説明

カメラ及び撮影制御方法

【課題】指写りを防ぎながらも、シャッターチャンスを逃さずに撮影することが可能なカメラを提供する。
【解決手段】撮影レンズ12を含む伸縮自在なレンズ鏡筒13の前面に設けられ、物体が触れたことを検出するタッチセンサ14を有するカメラであって、タッチセンサ14による物体の検出結果と、レンズ鏡筒13の位置で決まるズーム倍率とに基づいて、該物体が撮影範囲に入っているか否かを判定し、該物体が撮影範囲に入っていると判定した場合、撮影指示に応じた撮影によって得られる撮影画像に該物体が含まれてしまうのを防止するための制御(例えば撮影を禁止する制御)を行うシステムコントロール回路30とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮自在なレンズ鏡筒の前面に設けられ、物体が触れたことを検出するセンサを有するカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラで撮影を行うと、撮影者の指がレンズ部にかかってしまい、撮影して得られた画像に指が写ってしまうといったことが間々ある。このような指写りを防ぐために、特許文献1には、カメラのレンズ周辺にタッチセンサを設け、このタッチセンサに指が接触した場合には、撮影をできないようにする方法が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平9−297336号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この方法では、撮影者の指がタッチセンサに触れていると無条件で撮影が禁止されてしまう。しかし、実際には、指がタッチセンサに触れていたとしても、ズームレンズの位置等によって、その指が写らないことも有り得る。上記方法は、このような場合でも撮影ができないため、せっかくのシャッターチャンスを逃してしまうことになる。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、指写りを防ぎながらも、シャッターチャンスを逃さずに撮影することが可能なカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のカメラは、撮影レンズを含む伸縮自在なレンズ鏡筒の前面に設けられ、物体が触れたことを検出するセンサを有するカメラであって、前記センサによる物体の検出結果と、前記レンズ鏡筒の位置で決まるズーム倍率とに基づいて、前記物体が撮影範囲に入っているか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により前記物体が撮影範囲に入っていると判定された場合、撮影指示に応じた撮影によって得られる撮影画像に前記物体が含まれてしまうのを防止するための制御を行う制御手段とを備える。
【0007】
本発明のカメラは、前記撮影画像に前記物体が含まれてしまうのを防止するための制御が、撮影を禁止する制御である。
【0008】
本発明のカメラは、被写体像を撮像信号として出力する撮像素子と、前記センサの検出結果と前記ズーム倍率とに基づいて、撮影範囲において物体が存在すると想定される領域である想定領域を求める想定領域算出手段と、前記撮像信号から生成される画像データのうちの前記想定領域に対応する画像データに基づいて、前記物体の存在する物体領域を認識する物体領域認識手段とを備え、前記判定手段が、前記物体領域認識手段の認識結果にしたがって、前記撮影範囲に前記物体が入っているか否かを判定する。
【0009】
本発明のカメラは、前記物体領域認識手段が、前記カメラの位置を変えて行われた2回の撮影によって得られるそれぞれ前記画像データを基に前記物体領域の認識を2回行い、認識した2つの物体領域同士の重なる領域を真の物体領域として認識する。
【0010】
本発明のカメラは、補助光を発光する発光手段を備え、前記物体領域認識手段は、前記物体領域と認識した領域が所定面積以上であった場合、該認識に用いた前記画像データと、前記補助光を発光させたときの撮影によって得られる前記想定領域に対応する画像データとの比較により、前記物体領域を再認識する。
【0011】
本発明のカメラは、被写体像を撮像信号として出力する撮像素子を備え、前記撮影画像に前記物体が含まれてしまうのを防止するための制御が、前記撮影により得られる撮影画像データを前記物体部分が削除されるよう加工して記録する制御である。
【0012】
本発明のカメラは、前記センサの検出結果と前記ズーム倍率とに基づいて、撮影範囲において物体が存在すると想定される領域である想定領域を求める想定領域算出手段と、前記撮像信号から生成される画像データのうちの前記想定領域に対応する画像データに基づいて、前記物体の存在する物体領域を認識する物体領域認識手段とを備え、前記判定手段が、前記物体領域認識手段の認識結果にしたがって、前記撮影範囲に前記物体が入っているか否かを判定し、前記制御手段が、前記撮影画像データから前記物体領域を削除するように加工を行う。
【0013】
本発明のカメラは、前記物体領域認識手段が、前記カメラの位置を変えて行われた2回の撮影によって得られるそれぞれ前記画像データを基に前記物体領域の認識を2回行い、認識した2つの物体領域同士の重なる領域を真の物体領域として認識し、前記制御手段が、前記撮影画像データから前記真の物体領域を削除するように加工を行う。
【0014】
本発明のカメラは、補助光を発光する発光手段を備え、前記物体領域認識手段は、前記物体領域と認識した領域が所定面積以上であった場合、該認識に用いた前記画像データと、前記補助光を発光させたときの撮影によって得られる前記想定領域に対応する画像データとの比較により、前記物体領域を再認識する。
