説明

カラー画像形成装置

【課題】黒トナーをモノクロおよびカラー印刷に使用する場合において、黒トナーとカラートナーとの帯電量の差に起因するカラー画像での色むらの発生を防止し、かつ二次転写効率の低減を抑制する。
【解決手段】中間転写ベルト10、黒画像形成ユニット1、第1〜第3カラー画像形成ユニット2〜4および中間転写ベルト10上のトナー画像を用紙に転写する二次転写ローラ8を備え、中間転写ベルト10上にて各トナー画像を重ね合わせる。黒画像形成ユニット1は、中間転写ベルト10の回転方向における複数のカラー画像形成ユニット2〜4よりも下流側、かつ二次転写ローラ8よりも上流側位置に配置され、黒トナーおよびカラートナーは、コア粒子の表面に少なくとも酸化チタン微粒子を含む外添剤が付与され、黒トナーの酸化チタン微粒子の含有量は、カラートナーの酸化チタン微粒子の含有量よりも多くなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像剤を使用する、複写機、プリンタおよびファクシミリ機等の電子写真方式による印刷機能を有するカラー画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式のカラー画像形成装置では、帯電工程、露光工程、現像工程および転写工程からなる画像形成プロセスにより用紙上にトナー画像を形成する。具体的には、帯電工程にて所定電位に帯電された感光体ドラムの表面に、露光工程にて、印刷する画像情報に応じたレーザ光を照射して静電潜像を形成し、現像工程にてこの静電潜像をトナーにより顕像化し、転写工程にて感光体ドラムのトナー画像を用紙に転写する。その後、用紙上のトナー画像は定着工程にて用紙に定着される。
【0003】
上記の画像形成プロセスを行うカラー画像形成装置としては、4回転方式とタンデム方式がよく知られている。4回転方式では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)およびシアン(C)の3色のカラートナーと黒トナー(Bk)の4種類のトナーで形成される各単色トナー画像を、単一の感光体ドラムを用いて順次形成し、これら4種類の単色トナー画像を順次重ね合わせて1枚のカラー画像を得る。このため、現像と転写を4回繰り返す必要がある。
【0004】
これに対してタンデム方式では、4種類の単色トナー画像を4つの感光体ドラムを用いて別々に形成させる。これにより、1枚のカラー画像を得るための4色の単色トナー画像についての現像および一次転写を僅かな時間差をおいてほぼ同時に行うことができる。このように、タンデム方式の画像形成装置は4回転方式と比較してカラー印刷速度を約4倍に速める利点があり、カラー画像形成装置の主流となりつつある。
【0005】
一方、カラー画像形成装置においても多数のモノクロ画像を印刷するユーザーが少なくない。このため、カラー印刷速度に優れるタンデム方式のカラー画像形成装置であっても、モノクロ画像の印刷速度がカラー画像の印刷速度を上回ることが望まれている。このような要望に対して、モノクロ画像の印刷時には黒画像形成ユニットのみを使用する構成として、モノクロ画像の印刷速度をカラー画像の印刷速度より速めたタンデム方式のカラー画像形成装置が開発されている。
【0006】
ここで、黒トナー画像を形成するための黒画像形成ユニットは、モノクロ画像の印刷に加えて、カラー画像の印刷にも使用される。その理由の一つには、カラー画像の印刷に黒トナーを使用すればカラートナーの消費量を抑えられることがある。他の理由には、カラー画像の印刷にカラートナー(シアン、マゼンタ、イエロー)と合わせて黒トナーを使用すれば、ニュートラルなグレー画像を再現できることがある。このように、黒画像形成ユニットは、モノクロ画像の印刷に加えて、カラー画像の印刷にも使用されることから、耐久性や印刷速度の面で、カラー画像形成ユニット以上の性能が求められている。
【0007】
このような要望に対して、特許文献1では、モノクロ用の感光体ドラムの膜厚をカラー用の感光体ドラムの膜厚より厚くすることが提案されている。また、特許文献2では、モノクロ用の感光体ドラムの径をカラー用の感光体ドラムの径よりも大きくすることが提案されている。
【特許文献1】特開2000−242056号公報(平成12年9月8日公開)
【特許文献2】特開2000−242057号公報(平成12年9月8日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のように、特許文献1および2に開示されている技術によれば、黒画像形成ユニットをモノクロ画像およびカラー画像の印刷に使用する構成において、黒画像形成ユニットの寿命を延ばす効果が期待できる。しかしながら次のような問題は解決することができない。すなわち、黒画像形成ユニットをモノクロ画像およびカラー画像の印刷に使用する構成において、高速で多数枚のモノクロ画像を印刷した後に続けてカラー画像を印刷する場合には、黒画像形成ユニット内の黒トナーの帯電量とカラー画像形成ユニット内のカラートナーの帯電量との差が大きくなる。このため、得られるカラー画像に色むらが生じてしまう。
【0009】
したがって、本発明は、黒トナーをモノクロ画像の印刷およびカラー画像の印刷に使用する場合において、例えば多数枚のモノクロ画像を印刷した後に続けてカラー画像を印刷するような場合であっても、カラー画像での色むらの発生を防止することができるカラー画像形成装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明のカラー画像形成装置は、電子写真方式の印刷に使用される黒トナーとカラートナーとを備え、前記黒トナーは、モノクロ印刷に使用され、かつ前記カラートナーと共にカラー印刷に使用されるカラー画像形成装置において、回転駆動される中間転写ベルトと、感光体、前記感光体に形成された静電潜像を前記黒トナーにより現像して黒トナー画像とする現像装置、および前記黒トナー画像を前記中間転写ベルトに転写する一次転写手段を有する黒画像形成手段と、感光体、前記感光体に形成された静電潜像を前記カラートナーにより現像してカラートナー画像とする現像装置、および前記カラートナー画像を前記中間転写ベルトに転写する一次転写手段を有する複数のカラー画像形成手段と、前記中間転写ベルト上の前記トナー画像を用紙に転写する二次転写手段とを備え、前記中間転写ベルト上において前記の各トナー画像を前記一次転写手段により重ね合わせて一つのカラートナー画像とし、前記黒画像形成手段は、前記中間転写ベルトの回転方向における前記複数のカラー画像形成手段よりも下流側位置、かつ前記二次転写手段よりも上流側位置に配置されており、前記黒トナーおよび前記カラートナーは、コア粒子の表面に少なくとも酸化チタン微粒子を含む外添剤が付与されたものであり、前記黒トナーの前記酸化チタン微粒子の含有量は、前記カラートナーの前記酸化チタン微粒子の含有量よりも多いことを特徴としている。
【0011】
上記の構成によれば、黒画像形成手段が中間転写ベルトの回転方向における複数のカラー画像形成手段よりも下流側位置、かつ二次転写手段よりも上流側位置に配置されているので、一次転写工程を経る回数は、黒トナーでは1回であるのに対して、カラートナーでは2回以上(少なくとも2回)となる。
【0012】
ここで、トナーは、シリカよりも抵抗の低い酸化チタン(酸化チタン微粒子)を添加することにより、帯電量の増加を抑えることができる。しかしながら、トナーは、酸化チタンの含有量(添加量)が多くなると、感光体から中間転写ベルトへ転写(一次転写)される際に、中間転写ベルトからトナーの極性とは逆の極性の電荷が注入され易くなる。このため、一次転写工程を経る毎に帯電量が減少する。この場合、トナーは、二次転写に必要な帯電量を維持できず、二次転写における転写効率が低下する。
【0013】
そこで、現像剤として、黒トナーの酸化チタン微粒子の含有量がカラートナーの酸化チタン微粒子の含有量よりも多くなっているものを使用することにより、複数の一次転写工程で起こるカラートナーへの電荷注入による帯電量の減少を抑制し、二次転写工程での転写効率の低減を抑制することができる。
【0014】
また、カラー画像形成装置において、黒トナーが連続的に使用される状況下においても、黒トナーの帯電量の著しい増加を抑えることができる。したがって、モノクロ画像の印刷とカラー画像の印刷とについての種々の動作形態、例えば多数枚のモノクロ画像を印刷した後に続けてカラー画像を印刷するといった動作形態においても、色むらのない安定したカラー画像を得ることができる。
【0015】
上記のカラー画像形成装置において、前記黒トナーの酸化チタン微粒子の含有量は、前記コア粒子100重量部に対して1重量部以上かつ3重量部以下である構成としてもよい。
【0016】
上記の構成によれば、黒トナーにおける帯電量の過度の増加や用紙に対する定着性の劣化を確実に防止することができる。
【0017】
上記のカラー画像形成装置において、前記カラートナーの酸化チタン微粒子の含有量は、前記コア粒子100重量部に対して0.3重量部以上かつ0.8重量部以下である構成としてもよい。
【0018】
上記の構成によれば、カラートナーの帯電安定性と二次転写効率(中間転写ベルトから用紙へのトナー画像の転写の効率)とを高めることができる。
【0019】
上記のカラー画像形成装置において、前記酸化チタン微粒子の体積抵抗値は、10Ω・cm以上かつ1010Ω・cm以下である構成としてもよい。
【0020】
上記の構成によれば、酸化チタン微粒子の体積抵抗値が10Ω・cm以上かつ1010Ω・cm以下であることから、カブリの低減とトナーにおける帯電量の過度の増加の防止とを両立することができる。
