説明

カルビノール官能性シリコーン樹脂を含有するウレタン組成物

本発明は、(A)100重量部の、少なくとも1個のイソシアネート基を含有する少なくとも1つの化合物;(B)0.3〜300重量部のカルビノール官能性シリコーン樹脂;(C)250重量部までの有機ポリオール;及び(D)10重量部までの硬化速度調整剤を含有してなるウレタン組成物に関する。本発明のウレタン組成物は、スタンドアローンコーティングとして、又は保護コーティング、塗装用配合物及び粉体塗料における原料成分として有用である。また、本発明のウレタン組成物に発泡剤及び気泡安定剤を配合して、熱安定性フォーム配合物を作製することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
シロキサン樹脂は、当該技術分野において、例外的な熱安定性、及び低吸水性を含む耐候性を有することが知られている。しかしながら、その不充分な靭性、密着性(adhesion)及び寸法安定性(低Tg、高CTE)により実用性が制限される。ウレタン樹脂は、非常に良好な靭性を示すが、限界(marginal)熱安定性及び耐候性に問題がある。本発明は、例えば、木質フロアコーティングとして、又は電子機器パッケージングにおける保護コーティングとしての役割を果たし得る成分としての、ウレタン組成物の調製におけるカルビノール官能性シリコーン樹脂の使用に関する。あるいは、熱安定性が向上したポリウレタンフォームを作製するために、気泡安定剤(cell stabilizer)及び発泡剤を本発明のウレタン組成物に添加することができる。カルビノール含有シロキサンは、当該技術分野においてウレタン組成物に使用されている。例えば、米国特許第4,684,538号明細書には、シリコーンウレタン化合物、例えば、ポリシロキサンウレタン(メタ)アクリレートが開示されており、これは、ポリシロキサンカルビノールと、ポリイソシアネートと、ポリイソシアネートのイソシアネート基と反応性であり、その反応後に反応生成物内にエチレン性官能基を提供する少なくとも1個の官能基を有する多官能性化合物との反応生成物として得られる。このポリシロキサンカルビノールは、約5,000〜約50,000の分子量を有し、R’OH末端基(式中、R’は直鎖C〜C20アルキレンである)を有する。このようなカルビノールは、対応するヒドリド末端ポリシロキサンと直鎖C〜C20ω−アルケニルアルコールとの反応生成物として得られ得る。開示された化合物は、ガラス、並びにエチレン性不飽和モノマーのポリマー及びコポリマーなどの、結合表面を含む基材用の密着剤組成物中に使用され得る。
【背景技術】
【0002】
米国特許第5,814,679号明細書には、カルビノール官能基を含有する長鎖シリコーン化合物を有する光硬化性シリコーン組成物のブレンドが開示されている。この‘679号特許には、長鎖カルビノール含有シリコーンが、エポキシ官能光硬化性シリコーンと共重合又は共硬化(co-cure)し、それにより、剥離性に優れた(premium release)光硬化性シリコーン組成物の形成が可能になることがさらに開示されている。
米国特許第6,610,777号には、(a)少なくとも1個の反応性官能基を含有する少なくとも1つのポリシロキサンであって、以下の構造単位(I):
SiO(4−n−m)/2 (I)
(式中、各Rは、同一であっても異なっていてもよく、H、OH、一価の炭化水素基又は一価のシロキサン基を表し、各Rは、同一であっても異なっていてもよく、少なくとも1個の反応性官能基を含有する基を表し、m及びnは、0<n<4、0<m<4及び2<(m+n)<4の要件を満たす)
の少なくとも1種類を含有する、少なくとも1つのポリシロキサン;(b)100〜200の範囲のヒドロキシル価を有する少なくとも1つのポリオール;及び(c)少なくとも1つのポリシロキサン(a)の少なくとも1個の反応性官能基及び少なくとも1つのポリオール(b)の少なくとも1個の官能基から選択される少なくとも1個の官能基と反応性である少なくとも1個の官能基を含有する少なくとも1つの反応体を含む成分から形成されるコーティング組成物が開示されている。各成分は異なっていてもよく、このコーティング組成物から形成されるコーティングは、硬化させると、70°Fの温度における可撓性試験法(Flexibility Test Method)による少なくとも6の可撓性ランクを有する。
【0003】
米国特許第5,939,491号明細書には、さまざまな反応性官能基を含み得る有機ポリシロキサンと、有機ポリシロキサンの官能基と反応性である官能基を含む硬化剤とを含有する硬化性組成物が開示されている。このような硬化性組成物は、特に、室温条件と、ポットライフの増大やタックタイム、密着性、傷(mar)抵抗性及び酸エッチング抵抗性の改善などの優れた性質をもたらす熱硬化条件との双方で硬化可能なコーティング組成物に有用である。
硬化性組成物は、反応性官能基を含有する有機ポリシロキサンを含む。上記ポリシロキサンは、一般構造:
【0004】
【化1】

【0005】
(式中、mは少なくとも1であり、m’は0〜50であり、nは0〜50であり、Rは、ケイ素原子に結合したOH及び一価の炭化水素基からなる群より選択される;Rは、以下の構造:R−O−X(式中、Rは、アルキレン、オキシアルキレン又はアルキレンアリールであり、Xは、OH、COOH、NCO、エステル、炭酸塩及び無水物などのカルボキシレート、第一級アミン、第二級アミン、アミド、カルバメート及びエポキシ官能基からなる群より選択される官能基を含有する部分である))と、有機ポリシロキサンの官能基と反応性である官能基を含有する成分とを有する。好ましくは、硬化性組成物は、(a)反応性官能基を含有し、式(II)又は(III)(式中、m、m’、n、R、Ra及びXは上記のとおりである)を有する有機ポリシロキサン;(b)反応性官能基を含有するポリマー又はオリゴマー;及び(c)(a)及び(b)の官能基と反応性である官能基を含有する硬化剤を含有する。好ましい一つの実施の形態では、n+m及びn+m’は、2又は3である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、(A)100重量部の、少なくとも1個のイソシアネート基を含有する少なくとも1つの化合物、(B)3〜300重量部の、単位:
(RSiO1/2 (i)
(RSiO2/2 (ii)
(RSiO3/2 (iii)及び
(SiO4/2 (iv)
(式中、R及びRは、各々、独立して、水素原子、アリール基、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、少なくとも3個の炭素原子を有するアリール基無含有カルビノール基、又は少なくとも6個の炭素原子を有するアリール含有カルビノール基であり、Rは、アリール基又は1〜8個の炭素原子を有するアルキル基であり、aは0.6以下の値を有し、bはゼロ又はゼロより大きい値を有し、cはゼロより大きい値を有し、dは0.5未満の値を有し、a+b+c+dの値は1である、ただし、各Rがメチルのとき、bの値は0.3未満であるものとする)
を含有するカルビノール官能性シリコーン樹脂;(C)250重量部までの有機ポリオール;及び(D)10重量部までの硬化速度調整剤を含有してなるウレタン組成物に関する。
【0007】
本発明の別の実施形態は、(A)100重量部の、少なくとも1個のイソシアネート基を含有する少なくとも1つの化合物;(B)0.3〜300重量部の、単位:
(RSiO1/2 (i)
(RSiO2/2 (ii)
(RSiO3/2 (iii)及び
(SiO4/2 (iv)
(式中、R及びRは、各々、独立して、水素原子、アリール基、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、少なくとも3個の炭素原子を有するアリール基無含有カルビノール基、又は少なくとも6個の炭素原子を有するアリール含有カルビノール基であり、Rは、アリール基又は1〜8個の炭素原子を有するアルキル基であり、aは0.6以下の値を有し、bはゼロ又はゼロより大きい値を有し、cはゼロより大きい値を有し、dは0.5未満の値を有し、a+b+c+dの値は1である、ただし、各Rがメチルのとき、bの値は0.3未満であるものとし、樹脂1分子あたり平均で少なくとも1個のカルビノール基があるものとする)
を含有するカルビノール官能性シリコーン樹脂;(C)250重量部までの有機ポリオール;及び(D)10重量部までの硬化速度調整剤を含有してなり、カルビノール基の該イソシアネート基に対するモル比が約0.8:1〜1.2:1であるウレタン組成物に関する。
【0008】
本発明の別の実施形態は、(A)少なくとも1個のイソシアネート基を含有する少なくとも1つの化合物、及び(B)単位:
(RSiO1/2 (i)
(RSiO2/2 (ii)
(RSiO3/2 (iii)及び
(SiO4/2 (iv)
(式中、R及びRは、各々、独立して、水素原子、アリール基、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、少なくとも3個の炭素原子を有するアリール基無含有カルビノール基、又は少なくとも6個の炭素原子を有するアリール含有カルビノール基であり、Rは、アリール基又は1〜8個の炭素原子を有するアルキル基であり、aは0.6以下の値を有し、bはゼロ又はゼロより大きい値を有し、cはゼロより大きい値を有し、dは0.5未満の値を有し、a+b+c+dの値は1である、ただし、各Rがメチルのとき、bの値は0.3未満であるものとする)
