ガスの処理方法及びシステム、ならびに二酸化炭素回収方法及びシステム
【課題】 窒素酸化物又は硫黄酸化物、あるいはその両方を含むガスから、有害ガス成分を効率よく除去し、かつ、二酸化炭素を効率よく回収することができるガスの処理方法及びシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】 二酸化炭素を固化させないが窒素酸化物又は硫黄酸化物を液化又は固化させる温度に有害ガス成分を含有する第1のガスを冷却することにより、窒素酸化物又は硫黄酸化物を液化又は固化させて前記第1のガスから除去し、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を除去した第1のガスを二酸化炭素を固化させる温度に冷却することにより、前記第1のガスに含まれる二酸化炭素を、固化させ、前記第1のガスが供給された容器の内部の面に付着させて、前記固化した二酸化炭素が付着した前記面に第2のガスを吹き付けることによって、前記固化した二酸化炭素を前記面より分離し、前記第1のガスから除去する。
【解決手段】 二酸化炭素を固化させないが窒素酸化物又は硫黄酸化物を液化又は固化させる温度に有害ガス成分を含有する第1のガスを冷却することにより、窒素酸化物又は硫黄酸化物を液化又は固化させて前記第1のガスから除去し、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を除去した第1のガスを二酸化炭素を固化させる温度に冷却することにより、前記第1のガスに含まれる二酸化炭素を、固化させ、前記第1のガスが供給された容器の内部の面に付着させて、前記固化した二酸化炭素が付着した前記面に第2のガスを吹き付けることによって、前記固化した二酸化炭素を前記面より分離し、前記第1のガスから除去する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスの処理方法及びシステムに関する。また、本発明は、二酸化炭素回収方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
発電所や化学プラント等における石炭焚きボイラ、製鉄所における高炉、コークス炉、転炉等から排出される排ガス中に含まれる硫黄酸化物、窒素酸化物等の有害ガス成分は、例えば、湿式脱硫処理装置や脱硝触媒による脱硝処理装置等を用いて分離・除去されている。また、より効率の高い有害ガス成分の分離・除去方法として、活性炭を用いる、いわゆる物理吸着法が知られている。
【0003】
他方、昨今では大気中の二酸化炭素量が増加し、温室効果と呼ばれている大気温度の上昇との関係が問題となってきている。二酸化炭素発生量の増加の原因は、化石燃料の燃焼により生ずるものが大半である。このため、発電所や化学プラント等においては、環境面から排ガス中に含まれる二酸化炭素をなるべく大気中に排出させないようにすることが求められている。
【0004】
このような中で、例えば石炭焚きボイラ、製鉄所における高炉、コークス炉、転炉等から排出される排ガスの処理に関しては、窒素酸化物や硫黄酸化物等の有害ガス成分を効率よく除去するとともに、二酸化炭素については効率よく回収する必要があり、有害ガス成分の除去と二酸化炭素の回収とを一連の処理として効率よく連続的に行うことができる排ガスの処理システムが必要とされている。
【0005】
また例えばLNG焚きボイラ等から排出される排ガスの処理に関しては、窒素酸化物等の有害ガス成分を効率よく除去するとともに、二酸化炭素についても効率よく回収する必要があり、有害ガス成分の除去と二酸化炭素の回収とを一連の処理として効率よく連続的に行うための仕組みが必要とされている。
【0006】
そしてこれらの排ガスの処理に関しては、窒素酸化物や硫黄酸化物等の有害ガス成分を効率よく除去するとともに、二酸化炭素についても効率よく回収する必要があり、有害ガス成分の除去と二酸化炭素の回収とを一連の処理として効率よく連続的に行うことができる排ガスの処理システムが必要とされている。
【0007】
ここで排ガスに含まれる二酸化炭素を回収する技術において、排ガスから二酸化炭素を分離する技術はそのための要素技術として重要である。そのような技術として、排ガス中の炭酸ガスをドライアイスとして固化・分離し、さらに加熱・加圧することにより液体の二酸化炭素とする技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。同文献に開示されている方法は、例えば図1に示す方法により実施することができる。同図に示す方法では、まずその外側に冷媒1100を流通させた熱交換器の伝熱管1102の内部に、二酸化炭素を分離しようとするガス1103を流通させ、これによりガス中に含まれる二酸化炭素をドライアイス化(固化)し、捕集容器1104に捕集する。そして捕集容器1104に捕集したドライアイス1105を、捕集容器1104からドライアイス液化装置1106に移し、液体の二酸化炭素1107として回収する。なお、捕集したドライアイス1105を液化しているのは貯留や輸送の便宜の為である。
