説明

カプセル医療システム

【課題】被検体内部の所望の生体組織に対して処置を行うカプセル型医療装置の処置部と処置対象の生体組織とを高精度に位置合わせすることができること。
【解決手段】本発明にかかるカプセル医療システム11は、被検体1内部に導入されるカプセル型医療装置2と、カプセル型医療装置2が無線送信した情報を受信する体外通信部3と、カプセル型医療装置2が撮像した体内画像等を表示する表示部4と、各種情報を入力する入力部8と、制御部10とを備える。カプセル型医療装置2は、被検体1内部の生体組織に対する処置を行う処置手段を備え、磁気誘導部5の外部磁界によって誘導される。制御部10は、表示部4に表示された体内画像の中から入力部8によって選択された処置対象と前記処置手段との相対距離を決定し、前記外部磁界を制御して前記相対距離だけカプセル型医療装置2を移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体の内部に導入されたカプセル型医療装置によって体内部位の生体組織に対する処置を行うカプセル医療システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、内視鏡の分野において、被検体の臓器内部に導入されて臓器内部の画像(以下、体内画像という場合がある)を撮像するカプセル型内視鏡が登場している。カプセル型内視鏡は、カプセル型筐体の内部に撮像機能と無線通信機能とを備え、患者等の被検体に経口摂取された後、蠕動運動等によって消化管内を移動しつつ被検体の体内画像を順次撮像し、その都度、被検体外部の受信装置に体内画像を順次無線送信する。なお、この被検体内部のカプセル型内視鏡は、排泄物等とともに被検体外部に排出される。
【0003】
このようなカプセル型内視鏡に例示されるカプセル型医療装置を用いて被検体に処置を行うカプセル医療システムには、筐体内部に薬剤を保持したカプセル型医療装置を被検体の内部に導入し、この被検体内部のカプセル型医療装置によって患部に薬剤を投与するものがある(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載のシステムでは、X線CT装置またはMRI等の医療診断装置を用いて被検体内部における患部の位置を特定し、この特定した患部の位置にカプセル型医療装置が到達した際に、このカプセル型医療装置に薬剤を放出させる。
【0004】
【特許文献1】特開2005−334331号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術では、カプセル型医療装置が被検体内部の患部近傍に位置した際に患部に薬剤を放出することは可能であるが、患部等の生体組織に対して採取または治療等の処置を行うカプセル型医療装置の処置部と処置対象の生体組織とを高精度に位置合わせすることは困難な場合が多く、このため、患部等の所望の生体組織に対して処置を確実に行うことが困難であった。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、被検体内部の所望の生体組織に対して処置を行うカプセル型医療装置の処置部と処置対象の生体組織とを高精度に位置合わせすることができ、この処置対象の生体組織に対する処置を確実に行うことができるカプセル医療システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかるカプセル医療システムは、被検体内部に導入され、前記被検体の体内画像を撮像する撮像手段と、前記被検体内部の生体組織に対する処置を行う処置手段と、当該カプセル型医療装置の移動に寄与する駆動手段とを有するカプセル型医療装置と、前記体内画像の中から前記処置手段の処置対象を選択する選択手段と、前記処置対象と前記処置手段との相対距離を決定し、前記駆動手段を用いて前記撮像手段の撮像方向に前記相対距離に応じた距離前記カプセル型医療装置を移動させる制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかるカプセル医療システムは、上記の発明において、前記カプセル型医療装置の内部に配置され、少なくとも前記体内画像を外部に送信する通信手段と、前記通信手段によって送信された体内画像を受信する体外通信手段と、前記体外通信手段によって受信された体内画像を表示する表示手段と、をさらに備え、前記選択手段は、前記表示手段によって表示された体内画像の中から前記処置手段の処置対象を選択することを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかるカプセル医療システムは、上記の発明において、前記撮像手段は、前記処置手段に対して相対的に固定された位置に配置され、前記駆動手段は、画像端部に前記処置対象を描出する体内画像を前記撮像手段によって撮像できる前記被検体内部の特定位置に前記カプセル型医療装置を移動させ、前記制御手段は、前記カプセル型医療装置が臓器内壁部に接触した状態で前記被検体内部の特定位置に停止した場合に、前記撮像手段の画角によって規定される前記処置対象と前記撮像手段との特定距離と前記撮像手段および前記処置手段の部品間距離との加算値である前記相対距離を決定することを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかるカプセル医療システムは、上記の発明において、前記カプセル型医療装置は、前記撮像手段の撮像方向に位置する対象物と前記撮像手段との距離を測定する距離測定手段を備え、前記撮像手段は、前記処置手段に対して相対的に固定された位置に配置され、前記通信手段は、前記距離測定手段による測定距離を前記体外通信手段に送信し、前記制御手段は、前記体外通信手段を介して前記距離測定手段による測定距離を取得し、該測定距離と前記撮像手段および前記処置手段の部品間距離とを加算して前記相対距離を決定することを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかるカプセル医療システムは、上記の発明において、前記カプセル型医療装置は、前記処置手段の方向と重力方向とのなす角度を検出する重力センサを備え、前記通信手段は、前記重力センサによる検出角度を前記体外通信手段に送信し、前記制御手段は、前記体外通信手段を介して前記重力センサによる検出角度を取得し、該検出角度をもとに前記表示手段の直交座標系の軸方向と前記処置手段の方向に対応する前記体内画像の方向とを合わせて、前記表示手段に前記体内画像を表示させることを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかるカプセル医療システムは、上記の発明において、前記選択手段は、前記表示手段の直交座標系における前記処置対象の位置座標情報を入力する入力手段であり、前記制御手段は、前記表示手段の直交座標系の軸方向と前記処置対象の位置座標情報とをもとに前記処置手段の方向と前記処置対象の方向とのなす回転角度を算出し、前記駆動手段を用いて前記回転角度だけ前記カプセル型医療装置を回転させることを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかるカプセル医療システムは、上記の発明において、前記駆動手段は、前記カプセル型医療装置の移動によって前記処置対象の近傍の臓器内壁部に前記カプセル型医療装置を接触させることを特徴とする。
【0014】
また、本発明にかかるカプセル医療システムは、上記の発明において、前記被検体内部に導入された前記カプセル型医療装置に外部磁界を印加し、該外部磁界によって前記カプセル型医療装置を誘導する磁気誘導手段を備え、前記駆動手段は、前記磁気誘導手段が形成した外部磁界の作用によって前記カプセル型医療装置を移動または回転させる磁石であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明にかかるカプセル医療システムは、上記の発明において、前記駆動手段は、前記磁気誘導手段が形成した外部磁界の作用によって臓器内壁部に前記カプセル型医療装置を固定することを特徴とする。
【0016】
また、本発明にかかるカプセル医療システムは、上記の発明において、前記駆動手段は、前記制御手段の制御に基づいて前記カプセル型医療装置を移動または回転させることを特徴とする。
【0017】
また、本発明にかかるカプセル医療システムは、上記の発明において、前記カプセル型医療装置は、臓器内壁部に前記カプセル型医療装置を固定する固定手段を備えたことを特徴とする。
【0018】
