説明

カラーフィルタの製造方法及びそのカラーフィルタ

【課題】インクジェット方式を用いてカラーフィルタを製造するに際し、画素形状の平坦なカラーフィルタの製造方法を提供すること。
【解決手段】透明基板上に所定のパターンおよび膜厚(T1)の遮光層を形成する工程、前記遮光層の開口部に、各色の着色組成物をインクジェット法により規定の配列となるように吐出した後、溶剤を蒸発させ、着色層の膜厚をT2にする50〜150℃、1〜5分の加熱工程、及び前記着色層を加熱処理し、熱硬化させる180〜250℃、10〜60分の工程を具備し、前記遮光層の膜厚(T1)に対する着色層の膜厚T2の比(T2/T1)が、0.8〜1.5であることを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレー装置に使用されるカラーフィルタの製造方法に係り、特に、インクジェット法を用いたカラーフィルタの製造方法及びそのカラーフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やパーソナルコンピュータ、薄型カラーテレビの発展に伴い、カラー液晶ディスプレー装置の需要が増加している。特に、薄型カラーテレビの大型化が著しい。しかしながら、薄型カラーテレビの需要の増加に合わせて低価格化の進行も著しく、その部材の中でもコスト的に比重の高いカラーフィルタに対するコストダウンの要求が高い。
【0003】
このようなカラーフィルタにおいては、通常赤(R)色、緑(G)色、青(B)色の3原色の着色パターン層を備え、R色、G色、およびB色のそれぞれの画素に対応する対極電極をON、OFFさせることで液晶がシャッタとしての開閉作動し、R色、G色、およびB色のそれぞれの画素を光が通過してカラー表示が行われるものである。
【0004】
従来行われているカラーフィルタの製造方法としては、例えば染色法が挙げられる。この染色法は、まずガラス基板上に、染色される透明の水溶性の高分子材料をフォトリソグラフィー工程により所望の形状にパターニングした後、得られたパターンを染料水溶液に浸漬して透明なパターンを染色する。これを3回繰り返すことによりR色、G色、およびB色の画素のカラーフィルタ層を形成するものである。
【0005】
また、他の方法としては顔料分散法がある。この方法は、まず基板上にR色の顔料を分散した感光性樹脂層を形成し、これをパターニングすることによりR色の画素パターンを得る。さらにG色、およびB色の画素パターンの形成工程を繰り返すことにより、R、G、およびBのカラーフィルタ層を形成する。
【0006】
さらに他の方法としては、熱硬化樹脂に各々顔料を分散させたインクを用いて、R色、G色、およびB色の印刷を行った後、樹脂を熱硬化させる方法等を挙げることができる。
【0007】
しかしながら、いずれの方法も、R色、G色、及びB色の3色を着色するために、同一の工程を3回繰り返す必要があり、コスト高になるという問題や、同様の工程を繰り返すため製造装置の効率、材料の効率が低下するという問題がある。
【0008】
これらの問題点を解決したカラーフィルタの製造方法として、近年、インクジェット方式を利用したカラーフィルタの製造方法が検討されている。
【0009】
インクジェット方式を用いたカラーフィルタの製造方法としては、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3等に記載されている方法が挙げられる。
【0010】
特許文献1には、ガラス基板上の所望する着色領域外への着色インクの広がりを防止するため、予めブラックマトリックス(遮光パターン)にフッ素系撥水・撥油剤を含有させた着色インクを用いることによって、着色領域内のみに着色インクを定着させることが記載されている。また、特許文献2、特許文献3には、含フッ素化合物及び/または含ケイ素化合物を含有するブラックマトリックスを、着色工程におけるインクにじみ、混色を防止するための仕切り壁とすることが記載されている。
【0011】
また、特許文献4には、遮光パターン上部の撥インク性と、遮光パターン面との間の撥インク性を水の接触角で、それぞれ、90〜120°、30°以下とすることにより、遮光パターンと遮光パターン面での着色インクの広がりを良好にし、遮光パターン上部と遮光パターン面は、着色インクが付着しにくくする発明が開示されている。この発明において、遮光パターン間を親インク処理剤により表面処理し、撥インク性をコントロールしている。
【0012】
以下に公知文献を記す。
【特許文献1】特開平6−347637号公報
【特許文献2】特開平7−35915号公報
【特許文献3】特開平7−35917号公報