【0008】
図1に示す方法では、ドライアイスを伝熱管1102の内側に析出させている。このため、析出したドライアイスにより伝熱管1102の管路が閉塞されて、装置の連続運転もしくは自動運転が難しいという問題がある。また固化部である捕集容器1104と液化部であるドライアイス液化装置1106とがそれぞれ別体の装置で構成されているため、二酸化炭素を捕集容器1104からドライアイス液化装置1106に搬送する仕組みも必要である。つまり図1に示す方法では、ガス中から二酸化炭素を分離するプロセスを連続的に効率良く運転することができず、とくに火力発電所や製鉄所等の大量の排ガス発生源に適用しようとする場合には、性能面で必ずしも十分であるとはいえない。
【特許文献1】特開2000−317302号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は以上のような背景に鑑みてなされたものであって、窒素酸化物又は硫黄酸化物、あるいはその両方を含むガスから、有害ガス成分を効率よく除去し、かつ、二酸化炭素を効率よく回収することができるガスの処理方法及びシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明にかかるガス処理方法は、二酸化炭素を含有する第1のガスを、二酸化炭素を固化させる温度で冷却することにより、前記第1のガスに含まれる二酸化炭素を固化させ、前記第1のガスが導入された容器の内部の面に付着させて、前記固化した二酸化炭素が付着した前記面に第2のガスを吹き付けることによって、前記固化した二酸化炭素を前記面より分離し、前記第1のガスから除去することを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかるガス処理方法は、窒素酸化物又は硫黄酸化物の一方をさらに含有する前記第1のガスを、二酸化炭素を固化させないが前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を液化又は固化させる第1の温度に冷却することにより前記第1のガスに含まれる窒素酸化物又は硫黄酸化物を液化又は固化させて前記第1のガスから除去する第1の工程と、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を除去した第1のガスを二酸化炭素を固化させる第2の温度に冷却することにより、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を除去した第1のガスに含まれる二酸化炭素を、固化させ、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を除去した第1のガスが供給された容器の内部の面に付着させて、前記固化した二酸化炭素が付着した前記面に第2のガスを吹き付けることによって、前記固化した二酸化炭素を、前記面より分離し、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を除去した第1のガスから除去する第2の工程を含むことを特徴とする。
【0012】
本ガス処理方法は、前記第1の工程において、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物が液化又は固化する温度以下の温度の冷却媒体に、前記第1のガスを流通させることにより、前記第1のガスに含まれる窒素酸化物又は硫黄酸化物を前記第1のガスから除去することを特徴とする。
【0013】
また、本ガス処理方法は、前記第1の工程により前記第1のガスから分離される前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を含む前記冷却媒体を、前記冷却媒体は気化させるが前記窒素酸化物又は硫黄酸化物は気化させない温度に昇温することにより、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物と前記冷却媒体とを分離する第3の工程を含むことを特徴とする。
【0014】
