カルバゾール誘導体、及び半導体ナノ結晶
【課題】耐久性が高く、高発光効率の有機EL素子を実現する新規なカルバゾール誘導体及び半導体ナノ結晶を提供する。
【解決手段】一般式(1)
(式中、Ar1及びAr2は、それぞれ独立に、ベンゼン環と共同で環を形成してもよい置換若しくは無置換のアリール基、複素環基、アリールシリル基、又は水素原子であり、Ar3は、置換又は無置換のアリール基である。)で表される置換基を有することを特徴とするカルバゾール誘導体。
【解決手段】一般式(1)
(式中、Ar1及びAr2は、それぞれ独立に、ベンゼン環と共同で環を形成してもよい置換若しくは無置換のアリール基、複素環基、アリールシリル基、又は水素原子であり、Ar3は、置換又は無置換のアリール基である。)で表される置換基を有することを特徴とするカルバゾール誘導体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規カルバゾール誘導体、及び高発光効率の量子ドット型有機EL素子に有効な、新規カルバゾール誘導体が配位結合又は付着した半導体ナノ結晶に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光材料として半導体ナノ結晶からなる量子ドットを用いた、量子ドット型の有機EL素子が提案されている。ナノスケールの小さな材料は、原子又は分子的な挙動と巨視的固体(バルク形態)の挙動との中間的な挙動を示す。電荷キャリアと励起が3次元の全ての方向に閉じ込められたナノスケールの材料は量子ドットと呼ばれ、サイズの減少にともない、有効なバンドギャップが増大する。すなわち、量子ドットのサイズが小さくなると、その吸収と発光がより短波長側へ、赤色方向から青色方向へとシフトする。また、量子ドットの組成とサイズを組み合わせて制御することにより、赤外領域から紫外領域までの広範囲のスペクトルを得ることができ、さらにサイズ分布を制御することにより、半値幅の狭い、色純度に優れたスペクトルを得ることができる。これらの特性を生かして、特許文献1の特表2009−527099号公報には、複数の半導体ナノクリスタルを含む発光層を備えることにより、白色光を発光する白色発光デバイスが提案されているが、外部量子効率は0.3〜0.4%程度であり、発光効率の点で十分ではない。
【0003】
また、所望の発光色を効率よく発光させるために、正孔輸送層側に位置する第1の量子ドット単分子膜、電子輸送層側に位置する第2の量子ドット単分子膜、及び第1と第2の単分子間に位置する励起子生成層を有する発光素子が提案(特許文献2の特開2009−87754号公報)されているが、具体的な発光効率と寿命特性は示されていない。
さらに、特許文献3の特開2009−99545号公報には、マトリックス材料中に分散した量子ドットの保護材料に着目した素子が提案されている。量子ドットの湿式化学的な製造上の点で、量子ドットの表面に存在するキャピング分子(界面活性剤)が発光効率の低下につながるとし、量子ドット表面に保護材料が配位結合した状態、あるいは量子ドット表面と保護材料間に相互作用(引力)が生じ量子ドットの表面に保護材料が存在している状態を形成し、且つ保護材料のイオン化ポテンシャル(Ip)、電子親和力(Ea)及びバンドギャップ(Eg)、マトリックス材料のIp、Ea及びEg、及び量子ドットのEgの相対的な関係条件を満たすことによって、量子ドットへの励起子の移動性が向上し、発光効率に優れた素子が提供されると記載されている。しかし、この場合も十分に発光効率の高い素子が提供されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、有機EL素子用材料として、特に耐久性が高く、高発光効率の有機EL素子を実現する新規なカルバゾール誘導体及び半導体ナノ結晶を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記目的を達成するものであり、下記の特徴を有するカルバゾール誘導体、これを用いた半導体ナノ粒子を包含し、さらに応用技術としての表示素子例を開示する。
(1)「下記一般式(1)で表され、該カルバゾール誘導体の芳香環が1個以上3個以下の下記一般式(2)で表される置換基を有することを特徴とするカルバゾール誘導体。
【0006】
【化1】
【0007】
(式中、Ar1及びAr2は、それぞれ独立に、ベンゼン環と共同で環を形成してもよい置換若しくは無置換のアリール基、複素環基、アリールシリル基、又は水素原子であり、Ar3は、置換又は無置換のアリール基である。)
【0008】
【化2】
【0009】
(式中、Xは、メチレン基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、カルボニル基、酸素原子又は硫黄原子であり、Yは、置換又は無置換のアルキレン基であり、Zは、カルボキシル基、ヒドロキシル基又はチオール基である。)」、
(2)「下記一般式(3)で表されることを特徴とする前記(1)項に記載のカルバゾール誘導体。
【0010】
【化3】
【0011】
(式中、Ar4は、置換又は無置換のアリーレン基である。Ar1、Ar2、X、Y及びZは前記定義と同じ意味を有する。)」、
(3)「前記一般式(3)中のAr1及びAr2がそれぞれ独立に、一般式(4)で表される基であることを特徴とする前記(2)項に記載のカルバゾール誘導体。
【0012】
【化4】
【0013】
(式中、Rは、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、ハロゲン原子又は置換若しくは無置換のアリール基である。)」、
(4)「一般式(5)で表されることを特徴とする前記(2)項に記載のカルバゾール誘導体。
【0014】
【化5】
【0015】
(式中、Rは、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、ハロゲン原子又は置換若しくは無置換のアリール基である。Ar1、Ar4、X、Y及びZは前記定義と同じ意味を有する。)」、
(5)「一般式(6)で表されることを特徴とする前記(1)項に記載のカルバゾール誘導体。
【0016】
【化6】
【0017】
(式中、Ar1、Ar2、Ar3、X、Y及びZは前記定義と同じ意味を有する。)」、
(6)「前記(1)項乃至(5)項のいずれかに記載のカルバゾール誘導体が該半導体ナノ結晶に配位結合又は付着していることを特徴とする半導体ナノ結晶。」。
【発明の効果】
【0018】
本発明の新規カルバゾール誘導体を有機EL素子として用いると耐久性が高く、かつ高い発光効率を得ることができる。
また、本発明の新規カルバゾール誘導体が配位結合した又は付着した半導体ナノ結晶を量子ドット型の有機EL素子として用いると高い発光効率を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るカルバゾール誘導体1の赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)である。
【図2】同カルバゾール誘導体2の赤外吸収スペクトルである。
【図3】同カルバゾール誘導体3の赤外吸収スペクトルである。
【図4】同カルバゾール誘導体4の赤外吸収スペクトルである。
【図5】同カルバゾール誘導体5の赤外吸収スペクトルである。
【図6】同カルバゾール誘導体6の赤外吸収スペクトルである。
【図7】同カルバゾール誘導体7の赤外吸収スペクトルである。
【図8】同カルバゾール誘導体8の赤外吸収スペクトルである。
【図9】同カルバゾール誘導体9の赤外吸収スペクトルである。
【図10】同カルバゾール誘導体10の赤外吸収スペクトルである。
【図11】本発明に係るカルバゾール誘導体1から得られた半導体ナノ結晶のトルエン液のフォトルミネッセンス(PL)スペクトル(365nmの励起光)図である。
【図12】同カルバゾール誘導体1から得られた別の半導体ナノ結晶のトルエン液のフォトルミネッセンス(PL)スペクトル図である。
【図13】同カルバゾール誘導体1から得られた更に別の半導体ナノ結晶のトルエン液のフォトルミネッセンス(PL)スペクトル図である。
【図14】同カルバゾール誘導体2から得られた半導体ナノ結晶のトルエン液のフォトルミネッセンス(PL)スペクトル図である。
【図15】同カルバゾール誘導体3から得られた半導体ナノ結晶のトルエン液のフォトルミネッセンス(PL)スペクトル図である。
【図16】同カルバゾール誘導体4から得られた半導体ナノ結晶のトルエン液のフォトルミネッセンス(PL)スペクトル図である。
【図17】同カルバゾール誘導体5から得られた半導体ナノ結晶のトルエン液のフォトルミネッセンス(PL)スペクトル図である。
【図18】同カルバゾール誘導体6から得られた半導体ナノ結晶のトルエン液のフォトルミネッセンス(PL)スペクトル図である。
【図19】同カルバゾール誘導体7から得られた半導体ナノ結晶のトルエン液のフォトルミネッセンス(PL)スペクトル図である。
【図20】同カルバゾール誘導体8から得られた半導体ナノ結晶のトルエン液のフォトルミネッセンス(PL)スペクトル図である。
【図21】同カルバゾール誘導体9から得られた半導体ナノ結晶のトルエン液のフォトルミネッセンス(PL)スペクトル図である。
【図22】本発明に係るカルバゾール誘導体2から得られた半導体ナノ結晶を用い作製したEL素子の電流密度と外部量子効率の関係を示す図である。
【図23】同EL素子の電圧と電流密度の関係を示す図である。
【図24】同EL素子の電流密度が1mA/cm2時の発光スペクトルを示す図である。
【図25】同カルバゾール誘導体11の赤外吸収スペクトルである。
【図26】同カルバゾール誘導体12の赤外吸収スペクトルである。
【図27】同カルバゾール誘導体13の赤外吸収スペクトルである。
【図28】同カルバゾール誘導体14の赤外吸収スペクトルである。
【図29】同カルバゾール誘導体15の赤外吸収スペクトルである。
【図30】同カルバゾール誘導体16の赤外吸収スペクトルである。
【図31】同カルバゾール誘導体17の赤外吸収スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のカルバゾール誘導体は、一般式(1)で表されるカルバゾール誘導体の芳香環が1個以上3個以下の上記一般式(2)で表される置換基を有する。一般式(1)で表される化合物の芳香環が2個又は3個の一般式(2)で表される基で置換されている場合、2個又は3個の一般式(2)で表される基は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0021】
一般式(1)において、Ar1、Ar2及びAr3における無置換のアリール基としては、特に限定されないが、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ピレニル基、フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基、フルオレニリデンフェニル基、5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテニリデンフェニル基等が挙げられる。
一般式(1)において、Ar1及びAr2における無置換の複素環基としては、特に限定されないが、フリル基、ベンゾフラニル基、カルバゾリル基、ピリジル基、ピロリジル基、チオフェニル基、メチルチオフェニル基、オキサゾリル基等が挙げられる。
なお、アリール基及び複素環基は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、2−エチルヘキシル基、トリフルオロメチル基、2−シアノエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数が1〜25の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基を有していてもよい。
【0022】
また、Ar1、Ar2及びAr3におけるアリール基の置換基としては、特に限定されないが、置換又は無置換の炭素数が1〜25の直鎖、分岐鎖又は環状のアルコキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、シアノ基、トリフェニルシリル基、フリル基、ベンゾフラニル基、カルバゾリル基、ピリジル基、ピロリジル基、チオフェニル基、メチルチオフェニル基、オキサゾリル基等の複素環基等が挙げられる。
このとき、アルコキシ基の置換基としては、特に限定されないが、フッ素原子、シアノ基、置換又は無置換のフェニル基等が挙げられる。フェニル基の置換基としては、特に限定されないが、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、直鎖又は環状のアルキル基等が挙げられる。
【0023】
置換又は無置換のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、2−シアノエトキシ基、ベンジルオキシ基、4−クロロベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等が挙げられる。
【0024】
アリール基及び複素環基の炭素数は、それぞれ6〜30及び4〜28であることが好ましい。
また、Ar1、Ar2及びAr3における、置換又は無置換のアリールシリル基としては、ジメチルフェニルシリル基、メチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基、トリ(2−ビフェニル)シリル基、トリ(o−トルイル)シリル基、1,1,2,2,2−ペンタフェニルジシリル基、ジフェニル(ジフェニルメチル)シリル基、トリス(1−ナフチル)シリル基、トリス(2−メトキシフェニル)シリル基、4−メチル1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフェニルテトラシリル基などが挙げられる。
【0025】
Ar1及び/又はAr2がベンゼン環と共同で環を形成しているアリール基である場合の一般式(1)で表される化合物としては、ベンゾカルバゾールの誘導体、ジベンゾカルバゾールの誘導体等が挙げられる。
【0026】
一般式(2)において、Yにおける無置換のアルキレン基は、炭素数が1〜25であることが好ましい。無置換のアルキレン基としては、特に限定されないが、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ペンタデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、ヘプタデカメチレン基、オクタデカメチレン基、ノナデカメチレン基、イコサメチレン基、ヘインコサメチレン基、ドコサメチレン基、トリコサメチレン基、テトラコサメチレン基、ペンタコサメチレン基等が挙げられる。
また、Yにおけるアルキレン基の置換基としては、特に限定されないが、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、炭素数が1〜24の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基等が挙げられる。
【0027】
本発明において、カルバゾール誘導体としては、特に限定されないが、以下の化合物が挙げられる。
【0028】
【表1−1】
【0029】
【表1−2】
【0030】
【表1−3】
【0031】
【表1−4】
【0032】
【表1−5】
【0033】
【表1−6】
【0034】
【表1−7】
【0035】
【表1−8】
【0036】
【表1−9】
【0037】
一般式(2)で表される基としては、特に限定されないが、以下の基が挙げられる。
【0038】
【表2】
【0039】
本発明において、カルバゾール誘導体は、前記一般式(3)又は(6)で表される化合物であることが好ましい。このとき、Ar4は、Ar3由来のアリーレン基である。
一般式(3)において、Ar1及びAr2は、それぞれ独立に、一般式(4)で表される基であることが好ましい。また、一般式(3)で表される化合物は、一般式(5)で表されるベンゾカルバゾール誘導体であることが好ましい。
【0040】
一般式(4)及び(5)において、Rにおける無置換のアルキル基は、炭素数が1〜25の直鎖、分岐鎖又は環状であることが好ましく、Rにおける無置換のアルコキシ基は、炭素数が1〜25の直鎖、分岐鎖又は環状であることが好ましい。このとき、アルキル基又はアルコキシ基の置換基としては、特に限定されないが、フッ素原子、シアノ基、置換又は無置換のフェニル基等が挙げられる。フェニル基の置換基としては、特に限定されないが、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、直鎖又は環状のアルキル基等が挙げられる。
置換又は無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、2−エチルヘキシル基、トリフルオロメチル基、2−シアノエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0041】
置換又は無置換のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、2−シアノエトキシ基、ベンジルオキシ基、4−クロロベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等が挙げられる。
【0042】
Rにおけるハロゲン原子としては、特に限定されないが、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
Rにおけるアリール基は、前述のAr1、Ar2及びAr3におけるアリール基と同様である。
【0043】
[一般式(3)で表される化合物の合成法]
[一般式(3)で表される化合物の合成例1]
一般式(3)で表される化合物は、以下のようにして、合成することができる。
【0044】
【化7】
【0045】
(式中、Rxは、ハロゲン原子である。)
まず、パラジウム触媒を用いて、有機ハロゲン化合物(A−1)と、アリールボロン酸Ar1−B(OH)2との鈴木−宮浦クロスカップリング反応により、カルバゾール誘導体(A−2)が得られる。
パラジウム触媒としては、特に限定されないが、Pd(PPh3)4、PdCl2(PPh3)2、Pd(OAc)2、PdCl2等が挙げられるが、最も汎用的には、Pd(PPh3)4が用いられる。
このとき、アリールボロン酸の代わりに、熱的に安定で、空気中で容易に扱えるビス(ピナコラト)ジボロンとハロゲン化アリールから合成されるアリールボロン酸エステルを用いてもよい。また、有機ハロゲン化合物(A−1)が有するRxは、反応性の点から、ヨウ素原子又は臭素原子であることが好ましい。
【0046】
