説明

カメラ用羽根駆動装置

【課題】カメラ用羽根駆動装置において、回転子を安定して回転させ、羽根を円滑に駆動するようにする。
【解決手段】撮影用の開口部を有するベース板8、ベース板と所定の間隔を空けて配置されたカバー板9、ベース板に回動自在に支持されて開口部に対して進退する羽根6a,6b、ベース板及びカバー板の一方に立設された軸部11、軸部に回動自在に嵌め込まれると共に羽根に連結された回転子2、回転子の外側に配置されると共に回転子に回転力を付与するコイル15を含む固定子14,21等を備えている。これにより、構造の簡素化、組立の容易化等を達成しつつ、回転子の安定した回転動作を可能にして、露光用の開口部に対して進退する羽根を円滑に駆動することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラのシャッタ等の羽根を駆動するカメラ用羽根駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラのシャッタ等を駆動するカメラ用羽根駆動装置等に使用される従来の小型モータとしては、例えば特開平7−191377号公報に記載されているものが知られている。この公報に記載のモータは、ロータマグネット(回転子)と、このロータマグネットに対面して配置されたステータと、このステータに電磁力を発生させてロータマグネットに回転力を与えるコイルと、ロータマグネットを回転可能でかつ挟持するように支持する2つの支持部材とを備えている。
【0003】
上記従来技術においては、ロータマグネットの上下面の回転中心に軸部を設けると共に、2つの支持部材にロータマグネットの各軸部に嵌合する穴を形成し、これらの穴にロータマグネットの各軸部を嵌入させることによって、ロータマグネットを回転可能に支持している。
しかしながら、上記従来技術のように支持部材に形成した穴がその支持部材を貫通していると、その穴からゴミ等が入ってロータマグネットの軸部に付着することがあり、この場合には、ロータマグネットの回転動作が不安定になることがある。また、2つの支持部材の軸部を嵌合する各々の穴が一直線上に配列されないと、ロータの軸部が位置ずれ又は傾斜した状態で組み付けられることになり、ロータを円滑に回転させることができない。
したがって、このようなモータを、露光用の開口部に対して進退する羽根の駆動源として用いると、羽根を正確に所定のタイミングで作動させることができず、好ましいシャッタ動作又は絞り動作等を得ることが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−191377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、構造の簡素化、組立の容易化等を図りつつ、回転子の安定した回転動作を可能にして、露光用の開口部に対して進退する羽根を円滑に駆動することのできるカメラ用羽根駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のカメラ用羽根駆動装置は、撮影用の開口部を有するベース板と、ベース板と所定の間隔を空けて配置されたカバー板と、ベース板に回動自在に支持されて露光用の開口部に対して進退する羽根と、ベース板及びカバー板の一方に立設された軸部と、軸部に回動自在に嵌め込まれると共に羽根に連結された回転子と、回転子の外側に配置されると共に回転子に回転力を付与するコイルを含む固定子と、を有することを特徴としている。
この構成によれば、回転子は、ベース板及びカバー板の一方に設けた軸部に回動自在に嵌め込まれると共にベース板及びカバー板により覆われて、回転力を及ぼすように羽根に連結されており、このように配置された回転子の回転により、羽根が露光用の開口部に対して進退するようになっている。
すなわち、回転子は外部に露出されることなく回動自在に支持されているため、ゴミ等が回転子の回転中心部に付着することが防止され、又、ベース板及びカバー板の一方に突出して設けられた一つの軸部だけで回転子が回転可能に支持されているため、組付け時における軸部の位置ずれや傾き等を防止でき、回転子を安定して回転させることができ、それ故に、露光用の開口部に対して、羽根を円滑に進退するように駆動することができる。
【0007】
