説明

カートリッジ再生システム

【課題】 再生されたカートリッジを記録装置において純正品と変わりなく使用できるようにする。
【解決手段】 カートリッジ1の外部から認識可能な外部識別情報に対応する識別データと、当該カートリッジ1の初期出荷時におけるメモリ2中の記録装置による使用によって変更される可能性のある変更データを含む初期値データと、を対応付けて記憶する初期値データ記憶部15と、再生対象のカートリッジ1の外部識別情報に対応する識別データの入力を受け付ける入力受付部11と、受け付けられた識別データに対応する初期値データを初期値データ記憶部15から検索する初期値データ検索部17と、検索した初期値データを再生対象のカートリッジ1のメモリ2に書き込む初期値データ書込部16とを有するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザープリンタ、インクジェットプリンタ等の記録装置に装着されるカートリッジの再利用を可能にするためのカートリッジ再生システム等に関し、特に、メモリが設けられたカートリッジの再利用を可能にするカートリッジ再生システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザープリンタ、インクジェットプリンタ等の記録装置においては、インク、トナー等の消耗品を収容したカートリッジを利用して記録を行っていた。例えば、レーザープリンタにおいては、印刷する際に必要なトナーを収容したカートリッジを備え、カートリッジ内のトナーを利用して、紙等に対して記録を行っていた。このようなレーザープリンタにおいては、カートリッジに収容されたトナーを使用した後においては、新たなカートリッジに交換して記録を行うようになっていた。
しかしながら、このようにカートリッジを交換する場合においては、コストの面でユーザへの負担が大きかった。そこで、近年では、カートリッジに収容されるトナーの詰め替え(リフィル)を行って、カートリッジを再生し、再利用可能にすることが行われている。
【0003】
一方、カートリッジには、メモリが装着されたものがある。このようなカートリッジは、記録装置において使用時間等を当該メモリに書き込まれるように使用される。記録装置の中には、カートリッジのメモリに書き込まれた使用時間等に基づいてカートリッジの使用可否を判断するものもある。
また、メモリが装着されたカートリッジは、再利用する時に当該メモリに再利用に関する各種情報を書き込まれるように使用されたりもしている。例えば、特許文献1参照。
さらに、メモリが装着されたカートリッジは、当該メモリ内に固有情報が記憶されるように利用されている。記録装置の中には、この固有情報に基づいて、カートリッジが純正品か否かを判別し、純正品でない場合には、その旨の情報を表示するようにしているもある。
【特許文献1】特開2000−19803号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トナーを詰め替えたカートリッジを再利用する際には、例えば、カートリッジのメモリ内部に記憶された使用時間等の使用状況をリセットしていないと、使用できない虞もある。
また、詰め替えたカートリッジを再利用する際には、記録装置によっては、純正品でないとの情報が表示されてしまうこともある。このような場合においては、ユーザが再生されたカートリッジを再利用することを躊躇してしまうことも考えられる。
また、トナーを収容したカートリッジに限らず、インク等を収容したカートリッジにおいても同様な問題に直面する。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、再生されたカートリッジを記録装置において純正品と変わりなく使用できるようにする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的達成のため、本発明の一実施形態に係るカートリッジ再生システムは、消耗品を収容可能なカートリッジに設けられたメモリに、カートリッジの再利用のためのデータを書き込むカートリッジ再生システムであって、カートリッジには、データ書き換え不可能なカートリッジ固有の判定用識別情報が付与され、メモリには、判定用識別情報と所定の関係を有し、当該カートリッジが所定のものであるか否かを判定するために記録装置で利用される判定データが格納されており、カートリッジの外部から認識可能なカートリッジ固有の外部識別情報に対応する識別データと、初期出荷時における当該カートリッジのメモリ中の記録装置により変更される可能性のある変更データを含む初期値データと、を対応付けて記憶する初期値データ記憶手段と、再生対象のカートリッジの外部識別情報に対応する識別データの入力を受け付ける入力受付手段と、受け付けられた識別データに対応する初期値データを初期値データ記憶手段から検索する検索手段と、検索した初期値データを再生対象の前記カートリッジのメモリに書き込む初期値データ書込手段とを有する。
上記したカートリッジ再生システムによると、再生対象のカートリッジのメモリに、当該カートリッジの初期値データを書き込むことができる。このため再生されたカートリッジを初期出荷時のカートリッジと同様に記録装置において使用することができる。
【0006】
また、上記カートリッジ再生システムにおいて、カートリッジのメモリには、記録装置によりカートリッジの使用状況データが記憶され、再生対象のカートリッジのメモリから使用状況データを含む使用済データを読み込む使用済データ読込手段と、読み込んだ使用済データを記憶する使用済データ記憶手段とをさらに有するようにしてもよい。
かかる構成により、カートリッジの記録装置における使用状況を、使用状況データに基づいて把握することができる。
【0007】
また、判定用識別情報は、メモリの通常記憶領域以外に記憶されるメモリ毎に固有な識別情報であってもよい。かかる構成により、メモリ毎に固有な識別情報を付与されたカートリッジであっても、再生されたカートリッジを初期出荷時のカートリッジと同様に記録装置において使用することができる。
また、判定用識別情報は、メモリの記憶領域中の書込み不可領域に記憶される識別情報であってもよい。かかる構成により、判定用識別情報がメモリの記憶領域中の書込み不可領域に記憶されるカートリッジであっても、再生されたカートリッジを初期出荷時のカートリッジと同様に記録装置において使用することができる。
また、初期値データは、記録装置による使用によって変更される可能性のある変更データのみを含むようにしてもよい。かかる構成により、記憶しておくべきデータ量を抑えることができる。
【0008】
また、判定用データは、判定用識別情報を含むデータに対して所定の演算を行うことにより得られる符号データであってもよい。符号データを用いてカートリッジが所定のものであるか否かを判定する記録装置であっても、再生されたカートリッジを初期出荷時のカートリッジと同様に使用することができる。