さらに、本ガス処理方法は、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物から分離される前記冷却媒体を、前記第1のガスを流通させる前記冷却媒体として再利用する第4の工程を含むことを特徴とする。
【0015】
本発明にかかるガス処理方法は、窒素酸化物及び硫黄酸化物をさらに含有する前記第1のガスを、二酸化炭素を固化させないが前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を液化又は固化させる第1の温度に冷却することにより前記第1のガスに含まれる窒素酸化物及び硫黄酸化物を液化又は固化させて前記第1のガスから除去する第1の工程と、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を除去した第1のガスを二酸化炭素を固化させる第2の温度に冷却することにより、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を除去した第1のガスに含まれる二酸化炭素を、固化させ、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を除去した第1のガスが供給された容器の内部の面に付着させて、前記固化した二酸化炭素が付着した前記面に第2のガスを吹き付けることによって、前記固化した二酸化炭素を、前記面より分離し、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を除去した第1のガスから除去する第2の工程を含むことを特徴とする。
【0016】
本ガス処理方法は、前記第1の工程において、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物が液化又は固化する温度以下の温度の冷却媒体に、前記第1のガスを流通させることにより、前記第1のガスに含まれる窒素酸化物及び硫黄酸化物を前記第1のガスから除去することを特徴とする。
【0017】
また、本ガス処理方法は、前記第1の工程により前記第1のガスから分離される前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を含む前記冷却媒体を、前記冷却媒体は気化させるが前記窒素酸化物及び硫黄酸化物は気化させない温度に昇温することにより、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物と前記冷却媒体とを分離する第3の工程を含むことを特徴とする。
【0018】
さらに、本ガス処理方法は、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物から分離される前記冷却媒体を、前記第1のガスを流通させる前記冷却媒体として再利用する第4の工程を含むことを特徴とする。
【0019】
また、本ガス処理方法は、前記第1の工程により前記第1のガスから分離される前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を、硫黄酸化物は気化させるが窒素酸化物は気化させない温度に昇温することにより、硫黄酸化物と窒素酸化物とを分離する第5の工程を含むことを特徴とする。
【0020】
本ガス処理方法において、前記冷却媒体は、例えば、ジメチルエーテル、メタノール、エタノール、トルエン、エチルベンゼンのいずれかを含むことを特徴とする。
【0021】
また、本ガス処理方法は、前記容器が、二酸化炭素が固化する温度以下の温度の冷媒を流通させた冷媒流通装置を有し、前記冷媒流通装置の外部に前記第1のガスを接触させることによって前記第1のガスを冷却させることを特徴とする。
【0022】
ここで、前記冷媒流通装置は、例えば管状であり、前記容器の内部に蛇行して設けられていることが好ましい。
【0023】
また、本ガス処理方法において、前記第1の工程は、前記第1のガスに含まれる水分を前記第1のガスから分離する工程を含むことを特徴とする。
【0024】
さらに、本ガス処理方法において、前記第2のガスが、例えば圧縮ガスであることを特徴とする。
【0025】
また、本ガス処理方法において、前記第1のガスは、例えばLNG焚きボイラから排出される排ガスであってもよい。
【0026】
さらに、本ガス処理方法は、前記面より分離した前記固化した二酸化炭素を回収する回収工程をさらに含むことを特徴とする。
【0027】
