説明

カード装着装置

【課題】 カードの挿脱作業性を向上させることができると共に、カード装着部からカードが抜け出さないように確実に係止することができるカード装着装置を提供する。
【解決手段】 カード装着部12にメモリカード14を挿脱する際に、カードガイド固定部材13を展開させて開くことにより、このカードガイド固定部材13によってメモリカード14をガイドしてカード装着部12に挿脱させることができる。また、メモリカード14を挿入した後は、カードガイド固定部材13を折り返すことにより、この折り返されたカードガイド固定部材13によってメモリカード14がカード装着部12から抜け出さないように係止することができる。このため、メモリカード14を円滑にガイドすることができるので、メモリカード14の挿脱作業性を向上させることができると共に、カード装着部12からメモリカード14が抜け出さないように確実に係止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯情報端末機や携帯電話機、パーソナルコンピュータなどの電子機器に用いられるカード装着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器に用いられるカード装着装置においては、特許文献1に記載されているように、メモリカードが挿脱可能に挿入するカード装着部と、このカード装着部に装着されたメモリカードの抜け出しを防ぐためのカード抜け防止部とを備えた構成のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−250488号公報
【0004】
この種のカード装着装置は、メモリカードが挿入するカード装着部のカード挿入口側にカード抜け防止部を設け、メモリカードをカード装着部に挿入する際に、カード抜け防止部をメモリカードの挿入領域外に移動させ、この状態でメモリカードをカード装着部に挿入すると、カード抜け防止部が元の位置に戻り、メモリカードの端部を係止してメモリカードがカード装着部から抜け出さないように構成されている。
【0005】
この場合、カード抜け防止部は、例えば、ステンレスなどの薄い金属板かなり、カード装着部のカード挿入口に設けられたアーム部と、このアーム部の先端をほぼ直角に折り曲げたストッパ部とからなり、アーム部を撓み変形させることにより、先端のストッパ部をメモリカードの挿入領域外に移動させ、メモリカードがカード装着部に挿入した際に、アーム部が弾性復帰して先端のストッパ部を元の位置に戻し、このストッパ部によってメモリカードの端部を係止するように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来のカード装着装置では、メモリカードをカード装着部に挿入した際に、カード抜け防止部によってカード装着部からメモリカードが抜け出さないように係止することができても、メモリカードをカード装着部に対して挿脱する際に、カード抜け防止部が邪魔になり、メモリカードを円滑にガイドすることができないため、メモリカードの挿脱作業性が悪いという問題がある。
【0007】
この発明が解決しようとする課題は、カードの挿脱作業性を向上させることができると共に、カード装着部からカードが抜け出さないように確実に係止することができるカード装着装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、上記課題を解決するために、次のような構成要素を備えている。
請求項1に記載の発明は、機器本体内に配置され、この機器本体内においてカードがスライド可能に装着して電気的に接続されるカード装着部と、このカード装着部のカード挿入口側における近傍に折り返し可能に配置され、前記カード装着部に対して前記カードを挿脱する際に、展開して前記カードをガイドしながらスライドさせ、前記カードが前記カード装着部に挿入された際に、折り返されて前記カードを係止するカードガイド固定部材と、を備えていることを特徴とするカード装着装置である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記カードガイド固定部材が、前記カード装着部の前記カード挿入口側における近傍に固定された固定部と、この固定部に対して折返し可能に重なる可動部と、この可動部を前記固定部に折り返し可能に連結する折返し部とを備え、前記可動部は、前記カード装着部に対して前記カードを挿脱する際に、前記折返し部により展開して前記カードをガイドしながらスライドさせ、前記カードが前記カード装着部に挿入された際に、前記折返し部により折り返されて前記カードを係止することを特徴とする請求項1に記載のカード装着装置である。