説明

カード式パチンコ遊技機

【課題】プリペードカード使用による貸し球の払い出し機能を備えたパチンコ遊技機において、賞品球の払出しと貸し球の払出しとを区別して信号処理の誤作動を回避し、かつ迅速な信号処理を達成すること。
【解決手段】入賞球検出スイッチと、外部カード処理ユニット30の球貸し操作スイッチ31と、前記各スイッチに応じて遊技球を払い出す球払出装置80とを備え、入賞球検出スイッチは主制御基板91に接続される一方、球貸し操作スイッチ31及び球払出装置80はCR払出し制御基板88に接続され、CR払出し制御基板88は入賞球検出スイッチの検出動作に対応した主制御基板91からの賞品球の払出し指令を受けて前記球払出装置80によって賞球を払い出させる一方、球貸し操作スイッチ32による球貸し要求を受けて前記球払出装置80によって貸し球を払い出させる制御を実行するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード式パチンコ遊技機に関し、さらに詳しくは、プリペードカード使用による貸し球の払出機構を備えたカード式パチンコ遊技機において賞品球の払い出しと貸し球の払い出しとを区別して制御することのできるカード式パチンコ遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一般に知られているように、パチンコ遊技機は、遊技盤面に設けられる各種入賞口に遊技球が入賞すると、その入賞信号を受けて遊技機内に設けられる賞品球払出装置によりその各入賞口に応じた所定個数の賞品球が遊戯者に払出されるようになっている。
【0003】
また近年、プリペードカード使用によるパチンコ遊技機も知られており、このカード式のパチンコ遊技機の場合には、各遊技機に備え付けられるプリペードカードによる玉貸機(以下、「プリペードカードユニット」と称する)にプリペードカードを挿入し、金額設定ボタンの操作により貸し出し金額を決めて球貸出しボタンを押すと、その貸し出し金額に応じた所定個数の貸し球が遊戯者に払出されるようになっている。
【0004】
このカード式パチンコ遊技機の場合には、前述した賞品球払出装置を貸し球払出装置としても兼用し、遊技盤の各入賞口に遊技球が入賞したことによる入賞信号とプリペードカード使用による球貸出し操作に伴う貸し球要求信号の両方の信号処理により、時には賞品球の払出しを、また時には貸し球の払出しをその賞品球払出装置により行うようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来一般に知られているカード式パチンコ遊技機においては遊技盤面の各入賞口に遊技球が入賞したことによる入賞信号と、プリペードカード使用による球貸出し操作に伴う貸し球要求信号の両方の信号処理を主(メイン)制御基板で処理するようになっていた。
【0006】
その場合に最近のパチンコ遊技機では、遊技盤面に図柄表示装置や電動役物である大入賞口を備え、図柄表示装置の変動図柄の確定によって「大当たり」状態が生じると、大入賞口が所定のインターバルで何回か開放を繰り返し、その間に多数の遊技球が入賞して遊戯者に多量の賞品球が払出されるものが主流となっているが、このような、いわゆるフィーバタイプのものでは、その図柄表示装置の図柄変動制御のほかに大入賞口の駆動制御その他の信号処理の多くが主制御基板で行われていた。
【0007】
このような場合、主制御基板に(賞品)球払出装置から球払出信号(具体的には払出球数計数センサからの信号)が入った時、その入力信号が賞品球の払い出しであるのか、球貸し出しであるのかが判定できない。そのために遊技球の払い出し確認に不都合が生じるおそれがあり、例えば、遊技球の払出個数の誤作動により遊戯者には払い出し個数が少ないことによる不利益を与える等の問題が起こり得るものであった。
【0008】
本発明の解決しようとする課題は、プリペードカード使用による貸し球の払出機構を備えたカード式パチンコ遊技機において、各種入賞口への入賞に伴う賞品球の払い出しと、プリペードカード使用による貸し球の払い出しとの信号の認識をはっきりさせることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題を解決するために本発明に係るカード式パチンコ遊技機は、
遊技盤面に設けられる入賞口への遊技球の入賞を検出する入賞球検出スイッチと、
外部カード処理ユニットの球貸し操作スイッチと、
前記各スイッチに応じて遊技球を払い出す球払出装置と、
を備え、