を含有するカルビノール官能性シリコーン樹脂を含有してなり、カルビノール基のイソシアネート基に対するモル比が約0.8:1〜1.2:1であるウレタン組成物に関する。
【0009】
本発明の別の実施形態は、(A)100重量部の、少なくとも1個のイソシアネート基を含有する少なくとも1つの化合物;(B)3〜300重量部の、単位:
(RSiO1/2 (i)
(RSiO2/2 (ii)
(RSiO3/2 (iii)及び
(SiO4/2 (iv)
(式中、R及びRは、各々、独立して、水素原子、アリール基、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、少なくとも3個の炭素原子を有するアリール基無含有カルビノール基、又は少なくとも6個の炭素原子を有するアリール含有カルビノール基であり、Rは、アリール基又は1〜8個の炭素原子を有するアルキル基であり、aは0.6以下の値を有し、bはゼロ又はゼロより大きい値を有し、cはゼロより大きい値を有し、dは0.5未満の値を有し、a+b+c+dの値は1である、ただし、各Rがメチルのとき、bの値は0.3未満であるものとする)
を含有するカルビノール官能性シリコーン樹脂;(C)250重量部までの有機ポリオール;及び(D)10重量部までの硬化速度調整剤を反応させることを含む方法により得られるウレタン組成物に関する。
【0010】
本発明の別の実施形態は、(A)100重量部の、少なくとも1個のイソシアネート基を含有する少なくとも1つの化合物;(B)0.3〜300重量部の、単位:
(RSiO1/2 (i)
(RSiO2/2 (ii)
(RSiO3/2 (iii)及び
(SiO4/2 (iv)
(式中、R及びRは、各々、独立して、水素原子、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、アリール基、少なくとも3個の炭素原子を有するアリール基無含有カルビノール基、又は少なくとも6個の炭素原子を有するアリール含有カルビノール基であり、Rは、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、又はアリール基であり、aは0.6以下の値を有し、bはゼロ又はゼロより大きい値を有し、cはゼロより大きい値を有し、dは0.5未満の値を有し、a+b+c+dの値は1である、ただし、各Rがメチルのとき、bの値は0.3未満であるものとし、樹脂1分子あたり平均で少なくとも1個のカルビノール基があるものとする)
を含有するカルビノール官能性シリコーン樹脂;(C)250重量部までの有機ポリオール;及び(D)10重量部までの硬化速度調整剤を反応させることを含む方法により得られ、カルビノール基のイソシアネート基に対するモル比が約0.8:1〜1.2:1であるウレタン組成物に関する。
【0011】
本発明の別の実施形態は、(A)少なくとも1個のイソシアネート基を含有する少なくとも1つの化合物;及び(B)単位:
(RSiO1/2 (i)
(RSiO2/2 (ii)
(RSiO3/2 (iii)及び
(SiO4/2 (iv)
(式中、R及びRは、各々、独立して、水素原子、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、アリール基、少なくとも3個の炭素原子を有するアリール基無含有カルビノール基、又は少なくとも6個の炭素原子を有するアリール含有カルビノール基であり、Rは、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、又はアリール基であり、aは0.6以下の値を有し、bはゼロ又はゼロより大きい値を有し、cはゼロより大きい値を有し、dは0.5未満の値を有し、a+b+c+dの値は1である、ただし、各Rがメチルのとき、bの値は0.3未満であるものとする)
を含有するカルビノール官能性シリコーン樹脂を反応させることを含む方法により得られ、カルビノール基のイソシアネート基に対するモル比が約0.8:1〜1.2:1であるウレタン組成物に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
成分(A)は、架橋ウレタンの調製において以前から使用されている任意の多(multi-)イソシアネート基含有分子であり得る。成分(A)である少なくとも1つのイソシアネート基を含有する化合物としては、一般的には、イソホロンジイソシアネートトリマー、イソホロンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ポリイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、クロロフェニレン2,4−ジイソシアネート、ビトルエンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、トルイジンジイソシアネート及びアルキル化ベンゼンジイソシアネート;メチレン介在芳香族ジイソシアネート、例えばメチレンジフェニルジイソシアネート、特に3,3’−ジメチル−4、4’−ジフェニルメタンジイソシアネートなどのアルキル化類似体を含む4,4’異性体(MDI);水素化物、例えば、シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4’−メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート;混合(mixed)アラルキルジイソシアネート、例えば、テトラメチルキシリルジイソシアネート、OCNC(CHC(CHNCO、及び一般的にイソホロンジイソシアネートと呼ばれるジイソシアネート、これは、3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキシルイソシアネートである;並びにポリメチレンイソシアネート、例えば、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、1,7−ヘプタメチレンジイソシアネート、2,2,4−及び2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソシアネート及び2−メチル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネートが例示される。上記のイソシアネートは、単独又は組み合わせで使用され得る。
【0013】
成分(A)として適切な市販の物質としては、Rhodia (Cranbury, NJ)により販売されているTolonate XIDT 70SBイソホロンジイソシアネートトリマー(70%固形分、12.3wt%NCO)及びDesmodur N−100ポリイソシアネート(Mobay Corp.から入手可能)が例示される。
【0014】
本発明の目的のため、「カルビノール基」は、少なくとも1つの炭素結合ヒドロキシル(COH)基を含有する任意の基と定義される。したがって、カルビノール基は、例えば、
【0015】
【化2】

【0016】
などの1個より多いCOH基を含有している。
【0017】
成分(B)であるカルビノール官能性シリコーン樹脂のR及びRのアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル及びオクチルが例示され、アルキル基は、典型的にはメチルである。R及びRのアリール基としては、フェニル、ナフチル、ベンジル、トルイル、キシリル、キセニル、メチルフェニル、2−フェニルエチル、2−フェニル−2−メチルエチル、クロロフェニル、ブロモフェニル及びフルオロフェニルが例示され、アリール基は、典型的にはフェニルである。
【0018】
少なくとも3個の炭素原子を有するアリール基無含有カルビノール基としては、式ROH(式中、Rは、少なくとも3個の炭素原子を有する二価の炭化水素基又は少なくとも3個の炭素原子を有する二価のヒドロカルボノキシ基)を有する基が例示される。R基としては、−(CH−(式中、xは3〜10の値を有する)、−CHCH(CH)−、−CHCH(CH)CH−、−CHCHCH(CHCH)CHCHCH−及び−OCH(CH)(CH−(式中、xは1〜10の値を有する)から選択されるアルキレン基が例示される。また、少なくとも3個の炭素原子を有するアリール基無含有カルビノール基としては、式R(OH)CHOHを有する式を有する基が例示され、Rは、式−CHCH(CHOCHCH−(式中、xは1〜10の値を有する)を有する基である。
【0019】
少なくとも6炭素原子を有するアリール含有カルビノール基としては、式ROH(式中、Rは、−(CH−(式中、xは0〜10の値を有する)、−CHCH(CH)(CH−(式中、xは0〜10の値を有する)及び−(CH(CH−(式中、xは1〜10の値を有する)から選択されるアリーレン基である)を有する基が例示される。アリール含有カルビノール基は、典型的には6〜14個の原子を有する。
【0020】
カルビノール官能性シリコーン樹脂である成分(B)において、aは、典型的には0.1〜0.6、あるいは0.2〜0.4の値を有し、bは、典型的には0〜0.4、あるいは0〜0.1の値を有し、cは、典型的には0.3〜0.8、あるいは0.4〜0.8の値を有し、dは、典型的には0〜0.3、あるいはゼロの値を有する。各Rがメチルのとき、bの値は0.3未満、あるいは0.1未満である。
【0021】
