説明

カメラ、および画像補正値算出方法

【課題】出力装置の出力特性に合わせた補正情報を得ること。
【解決手段】イメージ制御器13はカラーチャートイメージメモリ161からカラーチャートの画像を読み込んでディスプレイ2へ出力し、ディスプレイ2に表示されたカラーチャートを撮像して、カラーチャートを含む画像を取得する。画像認識器17は、カラーチャートを含む画像内から、カラーチャートに相当する範囲の抽出画像を抽出し、色誤差判定器18は、抽出した抽出画像とカラーチャートとを比較して、ディスプレイ1へ出力する撮影画像を補正するための補正情報を算出し、LUT163へ記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を撮影して取得するカメラ、およびカメラで取得した画像を補正するための画像補正値算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
次のような画像補正装置が知られている。この画像補正装置は、ディスプレイ上に表示された基準画像をカメラで撮影し、取得した撮影画像を解析する。そして、撮影画像の解析結果に基づいて画像補正情報を生成する(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−270338号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の装置では、ディスプレイ上に表示された基準画像をカメラで撮影して撮影画像を得ていたが、撮影画像内における基準画像の大きさが小さい場合には、撮影画像の解析精度が低下し、画像補正情報の精度も低下する可能性があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、被写体像を撮像して取得した撮影画像を記録媒体に記録し、出力装置の出力特性を測定するための基準画像を記録媒体に記録し、基準画像を読み込んで出力装置に出力し、出力装置に出力された基準画像の像を撮像して、基準画像を含む画像を取得し、基準画像を含む画像内から、基準画像に相当する抽出画像を抽出し、抽出した抽出画像と、基準画像とを比較して、出力装置へ出力する撮影画像を補正するための補正情報を算出し、補正情報を用いて撮影画像を補正し、補正した撮影画像を出力装置に出力することを特徴とする。
本発明では、基準画像を含む画像内における基準画像の大きさが所定の大きさとなるように、使用者に対して基準画像を含む画像の撮影を促すことが好ましい。
また、取得した基準画像を含む画像内に含まれる基準画像の大きさを判定し、基準画像を含む画像内に含まれる基準画像の大きさが、所定の大きさではない場合に、使用者に対して基準画像の大きさに関する説明を出力して再撮影を促すようにしてもよい。
さらに、補正前の色情報と補正後の色情報とを対応付けた色変換テーブルを補正情報として記録媒体に記録するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、精度の高い画像補正情報を生成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は、本実施の形態におけるカメラと、出力装置としてのディスプレイとの接続例を模式的に示す図である。カメラ1は画像出力装置として機能し、ビデオ出力線3を介して画像表示装置としてのディスプレイ2と接続されている。本実施の形態におけるカメラ1は、ビデオ出力線3を介してカラーチャートP1または通常画像P2をディスプレイ2へ出力して表示する。なお、カメラ1は、例えばデジタルカメラであり、ディスプレイ2は、例えばハイビジョンテレビである。また、ビデオ出力線3は、有線でも無線でもよい。
【0008】
図2は、カメラ1がカラーチャートP1または通常画像P2のいずれかをディスプレイ2へ出力するために備えるモード切り替え用スイッチを模式的に示した図である。カメラ1においては、スイッチ機構S1によってビデオ出力V1の対象を切り替えることによって、ディスプレイ2へ出力する画像を切り替える。すなわち、スイッチ機構S1を端子b側に切り替えることによって、カラーチャートP1をビデオ出力(V1)し、スイッチ機構S1を端子a側に切り替えることによって、通常P2をビデオ出力(V1)する。なお、後述するように、カラーチャートP1をビデオ出力(V1)した場合には、ディスプレイ2の表示特性(出力特性)に合わせた画像の補正値を算出する。
