説明

カラー画像形成装置

【課題】光反射センサによる安定した濃度情報画像の検知を可能にし、濃度制御の精度を向上すること。
【解決手段】トナー像が転写される転写ベルト258の面とは反対側の面に接して配置された背面支持部材266と、背面支持部材266が配置された位置における転写ベルト258上のトナー像を検知する光反射センサ265と、転写ベルト258上に形成されたトナー像をクリーニングするクリーニング装置264と、濃度情報画像405を光反射センサ265により検知した結果に基づいてトナー像の濃度を制御する制御部と、を備えるカラー画像形成装置であって、光反射センサ265は、2次転写ローラ260及び駆動ローラ256よりも転写ベルト258の移動方向の下流側に配置され、クリーニング装置264は、光反射センサ265よりも転写ベルト258の移動方向の下流側に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラープリンタ、カラー複写機等の、特に、複数の画像形成部を有する電子写真方式のカラー画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真プロセスを用いたカラー画像形成装置では、正確な色再現性や色味安定性が要求されるため、自動で画像濃度制御を実行する機能を有するものがある。特に、使用する環境の変化や、各種消耗品の使用履歴などにより色味は変動するため、常に色味を安定させるべく、定期的にこの画像濃度制御を実行する必要がある。この画像濃度制御の一例として、無端状中間転写ベルト(以下、転写ベルトと記す)上にテスト用の濃度情報画像を形成し、その濃度情報画像を光反射センサで検知する方法が知られている。光反射センサにより検知された濃度情報は、例えば画像形成条件を制御する際に用いられる。
【0003】
しかし、多くの予測困難な要因により、転写ベルトに撓み、ゆがみ、波打ち等が生じ、かつ、これが時々刻々と変化する。その結果、転写ベルト上の濃度情報画像を検知する光反射センサの検知結果である出力値が変動するため、安定した精度により画像形成時の濃度制御が不可能となる場合がある。そこで、光反射センサ検知部の転写ベルト変動を抑制して濃度情報画像を検知する技術がある。例えば、特許文献1には、転写ベルトを担架するローラ部分において、転写ベルトが担架するローラに巻きつく部分を光反射センサにより検知する構成が提案されている。このような構成では、転写ベルトの裏面から所定のテンションが付与されているため、十分な張力を持って転写ベルトがローラに巻きつく。このため、光反射センサの配置位置では、転写ベルト表面を検知した際の出力が安定し、濃度制御の精度を向上することができる。
【0004】
また、小型化を実現する4パス方式の画像形成装置では、ローラ以外の場所に背面支持部材を設け、転写ベルトを背面支持部材に接触させて、背面支持部材上に接触する転写ベルト上を光反射センサで検知する構成が提案されている(例えば、特許文献2参照)。図11(a)は4パス方式のカラー画像形成装置で、背面支持部材266を設けて安定した画像検知を行う画像形成装置の一例である。図11(a)に示す画像形成装置では、2次転写ローラ260の転写ベルト258の搬送方向下流側にクリーニング装置264が配置され、クリーニング装置264の更に下流側に光反射センサ265が配置されている。尚、図11(a)について、実施例1で説明する図1(a)と同じ構成には同じ符号を付しており、ここでの説明は省略する。このような画像形成装置では、転写ベルト258上に4色分の濃度情報画像を形成し、まず4色分の濃度情報画像を光反射センサ265により検知する。そして、全ての色について光反射センサ265による検知が終了した後に、クリーニング装置264を転写ベルト258に当接する。そして、転写ベルト258上の濃度情報画像をクリーニング装置264により除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−293084号公報
【特許文献2】特開2007−121952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、近年更なる画像形成装置の小型化により、光反射センサ265の配置場所が更に限られてきている。このため、転写ベルト258を担架する従動ローラ257aに接触する部分を検知するように光反射センサ265を配置することが困難であるだけでなく、転写ベルト258を担架する部品である背面支持部材266の配置位置も制限されてしまう。このため、担架部材同士を結ぶ転写ベルト258の接線形状も制限される。このような状況下で、図11(b)の破線で示すように、転写ベルト258面が振動した場合、次のような課題が生じる。即ち、従来例のように背面支持部材266を設けても、背面支持部材266に対して転写ベルト258が十分に接触しないため、光反射センサ265による安定した濃度情報画像の検知が困難となる。この場合、図11(c)に示すように光反射センサ265の出力が安定しないため、画像形成時の濃度制御を精度良く行うことが困難となる。
【0007】
本発明は、このような課題及び他の課題のうち、少なくとも1つを解決することを目的とする。本発明では、光反射センサによる安定した濃度情報画像の検知を可能にし、濃度制御の精度を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の課題を解決するために、本発明は以下の構成を備える。
【0009】
(1)無端状の中間転写体と、前記中間転写体上にフルカラーのトナー画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段により前記中間転写体上に形成されたフルカラーのトナー画像の記録材への転写が行われる転写部と、トナー画像が転写される前記中間転写体の面とは反対側の面に接して配置された背面支持部材と、前記背面支持部材が配置された位置における前記中間転写体又は前記中間転写体上のトナー画像を検知する検知手段と、前記中間転写体上に形成されたトナー画像をクリーニングするクリーニング手段と、前記画像形成手段により形成された所定画像を前記検知手段により検知した結果に基づいてトナー画像の濃度を制御する制御手段と、を備えるカラー画像形成装置であって、前記検知手段は、前記転写部よりも前記中間転写体の移動方向の下流側に配置され、前記クリーニング手段は、前記検知手段よりも前記中間転写体の移動方向の下流側に配置されることを特徴とするカラー画像形成装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、光反射センサによる安定した濃度情報画像の検知を可能にし、濃度制御の精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1の画像形成装置の概略構成を示す図、光反射センサ検知部分の拡大概略構成図、光反射センサ出力波形概略図
【図2】実施例1〜3の光反射センサと検知面の拡大概略構成図、実施例1の濃度情報画像を示す図
【図3(A)】実施例1の時間ごとの、転写ベルト上の濃度情報画像を表す概略構成図
【図3(B)】実施例1の時間ごとの、転写ベルト上の濃度情報画像を表す概略構成図
【図3(C)】実施例1の時間ごとの、転写ベルト上の濃度情報画像を表す概略構成図
