのソフトカプセルをつくる試みは上記した欠点を受けている。即ち、ヒドロコロイドは、十分に水和することが困難でまた一般的なソフトカプセル製造方法でフィルムをつくることが困難な高度に粘性の溶液をつくることが知られている。
【0012】
【特許文献1】特開昭61−10508号公報
【特許文献2】特開昭63−164858号公報
【特許文献3】米国特許5,089,307号明細書
【特許文献4】米国特許6,331,205号明細書
【特許文献5】米国特許6,214,376号明細書
【特許文献6】米国特許6,340,473号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は高度に粘性の溶液から高固体分、低湿分のフィルムを製造する方法を提供する。
また本発明は前記したようなフィルムからのソフトカプセルの製造を可能とする方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、第1に、フィルム形成量のカッパ−2カラゲニン、及び所望により可塑剤、第2フィルム形成剤、充填剤、及びpH調節剤の少なくとも1からなる均一で熱可逆性のゲルフィルムに関する。
【0015】
本発明は、第2に、(1)十分なせん断、温度及び滞留時間を付与しうる装置中でカッパ−2カラゲニン、及び所望により可塑剤、第2フィルム形成剤、充填剤、及びpH調節剤の少なくとも1からなる組成物を、加熱し、水和し、混合し、可溶化しそして所望により脱気して均一で熱可塑性の溶融組成物をつくり、ここで温度は溶融組成物の可溶化温度以上である、そして(2)溶融組成物をゲル化温度以下に冷却してゲルフィルムをつくる諸工程からなるゲルフィルムの製造方法に関する。
【0016】
本発明は、第3に、本発明のゲルフィルムからなるカプセル壁をもつソフトカプセル及びその製造方法に関する。本発明の方法は、(1)十分なせん断、温度及び滞留時間を付与しうる装置中でカッパ−2カラゲニン、及び所望により可塑剤、第2フィルム形成剤、充填剤、及びpH調節剤の少なくとも1からなる組成物を、加熱し、水和し、混合し、可溶化しそして所望により脱気して均一で熱可塑性の溶融組成物をつくり、ここで温度は溶融組成物の可溶化温度以上である、そして(2)溶融組成物から直接ソフトカプセルをつくるか又は溶融組成物をゲル化温度以下に冷却し次いでソフトカプセルをつくる諸工程からなる。
【0017】
本発明は、第4に、本発明の上記の均一な熱可逆性ゲルフィルムによってカプセル内包した充填物質からなるハードカプセル等の固体形態に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
カラゲニンは、紅藻中に存在する商業的に重要なガラクタン多糖類である。すべてのカラゲニンはα1〜3とβ1〜4グリコシド結合を交互に結合した反復ガラクトース単位を含みまた種々の程度にサルフェート化している。カラゲニンのタイプは、サルフェート化の程度や位置により、また得られた海草により、部分的に、区別しうる。たとえば、イオタカラゲニンは約25〜34%のサルフェートエステル含量をもたらすD−ガラクトース−4−サルフェート3、6−アンヒドロ−D−ガラクトース−2−サルフェートの反復単位をもっている。イオタカラゲニンは、たとえば、Eucheuma denticulatum(spinosumとも称する)から得られることができる。カッパカラゲニンはD−ガラクトース−4−サルフェート3、6−アンヒドロ−D−ガラクトースの反復単位をもち、たとえば、Kappaphycus alvarezii(Eucheuma cottoniiとも称する)から得られる。対照的に、R.Falshaw,H.J.Bixler及びK.Johndro著、Structure and Performance of Commercial Kappa−2 Carrageenan Extracts,Food Hydrocolloids 15(2001)441−452、及びH.Bixler,K Johndro及びR Falshaw著、Kappa−2 carrageenan:structure and performance of commercial extracts II,Food Hydrocolloids 15(2001)619−630によると、カッパ−2カラゲニンは、共重合体主鎖中に共有結合したカッパ反復単位(3:6−アンヒドロガラクトース/3:6−AG)とイオタ反復単位(3:6−アンヒドロガラクトース−2−サルフェート(3:6−AG−2−S)を含有する共重合体であり、ある種のGigartinaceae algaeから得られる。これらの文献には、カッパ−2カラゲニンはカッパとイオタのカラゲニンの単なる混合物とは明瞭に異なる性質をもっている。これらの文献にはカッパ−2カラゲニンについて述べた他の文献についても述べられている。Gigartina atropurpureaから抽出したカッパ−2カラゲニンはR.Falshaw,H Bixler及びK Johndro著、Structure and Performance of Commercial Kappa−2 Carrageenan extracts III,Food Hydrocolloids 17(2003)129−139に述べられている。歴史的にみると、カッパ−2カラゲニンの物性についての理解にはかなりの混乱がみられるが、上記の文献等にみられる最近の検討では、カッパ−2カラゲニンは、共重合体主鎖中に共有結合したカッパとイオタの反復単位をもつ共重合体であって、カッパ重合体とイオタ重合体の物理的混合物とは明瞭に区別されることが確認されている。
【0019】
ここでいうカッパ−2カラゲニンは3:6AG−2S/3:6AG含量のモル比25〜50%をもち、イオタカラゲニンは3:6AG−2S/3:6AG含量のモル比80〜100%をもち、カッパカラゲニンは3:6AG−2S/3:6AG含量のモル比がカッパ−2カラゲニンのそれより小さいものである。たとえば、一般的に知られまたカッパカラゲニン用の海草源として用いられているEucheuma cottoniiからのカッパカラゲニンは3:6AG−2S/3:6AG含量のモル比が約10%小さく、また一般的に知られまたイオタカラゲニン用の海草源として用いられているSpinosumからのイオタカラゲニンは3:6AG−2S/3:6AG含量のモル比が約85%より大きい。これは、カッパ−2カラゲニンはカッパ(3:6−AG)反復単位/イオタ(3:6−AG−2S)反復単位の比が1.0〜3.0:1、より好ましくは1.5〜3.0:1(より好ましくは所望の用途に依存)の範囲にあることを意味する。この3:6AG−2S/3:6AG含量のモル比25〜50%は、変性の程度や前駆体含量の程度(たとえばミュー(mu)反復単位やニュー(nu)反復単位)にかかわらず、カッパ−2カラゲニン中に保持される。それ故、3:6AG−2S/3:6AG含量のモル比が25〜50%を満足するカッパ−2カラゲニンは、変性の程度にかかわらず、本発明にいうカッパ−2カラゲニンに含まれる。
【0020】
本発明で用いうるカッパ−2カラゲニンは、たとえばGigartinaceae algae(Gigartina radula,Gigartina corymbifera,Gigartina skottsbergii,Iridaea cordata,Sarcothalia crispata,及びMazzaella laminarioides.)等の類に属する多くの海草種に含まれ、またそれらから精製されたり分離される。
【0021】
本発明で用いられるカッパ−2カラゲニンの海草種は上記した3:6AG−2S/3:6AG含量のモル比をもつカッパ−2カラゲニンを生ずる適宜のものである。本発明で用いうるカッパ−2カラゲニンは上記した海草中に天然に生じうるしまた上記した海草を変性して、前駆体からカッパ−2カラゲニン中の3:6AG−2S/3:6AG部分の量を増加させることができる(たとえば前駆体ニューをアルカリ処理で変性してカッパ−2カラゲニン内の3:6AG−2S部分を、また前駆体ミューをアルカリ処理で変性してカッパ−2カラゲニン内に3:6AG部分を増加させる)。
【0022】
回収方法や変性方法は周知であり前記したFalshaw,Bixler及びJohndro著の文献等に記載されている。たとえば、カッパ−2カラゲニンの変性はある種のGiartinacean algaeからの回収中に加温下でのアルカリ処理の結果として行われうる。回収方法には出発物質からの不溶分の完全部分濾過や未濾過物質の使用が包含される。
【0023】
カッパ−2カラゲニン中のニュー及びミュー前駆体をそれぞれ3:6AG−2S及び3:6AGに変性する場合、変性は完全であっても(即ちカッパ−2カラゲニン中のニュー及びミュー前駆体の100%がそれぞれ3:6AG−2S及び3:6AGに変性)、不完全でもよい(即ち、カッパ−2カラゲニン中のニュー及びミュー前駆体の100%未満がそれぞれ3:6AG−2S及び3:6AG変性)。上記の海草からのカッパ−2カラゲニンの回収工程中に少量又は微量の他のカラゲニンが存在しうる(たとえばラムダカラゲニン)と共にそれらも本発明におけるカッパ−2カラゲニンとして用いうる。
【0024】
本発明の意外な点の1つは、カッパカラゲニン、イオタカラゲニン及び同レベルの3:6AG−2Sを含有するカッパカラゲニンとイオタカラゲニンの単純な乾燥混合物と比較したときのカッパ−2カラゲニンの官能性にある。即ち、イオタカラゲニンとカッパカラゲニンはゲル化性カラゲニンである。これとは異なり、カッパ−2カラゲニンは弱いゲル化性をもつにすぎないことが知られている。そうすると、これらの弱いゲル化性カラゲニンは弱いゲルフィルムをもたらすにすぎないと推測される。しかし、意外にも、本発明者等はカッパ−2カラゲニンが驚くほど強いゲルフィルムをつくることを見出した。
【0025】
一般に、カッパカラゲニンの水ゲル強度は3:6AG−2S含量が増加するにつれ顕著に低下することが認められており(たとえば水中1%で1500gから300gへ)、これはらせん凝集をもつこれらの付加的エステルサルフェートの構造的干渉とこれらの凝集らせん構造間の水素結合によるものとされている。この傾向はカッパ−2でも続いており(3:6AG−2S 25〜50%、より特には25〜40%)、その水ゲルは150gといった低さであり、その構造変化性によるものと思われる。
【0026】
しかし、イオタカラゲニン(たとえば80〜100%の3:6AG−2S)はより規則的な構造をしており、その水ゲルにより均一な3次元構造をもたらし、その結果300g以上の破壊強度によって証明されるように、より強い水ゲルを与える。いかなる理論にもしばられるわけではないが、カッパカラゲニンとイオタカラゲニンの単純な物理的混合物はゲル強度に関し幾分対立的であり、冷却時別の温度でつくったそれらの理想的ゲル構造が相互に干渉するものと思われる。カッパとイオタのカラゲニンのドライブレンドした物理的混合物に基づく水ゲルのゲル強度値は、カッパ−2カラゲニンより水ゲル強度がずっと高い。この対立的影響はカッパとイオタのカラゲニンを別々に水和して可溶化し、そしてそれらの溶液をそれらのゲル化温度以上に保持しながら均一に合体し、この混合液をキャストするか又は冷却してゲル化を開始させることで確認しうる。このゲル強度の低下(構造的弱体化)は抽出粘度低下(より短い分子)や2価性の付加によってさらに進む。それ故、一般的なゲル強度及び組織側測定ではカッパ−2カラゲニンはゲルフィルム用には適されないと考えるのが自然である。
【0027】
然るに、本発明者等は、カッパ−2カラゲニンをゲルフィルムの製造に適用した場合、水ゲルに関し従来の分子構造的な予測をはかるに越えて、顕著に優れたフィルム強度と機械的一体性を示すことを見出した。また従来のフィルム及びカプセルフィルム成分(デンプン、湿潤剤等)との十分な相溶性も持っている。これらのゲルフィルム及びゲル組成物におけるカッパ−2カラゲニンのランダム共重合体ゲル構造が理想的なものであって、ゲル化の開始から完全な構造安定性に寄与しているものと思われ、経時的に又はフィルム乾燥工程中に変化もみられない。この構造はゲル化中変化しないが、これはカッパカラゲニンが硬化し続け、イオタカラゲニンが軟らかくて固くならず、カッパ/イオタの物理的ブレンド物(カッパ−2カラゲニン共重合体とは逆に)構造的干渉を示すのとは異なる。
【0028】
このカッパ−2カラゲニンの意外なフィルム強度はカプセル機械加工するためのプロセス粘度やそれに必要なフィルム強度のバランスをよりよくするためのカラゲニンの分子量制御を可能とし、それが他の基本的なフィルム特性を維持しながらキャストフィルムにおける湿分レベルをより低い状態で操作することも可能にする。
【0029】
カッパ−2カラゲニンはフィルム形成量(たとえばゲルフィルムにフィルム強度を付与する量)で用いられる。たとえば、後記する第2フィルム形成剤を含有する本発明のゲルフィルムではカッパ−2カラゲニンのフィルム形成量は全体にフィルム強度を付加する量である。このフィルム形成量は用途によって異なるが、ドライゲルフィルムの重量当り、通常、少なくとも0.5%、好ましくは0.5〜90%、より好ましくは0.5〜50%、さらに好ましくは0.5〜25%、量も好ましくは1.5〜25%である。ここで用いる「均一フィルム」とは、裸眼で目視したとき、均一に見え、塊、クラック、溶解すべきだが溶解していない粒子、不溶性粒子の不均一分布等がないフィルムをいう。「フィッシュアイ」(混合した液体及び固体状態)又は「ゲルボール」(不均一ゲル構造)はここでいう「不均一」には相当しない。
【0030】
本発明のゲルフィルムは均一で熱可逆性のあるゲルフィルムである。これらはキャスト(注型)してキャストフィルムとしてまたその後に加工して種々の用途に用いることができる。
ここで用いる「熱可逆性フィルム」とは、融点をもつフィルムをいう。ここで融点した溶融温度)とはゲルフィルムが軟化又は流動する温度又は温度範囲をいう。
【0031】
ここで用いる「ゲルフィルム」とは、構造化したカッパ−2カラゲニンからつくった、薄膜又は3次元ネットワークをいう。ゲル形成性組成物はゲル温度即ちそれ以下でその溶融物を冷却して自己支持性構造物とする温度をもつことによって特徴づけられる。所望により、溶融物をキャストし、冷却したり、ゲル組成物によってゲルフィルムを形成するまで固形物をさらに濃縮(湿分除去)するために乾燥することもできる。熱可塑性ゲルフィルムの融点はそのゲル温度よりも高い。
【0032】