【0021】
上記のカラー画像形成装置において、前記外添剤はさらにシリカ微粒子を含み、前記カラートナーの前記シリカ微粒子の含有量は、前記黒トナーの前記シリカ微粒子の含有量よりも多い構成としてもよい。
【0022】
上記の構成によれば、カラートナーに含まれるシリカ微粒子の量が黒トナーに含まれるシリカ微粒子の量よりも多くなっているので、カブリとトナーにおける帯電量の過度の増加とを防止でき、これにより印刷画像の色むらを確実に防止することができる。
【0023】
上記のカラー画像形成装置において、前記黒トナーおよび前記カラートナーの前記シリカ微粒子の含有量は、トナーのコア粒子100重量部に対して、0.5重量部以上かつ3重量部以下である構成としてもよい。
【0024】
上記の構成によれば、黒トナーおよびカラートナーのカブリを確実に防止し、かつ用紙に対するトナー画像の良好な定着性を確保することができる。
【0025】
上記のカラー画像形成装置において、前記シリカ微粒子の体積抵抗値は、1011Ω・cm以上かつ1015Ω・cm以下である構成としてもよい。
【0026】
上記の構成によれば、シリカ微粒子の体積抵抗値が1011Ω・cm以上かつ1015Ω・cm以下であることから、トナーのカブリとトナーにおける帯電量の過度の増加とを防止でき、これにより印刷画像の色むらを確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0027】
以上のように、本発明のカラー画像形成装置によれば、黒トナーが連続的に使用される状況下においても、黒トナーの帯電量の著しい増加を抑えることができる。したがって、モノクロ画像の印刷とカラー画像の印刷とについての種々の動作形態、例えば多数枚のモノクロ画像を印刷した後に続けてカラー画像を印刷するといった動作形態においても、色むらのない安定したカラー画像を得ることができる。
【0028】
また、本発明のカラー画像形成装置によれば、上記の効果に加えて、一次転写工程を経る回数は、黒トナーでは1回であるのに対してカラートナーでは2回以上となるので、現像剤として、黒トナーの酸化チタン微粒子の含有量がカラートナーの酸化チタン微粒子の含有量よりも多くなっているものを使用することにより、複数の一次転写工程で起こるカラートナーへの電荷注入による帯電量の減少を抑制し、二次転写工程での転写効率の低減を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の実施の形態を図面に基づいて以下に説明する。
図1は本発明の実施の形態に係るタンデム方式のカラー画像形成装置の構成を模式的に示す断面図である。図1に示すように、カラー画像形成装置51は、黒画像形成ユニット(黒画像形成手段)1、第1カラー画像形成ユニット(カラー画像形成手段)2、第2カラー画像形成ユニット(カラー画像形成手段)3、第3カラー画像形成ユニット(カラー画像形成手段)4、中間転写ベルト装置5、定着ユニット6、中間転写ローラ(一次転写手段)7a〜7d、二次転写ローラ(二次転写手段)8、ベルトクリーニングユニット9、給紙カセット11、給紙ローラ12および排紙ローラ13を備えている。
【0030】
黒画像形成ユニット1は黒トナー(黒色トナー)を使用して黒トナー画像を形成する。第1カラー画像形成ユニット2はシアントナー(シアン色トナー)を使用してシアントナー画像を形成する。第2カラー画像形成ユニット3はマゼンタトナー(マゼンタ色トナー)を使用してマゼンタトナー画像を形成する。第3カラー画像形成ユニット4はイエロートナー(イエロー色トナー)を使用してイエロートナー画像を形成する。
【0031】
中間転写ベルト装置5は、中間転写ベルト10、駆動ローラ14および従動ローラ15を備えている。中間転写ベルト10は、駆動ローラ14と従動ローラ15とに張架されて上下の略水平な範囲を含むループ状の移動経路を形成し、進行方向Rの方向に回転するようになっている。駆動ローラ14と従動ローラ15とは、それらの軸方向をカラー画像形成装置51の前後方向とし、カラー画像形成装置51の正面から見て、一方が左右方向の一端部側に配置され、他方が左右方向の他端部側に配置されている。したがって、中間転写ベルト10はカラー画像形成装置51の前後方向を幅方向とし、左右方向を長手方向として配置されている。なお、本実施の形態において、駆動ローラ14は、カラー画像形成装置51の正面から左側位置に配置されている。中間転写ベルト10の材料としては、ポリイミドまたはポリアミド等の樹脂に電子伝導性導電材を適当量含有させたものが使用できる。
【0032】
上記画像形成ユニット1〜4は、中間転写ベルト10の下に配置され、ループ状の中間転写ベルト10における下側の移動経路を移動する表面と対向するようになっている。これら画像形成ユニット1〜4は、中間転写ベルト10の進行方向Rの下流側から、黒画像形成ユニット1、第1カラー画像形成ユニット2、第2カラー画像形成ユニット3、第3カラー画像形成ユニット4の順に中間転写ベルト10の移動方向に一列に配置されている。
【0033】
各画像形成ユニット1〜4は、静電潜像を担持する1個の感光体ドラム16a〜16dをそれぞれ備えている。各感光体ドラム16a〜16dは、中間転写ベルト10の外周面(表面)に対向する。中間転写ベルト10を介して感光体ドラム16a〜16dに対向する各位置には、1個の中間転写ローラ7a〜7dがそれぞれ配置されている。
【0034】
中間転写ローラ7a〜7dは、金属(例えばステンレス)を素材とする軸部材の表面を導電性の弾性材(例えばEPDM,発泡ウレタン等)により被覆して構成されており、導電性の弾性材によって中間転写ベルト10に均一に高電圧を印加する。なお、中間転写ローラ7a〜7dに代えて、ブラシ状の中間転写部材を用いることもできる。
【0035】
二次転写ローラ8は、中間転写ベルト10の外周面に形成されたトナー画像を用紙に転写する。この二次転写ローラ8は中間転写ベルト10を介して上記駆動ローラ14に対向して配置されている。この二次転写ローラ8の配置位置は、黒画像形成ユニット1よりも中間転写ベルト10の進行方向Rの下流側である。
【0036】
二次転写ローラ8は、金属(例えばステンレス)を素材とする軸部材の表面を導電性の弾性材(例えばEPDM,発泡ウレタン等)により被覆して構成されており、中間転写ベルト10の外周面に所定のニップ圧で圧接されている。
【0037】
ベルトクリーニングユニット9は中間転写ベルト10の外周面(表面)をクリーニングする。このベルトクリーニングユニット9は、中間転写ベルト10を介して従動ローラ15と対向して配置されている。この従動ローラ15の配置位置は、二次転写ローラ8よりも中間転写ベルト10の進行方向Rの下流側である。ベルトクリーニングユニット9は、中間転写ベルト10に接触配置されるベルトクリーニングブラシ9aと、ベルトクリーニングブレード9bとを有し、このベルトクリーニングブレード9bはベルトクリーニングブラシ9aより中間転写ベルト10の進行方向Rの下流側に配置されている。
【0038】
給紙ローラ12は給紙カセット11から供給される用紙(記録媒体)を、給紙方向Pとして示すように、二次転写ローラ8と中間転写ベルト10(駆動ローラ14)との対向位置(二次転写位置)へ搬送する。給紙ローラ12は、給紙カセット11から上記対向位置に達する用紙搬送路に複数個設けられている。
【0039】
定着ユニット6は用紙に転写されたトナー画像を定着する。定着ユニット6は給紙方向Pにおいて二次転写ローラ8の下流側に設けられている。
【0040】
排紙ローラ13は、給紙方向Pにおいて定着ユニット6の下流側に設けられ、定着ユニット6による定着処理後の用紙をカラー画像形成装置51から排紙部52上に排出する。この排紙部52はカラー画像形成装置51の上面に形成されている。
【0041】
上記構成のカラー画像形成装置51は、外部から伝達された画像データに応じて、用紙などの記録媒体上にモノクロ画像やカラー画像を形成する。カラー画像を形成する際には、カラー画像を色分解して得られる減法混色の3原色であるシアン、マゼンタ、イエローにブラックを加えた4色の各色相に対応した画像データを用いて、4つの画像形成ユニット1〜4の各感光体ドラム16a〜16d上に単色トナー画像をそれぞれ形成する。
【0042】
各画像形成ユニットの感光体ドラム16a〜16d上に形成される単色トナー画像を中間転写ベルト10の外周面に転写するために、中間転写ローラ7a〜7dにはトナーの帯電極性と逆極性の転写バイアスが印加される。これによって、感光体ドラム16a〜16dに形成された各色相のトナー画像は中間転写ベルト10の外周面に順次重なり合うように転写され、中間転写ベルト10の外周面にフルカラーのトナー画像が形成される。モノクロ画像形成時には、黒画像形成ユニット1の感光体ドラム16aのみにおいて黒トナー画像の形成が行われ、中間転写ベルト10の外周面には黒トナー画像のみが転写される。
【0043】
中間転写ベルト10の外周面に転写されたトナー画像は、中間転写ベルト10の回転によって、二次転写ローラ8との対向位置に搬送される。そして、給紙カセット11から供給された用紙が二次転写ローラ8と中間転写ベルト10との間を通過する際に、二次転写ローラ8にトナーの帯電極性とは逆極性の高電圧が印加される。これによって、中間転写ベルト10の外周面から用紙の表面にトナー画像が転写される。
【0044】
また、感光体ドラム16a〜16dから中間転写ベルト10に転写されたトナーのうち、用紙上に転写されずに中間転写ベルト10上に残存したトナーは、次工程での混色を防止するために、ベルトクリーニングユニット9によって回収される。
【0045】