この反応は、塩基を必要とするが、塩基としては、Na2CO3、NaHCO3等の比較的弱い塩基を用いることが好ましい。また、立体障害等の影響を受ける場合には、Ba(OH)2、K3PO4等の強塩基が有効である。その他の塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムや、カリウムt−ブトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、リチウムt−ブトキシド、カリウム2−メチル−2−ブトキシド、ナトリウム2−メチル−2−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、カリウムメトキシド等の金属アルコシドも用いることができる。また、塩基としては、トリエチルアミン等の有機塩基も用いることができる。
反応溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、2−メトキシエタノール、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル等のアルコール及びエーテル系溶媒、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の環状エーテル系溶媒の他、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等を用いることができる。
次に、パラジウム触媒とホスフィン配位子を用いて、カルバゾール誘導体(A−2)と、ハロゲン化アリールRx−Ar4−X−Y−COOC2H5とのBuchwald−Hartwigアミノ化反応により、カルバゾール誘導体(A−3)が得られる。
パラジウム触媒としては、上記のように、特に限定されないが、Pd2(dba)3、Pd(OAc)2等が挙げられる。
ホスフィン配位子としては、特に限定されないが、2,2'−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1'−ビナフチル、ペンタフェニル(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセン、ビス(1−アダマンチル)−n−ブチルホスフィン、ビス(1−アダマンチル)−n−ブチルホスホニウムアイオダイド、ビス(1−アダマンチル)ベンジルホスフィン等が挙げられる。
ハロゲン化アリールが有するRxは、反応性の点から、臭素原子又は塩素原子であることが好ましい。
この反応は塩基を必要とするが、塩基としては、K2CO3、Cs2CO3、Na2CO3、NaHCO3等の比較的弱い塩基を用いることができる。
さらに、水酸化ナトリウム等の塩基を用いて、カルバゾール誘導体(A−3)を加水分解することにより、カルバゾール誘導体(A−4)が得られる。
【0047】
[一般式(3)で表される化合物の合成例2]
一般式(3)で表される化合物は、以下のようにして、合成することができる。
【0048】
【化8】
【0049】
(式中、Rxは、ハロゲン原子である。)
まず、カルバゾール誘導体(B−1)と、ハロゲン化アリールRx−Ar4−OCH3とのウルマン反応又はBuchwald−Hartwigアミノ化反応により、カルバゾール誘導体(B−2)が得られる。このとき、カルバゾール誘導体(B−1)は、カルバゾール誘導体(A−2)と同一である。
次に、三臭化ホウ素を用いて、カルバゾール誘導体(B−2)を脱メチル化することにより、カルバゾール誘導体(B−3)が得られる。
さらに、カルバゾール誘導体(B−3)と、臭化アルコールBr−Y−OHとのエーテル化反応により、カルバゾール誘導体(B−4)が得られる。
【0050】
[一般式(3)で表される化合物の合成例3]
一般式(3)で表される化合物は、以下のようにして、合成することができる。
【0051】
【化9】
【0052】
まず、ピリジン等の塩基の存在下、塩化p−トルエンスルホニルを用いて、カルバゾール誘導体(C−1)の水酸基をスルホニル化することにより、カルバゾール誘導体(C−2)が得られる。
次に、チオ酢酸カリウムを用いて、カルバゾール誘導体(C−2)をメチルチオエステル化することにより、カルバゾール誘導体(C−3)が得られる。
さらに、水酸化ナトリウム等の塩基を用いて、カルバゾール誘導体(C−3)を加水分解することにより、カルバゾール誘導体(C−4)が得られる。
【0053】
[一般式(3)で表される化合物の合成例4]
一般式(5)で表される化合物は、以下のようにして、合成することができる。
【0054】
【化10】
【0055】
まず、プロトン酸の存在下、テトラノン化合物(D−1)とフェニルヒドラジン化合物(D−2)を反応させることにより、ヒドラゾン化合物(D−3)が得られる。
次に、ZnCl2等のルイス酸の存在下、環化させることにより、環化合物(D−4)が得られる。
さらに、Pd/C等の触媒を用いて、環化合物(D−4)を酸化することにより、ベンゾカルバゾール誘導体(D−5)が得られる。
次に、ベンゾカルバゾール誘導体(D−5)と、ヨウ化アリールI−Ar4−X−Y−OHとのウルマン反応又はBuchwald−Hartwigアミノ化反応により、ベンゾカルバゾール誘導体(D−6)が得られる。
さらに、ピリジン等の塩基の存在下、塩化p−トルエンスルホニルを用いて、ベンゾカルバゾール誘導体(D−6)の水酸基をスルホニル化することにより、ベンゾカルバゾール誘導体(D−7)が得られる。
次に、チオ酢酸カリウムを用いて、ベンゾカルバゾール誘導体(D−7)をメチルチオエステル化することにより、ベンゾカルバゾール誘導体(D−8)が得られる。
さらに、水酸化ナトリウム等の塩基を用いて、ベンゾカルバゾール誘導体(D−8)を加水分解することにより、ベンゾカルバゾール誘導体(D−9)が得られる。
【0056】
[一般式(6)で表される化合物の合成法]
[一般式(6)で表される化合物の合成例1]
一般式(6)で表される化合物は、以下のようにして、合成することができる。
【0057】
【化11】
【0058】
(式中、Rxは、ハロゲン原子である。)
まず、ピリジン等の塩基の存在下、臭素を用いて、カルバゾール(E−1)を臭素化することにより、3−ブロモカルバゾール(E−2)が得られる。
次に、ヨウ化銅の存在下、ナトリウムメトキシドを用いて、3−ブロモカルバゾール(E−2)をエーテル化することにより、3−メトキシカルバゾール(E−3)が得られる。
さらに、3−メトキシカルバゾール(E−3)と、ハロゲン化アリールRx−Ar3とのウルマン反応又はBuchwald−Hartwigアミノ化反応により、カルバゾール誘導体(E−4)が得られる。
次に、三臭化ホウ素を用いて、カルバゾール誘導体(E−4)を脱メチル化することにより、カルバゾール誘導体(E−5)が得られる。
さらに、カルバゾール誘導体(E−5)と、臭化アルコールBr−Y−OHとのエーテル化反応により、カルバゾール誘導体(E−6)が得られる。
次に、ピリジン等の塩基の存在下、塩化p−トルエンスルホニルを用いて、カルバゾール誘導体(E−6)の水酸基をスルホニル化することにより、カルバゾール誘導体(E−7)が得られる。
さらに、チオ酢酸カリウムを用いて、カルバゾール誘導体(E−7)をメチルチオエステル化することにより、カルバゾール誘導体(E−8)が得られる。
次に、水酸化ナトリウム等の塩基を用いて、カルバゾール誘導体(E−8)を加水分解することにより、カルバゾール誘導体(E−9)が得られる。
【0059】
[カルバゾール化合物キャリアチップとしての半導体ナノ結晶]
本発明において、半導体ナノ結晶としては、特に限定されないが、周期表の第13属元素と第15属元素からなるIII−V属の化合物、周期表の第2属元素と第16属元素からなるIIA−VIB属の化合物、周期表の第12属元素と第16属元素からなるIIB−VIB属の化合物、周期表の第12属元素と第15属元素からなるII−V属の化合物、周期表の第13属元素と第15属元素からなるIII−V属の化合物、周期表の第13属元素と第14属元素からなるIII−IV属の化合物、周期表の第13属元素と第16属元素からなるIII−VI属の化合物、周期表の第14属元素と第16属元素からなるIV−VI属の化合物、周期表の第11属元素、第13属元素及び第15属元素からなるI−III−V属化合物周期表の第12属元素、第14属元素及び第16属元素からなるII−IV−VI属化合物等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
また、半導体ナノ結晶は、第3の元素、第4の元素又はドーピング剤を含んでもよい。
【0060】
半導体ナノ結晶の形状としては、特に限定されないが、球状、半球状、棒状、円盤状、テトラポット形状、星形状等が挙げられる。
また、半導体ナノ結晶が球状である場合、半導体ナノ結晶の平均一次粒径は、通常、0.5nm〜30nmであり、1〜15nmが好ましい。半導体ナノ結晶の粒度分布は、発光の色度に影響し、半値幅の狭い鮮明な発光色を得るためには、粒度分布は狭いことが好ましい。
半導体ナノ結晶の製造方法としては、特に限定されないが、非特許文献1のナノ粒子科学−基本原理から応用まで−(株式会社エヌ・ティー・エス発行、ISBN978−4−86043−175−4 C3040)の27頁〜28頁及び48頁〜180頁に記載されている方法、特許文献4の特表2007−537886号公報(WO2005/106082号)、特許文献5の特表2009−504422号公報(WO2007/020416号)、特許文献6の特表2009−514993号公報(WO2007/049052号)、特許文献7のWO2010/015824号国際公開明細書に記載されている方法等が挙げられる。
【0061】
カルバゾール誘導体が配位結合又は付着している半導体ナノ結晶は、半導体ナノ結晶の表面に存在するキャッピング剤(界面活性剤)をカルバゾール誘導体で置換することより得られる。例えば、不活性ガス下、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン等の極性溶媒にカルバゾール誘導体を溶解させた溶液に、半導体ナノ結晶を加え、0〜30℃で、12時間以上、好ましくは24時間以上混合撹拌した後、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、塩化メチレン、クロロホルム、アセトン、テトラヒドロフラン、ヘキサン等の比較的低沸点の溶媒を用いて超音波洗浄することにより、カルバゾール誘導体が配位結合又は付着している半導体ナノ結晶が得られる。
なお、半導体ナノ結晶の表面に存在するキャッピング剤(界面活性剤)のカルバゾール誘導体との置換は、FT−IR(赤外分光)又はXPS(X線光電子分光)により確認することができる。
【0062】
半導体ナノ結晶は、カルバゾール誘導体以外の成分が表面に存在していてもよい。カルバゾール誘導体以外の成分としては、特に限定されないが、半導体ナノ結晶を製造する際に用いられるキャッピング剤(界面活性剤)等が挙げられる。
また、カルバゾール誘導体は、半導体ナノ結晶に配位結合していてもよいし、半導体ナノ結晶に配位結合しているカルバゾール誘導体との分子間力等の相互作用により半導体ナノ結晶に付着していてもよい。
【0063】
本発明において、半導体ナノ結晶は、発光の起源として作用する一方、カルバゾール誘導体は、励起エネルギーを双極子−双極子相互作用により半導体ナノ結晶にエネルギー移動、即ち、フェルスター型エネルギー移動させる機能及び/又は電荷(ホール及び電子)を半導体ナノ結晶に直接注入する機能を有する。これにより、半導体ナノ結晶の発光量子収率が増大するため、本発明の発光素子は、発光効率に優れる。
【0064】
半導体ナノ結晶へのフェルスター型エネルギー移動を効率的に行うためには、半導体ナノ結晶に配位結合又は付着しているカルバゾール誘導体は、半導体ナノ結晶よりも小さいイオン化ポテンシャル(Ip)及び半導体ナノ結晶よりも大きい電子親和力(Ea)を有している必要がある。このため、一般式(1)におけるAr1、Ar2及びAr3と、一般式(4)及び(5)におけるRが、半導体ナノ結晶に応じて、適宜選択される。
【0065】
また、半導体ナノ結晶へのフェルスター型エネルギー移動及び/又は電荷の注入を効率的に行うためには、カルバゾール誘導体の主骨格であるカルバゾール残基が半導体ナノ結晶と近接していることが好ましい。このため、一般式(2)におけるX及びYが、適宜選択される。
さらに、一般式(2)において、Zは、半導体ナノ結晶に配位結合又は付着している基であり、半導体ナノ結晶に応じて、適宜選択される。
【0066】
以上のように、カルバゾール誘導体が配位結合又は付着している半導体ナノ結晶は、発光素子の発光材料として機能し、発光素子の目的に応じて、半導体ナノ結晶のサイズ、サイズ分布、形状及び組成と、カルバゾール誘導体の構造を適宜選択することにより、発光効率に優れる発光素子が得られる。
【実施例】
【0067】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。本発明は、実施例によって制限されない。以下の各例中、「部」又は「%」は別段の断りない限り、「重量部」又は「重量%」を表す。
【0068】
[実施例1]
[カルバゾール誘導体1の合成]
3,6−ジブロモカルバゾール14.31(44.0mol)、5−メチル−2−チオフェンボロン酸25.01g(176.1mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム1.30gを、トルエン180mL及びエタノール60mLの混合溶媒に加えた後、炭酸ナトリウム37.3gを蒸留水90mLに溶解した水溶液を加え、窒素雰囲気下、15時間加熱還流した。次に、濾過助剤を用いて熱時濾過することにより不溶物を除去した後、有機層を分離し、減圧下、溶媒を留去した。さらに、残留物を水洗した後、乾燥し、黄茶色の固体を得た。次に、溶離液として、塩化メチレン/ヘキサン混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、3,6−ビス(5−メチルチオフェン−2−イル)カルバゾール12.25gを得た。
【0069】
得られた3,6−ビス(5−メチルチオフェン−2−イル)カルバゾール8.07g(22.4mmol)、4−ヨードアニソール21.00g(89.7mmol)、銅粉0.71g及び炭酸カリウム12.40gを混合した後、窒素雰囲気下、6時間加熱還流し、100℃まで冷却した。次に、トルエン80mLを加え、濾過助剤を用いて濾過することにより不溶物を除去した後、減圧下、溶媒を留去した。さらに、残留物を塩化メチレンに溶解させ、水洗した後、乾燥し、茶色の液体を得た。次に、溶離液として、塩化メチレン/ヘキサン混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、3,6−ビス(5−メチルチオフェン−2−イル)−9−(4−メトキシフェニル)カルバゾール4.39gを得た。
【0070】
得られた3,6−ビス(5−メチルチオフェン−2−イル)−9−(4−メトキシフェニル)カルバゾール3.73g(8.0mmol)を塩化メチレン30mLに溶解させた後、1Mの三臭化ホウ素の塩化メチレン溶液8mLを−10℃で滴下し、室温で攪拌した。次に、水洗した後、乾燥し、溶媒を留去して、灰色の固体を得た。さらに、溶離液として、塩化メチレン/ヘキサン混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、3,6−ビス(5−メチルチオフェン−2−イル)−9−(4−ヒドロキシフェニル)カルバゾール3.47gを得た。
【0071】
得られた3,6−ビス(5−メチルチオフェン−2−イル)−9−(4−ヒドロキシフェニル)カルバゾール1.81g(4.0mmol)及び1,8−ジブロモオクタン4.35g(16.0mmol)をメチルエチルケトン20mLに溶解させた後、炭酸カリウム0.83gを加え、7時間加熱還流した。次に、ろ過することにより不溶物を除去した後、減圧下、溶媒を留去した。さらに、残留物を塩化メチレンに溶解させ、水洗した後、乾燥し、溶媒を留去して、淡黄色の液体を得た。次に、溶離液として、塩化メチレン/ヘキサン混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、3,6−ビス(5−メチルチオフェン−2−イル)−9−[4−(8−ブロモオクチル)フェニル]カルバゾール1.83gを得た。
【0072】
得られた3,6−ビス(5−メチルチオフェン−2−イル)−9−[4−(8−ブロモオクチル)フェニル]カルバゾール1.50g(2.3mmol)をTHF20mL及びエタノール20mLの混合溶媒に溶解させた後、窒素気流下、チオ酢酸カリウム0.40g(3.5mmol)を加え、5時間加熱還流し、室温まで放冷した。次に、水に注ぎ、塩化メチレンで抽出した。さらに、水洗した後、乾燥し、溶媒を留去して、淡黄白色の固体を得た。さらに、溶離液として、塩化メチレン/ヘキサン混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、チオ酢酸8−{4−[3,6−ビス(5−メチルチオフェン−2−イル)カルバゾール−9−イル]フェノキシ}オクチルエステルの1.22gを得た。
【0073】
得られたチオ酢酸8−{4−[3,6−ビス(5−メチルチオフェン−2−イル)カルバゾール−9−イル]フェノキシ}オクチルエステル1.02g(1.6mmol)を、窒素気流下、THF30mL及びエタノール10mLの混合溶媒に溶解させた後、50質量%NaOH水溶液0.5mLを加え、室温で1時間攪拌した。次に、水に注ぎ、クロロホルムで抽出した。さらに、水洗した後、乾燥し、溶媒を留去し、粗製物を得た。次に、溶離液として、クロロホルム/ヘキサン混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、下記化学式(I)で表される8−{4−[3,6−ビス(5−メチルチオフェン−2−イル)カルバゾール−9−イル]フェノキシ}オクタン−1−チオール(以下、カルバゾール誘導体1という)0.86gを得た。
赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図1に示した。
【0074】
【化12】
【0075】
[実施例2]
[カルバゾール誘導体2の合成]
3,6−ジフェニル−9−(4−メトキシフェニル)カルバゾール4.20g(9.9mmol)を塩化メチレン30mLに溶解させた後、1M三臭化ホウ素の塩化メチレン溶液10mLを−10℃で滴下し、室温で攪拌した。次に、水洗した後、乾燥し、溶媒を留去して、3,6−ジフェニル−9−(4−ヒドロキシフェニル)カルバゾール3.98gを得た。
【0076】
得られた3,6−ジフェニル−9−(4−ヒドロキシフェニル)カルバゾール1.54g(3.7mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド20mLに溶解させた後、氷水冷却下、55質量%水素化ナトリウム0.25g(5.7mmol)を加え、1時間攪拌した。次に、8−ブロモ−1−オクタノール1.16g(5.5mmol)を加え、室温で3時間攪拌した。さらに、水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。次に、水洗した後、乾燥し、溶媒を留去して、8−[4−(3,6−ジフェニルカルバゾール−9−イル)フェノキシ]オクタン−1−オール1.90gを得た。