【図3(D)】実施例1の時間ごとの、転写ベルト上の濃度情報画像を表す概略構成図
【図4】実施例1の濃度情報画像を転写ベルト上に転写してからクリーニング完了するまでの動作を表すフローチャート
【図5(A)】実施例2の時間ごとの、転写ベルト上の濃度情報画像を表す概略構成図
【図5(B)】実施例2の時間ごとの、転写ベルト上の濃度情報画像を表す概略構成図
【図5(C)】実施例2の時間ごとの、転写ベルト上の濃度情報画像を表す概略構成図
【図5(D)】実施例2の時間ごとの、転写ベルト上の濃度情報画像を表す概略構成図
【図6】実施例2、3の濃度情報画像を示す図
【図7(A)】実施例2の時間ごとの、転写ベルト上の濃度情報画像を表す概略構成図
【図7(B)】実施例2の時間ごとの、転写ベルト上の濃度情報画像を表す概略構成図
【図7(C)】実施例2の時間ごとの、転写ベルト上の濃度情報画像を表す概略構成図
【図7(D)】実施例2の時間ごとの、転写ベルト上の濃度情報画像を表す概略構成図
【図8】実施例2、3の濃度情報画像を転写ベルト上に転写してからクリーニング完了するまでの動作を表すフローチャート
【図9(A)】実施例3の時間ごとの、転写ベルト上の濃度情報画像を表す概略構成図
【図9(B)】実施例3の時間ごとの、転写ベルト上の濃度情報画像を表す概略構成図
【図9(C)】実施例3の時間ごとの、転写ベルト上の濃度情報画像を表す概略構成図
【図9(D)】実施例3の時間ごとの、転写ベルト上の濃度情報画像を表す概略構成図
【図10】その他の実施例の画像形成装置の概略構成を示す図
【図11】従来例の4パス方式画像形成装置の概略構成を示す図、光反射センサ検知部分の拡大概略構成図、光反射センサ出力波形概略図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下本発明を実施するための形態を、実施例により詳しく説明する。
【実施例1】
【0013】
実施例1は、本発明の基本的特徴を具現化した構成例であり、光反射センサ検知部に背面支持部材を設ける4パス方式の画像形成装置において、光反射センサを2次転写手段下流側で且つクリーニング手段の上流側に配置する。そして、クリーニング手段により、転写ベルトに画像を転写する面側から押し圧を加えて、背面支持部材に転写ベルトが巻付く表面積を増加させる。
【0014】
[画像形成装置の構成及び動作]
図1(a)に、本実施例の4パス方式のカラー画像形成装置の概略構成を示す。4パス方式のカラー画像形成装置は、その概略中心部に像担持体である感光ドラム254を備えている。画像形成動作が開始すると、図示しない帯電高圧電源が、帯電手段としての帯電ローラ253に直流負電圧を印加することにより、感光ドラム254の表面を一様に帯電させる。無端状の中間転写体である中間無端状転写ベルト(以下、転写ベルトという)258は、駆動ローラ256と少なくとも一つの従動ローラ、例えば本実施例では従動ローラ257a、257bにより張架されている。転写ベルト258上には、感光ドラム254上のトナー像(トナー画像)を転写する際の転写位置を考慮して決定される基準マーク282が形成されている。光反射センサ265は、基準マーク282を検知する。光反射センサ265が基準マーク282を検知することにより出力する検知信号に同期して、露光装置251が、感光ドラム254の表面に対して、画像信号に基づいて変調されたレーザ光により露光走査を行う。これにより、1色目(例えばイエロー色)の画像信号に対応する静電潜像を感光ドラム254上(像担持体上)に形成する。
【0015】
一方、ロータリ現像装置267には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)それぞれのトナーを有する現像装置252Y、252M、252C、252BK(複数色分の現像手段)が備えられている。これらは、所定のタイミングでロータリ現像装置267が回転することにより、それぞれの現像装置252Y、252M、252C、252BKが感光ドラム254と対向する現像位置に配置される。このようにして、まず1色目の静電潜像を現像するために、イエロー現像装置252Yが感光ドラム254と対向する現像位置に配置される。そして、図示しない高圧電源がイエロー現像装置252に直流負電圧を印加することにより、1色目のイエロートナー像を可視化して感光ドラム254上に形成する。その後、図示しない高圧電源が、感光ドラム254と対向する位置に設けられた1次転写ローラ255(転写手段)に、トナーと逆極性の直流正電圧を印加する。これにより、感光ドラム254上のイエロートナー像を、転写ベルト258上(中間転写体上)に転写する。以下、この転写を1次転写という。
【0016】
次に2色目であるマゼンタ現像装置252Mが感光ドラム254と対向する現像位置に配置された状態で、基準マーク282を光反射センサ265が検知した検知信号と同期して、露光装置251が露光走査を行う。これにより、転写ベルト258上のイエロートナー像と感光ドラム254上のマゼンタトナー像との搬送方向(以下、副走査方向)の色合わせを行う。このような工程を3色目、4色目であるシアン、ブラックについても繰り返すことにより、転写ベルト258上でのフルカラーの色合わせを行い、転写ベルト258上にフルカラートナー像が形成される。このように、4パス方式の画像形成装置では、1色のトナー画像を1次転写ローラ255により転写ベルト258上に転写する動作を複数色分繰り返すことにより、転写ベルト258上にフルカラートナー像を形成する。
【0017】
次に、給紙カセット263に収容された記録紙262(記録材)が、所定のタイミングで、給紙ローラ261によりレジストレーションローラ対204まで送出され、そこで一旦停止される。そして、記録紙262は、所定の転写タイミングに同期してレジストレーションローラ対204から再給紙される。次に、図示しない高圧電源が、2次転写手段である2次転写ローラ260に直流正電圧を印加することにより、転写ベルト258上のフルカラートナー像が、記録紙262上に一括転写される。以下、この転写を2次転写という。尚、2次転写ローラ260は、2次転写が行われる際は転写ベルト258に当接し(図1(a)参照)、それ以外は離間する(例えば、図3(a)等参照)。2次転写ローラ260が転写ベルト258に当接した際、2次転写ローラ260と2次転写ローラ260に対向して設けられた駆動ローラ256とで形成されるニップ部において、記録紙262への2次転写が行われる。
【0018】
その後、定着装置259が、熱及び圧力により記録紙262上の未定着フルカラートナー像を定着して永久画像を得る。ここで、転写ベルト258上へ各色の1次転写が終了した後に、感光ドラム254に残留するトナー(以下、1次転写残トナー)等は、ブレード状のクリーニング部材から成る不図示のクリーニング装置へ回収除去される。同様に、転写ベルト258上には、2次転写が終了した後に記録紙262上に転写されないで残留するトナー(以下、2次転写残トナー)がある。この2次転写残トナーは、感光ドラム254に到達する前に、図示しない高圧電源が、クリーニング装置264に直流正電圧を印加することにより、正極性に帯電される。この際、2次転写残トナーのうち、負極性に帯電しているトナーは、クリーニング装置264により回収される。一方、正極性に帯電された2次転写残トナーは、図示しない高圧電源が、2次転写残トナーと同極性の正電圧を印加することにより、感光ドラム254上に静電的に転写され、図示しない残トナー回収装置へ回収除去される。このようなベルトクリーニングが、2次転写後、直ちに行われることにより、画像形成を繰り返し行うことができる。上述の一連の画像形成動作を、以後、画像形成シーケンスと表記する。
