説明

カーボンナノチューブ分散体及びそれを用いてなる樹脂組成物ならびに成形体

【課題】
カーボンナノチューブは少量添加で高い導電性を持つことが知られているが樹脂中に分散させることが非常に難しい。特別な分散機を新たに設置することなくカーボンナノチューブを樹脂中に容易に均一に分散させ、高温でも安定性な導電性組成物およびそれを含んでなる高導電性の樹脂組成物やその製造方法を提供することにある。
【解決手段】
常温溶融塩とシラン系表面処理剤とカーボンナノチューブからなることを特徴とするカーボンナノチューブ分散体および前記導電性組成物を含有する樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカーボンナノチューブを高濃度に含有したカーボンナノチューブ組成物及び該組成物を配合した樹脂組成物ならびに成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブはその特性からエレクトロニクス(トランジスター素子、配線など)、エネルギー(燃料電池用電極材料、太陽光発電装置、ガス貯蔵など)、電子放出(フラットパネル装置など)、化学(吸着剤、触媒、センサーなど)、複合材料(導電性プラスチック、強化材料、難燃ナノコンポジットなど)など様々な分野での応用が期待されている。しかし、カーボンナノチューブはアスペクト比が非常に大きいためその分散が非常に困難である。特にプラスチック中への分散は非常に困難である。一般的な顔料の分散方法であるワックスに分散させる方法をカーボンナノチューブの分散に適用すると、特に、カーボンナノチューブが高濃度の場合、ワックスがカーボンナノチューブの絡まりの中に保持されてしまい、これを樹脂中に分散させても分散体がほぐれず、カーボンナノチューブは樹脂中に分散できなかった。そのため低濃度の分散体しか作成が出来ず、添加量を多くすると強化材料どころか物性を落とす結果になっていた。また、シランカップリング剤やシリコーンオイルなどの表面処理をする際にも、カーボンナノチューブの嵩高さにより均一な処理が困難であったり、処理量が多くなってしまったりと問題があった。
【0003】
従来、カーボンナノチューブを樹脂中に分散させる技術としては、カーボンナノチューブをプラズマで処理することにより絡まりをほぐし樹脂へ分散させる方法が知られている(特許文献1参照)。また、カーボンナノチューブを珪素化合物に添加する技術としては、オルガノポリシロキサンに単層の根元成長カーボンナノチューブを分散させ熱伝導率の優れたグリスを作成する方法が知られている(特許文献2参照)。さらにカーボンナノチューブとシリコーン樹脂の混合物を樹脂へ分散させる技術も知られている(特許文献3、4参照)。イオン性液体とカーボンナノチューブを主成分とし導電性を発現させる技術(特許文献5参照)や、マトリックスポリマーと電子導電性繊維状充填剤とイオン性液体を成分とし電子導電性繊維状充填剤の分散性に優れ、かつ、電気抵抗のばらつきが小さくする技術も知られている(特許文献6参照)。
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の技術は樹脂へのプラズマ処理が必要であり生産性に大きな問題がある。特許文献2記載の技術は、単層の根元成長カーボンナノチューブを用いており導電材としては不向きであり、さらには液状の化合物であり樹脂に添加し押出機で加工を行うとサージンク゛してしまうなどの加工性に問題点がある。また特許文献3および4記載の技術は、シリコーンオイルは耐熱性に乏しく、高温で加工を行うエンジニアリングプラスチックなどには使用できなかった。特許文献5記載の技術はイオン性液体自体を重合させる方法で汎用樹脂への展開は難しく、特許文献6記載の技術ではカーボンナノチューブの分散性は不十分である。
【特許文献1】特開2003−306607号公報
【特許文献2】特開2003−301110号公報
【特許文献3】特開2007−154100号公報
【特許文献4】特開2007−231219号公報
【特許文献5】特開2004−255481号公報
【特許文献6】特開2005−220316号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、カーボンナノチューブを高濃度に添加することができ、耐熱性に優れた導電性組成物ならびに成形体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明はイオン性液体とシランカップリング剤とカーボンナノチューブからなることを特徴とするカーボンナノチューブ分散体に関する。
【0007】
更に本発明は、上記カーボンナノチューブ分散体を熱可塑性樹脂100重量部に対し0.01〜200重量部添加してなることを特徴とする樹脂組成物に関する。
【0008】
更に本発明は、上記樹脂組成物からなる成形体に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明により樹脂への分散性が良好で高耐熱性の導電性組成物を得ることができ、それを用いてなる導電性に優れた樹脂組成物およびそれを用いた成形体を得ることが出来た。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明で用いられる常温溶融塩は、室温付近で液体である塩類の総称であり、室温付近の広い範囲において液体で、また、室温付近の蒸気圧が極めて低いという特徴を有するカチオンとアニオンからなる塩である。
【0011】
