説明

カーボンブラック分散液、カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液、並びに、導電性ポリイミドベルト及びその製造方法

【課題】フィラーとしてカーボンブラックを含有しつつ、カーボンブラックが良好な分散状態に分散されて、十分な引張伸び特性および比較的低い表面抵抗率を有するとともに、凹凸やうねりが小さい表面性状を有し、例えば、画像形成装置で使用される機能性ベルトに適用した場合に、ベルト端部に座屈や裂けを生じることがない安定駆動と安定な電気特性が長期に亘って維持されて、長期間、良好な画像形成を行うことができる導電性ポリイミドベルトを提供する。
【解決手段】溶媒中にカーボンブラックが分散されたカーボンブラック分散液であって、カーボンブラックを溶媒に対して5〜25重量%、ポリビニルピロリドン(PVP)をカーボンブラックに対して20〜60重量%の割合で含み、かつ、式(1):300≦T/D50≦550(式中、Tは当該分散液のスピン−スピン緩和時間(ms)、D50は当該分散液中のカーボンブラックのメディアン径(μm)を示す。)を満たすことを特徴とするカーボンブラック分散液を用いて作製した導電性ポリイミドベルト。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンブラック分散液、カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液、並びに、導電性ポリイミドベルト及びその製造方法に関し、特に、複写機、レーザービームプリンター、ファクシミリ等における電子写真方式や静電印刷方式の画像形成プロセスを採用した画像形成装置に使用される機能性ベルトとして特に有用な導電性ポリイミドベルト及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ポリイミド樹脂材料は、その高い機械的強度、耐熱性等の理由から宇宙航空分野から電気電子材料まで幅広い分野において実用化されている。その中でもポリイミド樹脂製シームレス状管状体(なお、以下の記載において、「無端管状フィルム」、「無端状ベルト」は当該「シームレス状管状体」と同義である。)は、複写機、レーザービームプリンター、ファクシミリ等における電子写真方式または静電印刷方式の画像形成プロセスを採用した画像形成装置の、定着ベルト、転写ベルト、中間転写ベルト、搬送ベルト、感光体ベルト等の機能性ベルト及びこれらの基材として使用されている。
【0003】
このような電子写真方式や静電印刷方式の画像形成プロセスを採用した画像形成装置においては、感光体等の静電潜像担持体上に形成された静電潜像に、帯電したトナーを付着させることでトナー像を形成し、このトナー像を直接または中間転写体を介して用紙などの記録媒体に転写することにより所望の画像を得る。従って、上記の機能性ベルトは、各プロセス毎に、所要の機械的強度、耐熱性、柔軟性、導電性等が求められる。なかでも、定着プロセスで使用される定着ベルトでは、支持ロール及び定着(加熱)ロールによって回転可能に支持されて、未定着トナー像を加圧加熱しながら記録媒体を搬送させるため、ロール間の張設に耐えうる強度、定着ロールの加熱温度に耐えうる耐熱性、ベルト端部で寄りを制御する際に、座屈を起こさないような剛性、過剰トナーを分離させるために必要なフレキシブル性、紙の巻き付きおよびトナーのチリ(飛散)を無くすことができる制電性等が要求される。更に、最近では、高速高画質を得るために、特に、ベルト表面の柔軟性および適切な導電性が求められている。
【0004】
例えば、特許文献1は、ポリアミド酸溶液にイミド化促進剤と熱伝導性無機フィラーを添加混合した溶液を筒状SUSにキャストし、熱処理することによって、熱伝導率と引裂強度に優れる無端状ベルトが得られることを提案している。しかしながら、このようにして得られる無端状ベルトは、引裂強度の向上によって成形中及び成形後の割れやつぶれは抑制できるものの、熱伝導性無機フィラーの影響によりベルト端面の性状が荒れてしまうため、ベルト駆動(ロールによる回転駆動)においては、裂けに対しては弱いものになっていた。
【0005】
また、特許文献2は、全芳香族ポリイミドの前駆体と導電性カーボンブラックとpKb5以上の塩基性有機化合物とを主成分した成形原液を金属製円筒体内に塗布し、加熱することで、耐屈曲性と反復耐電圧性に優れた半導電性全芳香族ポリイミド系無端管状フィルムが得られることを提案している。しかし、このようにして得られる無端管状フィルム(無端状ベルト)は表面抵抗率の安定性、ベルト駆動(ロールによる回転駆動)時の耐屈曲疲労性に対してはある程度の効果を示すが、ベルトの端部に応力が加わった場合、座屈、裂けが生じやすいものであった。
【0006】