入賞球検出スイッチは主制御基板に接続される一方、球貸し操作スイッチ及び球払出装置はCR払出し制御基板に接続され、
CR払出し制御基板は入賞球検出スイッチの検出動作に対応した主制御基板からの賞品球の払出し指令を受けて前記球払出装置によって賞球を払い出させる一方、球貸し操作スイッチによる球貸し要求を受けて前記球払出装置によって貸し球を払い出させる制御を実行することを要旨とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1に記載のカード式パチンコ遊技機によれば、入賞球検出スイッチは主制御基板に接続される一方、球貸し操作スイッチ及び球払出装置はCR払出制御基板に接続され、CR払出し制御基板は入賞球検出スイッチの検出動作に対応した主制御基板からの賞品球の払出し指令を受けて前記球払出装置によって賞球を払い出させる一方、球貸し操作スイッチによる球貸し要求を受けて前記球払出装置によって貸し球を払い出させる制御を実行するので、入賞に伴う賞品球の払い出しとプリペードカード使用による貸し球の払い出しとの信号の区別が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態におけるカード式パチンコ遊技機の正面図である。
【図2】図1に示したパチンコ遊技機の外観斜視図である。
【図3】このパチンコ遊技機の遊技盤面の拡大正面図及び部材の構成図である。
【図4】図1に示したパチンコ遊技機の裏面図である。
【図5】その外観斜視図である。
【図6】遊技盤の裏面に設けられる入賞球(セーフ球)の流出経路を説明する図である。
【図7】このパチンコ遊技機における遊技内容を説明する制御フローチャートである。
【図8】このパチンコ遊技機における賞品球払出機構及び入賞球(セーフ球)排出機構における遊技球の流出経路を示した図である。
【図9】図8に示した賞品球払出機構及びそれに隣接して設けられる球抜機構の構成を拡大して示した図である。
【図10】本発明の実施例に係る賞品球払出機構部(球払出装置)の構成を示した図である。
【図11】図10に示した球払出装置の具体的実施例としての構成を示した図である。
【図12】本発明のパチンコ遊技機における制御ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面を参照して詳しく説明する。図1は、本実施例のパチンコ遊技機の正面図、図2はその外観斜視図を示したものである。パチンコ遊技機10は、パチンコ機本体側部を構成する外枠11と、パチンコ機前面部のベースとなる内枠12とを備え、その内枠12の額縁状に形成された開口内周縁には金枠13が嵌められると共に、その金枠13には遊技盤14の前面を覆うガラス扉15が開閉可能に設けられる。
【0013】
そしてガラス扉15の下方位置には、打球発射装置に供給される遊技球を貯留するための受け皿(上受け皿)16が取り付けられ、更にその下方には、賞品球の排出時に上受け皿16から溢れた球を貯留するための球受け皿(下受け皿)17が設けられている。尚、上受け皿16に設けられる球抜けボタン18の操作により上受け皿16内の遊技球が下受け皿17に向けて抜き落とされる。
【0014】
下受け皿17の図中右側位置には、遊技球を遊技盤14面に向けて弾発発射する発射レバー20が設けられ、この発射レバー20には遊技球を一球毎に発射する為の単発スイッチ21が備えられる。発射レバー20の回動操作する量に応じて遊技球を遊技盤14面に向けて弾発発射する程度が調整されるとともに、所定回動位置の検出により発射電源が投入されるようになっている。
【0015】
前記内枠12の上辺縁から図中右側辺縁には、合成樹脂製のレンズ体で構成される枠トップ飾り23が設けられ、この枠トップ飾り23の内部には、枠飾りランプ24,24…や前記ガラス扉15開閉用の鍵穴25の周囲を飾る鍵飾りランプ26が設けられている。
【0016】
パチンコ遊技機10の一側には、プリペイドカードによる玉貸機(以下、「プリペイドカードユニット」と称する)30が設置される。このプリペイドカードユニット30は、1台の遊技機に1台づつ設置される。このプリペイドカードユニット30の設置に対応してパチンコ遊技機10の前記上受け皿16には、プリペイドカードによる遊技球の貸出し操作を行う為の球貸し操作部31が設けられ、この球貸し操作部31には、プリペイドカードによる球貸出しを操作する球貸出しボタン32、その球貸出しの可能状態を示す球貸出しボタンランプ33、プリペイドカードを排出させるカード返却ボタン34、プリペイドカードの残高表示、及びエラー表示を行う度数表示部35等が備えられている。