トナー画像が転写された用紙は、定着ユニット6に導かれ、定着ユニット6が備える加熱ローラと加圧ローラとの間を通過して加熱および加圧を受ける。これによって、トナー画像が、用紙の表面に強固に定着する。トナー画像が定着した用紙は、排紙ローラ13によって排紙部52に排出される。
【0046】
図2は、図1に示した各画像形成ユニット1〜4の構成を模式的に示す断面図である。黒画像形成ユニット1および第1〜第3カラー画像形成ユニット2〜4の構成は、現像剤が異なる点を除き実質的に同じである。したがって、図2では、感光体ドラム16a〜16dを感光体ドラム16として、各画像形成ユニット1〜4の構成を共通のものとして示している。
【0047】
画像形成ユニット1〜4は、感光体ドラム16を備えるとともに、感光体ドラム16の周囲に配置された帯電器18、レーザ露光器19、現像装置17および感光体ドラムクリーナ20を備えている。これら感光体ドラム16の周囲の各手段は、上記の順序で感光体ドラム16の回転方向Rdに配置されている。
【0048】
帯電器18は、非接触方式の帯電チャージャー(スコロトロン)からなり、感光体ドラム16に対しコロナ放電を行って感光体ドラム16を所定の電位に帯電させる。なお、帯電器18には、帯電チャージャーに代えて帯電ローラや帯電ブラシを用いることも可能である。
【0049】
レーザ露光器19は感光体ドラム16上に静電潜像を書き込む。このレーザ露光器19は、半導体レーザを備えており、画像信号に応じたレーザ走査による露光を行い、帯電器18によって帯電された感光体ドラム16の表面電位を変化させることで、感光体ドラム16の表面に画像情報に応じた静電潜像を形成する。
【0050】
現像装置17は感光体ドラム16上の静電潜像をトナーにより可視化する。この現像装置17は、現像槽21、現像ローラ22、撹拌ローラ23、規制ブレード24およびトナー濃度センサ25を備え、トナーとキャリアからなる2成分現像剤を収容する。
【0051】
現像槽21は内部の空間を有するほぼ角柱状の容器部材であり、現像ローラ22と撹拌ローラ23を回転自在に支持し、規制ブレード24とトナー濃度センサ25を直接的に保持する。また、現像槽21の上面には、図示しないトナー補給口が形成されている。このトナー補給口は、画像形成装置の背面部に設けられるトナー供給パイプ(図示しない)を介してトナーを収容するトナーカートリッジ(図示しない)と連通しており、現像槽21内のトナー濃度が低下した時に、トナー濃度センサ25の検知結果に応じて、現像槽21内にトナーが補給される。
【0052】
現像ローラ22は、現像槽21に回転自在に支持され、図示しない駆動手段によって軸心回りに回転駆動されるローラ状部材である。この現像ローラ22は、現像槽21の開口部26を介して感光体ドラム16に対向する。また、現像ローラ22は、感光体ドラム16に対して所定の間隙を有するように設けられている。現像ローラ22と感光体ドラム16との最近接部分は現像ニップ部であり、この現像ニップ部において、現像ローラ22表面の図示しない現像剤層から感光体ドラム16表面の静電潜像にトナーが供給される。現像ニップ部では、現像ローラ22に接続される図示しない電源から現像ローラ22に対して現像バイアス電圧が印加され、トナーは現像ローラ22表面の現像剤層から感光体ドラム16表面の静電潜像へ移行する。
【0053】
感光体ドラムクリーナ20は感光体ドラム16上の残トナーを除去する。すなわち、転写後に感光体ドラム16の表面に残留したトナーは、感光体ドラムクリーナ20により感光体ドラム16上から取り除かれる。この感光体ドラムクリーナ20は、クリーニングブレード27、クリーナハウジング28およびシール29とを備えている。クリーニングブレード27は、感光体ドラム16の回転方向Rdに対してカウンタ方向に圧接配置されている。クリーナハウジング28は、クリーニングブレード27が取り付けられると共にクリーニングブレード27によって掻き取られた残トナーを収容する。シール29は、クリーニングブレード27よりも感光体ドラム16の回転方向Rd上流側で一端がクリーナハウジング28に固定され、他端が感光体ドラム16に接触配置されている。
【0054】
図3は、図1のカラー画像形成装置における中間転写ベルト装置5付近の構成を示す縦断面図である。中間転写ベルト装置5には、中間転写ローラ移動機構53およびテンション付与機構54が設けられている。さらに、中間転写ローラ移動機構53は、第1移動機構30と第2移動機構40とを備えている。
【0055】
中間転写ベルト10の外周面は下側の移動経路において4つの感光体ドラム16a〜16dに対向している。中間転写ローラ7a〜7dは、中間転写ベルト10におけるループ状の移動経路の内側に設けられ、上下方向(Y−Y方向)に移動自在となっている。したがって、各中間転写ローラ7a〜7dは、対向する感光体ドラム16a〜16dに対して近接方向および離間方向に移動可能である。また、中間転写ローラ7a〜7dは、所定の弾性力で上方、すなわち上記離間方向に付勢されている。
【0056】
中間転写ベルト10におけるループ状の移動経路の内側には、テンション付与機構54を構成する、モノクロ用第1偏心カム31およびカラー用第1偏心カム41が配置されている。また、中間転写ローラ移動機構53を構成する、モノクロ用第2偏心カム32、カラー用第2偏心カム42、モノクロ用カムフォロワ34、カラー用カムフォロワ44および伝達部材35a〜35dが配置されている。
【0057】
また、モノクロ用第2偏心カム32、モノクロ用カムフォロワ34および伝達部材35aは第1移動機構30を構成しており、カラー用第2偏心カム42、カラー用カムフォロワ44および伝達部材35b〜35dは第2移動機構40を構成している。
【0058】
モノクロ用第1偏心カム31とモノクロ用第2偏心カム32とは、同一のカム回転軸33を中心に一体的に回転する。また、カラー用第1偏心カム41とカラー用第2偏心カム42とは、同一のカム回転軸43を中心に一体的に回転する。カム回転軸33,43は、駆動ローラ14および従動ローラ15の回転軸と平行に配置されている。
【0059】
第1移動機構30において、モノクロ用カムフォロワ34は、水平方向(X−X方向)に移動自在であり、かつ図示しない弾性部材によりモノクロ用第2偏心カム32側に付勢されている。これにより、X方向側の端部がモノクロ用第2偏心カム32の周面に当接している。
【0060】
伝達部材35aは、モノクロ用カムフォロワ34に上下方向に移動自在に支持されており、スプリング36aにより下方に付勢されている。伝達部材35aの下端縁部には、中間転写ローラ7aに嵌合可能な凹部35aa(第2の保持部)と凹部35ab(第1の保持部)とが上下方向および水平方向の異なる位置に形成されている。
【0061】
上記構成の第1移動機構30では、モノクロ用第2偏心カム32が回転すると、モノクロ用カムフォロワ34が伝達部材35aとともに水平方向に変位し、伝達部材35aの凹部35aaまたは凹部35abのいずれか一方が中間転写ローラ7aの上部と嵌合する。この場合、中間転写ローラ7aは上方に付勢されているので、中間転写ローラ7aの上下位置は伝達部材35aによって規定される。すなわち、モノクロ用第2偏心カム32の回転により、中間転写ローラ7aが相対的に上下方向位置の異なる凹部35aaと凹部35abとのいずれと嵌合するかに応じて、中間転写ローラ7aの上下位置が変化し、中間転写ローラ7aは感光体ドラム16aに対して近接または離間する。
【0062】
第2移動機構40においても第1移動機構30と同様である。すなわち、第2移動機構40において、カラー用カムフォロワ44は、水平方向に移動自在であり、かつ図示しない弾性部材よりカラー用第2偏心カム42側に付勢されている。これにより、X方向側の端部がカラー用第2偏心カム42の周面に当接している。
【0063】
伝達部材35b〜35dは、カラー用カムフォロワ44に上下方向に移動自在に支持されており、スプリング36b〜36dにより下方に付勢されている。伝達部材35b〜35dの下端縁部には、対応する中間転写ローラ7b〜7dに嵌合可能な凹部35ba,35bb、凹部35ca,35cbもしくは凹部35da,35dbが上下方向および水平方向の異なる位置に形成されている。凹部35ba,35ca,35daは第2の保持部に相当し、凹部35bb,35cb,35dbは第1の保持部に相当する。
【0064】
上記構成の第2移動機構40では、カラー用第2偏心カム42が回転すると、カラー用カムフォロワ44が伝達部材35b〜35dとともに水平方向に変位し、伝達部材35b〜35dの凹部35ba〜35daまたは凹部35bb〜35dbの一方が中間転写ローラ7b〜7dの上部と嵌合する。この場合、中間転写ローラ7b〜7dは上方に付勢されているので、中間転写ローラ7b〜7dの上下位置は伝達部材35b〜35dによって規定される。すなわち、カラー用第2偏心カム42の回転により、中間転写ローラ7b〜7daが相対的に上下方向位置の異なる凹部35ba〜35daと凹部35bb〜35dbとのいずれと嵌合するかに応じて、中間転写ローラ7b〜7dの上下位置が変化し、中間転写ローラ7b〜7dは感光体ドラム16b〜16dに対して近接はたは離間する。
【0065】
また、モノクロ用第1偏心カム31およびカラー用第1偏心カム41が回転すると、その周面は、上側の移動経路における中間転写ベルト10の内周面に接触する。したがって、モノクロ用第1偏心カム31およびカラー用第1偏心カム41の周面は、モノクロ用第2偏心カム32、カラー用第2偏心カム42の回転による中間転写ローラ7a〜7dの上下方向の移動に応じて、中間転写ベルト10の内周面と接触する。
