説明

カラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液およびその製造方法

【課題】本発明は、分散機を用いて、顔料の分散を効率的に行ない、顔料の再凝集が発生せず、透過率、コントラスト、表面平滑性の高いカラーフィルタを製造できるカラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液、カラーフィルタ用着色樹脂組成物および上記分散液の製造方法を提供することを主目的とするものである。
【解決手段】上記目的を達成するために、本発明は、溶媒と、前記溶媒に分散した顔料と、前記顔料を溶媒に分散させる顔料分散剤とを有するカラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液であって、前記カラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液のゼータ電位の絶対値が10〜200mVであり、かつ、水分量が2%以下であることを特徴とするカラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルタの製造に用いるカラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液、カラーフィルタ用着色樹脂組成物、およびカラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、液晶表示装置には、透明基板の画素部位に複数の異なる色(例えば赤、緑、青の光の3原色)を配列したカラーフィルタが使用されている。
【0003】
従来、透明基板上に複数色の画素を規則正しく配列させる方法としては、フォトリソグラフィー法、印刷法、電着法、フィルム転写法、およびインクジェット方式等によるものなどが知られている。そしてこれらの中でも、パターン精度や光の透過率・コントラスト等のカラーフィルタの性能と、製造歩留まり等の観点から、一般的には、フォトリソグラフィー技術による方法が使用されている。
【0004】
また、近年、カラーフィルタに要求される透過率・コントラスト、表面平滑性等の特性が高性能化するのに伴い、カラーフィルタの着色層等の部材を形成する際に使用するカラーフィルタ用着色樹脂組成物に要求される特性も高くなっている。特に、溶媒に顔料を分散させたカラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液においては、微細化された顔料を溶媒中に均一に分散させることが重要である。
【0005】
顔料を溶媒中に微細に分散させる装置として、メディアを用いた攪拌型分散機や、逆にメディアを用いないメディアレス攪拌型分散機が知られている。例えば、メディア攪拌型分散機には、ボールミル、アトライター、およびサンドミル等があり、中でも、超微細な分散処理が可能なサンドミルが、カラーフィルタ用途において広く用いられるようになっている。サンドミルは、分散メディアを用い、処理槽内に供給した処理材料と分散メディアを攪拌子で攪拌し、攪拌子と分散メディアの運動で、処理材料に与えるずり力とせん断力および分散メディアによる粒体の補足と破壊により、処理材料を微細化するようにした粒体微細化処理装置であり、比較的小さな分散メディアを用い、攪拌子を高速で攪拌することにより、平均粒径を1μm以下に処理できることが知られている。
【0006】
しかしながら、上記分散機を用いて顔料を溶媒中に分散させる方法では、分散途中で、雰囲気中に含まれる水分が溶媒に吸着し、このような溶媒中の水分量の増加を要因として、一旦溶媒中に分散した顔料が再凝集することにより生じる粘度の上昇、凝集体の出現といった不具合が生じる場合があった。
【0007】
なお、本発明に関して、カラーフィルタ用着色樹脂組成物分散液の製造工程において、顔料等を分散させる際の雰囲気中に含まれる水分による影響から生じる顔料の凝集等を課題とする先行文献は発見されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、分散機を用いて、顔料の分散を効率的に行ない、顔料の再凝集が発生せず、透過率、コントラスト、表面平滑性の高いカラーフィルタを製造できるカラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液(以下、単に分散液と略称する場合がある。)、カラーフィルタ用着色樹脂組成物および分散液の製造方法を提供することを主目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、溶媒と、上記溶媒に分散した顔料と、上記顔料を溶媒に分散させる顔料分散剤とを有するカラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液であって、上記カラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液のゼータ電位の絶対値が10〜200mVであり、かつ、水分量が2%以下であることを特徴とするカラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液を提供する。
【0010】
本発明においては、分散液のゼータ電位および水分量が上記範囲内にあることにより、溶媒中に分散している顔料の再凝集を抑制することができるため、顔料の分散状態が安定かつ良好である分散液とすることができる。
【0011】
本発明においてはまた、溶媒と、上記溶媒に分散した顔料と、上記顔料を溶媒に分散させる顔料分散剤と、上記溶媒に溶解したバインダー樹脂および感放射線性化合物とを有するカラーフィルタ用着色樹脂組成物であって、ゼータ電位の絶対値が10〜200mVであり、かつ、水分量が1.5%以下であることを特徴とするカラーフィルタ用着色樹脂組成物を提供する。
【0012】