常温溶融塩のカチオンとしては、イミダゾリウム、ピリジニウム、アンモニウム、ホスホニウム、スルホニウムであり、例えば、ジアルキルイミダゾリウム、トリアルキルイミダゾリウム、アルキルピリジニウム、ジアルキルピリジニウム、トリアルキルピリジニウム、1−フルオロアルキルピリジニウム、1−フルオロトリアルキルピリジニウム、テトラアルキルアンモニウム、テトラアルキルホスホニウム、トリアルキルスルホニウムなどが挙げられる。
さらに詳細な具体例としては、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウム、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウム、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウム、1−デシル−3−メチルイミダゾリウム、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウム、1−テトラドデシル−3−メチルイミダゾリウム、1−ヘキサドデシル−3−メチルイミダゾリウム、1−オクタドデシル−3−メチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウム、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−オクチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム1,2−ジメチル−3−オクチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−エチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−3−エチルイミダゾリウム、1−エチル−3−オクチルイミダゾリウム、1−エチル−3−ブチルイミダゾリウム、1−エチル−3−ヘキシルイミダゾリウム、1−オクチル−3−エチルイミダゾリウム、1,2−ジエチル−3,4−ジメチルイミダゾリウム、1−フルオロピリジニウム、1−フルオロ−2,4,6−トリメチルピリジニウム、1−エチルピリジニウム、1−ブチルピリジニウム、1−ヘキシルピリジニウム、1−プロピル3−メチルピリジニウム、1−ブチル−4−メチルピリジニウム、1−ブチル−3−メチルピリジニウム、1−ヘキシル−4−メチルピリジニウム、1−ヘキシル−3−メチルピリジウム、1−オクチル−4−メチルピリジニウム、1−オクチル−3−メチルピリジニウム、1−ブチル−3,4−ジメチルピリジニウム、1−ブチル−3,5−ジメチルピリジニウム、トリメチルペンチルアンモニウム、トリメチルヘキシルアンモニウム、トリメチルヘプチルアンモニウム、トリメチルオクチルアンモニウム、トリエチルプロピルアンモニウム、トリエチル(2−メトキシエチル)アンモニウム、メチルトリオクチルアンモニウム、トリエチルペンチルアンモニウム、トリエチルヘプチルアンモニウム、ジメチルエチルプロピルアンモニウム、ジメチルブチルエチルアンモニウム、ジメチルエチルペンチルアンモニウム、ジメチルエチルヘキシルアンモニウム、ジメチルエチルヘプチルアンモニウム、ジメチルエチルノニルアンモニウム、ジメチルエチルヘプタデシルアンモニウム、ジメチルジプロピルアンモニウム、ジメチルブチルプロピルアンモニウム、ジメチルプロピルペンチルアンモニウム、ジメチルヘキシルプロピルアンモニウム、ジメチルヘプチルプロピルアンモニウム、ジメチルブチルペンチルアンモニウム、ジメチルブチルヘキシルアンモニウム、ジメチルブチルヘプチルアンモニウム、ジメチルヘキシルペンチルアンモニウム、ジエチルヘプチルメチルアンモニウム、ジヘキシルジメチルアンモニウム、ジプロピルブチルヘキシルアンモニウム、ジヘキシルジプロピルアンモニウム、ジエチルメチルプロピルアンモニウム、ジエチルメチル(2−メトキシエチル)アンモニウム、ジプロピルエチルメチルアンモニウム、ジエチルプロピルペンチルアンモニウム、ジエチルメチルペンチルアンモニウム、エチルメチルプロピルペンチルアンモニウム、ジプロピルメチルペンチルアンモニウム、ジブチルメチルペンチルアンモニウム、ジブチルヘキシルメチルアンモニウム、トリヘキシルテトラデシルホスホニウム、トリイソブチルメチルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム、トリエチルスルホニウム等が挙げられる。
【0012】
常温溶融塩のアニオンとしては、ヘキサフルオロホスフェート、テトラフルオロボレート、メチルスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ビストリフルオロメタンスルホン酸イミド、ビスペンタフルオロエタンスルホン酸イミド、ビスシアノイミド、三酸化窒素、酢酸、トリフルオロメタンカルボン酸等が挙げられる。
【0013】