【0066】
図4(A)から図4(C)は、中間転写ローラ移動機構53およびテンション付与機構54の動作に伴い、中間転写ベルト10の移動経路が変化している状態を示す説明図である。図4(A)は、テンション付与機構54におけるモノクロ用第1偏心カム31とカラー用第1偏心カム41とが中間転写ベルト10に作用している第1の状態を示す説明図である。図4(B)は、テンション付与機構54におけるカラー用第1偏心カム41、および中間転写ローラ移動機構53の第1移動機構30(中間転写ローラ7a)が中間転写ベルト10に作用している第2の状態を示す説明図である。図4(C)は、中間転写ローラ移動機構53における第1移動機構30(中間転写ローラ7a)および第2移動機構40(中間転写ローラ7b〜7d)が中間転写ベルト10に作用している第3の状態を示す説明図である。
【0067】
図4(A)に示す第1の状態は、カラー画像形成装置51における画像形成動作の待機時の状態に相当する。この第1の状態、すなわち画像形成動作の待機時には、第1移動機構30において、モノクロ用第2偏心カム32の周面におけるカム回転軸33から最も離れた部分にモノクロ用カムフォロワ34が当接する。これにより、伝達部材35aの上側の凹部35aaが中間転写ローラ7aの上方に位置し、中間転写ローラ7aは感光体ドラム16aおよび中間転写ベルト10から離間している。これとともに、テンション付与機構54におけるモノクロ用第1偏心カム31の周面におけるカム回転軸33から最も離れた部分がカム回転軸33の鉛直上方に位置し、中間転写ベルト10の内周面に当接して中間転写ベルト10を上方に持ち上げている。
【0068】
同様に、第2移動機構40において、カラー用第2偏心カム42の周面におけるカム回転軸43から最も離れた部分にカラー用カムフォロワ44が当接する。これにより、伝達部材35b〜35dの上側の凹部35ba〜35daが中間転写ローラ7b〜7dの上方に位置し、中間転写ローラ7b〜7dは感光体ドラム16b〜16dおよび中間転写ベルト10から離間している。これとともに、テンション付与機構54におけるカラー用第1偏心カム41の周面におけるカム回転軸43から最も離れた部分がカム回転軸43の鉛直上方に位置し、中間転写ベルト10の内周面に当接して中間転写ベルト10を持ち上げている。
【0069】
このように、画像形成動作の待機時において、中間転写ベルト10の移動経路における上側の範囲はモノクロ用第1偏心カム31およびカラー用第1偏心カム41によって上方に押し上げられている。これにより、中間転写ベルト10は緩みが生じない状態に保持されている。また、移動経路における下側の範囲は、中間転写ローラ7aが上方に離間していることから、従動ローラ15の周面を離れた後に駆動ローラ14の周面に接触するまでの間で水平になっている。したがって、中間転写ベルト10は感光体ドラム16a〜16dおよび中間転写ローラ7a〜7dの何れにも接触しない。
【0070】
図4(B)に示す第2の状態は、画像形成装置51におけるモノクロ画像形成時の状態に相当する。この第2の状態、モノクロ画像形成時には、第1移動機構30において、モノクロ用第2偏心カム32の周面におけるカム回転軸33から最も近い部分にモノクロ用カムフォロワ34が当接する。これにより、伝達部材35aの下側の凹部35abが中間転写ローラ7aの上方に位置し、中間転写ローラ7aは感光体ドラム16aに接近し、中間転写ベルト10を挟んで感光体ドラム16aに当接している。これとともに、テンション付与機構54におけるモノクロ用第1偏心カム31の周面におけるカム回転軸33から最も近い部分がカム回転軸33の鉛直上方に位置し、中間転写ベルト10の内周面から離間している。
【0071】
同様に、第2移動機構40において、カラー用第2偏心カム42の周面におけるカム回転軸43から最も離れた部分にカラー用カムフォロワ44が当接する。これにより、伝達部材35b〜35dの上側の凹部35ba〜35daが中間転写ローラ7b〜7dの上方に位置し、中間転写ローラ7b〜7dは感光体ドラム16b〜16dおよび中間転写ベルト10から離間している。これとともに、テンション付与機構54におけるカラー用第1偏心カム41の周面におけるカム回転軸43から最も離れた部分がカム回転軸43の鉛直上方に位置し、中間転写ベルト10の内周面に当接して中間転写ベルト10を持ち上げている。
【0072】
このように、モノクロ画像形成時において、中間転写ベルト10の移動経路における上側の範囲はカラー用第1偏心カム41によって上方に押し上げられている。これにより、中間転写ベルト10は緩みが生じない状態に保持されている。また、中間転写ベルト10の移動経路における下側の範囲は、中間転写ローラ7aに押されて感光体ドラム16aに当接している。また、中間転写ローラ7b〜7dは中間転写ベルト10に対して上方に離間している。したがって、中間転写ベルト10は移動経路における下側の範囲において、従動ローラ15の周面を離れると感光体ドラム16b〜16dおよび中間転写ローラ7b〜7dに接触することなく移動した後、感光体ドラム16aおよび中間転写ローラ7aの周面に当接し、その後に駆動ローラ14の周面に接触する。
【0073】
図4(C)に示す第1の状態は、カラー画像形成装置51におけるカラー画像形成時の状態に相当する。この第2の状態、すなわちカラー画像形成時には、第1移動機構30において、モノクロ用第2偏心カム32の周面におけるカム回転軸33から最も近い部分にモノクロ用カムフォロワ34が当接し、伝達部材35aの下側の凹部35abが中間転写ローラ7aの上方に位置し、中間転写ローラ7aは感光体ドラム16aに接近、中間転写ベルト10を挟んで感光体ドラム16aに当接している。これとともに、テンション付与機構54におけるモノクロ用第1偏心カム31の周面におけるカム回転軸33から最も近い部分がカム回転軸33の鉛直上方に位置し、中間転写ベルト10の内周面から離間している。
【0074】
同様に、第2移動機構40において、カラー用第2偏心カム42の周面におけるカム回転軸43から最も近い部分にカラー用カムフォロワ44が当接する。これにより、伝達部材35b〜35dの下側の凹部35bb〜35dbが、中間転写ローラ7b〜7dの上方に位置し、中間転写ローラ7b〜7dは感光体ドラム16b〜16dに接近し、中間転写ベルト10を挟んで感光体ドラム16b〜16dに当接している。これとともに、テンション付与機構54におけるカラー用第1偏心カム41の周面におけるカム回転軸43から最も近い部分がカム回転軸43の鉛直上方に位置し、中間転写ベルト10の内周面から離間している。
【0075】
このように、カラー画像形成時において、中間転写ベルト10の移動経路における上側の範囲は、駆動ローラ14の周面を離れた後に従動ローラ15の周面に達するまでモノクロ用第1偏心カム31,カラー用第1偏心カム41のいずれにも接触せず、水平に移動する。また、中間転写ベルト10の移動経路における下側の範囲は、中間転写ローラ7a〜7dに押されて感光体ドラム16a〜16dに当接する。したがって、中間転写ベルト10は移動経路における下側の範囲において従動ローラ15の周面を離れると感光体ドラム16a〜16dおよび中間転写ローラ7a〜7dの周面に当接した後に駆動ローラ14の周面に接触する。
【0076】
以上のように、カラー画像形成装置51では、画像形成動作の内容に応じたテンション付与機構54および中間転写ローラ移動機構53の動作(モノクロ用第1偏心カム31,カラー用第1偏心カム41およびモノクロ用第2偏心カム32,カラー用第2偏心カム42の回転)に基づいて、中間転写ベルト10の移動経路が第1〜第3の状態に変化する。この場合、中間転写ベルト10は、移動方向について殆ど伸縮しないため、第1〜第3の状態のいずれにおいても移動経路の全長が常に一定に維持されるように、モノクロ用第1偏心カム31、カラー用第1偏心カム41の形状、およびカム回転軸33、カム回転軸43の配置位置が決定されている。
【0077】
このような中間転写ローラ移動機構と中間転写ベルト接離機構を備えることにより、カラー画像の形成が不要なモノクロ画像を印刷する際にカラー画像形成ユニット(感光体ドラム16b〜16d)から中間転写ベルト10を離間することができるので、中間転写ベルトの磨耗や消耗を防ぐことができる。
【0078】
図5(A)はカラー画像形成装置51におけるモノクロ用第1偏心カム31およびモノクロ用第2偏心カム32の正面図であり、図5(B)は同側面図である。なお、図5(B)では、モノクロ用第1偏心カム31およびモノクロ用第2偏心カム32をモータM1にて回転させる構成について示しているが、カラー画像形成装置51は、カラー用第1偏心カム41およびカラー用第2偏心カム42をモータM2により回転させる構成も同様に備えている。以下では、モノクロ用第1偏心カム31およびモノクロ用第2偏心カム32を例として説明する。
【0079】
モノクロ用第1偏心カム31は、上記のように、周面を中間転写ベルト10の内周面の一部に当接させるものであり、軸方向の長さが中間転写ベルト10の幅に略等しくされている。また、軸方向の中央部の径Dcは両端部の径Deよりも大きくされており、かつ軸方向における中心線Lmについて対称形状にされている。
【0080】
モノクロ用第1偏心カム31は、その周面から中間転写ベルト10の全幅に当接力を作用させることができる。中間転写ベルト10には、モノクロ用第1偏心カム31の上記形状により、モノクロ用第1偏心カム31と接触している状態での回転移動時に、幅方向(モノクロ用第1偏心カム31の軸方向)の両端部から中央部に向う力が作用する。これにより、中間転写ベルト10が高速で回転移動した場合にも、中間転写ベルト10に蛇行を生じることがなく、中間転写ベルト10を安定して回転移動させることができる。
