カーカスバンド成型システム及び該カーカスバンド成型システムを用いたカーカスバンドの成型方法
【課題】内外2層の円筒状カーカスプライ素材を備えてなるカーカスバンドの成型に係る時間を短縮するカーカスバンド成型システム、及びカーカスバンドの成型方法を提供する。
【解決手段】本発明のカーカスバンド成型システムは、第1及び第2の未加硫帯状カーカスプライ素材を供給する供給手段10と、第1及び第2の円筒状カーカスプライ素材を成型する、第1及び第2の、それぞれ少なくとも1個の成型ドラム20A、20Bを、各成型ドラムの中心軸線m1、m2の周りに回転可能に支持するとともに、供給手段10に隣接する位置と離隔する位置との間で変位させるドラム支持手段30と、各成型ドラム20A、20Bの周りに供給された未加硫帯状カーカスプライ素材の両端部を接合する外側接合手段40と、第1の成型ドラム20A上で円筒状に成型された第1の円筒状カーカスプライ素材を外周面側から保持する移載手段50を備える。
【解決手段】本発明のカーカスバンド成型システムは、第1及び第2の未加硫帯状カーカスプライ素材を供給する供給手段10と、第1及び第2の円筒状カーカスプライ素材を成型する、第1及び第2の、それぞれ少なくとも1個の成型ドラム20A、20Bを、各成型ドラムの中心軸線m1、m2の周りに回転可能に支持するとともに、供給手段10に隣接する位置と離隔する位置との間で変位させるドラム支持手段30と、各成型ドラム20A、20Bの周りに供給された未加硫帯状カーカスプライ素材の両端部を接合する外側接合手段40と、第1の成型ドラム20A上で円筒状に成型された第1の円筒状カーカスプライ素材を外周面側から保持する移載手段50を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、未加硫の帯状カーカスプライ素材の両端部を接合した円筒状のカーカスプライ素材を、半径方向の内外に配設して、内外2層の円筒状カーカスプライ素材を備えてなるカーカスバンドを成型するカーカスバンド成型システム、及びこのカーカスバンド成型システムを用いた前記カーカスバンドの成型方法に関するものであり、特に、カーカスバンドの成型に係る時間を短縮して、生産効率を高める技術を提案するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば高い耐久性、或いは高い負荷能力を有するタイヤとして、円筒状のカーカスプライ素材を内外に2層備えるものが知られている。そして、このタイヤを製造する方法としては、特許文献1に記載のように、成型ドラムの外周側に第1カーカス層を巻付けて、その巻付け始端と巻付け終端とを互いに重ね合わせた後、さらに、この第1カーカス層の外周側に第2カーカス層を巻付けて、その巻付け始端と巻付け終端とを接合する方法が、従来から広く一般に採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−277813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の方法は、第1カーカス層の巻付けが完了しなければ第2カーカス層を巻付けることができないため、カーカスバンドを成型するにあたっては、成型ドラム上に第1カーカス層を巻付ける時間と、第1カーカス層上に第2カーカス層を巻付ける時間との両方を加算した時間が最低限必要となっている。一方、カーカスバンドの成型に要する時間を短縮することによって、生産効率を十分に高めたカーカスバンド成型システムの出現が従来から強く求められているものの、上記の方法では十分な時間短縮を図ることは困難であって、このようなカーカスバンド成型システムは未だ実用化には至っていないのが現状であった。
【0005】
本発明の課題は、内外2層の円筒状カーカスプライ素材を備えてなるカーカスバンドを成型するにあたり、成型に要する時間を十分に短縮できて高い生産効率を得ることができるカーカスバンド成型システム、及びこのカーカスバンド成型システムを用いたカーカスバンドの成型方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、未加硫の帯状カーカスプライ素材の両端部を接合した円筒状のカーカスプライ素材を、半径方向の内外に配設して、内外2層の円筒状カーカスプライ素材を備えてなるカーカスバンドを成型するカーカスバンド成型システムであって、
半径方向外側に配設される第1の円筒状カーカスプライ素材、及び半径方向内側に配設される第2の円筒状カーカスプライ素材のそれぞれを成型するための、第1及び第2の未加硫帯状カーカスプライ素材を供給する供給手段を設け、
第1及び第2のそれぞれの円筒状カーカスプライ素材を成型する、拡縮径可能な第1及び第2の、それぞれ少なくとも1個の成型ドラムを、各成型ドラムの中心軸線周りに回転可能に支持するとともに、前記供給手段に隣接する位置と離隔する位置との間で変位させるドラム支持手段を設け、
成型ドラムの中心軸線に対する垂直方向への進出姿勢下で、成型ドラムの周りに供給された第1及び第2の未加硫帯状カーカスプライ素材の両端部を接合する外側接合手段を、成型ドラムの何れか一方の前記位置に対応させて配設するとともに、
成型ドラムの中心軸線に沿って進退変位して、第1の成型ドラム上で円筒状に成型された第1の円筒状カーカスプライ素材を外周面側から保持する移載手段を、成型ドラムの他方の前記位置に対応させて配設してなるカーカスバンド成型システムにある。
【0007】
かかるカーカスバンド成型システムにおいて、前記ドラム支持手段は、第1及び第2の、それぞれ少なくとも1個の成型ドラムを、軸線に対してともに等しい距離だけオフセットさせて相互に平行に支持するとともに、それぞれの成型ドラムを、前記軸線の周りで回動変位させるものであることが好ましい。
【0008】
また、かかるカーカスバンド成型システムにおいて、前記第1及び第2の成型ドラムは、前記外側接合手段に対向する内側接合手段をそれぞれ有し、前記外側接合手段及び内側接合手段のそれぞれは、成型ドラムの周りに供給された未加硫帯状カーカスプライ素材の両端部のそれぞれを、円周方向に相互に引き寄せて、該未加硫帯状カーカスプライ素材の両端面を突き合わせ接合する、外側引き寄せ爪及び内側引き寄せ爪を備えることが好ましい。
【0009】
そして、前記第2の成型ドラムは、円周方向で複数個に分割されたセグメントの一部のみを半径方向内側に変位させる第2のセグメント変位手段を備えることが好ましい。
【0010】
そしてまた、第2の未加硫帯状カーカスプライ素材を保持する保持手段を、複数個のセグメントに対して周方向に交互に設けるとともに、前記第2のセグメント変位手段にて、該保持手段を設けたセグメントのみを半径方向内側に変位させることが好ましい。
【0011】
かかるカーカスバンド成型システム用いて、内外2層の円筒状カーカスプライ素材を備えてなるカーカスバンドの成型方法は、
供給手段の作動下で供給される第1の未加硫帯状カーカスプライ素材を、第1の成型ドラムの外周面に巻付けた後、第1の成型ドラムを、外側接合手段に対応する位置への変位下で、該外側接合手段を進出変位させて、第1の成型ドラムの外周面に巻付けた第1の未加硫帯状カーカスプライ素材の両端部を接合し、
次いで、ドラム支持手段の作動下で、外側接合手段から離隔する位置に変位した第1の成型ドラムに対し、移載手段の進出姿勢下で、該第1の円筒状カーカスプライ素材を外周面側から保持した後、移載手段を後退変位させる一方、供給手段の作動下で供給された後、第2の成型ドラムの外周面に巻付けた第2の未加硫帯状カーカスプライ素材の両端部を、外側接合手段に対応する位置に変位させて、該外側接合手段の進出姿勢下で該両端部を接合し、
しかる後、ドラム支持手段の作動下で、外側接合手段から離隔する位置に変位した第2の成型ドラムに対し、第1の円筒状カーカスプライ素材を保持した移載手段を進出変位させて、第2の成型ドラム上の第2の円筒状カーカスプライ素材を、該第1の円筒状カーカスプライ素材の内側に圧着させる、にある。
【発明の効果】
【0012】
本発明のカーカスバンド成型システム、及び上記のカーカスバンド成型システムを用いたカーカスバンドの成型方法によれば、第1の成型ドラム上で接合された第1の円筒状カーカスプライ素材を移載手段で取り出す工程と、第2の成型ドラム上に巻付けた第2の未加硫帯状カーカスプライ素材の両端部を外側接合手段で接合する工程とを、同時に進めることができるので、カーカスバンドの成型に係る時間を大幅に短縮することができる。
【0013】
このカーカスバンド成型システムにおいて、ドラム支持手段を、第1及び第2の、それぞれ少なくとも1個の成型ドラムを、軸線に対してともに等しい距離だけオフセットさせて相互に平行に支持するとともに、それぞれの成型ドラムを、軸線の周りで回動させるように設ける場合は、ドラム支持手段の構成を簡素化することができる。
【0014】
第1及び第2の成型ドラムのそれぞれに、外側接合手段に対向する内側接合手段を設け、外側接合手段及び内側接合手段のそれぞれに、外側引き寄せ爪及び内側引き寄せ爪を設ける場合は、これらの成型ドラムの周りに供給された未加硫帯状カーカスプライ素材の両端部のそれぞれを、円周方向に相互に引き寄せることで、この未加硫帯状カーカスプライ素材の両端面を確実に突き合わせ接合することができるので、タイヤの、ユニフォミティの向上を始めとする各種性能の向上に寄与することができる。
【0015】
第2の成型ドラムに、円周方向で複数個に分割されたセグメントの一部のみを半径方向内側に変位させる第2のセグメント変位手段を設ける場合は、第1の円筒状カーカスプライ素材を保持した移載手段を、第2の成型ドラムに向けて進出変位させるにあたって、第2の成型ドラム上の第2の円筒状カーカスプライ素材を縮径変形させることができるので、移載手段を進出変位させる際の、第1の円筒状カーカスプライ素材と第2の円筒状カーカスプライ素材との意図しない接触(衝突)を有効に防止することができる。しかも、その第2の円筒状カーカスプライ素材の縮径量は必要分だけに抑えられているので、過剰に変形させてしまうことがない。
【0016】
第2の未加硫帯状カーカスプライ素材を保持する保持手段を、複数個のセグメントに対し交互に設け、第2のセグメント変位手段にて、保持手段を設けたセグメントのみを半径方向内側に変位させる場合は、第2の成型ドラム上に巻付けた第2の未加硫帯状カーカスプライ素材を、円周方向に等間隔で、かつ保持手段の作用下で確実に縮径させることができるので、移載手段を進出変位させる際の、第1の円筒状カーカスプライ素材と第2の円筒状カーカスプライ素材との衝突のおそれを、確実に取り除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に従うカーカスバンド成型システムの全体を示す、略線側面図である。
【図2】図1に示すカーカスバンド成型システムの、ドラム支持手段周辺を示す略線平面図である。
【図3】図1に示すカーカスバンド成型システムの供給手段を示す、(a)は略線側面図であり、(b)は略線正面図である。