【0009】
図3は、本実施の形態におけるカメラ1の一実施の形態の構成を示すブロック図である。カメラ1は、レンズ11と、イメージセンサ12と、イメージ制御器13と、システム制御器14と、メモリ制御器15と、カラーチャートイメージメモリ161と、イメージメモリ162と、LUT(Look Up Table)163と、スイッチ機構S1と、画像認識器17と、色誤差判定器18と、色補正器19と、モニタ20とを備えている。また、カメラ1は、Video出力V1からビデオ出力線3により接続されたディスプレイ2へ画像を出力する。
【0010】
レンズ11は、複数の光学レンズ群から構成されるが、図3では代表して1枚のレンズで表している。イメージセンサ12は、例えばCCDやCMOSなどの撮像素子であり、レンズ11により結像した被写体像を撮像して画像を取得する。そして、取得した画像のデータ(画像データ)をイメージ制御器13へ出力する。イメージ制御器13は、入力された画像データに対して種々の画像処理を施した後、メモリ制御器15へ出力する。メモリ制御器15は、入力された画像をイメージメモリ162へ記録する。このイメージメモリ162に記録されている画像(撮影画像)が、ディスプレイ2に表示される通常画像P2に相当する。
【0011】
カラーチャートイメージメモリ161は、上述したディスプレイ2に表示するためのカラーチャートP1の画像(カラーチャート画像)が記録されているメモリである。このカラーチャート画像は、出力装置の出力特性、すなわちディスプレイ2の表示特性を測定するための基準画像に相当する。LUT163は、後述する処理によって算出したディスプレイ2の表示特性に応じた補正情報を記録するためのメモリである。
【0012】
カラーチャートイメージメモリ161、イメージメモリ162、およびLUT163へのデータの書き込み、およびカラーチャートイメージメモリ161、イメージメモリ162、およびLUT163からのデータの読み込みは、メモリ制御器15によって制御される。なお、カラーチャートイメージメモリ161、イメージメモリ162、およびLUT163としては、例えば記録媒体としてのフラッシュメモリが用いられる。
【0013】
スイッチ機構S1は、図2で上述したように、Video出力V1を行う出力対象の画像を、カラーチャートP1と通常画像P2との間で切り替える。本実施の形態では、使用者がいずれの画像をディスプレイ2へ表示するかを表示モードを切り替えることによって指示することができ、イメージ制御器13は、使用者による指示に基づいて、スイッチ機構S1に対してスイッチの切り替えを指示する。例えば、カメラ1は、表示モードとして、カラーチャートP1を表示するためのカラーチャート表示モードと、通常画像を表示するための通常画像表示モードとを備えている。
【0014】
使用者によって不図示の操作部材が操作されることによって、表示モードとしてカラーチャート表示モードが選択された場合には、メモリ制御部15は、カラーチャートイメージメモリ161からカラーチャート画像を読み込んでイメージ制御器13へ出力する。そして、イメージ制御器13は、スイッチ機構S1をb側に切り替え、カラーチャート画像を画像認識器17へ出力する。ここでは、画像認識器17〜色補正器19は、処理を行わずに、カラーチャート画像をVideo出力V1する。これによって、カラーチャートP1がディスプレイ2へ表示される。
【0015】
このように、カラーチャートP1をディスプレイ2へ表示した後、システム制御器14は、使用者に対してカメラ1を用いてディスプレイ2に表示されたカラーチャートP1を撮影するように指示する。このとき、システム制御器14は、画像内におけるカラーチャートP1の大きさが所定の大きさになるように撮影指示を行う。具体的には、まず、システム制御器14は、モニタ20、例えばカメラ1の背面に搭載された背面液晶モニタに、所定の大きさの枠を表示するとともに、モニタ20にスルー画を表示し、使用者に対して、ディスプレイ2の画面サイズが当該枠の大きさとなるように構図を決定するように促す。