【0081】
モノクロ用第1偏心カム31の軸方向の両端部からはカム回転軸33が突出しており、このカム回転軸33の両端部にモノクロ用第2偏心カム32が固定されている。カム回転軸33はモノクロ用第2偏心カム32を貫通しており、モータM1の回転軸が接続されている。モータM1の駆動により、モノクロ用第1偏心カム31とモノクロ用第2偏心カム32とが一体的に回転する。モノクロ用第2偏心カム32は中間転写ベルト10の前面側および背面側の両方の位置に設けられている。したがって、モノクロ用第2偏心カム32は、前述のモノクロ用カムフォロワ34および伝達部材35aを介して、中間転写ローラ7aを安定して移動させることができる。
【0082】
次に、本実施の形態のカラー画像形成装置51に用いるトナーついて説明する。
図6は本実施の形態のトナー61を示す概略の説明図である。同図に示すように、トナー61は、コア粒子62の表面に外添剤63として酸化チタン微粒子とシリカ微粒子とが付与されたものである。また、黒トナーに含まれる酸化チタン微粒子の含有量が、カラートナーに含まれる酸化チタン微粒子の含有量より多くなっている。
【0083】
トナーは、キャリア(1成分現像方式の場合は帯電付与部材)と接触することにより帯電し、図2に示す現像装置17での攪拌時間(接触時間)が長くなるに従って帯電量が増加する傾向がある。トナー粒子表面には、トナーの凝集防止や流動性向上等を目的として上記シリカ微粒子などの外添剤が添加されている。この外添剤は、キャリア粒子とトナー粒子との間の電荷移動に直接的に関与するため、トナーの帯電量に与える影響が大きい。
【0084】
特に、カラー画像形成装置51に用いられるトナーには、低温定着性や光沢性を向上させるために柔らかいトナー粒子が使用されている。したがって、トナーの凝集防止や流動性向上の効果を得るために、上記外添剤はトナー表面を被覆できる程に多量に添加されている。このため、上記外添剤はトナー帯電量への影響が非常に大きくなっている。
【0085】
トナーの凝集防止や流動性向上等を目的とする外添剤には、絶縁性(電気抵抗)や疎水性(吸湿性)が高いといった利点があることから、一般にシランカップリング剤で疎水化処理を施したシリカ微粒子が用いられる。トナーは、絶縁性の高いシリカ微粒子を外添剤として多量に使うと、感光体ドラム16の表面からトナー粒子への電荷注入に起因するカブリが発生しにくくなる。しかしながら、現像槽21内部で攪拌される時間が長くなるにつれて帯電量が過度に増加(チャージアップ)する。このため、十分な画像濃度を得ることができなくなる。
【0086】
一方、トナーは、トナー粒子の表面にシリカ微粒子よりも電気抵抗の低い酸化チタンを添加することにより、チャージアップ(帯電量の過度の増加)を抑えることができる。しかしながら、多くの酸化チタンを外添されたトナーは、感光体ドラム16から中間転写ベルト10へ転写する際に、中間転写ベルト10からトナーの極性とは逆の極性の電荷が注入されやすく、一次転写工程を経る毎に帯電量が低下する。このため、上記トナーは、二次転写に必要な帯電量を維持できず、二次転写における転写効率が低くなるといった欠点がある。なお、トナーの一次転写工程とは感光体ドラム16から中間転写ベルト10への転写工程であり、二次転写工程とは中間転写ベルト10から用紙への転写工程である。
【0087】
そこで、本実施の形態のカラー画像形成装置51では、黒画像形成ユニット1を第1〜第3カラー画像形成ユニット2〜4よりも中間転写ベルト10の移動方向における下流側位置(黒トナーの一次転写工程が1回のみとなる位置)に配置し、かつ酸化チタン微粒子の添加量を相対的に黒トナーでは多くし、カラートナーでは少なくしている。言い換えると、モノクロ画像の形成時とカラー画像の形成時の両方で使用される使用頻度の高い黒トナーは、酸化チタン含有量を多くしてチャージアップを抑えるとともに、黒トナーを使用する黒画像形成ユニット1は一次転写工程の最も少ない位置に配置する。一方、少なくとも2回以上の一次転写工程を経るカラートナーは、酸化チタン含有量を少なくする。これにより、カラートナーの二次転写効率の低下を防ぐようにしている。
【0088】
上記構成により、多数枚のモノクロ画像を印刷した後にカラー画像を印刷する場合など、モノクロ画像の印刷が極端に多い場合においても、カラー画像印刷に使用する黒トナーの帯電量の過度の増加、すなわち黒トナーの帯電量とカラートナーの帯電量との差の増大に起因するカラー画像の色むらの防止と、カラートナーの帯電量の減少に起因する二次転写効率の低下の防止とを両立させることができる。
【0089】
本発明に使用できる酸化チタンとしては、平均粒径が0.007〜0.03μmの酸化チタン微粒子の表面をシランカップリング剤、チタンカップリング剤、あるいはシリコーンオイルによって疎水化処理をした酸化チタン微粒子である。
【0090】
酸化チタン微粒子の体積抵抗値としては、プレス圧力100kg/cmで作製した5mm〜10mm圧粉体(気温20℃、湿度65%)を電界強度10000V/cmとして測定した時の体積抵抗値が、10Ω・cm以上かつ1010Ω・cm以下となる酸化チタン微粒子が好ましい。体積抵抗値が、10Ω・cm未満であると、カブリが発生しやすくなり、1010Ω・cmを超えるとチャージアップしやすくなる。
【0091】
酸化チタン微粒子の体積抵抗値は、酸化チタン微粒子表面をシランカップリング剤等で処理することにより制御することができる。シランカップリング剤としては、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザンを代表的なものとして例示することができる。
【0092】
黒トナーにおいては、トナーのコア粒子100重量部に対して酸化チタン微粒子を1重量部以上かつ3重量部以下添加するのが好ましい。すなわち、添加される酸化チタン微粒子の量が1重量部未満では、多数枚のモノクロ画像を印刷した後に、続いてカラー画像を印刷する時に、黒トナーのチャージアップに起因する色むらが生じやすくなり、3重量部を超えると定着性が劣化する傾向がある。したがって、黒トナーのチャージアップや定着性劣化の防止を高いレベルで満足させるためには、上記のように1重量部以上かつ3重量部以下とするのがよい。
【0093】
一方、カラートナーにおいては、第1〜第3カラー画像形成ユニット2〜4が黒画像形成ユニット1よりも中間転写ベルト10の移動方向における上流側位置に配置されているという位置関係から、一次転写工程を経る回数は黒トナーよりも多くなる。例えば、第3カラー画像形成ユニット4にて使用されるイエロートナーでは4回の一次転写工程を経る。
【0094】
上記のように、カラートナーの酸化チタン微粒子の含有量が多い場合には、帯電量増加を抑える効果を期待できる一方、各画像形成ユニットの一次転写毎に中間転写ベルト10からの電荷注入が起こる。この結果、二次転写において最適な帯電量を維持することができなくなり、二次転写における転写効率が低下する。
【0095】
したがって、カラートナーにおける酸化チタン微粒子の含有量は、黒トナーにおける酸化チタン微粒子の含有量よりも少ないことが好ましい。また、酸化チタン微粒子の含有量(添加量)は、カラートナーのコア粒子100重量部に対して0.3重量部以上かつ0.8重量部以下とすることがさらに好ましい。すなわち、カラートナーに添加される酸化チタン微粒子の量が0.3重量部未満では、カラートナーの帯電量が不安定になりやすく、また、0.8重量部を超えると二次転写における転写効率が低下する傾向がある。したがって、カラートナーの帯電安定性や二次転写効率を高いレベルで満足させるためには、上記のように0.3重量部以上かつ0.8重量部以下とするのがよい。
【0096】
なお、酸化チタン微粒子は、トナー粒子と一緒にヘンシェルミキサ等の高速混合機で混合することによって、トナー粒子表面に外添することができる。
【0097】
さらに、本実施の形態において、トナーには、トナーの凝集防止や流動性向上、あるいはトナー粒子への電荷注入を抑える目的で、シリカ微粒子を外添することが好ましい。黒トナーのシリカ微粒子の含有量としては、トナーのコア粒子100重量部に対してシリカ微粒子を0.5重量部以上かつ3重量部以下添加するのが好ましい。すなわち、添加されるシリカ微粒子の量が0.5重量部未満では、感光体ドラムからの電荷注入(カブリの原因)を抑制する効果が得られにくく、3重量部を超えると定着性が劣化する傾向がある。したがって、黒トナーのカブリ防止や定着性を高いレベルで満足させるためには、上記のように0.3重量部以上かつ0.8重量部以下とするのがよい。
【0098】
また、カラートナーのシリカ微粒子の含有量としては、カラートナーのコア粒子100重量部に対してシリカ微粒子を0.5重量部以上かつ3重量部以下添加することが好ましい。すなわち、添加されるシリカ微粒子の量が0.5重量部未満では、電荷注入を抑制する効果が得られにくく、3重量部を超えると定着性が劣化する傾向がある。したがって、カラートナーのカブリ防止や定着性を高いレベルで満足させるためには、上記のように0.5重量部以上かつ3重量部以下とするのがよい。
【0099】
上記シリカ微粒子としては、平均粒径が0.007〜0.05μmのシリカ微粒子の表面をシランカップリング剤、チタンカップリング剤、あるいはシリコーンオイルによって疎水化処理をしたシリカ微粒子が使用できる。
【0100】