また、本発明にかかるカプセル医療システムは、上記の発明において、前記処置手段は、前記処置対象を採取する採取手段、前記処置対象に薬剤を注入する薬剤注入手段、前記処置対象に薬剤を放出する薬剤放出手段、または前記処置対象を治療する治療手段のいずれかであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、カプセル型医療装置が、被検体内部に導入され、撮像手段によって前記被検体の体内画像を撮像し、送信手段によって少なくとも前記体内画像を外部に送信し、処置手段によって前記被検体内部の生体組織に対する処置を行い、駆動手段によって移動するようにし、また、被検体外部の受信手段が、前記送信手段によって送信された体内画像を受信し、被検体外部の表示手段が、前記受信手段によって受信された体内画像を表示し、制御手段が、前記表示手段によって表示された体内画像の中から選択手段によって選択された処置対象と前記処置手段との相対距離を決定し、前記駆動手段を用いて前記撮像手段の撮像方向に前記相対距離だけ前記カプセル型医療装置を移動させるようにしている。このため、被検体内部の所望の生体組織に対して処置を行うカプセル型医療装置の処置部と処置対象の生体組織とを高精度に位置合わせすることができ、この結果、X線装置等の被検体内部の状態を観察可能な医療装置を用いなくとも、この処置対象の生体組織に対する処置を確実に行うことが可能なカプセル医療システムを簡易な構成で実現できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明にかかるカプセル医療システムの好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、以下では、被検体内部の生体組織に対する処置の一例として体内部位の病変組織を切断採取するカプセル医療システムを例示するが、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかるカプセル医療システムの一構成例を模式的に示すブロック図である。図1に示すように、この実施の形態1にかかるカプセル医療システム11は、患者等の被検体1の内部に導入されるカプセル型医療装置2と、被検体1の体表上に配置した複数のアンテナ3aを介して被検体1内部のカプセル型医療装置2と無線通信を行う体外通信部3と、カプセル型医療装置2によって撮像された被検体1の体内画像等の各種情報を表示する表示部4とを備える。また、カプセル医療システム11は、被検体1内部のカプセル型医療装置2を磁気によって誘導する磁気誘導部5と、磁気誘導部5に電力を供給する電力供給部6と、この磁気誘導部5によるカプセル型医療装置2の誘導を操作する操作部7とを備える。さらに、カプセル医療システム11は、各種情報を入力する入力部8と、被検体1の体内画像等の各種情報を記憶する記憶部9と、かかるカプセル医療システム11の各構成部を制御する制御部10とを備える。
【0022】
カプセル型医療装置2は、被検体1の内部に導入可能な大きさに形成されたカプセル形状の医療装置であり、被検体1の体内画像を撮像する撮像機能と、外部の体外通信部3との間で無線通信を行う無線通信機能とを有する。具体的には、カプセル型医療装置2は、経口摂取等によって被検体1の内部に導入され、磁気誘導部5による外部磁界の作用または蠕動運動等によって被検体1の消化管内部を移動する。かかるカプセル型医療装置2は、被検体1の消化管内部を移動しつつ被検体1の体内画像を順次撮像し、その都度、得られた体内画像等の情報を被検体1の外部に順次無線送信する。
【0023】
また、カプセル型医療装置2は、被検体1内部において体内部位の生体組織を採取する組織採取機能を有する。具体的には、カプセル型医療装置2は、磁気誘導部5による外部磁界の作用または蠕動運動等によって被検体1の消化管内部を移動して被検体1内部における所望の体内部位(例えば病変組織等の処置対象が存在する体内部位)に到達する。かかるカプセル型医療装置2は、外部の制御部10の制御に基づいて磁気誘導部5が形成した外部磁界の作用によって、この体内部位における病変組織等の処置対象の位置に移動し、生体組織に対する処置を行う処置部(後述する処置部23)の位置と、この処置対象の位置とを高精度に合わせる。この状態において、カプセル型医療装置2は、外部からの指示(具体的には外部の制御部10からの制御信号)に基づき、この処置部によって処置対象の生体組織を採取する。その後、カプセル型医療装置2は、この採取した生体組織をカプセル型筐体内部に保管した状態で被検体1の消化管内部を移動し、最終的に被検体1の外部に排出される。
【0024】
体外通信部3は、被検体1の体表面上に配置された複数のアンテナ3aと接続され、これら複数のアンテナ3aのいずれか一つを介して被検体1内部のカプセル型医療装置2と無線通信を行う。かかる体外通信部3は、複数のアンテナ3aを介してカプセル型医療装置2からの無線信号を受信し、この受信した無線信号に対して復調処理等を行って、この無線信号に含まれる画像信号等の情報を抽出する。体外通信部3は、この抽出した画像信号等の情報を制御部10に送信する。なお、かかる体外通信部3によって抽出(復調)された画像信号は、上述したカプセル型内視鏡2が被検体1内部において撮像した体内画像を含むものである。一方、体外通信部3は、カプセル型医療装置2を制御するための制御信号を制御部10から取得し、この取得した制御信号に対して所定の変調処理等を行って、この制御信号を含む無線信号を生成する。体外通信部3は、この生成した無線信号をアンテナ3aを介して被検体1内部のカプセル型医療装置2に送信する。
【0025】
複数のアンテナ3aは、被検体1の内部に導入されたカプセル型医療装置2と被検体1外部の体外通信部3との無線通信に用いられる送受信アンテナであり、カプセル型医療装置2を体内に導入する被検体1の体表面上に分散配置される。かかる複数のアンテナ3aのうちの少なくとも1つのアンテナは、被検体1の内部(例えば食道、胃、小腸、大腸等の消化管内部)に位置するカプセル型医療装置2からの無線信号を捕捉して体外通信部3に送信し、または体外通信部3からの無線信号を被検体1内部のカプセル型医療装置2に送信する。
【0026】
表示部4は、CRTディスプレイまたは液晶ディスプレイ等の各種ディスプレイを用いて実現され、制御部10によって表示指示された各種情報を表示する。具体的には、表示部4は、カプセル型医療装置2が撮像した被検体1の体内画像群、入力部8によって入力された被検体1の患者情報および検査情報、被検体1の内部におけるカプセル型医療装置2の現在位置情報等を表示する。
【0027】
磁気誘導部5は、複数の電磁石等を用いて実現され、電力供給部6から供給される電力によって回転磁界または勾配磁界等の3次元的な外部磁界を形成する。かかる磁気誘導部5は、この形成した外部磁界を、ベッド12に載置された被検体1内部のカプセル型医療装置2に印加し、この外部磁界の作用によって、被検体1内部のカプセル型医療装置2を所望の位置に誘導する。また、磁気誘導部5は、かかる外部磁界の磁力によって、被検体1の臓器内壁部にカプセル型医療装置2を固定する。
【0028】
電力供給部6は、被検体1内部のカプセル型医療装置2に印加する外部磁界を形成するための電力を磁気誘導部5に供給する。具体的には、電力供給部6は、制御部10の制御に基づいて、磁気誘導部5に交流電流を供給し、これによって、磁気誘導部5に回転磁界または勾配磁界等の3次元的な外部磁界を形成させる。すなわち、上述した磁気誘導部5による外部磁界は、かかる電力供給部6から供給される交流電流(電力供給部6からの通電量)によって制御される。
【0029】
操作部7は、磁気誘導部5の外部磁界による被検体1内部のカプセル型医療装置2の誘導(磁気誘導)を操作するためのものである。具体的には、操作部7は、入力ボタンおよびジョイスティック等の入力デバイスを用いて実現され、医師または看護師等のユーザによる入力操作に応じて、カプセル型医療装置2の磁気誘導を指示する指示情報を制御部10に入力する。なお、かかる操作部7によって入力される指示情報は、カプセル型医療装置2の長軸に対する水平方向、長軸に対する垂直方向、長軸回り回転、長軸に対する斜め方向またはこれらの組み合わせのカプセル型医療装置2の動作(移動または回転)を指示するものである。
【0030】
入力部8は、キーボード、マウス、タッチパネル等の入力デバイスを用いて実現され、医師または看護師等のユーザによる入力操作に応じて制御部10に各種情報を入力する。また、入力部8は、表示部4に表示された体内画像の中から所望の処置対象(例えば病変組織等の生体組織)を選択する選択手段として機能し、表示部4に表示されたカーソルを所望の処置対象に合わせて決定する入力操作によって、体内画像内に描出されている所望の処置対象の選択情報を制御部10に入力する。なお、かかる入力部8が制御部10に入力する各種情報として、上述した処置対象の選択情報の他に、例えば、制御部10に対して指示する指示情報、被検体の患者情報、被検体の検査情報、表示部4の2軸直交座標系における処置対象の位置座標情報等が挙げられる。
【0031】
なお、被検体の患者情報は、被検体を特定する情報であり、例えば、被検体の患者名、患者ID、生年月日、性別、年齢等である。また、被検体の検査情報は、被検体内部に導入したカプセル型医療装置2によって体内部位から採取した生体組織を用いて実施される生体検査を特定する情報であり、例えば、検査ID、検査日等である。一方、上述した表示部4に設定された2軸直交座標系は、例えば表示画面の上下方向の軸と左右方向の軸とによって規定される座標系である。
【0032】
記憶部9は、RAM、EEPROM、フラッシュメモリ、またはハードディスク等の書き換え可能に情報を保存する各種記憶メディアを用いて実現される。記憶部9は、制御部10が記憶指示した各種情報を記憶し、記憶した各種情報の中から制御部10が読み出し指示した情報を制御部10に送出する。かかる記憶部9は、制御部10の制御に基づいて、例えば、被検体1の体内画像群、被検体1の患者情報および検査情報、被検体1内部におけるカプセル型医療装置2の現在位置情報、表示部4に表示された体内画像の中から選択された処置対象の位置座標情報等を記憶する。
【0033】
制御部10は、カプセル医療システム11の各構成部(カプセル型医療装置2、体外通信部3、表示部4、磁気誘導部5、電力供給部6、操作部7、入力部8、および記憶部9)を制御し、且つ、かかる各構成部間における信号の入出力を制御する。具体的には、制御部10は、入力部8によって入力された指示情報に基づいて、上述した体外通信部3、表示部4、および記憶部9の各動作を制御する。また、制御部10は、操作部7または入力部8によって入力された指示情報に基づいて、磁気誘導部5の動作および磁気誘導部5に対する電力供給部6の通電量を制御し、この電力供給部6の通電量の制御を通して磁気誘導部5の磁界方向および磁界強度を制御する。制御部10は、かかる磁気誘導部5の制御によって被検体1内部のカプセル型医療装置2の磁気誘導を制御する。一方、制御部10は、入力部8によって入力された指示情報(具体的には、カプセル型医療装置2による一連の採取動作を指示する指示情報)に基づいて、体内部位の生体組織を採取するための一連の採取動作を被検体1内部のカプセル型医療装置2に指示する制御信号を生成する。制御部10は、かかる制御信号を被検体1内部のカプセル型医療装置2に送信するよう体外通信部3を制御し、かかる制御信号によって被検体1内部のカプセル型医療装置2を制御する。