本発明においては、カラーフィルタ用着色樹脂組成物のゼータ電位および水分量が上記範囲内にあることにより、顔料等の溶媒中に分散している材料の分散状態を安定に保つことができるため、このようなカラーフィルタ用着色樹脂組成物を用いることにより、透過率、コントラスト、表面平滑性の高いカラーフィルタを製造することができる。
【0013】
さらに本発明においては、溶媒と、上記溶媒に分散した顔料と、上記顔料を溶媒に分散させる顔料分散剤とを有するカラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液を分散機により分散させる分散工程を有するカラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液の製造方法であって、上記分散工程において、分散中の上記カラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液の接する雰囲気が湿度50%以下であることを特徴とするカラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液の製造方法を提供する。
【0014】
本発明においては、上記分散工程を行う際の湿度条件を上記範囲とすることにより、分散液の製造段階において生じる、溶媒中への水分の吸着を十分に阻止することができるため、顔料の分散状態が安定かつ良好な分散液を製造することができる。
【0015】
上記記載の本発明においては、上記分散工程において、分散中の上記カラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液の接する雰囲気を不活性気体で満たす方法、分散中の上記カラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液の接する雰囲気を、吸湿剤を充填させた容器内を通過させ脱湿した空気で満たす方法、または分散中の上記カラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液を入れる容器に吸湿剤を設置する方法により、分散中の上記カラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液の接する雰囲気の湿度を50%以下とすることが好ましい。これらの湿度を低減する方法は、煩雑な手間を要することなく本発明に要求される湿度条件を効果的に実現することができるからである。
【0016】
さらに、上記記載の本発明においては、上記分散工程の際、直径が0.01〜3mmであり、セラミックビーズまたはガラスビーズのメディアを用いることが好ましい。このようなメディアであれば、顔料を所望の平均粒径に粉砕できる粉砕力を有するからである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、カラーフィルタ用着色樹脂組成物分散液におけるゼータ電位の絶対値を10mV〜200mVの範囲内、かつ水分量を2.0%以下とすることより、溶媒中に分散している顔料の再凝集を抑制することができるため、顔料の分散状態が安定かつ良好である分散液とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液、カラーフィルタ用着色樹脂組成物、およびカラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液の製造方法について説明する。
【0019】
A.カラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液
まず、カラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液について詳細に説明する。
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液は、少なくとも、溶媒と、上記溶媒に分散した顔料と、上記顔料を溶媒に分散させる顔料分散剤とを有するカラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液であって、上記カラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液のゼータ電位の絶対値が10〜200mVであり、かつ、水分量が2%以下であることを特徴とするものである。
【0020】
本発明においては、分散液のゼータ電位および水分量が上記範囲内にあることにより、溶媒中に分散している顔料の再凝集を抑制することができるため、顔料の分散状態が安定かつ良好である分散液とすることができる。
【0021】
このような本発明の分散液において、ゼータ電位は、その絶対値が10mV〜200mVの範囲内にある必要があり、中でも、絶対値が20mV〜200mVの範囲内であることが好ましく、さらには、絶対値が50mV〜200mVの範囲内であることが好ましい。
【0022】
ゼータ電位とは、表面電位を示すものである。このようなゼータ電位は、その絶対値が増加するにつれ、粒子表面の帯電量が多くなるため、正の電位の粒子同士、または負の電位の粒子同士ではより強く粒子同士が反発し、分散液の安定性を高めることができる。逆にゼータ電位がゼロに近づくと、粒子表面の帯電量が少なくなり、粒子間の反発力が弱まるため、不安定で凝集しやすくなる。本発明においては、ゼータ電位が上記範囲内にある分散液とすることにより、分散液に分散されている顔料の分散状態を良好な状態に保つことができる。したがって、顔料が再凝集することにより生じる、着色力の低下または色味の変化、さらには、顔料沈降、色分かれ、粘度の上昇等の不具合の心配が少ない分散液とすることができる。なお、上記ゼータ電位は、大塚電子(株)製レーザーゼータ電位計 ELS−6000で、低誘電率溶剤用セルユニットEL−8291を用いて測定した場合の数値に基づいて規定した。
【0023】
