説明

ガイドレール上で長手方向に可動のガイドキャリッジを備えたリニアガイド、ならびに該リニアガイドの作動方法

【課題】リニアガイドの可動システムに設けられた電気的負荷に対して電気エネルギーを供給するために必要な構成要素に関して該構成要素の確実な動作を保証すると同時に、構成がより簡単かつより低コストのリニアガイドを提供し、このようなリニアガイドの適切な作動方法を提供すること。
【解決手段】可動システムに配置された少なくとも1つの電気的負荷に配属されたエネルギー自給システムおよび/または非接触エネルギー伝送システムはさらに前記ガイドキャリッジの少なくとも1つの実際の作動状態を検出するように構成された、リニアガイド。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガイドレール上を長手方向に可動なガイドキャリッジと、可動システム内に配置された少なくとも1つの電気的負荷とを備えたリニアガイドであって、前記電気的負荷に、エネルギー自給システムおよび/または非接触エネルギー伝送システムが配属されたリニアガイドに関し、また、該リニアガイドの作動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リニアガイドないしはリニアガイド装置は長い間、非常に異なる種々の実施形態で知られており、DE102005021345A1から、ガイドレール上で長手方向に可動に配置されたガイドキャリッジと長さ測定システムとを備えたリニアガイド装置が公知である。この長さ測定システムの測定ヘッドは、前記ガイドレールに対して平行に配置された尺度形成部と共働し、該尺度形成部は前記ガイドレールから離隔して配置されており、当該リニアガイド装置の内法スペース溝(Lichtraumprofil)内に配置されている。
【0003】
さらにDE10039915A1から、ガイドキャリッジが長手方向に可動に支持されたガイドレールと、該ガイドキャリッジに長手方向の移動を行わせる駆動装置と、該リニアガイドに配属された長さ測定システムとを備えたリニアガイドが公知である。この駆動装置は電動機として、前記ガイドレールに配置されたモータ部と前記ガイドキャリッジに配置されたモータ部とを有するように構成されており、前記長さ測定システムは、前記ガイドキャリッジまたは前記ガイドレールに隣接し該ガイドレールに対して平行な測定ストリップと、該測定ストリップに対して相対的に可動な測定ヘッドとを有し、該長さ測定システムには、渦電流薄板と該渦電流薄板を包囲する励起ブロックとともに動作する加速度センサが所属する。
【0004】
センサ検出された測定値の評価および記憶を行うのに必要な電気エネルギーと、制御装置が設けられている場合に制御装置へ該測定値を転送する場合には該転送に必要な電気エネルギーとを、自明のようにバッテリーによって供給することができる。しかし、このバッテリーの電力は有限であり、経時変化もするので、面倒な保守を必要とする。さらに、公知のバッテリーの使用可能温度領域は制限されている。
【0005】
またそれに対して、自明の蓄電池、圧電素子またはサーモジェネレータをエネルギー供給源として使用することもできる(DE102004049724A1)。また、基本的に磁石と誘導電圧を取り出すための誘導コイルと加速システムとを備えた自明の誘導システムによって運動エネルギーから電気エネルギーを生成することも考えられる(DE1763237A1,DE2938749A1,DE10147720A1,DE102005022519A1,DE10150766A1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】DE102005021345A1
【特許文献2】DE10039915A1
【特許文献3】DE102004049724A1
【特許文献4】DE1763237A1
【特許文献5】DE2938749A1
【特許文献6】DE10147720A1
【特許文献7】DE102005022519A1
【特許文献8】DE10150766A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このことから本発明の課題は、リニアガイドの可動システムに設けられた電気的負荷に対して電気エネルギーを供給するために必要な構成要素に関して該構成要素の確実な動作を保証すると同時に、構成がより簡単かつより低コストのリニアガイドを提供することである。さらに本発明の課題は、このようなリニアガイドの適切な作動方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記で提起した課題は、独立請求項の構成による装置に関しては、ガイドレール上に長手方向に可動に配置されたガイドキャリッジと、可動システムに配置された少なくとも1つの電気的負荷とを備えたリニアガイドであって、前記電気的負荷にエネルギー自給システムおよび/または非接触エネルギー伝送システムが配属されており、前記エネルギー自給システムおよび/または非接触エネルギー伝送システムはさらに前記ガイドキャリッジの少なくとも1つの実際の作動状態を検出するように構成されたリニアガイドによって解決される。