【0034】
また、制御部10は、被検体1内部の処置対象とカプセル型医療装置2の処置部との位置合わせを制御する位置制御部10aと、被検体1の体内画像を生成する画像処理部10bと、被検体1内部におけるカプセル型医療装置2の位置を算出する位置算出部10cと、処置対象である生体組織とカプセル型医療装置2の処置部との相対距離を決定する距離決定部10dと、処置対象に対する相対的なカプセル型医療装置2の回転角度を算出する角度算出部10eとを有する。
【0035】
位置制御部10aは、上述した磁気誘導部5の動作および電力供給部6の通電量を制御し、かかる磁気誘導部5および電力供給部6の制御を通して、被検体1内部のカプセル型医療装置2の処置部と体内部位における処置対象の生体組織との位置合わせを制御する。かかる位置制御部10aは、距離決定部10dによって決定された距離、すなわち処置対象とカプセル型医療装置2の処置部との相対距離だけカプセル型医療装置2を移動させ、これによって、この処置対象とカプセル型医療装置2の処置部との位置合わせを高精度に制御する。また、位置制御部10aは、角度算出部10eによって算出された回転角度だけカプセル型医療装置2を回転させ、これによって、この処置対象とカプセル型医療装置2の処置部との回転方向の位置合わせを高精度に制御する。
【0036】
画像処理部10bは、カプセル型医療装置2からの無線信号から復調された画像信号を体外通信部3から取得し、この取得した画像信号に対して所定の画像処理を行って、この画像信号に対応する画像情報すなわち被検体1の体内画像を生成(再構築)する。かかる画像処理部10bによって生成された体内画像群は、上述したように、表示部4に表示され、記憶部9に記憶される。
【0037】
位置算出部10cは、体外通信部3が複数のアンテナ3aを介してカプセル型医療装置2からの無線信号を順次受信した際の各アンテナの受信電界強度(例えば複数のアンテナ3aのうちの上位3つの受信電界強度)を体外通信部3から取得し、この取得した受信電界強度と複数のアンテナ3a内の各アンテナの位置情報とをもとに、三角法等に基づいて被検体1内部におけるカプセル型医療装置2の現在位置を算出する。制御部10は、かかる位置算出部10cによって算出された現在位置情報と、この現在位置に存在するカプセル型医療装置2が撮像した被検体1の体内画像とを対応付ける。かかる制御部10によって対応付けられた被検体1の体内画像およびカプセル型医療装置2の現在位置情報は、表示部4に表示され、記憶部9に記憶される。
【0038】
距離決定部10dは、表示部4に表示された体内画像の中から入力部8を用いて選択された処置対象の生体組織とカプセル型医療装置2の処置部との相対距離を決定する。詳細には、かかる処置対象を画像端部に描出する体内画像を撮像可能な被検体1内部の位置(以下、特定位置という)においてカプセル型医療装置2が臓器内壁部に接触した状態で停止した場合に、距離決定部10dは、この処置対象である生体組織とカプセル型医療装置2の処置部との相対距離を決定する。かかる相対距離だけ体内画像の撮像方向にカプセル型医療装置2が移動することによって、カプセル型医療装置2の処置部と処置対象との位置(カプセル型医療装置2の長手軸方向の位置)が高精度に合わせられる。
【0039】
角度算出部10eは、表示部4に表示された体内画像の中から入力部8を用いて選択された処置対象の生体組織とカプセル型医療装置2の処置部との回転方向の位置を合わせるために必要な回転角度を算出する。具体的には、角度算出部10eは、表示部4に設定された2軸直交座標系における処置部の位置座標情報を予め有する。また、角度算出部10eは、入力部8によって入力された処置対象の位置座標情報、すなわち表示部4の2軸直交座標系における処置対象の位置座標情報を取得する。角度算出部10eは、かかる処置部および処置対象の各位置座標情報をもとに、表示部4の2軸直交座標系における処置対象の方向と処置部方向とのなす角度、すなわち、かかる処置対象に対する相対的なカプセル型医療装置2の回転角度を算出する。かかる回転角度だけカプセル型医療装置2が長手軸を中心に回転することによって、カプセル型医療装置2の処置部と処置対象との回転方向の位置が高精度に合わせられる。
【0040】
つぎに、本発明の実施の形態1にかかるカプセル型医療装置2の構成について詳細に説明する。図2は、本発明の実施の形態1にかかるカプセル型医療装置の一構成例を示す模式図である。図2に示すように、この実施の形態1にかかるカプセル型医療装置2は、筒状筐体20aとドーム形状筐体20bとによって形成されるカプセル型筐体20と、被検体1の体内画像を撮像する撮像ユニット21と、撮像ユニット21によって撮像された体内画像を含む画像信号を生成する信号処理部22と、体内所望部位に対する処置を行う処置部23と、この処置部23の方向と重力方向とのなす角度を検出する重力センサ24とを備える。また、カプセル型医療装置2は、外部の体外通信部3(図1参照)と無線通信を行う通信ユニット25と、かかるカプセル型医療装置2の各構成部を制御する制御部26と、電池等によって実現される電源ユニット27と、上述した磁気誘導部5による外部磁界に追従して動作する磁石28とを備える。
【0041】
カプセル型筐体20は、被検体1の内部に導入可能な大きさに形成されたカプセル型の筐体であり、一端がドーム形状をなす筒状筐体20aの他端(開口端)をドーム形状筐体20bによって塞いで形成される。ドーム形状筐体20bは、所定の波長帯域の光(例えば可視光)に対して透明な光学ドームである。一方、筒状筐体20aは略不透明な筐体であり、筒状筐体20aの一部分には、処置部23を出し入れ(突没)するための開口部20cが形成される。かかる筒状筐体20aとドーム形状筐体20bとによって形成されるカプセル型筐体20の内部には、撮像ユニット21、信号処理部22、処置部23、重力センサ24、通信ユニット25、制御部26、電源ユニット27、および磁石28が収容される。この場合、処置部23は、カプセル型筐体20の開口部20cの近傍に配置される。また、撮像ユニット21は、処置部23(詳細には、後述する採取部23a)に対して相対的に固定された位置に配置される。すなわち、かかる撮像ユニット21と処置部23との相対距離(以下、部品間距離という)は、カプセル型筐体20の内部において一定である。
【0042】
ここで、かかるカプセル型筐体20を外装として備えるカプセル型医療装置2には、XYZの3軸直交座標系が設定される。この3軸直交座標系において、X軸は、カプセル型筐体20の長手方向の中心軸CLと一致し、Y軸およびZ軸は、互いに直交する軸であって、この中心軸CLに垂直な方向、すなわちカプセル型筐体20の径方向の中心軸と一致する。
【0043】
撮像ユニット21は、被検体1の体内画像を撮像するためのものであり、LED等の照明部21aと、集光レンズ等の光学系21bと、CCD等の固体撮像素子21cとを有する。複数の照明部21aは、ドーム形状筐体20b越しに被写体(具体的には被検体1の臓器内部)を照明する。光学系21bは、これら複数の照明部21aによって照明された被写体からの反射光を集光して、固体撮像素子21cの受光面に被写体の光学像を結像する。固体撮像素子21cは、この被写体からの反射光を受光面を介して受光して、光学系21bによって結像された被写体の光学像を撮像する。かかる構成を有する撮像ユニット21は、上述した中心軸CLの方向(すなわちカプセル型筐体20の長手方向であるX軸方向)と同方向である撮像方向Fと画角ωとを有し、かかる撮像方向Fおよび画角ωによって規定される撮像視野内の被写体の光学像、すなわち被検体1の体内画像を撮像する。
【0044】
ここで、上述したようにXYZの3軸直交座標系が設定されたカプセル型医療装置2において、かかる固体撮像素子21cの受光面は、図3に示すように、Y軸およびZ軸による直交2軸座標系の平面であり、この受光面の上下方向はY軸方向と一致し、この受光面の左右方向はZ軸方向と一致する。この場合、かかる固体撮像素子21cによって撮像された被検体1の体内画像Pの上下方向はY軸方向と一致し、かかる体内画像Pの左右方向はZ軸方向と一致する。
【0045】
また、カプセル型筐体20の内部に固定配置された撮像ユニット21の固体撮像素子21cは、中心軸CLを回転中心にしたカプセル型医療装置の回転に伴って回転し、この結果、この固体撮像素子21cの上下方向(Y軸方向)と重力方向Gとの間に回転角度θ1が生じる。かかる固体撮像素子21cの上下方向と重力方向Gとのなす回転角度θ1は、例えばX軸方向に向かって時計回りの方向を正方向とする角度であり、後述する重力センサ24によって検出される。なお、かかる回転角度θ1は、後述する処置部23の突没方向(処置部方向の一例)と重力方向Gとのなす回転角度と同値である。
【0046】
信号処理部22は、かかる撮像ユニット21の固体撮像素子21cによって光電変換された信号を取得し、この取得した信号に対して所定の信号処理を行って、被検体1の体内画像を含む画像信号を生成する。信号処理部22は、このように画像信号を生成する都度、生成した画像信号を通信ユニット25に順次送信する。
【0047】
処置部23は、病変組織等の処置対象に対する処置を行う処置手段として機能し、かかる生体組織に対する処置の一例として、病変組織等の所望の生体組織を体内部位から採取する。具体的には、処置部23は、被検体1の体内部位から生体組織を切断し、採取する鉗子状の採取部23aと、生体組織を採取するための一連の採取動作を採取部23aに行わせる駆動部23bとを備える。
【0048】