【0017】
プリペイドカードの使用に際しては、プリペイドカードユニット30に備えられるカード利用可表示ランプ36の点灯中にカード挿入口37にプリペイドカードを挿入し、金額設定ボタン38を操作することにより、貸出度数(貸出動作1回駆動、貸出動作2回駆動、貸出動作3回駆動、貸出動作5回駆動等、度数の設定により基本貸し出し数の整数倍の払出し設定を行う)を選択することができる。前記上受け皿16に備えられる球貸し操作部31の球貸出しボタン32を操作することにより、予め選択された金額の球技球が貸出されることになる。
【0018】
前記内枠12の前面に設けられる遊技盤14は、遊技板に装着された金属製の内レール41、打球槌により打球発射位置より弾発発射された遊技球を盤面に向けて誘導する為の外レール42、打球位置及び発射レールより転動し遊技盤面に至った球の跳ね返り作用のより再び打球が発射レールや打球位置に戻ることを防止するファール止43、打球位置より転動してきた過大な飛送力を有する球を遊技板右上部において衝撃を吸収しつつ停止阻止し遊技板面下に向けて落下させる返しゴム44等によりその周囲が構成され、その内側に遊技領域が形成される。
【0019】
図3は、その遊技盤面を拡大して示したものである。遊技盤14の遊技領域の中央やや上方には特別図柄表示装置50が設けられ、その中央部に3つの特別図柄表示部(図中左から順に左図柄表示部50A、中図柄表示部50B、右図柄表示部50Cが設けられる。この特別図柄表示装置50の各図柄表示部50A、50B、50Cには、夫々「1、2、3、4、5、6、7、8、9」までの数字と、4種類のキャラクタ図柄等により合計13種類の図柄が表示されるようになっている。
【0020】
この特別図柄表示装置50の真下位置には、遊技球の入賞により特別図柄表示装置50の各図柄50a、50b、50cの図柄変動を開始させる普通電動役物である可変翼タイプの第1種始動入賞口51が設けられ、更にその下方位置には、通常は閉じている特別電動役物である大入賞口52と、該大入賞口52が開放された時に入賞可能となる特定領域入賞口53とを備える。
【0021】
更に遊技盤14面には前記大入賞口52の左右位置に、普通入賞口である左落し入賞口54、右落し入賞口55が設けられると共に、その上方位置には左袖入賞口56、右袖入賞口57が各々備えられる。これらの各入賞口に遊技球が入賞すると第1種始動入賞口51及び左右落し入賞口54,55、左右袖入賞口56においては5個、右袖入賞口57においては7個、大入賞口52及び特定領域入賞口53においては13個の賞品球が各々払出されるように構成されている。
【0022】
また、前記特別図柄表示装置50の周囲を囲む装飾枠体58の上部に形成された半円弧形状の装飾枠部には、7セグメントのデジタル表示により表示される普通図柄表示装置60が備えられる。この普通図柄表示装置60には、「0」〜「9」までの数字が表示される。そして、前記特別図柄表示50の左右位置に、左ゲート61、右ゲート62が設けられ、これら左右ゲート61,62への遊技球の通過に伴って、普通図柄表示装置60が図柄変動を開始するように構成されている。
【0023】
そして、前記左右ゲート61,62を通過した遊技球は、装飾枠体58の内部を通過した後、下側枠縁上に誘導される。この装飾枠体58の内枠縁部はすり鉢状に構成され、その中央にはモータ駆動による誘導部材63が設けられる。装飾枠体58に誘導されてきた遊技球はこの誘導部材63により遊技盤14面を再び落下される。
【0024】
尚、この遊技盤14面には、前記図柄表示装置や入賞口等のほかに、遊戯者によって弾発発射された遊技球の落下方向を無作為に変更させたり、その流下速度を変化させる風車64、64及びランプ風車65、65等が設けられている。これにより、弾発発射された遊技球は遊技盤14面の遊技域内で転動しつつ下方へ落下して行き、上記した各装置及び入賞口に入賞するか、何処にも入賞しなければ遊技域の最下部の設けられた排出口66にて遊技盤14の裏側へ排出される。
【0025】
図4は、パチンコ遊技機の裏面図を示し、図5はその外観斜視図を示したものである。パチンコ遊技機10の裏面に設けられる機構板76面の上方位置に、遊技場の島から供給される遊技球を一時貯留する賞球タンク77が設けられると共に、その賞球タンク77に連設されてタンクレール78が設けられ、このタンクレール78の賞品球流下端部位に賞球払出機構部80(本発明の「球払出装置」)が連設されている。
【0026】