本発明のゲルフィルムは所望によりカラゲニンの構造形成即ちゲル形成を促進する可溶性ゲル化カチオンを含有する。有効なカチオンの例としては、カリウム、ナトリウム及びアンモニウムがある。これらのカチオンはカッパ−2カラゲニン中に存在させることができ、また溶融物をゲル化温度以上に維持しながら工程の種々の時点で他の有機又は無機源を用いて添加してもよい。これらのカチオンはゲルフィルム(水を含む)中にカッパ−2カラゲニンの乾燥重量の50%以下の量で存在させうる。この量は系中の組成物や所望の溶融及びシール温度、及び工程条件や装置によって変わりうる。
【0033】
カルシウム、マグネシウム、アルミニウム及びクロム等の上記以外の可溶性カチオンは安定性に悪影響を与えうるので、ゲルフィルム(水を含む)の乾燥重量当たり、たとえば10%以下、50%以下、1%以下といった最小量に保つべきである。金属イオン封鎖剤又はキレート化剤を、上記のカチオン溶解性を最小にして金属封鎖剤やそれによる生成化合物によってゲル系が悪影響を受けないに足る量で加えうる。
【0034】
カッパ−2カラゲニンの分子量は通常100,000ダルトン以上、好ましくは100,000〜1,000,000ダルトン、より好ましくは100,000〜450,000ダルトン、さらに好ましくは用途により100,000〜350,000ダルトンである。
【0035】
用途によってはカッパ−2カラゲニンのゲル化温度を下げることが望ましい。平均から高分子量をもつカッパ−2カラゲニンのゲル化系はカリウム/カルシウム形及びナトリウム形で、それぞれ少なくとも59℃及び35℃のゲル化温度ともつ。それ故、カリウムカチオンをナトリウムカチオンで置きかえることはカッパ−2カラゲニンのゲル化温度を下げる1手段である。一般に、ゲル化温度はカッパ−2カラゲニンの分子量とは無関係と考えられている。しかし、意外にも本発明者等は固体含量50%以上の高濃度固体系では低下させた分子量をもつカッパ−2カラゲニン(たとえば、溶液の合計重量基準で低下させた分子量をもつカラゲニン1.5%を含有する0.10モル塩化ナトリウム溶液中75℃の粘度が19cps以下、より好ましくは10cps以下;この粘度測定はブルックフィールドLVF(Brook Field Eyineering Laboratories Inc.)粘度計でスピンドルNo.1、60rpmを用い6回転後に測定)でカッパ−2カラゲニンのゲル温度を、たとえばナトリウム形で35℃から25℃にまたカリウム/カルシウム系で59℃から57℃に、さらに低下させうることを見出した。カッパ−2カラゲニンのゲル化温度の低下は、本発明のゲルフィルムの製造、たとえばソフトカプセル、ハードカプセル及び他の固体形の製造において、製造工程で用いる熱量を減らしまた乾燥フィルムの残留応力を最小化する等の利点をもつ。
【0036】
本発明の均一な熱可逆性ゲルフィルムは、所望により、可塑剤、第2フィルム形成剤、充填剤及びpH調節剤の少なくとも1を含有しうる。ゲルフィルムに加えられるこれらの組成及び量はカッパ−2カラゲニンゲルフィルムの用途によって異なりうる。
【0037】
可塑剤の例としては、グリセリン、ソルビトール、マルチトール、ラクチトール、コーンスターチ、フラクトース、ポリデキストロース、可溶化オイル等のポリオール及びプロピレングリコール及びポリエチレングリコール等のポリアルキレングリコール等がある。可塑剤の量はゲルフィルムの用途及びその所望弾性によって異なりうる。たとえば、これら可塑剤は、もしより弾性のあるゲルフィルムを所望の場合、たとえばソフトカプセル用のフィルムを所望の場合、通常乾燥フィルムにおいて水を含む全組成物の重量当たり、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、さらに好ましくは少なくとも30%用いられる。弾性が小さいフィルムを所望のハードカプセルのような他の用途では、可塑剤の量は乾燥フィルムにおいて組成物の全重量の0〜20%でありうる。本発明のゲルフィルムは水を全く含まないものも可能である。
【0038】
本発明で用いうる第2フィルム形成剤の例としては、デンプン、デンプン加水分解物、デンプン誘導体、セルロースガム、ヒドロコロイド、アルキルセルロースエーテル又は変性アルキルセルロースエーテル等がある。ヒドロコロイドの例としては、カッパカラゲニン、イオタカラゲニン、低下させた分子量をもつカラゲニン(たとえば、溶液の合計重量基準で低下させた分子量をもつカラゲニン1.5%を含有する0.10モル塩化ナトリウム溶液中75℃の粘度が19cps以下、より好ましくは10cps以下;この粘度測定はブルックフィールドLVF(Brook Field Eyineering Laboratories,Inc.)粘度計でスピンドルNo.1、60rpmを用い6回転後に測定)及びその不完全変性物、カルシウムアルギネート、ナトリウムアルギネート、アンモニウムアルギネート及びプロピレングリコールアルギネート等のアルギネート、低粘度グアーガム等のポリマンナンガム(たとえば25℃で水中1%で測定した粘度が通常約1000mPs以下)、プルラン、ゲラン(高−及び低−アシルゲランを含む)、デキストラン、ペクチン及びそれらの組合せがある。本発明が用いうるアルキルセルロースエーテルの例としてはヒドロキシエチルセルロースがある。変性アルキルセルロースエーテルの例としてはヒドロキシプロピルセルロースエーテル及びヒドロキシプロピルメチルセルロースエーテルがある。
【0039】
カッパ−2カラゲニンはゲルフィルムの唯一のフィルム形成剤でありうる。本発明のゲルフィルムが第2フィルム形成剤も含有する場合、カッパ−2カラゲニンは、乾燥ゲルフィルムにおけるフィルム形成剤の合計重量当たり少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、さらに好ましくは少なくとも50%又は少なくとも80%の量でありうる。
【0040】
乾燥(した)フィルムは制御された水除去後のキャストフィルムの残留物である。カッパ−2カラゲニン及び、所望により、デンプン、ポリオール及び加工用の水等の成分類の組成物を分散させ、水和させ、可溶化させ、そして、所望により、脱気する。得られた均一体を所望の固体レベル(意図する最終用途による)でキャストし又は成形する。
【0041】
キャスト系は重力又は制御された力を介してつくられ、次いで直ちに加工(たとえばソフトカプセルの製造)されるか又はキャスト体を均一にし、且つ所望の湿分レベルに達するまで水を除去するための種々の方法を用いてさらに処理する。キャスト系からの制御された水除去は均一フィルム成分のさらなる密な構造への強化/配列を可能とし、さらにフィルム特性を高めうる。
【0042】
湿分除去は種々のヒドロコロイド及び炭水化物成分の分子表面に結合していない湿分に限られる。脱水/脱水和工程で用いた種々の乾燥方法でも最初のキャストフィルムが追加重量を失わない場合に乾燥フィルムが達成される。湿分含量が一定レベルまで低下することはフィルムの安定化をもたらす。また所望により封入されたり付着したり、保持されている場合の湿分含量も低下する。
【0043】
充填(バルク)剤の例としては、非コロイド状(植物由来)セルロース、微結晶質(植物由来)セルロース、微結晶質デンプン、変性及び未変性デンプン、デンプン誘導体及びフラクション、イヌリン、デンプン加水分解物、糖、コーンシロップ及びポリデキストロースがある。ここで「変性デンプン」には、ヒドロキシプロピル化デンプン、酸薄化デンプン等が含まれる。本発明に用いうる変性デンプンの例としては、Pure Cote(商標)B760、B790、B793、B795、M250及びM180、Pure Dent(商標)B890及びPure Set(商標)B965(いずれもアイオア州ムスカチンのGrain Processing Corp.から市販)、Ara Tax(商標)75701(cerestar Inc.から市販)がある。デンプン加水分解物の例としてはマントデキストリンがあり、これはデキストリンとしても知られている。ジャガイモデンプン等の未変性デンプンもヒドロコロイドと組合せることでフィルム強度に寄与する。一般に、変性デンプンは、デンプンの化学処理で得られる生成物であり、たとえば酸処理デンプン、酵素処理デンプン、酸化デンプン、架橋結合デンプン、その他のデンプン誘導体がある。変性デンプンは、側鎖を親水性基又は疎水性基で変性して、側鎖間での強い相互作用を伴ったより複雑な構造をもつものが好ましい。
【0044】
本発明で用いうる充填剤の量は、乾燥フィルムの重量当り、通常0〜20%だが、所望によりさらに多量、たとえば20%以上、より好ましくは30%以上用いうる。
【0045】
デンプン、デンプン誘導体及びデンプン加水分解物は多官能化も可能である。即ち、充填剤として用いられると共に、それらは第2フィルム形成剤としても用いられうる。充填剤及び第2フィルム形成剤として用いる場合には、それらは乾燥、ゲルフィルムの重量に対し通常10%以上、好ましくは20%以上、さらに好ましくは30%以上用いられ、適量は用途(ソフトカプセル等)によって異なる。
【0046】
本発明で用いうるpH調節剤の例としては、水酸化物、炭酸塩、クエン酸塩、リン酸塩等の塩基やそれらの塩(たとえばクエン酸ナトリウム)がある。pH調節剤はカリウムやナトリム等の添加カチオン源として選択されうる。ある組成物では、pH調節剤はゲルフィルムの安定性を改良するために用いられる。pH調節剤の量は通常0〜4%、好ましくは0〜2%である。
【0047】
本発明のゲルフィルムはまた着色剤や香気成分、たとえば糖、コーンシロップ、フラクトース、サクロース、アスパルタム、サクロロース、ソルビトール、マンニトール、マルチトール等を、可塑剤、充填剤、第2フィルム形成剤等の他の成分の存否にかかわらず、含有させうる。本発明のゲルフィルムの1態様はカッパ−2カラゲニン、香気成分及び水を高固体系、たとえば固形分50%以上、60%以上、65%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、で含有する。
【0048】
本発明の乾燥ゲルフィルム(たとえば固形分80%以上)はTex Ture Analyzer TA−108Sミニフィルムテスト機具を用いて測定した破壊力(break force)が、たとえば少なくとも1500g、少なくとも2500g、少なくとも4000g、少なくとも5000g及び少なくとも6000gであることが判明した。低固形分のゲルフィルムは同様に測定した破壊力が少なくとも50g、少なくとも100g、少なくとも200g、少なくとも500g、少なくとも1000gであることが判明した。
【0049】
本発明のフィルムはゲルフィルム中の全成分当りの固形分(含量)が、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%及び少なくとも90%であることが判明した。15%、10%又は5%の水が乾燥ゲルフィルム中の固形分として強く合体して残留していると理解できる。
ソフトカプセルに用いられる乾燥フィルム厚は通常0.5〜3.0mm、好ましくは0.8〜1.2mmの範囲である。
【0050】
本発明のゲルフィルムは非熱可逆性ガムを含有しうる。しかし、本発明のゲルフィルムの均一で熱可逆的な特性を損なわないように、カッパ−2カラゲニンの重量の50%以下、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下の量用いるべきである。これらの非熱可逆性ガムの例としてはカルシウムセット(たとえば架橋)ペクチン及び/又はアルギネート等の架橋ガムがある。カルシウムに反応性アルギネート及びペクチン、さらにはそれらの粗精物は2価カチオン不在では熱可逆性ガムと考えられる。トラガカンスガム等の他の非可逆性ガムはその構造内に水を吸収してカッパ−2カラゲニンの熱可逆性に寄与する。水を吸収するカッパ−2カラゲニンをより密な3次元構造とし、わずかな水に可溶化し、第2フィルム形成剤なしでも、カッパ−2カラゲニン量を増加させたと同じ効果がもたらされる。ポリマンナン等の追加フィルム形成剤は、活性化やキャスト工程中で、それら自身で又は他の成分と協同して、連続網状構造を形成しうる。
【0051】
本発明のカッパ−2カラゲニンゲルフィルムは、通常、上記組成物の均一溶融体を与えるに足る十分な高剪断力と温度(ゲル化温度以上)と滞留時間を与えるような装置を用いてつくられる。これらの装置の非限定的な例としては、ロス(Ross)ミキサ、ステファン(Stephan)プロセッサ、一般的なジェットクッカー、押出機及び図3に示すような流体混合機がある。ロスミキサ、ステファンプロセッサ、押出機及び一般的なジェットクッカーは市販品を入手しうる。溶融物を冷却前に、ポンプ、ミキサ又は脱気装置の少なくとも1つに供給することができる。これらの機能の1つを行う装置の例として押出機がある。押出された溶融物はまたフィルム成形装置(たとえば、カプセル形成機に用いられるスプレッダボックス)に移すこともできる。これらは連続フィルムのキャストやダイを通しこのフィルムや成形押出物の連続的製造を可能にする。溶融物を制限された流動/ゲル構造物の形成を開始しないように注意すべきである。断熱し予備加熱した(適正温度維持のため)トランスホースを、所望のゲルフィルム形成がキャストロールや他のフィルム形成点(たとえば制御流動性フィルム形成装置の1つの押出機やダイ)で開始されるまで、溶融状態を維持させるために用いうる。前記のトランスファーホースを通して溶融物を(圧力)を押し込むために(ロス工程系にみられる吐出/プランジャ形ヘッドのような)追加の手段も用いうる。
【0052】
混合装置を出た直後に溶融物表面上に最初に配するテフロン盤の使用を通して溶融物温度を維持するといった追加の断熱手段もとりうる。またフィーダーホースをカプセル機に配した熱制御した溶融物フィーダー(キャスト用)ボックスに導入してもよい。これは上記ボックスに直接導入してもまたフィダーボックス内の溶融物温度を維持するように頂部包囲体/カバーを導入し、カプセル用のフィルム形成の押出工程中湿分損失を減少させ、上記ボックスの均一の(中心)充填を維持するようにし、フィダーボックスを必要に応じて変更した上で導入してもよい。
【0053】
カプセル用のフィルム形成のために溶融物温度を維持する他の方法も用いうる。それらの非限定的な例としては、ダイ/口金を通しての溶融物のフィルム状への押出しがある。このフィルムはカプセル形成装置に直ちに供給し、所望のときまで(カプセル形成に)適正なフィルム状態を維持する温度で保存し、又は所望のときまで、所定の湿分、固形分及び組織の程度に乾燥する。この乾燥フィルムは、ゲルフィルムマトリックス全体に水を再吸収する性質をもち(何らかの手段で水を導入したとき)、ソフトカプセル又は他の固体形を形状する等のときに再水和することができる。所望の湿分含量及び強度/組織が得られるまで湿分をフィルムに導入する。それによりたとえばソフトカプセル形成機へのフィルムの導入が可能となる。