上記構成において、ベース板及びカバー板の他方は、回転子が軸部に嵌め込まれた状態で、軸部の端面を当接させて回転子を覆うようにベース板及びカバー板の一方に固定されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、ベース板及びカバー板の一方に突設された軸部に回転子を回動自在に嵌め込み、その上から回転子を覆うように、ベース板及びカバー板の他方を近づけて軸部の端面を当接させて、ベース板及びカバー板の一方に固定するだけで、組付けが完了するため、組付け作業を容易に行うことができると共に、回転子の領域において、ベース板とカバー板とが回転子の回転を妨げないように所定の間隔に維持されるため、回転子をより円滑に確実に回転させることができる。
【0008】
上記構成において、軸部は、磁性体により形成されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、回転子(の永久磁石)と軸部との間に吸引力が発生するため、コイル(の銅線)が通電されていない時に、衝撃等により回転子に何らかの力が作用して回転子が誤って回転してしまうことを防止できる。また、コイル(の銅線)が通電されて回転子が回転する時には、回転子(の永久磁石)の吸引力により軸部は常に回転子の回転中心に位置するようになるため、回転子には均一な力が作用し、回転子をより安定して回転させることができる。
【0009】
上記構成において、軸部は着磁されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、軸部と回転子(の永久磁石)との間に吸引・反発力が発生するので、これを利用することで、回転子の最適な初期位置(停止位置)を容易に設定できる。例えば、強い吸引力が発生する位置が初期位置となるように軸部に着磁を施すと、コイル(の銅線)が通電されていない時には、軸部と回転子との間には強力な吸引力が作用するため、衝撃等による回転子の誤動作を防止でき、回転子を初期位置に停止させたままとすることができる。
【発明の効果】
【0010】
上記構成をなす本発明のカメラ用羽根駆動装置によれば、構造の簡素化、組立の容易化等を達成しつつ、回転子の安定した回転動作を可能にして、露光用の開口部に対して進退する羽根を円滑に駆動することのできるカメラ用羽根駆動装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るカメラ用羽根駆動装置の実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】図1に示すカメラ用羽根駆動装置の平面図である。
【図3】図1に示すカメラ用羽根駆動装置の断面図である。
【図4】本発明に係るカメラ用羽根駆動装置の他の実施形態を示す断面図である。
【図5】本発明に係るカメラ用羽根駆動装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
このカメラ用羽根駆動装置1は、図1に示すように、撮影用の開口部8aを有するベース板8、ベース板8と所定の間隔を空けて配置されたカバー板9、ベース板8に回動自在に支持されて露光用の開口部8aに対して進退する羽根6a,6b、ベース板8に突設された軸部11、軸部11に回動自在に嵌め込まれると共に羽根6a,6bに連結された回転子2、回転子2の外側に配置されると共に回転子2に回転力を付与する固定子としてのヨーク14,コイル15,及び連結ヨーク21等を備えている。
【0013】
回転子2は、図1及び図3に示すように、軸受部3a及びその外周部に配置された円筒状の永久磁石3bからなる回転本体部4、回転本体部4の回転中心部に形成された貫通孔5、回転本体部4の外周面下部から突出して形成された作動片7等を備えている。
貫通孔5には、ベース板8に突設された軸部11が挿入されるようになっている。
作動片7は、2枚の羽根6a,6b(図2では一方の羽根6aのみを示す)に連結されるように、断面略L字型に突出して形成されている。ここで、作動片7は、モールド等により回転本体部4と一体成形されている。
そして、回転子2は、その貫通孔5に軸部11が挿入され、後述するカバー板9がその上から組み付けられることで、ベース板8とカバー板9とで作られる空間内に収容されて、回動自在に支持されるようになっている。
【0014】