また、本発明の分散液の水分量は、2%以下であり、中でも、1.5%以下、さらには、1%以下であることが好ましく、最も好ましくは、0.5%以下である。顔料が分散されている分散液において、その分散能力を低下させ、凝集を招く一要因として、水分量の増加を挙げることができる。これは、水分量が増加すると、水を核として顔料等の固形成分が凝集しやすくなるため、凝集体が形成され、粘度の上昇といった不都合が生じるからである。本発明においては、分散液の水分量を上記範囲とすることにより、溶媒中に存在する水分の影響を回避することができるため、顔料の凝集を防止することができるのである。
このような本発明の分散液において、当該分散液を構成する溶媒、顔料および顔料分散剤について、以下、詳細に説明する。
【0024】
1.溶媒
本発明に用いられる溶媒としては、一般的にカラーフィルタを構成する部材、特に着色層を形成する際に使用されているものであれば特に限定されるものではない。具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等の(モノあるいはポリ)アルキレングリコール(モノあるいはポリ)アルキルエーテル類、およびこれらのアセテート類;プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート等のジアセテート類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン等のケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、3−ヒドロキシプロピオン酸エチル、酢酸エチル、n−ブチルアセテート、i−ブチルアセテート、酪酸i−ブチル、酪酸n−ブチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、乳酸エチル、シクロヘキサノールアセテート等のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等を挙げることができる。これらの溶媒のうち、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が溶解性、顔料分散性、塗布性の観点から好ましい。なお、上記溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0025】
2.顔料
本発明の分散液を構成する顔料としては、公知の顔料を用いることができる。本発明において使用可能な有機顔料を下記表1および表2に示す。
【0026】
【表1】

【0027】
【表2】

【0028】
また、用いることができる無機顔料としては、酸化チタン、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、ベンガラ、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、カーボンブラック等を挙げることができる。
【0029】
これら有機顔料および無機顔料は、高分子化合物によってグラフト化されていてもよく、またカプセル化されていてもよい。
【0030】
さらに、本発明の分散液を、樹脂製のブラックマトリクスを形成する際に使用する場合には、顔料として遮光性粒子を添加することにより、そのようなブラックマトリクスを形成することが可能となる。具体的に遮光性粒子としては、カーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等を挙げることができる。
【0031】
また上記顔料は、その平均粒子径が0.01〜0.3μmの範囲内、その中でも0.03〜0.1μmの範囲内であることが好ましい。本発明においては、上記範囲内にある微粒子状の顔料であっても、ゼータ電位および水分量が上述した範囲内にあることから、顔料を溶媒中に均一に分散させることができ、安定な分散状態を保つことが可能である。
【0032】
3.顔料分散剤
本発明の分散液を構成する顔料分散剤としては、公知の顔料分散剤を使用することができる。具体的には、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、変性ポリエステル、変性ポリアミド等の高分子分散剤、リン酸エステル、アルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の界面活性剤や顔料誘導体を挙げることができる。本発明においては、これらの中でも、高分子分散剤が好ましく、具体的な商品名としては、EFKA−4046、EFKA−4047、EFKAポリマー100、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKA4300、EFKA4330(以上、エフカケミカルズ社製)、Disperbyk111、Disperbyk161、Disperbyk165、Disperbyk182、Disperbyk2000、Disperbyk2001(以上、ビックケミー社製)、SOLSPERSE24000、SOLSPERSE27000、SOLSPERSE28000(以上、ルーブリゾール社製)、アジスパー821(味の素ファインテクノ(株)製)等を挙げることができる。
【0033】
このような顔料分散剤は、組成物に含まれる顔料の合計量に対して、5〜80質量%の範囲内、その中でも10〜40質量%の範囲内で含有されることが好ましい。
【0034】
B.カラーフィルタ用着色樹脂組成物
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物は、溶媒と、上記溶媒に分散した顔料と、上記顔料を溶媒に分散させる顔料分散剤と、上記溶媒に溶解したバインダー樹脂および感放射線性化合物とを有するカラーフィルタ用着色樹脂組成物であって、ゼータ電位の絶対値が10〜200mVであり、かつ、水分量が1.5%以下であることを特徴とするものである。
【0035】