また、判定用データは、判定用識別情報と同一のデータであってもよい。判定用識別情報と同一のデータである判定用データを用いてカートリッジが所定のものであるか否かを判定する記録装置であっても、再生されたカートリッジを初期出荷時のカートリッジと同様に使用することができる。
【0009】
また、カートリッジ再生システムは、ネットワークを介して接続された端末及びサーバによって構成されており、端末は、入力受付手段と、初期値データ書込手段とを有し、サーバは、初期値データ記憶手段と、検索手段とを有するようにしてもよい。かかる構成により、初期値データを効率よく管理することができる。また、カートリッジに初期データを格納する端末と、初期値データを記憶するサーバとを離れた場所に設置することもできる。
【0010】
また、本発明の一実施形態に係るカートリッジ再生方法は、消耗品を収容可能なカートリッジに設けられたメモリに、カートリッジの再利用のためのデータを書き込むカートリッジ再生システムによるカートリッジ再生方法であって、カートリッジには、データ書き換え不可能なカートリッジ固有の判定用識別情報が付与され、メモリには、判定用識別情報と所定の関係を有し、当該カートリッジが所定のものであるか否かを判定するために記録装置で利用される判定データが格納されており、カートリッジの外部から認識可能なカートリッジ固有の外部識別情報に対応する識別データと、初期出荷時における当該カートリッジのメモリ中の記録装置により変更される可能性のある変更データを含む初期値データと、を対応付けて初期値データ記憶手段に記憶する初期値記憶ステップと、入力受付手段により再生対象のカートリッジの外部識別情報に対応する識別データの入力を受け付ける入力受付ステップと、検索手段により、受け付けられた前記識別データに対応する初期値データを初期値データ記憶手段から検索する検索ステップと、初期値データ書込手段により、検索した前記初期値データを再生対象のカートリッジのメモリに書き込む書込ステップとを有する。
上記したカートリッジ再生方法によると、再生対象のカートリッジのメモリに、当該カートリッジの初期値データを書き込むことができる。このため、記録装置において、再生されたカートリッジを初期出荷時のカートリッジと同様に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0012】
本発明の一実施形態に係るカートリッジ再生システム10の構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るカートリッジ再生システムの機能構成図である。
カートリッジ再生システム10は、消耗品の一例であるトナーを収容したカートリッジ1を記録装置の一例としてのレーザープリンタ(図示せず)で再利用可能にするためのシステムである。ここで、カートリッジ再生システム10の説明の前に、カートリッジ1について説明する。
カートリッジ1は、レーザープリンタで使用するトナーを内部に収容可能になっている。また、カートリッジ1には、外部から認識可能なカートリッジ固有の外部識別情報3が付加されている。外部識別情報3は、例えば、数字、アルファベット等の組み合わせで構成されている。この外部識別情報3は、例えば、カートリッジ1の筐体外部に、刻印、印刷、或いは印刷されたシールの貼付がされている。さらに、カートリッジ1は、各種情報を記憶するメモリ2を有している。メモリ2は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等のPROM(Programmable Read-Only Memory)である。
【0013】
図2は、本発明の一実施形態に係るカートリッジのメモリの構成を説明する図である。
カートリッジ1のメモリ2は、メモリ固有識別情報領域2aと、通常記憶領域2bとを有する。メモリ固有識別情報領域2aは、メモリ2の製造者側でメモリ2に固有な識別情報(メモリ固有識別情報)を記憶させておく領域であり、この領域に記憶されたメモリ固有情報は、データ書き換えが不可能になっている。レーザープリンタにおいては、このメモリ固有識別情報を判定用識別情報としてカートリッジが所定のものか否か、例えば、純正か否かを判定する際に利用している。なお、判定する処理については後述する。
【0014】
通常記憶領域2bは、メモリ2の利用者側で各種情報を記憶させるために利用する領域であり、記憶容量は、例えば、2KB(キロバイト)である。通常記憶領域2bは、使用状況データ領域2cと、チェックデータ領域2dと、カートリッジ識別情報領域2eとを含む。
使用状況データ領域2cは、当該メモリが装着されているカートリッジ1が使用されている状況に関するデータ(使用状況データ)を記憶する領域である。使用状況データは、カートリッジ1を装着して記録を行うレーザープリンタによって書き込まれるデータであり、レーザープリンタによりカートリッジ1が使用されると変化する可能性のある変更データである。使用状況データとしては、例えば、トナー残量、稼働時間、カートリッジに関する寿命データ等のデータがある。
【0015】
カートリッジ識別情報領域2eは、カートリッジ固有の識別情報(カートリッジ固有識別情報)を格納する領域である。
チェックデータ領域2dは、カートリッジが所定のものであるか否かをレーザープリンタにおいて判定するために使用されるチェックデータ(判定データ)を格納する領域である。チェックデータは、メモリ固有識別情報と所定の関係を有している。本実施形態では、チェックデータは、メモリ固有識別情報、使用状況データ、及びカートリッジ固有識別情報とに対して所定の演算を行うことによって得られるデータであり、例えば、メモリ固有識別情報、使用状況データ、及びカートリッジ固有識別情報に対するCRC(Cyclic Redundancy Check)用の符号データである。なお、本実施形態では、チェックデータは、使用状況データを含めて演算を行って得られるものであるので、レーザープリンタによりカートリッジ1が使用されると変化する可能性がある変更データである。
【0016】
本実施形態では、このCRC符号データは、初期出荷時に純正品メーカによってメモリ2に記憶され、レーザープリンタ使用時には、レーザープリンタによって演算されてメモリ2に記憶される。
ここで、CRC符号データを算出するためには、算出するための演算対象となるデータと、CRC符号を算出するための生成多項式とを特定する必要がある。そのために、これらを特定することのできないもの(人、会社等)は、適正なCRC符号データを作成することができない。このようなことから、CRC符号データを用いて、カートリッジ1が純正であるか否かを判定することを行っている。
【0017】
次に、レーザープリンタにおいて、メモリ2に含まれた各種データによって、カートリッジ1が純正であるか否かを判定する処理について説明する。
