説明

カード,カードの製造方法,及びカード製造装置

【課題】昇華性インクと不可視インクとを同領域に重ねて印刷しても昇華性インクの退色が抑制され長期間利用できるカード(51,51A,52,52A)を提供する。
【解決手段】基体(1)と、その一面側に設けられ昇華性インクの像(8)が形成された第1の受容層(1a)と、この第1の受容層上に積層された保護層(OC1)と、この保護層上に形成された不可視インクの像(10)と、を有する。また、基体(1AA)と、その一面側に、昇華性インク像(18)が形成された第1のインク受容層(11d1)と、不可視インク像(20)が形成された第2のインク受容層(11d2)と、第1のインク受容層と第2のインク受容層との間に設けられた保護層(11c1)と、を備え、昇華性インク像と不可視インク像とは、保護層(11c1)を挟んで非接触とされ、第1のインク受容層は第2のインク受容層よりも基体側に配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード,カードの製造方法,及びカード製造装置に係り、特に、カードの改竄や偽造を防止するために可視光で不可視であって特定の波長の光で蛍光する不可視インクを用いて印刷がなされたカードと、そのカードの製造方法と、そのカードを製造する製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カードの改竄や偽造を防止しそのセキュリティ性を高める技術が種々検討され実用化されてきている。
このような技術は、クレジットカード,IDカード,身分証明用カードなど、種々のカードに広く適用されることが望まれている。
また、個人を特定するためのカードには、その所有者の顔写真を印刷する場合が多く、文字などに好適に用いられる溶融型インクに加えて、高品位な写真印刷に適した昇華型インクを用いる例が増加している。
【0003】
セキュリティ性を高める技術としては、可視光においては不可視であるが特定の波長域(例えば紫外線)で蛍光して可視となるいわゆる不可視インクを用いて、写真やデータなどを常態で不可視に印刷しておく技術が知られている。
【0004】
このような、昇華性インクと不可視インクとを用いてカードを作成する技術の一例が特許文献1に記載されている。
この特許文献1に記載されたカードは、改竄や偽造を防止してセキュリティー性を高めたIDカードであり、昇華性インクにより印刷された顔写真画像領域上に、紫外線の照射により蛍光して目視可能となる蛍光インキを用いて固有情報が重ねて印刷されて成るものである。
【0005】
そして、このカードの製造においては、昇華転写リボンとして、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(B)の順に昇華染料層を設けると共に、これに続けて蛍光インキと保護層とを設けたものを用いることが記載されている。
【特許文献1】特開平11−321166号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、一般に、昇華性インクは溶融型インクと比べて耐光性に改善の余地が多い。具体的には、光の照射により退色する傾向があるのでこの退色が抑制されることが望まれている。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載されたカードのような、昇華性インクで印刷した領域上に不可視インクを重ね印刷する構成においては、不可視インクで印刷された情報の確認のため紫外線が照射される毎に、昇華性インクは不可視インクの蛍光を直接浴びることになる。
そのため、退色がより促進されて印刷画像が早く劣化し、カードとして有効に利用できる期間が短くなることが懸念される。
【0008】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、昇華性インクと不可視インクとを同じ領域に重なるように印刷しても、昇華性インクの退色が抑制され、長期にわたって利用できるカードと、その製造方法及びカードの製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本願発明は次の1)〜6)の手段を有する。
1)基体(1)と、
該基体(1)の一面側に設けられ昇華性インクの像(8)が形成された第1の受容層(1a)と、
該第1の受容層(1a)上に積層された保護層(OC1)と、
該保護層(OC1)上に形成された不可視インクの像(10)と、を有するカード(51,51A)である。
2)基体(1)上にインク像(8,10)が形成されて成るカード(51,51A)を製造するカード製造方法において、
異なる色の複数の昇華性インク(Y,M,C)と保護インク(OC1)と不可視インク(UVS)との各インク領域が面順次に形成されたインクフィルム(3)を用い、前記各インク領域のインクを加熱して前記基体(1)上に順次重畳印刷する印刷工程を有し、
該印刷工程は、
前記昇華性インクにより前記基体(1)上に昇華性インク像(8)を形成する第1の印刷工程と、
該第1の印刷工程の後に、前記保護インクを前記昇華性インク像(8)上に印刷して該昇華性インク像(8)を覆う保護層(OC1)を形成する第2の印刷工程と、
該第2の印刷工程の後に、前記不可視インク(UVS)により前記保護層(OC1)上に不可視インク像(10)を形成する第3の印刷工程と、を有することを特徴とするカード製造方法である。
3)基体(1)にインク像(8,10)が形成されて成るカード(51,51A)を製造するカード製造装置において、
異なる色の複数の昇華性インク(Y,M,C)と保護インク(OC1)と不可視インク(UVS)との各インク領域が面順次に形成されたインクフィルム(3)を用い、
前記インクフィルム(3)における前記各インク領域の位置を検出して検出信号を出力するインク領域位置検出手段(7A)と、