本発明においては、カラーフィルタ用着色樹脂組成物のゼータ電位および水分量が上記範囲内にあることにより、顔料等の溶媒中に分散している材料の分散状態を安定に保つことができるため、このようなカラーフィルタ用着色樹脂組成物を用いることにより、透過率、コントラスト、表面平滑性の高いカラーフィルタを製造することができる。
【0036】
このような本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物において、ゼータ電位は、その絶対値が、10mV〜200mVの範囲内であり、中でも、ゼータ電位の絶対値が20mV〜200mVの範囲内であることが好ましく、さらには、ゼータ電位の絶対値が50mV〜200mVの範囲内であることが最も好ましい。
【0037】
ゼータ電位とは、前述したように粒子の表面電位を示すものである。このようなゼータ電位においては、その絶対値がゼロに近づくにつれ、粒子表面の帯電量が少なくなることから、不安定で凝集しやすくなる。本発明においては、このようなゼータ電位が上記範囲内にあるカラーフィルタ用着色樹脂組成物とすることにより、分散液に分散されている顔料等の固形成分の分散状態を良好な状態に保つことができ、着色力の低下または色味の変化、さらには、顔料沈降、色分かれ、粘度の上昇等の不具合の心配が少ないカラーフィルタ用着色樹脂組成物とすることができる。したがって、このようなカラーフィルタ用着色樹脂組成物を用いて製造されたカラーフィルタにおいては、透過率、コントラスト、表面平滑性の高いものとすることができる。なお、上記ゼータ電位は、前述したものと同様にして測定された値に基づいて規定されたものである。
【0038】
また、本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物の水分量は、1.5%以下である必要があり、中でも、1.2%以下、さらには、0.9%以下であることが好ましく、最も好ましくは、0.5%以下である。上記範囲内の水分量のみ含有するカラーフィルタ用着色樹脂組成物であれば、水分の存在を要因として生じる、顔料等の固形成分の凝集を十分に阻止することができるため、分散安定性に優れたカラーフィルタ用着色樹脂組成物を提供することができるのである。
【0039】
このような本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物の構成について、バインダー樹脂、感放射線性化合物について説明する。なお、溶媒、顔料および顔料分散剤に関することは、上述した分散液の項目の中に記載したことと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0040】
1.バインダー樹脂
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物に用いられるバインダー樹脂としては、特に限定されるものではないが、カラーフィルタの製造に用いられることから、耐熱性および、製造工程において使用される有機溶剤への耐性を有する樹脂であることが好ましい。具体的には、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ゼラチンなどの感光性または非感光性の樹脂を挙げることができる。
【0041】
上述した中でも、特に好ましいバインダー樹脂としては、カルボキシル基等の酸性官能基を有するアルカリ可溶性樹脂を挙げることができる。カルボキシル基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、カルボキシル基含有不飽和単量体と他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体の共重合体が好ましく、さらに分子内にエポキシ基とエチレン性不飽和基とを併せ持つ化合物、例えばグリシジル(メタ)アクリレートなどを付加させ、側鎖にエチレン性不飽和基を導入したものも好ましい。
【0042】
カルボキシル基含有不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、コハク酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]、フタル酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等が好ましく、(メタ)アクリル酸が特に好ましい。なお、カルボキシル基含有不飽和単量体は、単独もしくは数種類を組み合わせることができる。
【0043】
エチレン性不飽和単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシル(メタ)エチルアクリレート等、および、これらのマクロモノマー類;N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−メチルフェニルマレイミド等のN置換マレイミド類等を挙げることができる。なお、エチレン性不飽和単量体は、単独もしくは数種類を組み合わせることができる。
【0044】
2.感放射線性化合物
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物を構成する感放射線性化合物は、放射線に対して反応性を有する化合物を意味し、例えば、光反応性化合物、電子線反応性化合物等を挙げることができる。
【0045】
