説明

カラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物、カラーフィルタ及びその製造方法、並びに液晶表示装置

【課題】インクジェット方式によっても平坦性の高い着色層を形成可能で、光学性能を向上可能なカラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)顔料分散剤と、(B)顔料と、(C)熱硬化性バインダーと、(D)溶剤とを有するカラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物であって、前記(A)顔料分散剤が、下記一般式(I)で表される窒素含有モノマーと、下記一般式(II)で表される構成単位を含むポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基からなる重合性オリゴマーとのグラフト共重合体であるカラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物、カラーフィルタ及びその製造方法、並びに液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピューターの発達、特に携帯用パーソナルコンピューターの発達に伴って、液晶ディスプレイの需要が増加している。また、最近においては家庭用の液晶テレビの普及率も高まっており、益々液晶ディスプレイの市場は拡大する状況にある。さらに近年普及している液晶ディスプレイは大画面化の傾向があり、特に家庭用の液晶テレビに関してはその傾向が強くなってきている。このような状況において、液晶ディスプレイを構成する部材についてはより低コストで高品質なものを高生産性で製造することが望まれており、特に液晶ディスプレイをカラー表示化させる機能を有するカラーフィルタにおいては、従来高コストであったことからこのような要望が高まっている。
【0003】
ここで、一般的なカラーフィルタの製造方法としては、遮光部がパターン状に形成された基板上に、各色の顔料を分散させた光硬化性ネガ型樹脂組成物からなる塗膜を形成し、所望のパターン形状のフォトマスクを介して露光・アルカリ現像することにより、各色の着色層をパターン状に形成する方法が用いられる。
【0004】
しかしながら、上記の方法は、R、G、及びBの3色を着色するために、同一の工程を3回繰り返す必要があり、コスト高になるという問題や、同様の工程を繰り返すため歩留まりが低下するという問題がある。
これらの問題点を解決したカラーフィルタの製造方法として、基板表面にインクジェット方式でインクを吹き付けて画素を形成する方法が提案されている。
【0005】
当該透明基板上のブラックマトリクス層に囲まれた領域にインクジェット方式により画素が形成されると、そのインクとブラックマトリクス層表面との親和性やブラックマトリクス層の高さ、吐出するインク量などの関係から、ブラックマトリクス層に囲まれた開口部における画素の形状は、当該画素の外縁部又はその近傍において膜厚の薄い部分を有し、且つ当該膜厚の薄い部分よりも画素の中心側に膜厚の最も厚い部分を有するような形状となったり、逆に、当該画素の外縁部又はその近傍において膜厚の厚い部分を有し、且つ当該膜厚の厚い部分よりも画素の中心側に膜厚の最も薄い部分を有するような形状となったり、さらに、その表面が凹凸形状になるなど、不均一な画素になりやすい。
【0006】
画素を平坦化する試みとして、特許文献1には、インクジェットインクの隔壁に対する接触角や粘度が開示されている。また、特許文献2には、インクジェット方式を用いて着色組成物を吐出後、着色層形成時の加熱温度や加熱時間を特定したカラーフィルタの製造方法が開示されている。また、特許文献3には、インクジェットインクに含まれる熱硬化性樹脂のメルトインデックスを特定したカラーフィルタの製造方法が開示されている。更に、特許文献4では、インクジェットインクの粘度及びT.I(チキソトロピックインデックス;ずり速度10(1/s)の粘度とずり速度1000(1/s)との比)を特定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−33125号公報
【特許文献2】特開2008−76828号公報
【特許文献3】特開2008−15270号公報
【特許文献4】特開2007−327046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
インクジェット方式により形成された着色層は、不均一な形状になりやすいため、当該着色層と同一の平均膜厚、同一の材料の構成比を有する平坦な着色層、例えばスピンコート法により形成された着色層に比べて輝度、及びコントラストが低くなる傾向にあるという問題がある。従って、インクジェット方式により形成された着色層の膜厚において、最も厚い部分(T)と最も薄い部分(B)の差をT−B差とした場合に、当該T−B差を小さくすることが求められている。従来、インクジェットインク中の熱硬化性樹脂を調整したり、添加剤を添加することにより平坦化が試みられてきたが、熱硬化性樹脂のみで平坦化を調整するには限界があり、また、添加剤は添加可能な量が限られるために平坦化の効果を発揮させるには不十分であった。
また、近年液晶表示装置の高コントラスト化の要求が高まっており、このような要求を達成するため、顔料の微細化が求められている。しかしながら、上記特許文献に開示されている技術では、微細化された顔料に対する顔料分散性が不十分となってしまい、着色層のコントラストを向上させる効果が不十分となっていた。
【0009】
本発明は上記実状に鑑みて成し遂げられたものであり、インクジェット方式によっても平坦性の高い着色層を形成可能で、光学性能を向上可能なカラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物、及び当該熱硬化性樹脂組成物を用いて形成されたカラーフィルタ及びその製造方法、並びにこのカラーフィルタを有する液晶表示装置を提供することを主目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、顔料を良好に分散させるために所定量で必須成分として用いられる顔料分散剤に着目し、顔料分散剤を特定の構造を有するグラフト共重合体の有機リン酸塩及び/又は有機スルホン酸塩とすることにより、顔料分散性に優れながら、平坦性の高い着色層を形成可能で、光学性能を向上可能なカラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物が得られ、その目的に適合し得ることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0011】
本発明は、(A)顔料分散剤と、(B)顔料と、(C)熱硬化性バインダーと、(D)溶剤とを有するカラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物であって、前記(A)顔料分散剤が、下記一般式(I)で表される窒素含有モノマーと、下記一般式(II)で表される構成単位を含むポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基からなる重合性オリゴマーとを共重合成分として含有し、前記重合性オリゴマーが全共重合成分中50〜95重量%含まれるグラフト共重合体であり、さらに前記窒素含有モノマーが有するアミノ基と下記一般式(III)及び/又は下記一般式(IV)で表される有機酸化合物とが塩を形成したグラフト共重合体であることを特徴とするカラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物を提供する。
【0012】
【化1】

【0013】
【化2】

【0014】
【化3】

[式(I)〜(IV)中、Rは水素原子又はメチル基、R及びR2’は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基、Aは、それぞれ独立に炭素数1〜8のアルキレン基、−[CH(R)−CH(R)−O]−CH(R)−CH(R)−又は−[(CH−O]−(CH−で示される2価の基である。
及びR3’は、それぞれ独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R10)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−R3’’で示される1価の基であり、R及びR3’のいずれかは炭素原子を含む。R3’’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R10)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R10)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−R4’で示される1価の基である。R4’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R10)−O]−R、−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
、R、R及びR10は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rは、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、−CO−CH=CH、−CO−C(CH)=CH又は−CHCOOR11で示される1価の基であり、R11は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。
、R3’、R3’’、R、R4’及びRにおいて、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基はそれぞれ、置換基を有していても良い。
lは1〜5の整数、mは5以上の整数を示す。
x及びaは1〜18の整数、y及びbは1〜5の整数、z及びcは1〜18の整数を示す。]
【0015】
本発明に係るカラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物においては、前記重合性オリゴマーの前記エチレン性不飽和二重結合を有する基が、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、又はアリル基であることが好ましい。
【0016】
本発明に係るカラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物においては、前記一般式(III)におけるR、R3’及び/又はR3’’、並びに/或いは、前記一般式(IV)におけるR及び/又はR4’がそれぞれ独立にメチル基、エチル基、アラルキル基、アリール基、ビニル基、アリル基、あるいは、−[CH(R)−CH(R10)−O]−R又は−[(CH−O]−Rであり、且つ、Rが−CO−CH=CH又は−CO−C(CH)=CHであることが、顔料分散性の点から好ましい。
【0017】
本発明に係る熱硬化性樹脂組成物においては、(B)顔料の平均粒径が、10〜100nmであることが、高コントラストで高品質な液晶表示装置を生産可能な点から好ましい。
【0018】
本発明は、透明基板と、当該透明基板上に設けられた着色層とを少なくとも備えるカラーフィルタであって、当該着色層の少なくとも1つが前記本発明のカラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物を用いて形成されてなる着色層を有することを特徴とするカラーフィルタを提供する。
また、本発明は、前記本発明のカラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物を、インクジェット方式によって選択的に付着させてインク層を形成する工程と、
前記インク層を硬化させて着色層を形成する工程とを含むことを特徴とするカラーフィルタの製造方法を提供する。
更に、本発明は、上記カラーフィルタを有することを特徴とする液晶表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、顔料分散性が良好で、インクジェット方式によっても平坦性の高い着色層を形成可能で、光学性能を向上可能なカラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物を提供することができる。本発明の顔料分散性に優れた熱硬化性樹脂組成物を用いることにより、高輝度かつ高コントラストなカラーフィルタの画素部を実現することが可能である。
また、本発明によれば、上記カラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物を用いて着色層を形成することにより、生産性に優れ、且つ、光学性能が向上したカラーフィルタとすることができる。
更に、本発明によれば、上記カラーフィルタを用いることで、高品質かつ優れた生産性の液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明のカラーフィルタの一例を示す概略図である。
【図2】本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。
【図3】本発明に用いられるグラフト共重合体の好ましい構造の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[カラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物]
本発明のカラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物は、(A)顔料分散剤と、(B)顔料と、(C)熱硬化性バインダーと、(D)溶剤とを含み、前記(A)顔料分散剤が、下記の性状を有することを特徴とする。
以下、構成成分を順に説明する。
【0022】
((A)顔料分散剤)
本発明のカラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物において、(A)成分として用いられる顔料分散剤は、下記一般式(I)で表される窒素含有モノマーと、下記一般式(II)で表される構成単位を含むポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基からなる重合性オリゴマーとを共重合成分として含有し、前記重合性オリゴマーが全共重合成分中50〜95重量%含まれるグラフト共重合体であり、さらに前記窒素含有モノマーが有するアミノ基と下記一般式(III)で表される有機リン酸化合物及び/又は下記一般式(IV)で表される有機スルホン酸化合物とが塩を形成したグラフト共重合体(以下、塩型グラフト共重合体と称することがある。)である。
【0023】
【化4】