【0077】
得られた8−[4−(3,6−ジフェニルカルバゾール−9−イル)フェノキシ]オクタン−1−オール2.80g(5.2mmol)を塩化メチレン10mL及びピリジン5mLの混合溶媒に溶解させた後、−10℃で塩化p−トルエンスルホニル1.20g(6.3mmol)を加え、室温で攪拌した。次に、水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。さらに、希塩酸及び水で洗浄した後、乾燥し、溶媒を留去して、粗製物を得た。さらに、溶離液として、酢酸エチル/トルエン混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、無色の板状晶のトルエン−4−スルホン酸8−[4−(3,6−ジフェニルカルバゾール−9−イル)フェノキシ]オクチルエステル1.95gを得た。
【0078】
得られたトルエン−4−スルホン酸8−[4−(3,6−ジフェニルカルバゾール−9−イル)フェノキシ]オクチルエステル1.90g(2.7mmol)をTHF40mL及びエタノール20mLの混合溶媒に溶解させた後、窒素気流下、チオ酢酸カリウム0.55g(4.8mmol)を加え、7時間加熱還流し、室温まで放冷した。次に、水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。さらに、水洗した後、乾燥し、溶媒を留去して、粗製物を得た。次に、溶離液として、トルエンを用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、淡橙色の油状物のチオ酢酸8−[4−(3,6−ジフェニルカルバゾール−9−イル)フェノキシ]オクチルエステル1.32gを得た。
【0079】
得られたチオ酢酸8−[4−(3,6−ジフェニルカルバゾール−9−イル)フェノキシ]オクチルエステル1.32g(2.2mmol)を、窒素気流下、THF25mL及びエタノール10mLの混合溶媒に溶解させた後、50質量%NaOH水溶液0.5mLを加え、室温で30分攪拌した。次に、水に注ぎ、クロロホルムで抽出した。さらに、水洗した後、乾燥し、溶媒を留去して、粗製物を得た。次に、溶離液として、クロロホルム/ヘキサン混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、次の化学式(II)で表される無色の針状晶の8−[4−(3,6−ジフェニルカルバゾール−9−イル)フェノキシ]オクタン−1−チオール(以下、カルバゾール誘導体2という)0.82gを得た。
赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図2に示した。
融点:131.0〜131.5℃
元素分析値(%)実測値(計算値):C 81.70(82.12)、H 6.57(6.71)、N 2.45(2.52)、S 5.68(5.77)
【0080】
【化13】
【0081】
[実施例3]
[カルバゾール誘導体3の合成]
実施例1で用いた3,6−ジフェニル−N−(4−メトキシフェニル)カルバゾールの代わりに、3,6−ビス(3−メトキシフェニル)−N−(4−メトキシフェニル)カルバゾールを用いるほかは実施例2と同様にして、次の化学式(III)で表される無色油状の8−{4−〔3,6−ビス(3−メトキシフェニル)カルバゾール−9−イル〕フェノキシ}}オクタン−1−チオール(以下、カルバゾール誘導体3という)を得た。
赤外吸収スペクトル(NaClキャスト膜)を図3に示した。
元素分析値(%)実測値(計算値):C 77.70(78.01) H 6.81(6.71) N 2.16(2.27)S 4.97(5.21)
【0082】
【化14】
【0083】
[実施例4]
[カルバゾール誘導体4の合成]
3−メトキシ−9−フェニルカルバゾールを実施例1と同様に脱メチル化して、無色針状晶の3−ヒドロキシ−9−フェニルカルバゾールを収率91.8%で得た。
融点 148.5〜150.0℃
【0084】
得られた3−ヒドロキシ−9−フェニルカルバゾールと8−ブロモオクタノールとを実施例2と同様に反応させて、無色針状晶の3−(8−ヒドロキシオクチルオキシ)−9−フェニルカルバゾールを収率84.3%で得た。
融点 85.5〜87.5℃
赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)では3563cm-1にOHの伸縮振動が認められた。
ついで、得られた3−(8−ヒドロキシオクチルオキシ)−9−フェニルカルバゾールを実施例2と同様に、トシル化、チオアセチル化および加水分解して、次の化学式(IV)で表される無色針状結晶の3−(8−メルカプトオクチルオキシ)−9−フェニルカルバゾール(以下、カルバゾール誘導体4という)を得た。
赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図4に示した。
融点 52.5〜55.5℃
元素分析値(%)実測値(計算値):C 77.32(77.38) H 7.15(7.24) N 3.40(3.47)S 7.74(7.95)
【0085】
【化15】
【0086】
[実施例5]
[カルバゾール誘導体5の合成]
合成例4の反応式にしたがって得られたベンゾ〔a〕カルバゾール2.17g、4−(8−ヒドロキシオクチルオキシ)ヨードベンゼン3.50g、炭酸カリウム2.80g、銅粉0.5gおよびニトロベンゼン15mlを窒素気流下190〜200℃にて6時間攪拌した。室温まで放冷したのち、セライトで不溶物をろ過し、溶媒を減圧下加熱留去した。カラムクロマト処理(シリカゲル 溶離液 トルエン/酢酸エチル=4/1)して、淡褐色油状物のN−〔4−(8−ヒドロキシオクチルオキシフェニル)〕−11H−ベンゾ〔a〕カルバゾール3.3gを得た。
赤外吸収スペクトル(NaClキャスト膜)では3360cm-1にOH伸縮振動が認められた。
【0087】
次に、得られたN−〔4−(8−ヒドロキシオクチルオキシフェニル)〕−11H−ベンゾ〔a〕カルバゾールを実施例2と同様に、トシル化、チオアセチル化ついで加水分解することにより、次の化学式(V)で表される無色プリズム結晶の本発明のN−〔4−(8−メルカプトオクチルオキシフェニル)〕−11H−ベンゾ〔a〕カルバゾール(以下、カルバゾール誘導体5という)を得た。
赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図5に示した。
融点75.0〜76.0℃
元素分析値(%)実測値(計算値):C 79.48(79.43) H 6.76(6.89) N 2.78(3.09)S 6.99(7.07)
【0088】
【化16】
【0089】
[実施例6]
[カルバゾール誘導体6の合成]
2,7−ジブロモカルバゾール6.50g、フェニルボロン酸7.32g、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム0.734gにトルエン80ml、エタノール20mlおよび2M炭酸ナトリウム水溶液40gを加え、窒素気流下3時間加熱還流した。室温まで放冷したのち不溶物をろ過し、溶媒を留去して、淡褐色粉末の2,7−ジフェニルカルバゾール4.15gを得た。
【0090】
得られた2,7−ジフェニルカルバゾール4.01g、4−(8−ヒドロキシオクチルオキシ)ヨードベンゼン4.37g、炭酸カリウム3.45g、銅粉0.5gおよびニトロベンゼン20mlを窒素気流下7時間加熱還流した。室温まで放冷したのち不溶物をろ過し、溶媒を留去した。これをカラムクロマト処理し(シリカゲル、溶離液;10%酢酸エチル トルエン)、淡褐色油状物の2,7−ジフェニル−N−〔4−(8−ヒドロキシオクチルオキシフェニル)〕カルバゾール2.0gを得た。
【0091】
ついで、2,7−ジフェニル−N−〔4−(8−ヒドロキシオクチルオキシフェニル)〕カルバゾールを実施例2と同様にしてトシル化、チオアセチル化ついで加水分解することにより、次の化学式(VI)で表される無色針状結晶の2,7−ジフェニル−N−〔4−(8−メルカプトオクチルオキシフェニル)〕カルバゾール(以下、カルバゾール誘導体6という)を得た。
赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図6に示した。
融点 132.5〜133.5℃
元素分析値(%)実測値(計算値):C 82.37(82.12) H 6.66(6.71) N 2.43(2.52)S 5.70(5.77)
【0092】
【化17】
【0093】
[実施例7]
[カルバゾール誘導体7の合成]
実施例1で用いた3,6−ビス(5−メチルチオフェン−2−イル)カルバゾールの代わりに3,6−ジフェニル−9−(4−メトキシフェニル)カルバゾールを、8−ブロモ−1−オクタノールの代わりに4−ブロモ−1−ブタノールを用いる以外は実施例2と同様にして、次の化学式(VII)で表される白色固体の4−[4−(3,6−ジフェニルカルバゾール−9−イル)フェノキシ]ブタン−1−チオール(以下、カルバゾール誘導体7という)を得た。
赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図7に示した。
【0094】
【化18】
【0095】
[実施例8]
[カルバゾール誘導体8の合成]
実施例1で用いた3,6−ビス(5−メチルチオフェン−2−イル)カルバゾールの代わりに3,6−ジフェニル−9−(4−メトキシフェニル)カルバゾールを、4−ヨードアニソールの代わりに3−ヨードアニソールを用いる以外は実施例1と同様にして、次の化学式(VIII)で表される無色高粘性体の8−[3−(3,6−ジフェニルカルバゾール−9−イル)フェノキシ]オクタン−1−チオール(以下、カルバゾール誘導体8という)を得た。
赤外吸収スペクトル(NaClキャスト膜)を図8に示した。
【0096】
【化19】
【0097】
[実施例9]
[カルバゾール誘導体9の合成]
3,6−ジフェニルカルバゾール2.80g(8.77mmol)、1−ブロモ−3−ヨードベンゼン22.18g(87.7mmol)、銅粉0.279g及び炭酸カリウム4.85gを混合し、窒素雰囲気下、190℃で9時間加熱した。室温まで冷却し、塩化メチレンで希釈した後、水洗し、乾燥して、薄茶色の液体を得た。次に、溶離液として、塩化メチレン/ヘキサン混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、9−(3−ブロモフェニル)−3,6−ジフェニルカルバゾール3.59gを得た。
【0098】
得られた9−(3−ブロモフェニル)−3,6−ジフェニルカルバゾール3.20g(6.75mmol)、3−メトキシフェニルボロン酸1.54g(10.1mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.124gをトルエン30mL及びエタノール10mLの混合溶媒に加えた後、炭酸ナトリウム37.3gを蒸留水90mLに溶解した水溶液を加え、窒素雰囲気下、9時間加熱還流した後、室温まで冷却した。塩化メチレンで希釈し、濾過により不溶物を除去した後、有機層を水洗し、分離した。減圧下、溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、溶離液として塩化メチレン/ヘキサン混合溶媒を用いて精製して、[3’−(3,6−ジフェニルカルバゾール−9−イル)ビフェニル−3−イルオキシ]メタン2.89gを得た。
【0099】
得られた[3’−(3,6−ジフェニルカルバゾール−9−イル)ビフェニル−3−イルオキシ]メタンを、実施例1で用いた3,6−ビス(5−メチルチオフェン−2−イル)−9−(4−メトキシフェニル)カルバゾールの代わりに用いる以外は実施例1と同様にして、次の化学式(IX)で表される8−[3’−(3,6−ジフェニルカルバゾール−9−イル)ビフェニル−3−イルオキシ]オクタン−1−チオール(以下、カルバゾール誘導体9という)を得た。
赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図9に示した。
【0100】
【化20】
【0101】
[実施例10]
[カルバゾール誘導体10の合成]
3,6−ビス(4−メトキシフェニル)カルバゾール0.76g(2mmol)及び4−(4−ブロモフェニル)ブチル酸エチルエステル0.54g(2mmol)、酢酸パラジウム0.045g(0.20mmol)、ジ(1−アダマンチル)−n−ブチルホスフィン0.14g(0.40mmol)、及び炭酸カリウム1.38g(10mmol)をトルエン40mLにアルゴン雰囲気下で加え、16時間加熱還流した。ろ過助剤を用いて不溶物を除去し、溶媒を留去し、残留物を水洗後、乾燥して、1.43gの茶色粘性物を得た。これを溶離液として塩化メチレン/ヘキサン混合溶媒を用いてシリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製して、4−{4−[3,6−ビス(3−メトキシフェニル)カルバゾール−9−イル]フェニル}ブチル酸エチルエステル0.97gを得た。
【0102】
得られたエステル化合物0.73g(1.28mmol)をメタノール40mに加え、これに水酸化ナトリウム0.21gを蒸留水5mLに溶解した溶液を加えた。9時間加熱還流した後、室温まで冷却し、希塩酸をpHが3になるまで撹拌しながら加えた。析出した白色物を塩化メチレンで抽出し、水洗後乾燥し、0.57gの白色固体を得た。これをリサイクルHPLCにより精製して、次の化学式(X)で表される4−{4−[3,6−ビス(3−メトキシフェニル)カルバゾール−9−イル]フェニル}ブチル酸(以下、カルバゾール誘導体10という)0.53gを得た。
赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図10に示した。
【0103】
【化21】
【0104】
[実施例11]
実施例1で得られた0.01gのカルバゾール誘導体1を2mLのクロロホルムにアルゴン雰囲気下室温で溶解し、この溶液に、特許文献WO2010/015824の実施例4及び5に記載の方法と同様な方法で製造した0.5mLの半導体ナノ結晶(InP/ZnS/ZnO、キャッピング剤(界面活性剤):10−ウンデシレン酸、)のトルエン溶液(濃度:10mg/mL)をアルゴン雰囲気下で加え、24時間室温で撹拌した。得られた混合物に20mLの乾燥テトラヒドロフランを加え、5分間超音波洗浄した後、遠心分離機にかけた。沈降物を単離し、20mLの乾燥テトラヒドロフランを加え、前記と同様に洗浄と遠心分離を2度繰り返した後、沈降物を単離し、アルゴン気流下で風乾して、カルバゾール誘導体1が配位結合又は付着している半導体ナノ結晶を得た。
【0105】
得られた半導体ナノ結晶のトルエン溶液のフォトルミネッセンス(PL)スペクトル(365nmの励起光)を図11に示した。また、特許文献WO2010/015824の実施例4及び5に記載の方法と同様な方法で製造した半導体ナノ結晶のトルエン溶液、及びカルバゾール誘導体1のトルエン溶液のPLスペクトル(365nmの励起光)をそれぞれ図12及び図13に示した。
カルバゾール誘導体1が配位結合又は付着している半導体ナノ結晶では、365nmの励起光によるカルバゾール誘導体1からの発光はほとんど観察されず、半導体ナノ結晶からの、ピーク波長が約620nmの発光が観察され、カルバゾール誘導体から半導体ナノ結晶へのフェルター型のエネルギー移動が起きていることが示唆された。
【0106】
[実施例12]
実施例2で得られたカルバゾール誘導体2を用いる以外は実施例11と同様にして、カルバゾール誘導体2が配位結合又は付着している半導体ナノ結晶を得た。
得られた半導体ナノ結晶のトルエン溶液のPLスペクトル(365nmの励起光)を図14に示した。
【0107】
[実施例13]
実施例3で得られたカルバゾール誘導体3を用いる以外は実施例11と同様にして、カルバゾール誘導体3が配位結合又は付着している半導体ナノ結晶を得た。
得られた半導体ナノ結晶のトルエン溶液のPLスペクトル(365nmの励起光)を図15に示した。
【0108】
[実施例14]
実施例4で得られたカルバゾール誘導体4を用いる以外は実施例11と同様にして、カルバゾール誘導体4が配位結合又は付着している半導体ナノ結晶を得た。
得られた半導体ナノ結晶のトルエン溶液のPLスペクトル(365nmの励起光)を図16に示した。
【0109】
[実施例15]
実施例5で得られたカルバゾール誘導体5を用いる以外は実施例11と同様にして、カルバゾール誘導体5が配位結合又は付着している半導体ナノ結晶を得た。
得られた半導体ナノ結晶のトルエン溶液のPLスペクトル(365nmの励起光)を図17に示した。
【0110】
[実施例16]
実施例6で得られたカルバゾール誘導体6を用いる以外は実施例11と同様にして、カルバゾール誘導体6が配位結合又は付着している半導体ナノ結晶を得た。
得られた半導体ナノ結晶のトルエン溶液のPLスペクトル(365nmの励起光)を図18に示した。
【0111】
[実施例17]
実施例7で得られたカルバゾール誘導体7を用いる以外は実施例11と同様にして、カルバゾール誘導体7が配位結合又は付着している半導体ナノ結晶を得た。
得られた半導体ナノ結晶のトルエン溶液のPLスペクトル(365nmの励起光)を図19に示した。
【0112】
[実施例18]
実施例8で得られたカルバゾール誘導体8を用いる以外は実施例11と同様にして、カルバゾール誘導体8が配位結合又は付着している半導体ナノ結晶を得た。
得られた半導体ナノ結晶のトルエン溶液のPLスペクトル(365nmの励起光)を図20に示した。
【0113】
[実施例19]
実施例9で得られたカルバゾール誘導体9を用いる以外は実施例11と同様にして、カルバゾール誘導体9が配位結合又は付着している半導体ナノ結晶を得た。
得られた半導体ナノ結晶のトルエン溶液のPLスペクトル(365nmの励起光)を図21に示した。
【0114】
[実施例20]
[カルバゾール誘導体11の合成]
3,6−ジブロモカルバゾール0.75g、p−トリフェニルシリルベンゼンボロン酸ネオペンチルグリコールエステル2.24gをトルエン10ml、エタノール2mlに採り窒素バブルした。これにテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム80mgおよび21.2%炭酸ナトリウム水溶液4.70gを加え、窒素気流下16時間加熱還流した。内容物をトルエンで希釈したのち、トルエン層を水洗、乾燥、トルエンを留去し、シリカゲルカラムクロマト処理( 溶離液 トルエン)して無色粉末の3,6−ビス(4−トリフェニルシリルフェニル)カルバゾール1.30gを得た。
融点>250℃
赤外吸収スペクトル(KBr)cm-1 νNH3463、3423 νSi−Ar1427、1109