【特許文献4】特開平9−203803号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の課題は、以上のような事情のもとになされ、インクジェット方式を用いてカラーフィルタを製造するに際し、着色画素内の平坦性を改善したカラーフィルタの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の請求項1に係る発明は、透明基板上に遮光層と、着色層及び透明電極層を形成するカラーフィルタの製造方法において、
透明基板上に膜厚をT1にする所定のパターンの遮光層を形成する工程、前記遮光層の開口部に、各色の着色組成物をインクジェット法により規定の配列となるように吐出した後、溶剤を蒸発させ、着色層の膜厚をT2にするための50〜150℃、1〜5分の加熱工程、前記着色層を熱硬化させるための180〜250℃、10〜60分の加熱処理工程を備え、前記遮光層の膜厚T1に対する着色層の膜厚T2の比(T2/T1)が、0.8〜1.5であることを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
【0015】
本発明の請求項2に係る発明は、前記遮光層の膜厚T1に対する着色層の膜厚T2の比(T2/T1)は、0.9〜1.3であることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタの製造方法である。
【0016】
本発明の請求項3に係る発明は、前記着色組成物は、顔料、バインダー樹脂及び溶剤を含み、バインダー樹脂の重量平均分子量が、500〜10000であることを特徴とする請求項1、又は2に記載のカラーフィルタの製造方法である。
【0017】
このようなカラーフィルタの製造方法において、遮光層の膜厚(T1)に対する着色層の膜厚T2の比(T1/T2)は、0.9〜1.3であることが望ましい。また、着色組成物は、顔料、バインダー樹脂、有機溶剤を含み、バインダー樹脂の重量平均分子量が、500〜10000であることが望ましい。
【0018】
本発明の請求項4に係る発明は、前記バインダー樹脂が、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂からなる群から選ばれる1つ以上の熱硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のカラーフィルタの製造方法である。
【0019】
バインダー樹脂はポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂からなる群から選ばれる1つ以上の熱硬化性樹脂を挙げることができる。
【0020】
本発明の請求項5に係る発明は、透明基板上に遮光層と、その遮光層の開口部上に各色の着色層と、その表面上に透明電極層をその順に積層してなるカラーフィルタにおいて、前記請求項1乃至4のいずれか1項に記載のカラーフィルタの製造方法により製造されたことを特長とするカラーフィルタである。
【0021】
また、本発明はカラーフィルタの製造方法により製造されたカラーフィルタを提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、インクジェット法により形成された着色層において、溶剤を蒸発させる工程において、所定の割合に減少させた後、着色層の加熱硬化を行っているため、表面が平坦な着色層が得られ、それによって色むらの無いカラーフィルタを製造することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明のカラーフィルタの製造方法及びそのカラーフィルタの一実施例の形態について説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係るカラーフィルタの製造方法を工程順に示す側断面図である。
【0025】
まず、図1(a)に示すように、透明基板1上に隔壁を構成する光硬化性の遮光層2を形成する。
【0026】
透明基板1は、カラーフィルタとしての透明性や、機械的強度の特性が満足するものであれば、ポリカーボネート、ポリエーテルサルフィン、及びポリアクリレート等のプラスチックシート及びプラスチックフィルムなどでも良いが、一般的にはガラス基板を用いる。
【0027】
前記遮光層2は、光硬化性のインク組成物(着色組成物)を用いて透明基板1上に設けられる。インク組成物は、黒色顔料、インク用バインダー樹脂、光開始剤、撥水剤等を溶媒によりインク化したものである。
【0028】
このインク組成物は、例えばバーコーター、ロールコーター、スピンコーター、ダイコーター、グラビアコーター等の塗布方法を用いて透明基板1上に塗布することが出来る。
【0029】
