説明

カードコネクタ装置及び車載装置

【課題】ICカードが横挿入されても、コネクタの破損を防止する。
【解決手段】正規の挿入方向Xと交わる方向に延びる凸部55を任意の表面の縁部寄りに設けたICカード50が装着されるカードコネクタ2を有するカードコネクタ装置1において、前記カードコネクタ2が、前記ICカード50と電気的に接続される端子4と、前記ICカード50の挿入方向に沿って設けられ且つ前記ICカード50の両側面と接触して該ICカード50を前記端子4に誘導する一対の誘導部6と、を有し、前記正規の挿入方向Xから挿入される前記ICカード50を前記一対の誘導部6の挿入位置に位置付ける挿入口32を有し且つ前記カードコネクタ2とは別体に形成された挿入補助部材3を有し、前記挿入補助部材3の挿入口32が、前記ICカード50の本体の厚さよりも広く且つ前記本体と前記凸部55とを含む凸部厚さよりも狭く形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正規の挿入方向と交わる方向に延びる凸部を任意の表面の縁部寄りに設けたICカードが装着されるカードコネクタを有するカードコネクタ装置、及び、該カードコネクタ装置を有する車載装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルタコグラフ、自動料金収受システム(ETC:Electronic Toll Collection System)用の車載器、等の各種車載装置は、CF(Compact Flash)カード等の各種ICカードをケース本体内に挿入するための挿入口と、この挿入口より挿入されたカードに対するデータの書き込み/データの読み出しを行うICカード装置と、を有している。
【0003】
特許文献1に示す従来のICカード装置は、スライド式の誤挿入防止用可動板を有し、大きさの異なる2種類のICカードのうちの一方を選択的に装着ICカード用コネクタにおいて、ICカードの誤った着脱のときでも、誤挿入防止用可動板の姿勢がその幅方向に傾くことを回避できる構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−141794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、上述した従来のICカード装置は、複数種類のICカードの誤挿入を防止する構造に関するものであるが、1種類のICカードのみを用いるICカード装置についても、誤挿入の問題は生じている。例えば、ICカードを正規の挿入方向に対して90度回転させても挿入できてしまう、即ち、ICカードの挿入方向と幅該挿入方向に交わる幅方向のサイズに大差がないICカードを用いる場合、ICカード装置にICカードが誤った方向で挿入されると、その挿入力によりコネクタピン等の端子が破損するという問題があった。
【0006】
また、このような問題を解決するために、ICカードの断面形状を特殊な形状とし、該形状に合わせた挿入口を形成して、横挿入を防止することも考えられる。しかしながら、ICカードは小さいため、そのような特殊な断面形状を実現するのは困難であった。そのため、ICカードの横挿入が防止できる簡単な構成が望まれていた。
【0007】
よって本発明は、上述した問題点に鑑み、ICカードが横挿入されても、コネクタの破損を防止することができるカードコネクタ装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項1記載のカードコネクタ装置は、正規の挿入方向と交わる方向に延びる凸部を任意の表面の縁部寄りに設けたICカードが装着されるカードコネクタを有するカードコネクタ装置において、前記カードコネクタが、前記ICカードと電気的に接続される端子と、前記ICカードの挿入方向に沿って設けられ且つ前記ICカードの両側面と接触して該ICカードを前記端子に誘導する一対の誘導部と、を有し、前記正規の挿入方向から挿入される前記ICカードを前記一対の誘導部の挿入位置に位置付ける挿入口を有し且つ前記カードコネクタとは別体に形成された挿入補助部材を有し、前記挿入補助部材の挿入口が、前記ICカードの本体の厚さよりも広く且つ前記本体と前記凸部とを含む凸部厚さよりも狭く形成されていることを特徴とする。
【0009】
