説明

カバー部材のヒンジ構造及びそれを備えた画像形成装置

【課題】簡易な構成でヒンジ部の破損や削れを防止できるとともに、廃棄時のリサイクル性にも優れたカバー部材のヒンジ構造及びそれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】ヒンジ部53aは、本体ベース54に固定される支持側ヒンジ部材55と、支持側ヒンジ部材55に回動自在に装着される回動側ヒンジ部材57とで構成されており、回動側ヒンジ部材57には開閉カバー50が装着されている。回動側ヒンジ部材57の回転軸60が支持側ヒンジ部材55の軸孔58から抜ける方向(図7の左右方向)と、開閉カバー50から回動側ヒンジ部材57へのボス61及びフック62の差し込み方向(図7の上下方向)とが直交している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置本体の外装カバーの一部が開閉可能な画像形成装置等の電子機器或いはキャビネット等のカバー部材のヒンジ構造、及びそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、FAX等の電子写真方式を用いる画像形成装置においては、帯電装置により感光体ドラム等の像担持体表面を一様に帯電させ、露光装置からの露光(光照射)により像担持体上に形成された静電潜像を現像装置によって可視化し、そのトナー像を記録媒体上に転写した後、定着装置により定着処理を行うプロセスが一般的である。
【0003】
このような電子写真方式の画像形成装置においては、例えばジャム(紙詰まり)処理時にジャムした用紙を除去したり、廃トナー回収タンク等の交換部品を交換したり、帯電ユニットの清掃や装置内部の保守点検を行ったりする必要がある。また、インクジェット式の画像形成装置においても、インクカートリッジの交換や保守点検を行う必要がある。そのため、これら画像形成装置の外装部材の一部を開閉可能なカバー部材としている。
【0004】
このカバー部材は、ユーザが比較的頻繁に開閉動作を行うため、ヒンジ部を介して装置本体に取り付けられて開閉自在とし、十分な強度を持たせている。例えば特許文献1には、装置本体側に軸孔を有するブラケットを設け、カバー側に軸孔を有するコ字形状の支持枠を一体形成するとともに、曲げ部を有する金属製の支軸をブラケットと支持枠の軸孔に差し込んでヒンジ部とし、支軸の曲げ部をカバーの縦溝に係合させて支軸の抜けを防止したカバーの開閉機構が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、支持部材と開閉カバー(カバー部材)とを共に樹脂材料を用いて一体形成し、互いのヒンジ部を嵌め合わせて開閉カバーを開閉自在に軸支するとともに、開閉カバーを開放したときに下縁に形成した折り曲げ部が支持部材のヒンジ部に突き当たるようにして支軸に加わる荷重をヒンジ部でも受けるようにした開閉カバーの支持構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−125384号公報
【特許文献2】特開2003−103870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の構成では、支軸に大きな荷重が加わるため、強度の高い金属性の支軸を使用しなければならず、コストアップに繋がる。また、支軸とカバー部材とを異なる材質で形成することから、リサイクル時の分別作業が煩雑になるという問題点もあった。
【0008】
また、特許文献2の構成では、ヒンジ部の嵌め合わせを行う際に樹脂部材の弾性を利用しているため、カバー部材に大きな負荷が掛かると嵌め合わせ部分が撓み、カバー部材が脱落するおそれがあった。また、ヒンジ部の支軸(回動軸)はカバー部材と一体形成されているため、材質は摺動性が良いとはいえず、カバーの開閉を繰り返すことにより支軸の削れが発生する可能性もあった。
【0009】
