説明

カメラ

【課題】 撮影レンズと可動ミラーとが干渉して、可動ミラーが破損するのを防止しつつ、光学ファインダーを用いた撮影と、ライブビュー撮影とを選択して撮影することができるカメラを得ること。
【解決手段】 マウント手段と、撮影光路中から退避可能に撮影光路中に設けた可動ミラーと、撮像素子と、該撮像素子で得られた像に基づく画像情報を表示する表示手段と、を有するカメラにおいて、撮影レンズの該マウント手段への装着に際して該撮影レンズの一部が該可動ミラーと干渉するか否かを検知する検知手段と、該検知手段からの信号に基づいて、該可動ミラーを撮影光路中から退避させるとともに、該可動ミラーが撮影光路中から退避したときには、該撮像素子で得られる像に基づく画像情報を該表示手段に表示すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックフォーカスの異なる種々の撮影レンズを着脱可能に装着し、光学ファインダーを利用した撮影と、ライブビュー撮影とを選択することができるカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
一眼レフカメラには、撮影レンズと撮像素子との間に、被写体からの光束であって撮影レンズを通過した光束をファインダー光学系に導くためのクイックリターンミラーや、焦点検出装置に導くためのサブミラーなどの可動ミラーが設けられている。
【0003】
この可動ミラーは、レリーズ釦が操作されたときの撮影中以外は、撮影レンズの光軸上に傾斜配置されている。そして撮影レンズを通過した被写体からの光束をファインダー光学系や焦点検出装置へ導光している。
【0004】
近年、撮影レンズを通過した被写体からの光束を撮像し、画像データを出力する撮像素子と、撮像素子から出力された画像データに応じて画像をLCD等に表示する表示手段とを備えたデジタル一眼レフカメラが多く提案されている。
【0005】
デジタル一眼レフカメラとして、光学ファインダーを用いて被写体を観察して撮影する代わりに、撮像素子で撮像した画像データを表示手段に表示し、表示手段上の画像を観察しながら撮影するライブビュー撮影が可能なものが提案されている。
【0006】
ライブビュー撮影時には可動ミラーは撮影光路中から退避(ミラーアップ)する。このためライブビュー撮影のみを行うカメラの場合には、可動ミラーの配置スペースが不要となる。
【0007】
ライブビュー撮影のみを行うカメラでは可動ミラーをミラーアップした状態とするので、このカメラに着脱可能に装着する撮影レンズは、バックフォーカスが短いことがカメラの小型化に有効である。
【0008】
可動ミラーを撮影光路中に配置したカメラにバックフォーカスの短い撮影レンズを装着する場合、可動ミラーを撮影光路中から退避させる(ミラーアップ)必要がある。
【0009】
このときは事前に使用者側(撮影者側)でミラーアップを行う必要がある。この操作を忘れて、バックフォーカスの短い撮影レンズをカメラに取り付けようとすると可動ミラーと撮影レンズの一部が接触して、可動ミラーを破損させる場合がある。
【0010】
これに対して撮影レンズのバックフォーカスの長短に関わらず、撮影レンズをカメラに装着したとき、撮影レンズの鏡筒と可動ミラーとの干渉を回避するようにした一眼レフレックスカメラシステムが知られている(特許文献1)。
【0011】
特許文献1では、撮影レンズのカメラの非装着時の初期設定において、可動ミラーは、撮影光路外に位置している。
【0012】
そしてバックフォーカスの長い撮影レンズをカメラに装着したときのみ、可動ミラーを駆動させて撮影光路内に位置するようにしている。
【0013】
又、バックフォーカスの短い撮影レンズをカメラに装着したときには、可動ミラーを不動としている。
【0014】
この動作を撮影レンズに設けた信号手段(ROM)から発せられるレンズ識別情報をカメラ側の電子回路で検出し、判断して行っている。
【特許文献1】特開平11−352585号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
特許文献1では初期設定において、可動ミラーが撮影光路外に退避している。このためバックフォーカスの長い撮影レンズをカメラに装着した場合、カメラ側の電源がOFFであると、駆動手段が動かず可動ミラーが撮影光路内に移動しない。
【0016】
即ち可動ミラーが撮影光路外に退避したままとなるので光学ファインダーで像を観察することができない。
【0017】
