カバー
【課題】周辺部材の配置状態に係わらず可動側のカバー部を閉位置から移動して内部部品を露出させることができるカバーを提供する。
【解決手段】第1カバー部2と、第2カバー部10と、第1カバー部2と第2カバー部10の間を連結する連結部20Aとを備え、連結部20Aは、第1カバー部2と第2カバー部10の間を回転自在で、且つ、第1カバー部2と第2カバー部10の間を回転の軸方向に移動自在に設けた。
【解決手段】第1カバー部2と、第2カバー部10と、第1カバー部2と第2カバー部10の間を連結する連結部20Aとを備え、連結部20Aは、第1カバー部2と第2カバー部10の間を回転自在で、且つ、第1カバー部2と第2カバー部10の間を回転の軸方向に移動自在に設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1カバー部と第2カバー部の間が回転自在に支持されたカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
車両等に搭載されるバッテリーには、直接ヒューズユニットが付設されるものがある。バッテリーのバッテリーポストやヒューズユニットの端子部等が露出状態であると、水、塵によって腐食等が発生するため、バッテリーのヒューズユニットが付設された箇所の上部をカバーであるバッテリーカバーで被うことが一般的に行われる。
【0003】
この種の従来のバッテリーカバーとして、図10〜図13に示すものがある(特許文献1参照)。このバッテリーカバー50は、図10及び図11に示すように、第1カバー部51と、第2カバー部60と、第1カバー部51と第2カバー部60の間に配置された連結部70とを備えている。
【0004】
第1カバー部51は、第1上面壁52と第1上面壁52の三方の縁端より下方に向かって配置された第1側面壁53とを有する。第1上面壁52の第2カバー部60側は、下方に傾斜する第1傾斜面部54となっている。
【0005】
第2カバー部60は、第2上面壁61と第2上面壁61の三方の縁端より下方に向かって配置された第2側面壁62とを有する。第2上面壁61の第1カバー部51側は、下方に傾斜する第2傾斜面部63となっている。
【0006】
連結部70は、第1カバー部51及び第2カバー部60の上面より低い位置に配置されている。連結部70は、第2カバー部60に一体的に設けられた連接部71と連接部71の一側端に固定されたヒンジ部72とから構成されている。第2カバー部60は、ヒンジ部72を支点としてR方向に回転できる。
【0007】
図12に示すように、第2カバー部60の閉位置では、第1カバー部51と第2カバー部60によってバッテリポスト80、バッテリー接続端子81及びヒューズユニット82を被って保護する。第2カバー部60を回転し、閉位置から上方の開位置に変移すると、バッテリポスト80、バッテリー接続端子81等が露出する。これにより、ヒューズユニット82、バッテリー接続端子81等の交換作業やヒューズ点検作業等を行うことができる。
【0008】
上記従来例によれば、連結部70が第1カバー部51と第2カバー部60の上面より低い位置に位置するので、第1傾斜面部54と第2傾斜面部63が突き当たる位置までしか回転できない。これにより、第2カバー部60の回転範囲を必要範囲である90度程度に規制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−289171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記従来例では、第2カバー部60がヒューズユニット82の上方向にしか回転で移動することができないため、図13に示すように、ヒューズユニット82の上方近傍に周辺部材(例えば天井)90が位置する場合には、第2カバー部60を十分な開度で開くことができない。従って、ヒューズユニット82、バッテリー接続端子81等の交換作業やヒューズ点検作業等に支障を来す。
【0011】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、周辺部材の配置状態に係わらず可動側のカバー部を閉位置から移動して内部部品を露出させることができるカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、第1カバー部と、第2カバー部と、前記第1カバー部と前記第2カバー部の間を連結する連結部とを備え、前記連結部は、前記第1カバー部と前記第2カバー部の間を回転自在で、且つ、前記第1カバー部と前記第2カバー部の間を回転の軸方向に移動自在に設けたことを特徴とする。
【0013】
