説明

カラー金属ロープおよびその製造方法

【課題】表面の凹凸の隅々まで完全に被覆され、その被覆が強靭で曲げや衝撃に耐えることができ、耐食性が良好であるとともに景観性がすぐれ、それでいて安価に量産が可能なカラー金属ロープとその製造方法を提供する。
【解決手段】複数本の素線またはストランドの全体か、またはストランドを撚り合せて構成されたロープ本体の全体に、飽和ポリエステル系合成樹脂に着色材料を添加した粉体塗料を付着・溶融させ、膜厚0.04〜0.25mmの着色塗膜を形成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は耐食性が良好で景観性がすぐれたカラー金属ロープとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属ロープたとえばワイヤロープは、その強度、柔軟性などの特性を利用して広く利用されており、塩害や種々の腐食条件の厳しい場所で使用されるロープについては、亜鉛メッキあるいは亜鉛アルミ合金メッキが施されている。
しかし、こうしたロープは金属系防食であり、塩害環境、火山地帯のような酸化環境では長期使用は期待できないことに加え、外観の色彩が銀色系の金属色であるから、ネット支持ロープ、ロープネット、ロープフェンスなどの落石防止施設、ガードケーブルなど道路沿線、公園、観光地などで人目に触れる場所に使用されたときには環境にマッチしにくく、景観を損ねる問題があった。
【0003】
この対策として、素線の1本1本をエポキシ樹脂、ナイロン樹脂、塩化ビニール等の粉体塗装で被膜を施し、その後、被膜つき素線を撚り合わせてストランドやロープを得る方法が提案されている。
【0004】
しかし、素線を1本1本樹脂被覆するのは、塗装に手間と時間がかかり、価格や量産等に問題がある。また、ロープ径が細い場合には素線径も細いので、素線毎に塗装することが不可能となり、塗装したとしてもロープ径が公差基準を上回ってしまう問題がある。
さらに、被膜つきの素線やストランドを撚り合わせるときに大きな力がかかるので、塗装が傷つき又は剥がれることが避けがたく、製品の品質が落ちる問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前記のような問題点を解消するためになされたもので、その目的とするところは、表面の凹凸の隅々まで完全に被覆され、その被覆が強靭で曲げや衝撃に耐えることができ、耐食性が良好であるとともに景観性がすぐれ、それでいて安価に量産が可能なカラー金属ロープとその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明の第1種のカラー金属ロープは、複数本の素線またはストランドを撚り合せて構成された直径6mm以上のロープの全体に飽和ポリエステル系合成樹脂に着色材料を添加した粉体塗料を付着・溶融させ、膜厚0.04〜0.25mmの着色塗膜を形成していることを特徴としている。
また、本発明のカラー金属ロープの製造方法は、複数本のストランドを撚り合わせた直径が6mm以上のロープ本体を飽和ポリエステル樹脂の溶融温度を超える温度に予熱するかまたは予熱すること飽和ポリエステル系合成樹脂に顔料を添加した粒度80メッシュ以上の細かい粉体塗料を付着溶融させて塗膜を形成し、次いで冷却することにより膜厚0.04〜0.25mmの着色塗膜を形成することを特徴としている。ストランドに着色塗膜を形成した場合には、そのストランドを複数本撚り合わせて直径が6mm以上のロープを得るものである。
【0007】
また、本発明の他の製造方法は、複数本の素線を撚り合せたストランドを飽和ポリエステル樹脂の溶融温度を超える温度に予熱するかまたは予熱することなく飽和ポリエステル系合成樹脂に顔料を添加した粒度80メッシュ以上の細かい粉体塗料を付着溶融させて塗膜を形成し、次いで冷却することにより膜厚0.04〜0.25mmの着色塗膜を形成し、前記着色塗膜を被覆したそのストランドを複数本撚り合わせて直径が6mm以上のロープを得るものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のカラー金属ロープは、素線ごとに樹脂被覆を行うのでなく、素線を撚り合わせた素ストランドまたはストランドを撚り合せた素ロープに飽和ポリエステル系合成樹脂に着色材料を添加した粉体塗料を付着・溶融させるので、1度の工程で能率よく塗膜を形成することができ、添加する着色材料を選択することにより、使用環境にマッチするように目立たない色調のロープ、安全色としてカラフルな色調のロープ、あるいは蛍光塗料を用いることにより夜間の視認性がよいロープなど希望する色のロープとすることができる。
