説明

カード用アダプタ

【課題】カードとこれに接続されるコンタクト端子との安定した接続状態を確保すること。
【解決手段】カード2が挿入される前の状態では、板ばね19a、19bの係合部19c、19dを保護部材13の凹部13b、13cと係合させる一方、カード2を所定の装着位置まで挿入する際、カード2と当接部19e、19fとの当接により保護部材13の凹部13b、13cと係合部19c、19dとの係合を解除し、コイルばね17a、17bの付勢力に抗して保護部材13をカード2の挿入方向側に移動させ、カード2の凹部22a、22bに当接部19e、19fを係合させると共に、係合部19c、19dを保護部材13の突出片13d、13eと係合させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード用アダプタに関し、例えば、標準サイズのカードよりも小型化されたカードを標準サイズのカードに対する互換性を持たせるためのカード用アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カードと接続されるコンタクト端子を外力による変形から保護するための保護部材を備えたカード用アダプタが知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなカード用アダプタにおいては、保護部材をフレームに対してスライド移動可能に取り付け、カードの装着動作に伴って保護部材をスライド移動させる一方、その内部のコンタクト端子を露出させて当該カードとの接続を許容するものとなっている。
【特許文献1】特許第3285321号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述したような従来のカード用アダプタにおいては、内部に収納されているコンタクト端子が露出しないように、ばね等により保護部材をカードの排出方向に付勢していることから、装着されたカードに対してコンタクト端子から離間する方向に付勢力が加わることとなる。この結果、カードとコンタクト端子との接続状態に影響を与える恐れがある。
【0004】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、カードとこれに接続されるコンタクト端子との安定した接続状態を確保することができるカード用アダプタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のカード用アダプタは、側面に凹部が形成されたカードが装着可能な装着部と、前記カードの接触部と接触するコンタクト端子を保護する端子保護部と、前記端子保護部を前記カードの排出方向側に付勢する付勢手段と、前記付勢手段による付勢力に抗して前記端子保護部を所定の位置に保持する保持手段とを備え、前記保持手段に、前記カードと当接する当接部と、前記端子保護部に係合する係合部とを形成する一方、前記端子保護部に、前記係合部と係合する第1係合部及び第2係合部を形成し、前記カードが挿入される前の状態では、前記係合部を前記端子保護部の第1係合部と係合させ、前記カードを所定の装着位置まで挿入する際、前記カードと前記当接部との当接により前記端子保護部の第1係合部と前記係合部との係合を解除し、前記付勢手段の付勢力に抗して前記端子保護部を前記カードの挿入方向側に移動させ、前記カードの凹部に前記当接部を係合させると共に、前記係合部を前記端子保護部の第2係合部と係合させることを特徴とする。
【0006】
上記カード用アダプタによれば、カードを所定の装着位置まで挿入する際、カードと当接部との当接により端子保護部の第1係合部と係合部との係合を解除し、付勢手段の付勢力に抗して端子保護部をカードの挿入方向側に移動させ、カードの凹部に前記当接部を係合させると共に、係合部を端子保護部の第2係合部と係合させることから、付勢手段の付勢力がカードに加わるのを防止できるので、カードとこれに接続されるコンタクト端子との安定した接続状態を確保することが可能となる。
【0007】
特に、上記カード用アダプタにおいては、前記カードの側面に左右一対の凹部が形成され、当該カードの側面に対応して左右一対の前記保持手段を備えることが好ましい。この場合には、左右一対に設けられた保持手段の係合部で端子保護部を所定の装着位置に保持できるので、付勢手段からの付勢力をバランスよく受け、この付勢力がカードに加わるのを適切に防止することが可能となる。
【0008】