上記請求項1に記載した本発明のカードコネクタ装置によれば、挿入補助部材の挿入口は、正規の挿入方向からICカードが進入すると、ICカードの凸部は接触しないため、ICカードの挿入が可能となる。これに対し、正規の挿入方向から回転された異なる向きでICカードを挿入口に進入させようとした場合、ICカードの凸部が挿入口と接触するため、挿入口によってICカードの進入は阻止される。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載のカードコネクタ装置において、前記ICカードの表面と交わる厚み方向に、前記挿入補助部材を可動可能に保持する可動保持手段を有することを特徴とする。
【0011】
上記請求項2に記載した本発明のカードコネクタ装置によれば、カードコネクタと別体に形成された挿入補助部材は、可動保持手段によってICカードの厚み方向に可動可能に保持されるため、カードコネクタ装置の組み付けにより生じた厚み方向の公差を吸収することができる。
【0012】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項3記載の車載装置は、請求項1又は2に記載のカードコネクタ装置と、該カードコネクタ装置を収容するケースと、を有する車載装置において、前記ケースが、前記カードコネクタ装置の前記挿入補助部材の挿入口と対向し且つ前記挿入口の形状よりも大きく形成されたケース側挿入口を有することを特徴とする。
【0013】
上記請求項3に記載した本発明の車載装置によれば、ケース本体のケース側挿入口を通過したICカードは、挿入補助部材の挿入口に到達する。そして、ICカードが正規挿入方向で挿入口に挿入されると、ICカードはカードコネクタの一対の誘導部間を通ってスライドし、端子と電気的に接続される。また、ICカードの正規挿入方向とは異なる向きでICカードがカードコネクタ装置の挿入口に到達すると、該挿入口は進入するICカードに接触して進入を阻止する。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように請求項1に記載した本発明のカードコネクタ装置によれば、ICカードが正規の挿入方向とは異なる向きで挿入補助部材の挿入口に挿入されようとした場合、該挿入口がICカードに接触してICカードの挿入を阻止することから、ICカードが横挿入されても、ICカードが複数の端子に到達することを阻止することができる。従って、ICカードの挿入方向を間違えても、端子の破損を防止することができる。
【0015】
請求項2に記載した本発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、挿入補助部材をカードコネクタと別体に形成し、該挿入補助部材を可動保持手段によってICカードの厚み方向に可動可能に保持するようにしたことから、カードコネクタ装置の組み付けにより生じた厚み方向の公差を吸収することができる。従って、カードコネクタ装置を他の部材に組み付けた後に、挿入補助部材を厚さ方向に可動させて公差の吸収を図ることができるため、組み付け公差によりICカードが挿入不可になることを防ぐことができる。
【0016】
以上説明したように請求項3に記載した本発明の車載装置によれば、ICカードがケース側挿入口から正規挿入方向とは異なる向きで挿入補助部材の挿入口に到達すると、ICカードが挿入口と接触して端子に到達することを挿入補助部材によって阻止するようにしたことから、ICカードが横挿入されても、ICカードによるカードコネクタの端子の破損を防止することができる。また、カードコネクタ装置の組み付けられた際に公差が生じても、挿入補助部材はカードコネクタと別部材であることから、挿入補助部材の組み付け位置を調整することで、その公差の吸収を図ることができる。さらに、ケースとカードコネクタ装置との間に組み付け公差が生じても、挿入補助部材によって該公差を吸収することができる。また、車載装置のケース側挿入口を挿入補助部材の挿入口よりも大きく形成したことから、ICカードのケース側挿入口に対する挿入が容易となるため、操作性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るカードコネクタ装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示したカードコネクタと挿入補助部材を示す上面図である。
【図3】カードコネクタに挿入補助部材を挿入したときの上面図である。
【図4】図2中の部分Kを拡大した拡大図である。
【図5】図3中の部分Hを拡大した拡大図である。
【図6】図3中の直線M−Mを通る矢印方向の断面図である。
【図7】図3中の直線N−Nを通る矢印方向の断面図である。