また、特許文献3は、ポリイミド前駆体に3級アミンを添加することで、無機粉末を含有するも関わらず、引裂伝搬強度が3000N/m以上の高い靭性を有するポリイミドベルトが得られることを提案している。しかし、このようにして得られるポリイミドベルトは伸びやすく弾性に欠けるために座屈が生じやすいものであった。
【0007】
ところで、上記特許文献2に提案されているポリイミド無端状ベルトのような、所要の導電性(所要の電気抵抗値)の付与のために、カーボンブラックを配合したポリイミドベルトにおいては、カーボンブラックがポリイミド中に均一に分散されていることが望ましい。しかし、カーボンブラックをポリイミド中に均一に分散させることは難しく、カーボンブラックが二次凝集を起こす傾向にあり、凝集が起こると導通経路が生じ、ベルト内での電気抵抗値のバラツキにつながる。そして、そのようなベルトを画像形成装置の中間転写ベルトとして用いた場合は、記録媒体に転写されたトナー像に転写ムラ(白抜け、チリ等)が生じたり、また、定着ベルトに使用した場合は、紙の巻き付きやトナーのチリ(飛散)を生じる問題がある。
【特許文献1】特開2004−138655号公報
【特許文献2】特開2003−213014号公報
【特許文献3】特開2002−296919号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような事情に鑑みなされたものであり、その解決しようとする課題は、フィラーとしてカーボンブラックを含有しつつ、カーボンブラックが良好な分散状態に分散されて、十分な引張伸び特性および比較的低い表面抵抗率を有するとともに、凹凸やうねりが小さい表面性状を有し、例えば、画像形成装置で使用される機能性ベルトに適用した場合に、ベルト端部に座屈や裂けを生じることがない安定駆動と安定な電気特性が長期に亘って維持されて、長期間、良好な画像形成を行うことができる導電性ポリイミドベルトを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、N−メチルピロリドン(NMP)等の有機極性溶媒に、カーボンブラックとともにカーボンブラックに対して特定量のポリビニルピロリドン(PVP)を添加して分散処理を行うと、カーボンブラックを凝集が少ない分散状態に分散できるとともにその良好な分散状態が安定に保持されることを知見した。そして、かかる知見に基いてさらに研究を進めることで、分散液中のカーボンブラックの粒径と分散液のスピン−スピン緩和時間(ms)とが特定の数値関係を満たす分散状態にあれば、その分散液を用いたポリアミド酸溶液の調製及びポリイミドベルトの製造工程において、重合阻害やカーボンブラックの凝集が生じることがなく、十分な引張伸び特性および比較的低い表面抵抗率を有し、しかも、凹凸やうねりが小さい表面性状のポリイミドベルトを実現できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)溶媒中にカーボンブラックが分散されたカーボンブラック分散液であって、カーボンブラックを溶媒に対して5〜25重量%、ポリビニルピロリドン(PVP)をカーボンブラックに対して20〜60重量%の割合で含み、かつ、式(1):300≦T/D50≦550(式中、Tは当該分散液のスピン−スピン緩和時間(ms)、D50は当該分散液中のカーボンブラックのメディアン径(μm)を示す。)を満たすことを特徴とするカーボンブラック分散液。
(2)当該分散液のスピン−スピン緩和時間Tが60〜70msであり、カーボンブラックのメディアン径D50が0.12〜0.20μmである、上記(1)記載のカーボンブラック分散液。
(3)溶媒が有機極性溶媒である、上記(1)または(2)記載のカーボンブラック分散液。
(4)有機極性溶媒がN−メチルピロリドン(NMP)である、上記(3)記載のカーボンブラック分散液。
(5)上記(1)〜(4)いずれか記載のカーボンブラック分散液に、テトラカルボン酸二無水物またはその誘導体とジアミンを溶解し、重合させて得られた、カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液。
(6)上記(5)記載のカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を用いて得られる、導電性ポリイミドベルト。
(7)表面抵抗率の常用対数値logρs(Ω/□)が5以下であり、引張伸び率が10%以上である、上記(6)記載の導電性ポリイミドベルト。
(8)上記(5)記載のカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液の塗膜を加熱して、溶媒を除去し、イミド化反応を進行させることを特徴とする、導電性ポリイミドベルトの製造方法。
