説明

カルコンを含有する組成物およびその使用

【課題】カルコンを含む組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、アクネを処置するか、または皮膚、毛髪および頭皮に油状物もしくは毛穴が出現するのを減少させるための、カルコンを含む組成物、ならびにその使用を特色とする。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の背景〕
アクネ疾患(Acne disorders)は、非炎症型もしくは炎症型としてしばしば分類される。非炎症性アクネは、ぎっしり密集したケラチン(compact masses of keratin)、皮脂、および細菌から成り、濾胞管(follicular duct)を拡張させる、閉鎖面皰(closed comedones)(稗粒腫)および開放面皰(open comedones)(黒色面皰(blackheads))により特徴付けられる。面皰は、毛嚢脂腺管(pilo-sebaceous duct)がふさがれたとき、および/もしくは皮脂腺による皮脂の産生が増えたときに、形成される。面皰の形成に続いて、細菌の増殖および/もしくは皮脂の過剰産生に起因して、炎症が生じる場合がある。典型的には、細菌は、プロピオニバクテリア(P.アクネ)などの嫌気性細菌である。炎症性アクネは、瘢痕化(scarring)を引き起こすことがある、丘疹(にきび)、膿疱、および小節嚢胞性病変(nodulocystic lesions)により特徴付けられる。皮脂産生、ホルモン刺激、ふさがれた毛穴、および皮膚病原菌を含む、いくつかの要因が、アクネの病因において重要な役割を果たすと考えられている。アクネのある患者では、対照患者の皮脂レベルと比べて、皮脂レベルが約70%だけ増大している。
【0002】
本発明は、あるカルコンが、アクネを処置すること、および皮膚での油状物(oil)もしくは毛穴の出現を減少させることに局所的に効果的であるという、予想外の発見に関する。
【0003】
〔発明の概要〕
一態様では、本発明は、アクネを処置するか、または皮膚上に油状物もしくは毛穴が出現するのを減少させる、方法を特色とし、この方法は、そのような処置を必要とする皮膚に、組成物を塗布することによるものであり、組成物は、式Iのカルコンであって、
【化1】

式中、
Rは、水素、C〜Cアルキル、C〜C10アルケニル、アシル、もしくはグリコシルであり、
mは、0〜5であり、
nは、0〜5である、カルコン、または、
mとnとの合計が4以上であるという条件で、その美容的に許容可能な塩、
を含む。
【0004】
一態様では、本発明は、アクネを処置するか、または皮膚上に油状物もしくは毛穴が出現するのを減少させる、方法を特色とし、この方法は、そのような処置を必要とする皮膚に、組成物を塗布することによるものであり、組成物は、
(a)式Iのカルコンであって、
【化2】

式中、
Rは、水素、C〜Cアルキル、C〜C10アルケニル、アシル、もしくはグリコシルであり、
mは、0〜5であり、
nは、0〜5である、カルコン、または、
その美容的に許容可能な塩と、
(b)カテキンと、
を含む。
【0005】
別の態様では、本発明は、アクネを処置するため、または皮膚上に油状物もしくは毛穴が出現するのを減少させるために、(a)このような組成物と、(b)その組成物を皮膚に塗布するように使用者に指示する取扱説明書と、を含む、製品を特色とする。
【0006】
別の態様では、本発明は、アクネを処置するため、または皮膚上に油状物もしくは毛穴が出現するのを減少させるために、前述の組成物を皮膚に塗布するように使用者に指示することにより、そのような組成物の普及を促進する方法を特色とする。
【0007】
本発明の他の特徴および利点は、発明の詳細な説明、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0008】
〔発明の詳細な説明〕
当業者は、本明細書の説明に基づいて、本発明を最大限に利用することができると考えられる。以下の特定の実施形態は、単に例示的なものとして解釈されるべきであり、何であれ決して開示内容の残りの部分を決して制限するものではないと解釈されるべきである。
【0009】
別段定義されない限り、本明細書で使用される技術用語および科学用語はすべて、本発明が属する技術分野の当業者が一般的に理解するのと同じ意味を有する。また、本明細書で言及される刊行物、特許出願、特許文献、および他の参考文献はすべて、参照により組み込まれるものである。別段指摘されない限り、パーセンテージは、重量%(すなわち%(W/W))を指す。
【0010】
〔定義〕
「アクネを処置する」とは、アクネもしくは酒さを減少させるか、または防ぐことを意味する。
【0011】
「製品」とは、完成し、パッケージに入れた形態の製品を意味する。一実施形態では、パッケージは、組成物を収容している、プラスチック、金属、もしくはガラス製の管またはジャーなどの、容器である。製品は、そのような容器を保管するための、プラスチックもしくは段ボール箱などの追加の包装材料をさらに含むことができる。一実施形態では、製品は、(i)アクネを処置するか、または(ii)皮膚上に油状物もしくは毛穴が出現するのを減少させるために、組成物を塗布するように使用者に指示する取扱説明書を含む。
【0012】
「普及を促進する(promoting)」とは、普及を促進すること、広告すること、もしくは市場で売ることを意味する。普及を促進することの例には、製品について行われるか、または店、雑誌、新聞、ラジオ、テレビ、インターネットなどで行われる、書面、視覚、もしくは口頭による声明が含まれるが、これらに限定されない。
【0013】
アクネの処置の普及を促進することについて、このような声明の例は、「アクネを処置する」、「アクネを防ぐ」、「アクネ病変、面皰、もしくはにきびを減少させる」、「アクネ病変、面皰、もしくはにきびが出現するのを減少させる」、「アクネの吹き出物(acne breakouts)および斑(blemishes)が出現するのを減少させる」、「アクネの吹き出物および斑が出現するのを防ぐか、制御するか、もしくは調節する」、ならびに、「吹き出物および斑を減少させる」、を含むが、これらに限定されない。
【0014】
皮膚上に油状物が出現するのを減少させることの普及を促進することについて、このような声明の例は、「皮脂が出現するのを減少させる」、「皮脂の産生を防ぐか、制御するか、もしくは調節する」、「皮脂を減少させる」、「脂性皮膚/てかてかする(shiny)皮膚が出現するのを減少させる」、「脂ぎった皮膚(greasy skin)が出現するのを減少させる」、ならびに、「皮膚、毛髪、もしくは頭皮のてかりを減少させる」、を含むが,これらに限定されない。一実施形態では、組成物は、アクネの処置を必要としていない皮膚(すなわち、アクネを患っていない皮膚、または頭皮/毛髪)に塗布される。