【図8】カードコネクタ装置を有する車載装置の正面図であり、(a)はカバーの閉状態、(b)はカバーの開状態をそれぞれ示している。
【図9】車載装置の一部分を示す分解斜視図である。
【図10】図8に示した車載装置のケース側挿入口とカードコネクタ装置との関係を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るカードコネクタ装置を適用した車載装置に相当する車両運行情報収集装置の実施形態の一例を、図1〜図10の図面を参照して説明する。
【0019】
図1乃至図4において、カードコネクタ装置1は、例えば、車載装置、携帯電話機、デジタルカメラ等の各種電子機器の内部に組み込まれる。カードコネクタ1には、上述したICカード50が装着される。
【0020】
なお、ICカード50としては、CFカード等のカード状記録媒体を用いることができる。ICカード50は、正規の挿入方向Xと交わる幅方向Yに沿って延びる凸部55を有している。そして、該凸部55は、一方面51に対する他方面52の後側面53寄りに突出している。ICカード50のカード本体50aの厚みAは、カード本体50aと該凸部55を含む凸部厚みBよりも小さくなっている(A<B)。ICカード50の凸部55は、その延在方向によって正規の挿入方向Xを利用者に認識させている。そして、図1中では、正規の挿入方向から90度回転させた方向が、横挿入方向X’となっている。
【0021】
次に、カードコネクタ1は、図1等に示すように、カードコネクタ2と、該カードコネクタ2とは別体に形成された挿入補助部材3と、を有して構成している。
【0022】
カードコネクタ2は、複数の端子4と、該複数の端子4が設けられた基部5と、該基部5の両端から立設する一対の誘導部6と、を有している。
【0023】
複数の端子4の各々は、導電性部材によってピン状に形成されている。複数の端子4は、一端4aがICカード50の挿入方向Xに沿って基部5から突出している。各端子4の一端4aは、ICカード50のカード本体51内に進入して接続部(図示せず)と電気的に接続される。そして、複数の端子4は、図2及び図3に示すように、他端4bが基部5から外部に向かって突出して露出した状態で設けられ、カードコネクタ装置1を装着する基板の配線パターンと電気的に接続される。
【0024】
基部5は、合成樹脂部材によって形成されている。基部5は、挿入方向Xから進入したICカード50と複数の端子4とを接続した状態で、保持部5aにICカード50の端部50b寄りを収容して保持する。基部5は、2つの複数の取り付け穴5bを有し、該取り付け穴5bと螺子との螺合によって基板等の相手部材に固定される。
【0025】
一対の誘導部6は、ICカード50の挿入方向Xと平行に、対向して基部5から延在している。各誘導部6は、幅方向Yの断面が略L字状に形成されている。各誘導部6は、底壁aと、該底壁6bから立設する側壁6bと、天井壁6cと、を有し、合成樹脂部材によって一体に形成されている。
【0026】
底壁6aには、進入したICカード50の各側壁56,57寄りの他方面52が位置付けられて、ICカード50の落下を阻止する。各側壁6bは、進入したICカード50の各側壁56,57が挿入方向Xの移動が可能なように接触し且つICカード50の幅方向Yへの移動を阻止している。
【0027】
天井壁6cは、図4,5等に示すように、側壁6bの先端寄りに形成されており、その下面6dから底壁6aの表面までが高さDとなっている。該高さDは、ICカード50のカード本体50aの厚みAよりも大きく、且つ、前記凸部厚みBよりも小さくなっている(A<D<B)。これにより、底壁6aと天井壁6cとの間にカード本体50aの人入を可能とし、また、凸部55の進入を不可能としている。なお、本実施形態の天井壁6cは、底壁6aと同一の幅で形成する場合について説明するが、本発明はこれに限定するものではなく、天井壁6cの幅を底壁6aより小さくすることもできる。
【0028】
また、底壁6aと天井壁6cとの端部の各々には、テーパ部6dを形成している。テーパ部6dは、ICカード50の進入開始側から基部5に向かって底壁6aと天井壁6cとの間隔を次第に狭めるように形成されている。即ち、底壁6aと天井壁6cとの端部の間隔は、前記高さDよりも若干広くなっており、基部5に向かうに従って次第に狭まり、最終的に前記高さDとなるように形成されている。これにより、カードコネクタ2に対するICカード50の挿入を容易としている。
【0029】