前記連結部は、前記第1カバー部と前記第2カバー部のいずれか一方に設けられた支持軸と、他方に設けられた軸受け部とを有し、前記支持軸は、前記軸受け部に支持されつつ軸方向に移動できる長さに設けるものを含む。
【0014】
前記第1カバー部と前記第2カバー部の内の可動側は、内部部品を被うノーマル位置からシフト位置への移動方向に対して後方となる側面に、内部部品との干渉を回避する切欠部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、例えば第2カバー部が可動側である場合に、第2カバー部の回転軌跡上に周辺部材が位置するときには、第2カバー部を軸方向にスライド移動することによって内部部品を露出させることができる。第2カバー部の側方に周辺部材が位置するときには、第2カバー部を回転移動することによって内部部品を露出させることができる。従って、周辺部材の配置状態に係わらず可動側のカバー部を閉位置から移動して内部部品を極力露出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態を示し、(a)はバッテリーの上部にバッテリーカバーが設置され、第2カバー部が閉位置の状態を示す斜視図、(b)はバッテリーの上部にバッテリーカバーが設置され、第2カバー部が閉位置の状態を示す側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態を示し、(a)はバッテリーの上部にバッテリーカバーが設置され、第2カバー部が回転途中の状態を示す斜視図、(b)はバッテリーの上部にバッテリーカバーが設置され、第2カバー部が回転途中の状態を示す側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態を示し、(a)はバッテリーカバーの組み付け前の斜視図、(b)は支持軸が軸受け部で軸支された状態を示す要部断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態を示し、バッテリーカバーの斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態を示し、図4とは反対の側面壁側から見たバッテリーカバーの斜視図である。
【図6】本発明の第1実施形態を示し、第2カバー部がノーマル位置に位置するバッテリーカバーの平面図である。
【図7】本発明の第1実施形態を示し、第2カバー部が第1スライド位置に位置するバッテリーカバーの平面図である。
【図8】本発明の第1実施形態を示し、第2カバー部が第2スライド位置に位置するバッテリーカバーの平面図である。
【図9】第2実施形態を示し、バッテリーカバーの平面図である。
【図10】従来例を示し、バッテリーカバーの斜視図である。
【図11】従来例を示し、バッテリーカバーの平面図である。
【図12】従来例を示し、バッテリーの上部にバッテリーカバーが設置され、第2カバー部が閉位置の状態を示す側面図である。
【図13】従来例を示し、バッテリーの上部にバッテリーカバーが設置され、第2カバー部が閉位置から開位置の回転途中の状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
(第1実施形態)
図1〜図8は本発明の第1実施形態を示す。
【0019】
図1及び図2において、バッテリー直付けのヒューズユニット30は、バッテリーポスト31aにバッテリー接続端子32を介して固定されている。
【0020】
カバーであるバッテリーカバー1Aは、バッテリー31の上部に設置されている。バッテリーカバー1Aは、内部部品であるバッテリーポスト31aとバッテリー接続端子32とヒューズユニット30を保護する。以下、バッテリーカバー1Aの構成を詳しく説明する。
【0021】
図3〜図5に示すように、バッテリーカバー1Aは、第1カバー部2と第2カバー部10とを備え、第1カバー部2と第2カバー部10は連結部20Aによって連結されている。
【0022】
第1カバー部2は、上面壁3と、この上面壁3の三方の縁端より垂設された側面壁4とを有する。第1カバー部2は、ヒューズユニット30の一部上半分を被っている。側面壁4には、係止部5が複数箇所に設けられている。各係止部5はヒューズユニット30に係止されている。第1カバー部2は、第2カバー部10側が開放面とされている。上面壁3の開放面側は、開放端に向かって下方に傾斜する傾斜面部6とされている。
【0023】
第2カバー部10は、上面壁11と、この上面壁11の縁端より垂設された側面壁12とを有する。側面壁12は、従来例とは異なり二方の縁端からのみ垂設されている。第2カバー部10の一方の側面は、切欠部14(図5に示す)とされている。切欠部14とされた側面は、第2カバー部10のスライド方向のノーマル位置から第1及び第2シフト位置への移動方向に対して後方となる側面である。ノーマル位置、第1シフト位置、第2シフト位置については、下記で説明する。
