カメラ
【課題】特別な機構を必要とせずに、特別な装置を必要とせずに、被写体の正確な3次元情報を得られるカメラを提供すること。
【解決手段】ユーザが被写体の周囲を囲む複数の相違なる位置で撮影を行って得られた複数の画像の中から、撮影間隔が等間隔となるように画像群を選択し、選択した画像群に含まれる各画像の撮影時のカメラ100の角度変化、画像中の被写体の大きさ変化に基づいて、画像群に含まれる各画像が等価な位置関係となるように補正する。
【解決手段】ユーザが被写体の周囲を囲む複数の相違なる位置で撮影を行って得られた複数の画像の中から、撮影間隔が等間隔となるように画像群を選択し、選択した画像群に含まれる各画像の撮影時のカメラ100の角度変化、画像中の被写体の大きさ変化に基づいて、画像群に含まれる各画像が等価な位置関係となるように補正する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体を複数の角度から観察できるような表示を可能としたカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1において、被写体を複数の角度から撮影するための機構が開示されている。この特許文献1の機構では、円柱状の筐体にカメラを固定することができるようになっている。このような構成において、被写体を囲む円周に沿って筐体を移動させながら筐体に固定されたカメラによって逐次撮影を行うことにより、被写体の3次元的な情報を得ることができる。これによって、例えば表示部に表示された被写体を回転させたりして、被写体を複数の角度から鑑賞することが可能である。
【特許文献1】特開2002−374454号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、特許文献1においては、被写体を等距離、多方向から撮影するための筐体が必要である。このため、撮影状況に即応して撮影ができるとは限らない。これに対し、ユーザ自身が手動でカメラを操作して被写体を複数の角度から撮影を行うのであれば、撮影状況に即応しての撮影を行うことができる。しかしながら、この場合にはカメラが手振れしたりする等して正しい角度から被写体を撮影できずに正確な3次元情報を得られないおそれがある。
【0004】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、特別な装置を必要とせずに、被写体の正確な3次元情報を得られるカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の態様のカメラは、被写体を囲む複数の相違なる位置のそれぞれで前記被写体を撮影して前記被写体に係る複数の画像を得る撮影部と、前記それぞれの撮影時における当該カメラと前記被写体との位置関係を検出する位置関係検出部と、前記検出された位置関係に基づいて、前記撮影部で得られた複数の画像が互いに等価な位置関係となるように補正する画像補正部と、前記補正された各画像を表示する表示部とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、特別な機構を必要とせずに、特別な装置を必要とせずに、被写体の正確な3次元情報を得られるカメラを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るカメラの構成を示す図である。図1に示すカメラ100は、制御部101と、操作部102と、撮影部103と、画像処理部104と、表示部105と、記録部106と、動き検出部107と、通信部108とを有している。また、カメラ100は、通信部108によってパーソナルコンピュータ(PC)200と通信自在に接続されている。
【0008】
制御部101は、カメラ100の各部の動作を制御する。この制御部101は、ユーザの操作部102の操作を受けてその操作内容に応じた各種のシーケンスの制御を行う。また、制御部101は、詳細は後述する3次元(3D)表示を行うために必要な画像を得るための撮影(以下、3D撮影と称する)の際に、画像補正部としての画像処理部に画像補正の指示をすることも行う。
【0009】
操作部102は、ユーザがカメラ100を操作するための各種の操作部材である。この操作部102は、例えばユーザが3D撮影の実行をカメラ100に指示するための操作部材、ユーザが3D表示の際の各種操作を行うための操作部材等を含む。
【0010】
撮影部103は、撮影レンズ、撮像素子、アナログ/デジタル(A/D)変換部等を有して構成されている。このような構成の撮影部103は、撮影レンズを介して入射した撮影光を被写体像として撮像素子に結像させ、この結像させた被写体像を光電変換によって電気信号(画像信号)に変換する。さらに、撮影部103は、A/D変換部により、撮像素子で得られた撮像信号をデジタル化して画像を得る。
【0011】
画像処理部104は、撮影部103で得られた画像に対して種々の画像処理を施す。この画像処理は、ホワイトバランス補正処理や階調補正処理等が含まれる。また、画像処理部104は画像補正部としての機能も有しており、撮影部103で得られた画像とカメラ100の動きとから、適切な3D表示が行えるように撮影部103で得られた画像を補正する。さらに、画像処理部104は、後述する3D撮影の際に画像中の被写体の動きを検出するための被写体検出も行う。画像中の被写体は、例えば画像中の高コントラスト部分を検出することによって検出できる。
【0012】
表示部105は、制御部101の制御に従って画像処理部104で処理された画像及び記録部106に記録される画像を表示する。この表示部105は、例えば液晶ディスプレイから構成されている。記録部106は、画像処理部104で処理された画像を記録する。この記録部106は、例えばカメラ100に対して着脱自在に構成されたメモリである。
【0013】
画像処理部104とともに位置検出部としての機能を有する動き検出部107は、3D撮影時における撮影部103と被写体との位置関係を検出するために、カメラ100の動きを検出する。ここで、動き検出部107の構成は特に限定されるものではなく、種々のものを適用できる。ここではその一例について説明する。本実施形態においては、カメラ100の動きとして、図2の矢印Aで示すカメラ100の並進方向の移動と、図2の矢印Bで示すカメラ100の回転とを検出する。なお、図2では1方向の並進移動とその方向周りの回転についてのみ示しているが、実際には矢印Aに沿った軸と矢印Aに直交する軸とを含む3軸、及びそれぞれの軸周りの回転も検出する。
【0014】
図3(a)は、カメラ100の並進方向の移動を検出するための構成の一例を示す図である。図3(a)に示す並進移動検出部は、カメラ100に固定された2枚の電極12と、電極12に対して架橋されカメラ100の並進移動に伴って移動可能な電極11とを有して構成されている。
【0015】
図3(a)において、カメラ100が矢印A方向に移動すると、この移動に伴って電極11に加速度が発生して電極11も矢印A方向に移動する。図3(b)に示すような電極11の加速度の変化は、電極11と電極12の間の静電容量の変化として検出できる。図3(b)に示すようにして得られた加速度を積分すれば、図3(c)に示すような電極11の移動速度が得られる。さらに、図3(c)に示すようにして得られた移動速度を積分すれば、図3(d)に示すような電極11の移動量、即ちカメラ100の並進方向の移動量が得られる。これによって後述する3D撮影の際の各画像の撮影位置を検出することが可能である。
