説明

カメラモジュールおよび電子機器

【課題】 装置誤動作の原因となる電気的ノイズを低減させることが可能なカメラモジュールを提供すること。
【解決手段】 シールド部材50の内部にはカメラモジュール1が収納される。シールド部材50は金属や導電性を有する樹脂基材からなる。導電性材料のシールド部材50は、シールド部材50と撮像基板11との接合に設けられる半田や導電性接着剤によって電気ノイズを低減させるためのアースが確保される。シールド部材50には、3つの脚部50a、50b、50cと2つの切り欠き部50d、50eが設けられている。撮像基板11の外周部には、シールド部材50の脚部に嵌合する切り欠き部11a、11b、11cが形成されている。これらの3つの脚部50a、50b、50c、および2つの切り欠き部50d、50eは半田付けされ、シールド部材50と撮像基板11とが接合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカメラモジュールおよび電子機器に関し、より詳細には、ノイズ低減のためのシールド部材を備えたカメラモジュールおよび当該カメラモジュールを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的なカメラモジュールは、最も被写体側にレンズを含む光学ユニットが配置されており、その後ろにセクタを揺動するセクタ駆動装置や撮像素子を含む撮像ユニットが配置されていた。しかし、例えば特許文献1では、光学ユニットの被写体側にセクタ駆動装置を配置したカメラモジュールが提案されている。このカメラモジュールは、セクタ駆動装置が光学ユニットよりも被写体側に位置しているので小型化を図ることが容易であると共にレンズを保護することもできるという利点がある。
【特許文献1】特開2004−15602号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1記載のカメラモジュールには、外部装置(電気部品や電子回路など)からカメラモジュールへの電気的ノイズやカメラモジュールから外部装置への電気的ノイズを除去したり低減させたりするための構成が備えられていない。このため、かかる電気的ノイズに起因してカメラモジュールや外部装置が誤動作する可能性がある。このような誤動作の可能性は、カメラモジュールが携帯電話などの電子機器に用いられる場合や、カメラモジュールを他の電気装置の近くで使用する場合に特に顕著となり、このような誤動作を回避するための技術が求められている。
【0004】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、装置の誤動作原因となる電気的ノイズを低減させることを可能としたカメラモジュールおよび電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、かかる課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、シールド部材を備えたカメラモジュールであって、基板と該基板上に搭載する撮像素子を含む撮像ユニットと、レンズを含む光学ユニットと、前記撮像ユニットおよび光学ユニットを覆う導電性のシールド部材と、前記基板と前記シールド部材とを固定する接合手段と、前記シールド部材を接地する接地手段と、が設けられていることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のカメラモジュールにおいて、セクタを含むと共に該セクタを揺動するセクタ駆動ユニットを備え、前記セクタ駆動ユニットが前記光学ユニットの被写体側に配置されていることを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のカメラモジュールにおいて、前記シールド部材は金属材料からなり、前記接合手段は半田であることを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載のカメラモジュールにおいて、前記シールド部材は導電性を有する樹脂からなり、前記接合手段は導電性接着剤であることを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のカメラモジュールにおいて、前記導電性を有する樹脂は、表面が金属被膜された樹脂基材または導電性物質を含有する樹脂基材であることを特徴とする。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のカメラモジュールにおいて、前記導電性物質は、カーボンファイバまたはカーボンブラックであることを特徴とする。