本発明は、カメラ側の可動ミラー駆動用の電源がOFFの状態で、バックフォーカスの長い撮影レンズをカメラに装着した場合であっても光学ファインダーでの像の観察ができるカメラの提供を目的とする。更に撮影レンズと可動ミラーとが干渉して、可動ミラーが破損するのを防止しつつ、光学ファインダーを用いた撮影と、ライブビュー撮影とを選択して撮影することができるカメラの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明のカメラは、
撮影レンズを着脱可能とするマウント手段と、
撮影光路中から退避可能に撮影光路中に設けた可動ミラーと、
撮影レンズによって形成される像を光電変換する撮像素子と、
該撮像素子で得られた像に基づく画像情報を表示する表示手段と、
を有するカメラにおいて、
撮影レンズの該マウント手段への装着に際して
該撮影レンズの一部が該可動ミラーと干渉するか否かを検知する検知手段と、
該検知手段からの信号に基づいて、該可動ミラーを撮影光路中から退避させることと、該可動ミラーが撮影光路中から退避したときには、該撮像素子で得られる像に基づく画像情報を該表示手段に表示することを制御する制御手段と、
を有することを特徴としている。
【0019】
この他、本発明は、
撮影レンズを着脱可能とするマウント手段と、
撮影光路中から退避可能に撮影光路中に設けた可動ミラーと、
撮影レンズによって形成される像を光電変換する撮像素子と、
該撮像素子で得られた像に基づく画像情報を表示する表示手段と、
を有するカメラにおいて、
撮影レンズの該マウント手段への装着に際して
該撮影レンズの一部が該可動ミラーと干渉するか否かの情報を該撮影レンズ側から受信する受信手段と、
該受信手段からの信号に基づいて、該可動ミラーを撮影光路中から退避させることと、該可動ミラーが撮影光路中から退避したときには、該撮像素子で得られる像に基づく画像情報を該表示手段に表示することを制御する制御手段と、
を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、カメラ側の可動ミラー駆動用の電源がOFFの状態で、バックフォーカスの長い撮影レンズをカメラに装着した場合であっても光学ファインダーでの像の観察ができる。更に撮影レンズと可動ミラーとが干渉して、可動ミラーが破損するのを防止しつつ、光学ファインダーを用いた撮影と、ライブビュー撮影とを選択して撮影することができるカメラが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明のカメラの実施形態を添付の図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0022】
図1は実施例1の要部概略図、図2は図1の要部ブロック図である。図1、図2において、1は第1のカメラ(撮像装置)である。
【0023】
第1のカメラ1の筐体1aには、撮影レンズを着脱可能に装着するマウント2が設けられている。又、レリーズ釦3a、電源釦(電源スイッチ)3b、レンズ取り外し釦3c、などの操作ボタン3が設けられている。更に撮影レンズによって撮影される画像情報を表示する表示手段(LCD)4が設けられている。マウント2には、撮影レンズが装着されたとき、各種のデータのやりとりが可能な電気接点2aが設けられている。
【0024】
第1のカメラ1の内部には撮影光路中にあって光路中から退避可能なメインミラー(可動ミラー)5と、可動ミラー5の回転軸6に接続されたミラー駆動回路7と、複数の画素で構成される光電変換するCCDより成る撮像素子8が設けられている。又、回路基板に形成された各種の動作を制御する電子回路(制御手段)9が設けられている。
【0025】
さらに、被写体像の観察用として、ピント板10、ペンタダハプリズム11、接眼レンズ12を有するファインダー光学系(観察系)13が設けられている。
【0026】
マウント2の直後の筐体1a内には可動ミラー5を駆動させるか否かを撮影レンズの装着に際して検知するミラーアップスイッチ(検知手段)14が設けられている。
【0027】
本実施例の可動ミラー5は、図1に示す如く初期設定において撮影光路中に配置されている(ミラーダウン)。第1のカメラ1に撮影レンズを装着するとき、撮影レンズのバックフォーカスが短くて、撮影レンズの鏡筒と可動ミラー5とが接触して可動ミラー5をアップ(撮影光路中より退避)させなくてはならない場合がある。このときのみ、撮影レンズの鏡筒の一部がミラーアップスイッチ14を押し上げるようにしている。
【0028】