【0054】
ここで「流体混合装置」の具体例を図3に示す。流体混合装置10は蒸気2を第1流体(スラリー)4及び第2流体(スラリー)6と混合して溶融物(スラリー)混合物8を生ずるような構造をもつ。
【0055】
流体混合装置10は第1ハウジング20(これは蒸気2をハウジング20に入れる第1入口22をもつ)、ノズル端24(そこを通して蒸気をハウジング20から出す)、及びノズル端24に配したノズル弁(ステム)26をもつ。ノズル端24での第1流体2の出口速度又は出口圧力を制御するために作動手段(アクチュエータ)30が第1ハウジング20に接続している。作動手段30としては米国のFisher Controls社が製造しているもの等を用いうる。
【0056】
流体混合装置10はさらに第1ハウジング20のノズル端24で第1ハウジング20と合体している第2(混合)ハウジング40をもつ。第2ハウジング40は第2入口42(そこを通って第1流体4が第2ハウジング40に入る)、第3入口(そこを通って第2流体6が第2ハウジング40に入る)をもつ。入口42と44は第1入口22の下流に配される。図3に示すように、第2入口42と第3入口44は共通面にあり、互いに半径方向に離れており、最も好ましくは(混合装置10の中心軸そのまわりに直接対向(即ち180°)している。第2ハウジング40はほぼ円筒状の混合室52をもち、混合室52の入口端54から出口端56までの混合室52の軸方向に沿った流路を形成している。ノズル弁26は入口端54で着座位置と非着座位置の間をアクチュエータ30で移動可能となっており、混合室52への蒸気2の流量を制御できるようにしている。
【0057】
第1ハウジング20のノズル端24は蒸気2を混合室52の入口端54に向ける。第2入口42と第3入口44は、第1流体4と第2流体6をそれぞれ混合室52に放射状に向ける。蒸気2と、第1流体4と第2流体6が混合室52中で混合して溶融物(混合物)8をつくり、混合室52から出る。次いで溶融物8を冷却ドラム上にキャストしたり押出機を通過させる等の手段によって溶融物8を成形物に成形したりフィルムに成膜したりすることができる。
【0058】
図4において、流体混合装置10でフィルム及びカプセルをつくる装置系100はフィルム9を製造し供給するためのフィルム製造ユニット60とカプセル89を製造するためのカプセル機80をもつ。フィルム製造ユニット60には、流体混合装置10、第1流体4を流体混合装置10に供給するための第1流体供給手段62、第2流体6を流体混合装置10に供給するための第2流体供給手段64、溶融物(スラリー混合物)8を流体混合装置8から成形装置に供給するためにスラリー混合物供給流路70、流体供給流路70と流体直通しており混合物8をフィルム9に押し出す任意の押出機73、カプセル89をつくるためのカプセル機80、及び充填したカプセル90を乾燥や包装等の次の工程に移送するためのコンベアベルト90をもつ。押出機73の例としてはWenger社又はClextrel社製のものがある。
【0059】
カプセル機80の例としてはネバダ州バレイのR.P.Scherer Technologies社製の一般的な回転ダイカプセル機がある。図4に示すように、カプセル機80は封入すべきカプセル製品81を入れるカプセル製品保存タンク82をもつ。カプセル製品81としては、液状、半液状又は粉末状医薬品、ビタミン、栄養補助剤、ペイントボール、顔料、農薬又は農業添加剤及び予備計量食品添加物等がある。
【0060】
カプセル機80は1以上のローラー77、77’及び78、78’に連結されて、フィルタ9、9’をカプセル機80中に引き込むことができる。フィルム9はヒーターブロック86とローラーダイ88の間に供給される。フィルム9はロータリーダイ88の表面につくった凹部に真空によって引き込まれる。カプセル製品81は真空作業によってフィルム9中につくられた区画中に移される。ロータリーダイ88、88’のさらなる回転作用によってフィルム9、9’はロータリーダイ88、88’間の間げき(ニップ)中でいっしょに密封される。封入されたカプセルはビン87、87’中に落ち、コンベア90で乾燥及び包装工程に移される。
【0061】
図5に示すカプセル製造系100aは図4に示すのと類似している。但し、図5では、フィルム製造ユニット60aが任意のスプレッダーボックス72及び任意の冷却ドラム又はキャストドラム74を図4の系の押出機73の代りにもつ。この系100aには、流体混合装置10及び混合物供給路70があり、スラリー混合物8は流体混合装置からスプレッダ―ボックス72に運ばれる。スプレッダーボックス72は混合物8をキャストドラム74上に拡げる。混合物8が冷却してキャストドラム74上でフィルム9が形成される。次いで、フィルム9はカプセル機80に供給される。フィルム9’は好ましくは第2フィルム製造ユニット(図示せず)によってフィルム9と同様につくられる。
【0062】
流体混合装置10はフィルム形成用の混合物、より好ましくは可食性のカプセル又は帯状体をつくるための可食性フィルム形成用の混合物を製造するために用いられる。非相溶性のフィルム成分は、通常、異なる流体入口流に配して、これら非相溶性成分が流体混合装置の混合室52内の蒸気注入界面で合せるようにする。図3では蒸気用と第1流体及び第2流体用の入口を示したが、1以上の追加の流体用に1以上の追加の入口を設けうる。好ましくは、ハウジング20、40及び流体混合装置の他の構成部材は高級なステンレススチールでつくられる。
【0063】
本発明の別の態様において、溶融混合物は必ずしも工程(1)で均一化を達成する必要はない。つまり、溶融混合物の均一化は、ゲル化前に達成すればよく、従ってミキサー、ポンプ又は脱気装置のいずれかに供給する前又は後に達成可能である。
【0064】
本発明のゲルフィルムは少なくとも2500gの乾燥フィルム強度をもつので、ソフトカプセルの製造に適している。従って、本発明は本発明の均一な熱可逆性カッパ−2カラゲニンからのソフトカプセルとその製造方法にも関するものである。
【0065】
本発明のカッパ−2カラゲニンゲルフィルムからのソフトカプセルの製造方法には一般的なカプセル製造装置、たとえばロータリーダイ装置や凹状スタンプダイ等を用いうる。たとえば、本発明の溶融物をつくったら、それをドラム上にキャストし、冷却し、次いでロータリーカプセル化ダイ間に供給し、そこでフィルムを再加熱し、封入し、密封し、切断する。この一般的方法はたとえばWO98/42294に記載されている。
【0066】
また一般的なソフトカプセル製造法より優れた方法の1つとして、上記の高剪断装置を使用して、溶融物を十分に水和し、ドラムに供給して冷却し、一般的なカプセル化装置に供給して、封入、密封及び切断を行う方法がある。この連続法は十分にゲル化し冷却したフィルムを再加熱する工程を排除するために用いうる。上記のロータリーダイ法は適宜の所望形状をもつ本発明のソフトカプセルをつくるために用いうる。
【0067】
ソフトカプセル用の封入物質としては上記のロータリーダイ法で用いられる適宜の物質があり、一例として、医薬成分、農薬成分、栄養補助成分、動物薬成分、食品、香料、パーソナルケア製品、工業製品等があり、これは溶液、固体、懸濁液、分散液等でありうる。
【0068】
本発明はまた本発明の均一な熱可逆性ゲルフィルムで包まれた封入物質からなる固体形に関する。その一つはハードカプセルである。ここでハードカプセルとは一般に用いられる固体形をいい、たとえば、医薬分野において、2個の対称的なさやをつくり、通常粉末である封入物質をそれらに配して合してハードカプセルをつくる例を典型例としてあげることができる。ハードカプセル製造の1方法として、本発明の溶融組成物中に金属ピン(又は棒)を浸漬し、そのまわりにゲルフィルムをつくる方法がある。この方法はハードカプセルの製造法として周知である。
【0069】
ハードカプセル用の封入物資としてはこれらの投与形に一般に用いられている適宜の物質を用いうる。一般には、封入物質は液体(エマルジョンを含む)又は粉末等の固体である。これらの例としては、医薬成分、農薬成分、栄養補助成分、動物薬成分、食品、香料成分等がある。
【0070】
本発明の固体形は公知の手法に従って粉末、錠剤、カプレット、マイクロカプセル又はカプセルを封入することもできる。たとえば本発明のゲルフィルムでハードカプセルを封入すると安全な封鎖性/干渉抵触性をもたらしうる。
【0071】
本発明のゲルフィルムはまた投与形の溶解特性を変性しうる。たとえば、本発明のゲルフィルムに、急速放出性や制御された、腸溶性の又は遅延放出性をもつ固体投与形をつくりうる成分を加えたり、又は知られた状態や方法によって活性化して放出される成分を加えることができる。ここで急速放出性、遅延放出性、腸溶放出性はU.S.Pharmacopeiaに定義されている。
【0072】
本発明を実施例を用いてさらに詳述するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。特に断りのない限り、すべての部、%、比等は重量基準で示す。
【0073】
[実施例]
他に断りのない限り、次の方法を実施例1〜4での物質及びフィルムの製造及び評価に用いた。ステファン(Stephan)UMC5プロセッサは組成物の適切な高剪断混合、加熱及び脱気をもたらした実験室規模の混合装置であり、これらを実験室でフィルムキャストした。ステファンUSC5プロセッサで用い適切なバッチサイズは1500gであった。
【0074】
水性デンプン分散液を脱イオン水に適宜の塩/バッファとpH変性剤を溶解してつくった。デンプン及び/又はマルトデキストリン(M100)を加え溶解/分散するまで混合した。Pure Cote(商標)B760及びB790デンプンはアイオワ州ムスカティンのGrain Processing Corp.から市販されている。
【0075】
ステファンUSC5プロセッサを用いて、可塑剤を均一になるまで予備混合し、各添加の後200rpmで約30秒混合しながら予備混合した乾燥ヒドロコロイドを加えてヒドロコロイド混合物をつくった。ソルビトールスシャルとグリセリンを可塑剤として用いた。ソルビトールスペシャルは固形分76%のソルビトールと無水ソルビトールの水溶液であり、デラウエア州ニューキャッスルのSPI Polyols社から市販されている。
【0076】
上記のデンプン分散液を上記の非水性ヒドロコロイド混合物に加え、300rpmで5分間混合した。撹拌速度を2100rpmに上げ、混合物を混合しながら85℃〜95℃に加熱した。目標温度に達したら、混合物を30分間撹拌し、次いでこの試料をさらに45分間連続撹拌下に真空(50〜60バール)に保った。
【0077】
真空での保持時間が経過したら、試料を予熱した口広のクオートMasonジャーに注入した。温度とpHを記録した。ブルックフィールドLVF粘度計を用いて熱試料の粘度を測定した。
【0078】
試料の一部を分けて一夜冷凍処理してからAtago E系携帯式屈折計(フロリダ州ポンパノビーチ、Gardco社)を用いてゲル/溶融特性及び固体分を測定した。テストチューブ内に保持したワイヤスタンドに冷凍したゲル片を置いてこのゲル片がテストチューブの壁に接しないようにして溶融温度を測定した。小さい穴のあるアルミニウム箔でこのテストチューブをカバーしてデジタル温度計プローブを用いてゲル温度の測定を可能とした。テストチューブを加熱浴に浸漬しゲル片が約100℃の熱水浴の表面下にくるようにした。溶融温度が90℃以上の試料にはシリコーンオイル浴を用いた。ゲル化した試料が外観上湿潤化し、軟化し、撹拌できるようになったときの温度を記録した。一旦試料が溶融したら、テストチューブを冷水置水(15℃)を入れた第2ビーカーに移した。上記の温度計ブローブを試料が冷却する温度の記録及び試料がゲル化を開始したかどうかを調べるための試料表面の証明に用いた。ゲル温度は冷却して試料がプローブによってつくられたへこみを満たすようには最早流動しなくなった温度である。
【0079】
次いで、表面にPAM(ヘシチン)を噴霧してフィルムの剥離性を高めた177mm×177mm×5mmの金属板上に3mmの間げきをもつドローダウン棒を用いて上記熱試料をキャストした。キャストフィルムから湿分が除かれないようにゲルを塗布した板をカバーした。テスト用にフィルムを取り出す前にキャストフィルムを典型的には少なくとも1時間半冷凍処理(8℃以下)した。上記塗布板を40℃の圧縮空気/ファンオーブン中で乾燥して乾燥フィルムには細片をつくった。40℃で2時間乾燥したフィルムは中間固形分約60%をもつが液40℃で乾燥した乾燥フィルムの固形分は80%以上であった。特に断りのない限り室温(約20℃)で特性判定を行った。乾燥フィルムの固形分%はキャストフィルムを調製したときの固形分と乾燥フィルムの重量差から求めた。破壊力(break power)はテクスチャアナライザTA−108Sミニフィルムテスト機を用いてキャストフィルムと乾燥フィルムについて測定した。
【0080】
他に断りのない限り、Maltrin M100及びPure−Cote B760はGrain Processing Corp.製、ソルビトールスペシャルはSPI Polyols社製、グリセリンはVWR社製(EP/USP級)を用いた。
【実施例1】
【0081】
下記するように、ギガルティナ・スコツベルギ(Gigartina skotltsbergii)、特に単相(配偶体)植物のアルカリ処理し清澄化した抽出物としてCgn Aを得た。2倍体(4胞子体)植物からの少量(合計5%以下)のラムダ及びゼータカラゲニンも存在した。
【0082】
Cgn Aを水に溶かし、アルコール沈澱で回収し、乾燥してCgn Bをつくった。溶解したカラゲニンを酸化剤と反応させてCgn C−Fをつくることによって異なる分子量の試料を得た。酸化工程後及びアルコール沈澱前に試料Cgn C−Eに水酸化ナトリウムを加えて生成物のpHを調節した。カッパ−2カラゲニンの性質表1に示す。固形分1.5%での水溶液の粘度を適正速度スピンドル数でブルックフィールドLVF粘度計を用いて75℃で測定した。2wt%の試料Cgn A−Fで添加カチオンなし(No.1)、0.2wt%の試料KCl添加(No.2)、0.2wt%の試料KClと0.2%CaCl2添加の各試料を用いてつくった2%水ゲルの性質をTXTMテクスチャアナライザを用いて調べた。25℃でテストした破壊力(g)と針入度(cm)を記録した。Cgn A−Fは本発明で用いうるカッパ−2カラゲニンの例である。
【0083】
【表1】

