説明

カーボンナノチューブ用分散剤およびこれを含む組成物

【課題】多様な種類の溶媒中で、カーボンナノチューブをよく分散できる手段を提供する。
【解決手段】−SH、−NH、下記化学式(1)で表される基、および下記化学式(2)で表される基からなる群より選択される頭部と、下記化学式(3)で表される尾部と、を含むことを特徴とする、カーボンナノチューブ用分散剤;


前記化学式(1)中、Xは、S、NH、またはOであり、


前記化学式(2)中、XはS、NH、またはOであり、lは2〜60の整数であり、


前記化学式(3)中、Yは、置換または非置換のC1〜C10のアルキレン基、置換または非置換のC1〜C10のアルケニレン基、置換または非置換のC1〜C10のアルキニレン基、および置換または非置換のC6〜C20のアリールアルキル基からなる群より選択され、Zは、−H、−CH、−OH、カルボキシル基、カルボン酸塩基、スルホ基、スルホン酸塩基、リン酸基、およびリン酸塩基からなる群より選択され、aは0または1であり、mは1〜9の整数であり、nは0〜9の整数である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンナノチューブ用分散剤およびこれを含む組成物に関し、詳細には、電気陰性度が高い原子およびカーボンナノチューブとの親和性が高い芳香族環を含む頭部と 分散媒に親和性を有する尾部とを含む構造であり、多様な種類の溶媒でカーボンナノチューブの分散性を向上できる分散剤、およびこれを含有する組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブ(Carbon Nanotube;CNT)とは、各炭素原子が六角形の蜂の巣パターンに結合されてチューブ状をなす材料であり、異方性が高く、シングルウォール、マルチウォール、束状などの多様な構造を有し、チューブの直径がナノメータ(nm=10億分の1m)程度に極めて小さい材料である。カーボンナノチューブは、優れた機械的特性、電気的選択性、および電界放出特性を有し、高効率の水素貯蔵媒体である。また、カーボンナノチューブは、巻かれた形状によって半導体または金属の性質を有することができ、直径によってエネルギーギャップが変化する。さらに、準一次元的な構造を有することで特異な量子効果を示す。このカーボンナノチューブの合成方法としては、アーク放電法、熱分解法、レーザー蒸着法、プラズマ化学気相蒸着法、熱化学気相蒸着法、および電気分解法などが知られている。また、カーボンナノチューブは、高い電気伝導度を示すので、導電膜などの形成に用いられており、今後、電界放出ディスプレイ(Field Emission Display;FED)および走査プローブ顕微鏡(SPM)のプローブなどに用いられる可能性が非常に高いため、カーボンナノチューブに関する研究が活発に行われている。
【0003】
一方、一般的に、カーボンナノチューブは、製造時にカーボンブラックなどの炭素粒子と一緒に得られるので、カーボンナノチューブと炭素粒子との混合物からカーボンナノチューブを分離・精製する必要がある。また、カーボンナノチューブは、導電膜またはその他の素子などの製造時に用いられるために、まず、通常の溶剤およびバインダーと混合してペースト状にする必要がある。カーボンナノチューブを精製するか、またはペースト状にするためには、カーボンナノチューブを適切な分散媒に溶解させる必要がある。特に、カーボンナノチューブなどの取り扱いにおける分散時、カーボンナノチューブの特性上、各粒子間の凝集力が非常に大きいため、分散剤の選択はより注意深く考慮されるべきである。
【0004】
分散剤は、一種の界面活性剤であり、頭部および尾部を含む。前記頭部は、分散させようとする物質である分散質の表面に親和性を有するべきであり、一方前記尾部は、分散させようとする溶媒、すなわち分散媒との親和性を有するべきである。さらに、分散剤は、粒子間の衝突に対する障壁の役割をするものが好ましい。
【0005】
従来、カーボンナノチューブの分散剤は、水系分散剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(NaDDBS)、ドデシルスルホン酸ナトリウム、TX−100、ポリビニルピロリドンなどの水系分散剤を含んでいる。これらのうち、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(NaDDBS)が最も優れたものとして知られている。しかしながら、前記水系分散剤は、水でカーボンナノチューブをよく分散させるものに過ぎず、有機溶媒ではその効果をほとんど発揮できないという問題点がある。
【0006】
また、有機系分散剤としては、未だによく知られたものはないが、特許文献1および特許文献2は、ポリチオフェン系高分子などの共役高分子を用いて、カーボンナノチューブが有機溶媒中で良好に分散されうることを開示している。しかしながら、上記の特許文献1および2では、水系溶媒でカーボンナノチューブに対して良好な分散能を与える分散剤が開示されていない。また、分子量を調節していないポリチオフェン系高分子を用いるため、使用可能な分散媒の種類が数種類に限定され、また、高い分子量を有する前記ポリチオフェン系高分子の固有粘度が、粒子の分散を阻害するため、工程に多くの制約を与えるという問題点がある。
【0007】
したがって、最近は、有機系、水系、およびこれらの混合物を含む多様な種類の溶媒内で、カーボンナノチューブをよく分散できる新しい概念のカーボンナノチューブ用分散剤の開発が要求されている。
【特許文献1】韓国特許出願公開第2004−0039425号明細書
【特許文献2】特開2004−339301号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するものであって、その目的は、多様な種類の溶媒中で、カーボンナノチューブをよく分散できる手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記問題点に鑑み、鋭意研究を積み重ねた結果、所定の頭部および尾部を有する化合物が、多様な種類の溶媒中で、カーボンナノチューブを効果的に分散できる
ことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、−SH、−NH、下記化学式(1)で表される基、および下記化学式(2)で表される基からなる群より選択される頭部と、下記化学式(3)で表される尾部と、を含むことを特徴とするカーボンナノチューブ用分散剤である。
【0011】
【化1】