(9)カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液の塗膜を遠心成形して塗膜表面を均一化した後、該塗膜の加熱を行う、上記(8)記載の導電性ポリイミドベルトの製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、十分な引張伸び特性および比較的低い表面抵抗率を有し、かつ、凹凸やうねりが小さい表面性状のポリイミドベルトを得ることができる。従って、かかる本発明の導電性ポリイミドベルトを例えば画像形成装置の機能性ベルトに使用した場合、ベルト端部の座屈や裂けを生じることなく安定駆動して、長期間安定した画像形成を行うことができ、特に定着ベルトに使用することで、トナーのチリ等の画像不良を生じることなく、良好な画像形成を長期に亘って行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本発明のカーボンブラック分散液は、導電性ポリイミドベルトの製造に使用するものであり、溶媒と、溶媒に対して5〜25重量%のカーボンブラックと、カーボンブラックに対して20〜60重量%のポリビニルピロリドン(PVP)とを含み、かつ、式(1):300≦T/D50≦550(式中、Tは当該分散液のスピン−スピン緩和時間(ms)、D50は当該分散液中のカーボンブラックのメディアン径(μm)を示す。)を満たすことが主たる特徴である。
【0013】
なお、後述のとおり、本発明におけるスピン−スピン緩和時間Tは測定温度35℃での値であり、カーボンブラックのメディアン径D50は測定温度23℃での値である。
【0014】
かかる特定のカーボンブラック分散液に、テトラカルボン酸二無水物またはその誘導体とジアミン成分を溶解し、重合させることで、カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液(本発明のカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液)を調製し、さらに該カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液から溶媒を除去し、ポリアミド酸をイミド化することによって、後述の本発明の導電性ポリイミドベルト(すなわち、表面抵抗率ρs(Ω/□)の常用対数値5以下で、引張伸び率10%以上の導電性ポリイミドベルト)を製造することができる。
【0015】
本発明で使用するカーボンブラックとしては、例えばチャンネルブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等が挙げられ、これらはいずれかを単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。また、カーボンブラックの種類は、目的とする導電性により適宜選択することができ、その用途によっては、酸化処理、グラフト処理等により酸化劣化を防止したものや溶媒への分散性を向上させたものを用いることが好ましい。
【0016】
また、カーボンブラックは、本発明の導電性ポリイミドベルトの表面抵抗率を常用対数値(logρs(Ω/□))で5以下にする観点から、下記の式(2)で表わされる導電性指標が40〜500(好ましくは80〜400)を示すものを採用するのが好ましい。
【0017】
式(2):導電性指標=(比表面積×DBP吸油量)1/2/(1+揮発分)
【0018】
式中、「DBP吸油量」は、一定重量のカーボンブラック中の空隙容積を液体で置換し、その容量をストラクチャー指標とするもので、カーボンブラック100gあたりに包含される油(フタル酸ジブチル(dibutyl phtalate))の量(cc)であり、アブソープトメーター(JIS K 6211に記載の吸油量A法(機械法))により測定される。また、「比表面積」(m/g)は、BET法(粉体粒子表面に吸着占有面積の判った分子を液体窒素の温度で吸着させ、その量から試料の比表面積を求める方法)で測定される。また、「揮発分」はカーボンブラックの重量に対する950℃での加熱により脱着するガスの重量の割合(%)である。
【0019】
また、カーボンブラックは、導電性指標が40〜500を示すものの中でも、比表面積100m/g以上、DPB吸油量130cc/100g以上、揮発分2%以下であるものが、導電性の点から好ましい。
【0020】
導電性指標が40〜500のカーボンブラックは、市販品を用いることができ、例えば、キャボット(Cabot)社製、バルカン(VULCAN)(登録商標)XC−72[導電性指標85、比表面積254m/g、DPB吸油量178cc/100g、揮発分1.5%]、ライオン株式会社製、ケッチェンブラックEC600JD[導電性指標466、比表面積1270m/g、DPB吸油量495cc/100g、揮発分0.7%]、ライオン株式会社製、ケッチェンEC[導電性指標329、比表面積1000m/g、DPB吸油量350cc/100g、揮発分0.8%]、東海カーボン社製、♯4600[導電性指標49、比表面積142m/g、DPB吸油量130cc/100g、揮発分1.8%]等が例示される。