常温溶融塩の具体例としては、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムハイドロジェンサルフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムメタンスルホン酸、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムメチルサルフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムチオシアネート、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムエチルサルフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムエチルサルフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムハイドロジェンサルフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムメタンスルホン酸、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムチオシアネート、1−メチルイミダゾリウムクロライド、1−メチルイミダゾリウムハイドロジェンサルフェート、1,2,3−トリメチルイミダゾリウムメチルサルフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロアンチモネート、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ドデシル−3−イミダゾリウムアイオダイド、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホン酸、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジシアンアミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムナイトレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムビス(ペンタフルオロエチルスルフォニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムオクチルサルフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトシレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトシレート、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、4−(3−ブチル−1−イミダゾリオ)−1−ブタンスルホン酸トリフレート、4−(3−ブチル−1−イミダゾリオ)−1−ブタンスルフォネート、1−アリール−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフォネート、1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロライド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム2−(2−メトキシエトキシ)−エチルサルフェート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリムヘキサフルオロホスフェート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンするフォネート、1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド、3−メチル−1−プロピルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド、1−ブチル−4−メチルピリジニウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−4−メチルピリジニウムブロミド、1−ブチル−4−メチルピリジニウムクロライド、1−ブチル−4−メチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、トリブチルメチルアンモニウムメチルサルフェート、メチル-トリオクチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド、テトラブチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド、テトラエチルアンモニウムトリフルオロメタンスルフォネート、テトラブチルアンモニウムブロミド、メチルトリオクチルアンモニウムチオサリチレート、テトラブチルアンモニウムベンゾエート、テトラブチルアンモニウムメタンスルフォネート、テトラブチルアンモニウムノナフルオロブタンスルフォネート、テトラブチルアンモニウムヘプタデカフルオロオクタンスルフォネート、テトラヘキシルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラオクチルアンモニウムクロライド、テトラペンチルアンモニウムチオシアネート、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムトリフルオロアセテート、テトラブチルアンモニウムアイオダイド、テトラブチルホスホニウムテトラフルオロボレート、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムビス(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィネート、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)アミド、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムブロミド、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムクロライド、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムデカノエート、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムジシアンアミド、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリイソブチルメチルホスホニウムトシレート、3−(トリフェニルホスホニオ)プロパン−1−スルホン酸、3−(トリフェニルホスホニオ)プロパン-1-スルフォネート、テトラブチルホスホニウム−p−トルエン」スルフォネート、トリエチルスルフォニウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミドが挙げられる。