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記可動部が、前記折返し部により前記固定部に対し展開して開いた際に、前記カードを前記カード装着部にガイドするガイド面と、前記折返し部により前記固定部に対し折り返されて重なった際に、前記カード装着部に挿入された前記カードの外端部を係止するストッパ部とを備えていることを特徴とする請求項2に記載のカード装着装置である。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記ガイド面が、前記可動部を展開させて開いた際に、前記カード装着部から離れるに従って徐々に高くなるスロープ状に傾斜することを特徴とする請求項3に記載のカード装着装置である。
【0012】
請求項5に記載の発明は、前記可動部が、前記折返し部で折り返されて前記固定部に重なった際に、前記可動部を前記固定部に対して固定する係合部を備えていることを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれかに記載のカード装着装置である。
【0013】
請求項6に記載の発明は、前記固定部が、前記機器本体内に配置された基板とこの基板に対向する前記機器本体の一部との間に、挟持される複数の固定突起部を備えていることを特徴とする請求項2〜請求項5のいずれかに記載のカード装着装置である。
【0014】
請求項7に記載の発明は、前記カードガイド固定部材が、薄肉成形可能な合成樹脂によって一体に成形されていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載のカード装着装置である。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、カード装着部に対してカードを挿脱する際に、カードガイド固定部材を展開させて開くことにより、このカードガイド固定部材によってカードをガイドしてカード装着部に挿脱させることができ、またカードを挿入した後は、カードガイド固定部材を折り返すことにより、この折り返されたカードガイド固定部材によってカードがカード装着部から抜け出さないように係止することができる。このため、カードを円滑にガイドすることができるので、カードの挿脱作業性を向上させることができると共に、カード装着部からカードが抜け出さないように確実に係止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明を携帯端末機に適用した一実施形態を示した正面図である。
【図2】図1の携帯端末機を裏面側から見た斜視図である。
【図3】図2の携帯端末機において電池蓋を取り外した状態を示した斜視図である。
【図4】図3の電池収納部内を示した要部の拡大斜視図である。
【図5】図4の電池収納部の下側に配置されたカード装着装置を示した要部の拡大斜視図である。
【図6】図5のカード装着装置におけるカードガイド固定部材を展開させて開いた状態を示した拡大斜視図である。
【図7】図4のA−A矢視における拡大断面図である。
【図8】図4のB−B矢視における拡大断面図である。
【図9】図4のカード装着装置においてカードガイド固定部材を展開して開いた状態を示した要部の拡大斜視図である。
【図10】図9において電池収納部の下側に配置されたカード装着装置を示した要部の拡大斜視図である。
【図11】図9のC−C矢視における拡大断面図である。
【図12】図4の状態において電池収納部内に電池を収納した状態を示した要部の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図1〜図12を参照して、この発明を携帯端末機に適用した一実施形態について説明する。
この携帯端末機は、PDA(パーソナル・デジタル・アシスタント)であり、図1に示すように、機器本体1を備えている。この機器本体1は、上部ケース2と下部ケース3とで構成されている。
【0018】
上部ケース2の上面には、図1に示すように、入力表示部4とキー入力部5とが設けられている。入力表示部4は、透明なタッチパネルの下に表示パネルを重ね合わせたものであり、透明なタッチパネルを通して表示パネルに表示された情報を見ながら、透明なタッチパネルをタッチペンでタッチ操作することにより、情報が入力されるように構成されている。キー入力部5は、テンキー、決定キーなどの各種のキーを備え、この各種のキーをキー操作することにより、そのキー操作に応じて情報を入力するように構成されている。