【0084】
表2に示すように、Cgn DとEをつくりキャストフィルムを得た。組成とフィルムの性質を表2に示す。いずれも本発明の範囲内にあり、あるものは他よりも好ましい。
【0085】
【表2】

【0086】
上記の組成物はいずれもソフトカプセルフィルムの製造に適した十分な乾燥フィルム強度を示したが、あるものは他よりも高い強度を示した。
上記表は、例1−2及び例1−1では、処理温度での溶融物の粘度(13,700mPasと4,000mPas)を、Cgn DからCgn Eへの分子量の低下(それぞれ24mPasと14mPasとして表示)によって制御したことを示している。
【0087】
固形分含量が増加するにつれ、キャスト物質の溶融温度が増加した(例1−2、1−3及び1−4)。例1−2、1−3及び1−4では、ゲル温度が溶融物の温度になるまで、固形分の増加につれてゲル温度が増加した。キャスト前のゲル化は、例1−4における、キャストフィルムのゲル強度の低下及び高い溶融状態粘度(>50,000mPa)によって示されるように、溶融物の温度に近いゲル温度によるものである。これは、より強いフィルムを望む場合には、処理の間、溶融物の温度をゲル化温度以上に保つことが望ましいことを示している。ゲル温度以下での撹拌はゲル構造を破壊し、強度を低下させる。用いるに適する装置は適切に水和し、均一に混合しそしてさらなる処理又はさらなる操作(たとえば成形又はフィルムキャスト)に容易に移送できるものである。
【実施例2】
【0088】
カッパ−2カラゲニンを、ギガルティナ・スコツベルギ及びサルコザリア・クリスパタ(Sarcothalia Crispata)、主に単相(配偶体)植物のアルカリ処理し清澄化した抽出物として得た。2倍体(4胞子体)植物からの約10〜20%(合計)のラムダ及びゼーターカラゲニンも存在した。上記抽出物を回収し、イオン交換して低2価カチオンをもつカッパ−2カラゲニンを得た。この低2価カチオンカッパ−2カラゲニン(Cgn G−J)の性質を表3に示す。Cgn G−Jは本発明に包含される。
【0089】
【表3】