【0024】
第2カバー部10は、回転方向の閉位置で、且つ、スライド方向のノーマル位置では、ヒューズユニット30の一部上半分とバッテリー接続端子32とバッテリーポスト31aを被っている。第2カバー部10は、第1カバー部2側が開放面とされている。上面壁11の開放面側は、開放端に向かって下方に傾斜する傾斜面部13とされている。
【0025】
連結部20Aは、第1カバー部2及び第2カバー部10の上面より低い位置に配置されている。連結部20Aは、第1カバー部2に一体に設けられた軸受け部21と、第2カバー部10に一体に設けられた軸保持ロッド22及び支持軸23とを備えている。
【0026】
軸受け部21は、第1カバー部2の上面壁3の開放端より第2カバー部10の開口面に向かって突設されている。軸受け部21は、間隔を置いて3つの軸受け片21a〜21cより構成されている。各軸受け片21a〜21cは、側面視で略C字状である。各軸受け片21a〜21cの各開口より支持軸23を嵌合することによって支持軸23を軸支する。
【0027】
軸保持ロッド22は、第2カバー部10の上面壁11の開放端に突設されている。軸保持ロッド22は、軸受け部21の幅寸法(両端位置の軸受け片21aと軸受け片21c間の幅寸法)に対して長く、第2カバー部10の切欠部14側に突出されている。又、軸保持ロッド22は、第2カバー部10の回転に際しては従来例の連接部としての機能を持つ。
【0028】
支持軸23は、軸保持ロッド22と同様に、軸受け部21の幅寸法(両端位置の軸受け片21aと軸受け片21c間の幅寸法)に対して長く、第2カバー部10の切欠部14側に突出されている。支持軸23の両端部は、軸保持ロッド22の両端部に固定されている。支持軸23は、両端部以外では、軸保持ロッド22との間に隙間を介して配置されている。この隙間を利用して軸受け部21の各軸受け片21a〜21cが支持軸23を回転自在に支持することができる。
【0029】
つまり、第2カバー部10は、第1カバー部2に対して支持軸23を支点として回転自在で、且つ、スライド自在にある。第2カバー部10は、スライド方向のノーマル位置にあって、ヒューズユニット30の一部上半分とバッテリー接続端子32とバッテリーポスト31aを被う閉位置と、これらを露出させる開位置との間で回転する。第2カバー部10は、回転方向の閉位置にあって、ヒューズユニット30の一部上半分とバッテリー接続端子32とバッテリーポスト31aを被うノーマル位置(図6の位置)と、バッテリー接続端子32のポスト固定用ボルト32aを露出する第1シフト位置(図7の位置)と、ヒューズユニット固定用ボルト32bまで露出する第2シフト位置(図8の位置)との間をスライド移動する。
【0030】
また、支持軸23には、その外周面より僅かに突出する円周突状の第1及び第2ストッパ23a,23bが設けられている。この第1及び第2ストッパ23a,23bは、支持軸23の軸方向への移動を規制する。しかし、支持軸23の軸方向に所定力以上を作用させると、各軸受け片21a〜21cが拡径方向に弾性変形して第1及び第2ストッパ23a,23bを乗り越えてスライド移動できる。第1ストッパ23aは、図6に示す如く第2カバー部10のノーマル位置と、図7に示す如く第2カバー部10の第1シフト位置をそれぞれ位置決めする。第2ストッパ23bは、図7に示す如く第2カバー部10の第1シフト位置と、図8に示す如く第2カバー部10の第2シフト位置をそれぞれ位置決めする。
【0031】
上記構成において、通常時にあっては、第2カバー部10は、図1(a)、(b)に示すように、回転方向が閉位置で、且つ、スライド方向がノーマル位置に位置する。バッテリーカバー1Aは、バッテリーポスト31a、バッテリー接続端子32、ヒューズユニット30の外周を被っている。
【0032】
部品交換、点検等を行う場合には、第2カバー部10内を露出する必要がある。ここで、第2カバー部10の回転軌跡上に周辺部材が位置しない場合には、第2カバー部10を支持軸23を中心として回転し、第2カバー部10を閉位置から開位置に変移する。この第2カバー部10の回転では、連結部20Aが第1カバー部2と第2カバー部10の上面より低い位置に位置するので、双方の傾斜面部6,13が突き当たる位置までしか回転できない。これにより、第2カバー部10の回転範囲は、90度程度に規制される。
【0033】