【0015】
本発明のカメラは、被写体像を撮像信号として出力する撮像素子と、前記撮影レンズと前記撮像素子との位置関係を変更する位置制御手段とを備え、前記撮影画像に前記物体が含まれてしまうのを防止するための制御が、前記物体が撮影範囲に入らないように、前記位置制御手段により前記撮影レンズと前記撮像素子との位置関係を変更して撮影範囲をずらす制御である。
【0016】
本発明のカメラは、前記制御手段が、前記撮影範囲を可能な限りずらした状態でも前記物体が前記撮影範囲に入ってしまう場合には、撮影を禁止する制御を行う。
【0017】
本発明のカメラは、前記位置制御手段を制御して手振れを補正する手振れ補正機能を備え、前記制御手段が、前記手振れ補正機能が有効になっており、且つ、前記撮影範囲を前記手振れ補正機能による補正範囲を残して可能な限りずらした状態でも前記撮影範囲に前記物体が入っている場合には、撮影を禁止する制御を行う。
【0018】
本発明のカメラは、前記センサの検出結果と前記ズーム倍率とに基づいて、撮影範囲において物体が存在すると想定される領域である想定領域を求める想定領域算出手段と、前記撮像信号から生成される画像データのうちの前記想定領域に対応する画像データに基づいて、前記物体の存在する物体領域を認識する物体領域認識手段とを備え、前記判定手段が、前記物体領域認識手段の認識結果にしたがって、前記撮影範囲に前記物体が入っているか否かを判定し、前記制御手段が、前記物体領域にしたがって、前記撮影範囲のずらし量を決定する。
【0019】
本発明のカメラは、前記物体領域認識手段が、前記カメラの位置を変えて行われた2回の撮影によってそれぞれ得られる前記画像データを基に前記物体領域の認識を2回行い、認識した2つの物体領域同士の重なる領域を真の物体領域として認識し、前記制御手段が、前記真の物体領域にしたがって、前記撮影範囲のずらし量を決定する。
【0020】
本発明のカメラは、補助光を発光する発光手段を備え、前記物体領域認識手段は、前記物体領域と認識した領域が所定面積以上であった場合、該認識に用いた前記画像データと、前記補助光を発光させたときの撮影によって得られる前記想定領域に対応する画像データとの比較により、前記物体領域を再認識する。
【0021】
本発明の撮影制御方法は、撮影レンズを含む伸縮自在なレンズ鏡筒の前面に設けられ、物体が触れたことを検出するセンサを有するカメラによる撮影を制御する撮影制御方法であって、前記センサによる物体の検出結果と、前記レンズ鏡筒の位置で決まるズーム倍率とに基づいて、前記物体が撮影範囲に入っているか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップで前記物体が撮影範囲に入っていると判定した場合、撮影指示に応じた撮影によって得られる撮影画像に前記物体が含まれてしまうのを防止するための制御を行う制御ステップとを備える。
【0022】
本発明の撮影制御方法は、前記撮影画像に前記物体が含まれてしまうのを防止するための制御が、前記撮影を禁止する制御である。
【0023】
本発明の撮影制御方法は、前記撮影画像に前記物体が含まれてしまうのを防止するための制御が、前記撮影により前記カメラ内の撮像素子から出力される撮像信号から生成される撮影画像データを前記物体部分が削除されるよう加工して記録する制御である。
【0024】
本発明の撮影制御方法は、前記撮影画像に前記物体が含まれてしまうのを防止するための制御が、前記物体が撮影範囲に入らないように、前記カメラ内の撮影レンズと撮像素子との位置関係を変更して撮影範囲をずらす制御である。
【0025】
本発明の撮影制御方法は、前記センサの検出結果と前記ズーム倍率とに基づいて、撮影範囲において物体が存在すると想定される領域である想定領域を求める想定領域算出ステップと、前記撮像信号から生成される画像データのうちの前記想定領域に対応する画像データに基づいて、前記物体の存在する物体領域を認識する物体領域認識ステップとを備え、前記判定ステップでは、前記物体領域認識ステップでの認識結果にしたがって、前記撮影範囲に前記物体が入っているか否かを判定する。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、指写りを防ぎながらも、シャッターチャンスを逃さずに撮影することが可能なカメラを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0028】
(第一実施形態)
図1は、本発明の第一実施形態のカメラを正面から見た場合の斜視図である。
カメラ本体10の上面にはレリーズスイッチ11が、正面部分には撮影レンズ12を内臓するレンズ鏡筒13が配設されている。本実施形態のカメラはズーミング機能を搭載したカメラであり、レンズ鏡筒13は被写体方向に伸縮自在である。レンズ鏡筒13を伸縮させることで、ズーム倍率が変更される。レンズ鏡筒13を通過した光は、図示しない感光フイルムに入射し、この感光フイルムに被写体像が記録される。
【0029】
タッチセンサ14は、レンズ鏡筒13の前面(被写体側の端面13a)に設けられている。また、タッチセンサ14とカメラ本体10の筐体部分が電気的に接続していると、撮影時に撮影者がカメラ本体を手で支持することによりタッチセンサ14が作動してしまう恐れがあるので、タッチセンサ14はカメラ本体10の筐体部分と電気的に絶縁されている。
【0030】
図2は、本発明の第一実施形態のカメラのブロック図である。
システムコントロール回路30はマイクロコンピュータであり、本カメラの全体の制御を行う。