【0019】
また、電源起動時、所定枚数プリント後、ジャム検知後、濃度情報画像405(図2(b)参照)のクリーニングなどの所定のタイミングにおいて、図示しない高圧電源が、2次転写ローラ260、クリーニング装置264に直流負電圧を印加する。そして、2次転写ローラ260、あるいはクリーニング装置264に滞留していた2次転写残トナーなどが、負極性に帯電されて転写ベルト258へ一旦戻される。この負極性に帯電された2次転写残トナーは、図示しない高圧電源が、2次転写残トナーと同極性の負電圧を印加することにより、感光ドラム254上に静電的に転写され、図示しない残トナー回収装置へ回収除去される。このように、2次転写残トナーを転写ベルト258及び感光ドラム254を介して、図示しない残トナー回収装置へ回収除去する動作を、以後、クリーニングシーケンスと表記する。
【0020】
本実施例では、2次転写ローラ260の転写ベルト258の移動方向の下流側で且つクリーニング装置264の上流側に光反射センサ265が配置されている。この点、図11(a)に示した従来の配置と異なる。
【0021】
[光反射センサと背面支持部材]
図1(b)は本実施例の光反射センサ検知部分の拡大概略構成図である。本実施例では、2次転写ローラ260及び駆動ローラ256(転写部)の転写ベルト258の移動方向の下流側で、且つ、クリーニング装置264の上流側に光反射センサ265を配置する。即ち、クリーニング装置264が、光反射センサ265よりも転写ベルト258の移動方向の下流側に配置される。また、背面支持部材266は、転写ベルト258のトナー像が転写される面とは反対側の面に接して配置される。このような配置にすることで、クリーニング装置264により、転写ベルト258に画像を転写する面側から押し圧を加えて、背面支持部材266に転写ベルト258が巻付く表面積を増加させる。ここで、背面支持部材266の形状は、転写ベルト258の移動方向(副走査方向ともいう)にはカーブ形状に形成され、転写ベルト258の移動方向に直交する方向(主走査方向ともいう)には直線形状である。
【0022】
図2(a)に、光反射センサ265に用いられる構成の一例を示す。LED等の発光部271と、フォトダイオード等の受光部272、受光データを処理する図示しない半導体集積回路(以後ICと記す)等と、これらを収容する図示しないホルダーで構成される。発光部271と受光部272の結合のために図示しないレンズ等の光学素子が用いられる場合もある。発光部271から発せられた光は、転写ベルト258表面又は転写ベルト面上の濃度情報画像405(図2(b)参照)で反射する。受光部272は、反射された反射光強度を検知する。
【0023】
[濃度情報画像]
図2(b)に本実施例の画像形成装置で用いられる濃度情報画像(所定画像)の一例を示す。濃度情報画像405は、上述した画像形成動作により転写ベルト258に転写される。濃度情報画像405は駆動ローラ256による転写ベルト258の移動に伴い移動し、光反射センサ265によって検知される。濃度情報画像405は、複数色、例えばイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色からなる濃度情報画像401、402、403、404で構成され、濃度情報画像401、402、403、404は転写ベルト258上に順次形成される。
【0024】
また、同じ色、例えばイエロー色でも、濃度情報画像401a、401b、401c、401d、401f(以降、401a〜401fと記す)は、それぞれ異なる階調の画像である。濃度情報画像405は、転写ベルト258の移動方向における各濃度情報画像401〜404の先端から後端へ向かって、符号aから符号fへと、高濃度(第一濃度)の画像から低濃度(第二濃度)の画像へと段階的に変化するように形成されている。即ち、光反射センサ265は、まずイエロー色の高濃度の濃度情報画像401aから検知を開始する。色ごとに異なる階調の濃度情報画像401〜404と転写ベルト258表面を光反射センサ265により検知することで、画像形成装置固有の濃度情報を検知する。そして、濃度情報画像405を検知した際の光反射センサ265の検知結果を図示しない制御部に送信する。制御部は、画像形成動作で用いる様々な画像形成条件に反映させることで、形成する画像の濃度が制御される。例えば、最大濃度の調整を行う際の転写電圧等の制御や中間調濃度の階調レベルの調整に用いる入出力変換テーブルの変更等を行う際に、光反射センサ265の検知結果が用いられる。
【0025】
[各部材の長さや距離等について]
本実施例の構成条件について説明する。各色の濃度情報画像401〜404の転写ベルト258の移動方向の長さLnは等しく、70mm(ミリメートル)とする。また、クリーニング装置264の転写ベルト258への当接による光反射センサ265出力への影響が緩和するまでの時間Tsは300ms(ミリ秒)とする。更に、転写ベルト258の長さLを420mm、光反射センサ265から転写ベルト258の移動方向下流側の1次転写ローラ255までの転写ベルト258上の距離Ldを90mm、転写ベルト258の速度Vを100mm/sとする。そうすると、濃度情報画像405の転写ベルト258上の距離(長さ)4Lnは280mm、クリーニング装置264の当接による影響が緩和するまでの時間に転写ベルト258が移動する距離Lsmmは30mm(=100×300/1000)となる。1次転写ローラ255から転写ベルト258の移動方向下流側の光反射センサ265までの距離は330mm(=420−90)となる。
【0026】
従って、Ls=30mm、L−4Ln−Ld(=420−280−90)=50mmであり、本実施例では、Ls≦L−4Ln−Ldの関係が成り立っている。このため、本実施例では、転写ベルト258上の1色目の濃度情報画像401の先端を光反射センサ265により検知するときにはクリーニング装置264の当接による影響が緩和されている。また、本実施例では、Ln≦Ldの関係が成り立っている。このため、本実施例では、例えばクリーニング装置264が1色目の濃度情報画像401をクリーニングした際に転写ベルト258上にトナーが残った場合でも、4色目の濃度情報画像404が、残ったトナー上に形成されることはない。
【0027】
[本実施例の濃度情報画像検知及びクリーニング動作]
従来は、クリーニング装置264が2次転写ローラ260の下流側で且つ光反射センサ265の上流側に配置されていた。これに対して本実施例では、図1(a)に示すように、光反射センサ265が2次転写ローラ260の下流側で且つクリーニング装置264の上流側に配置されている。
【0028】
図3は本実施例の時間ごとの、転写ベルト258上の濃度情報画像を表す概略構成図であり、図1(a)で説明した画像形成装置の一部を記載した図である。また、図4は、濃度情報画像405を転写ベルト258上に転写してからクリーニングが完了するまでの動作を表すフローチャートである。図3、図4を用いて、本実施例の濃度情報画像検知処理とクリーニング動作処理を説明する。尚、以降、例えば図3(A)(a)等と表記すべきところを、単に図3(a)等と表記することとする。