【0014】
本発明に用いられるシラン系表面処理剤とはシランカップリング剤およびシリコーンオイルなどを指す。シランカップリング剤とは一分子中にアルコキシ基やハロゲン基などの加水分解基を持っているような化合物を示し、加水分解基が加水分解することでシラノール基となりフィラー表面の官能基と脱水縮合反応することで表面処理がなされる。
【0015】
また、各種合成樹脂などの有機質材料と化学結合する反応基を併せ持っているものが多く、反応基としてはビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、アミノ基、ウレイド基、クロロプロピル基、メルカプトキ、スルフィド基、イソシアネート基などが挙げられる。また、アルコキシ基を持つような非反応性基を有するものもある。
【0016】
シランカップリング剤の具体例としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウムクロライド、メチルトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、オクチルジメチルクロロシラン、トリフロロプロピルトリクロロシラン、テトラメトキシシラン、ジアリルジメチルシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフェニルシラノール、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリフェノキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ペンチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ノニルトエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、トリデシルトリエトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラン、ペンタデシルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、ジ−i−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、n−ペンチル・メチルジメトキシシラン、n−ペンチル・メチルジエトキシシラン、シクロヘキシル・メチルジエトキシシラン、フェニル・メチルジメトキシシラン、フェニル・メチルジエトキシシラン、ジ−n−ペンチルジメトキシシラン、ジ−n−ペンチルジエトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジエトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジメトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジエトキシシラン、ジ−n−オクチルジメトキシシラン、ジ−n−オクチルジエトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、トリ−n−プロピルメトキシシラン、トリ−n−プロピルエトキシシラン、トリ−i−プロピルメトキシシラン、トリ−i−プロピルエトキシシラン、トリ−n−ブチルメトキシシラン、トリ−n−ブチルエトキシシラン、トリ−n−ペンチルメトキシシラン、トリ−n−ペンチルエトキシシラン、トリ−シクロヘキシルメトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、トリ−n−ヘキシルメトキシシラン、トリ−n−ヘキシルエトキシシラン、トリ−n−ヘプチルメトキシシラン、トリ−n−ヘプチルエトキシシラン、トリ−n−オクチルメトキシシラン、トリ−n−オクチルエトキシシラン、トリシクロヘキシルメトキシシラン、トリシクロヘキシルエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、トリデシルメトキシシラン、トリデシルエトキシシラン等が挙げられる。
【0017】
また、シリコーンオイルとはシロキサン結合からなる直鎖状ポリマーであり、側鎖、末端がすべてメチル基であるジメチルシリコーンオイル、さらに側鎖の一部がフェニル基であるメチルフェニルシリコーンオイル、側鎖の一部が水素であるメチルハイドロジェンシリコーンオイルの3種類が総称してストレートシリコーンオイルと呼ばれている。また、側鎖、末端に有機基を導入したものが変性シリコーンオイルと呼ばれる。導入する有機基としてはアミノ基、エポキシ基、脂環式エポキシ基、カルビノール基、メタクリル基、ポリエーテル基、メルカプト基、カルボキシル基、フェノール基、シラノール基、メトキシ基、ジオール基、フェニル基、フルオロアルキル基、アラルキル基、長鎖アルキル基、水素などである。
