説明

カートリッジおよび画像形成装置

【課題】本発明は、ブラシホルダ周りから発生する騒音を抑制することができるカートリッジおよび画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】カートリッジ(ドラムカートリッジ51)は、現像剤像を担持する像担持体(感光体ドラム27)と、前記像担持体を回転可能に支持するフレーム(下側フレーム53)と、前記像担持体に付着した異物を除去するブラシ60と、前記フレームに支持される被支持部と、ブラシ60が取り付けられるブラシ取付部611とを有する導電性のブラシホルダ61と、を備える。そして、ブラシ取付部611と前記フレームとの間には、ブラシ取付部611の振動を吸収可能な振動吸収体(スポンジ71)が、ブラシ取付部611と前記フレームとに接するように設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体に付着した異物を除去するブラシを備えたカートリッジおよび画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、レーザプリンタなどの画像形成装置には、感光体ドラム(像担持体)と、感光体ドラムを帯電させる帯電器と、帯電した感光体ドラムの表面を露光する露光装置と、露光により感光体ドラムの表面に形成される静電潜像に現像剤を供給する現像ローラと、静電潜像で保持された現像剤(現像剤像)を引き寄せる転写ローラが設けられている。そして、このような画像形成装置では、用紙が感光体ドラムと転写ローラの間を通過する際に、現像剤像が用紙に転写される。
【0003】
ところで、このような画像形成装置において、感光体ドラムの表面に付着した紙粉等の異物を除去するためのブラシを備えたものが知られている(特許文献1参照)。具体的に、この技術では、感光体ドラムを回転可能に支持するプロセスカートリッジに対して、感光体ドラムと摺接する導電性のブラシが、導電性のブラシホルダを介して固定されている。そのため、この技術によれば、ブラシによって感光体ドラムの表面上の異物が物理的に絡め取られるとともに、ブラシホルダを介してブラシに電圧が印加されることでブラシに異物が電気的に吸着されるようになっている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−39434号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術において、ブラシの植毛密度を上げると、感光体ドラムの回転に伴うブラシの振動がブラシホルダに伝わり、ブラシホルダやプロセスカートリッジなどが振動して騒音が発生するといった問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、ブラシホルダ周りから発生する騒音を抑制することができるカートリッジおよび画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決する本発明は、現像剤像を担持する像担持体と、前記像担持体を回転可能に支持するフレームと、前記像担持体に付着した異物を除去するブラシと、前記フレームに支持される被支持部と、前記ブラシが取り付けられるブラシ取付部とを有する導電性のブラシホルダと、を備えたカートリッジであって、前記ブラシ取付部と前記フレームとの間に、前記ブラシ取付部の振動を吸収可能な振動吸収体を前記ブラシ取付部と前記フレームとに接するように設けたことを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、像担持体の回転に伴ってブラシから発生した振動は、ブラシホルダのブラシ取付部を介して、振動吸収体によって吸収される。そのため、ブラシホルダ周りから発生する騒音を抑制することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ブラシの振動がブラシホルダのブラシ取付部を介して振動吸収体によって吸収されるので、ブラシホルダ周りから発生する騒音を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。参照する図面において、図1は、本発明の一実施形態に係るレーザプリンタを示す側断面図である。なお、以下の説明においては、まず、レーザプリンタの全体構成を簡単に説明した後、本発明の特徴部分の詳細を説明することとする。
【0011】
<レーザプリンタの全体構成>
図1に示すように、画像形成装置の一例としてのレーザプリンタ1は、本体ケーシング2内において用紙3を搬送するための搬送手段の一例としてのフィーダ部4や、用紙3に画像を形成するための画像形成部5などを備えている。
【0012】