タンクレール78には、前記賞球タンク77やタンクレール78上の遊技球の補給状態により作動される補給スイッチ81が設けられ、又、賞球払出機構部80の直前において賞品球の球切れを検出し球払出しの空動作を防止する為の空切り防止スイッチ82が設けられている。さらに賞球払出機構部80より払出された賞品球がパチンコ遊技機内に充満した場合にこれを検出する満タンスイッチ83、あるいは遊技機内に遊技球が充満した時に遊技球の払出しを一旦停止させる満タンストッパ84等も備えられている。
【0027】
機構板76には遊技盤14面の各入賞口に入った入賞球(セーブ球)を一球毎に球切りして検出するセーフ球排出機構部85も設けられ、このセーフ球排出機構部85により検出されたセーブ球はこの後機外へ排出されるようになっている。又、遊技盤14の裏面は中央カバー86に覆われている各セーフ球誘動樋を介してセーフ球排出機構部85へ導出される。
【0028】
この機構板76には、各種の制御基板が取付けられている。例えば、プリペイドカードに係わる情報をパチンコ遊技機10の外部において処理するプリペイドカードユニット30と遊技機本体とを電気的に接続するCR外部接続端子基板87を含む外部接続端子97、発生したセーフ球の種別に応じて所定個数の賞品球を前記賞球払出機構部80に払出し動作させたり、球貸出しボタン32の操作による球貸出し要求信号に基づいてその賞品球払出機構部80に貸し球の払出しを動作させる回路が装着されたCR賞球払出制御基板88、該CR賞球払出制御基板88とプリペイドカードユニット30との間に設けられ、プリペイドカードユニット30に挿入されたプリペイドカードの情報と、パチンコ遊技機10の前面に設けられた球貸し操作部31への球貸し要求信号と球貸し状態を表示する度数表示情報と、球貸し情報に基づいてCR賞球払出制御部を司令制御する情報との授受を行うカードインターフェイス基板89が設けられている。
【0029】
また前記CR外部接続端子基板87、カードインターフェイス基板89、CR賞球払出制御基板88相互間においてカードデータ処理に係わる信号を中継するCR中継基板90、パチンコ遊技機10の遊技盤14面で発生したセーフ球を検出して特別図柄表示装置50を駆動制御し、その特別図柄の表示態様を設定切り替え制御し、入賞の種別に対応して所定個数の賞品球の払出しをCR賞球払出制御部へ指令する等を行う主制御基板91等がこの機構板76に取付けられている。そしてこれら独立してそれぞれ組み付けられた各種基板がパチンコ遊技機に組み付けられた後、コネクタ配線により互いに脱着可能に電気接続されている。パチンコ遊技機10の外部のプリペイドカードユニット30と遊技機本体との間の情報の入出力は、カードインターフェイス接続部92を介して行われる。
【0030】
前記CR賞球払出制御基板88は、賞品球の不足欠乏、及び供給状態、排出状態の異常を検出し、払出し動作の停止と、表示動作も合わせて行われるもので、ここにはCR賞球払出制御基板88や賞球払出機構部80等の賞球払出制御機構において遊技球の不足、球詰まり、回路操作異常、ソフトエラー等の異常が発生した場合にその旨を表示するエラー表示部93、あるいはエラー状態が解除された場合に前記エラー表示部93を初期状態に復帰リセットさせるエラー表示リセットボタン94が設けられている。
【0031】
また前記主制御基板91には、特定図柄表示装置50に於いて発生する当たりの出現状態(確率)を3個のLEDにて表示する設定表示LED95、あるいは前記当たりの出現確率を所定条件下のみ切替え可能に設定する為の確率モード設定スイッチ96が設けられている。
【0032】
パチンコ遊技機10で発生した各種情報は機構板76の上部片隅に設けられる外部接続端子97を介して遊技機外部の遊技場管理装置へ出力される。特別図柄表示装置50の図柄若しくは入賞装置の始動回数、所定図柄の確定により発生する大当たりの発生回数、遊技者に特別な利益状態を継続させる継続情報、当該パチンコ遊技機における当たりの出現確率、不正検出信号等の各種情報がこの外部接続端子92を介して入出力されることになる。
【0033】
更に機構板76の裏面下方隅寄り位置には、前記上受け皿16に供給された遊技球を遊技盤14面に向けて弾発発射するための打球発射装置100が備えられている。この打球発射装置100は、打球発射モータ101のほか、発射装置制御回路、打球槌、弾発力調整手段等により構成される。タッチ感度調整ボリューム102は、遊技者の打球発射操作ハンドルへの接触を検出して打球発射モータ101の電源を投入するタッチスイッチ回路の検出感度を調整する為に設けられ、又、遊技球発射調整ダイヤル103は、遊技盤14面へ向けての遊技球弾発力、飛走距離をパチンコ遊技機の裏面側で調整設定する為に設けられている。