3,6−ビス(4−トリフェニルシリルフェニル)カルバゾール1.30g、4−(8−ヒドロキシオクチルオキシ)ヨードベンゼン0.65g、炭酸カリウム0.54g、銅粉0.4gおよびニトロベンゼン5mlを窒素気流下195℃で16時間攪拌した。放冷後セライトでろ過し、溶媒を留去したのちシリカゲルカラムクロマト処理(溶離液 10%酢酸エチル トルエン溶液)し、無色針状結晶の3,6−ビス(4−トリフェニルシリルフェニル)−N−〔4−(8−ヒドロキシオクチルオキシフェニル)〕カルバゾール1.50g(89.8%)を得た。
融点 217〜218℃
赤外吸収スペクトル(KBr)cm-1 νOH 3400 νSi−Ar1427、1110
3,6−ビス(4−トリフェニルシリルフェニル)−N−〔4−(8−ヒドロキシオクチルオキシフェニル)〕カルバゾールを実施例2と同様にして、トシル化、チオアセチル化ついで加水分解することにより下式(XI)で示される本発明の3,6−ビス(4−トリフェニルシリルフェニル)―N−〔4−(8−メルカプトオクチルオキシフェニル)〕カルバゾール(カルバゾール誘導体11)の無色針状結晶を得た。
赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図25に示した。
融点>220℃
赤外吸収スペクトル(KBr)cm-1 νSi−Ar1428、1109
元素分析(%)実測値(計算値) C 82.60(82.87) H6.09(6.11) N1.24(1.31) S2.98(2.99)
【0115】
【化22】
【0116】
[実施例21]
[カルバゾール誘導体12の合成]
2,7−ジブロモーN−(4−ヒドロキシフェニル)カルバゾール1.14gを0℃で60%水素化ナトリウム0.11gとDMF40mlに加え1時間攪拌したのち、8−ブロモオクタノール0.65gを加え室温で3時間、50℃で2時間攪拌した後酢酸エチルで抽出、水洗、乾燥した。粗製物をシリカゲルカラムクロマト処理(溶離液 25%酢酸エチル トルエン溶液)し無色粘調液体の2,7−ジブロモーN−4−〔(8−ヒドロキシオクチルオキシフェニル)〕カルバゾール1.30gを得た。
2,7−ジブロモーN−4−〔(8−ヒドロキシオクチルオキシフェニル)〕カルバゾール1.30g、p−トリフェニルシリルベンゼンボロン酸ネオペンチルグリコールエステル2.35gをトルエン15ml、エタノール3mlに採り窒素バブルした。これにテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム83mgおよび21.2%炭酸ナトリウム水溶液4.81gを加え、窒素気流下6時間加熱還流した。内容物をトルエンで希釈したのち、トルエン層を水洗、乾燥し、トルエンを留去し、シリカゲルカラムクロマト処理(溶離液 20%酢酸エチル トルエン溶液)し、無色針状結晶の2,7−ビス(4−トリフェニルシリルフェニル)−N−4−〔(8−ヒドロキシオクチルオキシフェニル)〕カルバゾール1.60gを得た。
融点>220℃
赤外吸収スペクトル(KBr)cm-1 νOH 3420 νSi−Ar1428、1109
2,7−ビス(4−トリフェニルシリルフェニル)−N−4−〔(8−ヒドロキシオクチルオキシフェニル)〕カルバゾールを実施例2と同様にして、トシル化、チオアセチル化ついで加水分解することにより下式(XII)で示される本発明の2,7−ビス(4−トリフェニルシリルフェニル)−N−〔4−(8−メルカプトオクチルオキシフェニル)〕カルバゾール(カルバゾール誘導体12)の無色針状結晶を得た。
赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図26に示した。
融点>220℃
赤外吸収スペクトル(KBr)cm-1 νSi−Ar1428、1109
元素分析(%)実測値(計算値)C 82.79(82.87) H6.04(6.11) N1.16(1.31) S3.00(2.99)
【0117】
【化23】
【0118】
[実施例22]
[カルバゾール誘導体13の合成]
p−ジブロモベンゼン8.91gをTHF30mlに溶解し−78℃でn−ブチルリチウム1.63Mのヘキサン溶液23.2mlを加え、−75℃で30分間攪拌した。これにジメシチルボロンフルオライド10.14gをTHF20mlに溶解した溶液を滴下した。−70℃で30分攪拌した後、室温で一晩攪拌した。内容物に塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出、水洗、乾燥したのち溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマト処理(溶離液 トルエン/ヘキサン=1/4)し、無色針状結晶の4−ジメシチルボリルブロモベンゼン12.3gを得た。
融点 187℃
赤外吸収スペクトル(KBr)cm-1 νB−C 1240,1225,1214,1155
NMR(CDCl3)δ7.47(d,aromatic,2H)7.35(d,aromatic,2H) 6.80(s,aromatic,4H) 2.29(s,CH3,6H) 1.97(s,CH3,12H)
4−ジメシチルボリルブロモベンゼン12.3g、ビス(ネオペンチルグリコラート)ジボロン8.20gおよび酢酸カリウム8.95gにジオキサン150mlを加え、30分窒素バブリングした。これにPdCl2(dppf)・CH2Cl2 ;〔1,1’-Bis(diphenylphosphino)ferrocene〕palladium dichloride dichloromethane adduct0.75gを加え窒素気流下40分加熱還流した。室温まで放冷後酢酸エチルで抽出、水洗、乾燥後溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマト処理(溶離液 5%酢酸エチル トルエン溶液 )した後、トルエン/エタノールの混合溶媒から再結晶して無色板状結晶の4−ジメシチルボリルベンゼンボロン酸ネオペンチルグリコールエステル9.02ggを得た。
融点 185.0〜187.0℃
赤外吸収スペクトル(KBr)cm-1 νB-C 1132 νB-O 1376,1341,1317
NMR(CDCl3)δ7.75(d,aromatic,2H)7.49(d,aromatic,2H) 6.80(s,aromatic,4H)3.77(s,CH2,4H) 2.30(s,CH3,6H) 1.98(s,CH3,12H)1.03(s,CH3,6H)
3,6−ジブロモ−N−(4−メトキシフェニル)カルバゾール2.16g、4−ジメシチルベンゼンボロン酸ネオペンチルグリコールエステル4.61gをトルエン30ml、エタノール6mlに採り窒素バブルした。これにテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム174mgおよび21.2%炭酸ナトリウム水溶液10.1gを加え、窒素気流下3時間加熱還流した。内容物をトルエンで希釈したのち、トルエン層を水洗、乾燥しトルエンを留去し、シリカゲルカラムクロマト処理(溶離液 トルエン/ヘキサン=1/2)し、無色粉末の3,6−ビス(4−ジメシチルボリルフェニル)−N−(4−メトキシフェニル)カルバゾール3.22gを得た。
融点202℃
3,6−ビス(4−ジメシチルボリルフェニル)−N−(4−メトキシフェニル)カルバゾールを三臭化ホウ素により脱メチル化したのち、8−ブロモオクタノールを実施例2と同様に反応せしめ3,6−ビス(4−ジメシチルボリルフェニル)−N−〔4−(8−ヒドロキシオクチルオキシフェニル)〕カルバゾールを得た。
3,6−ビス(4−ジメシチルボリルフェニル)−N−〔4−(8−ヒドロキシオクチルオキシフェニル)〕カルバゾールを実施例2と同様にトシル化、チオアセチル化ついで加水分解することにより下式(XIII)で表される本発明の3,6−ビス(4−ジメシチルボリルフェニル)−N−〔4−(8−メルカプトオクチルオキシフェニル)〕カルバゾール(カルバゾール誘導体13)の無色粉末を得た。
赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図27に示した。
融点 190℃でシンタリング
赤外吸収スペクトル(KBr)cm-1 νB-C 1240
元素分析(%)実測値(計算値)C 84.40(84.48) H7.40(7.57) N1.17(1.33) S2.96(3.05)
【0119】
【化24】
【0120】
[実施例23]
[カルバゾール誘導体14の合成]
3,6−ジブロモーN−(4−メチルフェニル)カルバゾール6.23g、フェニルボロン酸2.01gをトルエン60ml、エタノール15mlに採り窒素バブルした。これにテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム290mgおよび21.2%炭酸ナトリウム水溶液15.0gを加え、窒素気流下5時間加熱還流した。内容物をトルエンで希釈したのち、トルエン層を水洗、乾燥しトルエンを留去し、シリカゲルカラムクロマト処理(溶離液 トルエン/ヘキサン=1/4)し、無色粉末の3―ブロモ−6−フェニル−N−(4−メチルフェニル)カルバゾール3.20gを得た。
3−ブロモ−6−フェニル−N−(4−メチルフェニル)カルバゾール3.20g、4−メトキシフェニルボロン酸1.65gをトルエン30ml、エタノール8mlに採り窒素バブルした。これにテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム150mgおよび21.2%炭酸ナトリウム水溶液7.80gを加え、窒素気流下3時間加熱還流した。内容物をトルエンで希釈したのち、トルエン層を水洗、乾燥、トルエンを留去し、シリカゲルカラムクロマト処理(溶離液 トルエン)して、無色粉末の3−フェニル−6−(4−メトキシフェニル)−N−(4−メチルフェニル)カルバゾール2.30gを得た。
3−フェニル−6−(4−メトキシフェニル)−N−(4−メチルフェニル)カルバゾールを三臭化ホウ素で脱メチル化したのち、8−ブロモオクタノール/水素化ナトリウムによりエーテル化して、3―フェニル−6−〔4−(8−ヒドロキシオクチルオキシフェニル)−N−(4−メチルフェニル)カルバゾールを得た。
3−フェニル−6−〔4−(8−ヒドロキシオクチルオキシフェニル)−N−(4−メチルフェニル)カルバゾールを実施例2と同様にして、トシル化、チオアセチル化ついで加水分解することにより、下式(XIV)で表される本発明の3―フェニル−6−〔4−(8−メルカプトオクチルオキシフェニル)−N−(4−メチルフェニル)カルバゾール(カルバゾール誘導体14)の無色プリズム状結晶を得た。
赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図28に示した。
融点103.0〜104.5℃
赤外吸収スペクトル(KBr)cm-1 νSH 2550
元素分析(%)実測値(計算値) C 82.06(82.21) H6.83(6.90) N2.29(2.46) S5.62(5.63)
【0121】
【化25】
【0122】
[実施例24]
[カルバゾール誘導体15の合成]
5−メチル−2−チオフェンボロン酸の代わりに、2,4,6−トリメチルフェニルボロン酸を用いる以外は実施例1と同様にして、下式(XV)で表される本発明の3,6−ジメシチルカルバゾール−N−〔4−(8−メルカプトオクチルオキシフェニル)〕カルバゾール(カルバゾール誘導体15)の無色粘調液体を得た。
赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図29に示した。
元素分析(%)実測値(計算値) C 82.49(82.58) H7.92(7.72) N1.95(2.19) S4.72(5.01)
【0123】
【化26】
【0124】
[実施例25]
[カルバゾール誘導体16の合成]
8−ブロモ−1−オクタノールの代わりに、12−ブロモ−1−ドデカノールを用いる以外は実施例2と同様にして、下式(XVI)で表される本発明の3,6−ジフェニル−N−〔4−(12−メルカプトドデシルオキシフェニル)〕カルバゾール(カルバゾール誘導体16)の無色粉末を得た。
赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図30に示した。
融点103.5〜104.5℃
元素分析(%)実測値(計算値) C 82.38(82.44) H7.29(7.41) N2.13(2.29) S5.11(5.24)
【0125】
【化27】
【0126】
[実施例26]
[カルバゾール誘導体17の合成]
9−アセチル−3,6−ジヨードカルバゾール10.0g及びトリフェニルシラン12.4gを乾燥N−メチルピロリドン200mLに溶解し、アルゴンガスを30分間バブルした後、リン酸三カリウム27.6g及びビス(トリーt−ブチルホスフィン)パラジウム0.111g加え、室温で19時間攪拌した。得られた反応混合物をろ過し、ろ液を塩化メチレンで注出した。単離した有機相を塩水で洗浄し、乾燥した後、塩化メチレンを留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマト処理(溶離液 トルエン)して、無色粉末の9−アセチル−3,6−ビス(トリフェニルシリル)カルバゾール1.97gを得た。
得られた9−アセチル−3,6−ビス(トリフェニルシリル)カルバゾール1.97gをテトラヒドロフラン50mLに溶解し、50重量%の水酸化ナトリウム水溶液1.1g加え、50℃で3時間攪拌した後、室温まで冷却した。phが5になるまで希塩酸を加え、30分間攪拌した。塩化メチレンで抽出し、単離した有機層を水洗し、乾燥し後、塩化メチレンを留去した。残留物をリサイクルHPLCで精製して、無色粉末の3,6−ビス(トリフェニルシリル)カルバゾール1.28gを得た。
ついで、得られた3,6−ビス(トリフェニルシリル)カルバゾールを用い、実施例6と同様にアミノ化、トシル化、チオアセチル化及び加水分解することにより、下式(XVII)で表される本発明の3,6−ビス(トリフェニルシリル)−N−〔4−(8−メルカプトオクチルオキシフェニル)〕カルバゾール(カルバゾール誘導体17)の淡黄色粉末を得た。
赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図31に示した。
赤外吸収スペクトル(KBr)cm-1 νSH 2570
【0127】
【化28】
【0128】
[応用例1]
110nm厚のITOガラス基板を、中性洗剤、アセトン及びイソプロパノールで順次超音波洗浄した後、イソプロパノールで煮沸洗浄し、UV−オゾンチャンバ中で12分間処理をした。
ITO基板上に、PEDOT−PSS溶液のBaytron(登録商標)P AI 4083(H.C.Starck社製)をスピンコートした後、150℃で30分間乾燥して、厚さが40nmのホール注入層を形成した。
窒素雰囲気下、ホール注入層上に、ポリカーボネートのクロロホルム溶液をスピンコートした後、100℃で30分間乾燥して、厚さが40nmのホール輸送層を形成した。なお、ポリカーボネートとしては、特開2005−54165号公報の実施例1に記載されている3,6−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−N−フェニルカルバゾール由来の構成単位及び4,4'−イソプロピリデンジフェノール由来の構成単位(モル比1:1)を有するポリカーボネートを用いた。
窒素雰囲気下、ホール輸送層上に、カルバゾール誘導体2が配位結合又は付着している半導体ナノ結晶をトルエンに分散させた分散液をスピンコートした後、100℃で30分間乾燥して、厚さが15nmの発光層を形成した。
真空蒸着装置を用いて、1×10−4Paの真空下、発光層上に、3,5,3'、5'−テトラキス(m−ピリド−3−イル)フェニル−[1,1']ビフェニルを蒸着して、厚さが50nmの電子輸送層を形成した。次に、シャドーマスクを介して、MgAg及びAgを、それぞれ100nm及び10nmの厚さで蒸着して、陰極を形成し、エレクトロルミネッセンス(EL)素子を得た。
図22に、EL素子の電流密度と外部量子効率の関係を示す。図22から、EL素子の外部量子効率の最大値が2.3%であった。
図23に、EL素子の電圧と電流密度の関係を示す。
図24に、EL素子の電流密度が1mA/cm2時の発光スペクトルを示す。図24から、EL素子の発光のピーク波長は624nmであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0129】
【特許文献1】特表2009−527099号公報
【特許文献2】特開2009−87754号公報
【特許文献3】特開2009−99545号公報
【特許文献4】特表2007−537886号公報
【特許文献5】特表2009−504422号公報
【特許文献6】特表2009−514993号公報
【特許文献7】WO2010/015824号国際公開明細書
【非特許文献】
【0130】
【非特許文献1】ナノ粒子科学−基本原理から応用まで−(株式会社エヌ・ティー・エス発行、ISBN978−4−86043−175−4 C3040)の27頁〜28頁及び48頁〜180頁
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規カルバゾール誘導体、及び高発光効率の量子ドット型有機EL素子に有効な、新規カルバゾール誘導体が配位結合又は付着した半導体ナノ結晶に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光材料として半導体ナノ結晶からなる量子ドットを用いた、量子ドット型の有機EL素子が提案されている。ナノスケールの小さな材料は、原子又は分子的な挙動と巨視的固体(バルク形態)の挙動との中間的な挙動を示す。電荷キャリアと励起が3次元の全ての方向に閉じ込められたナノスケールの材料は量子ドットと呼ばれ、サイズの減少にともない、有効なバンドギャップが増大する。すなわち、量子ドットのサイズが小さくなると、その吸収と発光がより短波長側へ、赤色方向から青色方向へとシフトする。また、量子ドットの組成とサイズを組み合わせて制御することにより、赤外領域から紫外領域までの広範囲のスペクトルを得ることができ、さらにサイズ分布を制御することにより、半値幅の狭い、色純度に優れたスペクトルを得ることができる。これらの特性を生かして、特許文献1の特表2009−527099号公報には、複数の半導体ナノクリスタルを含む発光層を備えることにより、白色光を発光する白色発光デバイスが提案されているが、外部量子効率は0.3〜0.4%程度であり、発光効率の点で十分ではない。
【0003】
また、所望の発光色を効率よく発光させるために、正孔輸送層側に位置する第1の量子ドット単分子膜、電子輸送層側に位置する第2の量子ドット単分子膜、及び第1と第2の単分子間に位置する励起子生成層を有する発光素子が提案(特許文献2の特開2009−87754号公報)されているが、具体的な発光効率と寿命特性は示されていない。