【0016】
図4(a)は、カメラ100の回転を検出するための構成の一例を示す図である。図4(a)に示す回転検出部は、電圧印加によって振動する一対の圧電素子13を有して構成されている。
【0017】
カメラ100に図示矢印で示す角速度が発生したときに、コリオリの力(時計回転の場合には進行方向に対して90度右向きの力、反時計回転の場合には進行方向に対して90度左向きの力となる)によって、振動している圧電素子対13が変形する。この変形によって生じる電圧変化を検出することによって、角速度を検出することができる。また、角速度を積分すれば、図4(b)に示すようにして回転量(回転角度)が得られる。これによって後述する3D撮影の際のカメラ100の傾きを検出することが可能である。
【0018】
図1に戻って、通信部108は、カメラ100とPC200との通信を仲介するインターフェース回路である。なお、カメラ100とPC200との通信方式は特に限定されるものではなく、USBケーブル等を用いた有線通信でも、無線LAN等を用いた無線通信でも良い。
【0019】
PC200は、カメラ100で撮影された画像等を表示したり編集したりするためのソフトウェアがインストールされている。カメラ100によって3D撮影がなされた場合、この3D撮影の結果として得られる画像群をPC200に送信することでPC200上でも3D表示を行うことが可能である。
【0020】
以下、3D撮影について説明する。本実施形態における3D撮影では、ユーザが手動でカメラ100を移動させて被写体を囲む複数の相違なる位置(角度)で撮影を行う。図5は、3D撮影の概要を示す図である。図5に示すように、ユーザは、被写体300の周囲に沿ってカメラ100を移動させる。このとき、カメラ100の制御部101は、等しい時間間隔で撮影部103を制御して連続撮影を実行する。これにより、被写体300を複数の撮影位置(撮影角度)から撮影することが可能である。この複数の撮影角度で撮影された画像をユーザの操作に従って適宜表示部105に表示させることで、表示部105において被写体300を回転させたりして、複数の角度から観察することが可能である。なお、図5に示す3D撮影では表示部105に表示された被写体300を画面内の左右方向に回転させて観察することが可能である。
【0021】
ここで、適切な3D表示を行うためには、3D画像に用いる画像が等価な位置関係を有している必要がある。この等価な位置関係とは、(1)それぞれの画像の撮影位置が等間隔であること、(2)それぞれの画像の撮影位置から被写体300までの距離が等距離であること、(3)それぞれの撮影位置でユーザが意図する方向(即ち被写体300の方向)にカメラ100が正しく向いていること、である。
【0022】
まず、(1)については、ユーザがカメラ100を等速で移動させることができればそれぞれの画像の撮影位置が等間隔となる。しかしながら、例えば2°毎等の所定の間隔で撮影を行うとしても、ユーザの手の移動速度を一定に保つことは困難であり、この結果、撮影間隔が1°になったり、3°になったりする可能性が高い。このようなカメラ100の移動速度の変化については上述のように並進移動検出部によって検出できる。この移動速度と連写の時間間隔の積が撮影間隔であることから、実際に3D表示に使用する画像の枚数よりも多くの画像を取得しておき、この大量の画像の中から、撮影間隔が等間隔となるような画像群のみを3D表示に使用する画像として採用するようにする。
【0023】
次に、(2)については、ユーザが被写体300を囲む円周上で正しくカメラ100を移動させることができれば、各撮影位置において被写体を等距離で撮影することができる。しかしながら、手動での移動では、カメラ100を正しく円状に移動させることは困難である。このため、例えば図2の位置Aから位置Bまでカメラ100を移動させる際に、被写体300を中心とした円状軌跡400に対してずれ401が生じる可能性が高い。
【0024】
図6(a)は、カメラ100の移動時に起こり得る円状軌跡400からのずれの一例を示した図である。3D撮影の際に、カメラ100を円状軌跡400に追従して移動させることができれば距離差は0となる。しかしながら、カメラ100を円状軌跡400に完全に追従させて移動させるのは困難であるため、通常は、図6(a)に示すようにしてカメラ100と被写体300との距離が撮影位置によって変化してしまう。このような距離差が発生すると、撮影により得られる画像中の被写体の大きさが変化する。即ち、被写体300とカメラ100との距離が近ければ画像中の被写体が大きくなり、被写体300とカメラ100との距離が遠ければ画像中の被写体が小さくなる。なお、このような被写体300との距離変化は上述した動き検出部107ではなかなか検出できない。したがって、本実施形態では、撮影された画像中の被写体の大きさによって被写体300との距離変化を検出する。画像中の被写体の大きさ変化が検出された場合には、拡大又は縮小の処理によって被写体部分の画像を補正する。
【0025】
さらに、(3)については、カメラ100の角度変化は回転検出部によって検出できる。図6(b)は、カメラ100の移動時に起こり得るカメラ100の角度変化の一例を示した図である。カメラ100を移動させる際にカメラ100が煽られたりしてしまうと、カメラ100が被写体300を見る角度が変化してしまう。このような画像を3D表示に採用してしまうと、スムーズに被写体を回転させられないような画像が得られる。したがって、このような画像は3D表示には採用しないようにする。その代わりに、この画像の直近の撮影位置で得られた少なくとも2枚の画像を合成して補正画像を生成する。
【0026】
なお、ユーザの手振れの状態や移動速度の変化によっては、被写体が画像の中央ではなく、画像内の上下左右の何れかに偏って配置されることもあり得る。このような場合は、被写体部分の画像をシフトすることで被写体が画像の中央に来るように補正することが好ましい。
【0027】
図7は、3D撮影後の画像補正の具体例を示す図である。ここで、図7は、撮影位置が等間隔となるように選択された5枚の画像を補正する際の具体例について示した図である。
【0028】
まず、図7(a)に示す5枚の画像501〜505のうち、画像501、505については被写体部分の大きさが他の画像と同一(即ち距離変化がなし)であり、且つカメラ100の角度変化もない状態で得られている。これらの画像については補正を行わずに3D表示用の画像として採用する。
【0029】
次に、図7(a)に示す5枚の画像501〜505のうち、画像503については被写体の部分の大きさが他の画像よりも小さい。これは、画像503の撮影時には、カメラ100が軌跡400上よりも遠い位置にあったことを意味している。このような画像503については被写体部分を拡大し、これによって得られる補正画像503aを3D表示用の画像として採用する。
【0030】