【0090】
試料Cgn G−Jの低2価カチオン含有カッパ−2カラゲニンを用いたフィルム組成と対応するフィルム性質を表4に示す。すべての組成は本発明内にある。但しあるものは他よりも特定用途に優れている。
【0091】
【表4】

【0092】
上記の調合物はいずれもソフトカプセル製造用として十分な乾燥フィルム強度を示した。但しあるものは他よりも高い強度を示した。
イオン交換したカッパ−2カラゲニン(I及びJ)をポリオール及びマルトデキストリン(充填剤として)と合し、固形分40%で無視しうる破壊力をもつ相対的に弱いキャストゲルフィルムを得た。これはカリウムカチオンの量が不足していたためと思われる。カリウムカチオンは上記カラゲニンを一次構造剤として機能させる温度でカラゲニン二重らせん構造(即ちゲル化)を十分に促進させる機能をもっている。例2−1及び2−2のゲルフィルムは相対的に低い溶融温度とゲル温度をもっている。ゲル化能は(低カリウム量が原因し)最大化していないにもかかわらず、例2−1及び例2−2では破壊力がそれぞれ3468及び3697を示した。例2−3はCgn Jにおいてカッパ−2カラゲニンによって形成される構造体へのカリウムイオン添加の効果を示している。キャスト強度は(軟らかだが)、キャスト板からフィルムをはがすに十分な強度である。カリウムイオンを添加したCgn Jによる構造改善は例2−1に比し、例2−3での溶融温度及びゲル温度の上昇によって確認される。乾燥フィルムの破壊力は例2−1及び例2−2と同等に維持された。
【0093】
例2−4は、例2−3のマルトデキストリンを変性デンプン(B790)で置きかえた効果を示している。粘度は増加したが、ゲル及び溶融温度はマルトデキストリンを含有させた例2−3とほとんど同等に維持された。例2−4のキャストフィルム強度も例2−3とほぼ同じであった。例2−4の乾燥フィルム強度は例2−3の2倍以上であった。これは、上記デンプンとカッパ−2カラゲニンの両者をカリウムカチオン(即ちカッパ−2カラゲニン用ゲル化イオン)と共存させたときに両者間に構造的な相乗効果がもたらされることを示している。カリウムイオンは無機塩、有機塩又はそれら両者の直接添加により付与できるしまた追加成分中に含有させることもできる。残留処理用塩を含有するカッパ−2カラゲニンを用いると、ゲル構造とデンプンの相乗効果を最高化するゲル形成条件を促進しうる。均一カッパ−2カラゲニン/デンプンゲル構造は予備ゲル化を防ぐに十分高い温度で溶融物をキャストすることによって製造できる。
本発明のさらなる調合物例を下記する。
【0094】
【表5】