【0031】
システムコントロール回路30には、AFセンサ31および測光センサ32が接続されており、焦点調節時には、AFセンサ31からの出力信号に基づく焦点制御回路35の制御に従ってAF駆動機構36が制御され、露出制御時には、測光センサ32からの出力信号に基づく露出制御回路33の制御に従ってシャッタ駆動回路34が制御される。シャッタ駆動回路34およびAF駆動機構36によりレンズ鏡筒13の動作が制御され、シャッタの開閉動作および合焦動作が行われる。また、レンズ鏡筒13は、図示しないズームスイッチを操作することによりズーム駆動機構37を介して制御され、ズーミング動作が行われる。
【0032】
システムコントロール回路30にはレリーズスイッチロック回路50が接続されている。
【0033】
また、システムコントロール回路30には操作スイッチ38が接続されており、操作スイッチ38の操作に従って撮影モードの設定等が行われる。さらに、システムコントロール回路30にはカメラの種々の設定状態を表示するための表示素子39が接続されている。
【0034】
タッチセンサ14は、指等の物体の接触の有無だけでなく、その物体の接触領域(接触場所及び接触面積)も検出し、検出結果をシステムコントロール回路30に通知する。
【0035】
システムコントロール回路30は、タッチセンサ14の検出結果と、レンズ鏡筒13の位置で決まるズーム倍率とに基づいて、撮影範囲に物体が入っているか否かを判定する。レリーズスイッチロック回路50は、システムコントロール回路30により撮影範囲に物体が入っていると判定された場合、レリーズスイッチ11にロックをかけ、レリーズスイッチ11が押下されるのを禁止する。即ち、撮影を禁止する制御を行う。
【0036】
以下、第一実施形態のカメラの撮影時の動作について説明する。
図3は、第一実施形態のカメラの撮影時の動作フローを示す図である。図4は、第一実施形態のカメラの撮影時における判定処理を説明するための図である。
カメラが撮影モードに設定され、レリーズスイッチ11が半押しされると(ステップS1)、システムコントロール回路30が、タッチセンサ14による指の接触の有無を判定する(ステップS2)。タッチセンサ14により指の接触があることが検出されると(ステップS2:YES)、システムコントロール回路30は、タッチセンサ14の検出結果にしたがって指の接触領域を判定する(ステップS3)。
【0037】
次に、システムコントロール回路30は、ステップS3で判定した指の接触領域に余白領域を追加して(図4(b),(d)参照)、指が存在していると予想される推定指領域を判定する(ステップS4)。次に、システムコントロール回路30は、推定指領域が撮影レンズ12にかかっているか否かを判定する(ステップS5)。
【0038】
推定指領域が撮影レンズ12にかかっていた場合(ステップS5:YES)、システムコントロール回路30は、現在のズーム倍率で決まる撮影範囲に、推定指領域がかかってしまうか否か、即ち、該撮影範囲に指が入っているか否かを判定する(ステップS6)。推定指領域が撮影レンズ12にかかっていたとしても、ズーム倍率によっては撮影範囲に指が入らないことも有り得る。このため、ステップS6の処理を行うことで、撮影範囲に指が入っているかどうかを精度良く判定することができる。
【0039】
撮影範囲に指が入っていると判定した場合(ステップS6:YES)、システムコントロール回路30は、レリーズスイッチロック回路50にレリーズスイッチ11をロックするよう指示する。この指示により、レリーズスイッチ11がロックされて、撮影が禁止される(ステップS7)。そして、表示素子39等により、撮影ができない旨が撮影者に知らされる(ステップS8)。
【0040】
ステップS2で指の接触が検出されなかった場合、ステップS5で推定指領域が撮影レンズ12にかかっていないと判定された場合、ステップS6で撮影範囲に指が入っていないと判定された場合のいずれの場合も、システムコントロール回路30は、レリーズスイッチロック回路50に特に指示は出さずに、撮影可能状態を維持する(ステップS9)。そして、レリーズスイッチ11が全押しされて撮影指示がなされると、この撮影指示に応じて撮影が実施され(ステップS10)、この撮影により、フイルムに撮影画像が記録される。
【0041】
以上のように、本実施形態のカメラによれば、タッチセンサ14に指が触れた場合でも、その指が撮影範囲に入っていない場合には、撮影を行うことができる。又、指が撮影範囲に入っている場合には、撮影が禁止される。このため、指写りを防ぎながらも、シャッターチャンスを逃さずに撮影することが可能となる。
【0042】
尚、本実施形態では、フイルムカメラを例にしたが、CCDイメージセンサ等の撮像素子によって被写体像を撮像信号として出力し、出力された撮像信号から撮影画像データを生成するデジタルカメラにおいても、図3に示した処理を実施することが可能である。
【0043】
又、本実施形態では、レリーズスイッチ11が半押しされてからステップS2以降の処理を行うものとしたが、カメラが起動している間中、ステップS2以降の処理を行うようにしても良い。
【0044】
(第二実施形態)
図5は、本発明の第二実施形態のカメラのブロック図である。図5において図2と同様の構成には同一符号を付してある。
図5に示すカメラは、図2のレンズ鏡筒13内に、CCDイメージセンサ等の被写体像を撮像信号として出力する撮像素子54を追加し、更に、撮像素子54から出力される撮像信号に所定の信号処理を施して画像データを生成する信号処理部55と、カメラの動きを検出する角速度センサ等の動き検出センサ56と、信号処理部55で生成された画像データを記録する記録メディア53とを追加した構成となっている。