【0011】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6の何れかに記載のカメラモジュールにおいて、前記接地手段は、前記基板上に設けられた接地用パターンであり、該接地用パターンと前記接合手段とが電気的に接続されていることを特徴とする。
【0012】
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7の何れかに記載のカメラモジュールにおいて、前記シールド部材には前記基板に設けられた切り欠きに嵌合する脚部が設けられており、前記接合手段は当該嵌合部に設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8の何れかに記載のカメラモジュールにおいて、前記シールド部材の上面には、前記カメラモジュールのレンズの画角を遮らない大きさの開口部が設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載のカメラモジュールにおいて、前記開口部の内周面は前記レンズの光軸に対して所定の傾斜角度を有し、該傾斜角度は前記内周面での反射光が前記撮像素子の受光部に入射しない角度に設定されていることを特徴とする。
【0015】
請求項11に記載の発明は、請求項9または10に記載のカメラモジュールにおいて、前記開口部の内周面は黒色であることを特徴とする。
【0016】
請求項12に記載の発明は、電子機器であって、請求項1乃至11の何れかに記載のカメラモジュールを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、導電性の材料で形成されたシールド部材の中にカメラモジュールを収容し、このシールド部材を接地することとしたので、装置誤動作の原因となる電気的ノイズを低減させることが可能なカメラモジュールおよび電子機器を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明に係る一実施形態を説明する。
【0019】
図1は、カメラモジュール1の内部構成が確認できるように示した側面図である。カメラモジュール1は3つの主要なユニット部を含んで形成されている。すなわち、カメラモジュール1は撮像素子を含む撮像ユニット10、レンズを含む光学ユニット20及びセクタを揺動するセクタ駆動ユニット30を含んでいる。図1で図示されるように、カメラモジュール1は撮像ユニット10上に、光学ユニット20、セクタ駆動ユニット30が順に積層された構造である。各ユニットは、上下で互いに一部が重なるように配置される。なお、撮像ユニット10と光学ユニット20とを合せて撮像光学モジュールと称する。
【0020】
撮像ユニット10は、撮像基板11、撮像素子12、鏡筒13、光学フィルタ14を含んでいる。撮像素子12はCCD、CMOS等のイメージセンサであり、撮像基板11上の所定位置に固定されている。鏡筒13は大略形状が円筒型であり、撮像素子12の外周を囲むようにして撮像基板11上に固定されている。この鏡筒13の下部分13L内にはIRカットフィルタ等の光学フィルタ14が配置されている。また、鏡筒13の上部分13Uは、後述するように光学ユニット20及びセクタ駆動ユニット30側の一部と係合している。また、本カメラモジュール1をカメラ、携帯電話等の電子機器と接続するためのFPC(Flexible Printed Circuit)17が、撮像基板11に形成した配線パターン(図示せず)に接続されている。また、FPC17には電子機器側のメイン回路基板(マザーボード)等との接続を行うためのコネクタ18が設けられている。なお、撮像基板11と外部回路との接続のために、FPCを用いずに、撮像基板11の例えば背面側にコネクタを直接設けるようにしてもよい。この場合には、撮像素子12などの電子部品を撮像基板11に搭載する際に、コネクタも同時に搭載することとなる。
【0021】
光学ユニット20の一部をなすレンズホルダ21が、上記鏡筒13の上部分13Uの内側に嵌合している。このレンズホルダ21内に3個のレンズ22、23、24が保持されている。レンズホルダ21の外周面と鏡筒13の上部分13Uの内周面には互いに螺合するネジが形成されている。よって、鏡筒13に対してレンズホルダ21を回転させることで光軸方向LAでの位置を変更し、レンズ22、23、24を介して入射する光が撮像素子12上に結像するようにピント調整できる。ピント調整が完了した後に、例えば接着剤を用いてレンズホルダ21が鏡筒13内に固定される。