【0034】
打球発射装置100に近接して発射装置制御基板104が設けられ、これには打球発射モータ101の駆動制御回路及びタッチスイッチ回路が含まれている。打球発射モータ101の駆動制御回路では、モータの回転速度、トルク、特に1分間に発射する打球間隔、速度等が設定されている。尚、このパチンコ遊技機10は電源プラグ106を介してAC100V電源に接続されている。また前記外部接続端子97より引き出されたリード線107は、コネクタ108及び電源プラグ109を介してAC24V電源に接続されている。
【0035】
図6は、遊技盤14面の各入賞口やゲートを通過した遊技球の遊技盤面における流出経路及び各種スイッチ類やソレノイド類等の配置状態を示した図である。図示されるように、前記第1種始動入賞口51に落入した遊技球の流出経路には第1種始動口用検知スイッチ110が設けられ、また前記大入賞口52における入賞球の流出経路にはその入賞球数をカウントするカウント用スイッチ111が設けられ、更に前記特定領域入賞口53における入賞球の流出経路にはその入賞を検知する特定領域用スイッチ112が設けられる。更に前記左右ゲート61,62における遊技球通過経路にはその通過を検知する左ゲート用スイッチ113及び右ゲート用スイッチ114が設けられている。
【0036】
更に、第1種始動入賞口51を開閉動作する普通電動役物用ソレノイド115、大入賞口52を開閉動作させる大入賞口開放用ソレノイド116、特定領域入賞口53を開閉動作させる特定領域開放用ソレノイド117が設けられ、装飾枠体58の内側下部に設けられた誘導部材63を上下動作するための誘導部材駆動用モータ118も設けられる。
【0037】
一方、前記右袖入賞口57における入賞球の流出経路には入賞検出用スイッチ119が設けられ、前記左右落し入賞口54,55及び左袖入賞口56における入賞球の流出経路には入賞検出用スイッチは設けられていないが、セーフ球排出機構部85においてセーフ球がセーフ球排出ソレノイド120により1個づつ排出される間にセーフ球検出スイッチ121により入賞球の合計個数がカウントされるので、その個数差分だけ5個ずつの賞球が払出されるようになっている。
【0038】
ちなみに、このパチンコ遊技機10の遊技内容を、図7に示した制御フローチャートに基づいて説明する。この遊技機10では、遊技者によって遊技盤14面に向けて発射された遊技球がゲート61,62の何れかを通過したことが左右ゲートスイッチ113,114により検知される(S10「YES」)と、その信号に基づいて普通図柄変動装置60が図柄変動を開始する(S12)。そしてこの普通図柄表示装置60は図柄変動を開始してから6.0秒を経過するとその図柄変動を停止し、変動図柄が確定する(S24)。この確定図柄のうち、いわゆる「当たり」と称される図柄が出れば(S26「YES」)、主制御基板91からの指令信号により遊技盤14面の第1種始動入賞口51が開放される(S28)。
【0039】
そして、この開放された第1種始動入賞51に遊技球が入賞する(S30「YES」)と、第1種始動入賞口用スイッチ110からの検出信号に基づき特別図柄表示装置50の各図柄50a、50b、50cが順に図柄変動を開始する(S32)。この特別図柄表示装置50は「大当たり」が発生する低確率と高確率の2段階の抽選確率を有し、抽選確率が低確率の場合(S34「YES」)は5.8秒経過後に図柄変動を停止し(S40)、高確率の場合(S34「NO」)は、それよりも短い5.0秒経過後に図柄変動が停止される(S38)。
【0040】
この特別図柄表示装置50の各図柄50a、50b、50cに表示される確定図柄の組合せによって「大当たり」と称する遊技状況が発生し、「大当たり」図柄の組合せが出た場合(S42「YES」)は、条件装置が作動し、その「大当たり」図柄の組合せがいわゆる通常図柄(非特定図柄)の場合は大入賞口52が開放状態を繰り返す連続作動回数は最大16回に設定され(S44「YES」、S48)、「大当たり」図柄の組合せがいわゆる特定図柄の場合は、その大入賞口52が開放状態を繰り返す連続作動回数が最大14回に設定され(S44「NO」、S50)、更にその条件装置の作動停止から次の作動開始まで特別図柄表示装置50に係る抽選確率は高確率へと移行する。
【0041】