【図4】図3(a)に示す状態から長尺状のカーカスプライ素材を繰出して、長尺素材用テーブルと帯状素材用テーブルの両方に跨がらせて載置した状態を示す略線側面図である。
【図5】所望の長さに切断された未加硫帯状カーカスプライ素材を、搬送手段の機能下で成型ドラムに向けて供給される姿勢で示す略線側面図である。
【図6】図1に示すカーカスバンド成型システムが備える成型ドラムの、側面視での略線断面図である。
【図7】図6に示す成型ドラムを、反時計回りに1回転の手前まで回転させた姿勢で示す略線断面図である。
【図8】図6に示す成型ドラムを、反時計回りに1回転させた姿勢で、外側接合手段とともに示す略線断面図である。
【図9】図8に示す外側接合手段と内側接合手段とを、(a)は成型ドラムの縮径変位下で、撓み部が形成された姿勢で示す略線断面図であり、(b)は外側接合手段を下降変位させた姿勢で示す略線断面図であり、(c)は(b)に示す位置からさらに外側接合手段を下降変位させて、外側引き寄せ爪及び内側引き寄せ爪を機能させた姿勢で示す略線断面図である。
【図10】本発明に従う他の第2の成型ドラムを、外側接合手段とともに示す略線断面図である。
【図11】図10に示す第2の成型ドラムを機能させた姿勢で示す略線断面図である。
【図12】図1に示すカーカスバンド成型システムが備える移載手段の、側面視での略線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明をより具体的に説明する。
まず、本発明に従うカーカスバンド成型システムの全体について説明する。図1、及び図2に示す実施例において、本発明のカーカスバンド成型システムは、カーカスバンドの半径方向外側、及び内側に配設される第1、及び第2の円筒状カーカスプライ素材に関し、それぞれを成型するための第1、及び第2の未加硫帯状カーカスプライ素材を供給する供給手段10と、供給された第1の未加硫帯状カーカスプライ素材をその外周面に巻付ける第1の成型ドラム20A、及び第2の未加硫帯状カーカスプライ素材をその外周面に巻付ける第2の成型ドラム20Bの、それぞれ少なくとも1個の成型ドラムと(図示の例では第1の成型ドラム20A及び第2の成型ドラム20Bを、それぞれ各1個、総計2個設けている)、これら第1、及び第2の成型ドラム20A、20Bの両方を、各成型ドラムの中心軸線m1、m2周りに回転可能に支持するとともに、これらの成型ドラムを、供給手段10に隣接する位置と離隔する位置との間で回動変位させるドラム支持手段30と、第1、及び第2の成型ドラム20A、20B上に巻付けた、第1、及び第2の未加硫帯状カーカスプライ素材の両端部を接合する外側接合手段40と、第1の成型ドラム20Aの中心軸線m1に沿って進退変位して、この成型ドラム上で接合された第1の円筒状カーカスプライ素材を外周面側から保持する移載手段50と、を備えるものである。そして移載手段50にて、第1の円筒状カーカスプライ素材を保持した状態で、その移載手段50を、回動変位後の第2の円筒状カーカスプライ素材を巻付けた第2の成型ドラム20Bに向けて進出変位させて、第1の円筒状カーカスプライ素材の内側に第2の円筒状カーカスプライ素材を圧着させることで、内外2層の円筒状カーカスプライ素材を備えてなるカーカスバンドを成型する。
ここで、本発明に従うカーカスバンド成型システムのドラム支持手段30は、上述したように、各成型ドラムを、供給手段10に隣接する位置と離隔する位置との間で回動変位させるように構成するものの他、例えばそれぞれの成型ドラムを回転可能に支持する台車を、オーバル型のエンドレス移動経路上に駆動走行するように配設するものであってもよい。また、ドラム支持手段30は、垂直面内で各成型ドラムを回動変位させる(中心軸線m1、m2と軸線Mが平行)ものに限られず、各成型ドラムを水平面内で回動変位させる(中心軸線m1、m2に対して軸線Mが直交)もの等、各成型ドラムを、供給手段10に隣接する位置と離隔する位置との間で変位させることができるものであれば、特に限定されない。
【0019】
次に、上述したカーカスバンド成型システムの供給手段10について詳細に説明する。
供給手段10は、第1、及び第2の未加硫帯状カーカスプライ素材のそれぞれを、対応する第1、及び第2の成型ドラム20A、20Bに対して交互に供給するものであり、図1に示す例では、長尺状の第1のカーカスプライ素材WT1を載置する長尺素材用テーブル11aと、長尺状の第2のカーカスプライ素材WT2を載置する長尺素材用テーブル11bとを、昇降変位可能に上下に配設するとともに、これら長尺素材用テーブル11a、11bの搬送先側に、帯状素材用テーブル12、搬送手段13、切断刃14を、それぞれ1個ずつ設けている。なお、本実施形態において搬送先側とは、長尺素材用テーブル11a、11bから帯状素材用テーブル12に向かう側をいい、逆方向を搬送元側という。また、第1、及び第2の未加硫帯状カーカスプライ素材は、内部に配設されるコードの種類や延在する向き、及びコードを被覆するゴムの種類が相互に異なるものであっても、また同一であってもよく、所期するカーカスバンドに応じて適宜選択できる。
【0020】
また、長尺素材用テーブル11a、11bの搬送元側には、図示は省略するが、長尺状の第1、及び第2のカーカスプライ素材WT1、WT2のそれぞれを巻付けた、ロール状の第1、及び第2のカーカスプライ素材のそれぞれが、その中心軸線周りに回転可能に支持されている。そして、これも図示を省略する、例えばモータ等の作用下で、ロール状の第1、及び第2のカーカスプライ素材のそれぞれから、長尺状の第1、及び第2のカーカスプライ素材WT1、WT2を、搬送先側に向けて間欠的に繰出すこととする。
【0021】
そして、長尺素材用テーブル11a、11bは、図示は省略するが、例えば上下方向に延在する直線状のガイドレール、及びこれに案内される昇降スライダーを設け、さらに昇降スライダーを、例えばラックとピニオンとの組み合わせになるものや、ボールねじとモータとの組み合わせによるものや、シリンダーからなるものにて駆動させる昇降駆動手段によって、昇降変位可能に配設されている。これにより、昇降駆動手段の作用下で、供給すべき第1、及び第2の成型ドラム20A、20Bに対し、その成型ドラムに対応する長尺素材用テーブル11a、11bの何れか一方を、それの上面が帯状素材用テーブル12の上面と同一高さになるように昇降変位させる。なお、本実施形態において、上述した昇降変位の他、以下に説明する進退変位可能に設けられているものは、上述した昇降駆動手段に準じた構成となるものであるため、以下については説明を省略する。
【0022】
そしてまた、図1、図3(a)に示すように、搬送手段13は、長尺状の第1、及び第2のカーカスプライ素材WT1、WT2の搬送先側の端部を、例えば負圧吸引することによって保持するとともに、長尺素材用テーブル11a、11bから帯状素材用テーブル12を経て、回動変位する成型ドラムの、上述した供給手段10に隣接する位置に至る間を進退変位可能に、かつ昇降変位可能に設けられている搬送先側保持部13aと、切断刃14によって所要の長さに切断された、第1、及び第2の未加硫帯状カーカスプライ素材の搬送元側の端部を保持するとともに、搬送先側保持部13aと同様に、進退変位可能に、かつ昇降変位可能に設けられている搬送元側保持部13bとを備えている。
【0023】
そして、切断刃14は、図3(a)に示すように、長尺素材用テーブル11a、11bと帯状素材用テーブル12との間に配設されるものであり、また、図3(b)に示すように、2個の切断刃部分14a、14bからなるものである。ここで切断刃14は、帯状素材用テーブル12の上面を超える位置まで上昇するように昇降変位可能であり、また、各切断刃部分14a、14bは、長尺状の第1、及び第2のカーカスプライ素材WT1、WT2の幅方向に沿って、それぞれが互いに逆向きに走行するように設けられている。
なお、図4に示すように、長尺状の第1、及び第2のカーカスプライ素材WT1、WT2は、切断刃14の上昇変位に伴って、切り込まれつつ持ち上げられるが、搬送元側保持部13bの搬送元側に設けた支持壁部13cが、このカーカスプライ素材の上面に当接して位置ずれなく支持するので、カーカスプライ素材を所期した位置で切断することができる。
これにより、長尺素材用テーブル11a、11bと帯状素材用テーブル12との間に跨がって載置される長尺状の第1、及び第2のカーカスプライ素材WT1、WT2は、切断刃14、及び支持壁部13cの作用下で、所要の長さの第1、及び第2の未加硫帯状カーカスプライ素材に切断されて、図5に示すように、この第1、及び第2の未加硫帯状カーカスプライ素材WS1、WS2は、搬送先側保持部13a、及び搬送元側保持部13bの作用下で、その搬送先側の端部1s、2s、及び搬送元側の端部1e、2eが保持されて、対応する第1、及び第2の成型ドラム20A、20Bに供給される。
【0024】
次に、第1、及び第2の成型ドラム20A、20B、ドラム支持手段30、並びに外側接合手段40について詳細に説明する。
図1に示すように、第1、及び第2の成型ドラム20A、20Bは、それぞれ少なくとも1個設けられるものであり、図2に示す例においてドラム支持手段30は、その軸線Mに対して各成型ドラム20A、20Bを、それぞれ等しい距離だけオフセットさせるとともに、各成型ドラム20A、20Bを、それらの中心軸線m1及びm2の周りに、それぞれ回転可能に、かつ相互に平行に支持するものである。さらにドラム支持手段30は、軸線M周りに回動可能に支持されており、図示を省略する、例えばモータ等の作用下で、第1の成型ドラム20Aと第2の成型ドラム20Bとを、供給手段10に隣接する位置と離隔する位置との間で回動変位させることができる。なお、第1、及び第2の成型ドラム20A、20Bを複数個設ける場合は、第1、及び第2の成型ドラム20A、20Bを、それぞれ1〜複数個単位で軸線M周りに交互に配設し、かつそれぞれの成型ドラム間の中心角度が均等となるように設けることが好ましい。
また、外側接合手段40は、成型ドラムの何れか一方の位置に対応させて配設されて、その成型ドラムの中心軸線に対して垂直方向に進退変位可能に設けられるものであり、図1に示す例では、供給手段10から離隔する位置に配設されて、その離隔する位置に変位された第2の成型ドラム20Bの中心軸線に対して垂直方向(図示の例では上下方向)に昇降変位する。なお、外側接合手段40は、成型ドラム上に巻付けた未加硫帯状カーカスプライ素材の巻付け開始端部上に、巻付け終了端部を重ね合わせて接合させるものであってもよいが、例えばタイヤのユニフォミティを向上させることができる点で、両端部の端面を突き合わせ接合させるものであることが好ましい。
【0025】
そして、図6にその詳細を示す、第1、及び第2の成型ドラム20A、20Bは、円周方向で複数個に分割されたセグメント21A、21Bを備えるとともに、それらセグメント21A、21Bを、図示は省略するが、例えばそれぞれの成型ドラムの軸線方向に沿いながら半径方向外側に向かって斜めに傾斜したガイドレール、及びこれに案内される傾斜スライダーを設け、さらに傾斜スライダーを、上述した昇降駆動手段と同様にして駆動させる第1、及び第2のセグメント変位手段に連結したものであり、これにより、第1、及び第2のセグメント変位手段の作用下で、セグメント21A、21Bを半径方向内外に進退変位させて、第1、及び第2の成型ドラム20A、20Bの外周面を拡縮径させる。