【0045】
以下、第二実施形態のカメラにおいてタッチセンサ14により物体の接触が検出されたときの動作について説明する。
図6は、第二実施形態のカメラにおいてタッチセンサにより物体の接触が検出されたときの動作フローを示す図である。図7は、指の存在する領域を認識する処理を説明するための図である。
【0046】
カメラが撮影モードに設定されると、撮像素子54からは撮像信号が定期的に出力され、この撮像信号により、表示素子39に表示するスルー画像用のスルー画像データが信号処理部55によって生成される。
【0047】
タッチセンサ14が指の接触を検出すると(ステップS21)、システムコントロール回路30は、タッチセンサ14の検出結果(指の接触場所及び指の接触面積)と、レンズ鏡筒13の位置で決まるズーム倍率とから、撮影範囲において指が存在すると想定される領域である想定領域を求める(ステップS22)。システムコントロール回路30は、例えば、図3のステップS3,S4の処理を行って推定指領域を求め、撮影範囲に入っている推定指領域に余白領域を追加した図7(a),(b)に示したような領域Dを想定領域として求める。
【0048】
次に、システムコントロール回路30は、ステップS21の時点で撮像素子54から出力された撮像信号から生成されたスルー画像データのうち、想定領域Dに対応する画像データの各画素データの輝度値を測定する(ステップS23)。次に、システムコントロール回路30は、測定した輝度値が閾値以下の画素データに対応する領域を、指の存在する指領域として認識する(ステップS24)。指が存在する領域は、他の領域よりも輝度が極端に落ちていると考えられる。このため、想定領域Dに対応する画像データの輝度値を見ることで、指が存在する領域を認識することが可能となる。
【0049】
次に、システムコントロール回路30は、認識した指領域の情報Eを、図示しないメモリに一時的に記憶する(ステップS25)。
【0050】
システムコントロール回路30は、この情報Eにしたがって、現在のズーム倍率で決まる撮影範囲に指が入っているか否かを判定することも可能である。しかし、情報Eだけを用いて判定を行うと、誤認識を行ってしまう可能性がある。例えば、図7(a)に示すように、想定領域D内に指とは別に輝度値が低い被写体Bが存在している場合を考える。この場合は、図7(c)に示すように、この被写体Bと実際の指とを併せた領域が、指領域と認識されてしまう。
そこで、本実施形態では、カメラの位置を変えて行われた2回の撮影によって得られる撮像信号を基に、システムコントロール回路30が指領域の認識を2回行い、認識した2つの指領域同士の重なる領域を真の指領域として認識することで、指以外の輝度値が低い被写体部分の影響を取り除いて、誤認識を防ぐようにしている。
【0051】
ステップS25の後、システムコントロール回路30は、表示素子39等を通してカメラを動かすように指示を出す(ステップS26)。動き検出センサ56によりカメラの動き量が閾値以上となったことが検出されると(ステップS27:YES)、システムコントロール回路30は、ステップS22〜S25と同様の処理を行う。
【0052】
即ち、システムコントロール回路30は、タッチセンサ14の検出結果(指の接触場所及び指の接触面積)と、レンズ鏡筒13の位置で決まるズーム倍率とから、撮影範囲において指が存在すると想定される領域である想定領域を求め(ステップS28)、ステップS27:YESの時点で撮像素子54から出力された撮像信号から生成されたスルー画像データのうち、ステップS28で想定した想定領域に対応する画像データの各画素データの輝度値を測定し(ステップS29)、測定した輝度値が閾値以下の画素データに対応する領域を指領域として認識し(ステップS30)、認識した指領域の情報Fをメモリに一時的に記憶する(ステップS31)。
【0053】
次に、システムコントロール回路30は、ステップS25で記憶した情報Eと、ステップS31で記憶した情報Fとを比較し、情報Eで表される指領域と情報Fで表される指領域との重なる領域を、真の指領域として認識し、認識した真の指領域の情報Gをメモリに一時的に記憶する(ステップS32)。
【0054】
レリーズスイッチ11が半押しされて撮影準備の指示がなされると(ステップS33:YES)、システムコントロール回路30は、該指示が行われた時点での撮影範囲をズーム倍率により求め、求めた撮影範囲に情報Gで表される指領域が入るか否かを判定する(ステップS34)。
【0055】
撮影範囲に指が入らないと判定された場合は図3のステップS9の処理が行われ、撮影範囲に指が入ると判定された場合は図3のステップS7の処理が行われる。
【0056】
以上のように、本実施形態のカメラによれば、撮影によって得られた画像データに基づいて指領域を認識し、この指領域にしたがって撮影範囲に指が入っているか否かを判定することができる。したがって、第一実施形態の判定方法に比べて、その判定精度を向上させることができる。
【0057】
又、カメラを動かして行った2回の撮影で得られる画像データを基に、指領域の認識を2回行い、2回の指認識の結果を考慮して真の指領域を認識しているため、指領域の誤認識を防ぐことができ、撮影範囲に指が入っているか否かの判定をより高精度に行うことができる。
【0058】
尚、第一実施形態のカメラにおいて、図3のステップS3〜S5の代わりに、図6のステップS22〜S25の処理を行い、図3のステップS6において、撮影範囲に指が入っているか否かを情報Eにしたがって判定するようにしても良い。
【0059】