【0021】
本発明における、カーボンブラックの使用量は、その目的に応じ、添加するカーボンブラックの種類等により適宜決定されるが、導電性ポリイミドベルト中のカーボンブラックの含有量は、導電性ポリイミドベルトを画像形成装置の機能性ベルトに使用する場合、ベルトの機械的強度等の観点から、ポリイミド樹脂固形分に対し3〜40重量%が好ましく、より好ましくは3〜30重量%である。また、カーボンブラック分散液におけるカーボンブラックの含有量(濃度)は、溶媒に対し5〜25重量%であり、好ましくは10〜20重量%である。溶媒に対するカーボンブラック量が5重量%未満である場合、分散処理によって一旦分散したカーボンブラックが再凝集し易くなり、重合により得られたワニスにおいてもカーボンブラックの分散に限りがあり、最終的に成形される皮膜の抵抗を低く抑えるのが難しい。溶媒に対するカーボンブラック量が25重量%を超える場合、カーボンブラックの分散が困難となる。
【0022】
本発明で使用する溶媒は、カーボンブラックを分散させるための媒体であり、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの重合反応を進行させるための媒体でもある。従って、カーボンブラックを分散させるための媒体となり、かつ、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの重合反応を進行させる媒体となり得るものであれば、特に制限なく使用できるが、カーボンブラックの分散性、反応物(単量体)の溶解性などの点から、有機極性溶媒が好適に使用される。
【0023】
有機極性溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド等のN,N−ジアルキルアミド類の他、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチル−2−ピロリドン(N−メチルピロリドン(NMP))、ピリジン、ジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン等が挙げられ、これらはいずれかを単独で使用しても、2種以上を併せて用いても差し支えない。これらの中でもワニス保存性、皮膜成形性の観点からNMPが好ましい。
【0024】
本発明において、カーボンブラック分散液中に添加するPVPは、分子量が1万〜100万のものが好ましく、分子量が2万〜80万のものがより好ましく、分子量が2万〜50万のものがさらに好ましい。分子量が100万以下であれば溶媒中でのカーボンブラックの分散性は向上するが、分子量が1万より小さくなるとカーボンブラックとの絡み合いが弱くなり、その結果、その後の重合工程(カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液の調製工程、イミド化反応工程)でカーボンブラックが凝集する傾向となる。なお、ここでいう「分子量」は、重量平均分子量(Mw)のことであり、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)によって測定される。
【0025】
分子量が1万〜100万のPVPは、公知のPVPの重合方法により重合条件を調整することによって製造することができ、また、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、ISP社(ISP Corporation)製、K−30(Mw=2.6×10)、K−90(Mw=3.7×10)等が挙げられる。
【0026】
カーボンブラック分散液中のPVPの含有量は、カーボンブラックに対し20〜60重量%であり、好ましくは30〜50重量%、より好ましくは35〜45重量%である。20重量%より小さいと、カーボンブラックは初期の分散は良いが、経時で凝集しやすくなる。60重量%を超えると、カーカーボンブラックの分散自体が困難になるだけでなく、カーボンブラックと絡み合うことなく、遊離するPVP量が増えるためにその後のポリアミド酸への重合の阻害を起こす傾向となるため、好ましくない。
【0027】
本発明のカーボンブラック分散液は、PVPをカーボンブラックに対し20〜60重量%の範囲で含有する組成であるとともに、分散液のスピン−スピン緩和時間T(ms)と分散液中のカーボンブラックのメディアン径D50(μm)とが、式(1):300≦T/D50≦550を満たすような分散状態に調製されていることが必要である。
【0028】