また、図7(a)に示す5枚の画像501〜505のうち、画像502、504については角度変化が検出された画像である。これらの場合には、画像502を不採用として画像501と画像503aから補正画像502aを生成するとともに、画像504を不採用として画像503aと画像505から補正画像504aを生成し、これら画像502a、504aを3D表示用の画像として採用する。
【0031】
以上のようにして補正を行うことにより、図7(b)に示すようにスムーズな3D表示を行うことが可能な画像を生成することができる。
【0032】
以上のような3D撮影が可能なカメラの制御について以下に説明する。図8は、本発明の一実施形態に係るカメラのメインの動作について示すフローチャートである。ここで、本実施形態のカメラは、一般的な撮影もできるカメラを想定しているが、図8では一般的な撮影に係る制御については図示を省略している。
【0033】
カメラ100が起動されると、制御部101は、ユーザによる操作部102の操作によって3D撮影の実行が指示されたか否かを判定する(ステップ211)。ステップS211の判定において、3D表示の実行が指示された場合に、制御部101は、撮影部103を制御して被写体の撮影を実行する(ステップS212)。また、制御部101は、撮影に同期してカメラ100及び画像中の被写体の動き検出を行う(ステップS213)。カメラ100の動きは動き検出部107において検出することができる。また、画像中の被写体の動きは、画像処理部104において検出することができる。ステップS213における動き検出の結果は、撮影部103によって得られた画像と関連付けしておく。
【0034】
動き検出の後、制御部101は、カメラ100の角度変化(カメラ100の回転)が検出されたか否か及び画像中の被写体が中央から許容範囲以上外れているか否かを判定する(ステップS214)。ステップS214の判定において、カメラ100の角度変化が検出された場合又は画像中の被写体が中央から許容範囲以上外れている場合に、制御部101はユーザに対して音や発光等によって警告を行う(ステップS215)。この警告により、ユーザは3D撮影時においてカメラ100の傾きや移動速度に注意を向けることが可能である。一方、ステップS214の判定において、カメラ100の傾きがなく、且つ画像中の被写体が中央から許容範囲以上外れていない場合に、制御部101はステップS215の処理をスキップする。
【0035】
次に、制御部101は、画像中の被写体の大きさが許容範囲以上変化しているか否かを判定する(ステップS216)。ステップS216の判定において、画像中の被写体の大きさが許容範囲以上変化している場合に、制御部101はユーザに対して音や発光等によって警告を行う(ステップS217)。この警告により、ユーザは3D撮影時においてカメラ100と被写体との距離に注意を向けることが可能である。一方、ステップS216の判定において、画像中の被写体の大きさが許容範囲以上変化していない場合に、制御部101はステップS217の処理をスキップする。
【0036】
次に、制御部101は、ユーザによる操作部102の操作によって3D撮影の終了が指示されたか否かを判定する(ステップ218)。ステップS218の判定において、3D表示の終了が指示されていない場合には、処理がステップS212に戻り、制御部101は、次の撮影を実行する。即ち、ユーザによる操作部102の操作によって3D撮影の終了が指示されるまで撮影が繰り返されることになる。なお、各撮影の時間間隔は等間隔となるようにする。一方、ステップS218の判定において、3D表示の終了が指示された場合には、3D撮影の結果として得られた画像を用いて正しい3D表示を行えるように、制御部101は画像補正処理を行う(ステップS219)。この画像補正処理の詳細については後述する。画像補正処理の後、制御部101は、画像補正処理によって得られる一連の画像群を1つのフォルダにまとめて記録部106に記録させた後(ステップS220)、図8に示す処理を終了させる。
【0037】
また、ステップS211の判定において、3D表示の実行が指示されていない場合に、制御部101は、ユーザによる操作部102の操作によって3D表示の指示がなされたか否かを判定する(ステップS221)。ステップS221の判定において、3D表示の指示がなされていない場合には、処理がステップS211に戻る。一方、ステップS221の判定において、3D表示の指示がなされた場合に、制御部101は、3D表示処理を実行する(ステップS222)。この3D表示処理については後述する。3D表示処理の後、制御部101は、ユーザによる操作部102の操作によって3D表示の終了が指示されたか否かを判定する(ステップS223)。ステップS223の判定において、3D表示の終了が指示されていない場合には、処理がステップS222に戻り、制御部101は、3D表示処理を継続する。一方、ステップS223の判定において、3D表示の終了が指示された場合に、制御部101は図8の処理を終了させる。
【0038】
次に、画像補正処理について説明する。図9は、画像補正処理について示したフローチャートである。図9において、まず、制御部101は基準画像を選択する。ここでは、例えば、図8の3D撮影によって得られる一連の画像の中で最初に撮影された画像を基準画像とする(ステップS301)。ここで、基準画像とは、3D表示に必要な画像と不必要な画像との取捨選択を行うための基準となる画像である。この基準画像中の被写体300とカメラ100との距離が等間隔となるように補正を行うとともに、基準画像を基準として撮影位置が等間隔となるように画像を採用していく。
【0039】
次に、制御部101は、基準画像に対して所定の撮影間隔だけ離れた撮影位置の画像を選択する(ステップS302)。そして、制御部101は、3D表示に必要な全ての撮影位置の画像に対して判定を行ったか否かを判定する(ステップS303)。
【0040】
ステップS303の判定において、3D表示に必要な全ての撮影位置の画像に対して判定を行っていない場合、制御部101は、ステップS302において選択した画像の撮影時に、カメラ100が、ユーザが意図する適切な撮影方向を向いていたか否かを、カメラ100に許容範囲以上の角度変化があったか否かによって判定する(ステップS304)。ステップS304の判定において、カメラ100の許容範囲以上の角度変化がある場合に、制御部101は、ステップS302において選択した画像を不採用とする(ステップS305)。その後、処理がステップS302に戻り、制御部101は次の画像の選択を行う。
【0041】
一方、ステップS304の判定において、カメラ100の許容範囲以上の角度変化がない場合に、制御部101は、基準画像中の被写体の大きさに対し、ステップS302において選択した画像中の被写体の大きさの変化量が許容範囲以上であるか否かを判定する(ステップS306)。ステップS306の判定において、被写体の大きさの変化量が許容範囲以上である場合に、制御部101は、ステップS302において選択した画像中の被写体の大きさを補正する処理を行う(ステップS307)。
【0042】