【0022】
また、レンズホルダ21の上端(被写体側の端部)には、外周を段状に切り欠いた切欠部25が形成されている。この切欠部25は光軸方向LAと垂直な環状面25Fを有している。後述するように、この環状面25Fにはセクタ駆動ユニット30のセクタ基板31が当接する。
【0023】
光学ユニット20の上部にセクタ駆動ユニット30が配置されている。このセクタ駆動ユニット30は、一般にセクタ駆動装置或いはシャッタ装置と称される構成を含んでいる。本カメラモジュール1では、セクタ駆動ユニット30が光学ユニット20よりも被写体側に配設されている。より詳細には、光学ユニット20のレンズホルダ21上に、セクタ駆動ユニット30に含まれているセクタ基板31の一部が固定される。このセクタ基板31と対向するようにセクタ押え板32が配置されている。セクタ基板31とセクタ押え板32との間の空間SP内に3枚のセクタ33、34、35が配設されている。
【0024】
セクタ基板31は、レンズホルダ21に当接すると共に鏡筒13の上部分13Uの上側を覆うように形成されている円筒部37と、アクチュエータとしてのステップモータ36が設置されるモータ収納部39とを含んでいる。円筒部37の上部にはシャッタ開口38が形成されている。このシャッタ開口38は、レンズホルダ21の上部に形成されている前述した切欠部25とちょうど嵌合するように形成されている。すなわち、このシャッタ開口38の周部38Cが、切欠部25の環状面25Fに当接した状態で固定される。なお、シャッタ開口38が形成されるセクタ基板31の部分は、光軸方向LAに対して垂直な平板状である。よって、切欠部25の環状面25Fとシャッタ開口38の周部38Cが当接することで、セクタ基板31が光軸方向LAに対して垂直に固定される。
【0025】
なお、レンズホルダ21側の切欠部25を断面が直角な段部に形成し、この切欠部25にちょうど嵌合するようにシャッタ開口38を形成しておけば、レンズホルダ21に対してセクタ基板31をさらに位置精度良く嵌合できる。
【0026】
レンズホルダ21は前述したように鏡筒13内に固定されている。そして、このレンズホルダ21にセクタ基板31のシャッタ開口38が嵌合されている。よって、カメラモジュール1では光学ユニット20内のレンズとセクタ駆動ユニット30との相対位置が変化することがない。したがって、カメラモジュール1は画角や入射光量が変化しないカメラモジュールとなる。なお、カメラモジュール1ではレンズホルダ21にセクタ基板31のシャッタ開口38が嵌合しているので実質的に撮影用の開口として機能していない。カメラモジュール1では、セクタ押え板32に形成した開口32HLが撮影用の開口となる。
【0027】
また、セクタ基板31の円筒部37と鏡筒13の上部分13Uとの間には、位置決め構造が形成されている。この点については図2を参照して説明する。図2は、セクタ基板31の円筒部37と鏡筒13の上部分13Uとの係合関係を説明するために示した図である。この図では、特に円筒部37の内面と鏡筒13の上部分13Uに形成した凸部13Uaとの関係を図示している。鏡筒13の上部分13Uの外周面には半径方向へ突出させた凸部13Uaが形成されている。この凸部13Uaは光軸方向LAへ所定長さをもって延在している。図2では1個を示しているが、鏡筒13の上部分13Uは管状であるので外周面上に複数配置してもよい。これに対応して、セクタ基板31の円筒部37に上記凸部13Uaと係合する凹部37aが形成される。よって、撮像基板11に固定されている鏡筒13に対して、セクタ駆動ユニット30のセクタ基板31を光軸回りに回転しないように位置決めできる。
【0028】
図2は、鏡筒13の上部分13Uに凸部、セクタ基板31の円筒部37に凹部を形成した例を図示しているが、凸部と凹部との配置をこれとは逆にしてもよい。要するに、鏡筒13側とセクタ基板31の円筒部37側とに互いに係合する係合部が形成されており、この係合部により円筒部37の光軸回りの位置が規制できればよい。なお、円筒部37は鏡筒13の上部分13Uにちょうど嵌合すように内面が形成されている。
【0029】