一般にパルス水素核磁気共鳴スペクトル分析で測定される混合物のスピン−スピン緩和時間(T)は混合物の混合状態(均質度)の指標となり、均質度が高い程、分子運動の拘束が強く、スピン−スピン緩和時間(T)が小さくなることが知られている。本発明は、溶媒、カーボンブラック及びPVPの混合物であるカーボンブラック分散液においては、分散液中のカーボンブラックのメディアン径D50と分散液の混合状態(均質度)とが適度にバランスされた状態、すなわち、分散液中のカーボンブラックのメディアン径D50が十分に小さくても、分散液の均質度が高すぎたり、低すぎる状態では、そのような分散液を用いてカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液の調製及びポリイミドベルトの製造を行うと、その過程で、カーボンブラックが凝集したり、重合阻害が起ることが分かり、式(1)で特定される、分散液の均質度の指標であるT/D50がカーボンブラック分散粒子のメディアン径D50に見合った適度な範囲にあることで、カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液の調製及びポリイミドベルトの製造工程おいて、カーボンブラックの凝集や重合阻害を生じることなく、十分な引張伸び特性と比較的低い表面抵抗率を有し、かつ、凹凸やうねりが小さい良好な表面性状の導電性ポリイミドベルトを達成することを見出したものである。
【0029】
カーボンブラック分散液のスピン−スピン緩和時間T(ms)と分散液中のカーボンブラックのメディアン径D50(μm)の比、すなわち、T/D50が300未満であると、そのようなカーボンブラック分散液は重合阻害を起こしてしまうことから、製膜不具合となり、550を超えると、そのようなカーボンブラック分散液は重合時にカーボン凝集を起こすことから、製膜後脆い皮膜となってしまう。
【0030】
本発明のカーボンブラック分散液において、T/D50は300〜550であるのが好ましく、350〜500がより好ましい。
【0031】
また、均一性の観点から、スピン−スピン緩和時間Tは60〜70msが好ましく、62〜68msがより好ましい。また、分散性の観点から、分散液中のカーボンブラックのメディアン径D50は0.12〜0.20μmが好ましく、0.13〜0.19μmがより好ましい。
【0032】
本発明のカーボンブラック分散液の調製に用いる分散方法(機械的分散方法)は、特に、限定されず、例えば、ナノマイザー、超音波、ボールミル、サンドミル、バスケットミル、三本ロールミル、プラネタリーミキサー、ビーズミル、ホモジナイザー等の公知の方法を用いることができる。その中でも、特にビーズミルが、マイルドな処理で均一な粒子径が得られる点から好ましい。
【0033】
また、分散処理の条件は、カーボンブラックの種類、採用する分散方法(機械的分散方法)等によっても異なるが、例えば、ビーズミル分散の場合、処理液温度20〜35℃、回転数500〜2500rpm、処理時間5分〜200分の条件が適当である。なお、分散処理後は、混入異物除去の点から、分散液を200〜1000メッシュでろ過するのが好ましい。
【0034】
本発明の導電性ポリイミドベルトは、上記のようにして調製されたカーボンブラック分散液にテトラカルボン酸二無水物またはその誘導体とジアミン成分を溶解し、重合させて、カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を得、かかるカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液から溶媒を除去し、ポリアミド酸をイミド化することによって製造することができる。
【0035】
カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液は、カーボンブラック分散液に、テトラカルボン酸二無水物またはその誘導体とジアミン成分を溶解、重合させることによって調製される。テトラカルボン酸二無水物またはその誘導体とジアミン成分とは通常等モル量使用される。ポリアミド酸とは、ポリイミドがイミド閉環していない樹脂であり、ポリアミック酸とも呼ばれ、ポリイミドが有機極性溶媒に溶解しないのに対して、ポリアミド酸は有機極性溶媒に溶解するため、ポリイミド前駆体として好適である。
【0036】
テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ベリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
【0037】