上記カード用アダプタにおいて、前記所定の装着位置よりも前記カードの挿入方向側の位置まで当該カードを移動させた後、前記付勢手段の付勢力に応じて前記カードの排出方向に移動させた状態で前記カードの凹部に前記当接部を係合させると共に、前記係合部を前記端子保護部の第2係合部と係合させることが好ましい。このような一連の動作を経てカードを所定の装着位置に保持することにより、カードの接触部に埃等が付着している場合においても、コンタクト端子でその埃等を除去した上で接触部に接触させることができるので、よりカードとコンタクト端子との間の接続安定性を向上することが可能となる。
【0009】
本発明のカード用アダプタは、側面に凹部が形成されたカードが装着可能な装着部と、前記カードの接触部と接触するコンタクト端子を保護する端子保護部と、前記端子保護部を前記カードの排出方向側に付勢する付勢手段と、前記付勢手段による付勢力に抗して前記端子保護部を所定の位置に保持する保持手段とを備え、前記保持手段に、前記カードと当接する当接部と、前記端子保護部に係合する係合部とを形成し、前記カードが所定の装着位置まで挿入された場合に当該当接部を前記カードの凹部の後端面に係合させたことを特徴とする。
【0010】
上記カード用アダプタによれば、カードが所定の装着位置まで挿入された場合に保持手段の当接部をカードの凹部の後端面に係合させたことから、付勢手段による付勢力に抗してカードの排出方向側への移動を規制できるので、カードとこれに接続されるコンタクト端子との安定した接続状態を確保することが可能となる。
【0011】
上記カード用アダプタにおいては、前記カードの側面に左右一対の凹部が形成され、当該カードの側面に対応して左右一対の前記保持手段を備えることが好ましい。この場合には、左右一対に設けられた保持手段の当接部で付勢手段からの付勢力にバランスよく対応し、カードの排出方向側への移動を効果的に規制することが可能となる。
【0012】
上記カード用アダプタにおいては、前記端子保護部の側面に、前記係合部と係合する第1係合部及び第2係合部を形成し、前記カードが挿入される前の状態では前記係合部を前記端子保護部の第1係合部と係合させる一方、前記カードが所定の装着位置まで挿入された状態では前記係合部を前記端子保護部の第2係合部と係合させることが好ましい。この場合には、カードが所定の装着位置まで挿入された状態において、係合部を端子保護部の第2係合部と係合させることから、付勢手段の付勢力がカードに加わるのを防止できるので、カードの排出方向側への移動を確実に規制でき、カードとこれに接続されるコンタクト端子とのより安定した接続状態を確保することが可能となる。
【0013】
上記カード用アダプタにおいては、前記所定の装着位置よりも前記カードの挿入方向側の位置まで当該カードを移動させた後、前記付勢手段の付勢力に応じて前記カードの排出方向に移動させた状態で前記カードの凹部に前記当接部を係合させると共に、前記係合部を前記端子保護部の第2係合部と係合させることが好ましい。このような一連の動作を経てカードを所定の装着位置に保持することにより、カードの接触部に埃等が付着している場合においても、コンタクト端子でその埃等を除去した上で接触部に接触させることができるので、よりカードとコンタクト端子との間の接続安定性を向上することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、カードを所定の装着位置まで挿入する際、カードと当接部との当接により端子保護部の第1係合部と係合部の係合を解除し、付勢手段の付勢力に抗して端子保護部をカードの挿入方向側に移動させ、カードの凹部に前記当接部を係合させると共に、係合部を端子保護部の第2係合部と係合させることから、付勢手段の付勢力がカードに加わるのを防止できるので、カードとこれに接続されるコンタクト端子との安定した接続状態を確保することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態に係るカード用アダプタは、所定のカードが装着された状態でパーソナルコンピュータ(PC)等のカードスロットに装着され、当該PCとカードとの間で信号の送受信を可能とするものである。なお、本実施の形態に係るカード用アダプタに装着されるカードの種別については特に限定されるものではない。
【0016】