即ち、ミラーアップスイッチ14をONするようにしている。
【0029】
電源釦3bがONの状態でミラーアップスイッチ14が撮影レンズの鏡筒の一部で押下されると(ONになると)、可動ミラー5のアップを行う制御信号が、ミラーアップスイッチ駆動回路15と電子回路9を介してミラー駆動回路7へ送られる。
【0030】
ミラー駆動回路7は電子回路(制御手段)9からの制御信号を受けて、可動ミラー5を回転軸6のまわりに回転し、可動ミラー5を撮影光路中から退避させる。
【0031】
それに基づいて表示手段4が駆動され、表示手段4には、撮像素子8で撮像される像が表示されライブビュー撮影を可能としている。
【0032】
ここで、電源釦3bがOFFの状態ではミラーアップスイッチ14に撮影レンズの鏡筒の一部が接触してもミラーアップスイッチ駆動回路15によってロックされて、押下(ON)されないようにしている。これにより撮影レンズがマウント2に装着されないようにすることで可動ミラー5に撮影レンズの一部が接触しないようにして可動ミラー5の破損を防いでいる。
【0033】
また、ミラーアップスイッチ14が撮影レンズの鏡筒の一部で押下されると可動ミラー5がアップする。この結果、可動ミラーで反射した光による光学ファインダー像の観察ができなくなる。このときは電子回路9を介して表示手段(LCD)4が起動することで撮影者はすぐに表示手段4で撮影像を観察することができるようにしている。これによりライブビュー撮影を始めることが出来る。
【0034】
本実施例の第1のカメラ1はマウント2を介して図3に示す第1の撮影レンズ101と図4に示す第2の撮影レンズ121と図5に示す第3の撮影レンズ141の少なくとも3種類の撮影レンズの装着が可能である。
【0035】
図3に示す第1の撮影レンズ101はバックフォーカスの長い(例えばバックフォーカスが38mm以上)撮影レンズである。
【0036】
図4に示す第2の撮影レンズ121はバックフォーカスの短い(例えばバックフォーカスが38mm以下)撮影レンズである。
【0037】
図5(a),(b)に示す第3の撮影レンズ141は光学系が短縮状態141a(図5(a))と伸張状態141b(図5(b))との間で伸張可能である。そして、伸張状態141bにおいて、バックフォーカスの短い(例えばバックフォーカスが38mm以下)撮影レンズである。
【0038】
次に図1の第1のカメラ1に第1〜第3の撮影レンズ101、121、141を装着するときの第1のカメラ1の動作について説明する。
【0039】
図3に示すように第1のカメラ1に第1の撮影レンズ101を装着する場合、第1の撮影レンズ101の鏡筒104はミラーアップスイッチ14に触れない。このため、撮影者がレリーズ釦3aを押すか、ライブビュー撮影モードに切り替えない限り可動ミラー5はダウンしたままである。
【0040】
図4に示すように第1のカメラ1に第2の撮影レンズ121を装着する場合、装着の途中で第2の撮影レンズ121の鏡筒124はミラーアップスイッチ14を押下する。このため、撮影光路中に配置されている可動ミラー5は光路中から自動的に退避される。このとき表示手段(LCD)4を起動することによって、撮像素子8で得られる像が表示手段4に表示される。これによってライブビュー撮影が可能となる。
【0041】
図5(a)、(b)に示すように第1のカメラ1に第3の撮影レンズ141を装着する場合の動作は次のとおりである。図5(a)に示すように撮影レンズ141が短縮状態141aで装着すると、撮影レンズ141の鏡筒144が光軸方向へ移動し、ミラーアップスイッチ(スイッチ部材)14に触れない。
【0042】
このため可動ミラー5はミラーダウンしたままとなる。この状態で図5(b)に示すように撮影レンズ141を伸張状態141bにすると鏡筒144の一部がミラーアップスイッチ14を押し下げる。
【0043】
これによって可動ミラー5は光路中から退避する。このとき表示手段4を起動することによって撮像素子8で得られる像が表示手段4に表示される。これによってライブビュー撮影が可能となる。
【0044】
尚、撮影レンズ141を伸張状態141bとしてカメラ1に装着しても良い。このときの動作は図4と同じになる。
【実施例2】
【0045】
図6は実施例2の要部概略図、図7は図6の要部ブロック図である。図6、図7において、21は第2のカメラ(撮像装置)である。
【0046】