第2カバー部10の回転軌跡上に周辺部材(図示せず)が位置する場合には、第2カバー部10をスライド移動する。第1シフト位置までスライド移動すれば、図7に示す如くポスト固定用ボルト32aが露出する。ポスト固定用ボルト32aを緩めることでバッテリー接続端子32及びヒューズユニット30を一体として取り外すことができる。第2シフト位置までスライド移動すれば、図8に示す如くヒューズユニット固定用ボルト32bが露出する。ヒューズユニット固定用ボルト32bを緩めることでヒューズユニット30を取り外すことができる。
【0034】
又、第1シフト位置や第2シフト位置にあって、周辺部材(図示せず)が第2カバー部10の回転軌跡上から外れれば、第1シフト位置や第2シフト位置で第2カバー部10を閉位置から開位置に回転することができる。
【0035】
以上説明したように、バッテリーカバー1Aの連結部20Aは、第1カバー部2と第2カバー部10の間を回転自在で、且つ、第1カバー部2と第2カバー部10の間を回転の軸方向に移動自在に設けられている。従って、上述したように、周辺部材(図示せず)の配置状態に係わらず第2カバー部10を閉位置から移動してバッテリーポスト31a、バッテリー接続端子32、ヒューズユニット30を極力露出させることができる。これにより、ヒューズユニット30、バッテリー接続端子32等の交換作業やヒューズ点検作業等が可能である。
【0036】
連結部20Aの支持軸23は、軸受け部21に支持されつつ軸方向に移動できる長さに設けられいる。従って、支持軸23の長さを調整することによって第2カバー部10のシフト量を自由に調整可能である。
【0037】
第2カバー部10は、内部部品を被うノーマル位置からシフト位置への移動方向に対して後方となる側面に、バッテリーポスト31aとバッテリー接続端子32とヒューズユニット30との干渉を回避する切欠部14を有する。従って、第2カバー部10を全く回転させないでもスライド移動させることができる。
【0038】
(第2実施形態)
図9は、本発明の第2実施形態を示す。図9において、第2実施形態のバッテリーカバー1Bは、前記第1実施形態のものと比較するに、連結部20Bの構成のみが相違する。
【0039】
つまり、連結部20Bは、第1カバー部2に一体に設けられた軸保持部25と、この軸保持部25に両端が支持された支持軸23と、第2カバー部10に一体に設けられた連接部26と、この連接部26の先端側に設けられた軸受け部21とを備えている。つまり、この第2実施形態では、前記第1実施形態とは逆に、第1カバー部2側に支持軸23を、第2カバー部10側に軸受け部21を設けられている。
【0040】
連結部20Bは、前記第1実施形態のものと同様に、第1カバー部2及び第2カバー部10の上面より低い位置に配置されている。
【0041】
他の構成は、前記第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。図9の同一構成箇所には同一符号を付して明確化を図る。
【0042】
この第2実施形態でも、前記第1実施形態と同様に、周辺部材(図示せず)の配置状態に係わらず第2カバー部10を閉位置から移動してバッテリポスト(図示せず)、バッテリー接続端子(図示せず)、ヒューズユニット(図示せず)を極力露出させることができる。
【0043】
(その他)
前記各実施形態では、カバーはバッテリーカバー1A,1Bであるが、本発明は、それ以外のカバーにも適用できることはもちろんである。
【符号の説明】
【0044】
1A,1B バッテリーカバー
2 第1カバー部
10 第2カバー部
14 切欠部
20A,20B 連結部
21 軸受け部
23 支持軸
30 ヒューズユニット(内部部品)
31a バッテリーポスト(内部部品)
32 バッテリー接続端子(内部部品)
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1カバー部と第2カバー部の間が回転自在に支持されたカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
車両等に搭載されるバッテリーには、直接ヒューズユニットが付設されるものがある。バッテリーのバッテリーポストやヒューズユニットの端子部等が露出状態であると、水、塵によって腐食等が発生するため、バッテリーのヒューズユニットが付設された箇所の上部をカバーであるバッテリーカバーで被うことが一般的に行われる。
【0003】
この種の従来のバッテリーカバーとして、図10〜図13に示すものがある(特許文献1参照)。このバッテリーカバー50は、図10及び図11に示すように、第1カバー部51と、第2カバー部60と、第1カバー部51と第2カバー部60の間に配置された連結部70とを備えている。
【0004】
第1カバー部51は、第1上面壁52と第1上面壁52の三方の縁端より下方に向かって配置された第1側面壁53とを有する。第1上面壁52の第2カバー部60側は、下方に傾斜する第1傾斜面部54となっている。
【0005】