なお、ここでは画像形成装置の開閉カバーを例に挙げて説明したが、ヒンジ構造を介して保持される開閉カバーを備えた他の電子機器や、キャビネット等の収納具においても同様の問題があった。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑み、簡易な構成でヒンジ部の破損や削れを防止できるとともに、廃棄時のリサイクル性にも優れたカバー部材のヒンジ構造及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明は、装置本体に支持される支持側ヒンジ部材と、該支持側ヒンジ部材に回動可能に支持される回動側ヒンジ部材とで構成されるヒンジ部と、前記回動側ヒンジ部材に固定されるカバー部材と、を備え、装置本体に対し前記カバー部材を開閉可能に支持するヒンジ構造であって、前記回動側ヒンジ部材は可撓性材料で形成されるとともに、前記回動側ヒンジ部材または前記支持側ヒンジ部材のいずれか一方には回転軸が突設され、他方には前記回転軸が係合する軸孔が形成されており、前記回動側ヒンジ部材に対する前記カバー部材の取り付け方向が、前記回転軸方向と略直交することを特徴としている。
【0012】
また本発明は、上記構成のカバー部材のヒンジ構造において、前記回動側ヒンジ部材は、前記支持側ヒンジ部材の両側に隣接して配置され前記回転軸が突設される一対の本体部と、該本体部を連結する連結部とが一体形成されて成ることを特徴としている。
【0013】
また本発明は、上記構成のカバー部材のヒンジ構造において、前記連結部には、側面視U字状の湾曲部が形成されることを特徴としている。
【0014】
また本発明は、上記構成のカバー部材のヒンジ構造において、前記回動側ヒンジ部材は、前記カバー部材よりも表面摩擦係数の低い材料で形成されることを特徴としている。
【0015】
また本発明は、上記構成のカバー部材のヒンジ構造において、前記回動側ヒンジ部材と前記カバー部材とが嵌合固定されることを特徴としている。
【0016】
また本発明は、上記構成のカバー部材のヒンジ構造を備えた画像形成装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の第1の構成によれば、回動側ヒンジ部材を可撓性材料で形成するとともに、回動側ヒンジ部材または支持側ヒンジ部材のいずれか一方に回転軸を突設し、他方に回転軸が係合する軸孔を形成することにより、回動側ヒンジ部材を撓ませて回転軸を軸孔に嵌合させるだけでヒンジ部を簡単に組み立てることができる。また、回動側ヒンジ部材に対するカバー部材の取り付け方向を、回動側ヒンジ部材の回転軸方向と略直交させることにより、カバー部材の開放方向に荷重が掛かっても回動側ヒンジ部材の回転軸方向に負荷が掛からないため、カバー部材の脱落を防止することができる。
【0018】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成のヒンジ構造において、回動側ヒンジ部材は、支持側ヒンジ部材の両側に隣接して配置され回転軸が突設される一対の本体部と、該本体部を連結する連結部とを一体形成した構成とすることにより、回動側ヒンジ部材の連結部を撓ませて回転軸と軸孔とを容易に係合させることができる。従って、ヒンジ構造の組み立て作業性及びリサイクル時の分解作業性が向上する。
【0019】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第2の構成のヒンジ構造において、回動側ヒンジ部材の連結部に側面視U字状の湾曲部を形成することにより、連結部がより撓みやすくなり、ヒンジ構造の組み立て及び分解作業が一層容易となる。
【0020】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第1乃至第3のいずれかの構成のヒンジ構造において、回動側ヒンジ部材をカバー部材よりも表面摩擦係数の低い材料で形成することにより、回転軸部分の摺動性が高くなり、回転軸の削れを抑制することができる。
【0021】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第1乃至第4のいずれかの構成のヒンジ構造において、回動側ヒンジ部材とカバー部材とが嵌合固定されることにより、締結部材を用いることなく回動側ヒンジ部材に対するカバー部材の取り付け及び取り外しを容易に行うことができる。
【0022】
また、本発明の第6の構成によれば、上記第1乃至第5のいずれかの構成のヒンジ構造を搭載することにより、カバー部材の脱落を効果的に防止できるとともに、組み立て及び分解作業性にも優れた画像形成装置を簡便且つ低コストで提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のオプションフィーダが連結される画像形成装置の内部構造を示す側面断面図