【0012】
前記化学式(1)中、Xは、S、NH、またはOであり、
【0013】
【化2】

【0014】
前記化学式(2)中、Xは、S、NH、またはOであり、前記化学式lは2〜60の整数であり、
【0015】
【化3】

【0016】
前記化学式(3)中、Yは、置換または非置換のC1〜C10のアルキレン基、置換または非置換のC1〜C10のアルケニレン基、置換または非置換のC1〜C10のアルキニレン基、および置換または非置換のC6〜C20のアリールアルキル基からなる群から選択され、Zは、−H、−CH、−OH、カルボキシル基、カルボン酸塩基、スルホ基、スルホン酸塩基、リン酸基、およびリン酸塩基からなる群より選択され、aは0または1であり、mは1〜9の整数であり、nは0〜9の整数である。
【0017】
また、本発明は、前記分散剤と、カーボンナノチューブと、有機溶媒、水、およびこれらの混合物から選択される分散媒と、を含む組成物である。
【0018】
本発明の組成物は、前記組成物100質量部を基準にして、分散剤0.001〜10質量部と、カーボンナノチューブ0.01〜5質量部と、残量の有機溶媒、水およびこれらの混合物から選択される分散媒と、を含むことが好ましい。
【0019】
前記組成物において、前記カーボンナノチューブと分散剤との混合質量比は、1:0.001〜1:10であることが好ましい。
【0020】
また、本発明の組成物は、有機バインダー、感光性モノマー、光開始剤、粘度調節剤、貯蔵安定剤、湿潤剤、酸、および塩基からなる群より選択される1種以上の添加剤をさらに含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、多様な種類の溶媒中で、カーボンナノチューブをよく分散できるカーボンナノチューブ用分散剤が提供されうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明によるカーボンナノチューブ用分散剤を詳細に説明する。
【0023】
本発明による分散剤の頭部は、−SH、−NH、または下記化学式(1)で表される基のように、硫黄、窒素などの電気陰性度が高い原子、およびカーボンナノチューブの炭素との親和性が高い芳香族環によって構成される。したがって、前記頭部は、カーボンナノチューブに電子を容易に提供し、カーボンナノチューブと前記頭部に存在するπ−電子との間に、π−π結合を形成させ、カーボンナノチューブ粒子に櫛形構造のラッピング形態で吸着されることで、カーボンナノチューブを任意の分散媒に容易に分散させることができる。
【0024】
【化4】

【0025】
前記化学式(1)中、Xは、S、NH、またはOであり、
【0026】
【化5】

【0027】
前記化学式(2)中、XはS、NH、またはOであり、lは2〜60の整数である。
【0028】
前記頭部と結合される尾部は、有機溶媒および水系溶媒のほとんど全てに高い親和性を有する下記化学式(3)のような構造である。したがって、前記尾部を含む本発明の分散剤は、単独の有機溶媒または単独の水のみならず、2種以上の有機溶媒の混合物、および2種以上の極性溶媒と水との混合物などを含む、広い範囲の分散媒中で、カーボンナノチューブを容易に分散させうる。
【0029】
前記尾部は、任意の分散媒内で前記頭部を中心に四方に展開されることで、立体障害効果および静電気的反発力を与え、カーボンナノチューブ粒子間の衝突及び凝集を防ぐ役割をする。
【0030】
【化6】