さらに、特許文献3の特開2009−99545号公報には、マトリックス材料中に分散した量子ドットの保護材料に着目した素子が提案されている。量子ドットの湿式化学的な製造上の点で、量子ドットの表面に存在するキャピング分子(界面活性剤)が発光効率の低下につながるとし、量子ドット表面に保護材料が配位結合した状態、あるいは量子ドット表面と保護材料間に相互作用(引力)が生じ量子ドットの表面に保護材料が存在している状態を形成し、且つ保護材料のイオン化ポテンシャル(Ip)、電子親和力(Ea)及びバンドギャップ(Eg)、マトリックス材料のIp、Ea及びEg、及び量子ドットのEgの相対的な関係条件を満たすことによって、量子ドットへの励起子の移動性が向上し、発光効率に優れた素子が提供されると記載されている。しかし、この場合も十分に発光効率の高い素子が提供されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、有機EL素子用材料として、特に耐久性が高く、高発光効率の有機EL素子を実現する新規なカルバゾール誘導体及び半導体ナノ結晶を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記目的を達成するものであり、下記の特徴を有するカルバゾール誘導体、これを用いた半導体ナノ粒子を包含し、さらに応用技術としての表示素子例を開示する。
(1)「下記一般式(1)で表され、該カルバゾール誘導体の芳香環が1個以上3個以下の下記一般式(2)で表される置換基を有することを特徴とするカルバゾール誘導体。
【0006】
【化1】
【0007】
(式中、Ar1及びAr2は、それぞれ独立に、ベンゼン環と共同で環を形成してもよい置換若しくは無置換のアリール基、複素環基、アリールシリル基、又は水素原子であり、Ar3は、置換又は無置換のアリール基である。)
【0008】
【化2】
【0009】
(式中、Xは、メチレン基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、カルボニル基、酸素原子又は硫黄原子であり、Yは、置換又は無置換のアルキレン基であり、Zは、カルボキシル基、ヒドロキシル基又はチオール基である。)」、
(2)「下記一般式(3)で表されることを特徴とする前記(1)項に記載のカルバゾール誘導体。
【0010】
【化3】
【0011】
(式中、Ar4は、置換又は無置換のアリーレン基である。Ar1、Ar2、X、Y及びZは前記定義と同じ意味を有する。)」、
(3)「前記一般式(3)中のAr1及びAr2がそれぞれ独立に、一般式(4)で表される基であることを特徴とする前記(2)項に記載のカルバゾール誘導体。
【0012】
【化4】
【0013】
(式中、Rは、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、ハロゲン原子又は置換若しくは無置換のアリール基である。)」、
(4)「一般式(5)で表されることを特徴とする前記(2)項に記載のカルバゾール誘導体。
【0014】
【化5】
【0015】
(式中、Rは、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、ハロゲン原子又は置換若しくは無置換のアリール基である。Ar1、Ar4、X、Y及びZは前記定義と同じ意味を有する。)」、
(5)「一般式(6)で表されることを特徴とする前記(1)項に記載のカルバゾール誘導体。
【0016】
【化6】
【0017】
(式中、Ar1、Ar2、Ar3、X、Y及びZは前記定義と同じ意味を有する。)」、
(6)「前記(1)項乃至(5)項のいずれかに記載のカルバゾール誘導体が該半導体ナノ結晶に配位結合又は付着していることを特徴とする半導体ナノ結晶。」。
【発明の効果】
【0018】
本発明の新規カルバゾール誘導体を有機EL素子として用いると耐久性が高く、かつ高い発光効率を得ることができる。
また、本発明の新規カルバゾール誘導体が配位結合した又は付着した半導体ナノ結晶を量子ドット型の有機EL素子として用いると高い発光効率を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るカルバゾール誘導体1の赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)である。
【図2】同カルバゾール誘導体2の赤外吸収スペクトルである。
【図3】同カルバゾール誘導体3の赤外吸収スペクトルである。
【図4】同カルバゾール誘導体4の赤外吸収スペクトルである。
【図5】同カルバゾール誘導体5の赤外吸収スペクトルである。
【図6】同カルバゾール誘導体6の赤外吸収スペクトルである。
【図7】同カルバゾール誘導体7の赤外吸収スペクトルである。
【図8】同カルバゾール誘導体8の赤外吸収スペクトルである。
【図9】同カルバゾール誘導体9の赤外吸収スペクトルである。
【図10】同カルバゾール誘導体10の赤外吸収スペクトルである。
【図11】本発明に係るカルバゾール誘導体1から得られた半導体ナノ結晶のトルエン液のフォトルミネッセンス(PL)スペクトル(365nmの励起光)図である。
【図12】同カルバゾール誘導体1から得られた別の半導体ナノ結晶のトルエン液のフォトルミネッセンス(PL)スペクトル図である。
【図13】同カルバゾール誘導体1から得られた更に別の半導体ナノ結晶のトルエン液のフォトルミネッセンス(PL)スペクトル図である。
【図14】同カルバゾール誘導体2から得られた半導体ナノ結晶のトルエン液のフォトルミネッセンス(PL)スペクトル図である。
【図15】同カルバゾール誘導体3から得られた半導体ナノ結晶のトルエン液のフォトルミネッセンス(PL)スペクトル図である。
【図16】同カルバゾール誘導体4から得られた半導体ナノ結晶のトルエン液のフォトルミネッセンス(PL)スペクトル図である。
【図17】同カルバゾール誘導体5から得られた半導体ナノ結晶のトルエン液のフォトルミネッセンス(PL)スペクトル図である。
【図18】同カルバゾール誘導体6から得られた半導体ナノ結晶のトルエン液のフォトルミネッセンス(PL)スペクトル図である。
【図19】同カルバゾール誘導体7から得られた半導体ナノ結晶のトルエン液のフォトルミネッセンス(PL)スペクトル図である。
【図20】同カルバゾール誘導体8から得られた半導体ナノ結晶のトルエン液のフォトルミネッセンス(PL)スペクトル図である。
【図21】同カルバゾール誘導体9から得られた半導体ナノ結晶のトルエン液のフォトルミネッセンス(PL)スペクトル図である。
【図22】本発明に係るカルバゾール誘導体2から得られた半導体ナノ結晶を用い作製したEL素子の電流密度と外部量子効率の関係を示す図である。
【図23】同EL素子の電圧と電流密度の関係を示す図である。
【図24】同EL素子の電流密度が1mA/cm2時の発光スペクトルを示す図である。
【図25】同カルバゾール誘導体11の赤外吸収スペクトルである。
【図26】同カルバゾール誘導体12の赤外吸収スペクトルである。
【図27】同カルバゾール誘導体13の赤外吸収スペクトルである。
【図28】同カルバゾール誘導体14の赤外吸収スペクトルである。
【図29】同カルバゾール誘導体15の赤外吸収スペクトルである。
【図30】同カルバゾール誘導体16の赤外吸収スペクトルである。
【図31】同カルバゾール誘導体17の赤外吸収スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のカルバゾール誘導体は、一般式(1)で表されるカルバゾール誘導体の芳香環が1個以上3個以下の上記一般式(2)で表される置換基を有する。一般式(1)で表される化合物の芳香環が2個又は3個の一般式(2)で表される基で置換されている場合、2個又は3個の一般式(2)で表される基は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0021】
一般式(1)において、Ar1、Ar2及びAr3における無置換のアリール基としては、特に限定されないが、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ピレニル基、フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基、フルオレニリデンフェニル基、5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテニリデンフェニル基等が挙げられる。
一般式(1)において、Ar1及びAr2における無置換の複素環基としては、特に限定されないが、フリル基、ベンゾフラニル基、カルバゾリル基、ピリジル基、ピロリジル基、チオフェニル基、メチルチオフェニル基、オキサゾリル基等が挙げられる。
なお、アリール基及び複素環基は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、2−エチルヘキシル基、トリフルオロメチル基、2−シアノエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数が1〜25の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基を有していてもよい。
【0022】
また、Ar1、Ar2及びAr3におけるアリール基の置換基としては、特に限定されないが、置換又は無置換の炭素数が1〜25の直鎖、分岐鎖又は環状のアルコキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、シアノ基、トリフェニルシリル基、フリル基、ベンゾフラニル基、カルバゾリル基、ピリジル基、ピロリジル基、チオフェニル基、メチルチオフェニル基、オキサゾリル基等の複素環基等が挙げられる。
このとき、アルコキシ基の置換基としては、特に限定されないが、フッ素原子、シアノ基、置換又は無置換のフェニル基等が挙げられる。フェニル基の置換基としては、特に限定されないが、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、直鎖又は環状のアルキル基等が挙げられる。
【0023】
置換又は無置換のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、2−シアノエトキシ基、ベンジルオキシ基、4−クロロベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等が挙げられる。
【0024】
アリール基及び複素環基の炭素数は、それぞれ6〜30及び4〜28であることが好ましい。
また、Ar1、Ar2及びAr3における、置換又は無置換のアリールシリル基としては、ジメチルフェニルシリル基、メチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基、トリ(2−ビフェニル)シリル基、トリ(o−トルイル)シリル基、1,1,2,2,2−ペンタフェニルジシリル基、ジフェニル(ジフェニルメチル)シリル基、トリス(1−ナフチル)シリル基、トリス(2−メトキシフェニル)シリル基、4−メチル1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフェニルテトラシリル基などが挙げられる。
【0025】
Ar1及び/又はAr2がベンゼン環と共同で環を形成しているアリール基である場合の一般式(1)で表される化合物としては、ベンゾカルバゾールの誘導体、ジベンゾカルバゾールの誘導体等が挙げられる。
【0026】
一般式(2)において、Yにおける無置換のアルキレン基は、炭素数が1〜25であることが好ましい。無置換のアルキレン基としては、特に限定されないが、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ペンタデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、ヘプタデカメチレン基、オクタデカメチレン基、ノナデカメチレン基、イコサメチレン基、ヘインコサメチレン基、ドコサメチレン基、トリコサメチレン基、テトラコサメチレン基、ペンタコサメチレン基等が挙げられる。
また、Yにおけるアルキレン基の置換基としては、特に限定されないが、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、炭素数が1〜24の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基等が挙げられる。
【0027】
本発明において、カルバゾール誘導体としては、特に限定されないが、以下の化合物が挙げられる。
【0028】
【表1−1】
【0029】
【表1−2】
【0030】
【表1−3】
【0031】
【表1−4】
【0032】
【表1−5】
【0033】
【表1−6】
【0034】
【表1−7】
【0035】
【表1−8】
【0036】
【表1−9】
【0037】
一般式(2)で表される基としては、特に限定されないが、以下の基が挙げられる。
【0038】
【表2】
【0039】
本発明において、カルバゾール誘導体は、前記一般式(3)又は(6)で表される化合物であることが好ましい。このとき、Ar4は、Ar3由来のアリーレン基である。
一般式(3)において、Ar1及びAr2は、それぞれ独立に、一般式(4)で表される基であることが好ましい。また、一般式(3)で表される化合物は、一般式(5)で表されるベンゾカルバゾール誘導体であることが好ましい。
【0040】
一般式(4)及び(5)において、Rにおける無置換のアルキル基は、炭素数が1〜25の直鎖、分岐鎖又は環状であることが好ましく、Rにおける無置換のアルコキシ基は、炭素数が1〜25の直鎖、分岐鎖又は環状であることが好ましい。このとき、アルキル基又はアルコキシ基の置換基としては、特に限定されないが、フッ素原子、シアノ基、置換又は無置換のフェニル基等が挙げられる。フェニル基の置換基としては、特に限定されないが、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、直鎖又は環状のアルキル基等が挙げられる。
置換又は無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、2−エチルヘキシル基、トリフルオロメチル基、2−シアノエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0041】
置換又は無置換のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、2−シアノエトキシ基、ベンジルオキシ基、4−クロロベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等が挙げられる。
【0042】
Rにおけるハロゲン原子としては、特に限定されないが、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
Rにおけるアリール基は、前述のAr1、Ar2及びAr3におけるアリール基と同様である。
【0043】
[一般式(3)で表される化合物の合成法]
[一般式(3)で表される化合物の合成例1]
一般式(3)で表される化合物は、以下のようにして、合成することができる。
【0044】
【化7】
【0045】
(式中、Rxは、ハロゲン原子である。)
まず、パラジウム触媒を用いて、有機ハロゲン化合物(A−1)と、アリールボロン酸Ar1−B(OH)2との鈴木−宮浦クロスカップリング反応により、カルバゾール誘導体(A−2)が得られる。
パラジウム触媒としては、特に限定されないが、Pd(PPh3)4、PdCl2(PPh3)2、Pd(OAc)2、PdCl2等が挙げられるが、最も汎用的には、Pd(PPh3)4が用いられる。
このとき、アリールボロン酸の代わりに、熱的に安定で、空気中で容易に扱えるビス(ピナコラト)ジボロンとハロゲン化アリールから合成されるアリールボロン酸エステルを用いてもよい。また、有機ハロゲン化合物(A−1)が有するRxは、反応性の点から、ヨウ素原子又は臭素原子であることが好ましい。
【0046】
この反応は、塩基を必要とするが、塩基としては、Na2CO3、NaHCO3等の比較的弱い塩基を用いることが好ましい。また、立体障害等の影響を受ける場合には、Ba(OH)2、K3PO4等の強塩基が有効である。その他の塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムや、カリウムt−ブトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、リチウムt−ブトキシド、カリウム2−メチル−2−ブトキシド、ナトリウム2−メチル−2−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、カリウムメトキシド等の金属アルコシドも用いることができる。また、塩基としては、トリエチルアミン等の有機塩基も用いることができる。
反応溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、2−メトキシエタノール、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル等のアルコール及びエーテル系溶媒、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の環状エーテル系溶媒の他、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等を用いることができる。
次に、パラジウム触媒とホスフィン配位子を用いて、カルバゾール誘導体(A−2)と、ハロゲン化アリールRx−Ar4−X−Y−COOC2H5とのBuchwald−Hartwigアミノ化反応により、カルバゾール誘導体(A−3)が得られる。
パラジウム触媒としては、上記のように、特に限定されないが、Pd2(dba)3、Pd(OAc)2等が挙げられる。
ホスフィン配位子としては、特に限定されないが、2,2'−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1'−ビナフチル、ペンタフェニル(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセン、ビス(1−アダマンチル)−n−ブチルホスフィン、ビス(1−アダマンチル)−n−ブチルホスホニウムアイオダイド、ビス(1−アダマンチル)ベンジルホスフィン等が挙げられる。
ハロゲン化アリールが有するRxは、反応性の点から、臭素原子又は塩素原子であることが好ましい。
この反応は塩基を必要とするが、塩基としては、K2CO3、Cs2CO3、Na2CO3、NaHCO3等の比較的弱い塩基を用いることができる。
さらに、水酸化ナトリウム等の塩基を用いて、カルバゾール誘導体(A−3)を加水分解することにより、カルバゾール誘導体(A−4)が得られる。
【0047】
[一般式(3)で表される化合物の合成例2]
一般式(3)で表される化合物は、以下のようにして、合成することができる。
【0048】
【化8】
【0049】
(式中、Rxは、ハロゲン原子である。)
まず、カルバゾール誘導体(B−1)と、ハロゲン化アリールRx−Ar4−OCH3とのウルマン反応又はBuchwald−Hartwigアミノ化反応により、カルバゾール誘導体(B−2)が得られる。このとき、カルバゾール誘導体(B−1)は、カルバゾール誘導体(A−2)と同一である。