【0024】
【化5】

【0025】
【化6】

[式(I)〜(IV)中、Rは水素原子又はメチル基、R及びR2’は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基、Aは、それぞれ独立に炭素数1〜8のアルキレン基、−[CH(R)−CH(R)−O]−CH(R)−CH(R)−又は−[(CH−O]−(CH−で示される2価の基である。
及びR3’は、それぞれ独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R10)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−R3’’で示される1価の基であり、R及びR3’のいずれかは炭素原子を含む。R3’’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R10)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R10)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−R4’で示される1価の基である。R4’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R10)−O]−R、−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
、R、R及びR10は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rは、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、−CO−CH=CH、−CO−C(CH)=CH又は−CHCOOR11で示される1価の基であり、R11は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。
、R3’、R3’’、R、R4’及びRにおいて、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基はそれぞれ、置換基を有していても良い。
lは1〜5の整数、mは5以上の整数を示す。
x及びaは1〜18の整数、y及びbは1〜5の整数、z及びcは1〜18の整数を示す。]
【0026】
本発明によれば、用いられる顔料分散剤が、上記一般式(I)で表される窒素含有モノマーと、上記一般式(II)で表される構成単位を含むポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基からなる重合性オリゴマーとを共重合成分として含有するグラフト共重合体であり、さらに前記窒素含有モノマーが有するアミノ基と下記一般式(III)で表される有機リン酸化合物及び/又は下記一般式(IV)で表される有機スルホン酸化合物とが塩を形成した塩型グラフト共重合体であることにより、塩形成部位を形成する上記窒素含有部分の(B)顔料に対する付着性が強く、一方でグラフトされているポリマー鎖が(D)溶剤との可溶性を有する。上記顔料分散剤を用いると、(D)溶剤中での(B)顔料の分散性及び分散安定性を優れたものとすることができる。
【0027】
また、グラフト共重合体の共重合成分である重合性オリゴマーのポリマー鎖について、特に下記一般式(II)で表される構成単位を含むポリマー鎖を選択し、且つ当該グラフト鎖がグラフト共重合体において特定量となるように含有されている。これにより、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、インクジェット方式によっても平坦性の高い着色層を形成可能になる。例えば、平均膜厚で1.5μm〜2.5μm程度の、画素として用いられるのに十分な厚みでインクジェット方式により形成された着色層において、最も厚い部分の膜厚(T)と最も薄い部分の膜厚(B)の差をT−B差とした場合に、最も薄い部分の膜厚(B)の高さを高くすることができるために、当該T−B差を小さくすることが可能になる。
【0028】
<グラフト共重合体>
グラフト共重合体は、上記一般式(I)で表される窒素含有モノマーと、上記一般式(II)で表される構成単位を含むポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基からなる重合性オリゴマーとを共重合体成分として含有し、前記重合性オリゴマーが全共重合成分中50〜95重量%含まれるものである。
上記一般式(I)において、Rは水素原子又はメチル基を示し、R及びR2’は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。ここで、炭素数1〜8のアルキル基は直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。このようなアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などを挙げることができる。これらの中で、メチル基及びエチル基が好ましい。
本発明においては、上記R及びR2’は、たがいに同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
【0029】
Aは、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキレン基、−[CH(R)−CH(R)−O]−CH(R)−CH(R)−、又は−[(CH−O]−(CH−で示される2価の基である。ここで、上記炭素数1〜8のアルキレン基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、各種ブチレン基、各種ペンチレン基、各種ヘキシレン基、各種オクチレン基などである。
及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。
xは1〜18の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数であり、yは1〜5の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは2又は3である。zは1〜18の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数である。本発明においては、x、y及びzが、上記の範囲にあれば、本発明のカラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物は、顔料の分散性に優れたものになる。
このAとしては、炭素数1〜8のアルキレン基が好ましく、メチレン基及びエチレン基がより好ましい。炭素数が1〜8の範囲内であれば、顔料の分散性を良好に保つことができる。
【0030】
本発明に用いられる重合性オリゴマーは、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基からなるものである。このエチレン性不飽和二重結合を有する基は、ポリマー鎖の一方の末端(以下、「片末端」と称することがある。)のみに有することが好ましい。また、重合性オリゴマーは、グラフト共重合体の分散性能等を妨げない範囲で、置換基で置換されていてもよく、置換基としては、例えばハロゲン原子などが挙げられる。
エチレン性不飽和二重結合を有する基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などが好ましく挙げられ、なかでも(メタ)アクリロイル基、ビニル基が好ましく、特に(メタ)アクリロイル基が好ましい。
【0031】
重合性オリゴマーのポリマー鎖は、下記一般式(II)で表される構成単位を少なくとも1種有するものである。
【0032】
【化7】