上記のように鏡筒13側の凸部13Uaに対してセクタ基板31側の円筒部37の凹部37aを位置決めした後に、係合部分に接着剤を塗布することで鏡筒13に対してセクタ基板31を位置精度良く固定できる。また、このような構造は図1によって確認できるように、鏡筒13の上部分13Uをセクタ基板31の円筒部37で覆う形態となる。よって、カメラモジュール1は側部から鏡筒13内に不要な光が侵入するのを防止できる構造を備えることになる。
【0030】
また、セクタ基板31の側部にはステップモータ36の電極を撮像基板11に接続するためのプリント基板40が接合されている。このプリント基板はポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ガラスエポキシ樹脂等の基材で形成した硬質のプリント板である。このプリント基板40は半田41により撮像基板11と電気的に接続されると共に、撮像基板11に対してほぼ直角に固定されている。よって、セクタ駆動ユニット30は撮像基板11に対して電気的に接続されると共に、硬質のプリント基板40を介して撮像基板11により確実に支持される。さらに、前述したようにセクタ駆動ユニット30は円筒部37側が鏡筒13を介して撮像基板11に固定されている。このようにセクタ駆動ユニット30が撮像基板11によりが安定的に支持されるので、カメラモジュール1は耐衝撃性に優れ内部での負荷発生を軽減できる構造となる。よって、本カメラモジュール1はセクタ駆動ユニット30のセクタが周辺部に衝突して破損する等の問題を生じない。
【0031】
また、カメラモジュール1は上記のようにプリント基板40が撮像基板11に接続されているので、撮像基板11側からステップモータ36の制御を行うことが可能となっている。このような構造を採用すると、本来、セクタ駆動ユニット30側に配置すべきモータ用の電子部品等を撮像基板11側に配置することが可能となる。このように、カメラモジュール1は撮像基板11側にスペースがあるときには、そのスペースを活用することで装置全体としての小型化が図られている。このような小型化の工夫はカメラモジュール1内に限るものではない。例えば、セクタを駆動制御するセクタ駆動用IC(制御回路素子)は外形が比較的大きいので、電子機器側のマザーボード側に搭載すると大型化する。本カメラモジュール1はスペースを活用してこのセクタ駆動用IC15を撮像基板11上に配置している。よって、本カメラモジュール1を採用する電子機器側の小型化を図ることができる。
【0032】
カメラモジュール1では、セクタ駆動用IC15を撮像基板11側に配置しても大型化しないように工夫されている。この点ついて説明する。図1に示すように、鏡筒13とレンズホルダ21とが積層される右側部分は相対的に高くなる。これに対して、モータ収納部39に対向する撮像基板11上には空間的な余裕がある。このスペースにセクタ駆動用IC15を配置している。よって、カメラモジュール1はセクタ駆動ユニット30に用いる部品を撮像基板11側に移動したことで大型化することはなく、スペースを有効活用することで装置全体として小型化できる。
【0033】
また、前述したように撮像基板11には電子機器との接続用にFPC17が接続されており、このFPC17には電子機器側の回路基板(マザーボード等)と接続するためのコネクタ18が設けられている。よって、このコネクタ18を電子機器のマザーボード等に接続するだけで撮像ユニット10及びセクタ駆動ユニット30を制御できる。よって、セクタ駆動ユニット30とカメラモジュールを個別に制御する場合と比較して、このカメラモジュール1は電気的な構成を簡略化できる。
【0034】
図3は、ステップモータ用のプリント基板40を撮像基板11に固定する場合の変形例を示した図である。図3に示したカメラモジュール1はステップモータ36の電極と電気的に接続されているプリント基板40が端子ピン45に接続されている。この端子ピン45は、撮像基板11に設けたコンタクトホール11HLに差し込まれると共に、半田41により撮像基板11に固定されている。この変形構造の場合には端子ピン45が撮像基板11に差し込まれているので、より強固にセクタ駆動ユニット30を保持できる。よって、このカメラモジュール1は耐衝撃性を更に向上できる装置となる。
【0035】
以下では、図4、図5、および図6を参照して、上記の撮像ユニット10、光学ユニット20及びセクタ駆動ユニット30を覆うシールド部材(カバー部材)について説明する。なお、このシールド部材50は、カメラモジュール1の耐衝撃性を強化するためのカバーであると共にカメラモジュール1の電気的ノイズを低減させるためのシールドでもある。また、カメラモジュール1とこれを収納するシールド部材とを、一体的に「シールド部材を備えたカメラモジュール」と呼ぶこととする。