挿入補助部材3は、本体31と、該本体31を貫通する挿入口32と、を有している。そして、本体31は、合成樹脂部材によって断面が略口状に形成されており、その中心付近の貫通部分が挿入口32となっている。挿入口32は、図3〜5に示すように、カードコネクタ2の一対の誘導部6の天井壁6c部分に嵌合可能な形状で形成されている。即ち、挿入口32の幅方向Yにおける内壁間の幅は、一対の誘導部6の外幅W1と等しくなっている。
【0030】
そして、本実施形態では、挿入補助部材3をカードコネクタ2の誘導部6に装着するために、挿入口32は一対の段差部33,34を有している。一対の段差部33,34は、挿入口32の幅方向Yにおける中央付近に対向して設けられている。各段差部33,34は、図2に示すように、一対の誘導部6の間隔W2と等しい幅で形成されている。そして、間隔W2は、ICカード50の凸部55の形成方向の幅よりも大きいため、ICカード50のカードコネクタ1への誤挿入(横挿入)が可能となるが、この対策として挿入補助部材3が有効となっている。また、挿入口32は、幅方向Yの段差部33の両側に、誘導部6の底壁6a及び側壁6bを収容し、底壁6aと同一幅の第1収容部35を形成している。また、挿入口32は、幅方向Yの段差部34の両側に、誘導部6の側壁6b及び天井壁6cを収容し、天井壁6cと同一幅の第2収容部36を形成している。そして、挿入口32は、第1収容部35と第2収容部36にわたる空間が、カードコネクタ2の各誘導部6と嵌合する嵌合空間32aとなっている。
【0031】
挿入口32の嵌合空間32aは、図6に示すように、ICカード50の表面と交わる厚み方向Zに、挿入補助部材3を可動可能に保持するため、カードコネクタ6の誘導部6の側壁6bの高さよりも可動可能範囲分だけ大きく形成している。可動可能範囲は、カードコネクタ装置1と組み付け相手部品との組み付け交差を吸収するために予め定められた範囲となっている。即ち、厚み方向Zにおけるカードコネクタ2と挿入補助部材3との間に隙間Sを形成している。これにより、図7に示すように、ICカード50が挿入補助部材3のテーパ部33に接触しても、挿入補助部材3とカードコネクタ2との間には隙間Sがあるため、部品寸法にバラツキが生じても隙間S分だけ、挿入補助部材3が厚み方向Zに可動可能となる。
【0032】
このように構成した挿入補助部材3の挿入口32の厚み方向Zの高さCは、即ち、一対の段差部33,34の間隔は、図1等に示すように、ICカード50の本体50aの厚さAよりも広く、且つ、本体50aと凸部55とを含む凸部厚さBよりも狭く形成されている(A<C<B)。
【0033】
次に、上述したカードコネクタ装置1のカードコネクタ2と挿入補助部材3との組み付け例を説明する。
【0034】
カードコネクタ2の一対の誘導部6を、挿入補助部材3の挿入口32の嵌合空間32a内に進入させ、挿入補助部材3を誘導部6の当接部6eに当接させることで、カードコネクタ2の一対の誘導部6に挿入補助部材3が隙間Sを介して嵌合される。そして、該挿入補助部材3は厚み方向Zに可動可能な状態となっている。
【0035】
よって、挿入補助部材3の挿入口32に正規の挿入方向XのICカード50を挿入する場合、ICカード50を挿入補助部材3のテーパ部33に接触させて、ICカード50を厚み方向Zに移動させることで、カードコネクタ2と挿入補助部材3との相対位置を調整することができる。
【0036】
以上説明したカードコネクタ装置1によれば、挿入補助部材3の挿入口32は、正規の挿入方向XからICカード50が進入すると、ICカード50の凸部55は接触しないため、ICカード50の挿入が可能となる。これに対し、正規の挿入方向Xから90度左に回転された横挿入方向X’でICカード50を挿入口32に進入させようとした場合、ICカード50の凸部55が挿入口32と接触するため、挿入口32によってICカード50の進入は阻止される。
【0037】
よって、ICカード50が正規の挿入方向Xとは異なる横挿入方向X’で挿入補助部材3の挿入口32に挿入されようとした場合、該挿入口32がICカード50に接触してICカード50の挿入を阻止することから、ICカード50が横挿入されても、ICカード50が複数の端子4に到達することを阻止することができる。従って、ICカード50の正規挿入方向Xを間違えても、端子4の破損を防止することができる。
【0038】
次に、上述したカードコネクタ装置1を、デジタルタコグラフである車載装置10に組み込む場合の実施形態を説明する。なお、説明を簡単化するために、本発明の車載装置10のICカード50の挿入部分に関連する部分のみを説明し、その他の説明は省略する。