ここで、ステップS307の補正処理について説明する。図10は、被写体の大きさ補正処理について示すフローチャートである。まず、制御部101は、補正対象の画像中の被写体の高さH1を検出する(ステップS321)。次に、制御部101は、基準画像中の被写体の高さH0を検出する(ステップS322)。なお、基準画像中の被写体の高さH0については予め検出しておくようにしても良い。H1とH0を検出することによって画像中の被写体の高さの変化量H1/H0を算出することができる。したがって、制御部101は、画像処理部104により、補正対象の画像中の中央部分(被写体を含む正方形領域)の高さと幅とをそれぞれH0/H1倍して補正を行う(ステップS323)。
【0043】
以後、図9に戻って説明を続ける。ステップS303の判定において、3D表示に必要な全ての撮影位置の画像に対して判定を行った場合、制御部101は、選択された画像の中に不採用とした画像があるか否かを識別する(ステップS308)。不採用とした画像がある場合には、その不採用とした画像を除去し、さらに、不採用とした画像の前後の撮影位置を含む少なくとも2枚の画像を合成することで、不採用とした撮影位置で得られるべき補正画像を生成する(ステップS309)。その後、制御部101は、図9の処理を終了させる。
【0044】
次に、3D表示について説明する。図11は、3D表示の処理について示すフローチャートである。上述のように、3D表示は、カメラ100とPC200の何れでも行うことが可能である。ここでは、カメラ100の表示部105上に3D表示を行う例について説明するが、図11に示すフローチャートの処理はPC200における3D表示の際にも適用できる。
【0045】
3D表示の際に、制御部101は、まず、3D表示用にフォルダにまとめられた画像群の中の基準画像(3D撮影時に最初に撮影された画像)を表示部105に表示させる(ステップS401)。その後、制御部101は、ユーザによる操作部102の操作により、表示部105被写体300を左右方向に回転させるように指示されたか否かを判定する(ステップS402)。ステップS402の判定において、回転操作指示がなされていない場合に、制御部101は、図11の処理を抜けて図8の処理に復帰する。一方、ステップS402の判定において、回転操作指示がなされた場合に、制御部101は、図12に示すようにして、ユーザの操作方向に従って被写体が右方向又は左方向に回転されるように表示部105に表示させる画像の切り換えを行う(ステップS403)。その後、制御部101は、図11の処理を抜けて図8の処理に復帰する。
【0046】
以上説明したように、本実施形態によれば、ユーザが手動でカメラ100を移動させて被写体300を囲む複数の位置で撮影することで得られた画像を用いて正しい3D表示を行うことが可能である。即ち、ユーザが手動でカメラ100を移動させる際に生じ得るカメラ100の角度変化や速度変化、被写体300との相対距離の変化を考慮して画像を補正することにより、被写体の正しい3D情報を得ることができ、これによって適切な3D表示を行うことが可能となる。
【0047】
ここで、上述の例においては、3D撮影によって得られた画像の補正をカメラ100において行っている。しかしながら、図9で示した補正処理を実行できるのであれば、例えばネットワーク上に設けられたサーバ等で補正処理を行えるようにしても良い。この場合には、3D撮影の際の各撮影位置におけるカメラ100の角度変化、速度変化等の情報を画像と関連付けて記録し、画像とともにこれらの情報も送信する必要がある。
【0048】
また、上述の例では、3D撮影の際に、被写体300の周囲で且つ地表に対して平行な方向にのみカメラ100を移動させて撮影を行う例について説明している。これに対し、さらに、被写体300の周囲で且つ地表に対して垂直な方向にカメラ100を移動させて撮影を行うようにしても良い。このようにすれば、3D表示の際に被写体300を画面の上下方向に回転させることもできるようになる。さらに、上述の例においては、3D撮影の際に、カメラ100が角度変化してしまった場合には、そのとき得られる画像を3D表示には採用しないようにしている。これに対し、図13に示すように、角度変化が発生してしまった際に得られた画像502と画像504を合成して上下方向に動きのある画像503bを生成することで、地表に対して平行な方向以外の画像を得るようにしても良い。
【0049】
以上実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
【0050】
さらに、上記した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、上述したような課題を解決でき、上述したような効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施形態に係るカメラの構成を示す図である。
【図2】動き検出部で検出できるカメラの並進及び回転について示す図である。
【図3】カメラの並進方向の移動を検出する並進移動検出部について説明するため図である。
【図4】カメラの回転を検出する回転検出部について説明するための図である。
【図5】3D撮影の概要を示す図である。
【図6】図6(a)はカメラの移動時に起こり得る円状軌跡からのずれの一例を示した図であり、図6(b)はカメラの移動時に起こり得るカメラの角度変化の一例を示した図である。
【図7】3D撮影後の画像補正の具体例を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るカメラのメインの動作について示すフローチャートである。
【図9】画像補正処理について示したフローチャートである。
【図10】被写体の大きさ補正処理について示すフローチャートである。
【図11】3D表示の処理について示すフローチャートである。
【図12】3D表示の際の画像の回転について示す図である。
【図13】本発明の実施形態の変形例について示す図である。
【符号の説明】
【0052】
100…カメラ、101…制御部、102…操作部、103…撮影部、104…画像処理部、105…表示部、106…記録部、107…動き検出部、108…通信部、200…パーソナルコンピュータ(PC)
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体を複数の角度から観察できるような表示を可能としたカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1において、被写体を複数の角度から撮影するための機構が開示されている。この特許文献1の機構では、円柱状の筐体にカメラを固定することができるようになっている。このような構成において、被写体を囲む円周に沿って筐体を移動させながら筐体に固定されたカメラによって逐次撮影を行うことにより、被写体の3次元的な情報を得ることができる。これによって、例えば表示部に表示された被写体を回転させたりして、被写体を複数の角度から鑑賞することが可能である。
【特許文献1】特開2002−374454号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、特許文献1においては、被写体を等距離、多方向から撮影するための筐体が必要である。このため、撮影状況に即応して撮影ができるとは限らない。これに対し、ユーザ自身が手動でカメラを操作して被写体を複数の角度から撮影を行うのであれば、撮影状況に即応しての撮影を行うことができる。しかしながら、この場合にはカメラが手振れしたりする等して正しい角度から被写体を撮影できずに正確な3次元情報を得られないおそれがある。