採取部23aは、図2に示すように鉗子状のものであり、駆動部23bの作用によって、処置対象である生体組織を体内部位から採取するための一連の採取動作を行う。具体的には、採取部23aは、カプセル型筐体20の内部に設けられた収容部20dの内部に収容され、駆動部23bの作用によって開口部20cからカプセル型筐体20の外部に突出する。かかる採取部23aは、処置対象である生体組織に向かって突出し、その後、駆動部23bの作用によって鉗子状先端部を開閉して、この生体組織を体内部位から切断採取する。採取部23aは、この生体組織を採取した後、駆動部23bの作用によってカプセル型筐体20の内部に向けて移動し、最終的に収容部20dの内部に収容される。このようにして、採取部23aは、かかる一連の採取動作の1サイクルを終了する。なお、かかる採取部23aによって採取された生体組織は、この採取部23aの鉗子状先端部内に把持された状態でカプセル型筐体20の内部に保管される。
【0049】
ここで、かかる採取部23aの突没方向Dは、本発明における処置部方向の一例であり、カプセル型医療装置2は、病変組織等の処置対象の近傍に到達した状態において突没方向Dに処置対象を位置させることによって、中心軸CL方向および回転方向に関する採取部23aと処置対象との高精度な位置合わせを実現する。
【0050】
駆動部23bは、アクチュエータ等を用いて実現され、制御部26の制御に基づいて採取部23aに一連の採取動作を行わせる。かかる駆動部23bは、制御部26からの制御信号を受信する都度、すなわち制御部26による1回の制御毎に、採取部23aに一連の採取動作を1サイクル行わせる。なお、収容部20dは、上述した採取部23aを収容する筒状部材であり、開口部20cを介してカプセル型筐体20の外部に連通するとともに、制御部26および電源ユニット27等の電子部品を収容するカプセル型筐体20の内部領域と採取部23aの収容領域とを隔離する。
【0051】
重力センサ24は、カプセル型医療装置2が長手方向の中心軸CL回りに回転した際に生じる処置部23の方向(すなわち採取部23aの突没方向D)と重力方向Gとのなす角度を検出する。ここで、図2に示す採取部23aの突没方向Dは、カプセル型医療装置2において固定された方向であり、例えば、上述した3軸直交座標系のY軸方向と一致する。この場合、かかる突没方向Dは、図3に示した固体撮像素子21cの上下方向(Y軸方向)と一致する。すなわち、重力センサ24は、採取部23aの突没方向Dと重力方向Gとのなす角度として、上述した回転角度θ1(図3参照)を検出する。重力センサ24は、かかる回転角度θ1の検出結果を制御部26に送信する。
【0052】
なお、かかる回転角度θ1は、体外通信部3等を介して外部の制御部10(図1参照)に通知される。制御部10は、体外通信部3等を介して重力センサ24の検出角度(回転角度θ1)を取得し、この取得した検出角度をもとに体内画像Pの回転ずれを補正して、表示部4の2軸直交座標系の軸方向(例えば表示画面の上下方向)と、採取部23aの突没方向Dに対応する体内画像Pの方向(例えばY軸方向)とを合わせる。制御部10は、このように表示部4の2軸直交座標系の軸方向と採取部23aの突没方向Dに対応する体内画像Pの方向とを合わせた態様で表示部4に体内画像Pを表示させる。これによって、表示部4の2軸直交座標系は、上述したY軸およびZ軸による体内画像Pの2軸直交座標系と一致し、この結果、医師または看護師等のユーザは、かかる表示部4に表示された体内画像Pの上下左右の各方向によって被検体1内部のカプセル型医療装置2のY軸方向およびZ軸方向を容易に把握でき、この体内画像Pを参照することによって被検体1内部のカプセル型医療装置2の磁気誘導を容易に操作することができる。
【0053】
通信ユニット25は、コイル状のアンテナ25aを備え、このアンテナ25aを用いて被検体1外部の体外通信部3(図1参照)と無線通信を行う。具体的には、通信ユニット25は、制御部26の制御に基づいて、被検体1の体内画像および重力センサ24の検出角度情報を外部に無線送信する。この場合、通信ユニット25は、信号処理部22によって生成された画像信号と、この画像信号に対応する体内画像が撮像されたタイミングにおいて重力センサ24が検出した回転角度θ1とを取得する。通信ユニット25は、所定の変調処理等を行って、かかる画像信号と重力センサ24の検出角度情報(回転角度θ1)とを含む無線信号を生成し、この生成した無線信号を外部に送信する。なお、かかる画像信号および検出角度情報を含む無線信号は、上述した複数のアンテナ3aを介して体外通信部3に受信される。
【0054】
また、通信ユニット25は、制御部26の制御に基づき、アンテナ25aを介して体外通信部3からの無線信号を受信し、所定の復調処理等を行って、この無線信号に含まれる制御信号を抽出する。ここで、かかる通信ユニット25によって復調された制御信号は、上述したように、外部の制御部10によって生成された制御信号であって、体内部位の生体組織を採取するための一連の採取動作をカプセル型医療装置2に指示するための制御信号である。通信ユニット25は、かかる外部の制御部10からの制御信号を制御部26に送信する。
【0055】
制御部26は、カプセル型医療装置2の各構成部(撮像ユニット21、信号処理部22、処置部23、重力センサ24、通信ユニット25)を制御し、且つ、かかる各構成部間における信号の入出力を制御する。具体的には、制御部26は、照明部21aによって照明された被写体の画像(すなわち体内画像)を固体撮像素子21cによって撮像するように撮像ユニット21を制御し、この撮像ユニット21に体内画像を撮像させたタイミングで重力センサ24に回転角度θ1を検出させる。また、制御部26は、かかる体内画像と重力センサ24の検出角度情報とを含む無線信号を外部に送信するように信号処理部22および通信ユニット25を制御する。一方、制御部26は、通信ユニット25を介して外部の制御部10からの制御信号を取得し、この取得した制御信号に基づいて処置部23による一連の採取動作を制御する。この場合、制御部26は、かかる制御信号に基づいて処置部23の駆動部23bを制御し、この駆動部23bの制御を通して採取部23aの動作、すなわち一連の採取動作を制御する。
【0056】
電源ユニット27は、スイッチ回路およびボタン型の電池等を用いて実現され、スイッチ回路によってオン状態に切り替わった際に、上述した撮像ユニット21、信号処理部22、処置部23、重力センサ24、通信ユニット25、および制御部26に対して電力を供給する。
【0057】
磁石28は、永久磁石、電磁石、または磁性体によって実現され、例えばカプセル型筐体20の長手方向の中心軸CLに垂直な方向(すなわちカプセル型筐体20の径方向)に着磁する態様で筒状筐体20aの内部に固定配置される。磁石28は、上述した磁気誘導部5(図1参照)によって形成された外部磁界に追従して動作し、これによって、3軸直交座標系の軸方向(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向)にカプセル型医療装置2を移動させ、または3軸直交座標系の軸回り(X軸回り、Y軸回り、Z軸回り)にカプセル型医療装置2を回転させる。かかる磁石28の作用によって、カプセル型医療装置2は、被検体1の体内部位における所望の位置に磁気誘導され、所望の姿勢をとり、または臓器内壁部に固定される。
【0058】
以上のような構成を有するカプセル型医療装置2は、図1に示したカプセル医療システム11において、被検体1の内部に導入され、その後、蠕動運動または磁気誘導部5による外部磁界等によって被検体1の消化管内部を移動しつつ被検体1の体内画像Pを順次撮像し、かかる体内画像Pと重力方向Gに対する回転ずれ量(すなわち回転角度θ1)とを外部に順次無線送信する。一方、外部の表示部4は、このカプセル型医療装置2によって撮像された体内画像Pと被検体1内部におけるカプセル型内視鏡2の現在位置情報とを表示する。この場合、表示部4は、採取部23aの突没方向Dに対応する体内画像Pの方向(Y軸方向)と表示画面の上下方向とを合わせた態様で体内画像Pを表示する。
【0059】
医師または看護師等のユーザは、かかる表示部4に表示された情報(体内画像、現在位置情報等)を参照しつつ操作部7または入力部8を操作して、被検体1内部における所望の体内部位(胃、小腸、大腸等)にカプセル型医療装置2を誘導する。ユーザは、かかる表示部4に表示された体内画像Pを観察することによって、病変組織等の処置対象の有無を判断する。ユーザは、表示部4に表示された体内画像Pの中に処置が必要な生体組織を発見した場合、上述したように入力部8を操作して、この体内画像Pの中から処置対象を選択する。
【0060】
外部の制御部10は、磁気誘導部5および電力供給部6を制御して、かかる体内画像Pの中から選択された処置対象である被検体1内部の生体組織と処置部23との相対距離を決定し、この決定した相対距離と上述した重力センサ24の検出角度とをもとに、中心軸CL方向および回転方向に関する処置対象と処置部23との位置合わせを制御する。
【0061】
つぎに、画像端部に処置対象を描出する体内画像Pを撮像可能な被検体1内部の特定位置にカプセル型医療装置2を誘導して、このカプセル型医療装置2の処置部23と処置対象との相対距離を決定するまでのカプセル医療システム11の動作について説明する。図4は、被検体1内部の特定位置までカプセル型医療装置2が誘導される状態を示す模式図である。図5は、被検体1内部の特定位置に誘導されるまでにカプセル型医療装置2が撮像した体内画像Pを例示する模式図である。なお、図4,5には、処置対象である生体組織の一例として病変組織15が図示されている。以下、図4,5を参照しつつ、カプセル医療システム11の動作について説明する。
【0062】
被検体1内部の処置対象である病変組織15が入力部8の入力操作によって体内画像Pの中から選択された場合、外部の制御部10は、磁気誘導部5および電力供給部6を制御し、これによって、この病変組織15を描出する体内画像Pを撮像可能な状態をカプセル型医療装置2に維持させつつ、画像端部に病変組織15を描出する体内画像Pを撮像可能な被検体1内部の特定位置までカプセル型医療装置2を磁気誘導する。
【0063】