第2カバー部60は、第2上面壁61と第2上面壁61の三方の縁端より下方に向かって配置された第2側面壁62とを有する。第2上面壁61の第1カバー部51側は、下方に傾斜する第2傾斜面部63となっている。
【0006】
連結部70は、第1カバー部51及び第2カバー部60の上面より低い位置に配置されている。連結部70は、第2カバー部60に一体的に設けられた連接部71と連接部71の一側端に固定されたヒンジ部72とから構成されている。第2カバー部60は、ヒンジ部72を支点としてR方向に回転できる。
【0007】
図12に示すように、第2カバー部60の閉位置では、第1カバー部51と第2カバー部60によってバッテリポスト80、バッテリー接続端子81及びヒューズユニット82を被って保護する。第2カバー部60を回転し、閉位置から上方の開位置に変移すると、バッテリポスト80、バッテリー接続端子81等が露出する。これにより、ヒューズユニット82、バッテリー接続端子81等の交換作業やヒューズ点検作業等を行うことができる。
【0008】
上記従来例によれば、連結部70が第1カバー部51と第2カバー部60の上面より低い位置に位置するので、第1傾斜面部54と第2傾斜面部63が突き当たる位置までしか回転できない。これにより、第2カバー部60の回転範囲を必要範囲である90度程度に規制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−289171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記従来例では、第2カバー部60がヒューズユニット82の上方向にしか回転で移動することができないため、図13に示すように、ヒューズユニット82の上方近傍に周辺部材(例えば天井)90が位置する場合には、第2カバー部60を十分な開度で開くことができない。従って、ヒューズユニット82、バッテリー接続端子81等の交換作業やヒューズ点検作業等に支障を来す。
【0011】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、周辺部材の配置状態に係わらず可動側のカバー部を閉位置から移動して内部部品を露出させることができるカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、第1カバー部と、第2カバー部と、前記第1カバー部と前記第2カバー部の間を連結する連結部とを備え、前記連結部は、前記第1カバー部と前記第2カバー部の間を回転自在で、且つ、前記第1カバー部と前記第2カバー部の間を回転の軸方向に移動自在に設けたことを特徴とする。
【0013】
前記連結部は、前記第1カバー部と前記第2カバー部のいずれか一方に設けられた支持軸と、他方に設けられた軸受け部とを有し、前記支持軸は、前記軸受け部に支持されつつ軸方向に移動できる長さに設けるものを含む。
【0014】
前記第1カバー部と前記第2カバー部の内の可動側は、内部部品を被うノーマル位置からシフト位置への移動方向に対して後方となる側面に、内部部品との干渉を回避する切欠部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、例えば第2カバー部が可動側である場合に、第2カバー部の回転軌跡上に周辺部材が位置するときには、第2カバー部を軸方向にスライド移動することによって内部部品を露出させることができる。第2カバー部の側方に周辺部材が位置するときには、第2カバー部を回転移動することによって内部部品を露出させることができる。従って、周辺部材の配置状態に係わらず可動側のカバー部を閉位置から移動して内部部品を極力露出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態を示し、(a)はバッテリーの上部にバッテリーカバーが設置され、第2カバー部が閉位置の状態を示す斜視図、(b)はバッテリーの上部にバッテリーカバーが設置され、第2カバー部が閉位置の状態を示す側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態を示し、(a)はバッテリーの上部にバッテリーカバーが設置され、第2カバー部が回転途中の状態を示す斜視図、(b)はバッテリーの上部にバッテリーカバーが設置され、第2カバー部が回転途中の状態を示す側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態を示し、(a)はバッテリーカバーの組み付け前の斜視図、(b)は支持軸が軸受け部で軸支された状態を示す要部断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態を示し、バッテリーカバーの斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態を示し、図4とは反対の側面壁側から見たバッテリーカバーの斜視図である。