【0018】
本発明においてはシランカップリング剤、シリコーンオイルのどちらをシラン系表面処理剤として用いても構わない。マトリックス樹脂の種類によって最適な処理剤が選定される。処理剤の処理量としてはカーボンナノチューブに対し0.5〜25重量%であり、好ましくはカーボンナノチューブに対し3〜20重量%である。処理量が0.5重量%を下回ると処理が不十分であり、25重量%を上回ると過剰であり樹脂へ添加した際に物性低下や成形不良などの悪影響を与える可能性が高い。
【0019】
本発明で用いるカーボンナノチューブは、グラファイトの1枚面を巻いて円筒状にした形状を有しており、そのグラファイト層が1層で巻いた構造を持つ単層カーボンナノチューブ、2層またはそれ以上で巻いた多層カーボンナノチューブでも、これらが混在するものであっても良いが、多層カーボンナノチューブであることが好ましい。また、形状としては針状、コイル状、チューブ状、カップ状の形態などいずれの形態を有するものであってもよい。具体的には、グラファイトウィスカー、フィラメンタスカーボン、グラファイトファイバー、極細炭素チューブ、カーボンチューブ、カーボンフィブリル、カーボンマイクロチューブ、カーボンナノファイバーなどを挙げることができる。これらの形態として1種または2種以上を組み合わせた形態において使用することができる。
【0020】
本発明のカーボンナノチューブは、一般にレーザーアブレーション法、アーク放電法、熱CVD法、プラズマCVD法、燃焼法などで製造できるが、どのような方法で製造したカーボンナノチューブでも構わない。特に、ゼオライトを触媒の担体としてアセチレンを原料に熱CVD法で作る方法は、特に精製することなく、多少の熱分解による不定形炭素被覆はあるものの、純度が高く、良くグラファイト化された多層カーボンナノチューブが得られる点で、本発明に使用するカーボンナノチューブとして好ましい。
【0021】
本発明で用いるカーボンナノチューブのサイズとしては、特に限定されるものではなく、例えば、繊維径として0.5〜300nm、繊維長として0.01〜100μmなどを具体的に挙げることができる。繊維径として1〜200nm、繊維長として1〜10μmを好ましい範囲として挙げることができる。
【0022】
本発明の常温溶融塩とシラン系表面処理剤とカーボンナノチューブからなる導電性組成物に対し、カーボンナノチューブは5〜75重量%であり、好ましくは20〜70重量%である。カーボンナノチューブの配合量が5重量%以下であると樹脂へ常温溶融塩が多量に入るため物性を低下させてしまう。また、75重量%を超えて配合してしまうと分散性が低下してしまう。
【0023】
本発明では常温溶融塩とシラン系表面処理剤とカーボンナノチューブを混合することでカーボンナノチューブに表面処理を施すことができる。その際、常温溶融塩は溶媒として作用しシラン系表面処理剤を効率的にカーボンナノチューブと接触させることができる。また、常温溶融塩は耐熱性が高いため表面処理の反応が進行する温度下においても揮発することが無い。そのため、乾燥工程を経ずに湿式の表面処理を行うことが出来る。
【0024】
また、常温溶融塩は耐熱性が高いため押出加工でそのまま添加することができ、溶媒を除去する手間を省くことも出来た。このことで効率よく均一に表面処理が出来るものの乾燥・溶媒除去工程が必要なため生産性が悪かった問題点および乾燥時に凝集を起こしやすかった湿式の表面処理の問題点を克服することが出来た。また、温度を制御できる3本ロール、2本ロール、ボールミルのような加工機上で表面処理と予備分散を同時に行うことにより、表面処理がなされたカーボンナノチューブ分散体を一工程で得ることができる。
【0025】
本発明において常温溶融塩とシラン系表面処理剤とカーボンナノチューブを混合させる順序としては常温溶融塩とシラン系表面処理剤を予め混合したものにカーボンナノチューブを添加しても、常温溶融塩にカーボンナノチューブを予め分散させたものにシラン系表面処理剤を添加しても、常温溶融塩とシラン系表面処理剤とカーボンナノチューブとを同時に混合しても構わない。特に常温溶融塩とシラン系表面処理剤を予め混合したものにカーボンナノチューブを添加する方法がカーボンナノチューブの表面処理を均一に行える点から好ましい。
【0026】
常温溶融塩とシラン系表面処理剤とカーボンナノチューブを混合するための装置としては、ディスパー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ハイスピードミキサー、乳鉢、インターナルミキサー、ニーダー、バンバリーミキサー、二軸混練機、サンドミル、ボールミル、ロールミル等があるが、好ましくはロールミルを使用する。ロールミルにはロールが二本のものと三本のものが主であるが、特に分散性を上げるにはせん断力の大きい三本ロールミルが好ましい。
【0027】
本発明において混練は加熱下に行っても良い。例えば、ロールミルのロールを電気ヒーターや蒸気で加熱し、加熱混練をすることも出来る。特に表面処理剤とカーボンナノチューブを反応させる場合はその剤が反応を開始する温度で加工することが好ましい。
【0028】