図1及び図2は、本発明の一実施の形態に係るカード用アダプタ(以下、単に「アダプタ」という)1の外観を示す斜視図である。図1においては、アダプタ1をその上面側から示し、図2においては、アダプタ1をその下面側から示している。以下においては、図1及び図2に示す上方側を「アダプタ1の前方側」又は単に「前方側」と呼び、同図に示す下方側を「アダプタ1の後方側」又は単に「後方側」と呼ぶものとする。なお、図1及び図2においては、アダプタ1に後述するカード2が装着されていない状態について示している。
【0017】
図1及び図2に示すように、アダプタ1は、概して平板形状を有するケース11を有している。このケース11は、絶縁性の樹脂材料で成型されるフレーム11aと、このフレーム11aに取り付けられる金属製の上面カバー11b及び下面カバー11cとから構成される。ケース11の後方側部分には、後述するカード2が装着されるスロット部12が設けられている。このスロット部12は、装着部としての役割を果たすものであり、カード2の外形と略同一の形状に設けられ、カード2が装着された状態でその後方側端部がアダプタ1の後方側端部と同一位置に配置可能に構成されている(図13参照)。
【0018】
このスロット部12の前方側には、後述するカード2の接触パッド27と接続されるコンタクト端子を保護する端子保護部としての保護部材13が設けられている。保護部材13は、例えば、絶縁性の樹脂材料で成型され、下方側に開口した凹部13aを有している。また、保護部材13は、フレーム11aに対してスライド移動可能に設けられ、スロット部12に対するカード2の挿入に伴ってアダプタ1の前方側に移動する。本実施の形態に係るアダプタ1においては、この保護部材13の前方側への移動に伴ってコンタクト端子が露出するように構成されている。
【0019】
ここで、本実施の形態に係るアダプタ1の内部の構成について説明する。図3及び図4は、それぞれ図1及び図2に示すケース11から上面カバー11b及び下面カバー11cを取り除いた状態について示している。図5は、図4に示す状態のアダプタ1の下面図である。なお、図3においては、説明の便宜上、保護部材13がアダプタ1の前方側に移動した状態について示している。
【0020】
図3に示すように、保護部材13の下方には、複数のコンタクト端子14がアダプタ1の左右方向に並べて配置されている。これらのコンタクト端子14は、フレーム11aの一部に片持ち梁状に保持され、その後方側端部が一定範囲で上下方向に揺動可能に構成されている。また、これらのコンタクト端子14の周囲には、フレーム11aの一部で構成され、アダプタ1の後方側に延出する保護板部15が配設されている。この保護板部15は、異なるカードの誤挿入に伴うコンタクト端子14の破損を防止するためのものである。図4及び図5に示すように、それぞれのコンタクト端子14の前端部には、リード線16が接続されており、アダプタ1の前端部に導出される不図示のコンタクト端子と接続されている。
【0021】
フレーム11aにおける保護部材13の前方側には、図4及び図5に示すように、付勢手段としての一対のコイルばね17a、17bが配設されている。コイルばね17a、17bの後方側の一端は、フレーム11aに形成された一対の保持壁18a、18bにより保持されている。一方、コイルばね17a、17bの後方側の一端は、保護部材13の前面部に当接している。保護部材13は、これらのコイルばね17a、17bによる付勢力に応じてアダプタ1の後方側に付勢されている。
【0022】
また、図4及び図5に示すように、フレーム11aにおける保護部材13の側方側には、保持手段としての一対の板ばね19a、19bが配設されている(図4において、板ばね19aは不図示)。これらの一対の板ばね19a、19bは、アダプタ1の前後方向に一定長さ延在し、その後方側端部がフレーム11aに固定される一方、その前方側部分が外側に揺動可能に構成されている。この一対の板ばね19a、19bは、コイルばね17a、17bの付勢力に抗して保護部材13を所定位置に保持する保持手段としての役割を果たすものである。
【0023】
ここで、これらの板ばね19a、19bと、保護部材13との関係について説明する。図6は、本実施の形態に係るアダプタ1が有する保護部材13と、板ばね19a、19bとの関係を説明するための図である。図6においては、アダプタ1の下面側から見た場合の保護部材13及び板ばね19a、19bを示している。また、図6においては、カード2が装着されていない状態の保護部材13及び板ばね19a、19bを示している。なお、図6においては、説明の便宜上、コイルばね17a、17bも示している。