上記シリカ微粒子の体積抵抗値としては、プレス圧力100kg/cmで作製した5mm〜10mm圧粉体(気温20℃、湿度65%)を電界強度10000V/cmとして測定した時の体積抵抗値が、1011Ω・cm以上かつ1015Ω・cm以下となるシリカ微粒子が好ましい。すなわち、上記体積抵抗値が1011Ω・cm未満であると、電荷注入を抑制する効果が得られにくく、1015Ω・cmを超えるとトナーの帯電量が非常に上昇する傾向がある。したがって、カブリ防止やチャージアップによる色むら防止を高いレベルで満足させるために、上記体積抵抗値は1011Ω・cm以上かつ1015Ω・cm以下であることが好ましい。
【0101】
シリカ微粒子の体積抵抗値は、シリカ微粒子表面をシランカップリング剤等で処理することにより制御することができる。シランカップリング剤としては、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザンを代表的なものとして例示することができる。
【0102】
本実施の形態において、トナーは、粉砕法や重合法などの公知の方法で製造することができる。一例として粉砕法では、バインダー樹脂、着色剤、帯電制御剤、離型剤等を、ヘンシェルミキサやスーパーミキサなどの気流混合機により混合し、得られる原料混合物を2軸混練機などの混練機により70〜180℃程度の温度にて溶融混練する。そして得られる混練物を冷却固化し、固化物をジェットミルなどのエア式粉砕機により粉砕し、必要に応じて分級などの粒度調整を行うことにより、体積平均粒径が4〜15μmの着色樹脂粒子(コア粒子)を得ることができる。
【0103】
本実施の形態において、トナーの上記バインダー樹脂としては、公知の各種スチレン・アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂などを使用できるが、特に線形または非線形のポリエステル樹脂が好ましい。ポリエステル樹脂は、機械的強度(微粉の発生しにくさ)、定着性(定着後の用紙からの剥離のしにくさ)、および耐ホットオフセット性を満足する上で優れている。
【0104】
ポリエステル樹脂は、2価以上の多価アルコールと多塩基酸、および必要に応じて3価以上の多価アルコールあるいは多塩基酸からなるモノマー組成物を重合することにより得られる。ポリエステル樹脂の重合に用いられる2価のアルコールとしては、たとえばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどのジオール類、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールAなどのビスフェノールAアルキレンオキシド付加物、その他を挙げることができる。
【0105】
3価以上の多価アルコールとしては、たとえばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、蔗糖、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン、その他を挙げることができる。
【0106】
2価の多塩基酸としては、たとえばマレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、これらの酸の無水物、低級アルキルエステル、またはn−ドデセニルコハク酸、n−ドデシール29コハク酸などのアルケニルコハク酸類もしくはアルキルコハク酸類を挙げることができる。
【0107】
3価以上の多塩基酸としては、たとえば1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシール292−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、およびこれらの無水物などを挙げることができる。
【0108】
本実施の形態において、トナーの上記着色剤としては、トナーに一般に用いられている公知の顔料や染料を使用することができる。黒トナー用には、カーボンブラックやマグネタイトなどを挙げることができる。
【0109】
イエロートナー用としては、C.I.ピグメント・イエロー1、同3、同74、同97、同98等のアセト酢酸アリールアミド系モノアゾ黄色顔料、C.I.ピグメント・イエロー12、同13、同14、同17等のアセト酢酸アリールアミド系ジスアゾ黄色顔料、C.I.ピグメント・イエロー93、同155等の縮合モノアゾ系黄色顔料;C.I.ピグメント・イエロー180、同150、同185等のその他黄色顔料などを例示できる。
【0110】
マゼンタトナー用としては、C.I.ピグメント・レッド48、同49:1、同53:1、同57、同57:1、同81、同122、同5、同146、同184、同238;C.I.ピグメント・バイオレット19等の赤色もしくは紅色顔料などを例示できる。
【0111】
シアントナー用としては、C.I.ピグメント・ブルー15:3、同15:4等の銅フタロシアニンおよびその誘導体の青色系染顔料;C.I.ピグメント・グリーン7、同36(フタロシアニン・グリーン)等の緑色顔料などを例示できる。
【0112】
着色剤の含有量は、バインダー樹脂100重量部に対して1〜15重量部程度であることが好ましく、より好ましくは2〜10重量部である。
【0113】
本実施の形態において、トナーの上記帯電制御剤としては、公知の帯電制御剤を使用できる。具体的には、負帯電性を付与する帯電制御剤としては、クロムアゾ錯体染料、鉄アゾ錯体染料、コバルトアゾ錯体染料、サリチル酸もしくはその誘導体のクロム・亜鉛・アルミニウム・ホウ素錯体もしくは塩化合物、ナフトール酸もしくはその誘導体のクロム・亜鉛・アルミニウム・ホウ素錯体もしくは塩化合物、ベンジル酸もしくはその誘導体のクロム・亜鉛・アルミニウム・ホウ素錯体もしくは塩化合物、長鎖アルキル・カルボン酸塩、長鎖アルキル・スルフォン酸塩などを使用できる。
【0114】
また、正荷電性トナー用帯電制御剤としては、ニグロシン染料、およびその誘導体、トリフェニルメタン誘導体、四級アンモニウム塩、四級ホスフォニウム塩、四級ピリジニウム塩、グアニジン塩、アミジン塩等の誘導体などを挙げることができる。
【0115】
これらの帯電制御剤の含有量は、バインダー樹脂100重量部に対して0.1重量部〜20重量部の範囲内がより好ましく、0.5重量部〜10重量部の範囲内がさらに好ましい。
【0116】
本実施の形態において、トナーの上記離型剤としては、ポリプロピレン,ポリエチレン等の合成ワックスやパラフィンワックスおよびその誘導体,マイクロクリスタリンワックスおよびその誘導体等の石油系ワックスおよびその変成ワックス,カルナウバワックス,ライスワックス,キャンデリラワックス等の植物系ワックスなどを使用できる。離型剤をトナー中に含有させることにより、定着ローラまたは定着ベルトに対するトナーの離型性を高めることができ、定着時の高温・低温オフセットを防止することができる。
【0117】
本実施の形態において、現像剤のキャリアとしては、磁性を有するコア粒子表面にコート剤を表面被覆した重量平均粒径が30〜100μm、飽和磁化が30〜100emu/gの磁性粒子が使用される。
【0118】
上記コア粒子としては公知の磁性粒子を使用できるが、帯電性や耐久性の点でフェライト系粒子が好ましい。フェライト系粒子としては公知のものを使用でき、たとえば、亜鉛系フェライト、ニッケル系フェライト、銅系フェライト、ニッケル−亜鉛系フェライト、マンガン−マグネシウム系フェライト、銅−マグネシウム系フェライト、マンガン−亜鉛系フェライト、マンガン−銅−亜鉛系フェライトなどが挙げられる。これらのフェライト系粒子は、原料を混合し、仮焼および粉砕を経た後に焼成して得られ、焼成温度を変化させることにより、粒子の表面形状を変化させることが可能となる。なお、仮焼はバッチ式またはロータリーキルンなどの連続式のいずれによっても行うことができる。
【0119】
上記コート剤としては公知の樹脂材料を使用できるが、耐汚染性、対磨耗性を考慮すると、シリコーン樹脂が特に好ましい。シリコーン樹脂としては公知のものを使用でき、たとえば、シリコーンワニス、アルキッド変性シリコーンワニス、ポリエステル変性シリコーンワニス、アクリル変性シリコーンワニス、ウレタン変性シリコーンワニス、反応性シリコーン樹脂などが挙げられる。
【0120】
またコート剤には、キャリアの抵抗値を制御するために抵抗調整剤を添加することが望ましい。抵抗調整剤としては、具体的には酸化ケイ素、アルミナ、カーボンブラック、グラファイト、酸化亜鉛、チタンブラック、酸化鉄、酸化チタン、酸化スズ、チタン酸カリウム、チタン酸カルシウム、ホウ酸アルミニウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなどの抵抗調整剤が挙げられる。
【0121】
コート剤をキャリア粒子に被覆するには、公知の方法を採用できる。たとえば、コート剤の有機溶媒溶液中にキャリア粒子を浸漬する方法、コート剤の有機溶媒溶液をキャリア粒子に噴霧するスプレー法、キャリア粒子を流動エアにより浮遊させた状態でコート剤の有機溶媒溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリア粒子とコート剤の有機溶媒溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法などが挙げられる。この時、コート剤の有機溶媒溶液はコート剤とともに前記抵抗調整剤を含むことができる。
【0122】
カラー画像形成装置51において使用可能な2成分現像剤は、キャリアとトナーをナウターミキサーなどの混合機で混合することによって得られる。キャリアとトナーの混合比としては、キャリア100重量部に対してトナーは3〜15重量部である。
【0123】