(第三実施形態)
図8は、本発明の第三実施形態のカメラを正面から見た場合の斜視図である。図8において図1と同様の構成には同一符号を付してある。
第三実施形態のカメラは、図1に示すカメラに、補助光を発光する発光部を追加した構成になっている。発光部は、図8(a)に示すように、カメラ本体前面に設けた点状光源57や、図8(b)に示すように、タッチセンサ14の周縁に設けたリング状光源58等である。
【0060】
図9は、本発明の第三実施形態のカメラのブロック図である。図9において図5と同様の構成には同一符号を付してある。
図9に示すカメラは、図5に示すカメラに、発光部57又は58と、発光部57又は58を駆動する補助光ドライバ回路59とを追加した構成となっている。
【0061】
第二実施形態のカメラでは、システムコントロール回路30が、画像データの輝度値にしたがって指領域を認識するものとしたが、この認識方法は、指以外の被写体の輝度がある程度明るい場合(昼間に撮影を行った場合)において有効となる。夜間の撮影等のような場合は、想定領域全体の輝度が落ちてしまうため、画像データの輝度値にしたがって指領域を認識したとしても、その指領域が指によって暗くなっているのかどうか判断することが難しい。第二実施形態のカメラの場合、夜間撮影時においては、実際には想定領域に指が入っていなくても、想定領域=指領域と認識される可能性があり、これによって撮影ができなくなってしまうことが考えられる。
【0062】
そこで、本実施形態では、想定領域に対応する画像データの各画素データの輝度値から認識した指領域の面積が閾値(例えば想定領域の90%)以上となっていた場合、この場合には指領域を正確に認識することが難しいため、システムコントロール回路30が、発光部57又は58により補助光を発光させ、補助光を発光させた時点で得られた撮像信号から生成されたスルー画像データの想定領域に対応する画像データと、補助光発光前の認識処理で用いた画像データとを比較し、比較の結果、輝度値が大きく変化した画素データに対応する領域を指領域として再認識するものとしている。
【0063】
以下、第三実施形態のカメラにおいてタッチセンサ14により物体の接触が検出されたときの動作について説明する。
図10は、第三実施形態のカメラにおいてタッチセンサにより物体の接触が検出されたときの動作フローを示す図である。図11は、指の存在する領域を認識する処理を説明するための図である。
【0064】
図6のステップ24又はステップS30の後、システムコントロール回路30は、認識した指領域の面積の大きさを判定する(ステップS41)。指領域の面積が閾値以上でなかった場合、システムコントロール回路30はステップS25又はステップS31以降の処理を行う。
【0065】
指領域の面積が閾値以上であった場合、システムコントロール回路30は、補助光ドライバ回路59を制御して発光部57又は58から補助光を発光させる(ステップS42)。
【0066】
次に、システムコントロール回路30は、補助光を発光して行われる撮影によって撮像素子54から出力される撮像信号から生成されたスルー画像データの、ステップS22又はステップS28で算出した想定領域に対応する画像データX(図11(b),(d)参照)と、ステップS24又はステップS30で指認識を行うために用いた画像データY(図11(a),(c)参照)とを比較して、指領域を再認識する(ステップS43)。例えば、画像データXと画像データYとで、輝度値が閾値以上変化した画素データを抽出し、抽出した画素データに対応する領域を指領域として再認識する。
【0067】
次に、システムコントロール回路30は、再認識した指領域の情報E(又はF)をメモリに一時的に記憶する(ステップS44)。その後は、ステップS26又はステップS32へと処理を移行する。
【0068】
以上のように、本実施形態のカメラによれば、被写体が暗すぎて指領域を正確に認識することが難しいときには、補助光を発光したときに得られる画像データと、補助光を発光しないときに得られる画像データとの比較によって指領域が再認識されるため、夜間撮影等であっても、撮影範囲に指が入っているか否かの判定を高精度に行うことができる。
【0069】
尚、本実施形態で説明した処理は、指領域の認識を1回だけ行う場合、即ち、図2のステップS3〜S5の代わりにステップS22〜S25を行う場合にも適用可能である。この場合には、図10のステップS44の後に行うステップS6の処理において、ステップS24で認識した情報E又はステップS44で再認識した情報Eにしたがって、撮影範囲に指が入っているか否かを判定するようにすれば良い。
【0070】
(第四実施形態)
第一実施形態〜第三実施形態のカメラでは、システムコントロール回路30が、撮影範囲に指が入っていると判定したときに撮影を禁止するように制御し、撮影範囲に指が入っていないと判定したときに撮影を許可するように制御するものとしている。これに対し、本実施形態のカメラでは、撮影範囲に指が入っているかどうかに関わらず撮影は可能とし、撮影範囲に指が入っている場合には、撮影指示に応じた撮影によって得られる撮影画像データから指の部分が削除されるように該撮影画像データを加工してから記録するようにしている。
【0071】
第四実施形態のカメラの構成は、第一実施形態のカメラ(ただし、フイルムカメラではなくデジタルカメラの場合の構成とする)、第二実施形態のカメラ、又は第三実施形態のカメラと同様である。
【0072】
図12は、第四実施形態のカメラの動作フローを示す図である。図13は、撮影画像データの加工方法の一例を説明するための図である。