【0024】
図6に示すように、保護部材13の側面には、左右に一対の凹部13b、13cが形成されている。これらの凹部13b、13cは、後述する板ばね19a、19bの係合部19c、19dと係合する第1係合部として機能するものである。また、保護部材13の側面近傍であって、その前方側端部には、僅かに後方側に突出する突出片13d、13eが設けられている。これらの突出片13d、13eは、後述する板ばね19a、19bの係合部19c、19dと係合する第2係合部として機能するものである。
【0025】
板ばね19a、19bは、図6に示すように、その前方側端部に一対の係合部19c、19dが設けられている。これらの係合部19c、19dは、板ばね19a、19bの前方側端部をアダプタ1の内側に折り曲げることで形成されている。これらの係合部19c、19dは、詳細について後述するように、アダプタ1にカード2が装着されていない状態において、保護部材13の凹部13b、13cと係合する一方、カード2が所定位置に装着された状態において、保護部材13の突出片13d、13eと係合するように構成されている。
【0026】
また、板ばね19a、19bは、その中央部分よりも僅かに後方側の位置に一対の当接部19e、19fが設けられている。これらの当接部19e、19fは、板ばね19a、19bの中央部分よりも僅かに後方側部分をアダプタ1の内側に突出させることで形成されている。これらの当接部19e、19fは、アダプタ1に挿入されるカード2と当接し、板ばね19a、19bの前方側部分を外側に移動させるものである。また、これらの当接部19e、19fは、カード2が所定位置に装着された状態において、後述するカード2の凹部22a、22bと係合することでカード2のアダプタ2からの飛び出しを防止するものである。
【0027】
ここで、本実施の形態に係るアダプタ1に装着されるカード2の構成について説明する。図7及び図8は、アダプタ1に装着されるカード2の構成を説明するための図である。図7(a)、(b)及び(c)は、それぞれカード2の上面図、側面図及び下面図である。図8(a)は、カード2を挿入方向から示した図であり、同図(b)は、カード2を下面側から示した斜視図である。
【0028】
図7(a)、(b)に示すように、カード2の側方側の端部上面には、段差部21が設けられている。この段差部21には、左右に一対の凹部22a、22bが形成されている。これらの凹部22a、22bには、板ばね19a、19bの当接部19e、19fが係合し、アダプタ1からのカード2の飛び出し防止に利用される。一方、図7(b)、(c)に示すように、カード2の側方側の端部下面には、段差部23が設けられている。また、カード2の後端部には、カード2をアダプタ1から抜き取る際に利用される摘み部24が設けられている。
【0029】
また、カード2の下面には、前方側及び下方側に開口した凹部が形成されている。この凹部には、図7(c)に示すように、導電性を有する金属材料を折り曲げ加工して形成されるカバー25が嵌め込まれる(図8(a)、(b)参照)。このカバー25の表面(下面)は、カード2の下面の一部を構成し、後述する接触パッド27に対するユーザ等の接触等を防止すると共に、この接触パッド27における電磁シールドとしての役割を果たすものである。
【0030】
さらに、カード2の前端部には、図8(a)、(b)に示すように、溝部26が形成されている。この溝部26は、上述したカード2の凹部に対しカバー25を嵌め込むことで形成される。この溝部26には、カード2がアダプタ1に装着された場合にコンタクト端子14及び保護板部15が収容される。溝部26の内側の上面には、図8(b)に示すように、コンタクト端子14と接触し、信号を送受信するための複数の接触パッド27が設けられている。
【0031】
このような構成を有するカード2がアダプタ1に対して装着されると、コンタクト端子14及び保護板部15が、カード2の溝部26に収容され、コンタクト端子14の一部が接触パッド27に接触するものとなっている。この場合において、コンタクト端子14は、信号通信用の端子を構成することから、アダプタ1が装着されたPC等において、カード2との間で信号を送受信することが可能となる。
【0032】