レーザープリンタは、メモリ2からメモリ固有識別情報、使用状況データ、カートリッジ固有識別情報、及びチェックデータを取り出し、これらデータを、CRC符号を求める際に使用された生成多項式で割り、その余りを求める。そして、レーザープリンタは、余りがない場合には、CRC符号データ生成後にデータが変更されていないことを示すので純正であると判定し、余りがある場合には、CRC符号データ生成後にデータの変更などが発生している可能性があることを示しているので純正以外であると判定する。
【0018】
図1に戻り、カートリッジ再生システム10は、入力受付手段の一例としての入力受付部11と、メモリ入出力部12と、初期値データ読込部13と、初期値データ登録部14と、初期値データ記憶部15と、初期値データ書込手段の一例としての初期値データ書込部16と、検索手段の一例としての初期値データ検索部17と、使用済データ読込手段の一例としての使用済データ読込部18と、使用済データ登録部19と、使用済データ記憶手段の一例としての使用済データ記憶部20とを有する。
【0019】
入力受付部11は、例えば、マウス、キーボード等の入力装置を備え、システム利用者からの各種入力を受け付ける。本実施形態では、入力受付部11は、純正品メーカから出荷された未使用のカートリッジ1の初期データを登録する際には、当該カートリッジ1に付加されている外部識別情報3に対応する識別データの入力をシステム利用者から受け付ける。また、入力受付部11は、使用済のカートリッジの再生を行う際には、再生対象の使用済のカートリッジ1に付加されている外部識別情報3に対応する識別データの入力をシステム利用者から受け付ける。
【0020】
メモリ入出力部12は、カートリッジ1に装着されたメモリ2との間でデータ書き込み及びデータ読込みを行う。メモリ出力部12は、メモリ2の端子と接触してデータ書き込み及びデータ読み込みをしてもよく、また、非接触でデータ書き込み及びデータ読み込みをしてもよい。なお、データ書き込み及びデータ読み込みを接触によるか、非接触によるかはメモリ2の構成に依存する。
初期値データ読込部13は、メモリ入出力部12を介して、純正品メーカから出荷された未使用のカートリッジ1のメモリ2から記録装置による使用によって変更される可能性のある変更データを含む初期値データを読み込む。本実施形態では、初期値データ読込部13は、メモリ2の通常記憶領域2bのすべてのデータを初期値データとして読み込むようにしている。
【0021】
ここで、メモリ2の通常記憶領域2bのすべてのデータを初期値データとして読み込むようにしているのは、メモリ2内の具体的なデータ構成について、純正品メーカ或いは純正品メーカと所定の関係にある会社等しか知りえることができない場合をも想定しているためである。すなわち、具体的なデータ構成を知らない会社等であっても、変更データを確実に読み込むことができるようにするためである。なお、使用によって変更される可能性のある変更データ(本実施形態では、使用状況データ及びチェックデータ)を特定できるのであれば、これら変更データのみを初期値データとして読込むようにしてもよい。このようにすると、データの読み込み時間を低減することができる。また、初期値データ記憶部15に記憶させる初期値データのデータ量を低減することができる。
【0022】
初期値データ登録部14は、初期値データ読込部13が読込んだ初期値データと、入力受付部11が受け付けた外部識別情報に対応する識別データとを対応付けて初期値データ記憶部15に登録する。
図3は、本発明の一実施形態に係る初期値データ記憶部に記憶される初期値データベースを説明する図である。
初期値データ記憶部15に格納された初期値データベースは、カートリッジ1の外部識別情報に対応する識別データを格納する識別データフィールド15aと、当該カートリッジ1のメモリ2に格納された初期値データを格納する初期値データフィールド15bとを有するレコードを格納する。例えば、識別データ”AAAAA”のカートリッジ1のメモリ2に格納された初期値データは、”IC0001.txt”ファイルとして初期値データ記憶部15に格納されている。
【0023】
初期値データ検索部17は、使用済のカートリッジの再生を行う際に、入力受付部11によりシステム利用者から受け付けられた識別データに対応する初期値データを初期値データ記憶部15から検索する。
初期値データ書込部16は、初期値データ検索部17によって検索された初期値データをメモリ入出力部12を介して、カートリッジ1のメモリ2に書き込む。これによって再生対象のカートリッジ1のメモリ2の状態を、当該カートリッジ1が純正品メーカから出荷された未使用時(初期出荷時)のメモリ2の状態と同様に再生することができる。
【0024】
使用済データ読込部18は、メモリ入出力部12を介して、再生対象のカートリッジ1のメモリ2からレーザープリンタにより記憶されたカートリッジの使用状況データを含む使用済データを読み込む。本実施形態では、使用済データ読込部18は、メモリ2の通常記憶領域2bのすべてのデータを使用済データとして読み込むようにしている。
【0025】
ここで、メモリ2の通常記憶領域2bのすべてのデータを使用済データとして読み込むようにしているのは、メモリ内の具体的なデータ構成について、純正品メーカ、或いは純正品メーカと所定の関係にある会社等しか知りえることができない場合をも想定しているためである。すなわち、具体的なデータ構成を知らない会社等であっても、使用済データを確実に読み込むことができるようにするためである。なお、使用状況データを特定できるのであれば、使用状況データのみを使用済データとして読み込むようにしてもよい。このようにすると、データの読み込み時間を低減することができる。また、使用済データ記憶部20に記憶させる使用済データのデータ量を低減することができる。
【0026】
使用済データ登録部19は、使用済データ読込部18が読み込んだ使用済データと、入力受付部11が受け付けた外部識別情報に対応する識別データとを対応付けて使用済データ記憶部20に登録する。この使用済データ記憶部20に格納された使用状況データによると、カートリッジ1のレーザープリンタにおける使用状況を把握することができる。
【0027】
図4は、本発明の一実施形態に係る使用済データ記憶部に記憶される使用済データベースを説明する図である。
使用済データ記憶部20に格納された使用済データベースは、カートリッジ1の外部識別情報に対応する識別データを格納する識別データフィールド20a、当該カートリッジ1の再生時毎に、メモリ2に格納されている使用済データを格納する使用済データAフィールド20b、使用済データBフィールド20c、・・・等を有するレコードを格納する。例えば、識別データ”AAAAA”のカートリッジ1のメモリ2に格納された一回目の再生時の使用済データは、”S0001A.txt”ファイルとして使用済データ記憶部20に格納され、二回目の再生時の使用済データは、”S0001B.txt”ファイルとして使用済データ記憶部20に格納されている。