【0016】
例えば、図4(a)に示すように、モニタ20内に枠4aを表示する。そして、図4(b)に示すように、使用者に対してディスプレイ2の画面全体が枠4a内に入るようにして撮影することを促すためのメッセージが書かれたダイアログ4bを表示する。これによって、使用者は、ディスプレイ2の画面が所定の大きさとなるように撮影することができ、結果として、ディスプレイ2に表示されたカラーチャートP1が所定の大きさとなるように画像を取得することができる。
【0017】
使用者によって撮影が行われ、ディスプレイ2の画像、すなわちカラーチャートP1を含む画像が取得されると、イメージ制御器13は、画像内におけるカラーチャートP1の大きさを判定する。例えば、図5に示すように、カラーチャートP1には3隅にカラーチャートの端点を示す点5a〜5cが記されており、イメージ制御器13は、ディスプレイ2の画像内からこれらの点5a〜5cを抽出する。そして、イメージ制御器13は、点5aと5bとの間の距離を算出することによって、ディスプレイ2の画像内におけるカラーチャートP1の幅を算出し、点5bと5cとの間の距離を算出することによって、ディスプレイ2の画像内におけるカラーチャートP1の高さを算出する。
【0018】
イメージ制御部13は、算出したカラーチャートP1の幅と高さとに基づいて、ディスプレイ2の画像内におけるカラーチャートP1の大きさを判定する。そして、システム制御器14は、イメージ制御部13がカラーチャートP1の大きさが所定の大きさ未満であると判断した場合には、使用者に対して画面がもっと大きくなるように構図を決定して再撮影するように促して、再度、ディスプレイ2の画像を取得する。
【0019】
これに対して、カラーチャートP1の大きさが所定の大きさ以上であると判断した場合には、使用者に対して画面がもっと小さくなるように構図を決定して再撮影するように促して、再度、ディスプレイ2の画像を取得する。すなわち、システム制御器14は、カラーチャートP1の大きさが所定の大きさではない場合には、使用者に対してカラーチャートP1の大きさが所定の大きさになるように説明を出力して再撮影を促す。
【0020】
そして、イメージ制御部13は、カラーチャートP1の大きさが所定の大きさであると判断した場合には、ディスプレイ2の画像を画像認識器17へ出力する。なお、イメージ制御器13は、撮影画像内から点5a〜5cを抽出することができなかった場合には、使用者に対して図4に示した画面を表示して、ディスプレイ2の画面の再撮影を促す。
【0021】
画像認識器17は、イメージ制御部13からディスプレイ2の画像が入力されると、当該画像に対してトリミング処理を施して、画像内からカラーチャートP1が写っている範囲のみを抽出する。すなわち、カラーチャートP1の外側に含まれるディスプレイ2の枠など、カラーチャートP1以外の部分を排除した抽出画像(撮影カラーチャート画像)を生成する。そして、生成した撮影カラーチャート画像を色誤差判定器18へ出力する。
【0022】
色誤差判定器18は、入力された撮影カラーチャート画像を、カラーチャートイメージメモリ161に記録されているカラーチャート画像と比較して、撮影カラーチャート画像のカラーチャート画像に対する色誤差を測定する。そして、色誤差判定器18は、測定した色誤差を補正するための補正値を算出する。すなわち、撮影カラーチャート画像をカラーチャート画像と同じ色に補正するための補正値を算出する。
【0023】
具体的には、色誤差判定器18は、カラーチャート画像のある画素のRGB値を取得し、撮影カラーチャート画像の位置的に対応する画素のRGB値を取得する。そして、取得した両RGB値の差分をとることで当該画素のRGB値の誤差を算出し、その誤差を補正するための補正値を算出する。この処理をカラーチャート画像および撮影カラーチャート画像の全ての画素に対して行なうことで、画像の色をディスプレイ2の表示特性に合わせて補正するための補正値を得ることができる。
【0024】
そして、色誤差判定器18は、算出した補正値に基づいて色変換テーブルを生成し、生成した色変換テーブルを補正情報としてLUT163へ記録する。例えば、図6に示すように、撮影カラーチャート画像のRGB値(入力のRGB値)と、補正後のRGB値(補正をしたRGB値)とを対応付けた色変換テーブルを生成し、LUT163へ記録する。すなわち、色誤差判定器18は、補正前の色情報と補正後の色情報とを対応付けた色変換テーブルを補正情報として算出して、LUT163へ記録する。