前記インクフィルム(3)を搬送するフィルム搬送手段(IFH)と、
前記基体(1)を搬送する基体搬送手段(KH)と、
前記インクフィルム(3)を前記基体(1)に押圧すると共に前記各インク領域のインクを加熱して前記基体(1)に印刷する印刷手段(5,HA)と、
前記フィルム搬送手段(IFH),前記基体搬送手段(KH),及び,前記印刷手段(5,HA)の動作を制御する制御手段(6)と、を備え、
該制御手段(6)は、前記インク領域位置検出手段(7A)からの前記検出信号に基づいて、前記基体(1)に対して前記昇華性インク(Y,M,C),前記保護インク(OC1),前記不可視インク(UVS)の順に重畳印刷を行うよう前記フィルム搬送手段(IFH),前記基体搬送手段(KH),及び,前記印刷手段(5,HA)を制御することを特徴とするカード製造装置(50)である。
4)基体(1AA)と、
該基体(1AA)の一面側に、昇華性インクによる昇華性インク像(18)が形成された第1のインク受容層(11d1)と、不可視インクによる不可視インク像(20)が形成された第2のインク受容層(11d2)と、前記第1のインク受容層(11d1)と前記第2のインク受容層(11d2)との間に設けられた保護層(11c1)と、を備え、
前記昇華性インク像(18)と前記不可視インク像(20)とは、前記保護層(11c1)を挟んで非接触とされ、前記第1のインク受容層(11d1)は前記第2のインク受容層(11d2)よりも前記基体(1AA)側に配設されて成るカード(52,52A)である。
5)基体(1AA)上にインク像(18,20)が形成されて成るカード(52,52A)を製造するカード製造方法において、
異なる色の複数の昇華性インク(Y,M,C)と不可視インク(UVS)との各インク領域が面順次に形成されたインクフィルム(33)と、帯状の基部(11a)上に保護層(11c)とインク受容層(11d)とがこの順に積層されて成る中間転写フィルム(11)と、を用い、
該中間転写フィルム(11)の第1の転写領域(21)における前記インク受容層(11d1)に前記複数の昇華性インクを重畳転写して昇華性インク像(18)を形成すると共に、該中間転写フィルム(11)の前記第1の転写領域(21)とは異なる第2の転写領域(22)における前記インク受容層(11d2)に前記不可視インクを転写して不可視インク像(20)を形成する転写工程と、
該転写工程の後に、前記基体(1AA)に対して、前記第1の領域(21)の前記インク受容層(11d1)と前記保護層(11c1)とを該保護層(11c1)が表面側となるように再転写する第1の再転写工程と、
再転写された前記保護層(11c1)上に、前記第2の領域(21)の前記インク受容層(11d2)と前記保護層(11c2)とを該保護層(11c2)が表面側となるように再転写する第2の再転写工程と、を有することを特徴とするカード製造方法である。
6)基体(1AA)にインク像(18,20)が形成されて成るカード(52,52A)を製造するカード製造装置において、
異なる色の複数の昇華性インク(Y,M,C)と不可視インク(UVS)との各インク領域が面順次に形成されたインクフィルム(33)と、帯状の基部(11a)上に保護層(11c)とインク受容層(11d)とがこの順に積層されて成る中間転写フィルム(11)と、を用い、
前記インクフィルム(33)における各インク領域の位置を検出して検出信号を出力する第1の検出手段(7A)と、
前記中間転写フィルム(11)の搬送位置を検出して検出信号を出力する第2の検出手段(7B)と、
前記基体(1AA)の搬送位置を検出して検出信号を出力する第3の検出手段(7C)と、
前記インクフィルム(33)を搬送する第1の搬送手段(IFH)と、
前記中間転写フィルム(11)を搬送する第2の搬送手段(TFH)と、
前記基体(1AA)を搬送する第3の搬送手段(KH)と、
前記インクフィルム(33)を前記中間転写フィルム(11)に押圧すると共に前記各インク領域のインクを加熱して前記中間転写フィルム(11)の前記インク受容層(11d)に転写像を形成する第1の転写手段(5,HA)と、
前記転写像が形成された前記インク受容層(11d)及び前記保護層(11c)を加熱して前記基体(1AA)上に再転写する第2の転写手段(13,HA2)と、
前記第1乃至第3の搬送手段(IFH,TFH,KH)と前記第1及び第2の転写手段(5,HA,13,HA2)とを制御する制御手段(6)と、を備え、
該制御手段(6)は、
前記第1及び第2の検出手段(7A,7B)からの各検出信号に基づいて、前記中間転写フィルム(11)の第1の転写領域(21)における前記インク受容層(11d1)に前記複数の昇華性インク(Y,M,C)を重畳転写して昇華性インクによる第1の転写像(18)を形成すると共に、前記中間転写フィルム(11)の前記第1の転写領域(21)とは異なる第2の転写領域(22)における前記インク受容層(11d2)に、前記不可視インク(UVS)を転写して不可視インクによる第2の転写像(20)を形成し、
その後、前記第2及び第3の検出手段(7B,7C)からの各検出信号に基づいて、前記基体(1AA)に対して前記第1の転写像(18)が形成された前記第1の転写領域(21)の前記インク受容層(11d1)及び前記保護層(11c1)を再転写し、次に、該保護層(11c1)上に、前記第2の転写像(20)が形成された前記第2の転写領域(22)の前記インク受容層(11d2)及び前記保護層(11c2)を再転写するよう、前記第1乃至第3の搬送手段(IFH,TFH,KH)と前記第1及び第2の転写手段(5,HA,13,HA2)とを制御することを特徴とするカード製造装置(60)である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、カードに昇華性インクと不可視インクとを同じ領域に重なるように印刷しても、昇華性インクの退色が抑制され、長期にわたり利用できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施の形態を、好ましい実施例により図1〜図11を用いて説明する。