【0004】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、特別な装置を必要とせずに、被写体の正確な3次元情報を得られるカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の態様のカメラは、被写体を囲む複数の相違なる位置のそれぞれで前記被写体を撮影して前記被写体に係る複数の画像を得る撮影部と、前記それぞれの撮影時における当該カメラと前記被写体との位置関係を検出する位置関係検出部と、前記検出された位置関係に基づいて、前記撮影部で得られた複数の画像が互いに等価な位置関係となるように補正する画像補正部と、前記補正された各画像を表示する表示部とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、特別な機構を必要とせずに、特別な装置を必要とせずに、被写体の正確な3次元情報を得られるカメラを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るカメラの構成を示す図である。図1に示すカメラ100は、制御部101と、操作部102と、撮影部103と、画像処理部104と、表示部105と、記録部106と、動き検出部107と、通信部108とを有している。また、カメラ100は、通信部108によってパーソナルコンピュータ(PC)200と通信自在に接続されている。
【0008】
制御部101は、カメラ100の各部の動作を制御する。この制御部101は、ユーザの操作部102の操作を受けてその操作内容に応じた各種のシーケンスの制御を行う。また、制御部101は、詳細は後述する3次元(3D)表示を行うために必要な画像を得るための撮影(以下、3D撮影と称する)の際に、画像補正部としての画像処理部に画像補正の指示をすることも行う。
【0009】
操作部102は、ユーザがカメラ100を操作するための各種の操作部材である。この操作部102は、例えばユーザが3D撮影の実行をカメラ100に指示するための操作部材、ユーザが3D表示の際の各種操作を行うための操作部材等を含む。
【0010】
撮影部103は、撮影レンズ、撮像素子、アナログ/デジタル(A/D)変換部等を有して構成されている。このような構成の撮影部103は、撮影レンズを介して入射した撮影光を被写体像として撮像素子に結像させ、この結像させた被写体像を光電変換によって電気信号(画像信号)に変換する。さらに、撮影部103は、A/D変換部により、撮像素子で得られた撮像信号をデジタル化して画像を得る。
【0011】
画像処理部104は、撮影部103で得られた画像に対して種々の画像処理を施す。この画像処理は、ホワイトバランス補正処理や階調補正処理等が含まれる。また、画像処理部104は画像補正部としての機能も有しており、撮影部103で得られた画像とカメラ100の動きとから、適切な3D表示が行えるように撮影部103で得られた画像を補正する。さらに、画像処理部104は、後述する3D撮影の際に画像中の被写体の動きを検出するための被写体検出も行う。画像中の被写体は、例えば画像中の高コントラスト部分を検出することによって検出できる。
【0012】
表示部105は、制御部101の制御に従って画像処理部104で処理された画像及び記録部106に記録される画像を表示する。この表示部105は、例えば液晶ディスプレイから構成されている。記録部106は、画像処理部104で処理された画像を記録する。この記録部106は、例えばカメラ100に対して着脱自在に構成されたメモリである。
【0013】
画像処理部104とともに位置検出部としての機能を有する動き検出部107は、3D撮影時における撮影部103と被写体との位置関係を検出するために、カメラ100の動きを検出する。ここで、動き検出部107の構成は特に限定されるものではなく、種々のものを適用できる。ここではその一例について説明する。本実施形態においては、カメラ100の動きとして、図2の矢印Aで示すカメラ100の並進方向の移動と、図2の矢印Bで示すカメラ100の回転とを検出する。なお、図2では1方向の並進移動とその方向周りの回転についてのみ示しているが、実際には矢印Aに沿った軸と矢印Aに直交する軸とを含む3軸、及びそれぞれの軸周りの回転も検出する。
【0014】
図3(a)は、カメラ100の並進方向の移動を検出するための構成の一例を示す図である。図3(a)に示す並進移動検出部は、カメラ100に固定された2枚の電極12と、電極12に対して架橋されカメラ100の並進移動に伴って移動可能な電極11とを有して構成されている。
【0015】
図3(a)において、カメラ100が矢印A方向に移動すると、この移動に伴って電極11に加速度が発生して電極11も矢印A方向に移動する。図3(b)に示すような電極11の加速度の変化は、電極11と電極12の間の静電容量の変化として検出できる。図3(b)に示すようにして得られた加速度を積分すれば、図3(c)に示すような電極11の移動速度が得られる。さらに、図3(c)に示すようにして得られた移動速度を積分すれば、図3(d)に示すような電極11の移動量、即ちカメラ100の並進方向の移動量が得られる。これによって後述する3D撮影の際の各画像の撮影位置を検出することが可能である。
【0016】
図4(a)は、カメラ100の回転を検出するための構成の一例を示す図である。図4(a)に示す回転検出部は、電圧印加によって振動する一対の圧電素子13を有して構成されている。
【0017】
カメラ100に図示矢印で示す角速度が発生したときに、コリオリの力(時計回転の場合には進行方向に対して90度右向きの力、反時計回転の場合には進行方向に対して90度左向きの力となる)によって、振動している圧電素子対13が変形する。この変形によって生じる電圧変化を検出することによって、角速度を検出することができる。また、角速度を積分すれば、図4(b)に示すようにして回転量(回転角度)が得られる。これによって後述する3D撮影の際のカメラ100の傾きを検出することが可能である。
【0018】
図1に戻って、通信部108は、カメラ100とPC200との通信を仲介するインターフェース回路である。なお、カメラ100とPC200との通信方式は特に限定されるものではなく、USBケーブル等を用いた有線通信でも、無線LAN等を用いた無線通信でも良い。
【0019】
PC200は、カメラ100で撮影された画像等を表示したり編集したりするためのソフトウェアがインストールされている。カメラ100によって3D撮影がなされた場合、この3D撮影の結果として得られる画像群をPC200に送信することでPC200上でも3D表示を行うことが可能である。
【0020】
以下、3D撮影について説明する。本実施形態における3D撮影では、ユーザが手動でカメラ100を移動させて被写体を囲む複数の相違なる位置(角度)で撮影を行う。図5は、3D撮影の概要を示す図である。図5に示すように、ユーザは、被写体300の周囲に沿ってカメラ100を移動させる。このとき、カメラ100の制御部101は、等しい時間間隔で撮影部103を制御して連続撮影を実行する。これにより、被写体300を複数の撮影位置(撮影角度)から撮影することが可能である。この複数の撮影角度で撮影された画像をユーザの操作に従って適宜表示部105に表示させることで、表示部105において被写体300を回転させたりして、複数の角度から観察することが可能である。なお、図5に示す3D撮影では表示部105に表示された被写体300を画面内の左右方向に回転させて観察することが可能である。