【0031】
前記化学式(3)中、Yは、置換または非置換のC1〜C10のアルキレン基、置換または非置換のC1〜C10のアルケニレン基、置換または非置換のC1〜C10のアルキニレン基、および置換または非置換のC6〜C20のアリールアルキル基からなる群から選択され、Zは、−H、−CH、−OH、カルボキシル基、カルボン酸塩基、スルホ基、スルホン酸塩基、リン酸基、およびリン酸塩基からなる群より選択され、aは0または1であり、mは1〜9の整数であり、nは0〜9の整数である。
【0032】
この際、前記化学式(3)において、aが0である場合、疎水性の増加により、有機溶媒内でカーボンナノチューブをよく分散でき、aが1である場合、親水性の増加により、極性溶媒、水、またはこれらの混合溶媒などで、カーボンナノチューブをよく分散できるが、このような分散効果は、立体障害効果によるものである。
【0033】
さらに、電荷を帯びるカルボキシル基、カルボン酸塩基、スルホ基、スルホン酸塩基、リン酸基、またはリン酸塩基をZに導入すると、静電的反発を誘発することになり、極性溶媒、水、または、これらの混合物などで一層効果的にカーボンナノチューブを分散できる。
【0034】
前記化学式(3)中、前記非置換のC1〜C10のアルキレン基の具体的な例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、ペンチレン基、iso−アミレン基、n−へキシレン基、n−へプチレン基、n−オクチレン基、2−エチルヘキシレン基、n−ノニレン基、n−デシレン基などが挙げられる。前記アルキレン基中の1つ以上の水素原子は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシル基、カルボン酸塩基、スルホ基、スルホン酸塩基、リン酸基、およびリン酸塩基からなる群より選択される基で置換されていてもよい。
【0035】
前記非置換のC1〜C10のアルケニレン基は、炭素−炭素二重結合を含有する構造である。具体的な例としては、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、オクテニル基、ノナデセニル基などが好ましく挙げられる。これらアルケニレン基中の1つ以上の水素原子は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシル基、カルボン酸塩基、スルホ基、スルホン酸塩基、リン酸基、およびリン酸塩基からなる群より選択される基で置換されていてもよい。
【0036】
前記非置換のC1〜C10のまたはアルキニレン基は、炭素−炭素三重結合を含有する構造である。具体的な例としては、エチニレン基、プロピニレン基、ブチニレン基などが挙げられる。これらアルキニレン基中の1つ以上の水素原子は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシル基、カルボン酸塩基、スルホ基、スルホン酸塩基、リン酸基、およびリン酸塩基からなる群より選択される基で置換されていてもよい。
【0037】
前記アリールアルキル基は、例えばメチル基、エチル基、またはプロピル基などのアルキル基の1つ以上の水素原子が、1つ以上の芳香環を含む炭素原子数6〜20個のアリール基で置換された構造を有する。前記アリールアルキル基の具体的な例としては、例えば、ベンジル基、(4−メチルフェニル)メチル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基などが挙げられる。前記アリールアルキル基中の、1つ以上の水素原子は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン、ヒドラゾン、カルボキシル基、カルボン酸塩基、スルホ基、スルホン酸塩基、リン酸、およびリン酸塩基からなる群より選択される基で置換されていてもよい。
【0038】
本発明において、前記尾部としては、前記尾部は、下記化学式(6)または下記化学式(7)で表される基であることが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0039】
【化7】

【0040】
前記化学式(6)中、Zは、−H、−CH、−OH、カルボキシル基、カルボン酸塩基、スルホ基、スルホン酸塩基、リン酸基、およびリン酸塩基からなる群より選択され、oは、1〜9の整数であり、
【0041】
【化8】

【0042】
前記化学式(7)中、Zは、−H、−CH、−OH、カルボキシル基、カルボン酸塩基、スルホ基、スルホン酸塩基、リン酸基、およびリン酸塩基からなる群より選択され、pは、1〜6の整数である。
【0043】
上記のような構造を有する本発明による分散剤の好ましい例としては、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、3−ヘキシルチオフェン、3−ドデシルチオフェン、ポリ(3−ペンタデシルピロール)、ヘキシルピロール、ドデシルピロール、ヘキシルチオール、ドデカンチオール、ポリヘキシルアニリン、下記化学式(4)ないし下記化学式(5)で表される化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0044】
【化9】