そしてこの条件装置の作動によって大入賞口52が開放状態にあるときに、この大入賞口52に遊技球が入賞する(S52「YES」)と、1個の入賞球(セーフ球)に対して13個の賞球が払出される(S54)。この大入賞口52は1個につき約20秒間開放状態を維持し、その間にセーフ球が10個入賞したことがカウント用スイッチ111からの検知信号により確認される(S64「YES」)と、時間経過前にも閉じるようになっている(S62)。また、大入賞口52の開放に伴って特定領域入賞口53が開放されるが、大入賞口52の開放の間にこの特定領域入賞口53に遊技球が1個入賞する(S56「YES」)と、特定領域入賞検出用スイッチ112からの検出信号に基づき特定領域入賞口53は閉じられ、これに伴って大入賞口52も閉じられる(S58)。
【0042】
そして連続役物作動回数に達したか否かが判定され(S60)、まだ連続作動回数に達していない場合には、再度大入賞口52が開放される。この連続役物作動には、大入賞口52の開放中及び第1種特別電動役物の作動終了後、約2.0秒以内に遊技球が特定領域入賞口53を通過することによって大入賞口52が閉じられた後、再度大入賞口52が開放されるものである。
【0043】
そして、所定の連続作動回数が終了するまで前記大入賞口52の開放状態と閉じた状態を繰り返し(S60「NO」)、所定連続回数回数が終了すると大入賞口52は閉じられる(S60「YES」、S62)。また、特定領域入賞口53に遊技球が入賞しなかった場合(S56「NO」)は、大入賞口52が開放状態になってから約20秒経過した後、或いは大入賞口52に遊技球が10個入賞することにより大入賞口52は閉じられ(S64「YES」、S62)、これらの条件を満たすまでは第1種特別電動役物の作動を繰り返し(S64「NO」)、一連の動作は終了する(S66)。
【0044】
一方、S10において遊技盤14面に向けて発射された遊技球が、ゲート61、62を通過しなかった(S10「NO」)が、遊技盤14面に設けられる何れかの入賞口54〜57等に入賞する(S16「YES」)か、或いはゲートを通過した後に何れかの入賞口に入賞した場合には、入賞検出用スイッチ119,或いはセーフ球検出スイッチ121からの検知信号に基づき入賞球1個につき5個又は7個の賞球が払出される(S18)。なお、何処の入賞口にも入賞しない場合は「はずれ」として処理される(S20)。また、S42において特別図柄表示装置50の変動図柄の確定により「大当たり図柄が出なかった場合(S42「NO」)」も「はずれ」として処理される(S46)。
【0045】
図8は賞品球の払出経路と入賞球(セーフ球)の払出経路との位置関係を図示したものである。前述したことと一部重複するが、タンクレール78の球流路下端部に遊技球払出樋122と球抜き樋123とが分岐して設けられ、遊技球払出樋122の下流位置に前記賞球払出機構部(球払出装置)80が設けられる。そして、その賞球払出機構部80より遊戯者に払出される遊技球(これは後に詳述するが、遊技盤14面の各種入賞口に入賞することによって払出される賞品球の場合と、プリペードカード使用によって払出される貸し球の場合の両方がある。)がクッションローラ124を介して賞球保留部125に一時的に保留され、通常は球出口126より上受け皿16へ払出され、上受け皿16が満杯になったときは賞球通路樋体128を介して下受け皿17へ払出されるようになっている。
【0046】
図9は、図8に示した遊技球の払出機構及びそれに隣接して設けられる球抜機構の構成を拡大して示したものである。図示されるように、遊技球払出樋122と分岐して設けられる球抜き樋123の上流端には、賞品タンク77やタンクレール78に貯留される遊技 の球抜き装置130が設けられる。この球抜き装置130は賞球タンク77やタンクレール78上の遊技球を賞品払出機構部(球払出装置)80へ誘導する遊技球払出樋122との分岐位置において、遊技球の球抜き開口部131が設けられ、その球抜き開口部131に球抜き片132が支軸133を介して開閉自由に設けられている。そしてその球抜き片133に設けられる重鍾(バランサ)134により賞球タンク7やタンクレール78上に遊技球が存在しない時には球抜き開口部131が閉じられている。
【0047】
そしてこの球抜き開口部131を開閉を規制するストッパ部材135が支軸136を介して回動自在に設けられ、そのストッパ部材135に設けられる係合爪137が球抜き片132に係脱自在に係合されることにより賞球タンク77やタンクレール78上に遊技球が存在していても球抜き片132から不用意に開放されることがないように規制されている。さらに前記ストッパ部材135の球抜き片132との係合を解除する球抜き作動レバー138の作動ピン139が前記ストッパ部材135に係合された構成とされている。