【0029】
ステップ(以下、Sとする)2301で不図示の制御部は、光反射センサ265により転写ベルト258上の基準マーク282を検知する。基準マーク282を光反射センサ265で検知すると、制御部は、ロータリ現像装置267を回転させてイエロー現像装置252Yを感光ドラム254に当接させる。また、光反射センサ265からの検知信号に同期して、露光装置251が感光ドラム254の表面に対して、画像信号に基づいて変調されたレーザ光により露光走査を行い、1色目であるイエロー色の画像信号に対応する静電潜像を感光ドラム254上に形成する。S2302で制御部は、前述の画像形成シーケンスにより1色目の濃度情報画像401を転写ベルト258上に転写する(図3(a))。
【0030】
S2303で制御部は、光反射センサ265により転写ベルト258を1周回転した後の転写ベルト258上の基準マーク282を検知する。制御部は、光反射センサ265からの信号を検知すると、ロータリ現像装置267を回転して、感光ドラム254にマゼンタ現像装置252Mを当接させる(図3(b))。S2304で制御部は、画像形成シーケンスにより感光ドラム254に形成された2色目の濃度情報画像402を、1次転写ローラ255により転写ベルト258上に転写する(図3(c))。
【0031】
S2305で制御部は、2色目の濃度情報画像402を転写した後、図3(b)と同様に、光反射センサ265により転写ベルト258を1周回転した後の転写ベルト上の基準マーク282を検知する。制御部は、この光反射センサ265からの信号を検知すると、ロータリ現像装置267を回転させて、感光ドラム254にシアン現像装置252Cを当接させる(図3(d))。S2306で制御部は、シアン現像装置252Cを感光ドラム254に当接させた後、前述の画像形成シーケンスによって形成された3色目の濃度情報画像403を、1次転写ローラ255により転写ベルト258上に転写する(図3(e))。
【0032】
S2307で制御部は、前述の動作と同様に、光反射センサ265により転写ベルト258をベルト1周回転した後の転写ベルト上の基準マーク282を検知する。制御部は、光反射センサ265により基準マーク282を検知すると、ロータリ現像装置267を回転させてブラック現像装置252BKを感光ドラム254に当接させる(図3(f))。S2308で制御部は、ブラック現像装置252BKを感光ドラム254に当接させた後、前述の画像形成シーケンスによって形成された4色目の濃度情報画像404を、1次転写ローラ255により転写ベルト258上に転写する。
【0033】
S2309で制御部は、4色目の濃度情報画像404の後端まで転写ベルト258上に転写すると、クリーニング装置264を転写ベルト258に当接する。このとき、クリーニング装置264は、転写ベルト258に画像を転写する面側から押し圧を加えて、背面支持部材266に転写ベルト258が巻きつく表面積を増加するように当接する(図3(g))。クリーニング装置264の当接による光反射センサ265の出力への影響が低減された後、S2310で制御部は、1色目の濃度情報画像401の先端から光反射センサ265による検知を開始する。尚、制御部は、不図示のタイマ等を動作させて参照することにより、クリーニング装置264の当接による光反射センサ265の出力への影響が緩和する時間Tsが経過したことを判断するものとする。他の実施例についても同様とする。
【0034】
図1(c)に光反射センサ265により検知した光反射センサ出力を示す。本実施例では、図1(b)に示すように、転写ベルト258が背面支持部材266に巻きつく表面積が増加している。これにより、光反射センサ検知部の転写ベルト258の波打ち、振動を抑制できるため、従来例(図11(c)参照)と比較して、光反射センサ265で安定した検知が可能となる。
【0035】
S2311で制御部は、光反射センサ265(図中、単にセンサと記載)により1色目の濃度情報画像401の検知を完了したか否かを判断し、完了していないと判断した場合はS2310の処理に戻り、完了したと判断した場合はS2312の処理に進む。尚、制御部は、例えば、基準マーク282を検知した際に不図示のタイマをスタートさせる。そして、制御部は、タイマの値を参照し、即ち、基準マーク282を基準として、1色目の濃度情報画像401の検知が完了したか否かを判断するものとする。2色目以降についても同様とする。
【0036】
光反射センサ265により検知された濃度情報画像405は、1色目の濃度情報画像401の先端から、光反射センサ265の下流側に当接しているクリーニング装置264に到達する(図3(h))。尚、ロータリ現像装置267は感光ドラム254に対して当接と離間が可能であり、4色目の濃度情報画像405が転写ベルト258に転写された後、ロータリ現像装置267は離間し、図3(h)に示す状態となる。S2319で制御部は、クリーニング装置264に到達した濃度情報画像405の1色目の濃度情報画像401からクリーニング動作を開始する。
【0037】
S2320で制御部は、1色目の濃度情報画像401のクリーニングが終わったか否かを判断し、終わっていないと判断した場合はS2319の処理に戻り、終わったと判断した場合はS2321の処理に進む。尚、光反射センサ265による濃度情報画像405の先端の検知から、クリーニング装置264による濃度情報画像405の先端のクリーニングの開始まで、光反射センサ265からクリーニング装置264までの距離に相当する時間分の時間差が生じる。しかし、その時間が経過した後は、濃度情報画像405の検知動作とクリーニング動作は並行して行われるため、図4のフローチャートでは、S2310以降の検知処理と、S2319のクリーニング動作処理を、並行して図示している。以降の実施例においても同様とする。
【0038】
S2312で制御部は、光反射センサ265により2色目の濃度情報画像402を検知する。S2313で制御部は、光反射センサ265により2色目の濃度情報画像402の検知が完了したか否かを判断し、完了していないと判断した場合はS2312の処理に戻り、完了したと判断した場合はS2314の処理に進む。転写ベルト258の搬送に伴い2色目の濃度情報画像402の先端がクリーニング装置264に到達する(図3(i))。S2321で制御部は、クリーニング装置264により2色目の濃度情報画像402をクリーニングする。S2322で制御部は、2色目の濃度情報画像402のクリーニングが終わったか否かを判断し、終わっていないと判断した場合はS2321の処理に戻り、終わったと判断した場合はS2323の処理に進む。
【0039】
S2314で制御部は、光反射センサ265により3色目の濃度情報画像403を検知する。S2315で制御部は、光反射センサ265により3色目の濃度情報画像403の検知が完了したか否かを判断し、完了していないと判断した場合はS2314の処理に戻り、完了したと判断した場合はS2316の処理に進む。転写ベルト258の搬送に伴い3色目の濃度情報画像403がクリーニング装置264に到達する(図3(j))。S2323で制御部は、クリーニング装置264により3色目の濃度情報画像403をクリーニングする。S2324で制御部は、3色目の濃度情報画像403のクリーニングが終わったか否かを判断し、終わっていないと判断した場合はS2323の処理に戻り、終わったと判断した場合はS2325の処理に進む。