【0039】
車載装置10は、上記カードコネクタ装置1と、該カードコネクタ装置1を収容するケース20と、を有している。ケース20は、合成樹脂部材によって箱状に形成されている。ケース20は、図8,9に示すように、フロントケース21を有している。ケース20内には、フロントケース21の背後に配置され且つフロントケース21に関連する電子部品が実装された基板22と、該基板22に電気的に接続されて車載装置10全体の制御を行う制御基板23と、を有している。
【0040】
フロントケース21は、図10に示すように、合成樹脂部材によって断面が略コ字状に形成されている。フロントケース21は、ケース側挿入口25と、操作部26と、表示部27と、カバー28と、を有して構成している。
【0041】
ケース側挿入口25は、フロントケース21の左側寄りの幅方向にスリット状に形成されている。ケース側挿入口25は、カードコネクタ装置1の挿入補助部材3の挿入口32と対向し且つ該挿入口32の形状よりも大きく形成されている。ケース側挿入口25には、ケース20内に収容されるカードコネクタ装置1に装着されるICカード50が挿入/取り出しされる。
【0042】
操作部26は、終了スイッチ、切替スイッチ、実/空スイッチ、高速スイッチ、専用道12e、等を有している。そして、前記終了スイッチが操作されることで、ICカード50への情報の書き込み要求を操作に応じて発生する。つまり、利用者が運行の終了に応じて操作することで、車載装置10は運行中に収集した運行情報をICカード50に書き込む。
【0043】
表示部27は、液晶表示装置等が用いられ、例えば運行状況、各種警報等を表示する。カバー28は、フロントケース21の高さとほぼ等しく、且つ、ケース側挿入口25を塞ぐ大きさとなっている。カバー28は、フロントケース21の一対のスリットに係合された状態でフロントケース21の前面側に設けられて、フロントケース21の幅方向Fにスライド可能な構成となっている。つまり、カバー28は、ICカード50が挿入されたケース側挿入口25を覆い隠す閉状態と(図8(a)参照)、ケース側挿入口25に対するICカード50の出し入れが可能な開状態と(図8(b)参照)、に遷移(スライド)する構成となっている。
【0044】
カードコネクタ装置1は、フロントケース21のケース側挿入口25と挿入補助部材3の挿入口32が対向するように、制御基板23に実装されている。そして、カードコネクタ装置1はさらに、ICカード50の表面と交わる厚み方向Zに、挿入補助部材3を可動可能に保持する可動保持手段7を有している。本実施形態の可動保持手段7は、一対のバネであり、厚み方向Zの挿入補助部材3の上面及び下面を挟持した状態で保持している。
【0045】
可動保持手段7は、フロントケース21の裏面側に形成された収容部21aから一部が突出した状態で収容されており、その突出部分を挿入補助部材3の前記隙間S等に挿入して、上面及び下面に当接させている。そして、可動保持手段7の弾性力によって、挿入補助部材3とカードコネクタ2との間に生じている隙間S分だけ可動可能となっている。また、可動保持手段7を弾性部材とすることで、厚み方向Zに挿入補助部材3を移動するときのフィーリングが滑らかとなり、質感の向上を図ることができる。
【0046】
上述した車載装置10において、ICカード50を挿入する場合の動作(作用)の一例を以下に説明する。
【0047】
正規挿入方向XのICカード50は、フロントケース21のケース側挿入口25に進入し、そのまま進入し続けると、カードコネクタ装置1の挿入補助部材3の挿入口32に到達する。そして、ICカード50は、挿入口32と凸部55が接触しないため、そのままカードコネクタ装置1内を進入し、端子4が挿入部50c内に挿入されて接続端子と電気的に接続される。
【0048】
また、車載装置10の組み付け公差の発生によってICカード50の先端が挿入補助部材3の挿入口32に接触すると、可動保持手段7の弾性力によって挿入補助部材3は厚み方向Zに移動される。これにより、ICカード50は挿入補助部材3の挿入口32内に進入可能となると、端子4に向かって進入した後、端子4と接触して電気的に接続される。
【0049】