ここで、被検体1内部のカプセル型医療装置2が臓器内壁部Wに非接触の状態(例えば臓器内部の液体等によって浮遊した状態)である場合、制御部10は、磁気誘導部5による外部磁界を制御し、この外部磁界の磁気力によって臓器内壁部Wにカプセル型医療装置2を接触させる。かかる制御部10は、カプセル型医療装置2の撮像ユニット21によって順次撮像された体内画像Pの連続フレーム間における類似性を判断し、この類似性が低い場合、臓器内壁部Wとカプセル型医療装置2とが未だ接触していないと判断する。この場合、制御部10は、臓器内壁部Wにカプセル型医療装置2を接触させるべく、かかる磁気誘導部5による外部磁界の制御を継続する。一方、制御部10は、この類似性が高い場合、すなわち、連続フレーム間において体内画像Pの変化が少ない場合、臓器内壁部Wとカプセル型医療装置2とが接触状態であると判断する。この場合、制御部10は、かかる臓器内壁部Wと接触状態のカプセル型医療装置2を上述した特定位置に到達させるべく、磁気誘導部5による外部磁界を制御する。
【0064】
このように磁気誘導されるカプセル型医療装置2は、図4に示すように、撮像ユニット21の撮像視野内に病変組織15を捕捉した状態を維持しつつ、臓器内壁部Wと接触し、この臓器内壁部Wと接触した状態で特定位置に到達し、この特定位置において停止状態になる。
【0065】
詳細には、かかるカプセル型医療装置2において、磁石28は、磁気誘導部5による外部磁界に追従して動作し、これによって、カプセル型医療装置2のカプセル型筐体20と臓器内壁部Wとを接触させ、この臓器内壁部Wとカプセル型筐体20との接触状態を維持しつつ、撮像ユニット21の撮像方向Fにカプセル型医療装置2を移動(前進)させる。かかる磁石28は、病変組織15の近傍にカプセル型医療装置2を移動させ、その後、撮像ユニット21の撮像視野の境界と病変組織15とが交差する位置、すなわち上述した特定位置においてカプセル型医療装置2を停止させる。この特定位置において、磁石28は、外部磁界の磁気力によって臓器内壁部Wにカプセル型筐体20を押し付けて、この臓器内壁部Wにカプセル型医療装置2を固定する。
【0066】
このようにカプセル型医療装置2が被検体1内部の特定位置に到達するまでの期間、撮像ユニット21は、病変組織15を描出する体内画像Pを順次撮像する。この場合、かかる体内画像P内の病変組織15は、図5に示すように、画像内側から画像端部に向かって変位する。外部の表示部4は、かかる病変組織15を描出した体内画像Pを表示するとともに、入力部8によって選択された処置対象であることを示すマークMを病変組織15の画像上に重畳して表示する。なお、かかるマークMは、表示部4の2軸直交座標系における病変組織15の位置座標情報に対応する。制御部10は、例えば図5に示すように、かかる病変組織15の画像上のマークMが体内画像Pの画像端部に位置する場合、上述した特定位置にカプセル型医療装置2が到達したと判断し、この特定位置にカプセル型医療装置2を停止させる。
【0067】
一方、上述した距離決定部10dは、図4に示すようにカプセル型医療装置2が被検体1内部の特定位置において停止した場合、このカプセル型医療装置2の処置部23と病変組織15との相対距離L3を決定する。ここで、かかるカプセル型医療装置2が到達した特定位置は、上述したように、画像端部に病変組織15を描出する体内画像Pを撮像可能な被検体1内部の位置であり、図4に示すように、撮像ユニット21の撮像視野の境界と病変組織15とが交差する位置である。かかる特定位置においてカプセル型医療装置2が停止した場合、この病変組織15と撮像ユニット21(具体的には光学系21b)との相対距離は、撮像ユニット21の画角ωとカプセル型筐体20の外径寸法rとによって規定される特定距離L2になる。また、かかる撮像ユニット21と処置部23との相対距離、具体的には、光学系21bと採取部23aとの部品間距離L1は、カプセル型筐体20の内部において一定である。距離決定部10dは、かかる部品間距離L1と特定距離L2との加算値である相対距離L3を既知のデータとして予め有し、カプセル型医療装置2が臓器内壁部Wに接触した状態で特定位置に停止した場合に、病変組織15と採取部23aとの相対距離L3を決定する。
【0068】
なお、上述した特定距離L2は、撮像ユニット21の画角ωとカプセル型筐体20の外径寸法rとを用いて次式(1)によって算出できる。

L2=(r/2)/tan(ω/2) ・・・(1)
【0069】
つぎに、処置対象の一例として病変組織15を例示して、処置対象に対する相対的なカプセル型医療装置2の回転角度を算出する角度算出部10eの動作について説明する。図6は、角度算出部10eによる回転角度の算出処理を説明するための模式図である。なお、図6には、角度算出部10eがカプセル型医療装置2の回転角度θ2を算出する際に表示部4に表示される体内画像Pが模式的に図示されている。
【0070】
外部の表示部4には、上述したように、体内画像Pと同様の2軸直交座標系、すなわち図6に示すようなY軸およびZ軸による2軸直交座標系が設定され、表示部4の上下方向はY軸方向と一致し、表示部4の左右方向はZ軸方向に一致する。かかるY軸およびZ軸による2軸直交座標系が設定された表示部4は、この2軸直交座標系における病変組織15の位置座標を示すマークMを病変組織15の画像上に表示する。
【0071】
角度算出部10eは、入力部8によって入力された病変組織15の位置座標情報、すなわち、表示部4の2軸直交座標系におけるマーカMの位置座標情報を取得する。また、角度算出部10eは、この表示部4の2軸直交座標系における採取部23aの位置座標情報を、Y軸上の既知の点N(例えば負の点)の位置座標情報として予め有する。角度算出部10eは、かかる表示部4の2軸直交座標系のY軸方向(具体的にはY軸の負方向)と病変組織15の位置座標情報とをもとに、カプセル型医療装置2の処置部方向と病変組織15の方向とのなす回転角度θ2を算出する。
【0072】
詳細には、角度算出部10eは、表示部4の2軸直交座標系において、原点Oを始点とするマーカMおよび点Nの各位置ベクトルを算出する。ここで、かかる2つの位置ベクトルのなす角度は、カプセル型医療装置2の中心軸CL上の任意点と病変組織15とを結ぶ垂線の方向(カプセル型医療装置2に対する相対的な処置対象の方向)と処置部23の方向(採取部23aの突没方向D)とのなす角度と略同値である。角度算出部10eは、かかるマーカMおよび点Nの各位置ベクトルをもとに、これら2つの位置ベクトルのなす角度、すなわちカプセル型医療装置2の処置部方向と病変組織15の方向とのなす回転角度θ2を算出する。かかる角度算出部10eによって算出された回転角度θ2は、採取部23aの突没方向Dに病変組織15を位置させるために必要なカプセル型医療装置2の回転角度である。
【0073】
つぎに、処置対象の一例として病変組織15を例示して、カプセル型医療装置2の処置部23と処置対象との位置を合わせる際のカプセル医療システム11の動作について説明する。図7は、カプセル型医療装置2の長手方向に関する処置部23と病変組織15との位置合わせを説明するための模式図である。図8は、カプセル型医療装置2の回転方向に関する処置部23と病変組織15との位置合わせを説明するための模式図である。
【0074】
位置制御部10aは、距離決定部10dが決定した処置部23と病変組織15との相対距離L3に基づいて磁気誘導部5による外部磁界を制御し、これによって、カプセル型医療装置2と臓器内壁部Wとの接触状態を維持しつつ、撮像ユニット21の撮像方向Fに相対距離L3だけカプセル型医療装置2を移動させる。この場合、被検体1内部のカプセル型医療装置2は、図7に示すように、外部磁界に追従する磁石28の作用によって、臓器内壁部Wと接触した状態を維持しつつ撮像方向F(すなわち中心軸CLの方向)に相対距離L3だけ移動(前進)する。この結果、カプセル型医療装置2は、カプセル型筐体20の長手方向である中心軸CLの方向(すなわちカプセル型医療装置2の3軸直交座標系のX軸)について、処置部23の採取部23aと病変組織15との位置を高精度に合わせることができる。
【0075】
一方、位置制御部10aは、角度算出部10eが算出した採取部23aの突没方向Dと病変組織15の方向とのなす回転角度θ2に基づいて磁気誘導部5による外部磁界を制御し、これによって、カプセル型医療装置2と臓器内壁部Wとの接触状態を維持しつつ、上述したX軸回りに回転角度θ2だけカプセル型医療装置2を回転させる。この場合、被検体1内部のカプセル型医療装置2は、図8に示すように、外部磁界に追従する磁石28の作用によって、臓器内壁部Wと接触した状態を維持しつつX軸回り(すなわち中心軸CL回り)に回転角度θ2だけ回転する。この結果、カプセル型医療装置2は、カプセル型筐体20の中心軸CL回りの回転方向(すなわちX軸回りの回転方向)について、処置部23の採取部23aと病変組織15との位置を高精度に合わせることができる。
【0076】
なお、位置制御部10aは、まず、カプセル型医療装置2の長手方向について処置部23と病変組織15との位置合わせを制御し、その後、中心軸CL回りの回転方向について処置部23と病変組織15との位置合わせを制御してもよいし、まず、中心軸CL回りの回転方向について処置部23と病変組織15との位置合わせを制御し、その後、カプセル型医療装置2の長手方向について処置部23と病変組織15との位置合わせを制御してもよい。あるいは、位置制御部10aは、かかる処置部23と病変組織15との位置合わせを長手方向および回転方向について同時に制御してもよい。
【0077】
上述したように処置部23と病変組織15との位置合わせが達成されたカプセル型医療装置2は、採取部23aの突没方向Dに病変組織15を位置させる。かかる状態のカプセル型医療装置2は、体外通信部3等を介して外部の制御部10からの制御信号を取得し、この取得した制御信号に基づいて採取部23aに一連の採取動作を行わせ、この採取部23aによって、被検体1の体内部位から病変組織15を確実に切断採取する。カプセル型医療装置2は、この採取した病変組織15をカプセル型筐体20の内部に保管する。