【0021】
ここで、適切な3D表示を行うためには、3D画像に用いる画像が等価な位置関係を有している必要がある。この等価な位置関係とは、(1)それぞれの画像の撮影位置が等間隔であること、(2)それぞれの画像の撮影位置から被写体300までの距離が等距離であること、(3)それぞれの撮影位置でユーザが意図する方向(即ち被写体300の方向)にカメラ100が正しく向いていること、である。
【0022】
まず、(1)については、ユーザがカメラ100を等速で移動させることができればそれぞれの画像の撮影位置が等間隔となる。しかしながら、例えば2°毎等の所定の間隔で撮影を行うとしても、ユーザの手の移動速度を一定に保つことは困難であり、この結果、撮影間隔が1°になったり、3°になったりする可能性が高い。このようなカメラ100の移動速度の変化については上述のように並進移動検出部によって検出できる。この移動速度と連写の時間間隔の積が撮影間隔であることから、実際に3D表示に使用する画像の枚数よりも多くの画像を取得しておき、この大量の画像の中から、撮影間隔が等間隔となるような画像群のみを3D表示に使用する画像として採用するようにする。
【0023】
次に、(2)については、ユーザが被写体300を囲む円周上で正しくカメラ100を移動させることができれば、各撮影位置において被写体を等距離で撮影することができる。しかしながら、手動での移動では、カメラ100を正しく円状に移動させることは困難である。このため、例えば図2の位置Aから位置Bまでカメラ100を移動させる際に、被写体300を中心とした円状軌跡400に対してずれ401が生じる可能性が高い。
【0024】
図6(a)は、カメラ100の移動時に起こり得る円状軌跡400からのずれの一例を示した図である。3D撮影の際に、カメラ100を円状軌跡400に追従して移動させることができれば距離差は0となる。しかしながら、カメラ100を円状軌跡400に完全に追従させて移動させるのは困難であるため、通常は、図6(a)に示すようにしてカメラ100と被写体300との距離が撮影位置によって変化してしまう。このような距離差が発生すると、撮影により得られる画像中の被写体の大きさが変化する。即ち、被写体300とカメラ100との距離が近ければ画像中の被写体が大きくなり、被写体300とカメラ100との距離が遠ければ画像中の被写体が小さくなる。なお、このような被写体300との距離変化は上述した動き検出部107ではなかなか検出できない。したがって、本実施形態では、撮影された画像中の被写体の大きさによって被写体300との距離変化を検出する。画像中の被写体の大きさ変化が検出された場合には、拡大又は縮小の処理によって被写体部分の画像を補正する。
【0025】
さらに、(3)については、カメラ100の角度変化は回転検出部によって検出できる。図6(b)は、カメラ100の移動時に起こり得るカメラ100の角度変化の一例を示した図である。カメラ100を移動させる際にカメラ100が煽られたりしてしまうと、カメラ100が被写体300を見る角度が変化してしまう。このような画像を3D表示に採用してしまうと、スムーズに被写体を回転させられないような画像が得られる。したがって、このような画像は3D表示には採用しないようにする。その代わりに、この画像の直近の撮影位置で得られた少なくとも2枚の画像を合成して補正画像を生成する。
【0026】
なお、ユーザの手振れの状態や移動速度の変化によっては、被写体が画像の中央ではなく、画像内の上下左右の何れかに偏って配置されることもあり得る。このような場合は、被写体部分の画像をシフトすることで被写体が画像の中央に来るように補正することが好ましい。
【0027】
図7は、3D撮影後の画像補正の具体例を示す図である。ここで、図7は、撮影位置が等間隔となるように選択された5枚の画像を補正する際の具体例について示した図である。
【0028】
まず、図7(a)に示す5枚の画像501〜505のうち、画像501、505については被写体部分の大きさが他の画像と同一(即ち距離変化がなし)であり、且つカメラ100の角度変化もない状態で得られている。これらの画像については補正を行わずに3D表示用の画像として採用する。
【0029】
次に、図7(a)に示す5枚の画像501〜505のうち、画像503については被写体の部分の大きさが他の画像よりも小さい。これは、画像503の撮影時には、カメラ100が軌跡400上よりも遠い位置にあったことを意味している。このような画像503については被写体部分を拡大し、これによって得られる補正画像503aを3D表示用の画像として採用する。
【0030】
また、図7(a)に示す5枚の画像501〜505のうち、画像502、504については角度変化が検出された画像である。これらの場合には、画像502を不採用として画像501と画像503aから補正画像502aを生成するとともに、画像504を不採用として画像503aと画像505から補正画像504aを生成し、これら画像502a、504aを3D表示用の画像として採用する。
【0031】
以上のようにして補正を行うことにより、図7(b)に示すようにスムーズな3D表示を行うことが可能な画像を生成することができる。
【0032】
以上のような3D撮影が可能なカメラの制御について以下に説明する。図8は、本発明の一実施形態に係るカメラのメインの動作について示すフローチャートである。ここで、本実施形態のカメラは、一般的な撮影もできるカメラを想定しているが、図8では一般的な撮影に係る制御については図示を省略している。
【0033】
カメラ100が起動されると、制御部101は、ユーザによる操作部102の操作によって3D撮影の実行が指示されたか否かを判定する(ステップ211)。ステップS211の判定において、3D表示の実行が指示された場合に、制御部101は、撮影部103を制御して被写体の撮影を実行する(ステップS212)。また、制御部101は、撮影に同期してカメラ100及び画像中の被写体の動き検出を行う(ステップS213)。カメラ100の動きは動き検出部107において検出することができる。また、画像中の被写体の動きは、画像処理部104において検出することができる。ステップS213における動き検出の結果は、撮影部103によって得られた画像と関連付けしておく。
【0034】
動き検出の後、制御部101は、カメラ100の角度変化(カメラ100の回転)が検出されたか否か及び画像中の被写体が中央から許容範囲以上外れているか否かを判定する(ステップS214)。ステップS214の判定において、カメラ100の角度変化が検出された場合又は画像中の被写体が中央から許容範囲以上外れている場合に、制御部101はユーザに対して音や発光等によって警告を行う(ステップS215)。この警告により、ユーザは3D撮影時においてカメラ100の傾きや移動速度に注意を向けることが可能である。一方、ステップS214の判定において、カメラ100の傾きがなく、且つ画像中の被写体が中央から許容範囲以上外れていない場合に、制御部101はステップS215の処理をスキップする。