第2のカメラ21の筐体21aには、撮影レンズを着脱可能に装着するマウント22が設けられている。又、レリーズ釦23a、電源釦(電源スイッチ)23b、レンズ取り外し釦23c、などの操作ボタン23が設けられている。更に撮影レンズによって撮影される画像を表示する表示手段(LCD)24が設けられている。マウント22には、撮影レンズが装着されたとき、各種のデータのやりとりが可能な電気接点22aが設けられている。
【0047】
第2のカメラ21の内部には撮影光路中にあって光路中から退避可能なメインミラー(可動ミラー)25と、可動ミラー25の回転軸26に接続されたミラー駆動回路27と、複数の画素で構成されるCCDより成る撮像素子28が設けられている。
【0048】
又、回路基板に形成された各種の動作を制御する電子回路(制御手段)29が設けられている。
【0049】
さらに、被写体像の観察用として、ピント板30、ペンタダハプリズム31、接眼レンズ32を有するファインダー光学系(観察系)33が設けられている。
【0050】
ここで、マウント22内の電気接点22aは受信手段を構成し、電気接点22aを介して装着された撮影レンズ側から、その種類に関する信号が入力される。受信手段22aからの信号より電子回路29によって、撮影レンズの種類を判別する。
【0051】
電子回路29によってミラーアップをすべき、バックフォーカスの短い撮影レンズであることを判別すると、電子回路29はミラー駆動回路35へミラーアップを行う制御信号を送る。ミラー駆動回路35は電子回路29からの制御信号を受けて、可動ミラー25を回転軸26まわりに回転し、撮影光路中から退避する。
【0052】
その後、電子回路9を介して表示手段24が起動することで表示手段24には撮像素子28で撮像される像が表示され撮影者はすぐにライブビュー撮影を始めることが出来る。
【0053】
本実施例の可動ミラー25は、図6に示す如く初期設定において撮影光路中に配置されている(ミラーダウン)。第2のカメラ21に撮影レンズを装着するとき、撮影レンズのバックフォーカスが短くて、撮影レンズの鏡筒と可動ミラー25とが接触して可動ミラー25をアップ(撮影光路中より退避)させなくてはならない場合がある。このときのみ、電気接点22aを介して送られてくる信号(可動ミラーと干渉するか否かの情報)に基づいて電子回路29は可動ミラー25をアップするようにしている。
【0054】
本実施例の第2のカメラ21はマウント22を介して図8に示す第1の撮影レンズ101と図9に示す第3の撮影レンズ141の少なくとも2種類の撮影レンズの装着が可能である。
【0055】
図8に示す第1の撮影レンズ101はバックフォーカスの長い(例えばバックフォーカスが38mm以上)撮影レンズである。
【0056】
図9(a),(b)に示す第3の撮影レンズ141は光学系が短縮状態141a(図9(a))と伸張状態141b(図9(b))との間で伸張可能である。そして、伸張状態141bにおいて、バックフォーカスの短い(例えばバックフォーカスが38mm以下)撮影レンズである。
【0057】
第3の撮影レンズ141は第2のカメラ21に未装着の状態では短縮状態141aである。そして、第2のカメラ21に装着したときは、電気接点22aから電気を供給されることでモータ146によって鏡筒の一部が光軸方向に移動されて伸張状態141bへの移行が可能となっている。
【0058】
次に第2のカメラ21に第1,第3の撮影レンズ101、141を装着するときの第2のカメラ21の動作について説明する。
【0059】
図8に示すように第2のカメラ21に第1の撮影レンズ101を装着する場合、第2のカメラ21は撮影者がレリーズ釦23aを行うか、ライブビュー撮影モードに切り替えない限り可動ミラー5はダウンしたままである。
【0060】
第2のカメラ21に第3の撮影レンズ141を装着する場合、図9(a)に示す如く短縮状態141aでカメラ21に装着され、電子回路29はマウント22の電気接点22aを介して撮影レンズの種類を判別する。
【0061】
電子回路29で撮影レンズの種類を判別後、可動ミラーのアップ動作が行われ、電気接点22aを介して第3の撮影レンズ141に鏡筒を駆動させるべき電気(駆動力)が供給される。
【0062】
そして撮影レンズの鏡筒の一部が駆動され、撮影レンズ141は図9(b)に示すように伸張状態141bとなる。
【0063】
それに基づいて表示手段24が駆動され、表示手段4には撮像素子8で撮像される像が表示され、ライブビュー撮影を可能としている。
【実施例3】
【0064】
図10は実施例3の要部概略図、図11は図10の要部ブロック図である。図10、図11において、41は第3のカメラ(撮像装置)である。
【0065】