【0015】
皮膚上に毛穴が出現するのを減少させることの普及を促進することについて、このような声明の例は、「毛穴のサイズを縮小する」、「毛穴が出現するのを最小限にする」、「毛穴の外観を純化(refines)する」、「毛穴が見える(visibility)のを軽減する」、ならびに、「毛穴の開きを閉じる」、を含むが、これらに限定されない。一実施形態では、組成物は、アクネの処置を必要としていない皮膚(すなわち、アクネを患っていない皮膚)に塗布される。
【0016】
本明細書で使用される「そのような処置を必要としている皮膚に塗布する(administering to skin in need of such treatment)」は、(例えば、手、または、ふき取り布(wipe)、チューブ、ローラー、スプレー、もしくはパッチなどであるが、これらに限定されない、アプリケータを使用することにより)そのような処置を必要としている皮膚領域、または、そのような処置を必要としている皮膚領域に近接した皮膚領域に、接触することを意味する。
【0017】
本明細書で使用される「組成物」は、皮膚に塗布するのに適した組成物を意味する。
【0018】
本明細書で使用される、「美容的に許容可能な(cosmetically-acceptable)」は、この用語が表す成分が、過度の毒性、配合禁忌(incompatibility)、不安定性、炎症、アレルギー反応などなしで、皮膚と接触して使用するのに適していることを意味する。
【0019】
本明細書で使用される、「安全かつ有効な量(safe and effective amount)」は、組織弾性(tissue elasticity)の増大を誘発するのに十分であるが、重い副作用を避けるように十分少ない、化合物、キャリア、もしくは組成物の量を意味する。化合物もしくは組成物の安全かつ有効な量は、末端使用者の、処置されている領域、年齢、健康および皮膚のタイプ、処置の期間および性質、使用される特定の化合物もしくは組成物、利用される特定の美容的に許容可能なキャリア、ならびに、同様の要因によって変わる。
【0020】
化合物
本発明の組成物は、式Iのカルコンであって、
【化3】

式中、
Rは、水素、C〜Cアルキル、C〜C10アルケニル、アシル、もしくはグリコシルであり、
mは、0〜5であり、
nは、0〜5である、カルコン、または、
その美容的に許容可能な塩、のうち、少なくとも1つの化合物を含有する。
【0021】
一実施形態では、mとnとの合計は、4以上である(例えば、4、5、もしくは6に等しい)。
【0022】
式Iの化合物の例は、実施例1の表1に以下で記載される化合物を含むが、それらに限定されない。
【0023】
本発明の化合物は、美容的に許容可能な塩の形でも存在しうる。医薬品での使用について、本発明の化合物の塩は、毒性のない「美容的に許容可能な塩」、美容的に許容可能な酸性/陰イオン性の塩もしくは塩基性/陽イオン性の塩を指す。美容的に許容可能な酸性/陰イオン性の塩は、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、酒石酸水素塩、臭化物、エデト酸カルシウム(calcium edetate)、カンシラート、炭酸塩、塩化物、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストラート、エシラート、フマル酸塩、グルセプト酸塩(glyceptate)、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニラート(glycollylarsanilate)、ヘキシルレソルシナート(hexylresorcinate)、ヒドラバミン(hydrabamine)、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトアート(hydroxynaphthoate)、ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、臭化メチル、硝酸メチル、硫酸メチル、粘液酸塩、ナプシラート、硝酸塩、パモアート、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩(diphospate)、ポリガラクツロン酸塩(polygalacturonate)、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシラート、およびトリエチルヨージド(triethiodide)を含むが、これらに限定されない。美容的に許容可能な塩基性/陽イオン性の塩は、アルミニウム、ベンザチン、カルシウム、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、リチウム、マグネシウム、メグルミン、カリウム、プロカイン、ナトリウム、および亜鉛を含むが、これらに限定されない。しかしながら、他の塩も、本発明による化合物、またはそれらの美容的に許容可能な塩の調製に有用である場合がある。また、有機酸もしくは無機酸は、ヨウ化水素酸、過塩素酸、硫酸、リン酸、プロピオン酸、グリコール酸、メタンスルホン酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、蓚酸、2−ナフタレンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクロヘキサンスルファミン酸、サッカリン酸、またはトリフルオロ酢酸を含むが、これらに限定されない。
【0024】
一実施形態では、本発明の組成物は、約0.01重量%〜約10重量%のこのような化合物、例えば約0.1重量%〜約5重量%のこのような化合物、例えば約0.5重量%〜約3重量%のこのような化合物を含有する。一実施形態では、この組成物は、少なくとも1重量%のこのような化合物、例えば少なくとも約2重量%のこのような化合物を含有する。本発明の化合物は、当業者により合成され、かつ/もしくはIndofine Chemicals Inc.(ニュージャージー州サマービル)などの商業的供給源から購入されることができる。
【0025】
組成物
本発明で有用な組成物は、対象組織、例えば、ヒトの皮膚など哺乳類の皮膚に塗布するのに適した製剤を含む。一実施形態では、組成物は、安全かつ有効な量の(i)式Iのカルコンおよび(ii)美容的に許容可能なキャリアを含有する。一実施形態では、この美容的に許容可能なキャリアは、組成物の約50重量%〜約99.99重量%(例えば、組成物の約80重量%〜約99重量%)である。
【0026】