【0025】
次に、使用者によって表示モードとして通常画像表示モードが選択された場合の処理について説明する。この場合には、メモリ制御部15は、イメージメモリ162から通常画像を読み込んでイメージ制御器13へ出力する。そして、イメージ制御器13は、スイッチ機構S1をa側に切り替え、通常画像を色補正器19へ出力する。
【0026】
色補正器19は、LUT163から上述した色変換テーブルを読み込んで、入力された通常画像の各色(入力のRGB値)を、それぞれに対応する補正値(補正をしたRGB値)に補正することで、通常画像に対して色補正処理を施す。すなわち、通常画像に含まれる各色に対して色補正処理を行い、全ての色に対する処理が完了したら処理を終了する。そして、色補正器19は、色補正処理を行った後の通常画像を、Video出力V1する。これによって、ディスプレイ2の表示特性に合わせて補正された後の通常画像P2をディスプレイ2へ表示することができる。なお、色補正器19は、色変換テーブルから通常画像に含まれる色の補正値を取得できない場合には、その色については色変換処理を行わない。
【0027】
図7は、本実施の形態におけるカメラ1の処理を示すフローチャートである。図7に示す処理は、使用者によってカメラ1の電源がオンされると起動するプログラムとして実行される。
【0028】
ステップS10において、メモリ制御部15は、表示モードとしてカラーチャート表示モードまたは通常画像表示モードのいずれが選択されたかを判断する。カラーチャート表示モードが選択されたと判断した場合には、ステップS20へ進む。ステップS20では、メモリ制御部15は、カラーチャートイメージメモリ161からカラーチャート画像を読み込んでイメージ制御器13へ出力する。その後、ステップS30へ進む。
【0029】
ステップS30では、イメージ制御器13は、スイッチ機構S1をb側に切り替える。その後、ステップS40へ進み、イメージ制御部13は、カラーチャート画像を画像認識器17へ出力して、Video出力V1を出力する。これによって、カラーチャートP1がディスプレイ2へ表示される。その後、ステップS50へ進む。
【0030】
ステップS50では、システム制御器14は、使用者に対してカメラ1を用いてディスプレイ2に表示されたカラーチャートP1を撮影するように指示する。このとき、システム制御器14は、図4に示したように、モニタ20内に枠4aおよびダイアログ4bを表示して、画像内におけるカラーチャートP1の大きさが所定の大きさになるように撮影指示を行う。その後、ステップS60へ進む。
【0031】
ステップS60では、イメージ制御器13は、使用者によって撮影が行われたか否かを判断する。肯定判断した場合にはステップS70へ進み、イメージ制御器13は、図5で上述したように、ディスプレイ2の画像内からカラーチャートの端点を示す点5a〜5cを抽出して、ディスプレイ2の画像内におけるカラーチャートP1の大きさを判定する。その後、ステップS80へ進み、判定したカラーチャートP1の大きさが所定の大きさであるか否かを判断する。
【0032】
否定判断した場合には、ステップS90へ進んで、システム制御器14は、使用者に対してディスプレイ2の画像の再撮影を促す。すなわち、カラーチャートP1の大きさが所定の大きさ未満であると判断した場合には、使用者に対して画面がもっと大きくなるように説明し、構図を決定して再撮影するように促す。また、カラーチャートP1の大きさが所定の大きさ以上であると判断した場合には、使用者に対して画面がもっと小さくなるように説明し、構図を決定して再撮影するように促す。また、撮影画像内から点5a〜5cを抽出することができなかった場合も、使用者に対してディスプレイ2の画面の再撮影を促す。その後、ステップS60へ戻る。
【0033】
これに対して、ステップS80で肯定判断した場合には、イメージ制御部13は、ディスプレイ2の画像を画像認識器17へ出力して、ステップS100へ進む。ステップS100では、画像認識器17は、ディスプレイ2の画像に対してトリミング処理を施して、画像内からカラーチャートP1が写っている範囲のみを抽出し、抽出した撮影カラーチャート画像を色誤差判定器18へ出力する。その後、ステップS110へ進む。