【0028】
図5は、本発明の一実施形態に係るカートリッジ再生システムのハードウエア構成図である。
カートリッジ再生システム10において、CPU(Central Processing Unit)23と、ROM(Read Only Memory)24と、RAM(Random Access Memory)25と、ハードディスクドライブ26と、表示処理部27と、コンボドライブ29と、入力インターフェース28と、メモリインターフェース30とがバス31を介して接続されている。
ROM24は、ブートプログラム等の基本プログラムを記憶する。RAM25は、プログラムやデータを記憶する領域として、或いは、CPU23による処理に使用しているデータを格納する作業領域として利用される。表示処理部27は、CPU23の制御により、各種画像データを生成し、表示装置21に出力する。表示装置21は、例えば、液晶ディスプレイや、CRTディスプレイである。
【0029】
コンボドライブ29は、複数種類の記録媒体32からのデータ、プログラムの読み込み、記録媒体32へのデータ等の書込みを行う。記録媒体32としては、例えば、CD−ROM、DVD−ROM、DVD−RAM等がある。
ハードディスクドライブ26は、OS(オペレーティングシステム)や、各種プログラムや、各種データベースを読み出し可能に記憶する。本実施の形態では、カートリッジ再生に関する処理を実行するプログラムを記憶する。
【0030】
入力インターフェース28は、入力装置22と接続可能であり、入力装置22からの信号をデータとして、CPU23、RAM25に渡す。入力装置22は、例えば、マウス、キーボード等のシステム利用者からの入力を受け付けるための装置である。
メモリインターフェース30は、カートリッジ1に装着されたメモリ2との間でデータ書き込み及びデータ読み込みを行う。メモリインターフェース30は、メモリ2の端子と接触してデータ書き込み及びデータ読み込みをしてもよく、また、非接触でデータ書き込み及びデータ読み込みをしてもよい。
【0031】
CPU23は、ROM24の基本プログラムやハードディスクドライブ26に格納されているOSやプログラムをRAM25に読み出して実行することにより各種処理を実行する。本実施形態では、CPU23は、ハードディスクドライブ26に格納されたカートリッジ再生用プログラムをRAM25に読み出して実行する。また、CPU23は、各部24〜30の動作を制御する。
【0032】
ここで、図1に示す入力受付部11は、主に、入力装置22及び入力インターフェース28によって構成され、メモリ入出力部12は、主に、メモリインターフェース30によって構成され、初期値データ読込部13、初期値データ登録部14、初期値データ書込部16、初期値データ検索部17、使用済データ読込部18、及び使用済データ登録部19は、主に、CPU23がROM24、RAM25を利用してプログラムを実行することにより構成される。また、初期値データ記憶部15及び使用済データ記憶部20は、ハードディスクドライブ26によって構成される。
【0033】
図6は、本発明の一実施形態に係るカートリッジが再生使用されるまでのシーケンスを説明する図である。
カートリッジ1を製造する純正品メーカから新品(初期出荷)のカートリッジ1が販売店へと出荷される(ステップS1)。このように出荷されたカートリッジ1は、販売店に保管される。一方、カートリッジ1を必要とするユーザは、販売店へと新品のカートリッジ1の購入要求を行うこととなる(ステップS2)。例えば、ユーザが直接販売店に出向いて購入要求を行うこともできるし、また、ネットワークを介して販売店に購入要求を出すこともできる。
【0034】
このように、新品のカートリッジ1の購入要求が発生した場合には、販売店において、販売するカートリッジ1のメモリ2に格納された初期値データを登録する初期値データ登録処理が実行される(ステップS3)。なお、カートリッジ1は、一般的には、袋に封入され、さらに箱等に梱包されているので、カートリッジ1のメモリ2が接触することによりデータの読み込みが可能である場合には、ユーザの許可を得て開封をし、或いはユーザにより開封をさせた後に、初期値データ登録処理を実行することが好ましい。
このような、初期値データ登録処理後に、ユーザに新品のカートリッジ1が引渡される(ステップS4)。
【0035】
これにより、ユーザはレーザープリンタにカートリッジ1を装着し、新品のカートリッジ1を紙等の記録に使用することができるようになる(ステップS5)。カートリッジ1を使用する際には、レーザープリンタにおいては、カートリッジ1が純正か否か判定されるが、このカートリッジ1は、純正品メーカから出荷された新品であるので、当然に純正として判定されるので、何ら問題なく記録に利用できる。また、レーザープリンタにおいては、カートリッジ1の使用状況を逐次カートリッジ1のメモリ2内に使用状況データとして記憶するとともに、メモリ固有識別情報、使用状況データ、及びカートリッジ固有識別情報とに対して、所定の生成多項式を用いて、CRC符号データを算出し、このCRC符号データもメモリ2に記憶する。
【0036】
このように、カートリッジ1を使用して、カートリッジ1のトナーをすべて使用した等によってカートリッジを使用できなくなった場合には、ユーザは、新たなカートリッジを購入するか、このカートリッジを再生するかを選択することとなる。
ここで、ユーザが販売店に対してカートリッジ1の再生を要求し、当該カートリッジ1を販売店に引渡した場合には(ステップS6)、販売店では、当該カートリッジ1のメモリ2の再生処理を実行する(ステップS7)。この再生処理により、後述するように、カートリッジ1のメモリ2のデータが、新品のカートリッジと同様な内容に再生される。
その後、販売店は、トナーをリフィルするリフィルメーカへ当該カートリッジ1を引渡し(ステップS8)、トナーがリフィルされたカートリッジの引渡しを受ける(ステップS9)。
【0037】
リフィルが済んだ再生済みのカートリッジ1を受け取った販売店は、当該カートリッジをユーザに対して引渡す(ステップS10)。
このカートリッジ1を受け取ったユーザは、このカートリッジ1を自己のレーザープリンタに装着することにより、再び紙等への記録に使用することが可能となる(ステップS11)。ここで、カートリッジ1のメモリ2の内容が当該カートリッジ1の新品のメモリ2の内容と同様になっているので、レーザープリンタにおいて新品のカートリッジと同様に使用することができる。なお、再生したカートリッジ1のトナーをすべて使用した等の場合には、ステップS6からステップS10の処理と同様な処理を再び行うことにより、カートリッジ1を再生して繰り返し紙等への記録に使用することができる。これによって、例えば、カートリッジ1が破損するまで再利用が可能となり、資源の節約に貢献することができるとともに、ユーザに対して発生するコストを低減することができる。