組成物は、様々な製品タイプに作られてよく、様々な製品タイプには、溶液、懸濁液、ローション、クリーム、ゲル、収斂用化粧水、粘着物(sticks)、スプレー、軟膏、洗浄用液体洗剤および固体のバー(cleansing liquid washes and solid bars)、シャンプーおよびヘアコンディショナー、ペースト、泡、粉末、ムース、シェービングクリーム、ふき取り布、細片(strips)、パッチ、電気的に動力供給されるパッチ、外傷手当て用品および粘着性包帯、ヒドロゲル、フィルム形成製品、顔用マスクおよび皮膚用マスク、ファンデーション、アイライナーおよびアイシャドウなどの化粧品、ならびに同種のものが含まれるが、これらに限定されない。これらの製品タイプは、溶液、懸濁液、マイクロエマルションおよびナノエマルションなどのエマルション、ゲル、固体、ならびにリポソームを含むがこれらに限定されない、いくつかのタイプの美容的に許容可能なキャリアを含有することができる。以下は、このようなキャリアの非限定的な例である。他のキャリアは、当業者により調剤されうる。
【0027】
本発明で有用な組成物は、溶液として調剤されることができる。溶液は、典型的には、水性溶剤または有機溶剤(例えば、約50%〜約99.99%、もしくは約90%〜約99%の美容的に許容可能な水性溶剤または有機溶剤)を含む。適切な有機溶剤の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(200〜600)、ポリプロピレングリコール(425〜2025)、グリセロール、1,2,4−ブタントリオール、ソルビトールエステル、1,2,6−ヘキサントリオール、エタノール、およびそれらの混合物を含む。
【0028】
ローションは、このような溶液から作られうる。ローションは、典型的には、約1%〜約20%(例えば、約5%〜約10%)の皮膚軟化剤、および、約50%〜約90%(例えば、約60%〜約80%)の水を含有する。本明細書で使用される、「皮膚軟化剤(emollients)」は、乾燥の防止もしくは緩和のため、ならびに、皮膚もしくは毛髪の保護のために用いられる物質を指す。皮膚軟化剤の例は、「国際化粧品成分辞典(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook)」(編集者:WenningerおよびMcEwen、1656〜61頁、1626頁、および1654〜55頁)(米国化粧品協会(The Cosmetic, Toiletry, and Fragrance Assoc)、ワシントンD.C.第7版、1997年)(以下、「ICIハンドブック」とする)に記載されるものを含むが、それらに限定されない。
【0029】
溶液から調剤されうる別のタイプの製品は、クリームである。クリームは、典型的には、約5%〜約50%(例えば、約10%〜約20%)の皮膚軟化剤、および約45%〜約85%(例えば、約50%〜約75%)の水を含有する。
【0030】
溶液から調剤されうるさらに別のタイプの製品は、軟膏である。軟膏は、動物油、植物油、もしくは合成油、または半固体の炭化水素の単純な基剤(simple base)を含有することができる。軟膏は、約2%〜約10%の皮膚軟化剤、さらに、約0.1%〜約2%の増粘剤を含有しうる。増粘剤の例は、ICIハンドブックの1693〜1697頁に記載されたものを含むが、それらに限定されない。
【0031】
本発明で有用な組成物は、エマルションとしても調剤されうる。キャリアがエマルションである場合、キャリアの約1%〜約10%(例えば、約2%〜約5%)が、乳化剤を含有する。乳化剤は、非イオン性、陰イオン性、もしくは陽イオン性であってよい。乳化剤の例は、ICIハンドブックの1673〜1686頁に記載されたものを含むが、それらに限定されない。
【0032】
ローションおよびクリームは、エマルションとして調剤されることができる。典型的には、そのようなローションは、0.5%〜約5%の乳化剤を含有し、一方、そのようなクリームは、典型的には、約1%〜約20%(例えば、約5%〜約10%)の皮膚軟化剤;約20%〜約80%(例えば、30%〜約70%)の水;および約1%〜約10%(例えば、約2%〜約5%)の乳化剤を含有する。
【0033】
水中油型および油中水型の、ローションおよびクリームなどの、単一エマルションのスキンケア調合剤は、当技術分野で周知であり、主題発明(subject invention)で有用である。水中油中水型もしくは油中水中油型などの、多相エマルション組成物もまた、主題発明において有用である。概して、このような単一もしくは多相のエマルションは、必須成分として、水、皮膚軟化剤、および乳化剤を含有している。
【0034】
本発明の組成物は、ゲル(例えば、適切なゲル化剤を用いた、水性ゲル、アルコールゲル、アルコール/ウォーターゲル、もしくはオイルゲル)としても調剤されうる。水性ゲルおよび/もしくはアルコールゲルに適切なゲル化剤は、天然ゴム、アクリル酸およびアクリラートの重合体および共重合体、ならびにセルロース誘導体(例えば、ヒドロキシメチルセルロース、およびヒドロキシプロピルセルロース)を含むが、これらに限定されない。油(例えば鉱物油)に適切なゲル化剤は、水素化ブチレン/エチレン/スチレン共重合体、および水素化エチレン/プロピレン/スチレン共重合体を含むが、これらに限定されない。このようなゲルは、典型的には、約0.1重量%〜5重量%のこのようなゲル化剤を含有している。
【0035】
本発明の組成物は、固体製剤(例えば、ワックスベースの粘着物、棒状石鹸組成物(soap bar composition)、粉末、および粉末を含むふき取り布)に調剤されることもできる。
【0036】
主題発明において有用な組成物は、前述した構成成分に加えて、この技術分野で確立されているレベルで、皮膚に用いるための組成物に従来用いられている、様々な追加の油溶性物質および/もしくは水溶性物質を含有することができる。
【0037】
追加の美容的活性薬剤
一実施形態では、組成物は、前述の化合物に加えて、別の美容的活性薬剤(cosmetically active agent)をさらに含有する。「美容的活性薬剤」とは、組織に対して美容効果または治療効果を有する化合物(例えば、合成化合物、もしくは自然源から分離された化合物、または化合物の混合物を含有する自然抽出物)を意味しており、このような化合物は、色を明るくする薬剤(lightening agents)、セルフタンニング剤などの、色を暗くする薬剤(darkening agents)、抗アクネ剤、光沢制御剤(shine control agents)、抗イースト剤(anti-yeast agents)、抗真菌薬および抗細菌剤などの抗菌剤、抗炎症剤、抗寄生虫剤、外用鎮痛薬、日焼け止め、フォトプロテクター、抗酸化剤、角質溶解薬、洗剤/界面活性剤、モイスチャライザー、栄養剤、ビタミン、エネルギーエンハンサー(energy enhancers)、抗発汗剤(anti-perspiration agents)、収斂薬、脱臭剤、ヘアリムーバー、毛髪成長増進剤、毛髪成長遅延剤、安定剤(firming agents)、抗胼胝剤、皮膚調節剤(agents for skin conditioning)、抗セルライト剤、フッ化物、ならびに、臭気遮蔽剤もしくはpH変更剤(odor masking or pH-changing agents)などの臭気制御剤(odor-control agents)を含むが、これらに限定されない。