ベース板8は、図1ないし図3に示すように、シャッタ地板10の上に載置された例えばプラスチック製の円板として形成され、その中心部において円形に形成された撮影用の開口8a、カバー板9を固定するための穴8b及び突設部8c、一体的に突設して形成された軸部11、軸部11に隣接した位置に形成された貫通穴12等を備えている。
撮影用の開口8aは、2つの羽根6a,6bにより開閉されるようになっている。
軸部11は、その上端部において、回転本体部4の上面から突き出る長さに形成された突出部13、突出部13から段下がりに形成されてカバー板9の下面に当接してカバー板9を受けるように形成された上端面(下段部分)11a等を画定するように形成されている。
貫通穴12は、回転子2が軸部11に嵌め込まれた(貫通孔5に軸部11が挿入された)状態で、羽根6a,6bに連結される作動片7が移動自在に配置されるように形成されている。
そして、軸部11は、回転子2が嵌め込まれた(貫通孔5に軸部11が挿入された)状態で、カバー板9が回転子2を覆うようにベース板8に連結して固定されると、その上端面11aがカバー板9の下面に当接して、回転子2が回転する領域において、カバー板9とベース板8との間隔を所定の隙間に維持するようになっている。
【0015】
カバー板9は、図1ないし図3に示すように、プラスチック製で、回転子2及び2つのヨーク14,14を覆うように円弧状に形成されており、その裏面から突出して形成された固定用の突起18a,18a,18b,18b、上面部に形成された貫通穴20,23等を備えている。
突起18a,18aは、ベース板8に形成された穴8b,8bに差し込まれるように形成されている。
突起18b,18bは、各ヨーク14に形成された穴14aに差し込まれるように形成されている。
貫通穴20は、軸部11の突出部13が挿入されるように形成されている。
貫通穴23は、後述する連結ヨーク21の脚部22が差し込まれるように形成されている。
【0016】
そして、カバー板9は、図1及び図3に示すように、ベース板8の軸部11に回転子2が嵌め込まれ、ベース板8上にヨーク14及びコイル15を巻回したボビン16が配置された状態で、上方からこれらの部品を覆うように近づけられて、ボルト19,19が突設部8c,8cに捩じ込まれて、ベース板8に固定されるようになっている。
この時、突起18b,18bが各ヨーク14の穴14aに差し込まれ、カバー板9の上面部に形成された貫通穴20に軸部11の突出部13が挿入され、軸部11の上端面(下段部分)11aがカバー板9の下面に当接してカバー板9を受けるようになっている。
【0017】
このように、ベース板8に突設された軸部11に回転子2を回動自在に嵌め込み、その上から回転子2及びヨーク14並びにコイル15(及びボビン16)を覆うように、カバー板9を近づけて軸部11の上端面11aを当接させて、ベース板8に固定するだけで、組付けが完了するため、組付け作業を容易に行うことができると共に、回転子2の領域におけるベース板8とカバー板9とが回転子2の回転を妨げないように所定の間隔に維持されるため、組付け作業を簡単に行うことができると共に、回転子2をより円滑に確実に回転させることができる。
【0018】
2つのヨーク14,14は、磁界を形成するものであり、図1ないし図3に示すように、ベース板8上でかつ回転子2の外側において、回転子2を挟むようにして配置されており、それぞれ、鉄心としての立ち曲げ部17、突起18bが挿入される穴14a等を備えている。
各ヨーク14には、電磁力を発生させて回転子2に回転力を与えるためのコイル15が設けられている。
各コイル15は、中空部分16aを有するボビン16に銅線が巻かれたものであり、ボビン16の中空部分16aにヨーク14の立ち曲げ部17が挿入されることで、コイル15(ボビン16)がヨーク14に固定されるようになっている。
【0019】
連結ヨーク21は、図1ないし図3に示すように、カバー板9上に配置されて、2つのヨーク14,14同士を連結するように円弧状に形成されており、その両端部に形成された脚部22,22を備えている。
そして、連結ヨーク21は、その脚部22,22がカバー板9の貫通穴23,23に差し込まれ、各ヨーク14,14の立ち曲げ部17,17に連結されるようになっている。
上記2つのヨーク14,14、2つのコイル15,15及び連結ヨーク21により、固定子が構成されている。