【0078】
その後、かかる病変組織15を保管した状態のカプセル型医療装置2は、蠕動運動または外部磁界等によって消化管内部を移動し、最終的に被検体1の外部に排出される。なお、被検体1から排出されたカプセル型医療装置2内部の病変組織15は、医師または看護師等に回収され、生体検査等に用いることができる。
【0079】
以上、説明したように、本発明の実施の形態1では、距離決定部が、体内画像の撮像方向に関するカプセル型医療装置の処置部と処置対象の生体組織との相対距離を決定し、角度算出部が、この処置対象の方向と処置部方向とのなす回転角度を算出し、位置制御部が、カプセル型医療装置内部の磁石を用いて、この処置部と処置対象との相対距離だけ撮像方向にカプセル型医療装置を移動させ、且つ、この回転角度だけカプセル型医療装置を回転させるように構成した。このため、被検体内部の所望の生体組織に対して処置を行うカプセル型医療装置の処置部と処置対象の生体組織とを高精度に位置合わせすることができ、これによって、カプセル型医療装置の処置部方向に処置対象の生体組織を確実に位置させることができ、この結果、X線装置等の被検体内部の状態を観察可能な医療装置を用いなくとも、この処置対象の生体組織に対する処置を確実に行うことが可能なカプセル医療システムを簡易な構成で実現することができる。
【0080】
(実施の形態2)
つぎに、本発明の実施の形態2について説明する。上述した実施の形態1では、被検体1内部の特定位置にカプセル型医療装置2を停止させた状態において特定可能な処置部23と処置対象との相対距離を一定にしていたが、この実施の形態2では、処置対象と撮像ユニットとの距離をカプセル型医療装置に測定させ、この測定距離と撮像ユニットおよび処置部の部品間距離とを加算することによって、処置部と処置対象との相対距離を算出するようにしている。
【0081】
図9は、本発明の実施の形態2にかかるカプセル医療システムの一構成例を模式的に示すブロック図である。図9に示すように、この実施の形態2にかかるカプセル医療システム31は、上述した実施の形態1にかかるカプセル医療システム11のカプセル型医療装置2に代えてカプセル型医療装置32を備え、制御部10に代えて制御部40を備える。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
【0082】
カプセル型医療装置32は、被検体1の内部に導入可能な大きさに形成されたカプセル形状の医療装置であり、被検体1内部の処置対象と撮像ユニットとの間の距離を測定する距離測定機能を有し、上述した無線通信機能によって、この距離測定結果を外部の体外通信部3に送信する。かかるカプセル型医療装置32が有する他の機能は、上述した実施の形態1にかかるカプセル型医療装置2と同様である。
【0083】
制御部40は、表示部4に表示された体内画像Pの中から入力部8によって処置対象が選択された場合、この処置対象までの距離の測定を指示する制御信号を生成し、この生成した制御信号を被検体1内部のカプセル型医療装置32に送信するように体外通信部3を制御する。また、制御部40は、磁気誘導部5および電力供給部6の制御を通して被検体1内部のカプセル型医療装置32の位置および姿勢を制御し、これによって、かかるカプセル型医療装置32の測距エリア内に処置対象を位置させる。すなわち、制御部40は、入力部8によって入力された指示情報に基づいて、処置対象までの距離を測定可能な姿勢をカプセル型医療装置32にとらせる。
【0084】
また、制御部40は、位置制御部10a、画像処理部10b、位置算出部10c、角度算出部10e、およびサイズ算出部40fを有し、実施の形態1にかかるカプセル医療システム11の距離決定部10dに代えて距離決定部40dを有する。距離決定部40dは、カプセル型医療装置32から取得した距離測定結果を用いてカプセル型医療装置32の処置部(具体的には採取部23a)と処置対象との相対距離L3を決定(算出)する。位置制御部10aは、かかる距離決定部40dによって決定された相対距離L3だけカプセル型医療装置32を移動させ、これによって、この処置対象とカプセル型医療装置32の処置部23との位置合わせを高精度に制御する。この場合、制御部40は、上述した特定位置にカプセル型医療装置32を磁気誘導しなくてもよい。
【0085】
サイズ算出部40fは、入力部8によって入力された位置座標情報とカプセル型医療装置32による距離測定結果とをもとに、体内画像Pの中から選択された処置対象である生体組織のサイズを算出する。制御部40は、かかるサイズ算出部40fによる算出結果を表示部4に表示させる。なお、かかるサイズ算出部40fによって算出される生体組織のサイズとして、例えば、生体組織の周囲長、外径寸法、面積等が挙げられる。かかる制御部40が有する他の機能は、上述した実施の形態1にかかるカプセル医療システム11の制御部10と同様である。
【0086】
つぎに、本発明の実施の形態2にかかるカプセル型医療装置32の構成について詳細に説明する。図10は、本発明の実施の形態2にかかるカプセル型医療装置の一構成例を示す模式図である。図10に示すように、この実施の形態2にかかるカプセル型医療装置32は、上述した実施の形態1にかかるカプセル型医療装置2の制御部26に代えて制御部36を備え、処置対象と撮像ユニット21との距離を測定する距離測定部33をさらに備える。この場合、通信ユニット25は、制御部36の制御に基づいて、距離測定部33の測定結果を外部の体外通信部3に送信する。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
【0087】
距離測定部33は、撮像ユニット21の撮像方向Fに位置する処置対象(すなわち撮像ユニット21の撮像視野内に位置する処置対象)に対してドーム形状筐体20b越しに所定の波長帯域の光(例えば赤外線光、可視光等)を照射し、この処置対象からの反射光を受光する。距離測定部33は、かかる反射光の受光結果を利用した三角法等に基づいて、この処置対象である生体組織と撮像ユニット21(例えば光学系21b)との距離を測定する。距離測定部33は、かかる処置対象と撮像ユニット21との間の距離測定結果を制御部36に送信する。
【0088】
なお、かかる距離測定部33は、図10に示したように、撮像ユニット21の別体としてカプセル型筐体20の内部に配置されたものであってもよいし、撮像ユニット21に設けられたオートフォーカス機構であってもよい。この場合、撮像ユニット21のオートフォーカス機構としての距離測定部33は、LED光または赤外線光の送受光を利用した三角法、あるいは光学系21bのレンズ移動量等に基づいて、処置対象である生体組織と撮像ユニット21との距離を測定する。または、距離測定部33は、処置対象に対して超音波を出力し、この超音波のエコーをもとに処置対象と撮像ユニット21との距離を測定するものであってもよい。
【0089】
制御部36は、上述した外部の制御部40からの制御信号に基づいて距離測定部33を制御し、この距離測定部33の測定結果を取得する。この場合、制御部36は、距離測定部33の測距エリア内に処置対象である生体組織が位置するタイミングで距離測定部33に測距動作を行わせ、この結果、この生体組織と撮像ユニット21との間の測定距離を取得する。制御部36は、この距離測定部33の測定結果を外部の体外通信部3に無線送信するように通信ユニット25を制御する。かかる制御部36が有する他の機能は、上述した実施の形態1にかかるカプセル型医療装置2の制御部26と同様である。
【0090】
つぎに、処置対象である生体組織の一例として病変組織15を例示して、被検体1内部の処置対象とカプセル型医療装置32の処置部23との相対距離L3を決定するまでのカプセル医療システム31の動作について説明する。図11は、病変組織を選択する際に表示部に表示される体内画像を例示する模式図である。図12は、カプセル型医療装置が病変組織までの距離を測定する際に表示部に表示される体内画像を例示する模式図である。図13は、実施の形態2にかかるカプセル型医療装置の処置部と病変組織との相対距離を説明するための模式図である。
【0091】
表示部4に表示された体内画像Pの中から処置対象である病変組織15を選択する際、ユーザは、入力部8を用いてクリック操作等の入力操作を行い、体内画像P内の病変組織15を囲むように複数の座標点を指定する。かかる入力操作に応じて、入力部8は、例えば図11に示すように、病変組織15の画像を囲む4つの座標点Q1〜Q4の各位置座標情報を制御部40に入力する。この場合、入力部8は、かかる座標点Q1〜Q4によって囲まれる病変組織15を体内画像Pの中から選択したことになる。なお、体内画像Pの中から病変組織15を選択する際に入力部8によって入力される座標点は、この病変組織15の画像を囲む態様で複数あればよく、特に4点に限定されない。
【0092】
図11に示したように体内画像Pの中から病変組織15が選択された場合、制御部40は、上述した磁気誘導部5による外部磁界を制御して、被検体1内部の病変組織15までの距離を測定可能な姿勢をカプセル型医療装置32にとらせる。この結果、被検体1内部の病変組織15は、図12に示すように、上述した距離測定部33の測距エリアA内に位置する。制御部40は、かかる測距エリアA内に病変組織15が位置した態様の体内画像Pの画素情報をもとに、カプセル型医療装置32が病変組織15までの距離を測定可能な姿勢である旨を認識する。制御部40は、かかる姿勢をカプセル型医療装置32に維持させつつ、距離測定を指示する制御信号をカプセル型医療装置32に送信するよう体外通信部3を制御する。
【0093】