第四実施形態のカメラのシステムコントロール回路30は、図3のステップS6又は図6のステップS34の判定がYESの場合、撮影指示を待機し、レリーズスイッチ11が全押しされて撮影指示が行われると、この撮影指示に応じて撮像素子を制御して撮影を行い、この撮影によって撮像素子から出力される撮像信号から生成された撮影画像データを取得する。そして、取得した撮影画像データから、ステップS4で判定した推定指領域又はステップS32で認識した指領域に対応する部分を削除するように該撮影画像データを加工し、加工した撮影画像データと、加工前の撮影画像データとを記録メディアに記録する(ステップS61)。
【0073】
撮影画像データの加工方法としては、例えば、図13に示すように、加工前の撮影画像データの推定指領域部分又は指領域部分が削除されるように、撮影画像データをトリミングする方法等がある。尚、加工方法は、ユーザによって予め設定できるようにしても良い。
【0074】
以上のように、本実施形態のカメラによれば、撮影範囲に指が入っていた場合でも撮影を行うことができるため、シャッターチャンスを逃すことがない。又、この撮影によって記録される撮影画像データは、指が写っていないものとなるため、指を削除する加工を後で行う必要がなく、ユーザの負担を軽減することができる。又、加工前の撮影画像データも記録されるため、撮影画像データの取捨選択が可能となる。
【0075】
(第五実施形態)
図14は、本発明の第五実施形態のカメラのブロック図である。図14において図5と同様の構成には同一符号を付してある。
図14に示すカメラは、図5に示すレンズ鏡筒13内の撮影レンズの一部に、光軸に対して垂直に移動可能なシフトレンズ61を追加し、更に、シフトレンズ61を駆動するシフト部ドライブ回路60と、シフトレンズ61の位置を検出する位置検出部52とを追加した構成となっている。
【0076】
システムコントロール回路30は、動き検出センサ56で検出されたカメラの動き量に応じて、シフト部ドライブ回路60を制御してシフトレンズ61の位置を変えることで、光学手振れ補正制御を行う。
【0077】
システムコントロール回路30は、第一実施形態で説明した方法で判定した推定指領域、又は、第二実施形態〜第三実施形態で説明した方法で認識した指領域が、撮影範囲に入らないように、シフトレンズ61を移動させて、撮影範囲を移動させる制御も行う。
【0078】
図15は、第五実施形態のカメラの動作フローを示す図である。図16は、第五実施形態のカメラの指画像削除方法を説明するための図である。図15において図3と同じ処理には同一符号を付してある。
第五実施形態のカメラのシステムコントロール回路30は、図3のステップS6又はステップS34の判定がYESの場合、推定指領域又は指領域が撮影範囲に入らなくなる方向にシフトレンズ61を移動する準備を開始する(ステップS51)。尚、シフトレンズ61の移動量M1は、ステップS6で判定した推定指領域又はステップS32で認識した指領域に基づいて算出する。
【0079】
次に、システムコントロール回路30は、光学手振れ補正機能がONされているかどうかを判定する(ステップS52)。光学手振れ補正機能がOFFだった場合、システムコントロール回路30は、シフトレンズ61の現在位置に移動量M1を足した位置(レンズ移動位置)が、シフトレンズ61のメカ端(シフトレンズ61の移動可能な直線上の両端)を超えるか否かを判定する(ステップS53)。
【0080】
レンズ移動位置がシフトレンズ61のメカ端を越えていた場合、この場合は、撮影範囲を可能な限り移動させても、撮影範囲に指が入ってしまうと判断できる。このため、システムコントロール回路30は、ステップS7以降の処理を行う。
【0081】
レンズ移動位置がシフトレンズ61のメカ端を越えていなかった場合、この場合は、撮影範囲を移動させていけば、指が撮影範囲に入らなくなると判断できる。このため、システムコントロール回路30は、図16に示すように、シフトレンズ61を移動量M1だけ移動させる(ステップS60)。シフトレンズ61を移動させた後、システムコントロール回路30は、ステップS9以降の処理を行う。
【0082】
ステップS52で光学手振れ補正機能がONであった場合、光学手振れ補正の性能を最大限発揮させるために必要なシフトレンズ61の移動量(補正範囲)をM2とすると、システムコントロール回路30は、移動量M1と移動量M2の合計が、シフトレンズ61の現在位置からシフトレンズ61のメカ端までの距離M3を超えるか否かを判定する(ステップS56)。
【0083】
(M1+M2)がM3以下であった場合、この場合、シフトレンズ61をM1だけ移動させても、メカ端まではM2の距離が残されており、光学手振れ補正を問題なく行うことができるため、システムコントロール回路30はステップS60以降の処理を行う。
【0084】
(M1+M2)がM3を超えていた場合、この場合、シフトレンズ61をM1だけ移動させると、メカ端まではM2の距離が確保されなくなり、光学手振れ補正の性能を十分に発揮させることができなくなる。このため、システムコントロール回路30は、光学手振れ補正性能よりも、指画像削除機能を優先するかどうかを、表示素子39を介してユーザに問い合わせる(ステップS57)。
【0085】
光学手振れ補正性能を優先する指示がなされると、システムコントロール回路30は、指画像を完全に削除できなくても撮影するかどうかを、表示素子39を介してユーザに問い合わせる(ステップS58)。
【0086】