【発明の効果】
【0009】
このような構成により、特に有利には、センサのタスクがエネルギー自給システムおよび/または非接触エネルギー伝送システムによって引き継がれ、エネルギー供給またはエネルギー伝送と、リニアガイドの特定の作動状態のセンシングとに対してそれぞれ別個の装置を設けることを採用する従来の技術的構成に対してコストおよび重量の削減が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ガイドレール上を長手方向に可動なガイドキャリッジを備えた、自明のリニアガイドの平面図である。
【図2】図1中の切断線I‐Iに沿った断面図である。
【図3】本発明にしたがって構成されたガイドキャリッジの一部を非常に概略的に示す図である。
【図4】図3に示されたガイドキャリッジの側面図である。
【図5】図4に示されたガイドキャリッジに相応する本発明の構成のガイドレールの非常に概略的な上面図である。
【図6】本発明にしたがって構成されガイドレールに配属可能な被覆バンドを示す。
【図7】組み立てられた状態のガイドキャリッジとガイドレールとを非常に概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
従属請求項に本発明の有利な実施形態または発展形態が記載されている。
【0012】
それによればたとえば、エネルギー自給システムおよび/または非接触エネルギー伝送システムはガイドキャリッジの実際の速度または位置を検出するように構成される。
【0013】
さらに、エネルギー自給システムおよび/または非接触エネルギー伝送システムをリニアジェネレータによって構成することも提案する。
【0014】
このリニアジェネレータは、軸方向に相互に整列されガイドキャリッジに隣接してガイドレールに配置された永久磁石および/または電磁石の形態の複数の電磁誘導源を有することができる。その際にはこれらの電磁誘導源には、ガイドキャリッジに固定された少なくとも1つの誘導コイルが所属し、時間的に異なって誘導された電圧の電圧経過、電圧振幅および/または個々の磁界の強度を評価することによってガイドキャリッジの速度および/または位置が求められるように構成される。
【0015】
その際に有利なのは、電磁誘導源をガイドキャリッジ側において、上側で完全には充填されていない穿孔を、ガイドレールの固定手段として配置することができる。
【0016】
別の変形実施形態では、電磁誘導源が、ガイドレールを固定する固定手段のための穿孔を被覆する被覆バンドに組み込むのが有利である。
【0017】
エネルギー自給システムに関しては、ガイドキャリッジに配置された少なくとも1つの発電機を設けることができる。この発電機の駆動軸は星形の駆動ホイールに接続されており、該駆動ホイールは、ガイドレールの軸方向に相互に整列されて配置された複数の相応の切欠または穿孔に連続的に係合して回転される。
【0018】
この変形実施形態と異なる変形実施形態では、エネルギー自給システムおよび/または非接触エネルギー伝送システムは、ガイドキャリッジに配置された少なくとも1つの発電機によって構成され、該発電機の駆動軸は星形の駆動ホイールに接続されており、該駆動ホイールはガイドキャリッジの転動体によって駆動されるように構成することもできる。
【0019】
最後に、エネルギー自給システムおよび/または非接触エネルギー伝送システムは、ガイドキャリッジに配置された少なくとも1つの発電機によって構成され、該発電機の駆動軸は摩擦ホイールに接続され、該摩擦ホイールはガイドレールの相応の接触面上を走行する。
【0020】
その場合には、十分なばね引張力で機械的エネルギーを急激に発電機に出力するのに適した所属の機械的な環状ばねによって、上記のエネルギー自給システムの駆動ホイールまたは摩擦ホイールをプリロードすることができる。
【0021】
さらに本発明のリニアガイドは、回転角センサまたは回転速度センサを使用して、検出された値を評価することにより、ガイドキャリッジの速度および/または位置を求めることができるようにも構成される。
【0022】
本発明の別の実施形態では、エネルギー自給システムおよび/または非接触エネルギー伝送システムにさらに、リニアガイドの可動システムに配置された少なくとも1つのエネルギー蓄積器を配属することもできる。このエネルギー蓄積器はたとえば、自明の蓄電池、コンデンサまたはバッテリーによって形成される。
【0023】