【0038】
図7は、本発明の一実施形態に係る初期値データ登録処理のフローチャートである。
この初期値データ登録処理(ステップS3)は、純正品メーカから出荷された未使用のカートリッジ1の初期データを登録する際に、販売店においてカートリッジ再生システム10により実行される。ここで、カートリッジ1のメモリ2は、カートリッジ再生システム10のメモリ入出力部12によりデータ読込み及びデータ書込みが可能な状態とされているものとする。
【0039】
まず、カートリッジ再生システム10において、入力受付部11が、純正品メーカから出荷された未使用のカートリッジ1に付加されている外部識別情報3に対応する識別データの入力をシステム利用者から受け付ける(ステップS30)。
次いで、初期値データ読込部13が、メモリ入出力部12を介して、カートリッジ1のメモリ2から記録装置による使用によって変更される可能性のある変更データを含む初期値データを読込み(ステップS31)、初期値データ登録部14が、初期値データ読込部13が読込んだ初期値データと、入力受付部11が受け付けた外部識別情報に対応する識別データとを対応付けて初期値データ記憶部15に登録する(ステップS32)。
この処理によって、販売したそれぞれのカートリッジ1のメモリ2の初期値データを確実に初期値データ記憶部15に登録しておくことができる。
【0040】
図8は、本発明の一実施形態に係る再生処理のフローチャートである。
この再生処理(ステップS7)は、使用済のカートリッジ1を再生する際に、販売店においてカートリッジ再生システム10により実行される。ここで、使用済のカートリッジ1のメモリ2は、カートリッジ再生システム10のメモリ入出力部12によりデータ読込み及びデータ書込みが可能な状態とされているものとする。
【0041】
まず、カートリッジ再生システム10において、入力受付部11が、再生対象のカートリッジ1に付加されている外部識別情報3に対応する識別データの入力をシステム利用者から受け付ける(ステップS70)。
次いで、使用済データ読込部18が、メモリ入出力部12を介して、カートリッジ1のメモリ2から記憶装置により記憶されたカートリッジの使用状況データを含む使用済データを読み込み(ステップS71)、使用済データ登録部19は、使用済データ読込部18が読込んだ使用済データと、入力受付部11が受け付けた外部識別情報に対応する識別データとを対応付けて使用済データ記憶部20に登録する(ステップS72)。
【0042】
次いで、初期値データ検索部17は、入力受付部11によりシステム利用者から受け付けられた識別データに対応する初期値データを初期値データ記憶部15から検索する(ステップS73)。初期値データ書込部16は、初期値データ検索部17によって当該識別データに対応する初期値データが検出されたか否かを判定し(ステップS74)、初期値データが検出された場合には、検出された初期値データをメモリ入出力部12を介して、カートリッジ1のメモリ2に書き込む(ステップS75)。これによって再生対象のカートリッジ1のメモリ2の状態を、当該カートリッジ1が純正品メーカから初期出荷された時のメモリ2の状態と同様に再生することができる。したがって、レーザープリンタにおいて新品のカートリッジ1と同様に使用することができる。なお、初期値データが検出できなかった場合(ステップS74のNO)には、処理を終了する。
【0043】
図9は、本発明の一実施形態に係るカートリッジのメモリ内容の遷移を説明する図である。
図9(1)は、純正品メーカによる初期出荷時のカートリッジ1の1つであるカートリッジAのメモリ2の内容を示す。カートリッジAのメモリ2において、メモリ固有識別情報領域2aには、メモリ固有識別情報として「UID0001」が記憶され、カートリッジ識別情報領域2eには、カートリッジ識別情報として「AAAAA」が記憶され、使用状況データ領域2cには、初期出荷時の使用状況データが記憶され、チェックデータ領域2dには、カートリッジA用の初期出荷時のチェックデータ、すなわち、「UID0001」、使用状況データ、及び「AAAAA」に対するCRC符号データが記憶されている。
【0044】
図9(2)は、純正品メーカによる初期出荷時のカートリッジ1の1つであり、カートリッジAと異なるカートリッジBのメモリ2の状態を示す。カートリッジBのメモリ2において、メモリ固有識別情報領域2aには、メモリ固有識別情報として「UID0002」が記憶され、カートリッジ識別情報領域2eには、カートリッジ識別情報として「BBBBB」が記憶され、使用状況データ領域2cには、初期出荷時の使用状況データが記憶され、チェックデータ領域2dには、カートリッジA用の初期出荷時のチェックデータ、すなわち、「UID0002」、使用状況データ、及び「BBBBB」に対するCRC符号データが記憶されている。
【0045】
図9(3)は、図9(1)に示すカートリッジAをレーザープリンタによって使用し、カートリッジAの使用ができなくなった状態(使用済時)におけるメモリ2の内容を示す。
カートリッジAのメモリ2の使用状況データ領域2cには、使用済時における使用状況データが記憶され、さらに、チェックデータ領域2dには、使用済時における使用状況データを含むデータに対するCRC符号データが記憶される。
このようなメモリ2の内容のカートリッジAにトナーをリフィルし、レーザープリンタにおいて再利用しようとした場合には、例えば、レーザープリンタにおいて、メモリ2内の使用済時における使用状況データに基づいて、使用済のカートリッジであると判定され、記録に利用できない場合もあり得る。
【0046】
図9(4)は、図9(3)に示す使用済のカートリッジAの使用状況データを初期出荷時の状態に再生した場合のメモリ2の内容を示す。ここでは、再生をする時点で容易に入手できる図9(2)に示す同種のカートリッジBのメモリ2の内容をそのまま利用して再生する例を示す。
図9(4)に示すように、カートリッジAのメモリ2の使用状況データ領域2cには、初期出荷時の使用状況データが記憶され、カートリッジ識別情報領域2eには、カートリッジ識別情報として「BBBBB」が記憶され、チェックデータ領域2dには、カートリッジB用の初期出荷時のチェックデータ、すなわち、「UID0002」、使用状況データ、及び「BBBBB」に対するCRC符号データが記憶されている。このメモリ2の内容であれば、使用状況データは出荷初期時のデータであるので、レーザープリンタにおいて、記録できないことを防ぐことができる。しかしながら、CRC符号データは、カートリッジBの「UID0002」を含むデータに対するCRC符号データであるので、レーザープリンタにおいて、カートリッジAのメモリ2の「UID0001」を含むデータに対してチェック(CRC)が行われると、純正品でないと判定されてしまう。したがって、例えば、純正品でない等の警告が表示されてしまう。