【0036】
図4、図5、および図6はそれぞれ、本発明のシールド部材を備えたカメラモジュールの上面図、側面図、および裏面図で、これらの図においてシールド部材50は実線で示されており、内部に収納されるカメラモジュール1は破線で示されている。なお、以降の説明では、シールド部材50に収納されるカメラモジュール1は上述のようにセクタ駆動装置を備えたものとして説明するが、セクタ駆動装置を備えていないカメラモジュールであってもよい。
【0037】
シールド部材50は、断面が「コの字」状の直方体形状を成しており、1枚の上板と4枚の側壁とからなる。このシールド部材50は、例えば、SUS(ステンレス)などの金属からなり、その上板は撮像基板11と同サイズとされる。シールド部材50の内部には、撮像ユニット10、光学ユニット20及びセクタ駆動ユニット30からなるカメラモジュール1が収納される。ここで、シールド部材50はSUSに限定されるのもではなく、SUS以外の金属であってもよい。また、表面に金属をメッキや蒸着などにより被膜した樹脂基材や、カーボンファイバやカーボンブラックなどの導電性物質を混入させた樹脂基材などでシールド部材50を形成するようにしてもよい。なお、金属のほうが樹脂よりも強度が強く、かつ製造工程も煩雑でないため、金属でシールド部材50を成形することが好ましい。
【0038】
このような導電性の材料でシールド部材50を形成するのは、電気ノイズを低減させるためにアースを確保するためである。このようなアースは、シールド部材50と撮像基板11との接合に設けられる半田によって確保される。なお、上述したように、シールド部材50を導電性を有する樹脂により形成する場合には、半田に代えて導電性の接着剤を用いるようにしてもよい。
【0039】
シールド部材50の異なる3つの側壁には、撮像基板11に当接する端面に、撮像基板11の板厚よりも長い3つの脚部50a、50b、50cが設けられている。また、撮像基板11の外周部には、シールド部材50の脚部50a、50b、50cに対応する位置に、これらの脚部に嵌合する切り欠き部11a、11b、11cが形成されており、シールド部材50の端面が撮像基板11に当接した際に、それぞれの脚部が対応する切り欠き部を通って撮像基板11から突出する。このように撮像基板11に切り欠き部を設けることで、撮像基板11の大型化を回避してカメラモジュールを小型化することを可能としている。上記3つの脚部に加え、隣接する2つの側壁間に形成される角部のうち、対角上に位置する2つの角部には、全体に亘って切り欠き部50d、50eが形成されている。これらの3つの脚部50a、50b、50cと撮像基板11の裏面(本例では、カメラモジュールが搭載されていない面)、および2つの切り欠き部50d、50eと撮像基板11の表面(本例では、カメラモジュールが搭載されている面)は半田付けされ、シールド部材50と撮像基板11とが接合される。このように、脚部50a〜50cと撮像基板11の裏面とを半田付けするので、シールド部材50が撮像基板11から剥離することをより確実に防止できる。
【0040】
このようにシールド部材50に切り欠き部を設けることとすると、切り欠き部の外周に半田付けでき、シールド部材50の端面を撮像基板11に当接した後にでも容易に半田付けすることができる。また、撮像基板11のサイズをシールド部材50よりも大きくすることなく、半田付けが容易となる。さらに、シールド部材50と半田の接触面積も広くとれるので、接合強度を充分確保することができる。なお、これらの5箇所の接合部の全てがアースとしての役割を果たすことは必ずしも必要ではなく、少なくとも一箇所の接合部でアースが確保されていれば良い。
【0041】
シールド部材50の上板には、羽根押さえ板のシャッタ開口に対向する位置に、カメラモジュールのレンズの画角(撮像範囲)を遮らない程度の大きさを有する開口部51が形成されている。ここで、シールド部材50の開口部51の形状や色は、画像が不鮮明化することを防止するために、その内周面での反射光が撮像素子12の受光部に入射されないようなものとすることが好ましい。このような形状の例としては、例えば、その内周面がレンズの光軸に対して所定の傾斜角度を有する形状などがある。また、開口部51の色として、少なくとも内周面を黒色とすると上記の効果を得ることができる。
【0042】