【0026】
また、第1、及び第2の成型ドラム20A、20Bは、搬送先側保持部13a、及び搬送元側保持部13bによって供給された、第1、及び第2の未加硫帯状カーカスプライ素材WS1、WS2の搬送先側の端部1s、2sを、例えば負圧吸引する吸着パッドVによって保持する巻付け開始側吸着部22A、22Bと、その搬送元側の端部1e、2eを、巻付け開始側吸着部22A、22Bと同様にして保持する巻付け終了側吸着部23A、23Bとを備えていて、第1、及び第2の未加硫帯状カーカスプライ素材WS1、WS2を第1、及び第2の成型ドラム20A、20Bの外周面に巻付ける際のセットずれが有効に防止される。図示の例で、巻付け開始側吸着部22A、22B、及び巻付け終了側吸着部23A、23Bは、互いに対向する部位が突出する形状となっており、上述したそれぞれのセグメント変位手段と連携した、或いは単独の変位手段の作用下で、半径方向内外に進退変位する。
これにより、供給手段10から供給された第1、及び第2の未加硫帯状カーカスプライ素材WS1、WS2の搬送先側の端部1s、2sを、対応する第1、及び第2の成型ドラム20A、20Bの巻付け開始側吸着部22A、22Bの作用下で保持しておき、第1、及び第2の成型ドラム20A、20Bを、その軸線周りに回転させて、搬送元側の端部1e、2eを、図8に示すように、巻付け終了側吸着部23A、23Bにて保持することで、第1、及び第2の未加硫帯状カーカスプライ素材WS1、WS2を、第1、及び第2の成型ドラム20A、20Bの外周面上に巻付ける。
【0027】
そして、図6〜図9に示すように、巻付け開始側吸着部22A、22Bと、巻付け終了側吸着部23A、23Bとの間には、外側接合手段40との協働によって、第1、及び第2の未加硫帯状カーカスプライ素材WS1、WS2の両端部の端面を突き合わせ接合させるための、内側接合手段24A、24Bを設けることが好ましい。
ここで、内側接合手段24A、24Bは、半径方向外側に向けて進出変位可能な突出部25A、25Bと、この突出部25A、25Bを挟んで周方向両側に位置する一対の内側引き寄せ爪26A、26Bとを備えるものであり、内側接合手段24A、24Bと対向する外側接合手段40は、一対の外側引き寄せ爪41を備えるものである。
図示の例で、ピン状となる突出部25A、25Bは、第1、及び第2の成型ドラム20A、20Bの中心軸線方向に所要の間隔をおいて複数個設けられており、また、一対の内側引き寄せ爪26A、26Bは、第1、及び第2の成型ドラム20A、20Bの中心軸線方向に所要の間隔をおいて、交互に、対向して配設されていて、ヒンジピンpを中心に、一方側の内側引き寄せ爪26A、26Bが、他方側の内側引き寄せ爪26A、26Bに倒れる向きに揺動可能に設けられている。また、一対の外側引き寄せ爪41も、第1、及び第2の成型ドラム20A、20Bの中心軸線と対応する方向に、所要の間隔をおいて、交互に、対向して配設されていて、ヒンジピンpを中心に、一方側の外側引き寄せ爪41が、他方側の外側引き寄せ爪41に倒れる向きに揺動可能に設けられている。
【0028】
さらに、図6に示すように内側接合手段24A、24Bに対して、第1、及び第2の成型ドラム20A、20Bの中心軸線を挟んで対向する位置に配設されたセグメント21A、21Bに、例えば負圧吸引する吸着パッドVを設けて、第1、及び第2の未加硫帯状カーカスプライ素材WS1、WS2の円周方向中間部も保持することが好ましい。なお、図示の例のように、内側接合手段24A、24Bに対向する位置にセグメント21A、21Bが存在しない場合は、図示のようにその両側、或いは、図示は省略するが、何れか一方のセグメント21A、21Bに設けることとする。
これにより、第1、及び第2の成型ドラム20A、20Bの縮径姿勢下で、その外周面上に巻付けた第1、及び第2の未加硫帯状カーカスプライ素材WS1、WS2の円周方向中間部が、セグメント21A、21Bから大きく離隔することによる、例えば成型ドラムからカーカスプライ素材が脱落する等の不具合を、有効に防止することができる上、第1、及び第2の未加硫帯状カーカスプライ素材WS1、WS2を第1、及び第2の成型ドラム20A、20Bの外周面に巻付ける際のセットずれも有効に防止される。
【0029】
ここで、上述した第2のセグメント変位手段は、図示を省略する例えばカム等による切り替え機構によって半径方向内外に変位させるセグメントを選択して、複数個のセグメント21Bの一部のみを、半径方向内側に変位させるものであることが好ましい。すなわち、第2の成型ドラム20Bは、複数個のセグメント21Bの全てを半径方向内外に変位させることができ、また、例えば切り替え機構の作用下で、それらのセグメント21Bの一部のみを半径方向内側に変位させることができる。これにより、後述するように、第2の成型ドラム20Bの全てのセグメント21Bを半径方向外側に変位させて第2の未加硫帯状カーカスプライ素材WS2を巻付けておき、その後、全てのセグメント21Bを半径方向内側に変位させることで、両端部の突き合わせ接合を確実に行うことができる。また、セグメント21Bの一部のみを半径方向内側に変位させることで、第2の円筒状カーカスプライ素材を、縮径変形させることができるので、移載手段を進出変位させる際の、第1の円筒状カーカスプライ素材と第2の円筒状カーカスプライ素材との意図しない接触(衝突)を有効に防止することができる。しかも、第2の円筒状カーカスプライ素材の縮径量は、必要分だけに抑えてられているので、過剰に変形させてしまうことがない。
そして、この場合、図10に示すように、第2の未加硫帯状カーカスプライ素材WS2を保持する保持手段として、例えば負圧吸引する吸着パッドVを、複数個のセグメント21Bに、1〜複数個単位で交互に設け(図11の例では1個単位で交互に設けている)、この保持手段を設けたセグメント21Bのみを半径方向内側に変位させる場合は、第2の成型ドラム20B上に巻付けた第2の未加硫帯状カーカスプライ素材WS2を、円周方向に等間隔で、かつ保持手段の作用下で確実に縮径させることができるので、第1、及び第2の円筒状カーカスプライ素材を圧着するにあたって、それらカーカスプライ素材同士が意図せず接触するおそれを、より確実に取り除くことができる。
なお、図11に示すように、保持手段を1個ずつ交互に設けるにあたって、セグメント21Bが偶数個である場合は、図示の例のように、保持手段を設けたセグメント21B同士が隣り合っていても、また、図示は省略するが、保持手段を設けていないセグメント21B同士が隣り合っていても、それら隣り合うセグメント21Bが1組であれば、保持手段を交互に設けているものとする。
【0030】
次に、移載手段50について詳細に説明する。
移載手段50は、第1の成型ドラム20A上で接合された第1の円筒状カーカスプライ素材を、第1の成型ドラム20Aから取り外して外周面側から保持するとともに、ドラム支持手段30の回動変位後、第1の円筒状カーカスプライ素材を保持したまま、第2の成型ドラム20Bに向けて進出変位して、この第2の成型ドラム20B上で接合された第2の円筒状カーカスプライ素材を、第1の円筒状カーカスプライ素材の内側に圧着させるものである。
【0031】
ここで、図12に示す移載手段50は、環状の基部51a、及びこの基部51aから下方に突出させて設けた脚部51bを備えてなる保持部51と、その保持部51を、第1の成型ドラム20Aの中心軸線に沿って進退変位させる搬送部52とを備える。
【0032】
そして、保持部51は、基部51aの内周側に、例えば負圧吸引する吸着パッド(図示の例では4個)を備える吸着部53を、周方向に間隔をおいて複数個(図示の例では6個)備えており、これらの各吸着部53は、基部51aに取り付けられて各吸着部53に連結された、例えばシリンダーからなる吸着部進退変位手段54の作動に基づいて基部51の半径方向内外側へ進退変位する。これにより、各吸着部53の半径方向内側への進出姿勢下で、それら吸着部53を作用させて、第1の円筒状カーカスプライ素材を外周面側から保持する。
【0033】
なお、例えば、図12に示すように、保持部51を昇降変位させる昇降手段55や、この保持部51を、垂直面において昇降方向と直交する向きに変位させる横行手段56を設ける場合は、例えばカーカスバンド成型システムの設置時における保持部51と各成型ドラムとの芯出し調整を、効率よく行うことができる。
【0034】
上記のように構成されるカーカスバンド成型システムを用いて、内外2層の円筒状カーカスプライ素材を備えてなるカーカスバンドを成型するにあたっては、まず、図3(a)に示すように、長尺状の第1のカーカスプライ素材WT1用の長尺素材用テーブル11aを、帯状素材用テーブル12と同一高さに変位させておくとともに、搬送先側保持部13aを、長尺状の第1のカーカスプライ素材WT1の搬送先側の端部1s上に変位させておく。
【0035】
次いで、搬送先側保持部13aで、長尺状の第1のカーカスプライ素材WT1の搬送先側の端部1sを保持し、図示しないロール状の第1のカーカスプライ素材を間欠的に繰出しつつ、搬送先側保持部13aを、所定の移動量でもって進出変位させて、長尺状の第1のカーカスプライ素材WT1を、帯状素材用テーブル12と長尺素材用テーブル11aとの間に跨がらせて載置するとともに、図4に示すように、搬送元側保持部13bを、支持壁部13cが切断刃14上に位置するところまで進出変位させ、さらに長尺状の第1のカーカスプライ素材WT1に向けて下降変位させる。
【0036】
その後、切断刃14の上昇姿勢下で、切断刃部分14a、14bを、長尺状の第1のカーカスプライ素材WT1の幅方向に沿って、それらを互いに逆向きに走行させて、長尺状の第1のカーカスプライ素材WT1を所定長さに切断する。
【0037】
しかる後、搬送先側の端部1sを搬送先側保持部13aで保持するとともに、図5に示すように、搬送元側の端部1eを搬送元側保持部13bで保持した状態で、第1の未加硫帯状カーカスプライ素材WS1を、全てのセグメント21Bを半径方向外側に変位させた第1の成型ドラム20A上に進出変位させる。
【0038】
次いで、図6に示すように、搬送先側の端部1sを、第1の成型ドラム20Aの巻付け開始側吸着部22Aにて保持する一方、搬送先側保持部13aでの保持を開放し、その後、図7に示すように、第1の成型ドラム20Aを、その中心軸線周りに回転(図示の例では反時計回りに回転)させて、第1の未加硫帯状カーカスプライ素材WS1を第1の成型ドラム20A上に巻付ける。なお、搬送元側保持部13bで保持した搬送元側の端部1eは、搬送先側保持部13aでの保持の開放とともに、搬送元側保持部13bから開放してもよいが、搬送元側保持部13bでの保持下で、第1の成型ドラム20Aの回転に伴って、この搬送元側保持部13bを進出変位させることにより、巻付け中も保持するようにしてもよい。