【0047】
図9(5)は、図9(3)に示す使用済のカートリッジAをカートリッジ再生システム10により再生した場合のメモリ2の内容を示す。
カートリッジ再生システム10は、初期出荷時に登録していたカートリッジAの初期値データにより、メモリ2の内容を再生するので、図9(5)に示すように、カートリッジ識別情報領域2eには、カートリッジ識別情報として「AAAAA」を書き込み、使用状況データ領域2cに、初期出荷時の使用状況データを書き込み、チェックデータ領域2dに、カートリッジA用の初期出荷時のチェックデータ、すなわち、「UID0001」、使用状況データ、及び「AAAAA」に対するCRC符号データを書み込むことができる。このメモリ2の内容は、図9(1)に示す初期出荷時のメモリ内容と同様である。したがって、レーザープリンタにおいては、この再生されたカートリッジAを、初期出荷された純正品と同様に使用することができ、図9(4)に示すカートリッジのように、純正品でないとの警告が表示されることを防ぐことができる。
【0048】
本実施形態では、カートリッジ1のメモリを図2に示すメモリ構成を例に示していたが、他のメモリ構成であってもよい。
図10は、本発明の一実施形態に係るカートリッジのメモリの他の構成を説明する図である。なお、カートリッジ1に装着される他の構成のメモリをメモリ4として記載する。 メモリ4は、使用状況データ領域4aと、判定データ領域4bと、判定用識別情報領域4cとを含む。
使用状況データ領域4aは、当該メモリ4が装着されているカートリッジ1が使用されている状況に関するデータ(使用状況データ)を記憶する領域である。使用状況データは、カートリッジ1を装着して記録を行うレーザープリンタによって書き込まれるデータであり、レーザープリンタによりカートリッジ1が使用されると変化する可能性のある変更データである。使用状況データとしては、例えば、トナー残量、稼働時間、カートリッジに関する寿命データ等のデータがある。
【0049】
判定用識別情報領域4cは、カートリッジを製造する純正品メーカ側でカートリッジ1に固有な識別情報(カートリッジ固有識別情報)を記憶させる領域である。この判定用識別情報領域4cは、データ書き換えが不可能な領域として設定されている。レーザープリンタにおいては、このカートリッジ固有識別情報を判定用識別情報としてカートリッジが所定のものか否か、例えば、純正か否かを判定する際に利用している。なお、判定する処理については後述する。
判定データ領域4bは、カートリッジが所定のものであるか否かをレーザープリンタにおいて判定するために使用される判定データを格納する領域である。判定データは、カートリッジ固有識別情報と所定の関係を有している。本実施形態では、判定データは、カートリッジ固有識別情報と同一のデータとしている。
【0050】
次に、レーザープリンタにおいて、メモリ4に含まれた各種データによって、カートリッジ1が純正であるか否かを判定する処理について説明する。
レーザープリンタは、メモリ4の判定用識別情報領域4cからカートリッジ固有識別情報を読み出すと共に、判定データ領域4bから判定データを読み出す。そして、カートリッジ固有識別情報と判定データとを比較し、一致している場合には、判定データが変化していないことを意味しているので純正であると判定する一方、一致していない場合には、判定データが変更されたことを示しているので純正以外であると判定する。
【0051】
上記したメモリ4についても、図7、図8と同様な処理を行うことによって、純正品メーカから出荷された未使用時のメモリ4の状態と同様に再生することができる。したがって、再生したカートリッジ1をレーザープリンタにおいて新品のカートリッジ1と同様に使用することができる。
【0052】
図11は、本発明の一実施形態に係るカートリッジのメモリ内容の他の遷移例を説明する図である。
図11(1)は、純正品メーカによる初期出荷時のカートリッジ1の1つであるカートリッジCのメモリ4の内容を示す。カートリッジCのメモリ4おいて、使用状況データ領域4aには、初期出荷時の使用状況データが記憶され、判定用識別情報領域4cには、カートリッジ固有識別情報として「55555」が記憶され、判定データ領域4bには、判定データとして「55555」が記憶されている。
【0053】
図11(2)は、純正品メーカによる初期出荷時のカートリッジ1の1つであり、カートリッジCと異なるカートリッジDのメモリ4の状態を示す。カートリッジDのメモリ4において、使用状況データ領域4aには、初期出荷時の使用状況データが記憶され、判定用識別情報領域4cには、カートリッジ固有識別情報として「88888」が記憶され、判定データ領域4bには、判定データとして「88888」が記憶されている。
【0054】
図11(3)は、図11(1)に示すカートリッジCをレーザープリンタによって使用し、カートリッジCの使用ができなくなった状態(使用済時)におけるメモリ4の内容を示す。
カートリッジCのメモリ4の使用状況データ領域4aには、使用済時における使用状況データが記憶される。このようなメモリ4の内容のカートリッジCにトナーをリフィルし、レーザープリンタにおいて再利用しようとした場合には、例えば、レーザープリンタにおいて、メモリ4内の使用済時における使用状況データに基づいて、使用済のカートリッジであると判定され、記録に利用できない場合もあり得る。
【0055】
図11(4)は、図11(3)に示す使用済のカートリッジCの使用状況データを初期出荷時の状態に再生した場合のメモリ4の内容を示す。ここでは、再生する時点で容易に入手できる図11(2)に示す同種のカートリッジDのメモリ4の内容をそのままカートリッジCに書き込んで再生する例を示す。
図11(4)に示すように、カートリッジCのメモリ4の使用状況データ領域4cには、初期出荷時の使用状況データが記憶され、判定データ領域4bには、判定データとして「88888」が記憶されている。なお、判定用識別情報領域4cは、書込み不可の領域であるので、以前の状態のまま、すなわち「55555」が格納されている状態が維持されている。
このメモリ4の内容であれば、使用状況データは出荷初期時のデータであるので、レーザープリンタにおいて、記録できないことを防ぐことができる。しかしながら、判定データ「88888」と、カートリッジ固有識別情報「55555」とが一致していないので、レーザープリンタにおいて、純正品でないと判定されてしまう。したがって、例えば、純正品でない等の警告が表示されてしまう。
【0056】
図11(5)は、図11(3)に示す使用済のカートリッジCをカートリッジ再生システム10により再生した場合のメモリ4の内容を示す。