【0038】
一実施形態では、美容的活性薬剤は、ヒドロキシ酸、過酸化ベンゾイル、D−パンテノール、メトキシケイ皮酸オクチル(octyl methoxycinnimate)、二酸化チタン、サリチル酸オクチル(octyl salicylate)、ホモサラート、アヴォベンゾン(avobenzone)、カロテノイド、フリーラジカルスカベンジャー、スピントラップ剤(spin traps)、レチノールおよびパルミチン酸レチニルなどのレチノイドおよびレチノイド先駆体、セラミド、多価不飽和脂肪酸、必須脂肪酸、酵素、酵素阻害剤、鉱物、エストロゲンなどのホルモン、ヒドロコーチゾンなどのステロイド、2−ジメチルアミノエタノール(2-dimethylaminoethanol)、塩化銅などの銅塩、Cu:Gly−His−Lysなどの銅を含有するペプチド、補酵素Q10、プロリンなどのアミノ酸、ビタミン、ラクトビオン酸、アセチル補酵素A、ナイアシン、リボフラビン、チアミン、リボース、NADHおよびFADH2などの電子輸送体、ならびに、アロエベラ、ナツシロギク、およびダイズなど、他の植物抽出物、ならびにその誘導体および混合物から成る群から選択されるが、それに限定されない。美容的活性薬剤は、典型的には、組成物の約0.001重量%〜約20重量%、例えば約0.005重量%〜約10重量%、例えば約0.01重量%〜約5重量%の量で、本発明の組成物中に存在する。
【0039】
ビタミンの例は、ビタミンA、ビタミンB3、ビタミンB5、およびビタミンB12などのビタミンB類、ビタミンC、ビタミンK、αトコフェロール、γトコフェロールまたはδトコフェロールなどのビタミンE、ならびに、それらの誘導体(例えば塩およびエステル)および混合物を含むが、これらに限定されない。
【0040】
ヒドロキシ酸の例は、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、サリチル酸、クエン酸、および酒石酸を含むが、これらに限定されない。
【0041】
抗酸化剤の例は、水溶性抗酸化剤、例えば、スルフヒドリル化合物およびそれらの誘導体(例えば、メタ重亜硫酸ナトリウム、およびN−アセチル−システイン)、リポ酸、およびジヒドロリポ酸、リスベラトロール、ラクトフェリン、ならびに、アスコルビン酸およびアスコルビン酸誘導体(例えば、パルミチン酸アスコルビル(ascorbyl palmitate)およびアスコルビルポリペプチド(ascorbyl polypeptide))を含むが、これらに限定されない。本発明の組成物に使用するのに適切な油溶性抗酸化剤は、ブチル化ヒドロキシトルエン、レチノイド(例えば、レチノールおよびパルミチン酸レチニル)、異なったタイプのトコフェロール(例えば、αトコフェロール、γトコフェロール、δトコフェロール、および酢酸塩など、それらのエステル)およびそれらの混合物、トコトリエノール、ならびに、ユビキノンを含むが、それらに限定されない。本発明の組成物に使用するのに適した抗酸化剤を含有する自然抽出物は、フラボノイド、イソフラボノイド、およびそれらの誘導体、例えばゲニステインおよびダイゼイン(diadzein)を含有する抽出物(例えば、ダイズおよびクローバー抽出物、リスベラトロールを含有する抽出物など)を含むが、それらに限定されない。そのような自然抽出物の例は、ブドウの種、緑茶、松樹皮、およびプロポリスを含む。
【0042】
酵素の例は、真菌プロテアーゼ(fungal proteases)、細菌プロテアーゼもしくは哺乳類プロテアーゼ(mammalian proteases)などのプロテアーゼを含むが、それらに限定されない。このようなプロテアーゼの例は、ペプシン、カテプシン、ヒト尿酸プロテアーゼ、ニューロスポラオリゼー(Neurospora oryzae)、ムコールプシルス(Mucor pusillus)、ムコールミーハイ(Mucor miehei)、リゾプスキネンシス(Rhizopus chinensis)、もしくはクリ胴枯病(Endothia parasitica)から得られる真菌プロテアーゼ、および細菌プロテアーゼリゾプスペプシン(bacterial proteases rhizopuspepsin)、ペニシロペプシン(penicillopepsin)、ならびにエンドシアペプシン(endothiapepsin)を含むが、これらに限定されない。さらに、プロテアーゼは、遺伝子工学の方法および技術を含む方法から得ることができる。
【0043】
真菌抽出物の例は、ニューロスポラオリゼー、ムコールプシルス、ムコールミーハイ、リゾプスキネンシス、もしくはクリ胴枯病ムコールミーハイ(Endothia parasitica Mucor Miehei)からの抽出物を含むが、これらに限定されない。このようなプロテアーゼおよび真菌抽出物を含有する組成物の例は、米国特許第5,976,556号に開示されている。
【0044】
抗アクネ剤
一実施形態では、本発明は、抗アクネ剤を含む局所用組成物に関する。「抗アクネ剤」とは、アクネの局所的な処置用の、連邦食品医薬品局により承認された化合物を意味する。抗アクネ剤の例は、サリチル酸、過酸化ベンゾイル、硫黄、レチノイン酸、カンジダボンビコラ/グルコース/ナタネ油脂肪酸メチル発酵体(candida bombicola/glucose/methyl rapeseedate ferment)、泥炭水、レソルシノール、沈泥、泥炭、ペルメトリン(permethin)、アゼライン酸、クリンダマイシン、アダパレン、エリスロマイシン、ナトリウムスルファセタミド(sodium sulfacetamide)、およびそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない。一実施形態では、組成物中の抗アクネ剤の量は、組成物の総重量に基づいて、約0.01重量%〜約10重量%、例えば、約0.1重量%〜約5重量%、もしくは約0.5重量%〜約2重量%である。
【0045】
カテキン