【0019】
また、下部ケース3には、図2に示すように、電池蓋6が着脱可能に取り付けられている。この電池蓋6は、図3に示すように、キー入力部5に対応する機器本体1内に設けられて、下部ケース3の下面(図3では上面)に開放された電池収納部7を開閉可能に塞ぐように構成されている。この電池収納部7は、その内部にリチウムイオン電池などの電池8(図11参照)が着脱可能に収納されるように構成されている。
【0020】
この電池収納部7の底部7aの下側には、図3〜図5に示すように、カード装着装置10が配置されており、このカード装着装置10の下側には、キー入力部5に対応するスイッチ基板11が配置されている。この場合、電池収納部7の底部7aには、開口部9がカード装着装置10の一部およびスイッチ基板11の一部に対応して設けられている。これにより、カード装着装置10の一部およびスイッチ基板11の一部は、開口部9を通して電池収納部7内に露出している。
【0021】
スイッチ基板11の裏面(図4および図5では上面)には、図4に示すように、カード装着装置10が対応する箇所を除いて、電子部品11aが設けられている。このスイッチ基板11の表面(図5では下面)には、キー入力部5のキー操作に応じてスイッチ信号を出力するための多数の接点部(図示せず)が設けられている。また、このスイッチ基板11は、機器本体1内に設けられて機器全体を電気的に制御するための回路基板(図示せず)に電気的に接続されている。
【0022】
一方、カード装着装置10は、図4〜図11に示すように、機器本体1内におけるスイッチ基板11と電池収納部7の底部7aとの間に配置されたカード装着部12と、このカード装着部12のカード挿入口12a側(図4では右側)における近傍に折り返し可能に配置されたカードガイド固定部材13とを備えている。カード装着部12は、SDカードやSIMカードなどのメモリカード14が挿脱可能に装着するコネクタである。
【0023】
すなわち、このカード装着部12は、図4および図5に示すように、機器本体1内の電池収納部7内から開口部9を通してメモリカード14がスライド可能に装着して電気的に接続されるものであり、スイッチ基板11と電気的に接続された状態で、スイッチ基板11と電池収納部7の底部7aとの間に配置されている。この場合、カード装着部12は、そのカード挿入口12a側が電池収納部7の開口部9に対応して電池収納部7内に露出するように構成されている。
【0024】
カードガイド固定部材13は、図4〜図6に示すように、カード装着部12のカード挿入口12a側に位置して電池収納部7の開口部9から電池収納部7内に露出した状態で、スイッチ基板11上に配置されている。このカードガイド固定部材13は、図5および図6に示すように、カード装着部12のカード挿入口12a側における近傍に固定される固定部15と、この固定部15に対して折返し可能に重なる可動部16と、この可動部16を固定部15に対して折り返し可能に連結する折返し部17とを備えている。
【0025】
この場合、折返し部17は、肉厚が薄く形成された屈曲部分であり、固定部15と可動部16との境界部分に設けられている。このため、カードガイド固定部材13は、肉厚の薄い薄肉成形が可能な合成樹脂、例えばポリプロピレン、ポリアセタール、塩化ビニルなどの合成樹脂によって、固定部15、可動部16、および折返し部17の全てが一体に成形されている。この場合、合成樹脂としては、靭性が高く、自己潤滑性を有するポリプロピレンが好ましい。
【0026】
固定部15は、図6に示すように、ほぼ平板状に形成されており、その四隅には、固定突起部15aが設けられている。この固定突起部15aは、図6〜図8に示すように、スイッチ基板11と電池収納部7の底部7aとの間に挟まれることにより、固定部15を固定するように構成されている。また、この固定部15は、図5〜図7に示すように、カード装着部12のカード挿入口12a側に位置するカード載置部15bと、可動部16が折り返されて重なる重なり部15cと、その両者の間に傾斜して形成された傾斜部15dとを備えている。
【0027】
カード載置部15bは、図5に示すように、カード装着部12にメモリカード14が装着された際に、カード装着部12のカード挿入口12aから外部に突出したメモリカード14の後部を載置する平坦部であり、図7および図11に示すように、カード挿入口12aの下部と同じ高さになるように、その厚みが薄く形成されている。
【0028】