(式(II)において、lは1〜5の整数、mは5以上の整数を示す。)
【0033】
lは1〜5の整数、好ましくは2〜5の整数、より好ましくは4又は5の整数である。また、重合性オリゴマーの構成単位のユニット数mは、着色層の平坦性を向上する点から5以上の整数であればよく、特に限定されない。また顔料分散性を良好にする点から、mは8〜200の範囲であることが好ましく、更に8〜100の範囲内であることが好ましく、より更に8〜30の範囲内であることが好ましい。
グラフト鎖となる重合性オリゴマーのポリマー鎖に一般式(II)で表される構成単位を有すると、平坦性が高い着色層が得られるようになる理由は、定かではないが以下のように推定される。すなわち、一般式(II)で表される構成単位を有すると、グラフト鎖のガラス転移温度が適切に低くなり、グラフト共重合体全体として塗膜形成時に流動性が高くなると推定される。このような当該グラフト共重合体を顔料分散剤として相当量を含む熱硬化性樹脂組成物は、インクジェット方式により吐出され、ブラックマトリクス層に囲まれた領域において乾燥及び硬化される際に、膜の流動性が高くなり、ブラックマトリクス層の近傍にも埋まり込みやすく、膜厚の薄い部分の厚みが大きくなって、上記T−B差を小さくすることが可能になると推定される。
【0034】
重合性オリゴマーの重量平均分子量Mwは、700〜10000の範囲内であることが好ましく、1000〜5000の範囲内であることがより好ましい。上記範囲であることにより、顔料分散剤としての十分な立体反発効果が得られるために、顔料の再凝集を抑制することができる。
【0035】
グラフト共重合体に用いられる重合性オリゴマーは、1種単独で用いられても良いが、2種以上混合して用いても良い。
重合性オリゴマーを2種以上混合して用いる場合には、上記一般式(II)で表される構成単位を含むポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基からなる重合性オリゴマーが、全共重合成分中50〜95重量%含まれるように用いれば良い。
【0036】
重合性オリゴマーは、適宜合成したものでもよいし、市販品であってもよい。上記一般式(II)で表される構成単位を含むポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基からなる重合性オリゴマーの市販品としては、例えばカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(「プラクセルFA10L(商品名)」:ダイセル化学(株)製)、カプロラクトン変性ヒドロキシエチルメタクリレート(「プラクセルFM5(商品名)」などが挙げられる。
その他含んでいても良い重合性オリゴマーの市販品としては、例えば片末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレートオリゴマー(重量平均分子量:6000,「AA−6(商品名)」:東亞合成化学(株)製)、片末端メタクリロイル化ポリ−n−ブチルアクリレートオリゴマー(重量平均分子量:6000,「AB−6(商品名)」:東亞合成化学(株)製)、片末端メタクリロイル化ポリスチレンオリゴマー(重量平均分子量:6000,「AS−6(商品名)」:東亞合成化学(株)製)などが挙げられる。
【0037】
上記一般式(II)で表される構成単位を含むポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基からなる重合性オリゴマーは全共重合成分中50〜95重量%含まれる。当該重合性オリゴマーが共重合成分中に多いほど、より平坦性の高い着色層を形成可能になる傾向がある。顔料分散性が良好でありながら、グラフト共重合体中のグラフト鎖の割合が適切となってより平坦性の高い着色層を形成可能であるバランスの点から、本発明に用いられるグラフト共重合体において、前記重合性オリゴマーに由来する繰り返し単位は、50〜95重量%の割合で含まれているものであり、さらに70〜90重量%の割合で含まれていることが好ましい。
【0038】
本発明に用いられるグラフト共重合体において、前記窒素含有モノマーに由来する繰り返し単位は、5〜50重量%の割合で含まれていることが好ましく、10〜30重量%がより好ましい。グラフト共重合体中の窒素含有モノマーに由来する繰り返し単位の含有量が上記範囲内にあれば、グラフト共重合体中のアミノ基が形成する塩形成部位の割合が適切となり、かつ重合性オリゴマーによる溶剤との溶解性の低下を抑制できるので、顔料に対する吸着性が良好となり、顔料の分散性、及び顔料分散安定性が得られる。
【0039】
また、上記グラフト共重合体の重量平均分子量Mwは、1000〜100000の範囲内であることが好ましく、3000〜50000の範囲内であることがより好ましく、5000〜30000の範囲内であることがさらに好ましい。上記範囲であることにより、顔料を均一に分散させることができる。
【0040】
なお、上記重量平均分子量Mwは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定された値である。測定は、東ソー(株)製のHLC−8120GPCを用い、溶出溶剤を0.01モル/リットルの臭化リチウムを添加したN−メチルピロリドンとし、校正曲線用ポリスチレンスタンダードをMw377400、210500、96000、50400、206500、10850、5460、2930、1300、580(以上、Polymer Laboratories社製 Easi PS−2シリーズ)及びMw1090000(東ソー(株)製)とし、測定カラムをTSK−GEL ALPHA−M×2本(東ソー(株)製)として行われたものである。
【0041】
本発明に用いられるグラフト共重合体は、上記した窒素含有モノマーと重合性オリゴマーとを共重合体成分として有し、さらに窒素含有モノマーが有するアミノ基と所定の有機酸化合物とが塩を形成したものであり、その構造は、例えば図3のように表される。図3において、グラフト共重合体は、窒素含有モノマー単位51が重合反応により主鎖を形成し、該重合反応において重合性オリゴマーの重合性基部位(エチレン性不飽和二重結合を有する基部位)52が同時に窒素含有モノマーと重合し、重合性オリゴマーは当該エチレン性不飽和二重結合を有する基部位に接続しつつポリマー鎖53として側鎖を形成しており、有機酸化合物54は、窒素含有モノマー単位51に含まれるアミノ基と塩を形成したものである。
【0042】
<有機酸化合物>
前述した一般式(I)で表される窒素含有モノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基とからなる重合性オリゴマーとを共重合体成分として含有するグラフト共重合体における窒素含有モノマーが有するアミノ基と、塩を形成する有機酸化合物は、上記一般式(III)で表される構造を有する有機リン酸化合物及び/又は上記一般式(IV)で表される構造を有する有機スルホン酸化合物である。
【0043】
本発明においては、上記有機酸化合物を用いることにより、当該顔料分散剤を、後述する顔料の分散性及び安定性に優れたものとすることができる。
上記一般式(III)において、R及びR3’は、それぞれ独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R10)−O]−R、−[(CH−O]−R又は−O−R3’’を示し、R及びR3’のうちいずれかは炭素原子を含む。R、R3’、及びR3’’及びRにおいて、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基はそれぞれ、置換基を有していても良い。
【0044】
上記炭素数1〜18のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、各種デシル基、各種ドデシル基、各種テトラデシル基、各種ヘキサデシル基、各種オクタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基、ボルニル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、アダマンチル基、低級アルキル基置換アダマンチル基などを挙げることができる。
【0045】
上記炭素数2〜18のアルケニル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。このようなアルケニル基としては、例えばビニル基、アリル基、プロペニル基、各種ブテニル基、各種ヘキセニル基、各種オクテニル基、各種デセニル基、各種ドデセニル基、各種テトラデセニル基、各種ヘキサデセニル基、各種オクタデセニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロオクテニル基などを挙げることができる。アルケニル基の二重結合の位置には限定はないが、得られたポリマーの反応性の点からは、アルケニル基の末端に二重結合があることが好ましい。上記アルキル基やアルケニル基は置換基を有していても良く、当該置換基としては、F、Cl、Brなどのハロゲン原子、ニトロ基等が挙げられる。
【0046】
置換基を有していてもよいアリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。アリール基の炭素数は、6〜24が好ましく、更に6〜12が好ましい。
アリール基やアラルキル基等の芳香環の置換基としては、炭素数1〜4の直鎖状、分岐状のアルキル基の他、アルケニル基、ニトロ基、ハロゲン原子などを挙げることができる。
なお、上記好ましい炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。
【0047】
及び/又はR3’が、−O−R3’’の場合、酸性リン酸エステルとなる。上記R3’’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R10)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
上記炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基及びアリール基は、前記のR及びR3’で示したとおりである。
【0048】
上記R及びR10は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示す。Rは水素原子、あるいは置換基を有してもよい、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、−CO−CH=CH、−CO−C(CH)=CH、又は−CHCOOR11で示される1価の基であり、R11は水素原子又は炭素数が1〜5の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基である。
上記Rで示される1価の基において、有してもよい置換基としては、例えば炭素数1〜4の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、F、Cl、Brなどのハロゲン原子などを挙げることができる。
上記Rのうちの炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、及びアラルキル基、アリール基は、前記のR及びR3’で示したとおりである。
、R3’及びR3’’において、aは1〜18の整数、bは1〜5の整数、cは1〜18の整数である。aは、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数であり、bは、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは2又は3である。cは、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数である。
【0049】
上記一般式(IV)において、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R10)−O]−R、−[(CH−O]−R又は−O−R4’を示す。R、R4’及びRにおいて、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基はそれぞれ、置換基を有していても良い。
上記炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R10)−O]−R、−[(CH−O]−Rは、前記R及びR3’で示したとおりである。
【0050】
が、−O−R4’の場合、酸性硫酸エステルとなる。上記R’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R10)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
上記炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R10)−O]−R、−[(CH−O]−Rは、前記R及びR3’で示したとおりである。
上記R、R及びR10は、前記と同じである。
上記R及びR4’において、aは1〜18の整数、bは1〜5の整数、cは1〜18の整数である。好ましいa、b、cは、上記R、R3’及びR3’’と同様である。
【0051】
上記一般式(III)及び一般式(IV)で表される有機酸化合物としては、R、R3’、R3’’、R及び/又はR4’が、それぞれ独立にメチル基、エチル基、アラルキル基、アリール基、ビニル基、アリル基、あるいは、−[CH(R)−CH(R10)−O]−R又は−[(CH−O]−Rであり、且つ、Rが−CO−CH=CH又は−CO−C(CH)=CHであるものが、顔料分散性に優れたものとすることができる点から好ましい。