【図6】本発明の第1実施形態を示し、第2カバー部がノーマル位置に位置するバッテリーカバーの平面図である。
【図7】本発明の第1実施形態を示し、第2カバー部が第1スライド位置に位置するバッテリーカバーの平面図である。
【図8】本発明の第1実施形態を示し、第2カバー部が第2スライド位置に位置するバッテリーカバーの平面図である。
【図9】第2実施形態を示し、バッテリーカバーの平面図である。
【図10】従来例を示し、バッテリーカバーの斜視図である。
【図11】従来例を示し、バッテリーカバーの平面図である。
【図12】従来例を示し、バッテリーの上部にバッテリーカバーが設置され、第2カバー部が閉位置の状態を示す側面図である。
【図13】従来例を示し、バッテリーの上部にバッテリーカバーが設置され、第2カバー部が閉位置から開位置の回転途中の状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
(第1実施形態)
図1〜図8は本発明の第1実施形態を示す。
【0019】
図1及び図2において、バッテリー直付けのヒューズユニット30は、バッテリーポスト31aにバッテリー接続端子32を介して固定されている。
【0020】
カバーであるバッテリーカバー1Aは、バッテリー31の上部に設置されている。バッテリーカバー1Aは、内部部品であるバッテリーポスト31aとバッテリー接続端子32とヒューズユニット30を保護する。以下、バッテリーカバー1Aの構成を詳しく説明する。
【0021】
図3〜図5に示すように、バッテリーカバー1Aは、第1カバー部2と第2カバー部10とを備え、第1カバー部2と第2カバー部10は連結部20Aによって連結されている。
【0022】
第1カバー部2は、上面壁3と、この上面壁3の三方の縁端より垂設された側面壁4とを有する。第1カバー部2は、ヒューズユニット30の一部上半分を被っている。側面壁4には、係止部5が複数箇所に設けられている。各係止部5はヒューズユニット30に係止されている。第1カバー部2は、第2カバー部10側が開放面とされている。上面壁3の開放面側は、開放端に向かって下方に傾斜する傾斜面部6とされている。
【0023】
第2カバー部10は、上面壁11と、この上面壁11の縁端より垂設された側面壁12とを有する。側面壁12は、従来例とは異なり二方の縁端からのみ垂設されている。第2カバー部10の一方の側面は、切欠部14(図5に示す)とされている。切欠部14とされた側面は、第2カバー部10のスライド方向のノーマル位置から第1及び第2シフト位置への移動方向に対して後方となる側面である。ノーマル位置、第1シフト位置、第2シフト位置については、下記で説明する。
【0024】
第2カバー部10は、回転方向の閉位置で、且つ、スライド方向のノーマル位置では、ヒューズユニット30の一部上半分とバッテリー接続端子32とバッテリーポスト31aを被っている。第2カバー部10は、第1カバー部2側が開放面とされている。上面壁11の開放面側は、開放端に向かって下方に傾斜する傾斜面部13とされている。
【0025】
連結部20Aは、第1カバー部2及び第2カバー部10の上面より低い位置に配置されている。連結部20Aは、第1カバー部2に一体に設けられた軸受け部21と、第2カバー部10に一体に設けられた軸保持ロッド22及び支持軸23とを備えている。
【0026】
軸受け部21は、第1カバー部2の上面壁3の開放端より第2カバー部10の開口面に向かって突設されている。軸受け部21は、間隔を置いて3つの軸受け片21a〜21cより構成されている。各軸受け片21a〜21cは、側面視で略C字状である。各軸受け片21a〜21cの各開口より支持軸23を嵌合することによって支持軸23を軸支する。
【0027】
軸保持ロッド22は、第2カバー部10の上面壁11の開放端に突設されている。軸保持ロッド22は、軸受け部21の幅寸法(両端位置の軸受け片21aと軸受け片21c間の幅寸法)に対して長く、第2カバー部10の切欠部14側に突出されている。又、軸保持ロッド22は、第2カバー部10の回転に際しては従来例の連接部としての機能を持つ。
【0028】
支持軸23は、軸保持ロッド22と同様に、軸受け部21の幅寸法(両端位置の軸受け片21aと軸受け片21c間の幅寸法)に対して長く、第2カバー部10の切欠部14側に突出されている。支持軸23の両端部は、軸保持ロッド22の両端部に固定されている。支持軸23は、両端部以外では、軸保持ロッド22との間に隙間を介して配置されている。この隙間を利用して軸受け部21の各軸受け片21a〜21cが支持軸23を回転自在に支持することができる。