また、ジアミンとしては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DDE)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、1,5−ジアミノナフタレン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン(PDA)、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジアミン、ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、2,4−ビス(β−アミノ−第三ブチル)トルエン、ビス(p−β−アミノ−第三ブチルフェニル)エーテル、ビス(p−β−メチル−6−アミノフェニル)ベンゼン、ビス−p−(1,1−ジメチル−5−アミノ−ペンチル)ベンゼン、1−イソプロピル−2,4−m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ジ(p−アミノシクロヘキシル)メタン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ジアミノプロピルテトラメチレン、3−メチルへプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、1,2−ビス−3−アミノプロポキシエタン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、3−メチルへプタメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,17−ジアミノエイコサデカン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,10−ジアミノ−1,10−ジメチルデカン、1,12−ジアミノオクタデカン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン等が挙げられる。
【0038】
テトラカルボン酸二無水物、ジアミン成分はいずれも、単独で用いてもよく、2種以上のものを併用してもよい。また、カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液には、必要に応じて適宜所要の量の耐屈曲性の向上等の目的で加えられる公知の添加剤、および/またはイミド化を促進する触媒を加えてもよい。イミド化を促進する触媒としては、例えばイミダゾール類、第2級アミン、第3級アミン等が挙げられ、具体的には例えば、2−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、イソキノリン等が挙げられる。これらのうちでも2−フェニルイミダゾールが機械強度を向上させる点で好ましい。
【0039】
重合反応の際のモノマー濃度(溶媒中におけるテトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分の濃度)は、種々の条件に応じて設定されるが、通常、5〜30重量%程度が好ましい。また反応温度は、イミド化反応によるポリイミドの析出を抑える観点から、5〜80℃に設定することが好ましく、5〜50℃に設定することがより好ましい。
【0040】
得られるポリアミド酸溶液は、重合によりその粘度が上昇するが、そのまま加熱を行うとポリアミド酸溶液の粘度が低下する。この現象を利用して、ポリアミド酸溶液を所定の粘度に調整することができる。このときの加熱温度は50〜90℃が好ましい。
【0041】
このようにして得られたカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液の塗膜を加熱して溶媒を除去し、イミド化反応を進行させることによって、本発明の導電性ポリイミドベルトが得られる。本発明の導電性ポリイミドベルトは画層形成装置における機能性ベルトとして好適であり、無端状ベルトとするために、カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液の塗膜を遠心成形して塗膜表面を均一化した後、該塗膜の加熱を行って、溶媒を除去し、イミド化反応を進行させるのが好ましい。具体的には、次のようにして作製される。
【0042】
円筒金型内にカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を供給し、回転遠心成形法により金型内周面に遠心力により均一に展開する。このとき溶液の粘度はB型粘度計で1〜1000Pa・s(25℃)が好ましい。これ以外の場合は、遠心成形の際、均一に展開することが困難であり、ベルトの厚みバラツキの原因となる。製膜後、80〜150℃にて加熱を行い、溶媒を除去する。次いで300〜450℃の高温で加熱することにより、閉環イミド化反応を進行させる。この溶媒除去およびイミド化反応時の加熱は均等に行う必要がある。不均等であると、溶媒蒸発時においてもカーボンブラックの凝集バラツキが発生し、ベルトの抵抗値にバラツキが生じる。均等に加熱する方法としては、金型を回転させながら加熱する、溶媒を蒸発させるための熱風の循環を改善する等の方法や、低温で投入し、昇温速度を小さくするなどの方法がある。最後に、室温まで冷却した後、金型から取り出し、導電性ポリイミドベルトを得る。
【0043】