【0052】
中でもR、R3’、R3’’、R及びR4’のいずれが、芳香環を有する置換基、すなわち、置換基を有していても良いアリール基又はアラルキル基、より具体的には、ベンジル基、フェニル基、トリル基、ビフェニル基、ナフチル基等であることが好ましい。
このような場合には、顔料分散性に特に優れるというメリットがある。
【0053】
また、R、R3’、R3’’、R及びR4’ のいずれが、重合性基を有するもの、すなわち、ビニル基、アリル基あるいは−[CH(R)−CH(R10)−O]−R又は−[(CH−O]−Rであり、且つ、Rが−CO−CH=CH又は−CO−C(CH)=CHであるものが好ましく、特に、R、R3’、R3’’、R及びR4’が、それぞれ独立にビニル基、アリル基、2−メタクリロイルオキシエチル基、2−アクリロイルオキシエチル基であるものが好ましい。
このような場合には、本発明のカラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物を用いて着色層を形成する際の熱重合時に、上記重合性基同士を重合することができ、カラーフィルタの着色層中において、上記顔料分散剤が、安定に存在することを可能とする。また、着色層の耐熱性や耐溶剤性も向上する。このようなカラーフィルタを用いて液晶表示装置を製造した際には、液晶層等へ上記顔料分散剤がブリードアウトすることを防止することができる。
更に、当該有機酸化合物が、重合性基を含むことにより、顔料を分散後に、当該有機酸化合物が有する重合性基同士を顔料の近傍で重合させることができる。その結果、顔料の周囲に顔料分散剤が固定化され、顔料の分散性及び分散安定性を向上することができる。
【0054】
上記一般式(III)及び一般式(IV)で表される有機酸化合物としては、中でも耐熱性が高い点から、リン(P)や硫黄(S)に炭素原子が直接結合した化合物であることが好ましく、R及びR3’が、それぞれ独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、置換基を有していても良いアリール基又はアラルキル基、−[CH(R)−CH(R10)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基であり、但しR及びR3’のいずれかは炭素原子を含むものであることが好ましい。また、Rが、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、置換基を有していても良いアリール基又はアラルキル基、−[CH(R)−CH(R10)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基であることが好ましい。
尚、上記一般式(III)及び一般式(IV)で表される有機酸化合物は、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0055】
本発明で用いられるグラフト共重合体における該有機酸化合物の含有量は、良好な分散安定性が発揮されるのであればよく、特に制限はないが、一般に前記一般式(I)で表される窒素含有モノマー由来の構成単位に含まれるアミノ基に対して、0.05〜5.0モル当量程度であり、より好ましくは0.2〜2.0モル当量である。このような場合、顔料分散性及び顔料分散安定性が優れたものになる。尚、上記有機酸化合物を2種以上併用する場合、これらを合計した含有量が上記範囲内にあればよい。
【0056】
本発明のカラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物においては、(A)成分の顔料分散剤として、前述したように、一般式(I)で表される窒素含有モノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基からなる重合性オリゴマーとを共重合成分として含有するグラフト共重合体であり、さらに前記窒素含有モノマーが有するアミノ基と、一般式(III)及び/又は一般式(IV)で表される有機酸化合物とが塩を形成してなる塩型グラフト共重合体が用いられる。
このような塩型グラフト共重合体を顔料分散剤として用いることにより、本発明のカラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物を、顔料の分散安定性に優れたものとすることができる。
【0057】
<塩型グラフト共重合体の製造>
本発明において、(A)成分の顔料分散剤として用いる塩型グラフト共重合体の製造方法としては、前記の窒素含有モノマーと、ポリマー鎖とその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基とからなる重合性オリゴマーとを共重合体成分として含有し、かつ窒素含有モノマーが有するアミノ基と、前記の一般式(III)及び一般式(IV)で表される有機酸化合物とが塩を形成したものを製造することができる方法であればよく特に限定されない。本発明においては、例えば、前記の窒素含有モノマーと前記エチレン性不飽和二重結合を有する重合性オリゴマーと、必要に応じてその他のモノマーとを公知の重合手段を用いてグラフト重合させることが可能である。次いで、該溶剤中に上記有機酸化合物を添加し、攪拌することにより塩型グラフト共重合体を製造することができる。なお、上記重合においては、重合に一般的に用いられる添加剤、例えば重合開始剤、分散安定剤、連鎖移動剤などを用いてもよい。
【0058】
本発明のカラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物において、(A)成分である顔料分散剤としては、上記塩型グラフト共重合体を1種用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよく、その含有量は、用いる顔料の種類、更に熱硬化性樹脂組成物中の固形分濃度等に応じて適宜選定される。本発明のカラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物において、(A)成分である顔料分散剤としては、後述する顔料100重量部に対して、通常、5〜200重量部の範囲であり、10〜100重量部であることが好ましく、20〜80重量部であることがより好ましい。塩型グラフト共重合体の含有量が上記範囲内にあれば、顔料を均一に分散させることができる。また、熱硬化性樹脂組成物において、相対的に熱硬化性バインダーの配合比率が低下することがなく、十分な硬度を持った着色層が形成できる。
【0059】
((B)顔料)
本発明のカラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物において、(B)成分として用いられる顔料は、カラーフィルタの着色層を形成した際に所望の発色が可能なものであればよく、特に限定されない。種々の有機又は無機着色剤を、単独で又は2種以上混合して使用することができる。
<顔料の種類>
上記有機着色剤としては、例えば、染料、有機顔料、天然色素等を用いることができる。有機顔料の具体例としては、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists社発行)においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物を挙げることができる。
このような化合物としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185等のイエロー系ピグメント;C.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド177等のレッド系ピグメント;C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6等のブルー系ピグメント;C.I.ピグメントバイオレット23等のバイオレット系ピグメント;及び、ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58等のグリーン系ピグメント等のカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。
【0060】
また、無機着色剤としては、例えば、無機顔料、体質顔料等を用いることができ、具体例としては、酸化チタン、シリカ、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、カーボンブラック等を挙げることができる。
【0061】
<顔料の粒径>
本発明に用いられる顔料の平均粒径としては、カラーフィルタの着色層とした場合に、所望の発色が可能なものであればよく、特に限定されず、用いる顔料の種類によっても異なるが、10〜100nmの範囲内であることが好ましく、10〜50nmの範囲内であることがより好ましい。当該顔料の平均粒径が上記範囲であることにより、本発明のカラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物を用いて製造された液晶表示装置を高コントラストで、かつ高品質なものとすることができる。また従来の顔料分散剤であれば、顔料の粒径の微小化に伴い、分散性が不十分になったり、顔料分散剤が多量に必要になることに伴い塗膜性能の低下といった問題が生じるおそれがあるが、本発明のカラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物に用いられる顔料分散剤は、比較的少量の添加で顔料分散性に優れるため、そのような問題を生じるおそれが少ない。したがって、当該顔料の平均粒径が上記範囲に示すように、従来に比べ微小であるほど、本発明のカラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物が有する特徴を発揮することができる。
なお、上記顔料の平均粒径は、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で求めることができる。具体的には、個々の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、その平均をその粒子の粒径とした。次に、100個以上の粒子について、それぞれの粒子の体積(重量)を、求めた粒径の直方体と近似して求め、体積平均粒径を求めそれを平均粒径とした。なお、電子顕微鏡は透過型(TEM)または走査型(SEM)のいずれを用いても同じ結果を得ることができる。
【0062】
本発明のカラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物において、(B)成分として用いる顔料の含有量は、カラーフィルタの着色層とした場合に、所望の発色が可能であればよく、特に限定されず、用いる顔料の種類によっても異なるが、カラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物中の当該顔料以外の固形分に対して、20〜100重量%の範囲内であることが好ましく、30〜80重量%の範囲内であることがより好ましい。当該顔料の含有量が上記範囲であることにより、所望の発色が可能な着色層が形成可能なカラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物とすることができ、さらに上記カラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物中において、均一に分散することができる。
特に着色層の高輝度化のためにC.I.ピグメントレッド254の微細化品や、C.I.ピグメントグリーン58を使用する場合、もしくは着色層の薄膜化のために組成物中の固形分中の顔料濃度を高くする必要がある場合には本願で用いられる顔料分散剤が特に効果を発揮する。
なお、固形分とは、溶剤以外のもの全てであり、液状の多官能性モノマー等も含まれる。
【0063】
((C)熱硬化性バインダー)
熱硬化性バインダーとしては、1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物と硬化剤の組み合わせが通常用いられ、更に、熱硬化反応を促進できる触媒を添加しても良い。熱硬化性官能基としてはエポキシ基が好ましく用いられる。また、これらにそれ自体は重合反応性のない重合体を更に用いても良い。
【0064】
1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物として、通常は、1分子中にエポキシ基2個以上を有するエポキシ化合物が用いられる。1分子中にエポキシ基2個以上を有するエポキシ化合物は、エポキシ基を2個以上、好ましくは2〜50個、より好ましくは2〜20個を1分子中に有するエポキシ化合物(エポキシ樹脂と称されるものを含む)である。エポキシ基は、オキシラン環構造を有する構造であればよく、例えば、グリシジル基、オキシエチレン基、エポキシシクロヘキシル基等を示すことができる。エポキシ化合物としては、カルボン酸により硬化しうる公知の多価エポキシ化合物を挙げることができ、このようなエポキシ化合物は、例えば、新保正樹編「エポキシ樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社刊(昭和62年)等に広く開示されており、これらを用いることが可能である。
【0065】
i)1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物
通常バインダー成分として用いられる比較的分子量の高い重合体であるエポキシ化合物(以下、「バインダー性エポキシ化合物」ということがある)としては、少なくとも下記式(V)で表される構成単位及び下記式(VI)で表される構成単位から構成され且つグリシジル基を2個以上有する重合体を用いることができる。
【0066】
【化8】