カルビノール官能性シリコーン樹脂は、樹脂1分子あたり、平均で少なくとも1個のカルビノール基を有する。典型的には、カルビノール官能性シリコーン樹脂上のカルビノール基の当量は、100〜1000、あるいは200〜800である。
【0022】
典型的には、カルビノール官能性シリコーン樹脂のR又はRはカルビノール基を含有し、このようなR又はRの各々に1個だけのカルビノール基が存在する。
【0023】
カルビノール官能性シリコーン樹脂である成分(B)としては、
単位:
((CHSiO1/2
((R)CHSiO2/2(式中、R=−(CHOH)
((C)CHSiO2/2 及び
(CSiO3/2
を含有するカルビノール官能性シリコーン樹脂、
単位:
((R)(CHSiO1/2(式中、R=−(CHOH) 及び
(CSiO3/2
を含有するカルビノール官能性シリコーン樹脂、
単位:
((R)(CHSiO1/2(式中、R=−(CHOH) 及び
(CHSiO3/2
を含有するカルビノール官能性シリコーン樹脂、
単位:
((R)(CHSiO1/2(式中、R=−(CHOH) 及び
(CSiO3/2
を含有するカルビノール官能性シリコーン樹脂、
単位:
((R)(CHSiO1/2(式中、R=−(CHOH)
(CHSiO3/2 及び
(CSiO3/2
を含有するカルビノール官能性シリコーン樹脂、
単位:
((CHSiOl/2
((R)CHSiO2/2(式中、R=−(CHOH)
((C)CHSiO2/2 及び
(CSiO3/2
を含有するカルビノール官能性シリコーン樹脂、
単位:
((CHSiO1/2
((R)(CHSiO1/2(式中、R=−(CHOH) 及び
(CSiO3/2
を含有するカルビノール官能性シリコーン樹脂、
単位:
((R)(CHSiO1/2(式中、R=−CHCH(CH)CHOH)
((H)(CHSiO1/2 及び
(CSiO3/2
を含有するカルビノール官能性シリコーン樹脂、
単位:
((R)(CHSiOl/2(式中、R=−(CHOH)
(CHSiO3/2
(式中、aは典型的には0.1〜0.6の値を有し、bは典型的にはゼロ〜0.4の値を有し、cは典型的には0.3〜0.8の値を有する)
を含有するカルビノール官能性シリコーン樹脂が例示される。
【0024】
好ましくは、カルビノール官能性シリコーン樹脂内のR基+R基+R基は、成分(A)との適当な相溶性をもたらすのに充分高い含量のフェニルを含む。典型的には、R基+R基+R基の10重量パーセントより多くがフェニルであり、さらにより典型的には、R基+R基+R基の25重量パーセントより多くがフェニルである。
【0025】
カルビノール官能性シリコーン樹脂は、(A’)単位:
(RSiO1/2 (i)
(RSiO2/2 (ii)
(RSiO3/2 (iii)及び
(SiO4/2 (iv)
(式中、R及びRは、各々、独立して、アリール基、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基又は水素原子であり、R、a、b、c及びdは、上記規定のとおりであり、a+b+c+dの値は1である、ただし、各Rがメチルのとき、bの値は0.3未満であるものとし、シリコーン樹脂に少なくとも2個のケイ素結合水素原子が存在するものとする)
を含有する少なくとも1つの水素官能性(hydrogen-functional)シリコーン樹脂;(B’)少なくとも1つのビニル末端アルコールを、(C’)ヒドロシリル化触媒;及び任意選択で(D’)少なくとも1つの溶媒の存在下で反応させることを含む方法によって調製される。カルビノール官能性シリコーン樹脂である成分(B)を製造するための方法は、「カルビノール官能性シリコーン樹脂(Carbinol-functional Silicone Resins)」という表題の同時係属中の特許出願(参照されて本明細書の一部とする)に詳細に開示している。
【0026】
及びRのアルキル基及びアリール基は、R及びRについて上記に記載したものと同様である。
【0027】
成分(C)である有機ポリオール(有機カルビノールと同義)としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、グリセロール、トリメト(trimeth)1,2,61、1,2,4−ブタントリオール、ペンタエリスリトール、マンニトール、ソルビトール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリ(エチレンオキシ)グリコール一般、ジプロピレングリコール、ポリ(プロピレンオキシ)グリコール一般、ジブチレングリコール、ポリ(ブチレンオキシ)グリコール、及びポリカプロラクトンが例示される。使用され得る、より高分子量の他のポリヒドロキシ物質は、エポキシドの重合生成物、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド及びエピクロロヒドリンなどである。ヒドロキシ含有ポリエステル、ポリチオエーテル、ポリアセタール、ポリカーボネート及びポリエステルアミドもまた、単独又は上記のポリオールとの組み合わせで使用され得る。適切なポリエステルとしては、多価アルコールと多塩基カルボン酸、好ましくは二塩基カルボン酸との反応生成物が挙げられる。よく使用される多価アルコールとしては、前述の二価アルコールが挙げられる。ジカルボン酸の例としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、グルタル酸、フタル酸、マレイン酸及びフマル酸が挙げられる。典型的なポリエーテルポリオールとしては、式HO(RO)H(式中、Rはアルキレン基であり、nは、上記ポリエーテルポリオールが少なくとも250の数平均分子量を有するのに充分大きい整数である)を有するポリアルキレンエーテルポリオールが例示される。これらのポリアルキレンエーテルポリオールは、ポリウレタン生成物のよく知られた成分であり、既知の方法による環状エーテル、例えば、アルキレンオキシド、とグリコール、ジヒドロキシエーテルとの重合により調製され得る。特によく用いられる高分子量ポリオールはポリテトラメチレングリコールである。
【0028】
成分(D)である硬化速度調整剤は、ウレタン組成物の硬化時間に影響を与える任意の物質であり得、硬化促進剤、硬化阻害剤及び硬化触媒が挙げられる。例としては、ホスフィン化合物、例えば、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(ジメトキシフェニル)ホスフィン、トリス(ヒドロキシプロピル)ホスフィン及びトリス(シアノエチル)ホスフィン;ホスホニウム塩、例えば、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、メチルトリブチルホスホニウムテトラフェニルボレート及びメチルトリシアノエチルホスホニウムテトラフェニルボレート;イミダゾール、例えば、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1,4−ジシアノ−6−[2−メチルイミダゾリル−(1)]−エチル−S−トリアジン及び2,4−ジシアノ−6−[2−ウンデシルイミダゾリル−(1)]−エチル−S−トリアジン;イミダゾリウム塩、例えば、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテート、2−メチルイミダゾリウムイソシアヌレート、2−エチル−4−メチルイミダゾリウムテトラフェニルボレート及び2−エチル−1,4−ジメチルイミダゾリウムテトラフェニルボレート;アミン、例えば、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルジメチルアミン、テトラメチルブチルグアニジン、N−メチルピペラジン及び2−ジメチルアミノ−1−ピロリン;アンモニウム塩、例えば、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート;ジアザビシクロ化合物、例えば、1,5−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−5−ノネン及び1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)−オクタン;及びこれらのジアザビシクロ化合物のテトラフェニルボレート、フェノール塩、フェノールノボラック塩及び2−エチルヘキサノエート、並びにアルコール、例えば、レゾシノールが挙げられる。これらの化合物のうち、第三級アミン、ホスフィン化合物、イミダゾール化合物、ジアザビシクロ化合物及びその塩が、典型的には使用される。ジシアンジアミド及び三フッ化ホウ素もまた使用され得る。
【0029】