インク組成物に含まれる黒色顔料としては、有機黒色顔料、無機黒色顔料の一般的な顔料を用いることが出来る、例えば、有機顔料、カーボンブラック、アニリンブラック、黒鉛、酸化チタン、鉄黒などを単体あるいは混合して用いられるものである。
【0030】
インク組成物に含まれる撥水剤とは、ブラックマトリクスの開口部に着色組成物の充填時に着色組成物をはじき、隣接する画素への侵入を防止する役割を有するものである。撥水剤の材料は特には限定されないが、フッ素化合物や、ケイ素化合物が撥水性に優れるために好ましい。しかし、ブラックマトリクス開口部へのインク充填量が多くなると、隣接する画素への着色組成物の侵入が発生し、混色不良となる。
【0031】
また、撥水剤は過剰に含有させると、ブラックマトリクス形成工程の最終工程であるポストベーク(本硬化)の際に、蒸発し、ブラックマトリクス開口部に露出したガラス基板表面に薄く付着することで、インクを付与する際にガラス基板表面とインクとの濡れ性が悪くなり、開口部内にインクが均一に拡がらず、白抜けや色ムラが発生する。
【0032】
撥水剤の具体的な例を挙げると、主鎖または側鎖に有機シリコーンやアルキルフルオロ基を有するもので、シロキサン成分を含むシリコーン樹脂やシリコーンゴム、この他にはフッ化ビニリデン、フッ化ビニル、三フッ化エチレン等やこれらの共重合体等のフッ素樹脂などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
次に、図1(b)に示すように、フォトマスク3を介して光照射を行い、遮光層2をパターン上に硬化させ、現像等の処理を行うことにより、図1(c)に示すように、光遮蔽パターン4を有するブラックマトリクス(BM)基板を得ることができる。なお、図1(c)では、光遮光パターン4の厚さはT1である。
【0034】
遮光層2の露光手段としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、キセノンランプ、ハロゲンランプ等のラジカル重合性化合物が反応する波長の光を放出するものを使用することができる。
【0035】
光遮蔽パターン4の形成後、一般的な洗浄工程(水洗浄、エアー洗浄等)を行った後、任意に加熱(ポストベーク)を行うことが出来る。これにより、パターン化された樹脂層を十分に熱硬化することができ、且つBM表面から撥インク剤を溶出させる効果により、BM(隔壁)の撥インク性をより高くすることが出来る。加熱温度は、例えば120℃〜250℃であり、加熱時間は、3分〜60分程度である。
【0036】
その後、図1(d)に示すように、インクジェット法により、複数色の着色組成物を光遮蔽パターン4の開口部に吐出し、例えば赤色着色層5a、緑色着色層5b、及び青色着色層5cを形成する。この場合、開口部への着色組成物の吐出量は最適化する必要がある。
【0037】
インクジェットに用いる装置としては、インク吐出方法の相違によりピエゾ変換方式と熱変換方式があるが、ピエゾ変換方式の装置を用いることが望ましい。また。インクジェット装置のインクの粒子化周波数は5〜100kHz程度が望ましい。また、インクジェット装置のノズル径は、5〜80μm程度が望ましい。また、インクジェット装置はヘッドを複数個配置し、1ヘッドにノズルを60〜500個程度組み込んだものを用いるのが好ましい。
【0038】
本発明に使用される着色組成物は、顔料、バインダー樹脂、有機溶剤を含み、バインダー樹脂の重量平均分子量が、500〜10000であることが好ましい。
【0039】
着色組成物に使用する溶剤としては、インクジェット印刷における適性を考慮し、表面張力範囲35mN/m以下で、且つ、沸点が130℃以上のものが好ましい。表面張力が35mN/m以上であるとインクジェット吐出時のドット形状の安定性に著しい悪影響を及ぼし、また、沸点が130℃以下であるとノズル近傍での乾燥性が著しく高くなり、その結果、ノズル詰まり等の不良発生を招く傾向となる。
【0040】
具体的には、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテート、2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルエーテル、2−(2−エトキシエトキシ)エタノー
ル、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアセテート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルアセテート、2−フェノキシエタノール、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、上記要件を満たす溶剤であれば好ましく用いることができ、また、必要に応じて2種類以上の溶剤を混合して用いても構わない。