また、このカード載置部15bの両側部には、図5〜図11に示すように、メモリカード14の両側部をガイドするためのガイド部15eが設けられている。重なり部15cは、図7および図11に示すように、その厚みがカード載置部15bよりも厚く形成された平坦部である。傾斜部15dは、カード載置部15bから重なり部15cに向けて次第に厚みが厚くなるように緩やかに傾斜した状態で形成されている。
【0029】
一方、可動部16は、図9〜図11に示すように、カード装着部12に対してメモリカード14を挿脱する際に、折返し部17により展開して開き、メモリカード14をガイドしながらスライドさせ、また、図4、図5および図7に示すように、メモリカード14がカード装着部12に挿入された際に、折返し部17により折り返されてメモリカード14の外端部14aを係止するように構成されている。
【0030】
すなわち、可動部16は、図9〜図11に示すように、折返し部17により固定部15に対し展開して開いた際に、メモリカード14をカード装着部12にガイドするためのガイド面18と、図4〜図7に示すように、折返し部17により固定部15に対し折り返されて重なった際に、カード装着部12に挿入されたメモリカード14の外端部14aを係止する一対のストッパ部19とを備えている。
【0031】
ガイド面18は、図9〜図11に示すように、可動部16が折返し部17を中心に開いて展開した際に、カード装着部12から離れるに従って徐々に高くなるスロープ状に傾斜するように形成されている。この場合、ガイド面18は、折返し部17を介して固定部15の重なり部15cと固定部15の傾斜部15dとに連続する。これにより、可動部16と固定部15とは、可動部16が折返し部17を中心に開いて展開した際に、可動部16のガイド面18から固定部の傾斜部15dに亘って連続するスロープを形成するように構成されている。
【0032】
一対のストッパ部19は、図5〜図7に示すように、可動部16の先端部(図5では左端部)における両側に設けられ、可動部16が折返し部17によって折り返されて固定部15の重なり部15cに重なった際に、固定部15の傾斜部15dにおける両側に配置され、カード装着部12に挿入されてカード挿入口12aから突出したメモリカード14の外端部14aに当接して係止するように構成されている。
【0033】
また、この可動部16は、図9〜図11に示すように、折返し部17を中心に開いて展開した際に、スイッチ基板11に設けられた電子部品11a上に配置されて、電子部品11aを保護するように構成されている。この場合、ガイド面18と反対側に位置する可動部16の外面には、図4および部5に示すように、スイッチ基板11に設けられた電子部品11aが挿入する部品逃げ凹部20が設けられている。
【0034】
また、この可動部16の先端両側(図6では上端両側)には、図6および図8に示すように、可動部16が折返し部17で折り返されて固定部15の重なり部15cに重なった際に、電池収納部7の開口部9の縁部に係脱可能に係止されて可動部16を固定部15に対し固定するための一対の係合部21が設けられている。さらに、この可動部16の先端下部(図6では上端下部)には、図6〜図10に示すように、折返し部17を中心に可動部16を開いて展開させる際に、指を掛けるための指掛け凹部22が、一対のストッパ部19の間に位置して設けられている。
【0035】
次に、この携帯端末機のカード装着装置10の作用について説明する。
メモリカード14をカード装着部12に装着する場合には、まず、カードガイド固定部材13の可動部16を折返し部17によって開く。このときには、電池収納部7の開口部9を通して可動部16の先端部に設けられた指掛け凹部22に指を掛け、この状態で電池収納部7の開口部9の縁部に係止された可動部16の一対の係合部21による係止力に抗して、可動部16を引き上げる。
【0036】
すると、電池収納部7の開口部9内において、可動部16が折返し部17を中心に回転して開き、図11に示すように、可動部16がスイッチ基板11の電子部品11a上に配置される。このときには、可動部16の部品逃げ凹部20にスイッチ基板11の電子部品11aが挿入し、可動部16のガイド面18が固定部15に向けて徐々に下がるように緩やかに傾斜した状態になる。
【0037】
この状態で、電池収納部7内にメモリカード14を挿入しながら可動部16のガイド面18に沿ってスライドさせる。すると、メモリカード14は、ガイド面18によってガイドされながら、固定部15の重なり部15cから傾斜部15dに沿ってスライドし、メモリカード14が固定部15のカード載置部15bに送り込まれる。このときには、スイッチ基板11の電子部品11aが可動部16によって覆われているので、電子部品11aを傷付けたり破損したりせずに、メモリカード14をカード装着部12に向けて送り込むことができる。