成分(D)である硬化速度調整剤としてはまた、脂肪族不飽和結合を有する化合物、有機リン(phosphorous)化合物、有機イオウ化合物、窒素含有化合物及びスズ化合物が例示され得る。脂肪族不飽和結合を有する化合物の例としては、プロパルギルアルコール、エン−イン化合物、及びマレイン酸ジメチルなどのマレイン酸エステルが挙げられる。有機リン化合物の例は、トリオルガノホスフィン、ジオルガノホスフィン、オルガノホスホン(organophosphone)及びトリオルガノホスファイト(triorganophosphite)である。有機イオウ化合物としては、オルガノメルカプタン、ジオルガノスルフィド、硫化水素、ベンゾチアゾール及びベンゾチアゾールジスルファイトが挙げられる。窒素含有化合物としては、アンモニア、第一級、第二級又は第三級アルキルアミン、アリールアミン、ウレア及びヒドラジンが挙げられる。アミンとしては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、1,4−ジアザ−ビシクロ−(2,2,2)−オクタン、N−セチルジメチルアミン、N−メチル−N’−ジメチルアミノエチル−ピペラジン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン及び1,2−ジメチルイミダゾールが例示される。有機スズ化合物もまた使用され得、酢酸スズ(II)、オクタン酸スズ(II)、エチルヘキサン酸スズ(II)及びラウリン酸スズ(II)などのカルボン酸のスズ(II)塩などの物質、並びにジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート及びジオクチルスズジアセテートが例示されるカルボン酸のジアルキルスズ塩などの物質が挙げられる。このようなスズ塩は、単独で、又はアミノピリジン、アミノピリミジン、ヒドラジノピリジン及びテトラヒドロピリミジンなどのアミジンとの錯体として使用され得る。鉛、鉄、水銀、ビスマス、コバルト及びマンガンなどの他の金属系化合物もまた使用され得、アセチルアセトン酸コバルト(III)、ナフトエ酸コバルト、ナフトエ酸マンガン、オレイン酸鉛、ナフテン酸亜鉛及びナフテン酸ジルコニウムなどの化合物が挙げられる。シラミン(silaamine)などの他の化合物、及びテトラアルキルアンモニウムヒドロキシドなどの塩基性窒素化合物、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物、及びメチル酸ナトリウムなどのアルカリ金属アルコレートもまた使用され得る。成分(D)である硬化速度調整剤は、一般的に、ポリイソシアネートの量及びポリイソシアネートと反応する物質の量に基づき、約0.01〜約10重量%、好ましくは約0.05〜約1.0重量%の量で使用される。
【0030】
典型的には、ウレタン組成物中におけるカルビノール基のイソシアネート基に対するモル比は、0.8:1〜1.2:1である。
【0031】
本発明のウレタン組成物は、従来から重合系において使用されている他の成分をさらに含有し得る。これらの成分としては、限定されないが、溶媒、可塑剤、顔料、着色剤、染料、界面活性剤、増粘剤、熱安定剤、レベリング剤、クレーター防止剤、充填剤、沈降抑制剤、紫外光吸収剤などが挙げられる。例えば促進剤、熱安定剤、紫外線吸収剤などの添加剤を、反応混合物中に十分に分散させ、それにより、見かけ上ポリマーに組み込まれた一部とし得る。好ましい抗酸化剤は、立体障害フェノール系化合物である。有機ホスファイトなどの安定剤もまた使用され得る。好ましいUV抑制剤はベンゾトリアゾール化合物である。
【0032】
本発明のウレタン組成物は、中空マイクロスフェア、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、含水ケイ酸、カーボンブラック、粉砕石英、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪藻土、ウォレストナイト、焼成クレイ、クレイ、タルク、カオリン、酸化チタン、ベントナイト、酸化鉄、酸化亜鉛、ガラスバルーン、ガラスビーズ、雲母、ガラス粉末、ガラスバルーン、石炭粉、アクリル樹脂粉末、フェノール樹脂粉末、セラミック粉末、ゼオライト、スレート粉末、有機繊維及び無機繊維が例示される少なくとも1つの充填剤をさらに含有し得る。
【0033】
本発明のウレタン組成物は、少なくとも1つの気泡安定剤及び少なくとも1つの発泡剤並びに任意選択で鎖延長剤及び架橋剤をさらに含有し得る。気泡安定剤としては、シリコーンが例示され、典型的にはシリコーンポリエーテルが使用される。発泡剤としては、水、液化二酸化炭素、CFC、HCFC、HFC及びペンタンが例示され、典型的には水又は水とHCFCとの混合物が使用される。これらの原料成分(ingredients)を本発明のウレタン組成物に添加することにより、増強した熱安定性を有するポリウレタンフォーム組成物が生成される。
【0034】
本発明のウレタン組成物は、成分(A)及び(B)並びに任意の任意選択成分を混合(又は機械により攪拌)して、均一な混合物を形成することにより調製され得る。これは、スパチュラ、メカニカルスターラー、バッフル及び/又は羽根を含むインラインミキサー系、電動(powered)インラインミキサー、ホモジナイザー、ドラムローラー、3本ロールミル、シグマブレードミキサー、パン用ドウミキサー及び2本ロールミルにより例示される、当該技術分野で知られた任意の簡便な混合法によりなされ得る。混合の順序は、重要とみなさない。成分(A)及び(B)並びに任意の任意選択成分は、予備混合してから適用してもよく、不粘着(tack free)時間が短い場合は適用中に混合してもよい。
【0035】
また、本発明は、(A)100重量部の、少なくとも1個のイソシアネート基を含有する少なくとも1つの化合物;(B)3〜300重量部の、単位:
(RSiO1/2 (i)
(RSiO2/2 (ii)
(RSiO3/2 (iii)及び
(SiO4/2 (iv)
(式中、R、R、R、a、b、c及びdは、上記規定のとおりであり、a+b+c+dの値は1である、ただし、各Rがメチルのとき、bの値は0.3未満であるものとする)
を含有するカルビノール官能性シリコーン樹脂;(C)250重量部までの有機ポリオール;及び(D)10重量部までの硬化速度調整剤を反応させることを含む方法により得られるウレタン組成物に関する。
【0036】
本発明の別の実施形態は、(A)100重量部の、少なくとも1個のイソシアネート基を含有する少なくとも1つの化合物;(B)0.3〜300重量部の、単位:
(RSiO1/2 (i)
(RSiO2/2 (ii)
(RSiO3/2 (iii)及び
(SiO4/2 (iv)
(式中、R、R、R、a、b、c及びdは、上記規定のとおりであり、a+b+c+dの値は1である、ただし、各Rがメチルのとき、bの値は0.3未満であるものとし、樹脂1分子あたり平均で少なくとも1個のカルビノール基があるものとする)
を含有するカルビノール官能性シリコーン樹脂;(C)250重量部までの有機ポリオール;及び(D)10重量部までの硬化速度調整剤を反応させることを含む方法により得られるウレタン組成物であって、ウレタン組成物中におけるカルビノール基のイソシアネート基に対するモル比が約0.8:1〜1.2:1であるウレタン組成物に関する。
【0037】
本発明の別の実施形態は、(A)少なくとも1個のイソシアネート基を含有する少なくとも1つの化合物;及び(B)単位:
(RSiO1/2 (i)
(RSiO2/2 (ii)
(RSiO3/2 (iii)及び
(SiO4/2 (iv)
(式中、R、R、R、a、b、c及びdは、上記規定のとおりであり、、a+b+c+dの値は1である、ただし、各Rがメチルのとき、bの値は0.3未満であるものとする)
を含有するカルビノール官能性シリコーン樹脂を反応させることを含む方法により得られ、カルビノール基のイソシアネート基に対するモル比が約0.8:1〜1.2:1であるウレタン組成物に関する。
【0038】
本明細書で使用する場合、「反応する」は、成分(A)及び(B)並びに任意の選択成分を室温(20〜25℃)で混合すること、又は成分(A)及び(B)並びに任意の選択成分を含有する混合物を室温より高い温度、例えば200℃までの温度に加熱することを意味する。成分(A)〜(D)は上記の通りである。
【0039】
本発明のウレタン組成物は、スタンドアローン(stand alone)コーティングとして、又は保護コーティング、塗装用配合物及び粉体塗料における原料成分として有用である。また、熱安定性フォーム配合物を作製するため、本発明のウレタン組成物に発泡剤及び気泡安定剤を配合してもよい。
【実施例】
【0040】
材料:
イソシアネート:Tolonate XIDT 70SB は、Rhodia (Cranbury, NJ)から販売されているイソホロンジイソシアネートトリマー(70%固形分、12.3wt%NCO)である。
ポリオール:Desmophen(登録商標)870 BAは、Bayer Corporation (Pittsburgh, PA)による、酢酸ブチル中に加えられたヒドロキシル官能性ポリアクリレート樹脂(70%固形分)である。
イソシアネート:Desmodur N−3390は、Bayer Corporation (Pittsburgh, PA)による、酢酸ブチル中に加えられたヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)系ポリイソシアネート(90%固形分)である。
Tegokat(登録商標)218は、Goldschmidt (McDonald, PA)による販売されているジブチルスズジラウレートである。
【0041】
試験方法:
スチロメーター引っかき密着性(Stylometer Scratch Adherence):
試料を一定速度の進行で移動させながら、球状ダイヤモンドをコーティング表面に対して一定速度の負荷で押し付ける。コーティングが激しく破損するまで力を増大させる。破損力は、同じような特性及び厚さの試料に関する相対的な密着性の尺度である。これらの技術は、コーティングの引っ張り強度、弾性限界、引っかき抵抗性、摩擦係数及び他の物性を測定するための手法を開発することができると考えられる。