【0045】
前記化学式(4)中、lは、1〜60の整数であり、mは1〜12の整数である。
【0046】
【化10】

【0047】
前記化学式(5)中、Zは、−H、−CH、−OH、カルボキシル基、カルボン酸塩基、スルホ基、スルホン酸塩基、リン酸基、および塩リン酸塩基からなる群から選択され、lは、1〜60の整数である。
【0048】
上記のような構造の頭部および尾部を有する構造である本発明の分散剤は、600〜10,000の数平均分子量を有することが好ましい。前記分散剤が600〜10,000の数平均分子量を有する場合、溶解度の増加によって使用可能な分散媒の種類が一層拡大され、分散剤自体の粘度も低下することになり、工程に一層適したものとなる。なお本願において、数平均分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatography:ゲル浸透クロマトグラフィー)法を用いて測定した値を採用するものとする。
【0049】
次に、上述した本発明による分散剤を含有する組成物に関して説明する。
【0050】
本発明の組成物は、本発明による分散剤と、カーボンナノチューブと、有機溶媒、水、またはこれらの混合物から選択される分散媒とを含むことが好ましい。
【0051】
本発明の組成物は、前記組成物100質量部を基準にして、本発明によるカーボンナノチューブ用分散剤0.001〜10質量部と、カーボンナノチューブ0.01〜5質量部と、残部の有機溶媒、水、または、これらの混合物から選択される分散媒と、を含むことがより好ましい。
【0052】
この際、前記カーボンナノチューブと分散剤との混合質量比は、1:0.001〜1:10であることが好ましい。これは、前記混合質量比の範囲より分散剤の量が少ないと、適切なカーボンナノチューブの分散効果が得られない場合があり、逆に、前記混合質量比の範囲より分散剤の量が多いと、分散剤自体の粘度によってカーボンナノチューブの分散効果が得られない場合があるためである。
【0053】
本発明で使用可能なカーボンナノチューブは、シングルウォールカーボンナノチューブ、ダブルウォールカーボンナノチューブ、マルチウォールカーボンナノチューブ、および束状のカーボンナノチューブからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0054】
本発明で使用可能な分散媒としては、有機溶媒の1種のみ、水のみ、2種以上の有機溶媒の混合物、または1種以上の有機溶媒、特に極性溶媒と水との混合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0055】
前記有機溶媒の例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ジアセトンアルコールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、へキシレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどのグリコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)などのグリコールエーテルアセテート類;エチルアセテート、ブトキシエトキシエチルアセテート、ブチルカルビトールアセテート(BCA)、ジヒドロテルピネオールアセテート(DHTA)などのアセテート類;テルピネオール類;2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオールモノイソブチルエステル(テキサノール);1−メチルピロリドンなどが好ましく挙げられる。これらは単独でもまたは2種以上混合しても使用することができる。
【0056】
これら有機溶媒の中で、水との混合物として好ましく用いられる極性溶媒の例としては、エチルアセテート、ブトキシエトキシエチルアセテート、ブチルカルビトールアセテート(BCA)、ジヒドロテルピネオールアセテートなどのアセテート類;テルピネオール類;2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオールモノイソブチルエステル(テキサノール);1−メチルピロリドンなどが好ましく挙げられる。これらは単独でもまたは2種以上混合しても使用することができる。
【0057】
また、本発明の組成物は、必要に応じて、本発明の組成物の物性を損なわない範囲で、有機バインダー、感光性モノマー、光開始剤、粘度調節剤、貯蔵安定剤、湿潤剤、酸、および塩基からなる群より選択される1種以上の添加剤をさらに含むことができる。
【0058】
前記添加剤の含量は、本発明の組成物100質量部を基準にして0.1〜60質量部であることが好ましい。
【0059】
本発明で使用可能な、有機バインダーの具体的な例としては、エチルセルロースなどのセルロース系高分子、ポリスチレン、スチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体などのスチレン系重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリプロピレンカーボネートなどが好ましく挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独でもまたは2種以上混合して用いてもよい。より好ましくは、エチルセルロースなどのセルロース系高分子である。
【0060】
前記感光性モノマーおよび前記光開始剤は、従来技術で公知のものを制限なしに使用できる。前記感光性モノマーの具体的な例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチルなどのアクリレート系モノマーが好ましく挙げられる。これらは単独でもまたは2種以上を混合して用いても良い。