【0012】
<第1実施例>
第1実施例は、昇華性インクなどのインク層を面順次に形成したインクフィルムを用い、そのインクを被印刷物であるカード基体に対して直接印刷してカードを作成するものである。これはいわゆるダイレクト印刷方式と呼ばれる。
【0013】
図1(a)はその印刷を行うカード製造装置50の概略構成図であり、図1(b)はカード製造装置50の概略ブロック構成図である。
【0014】
このカード製造装置50は、カード基体1の搬送駆動源であるモータM3とこのモータM3に連結されカード基体1を挟持して搬送する挟持ローラ2とを有するカード搬送部KHと、カード基体1の搬送位置を検出するセンサ7Bと、詳細を後述するインクフィルム3を張架した一対のリール4及び各リール4を回転駆動するモータM2,M3を有するインクフィルム搬送部IFHと、インクフィルム3にその各インク層の位置を特定するために設けられたポジションマークPM1〜PM7(後述)を非接触で検出するセンサ7Aと、インクフィルム3を加熱して昇華性インクを昇華させるサーマルヘッド5と、インクフィルム3をカード基体1に押圧するようにこのサーマルヘッド5を図1(a)における上下方向に移動させるヘッド駆動部HAと、この装置全体の動作を制御する制御部6と、を有して構成されている。
【0015】
この実施例で用いるカード基体1は、その一面に昇華性インクを受容する受容層1aを有している。
【0016】
また、インクフィルム3は、図2に示すように、帯状の基材シート3aと、その一面に面順次に形成された昇華性インク層と溶融インク層と保護インク層と紫外線発光インク(不可視インク)層とを有する。
以下、インクフィルム3に形成されたこれらの層を、それぞれ昇華性インク領域,溶融型インク領域,第1保護インク領域,昇華性紫外線発光インク(不可視インク)領域,第2保護インク領域とも称する。
具体的配列は、長手方向順に、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)の各昇華性インク層Y,M,Cと、ブラックの溶融型インク層Kと、第1保護インク層OC1と、昇華性紫外線発光インク層UVSと、第2保護インク層OC2と、であり、これらを一組(KM)として複数の組が繰り返し形成されている。
【0017】
ここで、第1保護インク層OC1及び第2保護インク層OC2は、例えば、アクリル樹脂,ポリエステル樹脂,ポリウレタン樹脂等により形成することができる。さらに、紫外線吸収剤として、ベンゾフェノン系化合物,ベンゾトリアール系化合物,シュウ酸アニリド系化合物等の有機系の吸収剤、又は金属酸化物からなる無機系の吸収剤を添加することもできる。
【0018】
また、各インク層の位置をセンサ7Aで判別して検出できるようにポジションマークPM1〜PM7が各インク層に対応して設けられている。
【0019】
この構成において、制御部6は、カード基体1を搬送してその所定の印刷開始位置がサーマルヘッド5の位置になるようにカード搬送部KHを制御する。
また、制御部6は、印刷内容に対応して印刷する色(最初の印刷色は例えばY)のインク層がサーマルヘッド5の位置に頭出しされるように、ポジションマークPM1〜PM7を検出するセンサ7Aからの検出信号に基づいてインクフィルム搬送部IFHを制御する。
【0020】
さらに、制御部6は、カード基体1とインクフィルム3との位置出しに伴い、ヘッド駆動部HAを駆動し、サーマルヘッド5によりインクフィルム3をカード基体1に押圧させつつカード基体1とインクフィルム3とを搬送すると共に、そのサーマルヘッド5を加熱してインク層のインクを昇華または溶融し、所定の印刷像をカード基体1上に印刷するよう制御する。
その後、カード基体1の頭出しとインクフィルム3における次に印刷する色のインク層の頭出しとを繰り返して、複数色のインク,保護層,及び紫外線発光インクを重ね印刷するよう制御する。
【0021】
次に、この重ね印刷について図3を用いて詳述する。図3は、本発明に係る第1実施例のカード51における印刷領域の概略断面図である。
【0022】
まず、カード基体1に対して昇華性インク層Y,M,Cを用い各色の印刷を行う。これにより、カード基体1の受容層1aには昇華性インク像8が形成される。この像は、フルカラーで極めて高品位に印刷できるので顔写真などが好適である。
【0023】
次に、溶融型インク層Kを用いて印刷を行う。これにより、受容層1aの表面に溶融型インク像9が形成される。この像は、黒色で極めて明瞭に印刷できるので文字や記号などが好適である。
【0024】
次に、第1保護インク層OC1の印刷を、溶融型インク像9を含む印刷領域の全面に対して行う。これにより溶融型インク像9を含めて印刷領域全面が第1保護インク層OC1で覆われる。
【0025】
次に、紫外線発光インクUVS層を用いて印刷を行う。これにより、第1保護インク層OC1上に所定の不可視インク像(紫外線発光インク像)10が印刷される。この像は、個人データ(氏名,生年月日,指紋など)が好適である。
【0026】
次に、第2保護インク層OC2の印刷を、不可視インク像10を含む印刷領域の全面に対して行う。
以上の印刷工程を経てカード51が形成される。
【0027】
この実施例によれば、昇華性インク像8が形成された受容層1aよりも不可視インク像10の層である不可視インク層10sの方がカード基体1から離れた側に形成されると共に、両層の間に保護層である第1の保護インク層OC1が介在する構成となっている。
従って、昇華性インク像8と紫外線発光インクの像である不可視インク像10とが直接接していないので、不可視インク像10を視認するために紫外線を照射した際に、昇華性インク像8に照射される不可視インク像10からの蛍光光量が、第1保護インク層OC1を透過することにより拡散減少して昇華性インクの退色が抑制され、昇華性インク像8は長期間にわたり良好に維持される。