ステップS58でNOの指示があると、システムコントロール回路30は、ステップS7以降の処理を行う。ステップS58でYESの指示があると、システムコントロール回路30は、シフトレンズ61を(M3−M2)分だけ移動させ(ステップS59)、その後、ステップS9以降の処理を行う。M1>(M3−M2)のため、ステップS59の処理では、撮影範囲に指が完全に入らなくなるまで撮影範囲を移動させることはできないが、それでも、指が写ってしまう範囲を極力減らすことができる。
【0087】
以上のように、本実施形態のカメラによれば、シフトレンズ61を移動させて指が撮影範囲に入らないようにすることができるため、撮影が禁止されてしまう確率を減らすことができ、シャッターチャンスを逃さない確率を上げることができる。
【0088】
尚、図15において、ステップS56:YESの後、ステップS57,S58を行わずに、ステップS7に直接処理を移行するようにしても良い。
【0089】
又、本実施形態では、シフトレンズ61を移動させることで撮影範囲を移動させるものとしたが、撮像素子54を移動させて撮影範囲を移動させても良いし、シフトレンズ61と撮像素子54とをそれぞれ移動させて撮影範囲を移動させても良い。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の第一実施形態のカメラを正面から見た場合の斜視図
【図2】本発明の第一実施形態のカメラのブロック図
【図3】本発明の第一実施形態のカメラの撮影時の動作フローを示す図
【図4】本発明の第一実施形態のカメラの撮影時における判定処理を説明するための図
【図5】本発明の第二実施形態のカメラのブロック図
【図6】本発明の第二実施形態のカメラにおいてタッチセンサにより物体の接触が検出されたときの動作フローを示す図
【図7】指の存在する領域を認識する処理を説明するための図
【図8】本発明の第三実施形態のカメラを正面から見た場合の斜視図
【図9】本発明の第三実施形態のカメラのブロック図
【図10】本発明の第三実施形態のカメラにおいてタッチセンサにより物体の接触が検出されたときの動作フローを示す図
【図11】指の存在する領域を認識する処理を説明するための図
【図12】本発明の第四実施形態のカメラの動作フローを示す図
【図13】撮影画像データの加工方法の一例を説明するための図
【図14】本発明の第五実施形態のカメラのブロック図
【図15】本発明の第五実施形態のカメラの動作フローを示す図
【図16】本発明の第五実施形態のカメラの指画像削除方法を説明するための図
【符号の説明】
【0091】
12 撮影レンズ
13 レンズ鏡筒
14 タッチセンサ
30 システムコントロール回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影レンズを含む伸縮自在なレンズ鏡筒の前面に設けられ、物体が触れたことを検出するセンサを有するカメラであって、
前記センサによる物体の検出結果と、前記レンズ鏡筒の位置で決まるズーム倍率とに基づいて、前記物体が撮影範囲に入っているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記物体が撮影範囲に入っていると判定された場合、撮影指示に応じた撮影によって得られる撮影画像に前記物体が含まれてしまうのを防止するための制御を行う制御手段とを備えるカメラ。
【請求項2】
請求項1記載のカメラであって、
前記撮影画像に前記物体が含まれてしまうのを防止するための制御が、撮影を禁止する制御であるカメラ。
【請求項3】
請求項1又は2記載のカメラであって、
被写体像を撮像信号として出力する撮像素子と、
前記センサの検出結果と前記ズーム倍率とに基づいて、撮影範囲において物体が存在すると想定される領域である想定領域を求める想定領域算出手段と、
前記撮像信号から生成される画像データのうちの前記想定領域に対応する画像データに基づいて、前記物体の存在する物体領域を認識する物体領域認識手段とを備え、
前記判定手段が、前記物体領域認識手段の認識結果にしたがって、前記撮影範囲に前記物体が入っているか否かを判定するカメラ。
【請求項4】
請求項3記載のカメラであって、
前記物体領域認識手段が、前記カメラの位置を変えて行われた2回の撮影によって得られるそれぞれ前記画像データを基に前記物体領域の認識を2回行い、認識した2つの物体領域同士の重なる領域を真の物体領域として認識するカメラ。
【請求項5】
請求項3又は4記載のカメラであって、
補助光を発光する発光手段を備え、
前記物体領域認識手段は、前記物体領域と認識した領域が所定面積以上であった場合、該認識に用いた前記画像データと、前記補助光を発光させたときの撮影によって得られる前記想定領域に対応する画像データとの比較により、前記物体領域を再認識するカメラ。
【請求項6】
請求項1記載のカメラであって、
被写体像を撮像信号として出力する撮像素子を備え、
前記撮影画像に前記物体が含まれてしまうのを防止するための制御が、前記撮影により得られる撮影画像データを前記物体部分が削除されるよう加工して記録する制御であるカメラ。
【請求項7】
請求項6記載のカメラであって、
前記センサの検出結果と前記ズーム倍率とに基づいて、撮影範囲において物体が存在すると想定される領域である想定領域を求める想定領域算出手段と、
前記撮像信号から生成される画像データのうちの前記想定領域に対応する画像データに基づいて、前記物体の存在する物体領域を認識する物体領域認識手段とを備え、
前記判定手段が、前記物体領域認識手段の認識結果にしたがって、前記撮影範囲に前記物体が入っているか否かを判定し、
前記制御手段が、前記撮影画像データから前記物体領域を削除するように加工を行うカメラ。
【請求項8】
請求項7記載のカメラであって、