<フィーダ部の構成>
フィーダ部4は、公知の構造であり、主に、給紙トレイ6、用紙押圧板7および各種ローラ11を備えている。そして、フィーダ部4では、給紙トレイ6内の用紙3が、用紙押圧板7によって上方に寄せられ、各種ローラ11によって画像形成部5に搬送される。
【0013】
<画像形成部の構成>
画像形成部5は、露光手段の一例としてのスキャナユニット16、プロセスカートリッジ17、定着手段の一例としての定着部18などを備えている。
【0014】
<スキャナユニットの構成>
スキャナユニット16は、主に、レーザ発光部(図示せず。)や、ポリゴンミラー、レンズおよび反射鏡(符号略)などを備えた公知の構造となっている。そして、スキャナユニット16内において、レーザビームは図の鎖線で示す経路を通って、プロセスカートリッジ17内にある像担持体の一例としての感光体ドラム27の表面上に高速走査にて照射される。
【0015】
<プロセスカートリッジの構成>
プロセスカートリッジ17は、フロントカバー2aを適宜開放することで、本体ケーシング2に対して着脱自在に装着される構造となっている。そして、このプロセスカートリッジ17は、現像装置の一例としての現像カートリッジ28と、カートリッジの一例としてのドラムカートリッジ51とで主に構成されている。
【0016】
現像カートリッジ28は、ドラムカートリッジ51に装着された状態で、本体ケーシング2に対して着脱自在となっている。なお、現像カートリッジ28は、本体ケーシング2に固定されたドラムカートリッジ51に対して着脱自在に構成されていてもよい。
【0017】
現像カートリッジ28は、主に、公知の現像ローラ31、層厚規制ブレード32、供給ローラ33およびトナー収容室34を備えている。そして、トナー収容室34内のトナーは、供給ローラ33により現像ローラ31に供給され、このとき、供給ローラ33と現像ローラ31との間で正に摩擦帯電される。現像ローラ31上に供給されたトナーは、現像ローラ31の回転に伴って、層厚規制ブレード32と現像ローラ31との間に進入し、一定厚さの薄層として現像ローラ31上に担持される。
【0018】
ドラムカートリッジ51は、感光体ドラム27、スコロトロン型帯電器29および転写ローラ30を主に備える他、後で詳述するブラシ60を備えている。そして、このドラムカートリッジ51内において、感光体ドラム27の表面は、スコロトロン型帯電器29により一様に正帯電された後、スキャナユニット16からのレーザビームの高速走査により露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、画像データに基づく静電潜像が形成される。ここで、「静電潜像」とは、一様に正帯電されている感光体ドラム27の表面のうち、レーザビームによって露光されて電位が下がっている露光部分をいう。次いで、現像ローラ31の回転により、現像ローラ31上に担持されているトナーが、感光体ドラム27に対向して接触するときに、感光体ドラム27の表面上に形成される静電潜像に供給される。そして、トナーは、感光体ドラム27の表面上で選択的に担持されることによって可視像化され、これによって反転現像によりトナー像が形成される。
【0019】
その後、感光体ドラム27と転写ローラ30とは、用紙3を両者間で挟持して搬送するように回転駆動され、感光体ドラム27と転写ローラ30との間を用紙3が搬送されることにより、感光体ドラム27の表面に担持されているトナー像が用紙3上に転写される。
【0020】
<定着部の構成>
定着部18は、公知の構造であり、加熱ローラ41と、押圧ローラ42とを備えている。そして、定着部18では、用紙3上に転写されたトナーを、用紙3が加熱ローラ41と押圧ローラ42との間を通過する間に熱定着させている。なお、定着部18で熱定着された用紙3は、定着部18の下流側に配設される排紙ローラ45によって排紙トレイ46上に送り出される。
【0021】
<ブラシ周りの構造>
次に、本発明に係るカートリッジの一例としてのドラムカートリッジの詳細について図2および図3を参照して説明する。参照する図面において、図2はドラムカートリッジのブラシ周りの構造の詳細を示す拡大断面図であり、図3はドラムカートリッジを分解した状態を示す分解斜視図である。
【0022】
図2に示すように、ドラムカートリッジ51は、上側フレーム52と下側フレーム53とに分割して構成されている。下側フレーム53には、感光体ドラム27が回転可能に支持されるとともに、ブラシ60がブラシホルダ61を介して設けられている。
【0023】