さらに、蛍光インクである紫外線発光インクが昇華性インクに接触していると、互いに直接反応して昇華性インクの退色が促進される場合があるが、本実施例によれば、両インクは、第1保護インク層OC1によって接触せずに離隔しているので、昇華性インクの退色が防止され、昇華性インク像8は長期間良好に維持される。
また、第1保護インク層OC1に周知の紫外線吸収剤や紫外線拡散剤を混合させた場合は、さらに紫外線による影響も抑制することができる。
【0028】
また、不可視インク像が、昇華性インク像18及び溶融型インク像19よりも表面側に設けられているので、不可視インク像20の蛍光をより明瞭に視認することができる。
【0029】
<第1実施例の変形例>
図4は、第1実施例の変形例であるカード51Aを示す。この例は、溶融型インク像9の積層方向における印刷位置が異なるものである。
【0030】
このカード51Aへの印刷工程について具体的に説明する。
【0031】
まず、カード基体1に対して各昇華性インク層Y,M,Cを用いてY,M,C各色の印刷を行う。これにより、受容層1aには、昇華性インク像8が形成される。
【0032】
次に、第1保護インク層OC1の印刷を、昇華性インク像8が形成された領域を含む全面に対して行う。これにより、昇華性インク像8はその全面が第1保護インク層OC1で覆われる。
【0033】
次に、溶融型インク層Kを用いてK色の印刷を行う。これにより、第1保護インク層OC1の表面には、溶融型インク像9が形成される。
【0034】
次に、紫外線発光インク層UVSの印刷を行う。この印刷により、溶融型インク像9やその溶融型インク像9が形成されていない第1保護インク層OC1上に、所定の不可視インク像10が印刷される。
【0035】
次に、第2保護インク層OC2の印刷を、不可視インク像10で覆われていない溶融型インク像9や不可視インク像10を含む印刷領域の全面に対して行う。
以上の印刷工程を経てカード51Aが形成される。
【0036】
この変形例においても、昇華性インク像8が形成された層が、不可視インク像10が形成された層よりもカード基体1側に形成されると共に、両層の間に保護層である第1保護インク層OC1が介在する構成となっている。
従って、昇華性インク像8と紫外線発光インクの像である不可視インク像10とが直接接していないので、不可視インク像10を視認するために紫外線を照射した際に、昇華性インク像8に照射される不可視インク像10からの蛍光光量が、第1保護インク層OC1を透過することにより拡散減少して昇華性インクの退色が抑制され昇華性インク像8は長期間にわたり良好に維持される。
さらに、蛍光インクである紫外線発光インクが昇華性インクに接触していると、互いに直接反応して昇華性インクの退色が促進される場合があるが、本実施例によれば、両インクは、第1保護インク層OC1によって接触せずに離隔しているので、昇華性インクの退色が防止され、昇華性インク像8は長期間良好に維持される。
また、第1保護インク層OC1に周知の紫外線吸収剤や紫外線拡散剤を混合させた場合は、さらに紫外線による影響も抑制することができる。
【0037】
また、不可視インク像が、昇華性インク像18及び溶融型インク像19よりも表面側に設けられているので、不可視インク像20の蛍光をより明瞭に視認することができる。
【0038】
<第2実施例>
第2実施例は、昇華性インクなどのインク層を面順次に形成したインクフィルムを用い、そのインクを、インク受容層が設けられた中間転写フィルムに像として転写し、この転写された像を被印刷物であるカード基体に再度転写してカードを作成するものである。これはいわゆる再転写印刷方式と呼ばれる。
【0039】
この実施例のカード製造装置60は、図5(a),図5(b)に示すように、カード基体1AAの搬送駆動源であるモータM3とこのモータM3に連結されカード基体1AAを挟持して搬送する挟持ローラ2とを有するカード搬送部KHと、カード基体1AAの搬送位置を検出するセンサ7Bと、詳細を後述するインクフィルム33を張架した一対のリール4と各リール4を回転駆動するモータM2,M3とを有するインクフィルム搬送部IFHと、インクフィルム33にその各インク層の位置を特定するために設けられたポジションマークPM11〜PM14(後述)を非接触で検出するセンサ7Aと、インクフィルム33を加熱して昇華性インクあるいは溶融型インクを昇華あるいは溶融させるサーマルヘッド5と、ローラ5Bとの間でインクフィルム33を中間転写フィルム11(後述する)に押圧させるようにこのサーマルヘッド5を図5(a)における左右方向に移動させるヘッド駆動部HAと、この装置全体の動作を制御する制御部6と、を有する。
【0040】
さらに、このカード印刷装置60は、中間転写フィルム11を張架した一対のリール12及び各リール12を回転駆動するモータM4,M5を有する中間転写フィルム搬送部TFHと、中間転写フィルム11にその搬送位置を特定するため設けられたポジションマークを非接触で検出するセンサ7Cと、中間転写フィルム11を加熱して昇華性インクあるいは溶融型インクを昇華あるいは溶融させるサーマルヘッド13と、中間転写フィルム11をカード基体1AAに押圧させるようにこのサーマルヘッド13を図7における上下方向に移動させるヘッド駆動部HA2と、を備えている。
【0041】
インクフィルム33は、その部分平面図である図6に示すように、帯状の基材シート33aと、その一面に面順次に形成された昇華性インク層Y,M,Cと、紫外線発光インク層UVと、溶融型インク層Kとを有する。
以下、インクフィルム33に形成されたこれらの層を、それぞれ昇華性インク領域,昇華性紫外線発光インク(不可視インク)領域,溶融型インク領域とも称する。