被検体1内部のカプセル型医療装置32は、かかる制御部40からの制御信号に基づいて病変組織15までの距離を測定する。かかるカプセル型医療装置32において、制御部36は、この制御部40からの制御信号に基づいて距離測定部33に距離を測定させる。この場合、距離測定部33は、図13に示すように、撮像ユニット21の撮像方向Fに位置する病変組織15と撮像ユニット21(具体的には光学系21b)との間の距離を測定し、この測定距離L4を制御部36に通知する。制御部36は、かかる距離測定部33の測定結果(測定距離L4)を取得し、この取得した測定距離L4を外部の体外通信部3に送信するよう通信ユニット25を制御する。
【0094】
外部の制御部40は、かかる距離測定部33の測定結果(測定距離L4)を体外通信部3を介して取得する。サイズ算出部40fは、入力部8によって入力された座標点Q1〜Q4(図12参照)の各位置座標情報と測定距離L4とをもとに、病変組織15の実際のサイズ(例えば周囲長、外径寸法、面積等)を算出する。制御部40は、かかるサイズ算出部40fによって算出された病変組織15のサイズとともに、この病変組織15が処置対象であるか否かを選択するためのGUI(図示せず)を表示部4に表示させる。ユーザは、この表示部4に表示された病変組織15のサイズを確認して、この病変組織15が処置対象(すなわち処置が必要な生体組織)であるか否かを判断する。
【0095】
病変組織15が処置対象である場合、入力部8は、病変組織15が処置対象である旨の選択情報を制御部40に入力する。この場合、距離決定部40dは、この選択情報に対応する病変組織15とカプセル型医療装置32の処置部23との相対距離L3を決定する。具体的には、距離決定部40dは、カプセル型医療装置32から取得した距離測定部33の測定結果(測定距離L4)と上述した部品間距離L1とを加算して、病変組織15と処置部23の採取部23aとの相対距離L3を算出する(図13参照)。
【0096】
位置制御部10aは、かかる距離決定部40dによって算出された相対距離L3に基づいて磁気誘導部5による外部磁界を制御し、これによって、カプセル型医療装置32と臓器内壁部Wとの接触状態を維持しつつ、撮像ユニット21の撮像方向Fに相対距離L3だけカプセル型医療装置32を移動させる。この際、位置制御部10aは、撮像ユニット21の撮像視野の境界と病変組織15とが交差する位置、すなわち上述した特定位置にカプセル型医療装置32が位置した時点でカプセル型医療装置32の移動を一時停止する。制御部40は、この病変組織15に対する相対的なカプセル型医療装置32の回転角度θ2の算出に必要な位置座標情報の入力を要求するGUIを表示部4に表示させる。入力部8は、ユーザによる入力操作に応じて、体内部位Pの画像端部に描出された病変組織15の位置座標情報を制御部40に入力する。この場合、角度算出部10eは、上述した実施の形態1の場合と同様に回転角度θ2を算出する。その後、位置制御部10aは、上述した実施の形態1の場合と同様に磁気誘導部5による外部磁界を制御し、この結果、カプセル型医療装置32の処置部23(詳細には採取部23a)と病変組織15との位置合わせを中心軸CLの方向および回転方向について高精度に制御する。
【0097】
一方、病変組織15が処置対象ではない場合、入力部8は、病変組織15が処置対象ではない旨の選択情報を制御部40に入力する。この場合、制御部40は、かかる病変組織15の画像を囲む複数の座標点(図11,12に示した座標点Q1〜Q4)を取り消し、体内画像Pの中から処置対象を新たに選択する座標点の入力を要求する旨の情報を表示部4に表示させる。その後、制御部40は、処置対象を選択する複数の座標点が入力された場合に、この処置対象とカプセル型医療装置32との位置合わせのための動作(制御)を繰り返す。
【0098】
以上、説明したように、本発明の実施の形態2では、距離測定部が、カプセル型医療装置の撮像ユニットの撮像方向に位置する生体組織と撮像ユニットとの間の距離を測定し、距離決定部が、この撮像ユニットおよび処置部の間の部品間距離と距離測定部による測定距離とを加算して、体内画像の撮像方向に関するカプセル型医療装置の処置部と処置対象の生体組織との相対距離を算出し、位置制御部が、この距離決定部によって算出された相対距離だけ撮像方向にカプセル型医療装置を移動させるようにし、その他を上述した実施の形態1と略同様に構成した。このため、カプセル型医療装置の外径寸法および外形によらずに撮像ユニットと処置対象との間の距離を取得でき、この結果、上述した実施の形態1と同様の作用効果を享受するとともに、カプセル型医療装置の外径寸法または外形が多種多様であっても、所望のカプセル型医療装置の処置部と処置対象との位置合わせが可能なカプセル医療システムを実現することができる。
【0099】
また、入力部が、体内画像の中から選択された所望の生体組織を囲む複数の座標点を入力し、サイズ算出部が、これら複数の座標点の各位置座標情報と距離測定部による測定距離(すなわち選択された生体組織と撮像ユニットとの間の距離)とをもとに所望の生体組織の実際のサイズを算出し、表示部が、かかるサイズ算出部の算出結果を表示するようにしたので、この所望の生体組織が処置対象であるか否かを判断でき、処置対象であると判断された生体組織(例えば病変組織等)と処置部との位置合わせを選択的に実行可能なカプセル医療システムを実現することができる。
【0100】
なお、本発明の実施の形態1,2では、生体組織に対する処置として体内部位から生体組織を採取する処置部を備えたカプセル型医療装置を例示したが、これに限らず、カプセル型医療装置が保有する処置部は、体内部位の生体組織に薬液を注射(注入)するものであってもよいし、体内部位の生体組織に薬剤を放出するものであってもよいし、病変組織等の生体組織を治療(例えば、レーザー治療、温熱治療)するものであってもよいし、超音波振動によって生体組織を切断または粉砕するものであってもよい。または、カプセル型医療装置の処置部は、生体組織に対する治療等の処置を行うためにカプセル型医療装置を体内部位に留置する留置手段であってもよい。
【0101】
また、本発明の実施の形態1,2では、処置対象に対するカプセル型医療装置の回転角度θ2を算出し、この回転角度θ2だけカプセル型医療装置を回転させて採取部23aの突没方向Dと病変組織の方向とを合わせていたが、これに限らず、処置対象である病変組織等の生体組織の近傍に薬剤を注入または放出する処置を行う場合、この薬剤の吐出方向と生体組織の方向とを必ずしも合わせる必要はなく、カプセル型医療装置の長手方向(撮像方向)について処置部と処置対象の生体組織との位置を合わせれば、この生体組織に対する処置を確実に行うことができる、または、カプセル型筐体の周方向に沿って複数箇所に薬剤の吐出口を設け、カプセル型筐体の全周に亘って薬剤を放出するように構成すれば、処置対象に対するカプセル型医療装置の回転角度θ2を算出しなくてもよい。
【0102】
さらに、本発明の実施の形態1,2では、連続する前後の体内画像において画像の類似性が高い場合、すなわち、前後の体内画像において被検体内部の臓器等の被写体の位置が略一定(殆ど変位がない)場合に臓器内壁部にカプセル型筐体が接触した状態であると判断していたが、これに限らず、臓器内壁部とカプセル型筐体とが接触した状態である旨を検出する接触検出手段をカプセル型医療装置に設け、この接触検出手段の検出結果に基づいて、臓器内壁部とカプセル型筐体とが接触したか否かを判断してもよいし、臓器内壁部に向けて一定時間以上カプセル型医療装置を移動させた場合に臓器内壁部とカプセル型筐体とが接触したと判断してもよい。この結果、蠕動運動等の臓器の動きによらず、臓器内壁部とカプセル型筐体との接触状態を確実に検出することができる。なお、かかる接触検出手段は、電極間抵抗値または接触圧力等を用いて接触状態を検出する接触センサであってもよいし、pHセンサであってもよいし、光学センサであってもよい。
【0103】
また、本発明の実施の形態1では、撮像ユニットの画角ωとカプセル型筐体の外径寸法rとによって規定される特定距離L2が固定された値であったが、これに限らず、カプセル型医療装置の種類に応じて画角およびカプセル型筐体の外径寸法を入力するようにし、この入力情報をもとに特定距離L2を算出してもよい。この場合、距離決定部10dは、カプセル型医療装置の種類毎に入力部8によって入力される画角ωおよび外径寸法rをもとに、上述した式(1)に基づいて特定距離L2を算出すればよい。この結果、カプセル医療システム11は、カプセル型医療装置の外径寸法または外形が多種多様であっても、所望のカプセル型医療装置の処置部と処置対象との位置合わせを高精度に実行できるものになる。
【0104】
さらに、本発明の実施の形態1では、処置対象に対して1点の位置座標情報を入力していたが、これに限らず、上述した実施の形態2の場合と同様に、処置対象である生体組織を囲む複数の座標点を入力し、これら複数の座標点によって囲まれた生体組織のサイズを算出するようにしてもよい。この場合、実施の形態1にかかるカプセル医療システム11の制御部10は、上述したサイズ算出部40fを備え、カプセル型医療装置2が被検体1内部における特定位置(画像端部に処置対象の生体組織を描出する体内画像を撮像可能な位置)に到達した際、サイズ算出部40fが、処置対象の生体組織を囲む複数の座標点の各位置座標情報と特定距離L2とをもとに、この生体組織の実際のサイズを算出すればよい。
【0105】
また、本発明の実施の形態1,2では、カプセル型医療装置の内部に磁石を設け、外部磁界によって被検体内部のカプセル型医療装置を磁気誘導していたが、これに限らず、タイヤまたはキャタピラ等の自走手段とアクチュエータとを用いてカプセル型医療装置の移動に寄与する駆動手段を構成し、この駆動手段を用いてカプセル型医療装置が自走するようにしてもよい。この場合、外部の制御部は、被検体内部のカプセル型医療装置に送信する制御信号によって、カプセル型医療装置の自走による移動距離および移動方向を制御すればよい。
【0106】
さらに、本発明の実施の形態1,2では、外部磁界の磁力(具体的には磁気引力または磁気斥力)によってカプセル型医療装置を臓器内壁部に固定していたが、これに限らず、臓器内壁部にカプセル型医療装置を固定(留置)するためのクリップ機構等をカプセル型医療装置に設け、これによって臓器内壁部にカプセル型医療装置を固定してもよい。