さらに本発明の別の実施形態では、エネルギー自給システムおよび/または非接触エネルギー伝送システムに、ガイドキャリッジの別の作動状態を検出するためにリニアガイドの可動システムに配置された少なくとも1つのセンサを配属し、たとえば振動監視センサを配属することができる。
【0024】
最後に、エネルギー自給システムおよび/または非接触エネルギー伝送システムによって形成されたセンサおよび他のセンサと自明の評価電子回路とを、線路によって接続するかまたは非接触で接続することを提案する。この評価電子回路は、ガイドキャリッジまたはガイドキャリッジに積載される貨物に設けるか、または、ガイドキャリッジ外部の定置システムに配置することができる。
【0025】
さらに本発明は、ガイドレール上を長手方向に可動なガイドキャリッジと可動システム内に配置された少なくとも1つの電気的負荷とを備えた本発明のリニアガイドの構成を有するリニアガイドの作動方法にも関する。この電気的負荷には、エネルギー自給システムおよび/または非接触エネルギー伝送システムが配属されている。本発明では、付加的にガイドキャリッジの少なくとも1つの実際の作動状態を検出するためにエネルギー自給システムおよび/または非接触エネルギー伝送システムが使用されるようにリニアガイドを作動させる。
【0026】
エネルギー自給システムおよび/または非接触エネルギー伝送システムは有利には、たとえば付加的に、ガイドキャリッジの実際の速度および/または実際の位置を検出するために使用される。
【0027】
さらに有利には、エネルギー自給システムおよび/または非接触エネルギー伝送システムとしてリニアジェネレータを使用する。
【0028】
好適には、軸方向に相互に整列されガイドキャリッジに隣接して定置のガイドレールに配置された永久磁石および/または電磁石の形態の複数の電磁誘導源を有するリニアジェネレータを使用する。この電磁誘導源には、ガイドキャリッジに固定された少なくとも1つの誘導コイルが所属し、時間的に異なって誘導された電圧の測定された電圧経過、電圧振幅および/または個々の磁界の強度を評価することによってガイドキャリッジの実際の速度および/または位置を推定する。
【0029】
また、エネルギー自給システムとして、ガイドキャリッジに配置された少なくとも1つの電動機を使用することもできる。この電動機は、回転支承された星形の駆動ホイールに作用結合され、該駆動ホイールは、ガイドレールの軸方向に整列されて配置された複数の相応の切欠または穿孔に連続的に係合して回転されるか、またはガイドキャリッジの転動体によって駆動される。またはこの電動機は、ガイドレールの相応の接触面上を走行する回転支承された摩擦ホイールに作用結合されている。前記駆動ホイールまたは前記摩擦ホイールまたは該駆動ホイールの回転軸または該摩擦ホイールの回転軸に配属された回転角センサまたは回転速度センサを使用して、該センサによって検出された値を評価することにより、ガイドキャリッジの実際の速度および/または位置を推定する。
【実施例】
【0030】
以下で添付図面を参照して、本発明を幾つかの実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0031】
図1に示したリニアガイド1は、ガイドレール2上を長手方向に可動なガイドキャリッジ3を有する。ガイドキャリッジ3は自明のように、ガイドレール2およびガイドキャリッジ3の走行軌道上を走行する転動体によって、該ガイドレール2に支承されている。この転動体は、ここでは詳細に図示されていない。転動体はエンドレスの転動体通路4,5内で回転し、ガイドキャリッジ3の両側にはそれぞれ、軸方向に相互に重なって配置された転動体通路4,5が2つずつ設けられている。ここでは各ガイドチャネル4,5は、負荷通路4a,5aと、戻り通路4b,5bと、ここでは詳細に図示されていない2つの偏向通路とから構成されている。これらの偏向通路は、負荷通路4a,5aと戻り通路4b,5bとをエンドレスで接続する。
【0032】
ガイドレール2はさらに、たとえばガイドレール2の固定穿孔6を貫通する固定ねじ等の機械的な固定手段によって、同図には示されていない支持部材に固定されている。この機械的な固定手段は同図には詳細に示されていないが、自明のものであり、支持部材はたとえば、工具の支持基体構造である。
【0033】
冒頭に詳細に説明したように、上位概念の形式のリニアガイド1に、該リニアガイド1の作動中にガイドキャリッジ3の移動の正確な制御を行うための、たとえばセンサと、プロセッサやデータメモリ等を備えた適切な評価電子回路ないしは制御装置とである種々の電気的負荷を配属するのが有利である。このような電気的負荷は可動システム内に直接配置することができ、有利にはガイドキャリッジ3自体に配置することができる。
【0034】