しかも、塗膜が柔軟でまた強靭で伸びも大きく耐候性も良好であり、膜厚が0.04〜0.25mmであるため、防錆効果と耐候性がすぐれるとともにロープを曲げたときにも塗膜表面に亀裂が発生せず耐久性を良くすることができる。
【0009】
本発明のカラー金属ロープの製造方法によれば、防錆効果と耐候性がすぐれ、曲げたときにも塗膜表面に亀裂が発生しない耐久性の良いカラーロープを能率よく製造することができる。
そして、使用する塗料が粒度80メッシュ以上の微細な飽和ポリエステル系合成樹脂粉末であるため、ロープ本体を構成する素線またはストランドの表面および撚り合わせ隙間によく浸透することができる。
飽和ポリエステル系合成樹脂粉末を溶融のための加熱を、塗膜を形成する直前かまたは直後のいずれかにすることにより、膜厚の調整を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
ストランドに着色塗膜を形成する態様において、複数本のストランドの着色塗膜色が2種以上である場合を含む。
これによれば、ストランド段階で着色塗膜を形成するので着色の自由度が増し、2種以上の異なる着色を施したストランドであれば、それらを撚り合せることにより、多色模様のようなカラフルなロープを得ることができ、たとえば、迷彩色調のユニークなロープを簡単に得ることができる。
【0011】
飽和ポリエステル系合成樹脂は、イソフタル酸8〜20モル%を含み固有粘度が0.7〜1.0のイソテレフタル酸共重合飽和ポリエステルである。
これによれば、溶融温度に達した際に粘性が水に近くなり、しかも粒度80メッシュ以上の微細粉体を使用し、溶融したときの液分子径が小さいので、撚り合わされた素線あるいはストランドの微細な凹凸や隙間までよく浸透し、それらを濡らして固化することができる。
得られた被膜はしたがって微細な凹凸まで完全に覆い、素線間やストランド間に隙間に深く浸透し、ロープが6mm以上の太径で、ストランド間の谷間あるいはまた素線間の谷間が深くても、各ストランド間、ストランドを構成する素線間の隙間を埋め、しかも、谷間の被膜の厚さも均一化でき、シャープな輪郭形状の塗装膜となる。このため、防食性がきわめて優れ、かつ形状も良好なものになる。
さらに、イソフタル酸8〜20モル%を含み固有粘度が0.7〜1.0のイソテレフタル酸共重合飽和ポリエステルであるため、耐候性もよく、被膜は強靭で傷がつきにくく、伸びもたとえば200%以上を備え、しかも密着性が抜群に優れ、たとえば密着強度は150kg/cmすなわちエポキシ樹脂の3〜5倍にも達するので、使用時の曲げや衝撃に十分に耐えることができる。
【0012】
好ましくはロープを構成する素線またはストランドが表面に防食メッキを有している。
これによれば、2重の防食効果が得られるので、耐久性が一段と高くなる。
【0013】
本発明の製造法において、塗膜を形成したのち再度加熱溶融する工程をとる場合を含んでいる。
これによれば、飽和ポリエステル系合成樹脂が素線間やストランド間の微小な隙間まで浸透するとともに、残留している空気を追い出して隙間という隙間を完全に埋める。したがって、外表面はもとより微細な隙間にまで飽和ポリエステル系合成樹脂膜が密着した一体化被覆を実現することができる。
【実施例1】
【0014】
以下添付図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図1と図2は本発明を適用したカラースチールロープの一例を示しており、1は心ストランド1aと側ストランド1bの計7本のストランドを撚り合せたロープ本体である。それぞれのストランドは、図2のように、心ワイヤ101の周りに複数本(図面では6本)の側ワイヤ102を配して撚り合せてなる芯ストランド100の周りに複数本(この例では12本)のワイヤ103を撚り合せた1×19構造になっている。このストランド7本を撚り合わせて7×19構造のロープ本体1を構成している。ロープ径は6mm以上である。
前記各素線10はそれぞれ亜鉛メッキ、亜鉛アルミ合金、真鍮などの防食金属によるメッキが施されている。
【0015】
2は前記ロープ本体1の表面全体に施された着色塗装部であり、飽和ポリエステル系合成樹脂に着色材料を添加した粉体塗料を付着・溶融させることで構成されている。