【0042】
引っかき操作台は、ダイヤモンド針、一定速度の試料進行台、及びこの台(deck)の下方に取り付けた力測定変換器を含む。音響変換器(針の上部に取り付ける)は、試料の微小亀裂の開始点を特定するために使用され、コーティング又は基材の破損を感知する。音響エネルギー、負荷されるダイヤモンド圧及び接線方向の力(ダイヤモンド抗力)を、進行距離及び有効摩擦の関数としてプロットする。
【0043】
力の測定値から、「有効摩擦」が計算され、プロットする。試験の最初の部分の間は、ダイヤモンドがコーティングに沿ってスライドし、したがって、音響出力は低く、有効摩擦は一定である。コーティングの微小亀裂が始まると、音響出力は増大する。負荷された力、抗力、有効摩擦又は音響エネルギーの急激な増加を「事象」とよぶ。「臨界事象」は、コーティング剥離が観察される最初の時点であり、その力のレベルは密着性の尺度である。この判定は、その後の顕微鏡による破損点の確認に基づいてなされる。
【0044】
像の明瞭さ(distinctness of image)(DOI) 反射像の明瞭さ、すなわちDOIは、反射角で反射した光の発散の定量である。これにより、物体により反射された像がどれだけ鮮明であるかの表示が得られる。本発明のコーティングのDOIの評価は、塗装された表面上への種々の大きさの像の投射(projection)及びどれだけ小さい像が明白に見えるかの測定を伴った。像形成パターン(ランドルト環)を、試験下の試料の上方100mmの特定距離にある蛍光灯照射した箱から投影した。100の値を最も小さい環の組、及び90、80、70などの値を順次、均一に大きさが増大する環の群に割り当て、塗装された表面のDOIを定量的に評価した。光を当てた箱から投影されたとき、最も小さい環の群の内部が明白に識別できるコーティングを、評価点100とした。
(GM9101P、General Motors Engineering標準)
【0045】
熱重量分析
熱重量分析は、TA Instruments (New Castle, DE)のTGA 2950を用いて行なった。およそ7〜12mgの1片の試験片をPt皿に入れ、大気雰囲気下、10℃/分で1000℃まで加熱し、重量損失を継続的にモニターし、記録した。500℃における重量損失を記録した。不確定性を重複分析に基づいて±5%と推定した。
【0046】
(実施例1〜5A及び比較例1)
表2に示すイソシアネート、カルビノール官能性シリコーン樹脂(CSR)(以下の表1に示す)、酢酸ブチル溶媒及び有機ポリオールを、混合皿に加え、スパチュラで激しく攪拌した。以下の表2において、BAは酢酸n−ブチルを表す。試験は研磨鋼板において行なった。配合物を、6ミル(湿式)ドローダウンバー(drawndown bar)により塗布した。コートされた板を15分間風乾し、次いで30分間、265°Fでオーブン硬化した。実施例5の表面にひどく皺がよっていた以外は、すべての試料に優れた光沢及び流動性を有する被膜がもたらされた。DOIを測定し(上記の試験の記載を参照のこと)、結果を表3に記した。
【0047】
【表1】

【0048】
上記の表1において:
PrOHは、(HO(CH)(CHSiO1/2を表す
PrOHは、(HO(CH)(CH)SiO2/2を表す
iBuOHは、(HOCHCH(CH)CH)(CHSiO1/2を表す
Phenolは、(HOC(CH)(CHSiO1/2を表す
Phenolは、(HOC(CH)(CH)SiO2/2を表す
Mは、(CHSiO1/2を表す
Dは、(CHSiO2/2を表す
Phは、(C)(CH)SiO2/2を表す
Phは、CSiO3/2を表す
Meは、CHSiO3/2を表す
は、(H)(CHSiOl/2を表す
【0049】
【表2】

【0050】
【表3】

【0051】
[実施例1〜5A及び比較例1の概要]
カルビノール官能性シリコーン樹脂の組み込みにより、ほとんどの場合において、全くシリコーン樹脂添加のない下地ウレタンコーティング(Cex1)と比べ、像の明瞭さが増すか又は維持することが示されている。
【0052】
(実施例6〜15及び比較例2)
以下の表4に記載のイソシアネート、カルビノールシロキサン樹脂、酢酸ブチル溶媒及び有機ポリオール(およそ3〜10%の範囲のSiの配合物を調製した)を、混合皿に加え、スパチュラで激しく攪拌した。
【0053】
試験は、Eコート、下塗剤及び黒下塗(black basecoat)(ACT Laboratories; Hillsdale, MI)を施した鋼板において行なった。配合物を、6ミル(湿式)ドローダウンバーにより塗布した。コートされた板を15分間風乾し、次いで30分間、265°Fでオーブン硬化した。すべての試料に優れた光沢及び流動性を有する被膜がもたらされた。引っかき抵抗性(単位:Kg)(以下の試験方法の記載を参照のこと)を測定し、結果を表5に記した。
【0054】
【表4】

【0055】
【表5】

【0056】
[実施例6〜15及び比較例2の概要]
カルビノール官能性シリコーン樹脂の組み込みにより、全くシリコーン樹脂添加のない下地ウレタンコーティングと比べ、引っかき抵抗性が著しく増すことが示されている。これの例外は、引っかき抵抗性のわずかな低下が測定された実施例11及び実施例14で観察された。
【0057】
(実施例16〜19及び比較例3〜4)
(実施例16)
2.64グラム(g)のカルビノール官能性シリコーン樹脂6をシリンジでアルミニウム皿に注入した。2.35gのTolonate XIDT 70SB、3.00gの酢酸ブチル溶媒及び3滴のTegokat(登録商標)218を添加し、これらの材料を、木製攪拌棒を用いて室温で充分混合した。この物質を4時間、大気中にて100℃で硬化させた後、窒素をパージしたオーブンで200℃にて1時間、後硬化させた。得られた物質は、堅い無色透明の固形物であった。硬化したシリコーン/ポリウレタンハイブリッド物質を、熱重量分析により大気中で分析した。結果を表6に示す。
【0058】
(実施例17)
4.16gのカルビノール官能性シリコーン樹脂6をシリンジでアルミニウム皿に注入した。2.36gのDesmodur N−3390、3.00gの酢酸ブチル溶媒及び3滴のTegokat(登録商標)218を添加し、これらの材料を、木製攪拌棒を用いて室温で充分混合した。この物質を4時間、大気中にて100℃で硬化させた後、窒素をパージしたオーブンで200℃にて1時間、後硬化させた。得られた物質は、堅い弾性の半透明の固形物であった。硬化したシリコーン/ポリウレタンハイブリッド物質を、熱重量分析により大気中で分析した。結果を表6に示す。
【0059】
(実施例18)
0.88gのカルビノール官能性シロキサン樹脂7をシリンジでアルミニウム皿に注入した。2.35gのTolonate XIDT 70SB、2.96gの酢酸ブチル溶媒及び3滴のTegokat(登録商標)218を添加し、これらの材料を、木製攪拌棒を用いて室温で充分混合した。この物質を4時間、大気中にて100℃で硬化させた後、窒素をパージしたオーブンで200℃にて1時間、後硬化させた。得られた物質は、堅いやや褐色の透明な固形物であった。硬化したシリコーン/ポリウレタンハイブリッド物質を、熱重量分析により大気中で分析した。結果を表6に示す。
【0060】
(実施例19)
1.26gのカルビノール官能性シリコーン樹脂6をシリンジでアルミニウム皿に注入した。2.37gのDesmodur N−3390、4.08gのDesmophen(登録商標)870 BA、2.96gの酢酸ブチル溶媒及び3滴のTegokat(登録商標)218を添加し、これらの材料を、木製攪拌棒を用いて室温で充分混合した。この物質を4時間、大気中にて100℃で硬化させた後、窒素をパージしたオーブンで200℃にて1時間、後硬化させた。得られた物質は、堅くて硬質のやや濁った固形物であった。硬化したシリコーン/ポリウレタンハイブリッド物質を、熱重量分析により大気中で分析した。結果を表6に示す。
【0061】
(比較例3)
5.76gのDesmophen(登録商標)870 BAをシリンジでアルミニウム皿に注入した。3.76gのTolonate XIDT 70SB、2.96gの酢酸ブチル溶媒及び3滴のTegokat(登録商標)218を添加し、これらの材料を、木製攪拌棒を用いて室温で充分混合した。この物質を4時間、大気中にて100℃で硬化させた後、窒素をパージしたオーブンで200℃にて1時間、後硬化させた。得られた物質は、硬質だが脆い、やや濁った固形物であった。硬化したポリウレタン物質を熱重量分析により大気中で分析した。結果を表6に示す。
【0062】
(比較例4)
5.78gのポリオールDesmophen(登録商標)870 BAをシリンジでアルミニウム皿に注入した。2.35gのDesmodur N−3390、2.96gの酢酸ブチル溶媒及び3滴のTegokat(登録商標)218を添加し、これらの材料を、木製攪拌棒を用いて室温で充分混合した。この物質を4時間、大気中にて100℃で硬化させた後、窒素をパージしたオーブンで200℃にて1時間、後硬化させた。得られた物質は、堅くて硬質のやや濁った固形物であった。硬化させたポリウレタン物質を熱重量分析により大気中で分析した。結果を表6に示す。
【0063】
【表6】

【0064】
[概要]
実施例16〜19は、カルビノール官能性シリコーン樹脂のウレタン物質における有機ポリオールの一部又は完全な代用品としての有用性を示し、得られる熱硬化物質の熱安定性を増強させる(対照Cex3及びCex4と比較)。