【0048】
したがってこの球抜きレバー138をこの遊技機の管理者が図中手前に引くことにより作動ピン139によりストッパ部材135が押し下げられ、係合爪137が球抜き片132から外されることにより球抜き片132上の遊技球の荷重によって球抜き片132が押し開かれ、賞球タンク77やタンクレール78上の遊技球が球抜き開口部131より球抜き樋123へ流出されるようになっている。
【0049】
また賞球払出機構部(球払出装置)80の球払出経路は、第二隔壁141により賞品球路153と貸し球路154とが分離され、第一隔壁140により賞品球路153及び貸し球路154と抜き球路123とが分離され、球経路下方パチンコ遊技機下方に於いて各種球が合流されている。
【0050】
図10は、前述の賞球払出機構部(球払出装置)80の構造を概念的に示したものである。この図において、遊技球払出樋122の下流に位置する補給通路150の開口端にスクリュー体151が設けられる。このスクリュー体151は補給通路150により供給される遊技球が受止されるようにらせん状の球受け溝152が周設され、そのスクリュー軸には図示しないが可逆転式のステッピングモータが連繋されている。そしてこのステッピングモータの駆動によりスクリュー体151は、正転あるいは逆転方向に回転駆動される。
【0051】
そしてこのスクリュー体151の回転方向によって球受け溝152により受止された遊技球を賞品球として払出する賞品球払出経路153と、貸し球として払出する貸し球払出経路154とが設けられ、賞品球払出経路153にはその経路を通過する賞品球を検知する賞球用カウントスイッチ155が設けられ、貸し球払出経路154にはその経路を通過する貸し球を検知する貸し球用カウントスイッチ156が設けられている。
【0052】
図11は、図10に示した賞球払出機構部(球払出装置)80の構成を別の実施例として具体的に示したものである。同一の構成部分は同一の符号を付してその説明を割愛する。またスクリュー体151のスクリュー軸の一端にはこのスクリュー体151を可逆転式に回転駆動されるステッピングモータ(スクリュー体駆動モータ)157の連繋状態が図示されている。
【0053】
図12は、上述した各種制御基板の電気的接続関係を示す制御ブロック図である。この制御ブロック図でもわかるように、特別図柄表示装置50及び普通図柄表示装置60を含む表示ブロックは主制御基板91に接続され、主制御基板91からの指令信号により作動される。また遊技盤14面に設けられる飾りランプやLED等の飾りブロック、あるいは第1種始動入賞口51や大入賞口52等の電動役物を含む役物ブロック、更には音声駆動部165及びスピーカ166を含む音声ブロックなども主制御基板91に接続されている。これらに対しても主制御基板91からの指令信号により制御が行われている。
【0054】
又、前記主制御基板91はCR外部接続端子部(基板)87やCR払出制御部(基板)88と接続され、CR払出制御基板88は賞球払出機構部(球払出装置)80の賞球モータ(スクリュー体駆動モータ)157と接続される。またCR払出制御基板88にはインターフェイス基板89を介してカードサンドユニット30が接続され、更に遊技機前面の球貸し操作部31に設けられる度数表示部35や球貸出しボタン32が接続される。そしてCR払出制御基板88には、遊技盤面に設けられる各種入賞口への遊技球の入賞信号、及びプリペードカード使用による貸し球要求信号に基づいて遊技球の払出経路を変更する球経路変更制御部167が設けられる。更に、発射装置制御基板104を介して遊技球発射装置100も接続されている。
【0055】
そして主制御基板91には、入賞検知用スイッチ119、セーフ球検知用スイッチ121のほか、前述の賞球払出機構部(球払出装置)80に設けられる賞球数検知用スイッチ(賞球用カウントスイッチ)155が接続され、一方貸し球数検知用スイッチ(貸し球用カウントスイッチ)156はCR払出制御基板88に接続され、これらの検知信号に基づいて詳細は後述するが、球変更制御部167からCR払出制御基板88への指令信号により球払出可動部(球払出装置)80が、駆動制御されるようになっている。
【0056】