【0041】
インクジェット用着色組成物の顔料としては、耐候性に優れるものを用いることが好ましい。具体的にはPigment Red9、19、38、43、97、122、123、144、149、166、168、177、179、180、192、208、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、254、Pigment Blue15、15:6、16、22、29、60、64、Pigment Green7、36、Pigment Yellow20、24、86、81、83、93、108、109、110、117、125、137、138、139、147、148、150、153、154、166、168、185、Pigment Orange36、Pigment Violet23等を使用することができる。さらに所望の色相を得るために2種以上の材料を混合して用いることができる。
【0042】
着色組成物のバインダー樹脂としては、カラーフィルタ製造装置および製造工程の簡略化から、熱硬化性樹脂であることが好ましい。特にカラーフィルタに要求される耐溶剤性、耐アルカリ性、耐酸性、耐熱性などの物性を満足させるため、熱黄変性の少ない熱硬化性樹脂である、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂からなる群から選ばれる1つ以上のものが使用される。
【0043】
また、バインダー樹脂の重量平均分子量は、500〜10000の範囲内であることが好ましく、さらに500〜8000の範囲内であることが好ましい。バインダー樹脂の重量平均分子量が10000を超えると、着色層2の加熱加工時にインキの流動性が不足し、パターン平坦性が劣ってしまう。
【0044】
着色組成物の分散剤は、溶剤への顔料の分散性を向上させるために用いることができる。分散剤として、イオン性、非イオン性界面活性剤などを用いることができる。具体的には、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリ脂肪酸塩、脂肪酸塩アルキルリン酸塩、テトラアルキルアンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等、その他に有機顔料誘導体、ポリエステルなどが上げられる。分散剤は1種類を単独で使用しても良く、また、必要に応じて2種以上を混合して用いることも可能である。
【0045】
次に、図1(e)に示すように、赤色着色層5a、緑色着色層5b、及び青色着色層5cを形成した後、50〜150℃、1〜5分間加熱する。その結果、各着色層中の溶媒の蒸発により、着色層5a、5b,5cはより平坦化し、その膜厚は減少して厚さT2となる。
【0046】
このように着色層5a、5b、5cの形成後、プレベークにより所定の膜厚まで減少させるのは、次のような理由による。
【0047】
即ち、インクジェット方式では、着色組成物を高濃度にするとノズルが詰まるため、通常、低濃度にしてBM開口部に吐出しているが、溶媒分の多い着色層は、吐出直後の膜厚がBMの膜厚以上になることから、そのまま急激に加熱すると、凸形状を維持してしまう。
【0048】
これに対し、本発明では、インクジェット方式により膜厚T1のBMの開口部に着色組成物を吐出した後、プレベークによる乾燥後の膜厚をT2としたときに、T2/T1の膜
厚比が0.8〜1.5、好ましくは0.9〜1.3となるように着色層の膜厚を減少させている。このような割合で膜厚を減少させた後、加熱処理(ポストベーク)を施すことにより、均一な膜厚の着色層が得られ、色ムラが発生することはない。
【0049】
T2/T1が0.8未満では、カラーフィルタとしての所定の膜厚が得られないため好ましくない。また、T2/T1が1.5を超えるような値では、加熱硬化後において画素形状が凸になることで膜厚に不均一が生じ、色むらが発生してしまう。
【0050】
次に、図1(f)に示すように、プレベークの後、光遮蔽パターン4及び着色層5a、5b、5cが設けられた透明基板1を加熱炉に導入し、180℃〜250℃でポストベークする。その結果、着色層5a、5b、5cは硬化するとともに、その膜厚は図1に示すように光遮蔽パターン4の膜厚とほぼ同様になる。
【0051】
その後、図1(g)に示すように、表面に保護層6を形成して、カラーフィルタが完成する。
【0052】