次に、本実施の形態に係るアダプタ1に対してカード2を装着する際の動作について説明する。図9〜図14は、本実施の形態に係るアダプタ1に対してカード2を装着する際の動作を説明するための図である。図9、図11及び図13においては、カード2が装着される際のアダプタ1の下面図を示している。図10、図12及び図14においては、カード2が装着される際の保護部材13及び板ばね19a、19bの状態について示している。なお、図9、図11及び図13においては、図5と同様に、ケース11から下面カバー11cを取り除いた状態について示している。
【0033】
なお、カード2が装着される前の状態のアダプタ1においては、図5及び図6に示すように、板ばね19a、19bの係合部19c、19dが保護部材13の凹部13b、13cに係合し、コイルばね17a、17bの付勢力に抗してコンタクト端子14を下方に収容する位置に保護部材13を保持している。この場合、板ばね19a、19bの当接部19e、19fは、アダプタ1のスロット部12の内側に設けられるカード挿入経路上に突出した状態で配置されている。
【0034】
図9においては、アダプタ1のスロット部12に対してカード2が挿入されるが、カード2の前方側端部が保護部材13に当接していない状態について示している。スロット部12に対してカード2が挿入されると、その過程でカード2の側面が板ばね19a、19bの当接部19e、19fに当接する。そして、カード2の挿入に伴い、板ばね19a、19bは、その前方側部分が側方側に押し広げられる。
【0035】
この場合において、板ばね19a、19bの係合部19c、19dは、図10に示すように、凹部13b、13cの外側に移動し、凹部13b、13cとの係合が解除された状態となっている。また、板ばね19a、19bの当接部19e、19fは、図10に示すように、カード2の側面における凹部22a、22bよりも前方側の部分に接触し、その部分を軽く押圧した状態となっている。なお、板ばね19a、19bの係合部19c、19dによる係合が解除された保護部材13は、一時的にフレーム11aに設けられた不図示の規制部によりその後方側への移動が規制される。
【0036】
図11においては、アダプタ1のスロット部12に挿入されたカード2の前方側端部が保護部材13に当接し、僅かに前方側に押し込まれた状態について示している。図9に示す状態からカード2が前方側に押し込まれると、その前方側端部が保護部材13の後面部に当接する。そして、更にカード2が押し込まれると、保護部材13がコイルばね17a、17bの付勢力に抗してアダプタ1の前方側に押し込まれる。
【0037】
この場合において、カード2は、図12に示すように、板ばね19a、19bの当接部19e、19fにより軽く押圧された状態で前方側に移動する。この場合、板ばね19a、19bの係合部19c、19dは、保護部材13の凹部13b、13cよりも後方側の位置に配置され、板ばね19a、19bの当接部19e、19fは、カード2の側面における凹部22a、22b近傍の部分を押圧した状態となっている。
【0038】
図13においては、アダプタ1の所定位置にカード2が装着された状態について示している。図11に示す状態からカード2が更に前方側に押し込まれると、カード2の前方側端部によりコイルばね17a、17bの付勢力に抗して保護部材13がアダプタ1の前方側に押し込まれる。そして、アダプタ1の所定位置にカード2が装着されると、コンタクト端子14(図13に不図示)及び保護板部15がカード2の溝部26に収容され、コンタクト端子14と接触パッド27とが接触した状態となる。
【0039】
この場合において、図14に示すように、カード2の移動に伴って板ばね19a、19bの当接部19e、19fがカード2の凹部22a、22bの位置まで移動すると、板ばね19a、19bの前方側部分がアダプタ1の内側に移動する。これにより、当接部19e、19fが凹部22a、22bに収容され、これらの前方側の端面と係合した状態となる。これにより、アダプタ1の後方側へのカード2の移動が規制され、カード2がアダプタ1から飛び出すことが防止される。
【0040】
一方、板ばね19a、19bの係合部19c、19dは、保護部材13の突出片13d、13eの後方側部分に入り込み、これらと係合した状態となる。これにより、保護部材13の後方側の移動が板ばね19a、19bの係合部19c、19dにより規制されることから、保護部材13を介してコイルばね17a、17bの付勢力がカード2に加わることはない。このため、カード2とコンタクト端子14との安定した接続状態が確保されることとなる。
【0041】