センサによって検出されたリニアガイド1の作動状態の測定値を評価および記憶して場合によっては制御装置へ転送するために必要な電気エネルギーは、自明のバッテリー、蓄電池、圧電素子またはサーモジェネレータによって供給することができる。
【0035】
さらに、基本的に磁石と誘導電圧を取り出すための誘導コイルとを備えた自明の誘導システムによって、運動エネルギーから電気エネルギーを生成することも考えられる。
【0036】
しかし、これらの公知の手法すべてに共通している点は、これらが、エネルギー供給および/またはエネルギー伝送とリニアガイドの所定の作動状態の検出とを行うために別個の装置を有し、コスト上昇を伴うことである。このことと異なる点として、リニアガイド1には、ガイドキャリッジ3の少なくとも1つの実際の作動状態を検出するためにも構成されたエネルギー自給システムおよび/または非接触エネルギー伝送システムが配属されている。このガイドキャリッジ3の少なくとも1つの実際の作動状態はたとえば、該ガイドキャリッジ3の実際の速度および/または位置である。
【0037】
エネルギー自給システムおよび/または非接触エネルギー伝送システムは有利には、自明のリニアジェネレータによって構成されている。このリニアジェネレータは、ガイドキャリッジ3に隣接して定置のガイドレール2に配置され軸方向に相互に整列された複数の電磁誘導源7を有し、該電磁誘導源7は永久磁石および/または電磁石7a,7bの形態で設けられており、これらはそれぞれ、ガイドレール2に設けられた固定穿孔6内に配置されている(図5)。
【0038】
またそれに対して、ガイドレール2に設けられた固定穿孔6を被覆する被覆バンド8に電磁誘導源7を組み込むことも有利である(図6)。
【0039】
電磁誘導源7には、ガイドキャリッジ3に固定された少なくとも1つの誘導コイル9が配属されており、ここでは複数のこのような誘導コイル9が配属されており、この誘導コイル9は有利には、ガイドキャリッジ3に予め形成された切欠10内に配置される(図3および図4)。
【0040】
このように形成されたエネルギー自給システムおよび/または非接触エネルギー伝送システムを使用して、ガイドキャリッジ3の移動がリニアである場合には該ガイドキャリッジ3の誘導コイルが電磁誘導源7の発生した個々の磁界11を通過することにより、可動システム内の上記の電気的負荷に対して電気エネルギーを特に簡単かつ低コストで供給することができる。ここでは、誘導コイル9と磁界11との相対運動が示されている。これによっても、誘導コイル9に電圧が誘導される(図7)。
【0041】
誘導コイル9が空間的にずれて配置されていることによってさらに、自明の評価電子回路12を使用して有利には、たとえば時間的に異なって誘導された電圧経過、電圧振幅および/または個々の磁界11の強度等の検出された測定値13を評価することにより、場合によってはガイドキャリッジの基準運動からの比較値を使用して、ガイドキャリッジ3の実際の速度および/または平均速度および/または実際の位置を推定することができる。このような値は有利には、リニアガイド1のガイドキャリッジ3の走行運転の制御に使用される。
【0042】
しかし本発明は、上記の実施例に限定されず、ガイドキャリッジ3に配置された少なくとも1つの発電機によって構成されるエネルギー自給システムも含む。このような発電機は駆動軸に星形の駆動ホイールを有し、該駆動ホイールは、ガイドレール2の軸方向に相互に整列して配置された複数の相応の切欠または穿孔に連続して係合して回転される。このことに対して択一的に、前記星形の駆動ホイールはジェネレータ軸で、ガイドキャリッジ3の転動体によっても駆動することができる。さらに、ガイドレール2の相応の接触面を走行する摩擦ホイールをジェネレータ軸が担持することもできる(図示されていない)。
【0043】
ガイドキャリッジ3の速度および/または位置は、この場合にはたとえば、駆動ホイールまたは摩擦ホイールまたは該駆動ホイールの回転軸または該摩擦ホイールの回転軸に配属された回転角度センサまたは回転速度センサ等の自明のセンサを使用して、検出された値を評価することにより、場合によっては基準走行からの比較値を使用して求めることができる。
【0044】
また本発明では、機械的な環状ばねが十分なばね引張力で機械エネルギーを発電機へ急激に出力するように、該機械的な環状ばねを配属させて駆動ホイールまたは摩擦ホイールをプリロードすることもできる(図示されていない)。
【0045】
また、エネルギー自給システムおよび/または非接触エネルギー伝送システムに、リニアガイド1の可動システムに配置された少なくとも1つの自明のエネルギー蓄積器を配属させることもできる。このエネルギー蓄積器は図中には詳細に示されておらず、たとえば蓄電池、コンデンサまたはバッテリー等であり、これによって、リニアガイド1が静止状態であっても上記の電気的負荷に電気エネルギーを供給し、たとえば検出された測定値を可動システム外部の中央のコンピュータユニットまたは評価電子回路へ供給することができる。このことは有利には、非接触で行うこともできる。