具体的配列は、長手方向順に、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)の各昇華性インク層Y,M,Cと、昇華性紫外線発光インク層UVSと、黒色の溶融型インク層Kと、であり、これらを一組(KM2)として複数の組が繰り返し形成されている。
【0042】
また、各インク層の位置をセンサ7Aで判別して検出できるようにポジションマークPM11〜PM15が各インク層に対応して設けられている。
【0043】
一方、中間転写フィルム11は、その一例を断面図である図7に示すように、帯状の基部11aと、その一面上に積層された剥離層11b,保護層11c及びインク受容層11dとを有する。
これらの積層された層の内、表面側の保護層11c及びインク受容層11dが転写層11cdとされ、剥離層11bはこの転写層11cdの剥離を容易にするために設けられている。
【0044】
ここで、保護層11cは、例えばポリウレタン系樹脂,アクリル系樹脂,ポリエチレン系樹脂等により形成されている。
【0045】
この構成において、制御部6は、センサ7A,7Bからの出力信号に基づいて、中間転写フィルム11の未使用領域におけるこれからインクを転写する領域の頭出しと、この転写領域に転写する像の最初に転写する色の昇華性インク(例えばY)のインク層の頭出しとを行い、その頭出し位置をサーマルヘッド5の位置とするようにインクフィルム搬送部IFH及び中間転写フィルム搬送部TFHとを制御する。
【0046】
また、制御部6は、インクフィルム33と中間転写フィルム11との位置出しに伴い、ヘッド駆動部HAを駆動し、サーマルヘッド5とローラ5Bとの間にインクフィルム33と中間転写フィルム11とを挟みつつ両フィルムを搬送すると共に、サーマルヘッド5を加熱してインクを昇華させ、所定の転写像を中間転写フィルム11上に転写するよう制御する。
【0047】
この際、昇華したインクは、中間転写フィルム11のインク受容層11dに保持されることで転写される。
【0048】
図8には、この転写後の中間転写フィルム11を概略断面図として示している。
この中間転写フィルム11への転写において、昇華性インクの各色Y,M,Cは同一領域である第1の転写領域21に重ねて転写される。
【0049】
一方、この第1の転写領域21に所定の間隔を有して隣接する第2の転写領域22に、紫外線発光インク層UVSのインクと溶融型インク層Kのインクとが重ねて転写される。
すなわち、昇華性インクについては、第1の転写領域21の頭出しとインクフィルム33における各色の頭出しとを繰り返して、複数色Y,M,Cの各インクが第1の転写領域21のインク受容層11d(11d1)に転写される。これにより、インク受容層11d(11d1)には、昇華性インク像18が形成される。
この像は、フルカラーで極めて高品位に印刷できるので顔写真などが好適である。
【0050】
また、第2の転写領域22のインク受容層11d(11d2)に対しては、まず、紫外線発光インク層UVSのインクが転写されて不可視インク像20が形成され、次いで溶融型インク層Kのインクが重ねて転写されて溶融型インク像19が形成される。
従って、後から転写される溶融型インク像19は、第2の転写領域22のインク受容層11dにおいてその表面側に形成される。
以下、第1及び第2の転写領域21,22のインク受容層11dについて符号を各11d1,11d2と付与し、同様に保護層11cについて符号を各11c1,11c2と付与する場合がある。
【0051】
このように、各インク像18〜20が形成される第1,第2転写領域21,22は、中間転写フィルム11において予め領域が設定されると共に、その各転写領域21,22の間には各転写領域21,22を特定できるポジションマークPM16,PM17がそれぞれ設けられている。これらのポジションマークはセンサ7Bにより検出され、その検出信号に基づいてその位置が制御部6にて判定できるよう構成されている。
【0052】
このように中間転写フィルム11に転写された各インク像18〜20は、カード基体1AAに再転写される。
すなわち、制御部6は、センサ7Cにより検出されたカード基体1AAの搬送位置情報に基づいて、そのカード基体1AA上の再転写領域の頭出しをするようカード搬送部KHを制御する。
この頭出しは、再転写開始位置がサーマルヘッド13〔図5(a)参照〕に対応する位置となるように行われる。
【0053】
また、制御部6は、センサ7Cの検出信号に基づき、中間転写フィルム11の第1,第2の転写領域21,22の内、先に再転写する領域として第1の転写領域21を選択し、第1の転写領域21の再転写開始位置がサーマルヘッド13に対応する位置となるように中間転写フィルム搬送部TFHを制御する。
【0054】
制御部6は、中間転写フィルム11とカード基体1AAとの位置出しに伴い、ヘッド駆動部HA2を駆動し、サーマルヘッド13により中間転写フィルム11をカード基体1AAに押圧させつつ両者を搬送すると共に、そのサーマルヘッド13を加熱して、中間転写フィルム11の第1の転写領域21におけるインク受容層11d1及び保護層11c1(転写層11cd)を剥離層11bから剥離してカード基体1AAに転写(再転写)させるように制御する。
【0055】
従って、カード基体1AAには、第1の転写領域21における転写層11cdが、インク受容層11d1を内側に、そして、保護層11c1が外側になるように再転写される。
【0056】
次に、カード基体1AA上における再転写領域の再度の頭出しと、中間転写フィルム11における第2の転写領域22の頭出しとが行われ、第1の転写領域21の再転写と同様にして、中間転写フィルム11の第2の転写領域22におけるインク受容層11d2及び保護層11c2(転写層11cd)を剥離層11bから剥離してカード基体1AA上の先に再転写された第1の転写領域21の転写層11cd上に重ねて再転写させる。
【0057】