図3に示すように、ブラシ60は、感光体ドラム27の表面と摺接することで、感光体ドラム27の表面に付着した紙粉等の異物を除去する導電性の部材であり、感光体ドラム27の軸方向に沿うように感光体ドラム27と略同じ長さで形成されている。そして、このブラシ60は、図2に示すように、上側フレーム52に設けられるスコロトロン型帯電器29よりも感光体ドラム27の回転方向の上流側に配設されており、これにより、スコロトロン型帯電器29による帯電前に、感光体ドラム27上の紙粉等の異物が除去されるようになっている。
【0024】
ブラシホルダ61は、導電性の部材であり、ブラシ60が取り付けられる平面状のブラシ取付部611と、ブラシ取付部611の上端縁からブラシ60とは反対側に延びる上壁部612とによって、断面視L字状に形成されている。そして、このブラシホルダ61は、図3に示すように、感光体ドラム27の軸方向に沿った長尺状に形成され、その上壁部612の両端部が適宜切り曲げされることで、この両端部とブラシ取付部611の両端部との間で、下方に開口する断面U字状の被支持部613が形成されている。また、2つの被支持部613のうちの一方には、複数回屈曲形成された電極部614が形成されている。そして、以上のように構成されるブラシホルダ61は、各被支持部613内に下側フレーム53のリブ531が嵌入されることで、このリブ531で支持される。なお、この際、電極部614の先端は、下側フレーム53の外側に露出するように配置されており、これにより、外部からの電圧の印加を可能としている。
【0025】
そして、このように下側フレーム53に取り付けられたブラシホルダ61のブラシ取付部611と下側フレーム53との間には、図2に示すように、ブラシ取付部611の振動を吸収可能な振動吸収体の一例としてのスポンジ71が、ブラシ取付部611および下側フレーム53の双方に接するように配設されている。詳しくは、ブラシ取付部611の先端611Aは、スポンジ71にめり込むように配設されている。そのため、感光体ドラム27の回転によりブラシ60が振動した場合であっても、その振動がブラシ取付部611を介してスポンジ71に伝わり、このスポンジ71によって吸収される。
【0026】
スポンジ71は、矩形の板状に形成されており、下側フレーム53の感光体ドラム27と対向する端縁53Aよりも感光体ドラム27側に突出するように、配設されている。さらに、このスポンジ71は、図3に示すように、ブラシ取付部611よりも短く形成され、ブラシ取付部611の長手方向の中央のみに設けられている。
【0027】
また、図2に示すように、スポンジ71と下側フレーム53との間には、ブラシ60で除去した異物の落下を押さえるロアフィルム72が設けられている。そして、このロアフィルム72は、スポンジ71の感光体ドラム27側の端縁71Aよりも感光体ドラム27側に突出するように、配設されている。
【0028】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
感光体ドラム27の回転に伴ってブラシ60から発生した振動は、ブラシホルダ61のブラシ取付部611を介して、スポンジ71によって吸収されるので、ブラシホルダ61周りから発生する騒音を抑制することができる。
【0029】
ブラシ取付部611の先端611Aがスポンジ71にめり込むように配設されているので、例えばブラシ取付部611の面と下側フレーム53との間でスポンジ71挟む構造に比べ、取付時におけるスポンジ71からブラシホルダ61への反発力を抑えることができる。そのため、スポンジ71からの反発力によるブラシホルダ61または下側フレーム53の歪みを抑えることができるとともに、ブラシホルダ61を下側フレーム53に取り付け易いといった効果を得ることができる。
【0030】
下側フレーム53の端縁53Aよりも感光体ドラム27側に突出するスポンジ71の端縁71Aよりも、ロアフィルム72が感光体ドラム27側に突出するように配設されるので、スポンジ71を大きく形成することができ、振動吸収をより良好に行うことができる。また、スポンジ71の下面全体を接着面として、この接着面をロアフィルム72に接着することができるので、スポンジ71をロアフィルム72を介して下側フレーム53に強固に固定することができる。ちなみに、前記構造においてロアフィルム72を設けない場合には、スポンジ71の接着面の一部が下方に露出するため、その下方を通過する用紙3が接着面に付着して紙詰まりが発生する可能性があるが、本実施形態では、接着面がロアフィルム72で保護されるので、そのような問題も解消することができる。
【0031】
スポンジ71がブラシ取付部611の長手方向の中央のみに設けられているので、例えばブラシ取付部611の長手方向の全体にわたってスポンジ71を設ける構造に比べ、取付時におけるスポンジ71からブラシホルダ61への反発力を抑えることができる。そのため、スポンジ71からの反発力によるブラシホルダ61または下側フレーム53の歪みを抑えることができるとともに、ブラシホルダ61を下側フレーム53に取り付け易いといった効果を得ることができる。
