説明

カテーテル取り付け式自動血管閉塞及び液体分散装置

液体が、カテーテル又はガイドワイヤ内を流れる時、血管を閉塞又は部分的に閉塞するために拡張し、かつ液体流が停止される時に自動的に潰れる、カテーテル又はガイドワイヤ取り付け式自動血管閉塞及び液体分散装置。各閉塞装置は、連結された可撓性カバーによって被覆される弾性骨格を有し、かつ閉塞装置の所望の端部を通る制御された流れを可能にするために、その遠位又は近位端に孔又は開口部を有する。液体は、撮像装置と画像強調液、血管又は血管と連通する組織の局部的治療のための治療液、及び/又は血管壁及び隣接組織へのエネルギー伝達の性能を改良する、又は可能にするための洗浄液であっても良い。閉塞装置の急速な拡張及び潰れ、あるいは装置の急速な拡張と、それに続く装置の遙かに遅い潰れのための設備を有する実施形態を含む、種々の実施形態が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、閉塞/注入及び閉塞/撮像装置及びシステムの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
治療剤若しくは薬物又は画像強調剤のような物質を送る内科医又は外科医が、所望の標的組織の位置を効率的かつ正確に突き止め、及び/又は物質を所望の標的組織に効果的に送ることができることが、ますます重要になっている。このことは、標的部位から離れた位置へ物質を導入することによって、標的部位で必要な物質の濃度が安全又は効果的に得られないか、又は血流が標的部位で物質をあまりにも急速に洗い流すか、希釈する時に、特に当てはまる。更に、内科医は、血管、器官又は組織の患部のみを治療し、健康な部分を治療することは避けることを望む。
【0003】
例えば、心臓内の組織のような、組織の局部的治療を達成するために、内科医及び外科医は、閉塞装置として使用するためにバルーンや膨張内腔を含むカテーテル及び/又はガイドワイヤを使用する。具体的には、心臓血管ガイドカテーテルは、一般的に患者の血管系を通って関心領域に進むために使用される経皮装置であり、かつ他のカテーテル又は装置を挿入される装置である。また、ガイドカテーテルは、通例それらの位置決めを助け、かつ関心血管領域の視覚化を助けるために、それらの内腔を通して注入される撮像剤を有する。ガイドカテーテルは、一般的に、短いカテーテル状の装置、導入器の内径を介して、近位の経皮血管進入部位に挿入される。搬送カテーテルは、一般的に、患者の血管系における関心領域に治療剤及び/又は診断装置を送るために使用されるカテーテルであり、かつ概して、ガイドワイヤと係合しながら、他のカテーテル(例えばガイドカテーテル)を通って挿入される。搬送カテーテルには、搬送カテーテルの遠位端で、及び/又はカテーテルの長さに沿ってポートで血管系への液体の送りを可能にするために内腔とポートを備える。ガイドワイヤは、一般的に、ガイドカテーテル又は搬送カテーテルを係合させる装置であり、かつそれらを患者の血管系を通して関心領域に案内するために使用され、かつ概して他のカテーテル(例えばガイドカテーテル、搬送カテーテル)を通して、又は他のカテーテルと係合しながら血管系に挿入される。概してガイドワイヤは、所望の遠位血管系関心領域に進み、かつそこをサブ選択し、かつ次にカテーテルが、ガイドワイヤを越えてより遠位の位置に進められる。更に、バルーンは、血管系内の関心領域を随意に閉塞させるために、バルーンを膨張させ、収縮させるようにされた、搬送カテーテル、ガイドワイヤ又はガイドカテーテル、膨張内腔に取り付けられる。
【0004】
また、現在のOCT(光学コヒーレンストモグラフィ)撮像システムは、血液又は組織へ約2mm(概して1.2〜1.7mm)より大きくは撮像できない。撮像が望まれる血管は、一般的に直径2mm以上であり、かつ撮像装置は、血管壁と接触することがあるので、視野から血液を取り除き、撮像深度に影響を与える血液の特性を排除し、及び/又は血管壁に対するカテーテルの位置を制御せずに、これらの血管の壁を、その完全な360度の外周にわたっていかなる血管壁の深度までも撮像することを期待することは、実際的でない。取り除きは、血液を食塩水又は他の水性溶液と置き換えること(洗浄)によって、例えばガイドカテーテルを伝って溶液を注入することによって達成できる。
【0005】
OCT撮像システムに使用される光の周波数は、その波長が、個別の赤血球と相互作用するために十分に短くなっている。赤血球の相互作用を避けるために長い波長を使用することは、脆弱な血小板(VP)検出のための所望の画像軸方向(深度)分解能の損失をもたらす。赤血球は、それらが懸濁される血漿よりも僅かに高い屈折率を有する。その上、赤血球は、凹レンズのように成形されているので、OCT光は、撮像される組織/血管壁への往復とも、それが通過する各赤血球によって方向転換され、かつ再度焦点を合わせられる(拡散される)。その上、吸収のために、若干の比較的軽微な光エネルギー損失と、赤血球による散乱(反射)のために、経路長の変化とがある。
【0006】
IVUS(血管内超音波法)は、十分に高い超音波周波数が使用されるならば、VPを所望の分解能で撮像するためにも使用できる。高周波数IVUSシステムにおいて、赤血球が撮像され、かつ超音波を遮断/減衰させ、撮像深度を低下させる。従って、かかるシステムは、OCTの問題と似た理由で、洗浄液も必要とする。
【0007】
光力学療法システムにおいて、光の周波数は、OCTシステムで使用されるそれよりも高くても良い。それ故に、血管壁に到達する光エネルギー量を許容範囲内に制御し、かつ血液細胞への可能な損傷を抑えるために、洗浄が必要とされる可能性が高い。
【0008】
OCT装置、超短波IVUS装置の視野、又は光力学療法ビームの経路から血液を除去するための冠状動脈洗浄は、装置を取り囲む/内蔵する案内カテーテル又はカテーテル/シースを通して、撮像される血管に食塩水を注入することによって通常達成される。しかしながら、単純な洗浄液には、以下のように相当の欠点や問題がある。
【0009】
1.効果的に洗浄する時、血液は、他の液体、通常内部に捕捉された酸素をほとんど有さない、食塩水又は他の等張生体適合性水性溶液によって置き換えられ/極度に希釈される。それ故に、撮像のための時間帯は、心筋に対する溶液の虚血の結果によって限定される。洗浄液が、より近位であれば、心筋のより多くが影響を受ける。撮像は、通常すでに虚血又は以前の心筋虚血性組織損傷を患っている患者に望まれるので、安全な/疼痛のない(患者は通常、カテーテルに基づく血管処置の間、意識がある)洗浄期間は、短い。
【0010】
2.冠状動脈内の流れは、層状であり、かつそれ故に流線内で流れ、かつ隣接した流線と急速に混合しない傾向がある。それ故に注入された溶液は、それ自身の流線内で流れる傾向があり、若干の区域の血流(若干の血液流線)を完全に移動/置き換えられないままにするか、又は血液の渦を装置/カテーテル/シースの存在によって保護される/生成される区域又は分岐点に残す。
【0011】