この重ね再転写については、一部繰り返しとなるが図9を用いて詳述する。図9は、本発明に係る第2実施例のカード52における、カード基体1AAに転写された第1及び第2の転写領域21,22に対応する再転写領域の概略断面図である。
【0058】
まず、カード基体1AAにおける所定の再転写領域に対して、中間転写フィルム11において昇華性インク像18が形成された第1の転写領域21の転写層11cdを再転写する。これにより、カード基体1AA上には、転写層11cdが、インク受容層11d1,保護層11c1の順に積層される。
【0059】
次に、溶融型インク像19及び不可視インク像20が形成された第2の転写領域22を、先に第1の転写領域21を再転写した領域に重ねて再転写する。
以上の再転写工程を経て第2実施例のカード52が形成される。
【0060】
この実施例によれば、昇華性インク像18が形成された層が、不可視インク像20が形成された層よりもカード基体1AA側に形成されると共に、両層の間に保護層11c1が介在する構成となっている。
【0061】
従って、昇華性インク像18と紫外線発光インクの像である不可視インク像20とが直接接していないので、不可視インク像20を視認するために紫外線を照射した際に、昇華性インク像18に照射される不可視インク像20からの蛍光光量が、保護層11c1を透過することにより拡散減少して昇華性インクの退色が抑制され昇華性インク像18は長期間にわたり良好に維持される。
さらに、蛍光インクである紫外線発光インクが昇華性インクに接触していると、互いに直接反応して昇華性インクの退色が促進される場合があるが、本実施例によれば、両インクは、保護層11c1によって接触せずに離隔しているので、昇華性インクの退色が防止され、昇華性インク像18は長期間良好に維持される。
また、保護層11c1に周知の紫外線吸収剤や紫外線拡散剤を混合させた場合は、さらに紫外線による影響も抑制することができる。
【0062】
また、不可視インク像が、昇華性インク像18及び溶融型インク像19よりも表面側に設けられているので、不可視インク像20の蛍光をより明瞭に視認することができる。
【0063】
<第2実施例の変形例>
図11は、第2実施例の変形例であるカード52Aを示す。この例は、溶融型インク像19の積層方向における再転写位置が異なるものである。
このカード52Aへの再転写工程について図10,図11を用いて具体的に説明する。
【0064】
まず、図10において、インクフィルム33の昇華性インク層Y,M,Cそれぞれのインクによる印刷像を、中間転写フィルム11の所定の第1の転写領域21に重ねて転写する。これにより、第1の転写領域21におけるインク受容層11dに昇華性インク像18が形成される。
【0065】
また、インクフィルム33の溶融型インク層Kのインクを、同じ第1の転写領域21に転写する。これにより、溶融型インク像19が、第1の転写領域21のインク受容層11d1における表面側に形成される。
【0066】
一方、第1の転写領域21に対して所定の間隔を隔てて隣接する第2の転写領域22のインク受容層11d2に対して、紫外線発光インク層UVSのインクを転写し、不可視インク像20を形成する。
【0067】
この場合においても、各インク像18〜20が形成される第1及び第2転写領域21,22は中間転写フィルム11において予め領域が設定されると共に、その各転写領域21,22の間には各転写領域21,22を特定できるポジションマークPM16,PM17がそれぞれ設けられている。これらのポジションマークはセンサ7Bにより検出され、その検出信号に基づいてその位置が制御部6にて判定できるよう構成されている。
【0068】
このように中間転写フィルム11に転写された各インク像18〜20は、カード基体1AAに再転写される。
【0069】
これについて、図10及び図11を用いて詳述する。図11は、本発明に係る第2実施例の変形例のカード52Aにおける、カード基体1AAに転写された第1及び第2の転写領域21,22に概ね対応する範囲の概略断面図である。
【0070】
まず、図11に示すように、カード基体1AAにおける所定の再転写領域に対して、中間転写フィルム11における昇華性インク像18及び溶融型インク像19が転写形成された第1の転写領域21の転写層11cdを再転写する。
これにより、カード基体1AA上には、転写層11cdが、インク受容層11d1、保護層11c1の順に積層される。
【0071】
ここで、溶融型インク像19は、中間転写フィルム11のインク受容層11d1においてその表面側に形成されているので、この再転写により溶融型インク像19はインク受容層11d1のカード基体1AA側に位置する。
【0072】
次に、不可視インク像20が形成された第2の転写領域22の転写層11cdを、先に第1の転写領域21を再転写した領域に重ねて再転写する。
【0073】
これにより、不可視インク像20が形成されたインク受容層11d2は、両面側から保護層11c1と保護層11c2とに挟まれた状態となる。
以上の再転写工程を経て第2実施例の変形例におけるカード52Aが形成される。
【0074】
この変形例によれば、昇華性インク像18が形成された層が、不可視インク像20が形成された層よりも、カード基体1AA側に形成されると共に、両層の間に保護層11c1が介在する構成となっている。
【0075】
従って、昇華性インク像18と紫外線発光インクの像である不可視インク像20とが直接接していないので、不可視インク像20を視認するために紫外線を照射した際に、昇華性インク像18に照射される不可視インク像20からの蛍光光量が、保護層11c1を透過することにより拡散減少して昇華性インクの退色が抑制され昇華性インク像18は長期間にわたり良好に維持される。
さらに、蛍光インクである紫外線発光インクが昇華性インクに接触していると、互いに直接反応して昇華性インクの退色が促進される場合があるが、本実施例によれば、両インクは、保護層11c1によって接触せずに離隔しているので、昇華性インクの退色が防止され、昇華性インク像18は長期間良好に維持される。