第3のカメラ41の筐体41aには、撮影レンズを着脱可能に装着するマウント42が設けられている。又、レリーズ釦43a、電源釦(電源スイッチ)43b、レンズ取り外し釦43c、などの操作ボタン43が設けられている。
【0066】
更に撮影レンズによって撮影される画像を表示する表示手段(LCD)44が設けられている。マウント42には、撮影レンズが装着されたとき、各種のデータのやりとりが可能な電気接点42aが設けられている。
【0067】
第3のカメラ41の内部には撮影光路中にあって光路中から退避可能なハーフミラー面を有するメインミラー(可動ミラー)45と、可動ミラー45の回転軸46に接続されたミラー駆動回路47が設けられている。又、複数の画素で構成されるCCDより成る撮像素子48が設けられている。又、回路基板に形成された各種の動作を制御する電子回路(制御手段)49が設けられている。
【0068】
さらに、撮影レンズの焦点検出を行う焦点検出機構AFとして、結像光学系50と撮影レンズの像面上の複数の焦点検出位置に対応する複数の画素を備えた受光センサー51が配置されている。
【0069】
さらに、被写体像の観察用として、撮像素子48で得られた画像を表示する内部LCD52、LCD52に表示した像を拡大表示する接眼レンズ53を有する電子ビューファインダー54が設けられている。
【0070】
撮像素子48にはハーフミラー面を有する可動ミラー45を通過した光が常に入射している。この為電子ビューファインダー54では、常に被写体像の観察ができる。
【0071】
ここで、マウント42の直後の筐体41a内には可動ミラー45を駆動させるか否かを撮影レンズの装着時に検知するミラーアップスイッチ(検知手段)55が設けられている。
【0072】
本実施例の可動ミラー45は、図10に示す如く初期設定において撮影光路中に配置されている(ミラーダウン)。第3のカメラ41に撮影レンズを装着するとき、撮影レンズのバックフォーカスが短くて、撮影レンズの鏡筒と可動ミラー45とが接触して可動ミラー45をアップ(撮影光路中より退避)させなくてはならない場合がある。このときのみ、撮影レンズの鏡筒の一部がミラーアップスイッチ55を押下するようにしている。
【0073】
即ち、ミラーアップスイッチ55をONするようにしている。
【0074】
電源釦43bがONの状態でミラーアップスイッチ55が撮影レンズの鏡筒の一部で押下されると(ONになると)、ミラーアップスイッチ駆動回路56と電子回路49を介しミラー駆動回路47へ可動ミラー45のアップを行う制御信号が送られる。
【0075】
ミラー駆動回路47は電子回路(制御手段)49からの制御信号を受けて、可動ミラー45を回転軸46のまわりに回転し、可動ミラー45を撮影光路中から退避させる。
【0076】
ここで、電源釦43bがOFFの状態ではミラーアップスイッチ55に撮影レンズの鏡筒の一部が接触してもミラーアップスイッチ駆動回路56によってロックされて、押下(ON)されないようにしている。これにより撮影レンズがマウント42に装着されないようにすることで可動ミラー45に撮影レンズの一部が接触しないようにして可動ミラー45の破損を防いでいる。
【0077】
また、ミラーアップスイッチ55が撮影レンズの鏡筒の一部で押下されると可動ミラー45がアップする。
【0078】
このときカメラ内電子回路49は、焦点検出機構AFの代わりに撮像素子48からの画像データのコントラストを基に焦点検出を行う、焦点検出モードに切り替えている。
【0079】
本実施例の第3のカメラ41はマウント42を介して図12に示す第1の撮影レンズ101と図13に示す第2の撮影レンズ121と図14に示す第3の撮影レンズ141の少なくとも3種類の撮影レンズの装着が可能である。
【0080】
図12に示す第1の撮影レンズ101はバックフォーカスの長い(例えばバックフォーカスが38mm以上)撮影レンズである。
【0081】
図13に示す第2の撮影レンズ121はバックフォーカスの短い(例えばバックフォーカスが38mm以下)撮影レンズである。
【0082】
図14(a),(b)に示す第3の撮影レンズ141は光学系が短縮状態141a(図14(a))と伸張状態141b(図14(b))との間で伸張可能である。そして、伸張状態141bにおいて、バックフォーカスの短い(例えばバックフォーカスが38mm以下)撮影レンズである。
【0083】
次に図10の第3のカメラ41に第1〜第3の撮影レンズ101、121、141を装着するときのカメラ1の動作について説明する。
【0084】