【0040】
S2316で制御部は、光反射センサ265により4色目の濃度情報画像404を検知する。S2317で制御部は、光反射センサ265により4色目の濃度情報画像404の検知が完了したか否かを判断し、完了していないと判断した場合はS2316の処理に戻り、完了したと判断した場合はS2318の処理に進む。転写ベルト258の搬送に伴い4色目の濃度情報画像404の先端がクリーニング装置264に到達する(図3(k))。最後に、S2325で制御部は、クリーニング装置264により4色目の濃度情報画像404をクリーニングする。S2326で制御部は、4色目の濃度情報画像404のクリーニングが終わったか否かを判断し、終わっていないと判断した場合はS2325の処理に戻り、終わったと判断した場合はS2318の処理に進む。S2318で制御部は、クリーニング装置264による濃度情報画像405のクリーニングを完了する。
【0041】
このように光反射センサ265を2次転写ローラ260の下流側で且つクリーニング装置264の上流側に配置し、転写ベルト258上の濃度情報画像405を光反射センサ265により検知するときに、クリーニング装置264を当接する。これにより、光反射センサ265の検知部の転写ベルト258上の波打ち、振動を抑制できるため、転写ベルト258表面と光反射センサ265との距離、光の反射角度を一定に保つことができる。このため光反射センサ265で安定した検知が可能となり、画像形成時の濃度制御を精度良く行うことが可能となる。
【0042】
また、従来例では、光反射センサ265によって濃度情報画像405の4色目後端まで全てを検知した後、クリーニング装置264を当接していた。クリーニング装置264を当接した後、濃度情報画像405は、転写ベルト258上を転写ベルト1周分搬送されて光反射センサ265下流側に当接しているクリーニング装置264に到達する。クリーニング装置264に到達した濃度情報画像405は、前述のクリーニングシーケンスによって、1色目からクリーニングされる。
【0043】
それに対して、本実施例では、濃度情報画像405の4色目の濃度情報画像404を転写ベルト258に転写した後に、クリーニング装置264を当接させる(図3(g)参照)。そして、クリーニング装置264を当接した後、濃度情報画像405は、光反射センサ265により検知され、その後、光反射センサ265の下流側に当接しているクリーニング装置264に到達する。そして、前述のクリーニングシーケンスによりクリーニングが開始される。このように光反射センサ265により濃度情報画像405を検知するとき、既に、光反射センサ265の下流側に配置されたクリーニング装置264が当接している。従って本実施例では、検知のあとにクリーニング装置264に濃度情報画像405が到達するために、転写ベルト258を1周回転する必要が無い。このため、本実施例では、従来例に対して、転写ベルト258の1周分弱、時間を短縮することができる。
【0044】
以上説明したように、画像を転写する面の裏面から転写ベルト258に当接する背面支持部材266を設けて、転写ベルト258が背面支持部材266に接触する部分を光反射センサにより検知する。このような画像形成装置において、クリーニング装置264により転写ベルト258に、画像が転写される面から押し圧を加える。そして、押し圧を、担架部材同士を結ぶ転写ベルト258の接線を越えた位置まで加えることで、背面支持部材266に転写ベルト258が接触する面積を増すことができる。この構成により、光反射センサ検知部の転写ベルトの波打ち、振動を抑制できるため、転写ベルト表面と光反射センサとの距離、光の反射角度を一定に保つことができる。このため光反射センサで安定した検知が可能となり、画像形成時の濃度制御を精度良く行うことが可能となる。即ち、本実施例によれば、光反射センサによる安定した濃度情報画像の検知を可能にし、濃度制御の精度を向上することができる。
【実施例2】
【0045】
実施例1ではクリーニング装置264の当接による影響が緩和するまでの時間Tsに転写ベルト258が移動した距離Lsは、次のような関係になっている。即ち、光反射センサ265から下流側の1次転写ローラ255までの転写ベルト258上の距離Ld、転写ベルト258の長さL、濃度情報画像405の転写ベルト258上の距離4Lnを用いて表すとLs≦L−4Ln−Ldの関係になっている。また、実施例1では、4色目の濃度情報画像404を転写ベルト258上に転写した後にクリーニング装置264を当接する。このとき、Ls≦L−4Ln−Ldの関係になっていれば、転写ベルト258上の1色目の濃度情報画像401の先端を光反射センサ265により検知するときにはクリーニング装置264の当接による影響が緩和される。このため、光反射センサ265で安定した検知が可能である。本実施例では、実施例1で説明した構成に対して、クリーニング装置264の当接による影響が長いLs>L−4Ln−Ldの場合(例えば、Ls=60mm、L−4Ln−Ld=50mm)の濃度情報画像形成方法とクリーニング方法を説明する。尚、本実施例では、実施例1同様、Ln≦Ldの関係が成り立つものとする。
【0046】
[実施例1の濃度情報画像の場合]
実施例1と同じ図2(b)に示す濃度情報画像405を転写ベルト258上に形成した場合について説明する。図5は実施例1と同じ濃度情報画像405を転写ベルト258上に形成した場合の時間ごとの、転写ベルト258上の濃度情報画像を表す概略構成図である。尚、図5(a)〜図5(f)は、実施例1で説明した図3(a)〜図3(f)と同じであるため説明を省略する。
【0047】
ブラック現像装置252BKを感光ドラム254に当接させた後、前述の画像形成シーケンスによって形成された4色目の濃度情報画像404を、1次転写ローラ255により転写ベルト258上に転写する(図5(g))。ここで、本実施例ではクリーニング装置264の当接による影響が長いため(Ls>L−4Ln−Ld)、4色目の濃度情報画像404を転写ベルト258上に転写した直後にはクリーニング装置264を当接できない。即ち、本実施例の構成では、4色目の濃度情報画像404形成後にクリーニング装置264を当接すると、クリーニング装置264の当接による影響が低減されないうちに、1色目の濃度情報画像401が光反射センサ265に到達してしまう。そのため、本実施例のようにLs>L−4Ln−Ldという関係が成り立つ場合に、図2(b)に示す濃度情報画像405を用いる場合は、次のようにしなければならない。即ち、4色目の濃度情報画像404を転写した後すぐにクリーニング装置264を当接せず、転写ベルト258上の4色目の濃度情報画像404の後端がクリーニング装置264を通過した後にクリーニング装置264を当接させなければならない(図5(h))。
【0048】
クリーニング装置264の当接によって光反射センサ出力への影響が低減された後、転写ベルト258の搬送に伴い搬送された濃度情報画像405は、1色目の濃度情報画像401の先端から光反射センサ265により検知される。図1(c)に光反射センサ265により検知した光反射センサ出力を示す。実施例1同様、図1(b)に示すように転写ベルト258が背面支持部材266に巻きつく表面積が増加しており、光反射センサ検知部の転写ベルトの波打ち、振動を抑制できる。このため、図1(c)に示すような、光反射センサ265で安定した検知が可能となる。図5(i)〜図5(l)は、図3(h)〜図3(k)の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0049】