3.大部分の水性洗浄溶液は、血液よりも著しく低い粘度を有する。それ故に、流入洗浄液が、血圧を上回るように血管/血管経路内に十分な圧力を生成させ、かつそれ故に流入血液を比較的完全に移動させるために、洗浄液の流量は、血管内の血液の正常な流量を上回らねばならない。換言すれば、血管内の流れ抵抗は血液よりも洗浄液に対して低い。従って洗浄液が、流れる血液を細動脈レベルで置き換えると、洗浄液が動脈/細動脈下流で血液を効果的に完全に置き換えるピーク流量まで、より大きな流量の洗浄液が必要とされ(毛細管/動脈の流れ抵抗は、細動脈のそれと比較して無視できる)、かつ細動脈は、組織虚血に応答して最大限に開かれる。必要とされる洗浄液の量は、長い洗浄期間中に、極めて高くなるであろう。
【0012】
4.大部分の注入構成において、必要とされる高い洗浄液流量は、比較的小さい効果的な流れの断面積(カテーテル/シース出口ポート)を介して血管に入り、それ故に注入速度は、非常に高い。高速の噴流は、血管壁を損傷する。その上、必要とされる圧力と量は、手動注入によって容易には達成されず、注入装置が望ましい。コントラスト(contrast)のような粘度の高い液体を注入することは、低い流量を必要とするが、カテーテル注入圧力は、その高い粘度のために比較的不変である。高い粘度の注入液/洗浄液はまた、洗浄液を洗い流すためにかかる時間を増加させ(洗浄が停止された後に長い虚血時間)、かつ当然ながらコントラストは普通の洗浄溶液と比べて非常に高価である。
【0013】
これらの問題に取り組むために、幾つもの方法が、以下のように以前、提案/開示された。
【0014】
1.光に関する問題を解決するために、酸素化された血液は、患者から引き出すことができ、かつその血漿の屈折率を赤血球のそれに増加させ、かつ次にそれを洗浄液として使用するための材料が、血液に添加できるか、又はこのことが、全身的にできるであろう。このことは、赤血球のレンズ効果と反射効果を除去するか、効果的に最小限に抑えることができる。残りの吸収効果は軽微である。赤血球が酸素化されるので、虚血は問題ない。コントラストが、血漿にこの屈折率変化を起こすために使用できることが報告された。しかしながら、この調整を全身的に行うことは、非常に困難であるか、又は有害である可能性が高い。引き出した血液に対してこのことを実行することは、幾分容易で、かつ速い可能性が高いが、このことは、追加の機器/使い捨て品、時間がかかる屈折率整合処置、増加した血液露出に関わる問題を必要とするであろう。流線と注入の問題は、なおも難題であり、溶血が問題である。
【0015】
2.撮像は、画像表示から集まる画像データを分離することによって非常に急速に行うことができる。このことは、洗浄に必要な時間を限定し、かつ虚血を最小限に抑える。いかなる所与の撮像時間に関しても、撮像される血管の長さが長いほど、その長さにわたる制御された引き戻しの間、集められる画像データの長手方向分解能は低くなる。しかしながら、計算により、血管のかなりの長さが非常に短時間で撮像でき、かつVPの信頼できる検出を可能にする長手方向分解能をなおも保持できることが示された。集められた画像は、記録され、かつ内科医によって理解可能な率でかつ内科医が制御してアクセスされる。VPが検出され、かつ長手方向分解能の増加が望まれるなら、短い長さのもう1回の引き戻しが、特定された引き戻し位置の間で実行できる(位置は、以前の引き戻しの表示データから導かれる)。この方法は、必要とされる虚血時間と洗浄溶液量を減少させる手段を提供するが、高い洗浄流量をなおも必要とし、かつ流線の問題には取り組まない。
【0016】
3.ガイドの遠位端は、ガイドカテーテル注入又は洗浄による流線の問題に取り組むために、修正できる。特にガイドが非常に近位であるために、高い流量が、なおも必要とされる。ガイドは、撮像装置又は治療装置と適合するように設計されねばならず、かつこのことにより、VP又は他の医学的状態を治療するために必要とされる他の装置/カテーテルと適合しないようになることがある。
【0017】
4.液体で満たしたバルーンを介して撮像し、かつ洗浄液の必要性を除去できる。しかしながら、このことは虚血の問題をなおも有し、血管壁/VPを損傷し、かつ血管を歪める可能性が高いので、その画像が歪められる。長い血管を撮像することは、血管の寸法がその長さに沿って変化し、かつバルーン膨張圧力が、血管を真っ直ぐにする(損傷/歪曲)傾向があるので、そのためのバルーンを設計することが非常に困難であろう。大きなバルーンは、収縮させるために長時間かかることがある。また、屈折率差のため、バルーンに閉じ込められたいかなる空気を介しても効果的に撮像できないであろう。バルーンがフルオロポリマーでできており、及び/又は非常に薄いならば、バルーン材料は、OCT光と著しく干渉しない。水/水溶液で満たしたパーフルオロカーボンカテーテル内腔は、OCT光と著しく干渉しない。
【0018】
5.撮像する血管の長さのすぐ近位で洗浄することは、少なくとも撮像位置が血管内で遠位である場合に、必要とされる洗浄液流量を限定することに役立つ。このことは、撮像が、カテーテル又はシース内でなされること、及び撮像装置がシース又はカテーテルを係合させること、又は洗浄シース/カテーテルが撮像装置と共に挿入されることを意味する。回転OCT撮像アセンブリ(撮像コア)は、非常に小さく、直径約0.004インチにできるので、洗浄シース/カテーテル/僅かな寸法増加を有する他のカテーテルに組み込むことができる。あるいは、撮像装置がガイドワイヤであるならば、撮像引戻し後、ガイドワイヤ位置を保持するためにフラッシングシースを使用する。かかるシステムは、関心の対象である血管に進入できる現在のIVUSカテーテルとなおも同じ位に小さいか、又はそれよりも小さくなり得る。
【0019】
また塞栓防止装置、及び血管の狭窄又は閉塞領域において治療的介入処置の実行中に作られる、塞栓細片を捕捉し保持するための、塞栓防止装置の挿入と除去を可能にするシステムが、先行技術において知られている。この種類の装置やシステムは、上部にフィルタ要素を有する、一般的に自動拡張の支柱アセンブリ又はケージを有する装置やシステムを含む。このタイプの装置やシステムは、公開された特許文献1〜5に開示され、かつ商標ACCUNETで販売されている。
【0020】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0120303号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2003/0142285号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2003/0212361号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2004/0006361号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2004/0098032号明細書