(実施例20〜25A及び比較例5〜6)
【0065】
ポリオール:Desmophen(登録商標)870 BAは、Bayer Corporation (Pittsburgh, PA)による、酢酸ブチル中に加えられたヒドロキシル官能性ポリアクリレート樹脂(70%固形分)である。
イソシアネート:Desmodur N−3390は、Bayer Corporation (Pittsburgh, PA)による、酢酸ブチル中に加えられたヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)系ポリソシアネート(90%固形分)である。
BA:酢酸n−ブチル
【0066】
重塗り適合性: この試験の条件(塗布方法、被膜厚さ及び硬化計画)は、特定のコーティング配合物に対して指定するものである。初期硬化後、試験片に、同じ塗料配合物及び対照コートの双方を上塗りする。トップコートの硬化後、板を、第2のコートが下層の被膜を湿らす能力に関してランク付けする。
【0067】
5 −優れたウェッティング及び流動性;クレーター及び斑点などの被膜欠陥なし
4 −わずかなディウェッティング(dewetting)及び/又は端部のめくれ(edge crawling);最小限の欠陥
3 −中程度のディウェッティング及び/又は端部のめくれ;最小限の欠陥
2 −広範囲にディウェッティング及び/又は端部のめくれ;少数の欠陥
1 −広範囲にディウェッティング及び/又は端部のめくれ;多数の欠陥
0 −激しいディウェッティング及び/又は端部のめくれ;広範囲に欠陥
【0068】
上記のイソシアネート、上記のポリオール、上記の表1において調製されたカルビノール官能性シリコーン樹脂(CSR)の1つ及び酢酸n−ブチル(溶媒)を混合皿に加え、スパチュラで激しく攪拌した。試験は研磨鋼板において行なった。配合物を、6ミル(湿式)ドローダウンバーにより塗布した。コートされた板を15分間風乾させ、次いで、30分間、265°Fでオーブン硬化した。硬化した被膜の外観を、1=不充分及び5=良好により評価し、値を表7に記録した。
【0069】
次いで、硬化した被膜に、同一の配合物を元のコーティングに対して垂直にコートし、新しいコーティングを第1のコートと同じように硬化させた(風乾を15分間、次いで、30分間、265°Fでオーブン硬化)。各配合物の重塗り適合性を評価し、表7に記録した。
【0070】
【表7】

【0071】
[概要]
フェニル存在下でのカルビノール官能性シリコーン樹脂(CSR)を含むコーティングは、良好な初期コーティング品質、及びシリコーンが添加されていないCex5と同程度に良好又はより良好な重塗り適合性の両方を示した。比較例Cex6であるカルビノール官能性直鎖シロキサンを含有するコーティングは、ともに不充分な初期被膜品質及び重塗り適合性を示した。
【0072】
(実施例26〜29及び比較例7)
ポリウレタンフォーム配合物中のカルビノール官能性シリコーン樹脂
材料:
OPTIMA(登録商標)HO(Fisher Scientific, Fair Lawn, NJ)
DABCO(登録商標)33LV:トリエチレンジアミン33%及びジプロピレングリコール67%を含有するゲル化触媒(Air Products and Chemicals. Inc. (Allentown, PA)製)
DABCO(登録商標)BL−11:ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル70%及びジプロピレングリコール30%を含有する発泡触媒(Air Products and Chemicals. Inc. (Allentown, PA)製)
DABCO(登録商標)T−12:ジブチルスズジラウレートを含有する強力なゲル化触媒(Air Products and Chemicals. Inc. (Allentown, PA)製)
VORANOL(登録商標)3512A:約3500の分子量を有するグリセリンから出発したポリエーテルポリオール(The Dow Chemical Company (Midland, MI)製)
TDI−トルエンジイソシアネート(Bayer, Pittsburgh, PA製)
DABCO(登録商標)DC5982 Surfactant:ポリオール中に分散されたシリコーングリコールコポリマー(Dow Coming Corporation (Midland, MI)製)
塩化メチレン(Fisher Scientific, Fair Lawn, NJ製)
【0073】
方法:
熱重量分析
熱重量分析は、TA Instruments(New Castle, DE)TGA 2950を用いて行なった。別の試験において、およそ7〜12mgの1片の試験片をPt皿に入れ、1000℃まで10℃/分で、大気下及び窒素雰囲気下にて加熱し、重量損失を継続的にモニターし、記録した。200℃及び350℃での重量損失を記した。不確定性を重複分析に基づいて±5%と推定した。
【0074】
(比較例7)
150.05gのVORANOL(登録商標)3512A、5.25gのOPTIMA(登録商標)HO、0.23gのDABCO(登録商標)33LV及び0.07gのDABCO(登録商標)BL−11をペーパーバケット(paper bucket)内に量り入れ、高速で30秒間混合した。次に、0.75gのDABCO(登録商標)DC5982 Surfactant、0.30gのDABCO(登録商標)T−12及び22.5gの塩化メチレンをこのバケットに添加し、内容物を中速で10秒間混合した。次いで、71.0gのトルエンジイソシアネートをバケットに添加し、内容物を高速で5秒間混合した。フォームを隆起(rise)させ、このフォームを室温で10分間硬化させた。最後に、フォームを200°Fのオーブンに20分間に置いた。硬化したフォームをオーブンから取り出し、高さをすぐに測定し、熱重量分析を完了し、結果を表8に記した。
【0075】
(実施例26)
135.05gのVORANOL(登録商標)3512A、12.96gの上記表1のCSR 5、5.25gのOPTIMA(登録商標)HO、0.23gのDABCO(登録商標)33LV及び0.07gのDABCO(登録商標)BL−11をペーパーバケット内に量り入れ、高速で30秒間混合した。次に、0.75gのDABCO(登録商標)DC5982 Surfactant、0.30gのDABCO(登録商標)T−12及び22.5gの塩化メチレンをこのバケットに添加し、内容物を中速で10秒間混合した。次いで、71.0gのトルエンジイソシアネートをバケットに添加し、内容物を高速で5秒間混合した。フォームを隆起させ、このフォームを室温で10分間硬化させた。最後に、フォームを200°Fのオーブンに20分間に置いた。硬化したフォームをオーブンから取り出し、高さをすぐに測定し、熱重量分析を完了し、結果を表8に記した。
【0076】
(実施例27)
90.03gのVORANOL(登録商標)3512A、51.84gの上記表1のCSR 5、5.25gのOPTIMA(登録商標)HO、0.23gのDABCO(登録商標)33LV及び0.07gのDABCO(登録商標)BL−11をペーパーバケット内に量り入れ、高速で30秒間混合した。次に、0.75gのDABCO(登録商標)DC5982 Surfactant、0.30gのDABCO(登録商標)T−12及び22.5gの塩化メチレンをこのバケットに添加し、内容物を中速で10秒間混合した。次いで、71.0gのトルエンジイソシアネートをバケットに添加し、内容物を高速で5秒間混合した。フォームを隆起させ、このフォームを室温で10分間硬化させた。最後に、フォームを200°Fのオーブンに20分間に置いた。硬化したフォームをオーブンから取り出し、高さをすぐに測定し、熱重量分析を完了し、結果を表8に記した。
【0077】
(実施例28)
135.05gのVORANOL(登録商標)3512A、14.02gの上記表1のCSR 6、5.25gのOPTIMA(登録商標)HO,0.23gのDABCO(登録商標)33LV及び0.07gのDABCO(登録商標)BL−11をペーパーバケット内に量り入れ、高速で30秒間混合した。次に、0.75gのDABCO(登録商標)DC5982 Surfactant、0.30gのDABCO(登録商標)T−12及び22.5gの塩化メチレンをこのバケットに添加し、内容物を中速で10秒間混合した。次いで、71.0gのトルエンジイソシアネートをバケットに添加し、内容物を高速で5秒間混合した。フォームを隆起させ、このフォームを室温で10分間硬化させた。最後に、フォームを200°Fのオーブンに20分間に置いた。硬化したフォームをオーブンから取り出し、高さをすぐに測定し、熱重量分析を完了し、結果を表8に記した。
【0078】
(実施例29)
90.03gのVORANOL(登録商標)3512A、56.09gの上記表1のCSR 6、5.25gのOPTIMA(登録商標)HO、0.23gのDABCO(登録商標)33 LV及び0.07gのDABCO(登録商標)BL−11を紙バケット内に量り入れ、高速で30秒間混合した。次に、0.75gのDABCO(登録商標)DC5982 Surfactant、0.30gのDABCO(登録商標)T−12及び22.5gの塩化メチレンをこのバケットに添加し、内容物を中速で10秒間混合した。次いで、71.0gのトルエンジイソシアネートをバケットに添加し、内容物を高速で5秒間混合した。フォームを隆起させ、このフォームを室温で10分間硬化させた。最後に、フォームを200°Fのオーブンに20分間に置いた。硬化したフォームをオーブンから取り出し、高さをすぐに測定し、熱重量分析を完了し、結果を表8に記した。