【0034】
ステップS110では、色誤差判定器18は、図8で後述する補正値算出処理を実行して、上述した通常画像を補正するための補正値を算出し、色変換テーブルを生成して、ステップS120へ進む。ステップS120では、生成した色変換テーブルを補正情報としてLUT163へ記録する。その後、ステップS200へ進み、システム制御器14は、使用者によってカメラ1の電源がオフされたか否かを判断する。否定判断した場合には、ステップS10へ戻って処理を繰り返す。一方、肯定判断した場合には、処理を終了する。
【0035】
次に、ステップS10で、メモリ制御部15が使用者によって通常画像表示モードが選択されたと判断した場合の処理について説明する。この場合には、ステップS130へ進み、メモリ制御部15は、イメージメモリ162から通常画像を読み込んでイメージ制御器13へ出力する。その後、ステップS140へ進み、イメージ制御器13は、スイッチ機構S1をa側に切り替え、通常画像を色補正器19へ出力して、ステップS150へ進む。
【0036】
ステップS150では、色補正器19は、LUT163から上述した色変換テーブルを読み込んで、入力された通常画像の各色(入力のRGB値)に対応する補正値(補正をしたRGB値)を取得する。その後、ステップS160へ進み、色補正器19は、補正値が取得できたか否かを判断する。肯定判断した場合には、ステップS170へ進み、色補正器19は、取得した補正値を用いて通常画像に対して色補正処理を施し、ステップS180へ進む。これに対して、否定判断した場合には、色補正処理を行わずにステップS180へ進む。
【0037】
ステップS180では、色補正器19は、通常画像に含まれる全ての色に対してステップS150〜S170の処理が完了したか否かを判断する。否定判断した場合には、ステップS150へ戻って処理を繰り返す。一方、肯定判断した場合には、ステップS190へ進み、色補正器19は、色補正処理を行った後の通常画像を、Video出力V1から出力する。これによって、ディスプレイ2の表示特性に合わせて補正された後の通常画像P2がディスプレイ2へ表示される。その後、上述したステップS200へ進む。
【0038】
図8は、図7におけるステップS110で実行される補正値算出処理を示すフローチャートである。ステップS210において、色誤差判定器18は、カラーチャート画像のある1画素のRGB値を取得する。その後、ステップS220へ進み、色誤差判定器18は、ステップS210でRGB値を取得した画素と位置的に対応する撮影カラーチャート画像の画素のRGB値を取得する。その後、ステップS230へ進み、色誤差判定器18は、取得した両RGB値に基づいて、当該画素のRGB値の誤差を算出し、その誤差を補正するための補正値を算出する。その後、ステップS240へ進む。
【0039】
ステップS240では、色誤差判定器18は、算出した補正値を色変換テーブルに格納し、ステップS250へ進む。ステップS250では、カラーチャート画像および撮影カラーチャート画像の全ての画素について、ステップS210〜S240の処理が完了したか否かを判断する。否定判断した場合には、ステップS210へ戻って処理を繰り返す。これに対して、肯定判断した場合には、図7の処理に復帰する。
【0040】
以上説明した本実施の形態によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
(1)カラーチャートの画像をディスプレイ2へ出力し、表示されたカラーチャートP1を撮影して画像を取得した。そして、取得した画像からカラーチャートが含まれる範囲を抽出し、この抽出画像とカラーチャートの画像とを比較して補正値を算出するようにした。これによって、ディスプレイ2の表示特性に応じて、表示される画像を本来の画像の画質に近づけるための補正値を取得することができる。
【0041】
(2)算出した補正値に基づく補正情報を記録媒体としてのLUT163へ記録するようにした。これによって、一度、ディスプレイ2の補正値を算出しておけば、それ以降は記録した補正情報を参照すればよく、その都度、補正値を算出する必要がなくなる。