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施形態は、自動閉塞/洗浄液分散装置を含む。これらの装置において、閉塞/洗浄液分散装置は、洗浄溶液の注入中に動脈(又は静脈)を閉塞又は部分的に閉塞するために、展開する。実際に、洗浄液注入の流れ又は圧力は、閉塞/洗浄液分散装置を展開(拡張)するために使用される。それ故に、洗浄(又は注入)中、血管は、装置部位で少なくとも部分的に閉塞され、従って洗浄液は、動脈(又は静脈)樹に(閉塞に対する洗浄液の出口位置に応じて)遠位又は近位に優先的に流れ、かつ光又は超音波の経路を空けるか、又は希釈し、作用物質(例えば食塩水、血管造影コントラスト、超音波コントラスト)を関心領域に、より効果的に導入するか、又は治療剤を関心血管領域、関心血管領域に隣接する組織、又は洗浄液流の方向の組織に、より効果的に露出することを可能にする。血管の流量が、閉塞/部分的閉塞によって減少するので、少ない洗浄液が必要である。一旦、注入が止まると、閉塞/洗浄装置は、洗浄液流/圧力の欠如のために潰れ、かつ血管の血流が洗浄液注入前のように再開する。洗浄液内腔と閉塞装置作動内腔が同じ内腔であっても良いので、カテーテルは、膨張内腔を介してバルーンを膨張させ、かつ別の洗浄液内腔を介して洗浄液を送る従来の閉塞バルーンよりも小さくできる。幾つかの実施形態において、洗浄液内腔は、必要とされるカテーテル寸法を更に減少させるために、ガイドワイヤ内腔としても使用できる。小さいカテーテルは、(より小さい/遠位の血液に)より遠位に位置決めでき、かつより小さな導入器を必要とし、より低い挿入部位(導入器)合併症をもたらす。装置は、洗浄中に自動的に展開し、かつ洗浄終了時に潰れるので、比較的長い膨張/収縮時間を有するバルーン閉塞システム、及び/又は別々に作動させられる洗浄内腔と閉塞内腔を有するシステムと比較して閉塞/洗浄時間が少なくなる。装置が、洗浄液を幅広く分散させように構成できるので、洗浄液速度は低く、血管損傷の可能性を減少させる。装置が、血流を分裂させ、かつカテーテルの周りに洗浄液を分散させるので、洗浄液と血液の混合がより良好で、及び/又は血液を洗浄液に置き換えることがより良好であり、かつそれ故に保護された血液の流線又は渦の可能性が少ない。
【0022】
かかる実施形態の例は、その中身を断面で示すために、長手方向に切断された代表的な自動閉塞/洗浄液分散装置アセンブリの遠位端を示す、図1、2aに見ることができる。主カテーテルシャフト30は、移行区間34で減少した内径32を有する。好ましくは、この移行区間34において、その近位又はその近傍に、シャフト壁に空けられた孔36がある。通常、閉塞/洗浄液分散装置38は、図1に示す引っ込んだ状態にある。しかしながら、洗浄液がカテーテルシャフト30の近位端で内径32に注入されると、内径34の変化が、洗浄液流れ抵抗の増加(流れの制限)を引き起こし、内径34減少がなかった場合よりも、同じ洗浄液流量に対して、孔36への高い洗浄液圧力を生成する。この高い圧力は、洗浄液が、十分に高い量又は圧力で流れる時に、図2aに示すように、閉塞/洗浄液分散装置38を展開するために使用される。一般的に、かかる流れの制限は、いかに作られたとしても、流れがカテーテルの近位端と孔36の間で制限されるよりも、孔36から遠位端へ、カテーテルを通る流れを制限する、すなわちより大きな圧力降下を引き起こすように構成される。
【0023】
幾つかの実施形態において、洗浄液圧力を更に増加させるために使用される、中心部材40が同様に示される。この中心部材は、通常の遠位進入及び血管のサブ選択機能にも使用されるガイドワイヤであっても良い。他の実施形態において、中心部材40は、ガイドワイヤでなくても良く、光ファイバ40又はIVUSコア40であっても良い。他の実施形態において、中心部材40は、内腔又は他のカテーテル状の特徴を含む可動及び/又は取り外し可能な部材40であっても良い。他の実施形態において、中心部材40は、中心部材40と内径32の間の流れ空間の制限による流れ抵抗増加を提供するために孔36に遠位のOD増加を含んでも良い。他の実施形態において、中心部材上のOD増加は、移行区間34の機能を置き換えることができ、かつそれ故に内径32の変化は省略できる。このことは、図2bの実施形態に示される。なおも他の実施形態において、図2cに示すように、局部制限74をカテーテル30内部に置くことができるか、又は図2dに示すようにカテーテルシャフト自体が制限を形成するために局部的に狭められるてもよい。閉塞/洗浄液分散装置38は実際に、流れる洗浄液によって、液が孔36から閉塞装置38へ押し出されるにつれ、拡張すなわち展開される。一実施形態において、前に参照された塞栓フィルタで使用されたものに類似した材料が、それが装置38全体を被覆し、かつ遠位部分42に孔のみを有するのでなければ、装置38を被覆する。近位部分44は、孔がなく、かつそれ故に動脈(又は静脈)内で、近位の洗浄液流又は血流への障壁を形成する。孔36を通って流れる、注入された洗浄液は、閉塞/洗浄液分散装置38を膨張させ、かつ遠位部分42で孔から遠位に流れ、遠位部分42の孔が、膨張のための閉塞/洗浄液分散装置38の関連した圧力増加による、適切な流量のための制限を提供する。幾つかの実施形態において、図5の実施形態に対して記載されるように、装置38の遠位端が摺動リング又は管区間に取り付けられる場合のように、閉塞/洗浄液分散装置からの他の洗浄液遠位流路がある。幾つかの実施形態において、内径32の遠位端からの重要な流路がある。もう1つの実施形態において、近位部分44は孔が与えられ、かつ遠位部分42は遠位部分42が動脈(又は静脈)内で遠位の洗浄液流又は血流への障壁を形成するように、孔がない。かかる実施形態は、図2eに示す。もう1つの実施形態において、装置が純粋に閉塞装置として作動し、かつ洗浄液の後に潰れるために装置のこれらの孔以外の流路のみに依存するように、遠位部分42と近位部分44には孔がない。かかる実施形態は、図2fに示す。
【0024】
洗浄液の注入が完了した時(洗浄液流なし、又は低い洗浄液流)、閉塞装置38は、図1に示すように潰れる。それは、変形されない形状が閉塞装置38の内側のカテーテルシャフト30の外径を抱くか、又はそれに非常に近接する弾性骨格に、閉塞装置38を被覆する材料(42、44)が取り付けられているので、潰れる。骨格への被覆材料(42、44)の取り付け点又は区域は、固定取り付け及び/又は摺動取り付けであっても良い。閉塞装置38が潰れると、その中の洗浄溶液は、その遠位部分42の孔から押し出され、孔36を介して内径32に押し戻され、及び/又は前述の他の洗浄液流路を介して押し出される。幾つかの実施形態において、閉塞装置38の潰れは、シース、カテーテル又はガイドカテーテルの内径への、それが近位に取り付けられる装置の引き出しによって(又は部品間の同じ相対運動を介して)、又は短時間、カテーテルシャフト30の近位端で内径32に負圧(大気圧未満)を加えることによって支援できる。
【0025】