前記着色塗装部2は図2に詳細に示されており、ロープ本体1の各側ストランド1bの凹凸状表面を被覆しつつ各側ストランド1bの谷間を埋めた外層部分20と、各側ストランド1bを構成する素線10の撚り合わせ谷間を埋め、部分的に素線間の隙間を通して浸透して固化した素線内浸透部分21を少なくとも有している。各部分は素線に密着した状態で固化している。ロープ本体1は直径が6mm以上であるため谷間が深く、従来では樹脂の侵入が容易でないために外層部分21がなだらかな円弧状の表面となっていたが、本発明は各ストランドの谷間に侵入するので、シャープな表面状態になる。
【0016】
外層部分20の膜厚は0.04〜0.25mmが好ましい。その理由は、0.04m未満では防錆効果が不十分となり、耐候性も劣ること、0.25mm以上は防錆効果と耐候性は良好であるが、ロープ使用時に曲げが加わったときに塗膜表面に亀裂が発生する危険があるからである。
【0017】
前記飽和ポリエステル粉体塗料は、飽和ポリエステル系合成樹脂を主成分としこれに着色材料として顔料または染料の所定量を含むものであり、顔料としては蛍光剤なども含まれる。さらに、紫外線防止剤、酸化防止剤、蓄光剤などを所定量含むこともあり、また、飽和ポリエステル粉体塗料は飽和ポリエステル系合成樹脂に耐候性や耐摩耗性の向上などのため他の合成樹脂を必要に応じ10%以下の比率で混合していてもよい。
好ましい飽和ポリエステル系合成樹脂としては、飽和ポリエステル樹脂共重合体、ことに、イソフタル酸8〜20モル%を含み固有粘度が0.7〜1.0のイソテレフタル酸共重合飽和ポリエステルが挙げられる。
【0018】
これは、一定温度に達した際に粘性が水に近くなり、いわゆるしゃぶしゃぶの状態となる。このため、どのような微細な間隙にも入り、そこにある固体を濡らし固化して被膜を形成することができる。
本発明者が電子顕微鏡で観察したところ、塗装粒子は数ミクロンの間隙にも入り、空気を押し出して素線表面に固着していた。また、前記飽和ポリエステル樹脂共重合体は特に密着性が抜群に優れ、密着強度はたとえばエポキシ樹脂の3〜5倍の150kg/cmにも達することができる点でも有用である。
【0019】
次に、上記カラーロープの製造方法について説明すると、常法によりロープ本体1を製作した後、図3のような設備と工程で処理を行う。
4はロープ本体1を巻収したサプライ装置、5は巻取り装置であり、それらサプライ装置4と巻取り装置5の間に、洗浄装置6と、ショットブラスト装置12、予熱装置7と、塗装装置8と、トンネル状の後熱装置9と冷却装置10および乾燥装置11をこの順序で配置している。ロープ本体1を予熱する場合には後熱装置9は省略してもよいが、予熱しない場合には後熱装置9は必須である。
【0020】
サプライ装置4から引き出されたロープ本体1は洗浄装置6にて汚れや油分などが除去され、その後ショットブラスト装置12で表面を梨地に処理され、この状態で予熱装置7に進み、これを通過する間に飽和ポリエステル系合成樹脂の溶融温度を超える温度、すなわち230°〜250℃を超える表面温度、たとえば約270〜300℃となるようにロープ本体1全体が加熱される。予熱装置7としては雰囲気加熱炉、流動床加熱炉、誘導加熱炉などが用いられる。
塗装装置8は静電塗装機あるいは流動浸漬槽が用いられ、前者の場合は飽和ポリエステル系合成樹脂粉体を吹きつけ、後者の場合は飽和ポリエステル系合成樹脂粉体が浮遊している所を通過させる。
【0021】
こうすれば、飽和ポリエステル系合成樹脂粉体は、予熱によって熱せられているロープ本体1に接した粒子から溶融し、そこに重なった粉体粒子もその熱で溶けるが、溶融した樹脂は粘度が低く、とくにイソテレフタル酸共重合飽和ポリエステルを用いた場合にそれが顕著であるので、ロープ本体1のあらゆる微小な凹部や隙間に入り込む。
飽和ポリエステル系合成樹脂粉体の粒度は微細な粒度、すなわち80〜300メッシュが好ましい。これは、小さな粒度とすることでロープ本体1に接触した瞬間に溶融しやすく、また溶融した液滴が小さいと、ストランドの細かな凹凸部や素線間の隙間に確実に入り込むことが可能になるからである。
【0022】
このようにして、塗装装置8を通過する間にロープ本体1には樹脂粒子の皮膜で覆われ、さらに予熱温度で皮膜が溶融し、ロープ本体1の各部に溶着する。