(R21は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、R22は炭素数1〜12の炭化水素基である。)
【0067】
【化9】

(R23は水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。)
【0068】
式(V)で表される構成単位をバインダー性エポキシ化合物の構成単位として用いることにより、本発明のインクジェットインクから形成される硬化塗膜に充分な硬度および透明性を付与することができる。式(V)において、R21として好ましいのは水素またはメチル基である。R22は、炭素数1〜12の炭化水素基であり、直鎖脂肪族、脂環式、芳香族いずれの炭化水素基であってもよく、さらに付加的な構造、例えば二重結合、炭化水素基の側鎖、スピロ環の側鎖、環内架橋炭化水素基等を含んでいてもよい。
【0069】
上記式(V)で表される構成単位を誘導するモノマーとして具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、パラ−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート等を例示することができる。
【0070】
式(VI)で表される構成単位は、重合体中にエポキシ基(エポキシの反応点)を導入するために用いられる。当該重合体を含有するインクジェットインクは保存安定性に優れており、保存中および吐出作業中に粘度上昇を生じ難いが、その理由の一つは式(VI)中のエポキシ基がグリシジル基だからであると推測される。
式(VI)において、R23として好ましいのは水素またはメチル基である。式(VI)で表される構成単位を誘導するモノマーとして、具体的にはグリシジル(メタ)アクリレートを例示することができ、特にグリシジルメタクリレート(GMA)が好ましい。
【0071】
上記重合体は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。また、上記重合体は、カラーフィルタの各細部に必要とされる性能、例えば硬度や透明性等が確保できる限り、式(V)あるいは式(VI)以外の主鎖構成単位を含んでいてもよい。そのようなモノマーとして具体的には、アクリロニトリル、スチレン等を例示することができる。
【0072】
上記バインダー性エポキシ化合物中の式(V)の構成単位と式(VI)の構成単位の含有量は、10:90〜90:10の範囲にあるのが好ましい。式(1)の構成単位の量が上記の比10:90よりも過剰な場合には、硬化の反応点が少なくなって架橋密度が低くなるおそれがあり、一方、式(2)の構成単位の量が上記の比90:10よりも過剰な場合には、嵩高い骨格が少なくなって硬化収縮が大きくなるおそれがある。
【0073】
また、上記バインダー性エポキシ化合物の重量平均分子量は、ポリスチレン換算重量平均分子量で表した時に3,000以上、特に4,000以上であることが好ましい。上記バインダー性エポキシ化合物の分子量が3,000よりも小さすぎるとカラーフィルタの細部としての硬化層に要求される強度、耐溶剤性等の物性が不足し易いからである。一方、上記バインダー性エポキシ化合物の重量平均分子量は、ポリスチレン換算重量平均分子量で表した時に20,000以下であることが好ましく、更に15,000以下であることが特に好ましい。当該分子量が20,000よりも大きすぎると粘度上昇が起こり易くなり、インクジェット方式で吐出ヘッドから吐出する時の吐出量の安定性や吐出方向の直進性が悪くなるおそれや、長期保存の安定性が悪くなるおそれがあるからである。なお上記バインダー性エポキシ化合物は、例えば特開2006−106503号公報の段落番号0148に記載されているような方法で合成することができる。
【0074】
本発明に係る熱硬化性バインダーには、一分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物(以下、「多官能エポキシ化合物」ということがある。)であって、上記バインダー性エポキシ化合物よりも分子量が小さいものを用いても良い。中でも、上述のように上記バインダー性エポキシ化合物と当該多官能エポキシ化合物を併用することが好ましい。この場合、多官能エポキシ化合物のポリスチレン換算の重量平均分子量は、これと組み合わせるバインダー性エポキシ化合物よりも小さいことを条件に、4,000以下が好ましく、3,000以下が特に好ましい。インクジェットインクに比較的分子量が小さい多官能エポキシ化合物を添加すると、インクジェットインク中にエポキシ基が補充されてエポキシの反応点濃度が増加し、架橋密度を高めることができる。
【0075】
多官能エポキシ化合物の中でも、酸−エポキシ反応の架橋密度を上げるためには、一分子中にエポキシ基を4個以上有するエポキシ化合物を用いるのが好ましい。特に、インクジェット方式の吐出ヘッドからの吐出性を向上させるために前記バインダー性エポキシ化合物の重量平均分子量を10,000以下とした場合には、硬化層の強度や硬度が低下し易いので、そのような4官能以上の多官能エポキシ化合物をインクジェットインクに配合して架橋密度を充分に上げるのが好ましい。
【0076】
多官能エポキシ化合物としては、一分子中にエポキシ基を2個以上含有するものであれば特に制限はなく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、3官能型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA含核ポリオール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリオキザール型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂、複素環型エポキシ樹脂などを使用できる。
【0077】
より具体的には、商品名エピコート828(ジャパンエポキシレジン社製)などのビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名YDF−175S(東都化成社製)などのビスフェノールF型エポキシ樹脂、商品名YDB−715(東都化成社製)などの臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名EPICLON EXA1514(大日本インキ化学工業社製)などのビスフェノールS型エポキシ樹脂、商品名YDC−1312(東都化成社製)などのハイドロキノン型エポキシ樹脂、商品名EPICLON EXA4032(大日本インキ化学工業社製)などのナフタレン型エポキシ樹脂、商品名エピコートYX4000H(ジャパンエポキシレジン社製)などのビフェニル型エポキシ樹脂、商品名エピコート157S70(ジャパンエポキシレジン社製)などのビスフェノールA型ノボラック系エポキシ樹脂、商品名エピコート154(ジャパンエポキシレジン社製)、商品名YDPN−638(東都化成社製)などのフェノールノボラック型エポキシ樹脂、商品名YDCN−701(東都化成社製)などのクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、商品名EPICLON HP−7200(大日本インキ化学工業社製)などのジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、商品名エピコート1032H60(ジャパンエポキシレジン社製)などのトリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、商品名VG3101M80(三井化学社製)などの3官能型エポキシ樹脂、商品名エピコート1031S(ジャパンエポキシレジン社製)などのテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、商品名デナコールEX−411(ナガセ化成工業社製)などの4官能型エポキシ樹脂、商品名ST−3000(東都化成社製)などの水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名エピコート190P(ジャパンエポキシレジン社製)などのグリシジルエステル型エポキシ樹脂、商品名YH−434(東都化成社製)などのグリシジルアミン型エポキシ樹脂、商品名YDG−414(東都化成社製)などのグリオキザール型エポキシ樹脂、商品名エポリードGT−401(ダイセル化学社製)などの脂環式多官能エポキシ化合物、トリグリシジルイソシアネート(TGIC)などの複素環型エポキシ樹脂などを例示することができる。また、必要であれば、エポキシ反応性希釈剤として、商品名ネオトートE(東都化成社製)などを混合することができる。
【0078】
上記バインダー性エポキシ化合物と、必要に応じて配合される多官能エポキシ化合物の配合割合は、重量比ではバインダー性エポキシ化合物を10〜80重量部と多官能エポキシ化合物を10〜60重量部の割合で配合するのが好ましく、バインダー性エポキシ化合物を20〜60重量部と多官能エポキシ化合物を20〜50重量部の割合で配合するのが更に好ましく、バインダー性エポキシ化合物を30〜40重量部と多官能エポキシ化合物を25〜35重量部の割合で配合するのが特に好ましい。
【0079】
ii)硬化剤
本発明に用いられる熱硬化性バインダーには、通常、硬化剤が組み合わせて配合される。硬化剤としては、例えば、多価カルボン酸無水物または多価カルボン酸を用いる。
多価カルボン酸無水物の具体例としては、無水フタル酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバリル酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ジメチルテトラヒドロフタル酸、無水ハイミック酸、無水ナジン酸などの脂肪族または脂環族ジカルボン酸無水物;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族多価カルボン酸二無水物;無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸無水物;エチレングリコールビストリメリテイト、グリセリントリストリメリテイトなどのエステル基含有酸無水物を挙げることができ、特に好ましくは、芳香族多価カルボン酸無水物を挙げることができる。また、市販のカルボン酸無水物からなるエポキシ樹脂硬化剤も好適に用いることができる。
また、本発明に用いられる多価カルボン酸の具体例としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ブタンテトラカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸などの脂肪族多価カルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸などの脂肪族多価カルボン酸、およびフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸を挙げることができ、好ましくは芳香族多価カルボン酸を挙げることができる。
【0080】
これら硬化剤は、1種単独でも2種以上の混合でも用いることができる。本発明に用いられる硬化剤の配合量は、エポキシ基を含有する成分(バインダー性エポキシ化合物と多官能エポキシ化合物の合計量)100重量部当たり、通常は1〜100重量部の範囲であり、好ましくは5〜50重量部である。硬化剤の配合量が1重量部未満であると、硬化が不充分となり、強靭な塗膜を形成することができないおそれがある。また、硬化剤の配合量が100重量部を超えると、塗膜の基板に対する密着性が劣るおそれがある。
【0081】
iii)触媒
本発明の熱硬化性バインダーには、硬化層の硬度および耐熱性を向上させるために、酸−エポキシ間の熱硬化反応を促進できる触媒を添加してもよい。そのような触媒としては、加熱硬化時に活性を示す熱潜在性触媒を用いることができる。
熱潜在性触媒は、加熱されたとき、触媒活性を発揮し、硬化反応を促進し、硬化物に良好な物性を与えるものであり、必要により加えられるものである。この熱潜在性触媒は、60℃以上の温度で酸触媒活性を示すものが好ましく、このようなものとしてプロトン酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸とトリアルキルホスフェートの混合物、スルホン酸エステル類、オニウム化合物類等が挙げられ、前記特開平4−218561号公報に記載されているような各種の化合物を使用することができる。 熱潜在性触媒は、1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物及び硬化剤の合計100重量部に対して、通常は0.01〜10.0重量部程度の割合で配合する。
【0082】
また、本発明のカラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物において、顔料の重量(P)と、当該顔料以外の固形分の重量(V)との比(P/V比)は、赤色着色層を形成する場合0.4〜1.1、好ましくは0.5〜1.0、緑色着色層を形成する場合0.5〜1.2、好ましくは0.6〜1.0、青色着色層を形成する場合0.2〜0.6、好ましくは0.3〜0.5である。このような場合、インクの吐出性能、インクの決壊防止、得られる膜物性のバランスの点から好ましい。P/V比が低すぎると、充分な着色力を得るためには画素形成領域に付着させるインクの液滴量を多くしなければならないため、画素形成領域からインクが決壊するなどの問題が起こる場合がある。一方、P/V比が高すぎると、吐出ヘッドで目詰まりや飛行曲がりが発生する等の吐出性能が低下したり、膜の表面が荒れるなどの問題が起こる場合がある。
【0083】
((D)溶剤)