弾性骨格は、多くの形状を取り、かつNiTiや弾性重合体のような適切な弾性特性を有する多くの異なる材料でできていても良い。単純な例は、図3に示すような、前に参照した塞栓防止装置に使用されるような形状であるが、図4に示すような、その拡張しない状態のままにされた、又は装置38内部のカテーテルシャフト30の外径と類似した内径に合わされた形状である。一例として、適切な直径のNiTi管は、NiTiを所望の偏向しない直径及び/又は形状に合わせるために、所望の骨格パターンに切断し、洗浄し、固定具に保持し、かつ熱に晒される。もう1つの骨格の例は、図5に示すような、材料を横切って長手方向に、及び/又は材料の周りで側方に延びる、2つ以上のジグザグ(湾曲点)又は正弦波状の形状を使用することである。もう1つの骨格の例は、材料とシャフトの周りで側方に延びる、(互いに接続された、又は接続されない)1つ以上のジグザグ(湾曲点)又は正弦波状の形状を使用することである(接続された状態のこの形状は、従来のステントの形状である)。更にもう1つの骨格の例は、図6のリング52又はリング48のような、片側に摺動リング又は管区間を有する形状である。幾つかの実施形態において、被覆材料の骨格及び取り付け方法/材料の設計は、装置の両端が、図5に示す実施形態のように装置拡張中にシャフトに対して固定できるように選択できる。幾つかの実施形態において、リングは省略でき、かつ被覆材料(42、44)は、シャフトに直接取り付けられる。幾つかの実施形態において、骨格は、その遠位端及び/又は近位端でシャフトに接続されない。幾つかの骨格の実施形態において、被覆材料(42、44)の潰れシーケンスとその結果として生じる潰れた外形の予測可能性を支援するために、材料(42、44)に同様に取り付けられたフィンガー状骨格突起も含むことができる。例えば、フィンガーが、骨格の隣接部分よりも大きな潰れ力を材料(42、44)に加えるならば、材料(42、44)のその部分は、隣接部分よりもシャフト30に向かって急速に潰れる。被覆材料(42、44)内の事前に設定された折り目と併せて、かかるフィンガーの使用は、装置の実質的に減少した、かつ予測可能な潰れた外形をもたらすことができる。従来のステント設計のリング及び/又はリング及びリンク構造/形状を含む、幾つかの骨格設計において、この制御された潰れ機能は、隣接リングの設計された潰れ力の差によっても容易にできる。
【0026】
本発明の1つの利点は、遠位部分42の有効な流れの断面区域がカテーテルシャフト30の内径のそれ、又は洗浄液内宮に空けることができるいかなるポートの有効区域よりも大きくできるので、血管系が曝される洗浄液の流速を遙かに低くできることである。その上、遠位部分42内のいかなる孔から出る体積流量も、カテーテルシャフト30の内径、又は洗浄液内宮に空けることができるいかなるポートの有効区域から出る流量よりも遙かに低くても良い。それ故に、その低い流量の洗浄液は、隣接する遙かに低速の血液又は他の洗浄液と混合し、かつカテーテルシャフト30の内径、又は洗浄液内宮に空けることができるいかなるポートの有効区域から出る流れよりも遙かに短い距離で減速する。低い流速は、洗浄液流動が血管壁に傷害を引き起こす可能性を減少させる。短い距離で減速する洗浄液は、有害な高い流速を有する洗浄液流動が血管壁に到着する可能性を減少させる。
【0027】
ここで図6を特に参照すると、図2、6の材料42、44は、NiTi骨格46の部分を露出させるために、手前側で切り取られた。この場合に、骨格46は、骨格46の残り又は偏向されない状態が、骨格46がカテーテルシャフト50を抱くか、カテーテルシャフト50に遙かに近接する潰された状態であることを除き、前に参照した塞栓防止装置に使用される骨格と類似する。その近位端において、骨格46は、取り付けリング48に取り付けられる。取り付けリング48は、カテーテルシャフト50に取り付けられる。骨格46の遠位端は、摺動リング52に取り付けられる。洗浄液流が、低いか、停止すると、摺動リング52は、閉塞装置54が骨格の弾力のために潰れるにつれ、遠位に移動する。この実施形態において、洗浄液は、摺動リング52の内径と、カテーテルシャフト50の外径との間のギャップから、及び遠位被覆材料42の孔66と内径58への孔60から流れることができる。もう1つの実施形態において、孔66は省略でき、かつ閉塞装置54の洗浄及び潰れる間、洗浄液流の大部分は、閉塞装置54の遠位の内径58を出ることができる。1つだけの内径58がこの図に示されるが、幾つかの内腔がカテーテルシャフト50に組み込まれてもよく、カテーテルシャフト50の幾つかが、洗浄液流の少なくとも小さい部分と連通し、かつ受け入れることに注目すべきである。例えば、図7に示すような複数の内腔カニューレ内のガイドワイヤ内腔と撮像装置(又は光ファイバ)の内腔は、洗浄液流及び孔60(図6)も含む。このタイプの配置は、カテーテル内腔から気泡を流すことに役立つという利点を有する。空気は、光又は音響透過に干渉することがある。
【0028】
この概念は、撮像又は光透過が閉塞/洗浄液分散装置内部で起こる実施形態を含むように更に拡大できる。このことは、バルーンに対して追加の利点を有する。空気が、バルーン内に捕捉されるが、このことは、閉塞/洗浄液分散装置内部で非常に可能性が低い。光によって使用されるかかる装置において、材料覆い(42、44)は、血液/洗浄溶液の屈折率をより密接に一致させ、かつ光透過を支援する(反射を限定する)ために、フッ化炭素材料、おそらくは拡張されたフッ化炭素の材料である。
【0029】
所望の洗浄流量又は流量範囲で所望の展開(一部閉塞)又は閉塞圧力(全部閉塞)を得るために、装置とカテーテルシステムを設計することは複雑でない技術的課題である。流量は、制御されたポンプを使用してかかるシステムをより安全にするように制御できる。ポンプが撮像システム又は光力学システムコントローラによって接続/制御されるならば、閉塞/洗浄液分散装置の展開は、洗浄時間を更に減少させるために時間を調節できる。撮像(又は光適用)が、閉塞/洗浄液分散装置内部で行われるならば、流量は、画像情報(すなわち閉塞/洗浄液分散装置外径、血管外径)又は他の検出された情報(すなわち反射光レベル)に基づき、閉塞/洗浄液分散装置の展開又は閉塞圧力を制御するために、撮像システム(又は光力学システム)コントローラによって調整できる。
【0030】