前記物体領域認識手段が、前記カメラの位置を変えて行われた2回の撮影によって得られるそれぞれ前記画像データを基に前記物体領域の認識を2回行い、認識した2つの物体領域同士の重なる領域を真の物体領域として認識し、
前記制御手段が、前記撮影画像データから前記真の物体領域を削除するように加工を行うカメラ。
【請求項9】
請求項7又は8記載のカメラであって、
補助光を発光する発光手段を備え、
前記物体領域認識手段は、前記物体領域と認識した領域が所定面積以上であった場合、該認識に用いた前記画像データと、前記補助光を発光させたときの撮影によって得られる前記想定領域に対応する画像データとの比較により、前記物体領域を再認識するカメラ。
【請求項10】
請求項1記載のカメラであって、
被写体像を撮像信号として出力する撮像素子と、
前記撮影レンズと前記撮像素子との位置関係を変更する位置制御手段とを備え、
前記撮影画像に前記物体が含まれてしまうのを防止するための制御が、前記物体が撮影範囲に入らないように、前記位置制御手段により前記撮影レンズと前記撮像素子との位置関係を変更して撮影範囲をずらす制御であるカメラ。
【請求項11】
請求項10記載のカメラであって、
前記制御手段が、前記撮影範囲を可能な限りずらした状態でも前記物体が前記撮影範囲に入ってしまう場合には、撮影を禁止する制御を行うカメラ。
【請求項12】
請求項10又は11記載のカメラであって、
前記位置制御手段を制御して手振れを補正する手振れ補正機能を備え、
前記制御手段が、前記手振れ補正機能が有効になっており、且つ、前記撮影範囲を前記手振れ補正機能による補正範囲を残して可能な限りずらした状態でも前記撮影範囲に前記物体が入っている場合には、撮影を禁止する制御を行うカメラ。
【請求項13】
請求項10〜12のいずれか1項記載のカメラであって、
前記センサの検出結果と前記ズーム倍率とに基づいて、撮影範囲において物体が存在すると想定される領域である想定領域を求める想定領域算出手段と、
前記撮像信号から生成される画像データのうちの前記想定領域に対応する画像データに基づいて、前記物体の存在する物体領域を認識する物体領域認識手段とを備え、
前記判定手段が、前記物体領域認識手段の認識結果にしたがって、前記撮影範囲に前記物体が入っているか否かを判定し、
前記制御手段が、前記物体領域にしたがって、前記撮影範囲のずらし量を決定するカメラ。
【請求項14】
請求項13記載のカメラであって、
前記物体領域認識手段が、前記カメラの位置を変えて行われた2回の撮影によってそれぞれ得られる前記画像データを基に前記物体領域の認識を2回行い、認識した2つの物体領域同士の重なる領域を真の物体領域として認識し、
前記制御手段が、前記真の物体領域にしたがって、前記撮影範囲のずらし量を決定するカメラ。
【請求項15】
請求項13又は14記載のカメラであって、
補助光を発光する発光手段を備え、
前記物体領域認識手段は、前記物体領域と認識した領域が所定面積以上であった場合、該認識に用いた前記画像データと、前記補助光を発光させたときの撮影によって得られる前記想定領域に対応する画像データとの比較により、前記物体領域を再認識するカメラ。
【請求項16】
撮影レンズを含む伸縮自在なレンズ鏡筒の前面に設けられ、物体が触れたことを検出するセンサを有するカメラによる撮影を制御する撮影制御方法であって、
前記センサによる物体の検出結果と、前記レンズ鏡筒の位置で決まるズーム倍率とに基づいて、前記物体が撮影範囲に入っているか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップで前記物体が撮影範囲に入っていると判定した場合、撮影指示に応じた撮影によって得られる撮影画像に前記物体が含まれてしまうのを防止するための制御を行う制御ステップとを備える撮影制御方法。
【請求項17】
請求項16記載の撮影制御方法であって、
前記撮影画像に前記物体が含まれてしまうのを防止するための制御が、前記撮影を禁止する制御である撮影制御方法。
【請求項18】
請求項16記載の撮影制御方法であって、
前記撮影画像に前記物体が含まれてしまうのを防止するための制御が、前記撮影により前記カメラ内の撮像素子から出力される撮像信号から生成される撮影画像データを前記物体部分が削除されるよう加工して記録する制御である撮影制御方法。
【請求項19】
請求項16記載の撮影制御方法であって、
前記撮影画像に前記物体が含まれてしまうのを防止するための制御が、前記物体が撮影範囲に入らないように、前記カメラ内の撮影レンズと撮像素子との位置関係を変更して撮影範囲をずらす制御である撮影制御方法。
【請求項20】
請求項16〜19のいずれか1項記載の撮影制御方法であって、
前記センサの検出結果と前記ズーム倍率とに基づいて、撮影範囲において物体が存在すると想定される領域である想定領域を求める想定領域算出ステップと、
前記撮像信号から生成される画像データのうちの前記想定領域に対応する画像データに基づいて、前記物体の存在する物体領域を認識する物体領域認識ステップとを備え、
前記判定ステップでは、前記物体領域認識ステップでの認識結果にしたがって、前記撮影範囲に前記物体が入っているか否かを判定する撮影制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−139427(P2009−139427A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−312616(P2007−312616)
【出願日】平成19年12月3日(2007.12.3)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】