【0020】
上記構成をなすカメラ用羽根駆動装置1においては、制御装置(不図示)からの信号によりコイル15の銅線に正方向の通電が行われると、ヨーク14に電磁力が発生し、回転子2が図2において反時計回りに回転し、羽根6a,6bは開口部8aを開放する開放位置に向かって移動する。一方、コイル15の銅線に逆方向の通電が行われると、ヨーク14に反対方向の電磁力が発生し、回転子2が図2において時計回りに回転し、羽根6a,6bは閉鎖位置に向かって移動する。
【0021】
上記実施形態のカメラ用羽根駆動装置1によれば、回転子2は、ベース板8に設けた軸部11に回動自在に嵌め込まれると共にベース板8及びカバー板9により覆われて、回転力を及ぼすように羽根6a,6bに連結されて、回転子2は外部に露出されることなく回動自在に支持されているため、ゴミ等が回転子2の回転中心部(貫通孔5)に付着することが防止され、又、突出して設けられた一つの軸部11だけで回転子2が回転可能に支持されているため、組付け時における軸部11の位置ずれや傾き等を防止でき、回転子2を安定して回転させることができ、それ故に、露光用の開口部8aに対して、羽根6a,6bを円滑に進退するように駆動することができる。
【0022】
また、カバー板9は、回転子2が軸部11に嵌め込まれた状態で、軸部11の上端面11aを当接させて回転子2を覆うようにベース板8に固定されているため、ベース板8に突設された軸部11に回転子2を回動自在に嵌め込み、その上から回転子2を覆うように、カバー板9を近づけて軸部11の上端面11aを当接させて、ベース板8に固定するだけで、組付けが完了するため、組付け作業を容易に行うことができると共に、回転子2の領域において、ベース板8とカバー板9とが回転子2の回転を妨げないように所定の間隔に維持されるため、回転子2をより円滑に確実に回転させることができる。
尚、本発明においては、回転本体部4の軸受部3aも永久磁石により形成し、その永久磁石に貫通孔5を設けるようにしてもよい。
【0023】
次に、本発明に係るカメラ用羽根駆動装置の他の実施形態について、図4を参照しつつ説明する。図中、前述の実施形態と同一又は同等の部材については、同じ符号を付し、その説明を省略する。
この実施形態に係るカメラ用羽根駆動装置1Aは、図4に示すように、撮影用の開口部8aを有するベース板8A、ベース板8Aと所定の間隔を空けて配置されたカバー板9、ベース板8Aに回動自在に支持されて露光用の開口部8aに対して進退する羽根6a,6b、ベース板8A(の凹部31)に突設された軸部33、軸部33に回動自在に嵌め込まれると共に羽根6a,6bに連結された回転子2、回転子2の外側に配置されると共に回転子2に回転力を付与する固定子としてのヨーク14,コイル15,及び連結ヨーク21等を備えている。
【0024】
ベース板8Aは、図4に示すように、シャッタ地板10の上に載置された例えばプラスチック製の円板として形成され、その中心部において円形に形成された撮影用の開口8a、カバー板9を固定するための穴8b及び突設部8c、軸部33を突設するべく軸部33を嵌合する凹部31、凹部31(突設される軸部33)に隣接した位置に形成された貫通穴12等を備えている。
軸部33は、磁性体例えば鉄で形成されており、その上端部において、回転本体部4の上面から突き出る長さに形成された突出部32の他に、前述の軸部11と同様の上端面を画定するように形成されて、凹部31に嵌め込まれてベース板8Aに接着剤等で固着されている。
また、軸部33は、着磁装置等により着磁されて極を持っている。ここでは、軸部33は、回転子2の作動片7が初期位置(例えば、図2に示すように羽根6a,6bの閉鎖位置に対応する位置)にあるときに、回転本体部4に組み込まれた永久磁石3bとの間で最も強い吸引力が発生するように着磁されている。
【0025】
この実施形態によれば、回転子2の作動片7が初期位置にある状態で、コイル15の銅線が通電されていないときには、軸部33の極と回転子2の回転本体部4(永久磁石3b)の極との間に最も強い吸引力が発生するため、衝撃等により回転子2に何らかの力が作用しても、回転子2が簡単に回転してしまうことはなく停止状態が維持される。また、コイル15の銅線を通電させることにより回転子2が回転するときには、回転本体部4と軸部33との間の吸引力により、軸部33は常に回転子2の回転中心に位置するようになるため、回転子2は常に均一な力が与えられた状態で回転する。