一実施形態では、本発明の組成物は、カテキンをさらに含有する。「カテキン」という用語は、フラボノイド類のフラバン−3−オールのクラス(flavan-3-ol class)に属するポリフェノール物質を指す。カテキンは、合成的に作られるか、または自然に作られることができる(例えば、植物抽出物の一部など)。例示的なカテキンは、カテキン(C)、カテキン没食子酸塩(CG)、エピカテキン(EC)、ガロカテキン(GC)、ガロカテキン没食子酸塩(GCG)、エピガロカテキン(EGC)、エピカテキン没食子酸塩(ECG)、およびエピガロカテキン没食子酸塩(EGCG)を含むが、これらに限定されない。カテキン含有量を有する例示的な植物は、カテキュー、緑茶(チャ、ユチャ)、ヨーロッパブドウ、ブドウ(ヨーロッパブドウ)、キンミズヒキ(セイヨウキンミズヒキ)、綿(ワタ(Gossypium sp))、カシス(クロフサスグリ)、カウベリー(コケモモ(Vaccinium vitis-idaea var. minus))、アルピニアガランガ、およびアルピニアカツマダ(Alpinia katsumada)を含むが、これらに限定されない。カテキンは、合成的に作られうるか、または、例えば、Indofine(ニュージャージー州サマービル)、もしくはAldrich(ウィスコンシン州ミルウォーキー)から、市販されている。
【0046】
植物抽出物
一実施形態では、本発明の組成物は、別の植物抽出物をさらに含有する。「植物抽出物」とは、植物から分離された化合物の混合物を意味する。このような化合物は、植物の1つ以上の部分(例えば、植物全体、植物の花、種、根、根茎、茎、果実、および/もしくは葉)から分離されることができ、この分離は、そのような植物の小片を物理的に除去すること、例えば植物の花を粉砕することによる。このような化合物はまた、当技術分野で周知の抽出手順(例えば、C〜C低級アルコール、C〜Cアルキルポリオール、C〜Cアルキルケトン、C〜Cアルキルエーテル、酢酸C〜Cアルキルエステル、およびクロロホルムなどの有機溶剤、ならびに/または、水などの無機溶剤、塩酸などの無機酸、ならびに、水酸化ナトリウムなどの無機塩基の使用)を用いることにより、植物から分離されることもできる。
【0047】
一実施形態では、植物抽出物(例えば、アルピニア属抽出物(alpinia extract)、緑茶抽出物、ナツシロギク抽出物、キンミズヒキ抽出物、綿抽出物、ブドウ抽出物、カシス抽出物、カウベリー抽出物、またはダイズ抽出物)は、組成物の、約0.001重量%〜約20重量%の量、特に約0.1重量%〜約10重量%の量で、組成物中に存在する。特に明記しない限り、抽出物の重量は、抽出物の乾燥重量を指す。
【0048】
ナツシロギク抽出物
一実施形態では、本発明の組成物は、ナツシロギク抽出物をさらに含有する。「ナツシロギク抽出物」とは、ナツシロギク植物から分離された化合物の混合物である。そのような化合物の例は、アピゲニン−7−グルコシド(apigenin-7-glucoside)、アピゲニン−7−グルクロニド(apigenin-7-glucuronide)、1−β−ヒドロキシアルブスクリン(1-β-hydroxyarbusculin)、6−ヒドロキシケンフェロール−3,7−4’−トリメチルエーテル(タネチン(Tanetin))、6−ヒドロキシケンフェロール−3,7−ジメチルエーテル、8−β−レイノシン(8-β-reynosin)、10−エピカニン(10-epicanin)、アスコルビン酸、ベータカロチン、カルシウム、クロム、クリサンセモライド(chrysanthemolide)、クリサンセモミン(chrysanthemomin)、クリサルテン−A(chrysarten-A)、クリサルテン−c(chrsyarten-c)、クリソエリオール−7−グルクロニド、コバルト、コスモシイン(cosmosiin)、エポキシアルテモリン(epoxyartemorin)、ルテオリン−7−グルコシド(luteolin-7-glucoside)、ルテオリン−7−グルクロニド、マングノリオリド(mangnoliolide)、パルテノライド、クエルセタゲンチン−3,7−3’−トリメチルエーテル、クエルセタゲチン−3’7−ジメチルエーテル(quercetagetin-3'7-dimethylether)、レイノシン(reynosin)、タナパルシン(tanaparthin)、タナパルシン−1α,4α−エポキシド、タナパルシン−1β,4β−エポキシド、β‐コスツノリド(β-costunolide)、3−β−ヒドロキシ−パルテノライド、および3,7,3’−トリメトキシクエルセタゲチン(3,7,3'-trimethoxyquercetagetin)を含むが、これらに限定されない。パルテノライドなど、ナツシロギク植物中に存在するα−不飽和γ−ラクトン(α-unsaturated γ-lactones)は、アレルギー反応を引き起こすことが知られている。したがって、一実施形態では、ナツシロギク抽出物には、アレルギーを引き起こすα−不飽和γ−ラクトンは実質的にない。パルテノライドが実質的にない、ナツシロギク抽出物の調合剤が、米国特許出願公開第20040105905号の実施例1に開示されている。
【0049】
ダイズ抽出物
一実施形態では、本発明の組成物は、ダイズ抽出物をさらに含有する。「ダイズ抽出物」とは、ダイズから分離された化合物の混合物を意味する。ダイズ抽出物は、ダイズの一部分のみ(例えば、脂質還元ダイズ粉末(lipid reduced soybean powder)もしくはろ過豆乳(filtered soymilk)などの、ダイズの抽出物)を含んでもよく、または、ダイズ全体(例えば、ダイズの粉砕粉末)を含んでもよい。ダイズ抽出物は、流体(例えば豆乳)、または固体(例えばダイズ粉末もしくは豆乳粉末)の形であってよい。
【0050】
ダイズ抽出物は、ダイズ粉末であってよい。ダイズ粉末は、乾燥ダイズを粉砕することにより作られうる。ダイズ粉末は、凍結乾燥されることができる。豆乳および豆乳粉末もまた、有用なダイズ抽出物である。豆乳は、ダイズから得られる固体および水の組み合わせ物であり、ダイズおよび水の混合物は、不溶性成分の一部もしくはすべてを濾過で取り除かれる。豆乳粉末は、蒸発された豆乳であり、この豆乳粉末は、一実施形態では、凍結乾燥されるか、もしくは吹き付け乾燥された形をとる。豆乳を製造する手順は、以下の3つの手順を含むが、それらに限定されない。第一に、豆乳は、ダイズを水中に入れて、ダイズに水を吸収させることにより作られうる。膨張した豆は次に、粉砕され、その後、さらに水が加えられる。この混合物は、次に、あらゆる不溶性残留物を除去するようにろ過されてよい。第二に、豆乳は、ダイズ粉末からも準備されることができる。ダイズ粉末は、(例えば少なくとも1時間の間)水と入念に混合され、その後にろ過プロセスが続き、不溶性残留物を除去することができる。第三に、豆乳は、水を加えることにより豆乳粉末から液体状に戻される(reconstituted)こともできる。豆乳は、約1重量%〜約50重量%(例えば、約5重量%〜約20重量%)のダイズ由来の固体(solids from the soybean)を含むことができる。