カートリッジ再生システム10は、初期出荷時に登録していたカートリッジCの初期値データにより、メモリ4の内容を再生するので、図11(5)に示すように、使用状況データ領域4aに、初期出荷時の使用状況データを書込み、判定データ領域4bに、判定データとして「55555」を書き込む。なお、判定用識別情報領域4cは、書込み不可の領域であるので、以前の状態のまま、すなわち「55555」が格納されている状態が維持される。
このメモリ4の内容は、図11(1)に示す初期出荷時のメモリ内容と同様である。したがって、レーザープリンタにおいては、この再生されたカートリッジCを、初期出荷された純正品と同様に使用することができ、図11(4)に示すように、純正品でないとの警告が表示されることを防ぐことができる。
【0057】
上記実施形態では、カートリッジ再生システムの構成は、図1に示す構成に限られず、以下に示すような変形例も可能である。
図12は、本発明の変形例に係るカートリッジ再生システムの機能構成図である。なお、図1と同様な機能部分については、同一の番号を付すこととする。
カートリッジ再生システム41は、例えばインターネット等のネットワーク44を介して接続された端末42と、サーバ43とによって構成される。
端末42は、入力受付部45と、メモリ入出力部12と、初期値データ書込部16と、初期値データ要求部46と、使用済データ読込部18と、使用済データ登録部47と、通信部48とを有する。
【0058】
入力受付部45は、例えば、マウス、キーボード等の入力装置を備え、システム利用者からの各種入力を受け付ける。本実施形態では、入力受付部45は、再生対象の使用済のカートリッジ1に付加されている外部識別情報3に対応する識別データの入力をシステム利用者から受け付ける。
通信部48は、ネットワーク44を介してサーバ43との情報の送受信を行う。
初期値データ要求部46は、入力受付部45によりシステム利用者から受け付けられた識別データを通信部48によりサーバ43に送信させるとともに、通信部48によりサーバ43から検索結果としての識別データに対応する初期値データを受信する。
使用済データ登録部47は、使用済データ読込部18が読込んだ使用済データと、入力受付部45が受け付けた外部識別情報に対応する識別データとを対応付けて通信部48によりサーバ43に送信する。
【0059】
サーバ43は、入力受付部51と、初期値データ登録部14と、初期値データ記憶部15と、使用済データ記憶部20と、通信部49と、検索手段の一例としての処理部50とを有する。
入力受付部51は、例えば、マウス、キーボード等の入力装置を備え、システム利用者からの各種入力を受け付ける。本実施形態では、入力受付部51は、純正品メーカから出荷された未使用のカートリッジ1に付加されている外部識別情報3に対応する識別データの入力をシステム利用者から受け付ける。
通信部49は、ネットワーク44を介して端末42と情報の送受信を行う。
【0060】
処理部50は、通信部49を介して初期値データ要求部46により送信された識別データを受信した場合には、当該識別データに対応する初期値データを初期値記憶部15から検索し、当該初期値データを通信部49により端末42に送信させる。
また、処理部50は、通信部49を介して、使用済データ及び識別データを受信した場合には、それらを対応付けて使用済データ記憶部20に格納する。
このカートリッジ再生システム41においても、上記した図7及び図8に示す処理と同様な処理を行うことによって、再生されたカートリッジ1のメモリの内容を初期出荷時と同様にすることができる。したがって、レーザープリンタにおいて、再生されたカートリッジ1を初期出荷時のカートリッジ1と同様に使用することができる。
【0061】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明は上述した実施の形態に限られず、他の様々な態様に適用可能である。
例えば、上記実施形態では、外部識別情報として、カートリッジ1の外部に直接付加されている例を示していたが、本発明はこれに限られず、カートリッジ1の外部に直接付加されていなくともよく、例えば、メーカから初期出荷される際においてカートリッジ1を収容した箱、袋等のパッケージに外部識別情報を付加するようにしてよく、また、カートリッジ1と同梱されている説明書等の紙に付加するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、数字、アルファベット等を外部識別情報としていたが、例えば、バーコード等を用いるようにしてもよい。この場合には、入力受付部11は、バーコードリーダーを含むようにすればよい。
また、上記実施形態では、カートリッジ1毎に外部識別情報を入力するようにしていたが、例えば、複数のカートリッジ1に関する複数の外部識別情報に対応する識別データを電子ファイルで取得できる場合には、当該電子ファイルを読み込んで入力するようにしてもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、判定用識別情報として、メモリ内のデータを用いた例を示していたが、本発明はこれに限られず、例えば、カートリッジ1の外部に付加された情報、例えば、バーコードを判定用識別情報としてもよい。この場合には、同一のバーコードを外部識別情報として利用するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、判定データとしてCRC符号データを用いた例を示したが、判定データはこれに限られず、他の誤り検出符号データであってもよい。
なお、上記実施形態では、記録装置の一例としてのレーザープリンタにより使用されるトナーを収容するカートリッジを例に説明していたが、本発明はこれに限られず、例えば、インクジェットプリンタにおけるインクを収容したカートリッジや、その他の記録装置の消耗品の収容するカートリッジを再生する際においても本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施形態に係るカートリッジ再生システムの機能構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るカートリッジのメモリの構成を説明する図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る初期値データ記憶部に記憶される初期値データベースを説明する図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る使用済データ記憶部に記憶される使用済データベースを説明する図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るカートリッジ再生システムのハードウエア構成図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るカートリッジが再生使用されるまでのシーケンスを説明する図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る初期値データ登録処理のフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態に係る再生処理のフローチャートである。