【0079】
【表8】

【0080】
[概要]
表8は、カルビノール官能性シリコーン樹脂をウレタンフォーム配合物に添加すると、大気環境及び窒素環境の両方において、得られるフォームの重量損失は減少するが、対照と同程度のフォーム高さが維持されることを示す。
【0081】
(実施例30及び比較例8〜10)
材料:
トリメチロールプロパンモノアリルエーテル(Sigma-Aldrich Chemical Co., Milwaukee WI
DOWCORNING 6−3570ポリマー(トリメチルシリル末端ジメチルシロキシ/メチルハイドロジェンシロキシコポリマー)(Dow Coming., Midland, MI)
トリフェニルホスフィン(Sigma-Aldrich Chemical Co., Milwaukee WI)
アリルアルコール(Sigma-Aldrich Chemical Co. Milwaukee WI)
FC−24:トリフルオロメタンスルホン酸(3M、St. Paul, Minnから入手可能)
【0082】
方法:
60°光沢
(ASTM D523−89)測定された光沢のランク付けを、試料の正反射率を黒ガラス標品のものと比較することにより得る。60度光沢(Sixty-degree gloss)を試料の比較に用いた。試験は、グロスメーター(BYK−Gardner Micro−Tri−gloss、カタログ番号4522)を用いて行なう。コーティング表面上で最低5回行われ、平均値が報告される。
【0083】
2種類の比較カルビノール官能性直鎖ポリシロキサン及びカルビノール官能性シロキサン樹脂を合成し、1:1イソシアネート:カルビノール化学量論比をもたらすためのDesmodur N−3390イソシアネート及びDesmophen 870 BAポリオール、並びに希釈溶媒として酢酸ブチルを用いたウレタンコーティング配合物中に9.3wt%負荷量で配合した。配合物の詳細は表9に示す。また、非シリコーン含有ウレタンコーティングも調製した。配合物を、3インチ×6インチ及び3インチ×9インチのアセトン脱脂アルミニウム板上に、6ミルドローダウンバーを用いて塗布した。コートされた板を15分間風乾させ、次いで、30分間、265°Fでオーブン硬化した。コートされた板を、コーティング品質、像の明瞭さ及び60°光沢について評価し、結果を表9に記録した。
【0084】
実施例30で用いたカルビノール官能性樹脂(CSR 30)は、以下のようにして調製した。水(282.1g)を、メチルトリメトキシシラン(858.5g)、フェニルトリメトキシシラン(1249.4g)及びトリフルオロメタンスルホン酸(1.05g)の混合物に添加した。副生成物であるメタノールの留去後、トルエン(1368.1g)、テトラメチルジシロキサン(435.2g)及び酢酸(195.1g)を添加した。50〜55℃で3時間加熱後、反応混合物が80℃になるまで揮発性物質を蒸留により除去した。トルエン(370.9g)を添加し、混合物を水及び重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、次いで、共沸蒸留によりおよそ60wt%の濃度まで乾燥させた。アリルアルコール(846.8g)を添加した。88℃まで加熱後、1%Pt/Al(1.53g)を添加し、混合物をおよそ6時間還流加熱した。トリフェニルホスフィン(0.061g)及び脱色炭素(3.0g)を添加し、混合物をろ過し、揮発性物質を真空除去し、次いで、酢酸ブチル中におよそ76wt%まで再溶解した。得られた樹脂構造は、29Si NMRによりMPrOH0.32Me0.35Ph0.33であると決定され、固形分を基準としたカルビノール当量は355であった。
【0085】
比較例8(Cex8)で用いた比較の直鎖カルビノール官能性ポリシロキサン(Linear 2)は、以下のようにして調製した。白金のジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のトルエン溶液(0.53gの4810ppm Pt溶液)を、Dow Corning (Midland, MI)から6−3570 Polymerとして入手可能な5cStの0.76wt%反応性ハイドロジェン(Si−Hとして)トリメチルシリル末端ジメチルシロキシ/メチルハイドロジェンシロキシコポリマー(5.0g)とアリルアルコール(155.2g)との加熱した(65℃)混合物に添加した後、95.0グラムのさらなるコポリマーを添加した。混合物を>75℃に30分間維持し、次いで、トリフェニルホスフィン(0.0153g)を添加した。混合物を濾過し、揮発性物質を真空除去した。得られた物質は、RSiO3/2単位を含有しない直鎖カルビノールシロキサンオリゴマーであり、249のカルビノール当量を有した。
【0086】
比較例9(Cex9)で用いた比較の直鎖カルビノール官能性ポリシロキサン(Linear 3)は、以下のようにして調製した。白金のジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のトルエン溶液(0.56gの4810ppm Pt溶液)を、Dow Corning (Midland, MI)から6−3570 Polymerとして入手可能な5cStの0.76wt%反応性ハイドロジェン(Si−Hとして)トリメチルシリル末端ジメチルシロキシ/メチルハイドロジェンシロキシコポリマー(5.03g)とトリメチロールプロパンモノアリルエーテル(170.84g)との加熱した(80℃)混合物に添加した後、95.22グラムのさらなるコポリマーを添加した。混合物を>85℃におよそ10分間維持した。得られた物質は、RSiO3/2単位を含有しない直鎖カルビノールシロキサンオリゴマーであり、169のカルビノール当量を有した。比較例10(Cex10)のコーティングは、有機イソシアネート(Desmodur N−3390)及び有機ポリオール(Desmophen 870 BA)を用い、上記のようにして調製した。
【0087】
【表9】

【0088】
[実施例30及び比較例8〜10の概要]
表9から、これらの結果は、RSiO3/2単位を含有するカルビノール官能性シロキサン樹脂を配合することにより、シロキサン添加なしのウレタン系(Cex10)及び組み込まれた直鎖シロキサンを有するウレタン系(Cex8〜9)と比べ、初期コーティング品質、像の明瞭さ及び光沢の点に関して被膜の品質を低下させることなく、シロキサン改質ウレタンコーティングがもたらされることを示す。これにより、コーティング配合物は、外観特性を低下させることなく、耐熱性が付加されたシリコーン(実施例16〜19を参照のこと)をウレタンコーティング内に組み込むことが可能になる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)少なくとも1個のイソシアネート基を含有する少なくとも1つの化合物、及び(B)単位:
(RSiO1/2 (i)
(RSiO2/2 (ii)
(RSiO3/2 (iii)及び
(SiO4/2 (iv)
(式中、R及びRは、各々、独立して、水素原子、アリール基、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、少なくとも3個の炭素原子を有するアリール基無含有カルビノール基、又は少なくとも6個の炭素原子を有するアリール含有カルビノール基であり、Rは、アリール基又は1〜8個の炭素原子を有するアルキル基であり、aは0.6以下の値を有し、bはゼロ又はゼロより大きい値を有し、cはゼロより大きい値を有し、dは0.5未満の値を有し、a+b+c+dの値は1である、ただし、各Rがメチルのとき、bの値は0.3未満であるものとする)
を含有するカルビノール官能性シリコーン樹脂を含有してなり、カルビノール基のイソシアネート基に対するモル比が約0.8:1〜1.2:1であるウレタン組成物。
【請求項2】
(A)100重量部の、少なくとも1個のイソシアネート基を含有する少なくとも1つの化合物、(B)3〜300重量部の、単位:
(RSiO1/2 (i)
(RSiO2/2 (ii)
(RSiO3/2 (iii)及び
(SiO4/2 (iv)
(式中、R及びRは、各々、独立して、水素原子、アリール基、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、少なくとも3個の炭素原子を有するアリール基無含有カルビノール基、又は少なくとも6個の炭素原子を有するアリール含有カルビノール基であり、Rは、アリール基又は1〜8個の炭素原子を有するアルキル基であり、aは0.6以下の値を有し、bはゼロ又はゼロより大きい値を有し、cはゼロより大きい値を有し、dは0.5未満の値を有し、a+b+c+dの値は1である、ただし、各Rがメチルのとき、bの値は0.3未満であるものとする)
を含有するカルビノール官能性シリコーン樹脂;(C)250重量部までの有機ポリオール;及び(D)10重量部までの硬化速度調整剤を含有してなるウレタン組成物。
【請求項3】
(A)100重量部の、少なくとも1個のイソシアネート基を含有する少なくとも1つの化合物;(B)0.3〜300重量部の、単位:
(RSiO1/2 (i)
(RSiO2/2 (ii)
(RSiO3/2 (iii)及び
(SiO4/2 (iv)