また、不飽和二重結合を有する単、多官能モノマーを有し、さらに必要に応じてエポキシ基を含むことができる。単、多官能モノマーとしては、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシエチレングリコールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリセロールアクリレート、グリシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソデキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、2,2−ジメチロールプロパンジアクリレート、グリセロールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ポリオキシエチル化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリアクリレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジアクリレート、ジアリルフマレート、1,10−デカンジオールジメチルアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、および、上記のアクリレートをメタクリレートに変えたもの、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1−ビニル−2−ピロリドン等が挙げられる。本発明では、上記の単、多官能モノマーを1種または2種以上の混合物として、あるいは、その他の化合物との混合物として使用することができる。
【0046】
また、感放射線性化合物としてエポキシ基を含む光反応性化合物または電子線反応性化合物とすることもできる。このような感放射線性化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジル(メタ)アクリレート、脂環式エポキシ(メタ)アクリレート等を樹脂骨格に含むアクリル共重合体等を挙げることができる。このような感放射線性化合物は、組成物の固形分中に5〜80質量%程度含有されることが好ましい。
【0047】
3.添加剤
また、本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物には、添加剤として、光重合開始剤、増感剤、重合停止剤、連鎖移動剤、レベリング剤、可塑剤、界面活性剤、消泡剤等が必要に応じて用いられる。
【0048】
このうち、光重合開始剤としては、具体的にベンゾフェノン、ミヒラーケトン、4,4´−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4´−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−エチルアントラキノン、フェナントレン等の芳香族ケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル類、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2,4,5−トリアリールイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メチルフェニル)イミダゾール2量体、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−シアノスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール等のハロメチルチアゾール化合物、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシスチリル−S−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1,3−ブタジエニル)−S−トリアジン、2−トリクロロメチル−4−アミノ−6−p−メトキシスチリル−S−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン、2−(4−ブトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン等のハロメチル−S−トリアジン系化合物、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパノン、1,2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、ベンジル、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4´−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノベンゾエート、P−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、2−n−ブチキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−クロロチオキサントン、2,4ジエチルチオキサントン、2,4ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、スピードキュアーBMS(ラムソン社製)、イルガキュアー184(チバスペシャルティケミカルズ社製)、イルガキュアー369(チバスペシャルティケミカルズ社製)、イルガキュアー379(チバスペシャルティケミカルズ社製)、イルガキュアー651(チバスペシャルティケミカルズ社製)、イルガキュアー819(チバスペシャルティケミカルズ社製)、イルガキュアー907(チバスペシャルティケミカルズ社製)、イルガキュアーOXE01(チバスペシャルティケミカルズ社製)、イルガキュアーOXE02(チバスペシャルティケミカルズ社製)、ダロキュアーTPO(チバスペシャルティケミカルズ社製)等の光重合開始剤が挙げられる。本発明では、これらの光重合開始剤を単独で、または、2種以上を混合して使用することができる。
【0049】
このような光重合開始剤の着色樹脂組成物固形成分中の使用量としては、0.5質量%〜50質量%、特に2質量%〜20質量%の範囲内であることが好ましい。
【0050】
また、光重合開始剤と併用し、水素供与体として、脂肪族あるいは芳香族の単、多官能チオール化合物や芳香族アミン系化合物を用いることができる。このような水素供与体の使用量としては、着色樹脂組成物固形成分中の0.5質量%〜50質量%の範囲内、特に2質量%〜25質量%の範囲内であることが好ましい。