なお、本実施の形態に係るアダプタ1においては、図13に示す所定位置にカード2が装着される際、カード2が所定位置よりもアダプタ1の前方側に押し込まれた後、コイルばね17a、17bの付勢力により僅かにアダプタ1の後方側に押し戻された状態で停止する。この一連の動作の際、片持ち梁状のコンタクト端子14は、カード2の接触パッド27に摺接した状態となっている。このため、仮に接触パッド27に埃等が付着している場合においても、コンタクト端子14がその埃等を除去した上で接触パッド27に接触した状態とされることから、よりこれらの間の接続安定性を向上することが可能となる。
【0042】
このように本実施の形態に係るアダプタ1によれば、カード2を所定の装着位置まで挿入する際、カード2と当接部19e、19fとの当接により保護部材13の凹部13b、13cと係合部19c、19dとの係合を解除し、コイルばね17a、17bの付勢力に抗して保護部材13をカード2の挿入方向側に移動させ、カード2の凹部22a、22bに当接部19e、19fを係合させると共に、係合部19c、19dを保護部材13の突出片13d、13eと係合させることから、コイルばね17a、17bの付勢力がカード2に加わるのを防止できるので、カード2とコンタクト端子14との安定した接続状態を確保することが可能となる。
【0043】
特に、本実施の形態に係るアダプタ1においては、カード2の側面に左右一対の凹部22a、22bが形成され、当該カード2の側面に対応して左右一対の板ばね19a,19bを備えている。これにより、左右一対に設けられた板ばね19a、19bの係合部19c、19dで保護部材13を所定の装着位置に保持することができるので、コイルばね17a、17bからの付勢力をバランスよく受け、この付勢力がカード2に加わるのを適切に防止することが可能となる。
【0044】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0045】
例えば、上記実施の形態においては、カード2がアダプタ1の所定の装着位置に装着される場合に板ばね19a、19bの係合部19c、19dを保護部材13の突出片13d、13eと係合させると共に、当接部19e、19fをカード2の凹部22a、22bと係合させる場合について示している。しかしながら、カード2の排出方向への移動を規制することができれば、板ばね19a、19bの係合部19c、19dと保護部材13の突出片13d、13eとの係合を省略しても良い。このように変更した場合においても、当接部19e、19fとカード2の凹部22a、22bとの係合により、コイルばね17a、17bによる付勢力に抗してカード2の排出方向側への移動を規制できるので、カード2とコンタクト端子14との安定した接続状態を確保することが可能となる。しかしながら、板ばね19a、19bの当接部19e、19fに加わる負荷を考慮する場合には、上記実施の形態のように板ばね19a、19bの係合部19c、19dと保護部材13の突出片13d、13eとを係合させることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施の形態に係るカード用アダプタの外観を示す斜視図である。
【図2】上記実施の形態に係るカード用アダプタの外観を示す斜視図である。
【図3】図1に示すケースから上面カバーを取り除いた状態のカード用アダプタを示す斜視図である。
【図4】図1に示すケースから下面カバーを取り除いた状態のカード用アダプタを示す斜視図である。
【図5】図4に示す状態のカード用アダプタの下面図である。
【図6】上記実施の形態に係るカード用アダプタが有する保護部材と、板ばねとの関係を説明するための図である。
【図7】上記実施の形態に係るカード用アダプタに装着されるカードの構成を説明するための図である。
【図8】上記実施の形態に係るカード用アダプタに装着されるカードの構成を説明するための図である。
【図9】上記実施の形態に係るカード用アダプタに対してカードを装着する際の動作を説明するための図である。
【図10】上記実施の形態に係るカード用アダプタに対してカードを装着する際の動作を説明するための要部拡大図である。
【図11】上記実施の形態に係るカード用アダプタに対してカードを装着する際の動作を説明するための図である。
【図12】上記実施の形態に係るカード用アダプタに対してカードを装着する際の動作を説明するための要部拡大図である。
【図13】上記実施の形態に係るカード用アダプタに対してカードを装着する際の動作を説明するための図である。