また、本ガス処理方法は、前記回収工程において、分離した前記固化した二酸化炭素を前記容器から排出して、ドライアイス回収容器へ入れ、前記ドライアイス回収容器を密閉し、二酸化炭素が液体の状態を取り得る圧力以上に前記ドライアイス回収容器の内部を加圧し、液体二酸化炭素を前記ドライアイス回収容器へ導入し、前記ドライアイス回収容器に存在する前記固化した二酸化炭素の一部又は全部を前記液体二酸化炭素に溶解させ、前記溶解した二酸化炭素の一部又は全部を前記ドライアイス回収容器の外に排出し、排出された前記溶解した二酸化炭素を回収することを特徴とする。
【0028】
本ガス処理方法において、前記液体二酸化炭素は、二酸化炭素貯留槽から前記ドライアイス回収容器へ供給され、前記排出された前記溶解した二酸化炭素は、前記二酸化炭素貯留槽へ回収されることを特徴とする。
【0029】
また、本ガス処理方法において、前記二酸化炭素貯留槽内の圧力は、前記ドライアイス回収容器内の圧力と同一であることを特徴とする。
【0030】
さらに、本ガス処理方法において、前記圧力は、5.11atm以上であることを特徴とする。
【0031】
本発明にかかるガス処理装置は、二酸化炭素を含有する第1のガスを、二酸化炭素を固化させる温度で冷却することにより、前記第1のガスに含まれる二酸化炭素を固化させ、前記第1のガスが導入された容器の内部の面に付着させて、前記固化した二酸化炭素が付着した前記面に第2のガスを吹き付けることによって、前記固化した二酸化炭素を前記面より分離し、前記第1のガスから除去することを特徴とする。
【0032】
また、本発明にかかるガス処理装置は、二酸化炭素を含有する第1のガスから前記二酸化炭素を除去するためのガス処理装置であって、二酸化炭素を含有する前記第1のガスを供給するための第1の入口と、前記二酸化炭素の一部又は全部を除去した後の第1のガスを排出するための第1の出口と、固化した二酸化炭素を排出するための第2の出口とを備えた容器と、前記二酸化炭素を固化させるための冷却装置と、前記冷却装置によって固化した二酸化炭素が付着した前記容器の内部の面に第2のガスを吹き付けるためのガス噴射装置を備え、前記容器は、前記第1の入口より供給される前記第1のガスの量を制御するための手段と、前記第1の出口より排出される前記二酸化炭素の一部又は全部を除去した後の第1のガスの量を制御するための手段を備えることを特徴とする。
【0033】
本ガス処理装置において、前記冷却装置は、二酸化炭素が固化する温度以下の温度の冷媒を流通させるための冷媒流通装置であることを特徴とする。
【0034】
ここで、前記冷媒流通装置は、例えば管状であり、前記容器内部に蛇行して設けられていることが好ましい。
【0035】
また、本ガス処理装置において、前記第2のガスは、例えば圧縮ガスであることを特徴とする。
【0036】
さらに、本ガス処理装置において、前記ガス噴射装置は、オリフィスを備えていることを特徴とする。
【0037】
本発明にかかるガス処理システムは、二酸化炭素、及び窒素酸化物又は硫黄酸化物の一方を含有する第1のガスを、二酸化炭素を固化させないが前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を液化又は固化させる第1の温度に冷却することにより、前記第1のガスに含まれる窒素酸化物又は硫黄酸化物を液化又は固化させて前記第1のガスから除去するための第1の装置と、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を除去した第1のガスを、二酸化炭素を固化させる第2の温度で冷却することにより、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を除去した第1のガスに含まれる二酸化炭素を固化させ、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を除去した第1のガスが導入された容器の内部の面に付着させて、前記固化した二酸化炭素が付着した前記面に第2のガスを吹き付けることによって、前記固化した二酸化炭素を前記面より分離し、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を除去した第1のガスから除去するための第2の装置を備えることを特徴とする。
【0038】