以上説明した車載装置10によれば、ICカード50がケース側挿入口25から正規挿入方向Xとは異なる向きで挿入補助部材3の挿入口32に到達すると、ICカード50が挿入口32と接触して端子4に到達することを挿入補助部材3によって阻止するようにしたことから、ICカード50が横挿入されても、ICカード50によるカードコネクタ2の端子4の破損を防止することができる。また、カードコネクタ装置1の組み付けられた際に公差が生じても、挿入補助部材3はカードコネクタ2と別部材であることから、挿入補助部材3の組み付け位置を調整することで、その公差の吸収を図ることができる。さらに、ケース20とカードコネクタ装置1との間に組み付け公差が生じても、挿入補助部材3によって該公差を吸収することができる。また、車載装置10のケース側挿入口25を挿入補助部材3の挿入口32よりも大きく形成したことから、ICカード50のケース側挿入口25に対する挿入が容易となるため、操作性の向上を図ることができる。
【0050】
また、カードコネクタ装置1の挿入補助部材3をカードコネクタ2と別体に形成し、該挿入補助部材3を可動保持手段7によってICカード50の厚み方向Zに可動可能に保持するようにしたことから、カードコネクタ装置1の組み付けにより生じた厚み方向Zの公差を吸収することができる。従って、カードコネクタ装置1を他の部材に組み付けた後に、挿入補助部材3を厚さ方向Zに可動させて公差の吸収を図ることができるため、組み付け公差によりICカード50が挿入不可になることを防ぐことができる。
【0051】
車載装置10のケース20とカードコネクタ装置1との間に組み付け公差によるズレが生じると、挿入口32からICカード50を挿入することが困難となってしまう。しかしながら、本発明のように、挿入口32を有する挿入補助部材3を可動可能としたことで、そのような公差を吸収可能となり、ICカード50の挿入が困難になるという問題が発生しなくなる。さらに、組み付け公差があまりにも大きいと、最悪の場合、正規の挿入方向XからICカード50を挿入できないといった背反が生じてしまうが、本発明はこのような問題の解消にも有効である。
【0052】
なお、上述した実施形態では、挿入補助部材3を厚さ方向Zの双方向への可動を可能とした場合について説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、厚さ方向Zの一方向のみに挿入補助部材3の可動を可能とする構造とすることもできる。
【0053】
このように上述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 カードコネクタ装置
2 カードコネクタ
3 挿入補助部材
4 端子
6 誘導部
7 可動保持手段
10 車載装置
20 ケース
25 ケース側挿入口
32 挿入口
50 ICカード
55 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正規の挿入方向と交わる方向に延びる凸部を任意の表面の縁部寄りに設けたICカードが装着されるカードコネクタを有するカードコネクタ装置において、
前記カードコネクタが、前記ICカードと電気的に接続される端子と、前記ICカードの挿入方向に沿って設けられ且つ前記ICカードの両側面と接触して該ICカードを前記端子に誘導する一対の誘導部と、を有し、
前記正規の挿入方向から挿入される前記ICカードを前記一対の誘導部の挿入位置に位置付ける挿入口を有し且つ前記カードコネクタとは別体に形成された挿入補助部材を有し、
前記挿入補助部材の挿入口が、前記ICカードの本体の厚さよりも広く且つ前記本体と前記凸部とを含む凸部厚さよりも狭く形成されていることを特徴とするカードコネクタ装置。
【請求項2】
前記ICカードの表面と交わる厚み方向に、前記挿入補助部材を可動可能に保持する可動保持手段を有することを特徴とする請求項1に記載のカードコネクタ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のカードコネクタ装置と、該カードコネクタ装置を収容するケースと、を有する車載装置において、
前記ケースが、前記カードコネクタ装置の前記挿入補助部材の挿入口と対向し且つ前記挿入口の形状よりも大きく形成されたケース側挿入口を有することを特徴とする車載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−205653(P2010−205653A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−51995(P2009−51995)
【出願日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】