【0051】
ダイズの既知の活性成分は、イソフラボン、フィトエストロゲン、ゲニステイン、ダイゼイン、グリシテイン(glycitein)、サポニン、および植物ステロールを含むが、これらに限定されない。本発明において有用なダイズ抽出物は、地理的起源、日光曝露、収穫期などにかかわらず、すべてのダイズ種から生産されうる。しかしながら、特定の系統、地理的起源もしくは成長条件が好ましいであろう。例えば、以下に限定されないが、ダイズトリプシン阻害因子(STI)含有量もしくはイソフラボン含有量が特に豊かなダイズ系統、または豆中のSTIもしくはイソフラボンが豊富になることをもたらす成長条件が好ましい場合がある。
【0052】
一実施形態では、ダイズ抽出物は、非変性ダイズ抽出物である。「変性」は、バンタム医学辞典(Bantam Medical Dictionary)(1990年版)において、「熱、X線、もしくは化学物質によりもたらされる、タンパク質の物理的性質および生理的性質の変化。これらの変化は、(酵素の場合)活性の損失、および(抗原の場合)抗原性の損失(もしくは、変質)を含む」と定義されている。「非変性植物抽出物」とは、植物から抽出されるか、もしくは得られた生成物であって、そのような植物抽出物の誘導のための処理(例えば、温度、抽出培地)により、そのプロテアーゼ阻害活性が排除されなかった、生成物である。そのような1つのプロテアーゼは、トリプシンである。一実施形態では、本発明のダイズ抽出物の非変性状態は、完全なダイズトリプシン阻害因子(STI)タンパク質の存在によって、または、そのトリプシン阻害活性によって、測定される。
【0053】
本発明の組成物において有用なダイズ抽出物は、独特の臭気を有しうることに注目するべきである。必要ならば、抽出物の臭気は、リポキシゲナーゼ−2−欠乏ダイズ(lipoxygenase-2- deficient beans)、および修飾糖プロファイル(modified sugar profile)を有するダイズなどを含むがこれらに限定されない、臭気を低減させることが知られているダイズの特定の系統から得られたダイズ生成物を用いることにより、低減されうる。製剤中の酸素濃度を下げるためのプロセスもまた、臭気を低減させることができる。様々なマスキング剤もしくは芳香剤もまた、臭気を遮蔽するために用いられてよい。豆乳を作る1つの方法は、脱イオン水もしくは精製水中にダイズを数時間にわたって浸し、そのダイズが十分に水和した後で、少量の水を加えてダイズを粉砕することである。粉砕プロセスにより、豆乳が抽出されることができる。収集後、豆乳は、豆の外皮のあらゆる残留部分を除去するために、濾過されることができる。以下に記載される製剤に使用される豆乳は、前述のように新鮮な豆乳であってよく、または、ダイズ粉末および水から作られてよい。ダイズ粉末は、ダイズから製粉され、凍結乾燥されるか、吹き付け乾燥されるか、もしくはフリーズドライにされることもでき、その結果得られる豆乳は、濾過されてもされなくてもよい。このような調製された豆乳は、約1〜約90重量%の乾燥ダイズ粉末を有することができる。別の例は、水の添加により、凍結乾燥豆乳、吹き付け乾燥豆乳、もしくはフリーズドライ豆乳から作られて、ろ過もしくは均質化を行うか、または行わずに仕上げられた、豆乳粉末を用いることである。ダイズ抽出の他の方法は、以下に記載する製剤中の活性成分を作り出すのにも使用されることができる。例えば、活性成分は、ダイズのセリンプロテアーゼ阻害活性が維持されて、好ましくはタンパク質STIが完全なまま残るような方法で、エタノール/水混合物を用いて粉砕ダイズから抽出されることができ、それに続いて、抽出物からエタノールが除去される。
【0054】
一実施形態では、本発明で用いられるダイズ抽出物は、ダイズ抽出物1g当たり約1,000cfu未満(例えば、1g当たり約100cfu未満)の微生物含有量を有する。
【0055】
ダイズ抽出物は、γ放射線にさらされることができる。ダイズ抽出物は、約2〜約30kGyのγ放射線、例えば約5〜約10kGyのγ放射線にさらされることができる。このような処理により、その生物活性(例えば、セリンプロテアーゼ阻害活性)を保ちつつ、ダイズ抽出物の微生物含有量が減少される。ダイズ抽出物をγ放射線で処理することにより、例えば天然の色が維持されるなど、組成物の美容的上品さ(cosmetic elegance)が維持され、著しい悪臭が引き起こされない。
【0056】
単独、またはγ放射線と組み合わせて実行されうる、ダイズ抽出物のプロテアーゼ阻害活性をも維持する、他の抗菌プロセスは、x線、高エネルギー電子もしくはプロトンのビーム、紫外線照射、静水圧への曝露、抗菌活性を有する化学薬品の添加、およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0057】
他の物質
様々な他の物質も、主題発明において有用な組成物中に存在していてもよい。それらの物資は、湿潤剤、タンパク質およびポリペプチド、防腐剤およびアルカリ性剤を含む。このような薬剤の例は、ICIハンドブック、1650〜1667頁に開示されている。
【0058】
本発明の組成物は、キレート剤(例えば、EDTA)、および防腐剤(例えばパラベン)も含有することができる。適切な防腐剤およびキレート剤の例は、ICIハンドブックの1626頁、1654〜55頁に記載されている。加えて、本明細書において有用な組成物は、従来の化粧用補助剤、例えば、染料および顔料などの着色料、乳白剤(例えば、二酸化チタン)、ならびに芳香剤を含有することができる。
【0059】
ミネラルウォーター
本発明の組成物は、ミネラルウォーター、例えば、エビアン(登録商標)ミネラルウォーター(フランスエビアン)など、自然にミネラル化されたミネラルウォーター、を用いて、調製されうる。一実施形態では、ミネラルウォーターは、少なくとも約200mg/L(例えば約300mg/L〜約1000mg/L)のミネラル分(mineralization)を有する。一実施形態では、ミネラルウォーターは、少なくとも約10mg/Lのカルシウム、および/もしくは少なくとも約5mg/Lのマグネシウムを含有する。
【0060】
使用
本発明による組成物は、アクネを含むがこれに限定されない、様々な皮膚状態を処置するのに用いられうる。一実施形態では、この組成物は、例えば、高脂肪血症や、アンドロゲン過剰症(hyperandrogenia)、脂漏症、脂漏性皮膚炎、頭部脂漏症、湿疹様脂漏症、顔面脂漏症(seborrhea faciei)、油性脂漏症、乾性脂漏症、新生児鱗状脂漏症(seborrhea squamosa neonatorum)、皮脂腺増生、酒さ、濾胞性発疹、ニキビダニ、脂性皮膚、角質嚢腫、仮性鬚毛包炎(Pseudofolliculitis barbae)、および、多毛症など、他の皮脂疾患を処置するのに用いられる。