【0061】
前記光開始剤の例としては、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、および2,4,6−トリメチルベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系光開始剤、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、2,2’−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンなどのアセトフェノン系光開始剤、または、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、および1−クロロ−4−プロポキシチオキサントンなどのチオキサントン系光開始剤などが好ましく挙げられる。これらは単独でもまたは2種以上を混合して用いても良い。
【0062】
前記粘度調節剤および前記貯蔵安定剤は、従来技術で公知のものを制限なしに使用できる。前記粘度調節剤および前記貯蔵安定剤の具体的な例としては、カゼイン、カルボキシメチルセルロースなどが好ましく挙げられる。前記粘度調節剤および前記貯蔵安定剤は、単独でもまたは2種以上を混合して用いても良い。
【0063】
前記湿潤剤も、従来技術で公知のものを制限なしに使用できる。前記湿潤剤の具体的な例としては、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2−メチル−2ペンタンジオールなどの多価アルコールが好ましく挙げられる。前記湿潤剤は、単独でもまたは2種以上を混合して用いても良い。
【0064】
本発明の組成物には、酸または塩基がさらに含まれていてもよい。前記酸および前記塩基は、水および極性溶媒に対する分散剤の溶解度を増加させ、分散したカーボンナノチューブ粒子に静電気的反発を与え、カーボンナノチューブの分散状態を安定化させる役割を果たしうる。前記酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、または炭酸などが好ましく、前記塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、または水酸化アンモニウムなどが好ましい。前記酸および前記塩基は、単独でもまたは2種以上を混合して用いても良い。
【0065】
上述の本発明の組成物は、水性または油性であるカーボンナノチューブ組成物を使用する各種の産業分野に応用できる。具体的に例を挙げると、電界放出ディスプレイ(FED)の電界放出源、カーボンナノチューブインク、および印刷可能なカーボンナノチューブなどの製造に用いられうる。
【実施例】
【0066】
以下、本発明を、実施例を通じてさらに詳しく説明するが、各実施例は、説明のためのものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものと解釈されてはならない。
【0067】
[本発明による分散剤の頭部の種類によるカーボンナノチューブの分散効果の確認]
(実施例1)
分散剤であるポリ(3−ヘキシルチオフェン)20mgをクロロホルム20mlに入れて溶解した後、この溶液にマルチウォールカーボンナノチューブ2mgを添加して超音波分散機で10時間分散させた後、5,600rpmで5分間遠心分離を行ってカーボンナノチューブ溶液を得た。
【0068】
(実施例2)
分散剤として3−ヘキシルチオフェンを使用したことを除けば、実施例1と同様の方法でカーボンナノチューブ溶液を得た。
【0069】
(実施例3)
分散剤として3−ドデシルチオフェンを使用したことを除けば、実施例1と同様の方法でカーボンナノチューブ溶液を得た。
【0070】
(実施例4)
分散剤としてドデカンチオールを使用したことを除けば、実施例1と同様の方法でカーボンナノチューブ溶液を得た。
【0071】
(比較例1)
分散剤を使用しないことを除けば、実施例1と同様の方法でカーボンナノチューブ溶液を得た。
【0072】
上記の実施例1〜4および比較例1で得られたカーボンナノチューブ溶液を遠心分離し、凝集した粉末を除去した後、紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製 V−560、吸光度モード、スキャン速度:400nm/min)を用いて波長800nmでの吸光度を測定し、その結果を図1に示した。このとき、標準溶液としては、カーボンナノチューブが含まれていない分散剤溶液を用いた。
【0073】
図1に示すように、本発明の分散剤を使用した実施例1〜4の場合、前記分散剤を使用しない比較例1に比べると、吸光度が高く示され、本発明の分散剤がカーボンナノチューブを有機溶媒内でよく分散させることを確認できる。特に、頭部としてチオフェンまたはポリチオフェンを有する分散剤(実施例1〜3)は、一層優れた分散効果を示すことが分かる。
【0074】
[本発明による分散剤の尾部の種類によるカーボンナノチューブの分散効果の確認]
(実施例5)
分散剤として、頭部がポリチオフェン構造を有し、尾部がポリエチレンオキサイド構造を有する下記化学式(8)で表される化合物を使用して、カーボンナノチューブ溶液を製造した。具体的に説明すると、前記分散剤20mgをテルピネオール20mlに入れて溶解させた後、この溶液にシングルウォールカーボンナノチューブ2mgを添加して超音波分散器(sonicbath)で10時間分散させ、5,600rpmで5分間遠心分離を行ってカーボンナノチューブ溶液を得た。
【0075】
【化11】