このようにして得られた本発明の導電性ポリイミドベルトは、柔軟性に富み、電気的安定性に優れ、低い表面抵抗を有し、さらに凹凸やうねりが小さい表面性状を有するものとなる。従って、表面抵抗率ρs(Ω/□)の常用対数値が5以下(好ましくは4以下)で、10%以上(好ましくは15%以上)の引張伸び率を示す導電性ベルトを実現でき、好ましくは、かかる表面抵抗率と引張伸び率を有し、かつ、表面の粗さ(Ra)が8μm以下で、うねり(Wa)が0.04μm以下の導電性ベルトを実現できる。従って、画像形成装置の機能ベルト、特に、定着ベルトとして使用すると、ベルト端部の座屈や裂けを生じることなく安定駆動し、静電作用によるトナーのチリ等の画像不具合を生じることなく、長期に亘って、高画質の画像形成を行うことができる。
【実施例】
【0044】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0045】
<評価試験方法>
以下の実施例において得られたカーボンブラック分散液、導電性ポリイミドベルトは、次の方法により測定し、評価した。
【0046】
1.スピン−スピン緩和時間(T
パルス核磁気共鳴装置(日本電子株式会社製 JNM−MU25)を用いた。測定核を水素核とし、測定温度35℃、周波数25MHz、90℃パルス幅2μsの測定条件で、CPMG法(Carr−Purcell Meiboom−Gill法)からスピン−スピン緩和時間(T)を求めた。
【0047】
2.カーボンブラックのメディアン径(D50
分散液中のカーボンブラックについて、(株)堀場製作所製、動的光散乱式粒径分布測定装置LB-500を用い、測定温度23℃にて測定した。
【0048】
3.表面抵抗率
抵抗率計ロレスタ−GP(MCP−T600型、三菱化学製)に接続した4探針プローブ(MCP−TP03P)をベルト表面に押し当て測定した。表面抵抗率をρs(Ω/□)で表し、その常用対数logρs(Ω/□)を求め、評価に用いた。
【0049】
4.引張伸び率
JIS K 6301の3号形ダンベルで打ち抜いたものを試験片として使用した。(株)オリエンテック製、万能試験機テンシロンUTM1000を用い、チャック間隔30mm、引張速度100mm/分で測定し、次式にて算出した。
引張伸び率=[(破断したときの長さ−初期長さ)/初期長さ]×100 (%)
【0050】
5.粗さ(Ra)、うねり(Wa)
レーザーテック(株)製、広視野コンフォーカル顕微鏡(HD100D)を用い、測定長さを50μmとして、JIS B 0601、JIS B 0610に準じて測定し、JIS B 0601に記載の次式より算出した。
【0051】
【数1】

【0052】
6.通紙試験
φ80mmのシームレス状管状体のベルトをφ40mmの加熱ロールとφ30mmの加圧ロールで張架し、φ30mmの加圧ロールと対になるようにベルトを隔てて、φ30mmの下部加圧ロールを設置する。この下部加圧ロールとベルトの間に普通紙を50rpmの速度で通した。なお、加熱ロールの温度は200℃とした。
【0053】
実施例1(カーボンブラック分散液A)
NMP3kgに対し、バルカン(VULCAN)(登録商標)XC−72(Cabot社製カーボンブラック、粒子径0.03μm)を15重量%となるように、超音波をかけながら加え、続けてPVP(ISP社製、K−90、分子量37万)をバルカンに対し40重量%となるように加え仮分散を行った。その後、ビーズ径0.1mmのビーズを用いて、ビーズミル(寿工業(株)製、スーパーアペックスミルSAM−1)にて分散を行った。回転数2000rpmで4時間処理した後、800メッシュでろ過を行い分散液とした。この分散液のスピン−スピン緩和時間は64ms、カーボンブラックのメディアン径は0.14μmであった。
【0054】
比較例1、2、実施例2、3(カーボンブラック分散液B〜E)
PVPをバルカンに対してそれぞれ10重量%、80重量%、50重量%、および30重量%となるように加えたこと以外はカーボンブラック分散液Aと同様に調製し、各分散液のスピン−スピン緩和時間とカーボンブラックのメディアン径(D50)を測定した。
【0055】
実施例4
実施例1で調製したカーボンブラック分散液A1kgに、攪拌しながらN−メチル−2−ピロリドン(NMP)0.27kgと、p−フェニレンジアミン0.2kgとこれと略等モルの3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物0.55kgを添加した。増粘後、2−フェニルイミダゾールを加え、攪拌しながら加温し、カーボン22重量部(ポリイミド固形分100重量部に対し)、固形分20重量%の導電性ポリイミドの前駆体を得た。次に、この前駆体を内径80mm、長さ850mmの円筒状金型の内面にディスペンサーで塗布後、1500rpmで10分間回転させ均一な塗膜面を得た。その後、40rpmで回転させながら130℃で20分、220℃で20分間、加熱し膜を形成した。金型から円筒状の膜を取り出し、パイプに差し替え、更に400℃で30分間加熱し、イミド転化を行い、導電性ポリイミドベルトを得た。ベルトの粗さ(Ra)、うねり(Wa)、表面抵抗率、引張伸び率を測定し、表1の結果を得た。また、本ベルトを用いて通紙試験を行ったところ、10万枚印刷した後も、ベルトの駆動は安定しており、端部破損、座屈は見られなかった(表1)。