【0039】
しかる後、搬送元側保持部13bでの保持を開放した搬送元側の端部1eを、第1の成型ドラム20Aの巻付け終了側吸着部23Aで保持することで、端部1sの端面と、端部1eの端面とを、内側接合手段24Aを挟んで概ね対向した状態にした後、突出部25Aを半径方向外側に進出変位させる。その後、ドラム支持手段30の作用下で、図8に示すように第1の成型ドラム20Aを、外側接合手段40を配設した側に回動変位させる。
【0040】
その後、吸着パッドVの作用下で第1の未加硫帯状カーカスプライ素材WS1を保持したまま、全てのセグメント21Bを半径方向内側に変位させることで、第1の成型ドラム20A上に巻付けた第1の未加硫帯状カーカスプライ素材WS1の長さに余剰分を生じさせる。これにより、図9(a)に示すように、巻付け開始側吸着部22Aに保持された搬送先側の端部1sと、巻付け終了側吸着部23Aにて保持された搬送元側の端部1eとの間に、半径方向外側に凸となる撓み部Tが形成される。なお、第1の成型ドラム20Aの縮径変位は、突出部25Aの進出姿勢下で行われるので、撓み部Tを形成しても搬送先側の端部1sと搬送元側の端部1eとが相互に重なることがない。
【0041】
しかる後、突出部25Aを、図9(b)に示すように、半径方向内側へ後退変位させるに併せて、外側接合手段40を、図に矢印で示すように下降変位させて、撓み部Tの外表面及び内表面のそれぞれに、外側引き寄せ爪41及び内側引き寄せ爪26Aのそれぞれを当接させる。
【0042】
その後、外側接合手段40をさらに下降変位させて、外側引き寄せ爪41及び内側引き寄せ爪26Aのそれぞれを、ヒンジピンp周りに揺動させることで、端部1sの端面と端部1eの端面とを、相互に強固に圧着させて、第1の未加硫帯状カーカスプライ素材WS1を円筒状に突き合わせ接合する。
一方、第2の成型ドラム20Bにおいては、第2の未加硫帯状カーカスプライ素材WS2を供給手段から供給するとともに、これを第2の成型ドラム20B上に巻付ける工程を、上述した第1の未加硫帯状カーカスプライ素材WS1の両端部を接合する工程と同時に進めることができる。
【0043】
しかる後、ドラム支持手段30の回動により、第1の円筒状カーカスプライ素材を備える第1の成型ドラム20Aを、図1に示す、供給手段10に隣接する位置に変位させ、続いて、第1の成型ドラム20Aの中心軸線m1に沿って、移載手段50を進出変位させる。その後は、移載手段50の吸着部53の半径方向内側への進出姿勢下で、それら吸着部53を作用させるとともに第1の成型ドラム20Aを拡径変位させて、第1の円筒状カーカスプライ素材を吸着部53で保持し、さらに、第1の成型ドラム20Aを縮径変位させるとともに移載手段50を後退変位させて、第1の円筒状カーカスプライ素材を、第1の成型ドラム20Aから取り外して移載手段50にて保持する。
一方、第2の成型ドラム20Bにおいては、第2の未加硫帯状カーカスプライ素材WS2の両端部を突き合わせ接合する工程を、上述した第1の円筒状カーカスプライ素材を移載手段50で取り出す工程と同時に進めることができる。これにより、内外2層の円筒状カーカスプライ素材をともに突き合わせ接合するカーカスバンドを成型することができる。
なお、移載手段50にて第1の円筒状カーカスプライ素材を取り外した後、第1の成型ドラム20Aにおいては、次に成型する第1の円筒状カーカスプライ素材用として、新たな第1の未加硫帯状カーカスプライ素材WS1をその外周面に巻付けることが好ましい。
【0044】
その後、ドラム支持手段30を回動させて、第2の円筒状カーカスプライ素材を備える第2の成型ドラム20Bを、供給手段10に隣接する位置に変位させ、続いて、第1の円筒状カーカスプライ素材を保持した移載手段50を、第2の成型ドラム20Bに向けて進出変位させる。
ここで、セグメント21Bの一部のみを半径方向内側に変位させる場合は、第2の円筒状カーカスプライ素材を縮径変位させることができるので、移載手段を進出変位させる際の、第1の円筒状カーカスプライ素材と第2の円筒状カーカスプライ素材との意図しない接触を有効に防止することができる。しかも、第2の円筒状カーカスプライ素材の縮径量は、必要分だけに抑えてられているので、過剰に変形させてしまうことがない。
特に、吸着パッドVを複数個のセグメント21Bに対して交互に設け、この吸着パッドVを設けたセグメント21Bのみを半径方向内側に変位させる場合は、第2の円筒状カーカスプライ素材を、円周方向に等間隔で、かつ保持手段の作用下で確実に縮径させることができるので、第1の円筒状カーカスプライ素材と第2の円筒状カーカスプライ素材との衝突のおそれを確実に取り除くことができる。
【0045】
しかる後、第2の成型ドラム20Bを拡径変位することで、第1の円筒状カーカスプライ素材の内側に、第2の円筒状カーカスプライ素材を圧着させることで、内外2層の円筒状カーカスプライ素材を備えるカーカスバンドが成型される。
なお、第1の成型ドラム20Aにおいては、新たに巻付けた第1の未加硫帯状カーカスプライ素材WS1の両端面の突き合わせ接合を進めておくことができる。
【0046】
そして、その後は、第2の成型ドラム20Bの全てのセグメント21Bを半径方向外側に変位させるとともに、移載手段50を後退変位させ、この移載手段50が保持するカーカスバンドを、図示しない、例えばインナーライナーを巻付けたバンドドラムに受け渡すとともに、新たな第2の未加硫帯状カーカスプライ素材WS2を、第2の成型ドラム20Bの外周面に巻付ける。
【0047】
しかる後、ドラム支持手段30を回動させると、既に第1の成型ドラム20A上には次の第1の円筒状カーカスプライ素材が成型されているので、そのまま移載手段50を進出変位させることができる。
このように、カーカスバンドを連続して成型する場合には、成型に要する時間をさらに短縮することができる。
【0048】
なお、図1に示す例では、外側接合手段40を、供給手段10から離隔する位置に配設するとともに、移載手段50を、供給手段10に隣接する位置に配設しているが、外側接合手段40を、供給手段10に隣接する位置に配設するとともに、移載手段50を、供給手段10から離隔する位置に設けてもよい。
この場合、供給手段10から供給された第1の未加硫帯状カーカスプライ素材WS1を、第1の成型ドラム20Aの外周面に巻付けた後、その両端部を接合することで、第1の円筒状カーカスプライ素材が形成される。その後、ドラム支持手段30を回動させることで、供給手段10から離隔する位置に変位した第1の成型ドラム20Aに対し、移載手段50の作用下で、第1の円筒状カーカスプライ素材を、第1の成型ドラム20Aから取り外して移載手段50に保持させる。一方、第2の成型ドラム20Bにおいては、第1の円筒状カーカスプライ素材を移載手段50で取り出す工程を進める間に、供給手段10から供給された第2の未加硫帯状カーカスプライ素材WS2を巻付けて、その両端部を接合する工程を、同時に進めることができる。
【符号の説明】
【0049】
10 供給手段
20A 第1の成型ドラム
20B 第2の成型ドラム
21A、21B セグメント
22A、22B 巻付け開始側吸着部
23A、23B 巻付け終了側吸着部
24A、24B 内側接合手段
26A、26B 内側引き寄せ爪
30 ドラム支持手段
40 外側接合手段
41 外側引き寄せ爪
50 移載手段
m1、m2 成型ドラムの中心軸線
M 軸線
V 吸着パッド(保持手段)
WT1 長尺状の第1のカーカスプライ素材
WT2 長尺状の第2のカーカスプライ素材
WS1 第1の未加硫帯状カーカスプライ素材
WS2 第2の未加硫帯状カーカスプライ素材
【技術分野】
【0001】
本発明は、未加硫の帯状カーカスプライ素材の両端部を接合した円筒状のカーカスプライ素材を、半径方向の内外に配設して、内外2層の円筒状カーカスプライ素材を備えてなるカーカスバンドを成型するカーカスバンド成型システム、及びこのカーカスバンド成型システムを用いた前記カーカスバンドの成型方法に関するものであり、特に、カーカスバンドの成型に係る時間を短縮して、生産効率を高める技術を提案するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば高い耐久性、或いは高い負荷能力を有するタイヤとして、円筒状のカーカスプライ素材を内外に2層備えるものが知られている。そして、このタイヤを製造する方法としては、特許文献1に記載のように、成型ドラムの外周側に第1カーカス層を巻付けて、その巻付け始端と巻付け終端とを互いに重ね合わせた後、さらに、この第1カーカス層の外周側に第2カーカス層を巻付けて、その巻付け始端と巻付け終端とを接合する方法が、従来から広く一般に採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−277813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の方法は、第1カーカス層の巻付けが完了しなければ第2カーカス層を巻付けることができないため、カーカスバンドを成型するにあたっては、成型ドラム上に第1カーカス層を巻付ける時間と、第1カーカス層上に第2カーカス層を巻付ける時間との両方を加算した時間が最低限必要となっている。一方、カーカスバンドの成型に要する時間を短縮することによって、生産効率を十分に高めたカーカスバンド成型システムの出現が従来から強く求められているものの、上記の方法では十分な時間短縮を図ることは困難であって、このようなカーカスバンド成型システムは未だ実用化には至っていないのが現状であった。
【0005】
本発明の課題は、内外2層の円筒状カーカスプライ素材を備えてなるカーカスバンドを成型するにあたり、成型に要する時間を十分に短縮できて高い生産効率を得ることができるカーカスバンド成型システム、及びこのカーカスバンド成型システムを用いたカーカスバンドの成型方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、未加硫の帯状カーカスプライ素材の両端部を接合した円筒状のカーカスプライ素材を、半径方向の内外に配設して、内外2層の円筒状カーカスプライ素材を備えてなるカーカスバンドを成型するカーカスバンド成型システムであって、
半径方向外側に配設される第1の円筒状カーカスプライ素材、及び半径方向内側に配設される第2の円筒状カーカスプライ素材のそれぞれを成型するための、第1及び第2の未加硫帯状カーカスプライ素材を供給する供給手段を設け、
第1及び第2のそれぞれの円筒状カーカスプライ素材を成型する、拡縮径可能な第1及び第2の、それぞれ少なくとも1個の成型ドラムを、各成型ドラムの中心軸線周りに回転可能に支持するとともに、前記供給手段に隣接する位置と離隔する位置との間で変位させるドラム支持手段を設け、
成型ドラムの中心軸線に対する垂直方向への進出姿勢下で、成型ドラムの周りに供給された第1及び第2の未加硫帯状カーカスプライ素材の両端部を接合する外側接合手段を、成型ドラムの何れか一方の前記位置に対応させて配設するとともに、