【0035】
次に、制御部101は、画像中の被写体の大きさが許容範囲以上変化しているか否かを判定する(ステップS216)。ステップS216の判定において、画像中の被写体の大きさが許容範囲以上変化している場合に、制御部101はユーザに対して音や発光等によって警告を行う(ステップS217)。この警告により、ユーザは3D撮影時においてカメラ100と被写体との距離に注意を向けることが可能である。一方、ステップS216の判定において、画像中の被写体の大きさが許容範囲以上変化していない場合に、制御部101はステップS217の処理をスキップする。
【0036】
次に、制御部101は、ユーザによる操作部102の操作によって3D撮影の終了が指示されたか否かを判定する(ステップ218)。ステップS218の判定において、3D表示の終了が指示されていない場合には、処理がステップS212に戻り、制御部101は、次の撮影を実行する。即ち、ユーザによる操作部102の操作によって3D撮影の終了が指示されるまで撮影が繰り返されることになる。なお、各撮影の時間間隔は等間隔となるようにする。一方、ステップS218の判定において、3D表示の終了が指示された場合には、3D撮影の結果として得られた画像を用いて正しい3D表示を行えるように、制御部101は画像補正処理を行う(ステップS219)。この画像補正処理の詳細については後述する。画像補正処理の後、制御部101は、画像補正処理によって得られる一連の画像群を1つのフォルダにまとめて記録部106に記録させた後(ステップS220)、図8に示す処理を終了させる。
【0037】
また、ステップS211の判定において、3D表示の実行が指示されていない場合に、制御部101は、ユーザによる操作部102の操作によって3D表示の指示がなされたか否かを判定する(ステップS221)。ステップS221の判定において、3D表示の指示がなされていない場合には、処理がステップS211に戻る。一方、ステップS221の判定において、3D表示の指示がなされた場合に、制御部101は、3D表示処理を実行する(ステップS222)。この3D表示処理については後述する。3D表示処理の後、制御部101は、ユーザによる操作部102の操作によって3D表示の終了が指示されたか否かを判定する(ステップS223)。ステップS223の判定において、3D表示の終了が指示されていない場合には、処理がステップS222に戻り、制御部101は、3D表示処理を継続する。一方、ステップS223の判定において、3D表示の終了が指示された場合に、制御部101は図8の処理を終了させる。
【0038】
次に、画像補正処理について説明する。図9は、画像補正処理について示したフローチャートである。図9において、まず、制御部101は基準画像を選択する。ここでは、例えば、図8の3D撮影によって得られる一連の画像の中で最初に撮影された画像を基準画像とする(ステップS301)。ここで、基準画像とは、3D表示に必要な画像と不必要な画像との取捨選択を行うための基準となる画像である。この基準画像中の被写体300とカメラ100との距離が等間隔となるように補正を行うとともに、基準画像を基準として撮影位置が等間隔となるように画像を採用していく。
【0039】
次に、制御部101は、基準画像に対して所定の撮影間隔だけ離れた撮影位置の画像を選択する(ステップS302)。そして、制御部101は、3D表示に必要な全ての撮影位置の画像に対して判定を行ったか否かを判定する(ステップS303)。
【0040】
ステップS303の判定において、3D表示に必要な全ての撮影位置の画像に対して判定を行っていない場合、制御部101は、ステップS302において選択した画像の撮影時に、カメラ100が、ユーザが意図する適切な撮影方向を向いていたか否かを、カメラ100に許容範囲以上の角度変化があったか否かによって判定する(ステップS304)。ステップS304の判定において、カメラ100の許容範囲以上の角度変化がある場合に、制御部101は、ステップS302において選択した画像を不採用とする(ステップS305)。その後、処理がステップS302に戻り、制御部101は次の画像の選択を行う。
【0041】
一方、ステップS304の判定において、カメラ100の許容範囲以上の角度変化がない場合に、制御部101は、基準画像中の被写体の大きさに対し、ステップS302において選択した画像中の被写体の大きさの変化量が許容範囲以上であるか否かを判定する(ステップS306)。ステップS306の判定において、被写体の大きさの変化量が許容範囲以上である場合に、制御部101は、ステップS302において選択した画像中の被写体の大きさを補正する処理を行う(ステップS307)。
【0042】
ここで、ステップS307の補正処理について説明する。図10は、被写体の大きさ補正処理について示すフローチャートである。まず、制御部101は、補正対象の画像中の被写体の高さH1を検出する(ステップS321)。次に、制御部101は、基準画像中の被写体の高さH0を検出する(ステップS322)。なお、基準画像中の被写体の高さH0については予め検出しておくようにしても良い。H1とH0を検出することによって画像中の被写体の高さの変化量H1/H0を算出することができる。したがって、制御部101は、画像処理部104により、補正対象の画像中の中央部分(被写体を含む正方形領域)の高さと幅とをそれぞれH0/H1倍して補正を行う(ステップS323)。
【0043】
以後、図9に戻って説明を続ける。ステップS303の判定において、3D表示に必要な全ての撮影位置の画像に対して判定を行った場合、制御部101は、選択された画像の中に不採用とした画像があるか否かを識別する(ステップS308)。不採用とした画像がある場合には、その不採用とした画像を除去し、さらに、不採用とした画像の前後の撮影位置を含む少なくとも2枚の画像を合成することで、不採用とした撮影位置で得られるべき補正画像を生成する(ステップS309)。その後、制御部101は、図9の処理を終了させる。
【0044】
次に、3D表示について説明する。図11は、3D表示の処理について示すフローチャートである。上述のように、3D表示は、カメラ100とPC200の何れでも行うことが可能である。ここでは、カメラ100の表示部105上に3D表示を行う例について説明するが、図11に示すフローチャートの処理はPC200における3D表示の際にも適用できる。
【0045】
3D表示の際に、制御部101は、まず、3D表示用にフォルダにまとめられた画像群の中の基準画像(3D撮影時に最初に撮影された画像)を表示部105に表示させる(ステップS401)。その後、制御部101は、ユーザによる操作部102の操作により、表示部105被写体300を左右方向に回転させるように指示されたか否かを判定する(ステップS402)。ステップS402の判定において、回転操作指示がなされていない場合に、制御部101は、図11の処理を抜けて図8の処理に復帰する。一方、ステップS402の判定において、回転操作指示がなされた場合に、制御部101は、図12に示すようにして、ユーザの操作方向に従って被写体が右方向又は左方向に回転されるように表示部105に表示させる画像の切り換えを行う(ステップS403)。その後、制御部101は、図11の処理を抜けて図8の処理に復帰する。