次に、三臭化ホウ素を用いて、カルバゾール誘導体(B−2)を脱メチル化することにより、カルバゾール誘導体(B−3)が得られる。
さらに、カルバゾール誘導体(B−3)と、臭化アルコールBr−Y−OHとのエーテル化反応により、カルバゾール誘導体(B−4)が得られる。
【0050】
[一般式(3)で表される化合物の合成例3]
一般式(3)で表される化合物は、以下のようにして、合成することができる。
【0051】
【化9】
【0052】
まず、ピリジン等の塩基の存在下、塩化p−トルエンスルホニルを用いて、カルバゾール誘導体(C−1)の水酸基をスルホニル化することにより、カルバゾール誘導体(C−2)が得られる。
次に、チオ酢酸カリウムを用いて、カルバゾール誘導体(C−2)をメチルチオエステル化することにより、カルバゾール誘導体(C−3)が得られる。
さらに、水酸化ナトリウム等の塩基を用いて、カルバゾール誘導体(C−3)を加水分解することにより、カルバゾール誘導体(C−4)が得られる。
【0053】
[一般式(3)で表される化合物の合成例4]
一般式(5)で表される化合物は、以下のようにして、合成することができる。
【0054】
【化10】
【0055】
まず、プロトン酸の存在下、テトラノン化合物(D−1)とフェニルヒドラジン化合物(D−2)を反応させることにより、ヒドラゾン化合物(D−3)が得られる。
次に、ZnCl2等のルイス酸の存在下、環化させることにより、環化合物(D−4)が得られる。
さらに、Pd/C等の触媒を用いて、環化合物(D−4)を酸化することにより、ベンゾカルバゾール誘導体(D−5)が得られる。
次に、ベンゾカルバゾール誘導体(D−5)と、ヨウ化アリールI−Ar4−X−Y−OHとのウルマン反応又はBuchwald−Hartwigアミノ化反応により、ベンゾカルバゾール誘導体(D−6)が得られる。
さらに、ピリジン等の塩基の存在下、塩化p−トルエンスルホニルを用いて、ベンゾカルバゾール誘導体(D−6)の水酸基をスルホニル化することにより、ベンゾカルバゾール誘導体(D−7)が得られる。
次に、チオ酢酸カリウムを用いて、ベンゾカルバゾール誘導体(D−7)をメチルチオエステル化することにより、ベンゾカルバゾール誘導体(D−8)が得られる。
さらに、水酸化ナトリウム等の塩基を用いて、ベンゾカルバゾール誘導体(D−8)を加水分解することにより、ベンゾカルバゾール誘導体(D−9)が得られる。
【0056】
[一般式(6)で表される化合物の合成法]
[一般式(6)で表される化合物の合成例1]
一般式(6)で表される化合物は、以下のようにして、合成することができる。
【0057】
【化11】
【0058】
(式中、Rxは、ハロゲン原子である。)
まず、ピリジン等の塩基の存在下、臭素を用いて、カルバゾール(E−1)を臭素化することにより、3−ブロモカルバゾール(E−2)が得られる。
次に、ヨウ化銅の存在下、ナトリウムメトキシドを用いて、3−ブロモカルバゾール(E−2)をエーテル化することにより、3−メトキシカルバゾール(E−3)が得られる。
さらに、3−メトキシカルバゾール(E−3)と、ハロゲン化アリールRx−Ar3とのウルマン反応又はBuchwald−Hartwigアミノ化反応により、カルバゾール誘導体(E−4)が得られる。
次に、三臭化ホウ素を用いて、カルバゾール誘導体(E−4)を脱メチル化することにより、カルバゾール誘導体(E−5)が得られる。
さらに、カルバゾール誘導体(E−5)と、臭化アルコールBr−Y−OHとのエーテル化反応により、カルバゾール誘導体(E−6)が得られる。
次に、ピリジン等の塩基の存在下、塩化p−トルエンスルホニルを用いて、カルバゾール誘導体(E−6)の水酸基をスルホニル化することにより、カルバゾール誘導体(E−7)が得られる。
さらに、チオ酢酸カリウムを用いて、カルバゾール誘導体(E−7)をメチルチオエステル化することにより、カルバゾール誘導体(E−8)が得られる。
次に、水酸化ナトリウム等の塩基を用いて、カルバゾール誘導体(E−8)を加水分解することにより、カルバゾール誘導体(E−9)が得られる。
【0059】
[カルバゾール化合物キャリアチップとしての半導体ナノ結晶]
本発明において、半導体ナノ結晶としては、特に限定されないが、周期表の第13属元素と第15属元素からなるIII−V属の化合物、周期表の第2属元素と第16属元素からなるIIA−VIB属の化合物、周期表の第12属元素と第16属元素からなるIIB−VIB属の化合物、周期表の第12属元素と第15属元素からなるII−V属の化合物、周期表の第13属元素と第15属元素からなるIII−V属の化合物、周期表の第13属元素と第14属元素からなるIII−IV属の化合物、周期表の第13属元素と第16属元素からなるIII−VI属の化合物、周期表の第14属元素と第16属元素からなるIV−VI属の化合物、周期表の第11属元素、第13属元素及び第15属元素からなるI−III−V属化合物周期表の第12属元素、第14属元素及び第16属元素からなるII−IV−VI属化合物等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
また、半導体ナノ結晶は、第3の元素、第4の元素又はドーピング剤を含んでもよい。
【0060】
半導体ナノ結晶の形状としては、特に限定されないが、球状、半球状、棒状、円盤状、テトラポット形状、星形状等が挙げられる。
また、半導体ナノ結晶が球状である場合、半導体ナノ結晶の平均一次粒径は、通常、0.5nm〜30nmであり、1〜15nmが好ましい。半導体ナノ結晶の粒度分布は、発光の色度に影響し、半値幅の狭い鮮明な発光色を得るためには、粒度分布は狭いことが好ましい。
半導体ナノ結晶の製造方法としては、特に限定されないが、非特許文献1のナノ粒子科学−基本原理から応用まで−(株式会社エヌ・ティー・エス発行、ISBN978−4−86043−175−4 C3040)の27頁〜28頁及び48頁〜180頁に記載されている方法、特許文献4の特表2007−537886号公報(WO2005/106082号)、特許文献5の特表2009−504422号公報(WO2007/020416号)、特許文献6の特表2009−514993号公報(WO2007/049052号)、特許文献7のWO2010/015824号国際公開明細書に記載されている方法等が挙げられる。
【0061】
カルバゾール誘導体が配位結合又は付着している半導体ナノ結晶は、半導体ナノ結晶の表面に存在するキャッピング剤(界面活性剤)をカルバゾール誘導体で置換することより得られる。例えば、不活性ガス下、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン等の極性溶媒にカルバゾール誘導体を溶解させた溶液に、半導体ナノ結晶を加え、0〜30℃で、12時間以上、好ましくは24時間以上混合撹拌した後、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、塩化メチレン、クロロホルム、アセトン、テトラヒドロフラン、ヘキサン等の比較的低沸点の溶媒を用いて超音波洗浄することにより、カルバゾール誘導体が配位結合又は付着している半導体ナノ結晶が得られる。
なお、半導体ナノ結晶の表面に存在するキャッピング剤(界面活性剤)のカルバゾール誘導体との置換は、FT−IR(赤外分光)又はXPS(X線光電子分光)により確認することができる。
【0062】
半導体ナノ結晶は、カルバゾール誘導体以外の成分が表面に存在していてもよい。カルバゾール誘導体以外の成分としては、特に限定されないが、半導体ナノ結晶を製造する際に用いられるキャッピング剤(界面活性剤)等が挙げられる。
また、カルバゾール誘導体は、半導体ナノ結晶に配位結合していてもよいし、半導体ナノ結晶に配位結合しているカルバゾール誘導体との分子間力等の相互作用により半導体ナノ結晶に付着していてもよい。
【0063】
本発明において、半導体ナノ結晶は、発光の起源として作用する一方、カルバゾール誘導体は、励起エネルギーを双極子−双極子相互作用により半導体ナノ結晶にエネルギー移動、即ち、フェルスター型エネルギー移動させる機能及び/又は電荷(ホール及び電子)を半導体ナノ結晶に直接注入する機能を有する。これにより、半導体ナノ結晶の発光量子収率が増大するため、本発明の発光素子は、発光効率に優れる。
【0064】
半導体ナノ結晶へのフェルスター型エネルギー移動を効率的に行うためには、半導体ナノ結晶に配位結合又は付着しているカルバゾール誘導体は、半導体ナノ結晶よりも小さいイオン化ポテンシャル(Ip)及び半導体ナノ結晶よりも大きい電子親和力(Ea)を有している必要がある。このため、一般式(1)におけるAr1、Ar2及びAr3と、一般式(4)及び(5)におけるRが、半導体ナノ結晶に応じて、適宜選択される。
【0065】
また、半導体ナノ結晶へのフェルスター型エネルギー移動及び/又は電荷の注入を効率的に行うためには、カルバゾール誘導体の主骨格であるカルバゾール残基が半導体ナノ結晶と近接していることが好ましい。このため、一般式(2)におけるX及びYが、適宜選択される。
さらに、一般式(2)において、Zは、半導体ナノ結晶に配位結合又は付着している基であり、半導体ナノ結晶に応じて、適宜選択される。
【0066】
以上のように、カルバゾール誘導体が配位結合又は付着している半導体ナノ結晶は、発光素子の発光材料として機能し、発光素子の目的に応じて、半導体ナノ結晶のサイズ、サイズ分布、形状及び組成と、カルバゾール誘導体の構造を適宜選択することにより、発光効率に優れる発光素子が得られる。
【実施例】
【0067】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。本発明は、実施例によって制限されない。以下の各例中、「部」又は「%」は別段の断りない限り、「重量部」又は「重量%」を表す。
【0068】
[実施例1]
[カルバゾール誘導体1の合成]
3,6−ジブロモカルバゾール14.31(44.0mol)、5−メチル−2−チオフェンボロン酸25.01g(176.1mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム1.30gを、トルエン180mL及びエタノール60mLの混合溶媒に加えた後、炭酸ナトリウム37.3gを蒸留水90mLに溶解した水溶液を加え、窒素雰囲気下、15時間加熱還流した。次に、濾過助剤を用いて熱時濾過することにより不溶物を除去した後、有機層を分離し、減圧下、溶媒を留去した。さらに、残留物を水洗した後、乾燥し、黄茶色の固体を得た。次に、溶離液として、塩化メチレン/ヘキサン混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、3,6−ビス(5−メチルチオフェン−2−イル)カルバゾール12.25gを得た。
【0069】
得られた3,6−ビス(5−メチルチオフェン−2−イル)カルバゾール8.07g(22.4mmol)、4−ヨードアニソール21.00g(89.7mmol)、銅粉0.71g及び炭酸カリウム12.40gを混合した後、窒素雰囲気下、6時間加熱還流し、100℃まで冷却した。次に、トルエン80mLを加え、濾過助剤を用いて濾過することにより不溶物を除去した後、減圧下、溶媒を留去した。さらに、残留物を塩化メチレンに溶解させ、水洗した後、乾燥し、茶色の液体を得た。次に、溶離液として、塩化メチレン/ヘキサン混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、3,6−ビス(5−メチルチオフェン−2−イル)−9−(4−メトキシフェニル)カルバゾール4.39gを得た。
【0070】
得られた3,6−ビス(5−メチルチオフェン−2−イル)−9−(4−メトキシフェニル)カルバゾール3.73g(8.0mmol)を塩化メチレン30mLに溶解させた後、1Mの三臭化ホウ素の塩化メチレン溶液8mLを−10℃で滴下し、室温で攪拌した。次に、水洗した後、乾燥し、溶媒を留去して、灰色の固体を得た。さらに、溶離液として、塩化メチレン/ヘキサン混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、3,6−ビス(5−メチルチオフェン−2−イル)−9−(4−ヒドロキシフェニル)カルバゾール3.47gを得た。
【0071】
得られた3,6−ビス(5−メチルチオフェン−2−イル)−9−(4−ヒドロキシフェニル)カルバゾール1.81g(4.0mmol)及び1,8−ジブロモオクタン4.35g(16.0mmol)をメチルエチルケトン20mLに溶解させた後、炭酸カリウム0.83gを加え、7時間加熱還流した。次に、ろ過することにより不溶物を除去した後、減圧下、溶媒を留去した。さらに、残留物を塩化メチレンに溶解させ、水洗した後、乾燥し、溶媒を留去して、淡黄色の液体を得た。次に、溶離液として、塩化メチレン/ヘキサン混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、3,6−ビス(5−メチルチオフェン−2−イル)−9−[4−(8−ブロモオクチル)フェニル]カルバゾール1.83gを得た。
【0072】
得られた3,6−ビス(5−メチルチオフェン−2−イル)−9−[4−(8−ブロモオクチル)フェニル]カルバゾール1.50g(2.3mmol)をTHF20mL及びエタノール20mLの混合溶媒に溶解させた後、窒素気流下、チオ酢酸カリウム0.40g(3.5mmol)を加え、5時間加熱還流し、室温まで放冷した。次に、水に注ぎ、塩化メチレンで抽出した。さらに、水洗した後、乾燥し、溶媒を留去して、淡黄白色の固体を得た。さらに、溶離液として、塩化メチレン/ヘキサン混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、チオ酢酸8−{4−[3,6−ビス(5−メチルチオフェン−2−イル)カルバゾール−9−イル]フェノキシ}オクチルエステルの1.22gを得た。
【0073】
得られたチオ酢酸8−{4−[3,6−ビス(5−メチルチオフェン−2−イル)カルバゾール−9−イル]フェノキシ}オクチルエステル1.02g(1.6mmol)を、窒素気流下、THF30mL及びエタノール10mLの混合溶媒に溶解させた後、50質量%NaOH水溶液0.5mLを加え、室温で1時間攪拌した。次に、水に注ぎ、クロロホルムで抽出した。さらに、水洗した後、乾燥し、溶媒を留去し、粗製物を得た。次に、溶離液として、クロロホルム/ヘキサン混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、下記化学式(I)で表される8−{4−[3,6−ビス(5−メチルチオフェン−2−イル)カルバゾール−9−イル]フェノキシ}オクタン−1−チオール(以下、カルバゾール誘導体1という)0.86gを得た。
赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図1に示した。
【0074】
【化12】
【0075】
[実施例2]
[カルバゾール誘導体2の合成]
3,6−ジフェニル−9−(4−メトキシフェニル)カルバゾール4.20g(9.9mmol)を塩化メチレン30mLに溶解させた後、1M三臭化ホウ素の塩化メチレン溶液10mLを−10℃で滴下し、室温で攪拌した。次に、水洗した後、乾燥し、溶媒を留去して、3,6−ジフェニル−9−(4−ヒドロキシフェニル)カルバゾール3.98gを得た。
【0076】
得られた3,6−ジフェニル−9−(4−ヒドロキシフェニル)カルバゾール1.54g(3.7mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド20mLに溶解させた後、氷水冷却下、55質量%水素化ナトリウム0.25g(5.7mmol)を加え、1時間攪拌した。次に、8−ブロモ−1−オクタノール1.16g(5.5mmol)を加え、室温で3時間攪拌した。さらに、水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。次に、水洗した後、乾燥し、溶媒を留去して、8−[4−(3,6−ジフェニルカルバゾール−9−イル)フェノキシ]オクタン−1−オール1.90gを得た。
【0077】
得られた8−[4−(3,6−ジフェニルカルバゾール−9−イル)フェノキシ]オクタン−1−オール2.80g(5.2mmol)を塩化メチレン10mL及びピリジン5mLの混合溶媒に溶解させた後、−10℃で塩化p−トルエンスルホニル1.20g(6.3mmol)を加え、室温で攪拌した。次に、水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。さらに、希塩酸及び水で洗浄した後、乾燥し、溶媒を留去して、粗製物を得た。さらに、溶離液として、酢酸エチル/トルエン混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、無色の板状晶のトルエン−4−スルホン酸8−[4−(3,6−ジフェニルカルバゾール−9−イル)フェノキシ]オクチルエステル1.95gを得た。
【0078】
得られたトルエン−4−スルホン酸8−[4−(3,6−ジフェニルカルバゾール−9−イル)フェノキシ]オクチルエステル1.90g(2.7mmol)をTHF40mL及びエタノール20mLの混合溶媒に溶解させた後、窒素気流下、チオ酢酸カリウム0.55g(4.8mmol)を加え、7時間加熱還流し、室温まで放冷した。次に、水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。さらに、水洗した後、乾燥し、溶媒を留去して、粗製物を得た。次に、溶離液として、トルエンを用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、淡橙色の油状物のチオ酢酸8−[4−(3,6−ジフェニルカルバゾール−9−イル)フェノキシ]オクチルエステル1.32gを得た。
【0079】
得られたチオ酢酸8−[4−(3,6−ジフェニルカルバゾール−9−イル)フェノキシ]オクチルエステル1.32g(2.2mmol)を、窒素気流下、THF25mL及びエタノール10mLの混合溶媒に溶解させた後、50質量%NaOH水溶液0.5mLを加え、室温で30分攪拌した。次に、水に注ぎ、クロロホルムで抽出した。さらに、水洗した後、乾燥し、溶媒を留去して、粗製物を得た。次に、溶離液として、クロロホルム/ヘキサン混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、次の化学式(II)で表される無色の針状晶の8−[4−(3,6−ジフェニルカルバゾール−9−イル)フェノキシ]オクタン−1−チオール(以下、カルバゾール誘導体2という)0.82gを得た。
赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図2に示した。
融点:131.0〜131.5℃
元素分析値(%)実測値(計算値):C 81.70(82.12)、H 6.57(6.71)、N 2.45(2.52)、S 5.68(5.77)
【0080】
【化13】
【0081】
[実施例3]
[カルバゾール誘導体3の合成]