カラー画像形成装置51において使用可能な感光体ドラム16としては、導電性基体と感光層を備える円筒形の有機感光体ドラムやアモルファスシリコン感光体ドラムなどが挙げられるが、製造コストや安全性の点で、有機感光体ドラムが適している。また、有機感光体ドラムは積層型と単層型とに分けられるが、感度や残留電位などが優れている点で、積層型の感光体ドラムの方が好ましい。
【実施例】
【0124】
図1に示すカラー画像形成装置51を使用して連続印刷テストを行った。この場合、黒画像形成ユニット1は黒トナー画像形成に、第1カラー画像形成ユニット2はシアントナー画像形成に、第2カラー画像形成ユニット3はマゼンタトナー画像形成に、第3カラー画像形成ユニット4はイエロートナー画像形成にそれぞれ使用した。
【0125】
各画像形成ユニット1〜4において、感光体ドラムの径は30mm、現像ローラ22の径は20mmとし、モノクロ画像形成時における中間転写ベルト10のプロセス速度は195mm/秒、カラー画像形成時における中間転写ベルト10のプロセス速度は150mm/秒に設定した。また、各画像形成ユニット1〜4での現像条件については、ベタ画像における感光体ドラム16上のトナー付着量が0.5mg/cmとなるように調整した。
【0126】
また、中間転写ベルト10、トナー、キャリア、2成分現像剤、および感光体ドラム16には、下記のものを使用した。
【0127】
[用紙]
試験用の用紙として、A4サイズの電子写真用紙(マルチレシーバー:シャープドキュメントシステム社製)を使用した。
【0128】
[中間転写ベルト]
中間転写ベルト10として、多孔質ポリイミドからなる層厚90μmの基材層と、PFAからなる層厚10μmのPFA(商品名:T−119、デュポン社製)からなる表面層とを積層した無端状ベルトを使用した。
【0129】
[トナー]
トナー材料として、
バインダー樹脂(ビスフェノールAプロピレンオキサイド、テレフタル酸または無水トリメリット酸を単量体として重縮合して得られるポリエステル樹脂:ガラス転移温度60℃、軟化温度120℃):100重量部
着色剤:5重量部
帯電制御剤(サリチル酸の亜鉛化合物:オリエント化学工業社製ボントロンE84):2重量部
離型剤(マイクロクリスタリンワックス:日本精鑞社製HNP−9):3重量部
を用いてトナーの着色樹脂粒子(コア粒子)作製した。
【0130】
着色剤として、黒トナーにはカーボンブラック(三菱化学製MA−100)、マジェンタトナーにはC.I.ピグメントレッド122、シアントナーにはC.I.ピグメントブルー15:3、イエロートナーにはC.I.ピグメントイエロー74をそれぞれ用いた。
【0131】
上記着色樹脂粒子(コア粒子)の作製は次の方法にて行った。まず、上記トナー材料をヘンシェルミキサにて10分間混合した後、得られた混合物を混練分散処理装置(三井鉱山株式会社製:ニーディックスMOS140−800)で溶融混練分散処理した。次に、得られた混練物をカッティングミルで粗粉砕した後、ジェット式粉砕機(日本ニューマチック工業株式会社製:IDS−2型)によって微粉砕した。微粉砕後、風力分級機(日本ニューマチック工業株式会社製:MP−250型)を用いて分級を行うことによって体積平均粒径が6.5μmの着色樹脂粒子(コア粒子)を得た。なお、体積平均粒径はコールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター株式会社製)で測定した。
【0132】
その後、上記着色樹脂粒子(コア粒子)を使用して、次の方法によりトナーを作成した。上記着色樹脂粒子(コア粒子)100重量部に対して、トリメチルシリル基を有するシランカップリング剤で表面処理された一次粒子の平均径が約12nmの疎水性シリカ微粉体(BET比表面積約140m2/g)1.5重量部と、同様の表面処理が施された一次粒子の平均径が約40nmの疎水性シリカ微粉体(BET比表面積約50m2/g)1.0重量部とを加え、ヘンシェルミキサにて2分間混合することによって負帯電性のトナーを作製した。
【0133】
このトナーには、外添剤として表1に示す量のシリカ微粒子と酸化チタン微粒子とを添加し、ヘンシェルミキサにて1分間混合することによって、表1に示す実施例1〜7および比較例1〜5のトナーを作製した。
【0134】
【表1】

【0135】
なお、前記酸化チタン微粒子は、平均一次粒径30nmの酸化チタン微粒子に、シランカップリング剤としてジメチルジクロロシランを用いて表面処理した体積抵抗値が8×10Ω・cmの酸化チタン微粒子を使用した。前記シリカ微粒子は、平均一次粒径12nmのシリカ微粒子に、シランカップリング剤としてヘキサメチルジシラザンを用いて表面処理した体積抵抗値が5×1012Ω・cmの疎水性シリカ微粒子を使用した。また、酸化チタン微粒子やシリカ微粒子の体積抵抗値は紛体のプレス圧力100kg/cmで作製した5mm〜10mm圧粉体(気温20℃、湿度65%)を電界強度10000V/cmとして測定した。
【0136】
[キャリア]
キャリアは次の方法により作製した。コア粒子となるフェライト粒子として、フェライト粉末を計量してボールミルにて混合した後、ロータリーキルンにて900℃で仮焼した。次に、得られたフェライトの仮焼粉を、湿式粉砕機により粉砕媒体としてスチールボールを用いて平均粒径2μm以下にまで微粉砕した。次に、得られたフェライト微粉末をスプレードライ方式により粒径100〜200μmに造粒し、得られた造粒物を1300℃で焼成した後、クラッシャを用いて解砕することにより重量平均粒子径50μmのフェライト粒子(コア粒子)を得た。
【0137】
次にコア粒子を被覆するための被覆用塗液として、シリコーン樹脂(商品名:TSR115、信越化学社製)と、チタン酸カリウム粉末(抵抗調整剤)とをトルエンに溶解または分散し、被覆用塗液を調製した。
【0138】
この被覆用塗液により、スプレーコーティング装置を使用して前記のフェライト粒子を被覆し、自然乾燥してトルエンを除去し、シリコーン樹脂の被覆量が5重量部のキャリアを製造した。なお、シリコーン樹脂の被覆量は、蛍光X線分析装置により、フェライト粒子由来のFeの含有量およびシリコーン樹脂由来のSiの含有量を測定し、それらの値に基づいて算出した。
【0139】
[2成分現像剤]
2成分現像剤は、前記の方法により製造したトナー7重量部とキャリア93重量部とをナウターミキサー(商品名:VL−0、ホソカワミクロン社製)にて20分間攪拌混合することによって、各色トナーを含有する各2成分現像剤をそれぞれ作製した。
【0140】
[感光体ドラム]
感光体ドラム(積層型感光体ドラム)は、次に示す方法により作製した。下引き層形成用塗液は、酸化チタン(商品名:TTO55A、石原産業(株)製)7部および共重合ナイロン(商品名:CM8000、東レ社製)13部を、メチルアルコール159部と1,3−ジオキソラン106部との混合溶媒に添加し、ペイントシェーカーにて8時間分散することにより調製した。この塗液を塗工槽に満たし、アルミニウム製の円筒状導電性基体を浸漬し、引き上げて自然乾燥して層厚1μmの下引層を形成した。
【0141】
電荷発生層形成用塗液は、チタニルフタロシアニン3部とブチラール樹脂(商品名:BL−1、積水水化学社製)2部とをメチルエチルケトン245部に添加し、ペイントシェーカーにて分散することにより調製した。この塗液を、下引き層の場合と同様の浸漬塗布法にて前述の下引き層表面に塗布し、下端のふき取りを行わずに自然乾燥して層厚0.4μmの電荷発生層を形成した。
【0142】
電荷輸送層形成用塗液は、電荷輸送性化合物(商品名:T405、高砂ケミカル社製)5部、ポリカーボネート(商品名:J500、出光興産社製)2.4部、ポリカーボネート(商品名:G400、出光興産社製)1.6部、ポリカーボネート(商品名:GH503、出光興産社製)1.6部、ポリカーボネート(商品名:TS2020、帝人化成社製)2.4部および2,6−ビス−tert−ブチル−4−メチルフェノール(商品名:スミライザーBHT、住友化学社製)0.25部をテトラヒドロフラン49部に添加して溶解させることにより調製した。この塗液を塗工槽に満たして浸漬塗布法により電荷発生層表面に塗布し、130℃にて1時間乾燥し、電荷輸送層を形成させることにより、膜厚25μmの電子写真感光体を作製した。なお、感光体ドラムの膜厚測定は、分光光度計(MCPD−1100、大塚電子社製)を用いて行った。
【0143】
[画像評価]
モノクロ画像においてはカバレージ(印字率)が5%となるテキスト画像の印刷を行い、カラー画像においては電子写真学会テストチャート(No.5−1)画像の印刷を行った。
【0144】
色むらの評価方法としては、モノクロ画像を連続して200枚印刷した後、続けてカラー画像を連続して50枚印刷し、得られたカラー画像の内、1枚目のカラー画像と50枚目のカラー画像におけるハーフトーンの画像濃度を比較した。画像濃度の測定は分光測色濃度計X−Rite938(X−Rite社製)を用いて行った。
【0145】
また、二次転写における転写効率(Tr)の測定方法としては、カラー画像を連続して1000枚の印刷を行い、4つの画像形成ユニット1〜4で消費された全てのトナー量(α)と、4つの画像形成ユニット1〜4の感光体ドラムクリーナ20に回収された全てのトナー量(β)と、ベルトクリーニングユニット9に回収されたトナー量(γ)から下記式より算出した。
【0146】
Tr=(α−β−γ)/(α−β)×100