【0095】
上記の調合物はいずれもソフトカプセル製造用として十分な乾燥フィルム強度を示した。但しあるものは他よりもより高い強度を示した。
例2−5は例1−1と同じカチオン含量をもつ。両試料は同じゲル溶融特性を示す。例1−1のCgn Eのより高い分子量(14cps)は、例2−5のCgn H(6cps)に比しゲルフィルムに対しより大きな構造的支持をもたらした。これは乾燥フィルムのより高い破壊力によって示される。例2−7のより高い乾燥フィルム強度は、制御され/低下された分子量のカッパ−2カラゲニンと組合せて変性デンプンを用いるとカッパ−2カラゲニンと変性デンプンが錯化したフィルム構造をもたらすことを示している。
【実施例3】
【0096】
表6はアルギネートを混合したカッパ−2カラゲニンを含有するフィルムの組成と性質を示す。KAHGは高レベルのグルロン(gluronic,G)単位をもつラミナリア・ハイパーボレアン(Laminaria hyperborean)からのアルギン酸カリウムである。KAHGは1%水溶液を25℃測定して5cpsの粘度をもち、イオン含量はカリウム15.73%、ネトリウム0.65%、マグネシウム0.07%、カルシウムなしであった。Protanal(商標)エステルBV4830はペンシルバニア州、フィラデルフィアのFMC Bio Pohpuer社から市販されているプロピレングルコールアルギネートである。
【0097】
【表6】

【0098】
上記の調合物はいずれもソフトカプセル製造用として十分な乾燥フィルム強度を示した。但しあるものは他よりも高い強度を示した。
例3−1において、カリウム、イオンはアルギン酸カリウムによって供給した。例3−2はプロピレングリコールアルギネートの添加がカッパ−2カラゲニンに強度を付加しまた処理粘度を低下させることを示している。
【実施例4】
【0099】
表7はカッパ−2カラゲニンとIndian Gum Industries社から市販されている低粘度グアーガムであるEdicol ULV50とのブレンド物を用いてつくったフィルムを示す。
【0100】
Cgn Kはギガルティナ・スコツベルギ、主に単相(配偶体)植物のアルカリ処理し清澄化した抽出物として得たカッパ−2カラゲニンである。2倍体(4胞子体)植物からの少量(合計5%以下)のラムダ及びゼーターカラゲニンも存在した。Cgn Kは表1に示すように低2価カチオン含量及び低カリウムカチオン含量をもつ。
【0101】
Cgn Lはギガルティナ・スコツベルギとサルコザリア・クリスパタ、主に単相(配偶体)植物のアルカリ処理し清澄化した抽出物として得たカッパ−2カラゲニンである。2倍体(4胞子体)植物からの約10〜20%(合計)のラムダ及びゼーターカラゲニンも存在した。Cgn K及びLの性質を表7に示す。
【0102】
【表7】

【0103】
表8はカッパ−2カラゲニンを組合せて低粘度グアーガムを用いてつくった調合物の組成とフィルムの性質を示す。
【0104】
【表8】

【0105】
本発明の上記組成物はいずれもソフトフィルム製造に十分な乾燥フィルム強度を示した。但しあるものは他よりも高い強度を示した。
【実施例5】
【0106】
次の例は図3の流体混合装置を用いてつくったフィルムを示す。これらの例において、部分Aと部分Bを室温にて別々の保持タンクから、2つの別々の流れ4、6として、2つの異なる入口42、44へのポンプで移動させ、そこから蒸気注入流体混合装置10に供給した。2つの独立流4、6を流体混合装置10の混合域52中の蒸気の界面で合した。
【0107】
部分A及び部分Bの別々の溶液は流体混合装置に速やかに注入され、蒸気2と混合された。蒸気2を120psiの圧力で混合域に導入した。得られた溶融物(又はスラリー混合物)8を流体混合装置10の出口56から流出させた。混合物8を滑らかな表面上に注ぎドローダウンして均一フィルム9を得た。
【0108】
混合物8の粘度を測定するために、混合物8の約500mlの試料を出口56から集め、ジャーに注入した。95℃でこの試料の温度、pH及び粘度を測定した。粘度測定にはブルックフィールドLVF粘度計を用いた。読みとりできるように適切な速度とスピンドルの組合せを用いた。ダイアルを読みとった後動粘度(cP)に変換した。
【0109】
フィルム強度と固形分レベルを測定するために、溶融物8を出口56から集め、間隔3mmにしたドローダウン棒を用いてステンレススチール板上にキャストした。最初のフィルム即ち「新鮮フィルム」を集めた。新鮮フィルム9の部分集合体を40℃強制空気オーブンに入れた。テクスチャ・アナライザTA−108Sミニフィルムテストリグを用いて新鮮フィルム片と乾燥フィルム片の破壊力を測定した。固形分%は新鮮フィルムの最初の重量と乾燥フィルムの最終重量との差から求めた。
【0110】
ゲル温度を測定するために、混合装置10の出口56から溶融物8の1部を集め、テストチューブに移した。テストチューブの半分は空に保った。ガラス温度計を溶融物8に挿入した。溶融物8を室温下で冷却した。冷却の各段階で温度計を溶融物8から取り出した。溶融物8の表面に小さい一時点なくぼみが記録された。温度計を溶融物8に再挿入し、さらに冷却した。溶融物8中に永久的なくぼみが形成されるまで温度計の取り出しと再挿入を繰り返し、くぼみが再充填しなくなった永久くぼみ形成の温度を記録した。ゲル温度は2つの記録された温度の間にある。
【0111】
【表9】