実施例1で用いた3,6−ジフェニル−N−(4−メトキシフェニル)カルバゾールの代わりに、3,6−ビス(3−メトキシフェニル)−N−(4−メトキシフェニル)カルバゾールを用いるほかは実施例2と同様にして、次の化学式(III)で表される無色油状の8−{4−〔3,6−ビス(3−メトキシフェニル)カルバゾール−9−イル〕フェノキシ}}オクタン−1−チオール(以下、カルバゾール誘導体3という)を得た。
赤外吸収スペクトル(NaClキャスト膜)を図3に示した。
元素分析値(%)実測値(計算値):C 77.70(78.01) H 6.81(6.71) N 2.16(2.27)S 4.97(5.21)
【0082】
【化14】
【0083】
[実施例4]
[カルバゾール誘導体4の合成]
3−メトキシ−9−フェニルカルバゾールを実施例1と同様に脱メチル化して、無色針状晶の3−ヒドロキシ−9−フェニルカルバゾールを収率91.8%で得た。
融点 148.5〜150.0℃
【0084】
得られた3−ヒドロキシ−9−フェニルカルバゾールと8−ブロモオクタノールとを実施例2と同様に反応させて、無色針状晶の3−(8−ヒドロキシオクチルオキシ)−9−フェニルカルバゾールを収率84.3%で得た。
融点 85.5〜87.5℃
赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)では3563cm-1にOHの伸縮振動が認められた。
ついで、得られた3−(8−ヒドロキシオクチルオキシ)−9−フェニルカルバゾールを実施例2と同様に、トシル化、チオアセチル化および加水分解して、次の化学式(IV)で表される無色針状結晶の3−(8−メルカプトオクチルオキシ)−9−フェニルカルバゾール(以下、カルバゾール誘導体4という)を得た。
赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図4に示した。
融点 52.5〜55.5℃
元素分析値(%)実測値(計算値):C 77.32(77.38) H 7.15(7.24) N 3.40(3.47)S 7.74(7.95)
【0085】
【化15】
【0086】
[実施例5]
[カルバゾール誘導体5の合成]
合成例4の反応式にしたがって得られたベンゾ〔a〕カルバゾール2.17g、4−(8−ヒドロキシオクチルオキシ)ヨードベンゼン3.50g、炭酸カリウム2.80g、銅粉0.5gおよびニトロベンゼン15mlを窒素気流下190〜200℃にて6時間攪拌した。室温まで放冷したのち、セライトで不溶物をろ過し、溶媒を減圧下加熱留去した。カラムクロマト処理(シリカゲル 溶離液 トルエン/酢酸エチル=4/1)して、淡褐色油状物のN−〔4−(8−ヒドロキシオクチルオキシフェニル)〕−11H−ベンゾ〔a〕カルバゾール3.3gを得た。
赤外吸収スペクトル(NaClキャスト膜)では3360cm-1にOH伸縮振動が認められた。
【0087】
次に、得られたN−〔4−(8−ヒドロキシオクチルオキシフェニル)〕−11H−ベンゾ〔a〕カルバゾールを実施例2と同様に、トシル化、チオアセチル化ついで加水分解することにより、次の化学式(V)で表される無色プリズム結晶の本発明のN−〔4−(8−メルカプトオクチルオキシフェニル)〕−11H−ベンゾ〔a〕カルバゾール(以下、カルバゾール誘導体5という)を得た。
赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図5に示した。
融点75.0〜76.0℃
元素分析値(%)実測値(計算値):C 79.48(79.43) H 6.76(6.89) N 2.78(3.09)S 6.99(7.07)
【0088】
【化16】
【0089】
[実施例6]
[カルバゾール誘導体6の合成]
2,7−ジブロモカルバゾール6.50g、フェニルボロン酸7.32g、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム0.734gにトルエン80ml、エタノール20mlおよび2M炭酸ナトリウム水溶液40gを加え、窒素気流下3時間加熱還流した。室温まで放冷したのち不溶物をろ過し、溶媒を留去して、淡褐色粉末の2,7−ジフェニルカルバゾール4.15gを得た。
【0090】
得られた2,7−ジフェニルカルバゾール4.01g、4−(8−ヒドロキシオクチルオキシ)ヨードベンゼン4.37g、炭酸カリウム3.45g、銅粉0.5gおよびニトロベンゼン20mlを窒素気流下7時間加熱還流した。室温まで放冷したのち不溶物をろ過し、溶媒を留去した。これをカラムクロマト処理し(シリカゲル、溶離液;10%酢酸エチル トルエン)、淡褐色油状物の2,7−ジフェニル−N−〔4−(8−ヒドロキシオクチルオキシフェニル)〕カルバゾール2.0gを得た。
【0091】
ついで、2,7−ジフェニル−N−〔4−(8−ヒドロキシオクチルオキシフェニル)〕カルバゾールを実施例2と同様にしてトシル化、チオアセチル化ついで加水分解することにより、次の化学式(VI)で表される無色針状結晶の2,7−ジフェニル−N−〔4−(8−メルカプトオクチルオキシフェニル)〕カルバゾール(以下、カルバゾール誘導体6という)を得た。
赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図6に示した。
融点 132.5〜133.5℃
元素分析値(%)実測値(計算値):C 82.37(82.12) H 6.66(6.71) N 2.43(2.52)S 5.70(5.77)
【0092】
【化17】
【0093】
[実施例7]
[カルバゾール誘導体7の合成]
実施例1で用いた3,6−ビス(5−メチルチオフェン−2−イル)カルバゾールの代わりに3,6−ジフェニル−9−(4−メトキシフェニル)カルバゾールを、8−ブロモ−1−オクタノールの代わりに4−ブロモ−1−ブタノールを用いる以外は実施例2と同様にして、次の化学式(VII)で表される白色固体の4−[4−(3,6−ジフェニルカルバゾール−9−イル)フェノキシ]ブタン−1−チオール(以下、カルバゾール誘導体7という)を得た。
赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図7に示した。
【0094】
【化18】
【0095】
[実施例8]
[カルバゾール誘導体8の合成]
実施例1で用いた3,6−ビス(5−メチルチオフェン−2−イル)カルバゾールの代わりに3,6−ジフェニル−9−(4−メトキシフェニル)カルバゾールを、4−ヨードアニソールの代わりに3−ヨードアニソールを用いる以外は実施例1と同様にして、次の化学式(VIII)で表される無色高粘性体の8−[3−(3,6−ジフェニルカルバゾール−9−イル)フェノキシ]オクタン−1−チオール(以下、カルバゾール誘導体8という)を得た。
赤外吸収スペクトル(NaClキャスト膜)を図8に示した。
【0096】
【化19】
【0097】
[実施例9]
[カルバゾール誘導体9の合成]
3,6−ジフェニルカルバゾール2.80g(8.77mmol)、1−ブロモ−3−ヨードベンゼン22.18g(87.7mmol)、銅粉0.279g及び炭酸カリウム4.85gを混合し、窒素雰囲気下、190℃で9時間加熱した。室温まで冷却し、塩化メチレンで希釈した後、水洗し、乾燥して、薄茶色の液体を得た。次に、溶離液として、塩化メチレン/ヘキサン混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、9−(3−ブロモフェニル)−3,6−ジフェニルカルバゾール3.59gを得た。
【0098】
得られた9−(3−ブロモフェニル)−3,6−ジフェニルカルバゾール3.20g(6.75mmol)、3−メトキシフェニルボロン酸1.54g(10.1mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.124gをトルエン30mL及びエタノール10mLの混合溶媒に加えた後、炭酸ナトリウム37.3gを蒸留水90mLに溶解した水溶液を加え、窒素雰囲気下、9時間加熱還流した後、室温まで冷却した。塩化メチレンで希釈し、濾過により不溶物を除去した後、有機層を水洗し、分離した。減圧下、溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、溶離液として塩化メチレン/ヘキサン混合溶媒を用いて精製して、[3’−(3,6−ジフェニルカルバゾール−9−イル)ビフェニル−3−イルオキシ]メタン2.89gを得た。
【0099】
得られた[3’−(3,6−ジフェニルカルバゾール−9−イル)ビフェニル−3−イルオキシ]メタンを、実施例1で用いた3,6−ビス(5−メチルチオフェン−2−イル)−9−(4−メトキシフェニル)カルバゾールの代わりに用いる以外は実施例1と同様にして、次の化学式(IX)で表される8−[3’−(3,6−ジフェニルカルバゾール−9−イル)ビフェニル−3−イルオキシ]オクタン−1−チオール(以下、カルバゾール誘導体9という)を得た。
赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図9に示した。
【0100】
【化20】
【0101】
[実施例10]
[カルバゾール誘導体10の合成]
3,6−ビス(4−メトキシフェニル)カルバゾール0.76g(2mmol)及び4−(4−ブロモフェニル)ブチル酸エチルエステル0.54g(2mmol)、酢酸パラジウム0.045g(0.20mmol)、ジ(1−アダマンチル)−n−ブチルホスフィン0.14g(0.40mmol)、及び炭酸カリウム1.38g(10mmol)をトルエン40mLにアルゴン雰囲気下で加え、16時間加熱還流した。ろ過助剤を用いて不溶物を除去し、溶媒を留去し、残留物を水洗後、乾燥して、1.43gの茶色粘性物を得た。これを溶離液として塩化メチレン/ヘキサン混合溶媒を用いてシリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製して、4−{4−[3,6−ビス(3−メトキシフェニル)カルバゾール−9−イル]フェニル}ブチル酸エチルエステル0.97gを得た。
【0102】
得られたエステル化合物0.73g(1.28mmol)をメタノール40mに加え、これに水酸化ナトリウム0.21gを蒸留水5mLに溶解した溶液を加えた。9時間加熱還流した後、室温まで冷却し、希塩酸をpHが3になるまで撹拌しながら加えた。析出した白色物を塩化メチレンで抽出し、水洗後乾燥し、0.57gの白色固体を得た。これをリサイクルHPLCにより精製して、次の化学式(X)で表される4−{4−[3,6−ビス(3−メトキシフェニル)カルバゾール−9−イル]フェニル}ブチル酸(以下、カルバゾール誘導体10という)0.53gを得た。
赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図10に示した。
【0103】
【化21】
【0104】
[実施例11]
実施例1で得られた0.01gのカルバゾール誘導体1を2mLのクロロホルムにアルゴン雰囲気下室温で溶解し、この溶液に、特許文献WO2010/015824の実施例4及び5に記載の方法と同様な方法で製造した0.5mLの半導体ナノ結晶(InP/ZnS/ZnO、キャッピング剤(界面活性剤):10−ウンデシレン酸、)のトルエン溶液(濃度:10mg/mL)をアルゴン雰囲気下で加え、24時間室温で撹拌した。得られた混合物に20mLの乾燥テトラヒドロフランを加え、5分間超音波洗浄した後、遠心分離機にかけた。沈降物を単離し、20mLの乾燥テトラヒドロフランを加え、前記と同様に洗浄と遠心分離を2度繰り返した後、沈降物を単離し、アルゴン気流下で風乾して、カルバゾール誘導体1が配位結合又は付着している半導体ナノ結晶を得た。
【0105】
得られた半導体ナノ結晶のトルエン溶液のフォトルミネッセンス(PL)スペクトル(365nmの励起光)を図11に示した。また、特許文献WO2010/015824の実施例4及び5に記載の方法と同様な方法で製造した半導体ナノ結晶のトルエン溶液、及びカルバゾール誘導体1のトルエン溶液のPLスペクトル(365nmの励起光)をそれぞれ図12及び図13に示した。
カルバゾール誘導体1が配位結合又は付着している半導体ナノ結晶では、365nmの励起光によるカルバゾール誘導体1からの発光はほとんど観察されず、半導体ナノ結晶からの、ピーク波長が約620nmの発光が観察され、カルバゾール誘導体から半導体ナノ結晶へのフェルター型のエネルギー移動が起きていることが示唆された。
【0106】
[実施例12]
実施例2で得られたカルバゾール誘導体2を用いる以外は実施例11と同様にして、カルバゾール誘導体2が配位結合又は付着している半導体ナノ結晶を得た。
得られた半導体ナノ結晶のトルエン溶液のPLスペクトル(365nmの励起光)を図14に示した。
【0107】
[実施例13]
実施例3で得られたカルバゾール誘導体3を用いる以外は実施例11と同様にして、カルバゾール誘導体3が配位結合又は付着している半導体ナノ結晶を得た。
得られた半導体ナノ結晶のトルエン溶液のPLスペクトル(365nmの励起光)を図15に示した。
【0108】
[実施例14]
実施例4で得られたカルバゾール誘導体4を用いる以外は実施例11と同様にして、カルバゾール誘導体4が配位結合又は付着している半導体ナノ結晶を得た。
得られた半導体ナノ結晶のトルエン溶液のPLスペクトル(365nmの励起光)を図16に示した。
【0109】
[実施例15]
実施例5で得られたカルバゾール誘導体5を用いる以外は実施例11と同様にして、カルバゾール誘導体5が配位結合又は付着している半導体ナノ結晶を得た。
得られた半導体ナノ結晶のトルエン溶液のPLスペクトル(365nmの励起光)を図17に示した。
【0110】
[実施例16]
実施例6で得られたカルバゾール誘導体6を用いる以外は実施例11と同様にして、カルバゾール誘導体6が配位結合又は付着している半導体ナノ結晶を得た。
得られた半導体ナノ結晶のトルエン溶液のPLスペクトル(365nmの励起光)を図18に示した。
【0111】
[実施例17]
実施例7で得られたカルバゾール誘導体7を用いる以外は実施例11と同様にして、カルバゾール誘導体7が配位結合又は付着している半導体ナノ結晶を得た。
得られた半導体ナノ結晶のトルエン溶液のPLスペクトル(365nmの励起光)を図19に示した。
【0112】
[実施例18]
実施例8で得られたカルバゾール誘導体8を用いる以外は実施例11と同様にして、カルバゾール誘導体8が配位結合又は付着している半導体ナノ結晶を得た。
得られた半導体ナノ結晶のトルエン溶液のPLスペクトル(365nmの励起光)を図20に示した。
【0113】
[実施例19]
実施例9で得られたカルバゾール誘導体9を用いる以外は実施例11と同様にして、カルバゾール誘導体9が配位結合又は付着している半導体ナノ結晶を得た。
得られた半導体ナノ結晶のトルエン溶液のPLスペクトル(365nmの励起光)を図21に示した。
【0114】
[実施例20]
[カルバゾール誘導体11の合成]
3,6−ジブロモカルバゾール0.75g、p−トリフェニルシリルベンゼンボロン酸ネオペンチルグリコールエステル2.24gをトルエン10ml、エタノール2mlに採り窒素バブルした。これにテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム80mgおよび21.2%炭酸ナトリウム水溶液4.70gを加え、窒素気流下16時間加熱還流した。内容物をトルエンで希釈したのち、トルエン層を水洗、乾燥、トルエンを留去し、シリカゲルカラムクロマト処理( 溶離液 トルエン)して無色粉末の3,6−ビス(4−トリフェニルシリルフェニル)カルバゾール1.30gを得た。
融点>250℃
赤外吸収スペクトル(KBr)cm-1 νNH3463、3423 νSi−Ar1427、1109
3,6−ビス(4−トリフェニルシリルフェニル)カルバゾール1.30g、4−(8−ヒドロキシオクチルオキシ)ヨードベンゼン0.65g、炭酸カリウム0.54g、銅粉0.4gおよびニトロベンゼン5mlを窒素気流下195℃で16時間攪拌した。放冷後セライトでろ過し、溶媒を留去したのちシリカゲルカラムクロマト処理(溶離液 10%酢酸エチル トルエン溶液)し、無色針状結晶の3,6−ビス(4−トリフェニルシリルフェニル)−N−〔4−(8−ヒドロキシオクチルオキシフェニル)〕カルバゾール1.50g(89.8%)を得た。
融点 217〜218℃
赤外吸収スペクトル(KBr)cm-1 νOH 3400 νSi−Ar1427、1110
3,6−ビス(4−トリフェニルシリルフェニル)−N−〔4−(8−ヒドロキシオクチルオキシフェニル)〕カルバゾールを実施例2と同様にして、トシル化、チオアセチル化ついで加水分解することにより下式(XI)で示される本発明の3,6−ビス(4−トリフェニルシリルフェニル)―N−〔4−(8−メルカプトオクチルオキシフェニル)〕カルバゾール(カルバゾール誘導体11)の無色針状結晶を得た。
赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図25に示した。
融点>220℃
赤外吸収スペクトル(KBr)cm-1 νSi−Ar1428、1109
元素分析(%)実測値(計算値) C 82.60(82.87) H6.09(6.11) N1.24(1.31) S2.98(2.99)
【0115】
【化22】
【0116】
[実施例21]
[カルバゾール誘導体12の合成]
2,7−ジブロモーN−(4−ヒドロキシフェニル)カルバゾール1.14gを0℃で60%水素化ナトリウム0.11gとDMF40mlに加え1時間攪拌したのち、8−ブロモオクタノール0.65gを加え室温で3時間、50℃で2時間攪拌した後酢酸エチルで抽出、水洗、乾燥した。粗製物をシリカゲルカラムクロマト処理(溶離液 25%酢酸エチル トルエン溶液)し無色粘調液体の2,7−ジブロモーN−4−〔(8−ヒドロキシオクチルオキシフェニル)〕カルバゾール1.30gを得た。
2,7−ジブロモーN−4−〔(8−ヒドロキシオクチルオキシフェニル)〕カルバゾール1.30g、p−トリフェニルシリルベンゼンボロン酸ネオペンチルグリコールエステル2.35gをトルエン15ml、エタノール3mlに採り窒素バブルした。これにテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム83mgおよび21.2%炭酸ナトリウム水溶液4.81gを加え、窒素気流下6時間加熱還流した。内容物をトルエンで希釈したのち、トルエン層を水洗、乾燥し、トルエンを留去し、シリカゲルカラムクロマト処理(溶離液 20%酢酸エチル トルエン溶液)し、無色針状結晶の2,7−ビス(4−トリフェニルシリルフェニル)−N−4−〔(8−ヒドロキシオクチルオキシフェニル)〕カルバゾール1.60gを得た。
融点>220℃
赤外吸収スペクトル(KBr)cm-1 νOH 3420 νSi−Ar1428、1109
2,7−ビス(4−トリフェニルシリルフェニル)−N−4−〔(8−ヒドロキシオクチルオキシフェニル)〕カルバゾールを実施例2と同様にして、トシル化、チオアセチル化ついで加水分解することにより下式(XII)で示される本発明の2,7−ビス(4−トリフェニルシリルフェニル)−N−〔4−(8−メルカプトオクチルオキシフェニル)〕カルバゾール(カルバゾール誘導体12)の無色針状結晶を得た。
赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図26に示した。
融点>220℃
赤外吸収スペクトル(KBr)cm-1 νSi−Ar1428、1109
元素分析(%)実測値(計算値)C 82.79(82.87) H6.04(6.11) N1.16(1.31) S3.00(2.99)
【0117】
【化23】
【0118】
[実施例22]
[カルバゾール誘導体13の合成]
p−ジブロモベンゼン8.91gをTHF30mlに溶解し−78℃でn−ブチルリチウム1.63Mのヘキサン溶液23.2mlを加え、−75℃で30分間攪拌した。これにジメシチルボロンフルオライド10.14gをTHF20mlに溶解した溶液を滴下した。−70℃で30分攪拌した後、室温で一晩攪拌した。内容物に塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出、水洗、乾燥したのち溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマト処理(溶離液 トルエン/ヘキサン=1/4)し、無色針状結晶の4−ジメシチルボリルブロモベンゼン12.3gを得た。
融点 187℃
赤外吸収スペクトル(KBr)cm-1 νB−C 1240,1225,1214,1155
NMR(CDCl3)δ7.47(d,aromatic,2H)7.35(d,aromatic,2H) 6.80(s,aromatic,4H) 2.29(s,CH3,6H) 1.97(s,CH3,12H)
4−ジメシチルボリルブロモベンゼン12.3g、ビス(ネオペンチルグリコラート)ジボロン8.20gおよび酢酸カリウム8.95gにジオキサン150mlを加え、30分窒素バブリングした。これにPdCl2(dppf)・CH2Cl2 ;〔1,1’-Bis(diphenylphosphino)ferrocene〕palladium dichloride dichloromethane adduct0.75gを加え窒素気流下40分加熱還流した。室温まで放冷後酢酸エチルで抽出、水洗、乾燥後溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマト処理(溶離液 5%酢酸エチル トルエン溶液 )した後、トルエン/エタノールの混合溶媒から再結晶して無色板状結晶の4−ジメシチルボリルベンゼンボロン酸ネオペンチルグリコールエステル9.02ggを得た。
融点 185.0〜187.0℃
赤外吸収スペクトル(KBr)cm-1 νB-C 1132 νB-O 1376,1341,1317
NMR(CDCl3)δ7.75(d,aromatic,2H)7.49(d,aromatic,2H) 6.80(s,aromatic,4H)3.77(s,CH2,4H) 2.30(s,CH3,6H) 1.98(s,CH3,12H)1.03(s,CH3,6H)
3,6−ジブロモ−N−(4−メトキシフェニル)カルバゾール2.16g、4−ジメシチルベンゼンボロン酸ネオペンチルグリコールエステル4.61gをトルエン30ml、エタノール6mlに採り窒素バブルした。これにテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム174mgおよび21.2%炭酸ナトリウム水溶液10.1gを加え、窒素気流下3時間加熱還流した。内容物をトルエンで希釈したのち、トルエン層を水洗、乾燥しトルエンを留去し、シリカゲルカラムクロマト処理(溶離液 トルエン/ヘキサン=1/2)し、無色粉末の3,6−ビス(4−ジメシチルボリルフェニル)−N−(4−メトキシフェニル)カルバゾール3.22gを得た。
融点202℃
3,6−ビス(4−ジメシチルボリルフェニル)−N−(4−メトキシフェニル)カルバゾールを三臭化ホウ素により脱メチル化したのち、8−ブロモオクタノールを実施例2と同様に反応せしめ3,6−ビス(4−ジメシチルボリルフェニル)−N−〔4−(8−ヒドロキシオクチルオキシフェニル)〕カルバゾールを得た。
3,6−ビス(4−ジメシチルボリルフェニル)−N−〔4−(8−ヒドロキシオクチルオキシフェニル)〕カルバゾールを実施例2と同様にトシル化、チオアセチル化ついで加水分解することにより下式(XIII)で表される本発明の3,6−ビス(4−ジメシチルボリルフェニル)−N−〔4−(8−メルカプトオクチルオキシフェニル)〕カルバゾール(カルバゾール誘導体13)の無色粉末を得た。
赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図27に示した。
融点 190℃でシンタリング
赤外吸収スペクトル(KBr)cm-1 νB-C 1240
元素分析(%)実測値(計算値)C 84.40(84.48) H7.40(7.57) N1.17(1.33) S2.96(3.05)
【0119】
【化24】
【0120】
[実施例23]
[カルバゾール誘導体14の合成]
3,6−ジブロモーN−(4−メチルフェニル)カルバゾール6.23g、フェニルボロン酸2.01gをトルエン60ml、エタノール15mlに採り窒素バブルした。これにテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム290mgおよび21.2%炭酸ナトリウム水溶液15.0gを加え、窒素気流下5時間加熱還流した。内容物をトルエンで希釈したのち、トルエン層を水洗、乾燥しトルエンを留去し、シリカゲルカラムクロマト処理(溶離液 トルエン/ヘキサン=1/4)し、無色粉末の3―ブロモ−6−フェニル−N−(4−メチルフェニル)カルバゾール3.20gを得た。
3−ブロモ−6−フェニル−N−(4−メチルフェニル)カルバゾール3.20g、4−メトキシフェニルボロン酸1.65gをトルエン30ml、エタノール8mlに採り窒素バブルした。これにテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム150mgおよび21.2%炭酸ナトリウム水溶液7.80gを加え、窒素気流下3時間加熱還流した。内容物をトルエンで希釈したのち、トルエン層を水洗、乾燥、トルエンを留去し、シリカゲルカラムクロマト処理(溶離液 トルエン)して、無色粉末の3−フェニル−6−(4−メトキシフェニル)−N−(4−メチルフェニル)カルバゾール2.30gを得た。
3−フェニル−6−(4−メトキシフェニル)−N−(4−メチルフェニル)カルバゾールを三臭化ホウ素で脱メチル化したのち、8−ブロモオクタノール/水素化ナトリウムによりエーテル化して、3―フェニル−6−〔4−(8−ヒドロキシオクチルオキシフェニル)−N−(4−メチルフェニル)カルバゾールを得た。
3−フェニル−6−〔4−(8−ヒドロキシオクチルオキシフェニル)−N−(4−メチルフェニル)カルバゾールを実施例2と同様にして、トシル化、チオアセチル化ついで加水分解することにより、下式(XIV)で表される本発明の3―フェニル−6−〔4−(8−メルカプトオクチルオキシフェニル)−N−(4−メチルフェニル)カルバゾール(カルバゾール誘導体14)の無色プリズム状結晶を得た。
赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図28に示した。
融点103.0〜104.5℃
赤外吸収スペクトル(KBr)cm-1 νSH 2550
元素分析(%)実測値(計算値) C 82.06(82.21) H6.83(6.90) N2.29(2.46) S5.62(5.63)
【0121】
【化25】
【0122】
[実施例24]
[カルバゾール誘導体15の合成]
5−メチル−2−チオフェンボロン酸の代わりに、2,4,6−トリメチルフェニルボロン酸を用いる以外は実施例1と同様にして、下式(XV)で表される本発明の3,6−ジメシチルカルバゾール−N−〔4−(8−メルカプトオクチルオキシフェニル)〕カルバゾール(カルバゾール誘導体15)の無色粘調液体を得た。
赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図29に示した。
元素分析(%)実測値(計算値) C 82.49(82.58) H7.92(7.72) N1.95(2.19) S4.72(5.01)
【0123】
【化26】
【0124】
[実施例25]
[カルバゾール誘導体16の合成]
8−ブロモ−1−オクタノールの代わりに、12−ブロモ−1−ドデカノールを用いる以外は実施例2と同様にして、下式(XVI)で表される本発明の3,6−ジフェニル−N−〔4−(12−メルカプトドデシルオキシフェニル)〕カルバゾール(カルバゾール誘導体16)の無色粉末を得た。
赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図30に示した。
融点103.5〜104.5℃
元素分析(%)実測値(計算値) C 82.38(82.44) H7.29(7.41) N2.13(2.29) S5.11(5.24)
【0125】
【化27】
【0126】
[実施例26]
[カルバゾール誘導体17の合成]
9−アセチル−3,6−ジヨードカルバゾール10.0g及びトリフェニルシラン12.4gを乾燥N−メチルピロリドン200mLに溶解し、アルゴンガスを30分間バブルした後、リン酸三カリウム27.6g及びビス(トリーt−ブチルホスフィン)パラジウム0.111g加え、室温で19時間攪拌した。得られた反応混合物をろ過し、ろ液を塩化メチレンで注出した。単離した有機相を塩水で洗浄し、乾燥した後、塩化メチレンを留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマト処理(溶離液 トルエン)して、無色粉末の9−アセチル−3,6−ビス(トリフェニルシリル)カルバゾール1.97gを得た。
得られた9−アセチル−3,6−ビス(トリフェニルシリル)カルバゾール1.97gをテトラヒドロフラン50mLに溶解し、50重量%の水酸化ナトリウム水溶液1.1g加え、50℃で3時間攪拌した後、室温まで冷却した。phが5になるまで希塩酸を加え、30分間攪拌した。塩化メチレンで抽出し、単離した有機層を水洗し、乾燥し後、塩化メチレンを留去した。残留物をリサイクルHPLCで精製して、無色粉末の3,6−ビス(トリフェニルシリル)カルバゾール1.28gを得た。
ついで、得られた3,6−ビス(トリフェニルシリル)カルバゾールを用い、実施例6と同様にアミノ化、トシル化、チオアセチル化及び加水分解することにより、下式(XVII)で表される本発明の3,6−ビス(トリフェニルシリル)−N−〔4−(8−メルカプトオクチルオキシフェニル)〕カルバゾール(カルバゾール誘導体17)の淡黄色粉末を得た。
赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図31に示した。
赤外吸収スペクトル(KBr)cm-1 νSH 2570
【0127】
【化28】
【0128】
[応用例1]
110nm厚のITOガラス基板を、中性洗剤、アセトン及びイソプロパノールで順次超音波洗浄した後、イソプロパノールで煮沸洗浄し、UV−オゾンチャンバ中で12分間処理をした。
ITO基板上に、PEDOT−PSS溶液のBaytron(登録商標)P AI 4083(H.C.Starck社製)をスピンコートした後、150℃で30分間乾燥して、厚さが40nmのホール注入層を形成した。
窒素雰囲気下、ホール注入層上に、ポリカーボネートのクロロホルム溶液をスピンコートした後、100℃で30分間乾燥して、厚さが40nmのホール輸送層を形成した。なお、ポリカーボネートとしては、特開2005−54165号公報の実施例1に記載されている3,6−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−N−フェニルカルバゾール由来の構成単位及び4,4'−イソプロピリデンジフェノール由来の構成単位(モル比1:1)を有するポリカーボネートを用いた。
窒素雰囲気下、ホール輸送層上に、カルバゾール誘導体2が配位結合又は付着している半導体ナノ結晶をトルエンに分散させた分散液をスピンコートした後、100℃で30分間乾燥して、厚さが15nmの発光層を形成した。
真空蒸着装置を用いて、1×10−4Paの真空下、発光層上に、3,5,3'、5'−テトラキス(m−ピリド−3−イル)フェニル−[1,1']ビフェニルを蒸着して、厚さが50nmの電子輸送層を形成した。次に、シャドーマスクを介して、MgAg及びAgを、それぞれ100nm及び10nmの厚さで蒸着して、陰極を形成し、エレクトロルミネッセンス(EL)素子を得た。
図22に、EL素子の電流密度と外部量子効率の関係を示す。図22から、EL素子の外部量子効率の最大値が2.3%であった。
図23に、EL素子の電圧と電流密度の関係を示す。
図24に、EL素子の電流密度が1mA/cm2時の発光スペクトルを示す。図24から、EL素子の発光のピーク波長は624nmであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0129】
【特許文献1】特表2009−527099号公報
【特許文献2】特開2009−87754号公報
【特許文献3】特開2009−99545号公報
【特許文献4】特表2007−537886号公報
【特許文献5】特表2009−504422号公報
【特許文献6】特表2009−514993号公報
【特許文献7】WO2010/015824号国際公開明細書
【非特許文献】
【0130】
【非特許文献1】ナノ粒子科学−基本原理から応用まで−(株式会社エヌ・ティー・エス発行、ISBN978−4−86043−175−4 C3040)の27頁〜28頁及び48頁〜180頁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】
(式中、Ar1及びAr2は、それぞれ独立に、ベンゼン環と共同で環を形成してもよい置換若しくは無置換のアリール基、複素環基、アリールシリル基、又は水素原子であり、Ar3は、置換又は無置換のアリール基である。)
で表され、該一般式(1)中の芳香環が1個以上3個以下の一般式(2)
【化2】
(式中、Xは、メチレン基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、カルボニル基、酸素原子又は硫黄原子であり、Yは、置換又は無置換のアルキレン基であり、Zは、カルボキシル基、ヒドロキシル基又はチオール基である。)
で表される置換基を有することを特徴とするカルバゾール誘導体。
【請求項2】
一般式(3)
【化3】
(式中、Ar4は、置換又は無置換のアリーレン基である。Ar1、Ar2、X、Y及びZは前記定義と同じである。)
で表されることを特徴とする請求項1に記載のカルバゾール誘導体。
【請求項3】
前記一般式(3)中のAr1及び前記Ar2がそれぞれ独立に、一般式(4)
【化4】
(式中、Rは、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、ハロゲン原子又は置換若しくは無置換のアリール基である。)
で表される基であることを特徴とする請求項2に記載のカルバゾール誘導体。
【請求項4】
一般式(5)
【化5】
(式中、Rは、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、ハロゲン原子又は置換若しくは無置換のアリール基である。Ar1、Ar4、X、Y及びZは前記定義と同じである。)
で表されることを特徴とする請求項2に記載のカルバゾール誘導体。
【請求項5】
一般式(6)
【化6】
で表されることを特徴とする請求項1に記載のカルバゾール誘導体。
(式中、Ar1、Ar2、Ar3、X、Y及びZは前記定義と同じである。)
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の構造を有するカルバゾール誘導体が配位結合した、又は付着したことを特徴とする半導体ナノ結晶。
【請求項1】
一般式(1)
【化1】
(式中、Ar1及びAr2は、それぞれ独立に、ベンゼン環と共同で環を形成してもよい置換若しくは無置換のアリール基、複素環基、アリールシリル基、又は水素原子であり、Ar3は、置換又は無置換のアリール基である。)
で表され、該一般式(1)中の芳香環が1個以上3個以下の一般式(2)
【化2】
(式中、Xは、メチレン基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、カルボニル基、酸素原子又は硫黄原子であり、Yは、置換又は無置換のアルキレン基であり、Zは、カルボキシル基、ヒドロキシル基又はチオール基である。)
で表される置換基を有することを特徴とするカルバゾール誘導体。
【請求項2】
一般式(3)
【化3】
(式中、Ar4は、置換又は無置換のアリーレン基である。Ar1、Ar2、X、Y及びZは前記定義と同じである。)
で表されることを特徴とする請求項1に記載のカルバゾール誘導体。
【請求項3】
前記一般式(3)中のAr1及び前記Ar2がそれぞれ独立に、一般式(4)
【化4】
(式中、Rは、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、ハロゲン原子又は置換若しくは無置換のアリール基である。)
で表される基であることを特徴とする請求項2に記載のカルバゾール誘導体。
【請求項4】
一般式(5)
【化5】
(式中、Rは、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、ハロゲン原子又は置換若しくは無置換のアリール基である。Ar1、Ar4、X、Y及びZは前記定義と同じである。)
で表されることを特徴とする請求項2に記載のカルバゾール誘導体。
【請求項5】
一般式(6)
【化6】
で表されることを特徴とする請求項1に記載のカルバゾール誘導体。
(式中、Ar1、Ar2、Ar3、X、Y及びZは前記定義と同じである。)
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の構造を有するカルバゾール誘導体が配位結合した、又は付着したことを特徴とする半導体ナノ結晶。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【公開番号】特開2013−49661(P2013−49661A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−13021(P2012−13021)
【出願日】平成24年1月25日(2012.1.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年1月25日(2012.1.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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