【0076】
本実施例で用いた化合物は、前記化学式(8)中のlが50であり、mが9である化合物である。
【0077】
(実施例6)
前記実施例5の分散剤と同一のポリチオフェン頭部を有し、尾部としてヘキシル基を有するポリ(3−ヘキシルチオフェン)(数平均分子量6,000)を分散剤として使用したことを除けば、前記実施例5と同じ方法で実施してカーボンナノチューブ溶液を得た。
【0078】
(比較例2)
分散剤を使用しないことを除けば、実施例5と同様の方法でカーボンナノチューブ溶液を得た。
【0079】
上記の実施例5〜6、および比較例2で得られたカーボンナノチューブ溶液を遠心分離し、凝集された粉末を除去した後、紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製 V−560、吸光度法、スキャン速度:400nm/min)を用いて波長800nmでの吸光度を測定し、その結果を図2に示した。
【0080】
図2に示すように、ポリエチレンオキサイド尾部を有する分散剤を使用した実施例5、及びアルキル尾部を有する分散剤を使用した実施例6は、前記分散剤を使用しない比較例2に比べて高い吸光度を示し、本発明の分散剤が尾部の種類と関係なしにカーボンナノチューブを有機溶媒内でよく分散させることを確認できる。このとき、本発明の分散剤のうち、アルキル尾部を有する分散剤が一層高い吸光度を示す理由は、ポリエチレンオキサイド尾部を有する分散剤のテルピネオール溶媒に対する溶解度が、前記アルキル尾部を有する分散剤の溶解度より低いためである。
【0081】
[分散媒及び本発明による分散剤の種類によるカーボンナノチューブの分散効果測定]
(実施例7)
分散剤として下記化学式(9)で表される化合物を使用し、分散媒として水を使用したことを除けば、実施例5と同様の方法でカーボンナノチューブ溶液を得た。
【0082】
【化12】