【0026】
このように、軸部33を磁性体で形成しかつその軸部33に着磁を施したことにより、コイル15の銅線の無通電時に、回転子2が衝撃等により誤って作動することを防止できる。また、コイル15の銅線の通電時には、ゴミ等による回転子2への悪影響が無くなるだけでなく、回転子2に均一な力が作用するため、回転子2の回転動作がより安定するようになる。
【0027】
この実施形態においても、前述実施形態と同様に、回転子2は、ベース板8Aに設けた軸部33に回動自在に嵌め込まれると共にベース板8A及びカバー板9により覆われて、回転力を及ぼすように羽根6a,6bに連結されて、回転子2は外部に露出されることなく回動自在に支持されているため、ゴミ等が回転子2の回転中心部(貫通孔5)に付着することが防止され、又、突出して設けられた一つの軸部33だけで回転子2が回転可能に支持されているため、組付け時における軸部33の位置ずれや傾き等を防止でき、回転子2を安定して回転させることができ、それ故に、露光用の開口部8aに対して、羽根6a,6bを円滑に進退するように駆動することができる。
【0028】
また、カバー板9は、回転子2が軸部33に嵌め込まれた状態で、軸部33の上端面11aを当接させて回転子2を覆うようにベース板8Aに固定されているため、ベース板8Aに突設された軸部33に回転子2を回動自在に嵌め込み、その上から回転子2を覆うように、カバー板9を近づけて軸部33の上端面11aを当接させて、ベース板8Aに固定するだけで、組付けが完了するため、組付け作業を容易に行うことができると共に、回転子2の領域において、ベース板8Aとカバー板9とが回転子2の回転を妨げないように所定の間隔に維持されるため、回転子2をより円滑に確実に回転させることができる。
【0029】
尚、上記実施形態においては、軸部33を着磁する構成を示したが、軸部33を着磁しない場合であっても、軸部は磁性体であるため、回転子2の永久磁石3bに吸引力が作用し、軸部は回転子2に引き付けられる。このため、コイル15の無通電時には回転子2が回転し難くなり、衝撃等による回転子2の誤作動を低減することができる。
【0030】
次に、本発明に係るカメラ用羽根駆動装置のさらに他の実施形態について、図5を参照しつつ説明する。図中、前述の実施形態と同一又は同等の部材については、同じ符号を付し、その説明を省略する。
この実施形態に係るカメラ用羽根駆動装置1Bは、図5に示すように、撮影用の開口部8aを有するベース板8A、ベース板8Aと所定の間隔を空けて配置されたカバー板9、ベース板8Aに回動自在に支持されて露光用の開口部8aに対して進退する羽根6a,6b、ベース板8Aに突設された軸部33B、軸部33Bに回動自在に嵌め込まれると共に羽根6a,6bに連結された回転子2、回転子2の外側に配置されると共に回転子2に回転力を付与する固定子としてのヨーク14,コイル15,及び連結ヨーク21等を備えている。
【0031】
軸部33Bは、磁性体例えば鉄で形成されており、図5に示すように、その上端部において突出部32B、その他に前述の軸部11と同様の上端面を画定するように形成されて、凹部33に嵌め込まれてベース板8Aに接着剤等で固着されている。
突出部32Bは、回転本体部4の上面から突き出ると共に、カバー板9の貫通穴20を突き抜けて連結ヨーク21の高さ位置まで延びる長さに形成され、連結ヨーク21に接触している。
【0032】
このように、磁性体の軸部33Bが連結ヨーク21に接触させられているため、コイル15の銅線を通電させたときには、軸部33Bは極を持つようになる。これにより、軸部33Bと回転子2の永久磁石3bとの間に吸引・反発力が発生して、軸部33Bは磁力を増大させるように作用し、ヨーク14の機能を補助する役目を果たすことになり、これにより回転子2の回転力を増大させることができる。
【0033】