【0038】
このように、メモリカード14が固定部15のカード載置部15bに送り込まれると、メモリカード14の両側部がカード載置部15bのガイド部15eによってガイドされながら、カード装着部12のカード挿入口12aからカード装着部12内に挿入される。これにより、メモリカード14がカード装着部12に装着されて電気的に接続される。このときには、メモリカード14はその後部側がカード挿入口12aから外部に突出し、この突出した後部が固定部15のカード載置部15bに配置される。
【0039】
この状態で、可動部16を折返し部17で折り返して固定部15の重なり部15c上に重ね合わせると、可動部16の一対の係合部21が電池収納部7の開口部9の縁部に係止されて可動部16が固定部16に対し固定される。このときには、図5および図7に示すように、可動部16の一対のストッパ部19が固定部15の傾斜部15d上における両側に配置される。これにより、一対のストッパ部19は、カード挿入口12aから突出して固定部15のカード載置部15bに配置されたメモリカード14の外端部14aに当接してメモリカード14がカード装着部12から抜け出さないように、メモリカード14の外端部14aを係止する。
【0040】
この後、図12に示すように、電池収納部7内に電池8を収納し、図2に示すように、電池収納部7に電池蓋6を取り付ける。この状態では、機器本体1が落下などによる外部からの衝撃を受けても、メモリカード14の外端部14aが係止されているので、外部からの衝撃によってメモリカード14がカード装着部12から抜け出すことがなく、メモリカード14がカード装着部12に装着されて電気的に接続された状態を良好に維持することができる。
【0041】
次に、メモリカード14をカード装着部12から取り出す場合について説明する。
このときには、まず、電池収納部7から電池蓋6を取り外して電池8を取り出す。すると、カード装着装置10の一部であるカード装着部12のカード挿入口12aおよびカードガイド固定部材13が、電池収納部7の開口部9を通して露出する。この状態で、電池収納部7の開口部9を通して可動部16の先端部に設けられた指掛け凹部22に指を掛け、この状態で電池収納部7の開口部9の縁部に係止された可動部16の一対の係合部21による係止力に抗して、可動部16を引き上げる。
【0042】
すると、図9に示すように、可動部16が折返し部17を中心に回転して開く。このときには、可動部16の一対のストッパ部19が固定部15から離れ、一対のストッパ部19によるメモリカード14の係止が解除される。また、このときには、可動部16がスイッチ基板11の電子部品11a上に配置され、可動部16の部品逃げ凹部20にスイッチ基板11の電子部品11aが挿入し、可動部16のガイド面18が固定部15に向けて徐々に下がるように緩やかに傾斜した状態になる。
【0043】
この状態で、メモリカード14をカード装着部12から引き出す。このときには、電池収納部7の開口部9を通して指を固定部15のカード載置部15bに位置するメモリカード14に押し付けて可動部16のガイド面18に向けてスライドさせる。すると、メモリカード14は、固定部15の傾斜部15dから重なり部15cに沿ってスライドした後、可動部16のガイド面18によってガイドされながらスライドする。
【0044】
これにより、メモリカード14が固定部15のカード載置部15bから引き出されて可動部16のガイド面18に移動する。このときにも、スイッチ基板11の電子部品11aが可動部16によって覆われているので、電子部品11aを傷付けたり破損したりせずに、メモリカード14をカード装着部12から取り外して電池収納部7の開口部9から取り出すことができる。
【0045】
このように、この携帯端末機のカード装着装置10によれば、機器本体1内に配置され、この機器本体1内においてメモリカード14がスライド可能に装着して電気的に接続されるカード装着部12と、このカード装着部12のカード挿入口12a側における近傍に折り返し可能に配置され、カード装着部12に対してメモリカード14を挿脱する際に、展開してメモリカード14をガイドしながらスライドさせ、メモリカード14がカード装着部12に挿入された際に、折り返されてメモリカード14を係止するカードガイド固定部材13と、を備えた構成であるから、メモリカード14の挿脱作業性を向上させることができると共に、カード装着部12からメモリカード14が抜け出さないように確実に係止することができる。
【0046】