図1、2、6の閉塞装置はまた、コントラスト溶液の注入中に、静脈(例えば冠状静脈洞、大心臓静脈)を閉塞又は部分的に閉塞するために展開される。実際に、コントラスト注入の流れ又は圧力は、閉塞装置を展開するために使用される。それ故に、コントラスト注入中、血管は、注入部位の近位で少なくとも部分的に閉塞され、従ってコントラストは、静脈樹に遠位に優先的に流れ、かつより良好な視覚化を提供する。以前のように、一旦注入が止まると、閉塞装置は、コントラスト流/圧力の欠如のために潰れ、かつ血管の血流は、以前のようにコントラスト注入を再開する。冠状静脈又は冠状静脈洞(CS)へのコントラスト溶液注入に使用される時、自動閉塞(又は一部閉塞)装置は、内部ガイドに若干近位に(ただしなおもCS内に)、又は従来のCS進入システムの外部ガイドに遠位に好ましくは取り付けられる。同様に好ましくは、大部分のコントラスト流は、遠位冠状静脈構造のより良好な眺めを提供するために、内部ガイドの遠位端から出る。装置が、外部ガイドに取り付けられるなら、(装置を展開するために)外部ガイドIDに注入されるコントラストは、内部ガイドの壁内で近位で空けられた孔を介して内部ガイドに流れることができる。装置は、概して一部閉塞装置として使用され、かつ図1、2、6の設計のものであるならば、閉塞装置は、コントラスト注入が完了した後に急速に潰れる。好ましいことは、装置が急速に展開し(適切な大きさに拡張し)、かつ次に遙かにゆっくりと潰れる(ガイド外径に近い小さな外径に戻る)ことである。それ故に、好ましい装置は、より長期間にわたってCS流出を阻害し、かつそれ故により長時間にわたって冠状静脈構造が、蛍光透視法によって観察できる。潰れ時間は、装置の設計によって制御できるが、展開及び潰れ時間が制御可能にどれ程異なるようにできるかに関して制限がある。必要なことは、装置から出る僅かなコントラスト流を必要とし、かつ同時により容易に制御され、かつ長い装置潰れ/引っ込み時間を提供する急速な展開を提供するための簡単な方法である。このことは、装置を展開(拡張)するために、装置にコントラストを供給する図6の孔60のようなシャフトホールを被覆するカテーテルシャフト50外径上に小さなフラップ62(図8a、8b)を設けることによって達成できる。それ故に、コントラスト注入中(かつカテーテルシャフト内径内の圧力が、装置内部の圧力を少量だけ超える時はいつも)、フラップ62は、孔から押しのけられ(図9a、9b)、装置への急速なコントラスト流が閉塞装置を急速に展開し、かつそれを展開した状態に保つことを可能にする。一旦コントラスト注入が停止されると、小さなフラップ62は、孔60を被覆し(図8a、8b)、かつ相当量のコントラスト流が、装置内部からシャフト内径に戻れないようにする。装置の潰れ時間は、骨格46の潰れ力(材料(42、44)に加えられる骨格46の圧力/弾力が大きいほど、潰れが速くなる)、及び装置からのコントラストの流れ抵抗(流れ抵抗が大きいほど、潰れ時間が長くなる)によって実質的に制御される。フラップ62は、膨張した装置からのコントラストの流れ抵抗を著しく増加させ、従って装置の潰れ時間は著しく増加する。フラップ62は、装置展開中にシャフト50の外径内の孔60から押しのけられるので、その展開時間にはほとんど影響がない。潰れ時間は、骨格46の潰れ力(圧力)、もしあればカバー内の孔66の寸法と数(流れ抵抗、少ない孔=大きな流れ抵抗、小さい孔=大きな流れ抵抗)、及び摺動リング52(図6)と、(摺動リング52が使用されるなら)シャフト外径との間のギャップの流れ抵抗を調整することによって調整できる。最大の流れ抵抗と最長の潰れ時間は、カバー(42、44)内に孔がない時である。コントラスト注入中にカバー(42、44)から、又は(使用されるなら)ギャップからのコントラストの僅かな、少ない流れ又は流れがないことにより、コントラストの大部分は、内部ガイドの内径を伝わって流れ、かつ随意にコントラスト注入中、その遠位端を出る。
【0031】
幾つかの設計において、図10a、10bのようにフラップ内に小さな孔56を置くこと(又はフェイルセーフ又はもう1つのコントラスト流路として、図11a、11bのようなシャフトの外径内の孔を不完全にカバーするフラップを有すること)が好都合である(装置から出るコントラスト流の流れ抵抗を下げる又は制御するもう1つの方法)。それ故に、装置54内部からの他の流路が細片又は血栓によって遮断されるようになるならば、装置54は、潰れることがなおも可能であるか、又は外部ガイドの内部に引き戻される時、外部ガイドの内径によって潰されることが可能である。その上、又はあるいは、シャフト内に幾つかの孔があれば、1つ以上の孔60は、図12a、12bで被覆されない孔70を含むことによって示されるように、フェイルセーフの役を務めるフラップを与えられなくても良い。
【0032】
フラップ62が、装置54の内部になるので、それらは、装置54によって血管、外部ガイド内径、他の解剖学的構造又は装置との接触から保護される。流れを遮断する時、それらはまた、一方の軸の周りで湾曲され、他方の軸の周りの偏向に抵抗する。それ故に、フラップは、その構造上の完全性を維持するために非常に堅固である必要がないので、非常に薄い材料(すなわち熱可塑性樹脂、エラストマー等)でできていても良い。それ故に、フラップ62の追加は、内部ガイド、外部ガイド又は装置の外径を相当に増加させる必要がない。
【0033】
簡単な工法は、ガイドジャケット材料管の薄い区間からフラップを切断し、かつシャフト外径上の孔60に近接したフラップの一部64をガイドジャケット又はシャフト50に融合させ、それを定位置に取り付けることである。融合部分を作るために、ジャケットにフラップ62をレーザボンディングすることは、理想的な方法である。あるいは、熱風溶着が使用できる。PTFE又はFEP管区間のような非混和性/より高い溶融温度の材料の薄片が、フラップ62を定位置に保持し、かつ融合力を提供するために使用できる。自由に移動できねばならないフラップ62の一部の上の熱シールド及び/又はヒートシンクは、それがガイドのジャケットと融合すること、又は歪めることを防ぐために使用される。当然に、シャフトの外径内の孔60の上でフラップ62を定位置に取り付け又は維持するために、いかなる取り付け手段も用いることができる。
【0034】
再度図6を参照すると、材料(42、44)は、NiTi骨格46の部分を露出させるために手前側で切り取られた。遠位材料42には、その潰れ(その展開されない状態に戻ること)を支援するか、又は装置54の遠位の洗浄液を拡散させるために、装置54からの洗浄液流(洗浄液は、コントラスト(画像強調剤)、コントラスト溶液、治療溶液、エネルギー伝達増強溶液、及び/又は他のいかなる溶液であっても良い)を可能にする孔66が設けられる。装置54からの流れを最小限に抑えることが望ましい実施形態において、僅かの孔66が、遠位42又は近位44材料に位置できるか、又は孔66が、材料(42、44)から完全に省略できる。孔60は、シャフト50の内径58を介して装置54へ、かつ装置54からの洗浄液流を提供する。シャフト50の内径58は、洗浄液流れ抵抗を増加する減少した内径部分68を有し、かつそれ故に装置54を急速に展開するために必要とされる圧力を提供するために洗浄液流中にコントラスト圧力が増加する。もう1つの実施形態において、シャフト50の内径と外径は、増加したコントラスト圧力を提供するために、及び/又は装置54のODを、シャフト50の外径に近い又はそれよりも小さいその展開されない状態に維持するために、装置54の区域において減少させることができる。この実施形態において、骨格46の静止状態(展開されない状態)は、骨格46が、シャフト50を抱くか、又はシャフト50に非常に近接した、潰れた状態である。洗浄液流が十分に高い時、摺動リング52は、閉塞装置54が展開する(拡張する)につれ、近位に移動する。洗浄液流が、低いか、停止される時、摺動リング52は、閉塞装置54が潰れるにつれ、遠位に移動する。この実施形態において、洗浄液は、摺動リング52の内径と、シャフト50の外径との間のギャップを介して、その潰れの間に、装置54から流れ出ることができ、また、遠位(及び/又は近位)カバー材料42、44内の孔66から、かつシャフト50の内径58を介して孔60から流れ出ることができる。