図12に示すように第3のカメラ41に第1の撮影レンズ101を装着する場合、第1の撮影レンズ101の鏡筒104はミラーアップスイッチ55に触れない。このため、撮影者がレリーズ釦43aを押すか、ライブビュー撮影モードに切り替えない限り可動ミラー5はダウンしたままである。
【0085】
図13に示すように第3のカメラ41に第2の撮影レンズ121を装着する場合、装着の途中で第2の撮影レンズ121の鏡筒124はミラーアップスイッチ55を押下する。このため、自動的に撮影光路中に配置されている可動ミラー45は光路中から退避される。このとき撮像素子8で得られる像を利用した焦点検出モードに切り替わる。
【0086】
図14(a)、(b)に示すように第3のカメラ41に第3の撮影レンズ141を装着する場合の動作は次のとおりである。図14(a)に示すように撮影レンズ141が短縮状態141aで装着すると、撮影レンズ141の鏡筒144がミラーアップスイッチ55に触れない。
【0087】
このため可動ミラー45はミラーダウンしたままとなる。この状態で図14(b)に示すように撮影レンズ141を伸張状態141bにすると鏡筒144の一部がミラーアップスイッチ55を押し下げる。
【0088】
これによって可動ミラー45は光路中から退避する。このとき撮像素子8で得られる像を利用した焦点検出モードに切り替わる。
【0089】
尚、撮影レンズ141を伸張状態141bとしてカメラ41に装着しても良い。このときの動作は図13と同じになる。
【実施例4】
【0090】
図15は実施例4の要部概略図、図16は図15の要部ブロック図である。図15、図16において、61は第4のカメラ(撮像装置)である。
【0091】
第4のカメラ61の筐体61aには、撮影レンズを着脱可能に装着するマウント62が設けられている。又、レリーズ釦63a、電源釦(電源スイッチ)63b、レンズ取り外し釦63c、などの操作ボタン63が設けられている。更に撮影レンズによって撮影される、画像を表示する表示手段(LCD)64が設けられている。マウント62には、撮影レンズが装着されたとき、各種のデータのやりとりが可能な電気接点62aが設けられている。
【0092】
第4のカメラ61の内部には撮影光路中にあって光路中から退避可能なメインミラー(可動ミラー)65と、可動ミラー65の回転軸66に接続されたミラー駆動回路67と、複数の画素で構成されるCCDより成る撮像素子68が設けられている。又、回路基板に形成された各種の動作を制御する電子回路(制御手段)69が設けられている。
【0093】
さらに、撮影レンズの焦点検出を行う焦点検出機構AFとして、結像光学系70と撮影レンズの像面上の複数の焦点検出位置に対応する複数の画素を備えた受光センサー71が配置されている。
【0094】
さらに、被写体像の観察用として、撮像素子68で得られた画像を表示する内部LCD72、LCD72に表示した像を拡大表示する接眼レンズ73を有する電子ビューファインダー74が設けられている。
【0095】
ここで、マウント62内の受信手段を構成する電気接点62aを介して装着された撮影レンズから、その種類に関する信号が入力される。受信手段62aからの信号より、電子回路69によって、撮影レンズの種類を判別する。
【0096】
電子回路69によってミラーアップすべきバックフォーカスの短い撮影レンズであることを判別すると、電子回路69はミラー駆動回路75へミラーアップを行う制御信号を送る。
【0097】
ミラー駆動回路75は電子回路69からの制御信号を受けて、可動ミラー65を回転軸66まわりに回転し、撮影光路中から退避する。その後、第4のカメラ61内の電子回路69は、焦点検出機構AFの代わりに撮像素子48からの画像データのコントラストを基に焦点検出を行う焦点検出モードに切り替えている。
【0098】
本実施例の可動ミラー65は、図15に示す如く初期設定において撮影光路中に配置されている(ミラーダウン)。
【0099】
第4のカメラ61に撮影レンズを装着するとき、撮影レンズのバックフォーカスが短くて、撮影レンズの鏡筒と可動ミラー65とが接触して可動ミラー65をアップ(撮影光路中より退避)させなくてはならない場合がある。このときのみ、電気接点65aを介して送られてくる信号に基づいて電子回路69は可動ミラー65をアップするようにしている。
【0100】
本実施例の第4のカメラ61はマウント62を介して図17に示す第1の撮影レンズ101と図18に示す第3の撮影レンズ141の少なくとも2種類の撮影レンズの装着が可能である。
【0101】