すなわち、このカード装着装置10では、カード装着部12に対してメモリカード14を挿脱する際に、カードガイド固定部材13を展開させて開くことにより、このカードガイド固定部材13によってメモリカード14をガイドしてカード装着部12に挿脱させることができ、またメモリカード14を挿入した後は、カードガイド固定部材13を折り返すことにより、この折り返されたカードガイド固定部材13によってメモリカード14がカード装着部12から抜け出さないように係止することができる。このため、メモリカード14を円滑にガイドすることができるので、機器本体1の電池収納部7内における狭い領域でも、メモリカード14の挿脱作業性を向上させることができると共に、カード装着部12からメモリカード14が抜け出さないように確実に係止することができる。
【0047】
また、カードガイド固定部材13は、カード装着部12のカード挿入口12a側における近傍に固定された固定部15と、この固定部15に対して展開可能に重なる可動部16と、この可動部16を固定部15に折り返し可能に連結する折返し部17とを備え、可動部16が、カード装着部12に対してメモリカード14を挿脱する際に、折返し部17により展開してメモリカード14をガイドしながらスライドさせ、メモリカード14がカード装着部12に挿入された際に、折返し部17により折り返されてメモリカード14を係止する構成であるから、構造が簡単で、カード装着装置10全体の薄型化を図ることができ、これにより機器本体1内に設けられたスイッチ基板11と、このスイッチ基板11に対応して機器本体1内に設けられた電池収納部7との間における狭いスペースに、カード装着装置10を良好に且つコンパクトに設置することができる。
【0048】
また、可動部16は、折返し部17により固定部15に対し展開して開いた際に、メモリカード14をカード装着部12にガイドするガイド面18を備えているので、カード装着部12にメモリカード14を挿脱する際に、可動部16のガイド面18によってメモリカード14を円滑に且つ良好にガイドすることができる。この場合、可動部16は、折返し部17により固定部15に対し展開して開いた際に、スイッチ基板11の電子部品11a上に配置されるので、メモリカード16をガイド面18に沿ってスライドさせても、電子部品11aを傷付けたり破損したりせずに、メモリカード14を良好に挿脱させることができ、これによってもメモリカード14の挿脱作業性を向上させることができる。
【0049】
また、可動部16は、折返し部17により固定部15に対し折り返されて重なった際に、カード装着部12に挿入されたメモリカード14の外端部14aを係止する一対のストッパ部19を備えているので、カード装着部12に挿入されたメモリカード14の外端部14aを一対のストッパ部19によって確実に係止することができ、これにより機器本体1が落下などの衝撃を受けても、その衝撃によってメモリカード14が勝手に抜け出さないようにすることができる。
【0050】
また、可動部16のガイド面18は、可動部16を折返し部17によって開いて展開した際に、カード装着部12から離れるに従って徐々に高くなるスロープ状に傾斜することにより、電池収納部7内の狭い場所でも、カード装着部12にメモリカード14を挿脱する際に、メモリカード14を円滑にスライドさせることができるので、メモリカード14の挿脱作業性が良く、使い勝手の良いものを提供することができる。この場合、可動部16には、これが折返し部17によって展開して開いた際に、スイッチ基板11の電子部品11aが挿入する部品逃げ凹部20が設けられていることにより、可動部16のガイド面18を固定部15に向けて徐々に下がるように緩やかに傾斜させることができるので、これによってもメモリカード14を円滑にスライドさせることができる。
【0051】
また、可動部16は、折返し部17で折り返されて固定部15に重なった際に、電池収納部7の開口部9の縁部に係脱可能に係止されて、固定部15に対して可動部16を固定する一対の係合部21を備えているので、可動部16を折返し部17で折り返して固定部15に重ねるだけで、一対の係合部21によって可動部16を固定部15に対して固定することができ、これにより可動部16の一対のストッパ部19によって確実にメモリカード14の外端部14aを係止させることができる。
【0052】
また、固定部15は、機器本体1内に配置されたスイッチ基板11とこのスイッチ基板11に対向する機器本体1の電池収納部7の底部7aとの間に、挟持される複数の固定突起部15aを備えているので、ビスなどの締結部材を用いずに、固定部15をスイッチ基板11と電池収納部7の底部7aとの間に簡単に固定することができ、これによりカードガイド固定部材13を機器本体1内に確実に組み付けることができる。