【0035】
本明細書に開示された本発明の種々の実施形態は、拡張可能な骨格を使用し、その骨格は、多くの方法で作ることができる。すでに本明細書記載された骨格を作る1つの特殊な方法は、各支柱又はフィンガーの所望のパターンで管の部分を除去し、各支柱を形成する管の部分を比較的触れられないままにするために、ニッケル−チタンハイポチューブのような、薄壁管状部材を切断することである。管は、機械制御レーザを用いて所望のパターンに切断できる。図1、2、6のような実施形態におけるような、潰れた自由な状態を有する本明細書に開示された装置の場合に、パターン化された管は、その形状を設定するために加熱される時に切断された状態/パターンに保持できるか、又は所望の完全な潰れを達成するために使用される時、潰れた状態への予荷重を与えるために、半径方向内側に均等に少々変形できる。
【0036】
骨格を作るために使用される管は、バネ鋼のような他の適切な生体適合性金属材料でできていても良い。エルジロイ(Elgiloy)は、骨格を製造するために場合により使用できるもう1つの材料である。またポリマーは、それらが十分に可撓性かつ屈曲可能ならば、骨格を製造する従来のポリマー処理、切断及び/又は形成技術を使用して切断又は形成できる。
【0037】
本発明の開示された実施形態の装置の覆いを作るために利用できるポリマー材料には、ポリウレタン、ポリエステル、ゴアテックス、市販された拡張フルオロカーボン材料を含むが、それらに限定されない。他の可能な適切な材料には、ePTFEを含む。材料は、弾性又は非弾性、織った又は不織であっても良い。その点に関して、本明細書で使用される弾性は、伸縮可能であることを意味し、他方で非弾性は、比較的伸縮不可能であることを意味するが、いずれの場合においても、材料は、亀裂又は他の破損なしに、容易に折り畳まれねばならず、かつ幾つかの実施形態において、膨張した状態で力ずくで保持されない限り、材料を折り畳み状態に戻す傾向があるバイアスを有するように記憶を有さねばならない。覆いの肉厚は、約0.00050〜0.0050インチである。肉厚は、選択された特定の材料次第で変化しても良い。材料は、例えば吹込成形技術又は浸漬技術を利用して、円錐形又は同じような寸法の形状に作っても良い。孔は、いかなる異なる形状又は寸法であっても良い。レーザ、熱ロッド又は他の工程が、被覆材料内に孔を作るために利用できるか、又は孔は、材料の織り込み又は拡張の結果であっても良い。孔は、当然に、所望の流量と制限を提供するために、適切に寸法と数を定められる。孔は、装置の閉鎖中に媒体の再包装又は折り畳みを支援する螺旋状パターン又は何らかの類似したパターンでレーザ光を当てられる。最終的な結果は、カバーの多孔質被覆部分内の孔によって、カバーのその部分を形成する織り込みによって、又はカバーのその部分の何らかの他の特性又はその調製によって作られたにせよ、多孔質被覆部分である。その上、材料は、潰れた状態に移行する時、材料の再包装又は折り畳みをより容易かつ予測可能にするための拡張バルーンに使用される「セット」にそっくりの、内部に置かれた「セット」を有することができる。かかる実施形態を図13に示す。その中に示すように、この実施形態において、可撓性カバーは、それが潰れるにつれ、カテーテルシャフトの周りを包む。かかる実施形態において、骨格が同様に形成され、かつカテーテルシャフトを抱くリブによって切断及び設定でき、その結果骨格は、カバーと同様に拡張でき、かつ収縮中に設定されたように折り畳むことの促進に役立つ。
【0038】
ここで図14a〜14cを参照すると、更なる代替的実施形態が見られる。この実施形態において、膨張可能な閉塞/洗浄液分散装置38への開口部で、カテーテル内の圧力低下を集中させるために、カテーテルの内径内でステップダウンを使用する代わりに、例えばそうでなければ一定内径のカテーテル内で、エラストマー弁が使用できる。それ故に、図14aに示すように、エラストマー弁70が、血管74内でカテーテル50の遠位端を遮断又は少なくとも実質的に遮断して示される。弁は、ワイヤ72によって支持され、ワイヤ72は、カテーテルの近位端又はカテーテル内の実質的に非閉塞性の支持体から次に支持される。かかる弁は、図14bに示すように、低圧を受ける時、隔膜のように僅かに偏向し、流れが、概略的に示す閉塞/洗浄液分散装置38を膨張させるために専らかつ主として進むことを可能にするが、閉塞/洗浄液分散装置38が、動脈(又は静脈)を閉塞するために膨張する時、閉塞/洗浄液分散装置38を更に膨張しないことに起因するような圧力増加によって、弁70が図14cに概略的に示すように潰れる。その点に関して、エラストマー弁の初期の隔膜状偏向が、エラストマー材料内に円形圧縮応力を引き起こすが、弁は、回転面又は体積として残る。若干のより大きな圧力で、円形圧縮応力により、弁の形状が不安定になり、コーヒーフィルタ内のようにエラストマー弁内にプリーツを形成し、それが、僅かな圧力増加によって更に潰れることを可能にする。それ故に、かかるエラストマー弁は、安全機能を果たすことができ、閉塞/洗浄液分散装置38が、何らかの最小限の流量又は圧力で適切に膨張することを確実にするが、流量又は圧力が一瞬でも高すぎるならば、閉塞/洗浄液分散装置38に過度の圧力をかけることを防止する。エラストマー弁は、それ故に圧力調整器の役目を果たすことができ、システム使用中の流量/圧力制御要件を減少させる。
【0039】
それ故に、本発明のカテーテル取り付け式自動血管閉塞及び洗浄液分散装置の幾つかの好ましい実施形態が、説明のために、かつ限定のためでなく本明細書に開示され、かつ記載されたが、種々の形状や詳細の変更が、本発明の精神及び範囲から逸脱することなくその中に加えられることが、当業者によって理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】引っ込められた状態で示される本発明の一実施形態の閉塞/洗浄液分散装置の説明図である。
【図2a】膨張した/閉塞状態で示される図1の閉塞/洗浄液分散装置の説明図である。
【図2b】本発明の閉塞/洗浄液分散装置の代替的実施形態の説明図である。
【図2c】本発明の閉塞/洗浄液分散装置の代替的実施形態の説明図である。
【図2d】本発明の閉塞/洗浄液分散装置の代替的実施形態の説明図である。
【図2e】本発明の閉塞/洗浄液分散装置の代替的実施形態の説明図である。
【図2f】本発明の閉塞/洗浄液分散装置の代替的実施形態の説明図である。