【図14】上記実施の形態に係るカード用アダプタに対してカードを装着する際の動作を説明するための要部拡大図である。
【符号の説明】
【0047】
1 カード用アダプタ(アダプタ)
11 ケース
11a フレーム
11b 上面カバー
11c 下面カバー
12 スロット部
13 保護部材
13a 凹部
13b、13c 凹部
13d、13e 突出片
14 コンタクト端子
15 保護板部
16 リード線
17a、17b コイルばね
18a、18b 保持壁
19a、19b 板ばね
19c、19d 係合部
19e、19f 当接部
2 カード
21 段差部
22a、22b 凹部
23 段差部
24 摘み部
25 カバー
26 溝部
27 接触パッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面に凹部が形成されたカードが装着可能な装着部と、前記カードの接触部と接触するコンタクト端子を保護する端子保護部と、前記端子保護部を前記カードの排出方向側に付勢する付勢手段と、前記付勢手段による付勢力に抗して前記端子保護部を所定の位置に保持する保持手段とを備え、
前記保持手段に、前記カードと当接する当接部と、前記端子保護部に係合する係合部とを形成する一方、前記端子保護部に、前記係合部と係合する第1係合部及び第2係合部を形成し、
前記カードが挿入される前の状態では、前記係合部を前記端子保護部の第1係合部と係合させ、
前記カードを所定の装着位置まで挿入する際、前記カードと前記当接部との当接により前記端子保護部の第1係合部と前記係合部との係合を解除し、前記付勢手段の付勢力に抗して前記端子保護部を前記カードの挿入方向側に移動させ、前記カードの凹部に前記当接部を係合させると共に、前記係合部を前記端子保護部の第2係合部と係合させることを特徴とするカード用アダプタ。
【請求項2】
前記カードの側面に左右一対の凹部が形成され、当該カードの側面に対応して左右一対の前記保持手段を備えることを特徴とする請求項1記載のカード用アダプタ。
【請求項3】
前記所定の装着位置よりも前記カードの挿入方向側の位置まで当該カードを移動させた後、前記付勢手段の付勢力に応じて前記カードの排出方向に移動させた状態で前記カードの凹部に前記当接部を係合させると共に、前記係合部を前記端子保護部の第2係合部と係合させたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のカード用アダプタ。
【請求項4】
側面に凹部が形成されたカードが装着可能な装着部と、前記カードの接触部と接触するコンタクト端子を保護する端子保護部と、前記端子保護部を前記カードの排出方向側に付勢する付勢手段と、前記付勢手段による付勢力に抗して前記端子保護部を所定の位置に保持する保持手段とを備え、
前記保持手段に、前記カードと当接する当接部と、前記端子保護部に係合する係合部とを形成し、前記カードが所定の装着位置まで挿入された場合に当該当接部を前記カードの凹部の後端面に係合させたことを特徴とするカード用アダプタ。
【請求項5】
前記カードの側面に左右一対の凹部が形成され、当該カードの側面に対応して左右一対の前記保持手段を備えることを特徴とする請求項4記載のカード用アダプタ。
【請求項6】
前記端子保護部の側面に、前記係合部と係合する第1係合部及び第2係合部を形成し、前記カードが挿入される前の状態では前記係合部を前記端子保護部の第1係合部と係合させる一方、前記カードが所定の装着位置まで挿入された状態では前記係合部を前記端子保護部の第2係合部と係合させたことを特徴とする請求項4又は請求項5記載のカード用アダプタ。
【請求項7】
前記所定の装着位置よりも前記カードの挿入方向側の位置まで当該カードを移動させた後、前記付勢手段の付勢力に応じて前記カードの排出方向に移動させた状態で前記カードの凹部に前記当接部を係合させると共に、前記係合部を前記端子保護部の第2係合部と係合させたことを特徴とする請求項6記載のカード用アダプタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−218045(P2009−218045A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−59335(P2008−59335)
【出願日】平成20年3月10日(2008.3.10)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】