また、保護層11cに周知の紫外線吸収剤や紫外線拡散剤を混合させた場合は、さらに紫外線による影響も抑制することができる。
特に、保護層11c1に周知の紫外線吸収剤や紫外線散乱剤を混合させることで、より高効率で抑制効果を得ることができる。
【0076】
また、不可視インク像が、昇華性インク像18及び溶融型インク像19よりも表面側に設けられているので、不可視インク像20の蛍光をより明瞭に視認することができる。
【0077】
以上、詳述した実施例において、一部記載が重複するが、各インクやフィルム等に用いることのできる材料例などを以下に示す。
インクフィルム3,33の基材シート33a: ポリエステル,ポリプロピレン,ポリエチレン等のプラスチック、又はコンデンサ紙等(厚さ0.003mm〜0.010mm)。
昇華性インク層: 各色の分散染料を樹脂系のバインダーとともに基材シート33aに塗布して形成する。
溶融型インク層: カーボンブラックを発色剤とし、樹脂系のバインダーとともに基材シート33aに塗布して形成する。
第1,第2保護インクOC1,OC2: アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等。
不可視インクUVS:不可視(無色)の蛍光体として、金属の酸化物または硫化物等の結晶を主成分とする顔料や、有機化合物を用いる。
また、不可視インクとしては、紫外線蛍光性に限らず、赤外線蛍光性を有するものであってもよい。また、いずれにおいても、各保護層OC1,11cは、不可視インクの蛍光の波長領域を透過させ難い性質であるとより好ましい。
中間転写フィルム11の基部11a: ポリエステル,ポリプロピレン,ポリエチレン等のプラスチック、又はコンデンサ紙等(厚さ0.01mm〜0.05mm)。
剥離層11b: 例えば、アクリル樹脂,ポリエステル樹脂,ポリウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂に離型材料を添加してなる。
インク受容層11c: 例えば、ポリエステル樹脂,ビニル系樹脂,セルロース系樹脂等からなる。
保護層11d: 例えば、ポリウレタン樹脂,アクリル樹脂,ポリエチレン系樹脂等からなる。
【0078】
本発明の実施例は、上述した構成及び手順に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形例としてもよいのは言うまでもない。
溶融型インク像9,19は必ずしも形成されてなくてもよい。形成する場合は、実施例のように昇華性インク像8,18や不可視インク像10,20と重なるものに限らず、これらに対して同一領域または異領域にて非重畳に形成されていてもよい。
【0079】
また、第1の実施例(変形例を含む)に用いるインクフィルム3においては、各インク領域の配列順はその例で説明したものに限らない。いかなる順に配列されていても、カード製造装置50の制御部6は、各インク領域の種類を判別し、少なくとも、昇華性インクの印刷の後に保護インクの印刷を行い、さらにその後に、不可視インクの印刷を行うように装置50自体を制御する。
また、第2実施例(変形例を含む)に用いるインクフィルム33においても同様で、各インク領域の配列順はその例で説明したものに限らない。いかなる順に配列されていても、カード製造装置60の制御部6は、各インク領域の種類を判別し、少なくとも、中間転写フィルム11上の所定の領域(第1の転写領域)に昇華性インクを重畳して昇華性インク像18を形成し、その領域とは別の領域(第2の転写領域)に不可視インク像20を形成するように装置60自体を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の第1実施例のカード製造装置を説明するための概略の構成図及びブロック図である。
【図2】本発明の第1実施例で用いるインクフィルムを説明するための平面図である。
【図3】本発明の第1実施例のカードを示す断面図である。
【図4】本発明の第1実施例の変形例のカードを示す断面図である。
【図5】本発明の第2実施例のカード製造装置を説明するための概略の構成図およびブロック図である。
【図6】本発明の第2実施例で用いるインクフィルムを説明するための平面図である。
【図7】本発明の第2実施例で用いる中間転写フィルムを説明するための断面図である。
【図8】本発明の第2実施例における転写工程を説明するための断面図である。
【図9】本発明の第2実施例のカードを示す断面図である。
【図10】本発明の第2実施例の変形例における転写工程を説明するための断面図である。
【図11】本発明の第2実施例の変形例のカードを示す断面図である。
【符号の説明】
【0081】
1,1AA カード基体
2 挟持ローラ
3,33 インクフィルム
3a,33a 基材シート
4 リール
5,13 サーマルヘッド
5B ローラ
6 制御部
7A〜7C センサ
8,18 昇華性インク像
9,19 溶融型インク像
10,20 不可視インク像(紫外線発光インク像)
10s 不可視インク層
11 中間転写フィルム
11a 基部
11b 剥離層
11c インク受容層
11d 保護層
11cd 転写層
21,22 第1,第2の転写領域
50,60 カード製造装置
51,51A,52,52A カード
HA,HA2 ヘッド駆動部
IFH インクフィルム搬送部
K 溶融型インク(層)(領域)
KH カード搬送部
KM (層の)一組
M1〜M5 モータ
OC1,OC2 第1,第2保護インク層
PM1〜PM17 ポジションマーク
TFH 中間転写フィルム搬送部
UVS 紫外線発光(不可視)インク(層)(領域)
Y,M,C 昇華性インク(層)(領域)
50 カード製造装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体と、