この実施形態においては主制御基板91とCR払出制御部88の信号ライン接続は、図12で示したように主制御基板91からCR払出制御部88への一方向伝送を可能とする電気接続ラインを有して、CR払出制御部88に接続された球経路変更制御部167、インターフェイス基板89、球貸し数検知用SW156、度数表示基板35、球貸し球ボタン32、外部接続端子部97、ドア開放用SW、発射装置100、球払出可動部80からの電気信号が主制御基板91には入力不可能にされ、CR払出制御部88を介しての不正外部信号の入力を禁止する構成にある。なお、場合により、後述の球貸し表示報知、球貸し動作表示報知、貸し球数表示報知をするための電気信号ラインを主制御基板91に接続するようにしてよく、また必要に応じて、外部接続ブロックを介して球貸し表示報知、球貸し動作表示報知、貸し球数表示報知等を行う構成としてもよい。
【0057】
このように構成されたパチンコ遊技機によれば、遊技盤14面の各入賞口への遊技球の入賞により主制御基板91から賞球モータ(スクリュー体駆動モータ)157へ賞品球の払出信号が送信されると、図10中矢示A方向に回転する。そのために補給通路150よりスクリュー体151の球受け溝152に補給された遊技球は賞品球として賞品球払出経路153より排出される。
【0058】
そして賞品球払出経路153より排出される賞品球は、その払出経路に設けられる賞球用カウントスイッチ155により検知され、その計数(カウント)値が各入賞口に対応して定められた賞品球払出個数(例えば、5個、7個あるいは13個)に達すれば、主制御基板91からの指令信号によりスクリュー体駆動モータ157の駆動が停止される。
【0059】
一方、プリペードカード使用により貸し球要求信号がCR払出制御基板88に入力されると、該CR払出制御基板88からスクリュー体駆動モータ157へ貸し球の払出信号が送信される。その結果スクリュー体151は今度は逆回転方向(図10中矢示B方向)に回転し、補給通路150よりスクリュー体151の球受け溝152に補給された遊技球は貸し球として貸し球払出経路154より排出される。
【0060】
そして貸し球払出経路154より排出される貸し球は、その払出経路に設けられる貸し球用カウントスイッチ156により検知され、その計数(カウント)値が遊技機の前面の設けられた球貸し操作部31の金額設定ボタン38の操作により決定された貸出し金額(貸出し度数)に見合う個数の遊技球(例えば、25個、50個、75個あるいは100個)に達すればCR払出制御基板88からの指令信号によりスクリュー体駆動モータ157の駆動が停止される。
【0061】
以上実施例について説明したが、本発明は上記した実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。例えば、スクリュー体の形態やその周縁に設けられている球受け溝の周回数は設計に応じて変更可能であり、これを2列に設けて遊技球の払出スピードを上げる等の対応は可能である。
【符号の説明】
【0062】
10 カード式パチンコ遊技機
30 玉貸機(プリペードカードユニット)
50 特別図柄表示装置
77 賞球タンク
80 賞球払出機構部(球払出装置)
150 補給通路
151 スクリュー体
152 球受け溝
153 賞品球払出経路
154 貸し球払出経路
155 賞球用カウントスイッチ
156 貸し球用カウントスイッチ
157 スクリュー体駆動モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤面に設けられる入賞口への遊技球の入賞を検出する入賞球検出スイッチと、
外部カード処理ユニットの球貸し操作スイッチと、
前記各スイッチに応じて遊技球を払い出す球払出装置と、
を備え、
入賞球検出スイッチは主制御基板に接続される一方、球貸し操作スイッチ及び球払出装置はCR払出し制御基板に接続され、
CR払出し制御基板は入賞球検出スイッチの検出動作に対応した主制御基板からの賞品球の払出し指令を受けて前記球払出装置によって賞球を払い出させる一方、球貸し操作スイッチによる球貸し要求を受けて前記球払出装置によって貸し球を払い出させる制御を実行することを特徴とするカード式パチンコ遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−233362(P2009−233362A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−165294(P2009−165294)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【分割の表示】特願2009−139840(P2009−139840)の分割
【原出願日】平成10年6月29日(1998.6.29)
【出願人】(599104196)株式会社サンセイアールアンドディ (597)
【Fターム(参考)】