【0042】
(3)撮影画像を補正情報を用いて補正した後にディスプレイ2へ出力するようにした。これによって、ディスプレイ2の表示特性に合わせて補正した後の撮影画像をディスプレイ2へ出力することができる。
【0043】
(4)ディスプレイ2に表示したカラーチャートP1を撮影するに当たっては、モニタ20内に枠4aを表示し、使用者に対してディスプレイ2の画面全体が枠4a内に入るようにして撮影することを促すためのメッセージが書かれたダイアログ4bを表示するようにした。これによって、使用者は、ディスプレイ2の画面が所定の大きさとなるように撮影することができ、結果として、ディスプレイ2に表示されたカラーチャートP1が所定の大きさとなるように画像を取得することができる。
【0044】
(5)ディスプレイ2の画像を取得した場合には、画像内におけるカラーチャートP1の大きさを判定し、カラーチャートP1の大きさが所定の大きさではない場合には、使用者に対してガイダンスを出力して再撮影を促すようにした。これによって、カラーチャートP1が、補正値を算出するために必要な大きさで撮影されていない場合には、使用者に対して再撮影を促して、十分な大きさのカラーチャートP1を含む画像を取得することができる。
【0045】
(6)補正前の色情報と補正後の色情報とを対応付けた色変換テーブルを補正情報として記録するようにした。これによって、入力された撮影画像における各色をディスプレイ2の表示特性に応じた色に補正して、ディスプレイ2に表示することができる。
【0046】
―変形例―
なお、上述した実施の形態のカメラは、以下のように変形することもできる。
(1)上述した実施の形態では、表示装置としてのディスプレイ2、例えばハイビジョンテレビを画像を出力するための出力装置とし、カラーチャートP1または通常画像P2をディスプレイ2へ出力して表示する例について説明した。しかしながら、その他のモニタをディスプレイ2として用いてもよい。また、出力装置としてプロジェクタやプリンタなどを用いてもよい。
【0047】
例えば、プロジェクタを用いた場合には、プロジェクタを用いて投影面にカラーチャートP1を投影し、投影されたカラーチャートP1の画像を撮影して撮影カラーチャート画像を得て、上述した補正値の算出、および色変換テーブルの生成を行えばよい。これによって、プロジェクタの出力特性に合わせた色変換テーブルを生成することができる。また、プリンタを用いた場合には、プリンタを用いてプリントしたカラーチャートP1の画像を撮影して撮影カラーチャート画像を得て、上述した補正値の算出、および色変換テーブルの生成を行えばよい。これによって、プリンタの出力特性に合わせた色変換テーブルを生成することができる。
【0048】
(2)上述した実施の形態では、図4に示したように、モニタ20内に枠4aを表示し、使用者に対してディスプレイ2の画面全体が枠4a内に入るようにして撮影することを促すためのメッセージが書かれたダイアログ4bを表示するようにした。そして、使用者が説明に従ってディスプレイ2の画面全体が枠4a内に入るようにして撮影することで、ディスプレイ2に表示されたカラーチャートP1が所定の大きさとなるように画像を取得する例について説明した。しかしながら、使用者に対して、ディスプレイ2に表示されたカラーチャートP1が枠4a内に入るように促すようにしてもよい。
【0049】
なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、本発明は、上述した実施の形態における構成に何ら限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】カメラ1ディスプレイ2との接続例を模式的に示す図である。
【図2】モード切り替え用スイッチを模式的に示した図である。
【図3】カメラ1の一実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図4】ディスプレイ2の撮影を促すための画面表示例を示す図である。
【図5】カラーチャートに記されている3つの端点の具体例を示す図である。
【図6】色変換テーブルの具体例を示す図である。