【0083】
本実施例で用いた化合物は、前記化学式(9)中の、lが50である化合物である。
【0084】
(実施例8)
分散媒として水4mlとエチルアルコール16mlとの混合物を使用したことを除けば、実施例7と同様の方法でカーボンナノチューブ溶液を得た。
【0085】
(実施例9)
分散剤としてポリ(3−ペンタデシルピロール)を使用したことを除けば、実施例7と同様の方法でカーボンナノチューブ溶液を得た。
【0086】
(実施例10)
分散剤としてポリヘキシルアニリンを使用したことを除けば、実施例7と同様の方法でカーボンナノチューブ溶液を得た。
【0087】
上記の実施例7〜10によるカーボンナノチューブ溶液を遠心分離し、凝集した粉末を除去した後、紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製 V−560、吸光度法、スキャン速度:400nm/min)を用いて800nmでの吸光度を測定し、その結果を図3に示した。
【0088】
図3に示すように、本発明による分散剤を、水または水と極性溶媒との混合溶媒で使用した場合、全体的に吸光度が高くなった。このことから、本発明の分散剤を使用できる分散媒の範囲が有機溶媒のみならず、水のみおよび極性溶媒と水との混合溶媒まで多様であることが確認できた。
【0089】
[本発明による分散剤の使用の有無によるカーボンナノチューブペースト組成物の粘度変化測定及びSEM撮影]
(実施例11)
テルピネオール溶媒13.775gに、有機バインダーとしてエチルセルロース8.335gを溶解させてバインダー溶液を作製した。前記バインダー溶液に、実施例5の分散剤0.019gおよびマルチウォールカーボンナノチューブ0.38gを添加した後、ボールミルで10時間混合してカーボンナノチューブペースト組成物を得た。
【0090】
(比較例3)
分散剤を使用しないことを除けば、実施例11と同様の方法でカーボンナノチューブペースト組成物を得た。
【0091】
(1)粘度測定
上記の実施例11および比較例3で得られたカーボンナノチューブペースト組成物の粘度変化を、剪断速度を増加させながら測定した。粘度は、粘度測定計(RV−II、米国のBrookfield社製)を用いて測定し、測定条件として、No.14のスピンドルを使用して、温度24.5〜25.5℃、測定時間30秒で剪断速度による粘度の変化を測定した。
【0092】
その結果、比較例3の組成物の場合、2rpmで66000cps、20rpmで23400cpsという粘度を示した一方、本発明の分散剤を使用した実施例11の組成物の場合、2rpmで46500cps、20rpmで14325cpsという低い粘度を示した。したがって、本発明の分散剤を使用した組成物は、比較例の組成物に比べて粘度減少効果を明確に示すことが確認できた。
【0093】
(2)カーボンナノチューブ膜の製造およびSEM撮影
上記の実施例11および比較例3で得たカーボンナノチューブペースト組成物を、それぞれガラス基板に30μmの厚さで塗布した後、空気中380℃で焼成してカーボンナノチューブ膜を得た。このように得られたカーボンナノチューブ膜の表面を走査型電子顕微鏡で撮影した。結果を図4および図5に示した。
【0094】
図4および図5に示すように、本発明の分散剤を使用して得られたカーボンナノチューブペースト組成物で製造したカーボンナノチューブ膜(図4を参照)は、分散剤を使用しない比較例3の組成物で製造したカーボンナノチューブ膜(図5を参照)に比べると、カーボンナノチューブが均一に分散していることが確認できる。
【0095】
[本発明による分散剤の分子量による溶解実験]
分散剤が適用されうる溶媒の種類は、前記分散剤の分子量によって制限される。これは、溶媒に分散剤自身が溶解されないと、所望の分散剤の効果が得られないためである。したがって、以下、本発明の分散剤の数平均分子量を調節した後、様々な溶媒への溶解度を測定した。
【0096】
分散剤の数平均分子量は以下の条件で測定した。
【0097】
移動相としてTHF(テトラヒドロフラン)を用い、測定温度45℃で、GPC法により測定した。使用したGPC測定機器は、Waters社(米国)製の2690であり、カラムは、Waters社製のStyragel(登録商標)HR−1を2本、およびWaters社製のStyragel(登録商標)HR−2を1本使用した。標準ポリエチレングリコール(数平均分子量が12000、6240、4450、1500、970、600、420、および106のもの)および標準ポリスチレン(数平均分子量が16700、10900、5970、510、および370のもの)を標準物質として用い、検量線および数平均分子量を得た。
【0098】
(実施例12〜24)
分散剤として、87,000の数平均分子量を有するポリ(3−ヘキシルチオフェン)2mgを、下記表1に記載された溶媒20mlにそれぞれ投入した後、超音波分散機で約4時間混合して、計13個の分散剤溶液を得た。
【0099】
(実施例25〜36)
分散剤として、6,000の数平均分子量を有するポリ(3−ヘキシルチオフェン)2mgを下記表1に記載された溶媒20mlにそれぞれ投入した後、超音波分散機で約15分間混合して、計12個の分散剤溶液を得た。
【0100】
【表1】

【0101】
上記の実施例12〜24および実施例25〜36によって製造された分散剤溶液の分散程度は、写真を撮影して、図6および図7に示した。図6および図7に示すように、数平均分子量が87,000である分散剤は、溶解時間を長くしたにもかかわらず、ほとんど溶解しなかったが(図6を参照)、数平均分子量が6,000である分散剤は、極めて短い溶解時間であるにもかかわらず、ほとんどの溶媒中でよく溶解することがわかった(図7を参照)。したがって、上記の結果から、低分子量、すなわち10,000以下の数平均分子量である分散剤が、高い数平均分子量を有する分散剤に比べて高い溶解度を示すため、使用可能な溶媒の種類が、有機溶媒から極性溶媒に至るまで多様であることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明のカーボンナノチューブ用分散剤は、カーボンナノチューブの関連分野で好適に用いられうる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明による分散剤の、頭部種類によるカーボンナノチューブ溶液の吸光度測定結果を示したグラフである。
【図2】本発明による分散剤の、尾部種類によるカーボンナノチューブ溶液の吸光度測定結果を示したグラフである。
【図3】分散媒の種類および本発明による分散剤の種類によるカーボンナノチューブ溶液の吸光度測定結果を示したグラフである。
【図4】本発明による分散剤を使用して得られたカーボンナノチューブペースト組成物から製造した、カーボンナノチューブ膜表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図5】本発明による分散剤を使用しないカーボンナノチューブペースト組成物から製造した、カーボンナノチューブ膜表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図6】数平均分子量が87,000である本発明による分散剤(ポリ(3―ヘキシルチオフェン))の溶解実験の結果を撮影した写真である。
【図7】数平均分子量が6,000である本発明による分散剤(ポリ(3―ヘキシルチオフェン))の溶解実験の結果を撮影した写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
−SH、−NH、下記化学式(1)で表される基、および下記化学式(2)で表される基からなる群より選択される頭部と、
下記化学式(3)で表される尾部と、
を含むことを特徴とする、カーボンナノチューブ用分散剤;
【化1】