本発明に用いられる熱可塑性樹脂としては、高密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、超低密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブタジエン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリスチレン樹脂、エチレン酢酸ビニルコポリマー、アイオノマー樹脂、エチレンビニルアルコール共重合樹脂、エチレンアクリル酸エチル共重合体、アクリロニトリル・スチレン樹脂、アクリロニトリル・塩素化ポリスチレン・スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル・アクリルゴム・スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル・EPDM・スチレン共重合樹脂、シリコーンゴム・アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂、セルロース・アセテート・ブチレート樹脂、酢酸セルロース樹脂、メタクリル樹脂、エチレン・メチルメタクリレートコポリマー樹脂、エチレン・エチルアクリレート樹脂、塩化ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ4フッ化エチレン樹脂、4フッ化エチレン・6フッ化プロピレン共重合樹脂、4フッ化エチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂、4フッ化エチレン・エチレン共重合樹脂、ポリ3フッ化塩化エチレン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ナイロン4,6、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン6,12、ナイロン12、ナイロン6,T、ナイロン9,T、芳香族ナイロン樹脂、ポリアセタール樹脂、超高分子量ポリエチレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、非晶性コポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、液晶ポリマー、ポリテトラフロロエチレン樹脂、ポリフロロアルコキシ樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリケトン樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、生分解樹脂、バイオマス樹脂が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの樹脂2種以上を共重合させたものであっても良い。
【0029】
また、本発明に用いられる熱可塑性樹脂として、生分解樹脂、バイオマス樹脂も用いることができる。生分解樹脂は単にプラスチックがバラバラになることではなく、微生物の働きにより、分子レベルまで分解し、最終的には二酸化炭素と水となって自然界へと循環していく性質を持った樹脂であり、その原料は有機資源由来の物質ある必要性が無い樹脂を示す。一方、バイオマス樹脂とは有機資源由来の物質からなる樹脂で生分解性を有さなくても良い樹脂を示す。生分解樹脂、バイオマス樹脂の両方に属する樹脂も多い。具体的にはポリ乳酸、ポリカプロラクトン、または脂肪族ジカルボン酸と多価アルコールとを原料として得られる脂肪族ポリエステル系樹脂の他、微生物または植物より合成されたポリエステル樹脂等が挙げられる。特にポリ乳酸が好ましい。
【0030】
本発明における樹脂組成物の製造は特に限定されるものではない。例えば、熱可塑性樹脂、導電性組成物と、更に必要に応じて各種添加剤や着色剤等を加え、ヘンシェルミキサーやタンブラー、ディスパー等で混合しニーダー,ロールミル,スーパーミキサー,ヘンシェルミキサー,シュギミキサー,バーティカルグラニュレーター,ハイスピードミキサー,ファーマトリックス,ボールミル,スチールミル,サンドミル,振動ミル,アトライター,バンバリーミキサーのような回分式混練機、二軸押出機、単軸押出機、ローター型二軸混練機等で混合や溶融混練分散し、ペレット状、粉体状、顆粒状あるいはビーズ状等の形状の樹脂組成物を得ることができる。
【0031】
本発明の樹脂組成物は、導電性組成物を比較的高濃度に含有し、成形時に被成形樹脂(ベース樹脂)で希釈されるマスターバッチであっても良いし、導電性組成物の濃度が比較的低く、被成形樹脂で希釈せずにそのままの組成で成形に供されるコンパウンドであっても良い。
【0032】
本発明の成形品は、押出成形、射出成形、ブロー成形のいずれかの成形方法で得られるものでもよいし、樹脂組成物を粉砕して得られる粉体塗料でもよい。
【0033】
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内で必要に応じて適当な添加剤、例えば、耐酸化安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、染料、顔料、分散剤、カップリング剤等を配合してもよい。
【実施例】
【0034】
次に、本発明を具体的に実施例に基づき説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。本実施例においる常温溶融塩(A)とシラン系表面処理剤(B)とカーボンナノチューブ、熱可塑性樹脂(C)それぞれの製造元と商品名を以下に示す。前記各成分の配合比は表1に示す。
【0035】
常温溶融塩(A−1):1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(日本カーリット社製、CIL−312)、常温溶融塩(A−2):1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミネート(アルドリッチ社製)、常温溶融塩(A−3):トリブチルメチルアンモニウムメチルフルフェート(アルドリッチ社製)、常温溶融塩(A−4):トリヘキシルテトラデシルホスホニウムテトラフルオロボレート(アルドリッチ社製)