また、本発明にかかるガス処理システムは、二酸化炭素、及び窒素酸化物又は硫黄酸化物の一方を含有する第1のガスから前記二酸化炭素、及び窒素酸化物又は硫黄酸化物を除去するためのガス処理システムであって、前記ガス処理システムは、第1の装置と第2の装置を含み、前記第1の装置は、前記二酸化炭素、及び窒素酸化物又は硫黄酸化物を含有する前記第1のガスを供給するための第4の入口と、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物の一部又は全部を除去した後の第1のガスを排出するための第4の出口と、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を排出するための第5の出口を備えた第1の容器と、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を液化又は固化させるための第1の冷却装置を備え、前記第2の装置は、前記第4の出口から排出された前記窒素酸化物又は硫黄酸化物の一部又は全部を除去した後の第1のガスを供給するための第1の入口と、前記二酸化炭素の一部又は全部を除去した後の第1のガスを排出するための第1の出口と、固化した二酸化炭素を排出するための第2の出口を備えた第2の容器と、前記二酸化炭素を固化させるための第2の冷却装置と、第2の冷却装置によって固化した二酸化炭素が付着した前記容器の内部の面に第2のガスを吹き付けるためのガス噴射装置を備え、前記第1の容器は、前記第4の入口より供給される前記第1のガスの量を制御するための手段と、前記第4の出口より排出される前記窒素酸化物又は硫黄酸化物の一部又は全部を除去した後の第1のガスの量を制御するための手段を備え、前記第2の容器は、前記第1の入口より供給される前記窒素酸化物又は硫黄酸化物の一部又は全部を除去した後の第1のガスの量を制御するための手段と、前記第1の出口より排出される前記二酸化炭素の一部又は全部を除去した後の第1のガスの量を制御するための手段を備えることを特徴とする。
【0039】
本ガス処理システムは、前記第1の冷却装置が、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物が液化又は固化する温度以下の温度の冷却媒体に、前記二酸化炭素、及び窒素酸化物又は硫黄酸化物を含有する第1のガスを流通させることにより、前記第1のガスに含まれる窒素酸化物又は硫黄酸化物を前記第1のガスから除去することを特徴とする。
【0040】
また、本ガス処理システムは、前記第1の装置により前記第1のガスから分離される窒素酸化物又は硫黄酸化物を含む前記冷却媒体を、前記冷却媒体については気化させるが前記窒素酸化物及び硫黄酸化物については気化させない温度に昇温することにより前記窒素酸化物又は硫黄酸化物と前記冷却媒体とを分離する装置を含むことを特徴とする。
【0041】
本発明にかかるガス処理システムは、二酸化炭素、窒素酸化物、及び硫黄酸化物を含有する第1のガスを、二酸化炭素を固化させないが前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を液化又は固化させる第1の温度に冷却することにより、前記第1のガスに含まれる窒素酸化物及び硫黄酸化物を液化又は固化させて前記第1のガスから除去するための第1の装置と、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を除去した第1のガスを、二酸化炭素を固化させる第2の温度で冷却することにより、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を除去した第1のガスに含まれる二酸化炭素を固化させ、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を除去した第1のガスが導入された容器の内部の面に付着させて、前記固化した二酸化炭素が付着した前記面に第2のガスを吹き付けることによって、前記固化した二酸化炭素を前記面より分離し、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を除去した第1のガスから除去するための第2の装置を備えることを特徴とする。
【0042】
また、本発明にかかるガス処理システムは、二酸化炭素、窒素酸化物、及び硫黄酸化物を含有する第1のガスから前記二酸化炭素、窒素酸化物、及び硫黄酸化物を除去するためのガス処理システムであって、前記ガス処理システムは、第1の装置と第2の装置を含み、前記第1の装置は、前記二酸化炭素、窒素酸化物、及び硫黄酸化物を含有する前記第1のガスを供給するための第4の入口と、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物の一部又は全部を除去した後の第1のガスを排出するための第4の出口と、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