保護層6はカラーフィルタ表面の平滑性、耐候性を向上させるために設けるものである。保護層6は、カルボキシル基を有する化合物とエポキシ基を有する化合物を溶媒等に溶解したものをスピンコート法やダイコート法等の適切な塗工方法を用いてコーティングした後、加熱により架橋させて形成することができる。カルボキシル基を有する化合物としては、加熱により、エポキシ基と架橋反応を行うことができるカルボキシル基を有する化合物であればよい。ところで、カルボキシル基とエポキシ基は反応性が高いので、製造工程で問題が生じることがある。このため、前記カルボキシル基がアルキルビニルエーテルによりブロックされた化合物を用いることが望ましい。
【0053】
カルボキシル基を有する化合物の具体例としては、1−イソプロポキシエチル(メタ)アクリレート、1−エトキシエチル(メタ)アクリレート、1−t−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、1−(1−メチルヘキシロキシ)エチル(メタ)アクリレート、1−(1,1−ジメチルプロポキシ)エチル(メタ)アクリレート、1−イソプロプキシエチル(メタ)アクリルアミド、1−エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、1−t−ブトキシエチル(メタ)アクリルアミド、1−(1−メチルヘキシロキシ)エチル(メタ)アクリルアミド、1−(1,1−ジメチルプロポキシ)エチル(メタ)アクリルアミド、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸−2,4−ビス(プロポキシエチル)−1−((メタ)アクリロキシエチル)エステル等の単量体もしくは共重合体が一例として挙げられる。エポキシ基を有する化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルイタコネート、グリシジルフマレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の単量体、あるいは共重合体などが一例として挙げられる。特にエポキシ基を有する化合物にアクリル樹脂を用いると、透明性、耐候性に優れた保護層を得ることができる。以下に本発明の実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによってこれら実施例によってなんら制限されるものではない。
【実施例1】
【0054】
実施例1では、50シートのブラックマトリクスを作製した。ポリイミド前駆体(東レ(株)製:「セミコファインSP−510」)10重量部、カーボンブラック7.5重量部、NMP130重量部、分散剤(銅フタロシアニン誘導体)5重量部、開始剤5重量部及び撥インク剤(ポリアルキルシロキサン)0.5重量部をビーズミル分散機で冷却しながら3時間分散しブラックマトリックス用の着色組成物を調製した。
【0055】
調整されたブラックマトリックス用の着色組成物を無アルカリガラス(品番1737:コーニング(株)製)上にスピンコート法により塗布した後、オーブンで90℃20分プ
リベークを行った。
【0056】
次いで、露光、現像処理を行った後に、オーブンで230℃1時間のポストベークを行い、ブラックマトリックスを形成した。ブラックマトリックスの膜厚(T1)は1.5μmであった。
【0057】
このようにして形成されたブラックマトリックス上頂部の着色インク(表面張力30mN/m)に対する接触角を測定したところ、30°であり、前記ブラックマトリックス上頂部が着色インクに対して、撥インク性が有ることを確認した。
【0058】
次いで、着色組成物を作製した。カラーフィルタの製造に用いる着色組成物に含まれる着色する顔料には次のものを用いた。赤色(R)顔料として、C.I.Pigment Red 254(「イルガフォーレッドB−CF」:チバ・スペシャルティケミカルズ(株)製)、緑色(G)顔料として(「リオノールグリーン 6YK」:東洋インキ製造(株)製)、青色(B)顔料として、C.I.Pigment Blue 15;6(「ヘリオゲンブルー」:BASF(株)製)を用い、下記表1に示す処方でビーズミル分散により十分混連錬し、赤色顔料分散液(組成物1)、緑色着色組成物(組成物2)及び青色顔料分散液(組成物3)を作製した。下記に、組成物1〜3の材料組成は表1に記す。
【0059】
【表1】

なお、組成物1〜3は、下記の表2の材料として用いる。
【0060】
このようにして得た顔料分散液に下記表2に示す処方で、熱硬化性樹脂及び有機溶剤を加えて良く攪拌し、6種のカラーフィルタ用着色組成物を(インクA〜F)を作製した。下記に、インクA〜Fの材料組成は表2に記す。
【0061】
【表2】

なお、インクA〜Fは、下記の表3の材料として用いる。
【0062】