【0051】
その他、添加剤として、界面活性剤、消泡剤、シランカップリング剤、連鎖移動剤等を添加することができる。用いることができる界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリエステル類、3級アミン変性ポリウレタン類等を挙げることができる。
【0052】
C.カラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液の製造方法
次いで、カラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液の製造方法について説明する。
本発明の分散液の製造方法は、溶媒と、上記溶媒に分散した顔料と、上記顔料を溶媒に分散させる顔料分散剤とを有するカラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液を分散機により分散させる分散工程を有するカラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液の製造方法であって、上記分散工程において、分散中の上記カラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液の接する雰囲気が湿度50%以下であることを特徴とするものである。
【0053】
本発明においては、上記分散工程を行う際の湿度条件を上記範囲とすることにより、分散液の製造段階において生じる、溶媒中への水分の吸着を十分に阻止することができるため、顔料の分散状態が安定かつ良好な分散液を製造することができる。
このような本発明の分散液の製造方法における分散工程について、以下詳細に説明する。
【0054】
(分散工程)
本発明における分散工程とは、少なくとも、溶媒と、前記溶媒に分散した顔料と、前記顔料を溶媒に分散させる顔料分散剤とを有するカラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液を分散機により分散させる工程である。
【0055】
本工程において使用する分散機としては、一般的に顔料を溶媒中に分散させる際に使用されているものであれば特に限定はされない。具体的には、ボールミル、アトライター、サンドミル、アニュラー型分散機、ダイノミル(商品名、(株)シンマルエンタープライセス製)等のメディア撹拌型分散機;アルティマイザー((株)スギノマシン製)やYSナノマイザー(吉田機械興業(株)製)等の高圧分散機、ロールミル、超音波分散機等のメディアレス攪拌型分散機等を挙げることができる。本工程においては、中でも、サンドミルであることが好ましい。サンドミルは、顔料の超微細な分散処理を可能とするからである。なお、本工程においては、上述した分散機のうち複数の機種を組み合わせて使用してもよい。
【0056】
例えば、分散機として、サンドミル等のメディア攪拌型分散機を用いた場合、使用するメディアとしては、本発明の分散液に分散される顔料に対して粉砕力を有するものであれば特に限定はされない。具体的には、ガラス、超硬合金、鋼球、セラミック等のビーズを挙げることができる。中でも、セラミックビーズまたはガラスビーズであることが好ましく、さらには、セラミックビーズであることが好ましい。耐磨耗性、耐薬品性、耐熱性、熱伝導率等に優れ、また比重が大きいからである。
【0057】
また、上記メディアの直径は、0.01〜3mmの範囲内、中でも、0.05〜1mmの範囲内であることが好ましい。メディアの直径を小さくするほど、より微細な分散が可能と考えられるが、上記範囲よりもその直径が小さい場合には、メディアの自重が小さくなるために衝撃力が小さくなり、分散時間が多く必要となったり、分散液とメディアとの分離が困難になるなどの不具合が起き易くなる。一方、上記範囲よりもメディアの直径が大きい場合は、微細な粉砕が不十分となり、本発明のように顔料の微細化が要求される分散液においては好ましくない。
【0058】
また、メディア攪拌型分散機の処理槽における上記メディアの充填率は、50〜90容積%の範囲内、その中でも、80〜85容積%の範囲内であることが好ましい。メディアの充填率が上記範囲に満たない場合、分散効率が低下し、分散に多くの時間が必要となり経済的な分散が行えなくなるからである。また、メディアの充填率が上記範囲を超える場合、過分散を起こしやすくなり、再凝集が発生し、分散液の粘度上昇や品質低下が起きたり、起動時等における分散機に対する負荷が大きくなって分散機の損傷を招きやすくなるからである。
【0059】
本発明は、上述した分散機を用いて顔料等を溶媒中に分散させる際、湿度が所定の範囲以下である雰囲気中で行うことにより、製造段階において生じる水分の吸着を抑制するものである。このような本発明において、本工程を行う際に分散液が接する雰囲気の湿度条件としては、50%以下である必要があり、中でも、40%以下であることが好ましく、さらには、30%以下であることが最も好ましい。上記範囲よりも湿度を高くすると、雰囲気中に存在する水分量が多くなるため、上述した分散液中に存在する水分量の範囲を実現することが困難となるため好ましくない。
【0060】
このような湿度条件を実現する方法としては、湿度低減効果を有する方法であれば特に限定はされないが、具体的には、分散工程における周囲の雰囲気を除湿機によって除湿する方法、分散工程において分散中の分散液を入れる容器(例えば、供給液側の容器および吐出液を受ける容器を供給液用配管、吐出液用配管、攪拌軸用の孔を除いて密閉できる容器)内を密閉して不活性気体で満たす方法、吸湿剤を充填した容器内を通過させて吸湿した空気で満たす方法、分散中の分散液を入れる容器に吸湿剤を設置する方法等であることが好ましい。これらの方法を単独で、または組み合わせて用いることができる。
【0061】