これらの図に示すように、シールド部材50でカメラモジュール1の全体を覆うことで、衝撃があったときに内部を保護でき、例えばカメラモジュール1を電子機器等に組込んだ場合に周辺部品との接触で各ユニットが損傷するという事態を防止できるとともに、カメラモジュール1の電気的ノイズを低減させることができ、装置誤動作の原因となる電気的ノイズを低減させることが可能なカメラモジュールを提供することができる。
【0043】
図7は、本発明のシールド部材50を備えたカメラモジュール1の製造プロセスを説明するためのフローチャートである。先ず、撮像基板11に撮像素子12などの電子部品を搭載し(ステップS110)、光学フィルタを接着したホルダをこの撮像基板11に接着する(ステップS120)。次に、レンズを接着したレンズホルダ21をホルダに螺合させ、ピント調整を行い、螺合部分に接着剤を塗布してホルダとレンズホルダとを固定する(ステップS130)。さらに、撮像基板11にFPC17を接続してカメラモジュール1を完成させる(ステップS140)。
【0044】
これに続き、予め組み立てておいたセクタ駆動装置をカメラモジュール1に取り付ける(ステップS150)。このプロセスを詳述すると、セクタ基板31の凹部とホルダの突起部とを嵌合させ、セクタ基板31の当接部とレンズホルダ21の切欠部25の平面とを当接させる。そして、セクタ基板31の凹部37aと鏡筒13の突起部13Uaの嵌合部分に接着剤を塗布して固定し、最後に、プリント基板40のパターンと撮像基板11のパターンとを半田付けする。なお、セクタ駆動装置は、各セクタをセクタ基板31と羽根押さえ板32とで把持し、セクタ基板31と羽根押さえ板32とを固定し、収納部39にアクチュエータ36を収納し、セクタ基板31の一端部にプリント基板40を接合することで組み立てられる。
【0045】
最後に、シールド部材50の内部にカメラモジュール1及びセクタ駆動ユニット30を収納するように、シールド部材50の端面を撮像基板11に当接させ、シールド部材50の脚部50a、50b、50cの内周及びシールド部材50の切り欠き部50d、50eの外周と撮像基板11とを半田付けする(ステップS160)。このとき、撮像基板11の少なくとも1箇所に設けられた接地用パターンに半田付けする。このようにして、本発明のシールド部材を備えたカメラモジュールが完成する。
【0046】
このようなシールド部材を備えたカメラモジュールにおいては、カメラモジュール1及びセクタ駆動ユニット30を覆うシールド部材50により、外部からのノイズや外部へのノイズを低減でき、カメラモジュール1、セクタ駆動ユニット30及び外部装置のノイズに起因する誤動作を防止可能となる。また、シールド部材50と撮像基板11の接地用パターンとを半田付けするので、両者の固定とシールド部材50の接地とを1つの部材および1つの製造工程で行うことができる。
【0047】
以上本発明の好ましい一実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0048】
例えば、脚部50a〜50cの個数や長さは適宜変更が可能であり、また、シールド部材50に脚部を設ける代わりに爪部を設けてこれにより撮像基板11に係止するようにしてもよい。同様に、切り欠き部11a〜11cの形状は適宜変更が可能であり、爪部により撮像基板11を係止するような場合には、撮像基板11やシールド部材50に切り欠き部を設けなくてもよい。
【0049】
また、上記実施例では接地用パターンを撮像基板上に設けたが、例えば撮像基板11の切り欠き部11a〜11cの内周面に接地用パターンを設けてシールド部材50の脚部50a〜50cと接触させるようにしてもよく、接地用パターンを例えば電子機器の外装ケースの内周や他の回路基板などに設けてシールド部材に直接または間接的に接触させるようにしてもよい。
【0050】
さらに、シールド部材50の端面を他の部材(他の回路基板など)に当接させるようにしてもよい。このようにすれば、撮像基板11にかかる負荷(荷重)を軽減できるという利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、装置誤動作の原因となる電気的ノイズを低減させることが可能なカメラモジュールを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】実施形態に係るカメラモジュールの内部構成が確認できるように示した側面図である。
【図2】セクタ基板の円筒部と鏡筒の上部分との係合関係を説明するために示した図である。