成型ドラムの中心軸線に沿って進退変位して、第1の成型ドラム上で円筒状に成型された第1の円筒状カーカスプライ素材を外周面側から保持する移載手段を、成型ドラムの他方の前記位置に対応させて配設してなるカーカスバンド成型システムにある。
【0007】
かかるカーカスバンド成型システムにおいて、前記ドラム支持手段は、第1及び第2の、それぞれ少なくとも1個の成型ドラムを、軸線に対してともに等しい距離だけオフセットさせて相互に平行に支持するとともに、それぞれの成型ドラムを、前記軸線の周りで回動変位させるものであることが好ましい。
【0008】
また、かかるカーカスバンド成型システムにおいて、前記第1及び第2の成型ドラムは、前記外側接合手段に対向する内側接合手段をそれぞれ有し、前記外側接合手段及び内側接合手段のそれぞれは、成型ドラムの周りに供給された未加硫帯状カーカスプライ素材の両端部のそれぞれを、円周方向に相互に引き寄せて、該未加硫帯状カーカスプライ素材の両端面を突き合わせ接合する、外側引き寄せ爪及び内側引き寄せ爪を備えることが好ましい。
【0009】
そして、前記第2の成型ドラムは、円周方向で複数個に分割されたセグメントの一部のみを半径方向内側に変位させる第2のセグメント変位手段を備えることが好ましい。
【0010】
そしてまた、第2の未加硫帯状カーカスプライ素材を保持する保持手段を、複数個のセグメントに対して周方向に交互に設けるとともに、前記第2のセグメント変位手段にて、該保持手段を設けたセグメントのみを半径方向内側に変位させることが好ましい。
【0011】
かかるカーカスバンド成型システム用いて、内外2層の円筒状カーカスプライ素材を備えてなるカーカスバンドの成型方法は、
供給手段の作動下で供給される第1の未加硫帯状カーカスプライ素材を、第1の成型ドラムの外周面に巻付けた後、第1の成型ドラムを、外側接合手段に対応する位置への変位下で、該外側接合手段を進出変位させて、第1の成型ドラムの外周面に巻付けた第1の未加硫帯状カーカスプライ素材の両端部を接合し、
次いで、ドラム支持手段の作動下で、外側接合手段から離隔する位置に変位した第1の成型ドラムに対し、移載手段の進出姿勢下で、該第1の円筒状カーカスプライ素材を外周面側から保持した後、移載手段を後退変位させる一方、供給手段の作動下で供給された後、第2の成型ドラムの外周面に巻付けた第2の未加硫帯状カーカスプライ素材の両端部を、外側接合手段に対応する位置に変位させて、該外側接合手段の進出姿勢下で該両端部を接合し、
しかる後、ドラム支持手段の作動下で、外側接合手段から離隔する位置に変位した第2の成型ドラムに対し、第1の円筒状カーカスプライ素材を保持した移載手段を進出変位させて、第2の成型ドラム上の第2の円筒状カーカスプライ素材を、該第1の円筒状カーカスプライ素材の内側に圧着させる、にある。
【発明の効果】
【0012】
本発明のカーカスバンド成型システム、及び上記のカーカスバンド成型システムを用いたカーカスバンドの成型方法によれば、第1の成型ドラム上で接合された第1の円筒状カーカスプライ素材を移載手段で取り出す工程と、第2の成型ドラム上に巻付けた第2の未加硫帯状カーカスプライ素材の両端部を外側接合手段で接合する工程とを、同時に進めることができるので、カーカスバンドの成型に係る時間を大幅に短縮することができる。
【0013】
このカーカスバンド成型システムにおいて、ドラム支持手段を、第1及び第2の、それぞれ少なくとも1個の成型ドラムを、軸線に対してともに等しい距離だけオフセットさせて相互に平行に支持するとともに、それぞれの成型ドラムを、軸線の周りで回動させるように設ける場合は、ドラム支持手段の構成を簡素化することができる。
【0014】
第1及び第2の成型ドラムのそれぞれに、外側接合手段に対向する内側接合手段を設け、外側接合手段及び内側接合手段のそれぞれに、外側引き寄せ爪及び内側引き寄せ爪を設ける場合は、これらの成型ドラムの周りに供給された未加硫帯状カーカスプライ素材の両端部のそれぞれを、円周方向に相互に引き寄せることで、この未加硫帯状カーカスプライ素材の両端面を確実に突き合わせ接合することができるので、タイヤの、ユニフォミティの向上を始めとする各種性能の向上に寄与することができる。
【0015】
第2の成型ドラムに、円周方向で複数個に分割されたセグメントの一部のみを半径方向内側に変位させる第2のセグメント変位手段を設ける場合は、第1の円筒状カーカスプライ素材を保持した移載手段を、第2の成型ドラムに向けて進出変位させるにあたって、第2の成型ドラム上の第2の円筒状カーカスプライ素材を縮径変形させることができるので、移載手段を進出変位させる際の、第1の円筒状カーカスプライ素材と第2の円筒状カーカスプライ素材との意図しない接触(衝突)を有効に防止することができる。しかも、その第2の円筒状カーカスプライ素材の縮径量は必要分だけに抑えられているので、過剰に変形させてしまうことがない。
【0016】
第2の未加硫帯状カーカスプライ素材を保持する保持手段を、複数個のセグメントに対し交互に設け、第2のセグメント変位手段にて、保持手段を設けたセグメントのみを半径方向内側に変位させる場合は、第2の成型ドラム上に巻付けた第2の未加硫帯状カーカスプライ素材を、円周方向に等間隔で、かつ保持手段の作用下で確実に縮径させることができるので、移載手段を進出変位させる際の、第1の円筒状カーカスプライ素材と第2の円筒状カーカスプライ素材との衝突のおそれを、確実に取り除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に従うカーカスバンド成型システムの全体を示す、略線側面図である。
【図2】図1に示すカーカスバンド成型システムの、ドラム支持手段周辺を示す略線平面図である。
【図3】図1に示すカーカスバンド成型システムの供給手段を示す、(a)は略線側面図であり、(b)は略線正面図である。
【図4】図3(a)に示す状態から長尺状のカーカスプライ素材を繰出して、長尺素材用テーブルと帯状素材用テーブルの両方に跨がらせて載置した状態を示す略線側面図である。
【図5】所望の長さに切断された未加硫帯状カーカスプライ素材を、搬送手段の機能下で成型ドラムに向けて供給される姿勢で示す略線側面図である。
【図6】図1に示すカーカスバンド成型システムが備える成型ドラムの、側面視での略線断面図である。
【図7】図6に示す成型ドラムを、反時計回りに1回転の手前まで回転させた姿勢で示す略線断面図である。
【図8】図6に示す成型ドラムを、反時計回りに1回転させた姿勢で、外側接合手段とともに示す略線断面図である。
【図9】図8に示す外側接合手段と内側接合手段とを、(a)は成型ドラムの縮径変位下で、撓み部が形成された姿勢で示す略線断面図であり、(b)は外側接合手段を下降変位させた姿勢で示す略線断面図であり、(c)は(b)に示す位置からさらに外側接合手段を下降変位させて、外側引き寄せ爪及び内側引き寄せ爪を機能させた姿勢で示す略線断面図である。
【図10】本発明に従う他の第2の成型ドラムを、外側接合手段とともに示す略線断面図である。
【図11】図10に示す第2の成型ドラムを機能させた姿勢で示す略線断面図である。
【図12】図1に示すカーカスバンド成型システムが備える移載手段の、側面視での略線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明をより具体的に説明する。
まず、本発明に従うカーカスバンド成型システムの全体について説明する。図1、及び図2に示す実施例において、本発明のカーカスバンド成型システムは、カーカスバンドの半径方向外側、及び内側に配設される第1、及び第2の円筒状カーカスプライ素材に関し、それぞれを成型するための第1、及び第2の未加硫帯状カーカスプライ素材を供給する供給手段10と、供給された第1の未加硫帯状カーカスプライ素材をその外周面に巻付ける第1の成型ドラム20A、及び第2の未加硫帯状カーカスプライ素材をその外周面に巻付ける第2の成型ドラム20Bの、それぞれ少なくとも1個の成型ドラムと(図示の例では第1の成型ドラム20A及び第2の成型ドラム20Bを、それぞれ各1個、総計2個設けている)、これら第1、及び第2の成型ドラム20A、20Bの両方を、各成型ドラムの中心軸線m1、m2周りに回転可能に支持するとともに、これらの成型ドラムを、供給手段10に隣接する位置と離隔する位置との間で回動変位させるドラム支持手段30と、第1、及び第2の成型ドラム20A、20B上に巻付けた、第1、及び第2の未加硫帯状カーカスプライ素材の両端部を接合する外側接合手段40と、第1の成型ドラム20Aの中心軸線m1に沿って進退変位して、この成型ドラム上で接合された第1の円筒状カーカスプライ素材を外周面側から保持する移載手段50と、を備えるものである。そして移載手段50にて、第1の円筒状カーカスプライ素材を保持した状態で、その移載手段50を、回動変位後の第2の円筒状カーカスプライ素材を巻付けた第2の成型ドラム20Bに向けて進出変位させて、第1の円筒状カーカスプライ素材の内側に第2の円筒状カーカスプライ素材を圧着させることで、内外2層の円筒状カーカスプライ素材を備えてなるカーカスバンドを成型する。
ここで、本発明に従うカーカスバンド成型システムのドラム支持手段30は、上述したように、各成型ドラムを、供給手段10に隣接する位置と離隔する位置との間で回動変位させるように構成するものの他、例えばそれぞれの成型ドラムを回転可能に支持する台車を、オーバル型のエンドレス移動経路上に駆動走行するように配設するものであってもよい。また、ドラム支持手段30は、垂直面内で各成型ドラムを回動変位させる(中心軸線m1、m2と軸線Mが平行)ものに限られず、各成型ドラムを水平面内で回動変位させる(中心軸線m1、m2に対して軸線Mが直交)もの等、各成型ドラムを、供給手段10に隣接する位置と離隔する位置との間で変位させることができるものであれば、特に限定されない。
【0019】
次に、上述したカーカスバンド成型システムの供給手段10について詳細に説明する。
供給手段10は、第1、及び第2の未加硫帯状カーカスプライ素材のそれぞれを、対応する第1、及び第2の成型ドラム20A、20Bに対して交互に供給するものであり、図1に示す例では、長尺状の第1のカーカスプライ素材WT1を載置する長尺素材用テーブル11aと、長尺状の第2のカーカスプライ素材WT2を載置する長尺素材用テーブル11bとを、昇降変位可能に上下に配設するとともに、これら長尺素材用テーブル11a、11bの搬送先側に、帯状素材用テーブル12、搬送手段13、切断刃14を、それぞれ1個ずつ設けている。なお、本実施形態において搬送先側とは、長尺素材用テーブル11a、11bから帯状素材用テーブル12に向かう側をいい、逆方向を搬送元側という。また、第1、及び第2の未加硫帯状カーカスプライ素材は、内部に配設されるコードの種類や延在する向き、及びコードを被覆するゴムの種類が相互に異なるものであっても、また同一であってもよく、所期するカーカスバンドに応じて適宜選択できる。
【0020】