例えば、上記湿度低減効果を有する方法のうち、不活性気体を用いる方法の場合には、不活性気体として窒素、またはヘリウム、アルゴン等の希ガス類元素の気体等を挙げることができる。このような不活性気体で本工程を行う際の雰囲気を満たすことにより、容易に湿度を所定の範囲とすることができ、製造段階で分散液内に吸着される水分量を少なくすることが可能である。
【0062】
また、吸湿剤を用いる方法の場合、使用する吸湿剤としては、特に限定されるものではないが、具体的には、酸化カルシウム、酸化バリウム(BaO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化アルミニウム(Al)、および酸化リン(例えば五酸化リン(P))、塩化カルシウム、シリカゲル、ゼオライト等を挙げることができる。中でも、シリカゲルであることが好ましい。高い湿度低減効果を得ることができ、取り扱いも簡便であるからである。
【0063】
上記吸湿剤を用いて吸湿する場合には、吸湿剤を充填した容器内を通過させることにより、空気内に含有される水分を除湿することができる。または、分散機内に設置しておくことで、分散工程を行う際の雰囲気を上記範囲の湿度条件に保つことができる。
【0064】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0065】
以下に実施例を示し、本発明をさらに説明する。なお、本発明で用いる分散機は、メディア攪拌型分散機、メディアレス攪拌型分散機のいずれも使用することができるが、以下、横型のメディア攪拌型分散機を本発明に適用した実施例について説明する。
【0066】
[実施例1]
(カラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液の作製)
顔料として、C.I.ピグメントレッド177とC.I.ピグメントレッド48:1とC.I.ピグメントイエロー83を質量比で50/30/20とし、合計で12重量部、顔料分散剤として高分子分散剤SOLSPERSE24000(商品名、ルーブリゾール社製)を6重量部、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを82重量部配合し、均一に攪拌して分散工程に供した。分散機はダイノミル(商品名、(株)シンマルエンタープライセス製)を用い、メディアである直径0.3mmのジルコニアビーズを容積比で85%充填し、周速10m/s、滞留時間30分で分散を行い、カラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液を得た。なお、分散中の分散液を受ける容器は蓋をつけて密閉できる形状とし、蓋には攪拌機の攪拌軸用の孔を設け、攪拌を行いながら分散を行った。また、分散中の分散液を受ける容器には、供給液用と吐出液用との配管を設け、それぞれ分散機の供給液側、吐出液側とに繋ぎ、さらに分散中に分散液を受ける容器内には吸湿剤としてシリカゲルを入れた容器を取り付けた。この時、分散中の分散液を受ける容器内の湿度は25%であった。
【0067】
(カラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液の各測定)
得られた分散液に対して、以下に示す各測定を行った。測定結果を表3に示す。
分散液の水分量は、カールフィッシャー測定装置により、粘度は東機産業(株)製B型粘度計(商品名:RB−80L)により、25℃で測定した。
また、ゼータ電位は大塚電子(株)製レーザーゼータ電位計 ELS−6000で、低誘電率溶剤用セルユニットEL−8291を用いて測定した。
以下、ゼータ電位の測定手順について説明する。まず、分散液をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで希釈してゼータ電位測定用試料を調製する。希釈比率は、ゼータ電位計の操作手順に従って、測定可能な濃度とした。測定は、極性を反転させて連続6回(3組)行い、平均値を算出した。
【0068】
[実施例2]
(カラーフィルタ用着色樹脂組成物の調製)
上記分散液を55重量部、バインダー樹脂として、メタクリル酸21重量部とベンジルメタクリレート70重量部を共重合させ、さらにグリシジルメタクリレート9重量部をトリエタノールアミン触媒の存在下で、付加させたもの(GCPで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量;12,000)を5重量部、感放射線性化合物としてジペンタエリスリトールペンタアクリレートを5.4重量部、光重合開始剤としてイルガキュアー907(商品名、チバスペシャルティケミカルズ社製)を2.2重量部、4,4´−ビスジエチルアミノベンゾフェノンを0.4重量部、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを32重量部を配合し、ディゾルバー型高速攪拌機で均一攪拌し、カラーフィルタ用着色樹脂組成物を得た。
【0069】
(カラーフィルタ用着色樹脂組成物の各測定)
実施例1と同様にして、得られたカラーフィルタ用着色樹脂組成物の水分量、粘度およびゼータ電位を測定した。測定結果を、表3に示す。
(着色層の形成)
清浄な表面を有するガラス基板上に、上記カラーフィルタ用着色樹脂組成物をスピンコーター(ミカサ(株)製、商品名:1H−DX2)を用いて、乾燥膜厚が1.8μmとなるように塗布し、70℃のホットプレートで3分間乾燥させてカラーフィルタ用着色樹脂層を形成した。その後、この着色樹脂層に高圧水銀灯を使用して100mJ/cmの紫外線を石英製ネガマスクを介して照射し、水酸化カリウムの0.5%水溶液で60秒間スプレー現像した。この基板をさらに230℃のクリーンオーブンで30分間加熱してパターン状の赤色着色層を得た。得られた着色層の表面の平滑性(表面粗度)をタカノ(株)製AFM(原子間力顕微鏡)で測定した。結果を表3に示す。
【0070】
[比較例1]
(カラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液の作製)