次いで、カラーフィルタの基板を35枚製造した。ガラス基板上に形成されたブラックマトリクスの開口部に、12pl、180dpiヘッド(セイコーインスツルメンツ(株)製)を搭載したインクジェット印刷装置により前記赤色(R)、緑色(G)、青色(B)各色の着色組成物を吐出し各々着色層を形成したあと、ホットプレートによるプリベークで下記表3に示すような様々な比率(T2/T1)で減少させた後、230℃で60分間ポストベークを行い、パターン状着色組成物を形成し35種(試料1〜35)のカラーフィルタを得た。
【0063】
これらのカラーフィルタ試料について、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)各色の着色層の形状を観察し、品質を評価した。それらの結果を下記の表3に示す。
【0064】
【表3】

なお、画素形状の評価では、
◎:表面が非常に平坦(画素中の最小膜厚部と最大膜厚部の△Eabが2以下)
○:表面が平坦(画素中の最小膜厚部と最大膜厚部の△Eabが2〜3)
△:表面がほぼ平坦(画素中の最小膜厚部と最大膜厚部の△Eabが3〜5)
×:表面が不均一、凸形状又は皮膜状(画素中の最小膜厚部と最大膜厚部の△Eabが5以上)とした。
なお、プリベーク条件では、
A:50℃、1分
B:50℃、3分
C:90℃、3分
D:130℃、3分
E:150℃、3分である。
【0065】
上記表3から、以下のことが明らかである。即ち、T2/T1が1.5以上の場合(表3上C)には、着色層はいずれも表面が凸形状となり、好ましくない。
【0066】
これに対し、T2/T1が0.8〜1.5の範囲内の場合(表3上A及びB)には、いずれも着色層は良好な形状を示している。
【0067】
また、T2/T1が0.8〜1.5の範囲内の場合(表3上A及びB)、バインダー樹脂の重量平均分子量が、500〜10000である場合には特に優れた形状を示していることがわかる。
【0068】
さらに、T2/T1が0.9〜1.3の範囲内の場合(表3上A)には、いずれも着色層は特に優れた形状を示している。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の一実施例に係るカラーフィルタの製造工程を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0070】
1…透明基板
2…遮光層
3…フォトマスク
4…光遮蔽パターン
5a…赤色着色層
5b…緑色着色層
5c…青色着色層
6…保護層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板上に遮光層と、着色層及び透明電極層を形成するカラーフィルタの製造方法において、
透明基板上に膜厚をT1にする所定のパターンの遮光層を形成する工程、前記遮光層の開口部に、各色の着色組成物をインクジェット法により規定の配列となるように吐出した後、溶剤を蒸発させ、着色層の膜厚をT2にするための50〜150℃、1〜5分の加熱工程、前記着色層を熱硬化させるための180〜250℃、10〜60分の加熱処理工程を備え、前記遮光層の膜厚T1に対する着色層の膜厚T2の比(T2/T1)が、0.8〜1.5であることを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【請求項2】
前記遮光層の膜厚T1に対する着色層の膜厚T2の比(T2/T1)は、0.9〜1.3であることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項3】
前記着色組成物は、顔料、バインダー樹脂及び溶剤を含み、バインダー樹脂の重量平均分子量が、500〜10000であることを特徴とする請求項1、又は2に記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項4】
前記バインダー樹脂が、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂からなる群から選ばれる1つ以上の熱硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項5】
透明基板上に遮光層と、その遮光層の開口部上に各色の着色層と、その表面上に透明電極層をその順に積層してなるカラーフィルタにおいて、
前記請求項1乃至4のいずれか1項に記載のカラーフィルタの製造方法により製造されたことを特長とするカラーフィルタ。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2008−76828(P2008−76828A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−257029(P2006−257029)
【出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】