該基体の一面側に設けられ昇華性インクの像が形成された第1の受容層と、
該第1の受容層上に積層された保護層と、
該保護層上に形成された不可視インクの像と、を有するカード。
【請求項2】
基体上にインク像が形成されて成るカードを製造するカード製造方法において、
異なる色の複数の昇華性インクと保護インクと不可視インクとの各インク領域が面順次に形成されたインクフィルムを用い、前記各インク領域のインクを加熱して前記基体上に順次重畳印刷する印刷工程を有し、
該印刷工程は、
前記昇華性インクにより前記基体上に昇華性インク像を形成する第1の印刷工程と、
該第1の印刷工程の後に、前記保護インクを前記昇華性インク像上に印刷して該昇華性インク像を覆う保護層を形成する第2の印刷工程と、
該第2の印刷工程の後に、前記不可視インクにより前記保護層上に不可視インク像を形成する第3の印刷工程と、を有することを特徴とするカード製造方法。
【請求項3】
基体にインク像が形成されて成るカードを製造するカード製造装置において、
異なる色の複数の昇華性インクと保護インクと不可視インクとの各インク領域が面順次に形成されたインクフィルムを用い、
前記インクフィルムにおける前記各インク領域の位置を検出して検出信号を出力するインク領域位置検出手段と、
前記インクフィルムを搬送するフィルム搬送手段と、
前記基体を搬送する基体搬送手段と、
前記インクフィルムを前記基体に押圧すると共に前記各インク領域のインクを加熱して前記基体に印刷する印刷手段と、
前記フィルム搬送手段,前記基体搬送手段,及び,前記印刷手段の動作を制御する制御手段と、を備え、
該制御手段は、前記インク領域位置検出手段からの前記検出信号に基づいて、前記基体に対して前記昇華性インク,前記保護インク,前記不可視インクの順に重畳印刷を行うよう前記フィルム搬送手段,前記基体搬送手段,及び,前記印刷手段を制御することを特徴とするカード製造装置。
【請求項4】
基体と、
該基体の一面側に、昇華性インクによる昇華性インク像が形成された第1のインク受容層と、不可視インクによる不可視インク像が形成された第2のインク受容層と、前記第1のインク受容層と前記第2のインク受容層との間に設けられた保護層と、を備え、
前記昇華性インク像と前記不可視インク像とは、前記保護層を挟んで非接触とされ、前記第1のインク受容層は前記第2のインク受容層よりも前記基体側に配設されて成るカード。
【請求項5】
基体上にインク像が形成されて成るカードを製造するカード製造方法において、
異なる色の複数の昇華性インクと不可視インクとの各インク領域が面順次に形成されたインクフィルムと、帯状の基部上に保護層とインク受容層とがこの順に積層されて成る中間転写フィルムと、を用い、
該中間転写フィルムの第1の転写領域における前記インク受容層に前記複数の昇華性インクを重畳転写して昇華性インク像を形成すると共に、該中間転写フィルムの前記第1の転写領域とは異なる第2の転写領域における前記インク受容層に前記不可視インクを転写して不可視インク像を形成する転写工程と、
該転写工程の後に、前記基体に対して、前記第1の領域の前記インク受容層と前記保護層とを該保護層が表面側となるように再転写する第1の再転写工程と、
再転写された前記保護層上に、前記第2の領域の前記インク受容層と前記保護層とを該保護層が表面側となるように再転写する第2の再転写工程と、を有することを特徴とするカード製造方法。
【請求項6】
基体にインク像が形成されて成るカードを製造するカード製造装置において、
異なる色の複数の昇華性インクと不可視インクとの各インク領域が面順次に形成されたインクフィルムと、帯状の基部上に保護層とインク受容層とがこの順に積層されて成る中間転写フィルムと、を用い、
前記インクフィルムにおける各インク領域の位置を検出して検出信号を出力する第1の検出手段と、
前記中間転写フィルムの搬送位置を検出して検出信号を出力する第2の検出手段と、
前記基体の搬送位置を検出して検出信号を出力する第3の検出手段と、
前記インクフィルムを搬送する第1の搬送手段と、
前記中間転写フィルムを搬送する第2の搬送手段と、
前記基体を搬送する第3の搬送手段と、
前記インクフィルムを前記中間転写フィルムに押圧すると共に前記各インク領域のインクを加熱して前記中間転写フィルムの前記インク受容層に転写像を形成する第1の転写手段と、
前記転写像が形成された前記インク受容層及び前記保護層を加熱して前記基体上に再転写する第2の転写手段と、
前記第1乃至第3のフィルム搬送手段と前記第1及び第2の転写手段とを制御する制御手段と、を備え、
該制御手段は、
前記第1及び第2の検出手段からの各検出信号に基づいて、前記中間転写フィルムの第1の転写領域における前記インク受容層に前記複数の昇華性インクを重畳転写して昇華性インクによる第1の転写像を形成すると共に、前記中間転写フィルムの前記第1の転写領域とは異なる第2の転写領域における前記インク受容層に、前記不可視インクを転写して不可視インクによる第2の転写像を形成し、
その後、前記第2及び第3の検出手段からの各検出信号に基づいて、前記基体に対して前記第1の転写像が形成された前記第1の転写領域の前記インク受容層及び前記保護層を再転写し、次に、該保護層上に、前記第2の転写像が形成された前記第2の転写領域の前記インク受容層及び前記保護層を再転写するよう、前記第1乃至第3のフィルム搬送手段と前記第1及び第2の転写手段とを制御することを特徴とするカード製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−80682(P2008−80682A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−264249(P2006−264249)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】