【図3】ステップモータ用のプリント基板を撮像基板に固定する場合の変形例を示した図である。
【図4】本発明のシールド部材を備えたカメラモジュールの上面図である。
【図5】本発明のシールド部材を備えたカメラモジュールの側面図である。
【図6】本発明のシールド部材を備えたカメラモジュールの裏面図である。
【図7】本発明のシールド部材を備えたカメラモジュールの製造プロセスを説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0053】
1 カメラモジュール
10 撮像ユニット
11 撮像基板
12 撮像素子
13 鏡筒
13Ua 凸部
17 FPC
18 コネクタ
20 光学ユニット
21 レンズホルダ
25 切欠部
30 セクタ駆動ユニット
31 セクタ基板
31U 頭部
31L 脚部
31PR 当接部
32 セクタ押え板
33、34、35 セクタ
36 ステップモータ
37 円筒部
37a 凹部
38 シャッタ開口
39 モータ収納部
36MP 作動ピン
40 プリント基板
41 半田
45 端子ピン
50 シールド部材
LA 光軸方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と該基板上に搭載する撮像素子を含む撮像ユニットと、レンズを含む光学ユニットと、前記撮像ユニットおよび光学ユニットを覆う導電性のシールド部材と、前記基板と前記シールド部材とを固定する接合手段と、前記シールド部材を接地する接地手段と、が設けられていることを特徴とするカメラモジュール。
【請求項2】
セクタを含むと共に該セクタを揺動するセクタ駆動ユニットを備え、前記セクタ駆動ユニットが前記光学ユニットの被写体側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項3】
前記シールド部材は金属材料からなり、前記接合手段は半田であることを特徴とする請求項1または2に記載のカメラモジュール。
【請求項4】
前記シールド部材は導電性を有する樹脂からなり、前記接合手段は導電性接着剤であることを特徴とする請求項1または2に記載のカメラモジュール。
【請求項5】
前記導電性を有する樹脂は、表面が金属被膜された樹脂基材または導電性物質を含有する樹脂基材であることを特徴とする請求項4に記載のカメラモジュール。
【請求項6】
前記導電性物質は、カーボンファイバまたはカーボンブラックであることを特徴とする請求項5に記載のカメラモジュール。
【請求項7】
前記接地手段は、前記基板上に設けられた接地用パターンであり、該接地用パターンと前記接合手段とが電気的に接続されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載のカメラモジュール。
【請求項8】
前記シールド部材には前記基板に設けられた切り欠きに嵌合する脚部が設けられており、前記接合手段は当該嵌合部に設けられていることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載のカメラモジュール。
【請求項9】
前記シールド部材の上面には、前記カメラモジュールのレンズの画角を遮らない大きさの開口部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載のカメラモジュール。
【請求項10】
前記開口部の内周面は前記レンズの光軸に対して所定の傾斜角度を有し、該傾斜角度は前記内周面での反射光が前記撮像素子の受光部に入射しない角度に設定されていることを特徴とする請求項9に記載のカメラモジュール。
【請求項11】
前記開口部の内周面は黒色であることを特徴とする請求項9または10に記載のカメラモジュール。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れかに記載のカメラモジュールを備えていることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−33296(P2006−33296A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−207809(P2004−207809)
【出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【出願人】(396004981)セイコープレシジョン株式会社 (481)
【Fターム(参考)】