【図3】拡張した状態で示される本発明の実施形態によって使用可能な弾性骨格の一例を示す。
【図4】拡張しない状態で示される図3の弾性骨格を示す。
【図5】拡張しない状態で示されるもう1つの弾性骨格を示す。
【図6】弾性骨格の一端に摺動リング又は管区間を有するもう1つの実施形態を示す。
【図7】本発明により使用可能な複数内腔カニューレの断面を示す。
【図8】本発明の実施形態による閉塞装置の急速な展開/膨張及び遅い収縮を可能にするフラップを示す。
【図9】閉塞装置の膨張中の遮断しない流れとして図8a及び8bのフラップを示す。
【図10】図8のフラップに類似するが、流れがカテーテルに戻ることを妨げるよりもむしろ制限するために内部に小さい孔を有するフラップ実装を示す。
【図11】図8フラップに類似するが、流れがカテーテルに戻ることを妨げるよりもむしろ制限するためにカテーテル内で孔を部分的にのみ被覆するフラップを有するフラップ実装を示す。
【図12】図8のフラップに類似するが、流れがカテーテルに戻ることを妨げるよりもむしろ制限するためにカテーテル内に追加の孔を有するフラップ実装を示す。
【図13】本発明の閉塞/洗浄液分散装置の実施形態を示し、装置の覆いに事前に設定された折り目を有する。
【図14a】本発明の閉塞/洗浄液分散装置の実施形態を示し、装置のカテーテル内にエラストマー弁を有する。
【図14b】本発明の閉塞/洗浄液分散装置の実施形態を示し、装置のカテーテル内にエラストマー弁を有する。
【図14c】本発明の閉塞/洗浄液分散装置の実施形態を示し、装置のカテーテル内にエラストマー弁を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテル取り付け式自動血管閉塞及び洗浄液分散装置であって、
内径及び外径と、開放近位及び遠位端とを有するカテーテルシャフトと、
遠位端に隣接したカテーテルシャフト上の弾性骨格であって、第1端と第2端を有し、かつ第1端と第2端の間で半径方向外側に弾力的に偏向可能な弾性骨格と、
膨張した時、血管を閉塞するように構成された弾性骨格に、かつその上に取り付けられた可撓性覆いと、
液体流がカテーテルシャフト内に提供されて可撓性の覆いを膨張させるように構成された、カテーテルシャフトの内径と可撓性覆いとの間に少なくとも1つの開口部と
を含む装置。
【請求項2】
前記可撓性覆いの遠位端が多孔性であって、前記カテーテルシャフト内の流体流によって前記可撓性覆いが膨張すると、前記多孔性部分から流体を制御下で流出させるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記可撓性覆いの近位端が多孔性であって、前記カテーテルシャフト内の流体流によって前記可撓性覆いが膨張すると、前記多孔性部分から流体を制御下で流出させるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
さらに、前記カテーテルシャフトの前記近位端と前記少なくとも1つの開口部の間で制限される流量に比べて、前記少なくとも1つの開口部及び前記カテーテルシャフトの前記遠位端から前記カテーテルシャフトを通る流量をより多く制限する流量絞りが含まれることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記カテーテルシャフトの内径の領域が前記少なくとも1つの開口部と前記カテーテルシャフトの前記遠位端の間で縮小することを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
さらに、前記カテーテルシャフト内に細長い物体が含まれていることと、前記細長い装置が、前記少なくとも1つの開口部と前記カテーテルシャフトの前記遠位端の間で外径が拡大することによって流量絞りを形成することを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記細長い物体が前記カテーテルシャフト内に延びるガイドワイヤであることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項8】
さらに、前記カテーテルシャフト内に延びる光ファイバが含まれることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項9】
さらに、前記カテーテルシャフト内に延びるIVUSコアが含まれることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項10】
前記弾性骨格は、潰れた状態になっていると、前記可撓性覆いが膨張しなければ、前記カテーテルシャフトの外径に沿うことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記カテーテルシャフトの前記内径と前記可撓性覆いとの間の前記少なくとも1つの開口部が、前記カテーテルシャフトに固定されて、前記可撓性覆いを膨張させるためには、前記カテーテルシャフトから前記少なくとも1つの開口部内を通る流体流を妨げないようにし、前記可撓性覆いが収縮する場合には、前記カテーテルシャフト内に戻る流体流を少なくとも部分的に妨げるように構成された可撓性フラップによって少なくとも部分的に覆われていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記フラップが前記カテーテルシャフトの前記内径と前記可撓性覆いの間の前記開口部より小さい穴を備えていることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記カテーテルシャフトの前記内径と前記可撓性覆いの間の前記少なくとも1つの開口部が、前記フラップによって少なくとも部分的に覆われている全ての開口部より少ない複数の開口部であることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記可撓性覆いが弾性可撓性覆いであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記可撓性覆いが非弾性可撓性覆いであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記カテーテルシャフトが複数内腔カテーテルシャフトであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項17】