【図9】本発明の一実施形態に係るカートリッジのメモリ内容の遷移を説明する図である。
【図10】本発明の一実施形態に係るカートリッジのメモリの他の構成を説明する図である。
【図11】本発明の一実施形態に係るカートリッジのメモリ内容の他の遷移例を説明する図である。
【図12】本発明の変形例に係るカートリッジ再生システムの機能構成図である。
【符号の説明】
【0064】
1 カートリッジ、2 メモリ、3 外部識別情報、10 カートリッジ再生システム、11 入力受付部、12 メモリ入出力部、13 初期値データ読込部、14 初期値データ登録部、15 初期値データ記憶部、16 初期値データ書込部、17 初期値データ検索部、18 使用済データ読込部、19 使用済データ登録部、20 使用済データ記憶部、21 表示装置、22 入力装置、23 CPU、24 ROM、25 RAM、26 ハードディスクドライブ、27 表示処理部、28 入力インターフェース、29 コンボドライブ、30 メモリインターフェース、31 バス、32 記録媒体、41 カートリッジ再生システム、42 端末、43 サーバ、44 ネットワーク、45 入力受付部、46 初期値データ要求部、47 使用済データ登録部、48 通信部、49 通信部、50 処理部、51 入力受付部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
消耗品を収容可能なカートリッジに設けられたメモリに、カートリッジの再利用のためのデータを書き込むカートリッジ再生システムであって、
前記カートリッジには、データ書き換え不可能なカートリッジ固有の判定用識別情報が付与され、前記メモリには、前記判定用識別情報と所定の関係を有し、当該カートリッジが所定のものであるか否かを判定するために記録装置で利用される判定データが格納されており、
前記カートリッジの外部から認識可能なカートリッジ固有の外部識別情報に対応する識別データと、初期出荷時における当該カートリッジのメモリ中の記録装置により変更される可能性のある変更データを含む初期値データと、を対応付けて記憶する初期値データ記憶手段と、
再生対象のカートリッジの外部識別情報に対応する識別データの入力を受け付ける入力受付手段と、
受け付けられた前記識別データに対応する前記初期値データを前記初期値データ記憶手段から検索する検索手段と、
検索した前記初期値データを再生対象の前記カートリッジの前記メモリに書き込む初期値データ書込手段と
を有するカートリッジ再生システム。
【請求項2】
前記カートリッジのメモリには、記録装置によりカートリッジの使用状況データが記憶され、
再生対象のカートリッジのメモリから前記使用状況データを含む使用済データを読み込む使用済データ読込手段と、
前記読み込んだ使用済データを記憶する使用済データ記憶手段と
をさらに有する請求項1に記載のカートリッジ再生システム。
【請求項3】
前記判定用識別情報は、メモリの通常記憶領域以外に記憶されるメモリ毎に固有な識別情報であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のカートリッジ再生システム。
【請求項4】
前記判定用識別情報は、メモリの記憶領域中の書き込み不可領域に記憶される識別情報であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のカートリッジ再生システム。
【請求項5】
前記初期値データは、記録装置による使用によって変更される可能性のある変更データのみを含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のカートリッジ再生システム。
【請求項6】
前記判定用データは、前記判定用識別情報を含むデータに対して所定の演算を行うことにより得られる符号データであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のカートリッジ再生システム。
【請求項7】
前記判定用データは、前記判定用識別情報と同一のデータであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のカートリッジ再生システム。
【請求項8】
前記カートリッジ再生システムは、ネットワークを介して接続された端末及びサーバによって構成されており、
前記端末は、前記入力受付手段と、前記初期値データ書込手段とを有し、
前記サーバは、前記初期値データ記憶手段と、前記検索手段とを有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のカートリッジ再生システム。
【請求項9】
消耗品を収容可能なカートリッジに設けられたメモリに、カートリッジの再利用のためのデータを書き込むカートリッジ再生システムによるカートリッジ再生方法であって、
前記カートリッジには、データ書き換え不可能なカートリッジ固有の判定用識別情報が付与されて、前記メモリには、前記判定用識別情報と所定の関係を有し、当該カートリッジが所定のものであるか否かを判定するために記録装置で利用される判定データが格納されており、
前記カートリッジの外部から認識可能なカートリッジ固有の外部識別情報に対応する識別データと、初期出荷時における当該カートリッジのメモリ中の記録装置により変更される可能性のある変更データを含む初期値データと、を対応付けて初期値データ記憶手段に記憶する初期値記憶ステップと、
入力受付手段により再生対象のカートリッジの外部識別情報に対応する識別データの入力を受け付ける入力受付ステップと、
検索手段により、受け付けられた前記識別データに対応する前記初期値データを前記初期値データ記憶手段から検索する検索ステップと、
初期値データ書込手段により、検索した前記初期値データを再生対象の前記カートリッジの前記メモリに書き込む書込ステップと
を有するカートリッジ再生方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−71910(P2007−71910A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−255505(P2005−255505)
【出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】