【0056】
実施例5
カーボンブラック分散液として実施例2のカーボンブラック分散液Dを用いたこと以外は、実施例4と同様にして導電性ポリイミドベルトを作製し、ベルトの粗さ(Ra)、うねり(Wa)、表面抵抗率、引張伸び率を測定した(表1)。通紙試験では、10万枚印刷した後も、ベルトの駆動は安定しており、端部破損、座屈は見られなかった。
【0057】
実施例6
カーボンブラック分散液として実施例3のカーボンブラック分散液Eを用いたこと以外は実施例4と同様にして導電性ポリイミドベルトを作製し、ベルトの粗さ(Ra)、うねり(Wa)、表面抵抗率、引張伸び率を測定した(表1)。通紙試験では10万枚印刷した後も、ベルトの駆動は安定しており、端部破損、座屈は見られなかった。
【0058】
比較例3
カーボンブラック分散液として比較例1のカーボンブラック分散液Bを用いたこと以外は実施例4と同様にして導電性ポリイミドベルトを作製し、ベルトの粗さ(Ra)、うねり(Wa)、表面抵抗率、引張伸び率を測定した(表1)。通紙試験にて、1万枚印刷で端部破損を起こした。
【0059】
比較例4
カーボンブラック分散液として比較例2のカーボンブラック分散液Cを用いたこと以外は実施例4と同様にして導電性ポリイミドベルトを作製を試みた。しかし、重合度が上がらず、製膜後浮きが発生し、ベルト成形が出来なかった。
【0060】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明による導電性ポリイミドベルトは、十分な引張伸び特性、安定な電気特性、適切な表面抵抗率を有しており、電子写真記録装置等における機能性ベルトとして、特に定着ベルトとして有用である。本発明による導電性ポリイミドベルトは、電子写真画像形成装置等における機能性ベルトとして、ベルト端部の座屈や裂け、トナーのチリ等の画像不具合を生じることなく、工程を長期間安定化させ、良好な画像を確保することができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒中にカーボンブラックが分散されたカーボンブラック分散液であって、カーボンブラックを溶媒に対して5〜25重量%、ポリビニルピロリドン(PVP)をカーボンブラックに対して20〜60重量%の割合で含み、かつ、式(1):300≦T/D50≦550(式中、Tは当該分散液のスピン−スピン緩和時間(ms)、D50は当該分散液中のカーボンブラックのメディアン径(μm)を示す。)を満たすことを特徴とするカーボンブラック分散液。
【請求項2】
当該分散液のスピン−スピン緩和時間Tが60〜70msであり、カーボンブラックのメディアン径D50が0.12〜0.20μmである、請求項1記載のカーボンブラック分散液。
【請求項3】
溶媒が有機極性溶媒である、請求項1または2記載のカーボンブラック分散液。
【請求項4】
有機極性溶媒がN−メチルピロリドン(NMP)である、請求項3記載のカーボンブラック分散液。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のカーボンブラック分散液に、テトラカルボン酸二無水物またはその誘導体とジアミンを溶解し、重合させて得られた、カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液。
【請求項6】
請求項5記載のカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を用いて得られる、導電性ポリイミドベルト。
【請求項7】
表面抵抗率の常用対数値logρs(Ω/□)が5以下であり、引張伸び率が10%以上である、請求項6記載の導電性ポリイミドベルト。
【請求項8】
請求項5記載のカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液の塗膜を加熱して、溶媒を除去し、イミド化反応を進行させることを特徴とする、導電性ポリイミドベルトの製造方法。
【請求項9】
カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液の塗膜を遠心成形して塗膜表面を均一化した後、該塗膜の加熱を行う、請求項8記載の導電性ポリイミドベルトの製造方法。


【公開番号】特開2009−91500(P2009−91500A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−265311(P2007−265311)
【出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】