【0046】
分かりやすくするため、図7に2つの実施形態の評価電子回路の配置が示されている。これらの評価電子回路のうち1つの評価電子回路12はガイドキャリッジ3に設けられ、他方の評価電子回路12′はリニアガイド1の外側に非可動システム内に設けられている。測定値が非接触伝送される場合、誘導コイルの交番電磁界の基本振動を搬送波信号として使用し、該搬送波信号に、測定値を表す有効信号を自明の手法で重畳することができる。
【0047】
エネルギー自給システムおよび/または非接触エネルギー伝送システムに関しては、ガイドキャリッジ3の少なくとも1つの別の作動状態を検出するためにリニアガイドの可動システムに配置された少なくとも1つのセンサに十分な電気エネルギーを供給できるように、該エネルギー自給システムおよび/または非接触エネルギー伝送システムを構成することもできる。前記センサはたとえば、上記ですでに述べた評価電子回路に接続された振動センサ等であり、これは図中に詳細に示されていないが自明のものである。
【0048】
さらに、前記ガイドキャリッジ3とガイドレール2とが相対運動する場合に、誘導コイルによってガイドレール2の領域に交番電磁界が生成され、該交番電磁界が該ガイドキャリッジのコイルに電圧を誘導した場合、エネルギー自給システムがエネルギーを伝送するように構成することもできる。このようなエネルギー伝送はもちろん、ガイドキャリッジ3が静止状態にある場合にも行うことができ、その際には、このエネルギー伝送はたとえば、ガイドキャリッジ3に配置された電気エネルギー蓄積器を充電するための充電ステーションの機能も果たす。
【符号の説明】
【0049】
1 リニアガイド
2 ガイドレール
3 ガイドキャリッジ
4 転動体通路
4a 負荷通路
4b 戻り通路
5 転動体通路
5a 負荷通路
5b 戻り通路
6 固定穿孔
7 誘導源
7a 永久磁石
7b 電磁石
8 被覆バンド
9 誘導コイル
10 切欠
11 磁界
12 評価電子回路
12′ 評価電子回路
13 測定値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドレール(2)上を長手方向に可動なガイドキャリッジ(3)と、可動システム内に配置された少なくとも1つの電気的負荷とを備えたリニアガイド(1)において、
前記電気的負荷に、エネルギー自給システムおよび/または非接触エネルギー伝送システムが配属されており、
前記エネルギー自給システムおよび/または非接触エネルギー伝送システムはさらに、前記ガイドキャリッジ(3)の少なくとも1つの実際の作動状態を検出するように構成されていることを特徴とする、リニアガイド。
【請求項2】
前記エネルギー自給システムおよび/または非接触エネルギー伝送システムは、前記ガイドキャリッジ(3)の実際の速度または位置を検出するように構成されている、請求項1記載のリニアガイド。
【請求項3】
前記エネルギー自給システムおよび/または非接触エネルギー伝送システムはリニアジェネレータによって構成されている、請求項1または2記載のリニアガイド。
【請求項4】
前記リニアジェネレータは、前記ガイドキャリッジ(3)に隣接して前記ガイドレール(2)に配置され軸方向に相互に整列された複数の電磁誘導源(7)を、永久磁石および/または電磁石(7a,7b)の形態で備え、
前記電磁誘導源(7a,7b)に、前記ガイドキャリッジに固定された少なくとも1つの誘導コイル(9)が配属されており、
前記ガイドキャリッジ(3)の速度および/または位置は、時間的に異なって誘導された電圧の経過および/または該電圧の振幅および/または個々の磁界の強度を評価することによって求められる、請求項3記載のリニアガイド。
【請求項5】
前記電磁誘導源(7)は前記ガイドキャリッジにおいて、前記ガイドレール(2)を固定する固定手段に対する穿孔(6)内に配置されている、請求項4記載のリニアガイド。
【請求項6】
前記電磁誘導源(7)は、前記ガイドレール(2)を固定する固定手段に対する穿孔(6)を被覆する被覆バンド(8)に組み込まれている、請求項4記載のリニアガイド。
【請求項7】
前記エネルギー自給システムおよび/または非接触エネルギー伝送システムは、前記ガイドキャリッジ(3)に配置された少なくとも1つの発電機によって構成されており、
前記発電機の駆動軸は星形の駆動ホイールに接続されており、
前記駆動ホイールは、前記ガイドレール(2)の軸方向に相互に整列して配置された複数の相応の切欠または穿孔に連続して係合されて回転される、請求項1または2記載のリニアガイド。
【請求項8】
前記エネルギー自給システムおよび/または非接触エネルギー伝送システムは、前記ガイドキャリッジ(3)に配置された少なくとも1つの発電機によって構成され、