を排出するための第5の出口を備えた第1の容器と、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を液化又は固化させるための第1の冷却装置を備え、前記第2の装置は、前記第4の出口から排出された前記窒素酸化物及び硫黄酸化物の一部又は全部を除去した後の第1のガスを供給するための第1の入口と、前記二酸化炭素の一部又は全部を除去した後の第1のガスを排出するための第1の出口と、固化した二酸化炭素を排出するための第2の出口とを備えた第2の容器と、前記二酸化炭素を固化させるための第2の冷却装置と、第2の冷却装置によって固化した二酸化炭素が付着した前記容器の内部の面に第2のガスを吹き付けるためのガス噴射装置を備え、前記第1の容器は、前記第4の入口より供給される前記第1のガスの量を制御するための手段と、前記第4の出口より排出される前記窒素酸化物及び硫黄酸化物の一部又は全部を除去した後の第1のガスの量を制御するための手段を備え、前記第2の容器は、前記第1の入口より供給される前記窒素酸化物及び硫黄酸化物の一部又は全部を除去した後の第1のガスの量を制御するための手段と、前記第1の出口より排出される前記二酸化炭素の一部又は全部を除去した後の第1のガスの量を制御するための手段を備えることを特徴とする。
【0043】
本ガス処理システムは、前記第1の冷却装置が、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物が液化又は固化する温度以下の温度の冷却媒体に、前記二酸化炭素、窒素酸化物、及び硫黄酸化物を含有する第1のガスを流通させることにより、前記第1のガスに含まれる窒素酸化物及び硫黄酸化物を前記第1のガスから除去することを特徴とする。
【0044】
また、本ガス処理システムは、前記第1の装置により前記第1のガスから分離される窒素酸化物及び硫黄酸化物を含む前記冷却媒体を、前記冷却媒体については気化させるが前記窒素酸化物及び硫黄酸化物については気化させない温度に昇温することにより前記窒素酸化物及び硫黄酸化物と前記冷却媒体とを分離する装置を含むことを特徴とする。
【0045】
さらに、本ガス処理システムは、前記第1のガスが窒素酸化物及び硫黄酸化物を含有し、前記第1の装置により前記第1のガスから分離される窒素酸化物及び硫黄酸化物を硫黄酸化物は気化させるが窒素酸化物は気化させない温度に昇温することにより前記硫黄酸化物と窒素酸化物とを分離する装置を含むことを特徴とする。
【0046】
また、本ガス処理システムは、前記第1のガスから分離される前記冷却媒体を、前記第1のガスを流通させる前記冷却媒体として再利用する装置を含むことを特徴とする。
【0047】
さらに、本ガス処理システムにおいて、前記冷却媒体は、例えば、ジメチルエーテル、メタノール、エタノール、トルエン、エチルベンゼンのいずれかを含むことを特徴とする。
【0048】
また、本ガス処理システムにおいて、前記第2の冷却装置は、二酸化炭素が固化する温度以下の温度の冷媒を流通させるための冷媒流通装置であることを特徴とする。
【0049】
ここで、前記冷媒流通装置は、例えば管状であり、前記第2の容器内部に蛇行して設けられていることが好ましい。
【0050】
さらに、本ガス処理システムにおいて、前記第2のガスが、例えば、圧縮ガスであることを特徴とする。
【0051】
また、本ガス処理システムにおいて、前記ガス噴射装置は、オリフィスを備えていることを特徴とする。
【0052】
また、本ガス処理システムは、分離した前記固化した二酸化炭素を前記容器又は前記第2の容器から排出して、ドライアイス回収容器へ入れ、前記ドライアイス回収容器を密閉し、二酸化炭素が液体の状態を取り得る圧力以上に前記ドライアイス回収容器の内部を加圧し、液体二酸化炭素を前記ドライアイス回収容器へ供給し、前記ドライアイス回収容器に存在する前記固化した二酸化炭素の一部又は全部を前記液体二酸化炭素に溶解させ、前記溶解した二酸化炭素の一部又は全部を前記ドライアイス回収容器の外に排出するための第3の装置をさらに含むことを特徴とする。
【0053】
さらに、本ガス処理システムは、前述のいずれかに記載のガス処理装置と、前記ガス処理装置から排出された固化した二酸化炭素を回収するドライアイス回収容器を含み、前記ドライアイス回収容器は、第2の出口から排出される前記固化した二酸化炭素を供給するための第2の入口と、液体二酸化炭素を供給するための第3の入口と、前記液体二酸化炭素によって溶解した前記固化した二酸化炭素を排出するための第3の出口と、前記第2の入口より前記固化した二酸化炭素を供給するための供給手段と、前記第3の入口より前記液体二酸化炭素を供給するための液体二酸化炭素供給手段と、前記第3の出口より前記溶解した二酸化炭素を排出するための排出手段と、排出された前記溶解した二酸化炭素を回収するための回収手段とをさらに備えることを特徴とする。
