説明

カルノソールを結晶化する方法

カルノソールは、植物抽出物と酢酸を接触させ、そのようにして形成された結晶を回収することによって、抽出物から結晶化することができる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、カルノソールを溶液から結晶化する方法に関する。
【0002】
[背景技術]
カルノソールは、セージ、グリークセイジ(Greek sage)、最も著しくはローズマリーなど、いくつかの植物種中の天然化合物である。最近、その生物活性についての研究がいくつかなされている。例えば、前立腺癌に対するその使用が記載されている国際公開第07/131767号パンフレット、および神経伝達異常を伴う障害を改善するための使用が記載されている国際公開第08/061755号パンフレットを参照のこと。
【0003】
市販のローズマリー粗抽出物は、一般にアビエタン約20%〜60%(カルノソールは一部にすぎない)、および主に未知の構造を有する様々な多くの化合物約1〜80%を含有する。カルノソールを単離するために、多段階プロセスがしばしば使用され、これによって最終生成物の経費がかさむ。
【0004】
さらに、アセトンなど、食品加工を可能にする通常使用される多くの有機溶媒(食品用溶媒)では、カルノソールをローズマリー抽出物から結晶化することは可能でなく、または(例えば、エタノールからは)少量しか結晶化することができず、カルノソールをローズマリー抽出物から直接結晶化することが経済的に魅力のないものとなる。
【0005】
純度のより高いカルノソール、およびそれを得るための簡単で効率的な方法が必要とされている。
【0006】
[発明の詳細な説明]
本発明は、カルノソールを少なくとも5%含む溶液からカルノソールを結晶化する新規方法であって、溶液と酢酸を接触させて、カルノソール結晶を生成するステップを含む方法に関する。次いで、所望される場合、濾過および乾燥などの通常の方法を使用して、結晶を抽出物から分別することができる。
【0007】
溶液は、好ましくは植物抽出物であるが、植物抽出物の生産に由来する廃棄流であってもよい。少なくとも5%のカルノソールが含まれている限り、それは本発明の実施にはクリティカルでない。カルノソール濃度が5%を下回る場合、プロセスが、ある条件下において、結晶化で何らかの成功が認められる可能性があるときでさえ、商業的に実現可能なプロセスとなるのに十分な経済的なものであるという見込みはない。
【0008】
植物抽出物は、カルノソールを含有する限り、任意の植物種または植物種の混合物に由来するものとすることができる。好ましい実施形態において、ローズマリーまたはセージなど、比較的高量のカルノソールを含有することが知られている植物が、カルノソールの供給源として使用される。多くのものが、種々の生産業者から市販されている。
【0009】
植物抽出物のタイプ、すなわち水、有機溶媒、超臨界流体(超臨界二酸化炭素など)、またはそれらの混合物は、抽出物がある量のカルノソールを含有する限り本発明の実施には特にクリティカルではない。さらに、本発明の出発材料は、市販されている植物抽出物、および/またはさらなる加工ステップをすでに施した植物抽出物とすることができる。さらに、植物抽出物は、「粗」抽出物であり、比較的低量(すなわち、5〜20%)のカルノソールを含有し、やはり本発明によるカルノソール結晶の供給源として使用することができる。
【0010】
結晶化ステップに先立って、所望される場合、抽出物中に存在している可能性があるカルノシン酸をカルノソールに変換してもよい。この任意選択のオプションのステップについての詳細は、同時係属中の欧州特許出願第08007339.8号明細書および08161724.3号明細書に教示される。
【0011】
通常使用されるいずれの酢酸も使用することができるが、含有量>95%の食品用酢酸が好ましい。結晶化の温度は、混合物の凝固点を上回る限りクリティカルではないが、周囲温度が好ましい。抽出物:酢酸の比はクリティカルではないが、1:2から1:10の比が好ましく、1:3から1:5の比がより好ましい。
【0012】
本発明をさらに説明するために、以下の非限定的な実施例を記載する。
【0013】
[実施例1]
[比較例]
市販のローズマリー抽出物A(カルノシン酸43%、カルノソール18%)10gを、アセトン40ml中、周囲温度で1日撹拌した。カルノソールは結晶化しなかった。
【0014】
[実施例2]
市販のローズマリー抽出物A(カルノシン酸43%、カルノソール18%)のローズマリー抽出物10gを、酢酸40ml中、周囲温度で1日撹拌した。スラリーを濾過し、結晶を酢酸8mlで洗浄した。結晶を真空中70℃で乾燥した。純度78%のカルノソール1.96gが得られた(収率=83%)。
【0015】
[実施例3]
実施例3a〜3bは、実施例2と同様に実施された。
【0016】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルノソール結晶を得る方法であって、カルノソールを少なくとも5%含む溶液と酢酸を接触させるステップを含む方法。
【請求項2】
前記溶液が植物抽出物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記植物抽出物がローズマリー抽出物である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
そのようにして形成された前記結晶を前記溶液から分別するステップをさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
酢酸と接触させる前に、前記植物抽出物中に含まれるカルノシン酸の少なくとも一部をカルノソールに変換する、請求項2から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項によって生成されたカルノソール結晶の栄養補助食品、薬剤成分、化粧品原料、抗酸化剤、または食品成分としての使用。

【公表番号】特表2012−504111(P2012−504111A)
【公表日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−528290(P2011−528290)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【国際出願番号】PCT/EP2009/061929
【国際公開番号】WO2010/037633
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】