図17に示す第1の撮影レンズ101はバックフォーカスの長い(例えばバックフォーカスが38mm以上)撮影レンズである。
【0102】
図18(a),(b)に示す第3の撮影レンズ141は光学系が短縮状態141a(図18(a))と伸張状態141b(図18(b))との間で伸張可能である。そして、伸張状態141bにおいて、バックフォーカスの短い(例えばバックフォーカスが38mm以下)撮影レンズである。
【0103】
さらに、第3の撮影レンズ141は第4のカメラ61に未装着の状態では短縮状態141aである。そして、第4のカメラ61に装着したときは、電気接点62aから電気を供給されることでモータ146によって鏡筒の一部が駆動されて伸張状態141bへの移行が可能となっている。
【0104】
次に第4のカメラ61に第1,第3の撮影レンズ141、144を装着するときの第4のカメラ61の動作について説明する。
【0105】
図17に示すように第4のカメラ61に第1の撮影レンズ101を装着する場合、カメラ61は撮影者がレリーズ釦63aを押さない限り可動ミラー65はダウンしたままである。
【0106】
第4のカメラ61に第3の撮影レンズ141を装着する場合、図18(a)に示す如く短縮状態141bでカメラ61に装着され、電子回路69はマウント62の電気接点62aを介して撮影レンズの種類を判別する。電子回路69で撮影レンズの種類を判別後、可動ミラーのアップ動作が行われ、電気接点62aを介して第3の撮影レンズ141に鏡筒の一部を駆動させるべき電気(駆動力)が供給される。
【0107】
そして撮影レンズ141の鏡筒の一部が駆動され、撮影レンズ141は図18(b)に示すような伸張状態141bとなる。
【0108】
それに基づいて電子回路69は焦点検出機構AFの代わりに撮像素子68からの画像データのコントラストを基に焦点検出を行う焦点検出モードに切り替えている。
【0109】
以上の各実施例において、各カメラとそれに装着可能な撮影レンズ、可動ミラーを駆動させるべきか否かを検知する検知手段、又は受信する受信手段、ファインダーの種類との関係を表−1に示す。
【0110】
表−1においてOVFは光学ファインダー、EVFは電子ビューファインダーである。
【0111】
【表1】

【0112】
以上の各実施例では、可動ミラーと干渉する撮影レンズの装着を検知する手段として、スイッチの押下による検知手段と、マウントの電気接点からの通信による受信手段を述べたが、カメラと撮影レンズとの間の無線通信による通信手段に変えても良い。
【0113】
以上のように、各実施例では、バックフォーカスの短い撮影レンズをカメラに装着して使用するときは、可動ミラーを撮影光路中から退避させて可動ミラーとの干渉を防いでいる。
【0114】
このとき撮像素子で得られる画像データを用いてライブビュー撮影が行えるようにしている。
【0115】
バックフォーカスの長い撮影レンズをカメラに装着するとき、即ち可動ミラーの撮影光路中からの退避が必要でないときは、可動ミラー駆動のための電源がOFFの状態でも光学ファインダー又は電子ビューファインダーで被写体像を観察することができる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明の実施例1の第1のカメラの断面図
【図2】本発明の実施例1の第1のカメラの電気的な構成を示すブロック図
【図3】本発明の実施例1の第1のカメラに第1のレンズを取り付けたときの断面図
【図4】本発明の実施例1の第1のカメラに第2のレンズを取り付けたときの断面図
【図5】(a)本発明の実施例1の第1のカメラに短縮状態にある第3のレンズを取り付けたときの断面図 (b)本発明の実施例1の第1のカメラに伸張状態にある第3のレンズを取り付けたときの断面図
【図6】本発明の実施例2の第2のカメラの断面図
【図7】本発明の実施例2の第2のカメラの電気的な構成を示すブロック図
【図8】本発明の実施例2の第2のカメラに第1のレンズを取り付けたときの断面図
【図9】(a)本発明の実施例2の第2のカメラに短縮状態にある第3のレンズを取り付けたときの断面図 (b)本発明の実施例2の第2のカメラに伸張状態にある第3のレンズを取り付けたときの断面図
【図10】本発明の実施例3の第3のカメラの断面図
【図11】本発明の実施例3の第3のカメラの電気的な構成を示すブロック図
【図12】本発明の実施例3の第3のカメラに第1のレンズを取り付けたときの断面図
【図13】本発明の実施例3の第3のカメラに第2のレンズを取り付けたときの断面図