【0054】
また、本ガス処理システムは、前記ガス処理システムから排出された固化した二酸化炭素を回収するドライアイス回収容器をさらに含み、前記ドライアイス回収容器は、第2の出口から排出される前記固化した二酸化炭素を供給するための第2の入口と、液体二酸化炭素を供給するための第3の入口と、前記液体二酸化炭素によって溶解した前記固化した二酸化炭素を排出するための第3の出口と、前記第2の入口より前記固化した二酸化炭素を供給するための供給手段と、前記第3の入口より前記液体二酸化炭素を供給するための液体二酸化炭素供給手段と、前記第3の出口より前記溶解した二酸化炭素を排出するための排出手段と、排出された前記溶解した前記二酸化炭素を回収するための回収手段をさらに備えることを特徴とする。
【0055】
さらに、本ガス処理システムは、前記液体二酸化炭素を供給し、前記溶解した二酸化炭素を貯留するための二酸化炭素貯留槽を備えることを特徴とする。
【0056】
また、本ガス処理システムは、前記二酸化炭素貯留槽の圧力と、前記ドライアイス回収容器内の圧力が同一になるように調節する調節手段を備えることを特徴とする。
【0057】
さらに、本ガス処理システムにおいて、前記圧力は、例えば、5.11atm以上であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0058】
本発明により、窒素酸化物又は硫黄酸化物、あるいはその両方を含むガスから、有害ガス成分を効率よく除去し、かつ、二酸化炭素を効率よく回収することができるガスの処理方法及びシステムを提供することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0059】
以下に、本発明にかかるガスの処理システム(以下、ガス処理システムと称する)の好適な実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。この処理システムは、処理するためのガス中から有害ガスを除去するための有害ガス回収システムと、この有害ガス回収装置で処理されたガスから二酸化炭素を除去するための二酸化炭素回収システムからなる。これらのシステムは、それぞれ独立して設計することができるため、以下に、各システムの構成について、別個に説明する。
【0060】
<有害ガス回収システム及び回収方法>
=第1実施形態=
図2に本発明の第1実施形態として説明するガス処理システムの概略的な構成を示している。このガス処理システムによれば、発電所や化学プラント等における、石炭焚きボイラ・重油焚きボイラ、製鉄所における高炉、コークス炉、転炉等の排ガス発生源10から排出される窒素酸化物や硫黄酸化物等の有害ガス成分を含んだ排ガスについて、当該排ガスに含まれる水分や有害ガス成分を効率よく確実に除去できるだけでなく、排ガスに含まれる二酸化炭素(CO2)を効率よく確実に回収できる。特に、有毒ガスが硫黄酸化物を含んでいる場合に、好適に適用され得る。
【0061】
本実施形態の排ガス処理システムは、まず前プロセスとして、排ガス発生源10から排出される窒素酸化物や硫黄酸化物等の有害ガス成分を含んだ排ガス(ガス)を、熱交換器11及び凝縮器(コンデンサー)13に収容される工業用水に導入することにより室温程度に冷却する。
【0062】
次に第1の工程として室温程度に冷却された排ガスを、脱水塔17において排ガスに含まれる二酸化炭素を液化又は固化させないが、排ガスに含まれる水分、窒素酸化物、及び硫黄酸化物を液化又は固化させるような第1の温度(例えば、−90℃)に冷却することにより、水分、窒素酸化物、及び硫黄酸化物だけを液化又は固化させて、これらを排ガスから分離する。さらに第2の工程として、水分、窒素酸化物、及び硫黄酸化物を除去した排ガスを二酸化炭素回収装置30に導入し、ここで排ガス中に含まれている二酸化炭素を冷却固化させて分離し回収する。回収された二酸化炭素は、その後、ドライアイス回収容器60において液化される。
【0063】
第1の工程においては、例えば排ガス(第1のガスに相当する)を冷却媒体に流通させることによって冷却し、排ガスに含まれる水分、窒素酸化物、及び硫黄酸化物を冷却媒体中で液化又は固化させて媒体と一緒に分離することができる。この場合、分離される有害ガス成分には、冷却媒体が混在しているが、本システムでは、冷却媒体と有害ガス成分との気化温度差を利用する蒸発法により有害ガス成分から冷却媒体を分離して回収し、回収した冷却媒体を再び冷却媒体として再利用することで冷却媒体の有効利用を図っている。