【図2】本発明の一実施形態に係るヒンジ構造を備えたオプションフィーダの側面断面図
【図3】オプションフィーダの外観斜視図
【図4】オプションフィーダの開閉カバーを開放した状態を示す外観斜視図
【図5】図4における開閉カバーのヒンジ部の部分拡大図
【図6】ヒンジ部を図5の上方から見た平面図
【図7】図6におけるAA矢視断面図
【図8】ヒンジ部の組み立て手順を示す図であり、オプションフィーダの本体ベースに支持側ヒンジ部材を取り付ける様子を示す斜視図
【図9】ヒンジ部の組み立て手順を示す図であり、支持側ヒンジ部材に回動側ヒンジ部材を取り付ける様子を示す斜視図
【図10】ヒンジ部の組み立て手順を示す図であり、回動側ヒンジ部材に開閉カバーを取り付ける様子を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。先ず、本発明のヒンジ構造を備えたオプションフィーダが連結される画像形成装置の構成及び動作について説明する。図1は、画像形成装置の内部構造を示す側面断面図である。なお、図1においてはオプションフィーダ30(図2参照)は記載を省略している。画像形成装置(ここではカラープリンタ)100では、画像形成動作を行う場合、装置本体内において、図1において反時計回りに回転する感光体ドラム1が帯電ユニット2により一様に帯電され、図示しないパーソナルコンピュータ等から送信された原稿画像データに基づく露光ユニット3からのレーザビームにより感光体ドラム1上に静電潜像が形成される。
【0025】
現像剤(以下、トナーという)を感光体ドラム1上に供給するロータリー式の現像ユニット4は、現像装置とトナー容器が一体化されたシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色の現像カートリッジ4a、4b、4c及び4dを備えており、現像カートリッジ4a〜4dを感光体ドラム1に対向する位置に順次回転移動させることにより、感光体ドラム1上の静電潜像にトナーが付着されて各色のトナー像が形成される。現像カートリッジ4a〜4dへのトナー補給はトナーカートリッジ5から行われる。トナーカートリッジ5は図2の紙面と垂直な方向に各色に対応して4基並べて配置されている。また、トナーカートリッジ5から現像カートリッジ4a〜4dへのトナー補給装置は図1において図示を省略している。
【0026】
トナー像が一次転写される中間転写ベルト6は、感光体ドラム1に当接しながら図示しない駆動手段により図中時計回りに回転する。中間転写ベルト6には誘電体樹脂製のシートが用いられ、主に継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが用いられる。
【0027】
ユーザにより画像形成開始が入力されると、所定のタイミングにより感光体ドラム1上にシアンのトナー像の形成を行う。そして、中間転写ベルト6に所定の転写電圧で電界が付与された後、一次転写ローラ7aにより感光体ドラム1上のシアンのトナー像が中間転写ベルト6上に転写される。その後、感光体ドラム1の表面に残留したトナーがクリーニングユニット8により除去され、現像ユニット4は所定量回転して、上記と同様に今度はマゼンタのトナー像が感光体ドラム1上に形成され、中間転写ベルト6上に転写される。
【0028】
以下、上述と同様の方法により、感光体ドラム1によってそれぞれイエロー及びブラックのトナー像が中間転写ベルト6上に転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。7bは中間転写ベルト6の下部に位置する二次転写ローラである
【0029】
上記のようにトナー像が形成された中間転写ベルト6に向けて、給紙カセット9aと、その上方に設けられる手差しトレイ(スタックバイパス)9bとから成る給紙機構9より用紙が給紙ローラ10及びレジストローラ対11を経由して搬送され、二次転写ローラ7bにより中間転写ベルト6の表面に形成されたトナー像が用紙に転写される。また、オプションフィーダ30(図2参照)から給送される用紙が通過する用紙搬送路21が給紙カセット9aの前面部を上下に貫通するように設けられており、オプションフィーダ30を使用する場合は用紙搬送路21から給紙ローラ10及びレジストローラ対11を経由して二次転写ローラ7bに用紙が搬送される。
