説明

カーテンエアバッグ装置

【課題】部品点数が少なく、構造が簡易な張力付与機構を有したカーテンエアバッグ装置を提供する。
【解決手段】自動車のAピラー10からルーフサイドレール11を通ってCピラー12にかけてカーテンエアバッグ装置20が設けられており、側突時や横転時に、インフレータ22からのガスによってカーテンエアバッグ21がAピラー10からCピラー12の間でBピラー14並びにフロントドア15及びリヤドア16の窓開口15a,16aを覆うように展開可能とされている。展開したカーテンエアバッグ21の下辺に張力を付与するために、線状体としてワイヤ30が開口21cを通って略上下方向に延設されている。カーテンエアバッグ21が展開完了した状態においては、ワイヤ30は、開口21cと留付部材25との間、及び開口21cとアンカ31との間でそれぞれピンと張った状態となり、カーテンエアバッグ21の下辺に張力が付与される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両室内の側面に沿って展開するカーテンエアバッグ(カーテン状エアバッグ)を備えたカーテンエアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カーテンエアバッグ装置を備えた自動車にあっては、自動車が側面衝突を受けたり、横転した場合などには該カーテンエアバッグが車両室内の側面(例えばドアやピラーなど)に沿って車体下方に向って膨張し、乗員の頭部を保護すると共に、乗員を車両室内に保持する。
【0003】
室内側面に沿って展開したカーテンエアバッグの下辺に沿って張力を付与し、カーテンエアバッグの下辺が前後方向にピンと張った状態とするための機構として、第4図に示す機構が特開2003−81048号公報に記載されている。
【0004】
第4図において、カーテンエアバッグ1の上辺の取付片部1aがルーフサイドレール(図示略)に留め付けられている。カーテンエアバッグ1は、展開前の状態にあっては、細長い形状に折り畳まれ、ルーフサイドレールに沿って配置されている。
【0005】
展開したカーテンエアバッグ1の下辺に沿って張力を付与するために、ワイヤ3が上下方向に引き回されている。カーテンエアバッグ1の後部の下部にはピン2が設けられ、該ピン2にワイヤ3が支持されている。ワイヤ3の上端及び下端は、それぞれピン4,5を介してCピラーに留め付けられている。カーテンエアバッグ1が下方に向って展開して第4図に示す状態になると、ワイヤ3がピン2,3,4間に張り渡された状態となり、カーテンエアバッグ1の下辺に沿って張力が付与される。
【特許文献1】特開2003−81048号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記第4図の従来構造にあっては、ピン2を介してワイヤ3をカーテンエアバッグ1に係合させており、ピン2の分だけ部品点数が多い。
【0007】
本発明は、部品点数が少なく、構造が簡易な張力付与機構を有したカーテンエアバッグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のカーテンエアバッグ装置は、車両室内の側面に沿って下方へ展開可能なカーテンエアバッグと、該カーテンエアバッグ内にガスを供給して展開させるインフレータと、展開した該カーテンエアバッグの下辺に張力を与えるための張力付与部材とを有するカーテンエアバッグ装置において、該張力付与部材は、上下方向に延設された線状体であり、該カーテンエアバッグの前部又は後部の下部に開口が設けられ、該線状体が該開口に挿通されていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明では、線状体の上端は、該カーテンエアバッグを車体に留め付けるための留付部材を介して車体に留め付けられることが望ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のカーテンエアバッグ装置にあっては、線状体はカーテンエアバッグの下部の開口に挿通されており、第4図に示した従来例のピン2に相当する部品が不要であり、コストダウンを図ることができる。
【0011】
本発明において、線状体の上端を、カーテンエアバッグを車体に留め付けるための留付部材を介して車体に留め付けることにより、留付部材の数を減少させ、一層のコストダウンを図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。第1図は実施の形態に係るカーテンエアバッグ装置を備えた車両室内の斜視図であり、(a)図はカーテンエアバッグの展開前の状態を示し、(b)図はカーテンエアバッグの展開後の状態を示す。第2図(a)は第1図(a)の一部の拡大図、第2図(b)は第2図(a)の側面図である。第3図(a)は第1図(b)の一部の拡大図、第3図(b)は第2図(a)の側面図である。
【0013】
自動車のAピラー10からルーフサイドレール11を通ってCピラー12にかけてカーテンエアバッグ装置20が設けられており、側突時や横転時に、インフレータ22からのガスによってカーテンエアバッグ21がAピラー10からCピラー12の間でBピラー14並びにフロントドア15及びリヤドア16の窓開口15a,16aを覆うように展開可能とされている。