【0053】
さらに、カードガイド固定部材13は、薄肉成形可能な合成樹脂によって成形されていることにより、固定部15、可動部16、折返し部17を一体に形成することができると共に、折返し部17を折返し可能な薄肉形状に形成することができる。この場合、薄肉成形可能な合成樹脂が、ポリプロピレンであれば、靭性が高く、自己潤滑性に優れているので、耐久性の高いものを提供することができる。
【0054】
なお、上述した実施形態では、電子機器として、PDA(パーソナル・デジタル・アシスタント)である携帯端末機に適用した場合について述べたが、必ずしも携帯端末機である必要はなく、例えば携帯電話機、電子カメラ、電子辞書などの携帯型の電子機器にも適用することができるほか、携帯型の電子機器に限らず、電子レジスタやパーソナルコンピュータなどの各種の電子機器にも広く適用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 機器本体
2 上部ケース
3 下部ケース
6 電池蓋
7 電池収納部
7a 電池収納部の底部
8 電池
9 開口部
10 カード装着装置
11 スイッチ基板
12 カード装着部
13 カードガイド固定部材
14 メモリカード
15 固定部
15a 固定突起部
16 可動部
17 折返し部
18 ガイド面
19 一対のストッパ部
20 部品逃げ凹部
21 一対の係合部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器本体内に配置され、この機器本体内においてカードがスライド可能に装着して電気的に接続されるカード装着部と、
このカード装着部のカード挿入口側における近傍に折り返し可能に配置され、前記カード装着部に対して前記カードを挿脱する際に、展開して前記カードをガイドしながらスライドさせ、前記カードが前記カード装着部に挿入された際に、折り返されて前記カードを係止するカードガイド固定部材と、
を備えていることを特徴とするカード装着装置。
【請求項2】
前記カードガイド固定部材は、前記カード装着部の前記カード挿入口側における近傍に固定された固定部と、この固定部に対して折返し可能に重なる可動部と、この可動部を前記固定部に折り返し可能に連結する折返し部とを備え、
前記可動部は、前記カード装着部に対して前記カードを挿脱する際に、前記折返し部により展開して前記カードをガイドしながらスライドさせ、前記カードが前記カード装着部に挿入された際に、前記折返し部により折り返されて前記カードを係止することを特徴とする請求項1に記載のカード装着装置。
【請求項3】
前記可動部は、前記折返し部により前記固定部に対し展開して開いた際に、前記カードを前記カード装着部にガイドするガイド面と、前記折返し部により前記固定部に対し折り返されて重なった際に、前記カード装着部に挿入された前記カードの外端部を係止するストッパ部とを備えていることを特徴とする請求項2に記載のカード装着装置。
【請求項4】
前記ガイド面は、前記可動部を展開させて開いた際に、前記カード装着部から離れるに従って徐々に高くなるスロープ状に傾斜することを特徴とする請求項3に記載のカード装着装置。
【請求項5】
前記可動部は、前記折返し部で折り返されて前記固定部に重なった際に、前記可動部を前記固定部に対して固定する係合部を備えていることを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれかに記載のカード装着装置。
【請求項6】
前記固定部は、前記機器本体内に配置された基板とこの基板に対向する前記機器本体の一部との間に、挟持される複数の固定突起部を備えていることを特徴とする請求項2〜請求項5のいずれかに記載のカード装着装置。
【請求項7】
前記カードガイド固定部材は、薄肉成形可能な合成樹脂によって一体に成形されていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載のカード装着装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−95981(P2011−95981A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−248949(P2009−248949)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】