【0061】
本発明の組成物は、皮膚(例えば、顔、頭皮、もしくは毛髪)に毛穴および油状物が出現するのを減少させるのにも用いられうる。
【0062】
本発明の組成物は、アクネ病変、面皰、もしくはにきびを減少させ、アクネ病変、面皰、もしくはにきびが出現するのを減少させ、アクネの吹き出物および斑が出現するのを減少させ、アクネの吹き出物および斑が出現するのを防ぐか、制御するか、または調節し、かつ、吹き出物および斑を減少させるために、用いられることもできる。
【0063】
本発明の組成物は、皮膚に油状物が出現するのを減少させること、例えば、皮脂の出現を減少させること、皮脂の産生を防ぐか、制御するか、または調節すること、皮脂を減少させること、脂性皮膚/てかてかした皮膚の出現を減少させること、脂ぎった皮膚の出現を減少させること、および、皮膚、毛髪、もしくは頭皮のてかりを減少させること、を促進するために用いられてもよい。
【0064】
本発明のこのような組成物を含有する組成物および製剤は、当業者に周知の手順を用いて調製されうる。
【0065】
実施例1:生体外での脂肪細胞(Sebocvte)の脂質生成アッセイ
フェースリフト(facelift)手術を受ける患者から得た顔面皮膚のサンプルが用いられた。到着すると、ダーマトームにより得られた、最上部の0.4mmの皮膚部分が除去され、その次の0.4mmの真皮部分(皮脂腺に富んでいることが予め分かっている)が用いられて脂腺細胞を分離した。この組織は、ペニシリンおよびストレプトマイシン、ならびに10%の仔ウシ血清を含有するダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)において37℃で20分間にわたりディスパーゼで温浸(digested)され、その後、リン酸緩衝食塩水(PBS)中において37℃で10分間にわたり、0.3%トリプシン/0.1%エチレンジアミン四酢酸(EDTA)で、温浸された。メスの刃で組織を勢いよくこすることにより、単細胞懸濁液が得られた。放出された細胞は、マイトマイシンC不活性化3T3線維芽細胞のフィーダー層に播種され、成長培地において37℃で3日間培養された。この成長培地は、DMEMおよびF12培地(3:1)、L−グルタミン、ピルビン酸ナトリウム、ペニシリン、ストレプトマイシン、8%の牛胎児血清、2%の熱不活性化ヒト血清、表皮増殖因子、インシュリン、ヒドロコーチゾンを含有しており、また、コレラ毒素(ChT)を含んでいたか、もしくは含んでいなかった。ChTで処理された培養物は、脂質形成および貯蔵を誘導するために、3日間、低血清培地に移され、その後、さらに7日間、無血清培地に移されたが、ChT処理されていない培養物は、10日間、成長培地(非誘導条件)に保持された。低血清培地は、L−グルタミン、ピルビン酸ナトリウム、ペニシリン、ストレプトマイシン、2%の熱不活性化ウシ血清、および2%の熱不活性化ヒト血清、1Xインシュリン−トランスフェリン−セレニウム、1X微量元素が補充された、DMEMおよびF12培地(3:1)から成った。無血清培地は、L−グルタミン、ピルビン酸ナトリウム、ペニシリン、ストレプトマイシン、1Xインシュリン−トランスフェリン−セレニウム、1X微量元素、3,3’,5−トリヨード−L−チロニンナトリウム(3,3',5-triiodo-L-thyronine sodium)が補充された、DMEMおよびF12培地(3:1)を含有していた。ナイルレッド染色法による中性脂質分析については、細胞が、96ウェルプレートで成長させられ、薄層クロマトグラフィーによる脂質分析については、細胞が、6ウェルプレートで成長させられ、培養の最後に、こすることにより収集された。
【0066】
脂肪細胞分化および脂質産生の刺激物質もしくは阻害物質の試験
ホルモン、ホルモンの混合物、すなわち、試験されるべきウシ下垂体抽出物もしくは化合物が、無血清培地への添加の初めに、培養物に添加された。皮脂腺の培養物に対する、これらの物質の効果を評価するために、2つの基準、すなわち1)目視観察、ならびに、2)皮脂腺の脂質蓄積および合成の評価、を用いた。脂質蓄積の評価は、ナイルレッド法を用いて完了した。この方法は、ナイルレッドによる中性脂質の可視化と、プレートリーダー(plate reader)を用いた、535nmの励起、580nmの発光(emission)での蛍光の読み取りによる定量化と、に依存している。脂質合成は、14C酢酸塩を用いた放射性標識(radioactive labeling)により評価され、また、4.1ソフトウェアを用いたBio Rad Phosphoimager(分子撮像装置、FX)により定量化された。
【0067】
脂質蓄積の形態的評価は、拡大した細胞(cells enlarged)が、明視野光学顕微鏡では細胞中に黄色がかった円として現れる脂質顆粒を示したため、容易に認識された。脂肪細胞における中性脂質の蓄積/阻害の定量化は、ナイルレッド結合アッセイにより達成された。手短に言えば、試験化合物に脂肪細胞を曝露することに続き、当該細胞は、DMSOおよびプルロニックF127を含有するハンクス緩衝生理食塩水中で、1μMのナイルレッドと相互作用させられた。一晩にわたるインキュベーション、洗浄、およびインキュベーションから4時間後、蛍光は、535nmの励起、および580nmの発光で、蛍光プレートリーダーを用いて読み取られ、誘導剤(induction agent)(すなわち、コレラ毒素)と比べられた。化合物が細胞成長に対して阻害作用を有しているかどうかを判定するために、細胞計数が行われた。
【0068】
前述の処置に従って、本発明の化合物は、脂質蓄積の視覚的評価およびナイルレッド評価のために試験され、その結果が表1に示される。
【表1】



【0069】
同じアッセイにおいて、本発明のカルコンと、緑茶抽出物との間の相乗作用も、見出された(表2を参照のこと)。
【表2】

【0070】
〔実施の態様〕
(1) アクネを処置するか、または皮膚上に油状物もしくは毛穴が出現するのを減少させる方法において、
そのような処置を必要とする皮膚に組成物を塗布することであって、
前記組成物は、
式Iのカルコンであって、
【化4】

式中、
Rは、水素、C〜Cアルキル、C〜C10アルケニル、アシル、もしくはグリコシルであり、
mは、0〜5であり、
nは、0〜5である、カルコン、または
mとnとの合計が4以上であるという条件で、その美容的に許容可能な塩、
を含む、
組成物を塗布すること、
を含む、方法。