【0030】
そして、トナー像が転写された用紙は用紙搬送路12に沿って定着ローラ対13aを有する定着部13に搬送され、用紙にトナー像が定着される。定着部13を通過した用紙は、複数方向に分岐した分岐部14によって搬送方向が振り分けられる。用紙の片面のみに画像を形成する場合は、そのまま用紙搬送路15及び用紙排出部16を介して排出トレイ17上に排出される。
【0031】
一方、用紙の両面に画像を形成する場合は、定着部13を通過した用紙は用紙搬送路15内のフィードローラ18により搬送方向を下方向に切り換えられた後、分岐部14において画像面を上向きにして用紙再搬送路19へ振り分けられ、さらに反転ローラ20及びレジストローラ対11を経由して画像面が下向きの状態で二次転写ローラ7bに再搬送される。中間転写ベルト6上に形成された次の画像が、二次転写ローラ7bにより用紙の画像が形成されていない面に転写され、定着部13に搬送されてトナー像が用紙に定着された後、用紙排出部16より排出トレイ17上に排出される。
【0032】
次に、本発明のヒンジ構造を備えたオプションフィーダの構成及び動作について説明する。図2は、本発明のヒンジ構造を備えたオプションフィーダの側面断面図であり、図3は、オプションフィーダの外観斜視図である。オプションフィーダ30は、画像形成装置100の本体ハウジング内に設けられた給紙カセット9a(図1参照)とはサイズの異なる用紙が収納されており、ユーザの使用する用紙サイズに応じて画像形成装置100に着脱可能に構成されている。
【0033】
図2及び図3に示すように、本実施形態のオプションフィーダ30は上下2段構造であり、上半分が画像形成装置100へ用紙を給送する給紙部31、下半分が用紙のストックや交換用のトナーコンテナ等を収納する収納部33となっている。オプションフィーダ30の上面2箇所には、オプションフィーダ30と画像形成装置100(図1参照)の水平方向の位置決めを行う位置決めピン35が突設されている。
【0034】
給紙部31内には用紙を収容する用紙カセット37が配置されており、用紙カセット37の前面には樹脂製のカセットカバー37aが装着されている。カセットカバー37aは、外部に露出してオプションフィーダ30本体の外装面の一部を構成する。また、用紙カセット37はオプションフィーダ30本体に対し引き出し及び挿入可能となっており、カセットカバー37aの中央部には引き出し、及び挿入操作時に把持するグリップ38が形成されている。
【0035】
用紙カセット37内には複数枚の用紙が積載される用紙積載板39、用紙積載板39を昇降させるリフト板40、給紙ユニット41が配置されている。給紙ユニット41は、ピックアップローラ43、給紙ローラ対45を備え、用紙積載板39上の用紙を分離して給送する。用紙積載板39に複数枚の用紙をセットした後、パソコン等の上位機器から画像形成装置100に印字命令が入力されると、リフト板40が用紙積載板39及び用紙を介してピックアップローラ43を押し上げ、ピックアップローラ43を含む給紙ユニット41の重さが用紙に加わることにより、用紙の上面が所定の圧力(給紙圧)でピックアップローラ43に押しつけられる。
【0036】
次に、ローラ駆動モータ(図示せず)によりピックアップローラ43及び給紙ローラ対45が回転駆動される。用紙積載板39にセットされた用紙は、ピックアップローラ43によって通常上段の複数枚が給紙ローラ対45のニップ部に送られる。そして、給紙ローラ対45により最上の1枚のみが分離されて用紙搬送路21(図1参照)に向けて搬送される。
【0037】
収納部33の前面にはABS樹脂やポリカーボネート樹脂製の開閉カバー50が装着されている。開閉カバー50は、カセットカバー37aと共にオプションフィーダ30本体の外装面の一部を構成する。また、開閉カバー50は下端縁を支軸として上下に開閉可能となっており、上端部中央には取っ手51が形成されている。
【0038】
図4は、オプションフィーダ30の開閉カバー50を開放した状態を示す外観斜視図である。開閉カバー50は、2箇所のヒンジ部53a、53bによりオプションフィーダ30の本体ベース54に回動自在に連結されている。
【0039】