本発明のカラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物において、(D)溶剤としては、該熱硬化性樹脂組成物中の各成分とは反応せず、これらを溶解もしくは分散可能な有機溶剤であればよい。特にインクジェットインクとして用いられる場合には、インクの急激な粘度上昇や目詰まりが発生せず、吐出の直進性や安定性に悪影響を及ぼさないで吐出性を向上させるために、沸点が180℃〜260℃、特に210℃〜260℃で且つ常温(特に18℃〜25℃の範囲)での蒸気圧が0.5mmHg(66.7Pa)以下、特に0.1mmHg(13.3Pa)以下の溶剤成分を主溶剤として用いることが好ましい。例えば、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アジピン酸ジエチル、シュウ酸ジブチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジメチル、及び、コハク酸ジエチルなどを例示することができる。なお、「主溶剤」とは、溶剤全量のうち50重量%以上を占める溶剤のことである。主溶剤は、できるだけ高い配合割合で用いるのが望ましく、具体的には70重量%以上、好ましくは90重量%以上とし、最も好ましくは100重量%の単独溶剤である。
【0084】
乾燥が遅いためインクジェットでの間欠吐出性に優れる一方、塗膜形成時に乾燥が遅いことから、生産効率に問題がある場合があるので、生産効率を向上させる目的で、主溶剤に、より低沸点溶剤を混合しても良い。主溶剤と組み合わせて用いることが好ましい他の副溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルのようなグリコールエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテルエステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールオリゴマーエーテル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールオリゴマーエーテルエステル類;酢酸エチル、安息香酸プロピルのような脂肪族又は芳香族エステル類;炭酸ジエチルのようなジカルボン酸ジエステル類;3−メトキシプロピオン酸メチル、3―エトキシプロピオン酸エチルのようなアルコキシカルボン酸エステル類;アセト酢酸エチルのようなケトカルボン酸エステル類;エタノール、イソプロパノール、フェノールのようなアルコール類又はフェノール類;ジエチルエーテル、アニソールのような脂肪族又は芳香族エーテル類;2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノールのようなアルコキシアルコール類;ジエチレングリコール、トリプロピレングリコールのようなグリコールオリゴマー類;2−エトキシエチルアセテートのようなアルコキシアルコールエステル類;アセトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類等が挙げられる。
【0085】
本発明のカラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物における(D)溶剤の含有量は、該各構成成分を均一に溶解又は分散することができるのであればよく、特に限定されない。特にインクジェットインクとして用いられる場合には、溶剤は、カラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物全量に対して、通常は40〜95重量%の割合で用いることが好ましい。溶剤が少なすぎると、インクジェットインクの粘度が高く、インクジェットインクの場合にはインクジェットヘッドからの吐出が困難になる。また、溶剤が多すぎると、所定のインク層形成部位からインクが決壊し、当該インク層形成部位に堆積させることのできるインク堆積量が不充分となり、乾燥後の膜厚が薄すぎて、それに伴い充分な透過濃度を得ることができなくなる。
【0086】
(任意添加成分)
本発明カラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じ各種添加剤を含むものであってもよい。該添加剤としては、例えば、レベリング剤、可塑剤、界面活性剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、密着促進剤、充填剤等などが挙げられる。
密着促進剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランなどが挙げられる。レベリング剤としては、例えば、ポリオキシアルキレン系界面活性剤、脂肪酸エステル系界面活性剤、特殊アクリル系重合体、ビニルエーテル系重合体等のビニル系重合体など、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。
【0087】
(カラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物の調製)
カラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物の調製方法としては、前述した(A)顔料分散剤と、(B)顔料と、(C)熱硬化性バインダーと、所望により用いられる各種添加成分とを、(D)溶剤中に均一に溶解又は分散させ得る方法であればよく、特に制限はされず、公知の混合手段を用いて混合することにより、調製することができる。
当該熱硬化性樹脂組成物の調製方法としては、例えば(1)溶媒中に、上記の顔料分散剤及び顔料を添加し、分散機を用いて分散させることによって、顔料分散液を作製した後、これに熱硬化性バインダーと、所望により用いられる各種添加成分とを添加し混合する方法、(2)溶媒中に、上記の顔料分散剤と、顔料と、熱硬化性バインダーと、所望により用いられる各種添加成分とを同時に投入し、混合する方法、及び(3)溶媒中に、上記の顔料分散剤と、熱硬化性バインダーと、所望により用いられる各種添加成分とを添加し、混合したのち、これに顔料を加えて混合する方法などを挙げることができる。
これらの方法の中で、上記(1)の方法が、顔料の凝集を効果的に防ぎ、均一に分散させ得る点から好ましい。この場合、顔料分散液中の溶媒の含有量としては、該顔料の分散性や顔料分散経時安定性、得られるカラーフィルタの色度などの観点から、60〜90重量%の範囲が好ましい。
【0088】
上記(1)の方法における顔料分散液の調製において、顔料の分散処理を行うための分散機としては、2本ロール、3本ロール等のロールミル、ボールミル、振動ボールミル等のボールミル、ペイントシェーカー、連続ディスク型ビーズミル、連続アニュラー型ビーズミル等のビーズミル等が挙げられる。ビーズミルの好ましい分散条件として、使用するビーズ径は0.03〜2mmが好ましく、より好ましくは0.1〜1mmである。また、分散後、5.0〜0.2μm程度のメンブランフィルタで濾過することが好ましい。これにより、顔料の分散性に優れた顔料分散液が得られる。
また、本発明に用いられる顔料分散剤に含まれる有機酸化合物が、重合性基を有する場合には、例えば、溶媒中に上記顔料分散剤と開始剤を添加した後、あるいは、溶媒中に上記顔料分散剤と顔料と開始剤とを分散又は溶解させた後に上記顔料分散剤同士を重合してもよい。中でも溶媒中に上記顔料分散剤と顔料と開始剤とを分散又は溶解させた後に上記顔料分散剤同士を重合することが好ましい。このように顔料分散剤同士を重合させることにより、本発明の熱硬化性樹脂組成物中における顔料の分散安定性を高めることができる。重合は、適宜光開始剤及び/又は熱開始剤を用いて、光照射及び/又は加熱により行うことができる。
【0089】
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。
[カラーフィルタ]
本発明のカラーフィルタは、透明基板と、当該透明基板上に設けられた着色層とを少なくとも備えるカラーフィルタであって、当該着色層の少なくとも1つが前記本発明のカラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物を用いて形成されてなる着色層を有することを特徴とする。
このような本発明のカラーフィルタについて、図を参照しながら説明する。図1は、本発明のカラーフィルタの一例を示す概略断面図である。図1によれば、本発明のカラーフィルタ10は、透明基板1と、遮光部2と、着色層3R,3G,3Bとを有している。
本発明のカラーフィルタは、前述した本発明のカラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物を用いて着色層を形成することにより、顔料分散性に優れ、且つインクジェット方式を用いて形成した場合に平坦性に優れた着色層を形成可能なことから、良好な光学性能を有している。
【0090】
(透明基板)
本発明のカラーフィルタにおける透明基板としては、可視光に対して透明な基材であればよく、特に限定されず、一般的なカラーフィルタに用いられる透明基板を使用することができる。具体的には、石英ガラス、無アルカリガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材が挙げられる。
当該透明基板の厚みは、特に限定されるものではないが、本発明のカラーフィルタの用途に応じて、例えば100μm〜1mm程度のものを使用することができる。
【0091】
(遮光部)
本発明のカラーフィルタにおける遮光部は、透明基板上にパターン状に形成されるものであって、一般的なカラーフィルタに遮光部として用いられるものと同様とすることができる。インクジェット方式により着色層を形成する場合、遮光部は、インクを所定領域に付着させるための隔壁であり、各着色層の間及び着色層形成領域の外側を取り囲むように設けられることにより、表示画像のコントラストを向上させることができる。
【0092】
遮光部は、スパッタリング法、真空蒸着法等によるクロム等の金属薄膜であっても良い。或いは、遮光部は、樹脂バインダー中にカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させた樹脂層であってもよい。遮光性粒子を含有させた樹脂層の場合には、感光性レジストを用いて現像によりパターニングする方法、遮光性粒子を含有するインクジェットインクを用いてパターニングする方法、感光性レジストを熱転写する方法等がある。
遮光部の厚さは、金属薄膜の場合は1000〜2000Å程度とし、遮光性樹脂層の場合は、0.5〜2.5μm程度とする。
【0093】
遮光部は、撥液性を有するものであることが好ましい。インクジェット方式により塗布される熱硬化性樹脂組成物を、上記開口部内に安定的に塗布することができ、着色層を混色の無いものとすることができるからである。上記「撥液性」とは、上記熱硬化性樹脂組成物との接触角が大きいことを意味するものである。
上記遮光部が撥液性を有するものとする方法としては、所望の撥液性を付与することができる方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、上記遮光部を構成する材料として、上記基板表面よりも撥液性の高い材料を用い、上述した方法により遮光部を形成する方法(以下、第1態様)や、上述した方法によって基板上に遮光部を形成した後、事後的に上記遮光部を上記基板表面よりも撥液性とする方法(以下、第2態様)等を挙げることができる。
【0094】
上記第1態様としては、具体的には、上記遮光部を、樹脂および遮光材料を含むものとして形成し、上記樹脂に撥液化剤を含有させる方法を挙げることができる。
【0095】
また、上記第2態様としては、具体的には、基板として無機材料からなる基板を用い、かつ、上記遮光部として樹脂および遮光性材料から構成されるものを用い、上述した方法によって基板上に遮光部を形成した後、フッ素ガスを導入ガスとしたプラズマ処理を行なう方法が挙げられる。
また、上記導入ガスに用いられるフッ素化合物としては、例えば、CF、SF、CHF、C、C、C等を挙げることができる。また、上記導入ガスとしては、上記フッ素ガスと他のガスとが混合されたものであってもよい。上記他のガスとしては、例えば、窒素、酸素、アルゴン、ヘリウム等を挙げることができるが、なかでも窒素を用いることが好ましい。さらに上記他のガスとして窒素を用いる場合、窒素の混合比率は50%以上であることが好ましい。
【0096】
また、上記プラズマ照射を実施する方法としては、上記遮光部の撥液性を向上できる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、減圧下でプラズマ照射してもよく、または、大気圧下でプラズマ照射してもよい。なかでも、本工程においては特に大気圧下でプラズマ照射が行うことが好ましい。これにより、減圧用の装置等が必要なく、コストや製造効率等の面おいて有利になるからである。
なお、上記プラズマ照射を行った後の、上記遮光部におけるフッ素の存在は、X線光電子分光分析装置(XPS:ESCALAB 220i−XL)による分析において、遮光部の表面より検出される全元素中のフッ素元素の割合を測定することにより確認することができる。
【0097】
具体的には、上記遮光部表面の上記着色層形成用塗工液との接触角が、上記基板表面の上記着色層形成用塗工液との接触角よりも大きいものとすることができるものであれば良い。なかでも本工程においては、上記遮光部表面の、表面張力40mN/mの液体との接触角が10°以上となる程度であることが好ましく、特に表面張力30mN/mの液体との接触角が10°以上となる程度であることが好ましく、さらには表面張力20mN/mの液体との接触角が10°以上となる程度であることが好ましい。また、純水との接触角が11°以上となる程度であることが好ましい。
【0098】
(着色層)