また、長尺素材用テーブル11a、11bの搬送元側には、図示は省略するが、長尺状の第1、及び第2のカーカスプライ素材WT1、WT2のそれぞれを巻付けた、ロール状の第1、及び第2のカーカスプライ素材のそれぞれが、その中心軸線周りに回転可能に支持されている。そして、これも図示を省略する、例えばモータ等の作用下で、ロール状の第1、及び第2のカーカスプライ素材のそれぞれから、長尺状の第1、及び第2のカーカスプライ素材WT1、WT2を、搬送先側に向けて間欠的に繰出すこととする。
【0021】
そして、長尺素材用テーブル11a、11bは、図示は省略するが、例えば上下方向に延在する直線状のガイドレール、及びこれに案内される昇降スライダーを設け、さらに昇降スライダーを、例えばラックとピニオンとの組み合わせになるものや、ボールねじとモータとの組み合わせによるものや、シリンダーからなるものにて駆動させる昇降駆動手段によって、昇降変位可能に配設されている。これにより、昇降駆動手段の作用下で、供給すべき第1、及び第2の成型ドラム20A、20Bに対し、その成型ドラムに対応する長尺素材用テーブル11a、11bの何れか一方を、それの上面が帯状素材用テーブル12の上面と同一高さになるように昇降変位させる。なお、本実施形態において、上述した昇降変位の他、以下に説明する進退変位可能に設けられているものは、上述した昇降駆動手段に準じた構成となるものであるため、以下については説明を省略する。
【0022】
そしてまた、図1、図3(a)に示すように、搬送手段13は、長尺状の第1、及び第2のカーカスプライ素材WT1、WT2の搬送先側の端部を、例えば負圧吸引することによって保持するとともに、長尺素材用テーブル11a、11bから帯状素材用テーブル12を経て、回動変位する成型ドラムの、上述した供給手段10に隣接する位置に至る間を進退変位可能に、かつ昇降変位可能に設けられている搬送先側保持部13aと、切断刃14によって所要の長さに切断された、第1、及び第2の未加硫帯状カーカスプライ素材の搬送元側の端部を保持するとともに、搬送先側保持部13aと同様に、進退変位可能に、かつ昇降変位可能に設けられている搬送元側保持部13bとを備えている。
【0023】
そして、切断刃14は、図3(a)に示すように、長尺素材用テーブル11a、11bと帯状素材用テーブル12との間に配設されるものであり、また、図3(b)に示すように、2個の切断刃部分14a、14bからなるものである。ここで切断刃14は、帯状素材用テーブル12の上面を超える位置まで上昇するように昇降変位可能であり、また、各切断刃部分14a、14bは、長尺状の第1、及び第2のカーカスプライ素材WT1、WT2の幅方向に沿って、それぞれが互いに逆向きに走行するように設けられている。
なお、図4に示すように、長尺状の第1、及び第2のカーカスプライ素材WT1、WT2は、切断刃14の上昇変位に伴って、切り込まれつつ持ち上げられるが、搬送元側保持部13bの搬送元側に設けた支持壁部13cが、このカーカスプライ素材の上面に当接して位置ずれなく支持するので、カーカスプライ素材を所期した位置で切断することができる。
これにより、長尺素材用テーブル11a、11bと帯状素材用テーブル12との間に跨がって載置される長尺状の第1、及び第2のカーカスプライ素材WT1、WT2は、切断刃14、及び支持壁部13cの作用下で、所要の長さの第1、及び第2の未加硫帯状カーカスプライ素材に切断されて、図5に示すように、この第1、及び第2の未加硫帯状カーカスプライ素材WS1、WS2は、搬送先側保持部13a、及び搬送元側保持部13bの作用下で、その搬送先側の端部1s、2s、及び搬送元側の端部1e、2eが保持されて、対応する第1、及び第2の成型ドラム20A、20Bに供給される。
【0024】
次に、第1、及び第2の成型ドラム20A、20B、ドラム支持手段30、並びに外側接合手段40について詳細に説明する。
図1に示すように、第1、及び第2の成型ドラム20A、20Bは、それぞれ少なくとも1個設けられるものであり、図2に示す例においてドラム支持手段30は、その軸線Mに対して各成型ドラム20A、20Bを、それぞれ等しい距離だけオフセットさせるとともに、各成型ドラム20A、20Bを、それらの中心軸線m1及びm2の周りに、それぞれ回転可能に、かつ相互に平行に支持するものである。さらにドラム支持手段30は、軸線M周りに回動可能に支持されており、図示を省略する、例えばモータ等の作用下で、第1の成型ドラム20Aと第2の成型ドラム20Bとを、供給手段10に隣接する位置と離隔する位置との間で回動変位させることができる。なお、第1、及び第2の成型ドラム20A、20Bを複数個設ける場合は、第1、及び第2の成型ドラム20A、20Bを、それぞれ1〜複数個単位で軸線M周りに交互に配設し、かつそれぞれの成型ドラム間の中心角度が均等となるように設けることが好ましい。
また、外側接合手段40は、成型ドラムの何れか一方の位置に対応させて配設されて、その成型ドラムの中心軸線に対して垂直方向に進退変位可能に設けられるものであり、図1に示す例では、供給手段10から離隔する位置に配設されて、その離隔する位置に変位された第2の成型ドラム20Bの中心軸線に対して垂直方向(図示の例では上下方向)に昇降変位する。なお、外側接合手段40は、成型ドラム上に巻付けた未加硫帯状カーカスプライ素材の巻付け開始端部上に、巻付け終了端部を重ね合わせて接合させるものであってもよいが、例えばタイヤのユニフォミティを向上させることができる点で、両端部の端面を突き合わせ接合させるものであることが好ましい。
【0025】
そして、図6にその詳細を示す、第1、及び第2の成型ドラム20A、20Bは、円周方向で複数個に分割されたセグメント21A、21Bを備えるとともに、それらセグメント21A、21Bを、図示は省略するが、例えばそれぞれの成型ドラムの軸線方向に沿いながら半径方向外側に向かって斜めに傾斜したガイドレール、及びこれに案内される傾斜スライダーを設け、さらに傾斜スライダーを、上述した昇降駆動手段と同様にして駆動させる第1、及び第2のセグメント変位手段に連結したものであり、これにより、第1、及び第2のセグメント変位手段の作用下で、セグメント21A、21Bを半径方向内外に進退変位させて、第1、及び第2の成型ドラム20A、20Bの外周面を拡縮径させる。
【0026】
また、第1、及び第2の成型ドラム20A、20Bは、搬送先側保持部13a、及び搬送元側保持部13bによって供給された、第1、及び第2の未加硫帯状カーカスプライ素材WS1、WS2の搬送先側の端部1s、2sを、例えば負圧吸引する吸着パッドVによって保持する巻付け開始側吸着部22A、22Bと、その搬送元側の端部1e、2eを、巻付け開始側吸着部22A、22Bと同様にして保持する巻付け終了側吸着部23A、23Bとを備えていて、第1、及び第2の未加硫帯状カーカスプライ素材WS1、WS2を第1、及び第2の成型ドラム20A、20Bの外周面に巻付ける際のセットずれが有効に防止される。図示の例で、巻付け開始側吸着部22A、22B、及び巻付け終了側吸着部23A、23Bは、互いに対向する部位が突出する形状となっており、上述したそれぞれのセグメント変位手段と連携した、或いは単独の変位手段の作用下で、半径方向内外に進退変位する。
これにより、供給手段10から供給された第1、及び第2の未加硫帯状カーカスプライ素材WS1、WS2の搬送先側の端部1s、2sを、対応する第1、及び第2の成型ドラム20A、20Bの巻付け開始側吸着部22A、22Bの作用下で保持しておき、第1、及び第2の成型ドラム20A、20Bを、その軸線周りに回転させて、搬送元側の端部1e、2eを、図8に示すように、巻付け終了側吸着部23A、23Bにて保持することで、第1、及び第2の未加硫帯状カーカスプライ素材WS1、WS2を、第1、及び第2の成型ドラム20A、20Bの外周面上に巻付ける。
【0027】
そして、図6〜図9に示すように、巻付け開始側吸着部22A、22Bと、巻付け終了側吸着部23A、23Bとの間には、外側接合手段40との協働によって、第1、及び第2の未加硫帯状カーカスプライ素材WS1、WS2の両端部の端面を突き合わせ接合させるための、内側接合手段24A、24Bを設けることが好ましい。
ここで、内側接合手段24A、24Bは、半径方向外側に向けて進出変位可能な突出部25A、25Bと、この突出部25A、25Bを挟んで周方向両側に位置する一対の内側引き寄せ爪26A、26Bとを備えるものであり、内側接合手段24A、24Bと対向する外側接合手段40は、一対の外側引き寄せ爪41を備えるものである。
図示の例で、ピン状となる突出部25A、25Bは、第1、及び第2の成型ドラム20A、20Bの中心軸線方向に所要の間隔をおいて複数個設けられており、また、一対の内側引き寄せ爪26A、26Bは、第1、及び第2の成型ドラム20A、20Bの中心軸線方向に所要の間隔をおいて、交互に、対向して配設されていて、ヒンジピンpを中心に、一方側の内側引き寄せ爪26A、26Bが、他方側の内側引き寄せ爪26A、26Bに倒れる向きに揺動可能に設けられている。また、一対の外側引き寄せ爪41も、第1、及び第2の成型ドラム20A、20Bの中心軸線と対応する方向に、所要の間隔をおいて、交互に、対向して配設されていて、ヒンジピンpを中心に、一方側の外側引き寄せ爪41が、他方側の外側引き寄せ爪41に倒れる向きに揺動可能に設けられている。
【0028】
さらに、図6に示すように内側接合手段24A、24Bに対して、第1、及び第2の成型ドラム20A、20Bの中心軸線を挟んで対向する位置に配設されたセグメント21A、21Bに、例えば負圧吸引する吸着パッドVを設けて、第1、及び第2の未加硫帯状カーカスプライ素材WS1、WS2の円周方向中間部も保持することが好ましい。なお、図示の例のように、内側接合手段24A、24Bに対向する位置にセグメント21A、21Bが存在しない場合は、図示のようにその両側、或いは、図示は省略するが、何れか一方のセグメント21A、21Bに設けることとする。
これにより、第1、及び第2の成型ドラム20A、20Bの縮径姿勢下で、その外周面上に巻付けた第1、及び第2の未加硫帯状カーカスプライ素材WS1、WS2の円周方向中間部が、セグメント21A、21Bから大きく離隔することによる、例えば成型ドラムからカーカスプライ素材が脱落する等の不具合を、有効に防止することができる上、第1、及び第2の未加硫帯状カーカスプライ素材WS1、WS2を第1、及び第2の成型ドラム20A、20Bの外周面に巻付ける際のセットずれも有効に防止される。
【0029】
ここで、上述した第2のセグメント変位手段は、図示を省略する例えばカム等による切り替え機構によって半径方向内外に変位させるセグメントを選択して、複数個のセグメント21Bの一部のみを、半径方向内側に変位させるものであることが好ましい。すなわち、第2の成型ドラム20Bは、複数個のセグメント21Bの全てを半径方向内外に変位させることができ、また、例えば切り替え機構の作用下で、それらのセグメント21Bの一部のみを半径方向内側に変位させることができる。これにより、後述するように、第2の成型ドラム20Bの全てのセグメント21Bを半径方向外側に変位させて第2の未加硫帯状カーカスプライ素材WS2を巻付けておき、その後、全てのセグメント21Bを半径方向内側に変位させることで、両端部の突き合わせ接合を確実に行うことができる。また、セグメント21Bの一部のみを半径方向内側に変位させることで、第2の円筒状カーカスプライ素材を、縮径変形させることができるので、移載手段を進出変位させる際の、第1の円筒状カーカスプライ素材と第2の円筒状カーカスプライ素材との意図しない接触(衝突)を有効に防止することができる。しかも、第2の円筒状カーカスプライ素材の縮径量は、必要分だけに抑えてられているので、過剰に変形させてしまうことがない。