よって、クリーニング装置264の当接による影響が長いLs>L−4Ln−Ldの場合、次のようになる。即ち、実施例1のような濃度情報画像405を転写ベルト258上に形成しても、4色目の濃度情報画像404を転写ベルト258上に転写した直後にはクリーニング装置264を当接できない。クリーニング装置264は転写ベルト258上の4色目の濃度情報画像404の後端がクリーニング装置264を通過した後に当接するため、クリーニング時間が転写ベルト258の1周分延びてしまう。
【0050】
[本実施例の濃度情報画像]
本実施例では、濃度情報画像405を変更することにより、上述したLs>L−4Ln−Ldという関係が成り立つ場合でもクリーニング時間が長くならないような構成とする。図6(a)は、本実施例で使用する濃度情報画像407を示す。図7は本実施例の特徴を表現する、時間ごとの、転写ベルト258上の濃度情報画像407を表す概略構成図である。また、図8は、濃度情報画像407を転写ベルト258上に転写してからクリーニング完了するまでの動作を表すフローチャートである。尚、S2401〜S2406の処理は、実施例1で説明した図4のS2301〜S2306の処理と同様であるため、説明を省略する。また、図7(a)〜図7(e)は、実施例1で説明した図3(a)〜図3(e)と同じであるため、説明を省略する。
【0051】
本実施例では、3色目の濃度情報画像403後端まで転写ベルト258上に転写すると、S2407で制御部は、クリーニング装置264を転写ベルト258に当接させる。即ち、本実施例では、転写ベルト258上に3色分の濃度情報画像401〜403(長さは、3Ln)を転写した後にクリーニング装置264を当接させる。クリーニング装置264が転写ベルト258に当接すると、転写ベルト258表面の振動による影響や、クリーニング装置264に印加する図示しない高圧電圧の影響によって、光反射センサ265の出力が変動してしまう。更に、転写ベルト258に4色目の転写を行うと、転写ベルト258に転写された4色目の濃度情報画像404に、クリーニング装置264の当接の影響が生じてしまう。そこで本実施例では、クリーニング装置264を転写ベルト258に当接した後、クリーニング装置264の当接によって光反射センサ265の出力の変動が低減されるまで(時間Ts)、転写ベルト258上には濃度情報画像405を転写しない。
【0052】
そして、S2408で制御部は、転写ベルト258を回転させて、転写ベルト上の基準マーク282を光反射センサ265により検知する。基準マーク282を光反射センサ265により検知すると、ロータリ現像装置267を回転させて現像装置252BKを感光ドラム254に当接させる(図7(f))。ブラック現像装置252BKを感光ドラム254に当接させた後、S2426で制御部は、前述の画像形成シーケンスによって形成された4色目の濃度情報画像404を、1次転写ローラ255により転写ベルト258上に転写する。これにより、本実施例では、図6(a)に示すような濃度情報画像407が転写ベルト258上に形成される。これにより、クリーニング装置264の当接による影響が低減されるまでの時間Tsに相当する距離Ls分、3色目の濃度情報画像403後端と4色目の濃度情報画像404先端との間に、濃度情報画像405が形成されない部分300が生じる。S2427で制御部は、4色目の濃度情報画像の転写ベルト258への転写が完了したか否かを判断し、完了していないと判断した場合はS2426の処理に戻り、完了したと判断した場合は次の処理に進む。
【0053】
S2409で制御部は、光反射センサ265により、1色目の濃度情報画像401の先端から検知する(図7(g))。S2410で制御部は、光反射センサ265により1色目の濃度情報画像401の検知を完了したか否かを判断し、完了していないと判断した場合はS2409の処理に戻り、完了したと判断した場合はS2411の処理に戻る。尚、図7(g)に示すように、4色目の濃度情報画像404を転写ベルト258に転写している間に、1色目の濃度情報画像401の光反射センサ265による検知が開始され、先端がクリーニング装置264に到達するとクリーニング動作が開始される。従って、S2426以降の処理が並行して実行されるため、図8のフローチャートではS2426以降の処理を図示のように表現している。
【0054】
図1(c)に光反射センサ265により検知した光反射センサ出力を示す。実施例1同様、図1(b)に示すように転写ベルト258が背面支持部材266に巻きつく表面積が増加しており、光反射センサ検知部の転写ベルトの波打ち、振動を抑制できるため、光反射センサ265で安定した検知が可能となる。そして光反射センサ265により検知された濃度情報画像405は、1色目の濃度情報画像401の先端から、光反射センサ265の下流側に当接しているクリーニング装置264に到達する(図7(h))。S2418で制御部は、クリーニング装置264により1色目の濃度情報画像401をクリーニングする。S2419で制御部は、1色目の濃度情報画像のクリーニングが終わったか否かを判断し、終わっていないと判断した場合はS2426の処理に戻り、終わったと判断した場合はS2418の処理に進む。
【0055】
S2411〜S2417、S2420〜S2425の処理は、実施例1で説明した図4のS2312〜S2318、S2321〜S2326の処理と同様であるため、説明を省略する。また、図7(i)〜図7(k)は、図3(i)〜図3(k)とは、転写ベルト258上に形成された濃度情報画像が異なるが、光反射センサ265による検知処理とクリーニング装置264によるクリーニング処理については同様であるため、説明を省略する。
【0056】
このように、Ls>L−4Ln−Ldという関係が成り立つ場合には、図6(a)で説明した濃度情報画像407を使用すればよい。このような濃度情報画像407を使用することにより、図5(h)で説明したように、クリーニング装置264は転写ベルト258上の4色目の濃度情報画像404の後端がクリーニング装置264を通過した後に当接する必要がない。本実施例では、3色目の濃度情報画像403の転写後にクリーニング装置264を当接するため、濃度情報画像407には転写が行われない部分300が生じる。しかし、クリーニング装置264の当接による影響が緩和した後は、4色目の濃度情報画像404の転写と、光反射センサ265による検知処理及びクリーニング装置264によるクリーニング処理とを並行して実行できる。このため、図5(a)で説明した場合に比べて、全体の処理にかかる時間を短くすることができる。このように図6(a)で説明した濃度情報画像を使用し、3色目の濃度情報画像403を転写ベルト258上に転写した直後にクリーニング装置264を転写ベルト258に当接する。これにより、光反射センサ265で安定した検知を行いながら、クリーニング時間を短縮できる。
【0057】
以上、本実施例によれば、光反射センサによる安定した濃度情報画像の検知を可能にし、濃度制御の精度を向上することができる。
【実施例3】
【0058】