前記化学式(1)中、Xは、S、NH、またはOであり、
【化2】


前記化学式(2)中、Xは、S、NH、またはOであり、lは2〜60の整数であり、
【化3】

前記化学式(3)中、Yは、置換または非置換のC1〜C10のアルキレン基、置換または非置換のC1〜C10のアルケニレン基、置換または非置換のC1〜C10のアルキニレン基、および置換または非置換のC6〜C20のアリールアルキル基からなる群より選択され、
Zは、−H、−CH、−OH、カルボキシル基、カルボン酸塩基、スルホ基、スルホン酸塩基、リン酸基、およびリン酸塩基からなる群より選択され、
aは0または1であり、mは1〜9の整数であり、nは0〜9の整数である。
【請求項2】
前記分散剤は、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、3−ヘキシルチオフェン、3−ドデシルチオフェン、ポリ(3−ペンタデシルピロール)、ヘキシルピロール、ドデシルピロール、ヘキシルチオール、ドデカンチオール、ポリヘキシルアニリン、下記化学式(4)で表される化合物、および下記化学式(5)で表される化合物からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1に記載のカーボンナノチューブ用分散剤;
【化4】

前記化学式(4)中、lは1〜60の整数であり、mは1〜12の整数であり、
【化5】

前記化学式(5)中、Zは、−H、−CH、−OH、カルボキシル基、カルボン酸塩基、スルホ基、スルホン酸塩基、リン酸基、およびリン酸塩基からなる群より選択され、lは、1〜60の整数である。
【請求項3】
前記分散剤は、600〜10,000の数平均分子量を有することを特徴とする、請求項1または2に記載のカーボンナノチューブ用分散剤。
【請求項4】
前記尾部は、下記化学式(6)または下記化学式(7)で表される基であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ用分散剤:
【化6】

前記化学式(6)中、Zは、−H、−CH、−OH、カルボキシル基、カルボン酸塩基、スルホ基、スルホン酸塩基、リン酸基、およびリン酸塩基からなる群より選択され、oは、1〜9の整数であり、
【化7】

前記化学式(7)中、Zは、−H、−CH、−OH、カルボキシル基、カルボン酸塩基、スルホ基、スルホン酸塩基、リン酸基、およびリン酸塩基からなる群より選択され、pは、1〜6の整数である。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の分散剤と、
カーボンナノチューブと、
有機溶媒、水、またはこれらの混合物から選択される分散媒と、
を含む組成物。
【請求項6】
前記組成物は、前記組成物100質量部を基準にして、
分散剤0.001〜10質量部と、
カーボンナノチューブ0.01〜5質量部と、
残部の有機溶媒、水、およびこれらの混合物から選択される分散媒と、を含むことを特徴とする請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記カーボンナノチューブと分散剤との混合質量比は、1:0.001〜1:10であることを特徴とする請求項5または6に記載の組成物。
【請求項8】
前記カーボンナノチューブは、シングルウォールカーボンナノチューブ、ダブルウォールカーボンナノチューブ、マルチウォールカーボンナノチューブ、および束状カーボンナノチューブからなる群より選択される1種以上であることを特徴とする、請求項5〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記有機溶媒は、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ジアセトンアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、へキシレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エチルアセテート、ブトキシエトキシエチルアセテート、ブチルカルビトールアセテート(BCA)、ジヒドロテルピネオールアセテート(DHTA)、テルピネオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチルエステル(テキサノール)、ジクロロエテン(DCE)、および1−メチルピロリドン(NMP)からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項5〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物は、有機バインダー、感光性モノマー、光開始剤、粘度調節剤、貯蔵安定剤、湿潤剤、酸、および塩基からなる群より選択される1種以上の添加剤をさらに含むことを特徴とする、請求項5〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記添加剤は、前記組成物100質量部を基準にして0.1〜60質量部含むことを特徴とする、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記有機バインダーは、セルロース系高分子、スチレン系重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、およびポリプロピレンカーボネートからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項10または11に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−99611(P2007−99611A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−226542(P2006−226542)
【出願日】平成18年8月23日(2006.8.23)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】