【0046】
以上説明したように、本実施形態によれば、ユーザが手動でカメラ100を移動させて被写体300を囲む複数の位置で撮影することで得られた画像を用いて正しい3D表示を行うことが可能である。即ち、ユーザが手動でカメラ100を移動させる際に生じ得るカメラ100の角度変化や速度変化、被写体300との相対距離の変化を考慮して画像を補正することにより、被写体の正しい3D情報を得ることができ、これによって適切な3D表示を行うことが可能となる。
【0047】
ここで、上述の例においては、3D撮影によって得られた画像の補正をカメラ100において行っている。しかしながら、図9で示した補正処理を実行できるのであれば、例えばネットワーク上に設けられたサーバ等で補正処理を行えるようにしても良い。この場合には、3D撮影の際の各撮影位置におけるカメラ100の角度変化、速度変化等の情報を画像と関連付けて記録し、画像とともにこれらの情報も送信する必要がある。
【0048】
また、上述の例では、3D撮影の際に、被写体300の周囲で且つ地表に対して平行な方向にのみカメラ100を移動させて撮影を行う例について説明している。これに対し、さらに、被写体300の周囲で且つ地表に対して垂直な方向にカメラ100を移動させて撮影を行うようにしても良い。このようにすれば、3D表示の際に被写体300を画面の上下方向に回転させることもできるようになる。さらに、上述の例においては、3D撮影の際に、カメラ100が角度変化してしまった場合には、そのとき得られる画像を3D表示には採用しないようにしている。これに対し、図13に示すように、角度変化が発生してしまった際に得られた画像502と画像504を合成して上下方向に動きのある画像503bを生成することで、地表に対して平行な方向以外の画像を得るようにしても良い。
【0049】
以上実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
【0050】
さらに、上記した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、上述したような課題を解決でき、上述したような効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施形態に係るカメラの構成を示す図である。
【図2】動き検出部で検出できるカメラの並進及び回転について示す図である。
【図3】カメラの並進方向の移動を検出する並進移動検出部について説明するため図である。
【図4】カメラの回転を検出する回転検出部について説明するための図である。
【図5】3D撮影の概要を示す図である。
【図6】図6(a)はカメラの移動時に起こり得る円状軌跡からのずれの一例を示した図であり、図6(b)はカメラの移動時に起こり得るカメラの角度変化の一例を示した図である。
【図7】3D撮影後の画像補正の具体例を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るカメラのメインの動作について示すフローチャートである。
【図9】画像補正処理について示したフローチャートである。
【図10】被写体の大きさ補正処理について示すフローチャートである。
【図11】3D表示の処理について示すフローチャートである。
【図12】3D表示の際の画像の回転について示す図である。
【図13】本発明の実施形態の変形例について示す図である。
【符号の説明】
【0052】
100…カメラ、101…制御部、102…操作部、103…撮影部、104…画像処理部、105…表示部、106…記録部、107…動き検出部、108…通信部、200…パーソナルコンピュータ(PC)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮影して前記被写体に係る画像を得る撮影部と、
前記撮影時における前記被写体と前記撮影部との位置関係を検出する位置検出部と、
前記位置検出部で検出された位置関係に基づき、前記被写体を囲む複数の相違なる位置で前記撮影部によって得られた複数の画像が等価な位置関係となるように補正する画像補正部と、
前記補正された画像を表示する表示部と、
を具備することを特徴とするカメラ。
【請求項2】
前記画像補正部は、前記位置検出部によって検出された位置関係に基づいて、前記撮影部で得られた複数の画像の中から撮影位置が等間隔である画像群を選択することを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項3】
前記画像補正部は、ユーザが意図しない方向に前記撮影部がずれていたことが前記位置検出部によって検出された場合、前記選択した画像群の中で前記撮影部がずれた状態で得られた画像を除去することを特徴とする請求項2に記載のカメラ。
【請求項4】
前記画像補正部は、前記画像群の中で、前記除去した画像の直近の撮影位置で得られた少なくとも2枚の画像から、前記画像群を等価な位置関係とする補正画像を生成することを特徴とする請求項3に記載のカメラ。
【請求項5】
前記画像補正部は、前記画像群の各画像の中の被写体の大きさが許容範囲以上変化していた場合に画像中の被写体の大きさを補正することを特徴とする請求項2に記載のカメラ。
【請求項1】
被写体を撮影して前記被写体に係る画像を得る撮影部と、
前記撮影時における前記被写体と前記撮影部との位置関係を検出する位置検出部と、
前記位置検出部で検出された位置関係に基づき、前記被写体を囲む複数の相違なる位置で前記撮影部によって得られた複数の画像が等価な位置関係となるように補正する画像補正部と、
前記補正された画像を表示する表示部と、
を具備することを特徴とするカメラ。
【請求項2】
前記画像補正部は、前記位置検出部によって検出された位置関係に基づいて、前記撮影部で得られた複数の画像の中から撮影位置が等間隔である画像群を選択することを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項3】
前記画像補正部は、ユーザが意図しない方向に前記撮影部がずれていたことが前記位置検出部によって検出された場合、前記選択した画像群の中で前記撮影部がずれた状態で得られた画像を除去することを特徴とする請求項2に記載のカメラ。
【請求項4】
前記画像補正部は、前記画像群の中で、前記除去した画像の直近の撮影位置で得られた少なくとも2枚の画像から、前記画像群を等価な位置関係とする補正画像を生成することを特徴とする請求項3に記載のカメラ。
【請求項5】
前記画像補正部は、前記画像群の各画像の中の被写体の大きさが許容範囲以上変化していた場合に画像中の被写体の大きさを補正することを特徴とする請求項2に記載のカメラ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−41076(P2010−41076A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−198133(P2008−198133)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】
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