常温溶融塩(A−5):トリエチルスルホニウムビストリフルオロメチルスルホニルイミド(アルドリッチ社製)
シラン系表面処理剤(B−1):デシルトリメトキシシラン(信越化学社製、KBM−3103)、シラン系表面処理剤(B−2):メチルハイドロジェンシリコーンオイル(信越化学社製、KF99)、シラン系表面処理剤(B−3):ジメチルシリコーンオイル(信越化学社製、KF96−200cs)
カーボンナノチューブ:平均線径が9.5nm、平均長さが1.5μm のCVD法により作成された多層カーボンナノチューブ(Nanocyl社製、NC7000)
熱可塑性樹脂(C−1):ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、ユーピロンS3000)、熱可塑性樹脂(C−2):ポリ乳酸樹脂(三井化学社製、レイシア−H400)、熱可塑性樹脂(C−3):ポリスチレン樹脂(PSジャパン社製、PSJポリスチレン679)
[実施例1−10]
1.導電性組成物の製造
常温溶融塩(A)とシラン系表面処理剤(B)を予めディスパーで撹拌させ、そこへカーボンナノチューブを加えたものを140℃に加熱した3本ロールにて練肉したところ3本ロールからフィルム状の導電性組成物を得たので、それを粉砕して粉体固形の導電性組成物を得た。
2.樹脂組成物の製造
熱可塑性樹脂(C)を、除湿乾燥機で乾燥後、これに上記導電性組成物を所定量加えスーパーミキサーにて攪拌羽回転速度約300rpmで4分間、攪拌・混合した。これを熱可塑性樹脂(C)が変質しない適切な加工温度に設定した二軸押出機で溶融混練し樹脂組成物を作成した後、射出成形機(東芝機械(株)製IS−100F型)を用い成形を行った。
3.評価
得られた導電性組成物の「分散性」、得られた樹脂組成物の「成形加工性」「導電性」を次の手順に従って評価し表1に纏めた。
<導電性組成物の分散性>
得られた導電性組成物0.001gをLDPE10gに添加し、2本ロールにて過熱混練後、プレス機にて10cm角、厚さ1mm板状の成形物を作成しその分散性を透過顕微鏡にて確認した。結果を表1に示す。
○ : 良分散
△ : 分散不良
× : 未分散
<成形加工性>
押出加工時のストランド外観または成形品表面の外観不良の目視検査。結果を表1に示す。
【0036】
良好:ストランド外観、成形品表面外観とも良好
不良:ストランド外観の凹凸、ストランド発泡、成形表面にフラッシュ、ボイド発生などの不良が発生
<導電性>
成形品の表面抵抗率をSIMCO社製の表面抵抗測定器(TRUSTAT ST−3)を用いて測定した。結果を表1に示す。
【0037】
【表1】

(A−1):1-ブチルー3−メチルピリジニムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イ
ミド(日本カーリット社製、CIL−312)
(A−2):1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミネート(アルド
リッチ社製)
(A−3):トリブチルメチルアンモニウムメチルフルフェート(アルドリッチ社製)
(A−4):トリヘキシルテトラデシルホスホニウムテトラフルオロボレート(アルド
リッチ社製)
(A−5):トリエチルスルホニウムビストリフルオロメチルスルホニルイミド(アルド
リッチ社製)
(B−1):デシルトリメトキシシラン(信越化学社製、KBM−3103)
(B−2):メチルハイドロジェンシリコーンオイル(信越化学社製、KF99)
(B−3):ジメチルシリコーンオイル(信越化学社製、KF96−200cs)
(C−1):ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、ユーピ
ロンS3000)
(C−2):ポリ乳酸樹脂(三井化学社製、レイシア−H400)
(C−3):ポリスチレン樹脂(PSジャパン社製、PSJポリスチレン679)







【特許請求の範囲】
【請求項1】
常温溶融塩とシラン系表面処理剤とカーボンナノチューブからなることを特徴とするカーボンナノチューブ分散体。
【請求項2】
常温溶融塩がイミダゾリウム系、ピリジニウム系、アンモニウム系、ホスホニウム系、およびスルホニウム系イオン性液体から選ばれる1種又は2種以上からなることを特徴とする請求項1記載のカーボンナノチューブ分散体。
【請求項3】
シラン系表面処理剤がシランカップリング剤またはシリコーンオイルであることを特徴とする請求項1又は2記載のカーボンナノチューブ分散体。
【請求項4】
カーボンナノチューブがカーボンナノチューブ分散体に対し5〜75重量%含有され、シラン系表面処理剤がカーボンナノチューブに対し0.5〜25重量%含有される請求項1〜3いずれか記載のカーボンナノチューブ分散体。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか記載のカーボンナノチューブ分散体を熱可塑性樹脂100重量部に対し0.01〜200重量部添加してなることを特徴とする樹脂組成物。
【請求項6】
請求項5記載の樹脂組成物からなる成形体。


【公開番号】特開2009−155436(P2009−155436A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−334406(P2007−334406)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】