【0029】
つまり、第2カバー部10は、第1カバー部2に対して支持軸23を支点として回転自在で、且つ、スライド自在にある。第2カバー部10は、スライド方向のノーマル位置にあって、ヒューズユニット30の一部上半分とバッテリー接続端子32とバッテリーポスト31aを被う閉位置と、これらを露出させる開位置との間で回転する。第2カバー部10は、回転方向の閉位置にあって、ヒューズユニット30の一部上半分とバッテリー接続端子32とバッテリーポスト31aを被うノーマル位置(図6の位置)と、バッテリー接続端子32のポスト固定用ボルト32aを露出する第1シフト位置(図7の位置)と、ヒューズユニット固定用ボルト32bまで露出する第2シフト位置(図8の位置)との間をスライド移動する。
【0030】
また、支持軸23には、その外周面より僅かに突出する円周突状の第1及び第2ストッパ23a,23bが設けられている。この第1及び第2ストッパ23a,23bは、支持軸23の軸方向への移動を規制する。しかし、支持軸23の軸方向に所定力以上を作用させると、各軸受け片21a〜21cが拡径方向に弾性変形して第1及び第2ストッパ23a,23bを乗り越えてスライド移動できる。第1ストッパ23aは、図6に示す如く第2カバー部10のノーマル位置と、図7に示す如く第2カバー部10の第1シフト位置をそれぞれ位置決めする。第2ストッパ23bは、図7に示す如く第2カバー部10の第1シフト位置と、図8に示す如く第2カバー部10の第2シフト位置をそれぞれ位置決めする。
【0031】
上記構成において、通常時にあっては、第2カバー部10は、図1(a)、(b)に示すように、回転方向が閉位置で、且つ、スライド方向がノーマル位置に位置する。バッテリーカバー1Aは、バッテリーポスト31a、バッテリー接続端子32、ヒューズユニット30の外周を被っている。
【0032】
部品交換、点検等を行う場合には、第2カバー部10内を露出する必要がある。ここで、第2カバー部10の回転軌跡上に周辺部材が位置しない場合には、第2カバー部10を支持軸23を中心として回転し、第2カバー部10を閉位置から開位置に変移する。この第2カバー部10の回転では、連結部20Aが第1カバー部2と第2カバー部10の上面より低い位置に位置するので、双方の傾斜面部6,13が突き当たる位置までしか回転できない。これにより、第2カバー部10の回転範囲は、90度程度に規制される。
【0033】
第2カバー部10の回転軌跡上に周辺部材(図示せず)が位置する場合には、第2カバー部10をスライド移動する。第1シフト位置までスライド移動すれば、図7に示す如くポスト固定用ボルト32aが露出する。ポスト固定用ボルト32aを緩めることでバッテリー接続端子32及びヒューズユニット30を一体として取り外すことができる。第2シフト位置までスライド移動すれば、図8に示す如くヒューズユニット固定用ボルト32bが露出する。ヒューズユニット固定用ボルト32bを緩めることでヒューズユニット30を取り外すことができる。
【0034】
又、第1シフト位置や第2シフト位置にあって、周辺部材(図示せず)が第2カバー部10の回転軌跡上から外れれば、第1シフト位置や第2シフト位置で第2カバー部10を閉位置から開位置に回転することができる。
【0035】
以上説明したように、バッテリーカバー1Aの連結部20Aは、第1カバー部2と第2カバー部10の間を回転自在で、且つ、第1カバー部2と第2カバー部10の間を回転の軸方向に移動自在に設けられている。従って、上述したように、周辺部材(図示せず)の配置状態に係わらず第2カバー部10を閉位置から移動してバッテリーポスト31a、バッテリー接続端子32、ヒューズユニット30を極力露出させることができる。これにより、ヒューズユニット30、バッテリー接続端子32等の交換作業やヒューズ点検作業等が可能である。
【0036】
連結部20Aの支持軸23は、軸受け部21に支持されつつ軸方向に移動できる長さに設けられいる。従って、支持軸23の長さを調整することによって第2カバー部10のシフト量を自由に調整可能である。
【0037】
第2カバー部10は、内部部品を被うノーマル位置からシフト位置への移動方向に対して後方となる側面に、バッテリーポスト31aとバッテリー接続端子32とヒューズユニット30との干渉を回避する切欠部14を有する。従って、第2カバー部10を全く回転させないでもスライド移動させることができる。
【0038】
(第2実施形態)
図9は、本発明の第2実施形態を示す。図9において、第2実施形態のバッテリーカバー1Bは、前記第1実施形態のものと比較するに、連結部20Bの構成のみが相違する。
【0039】