【図14】(a)本発明の実施例3の第3のカメラに短縮状態にある第3のレンズを取り付けたときの断面図 (b)本発明の実施例3の第3のカメラに伸張状態にある第3のレンズを取り付けたときの断面図
【図15】本発明の実施例4の第4のカメラの断面図
【図16】本発明の実施例4の第4のカメラの電気的な構成を示すブロック図
【図17】本発明の実施例4の第4のカメラに第1のレンズを取り付けたときの断面図
【図18】(a)本発明の実施例4の第4のカメラに短縮状態にある第3のレンズを取り付けたときの断面図 (b)本発明の実施例4の第4のカメラに伸張状態にある第3のレンズを取り付けたときの断面図
【符号の説明】
【0117】
1,21,41,61 カメラ
2,22,42,62 カメラ側マウント
4,24,44,64 LCD
5,25 メインミラー
6,26 メインミラー回転軸
7,27,47,67 ミラー駆動回路
8,28,48,68 CCD撮像素子
9,29,49,69 カメラ内電子回路
13,33 ファインダー光学系
14,55 ミラーアップスイッチ
15,56 ミラーアップスイッチ駆動回路
45,65 ハーフミラー
46,66 ハーフミラー回転軸
54,74 電子ビューファインダー
101,121,141a,141b 撮影レンズ
102,122,142 撮影光学系
104,124,144 鏡筒
105,125,145 レンズ側マウント


【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影レンズを着脱可能とするマウント手段と、
撮影光路中から退避可能に撮影光路中に設けた可動ミラーと、
撮影レンズによって形成される像を光電変換する撮像素子と、
該撮像素子で得られた像に基づく画像情報を表示する表示手段と、
を有するカメラにおいて、
撮影レンズの該マウント手段への装着に際して
該撮影レンズの一部が該可動ミラーと干渉するか否かを検知する検知手段と、
該検知手段からの信号に基づいて、該可動ミラーを撮影光路中から退避させることと、該可動ミラーが撮影光路中から退避したときには、該撮像素子で得られる像に基づく画像情報を該表示手段に表示することを制御する制御手段と、
を有することを特徴とするカメラ。
【請求項2】
前記検知手段は、前記撮影レンズが前記マウント手段に装着されるとき、又は装着された後に該撮影レンズの鏡筒の一部が光軸方向へ移動したときに、該撮影レンズの鏡筒の一部の接触によって該撮影レンズのバックフォーカスが短いことを検知するスイッチ部材を有することを特徴とする請求項1のカメラ。
【請求項3】
前記可動ミラーで反射した光で形成される像を観察するための光学ファインダーを有することを特徴とする請求項1又は2のカメラ。
【請求項4】
撮影レンズを着脱可能とするマウント手段と、
撮影光路中から退避可能に撮影光路中に設けた可動ミラーと、
撮影レンズによって形成される像を光電変換する撮像素子と、
該撮像素子で得られた像に基づく画像情報を表示する表示手段と、
を有するカメラにおいて、
撮影レンズの該マウント手段への装着に際して
該撮影レンズの一部が該可動ミラーと干渉するか否かの情報を該撮影レンズ側から受信する受信手段と、
該受信手段からの信号に基づいて、該可動ミラーを撮影光路中から退避させることと、該可動ミラーが撮影光路中から退避したときには、該撮像素子で得られる像に基づく画像情報を該表示手段に表示することを制御する制御手段と、
を有することを特徴とするカメラ。
【請求項5】
前記受信手段は、前記マウント手段に設けた電気接点を有し、該電気接点を介して撮影レンズ側から送られてくる信号を受信することを特徴とする請求項4のカメラ。
【請求項6】
前記制御手段は、前記受信手段からの信号に基づいて、前記可動ミラーを撮影光路中から退避させた後に前記撮影レンズの鏡筒の一部を光軸方向に移動させることを特徴とする請求項4のカメラ。
【請求項7】
前記可動ミラーはハーフミラー面より成り、該ハーフミラー面を通過し、前記撮像素子で得られる像を観察する為の電子ビューファインダーを有することを特徴とする請求項4、5又は6のカメラ。

【図6】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−129402(P2008−129402A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−315447(P2006−315447)
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】