前記発電機の駆動軸は星形の駆動ホイールに接続され、
前記駆動ホイールは、前記ガイドキャリッジ(3)の転動体によって駆動される、請求項1または2記載のリニアガイド。
【請求項9】
前記エネルギー自給システムおよび/または非接触エネルギー伝送システムは、前記ガイドキャリッジ(3)に配置された少なくとも1つの発電機によって構成され、
前記発電機の駆動軸は摩擦ホイールに接続され、
前記摩擦ホイールは、前記ガイドレール(2)の相応の接触面を走行する、請求項1または2記載のリニアガイド。
【請求項10】
前記ガイドキャリッジ(3)の速度および/または位置は、回転角度センサまたは回転速度センサを使用して検出された値を評価することによって求められる、請求項7から9までのいずれか1項記載のリニアガイド。
【請求項11】
前記駆動ホイールまたは前記摩擦ホイールは機械的な環状ばねに接続されており、
前記環状ばねは、十分なばね引張力で機械エネルギーを急激に前記発電機へ出力するのに適した環状ばねである、請求項7から9までのいずれか1項記載のリニアガイド。
【請求項12】
前記エネルギー自給システムおよび/または非接触エネルギー伝送システムに、当該リニアガイド(1)の可動システム内に配置された少なくとも1つのエネルギー蓄積器が配属されている、請求項1から11までのいずれか1項記載のリニアガイド。
【請求項13】
前記少なくとも1つのエネルギー蓄積器は、蓄電池、コンデンサまたはバッテリーによって構成されている、請求項12記載のリニアガイド。
【請求項14】
前記エネルギー自給システムおよび/または非接触エネルギー伝送システムに、当該リニアガイド(1)の可動システム内に配置されたセンサであって、前記ガイドキャリッジ(3)の別の作動状態を検出するためのセンサが配属されており、
前記センサはたとえば振動監視センサである、請求項1から13までのいずれか1項記載のリニアガイド。
【請求項15】
前記エネルギー自給システムおよび/または非接触エネルギー伝送システムによって形成されたセンサおよび別のセンサは、自明の評価電子回路(12)に線路を介して接続されているか、または非接触で接続されている、請求項1から14までのいずれか1項記載のリニアガイド。
【請求項16】
前記評価電子回路(12′)は前記ガイドキャリッジ(3)に配置されているか、または該ガイドキャリッジ(3)の外部の定置システム内に配置されている、請求項14記載のリニアガイド。
【請求項17】
ガイドレール(2)上を長手方向に可動なガイドキャリッジ(3)と、可動システム内に配置された少なくとも1つの電気的負荷とを備えたリニアガイド(1)の作動方法であって、
前記電気的負荷に、エネルギー自給システムおよび/または非接触エネルギー伝送システムが配属されているリニアガイド(1)の作動方法において、
前記エネルギー自給システムおよび/または非接触エネルギー伝送システムを付加的に、前記ガイドキャリッジ(3)の少なくとも1つの実際の作動状態を検出するために使用することを特徴とする、作動方法。
【請求項18】
前記エネルギー自給システムおよび/または非接触エネルギー伝送システムを付加的に、前記ガイドキャリッジ(3)の実際の速度または実際の位置を検出するために使用する、請求項17記載の作動方法。
【請求項19】
前記ガイドキャリッジ(3)に隣接して前記ガイドレール(2)に配置され軸方向に相互に整列された複数の電磁誘導源(7)を永久磁石および/または電磁石(7a,7b)の形態で備えたリニアジェネレータを使用し、
前記電磁誘導源(7a,7b)に、前記ガイドキャリッジ(3)に固定された少なくとも1つの誘導コイル(9)が配属されており、
時間的に異なって誘導された電圧の経過および/または該電圧の振幅および/または個々の磁界の強度を測定して評価することによって、前記ガイドキャリッジ(3)の実際の速度および/または位置を推定する、請求項18記載の作動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−127465(P2010−127465A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−269601(P2009−269601)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(390009623)シエツフレル コマンディートゲゼルシャフト (99)
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler KG
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 1−3, D−91074 Herzogenaurach, Germany
【Fターム(参考)】