なお、ロープ本体1を予熱しない場合は、飽和ポリエステル系合成樹脂粉体は塗装装置8を通過する間にロープ本体1に付着して粒子集合体からなる膜を形成する。膜が形成されたロープは後熱装置9を通過する。この後熱装置9は通常、誘導加熱炉が用いられ、270〜400℃に急速に加熱処理される。これで膜は溶融し、ロープ本体1の総ての表面に溶着し、間隙が残存していれば残留空気を追い出して奥深く流れ込み、細部にも充分浸透する。後熱装置9を予熱装置7と併用した場合、これらの効果は著しい。
したがって、ピンホールが全くなく、かつ素線やストランドの隙間や凹凸の隅々まで進入して密着した塗膜形成することができる。膜厚は静電塗装条件、流動状態、加熱時間、温度、およびロープ本体の移動速度をコントロールすることでコントロールすることができる。
【0023】
後熱装置9を通過した被覆済みロープBは、冷却装置10たとえば水槽を通過して冷却され、そして乾燥装置11を通過する間に水気が除去され、図1と図2の完成したカラーロープCとして巻取り装置5に巻収される。
【実施例2】
【0024】
図4と図5は本発明の第2実施例を示している。この実施例においては、図4のように、ストランド1a、1bに、飽和ポリエステル系合成樹脂に着色材料を添加した粉体塗料を付着・溶融させた着色塗装部2´を設け、こうした着色塗装済みのストランド1a、1bを複数本撚り合わせて、図5のような直径が6mm以上のカラーロープCとしている。
【0025】
前記ストランド1a、1bの構成は任意であり、この例では、第1実施例と同じ構造としている。同じ部分に同じ符号を付し、説明は省略する。
ストランド1bの着色塗装部2´の色は皆同じであってもよいが、2種類以上の異なる色としてもよい。このように異なる2種以上の色のストランドを撚り合せることにより、各ピッチごとあるいは数ピッチごとに異なる色があらわれるため、カラフルな模様のロープとなる。たとえば、黒と黄色のストランドを組み合わせれば、安全喚起用のロープとなる。多くの色のストランドを撚り合せればレインボウカラーのロープとなる。緑や肌色などのストランドを撚り合せれば迷彩色のロープとなる。
なお、心ストランド1aは表面に現れないので、着色塗装部2´を施さない場合もあるものとする。
【0026】
第2実施例のカラーロープを製造する場合にも、図3の装置を使用して行なえばよい。すなわち、工程的には、図3の説明における「ロープ本体」を「ストランド」に置き換えたものとなるので、説明は省略する。そして、着色被覆済みストランドは、冷却装置10たとえば水槽を通過して冷却され、そして乾燥装置11を通過する間に水気が除去され、巻取り装置5に巻収される。かかる着色被覆済みストランドを公知の撚り機にかけ、撚り合せることにより図5の完成したカラーロープCとなる。
【0027】
なお、本発明は種々の態様を取ることができる。
1)ワイヤロープのほか、銅及びその合金、ステンレス、チタンやその合金などのカラーロープ化にも使用可能である。
2)ロープ本体は、実施例では複数のストランドを撚り合わせた構造であるが、素線を撚り合わせた構造も含まれる。そして、素線を撚り合わせた構造のロープ本体を前記のように着色樹脂被覆したロープを複数本撚り合わせて径のより大きなカラーロープとすることも本発明に含まれる。この場合、各着色樹脂被覆ロープとして異なる被覆色のものを用いることで、迷彩柄など何色にも色分けされたカラーロープを簡単に製作することができる。
【0028】
3)飽和ポリエステル樹脂は溶融点に達すると水と同程度の粘度になり、どんな間隙にも入り、濡らし固化して被膜を形成するので、ロープ本体あるいはストランドの撚りが甘い場合などにおいては、内部にまで浸透して内部保護塗装を形成することができる。図2でいえば、各側ストランド1bを通過し、心ストランド1aと各側ストランド1b間の隙間を埋めた内層部分と、心ストランド1aを構成する素線10の隙間を通して浸透し、散在する接触部および空隙を埋めた素線内浸透部分を形成することができる。本発明はこの態様も含む。
【0029】
本発明の具体例を説明すると、表面に亜鉛メッキを施した直径0.35mmの素線を19本撚り合せて1×19構造のストランドを作り、これを7本撚り合せて径が6.3mm、7×19構造のロープ本体を得た。
前記ロープ本体を巻き取ったサプライ装置を図3の設備に配し、白色カラーロープを製造した。
塗料にはイソフタル酸15モル%を含み固有粘度0.8のポリエチレンイソテレフタレート共重合体を使用し、これを80メッシュよりも細かく微粉化し、酸化チタンと顔料を3%添加し、攪拌混合した。