図5は、図4におけるヒンジ部53aの部分拡大図であり、図6は、ヒンジ部を図5の上方から見た平面図、図7は、ヒンジ部の縦断面図(図6のAA矢視断面図)である。以下、ヒンジ部53aの構成について説明するが、ヒンジ部53bについても全く同様の構成である。ヒンジ部53aは、本体ベース54に固定される支持側ヒンジ部材55と、支持側ヒンジ部材55に回動自在に装着される回動側ヒンジ部材57とで構成されており、回動側ヒンジ部材57には開閉カバー50が装着されている。
【0040】
支持側ヒンジ部材55は、板金を折り曲げることにより開閉カバー50側から見てコ字状に形成されており、コ字状の対向する側面55a、55bには軸孔58が形成されている。また、側面55a、55bの上端には、本体ベース54の係合孔54aに係合する突起56が形成されている。側面55a、55bに隣接する底面55cには側面55a、55bと同方向(ここでは上方)に立ち上がる折曲部55dが形成されている。
【0041】
回動側ヒンジ部材57は、支持側ヒンジ部材55の両側に配置される一対の本体部57a、57bと、本体部57a、57bを連結する連結部57cとが可撓性の樹脂材料によって一体形成されている。本体部57a、57bには、支持側ヒンジ部材55の軸孔58に係合する回転軸60が内向きに突設されている。また、本体部57a、57bには開閉カバー50のボス61が係合する位置決め穴63、開閉カバー50のフック62が係合するスリット65が形成されている。
【0042】
図7に示すように、本体部57a、57bの開閉カバー50に対向する面には開口67が形成されており、開閉カバー50のボス61及びフック62は開口67を介して本体部57a、57bに挿入され、それぞれ位置決め穴63及びフック62に係合する。一方、連結部57cの中央部にはU字状の湾曲部70が形成されている。
【0043】
次に、ヒンジ部の組み立て方法について詳述する。先ず、図8に示すように、本体ベース54の係合孔54a(図6参照)に支持側ヒンジ部材55の突起56を係合させ、折曲部55dの上端に形成されたバーリング(環状の突起)551を本体ベース54の端面の丸孔59aに係合させ、さらに貫通孔552をビス孔59bに重ねてビス66により締結する。
【0044】
そして、図9に示すように、回動側ヒンジ部材57の本体部57a、57bに突設された回転軸60を支持側ヒンジ部材55の軸孔58に外側から挿入する。ここで、回動側ヒンジ部材57の連結部57cには湾曲部70が形成されているため、湾曲部70を撓ませて本体部57a、57bの間隔を広げることにより、軸孔58に回転軸60を容易に挿入することができる。
【0045】
さらに、図10に示すように、本体部57a、57bの開口67(図7参照)から開閉カバー50のボス61及びフック62を挿入し、ボス61を位置決め穴63に、フック62をスリット65に合わせて押し込むことにより、フック62がスリット65に係合して開閉カバー50が回動側ヒンジ部材57に固定される。以上のような手順で、図5〜図7に示したヒンジ部53aが組み立てられる。
【0046】
上記の構成によれば、回動側ヒンジ部材57の回転軸60が支持側ヒンジ部材55の軸孔58から抜ける方向(図7の左右方向)と、開閉カバー50から回動側ヒンジ部材57へのボス61及びフック62の差し込み方向(図7の上下方向)とが直交している。これにより、開閉カバー50の開放方向に荷重が掛かっても回動側ヒンジ部材57は回転軸60が抜ける方向に動かないため、回転軸60が軸孔から抜けて開閉カバー50が脱落するおそれはない。
【0047】
また、フック62のスリット65への係合のみで開閉カバー50と回動側ヒンジ部材57とが固定されるため、開閉カバー50の取り付けにビス等の締結部材を必要とせず、部品点数を削減できるとともに組み立て作業性も向上する。また、フック62とスリット65との係合を外すだけで分解可能であるため、リサイクル性も向上する。
【0048】
さらに、回動側ヒンジ部材57を開閉カバー50よりも摺動性の高い(表面摩擦係数の低い)材料で形成することにより、軸孔58と回転軸60との摩擦を低減することができ、回転軸60の削れによる開閉不良の発生を防止することができる。回動側ヒンジ部材57を形成する樹脂材料としては、摺動性と弾性を兼ね備えたポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、フッ素樹脂等が好ましく、安価な汎用樹脂であるポリアセタールが特に好ましい。