さらに、前記カテーテルシャフト内の前記少なくとも1つの開口部と前記カテーテルシャフトの前記遠位端の間にあるエラストマー弁から構成されることと、前記エラストマー弁が、前記エラストマー弁にかかる流体圧が低いと前記カテーテルシャフトの前記遠位端を通る流れを妨げ、流体圧が高くなると偏向して、流れの妨害を軽減することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記エラストマー弁に、その中心に結合された支持体によって前記カテーテルシャフトの内径に対して同心をなすように支持された円形エラストマー部材が含まれることを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記可撓性覆いが、それぞれカテーテルシャフトに対して固定された第1及び第2の端部を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記可撓性覆いが第1及び第2の端部を備えることと、前記可撓性覆いの前記第1の端部が前記カテーテルシャフトに対して固定され、前記可撓性覆いの前記第2の端部が前記カテーテルシャフトに対してスライドするようになっているリングに結合されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項21】
カテーテルを被検者の血管に導入するステップであって、カテーテルが、そのカテーテルの遠位端に隣接したカテーテルの内部と液体で連通した、膨張可能な血管閉塞装置をその上に有する、前記ステップと、
血管閉塞装置装置を膨張させ、かつ注入物質を血管に導入するために、注入物質を、カテーテルの近位端に導入するステップと
を含む方法。
【請求項22】
前記注入物質が前記カテーテルの開放遠位端を通って前記血管内に送り込まれることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記カテーテルが、膨張式血管閉塞装置と前記カテーテルの内部が流体で連通している位置と前記カテーテルの前記遠位端との間に流量絞りを具備することと、前記流量絞りによって、前記カテーテルの前記遠位端からの流出圧より高い膨張式血管閉塞装置の膨張圧が生じることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記注入物質が前記膨張式血管閉塞装置を介して血管内に送り込まれることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記注入物質が、前記膨張式血管閉塞装置を介して血管内へ前記カテーテルの前記遠位端に向かう流れの方向に送り込まれることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記注入物質が、前記膨張式血管閉塞装置を介して血管内へ前記カテーテルの前記近位端に向かう流れの方向に送り込まれることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記膨張式血管閉塞装置が弾性偏倚によって非膨張状態になることと、さらに、前記カテーテルの前記近位端に前記注入物を送り込むのを中止して、前記膨張式血管閉塞装置の収縮を可能にするステップが含まれることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記膨張式血管閉塞装置と前記カテーテルの内部との間における流体の連通が、前記カテーテルの内部から前記膨張式血管閉塞装置への前記注入物質の流れの流量範囲が、前記膨張式血管閉塞装置から前記カテーテルの内部への流量範囲を超えることにより、前記膨張式血管閉塞装置の膨張よりも収縮のほうが遅くなるように構成されていることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
注入物が前記カテーテルの開放遠位端及び前記膨張式血管閉塞装置を介して血管内に送り込まれることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項30】
前記カテーテルに、前記カテーテルが、前記膨張式血管閉塞装置と前記カテーテルの内部が流体で連通している位置と前記カテーテルの前記遠位端との間に弁部材を具備することと、前記弁部材によって、前記カテーテルへの注入物の圧力が低い場合には前記カテーテルの前記遠位端からの流出が制限され、前記注入物の圧力が高い場合には前記カテーテルの前記遠位端からの流出が可能になることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記部材によって圧力調節機能が提供されることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
さらに、前記カテーテルの前記近位端への注入物の送り込みを中止するステップと、前記カテーテルの前記近位端に大気圧未満の圧力をかけ、少なくとも前記膨張式血管閉塞装置の収縮を促進するステップが含まれることを特徴とする請求項21に記載の方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図2e】
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【図2f】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10a】
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【図10b】
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【図11a】
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【図11b】
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【図12a】
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【図12b】
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【図13】
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【図14a】
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【図14b】
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【図14c】
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【公表番号】特表2009−518118(P2009−518118A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−544357(P2008−544357)
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【国際出願番号】PCT/US2006/045166
【国際公開番号】WO2007/067357
【国際公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(307020763)アボット・カーディオヴァスキュラー・システムズ・インコーポレーテッド (10)
【Fターム(参考)】