【0014】
このカーテンエアバッグ21は、細長く折り畳まれ、破断可能なテープ23(第2図(b))等によって保形され、ルーフサイドレール11に沿って配置されている。このカーテンエアバッグ21は、ルーフヘッドライニング(図示略)によって覆われている。
【0015】
このカーテンエアバッグ21の上辺から複数の耳片21aが突設されており、この耳片21aがAピラー10及びルーフサイドレール11にボルト、リベット等の留付部材25により留め付けられている。
【0016】
このカーテンエアバッグ21の後部の下部に突片21bが下方に突出するように設けられ、この突片21bに開口21cが設けられている。
【0017】
展開したカーテンエアバッグ21の下辺に張力を付与するために、線状体としてワイヤ30が開口21cを通って略上下方向に延設されている。この実施の形態では、ワイヤ30の上端は、カーテンエアバッグ21の最後部側の前記留付部材25を介してルーフサイドレール11に留め付けられている。ワイヤ30の下端は、アンカ31を介してCピラー12に留め付けられている。ワイヤ30は、最後部の該留付部材25と該アンカ31とを結ぶ直線長さよりも長い長さを有している。
【0018】
このように構成されたカーテンエアバッグ装置20を備えた自動車が側突又は横転した場合、インフレータ22がガス噴出作動し、カーテンエアバッグ21が膨張する。このカーテンエアバッグ21は、ルーフヘッドライニングの下側縁を押し開け、窓開口15a,16aの室内側に沿って下方に展開する。
【0019】
カーテンエアバッグ21が展開完了した状態においては、ワイヤ30は、開口21cと留付部材25との間、及び開口21cとアンカ31との間でそれぞれピンと張った状態となり、カーテンエアバッグ21の下辺に張力が付与される。即ち、アンカ31は突片21bの後方に位置するため、カーテンエアバッグ21の下辺後部がワイヤ30を介して後方に引っ張られ、カーテンエアバッグ21の下辺に張力が付与される。
【0020】
この実施の形態にあっては、カーテンエアバッグ21に設けた開口21cにワイヤ30を挿通しており、部品点数が少なく、低コストである。また、ワイヤ30の上端は、エアバッグ留付部材25を介してルーフサイドレール11に留め付けられており、留付部材の共用化による部品コストの低減が可能である。
【0021】
この実施の形態では、第2図(b)及び第3図(a)のように、カーテンエアバッグ21が展開するときに、ワイヤ30は最後部の留付部材25から略鉛直下方に延在するので、ワイヤ30の延在方向とカーテンエアバッグ21の展開方向とが合致し、カーテンエアバッグ21がスムーズに下方に展開するようになる。
【0022】
上記実施の形態ではワイヤ30をCピラー12に留め付けているが、カーテンエアバッグの大きさや車体構造によっては、BピラーやDピラー等であってもよい。また、上記実施の形態では、開口21cをカーテンエアバッグ21の後部の下部に設けているが、前部の下部に設け、ワイヤをAピラーに留め付けてもよい。
【0023】
上記実施の形態では線状体としてワイヤを用いているが、ロープ、ベルト、チューブ、軟質樹脂製のテープなどを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施の形態に係るカーテンエアバッグ装置を備えた車両室内の斜視図であり、(a)図はカーテンエアバッグの展開前の状態を示し、(b)図はカーテンエアバッグの展開後の状態を示す。
【図2】第2図(a)は第1図(a)の一部の拡大図、第2図(b)は第2図(a)の側面図である。
【図3】第3図(a)は第1図(b)の一部の拡大図、第3図(b)は第2図(a)の側面図である。
【図4】従来例の説明図である。
【符号の説明】
【0025】
20 カーテンエアバッグ装置
21 カーテンエアバッグ
22 インフレータ
22b 突片
22c 開口
25 留付部材
30 ワイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両室内の側面に沿って下方へ展開可能なカーテンエアバッグと、
該カーテンエアバッグ内にガスを供給して展開させるインフレータと、
展開した該カーテンエアバッグの下辺に張力を与えるための張力付与部材とを有するカーテンエアバッグ装置において、
該張力付与部材は、上下方向に延設された線状体であり、
該カーテンエアバッグの前部又は後部の下部に開口が設けられ、該線状体が該開口に挿通されていることを特徴とするカーテンエアバッグ装置。
【請求項2】
請求項1において、該線状体の上端は、該カーテンエアバッグを車体に留め付けるための留付部材を介して車体に留め付けられていることを特徴とするカーテンエアバッグ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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