実施例1、2では濃度情報画像405、407の1色あたりの転写ベルト258上の距離Lnと光反射センサ265から下流側の1次転写ローラ255までの転写ベルト258上の距離Ldとの関係はLn≦Ldとなっている。従って、仮にクリーニング装置264の性能が低いため残トナーが発生するような場合においても、転写ベルト258上に1色目の濃度情報画像401と4色目の濃度情報画像404が重なることがない。本実施例では、実施例2で説明した構成(Ls>L−4Ln−Ld)に対して、濃度情報画像405の1色あたりの転写ベルト258上の距離が長いLn>Ldの場合の濃度情報画像形成方法とクリーニング方法を説明する。
【0059】
[濃度情報画像]
本実施例では、図6(b)に示す濃度情報画像409を用いる。図6(b)に記載されている濃度情報画像409は、同一色内で低濃度(第二濃度)の画像から高濃度(第一濃度)の画像になるように転写ベルト258上に形成する。例えば、1色目の濃度情報画像401は、低濃度の401fから形成され、順に401d、401c、401b、401aと、段階的に濃度が高くなるような画像が形成される。この点、実施例1の図2(b)や実施例2の図6(a)に示す濃度情報画像405、407と異なる。
【0060】
図9は本実施例の特徴を表現する、時間ごとの、転写ベルト258上の濃度情報画像を表す概略構成図である。また、図8は、図6(b)に示した濃度情報画像409を転写ベルト258上に転写してからクリーニング完了するまでの動作を表すフローチャートである。S2401〜S2410は、実施例2で説明したので省略する。また、図9(a)〜図9(f)は図7(a)〜図7(f)と同様であり、説明を省略する。尚、本実施例でも、3色目の濃度情報画像403を転写ベルト258に転写した後に、クリーニング装置264を転写ベルト258に当接する(図8のS2406、S2407、図7(f)参照)。
【0061】
図1(c)に光反射センサ265により検知した光反射センサ出力を示す。本実施例においても、実施例1同様、図1(c)より転写ベルト258が背面支持部材266に巻きつく表面積が増加しており、光反射センサ検知部の転写ベルトの波打ち、振動を抑制できるため、光反射センサ265で安定した検知が可能となる。そして光反射センサ265により検知された濃度情報画像409は、1色目の濃度情報画像401の先端から、光反射センサ265の下流側に当接しているクリーニング装置264に到達する(図9(g))。S2418で制御部は、クリーニング装置264に到達した1色目の濃度情報画像401を、クリーニング装置264によってクリーニングする。S2419で制御部は、1色目の濃度情報画像401のクリーニングが終わったか否かを判断し、終わっていないと判断した場合はS2418の処理に戻り、終わったと判断した場合はS2420の処理に進む。ここで、本実施例では、クリーニング装置264により、濃度情報画像409は全てがクリーニングされるのではなく、転写ベルト258上に残る(図9(h)の501)。
【0062】
S2426で制御部は、4色目の濃度情報画像404を転写ベルト258に転写する。S2427で制御部は、4色目の濃度情報画像404の転写ベルト258への形成が完了したか否かを判断し、完了していないと判断した場合はS2426の処理に戻り、完了したと判断した場合は次の処理に進む。ここで、4色目の濃度情報画像404の後端は、クリーニング装置264で取り除けずに転写ベルト258上に残ってしまった1色目の濃度情報画像401(図9(h)の501)に一部重なって形成される。図9(h)に示す、この重なった部分601を、以下同一箇所601という。
【0063】
S2411〜S2416、S2420〜S2425の処理は、実施例2で説明したため省略する。また、図9(i)〜図9(k)は、2〜4色目の濃度情報画像402〜404をクリーニング装置264によりクリーニングする動作であり、図7(i)〜図7(k)で説明した処理と同様の処理を行う。ただし、図9(i)〜図9(k)では、クリーニングの後に一部のトナーが転写ベルト258上に残ってしまう(502、503)点で、図7(i)〜図7(k)の図とは異なっている。
【0064】
最後に、S2417で制御部は、クリーニングしきれずに転写ベルト258上に残ってしまった濃度情報画像409を、転写ベルト258を1周回転させて、再度クリーニング装置264によりクリーニングする。これにより、濃度情報画像409の全てがクリーニングされる。
【0065】
ここで、クリーニング装置264によりクリーニングされた後に転写ベルト258上に残った1色目の濃度情報画像401(501)に、重なって形成された4色目の濃度情報画像404の重なり部分である同一箇所601について説明する。S2415の処理で、4色目の濃度情報画像404の同一箇所601を光反射センサ265により検知するとき、次のようなおそれがある。即ち、クリーニング装置264によりクリーニングできなかった1色目の濃度情報画像401の影響により、光反射センサ265の検知精度が低くなるおそれがある。
【0066】
しかし、図6(b)に示す濃度情報画像409のように、同一色内では低濃度の濃度情報画像401fから高濃度の濃度情報画像401aになるように形成されている。このため、クリーニングできなかった1色目の濃度情報画像401の画像と4色目の濃度情報画像404の高濃度側の画像が重なる。従って、4色目の濃度情報画像404の高濃度側(符号aがついたもの)の画像を光反射センサ265により検知するとき、クリーニングできなかった1色目の濃度情報画像401の画像の影響は軽微である。つまり、図6(b)の濃度情報画像409を使用すれば、濃度情報画像409の1色あたりの転写ベルト258上の距離Lnを光反射センサ265から下流側の1次転写ローラ255までの転写ベルト258上の距離Ldより小さくする必要はない。そのため、濃度情報画像の階調数を増やすことができるので、より高精度な濃度制御が可能となる。
【0067】
以上、本実施例によれば、光反射センサによる安定した濃度情報画像の検知を可能にし、濃度制御の精度を向上することができる。
【0068】
[その他の実施例]
・実施例1〜3では、4パス方式のカラー画像形成装置について説明したが、例えば図10に示すような、タンデム方式のカラー画像形成装置にも適用可能である。タンデム方式のカラー画像形成装置は、色の数に対応した複数の画像形成部を備える。図10に示すカラー画像形成装置では、4色(Y,M,C,BK;以下、色を表す符号を省略する)の画像形成部を備えている。そして、各画像形成部が、露光装置251、帯電ローラ253、感光ドラム254、現像装置252、1次転写ローラ255を有している。このカラー画像形成装置は、複数の感光ドラム254上に形成された各色のトナー像を、転写ベルト258上に順次転写することにより、転写ベルト258上にフルカラーのトナー像を形成する。図10では、257bは、2次転写ローラ260に対向する位置の2次転写対向ローラとして備えられており、これらで転写部を構成する。尚、図1で説明した符号と同じ機能を有する構成には同じ符号に色の符号を加えたものを付している。
・実施例1のようにLs≦L−4Ln−Ldの関係を満たす場合において、Ln>Ldとなる場合には、図2(b)の濃度情報画像405について実施例3の構成を適用できる。即ち、図2(b)の濃度情報画像405の各色について、低濃度から高濃度へと段階的に変化するように形成してもよい。