【0032】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
前記実施形態では、振動吸収体としてスポンジ71を採用したが、本発明はこれに限定されず、例えば、ゴムやフェルト等であってもよい。
【0033】
前記実施形態では、レーザプリンタ1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えば複写機や複合機などに本発明を適用してもよい。
前記実施形態では、露光手段としてスキャナユニット16を採用したが、本発明はこれに限定されず、例えばLEDヘッドであってもよい。また、搬送手段や定着手段の構造も、適宜変更可能であることはいうまでもない。
【0034】
前記実施形態では、カートリッジとしてドラムカートリッジ51を採用したが、本発明はこれに限定されず、例えばドラムカートリッジ51と現像カートリッジ28とを一体に形成したプロセスカートリッジを採用してもよい。
前記実施形態では、現像装置としてトナーカートリッジ(トナー収容室)が一体に形成された現像カートリッジ28を採用したが、本発明はこれに限定されず、例えばトナーカートリッジが別体となる現像カートリッジを採用してもよい。
【0035】
前記実施形態では、フレームとして箱状の下側フレーム53を採用したが、本発明はこれに限定されず、例えば骨組み状のフレームを採用してもよい。
前記実施形態では、像担持体として感光体ドラム27を採用したが、本発明はこれに限定されず、例えばベルト状の感光体を採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態に係るレーザプリンタを示す側断面図である。
【図2】ドラムカートリッジのブラシ周りの構造の詳細を示す拡大断面図である。
【図3】ドラムカートリッジを分解した状態を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0037】
1 レーザプリンタ
16 スキャナユニット
17 プロセスカートリッジ
18 定着部
27 感光体ドラム
28 現像カートリッジ
51 ドラムカートリッジ
52 上側フレーム
53 下側フレーム
53A 端縁
60 ブラシ
61 ブラシホルダ
71 スポンジ
71A 端縁
72 ロアフィルム
611 ブラシ取付部
611A 先端
612 上壁部
613 被支持部
614 電極部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤像を担持する像担持体と、
前記像担持体を回転可能に支持するフレームと、
前記像担持体に付着した異物を除去するブラシと、
前記フレームに支持される被支持部と、前記ブラシが取り付けられるブラシ取付部とを有する導電性のブラシホルダと、を備えたカートリッジであって、
前記ブラシ取付部と前記フレームとの間に、前記ブラシ取付部の振動を吸収可能な振動吸収体を前記ブラシ取付部と前記フレームとに接するように設けたことを特徴とするカートリッジ。
【請求項2】
前記ブラシ取付部の先端は、前記振動吸収体にめり込むように配設されていることを特徴とする請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記振動吸収体が、前記フレームの端縁から突出するように設けられるとともに、
前記振動吸収体と前記フレームとの間に、前記ブラシで除去した異物の落下を抑えるロアフィルムが、前記フレームの端縁から突出する前記振動吸収体の端縁よりも突出するように設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記振動吸収体は、前記ブラシ取付部の長手方向の中央にのみ設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のカートリッジと、
前記像担持体を露光する露光手段と、
前記像担持体に現像剤を供給する現像装置と、
前記カートリッジへ記録シートを搬送する搬送手段と、
前記像担持体から前記記録シートに転写された現像剤像を定着する定着手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−63950(P2009−63950A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−233648(P2007−233648)
【出願日】平成19年9月10日(2007.9.10)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】