【0107】
また、本発明の実施の形態1,2では、位置制御部10aが、体内画像Pの中から選択された処置対象の生体組織と処置部との位置を合わせるように磁気誘導部5による外部磁界を制御していたが、これに限らず、ユーザによる操作部7または入力部8の操作によってカプセル型医療装置の移動を手動操作してもよい。この場合、カプセル型医療装置の移動の手動操作を行いやすくするために、表示部4に表示された体内画像Pにグリッドを表示してもよい。以上のことは、カプセル型医療装置を自走させる場合も同様である。
【0108】
さらに、本発明の実施の形態1,2では、臓器内壁部とカプセル型筐体とを接触させる際に制御部の制御に基づいてカプセル型医療装置の磁気誘導を自動制御していたが、これに限らず、ユーザによる操作部7または入力部8の操作によってカプセル型医療装置の移動を手動操作してもよい。この場合、カプセル型医療装置の移動の手動操作を行いやすくするために、表示部4に表示された体内画像Pにグリッドを表示してもよい。以上のことは、カプセル型医療装置を自走させる場合も同様である。
【0109】
また、本発明の実施の形態1,2では、ユーザによる入力部8の入力操作によって処置対象が選択されていたが、これに限らず、カプセル型医療装置が取得した体内画像等の被検体の体内情報に対し、カプセル型内視鏡内部または体外の制御部内において所定の演算処理等を行い、これによって処置対象を自動選択してもよい。
【0110】
なお、被検体内部においてカプセル型医療装置が液体等に浮遊しておらず、常に臓器内壁部に接触した状態であれば、臓器内壁部とカプセル型筐体とを接触させるためのカプセル型医療装置の磁気誘導または自走は実行しなくてもよい。また、胃または大腸などの比較的内部空間が広い臓器と小腸などの比較的内部空間が狭い臓器とに応じて、臓器内壁部に向けてのカプセル型医療装置の移動を制御するモードと臓器内壁部に向けてのカプセル型医療装置の移動を自動制御しないモードとを切り替えるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の実施の形態1にかかるカプセル医療システムの一構成例を模式的に示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1にかかるカプセル型医療装置の一構成例を示す模式図である。
【図3】体内画像に設定される2軸直交座標系を説明するための模式図である。
【図4】被検体内部の特定位置までカプセル型医療装置が誘導される状態を示す模式図である。
【図5】被検体内部の特定位置に誘導されるまでにカプセル型医療装置が撮像した体内画像を例示する模式図である。
【図6】角度算出部による回転角度の算出処理を説明するための模式図である。
【図7】カプセル型医療装置の長手方向に関する処置部と病変組織との位置合わせを説明するための模式図である。
【図8】カプセル型医療装置の回転方向に関する処置部と病変組織との位置合わせを説明するための模式図である。
【図9】本発明の実施の形態2にかかるカプセル医療システムの一構成例を模式的に示すブロック図である。
【図10】本発明の実施の形態2にかかるカプセル型医療装置の一構成例を示す模式図である。
【図11】病変組織を選択する際に表示部に表示される体内画像を例示する模式図である。
【図12】カプセル型医療装置が病変組織までの距離を測定する際に表示部に表示される体内画像を例示する模式図である。
【図13】実施の形態2にかかるカプセル型医療装置の処置部と病変組織との相対距離を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0112】
1 被検体
2,32 カプセル型医療装置
3 体外通信部
3a アンテナ
4 表示部
5 磁気誘導部
6 電力供給部
7 操作部
8 入力部
9 記憶部
10,40 制御部
10a 位置制御部
10b 画像処理部
10c 位置算出部
10d,40d 距離決定部
10e 角度算出部
11,31 カプセル医療システム
12 ベッド
15 病変組織
20 カプセル型筐体
20a 筒状筐体
20b ドーム形状筐体
20c 開口部
20d 収容部
21 撮像ユニット
21a 照明部
21b 光学系
21c 固体撮像素子
22 信号処理部
23 処置部
23a 採取部
23b 駆動部
24 重力センサ
25 通信ユニット
25a アンテナ
26,36 制御部
27 電源ユニット
28 磁石
33 距離測定部
40f サイズ算出部
CL 中心軸
M マーク
P 体内画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体内部に導入され、前記被検体の体内画像を撮像する撮像手段と、前記被検体内部の生体組織に対する処置を行う処置手段と、当該カプセル型医療装置の移動に寄与する駆動手段とを有するカプセル型医療装置と、
前記体内画像の中から前記処置手段の処置対象を選択する選択手段と、
前記処置対象と前記処置手段との相対距離を決定し、前記駆動手段を用いて前記撮像手段の撮像方向に前記相対距離に応じた距離前記カプセル型医療装置を移動させる制御手段と、
を備えたことを特徴とするカプセル医療システム。
【請求項2】
前記カプセル型医療装置の内部に配置され、少なくとも前記体内画像を外部に送信する通信手段と、
前記通信手段によって送信された体内画像を受信する体外通信手段と、
前記体外通信手段によって受信された体内画像を表示する表示手段と、
をさらに備え、
前記選択手段は、前記表示手段によって表示された体内画像の中から前記処置手段の処置対象を選択することを特徴とする請求項1に記載のカプセル医療システム。
【請求項3】
前記撮像手段は、前記処置手段に対して相対的に固定された位置に配置され、
前記駆動手段は、画像端部に前記処置対象を描出する体内画像を前記撮像手段によって撮像できる前記被検体内部の特定位置に前記カプセル型医療装置を移動させ、
前記制御手段は、前記カプセル型医療装置が臓器内壁部に接触した状態で前記被検体内部の特定位置に停止した場合に、前記撮像手段の画角によって規定される前記処置対象と前記撮像手段との特定距離と前記撮像手段および前記処置手段の部品間距離との加算値である前記相対距離を決定することを特徴とする請求項2に記載のカプセル医療システム。
【請求項4】
前記カプセル型医療装置は、前記撮像手段の撮像方向に位置する対象物と前記撮像手段との距離を測定する距離測定手段を備え、
前記撮像手段は、前記処置手段に対して相対的に固定された位置に配置され、
前記通信手段は、前記距離測定手段による測定距離を前記体外通信手段に送信し、
前記制御手段は、前記体外通信手段を介して前記距離測定手段による測定距離を取得し、該測定距離と前記撮像手段および前記処置手段の部品間距離とを加算して前記相対距離を決定することを特徴とする請求項2に記載のカプセル医療システム。
【請求項5】
前記カプセル型医療装置は、前記処置手段の方向と重力方向とのなす角度を検出する重力センサを備え、
前記通信手段は、前記重力センサによる検出角度を前記体外通信手段に送信し、
前記制御手段は、前記体外通信手段を介して前記重力センサによる検出角度を取得し、該検出角度をもとに前記表示手段の直交座標系の軸方向と前記処置手段の方向に対応する前記体内画像の方向とを合わせて、前記表示手段に前記体内画像を表示させることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一つに記載のカプセル医療システム。
【請求項6】
前記選択手段は、前記表示手段の直交座標系における前記処置対象の位置座標情報を入力する入力手段であり、
前記制御手段は、前記表示手段の直交座標系の軸方向と前記処置対象の位置座標情報とをもとに前記処置手段の方向と前記処置対象の方向とのなす回転角度を算出し、前記駆動手段を用いて前記回転角度だけ前記カプセル型医療装置を回転させることを特徴とする請求項5に記載のカプセル医療システム。
【請求項7】
前記駆動手段は、前記カプセル型医療装置の移動によって前記処置対象の近傍の臓器内壁部に前記カプセル型医療装置を接触させることを特徴とする請求項2〜6のいずれか一つに記載のカプセル医療システム。
【請求項8】
前記被検体内部に導入された前記カプセル型医療装置に外部磁界を印加し、該外部磁界によって前記カプセル型医療装置を誘導する磁気誘導手段を備え、
前記駆動手段は、前記磁気誘導手段が形成した外部磁界の作用によって前記カプセル型医療装置を移動または回転させる磁石であることを特徴とする請求項2〜7のいずれか一つに記載のカプセル医療システム。
【請求項9】
前記駆動手段は、前記磁気誘導手段が形成した外部磁界の作用によって臓器内壁部に前記カプセル型医療装置を固定することを特徴とする請求項8に記載のカプセル医療システム。
【請求項10】
前記駆動手段は、前記制御手段の制御に基づいて前記カプセル型医療装置を移動または回転させることを特徴とする請求項2〜7のいずれか一つに記載のカプセル医療システム。
【請求項11】
前記カプセル型医療装置は、臓器内壁部に前記カプセル型医療装置を固定する固定手段を備えたことを特徴とする請求項10に記載のカプセル医療システム。
【請求項12】
前記処置手段は、前記処置対象を採取する採取手段、前記処置対象に薬剤を注入する薬剤注入手段、前記処置対象に薬剤を放出する薬剤放出手段、または前記処置対象を治療する治療手段のいずれかであることを特徴とする請求項2〜11のいずれか一つに記載のカプセル医療システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−247494(P2009−247494A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−97308(P2008−97308)
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】