そして、この場合、図10に示すように、第2の未加硫帯状カーカスプライ素材WS2を保持する保持手段として、例えば負圧吸引する吸着パッドVを、複数個のセグメント21Bに、1〜複数個単位で交互に設け(図11の例では1個単位で交互に設けている)、この保持手段を設けたセグメント21Bのみを半径方向内側に変位させる場合は、第2の成型ドラム20B上に巻付けた第2の未加硫帯状カーカスプライ素材WS2を、円周方向に等間隔で、かつ保持手段の作用下で確実に縮径させることができるので、第1、及び第2の円筒状カーカスプライ素材を圧着するにあたって、それらカーカスプライ素材同士が意図せず接触するおそれを、より確実に取り除くことができる。
なお、図11に示すように、保持手段を1個ずつ交互に設けるにあたって、セグメント21Bが偶数個である場合は、図示の例のように、保持手段を設けたセグメント21B同士が隣り合っていても、また、図示は省略するが、保持手段を設けていないセグメント21B同士が隣り合っていても、それら隣り合うセグメント21Bが1組であれば、保持手段を交互に設けているものとする。
【0030】
次に、移載手段50について詳細に説明する。
移載手段50は、第1の成型ドラム20A上で接合された第1の円筒状カーカスプライ素材を、第1の成型ドラム20Aから取り外して外周面側から保持するとともに、ドラム支持手段30の回動変位後、第1の円筒状カーカスプライ素材を保持したまま、第2の成型ドラム20Bに向けて進出変位して、この第2の成型ドラム20B上で接合された第2の円筒状カーカスプライ素材を、第1の円筒状カーカスプライ素材の内側に圧着させるものである。
【0031】
ここで、図12に示す移載手段50は、環状の基部51a、及びこの基部51aから下方に突出させて設けた脚部51bを備えてなる保持部51と、その保持部51を、第1の成型ドラム20Aの中心軸線に沿って進退変位させる搬送部52とを備える。
【0032】
そして、保持部51は、基部51aの内周側に、例えば負圧吸引する吸着パッド(図示の例では4個)を備える吸着部53を、周方向に間隔をおいて複数個(図示の例では6個)備えており、これらの各吸着部53は、基部51aに取り付けられて各吸着部53に連結された、例えばシリンダーからなる吸着部進退変位手段54の作動に基づいて基部51の半径方向内外側へ進退変位する。これにより、各吸着部53の半径方向内側への進出姿勢下で、それら吸着部53を作用させて、第1の円筒状カーカスプライ素材を外周面側から保持する。
【0033】
なお、例えば、図12に示すように、保持部51を昇降変位させる昇降手段55や、この保持部51を、垂直面において昇降方向と直交する向きに変位させる横行手段56を設ける場合は、例えばカーカスバンド成型システムの設置時における保持部51と各成型ドラムとの芯出し調整を、効率よく行うことができる。
【0034】
上記のように構成されるカーカスバンド成型システムを用いて、内外2層の円筒状カーカスプライ素材を備えてなるカーカスバンドを成型するにあたっては、まず、図3(a)に示すように、長尺状の第1のカーカスプライ素材WT1用の長尺素材用テーブル11aを、帯状素材用テーブル12と同一高さに変位させておくとともに、搬送先側保持部13aを、長尺状の第1のカーカスプライ素材WT1の搬送先側の端部1s上に変位させておく。
【0035】
次いで、搬送先側保持部13aで、長尺状の第1のカーカスプライ素材WT1の搬送先側の端部1sを保持し、図示しないロール状の第1のカーカスプライ素材を間欠的に繰出しつつ、搬送先側保持部13aを、所定の移動量でもって進出変位させて、長尺状の第1のカーカスプライ素材WT1を、帯状素材用テーブル12と長尺素材用テーブル11aとの間に跨がらせて載置するとともに、図4に示すように、搬送元側保持部13bを、支持壁部13cが切断刃14上に位置するところまで進出変位させ、さらに長尺状の第1のカーカスプライ素材WT1に向けて下降変位させる。
【0036】
その後、切断刃14の上昇姿勢下で、切断刃部分14a、14bを、長尺状の第1のカーカスプライ素材WT1の幅方向に沿って、それらを互いに逆向きに走行させて、長尺状の第1のカーカスプライ素材WT1を所定長さに切断する。
【0037】
しかる後、搬送先側の端部1sを搬送先側保持部13aで保持するとともに、図5に示すように、搬送元側の端部1eを搬送元側保持部13bで保持した状態で、第1の未加硫帯状カーカスプライ素材WS1を、全てのセグメント21Bを半径方向外側に変位させた第1の成型ドラム20A上に進出変位させる。
【0038】
次いで、図6に示すように、搬送先側の端部1sを、第1の成型ドラム20Aの巻付け開始側吸着部22Aにて保持する一方、搬送先側保持部13aでの保持を開放し、その後、図7に示すように、第1の成型ドラム20Aを、その中心軸線周りに回転(図示の例では反時計回りに回転)させて、第1の未加硫帯状カーカスプライ素材WS1を第1の成型ドラム20A上に巻付ける。なお、搬送元側保持部13bで保持した搬送元側の端部1eは、搬送先側保持部13aでの保持の開放とともに、搬送元側保持部13bから開放してもよいが、搬送元側保持部13bでの保持下で、第1の成型ドラム20Aの回転に伴って、この搬送元側保持部13bを進出変位させることにより、巻付け中も保持するようにしてもよい。
【0039】
しかる後、搬送元側保持部13bでの保持を開放した搬送元側の端部1eを、第1の成型ドラム20Aの巻付け終了側吸着部23Aで保持することで、端部1sの端面と、端部1eの端面とを、内側接合手段24Aを挟んで概ね対向した状態にした後、突出部25Aを半径方向外側に進出変位させる。その後、ドラム支持手段30の作用下で、図8に示すように第1の成型ドラム20Aを、外側接合手段40を配設した側に回動変位させる。
【0040】
その後、吸着パッドVの作用下で第1の未加硫帯状カーカスプライ素材WS1を保持したまま、全てのセグメント21Bを半径方向内側に変位させることで、第1の成型ドラム20A上に巻付けた第1の未加硫帯状カーカスプライ素材WS1の長さに余剰分を生じさせる。これにより、図9(a)に示すように、巻付け開始側吸着部22Aに保持された搬送先側の端部1sと、巻付け終了側吸着部23Aにて保持された搬送元側の端部1eとの間に、半径方向外側に凸となる撓み部Tが形成される。なお、第1の成型ドラム20Aの縮径変位は、突出部25Aの進出姿勢下で行われるので、撓み部Tを形成しても搬送先側の端部1sと搬送元側の端部1eとが相互に重なることがない。
【0041】
しかる後、突出部25Aを、図9(b)に示すように、半径方向内側へ後退変位させるに併せて、外側接合手段40を、図に矢印で示すように下降変位させて、撓み部Tの外表面及び内表面のそれぞれに、外側引き寄せ爪41及び内側引き寄せ爪26Aのそれぞれを当接させる。
【0042】
その後、外側接合手段40をさらに下降変位させて、外側引き寄せ爪41及び内側引き寄せ爪26Aのそれぞれを、ヒンジピンp周りに揺動させることで、端部1sの端面と端部1eの端面とを、相互に強固に圧着させて、第1の未加硫帯状カーカスプライ素材WS1を円筒状に突き合わせ接合する。
一方、第2の成型ドラム20Bにおいては、第2の未加硫帯状カーカスプライ素材WS2を供給手段から供給するとともに、これを第2の成型ドラム20B上に巻付ける工程を、上述した第1の未加硫帯状カーカスプライ素材WS1の両端部を接合する工程と同時に進めることができる。
【0043】
しかる後、ドラム支持手段30の回動により、第1の円筒状カーカスプライ素材を備える第1の成型ドラム20Aを、図1に示す、供給手段10に隣接する位置に変位させ、続いて、第1の成型ドラム20Aの中心軸線m1に沿って、移載手段50を進出変位させる。その後は、移載手段50の吸着部53の半径方向内側への進出姿勢下で、それら吸着部53を作用させるとともに第1の成型ドラム20Aを拡径変位させて、第1の円筒状カーカスプライ素材を吸着部53で保持し、さらに、第1の成型ドラム20Aを縮径変位させるとともに移載手段50を後退変位させて、第1の円筒状カーカスプライ素材を、第1の成型ドラム20Aから取り外して移載手段50にて保持する。
一方、第2の成型ドラム20Bにおいては、第2の未加硫帯状カーカスプライ素材WS2の両端部を突き合わせ接合する工程を、上述した第1の円筒状カーカスプライ素材を移載手段50で取り出す工程と同時に進めることができる。これにより、内外2層の円筒状カーカスプライ素材をともに突き合わせ接合するカーカスバンドを成型することができる。
なお、移載手段50にて第1の円筒状カーカスプライ素材を取り外した後、第1の成型ドラム20Aにおいては、次に成型する第1の円筒状カーカスプライ素材用として、新たな第1の未加硫帯状カーカスプライ素材WS1をその外周面に巻付けることが好ましい。
【0044】
その後、ドラム支持手段30を回動させて、第2の円筒状カーカスプライ素材を備える第2の成型ドラム20Bを、供給手段10に隣接する位置に変位させ、続いて、第1の円筒状カーカスプライ素材を保持した移載手段50を、第2の成型ドラム20Bに向けて進出変位させる。
ここで、セグメント21Bの一部のみを半径方向内側に変位させる場合は、第2の円筒状カーカスプライ素材を縮径変位させることができるので、移載手段を進出変位させる際の、第1の円筒状カーカスプライ素材と第2の円筒状カーカスプライ素材との意図しない接触を有効に防止することができる。しかも、第2の円筒状カーカスプライ素材の縮径量は、必要分だけに抑えてられているので、過剰に変形させてしまうことがない。
特に、吸着パッドVを複数個のセグメント21Bに対して交互に設け、この吸着パッドVを設けたセグメント21Bのみを半径方向内側に変位させる場合は、第2の円筒状カーカスプライ素材を、円周方向に等間隔で、かつ保持手段の作用下で確実に縮径させることができるので、第1の円筒状カーカスプライ素材と第2の円筒状カーカスプライ素材との衝突のおそれを確実に取り除くことができる。
【0045】
しかる後、第2の成型ドラム20Bを拡径変位することで、第1の円筒状カーカスプライ素材の内側に、第2の円筒状カーカスプライ素材を圧着させることで、内外2層の円筒状カーカスプライ素材を備えるカーカスバンドが成型される。
なお、第1の成型ドラム20Aにおいては、新たに巻付けた第1の未加硫帯状カーカスプライ素材WS1の両端面の突き合わせ接合を進めておくことができる。
【0046】