(2) アクネを処置するか、または皮膚上に油状物もしくは毛穴が出現するのを減少させる方法において、
そのような処置を必要とする皮膚に組成物を塗布することであって、
前記組成物は、
(a)式Iのカルコンであって、
【化5】

式中、
Rは、水素、C〜Cアルキル、C〜C10アルケニル、アシル、もしくはグリコシルであり、
mは、0〜5であり、
nは、0〜5である、カルコン、または、その美容的に許容可能な塩、ならびに、
(b)カテキン、
を含む、
組成物を塗布すること、
を含む、方法。
(3) 実施態様2に記載の方法において、
前記カテキンは、カテキン、カテキン没食子酸塩、エピカテキン、ガロカテキン、ガロカテキン没食子酸塩、エピガロカテキン、エピカテキン没食子酸塩、およびエピガロカテキン没食子酸塩から成る群から選択される、方法。
(4) 実施態様1に記載の方法において、
前記カルコンは、2’−ヒドロキシ−2,3,5’−トリメトキシカルコン、その鏡像異性体、もしくはそのジアステレオ異性体、もしくはその美容的に許容可能な塩である、方法。
(5) 実施態様2に記載の方法において、
前記カルコンは、2,2’−ジヒドロキシカルコン、および2’−ヒドロキシ−2,3,5’−トリメトキシカルコン、その鏡像異性体、もしくはそのジアステレオ異性体、もしくはその美容的に許容可能な塩から成る群から選択される、方法。
【0071】
(6) 実施態様3に記載の方法において、
前記カルコンは、2,2’−ジヒドロキシカルコン、および2’−ヒドロキシ−2,3,5’−トリメトキシカルコン、その鏡像異性体、もしくはそのジアステレオ異性体、もしくはその美容的に許容可能な塩から成る群から選択される、方法。
(7) 実施態様1に記載の方法において、
前記方法は、
アクネを処置すること、
を含む、方法。
(8) 実施態様2に記載の方法において、
前記方法は、
アクネを処置すること、
を含む、方法。
(9) 実施態様1に記載の方法において、
前記方法は、
アクネの処置を必要としていない皮膚において、皮膚上に油状物もしくは毛穴が出現するのを減少させること、
を含む、方法。
(10) 実施態様2に記載の方法において、
前記方法は、
アクネの処置を必要としていない皮膚において、皮膚上に油状物もしくは毛穴が出現するのを減少させること、
を含む、方法。
【0072】
(11) 実施態様1に記載の方法において、
前記組成物は、サリチル酸、もしくは過酸化ベンゾイルをさらに含む、方法。
(12) 実施態様2に記載の方法において、
前記組成物は、サリチル酸、もしくは過酸化ベンゾイルをさらに含む、方法。
(13) 実施態様3に記載の方法において、
前記組成物は、サリチル酸、もしくは過酸化ベンゾイルをさらに含む、方法。
(14) 実施態様5に記載の方法において、
前記組成物は、サリチル酸、もしくは過酸化ベンゾイルをさらに含む、方法。
(15) 実施態様6に記載の方法において、
前記組成物は、サリチル酸、もしくは過酸化ベンゾイルをさらに含む、方法。
【0073】
(16) 製品において、
(a)組成物であって、
式Iのカルコンであって、
【化6】

式中、
Rは、水素、C〜Cアルキル、C〜C10アルケニル、アシル、もしくはグリコシルであり、
mは、0〜5であり、
nは、0〜5である、カルコン、または、
mとnとの合計が4以上であるという条件で、その美容的に許容可能な塩、
を含む、組成物と、
(b)アクネを処置するか、または皮膚上に油状物もしくは毛穴が出現するのを減少させるために、皮膚に前記組成物を塗布するように使用者に指示する、取扱説明書と、
を含む、製品。
(17) 実施態様16に記載の製品において、
前記取扱説明書は、アクネを処置するために、前記組成物を塗布するように前記使用者に指示する、製品。
(18) 実施態様16に記載の製品において、
前記組成物は、サリチル酸、もしくは過酸化ベンゾイルをさらに含む、製品。
(19) 実施態様17に記載の製品において、
前記組成物は、サリチル酸、もしくは過酸化ベンゾイルをさらに含む、製品。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクネを処置するか、または皮膚上に油状物もしくは毛穴が出現するのを減少させる方法において、
そのような処置を必要とする皮膚に組成物を塗布することであって、
前記組成物は、
式Iのカルコンであって、
【化1】

式中、
Rは、水素、C〜Cアルキル、C〜C10アルケニル、アシル、もしくはグリコシルであり、
mは、0〜5であり、
nは、0〜5である、カルコン、または
mとnとの合計が4以上であるという条件で、その美容的に許容可能な塩、
を含む、
組成物を塗布すること、
を含む、方法。
【請求項2】
製品において、
(a)組成物であって、
式Iのカルコンであって、
【化2】

式中、
Rは、水素、C〜Cアルキル、C〜C10アルケニル、アシル、もしくはグリコシルであり、
mは、0〜5であり、
nは、0〜5である、カルコン、または、
mとnとの合計が4以上であるという条件で、その美容的に許容可能な塩、
を含む、組成物と、
(b)アクネを処置するか、または皮膚上に油状物もしくは毛穴が出現するのを減少させるために、皮膚に前記組成物を塗布するように使用者に指示する、取扱説明書と、
を含む、製品。
【請求項3】
請求項2に記載の製品において、
前記取扱説明書は、アクネを処置するために、前記組成物を塗布するように前記使用者に指示する、製品。
【請求項4】
請求項2に記載の製品において、
前記組成物は、サリチル酸、もしくは過酸化ベンゾイルをさらに含む、製品。
【請求項5】
請求項3に記載の製品において、
前記組成物は、サリチル酸、もしくは過酸化ベンゾイルをさらに含む、製品。

【公表番号】特表2009−545606(P2009−545606A)
【公表日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−522921(P2009−522921)
【出願日】平成19年7月16日(2007.7.16)
【国際出願番号】PCT/US2007/073588
【国際公開番号】WO2008/019212
【国際公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(598039367)ジョンソン・アンド・ジョンソン・コンシューマー・カンパニーズ・インコーポレイテッド (79)
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Consumer Companies,Inc.
【住所又は居所原語表記】Grandview Road,Skillman,New Jersey 08558,United States of America
【Fターム(参考)】