本発明のカラーフィルタに用いられる着色層は、前述した本発明のカラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物を用いて形成されたものであればよく、特に限定されない。本発明においては、前記透明基板上の遮光部の開口部にインクジェット方式により形成された着色層であることが好ましい。インクジェット方式によると、従来のフォトリソグラフィー法等に比べて生産性が高く、コスト低減や歩留まり向上が実現可能である。インクジェット方式により形成される場合、当該着色層の厚みは、該着色層の領域内で不均一となることが特徴である。例えば、図1の3R,3G,3Bに示したように、着色層の外縁部又はその近傍に厚みの小さい部分を有し、且つ当該厚みの小さい部分よりも画素の中心側に厚みの最大部を有するような形状、すなわち、中央部付近が盛り上がった断面形状を有する。厚みが着色層の領域内で不均一であるとは、厚みの差が0.1μm以上の場合をいう。着色層の厚みは、例えば、光干渉方式の三次元非接触表面形状・粗さ測定機(Zygo(株)製 製品名:NEW VIEW 6000)を用いて測定することができる。
【0099】
本発明カラーフィルタに用いられる着色層は、平均厚みが1.85μmの時に、最も厚い部分(T)と最も薄い部分(B)の差(T−B差)が1.35μm以下であることが好ましく、更に1.0μm以下であることが好ましく、より更に0.8μm以下であることが好ましい。
【0100】
また、当該着色層の配列としては、特に限定されず、例えば、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の一般的な配列とすることができる。また、着色層の幅、面積等は任意に設定することができる。
当該着色層の平均厚みは、塗布方法、カラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物の固形分濃度や粘度等を調整することにより、適宜制御されるが、通常、1〜5μmの範囲であることが好ましく、さらに1〜2.5μmの範囲であることが好ましい。
【0101】
当該着色層は、例えば下記の方法により形成することができる。
まず、青(B)用、緑(G)用及び赤(R)用の顔料がそれぞれ配合された前記本発明のカラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物を用意する。そして、透明基板1の表面に、遮光部2のパターンにより画成された各色(R、G、B)の着色層形成領域に、対応する色のカラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物をインクジェット方式によって選択的に付着させてインク層を形成する。このインクの吹き付け工程において、インクジェットインクは、インクジェットヘッドの先端部で粘度増大を起こし難く、良好な吐出性を維持し続ける必要がある。この場合、所定の着色層形成領域内に、対応する色のインクを正確に、且つ、均一に付着させることができ、正確なパターンで色ムラや色抜けのない画素部を形成することができる。また、各色のインクジェットインクを、複数のヘッドを使って同時に基板上に吹き付けることもできるので、印刷等の方法で各色ごとに着色層を形成する場合と比べて作業効率を向上させることができる。
【0102】
次に、各色のインク層を乾燥し必要に応じてプリベークした後、適宜露光及び/又は加熱することにより硬化させる。インク層を適宜露光及び/又は加熱すると、インクジェットインク中に含まれる硬化性樹脂の架橋要素が架橋反応を起こし、インク層が硬化して着色層3R,3G,3Bが形成される。
なお、本発明のカラーフィルタは、上記透明基板、遮光部及び着色層以外にも、例えば、オーバーコート層や透明電極層、さらには配向膜や柱状スペーサ等が形成されたものであってもよい。
【0103】
次に、本発明の液晶表示装置について説明する。
[液晶表示装置]
本発明の液晶表示装置は、前述した本発明のカラーフィルタを有することを特徴とする。
このような本発明の液晶表示装置について、図を参照しながら説明する。図2は、本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。図2に例示するように本発明の液晶表示装置40は、カラーフィルタ10と、TFTアレイ基板等を有する対向基板20と、上記カラーフィルタ10と上記対向基板20との間に形成された液晶層30とを有している。
なお、本発明の液晶表示装置は、この図2に示される構成に限定されるものではなく、一般的にカラーフィルタが用いられた液晶表示装置として公知の構成とすることができる。
【0104】
本発明の液晶表示装置の駆動方式としては、特に限定はなく一般的に液晶表示装置に用いられている駆動方式を採用することができる。このような駆動方式としては、例えば、TN方式、IPS方式、OCB方式、及びMVA方式等を挙げることができる。本発明においてはこれらのいずれの方式であっても好適に用いることができる。
また、対向基板としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて適宜選択して用いることができる。
さらに、液晶層を構成する液晶としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて、誘電異方性の異なる各種液晶、及びこれらの混合物を用いることができる。
【0105】
液晶層の形成方法としては、一般に液晶セルの作製方法として用いられる方法を使用することができ、例えば、真空注入方式や液晶滴下方式等が挙げられる。
真空注入方式では、例えば、あらかじめカラーフィルタ及び対向基板を用いて液晶セルを作製し、液晶を加温することにより等方性液体とし、キャピラリー効果を利用して液晶セルに液晶を等方性液体の状態で注入し、接着剤で封鎖することにより液晶層を形成することができる。その後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
また液晶滴下方式では、例えば、カラーフィルタの周縁にシール剤を塗布し、このカラーフィルタを液晶が等方相になる温度まで加熱し、ディスペンサー等を用いて液晶を等方性液体の状態で滴下し、カラーフィルタ及び対向基板を減圧下で重ね合わせ、シール剤を介して接着させることにより、液晶層を形成することができる。その後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
【実施例】
【0106】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
(合成例1−1 グラフト共重合体Aの製造)
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、カプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(「プラクセルFA10L(商品名)」:ダイセル化学(株)製;一般式(II)で表される構成単位のm=10)32.1重量部(固形分70重量%)、メタクリル酸ジメチルアミノエチル(DMAEMA)2.5重量部、2−メルカプトエタノール0.25重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA) 50重量部を仕込んだ。この混合物を、攪拌しながら85℃まで昇温し、プラクセルFA10L 32.1重量部、DMAEMA 2.5重量部、α,α’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2重量部、2−メルカプトエタノール0.25重量部、PGMEA50重量部の混合液を1.5時間かけて滴下した後、AIBN0.2重量部 、PGMEA20重量部 の混合液を30分かけて滴下した。同温で1時間熟成したのちAIBN 0.1重量部 、PGMEA10重量部 の混合液を30分かけて滴下した後、同温で2時間熟成した。得られたグラフト共重合体溶液の溶剤をエバポレーターに蒸発させ、グラフト共重合体Aを得た。このようにして得られたグラフト共重合体Aを、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)にて、N−メチルピロリドン、0.01モル/L臭化リチウム添加/ポリスチレン標準の条件で確認したところ、重量平均分子量Mw:11069、数平均分子量Mn:4760、分子量分布Mw/Mnは2.32であった。
【0107】
(合成例1−2 塩型グラフト共重合体溶液Aの調製)
100mL丸底フラスコ中で、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA)10.8重量部に、グラフト共重合体A 2.476重量部を溶解させ、塩形成成分であるフェニルホスフィン酸(東京化成(株)社製)を0.224重量部(グラフト共重合体のDMAEAユニットに対し、1.0当量)加え、反応温度40℃で2時間攪拌することにより、固形分20重量%の塩型グラフト共重合体溶液Aを調製した。
【0108】
(合成例2−1 グラフト共重合体Bの製造)
合成例1−1において、カプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(「プラクセルFA10L(商品名)」:ダイセル化学(株)製;一般式(II)で表される構成単位のm=10)32.1重量部(固形分70重量%)を用いる代わりに、カプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(「プラクセルFM5(商品名)」:ダイセル化学(株)製;一般式(II)で表される構成単位のm=5)32.1重量部(固形分70重量%)を用いた以外は、合成例1−1と同様にして、グラフト共重合体Bを得た。このようにして得られたグラフト共重合体Bを、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)にて、N−メチルピロリドン、0.01モル/L臭化リチウム添加/ポリスチレン標準の条件で確認したところ、重量平均分子量Mw:22612、数平均分子量Mn:12268、分子量分布Mw/Mnは1.84であった。
【0109】
(合成例2−2 塩型グラフト共重合体溶液Bの調製)
合成例1−2において、グラフト共重合体A 2.476重量部を用いる代わりに、合成例2−1で製造したグラフト共重合体B 2.476重量部を用いた以外は、合成例1−2と同様にして、固形分20重量%の塩型グラフト共重合体溶液Bを調製した。
【0110】
(比較合成例1−1 重合性オリゴマーの製造)
メタクリル酸メチル100.0重量部、チオグリコール酸3.6重量部の混合溶液を、窒素気流下攪拌しながら、温度80℃に加温した。α,α’−アゾビスイソブチロニトリル(略称AIBN)を0.13重量部加え2時間反応し、更に、THF30重量部を加え、3時間反応した。冷却後、キシレン200重量部、グリシジルメタクリレート12.0重量部、N,N−ジメチルドデシルアミン0.13重量部及びハイドロキノン0.1重量部を加え、150℃にて、3時間攪拌した。冷却後、この反応溶液を、メタノール3000重量部に沈殿させ、遠心分離により上澄みを除去し、真空乾燥することで、粘性液体90重量部を得た。
得られた重合性オリゴマーBを、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)にて、N−メチルピロリドン、0.01モル/L臭化リチウム添加/ポリスチレン標準の条件で確認したところ、重量平均分子量(Mw)4030、数平均分子量(Mn)2060、分子量分布(Mw/Mn)は1.96であった。
【0111】
(比較合成例1−2 グラフト共重合体Cの製造)
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、重合性オリゴマー(ポリメタクリル酸メチルマクロモノマー)20重量部、メタクリル酸ジメチルアミノエチル(DMAEMA)5.0重量部、2−メルカプトエタノール0.25重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA) 50重量部を仕込んだ。この混合物を、攪拌しながら80℃まで昇温し、重合性オリゴマー 20質量部、DMAEMA5質量部、α,α’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2重量部、2−メルカプトエタノール0.25重量部、PGMEA50重量部の混合液を1.5時間かけて滴下した後、AIBN0.2重量部 、PGMEA20重量部 の混合液を30分かけて滴下した。同温で1時間熟成したのちAIBN0.1重量部 、PGMEA10重量部 の混合液を30分かけて滴下した後、同温で2時間熟成した。得られたグラフト共重合体溶液はヘキサン中で再沈殿させ、濾過、真空乾燥により精製を行い、グラフト共重合体Cを得た。このようにして得られたグラフト共重合体Cを、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)にて、N−メチルピロリドン、0.01モル/L臭化リチウム添加/ポリスチレン標準の条件で確認したところ、重量平均分子量Mw:11150、数平均分子量Mn:5440、分子量分布Mw/Mnは2.06であった。
【0112】
(比較合成例1−3 塩型グラフト共重合体溶液Cの調製)
合成例1−2において、グラフト共重合体A 2.476重量部を用いる代わりに、比較合成例1−2で製造したグラフト共重合体C 2.476重量部を用いた以外は、合成例1−2と同様にして、固形分20重量%の塩型グラフト共重合体溶液Cを調製した。
【0113】
(製造例1及び2 顔料分散液の調製)
第1表に従って各顔料、顔料分散剤、溶剤、及び2.0mmジルコニアビーズ30重量部をマヨネーズビンに入れ、予備解砕としてペイントシェーカー(浅田鉄工社製)にて1時間振とうし、次いで前記ジルコニアビーズを取り除いてから粒径0.1mmのジルコニアビーズ60重量部をマヨネーズビンに入れ、同様に本解砕としてペイントシェーカーにて5時間分散を行い、緑色顔料分散液1及び2を調製した。
【0114】
【表1】