(式中、R及びRは、各々、独立して、水素原子、アリール基、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、少なくとも3個の炭素原子を有するアリール基無含有カルビノール基、又は少なくとも6個の炭素原子を有するアリール含有カルビノール基であり、Rは、アリール基又は1〜8個の炭素原子を有するアルキル基であり、aは0.6以下の値を有し、bはゼロ又はゼロより大きい値を有し、cはゼロより大きい値を有し、dは0.5未満の値を有し、a+b+c+dの値は1である、ただし、各Rがメチルのとき、bの値は0.3未満であるものとし、樹脂1分子あたり平均で少なくとも1個のカルビノール基があるものとする)
を含有するカルビノール官能性シリコーン樹脂;(C)250重量部までの有機ポリオール;及び(D)10重量部までの硬化速度調整剤を含有してなり、カルビノール基のイソシアネート基に対するモル比が約0.8:1〜1.2:1であるウレタン組成物。
【請求項4】
(A)少なくとも1個のイソシアネート基を含有する少なくとも1つの化合物;及び(B)単位:
(RSiO1/2 (i)
(RSiO2/2 (ii)
(RSiO3/2 (iii)及び
(SiO4/2 (iv)
(式中、R及びRは、各々、独立して、水素原子、アリール基、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、少なくとも3個の炭素原子を有するアリール基無含有カルビノール基、又は少なくとも6個の炭素原子を有するアリール含有カルビノール基であり、Rは、アリール基又は1〜8個の炭素原子を有するアルキル基であり、aは0.6以下の値を有し、bはゼロ又はゼロより大きい値を有し、cはゼロより大きい値を有し、dは0.5未満の値を有し、a+b+c+dの値は1である、ただし、各Rがメチルのとき、bの値は0.3未満であるものとする)
を含有するカルビノール官能性シリコーン樹脂を反応させることを含む方法により得られ、カルビノール基のイソシアネート基に対するモル比が約0.8:1〜1.2:1であるウレタン組成物。
【請求項5】
(A)100重量部の、少なくとも1個のイソシアネート基を含有する少なくとも1つの化合物;(B)3〜300重量部の、単位:
(RSiO1/2 (i)
(RSiO2/2 (ii)
(RSiO3/2 (iii)及び
(SiO4/2 (iv)
(式中、R及びRは、各々、独立して、水素原子、アリール基、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、少なくとも3個の炭素原子を有するアリール基無含有カルビノール基、又は少なくとも6個の炭素原子を有するアリール含有カルビノール基であり、Rは、アリール基又は1〜8個の炭素原子を有するアルキル基であり、aは0.6以下の値を有し、bはゼロ又はゼロより大きい値を有し、cはゼロより大きい値を有し、dは0.5未満の値を有し、a+b+c+dの値は1である、ただし、各Rがメチルのとき、bの値は0.3未満であるものとする)
を含有するカルビノール官能性シリコーン樹脂;(C)250重量部までの有機ポリオール;及び(D)10重量部までの硬化速度調整剤を反応させることを含む方法により得られるウレタン組成物。
【請求項6】
(A)100重量部の、少なくとも1個のイソシアネート基を含有する少なくとも1つの化合物;(B)0.3〜300重量部の、単位:
(RSiO1/2 (i)
(RSiO2/2 (ii)
(RSiO3/2 (iii)及び
(SiO4/2 (iv)
(式中、R及びRは、各々、独立して、水素原子、アリール基、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、少なくとも3個の炭素原子を有するアリール基無含有カルビノール基、又は少なくとも6個の炭素原子を有するアリール含有カルビノール基であり、Rは、アリール基又は1〜8個の炭素原子を有するアルキル基であり、aは0.6以下の値を有し、bはゼロ又はゼロより大きい値を有し、cはゼロより大きい値を有し、dは0.5未満の値を有し、a+b+c+dの値は1である、ただし、各Rがメチルのとき、bの値は0.3未満であるものとし、樹脂1分子あたり平均で少なくとも1個のカルビノール基があるものとする)
を含有するカルビノール官能性シリコーン樹脂;(C)250重量部までの有機ポリオール;及び(D)10重量部までの硬化速度調整剤を反応させることを含む方法により得られ、カルビノール基のイソシアネート基に対するモル比が約0.8:1〜1.2:1であるウレタン組成物。
【請求項7】
(C)有機ポリオールをさらに含有する、請求項1又は4に記載のウレタン組成物。
【請求項8】
(D)硬化速度調整剤をさらに含有する、請求項1、4又は7いずれか1項に記載のウレタン組成物。
【請求項9】
前記アルキル基がメチルである;
前記アリール基がフェニルである;
前記少なくとも3個の炭素原子を有するアリール基無含有カルビノール基が、式ROHを有する基(式中、Rは、
(1)式−(CH−(式中、xは3〜10の値を有する)を有する基、
(2)−CHCH(CH)−、
(3)−CHCH(CH)CH−、
(4)−CHCHCH(CHCH)CHCHCH−、及び
(5)式−OCH(CH)(CH−(式中、xは1〜10の値を有する)を有する基
から選択される)及び式R(OH)を有する基(式中、Rは式−CHCH(CHOCHCH−(式中、各場合においてxは1〜10の値を有する)である)から選択される;
前記少なくとも6個の炭素原子を有するアリール含有カルビノール基が、式ROH(式中、Rは、
(1)式−(CH−(式中、xは0〜10の値を有する)を有する基、
(2)式−CHCH(CH)(CH−(式中、xは0〜10の値を有する)を有する基、及び
(3)式−(CH(CH−(式中、xは1〜10の値を有する)を有する基
から選択される)を有する基である、請求項1〜8いずれか1項に記載のウレタン組成物。
【請求項10】
aが典型的には0.1〜0.6の値を有し、bが典型的には0〜0.4の値を有し、cが典型的には0.3〜0.8の値を有し、dが典型的には0〜0.3の値を有する、請求項1〜9いずれか1項に記載のウレタン組成物。
【請求項11】
前記カルビノール官能性シリコーン樹脂が、
単位:
((CHSiO1/2
((R)CHSiO2/2(式中、R=−(CHOH)
((C)CHSiO2/2 及び
(CSiO3/2
を含有するカルビノール官能性シリコーン樹脂、
単位:
((R)(CHSiO1/2(式中、R=−(CHOH) 及び
(CSiO3/2
を含有するカルビノール官能性シリコーン樹脂、
単位:
((R)(CHSiO1/2(式中、R=−(CHOH) 及び
(CHSiO3/2
を含有するカルビノール官能性シリコーン樹脂、
単位:
((R)(CHSiO1/2(式中、R=−(CHOH) 及び
(CSiO3/2
を含有するカルビノール官能性シリコーン樹脂、
単位:
((R)(CHSiO1/2(式中、R=−(CHOH)
(CHSiO3/2 及び
(CSiO3/2
を含有するカルビノール官能性シリコーン樹脂、
単位:
((CHSiOl/2
((R)CHSiO2/2(式中、R=−(CHOH)
((C)CHSiO2/2 及び
(CSiO3/2
を含有するカルビノール官能性シリコーン樹脂、
単位:
((CHSiO1/2
((R)(CHSiO1/2(式中、R=−(CHOH) 及び
(CSiO3/2
を含有するカルビノール官能性シリコーン樹脂、
単位:
((R)(CHSiO1/2(式中、R=−CHCH(CH)CHOH)
((H)(CHSiO1/2 及び
(CSiO3/2
を含有するカルビノール官能性シリコーン樹脂、
単位:
((R)(CHSiOl/2(式中、R=−(CHOH)
(CHSiO3/2
を含有するカルビノール官能性シリコーン樹脂
(式中、aは典型的には0.1〜0.6の値を有し、bは典型的にはゼロ〜0.4の値を有し、cは典型的には0.3〜0.8の値を有する)
から選択される、請求項1〜8いずれか1項に記載のウレタン組成物。
【請求項12】
前記R基+前記R基+前記R基の10重量パーセントより多くがフェニルである、請求項1〜11いずれか1項に記載のウレタン組成物。
【請求項13】
充填剤、溶媒、可塑剤、顔料、着色剤、染料、界面活性剤、増粘剤、熱安定剤、レベリング剤、クレーター防止剤、充填剤、沈降抑制剤、紫外線吸収剤、促進剤、熱安定剤、紫外線吸収剤及び抗酸化剤から選択される少なくとも1つの原料成分をさらに含有する、請求項1〜12いずれか1項に記載のウレタン組成物。
【請求項14】
少なくとも1つの気泡安定剤及び少なくとも1つの発泡剤並びに任意選択で鎖延長剤及び架橋剤をさらに含有する、請求項1〜13いずれか1項に記載のウレタン組成物。
【請求項15】
前記気泡安定剤がシリコーンポリエーテルであり、前記発泡剤が、水、液体二酸化炭素、CFC、HCFC、HFC及びペンタンから選択される、請求項14に記載のウレタン組成物。

【公表番号】特表2007−508425(P2007−508425A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534367(P2006−534367)
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【国際出願番号】PCT/US2004/033190
【国際公開番号】WO2005/037887
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【Fターム(参考)】