評価結果および測定結果を前記の表1に示す。表1に示すように、実施例に関し、トナーのコア粒子100重量部に対する酸化チタン微粒子の添加量は、実施例1では黒トナーが1.0重量部、カラートナーが0.5重量部となっている。実施例2では黒トナーを1.5重量部、カラートナーが0.5重量部となっている。実施例3では黒トナーが2.0重量部、カラートナーが0.5重量部となっている。実施例4では黒トナーが1.5重量部、カラートナーが0.8重量部となっている。実施例5では黒トナーが1.5重量部、カラートナーが0.3重量部となっている。実施例6では黒トナーが1.5重量部、カラートナーが0.5重量部となっている。実施例7では黒トナーが1.5重量部、カラートナーが0.5重量部となっている。
【0147】
このように、実施例1〜7では、トナーのコア粒子100重量部に対する酸化チタン微粒子の添加量は、黒トナーの方がカラートナーよりも多くなっている。言い換えると、カラートナーの方が黒トナーよりも少なくなっている。これにより、カラー画像の不具合についての評価において、色むらおよび白抜けが発生しなかった。また、二次転写ローラ8によって中間転写ベルト10上のトナー画像を用紙に転写する場合の二次転写効率は、92〜98%と高い値となった。
【0148】
また、実施例1〜7では、カラートナーにおいて、コア粒子100重量部に対する酸化チタン微粒子の添加量は0.3重量部以上かつ0.8重量部以下となっている。
【0149】
一方、比較例に関し、トナーのコア粒子100重量部に対する酸化チタン微粒子の添加量は、比較例1では黒トナーおよびカラートナー共に0となっている。比較例2では黒トナーおよびカラートナー共に0.5重量部となっている。比較例3では黒トナーが1.5重量部、カラートナーが0となっている。比較例4では黒トナーおよびカラートナー共に1.5重量部となっている。比較例5では黒トナーが1.5重量部、カラートナーが2.0重量部となっている。
【0150】
このように、トナーのコア粒子100重量部に対する酸化チタン微粒子の添加量は、比較例1,2,4では黒トナーとカラートナーとで同量となっており、比較例5では黒トナーの方がカラートナーよりも少なくなっている。このため、カラー画像の不具合についての評価において、比較例1,2では色むらが発生し、比較例4,5では白抜けが発生した。また、比較例3では、酸化チタン微粒子を黒トナーのみに添加し、カラートナーには添加していないため、比較例1と同様、色むらが発生した。
【0151】
また、二次転写ローラ8によって中間転写ベルト10上のトナー画像を用紙に転写する場合の二次転写効率は比較例1,2において95%もしくは93%と高い値となった。一方、比較例3〜5において83%もしくは82%と低い値となった。
【0152】
上記のように、黒トナーとカラートナーにおける酸化チタン微粒子の添加量が同じである比較例1,2においては、(黒トナーのチャージアップにより)黒画像のハーフトーン差が大きくなったためにカラー画像に色むらが発生した。また、カラートナーに酸化チタン微粒子が添加されていない比較例3においては、(カラートナーのチャージアップにより)各カラー画像(シアン、マゼンタ、イエロー画像)のハーフトーン差が大きくなったためにカラー画像に色むらが発生した。カラートナーにおける酸化チタン微粒子の添加量が1.5もしくは2.0重量部である比較例4,5においては、トナーのチャージアップに起因する色むらが発生しないものの、トナーの二次転写効率が低いために白抜けが発生した。
【0153】
実施例1〜7および比較例1〜5の結果から、黒トナーの酸化チタン含有量をカラートナーの酸化チタン含有量より多くすることによって、色むらや白ヌケの防止と二次転写効率の低下防止とを両立できることが確認できた。
【0154】
また、実施例1〜5と実施例6〜7との結果から明らかなように、トナーのコア粒子に対するシリカの添加量については、黒トナーよりもカラートナーの方を多くすることにより、色むらや白ヌケを防止しつつ、二次転写効率をさらに向上できることが確認できた。
【0155】
以上のように、本発明のカラー画像形成装置は、カラー画像形成ユニットのそれぞれに対向する複数の転写ローラをカラー画像形成ユニットのそれぞれに接近または離間させる中間転写ローラ移動機構と、前記中間転写ローラ移動機構の動作にともなって前記中間転写ベルトを前記複数のカラー画像形成ユニットのそれぞれに接触または離間させる中間転写ベルト接離機構とを備えた構成である。
【0156】
上記の構成によれば、カラー画像の形成が不要なモノクロ画像を印刷する際に、カラー画像形成ユニットから中間転写ベルトを離間することができるので、中間転写ベルトの磨耗やカラー画像形成ユニットの消耗を防ぎ、これらの寿命を延ばすことが可能となる。
【0157】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0158】
【図1】本発明の実施の形態に係るタンデム方式のカラー画像形成装置の構成を模式的に示す断面図である。
【図2】図1に示した各画像形成ユニットの構成を模式的に示す断面図である。
【図3】図1に示したカラー画像形成装置における中間転写ベルト装置付近の構成を示す縦断面図である。
【図4】図4(A)は、テンション付与機構のモノクロ用第1偏心カムとカラー用第1偏心カムとが図1に示した中間転写ベルトに作用している第1の状態を示す説明図、図4(B)は、テンション付与機構のカラー用第1偏心カム、および中間転写ローラ移動機構の第1移動機構が図1に示した中間転写ベルトに作用している第2の状態を示す説明図、図4(C)は、中間転写ローラ移動機構の第1移動機構および第2移動機構が図1に示した中間転写ベルトに作用している第3の状態を示す説明図である。
【図5】図5(A)は図1に示したカラー画像形成装置が備えるモノクロ用第1偏心カムおよびモノクロ用第2偏心カムの正面図、図5(B)は同側面図である。
【図6】本実施の形態のトナーを示す概略の説明図である。
【符号の説明】
【0159】
1 黒画像形成ユニット(黒画像形成手段)
2 第1カラー画像形成ユニット(カラー画像形成手段)
3 第2カラー画像形成ユニット(カラー画像形成手段)
4 第3カラー画像形成ユニット(カラー画像形成手段)
5 中間転写ベルト装置
7a〜7d 中間転写ローラ(一次転写手段)
8 二次転写ローラ(二次転写手段)
10 中間転写ベルト
14 駆動ローラ
15 従動ローラ
16a〜16d 感光体ドラム
17 現像装置
51 カラー画像形成装置
61 トナー
62 コア粒子
63 外添剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真方式の印刷に使用される黒トナーとカラートナーとを備え、前記黒トナーは、モノクロ印刷に使用され、かつ前記カラートナーと共にカラー印刷に使用されるカラー画像形成装置において、
回転駆動される中間転写ベルトと、
感光体、前記感光体に形成された静電潜像を前記黒トナーにより現像して黒トナー画像とする現像装置、および前記黒トナー画像を前記中間転写ベルトに転写する一次転写手段を有する黒画像形成手段と、
感光体、前記感光体に形成された静電潜像を前記カラートナーにより現像してカラートナー画像とする現像装置、および前記カラートナー画像を前記中間転写ベルトに転写する一次転写手段を有する複数のカラー画像形成手段と、
前記中間転写ベルト上の前記トナー画像を用紙に転写する二次転写手段とを備え、
前記中間転写ベルト上において前記の各トナー画像を前記一次転写手段により重ね合わせて一つのカラートナー画像とし、
前記黒画像形成手段は、前記中間転写ベルトの回転方向における前記複数のカラー画像形成手段よりも下流側位置、かつ前記二次転写手段よりも上流側位置に配置されており、
前記黒トナーおよび前記カラートナーは、コア粒子の表面に少なくとも酸化チタン微粒子を含む外添剤が付与されたものであり、前記黒トナーの前記酸化チタン微粒子の含有量は、前記カラートナーの前記酸化チタン微粒子の含有量よりも多いことを特徴とするカラー画像形成装置。
【請求項2】
前記黒トナーの酸化チタン微粒子の含有量は、前記コア粒子100重量部に対して1重量部以上かつ3重量部以下であることを特徴とする請求項1に記載のカラー画像形成装置。
【請求項3】
前記カラートナーの酸化チタン微粒子の含有量は、前記コア粒子100重量部に対して0.3重量部以上かつ0.8重量部以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のカラー画像形成装置。
【請求項4】
前記酸化チタン微粒子の体積抵抗値は、10Ω・cm以上かつ1010Ω・cm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のカラー画像形成装置。
【請求項5】
前記外添剤はさらにシリカ微粒子を含み、前記カラートナーの前記シリカ微粒子の含有量は、前記黒トナーの前記シリカ微粒子の含有量よりも多いことを特徴とする請求項1または2に記載のカラー画像形成装置。
【請求項6】
前記黒トナーおよび前記カラートナーの前記シリカ微粒子の含有量は、トナーのコア粒子100重量部に対して、0.5重量部以上かつ3重量部以下であることを特徴とする請求項5に記載のカラー画像形成装置。
【請求項7】
前記シリカ微粒子の体積抵抗値は、1011Ω・cm以上かつ1015Ω・cm以下であることを特徴とする請求項5に記載のカラー画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−268435(P2008−268435A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−109487(P2007−109487)
【出願日】平成19年4月18日(2007.4.18)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】