この実施形態においても、前述実施形態と同様に、回転子2は、ベース板8Aに設けた軸部33Bに回動自在に嵌め込まれると共にベース板8A及びカバー板9により覆われて、回転力を及ぼすように羽根6a,6bに連結されて、回転子2は外部に露出されることなく回動自在に支持されているため、ゴミ等が回転子2の回転中心部(貫通孔5)に付着することが防止され、又、突出して設けられた一つの軸部33Bだけで回転子2が回転可能に支持されているため、組付け時における軸部33Bの位置ずれや傾き等を防止でき、回転子2を安定して回転させることができ、それ故に、露光用の開口部8aに対して、羽根6a,6bを円滑に進退するように駆動することができる。
【0034】
また、カバー板9は、回転子2が軸部33Bに嵌め込まれた状態で、軸部33Bの上端面11aを当接させて回転子2を覆うようにベース板8Aに固定されているため、ベース板8Aに突設された軸部33Bに回転子2を回動自在に嵌め込み、その上から回転子2を覆うように、カバー板9を近づけて軸部33Bの上端面11aを当接させて、ベース板8Aに固定するだけで、組付けが完了するため、組付け作業を容易に行うことができると共に、回転子2の領域において、ベース板8Aとカバー板9とが回転子2の回転を妨げないように所定の間隔に維持されるため、回転子2をより円滑に確実に回転させることができる。
【0035】
以上述べた実施形態においては、回転子2の貫通孔5に挿入される軸部11,33,33Bをベース板8上に突設(立設)させる構成を示したが、これに限定されるものではなく、軸部をカバー板に突設(立設)させるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上述べたように、本発明のカメラ用羽根駆動装置は、構造の簡素化、組立の容易化等を達成しつつ、回転子の安定した回転動作を可能にして、露光用の開口部に対して進退する羽根を円滑に駆動することができるため、携帯型のカメラ、固定型のカメラ、監視カメラ等種々のカメラに適用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1,1A,1B カメラ用羽根駆動装置
2 回転子
3b 永久磁石
4 回転本体部
5 貫通孔
6a,6b 羽根
7 作動片
8,8A ベース板
8a 露光用の開口部
8b 穴
8c 突設部
9 カバー板
11,33,33B 軸部
11a 上端面
12 貫通穴
13 突出部
14 ヨーク(固定子)
14a 穴
15コイル(固定子)
16 ボビン
16a 中空部分
17 立ち曲げ部
18a,18b 突起
19 ボルト
20,23 貫通穴
21 連結ヨーク(固定子)
22 脚部
31 凹部
32B 突出部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影用の開口部を有するベース板と、
前記ベース板と所定の間隔を空けて配置されたカバー板と、
前記ベース板に回動自在に支持されて前記開口部に対して進退する羽根と、
前記ベース板及びカバー板の一方に立設された軸部と、
前記軸部に回動自在に嵌め込まれると共に前記羽根に連結された回転子と、
前記回転子の外側に配置されると共に前記回転子に回転力を付与するコイルを含む固定子と、
を有することを特徴とするカメラ用羽根駆動装置。
【請求項2】
前記ベース板及びカバー板の他方は、前記回転子が前記軸部に嵌め込まれた状態で、前記軸部の端面を当接させて前記回転子を覆うように前記ベース板及びカバー板の一方に固定されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のカメラ用羽根駆動装置。
【請求項3】
前記軸部は、磁性体により形成されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のカメラ用羽根駆動装置。
【請求項4】
前記軸部は、着磁されている、
ことを特徴とする請求項3に記載のカメラ用羽根駆動装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−231225(P2010−231225A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−118423(P2010−118423)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【分割の表示】特願平11−129714の分割
【原出願日】平成11年5月11日(1999.5.11)
【出願人】(000001225)日本電産コパル株式会社 (755)
【Fターム(参考)】