【0115】
(製造例3 硬化性透明樹脂組成物の調製)
多官能エポキシ化合物、バインダー性エポキシ樹脂、硬化剤、及び溶剤を第2表に示される配合量で均一になるまで混合、溶解して硬化性透明樹脂組成物を得た。
【0116】
【表2】

【0117】
(実施例1 インクジェット・カラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物の調製)
第3表に示される、緑色顔料分散液1と、透明硬化性樹脂組成物、溶剤を均一になるまで混合し、さらにメッシュサイズ0.2μmである加圧ろ過装置によりろ過することにより、インクジェット・カラーフィルタ(IJCF)用熱硬化性樹脂組成物1を得た。
【0118】
(実施例2 インクジェット・カラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物の調製)
実施例1において、緑色顔料分散液1の代わりに、緑色顔料分散液2を用いた以外は、実施例1と同様にして、インクジェット・カラーフィルタ(IJCF)用熱硬化性樹脂組成物2を得た。
【0119】
【表3】

【0120】
(比較例1 比較IJCF用熱硬化性樹脂組成物の調製)
第1表において分散剤の塩型グラフト共重合体溶液Aを塩型グラフト共重合体溶液Cに変更した以外は実施例1と同様にして作製した緑色顔料分散液3(第4表)、及び製造例3で得られた透明硬化性樹脂組成物(第2表)、溶剤を均一になるまで混合し、さらにメッシュサイズ0.2μmである加圧ろ過装置によりろ過することにより、インクジェット・カラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物3(第5表)を得た。
【0121】
【表4】

【0122】
【表5】

【0123】
以上、実施例及び比較例で得たインクジェット・カラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物について、下記の方法により、評価用基板を作製し画素形状の評価を実施した。インクジェット・カラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物の画素形状評価結果を第6表に示す。
【0124】
<評価用基板作製方法>
カラーフィルタ用ガラス材として用いられている厚み0.7mmで10mm×10mmのガラス基板(NHテクノグラス(株)社製、「NA35」)を用意し、このガラス基材上に熱転写法にて樹脂製のブラックマトリクスを形成することによりカラーフィルタ用基板を作製した。このとき、ブラックマトリクスは開口部が225μm×70μm、遮光部分の線幅が14μmとなるように形成した。またこの際、遮光部分の膜厚は平均2.0μmとした。
上記カラーフィルタ用基板に対し、フッ素化合物を導入ガスとしたプラズマ処理を加えることにより、ブラックマトリクスの表面を撥液性に、それ以外の領域(着色層形成領域)を親液性とした。
上記基板のブラックマトリックス(BM)により区画された着色層形成領域に、インクジェットインクをインクジェット方式によって付着させた。
その後、減圧乾燥を行い、更に90℃のホットプレート上で60分間プリベークを行った。その後、クリーンオーブン内で、240℃で40分間加熱してポストベークを行って、基板上に乾燥硬化後の平均膜厚として1.85μmの画素パターンを形成した。平均膜厚は、非接触3次元表面形状・粗さ測定機(Zygo(株)製 製品名:New View 6000)を用いて着色層の膜厚分布を用いて着色層形成領域(1画素)の全エリアの膜の高さの頻度を測定し算出したものである。
【0125】
<画素形状評価方法>
上記作製基板について非接触3次元表面形状・粗さ測定機(Zygo(株)製 製品名New View 6000)を用いて、1画素分の着色層の膜厚分布測定を行い、T−B差(着色層の膜厚において、最も厚い部分(T)と最も薄い部分(B)の差)を求めた。また、1画素分についてBM部分を含めて着色層の膜厚分布測定を行い、平均高さを求め、当該平均高さを基準としたBM部の相対的高さ、当該平均高さを基準とした着色層の最も膜厚が厚い部分(T)の相対的高さを求めた。BM部の相対的高さ、Tの相対的高さ、及びBMの膜厚を用いてTの絶対的高さを算出し、Tの絶対的高さからT−B差を引いて着色層の最も膜厚が薄い部分(B)の絶対的高さを算出した。
【0126】
【表6】

【0127】
第6表に示されているように、実施例と、一般式(II)で表される構成単位を有しない比較例を比較すると、本発明のインクジェット・カラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物を用いることにより、着色層の最も膜厚が薄い部分(B)の高さが高くなり、着色層のT−B差が小さくなって画素形状が平坦化されることがわかった。中でも、一般式(II)で表される構成単位においてmが10である実施例1においては、更に着色層の最も膜厚が厚い部分(T)の高さが低くなり、且つ着色層の最も膜厚が薄い部分(B)の高さが高くなることで、着色層のT−B差がより小さくなり画素形状が平坦化されることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明のカラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物は、インクジェット方式によっても平坦性の高い着色層を形成可能で、光学性能を向上可能であり、品質の良好なカラーフィルタ及びそれを有する液晶表示装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0129】
1 透明基板
2 遮光部
3 着色層
10 カラーフィルタ
20 対向基板
30 液晶層
40 液晶表示装置
51 窒素含有モノマー単位
52 重合性オリゴマーの重合性基部位
53 重合性オリゴマーによるポリマー鎖
54 有機酸化合物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)顔料分散剤と、(B)顔料と、(C)熱硬化性バインダーと、(D)溶剤とを有するカラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物であって、前記(A)顔料分散剤が、下記一般式(I)で表される窒素含有モノマーと、下記一般式(II)で表される構成単位を含むポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基からなる重合性オリゴマーとを共重合成分として含有し、前記重合性オリゴマーが全共重合成分中50〜95重量%含まれるグラフト共重合体であり、さらに前記窒素含有モノマーが有するアミノ基と下記一般式(III)及び/又は下記一般式(IV)で表される有機酸化合物とが塩を形成したグラフト共重合体であることを特徴とするカラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物。
【化1】

【化2】

【化3】

[式(I)〜(IV)中、Rは水素原子又はメチル基、R及びR2’は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基、Aは、それぞれ独立に炭素数1〜8のアルキレン基、−[CH(R)−CH(R)−O]−CH(R)−CH(R)−又は−[(CH−O]−(CH−で示される2価の基である。
及びR3’は、それぞれ独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R10)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−R3’’で示される1価の基であり、R及びR3’のいずれかは炭素原子を含む。R3’’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R10)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R10)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−R4’で示される1価の基である。R4’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R10)−O]−R、−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
、R、R及びR10は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rは、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、−CO−CH=CH、−CO−C(CH)=CH又は−CHCOOR11で示される1価の基であり、R11は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。
、R3’、R3’’、R、R4’及びRにおいて、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基はそれぞれ、置換基を有していても良い。
lは1〜5の整数、mは5以上の整数を示す。
x及びaは1〜18の整数、y及びbは1〜5の整数、z及びcは1〜18の整数を示す。]
【請求項2】
前記重合性オリゴマーの前記エチレン性不飽和二重結合を有する基が、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、又はアリル基であることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記一般式(III)におけるR、R3’及び/又はR3’’、並びに/或いは、前記一般式(IV)におけるR及び/又はR4’が、それぞれ独立にメチル基、エチル基、アラルキル基、アリール基、ビニル基、アリル基、あるいは、−[CH(R)−CH(R10)−O]−R又は−[(CH−O]−Rであり、且つ、Rが−CO−CH=CH又は−CO−C(CH)=CHであることを特徴とする請求項1又は2に記載のカラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
前記(A)顔料の平均粒径が、10〜100nmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のカラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
透明基板と、当該透明基板上に設けられた着色層とを少なくとも備えるカラーフィルタであって、当該着色層の少なくとも1つが請求項1〜4のいずれかに記載のカラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物を用いて形成されてなる着色層を有することを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項6】
前記請求項1〜4のいずれかに記載のカラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物を、インクジェット方式によって選択的に付着させてインク層を形成する工程と、
前記インク層を硬化させて着色層を形成する工程とを含むことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【請求項7】
請求項5に記載のカラーフィルタ又は請求項6に記載のカラーフィルタの製造方法によって製造されたカラーフィルタを有することを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−243604(P2010−243604A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−89466(P2009−89466)
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】