【0112】
上記調合物はいずれもソフトカプセル製造に十分な乾燥フィルム強度を示した。但しあるものは他よりも高い強度を示した。
【0113】
【表10】

【0114】
上記調合物はいずれもソフトカプセル製造に十分な乾燥フィルム強度を示した。但しあるものは他よりも高い強度を示した。
【0115】
【表11】

【0116】
上記調合物はいずれもソフトカプセル製造に十分な乾燥フィルム強度を示した。但しあるものは他よりも高い強度を示した。
【0117】
【表12】

【0118】
【表13】

【0119】
上記したように、本発明に従ってつくったフィルムは従来ゼラチンカプセル製造に用いられていたカプセル製造装置を用いてカプセル化しうる。本発明に従ってつくられたヒドロコロイドフィルムはゼラチン系フィルムに比しむだが少なく且つ容易に加工しうる。
【実施例6】
【0120】
主に単相(配偶体)植物を用いて、ギガルティナ・スコツベルギ及びサルコザリア・クリスパタの混合物からアルカリ処理し清澄化した抽出物としてカッパ−2カラゲニンを得た。2倍体(4胞子体)植物からのラムダ及びゼーターカラゲニンの合計はサルコザリア・クリスパタに対する約5〜10%に比しギガルティナ・スコツベルギに対し約0〜5%であった。この抽出物を回収し、イオン交換して低2価カチオンのカッパ−2カラゲニンを得た。これらのカッパ−2カラゲニンの性質を表14に示す。いずれも本発明内にある。
【0121】
【表14】

【0122】
カッパ−2カラゲニンのフィルム組成及び対応するフィルムの性質を表15に示す。これらのフィルムはスプレッダーボックス性でつくった。調合物はギガルティナ・スコツベルギとサルコザリア・クリスパタからのカッパ−2カラゲニンの50:50のブランド物を用い、カリウムカチオン含量を変化させた。下記するいずれの調合物も本発明内にある。但しあるものは他よりも好ましい場合がある。
【0123】
【表15】

【0124】
上記調合物はいずれもソフトカプセル製造に十分な乾燥フィルム強度を示した。但しあるものは他よりも高い強度を示した。カッパ−2カラゲニンのナトリウム形(例1と3)は最も弾性があり、カッパ−2カラゲニンのすべてのカリウム形(例4)は使用できるがかたいフィルムをもたらした。カリウムカッパ−2カラゲニンを含有する調合物は、それをロスミキサからフィルム形成機に移す間にゲル化を開始するので加工処理が困難であった。例4のフィルムは強度が弱かったが、これは移動中及び/又はフィルム形成工程中の予備ゲル化によるものと思われる。フィルム強度を最大化し、溶融物がゴム状にそして次にガラス状(ガラス転移温度)に移行するのを防ぐために、慎重な温度制御が必要である。「混合カチオン」カッパ−2カラゲニンを用いたフィルム(例2)は全ナトリウム及び全カリウムのカッパ−2カラゲニンを含有するフィルムの中間の性質を示し、また全ナトリウムカッパ−2カラゲニンに比し、ゲル化温度が高く(針入度が示すように)弾性が低かった。
【実施例7】
【0125】
ソフトカプセルの例
鉱油(下記規格(フォーミュラ)A)を含有するソフトゲルカプセル(7.5オーバル)を、長さ7.25インチ直径4インチのダイをもつTechnophar SGM 1010ソフトカプセル機を用いてつくった。カプセルのさやの形成に用いた溶融物は次のようにしてつくった:カッパ−2カラゲニン(例5でカッパ−2カラゲニンAとして示したもの)11.35ポンドをRoss DS40ジャケット付き真空ミキサに入れた33.89ポンドのグリセリン中に加え、最高速度で5分間分散させた。さらに上記と同じカッパ−2カラゲニン(即ちカッパ−2カラゲニンA)11.35ポンドを加え、5分間同様に分散させた。50ポンドのPure Cote B790変性デンプンと94.1ポンドの脱イオン水との予備混合物を上記ミキサが加えた。ミキサのフードを閉じて6インチの真空で空気を吸引除去した。
【0126】
内容物を最大速度で平板式ミキサでそして最大速度の1/3でディスペンサで30分間混合した。真空をロックし、ミキサの内容物を、ミキサ・ジャケットに低圧(<10psig)蒸気を通して90℃に加熱しつつ、混合した。90℃に達したらディスペンサ速度を最大速度の2/3に徐々に高めその間少なくとも90℃で45分間溶融物を維持した。この溶融物を加圧板を用いて分配し、電気加熱(〜125℃)した可撓性ホースを通して溶融物をロスミキサからカバーしたスプレッダボックスに移した。スプレッダボックス内でつくったキャストフィルムは連続的で一定厚さをもっていた。このフィルムをローラーでカプセル形成ダイに移送して、カプセルをつくり、鉱油を封入・密封した。カプセル密封温度は62℃で、密封圧力は〜2バーレルであった。このリボン(フィルム)の厚さが0.28インチから0.16インチに減少するにつれて密封能が向上した。カプセルを80°F、RH19%で72時間トンネル乾燥した。
【0127】
カプセル密封の一体性は乾燥後も良好に維持された。この調合物からつくったキャストフィルムは暗琥珀色でいずれかに海草臭がした。液40℃RH40%での乾燥後(固形分〜80%)の破壊力は3309gであった。次表のA参照。
【0128】
鉱油を封入するさらなるソフトカプセル(規格B)を、ソルビトールSP39.7ポンド、グリセリン59.5ポンド、ナトリウムイオン交換したカッパ−2カラゲニン(カラゲニンJとIの50:50混合物)19.6ポンド、Pure Cote B760デンプン44.6ポンド及び水92.6ポンドからなる第2調合物を用い、上記の方法と装置によってつくった。ソルビトールSPはデンプン/水予備混合物に加えた。この調合物からつくったフィルムは無臭、透明で中間色をしていた。キャスト(した状態の)フィルムは固形分55%で、厚さ0.6mm、破壊力263gであった。40℃、RH40%(固形分〜80%)で一夜乾燥したフィルム試料は厚さ0.7mm、破壊力6463gであった。キャストした状態のフィルムはより弾性があり、ローラーでカプセルダイに供給すると伸長した。42℃のカプセル密封温度と0.5バールの圧力を用いてカプセルをつくった。鉱油を封入した。
【0129】
カプセルを重量、カプセルの各半分の厚さ及び破壊強度について評価した。破壊強度はカプセルを破れるまで圧縮して測定した。圧縮プローブの速度は1mm/秒とした。それぞれの条件で10個のカプセルを試験した。さや強度は水平にシームを位置させたカプセル破壊強度として示す。シーム強度は10個のカプセルについて垂直にシームを位置させて測定した。結果を表16に示す。両方のカッパ−2カラゲニンフィルム共破壊距離で示されるように可撓性をもち、カプセル破壊強度がカプセルさやとカプセルシームでほぼ同じで、カプセルがシームではこわれずシームの先(圧力点からはなれる)でこわれたことで示されるように、強いカプセル密封をもたらす。
【0130】
【表16】

【実施例8】
【0131】
未変性のカッパ−2カラゲニン約74%とラムダカラゲニン約26%の最終組成をもつサクロザリア・クリスパタからカッパ−2カラゲニンをつくった。このカッパ−2カラゲニンは1.5%水溶液として75℃でテストしたとき340cpsの粘度と9.4のpHをもっていた。イオン含量はカリウム4.4%、ナトリウム4.0%、カルシウム0.2%、マグネシウム0.4%であった。このカッパ−2カラゲニン2gグリセリン20%と脱イオン78%の混合物に加え、85℃に加熱しながら15分間混合し、水が失われた場合はその量の水を85℃で加えて調節し、次いでペトリ皿にキャストし、液45℃で乾燥して約80%の固形分含量のフィルムを得た。乾燥フィルムは469gの破壊力と3.3cmの針入度をもっていた。
【実施例9】
【0132】
次の方法で分子量の異なる(分子量75℃で1.5%固形分水溶液の粘度を測定し同粘度で示す)2.25%カッパ−2カラゲニン試料をつくり、水105gとコーンシロップ147gをビーカー中で混合した。カッパ−2カラゲニンと粒状砂糖と塩(表17に示す)との予備混合物を上記液に加え、撹拌しながら95℃に加熱した。この加熱した液を2つのゲル皿と2つの試験管に注いだ(1/2充填)。2つのゲル皿と1つの試験管(溶融温度の測定用に45℃のゲル表面を得るように位置決めした)を10℃の水浴に1時間置いた。第2の試験管はゲル温度測定に用いた。キャストした状態の固形分は約62%であった。カリウムカチオンとカルシウムカチオンを含有する試料1b、2b及び3b用のゲル程度及び溶融温度は50℃以上であり、分子量が増加しても比較的一定であった。イオン交換したカッパ−2カラゲニンを含む試料1a、2a及び3aのゲル温度及び溶融温度はいずれも50℃以下であった。分子量(粘度で測定)が低くなるにつれてゲル温度及び溶融温度は低下した。特に9mPasの粘度もカッパ−2カラゲニンを含有する試料1aは25℃という低下したゲル温度及び36℃の溶融温度をもつゲルフィルムを与えた。
【0133】
【表17】