・以上、その他の実施例においても、光反射センサによる安定した濃度情報画像の検知を可能にし、濃度制御の精度を向上することができる。
【符号の説明】
【0069】
256 駆動ローラ
258 転写ベルト
260 2次転写ローラ
264 クリーニング装置
265 光反射センサ
266 背面支持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状の中間転写体と、
前記中間転写体上にフルカラーのトナー画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段により前記中間転写体上に形成されたフルカラーのトナー画像の記録材への転写が行われる転写部と、
トナー画像が転写される前記中間転写体の面とは反対側の面に接して配置された背面支持部材と、
前記背面支持部材が配置された位置における前記中間転写体又は前記中間転写体上のトナー画像を検知する検知手段と、
前記中間転写体上に形成されたトナー画像をクリーニングするクリーニング手段と、
前記画像形成手段により形成された所定画像を前記検知手段により検知した結果に基づいてトナー画像の濃度を制御する制御手段と、
を備えるカラー画像形成装置であって、
前記検知手段は、前記転写部よりも前記中間転写体の移動方向の下流側に配置され、
前記クリーニング手段は、前記検知手段よりも前記中間転写体の移動方向の下流側に配置されることを特徴とするカラー画像形成装置。
【請求項2】
前記所定画像は、複数色のトナー画像が順次形成された画像であり、
前記制御手段は、前記画像形成手段による前記中間転写体上への前記所定画像の形成が終了した後に、前記クリーニング手段を前記中間転写体に当接させることを特徴とする請求項1に記載のカラー画像形成装置。
【請求項3】
前記所定画像は、4色のトナー画像が順次形成された画像であり、
前記制御手段は、前記画像形成手段による前記中間転写体上への前記所定画像の3色目のトナー画像の形成が終了した後で、且つ、前記所定画像の4色目のトナー画像の形成を開始する前に、前記クリーニング手段を前記中間転写体に当接させることを特徴とする請求項1に記載のカラー画像形成装置。
【請求項4】
前記所定画像は、前記中間転写体の移動方向における各色のトナー画像の先端から後端に向かって、第一濃度から前記第一濃度に比べて濃度の低い第二濃度へと段階的に濃度が変化する画像であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のカラー画像形成装置。
【請求項5】
前記所定画像は、前記中間転写体の移動方向における各色のトナー画像の先端から後端に向かって、第二濃度から前記第二濃度に比べて濃度の高い第一濃度へと段階的に濃度が変化する画像であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のカラー画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成手段は、静電潜像が形成される1つの像担持体と、前記像担持体上に形成された静電潜像を現像しトナー画像を形成する複数色分の現像手段と、前記像担持体上に形成されたトナー画像を前記中間転写体上に転写する転写手段と、を有し、
前記像担持体上に形成された1色のトナー画像を前記転写手段により前記中間転写体上に転写する動作を複数色分繰り返すことにより、前記中間転写体上にフルカラーのトナー画像を形成することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のカラー画像形成装置。
【請求項7】
複数の前記画像形成手段を備え、
前記画像形成手段は、静電潜像が形成される像担持体と、前記像担持体上に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する現像手段と、前記像担持体上に形成されたトナー画像を前記中間転写体上に転写する転写手段と、を有し、
複数の前記像担持体上に形成された各色のトナー画像を、前記中間転写体上に順次転写することにより、前記中間転写体上にフルカラーのトナー画像を形成することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のカラー画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3(A)】
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【図3(B)】
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【図3(C)】
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【図3(D)】
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【図4】
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【図5(A)】
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【図5(B)】
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【図5(C)】
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【図5(D)】
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【図6】
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【図7(A)】
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【図7(B)】
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【図7(C)】
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【図7(D)】
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【図8】
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【図9(A)】
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【図9(B)】
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【図9(C)】
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【図9(D)】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−114218(P2013−114218A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262697(P2011−262697)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】