つまり、連結部20Bは、第1カバー部2に一体に設けられた軸保持部25と、この軸保持部25に両端が支持された支持軸23と、第2カバー部10に一体に設けられた連接部26と、この連接部26の先端側に設けられた軸受け部21とを備えている。つまり、この第2実施形態では、前記第1実施形態とは逆に、第1カバー部2側に支持軸23を、第2カバー部10側に軸受け部21を設けられている。
【0040】
連結部20Bは、前記第1実施形態のものと同様に、第1カバー部2及び第2カバー部10の上面より低い位置に配置されている。
【0041】
他の構成は、前記第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。図9の同一構成箇所には同一符号を付して明確化を図る。
【0042】
この第2実施形態でも、前記第1実施形態と同様に、周辺部材(図示せず)の配置状態に係わらず第2カバー部10を閉位置から移動してバッテリポスト(図示せず)、バッテリー接続端子(図示せず)、ヒューズユニット(図示せず)を極力露出させることができる。
【0043】
(その他)
前記各実施形態では、カバーはバッテリーカバー1A,1Bであるが、本発明は、それ以外のカバーにも適用できることはもちろんである。
【符号の説明】
【0044】
1A,1B バッテリーカバー
2 第1カバー部
10 第2カバー部
14 切欠部
20A,20B 連結部
21 軸受け部
23 支持軸
30 ヒューズユニット(内部部品)
31a バッテリーポスト(内部部品)
32 バッテリー接続端子(内部部品)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1カバー部と、第2カバー部と、前記第1カバー部と前記第2カバー部の間を連結する連結部とを備え、
前記連結部は、前記第1カバー部と前記第2カバー部の間を回転自在で、且つ、前記第1カバー部と前記第2カバー部の間を回転の軸方向に移動自在に設けたことを特徴とするカバー。
【請求項2】
請求項1記載のカバーであって、
前記連結部は、前記第1カバー部と前記第2カバー部のいずれか一方に設けられた支持軸と、他方に設けられた軸受け部とを有し、前記支持軸は、前記軸受け部に支持されつつ軸方向に移動できる長さに設けられたことを特徴とするカバー。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のカバーであって、
前記第1カバー部と前記第2カバー部の内の可動側は、内部部品を被うノーマル位置からシフト位置への移動方向に対して後方となる側面に、内部部品との干渉を回避する切欠部を有することを特徴とするカバー。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載のカバーであって、
前記支持軸は、軸方向のノーマル位置とシフト位置で前記軸受け部に係止するストッパ部を有することを特徴とするカバー。
【請求項1】
第1カバー部と、第2カバー部と、前記第1カバー部と前記第2カバー部の間を連結する連結部とを備え、
前記連結部は、前記第1カバー部と前記第2カバー部の間を回転自在で、且つ、前記第1カバー部と前記第2カバー部の間を回転の軸方向に移動自在に設けたことを特徴とするカバー。
【請求項2】
請求項1記載のカバーであって、
前記連結部は、前記第1カバー部と前記第2カバー部のいずれか一方に設けられた支持軸と、他方に設けられた軸受け部とを有し、前記支持軸は、前記軸受け部に支持されつつ軸方向に移動できる長さに設けられたことを特徴とするカバー。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のカバーであって、
前記第1カバー部と前記第2カバー部の内の可動側は、内部部品を被うノーマル位置からシフト位置への移動方向に対して後方となる側面に、内部部品との干渉を回避する切欠部を有することを特徴とするカバー。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載のカバーであって、
前記支持軸は、軸方向のノーマル位置とシフト位置で前記軸受け部に係止するストッパ部を有することを特徴とするカバー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−38580(P2012−38580A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−177774(P2010−177774)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
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