【0134】
本発明を詳しくまた特定の態様を例に説明したが、本発明はそれらに限定されず種々の変形もその技術思想と範囲内で実施可能であることは当業者に明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】ステファンプロセッサを押出機と共に用いてフィルム及びソフトカプセルを製造する本発明方法の概略図。
【図2】図3の流体混合装置と押出機を用いてフィルム及びソフトカプセルを製造する本発明方法の概略図。
【図3】本発明で第1及び第2流体を蒸気と混合するために用いることができる液体混合装置の部分切開側面図。
【図4】フィルムが押出機からカプセル化装置に至る状態を示す図2の別の態様の概略図。
【図5】図3の流体混合装置、冷却ドラム及びカプセル化装置を用いてフィルム及びソフトカプセルをつくる本発明方法の概略図。
【符号の説明】
【0136】
2 蒸気
4 第1流体
6 第2流体
8 溶融物
9 フィルム
10 流体混合装置
20 第1ハウジング
22 第1入口
24 ノズル端
26 ノズル弁
30 アクチュエータ
40 第2ハウジング
42 第2入口
44 第3入口
52 混合室
54 入口端
60 フィルム製造ユニット
62 第1流体供給手段
64 第2流体供給手段
70 流体供給流路
73 押出機
74 キャストドラム
80 カプセル機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム形成量のカッパ−2カラゲニン、及び所望により可塑剤、第2フィルム形成剤、充填剤、及びpH調節剤の少なくとも1からなることを特徴とする均一な熱可逆性ゲルフィルム。
【請求項2】
カリウムカチオン又はアンモニウムカチオンをゲルフィルム中のカッパ−2カラゲニンの乾燥重量の50%以下の量で含有する請求項1のフィルム。
【請求項3】
カッパ−2カラゲニンがゲルフィルムの乾燥重量の少なくとも0.5%の量で存在する請求項1のフィルム。
【請求項4】
カッパ−2カラゲニンがゲルフィルムの乾燥重量の0.5〜25%の量で存在する請求項1のフィルム。
【請求項5】
カッパ−2カラゲニンがゲルフィルムの乾燥重量の1.5〜25%の量で存在する請求項1のフィルム。
【請求項6】
カッパ−2カラゲニンがゲルフィルム中のフィルム形成剤の合計乾燥重量の少なくとも10%の量で存在する請求項1のフィルム。
【請求項7】
カッパ−2カラゲニンがゲルフィルム中のフィルム形成剤の合計乾燥重量の少なくとも20%の量で存在する請求項1のフィルム。
【請求項8】
カッパ−2カラゲニンがゲルフィルム中のフィルム形成剤の合計乾燥重量の少なくとも50%の量で存在する請求項1のフィルム。
【請求項9】
カッパ−2カラゲニンがゲルフィルム中のフィルム形成剤の合計乾燥重量の少なくとも80%の量で存在する請求項1のフィルム。
【請求項10】
カッパ−2カラゲニンがゲルフィルム中に存在する唯一のフィルム形成剤である請求項1のフィルム。
【請求項11】
第2フィルム形成剤がデンプン、デンプン誘導体、デンプン加水分解物、セルロースガム、カッパカラゲニン、イオタカラゲニン、アルギネート、プロピレングリコールアルギネート、ポリマンナンガム、デキストラン、ペクチン、ゲラン、プルラン、アルキルセルロースエーテル及び変性アルキルセルロースエーテルからなる群から選ばれる請求項1のフィルム。
【請求項12】
可塑剤がグリセリン、ソルビトール、ポリデキストロース、マルチトール、ラクチトール及びポリアルキレングリコールからなる群から選ばれ、第2フィルム形成剤がデンプン、デンプン誘導体、デンプン加水分解物、セルロースガム、ヒドロコロイド、アルキルセルロースエーテル及び変性アルキルセルロースエーテルからなる群から選ばれ、充填剤が微結晶質セルロース、微結晶質デンプン、デンプン、デンプン誘導体、イヌリン、デンプン加水分解物及びポリデキストロースからなる群から選ばれる請求項1のフィルム。
【請求項13】
少なくとも1500gの破壊力強度をもつ請求項1のフィルム。
【請求項14】
少なくとも4000gの破壊力強度をもつ請求項1のフィルム。
【請求項15】
少なくとも5000gの破壊力強度をもつ請求項1のフィルム。
【請求項16】
少なくとも6000gの破壊力強度をもつ請求項1のフィルム。
【請求項17】
固形分含有量がゲルフィルム重量の少なくとも50%である請求項1のフィルム。
【請求項18】
固形分含有量がゲルフィルム重量の少なくとも60%である請求項1のフィルム。
【請求項19】
固形分含有量がゲルフィルム重量の少なくとも80%である請求項1のフィルム。
【請求項20】
固形分含有量がゲルフィルム重量の少なくとも90%である請求項1のフィルム。
【請求項21】
(1)十分なせん断、温度及び滞留時間を付与しうる装置中でカッパ−2カラゲニン、及び所望により可塑剤、第2フィルム形成剤、充填剤、及びpH調節剤の少なくとも1からなる組成物を、加熱し、水和し、混合し、可溶化しそして所望により脱気して均一で、熱可逆性の溶融組成物をつくり、ここで温度は溶融組成物の可溶化温度以上である、そして(2)溶融組成物をゲル化温度以下に冷却してゲルフィルムをつくる諸工程からなる請求項1〜20のいずれか1項のゲルフィルムの製造方法。
【請求項22】
溶融組成物が冷却前にミキサ、ポンプ又は脱気装置の少なくとも1つに直接供給される請求項21の方法。
【請求項23】
装置がロスミキサ、ステファンプロセッサ、押出機、ジェットクッカー又は流体混合装置である請求項21の方法。
【請求項24】
カプセル壁と封入物質からなり、カプセル壁が請求項1〜20のいずれか1項のフィルムからなるソフトカプセル。
【請求項25】
封入物質が医薬、ビタミン、栄養補助剤、ペイント、ペイントボール、顔料、農薬、香料、抗酸化剤、香味成分又は食品である請求項24のソフトカプセル。
【請求項26】
(1)十分なせん断、温度及び滞留時間を付与しうる装置中でカッパ−2カラゲニン、及び所望により可塑剤、第2フィルム形成剤、充填剤、及びpH調節剤の少なくとも1からなる組成物を、加熱し、水和し、混合し、可溶化しそして所望により脱気して均一で、熱可塑性の溶融組成物をつくり、ここで温度は溶融組成物の可溶化温度以上である、そして(2)溶融組成物から直接ソフトカプセルをつくるか又は溶融組成物をゲル化温度以下に冷却し、次いでソフトカプセルをつくる諸工程からなる請求項24のソフトカプセルの製造方法。
【請求項27】
装置がロスミキサ、ステファンプロセッサ、押出機、ジェットクッカー又は流体混合装置である請求項26の方法。
【請求項28】
溶融組成物が冷却前にミキサ、ポンプ又は脱気装置の少なくとも1つに直接供給される請求項26の方法。
【請求項29】
溶融組成物がソフトカプセル形成前に少なくとも50%の固形分含量をもつ請求項26の方法。
【請求項30】
ゲルフィルムがソフトカプセル形成前に少なくとも60%の固形分含量をもつ請求項26の方法。
【請求項31】
請求項1〜20のいずれか1項の均一な熱可逆性ゲルフィルムによって封入させた封入物質をもつ固体形。
【請求項32】
固体形がハードカプセルである請求項31の固体形。
【請求項33】
封入物質が粉末、錠剤、カプレット、マイクロカプセル又はカプセルである請求項31の固体形。
【請求項34】
ゲルフィルムの重量基準で、カッパ−2カラゲニン0.5〜25%、第2フィルム形成剤10〜50%、可塑剤5〜40%、固形物含有量50〜90%をもち、所望によりpH調節剤を含有する請求項1のフィルム。
【請求項35】
封入物質を封入した請求項34のフィルムからなるソフトカプセル。
【請求項36】
固形分含有量が少なくとも50%で、カッパ−2カラゲニンが、1.5%カッパ−2カラゲニン固体0.1モル塩化ナトリウム溶液75℃において10cps以下の粘度をもつ請求項1のフィルム。
【請求項37】
封入物質を封入した請求項36のフィルムからなるソフトカプセル。
【請求項38】
香味成分を含有し、固形分含有量が少なくとも50%であるクレーム1のゲルフィルム。
【請求項39】
封入物質を封入した請求項38のフィルムからなるソフトカプセル。
【請求項40】
香味成分が砂糖である請求項38のゲルフィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−525551(P2007−525551A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−510062(P2006−510062)
【出願日】平成16年4月14日(2004.4.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/011602
【国際公開番号】WO2004/091530
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(391022452)エフ エム シー コーポレーション (74)
【氏名又は名称原語表記】FMC CORPORATION
【Fターム(参考)】