【0030】
ラインスピードは10m/分とし、前記ロープ本体を、塗装装置に導入した。塗装装置は静電塗装機を用い、前記粉体塗料を吐出量60g/分で供給し、ロープ本体に付着させた。続いて370℃の高周波加熱装置を通過させ、完全に被膜を溶融して細部にも充分浸透させた。被覆ロープは水槽で冷却し、乾燥して巻取り装置に巻き取った。
【0031】
かくして製造されたロープの被膜は膜厚平均120μmで、ピンホールは無く、凹凸部や素線の接点部も完全に被膜されていた。
製品ロープを360°に曲げてもクラックは生ぜず、戻せばなんらの異状も見られなかった。また塩水噴霧試験機にかけ7000時間も経過しても錆やクラックは生ぜず全く表面状態は変化がなかった。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】(a)は本発明によるカラー金属ロープの第1実施例を示す拡大側面図、(b)はその拡大図である。
【図2】図1の拡大断面図である。
【図3】塗装設備と工程を示す説明図である。
【図4】本発明カラー金属ロープの第2実施例用ストランドの拡大断面図である。
【図5】第2実施例のロープの断面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 ロープ本体
1a、1b ストランド
10 素線
2、2´ 着色塗装部
7 予熱装置
8 塗装装置
9 後熱装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の素線またはストランドを撚り合せて構成された直径6mm以上のロープの全体に飽和ポリエステル系合成樹脂に着色材料を添加した粉体塗料を付着・溶融させ、膜厚0.04〜0.25mmの着色塗膜を形成していることを特徴とするカラー金属ロープ。
【請求項2】
全体に飽和ポリエステル系合成樹脂に着色材料を添加した粉体塗料を付着・溶融させ、膜厚0.04〜0.25mmの着色塗膜を形成したストランドを用い、該ストランドを複数本撚り合わせて直径6mm以上の太径ロープを構成したことを特徴とするカラー金属ロープ。
【請求項3】
ストランドの着色塗膜の色が2種以上である請求項2に記載のカラー金属ロープ。
【請求項4】
飽和ポリエステル系合成樹脂が、イソフタル酸8〜20モル%を含み固有粘度が0.7〜1.0のイソテレフタル酸共重合飽和ポリエステルである請求項1または2に記載のカラー金属ロープ。
【請求項5】
ロープを構成するストランドまたは素線が表面に防食メッキを有している請求項1または2に記載のカラー金属ロープ。
【請求項6】
複数本のストランドを撚り合せて構成された直径が6mm以上のロープ本体を飽和ポリエステル樹脂の溶融温度を超える温度に予熱するかまたは予熱することなく飽和ポリエステル系合成樹脂に顔料を添加した粒度80メッシュ以上の微細な粉体塗料を付着溶融させて塗膜を形成し、冷却して膜厚0.04〜0.25mmの着色塗膜を被覆することを特徴とするカラー金属ロープの製造方法。
【請求項7】
複数本の素線を撚り合せたストランド本体を飽和ポリエステル樹脂の溶融温度を超える温度に予熱するかまたは予熱することなく飽和ポリエステル系合成樹脂に顔料を添加した粒度80メッシュ以上の微細な粉体塗料を付着溶融させて塗膜を形成し、冷却して膜厚0.04〜0.25mmの着色塗膜を被覆し、該着色塗膜被覆したストランドを複数本撚り合わせて直径が6mm以上のロープを得ることを特徴とするカラー金属ロープの製造方法。
【請求項8】
微細な粉体塗料を付着溶融させて塗膜を形成したのち再度加熱する工程をとる請求項6または7に記載のカラー金属ロープの製造方法。
【請求項9】
飽和ポリエステル系合成樹脂として、イソフタル酸8〜20モル%を含み固有粘度が0.7〜1.0のイソテレフタル酸共重合飽和ポリエステルを使用する請求項6ないし8のいずれかに記載のカラー金属ロープの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−152500(P2006−152500A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−346486(P2004−346486)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000003528)東京製綱株式会社 (139)
【Fターム(参考)】