【図7】カメラ1の処理を示すフローチャート図である。
【図8】補正値算出処理を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0051】
1 カメラ、11 レンズ、12 イメージセンサ、13 イメージ制御器、14 システム制御器、15 メモリ制御器、161 カラーチャートイメージメモリ、162 イメージメモリ、163 LUT、17 画像認識器、18 色誤差判定器、19 色補正器、20 モニタ、2 ディスプレイ、3 ビデオ出力線、S1 スイッチ機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像を撮像して画像を取得する撮像手段と、
前記撮像手段で取得した撮影画像を記録媒体に記録する撮影画像記録手段と、
出力装置の出力特性を測定するための基準画像を記録媒体に記録する基準画像記録手段と、
前記記録手段から前記基準画像を読み込んで、前記出力装置に出力する基準画像出力手段と、
前記出力装置に出力された前記基準画像の像を前記撮像手段で撮像して、前記基準画像を含む画像を取得する画像取得手段と、
前記画像取得手段で取得した前記基準画像を含む画像内から、前記基準画像に相当する抽出画像を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段で抽出した前記抽出画像と、前記基準画像とを比較して、前記出力装置へ出力する前記撮影画像を補正するための補正情報を算出する補正情報算出手段と、
前記補正情報を用いて、前記撮影画像を補正する補正手段と、
前記補正手段で補正した前記撮影画像を前記出力装置に出力する出力制御手段とを備えることを特徴とするカメラ。
【請求項2】
請求項1に記載のカメラにおいて、
前記画像取得手段は、前記基準画像を含む画像内における前記基準画像の大きさが所定の大きさとなるように、使用者に対して前記基準画像を含む画像の撮影を促すことを特徴とするカメラ。
【請求項3】
請求項2に記載のカメラにおいて、
前記画像取得手段で取得した前記基準画像を含む画像内に含まれる前記基準画像の大きさを判定する判定手段をさらに備え、
前記画像取得手段は、前記判定手段によって、前記基準画像を含む画像内に含まれる前記基準画像の大きさが、前記所定の大きさではない場合に、使用者に対して前記基準画像の大きさに関する説明を出力して再撮影を促すことを特徴とするカメラ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のカメラにおいて、
前記補正情報記録手段は、補正前の色情報と補正後の色情報とを対応付けた色変換テーブルを前記補正情報として前記記録媒体に記録することを特徴とするカメラ。
【請求項5】
被写体像を撮像して取得した撮影画像を記録媒体に記録し、
出力装置の出力特性を測定するための基準画像を記録媒体に記録し、
前記基準画像を読み込んで前記出力装置に出力し、
前記出力装置に出力された前記基準画像の像を撮像して、前記基準画像を含む画像を取得し、
前記基準画像を含む画像内から、前記基準画像に相当する範囲の抽出画像を抽出し、
抽出した前記抽出画像と、前記基準画像とを比較して、前記出力装置へ出力する前記撮影画像を補正するための補正情報を算出し、
前記補正情報を記録媒体に記録することを特徴とする画像補正値算出方法。
【請求項6】
請求項5に記載の画像補正値算出方法において、
前記記録媒体に記録された前記補正情報を読み込んで、前記撮影画像を補正することを特徴とする画像補正値算出方法。
【請求項7】
請求項6に記載の画像補正値算出方法において、
前記補正した前記撮影画像を前記出力装置に出力することを特徴とする画像補正値算出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−236672(P2008−236672A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−77201(P2007−77201)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(592217093)株式会社ニコンシステム (102)
【Fターム(参考)】