分散中の分散液を受ける容器として、ゴミの侵入を防ぐための蓋は設置されているが、密閉できる構造のものではないものを使用し、また容器内に吸湿剤の設置を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にしてカラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液を作製した。この時、分散中の分散液を受ける容器内の湿度は60%であった。
【0071】
(カラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液の各測定)
実施例1と同様にして、得られた分散液の水分量、ゼータ電位、および粘度の測定を行った。測定結果を、表3に示す。
【0072】
[比較例2]
(カラーフィルタ用着色樹脂組成物の調製およびその評価)
カラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液として、比較例1で作製したものを用いたこと以外は、実施例2と同様にしてカラーフィルタ用着色樹脂組成物を調製し、各測定を行った。測定結果を表3に示す。また得られた樹脂組成物を用いて着色層の形成を、実施例2と同様にして行った。各測定結果を表3に示す。
【0073】
【表3】

【0074】
(評価)
表3の結果から、比較例1は、実施例1と比較して、水分量が多く、ゼータ電位の絶対値の低下および粘度の上昇が見られた。また比較例2は、実施例2と比較して水分量が多く、ゼータ電位の絶対値の低下、および粘度の上昇が見られた。また、実施例2で得られた着色層の表面の平滑性は良好であった。さらに、実施例2で得られた着色層の画素パターンを、光学顕微鏡で観察したところ、ムラや欠落等がなく、また投光機を用いて観察したところ、未露光部分には残渣がなく、良好なものであった。それに対して比較例2で得られた着色層の画素パターンは、ムラがあり、表面平滑性も悪かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒と、前記溶媒に分散した顔料と、前記顔料を溶媒に分散させる顔料分散剤とを有するカラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液であって、前記カラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液のゼータ電位の絶対値が10〜200mVであり、かつ、水分量が2%以下であることを特徴とするカラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液。
【請求項2】
溶媒と、前記溶媒に分散した顔料と、前記顔料を溶媒に分散させる顔料分散剤と、前記溶媒に溶解したバインダー樹脂および感放射線性化合物とを有するカラーフィルタ用着色樹脂組成物であって、ゼータ電位の絶対値が10〜200mVであり、かつ、水分量が1.5%以下であることを特徴とするカラーフィルタ用着色樹脂組成物。
【請求項3】
溶媒と、前記溶媒に分散した顔料と、前記顔料を溶媒に分散させる顔料分散剤とを有するカラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液を分散機により分散させる分散工程を有するカラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液の製造方法であって、
前記分散工程において、分散中の前記カラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液の接する雰囲気が湿度50%以下であることを特徴とするカラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液の製造方法。
【請求項4】
前記分散工程において、分散中の前記カラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液の接する雰囲気を不活性気体で満たすことにより、湿度を50%以下とすることを特徴とする請求項3に記載のカラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液の製造方法。
【請求項5】
前記分散工程において、分散中の前記カラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液の接する雰囲気を、吸湿剤を充填させた容器内を通過させ脱湿した空気で満たすことにより、湿度を50%以下とすることを特徴とする請求項3に記載のカラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液の製造方法。
【請求項6】
前記分散工程において、分散中の前記カラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液を入れる容器に吸湿剤を設置することにより、前記カラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液の接する雰囲気を、湿度50%以下とすることを特徴とする請求項3に記載のカラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液の製造方法。
【請求項7】
前記分散工程の際、直径が0.01〜3mmであり、セラミックビーズまたはガラスビーズのメディアを用いることを特徴とする請求項3から請求項6までのいずれかの請求項に記載のカラーフィルタ用着色樹脂組成物用分散液の製造方法。

【公開番号】特開2008−3127(P2008−3127A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−169790(P2006−169790)
【出願日】平成18年6月20日(2006.6.20)
【出願人】(000183923)ザ・インクテック株式会社 (268)
【Fターム(参考)】