そして、その後は、第2の成型ドラム20Bの全てのセグメント21Bを半径方向外側に変位させるとともに、移載手段50を後退変位させ、この移載手段50が保持するカーカスバンドを、図示しない、例えばインナーライナーを巻付けたバンドドラムに受け渡すとともに、新たな第2の未加硫帯状カーカスプライ素材WS2を、第2の成型ドラム20Bの外周面に巻付ける。
【0047】
しかる後、ドラム支持手段30を回動させると、既に第1の成型ドラム20A上には次の第1の円筒状カーカスプライ素材が成型されているので、そのまま移載手段50を進出変位させることができる。
このように、カーカスバンドを連続して成型する場合には、成型に要する時間をさらに短縮することができる。
【0048】
なお、図1に示す例では、外側接合手段40を、供給手段10から離隔する位置に配設するとともに、移載手段50を、供給手段10に隣接する位置に配設しているが、外側接合手段40を、供給手段10に隣接する位置に配設するとともに、移載手段50を、供給手段10から離隔する位置に設けてもよい。
この場合、供給手段10から供給された第1の未加硫帯状カーカスプライ素材WS1を、第1の成型ドラム20Aの外周面に巻付けた後、その両端部を接合することで、第1の円筒状カーカスプライ素材が形成される。その後、ドラム支持手段30を回動させることで、供給手段10から離隔する位置に変位した第1の成型ドラム20Aに対し、移載手段50の作用下で、第1の円筒状カーカスプライ素材を、第1の成型ドラム20Aから取り外して移載手段50に保持させる。一方、第2の成型ドラム20Bにおいては、第1の円筒状カーカスプライ素材を移載手段50で取り出す工程を進める間に、供給手段10から供給された第2の未加硫帯状カーカスプライ素材WS2を巻付けて、その両端部を接合する工程を、同時に進めることができる。
【符号の説明】
【0049】
10 供給手段
20A 第1の成型ドラム
20B 第2の成型ドラム
21A、21B セグメント
22A、22B 巻付け開始側吸着部
23A、23B 巻付け終了側吸着部
24A、24B 内側接合手段
26A、26B 内側引き寄せ爪
30 ドラム支持手段
40 外側接合手段
41 外側引き寄せ爪
50 移載手段
m1、m2 成型ドラムの中心軸線
M 軸線
V 吸着パッド(保持手段)
WT1 長尺状の第1のカーカスプライ素材
WT2 長尺状の第2のカーカスプライ素材
WS1 第1の未加硫帯状カーカスプライ素材
WS2 第2の未加硫帯状カーカスプライ素材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
未加硫の帯状カーカスプライ素材の両端部を接合した円筒状のカーカスプライ素材を、半径方向の内外に配設して、内外2層の円筒状カーカスプライ素材を備えてなるカーカスバンドを成型するカーカスバンド成型システムであって、
半径方向外側に配設される第1の円筒状カーカスプライ素材、及び半径方向内側に配設される第2の円筒状カーカスプライ素材のそれぞれを成型するための、第1及び第2の未加硫帯状カーカスプライ素材を供給する供給手段を設け、
第1及び第2のそれぞれの円筒状カーカスプライ素材を成型する、拡縮径可能な第1及び第2の、それぞれ少なくとも1個の成型ドラムを、各成型ドラムの中心軸線周りに回転可能に支持するとともに、前記供給手段に隣接する位置と離隔する位置との間で変位させるドラム支持手段を設け、
成型ドラムの中心軸線に対する垂直方向への進出姿勢下で、成型ドラムの周りに供給された第1及び第2の未加硫帯状カーカスプライ素材の両端部を接合する外側接合手段を、成型ドラムの何れか一方の前記位置に対応させて配設するとともに、
成型ドラムの中心軸線に沿って進退変位して、第1の成型ドラム上で円筒状に成型された第1の円筒状カーカスプライ素材を外周面側から保持する移載手段を、成型ドラムの他方の前記位置に対応させて配設してなるカーカスバンド成型システム。
【請求項2】
前記ドラム支持手段は、第1及び第2の、それぞれ少なくとも1個の成型ドラムを、軸線に対してともに等しい距離だけオフセットさせて相互に平行に支持するとともに、それぞれの成型ドラムを、前記軸線の周りで回動変位させるものである請求項1に記載のカーカスバンド成型システム。
【請求項3】
前記第1及び第2の成型ドラムは、前記外側接合手段に対向する内側接合手段をそれぞれ有し、前記外側接合手段及び内側接合手段のそれぞれは、成型ドラムの周りに供給された未加硫帯状カーカスプライ素材の両端部のそれぞれを、円周方向に相互に引き寄せて、該未加硫帯状カーカスプライ素材の両端面を突き合わせ接合する、外側引き寄せ爪及び内側引き寄せ爪を備える請求項1又は2に記載のカーカスバンド成型システム。
【請求項4】
前記第2の成型ドラムは、円周方向で複数個に分割されたセグメントの一部のみを半径方向内側に変位させる第2のセグメント変位手段を備えてなる請求項3に記載のカーカスバンド成型システム。
【請求項5】
第2の未加硫帯状カーカスプライ素材を保持する保持手段を、複数個のセグメントに対して周方向に交互に設けるとともに、前記第2のセグメント変位手段にて、該保持手段を設けたセグメントのみを半径方向内側に変位させる請求項4に記載のカーカスバンド成型システム。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載のカーカスバンド成型システムを用いて、内外2層の円筒状カーカスプライ素材を備えてなるカーカスバンドを成型するにあたり、
供給手段の作動下で供給される第1の未加硫帯状カーカスプライ素材を、第1の成型ドラムの外周面に巻付けた後、第1の成型ドラムを、外側接合手段に対応する位置への変位下で、該外側接合手段を進出変位させて、第1の成型ドラムの外周面に巻付けた第1の未加硫帯状カーカスプライ素材の両端部を接合し、
次いで、ドラム支持手段の作動下で、外側接合手段から離隔する位置に変位した第1の成型ドラムに対し、移載手段の進出姿勢下で、該第1の円筒状カーカスプライ素材を外周面側から保持した後、移載手段を後退変位させる一方、供給手段の作動下で供給された後、第2の成型ドラムの外周面に巻付けた第2の未加硫帯状カーカスプライ素材の両端部を、外側接合手段に対応する位置に変位させて、該外側接合手段の進出姿勢下で該両端部を接合し、
しかる後、ドラム支持手段の作動下で、外側接合手段から離隔する位置に変位した第2の成型ドラムに対し、第1の円筒状カーカスプライ素材を保持した移載手段を進出変位させて、第2の成型ドラム上の第2の円筒状カーカスプライ素材を、該第1の円筒状カーカスプライ素材の内側に圧着させる、カーカスバンドの成型方法。
【請求項1】
未加硫の帯状カーカスプライ素材の両端部を接合した円筒状のカーカスプライ素材を、半径方向の内外に配設して、内外2層の円筒状カーカスプライ素材を備えてなるカーカスバンドを成型するカーカスバンド成型システムであって、
半径方向外側に配設される第1の円筒状カーカスプライ素材、及び半径方向内側に配設される第2の円筒状カーカスプライ素材のそれぞれを成型するための、第1及び第2の未加硫帯状カーカスプライ素材を供給する供給手段を設け、
第1及び第2のそれぞれの円筒状カーカスプライ素材を成型する、拡縮径可能な第1及び第2の、それぞれ少なくとも1個の成型ドラムを、各成型ドラムの中心軸線周りに回転可能に支持するとともに、前記供給手段に隣接する位置と離隔する位置との間で変位させるドラム支持手段を設け、
成型ドラムの中心軸線に対する垂直方向への進出姿勢下で、成型ドラムの周りに供給された第1及び第2の未加硫帯状カーカスプライ素材の両端部を接合する外側接合手段を、成型ドラムの何れか一方の前記位置に対応させて配設するとともに、
成型ドラムの中心軸線に沿って進退変位して、第1の成型ドラム上で円筒状に成型された第1の円筒状カーカスプライ素材を外周面側から保持する移載手段を、成型ドラムの他方の前記位置に対応させて配設してなるカーカスバンド成型システム。
【請求項2】
前記ドラム支持手段は、第1及び第2の、それぞれ少なくとも1個の成型ドラムを、軸線に対してともに等しい距離だけオフセットさせて相互に平行に支持するとともに、それぞれの成型ドラムを、前記軸線の周りで回動変位させるものである請求項1に記載のカーカスバンド成型システム。
【請求項3】
前記第1及び第2の成型ドラムは、前記外側接合手段に対向する内側接合手段をそれぞれ有し、前記外側接合手段及び内側接合手段のそれぞれは、成型ドラムの周りに供給された未加硫帯状カーカスプライ素材の両端部のそれぞれを、円周方向に相互に引き寄せて、該未加硫帯状カーカスプライ素材の両端面を突き合わせ接合する、外側引き寄せ爪及び内側引き寄せ爪を備える請求項1又は2に記載のカーカスバンド成型システム。
【請求項4】
前記第2の成型ドラムは、円周方向で複数個に分割されたセグメントの一部のみを半径方向内側に変位させる第2のセグメント変位手段を備えてなる請求項3に記載のカーカスバンド成型システム。
【請求項5】
第2の未加硫帯状カーカスプライ素材を保持する保持手段を、複数個のセグメントに対して周方向に交互に設けるとともに、前記第2のセグメント変位手段にて、該保持手段を設けたセグメントのみを半径方向内側に変位させる請求項4に記載のカーカスバンド成型システム。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載のカーカスバンド成型システムを用いて、内外2層の円筒状カーカスプライ素材を備えてなるカーカスバンドを成型するにあたり、
供給手段の作動下で供給される第1の未加硫帯状カーカスプライ素材を、第1の成型ドラムの外周面に巻付けた後、第1の成型ドラムを、外側接合手段に対応する位置への変位下で、該外側接合手段を進出変位させて、第1の成型ドラムの外周面に巻付けた第1の未加硫帯状カーカスプライ素材の両端部を接合し、
次いで、ドラム支持手段の作動下で、外側接合手段から離隔する位置に変位した第1の成型ドラムに対し、移載手段の進出姿勢下で、該第1の円筒状カーカスプライ素材を外周面側から保持した後、移載手段を後退変位させる一方、供給手段の作動下で供給された後、第2の成型ドラムの外周面に巻付けた第2の未加硫帯状カーカスプライ素材の両端部を、外側接合手段に対応する位置に変位させて、該外側接合手段の進出姿勢下で該両端部を接合し、
しかる後、ドラム支持手段の作動下で、外側接合手段から離隔する位置に変位した第2の成型ドラムに対し、第1の円筒状カーカスプライ素材を保持した移載手段を進出変位させて、第2の成型ドラム上の第2の円筒状カーカスプライ素材を、該第1の円筒状カーカスプライ素材の内側に圧着させる、カーカスバンドの成型方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−86432(P2013−86432A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231026(P2011−231026)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】
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