【0049】
その他、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、支持側ヒンジ部材55に軸孔58を設け、回動側ヒンジ部材57に回転軸60を形成したが、支持側ヒンジ部材55に回転軸60を設け、回動側ヒンジ部材57に軸孔58を形成しても良い。
【0050】
また、ここでは本発明のヒンジ構造をオプションフィーダ30の開閉カバー50に適用した例について説明したが、オプションフィーダに限らず、図1に示したようなカラープリンタやモノクロプリンタ、カラー及びモノクロ複写機、ファクシミリ等の、開閉カバーを有する種々の画像形成装置、及び開閉カバーを有する他の電子機器やキャビネット等の収納具にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、開閉カバーを備えた画像形成装置等の電子機器や、キャビネット等の収納具に利用可能であり、回動側ヒンジ部材を可撓性材料で形成するとともに、回動側ヒンジ部材または支持側ヒンジ部材のいずれか一方に回転軸を突設し、他方に回転軸が係合する軸孔を形成し、回動側ヒンジ部材に対するカバー部材の取り付け方向を、回動側ヒンジ部材の回転軸方向と略直交させたものである。
【0052】
これにより、回動側ヒンジ部材を撓ませて回転軸を軸孔に嵌合させるだけでヒンジ部を簡単に組み立てることができ、カバー部材に負荷が掛かってもヒンジ部の回転軸方向に負荷が掛からないため、組み立てが容易でカバー部材の脱落を効果的に防止できるヒンジ構造を提供することができる。
【符号の説明】
【0053】
30 オプションフィーダ
50 開閉カバー(カバー部材)
53a、53b ヒンジ部
54 本体ベース
55 支持側ヒンジ部材
57 回動側ヒンジ部材
57a、57b 本体部
57c 連結部
58 軸孔
60 回転軸
61 ボス
62 フック
63 位置決め穴
65 スリット
67 開口
70 湾曲部
100 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に支持される支持側ヒンジ部材と、該支持側ヒンジ部材に回動可能に支持される回動側ヒンジ部材とで構成されるヒンジ部と、
前記回動側ヒンジ部材に固定されるカバー部材と、
を備え、装置本体に対し前記カバー部材を開閉可能に支持するヒンジ構造であって、
前記回動側ヒンジ部材は可撓性材料で形成されるとともに、前記回動側ヒンジ部材または前記支持側ヒンジ部材のいずれか一方には回転軸が突設され、他方には前記回転軸が係合する軸孔が形成されており、
前記回動側ヒンジ部材に対する前記カバー部材の取り付け方向が、前記回転軸方向と略直交することを特徴とするカバー部材のヒンジ構造。
【請求項2】
前記回動側ヒンジ部材は、前記支持側ヒンジ部材の両側に隣接して配置され前記回転軸が突設される一対の本体部と、該本体部を連結する連結部とが一体形成されて成ることを特徴とする請求項1に記載のカバー部材のヒンジ構造。
【請求項3】
前記連結部には、側面視U字状の湾曲部が形成されることを特徴とする請求項2に記載のカバー部材のヒンジ構造。
【請求項4】
前記回動側ヒンジ部材は、前記支持側ヒンジ部材及び前記カバー部材よりも表面摩擦係数の低い材料で形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のカバー部材のヒンジ構造。
【請求項5】
前記回動側ヒンジ部材と前記カバー部材とが嵌合固定されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のカバー部材のヒンジ構造。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のカバー部材のヒンジ構造を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−180173(P2011−180173A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−41380(P2010−41380)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】