【0064】
この蒸発法においては、加熱エネルギーが必要であるが、冷却媒体として沸点の低いものを採用することによって加熱エネルギーを削減することができる。液化又は固化した有害ガス成分から冷却媒体を分離するためには、冷却媒体は有害ガス成分を液化又は固化させる温度においても固化しない温度範囲を有することが必要である。また、有害ガス成分を効率よく分離できるように、冷却媒体は有害ガス成分を吸収しやすい性質を有している必要がある。さらに、排ガスに含まれる二酸化炭素を効率よく第2の工程で除去できるように、冷却媒体は二酸化炭素が溶けにくい性質を有する必要がある。
【0065】
これらの要求を満たす物質としては、例えばジメチルエーテル(以下、DMEと称する)、無機塩類(塩化ナトリウム、塩化カリウム等)、臭素化合物(臭化リチウム、臭化ブロム等)、エーテル類(ジメチルエーテル、メチルエーテル等)、アルコール類(メタノール、エタノール等)、シリコンオイル類、パラフィン系炭化水素(プロパン、正ブタン等)、オレフィン系炭化水素、トルエン、エチルベンゼン、等がある。なお、冷却媒体から液化もしくは固化した有害ガス成分を分離するためには、冷却媒体と有害ガス成分との沸点差が大きい方が有利である。このような観点から、上記冷却媒体としてはエーテル類、アルコール類が好適であり、例えばジメチルエーテルを用いた場合、−24.9℃以上に加温することにより、ジメチルエーテルは気化し、有害ガス成分は液体状又は固体上のままである。
【0066】
この第1の工程においては、ここで示したように排ガスを冷却媒体に流通させるのではなく、排ガスを冷却媒体を通じた冷媒管などに接触させることにより、排ガスの温度コントロールを行ってもよい。
【0067】
上記システムを用いた、この排ガスの処理システムの具体的な処理プロセスについて順に説明する。まず前処理として、石炭焚きボイラや重油焚きボイラ、製鉄所における高炉、コークス炉、転炉等の排ガス発生源10から排出される、窒素酸化物や硫黄酸化物等の有害ガス成分を含む排ガスが、熱交換器11に導入される。熱交換器11には海水ポンプ12によって供給される海水(例えば25℃)、及び冷凍機40から循環供給されるエチレングリコール等の冷媒が導かれている。排ガス発生源10から導かれる排ガス(例えば55℃)は、熱交換器11を通過することにより上記海水及び冷媒によって室温程度に冷却される。
【0068】
熱交換器において室温程度に冷却された排ガスは、次に凝縮器(コンデンサー)13に導かれる。凝縮器13において、排ガスは当該凝縮器13に収容されている工業用水に導入される。これにより当該排ガスに含まれている水分、水溶性の有害ガス成分(例えば、SO2,NO2の一部)、煤塵等が除去される。排ガスから除去された水分、有害ガス成分、煤塵等を含んだ液化水は、一旦、排水槽14に貯留された後、排水ポンプ15により排水処理装置50に導かれる。
【0069】
一方、凝縮器13を通過した排ガスは、排ガスファン16によって脱水塔17へと導かれる。脱水塔17は、冷却装置(第1の冷却装置に相当する)、第4の入口、第4の出口、第5の出口を備えている。脱水塔17では、排ガスについて更に脱水(除湿)及び有害ガス成分(窒素酸化物や硫黄酸化物等)の除去が行われる。なお、ここで排ガス中の水分を脱水することで、後に行われる排ガス中の二酸化炭素の回収工程において、二酸化炭素を効率よく回収することができる。
【0070】
脱水塔17において、排ガスは脱水塔17の下方側(第4の入口)から導入される。脱水塔17に導入された排ガスは、脱水塔17内に満たされているDMEにバブリング方式により流通される。そしてDMEと熱交換することにより排ガスは冷却される。このときの冷却温度は、排ガス中の水分や窒素酸化物、硫黄酸化物等の有害ガス成分については液化もしくは固化させるが、二酸化炭素については固化させない温度であって、例えば,−90℃である。このような温度に排ガスを冷却することで、有害ガス成分については液化又は固化されて排ガスから分離されるが、二酸化炭素については気体のまま排ガス中に残留することになる。
【0071】
ここで脱水塔17における、有害ガス成分の排ガスからの除去機能を確認すべく、二酸化硫黄(SO2)、一酸化窒素(NO)についての冷却媒体への溶解量を測定した。図3Aにこの測定に用いた装置の構成を示している。この装置210は、模擬排ガスを生成する混合器211、脱水塔17に見立てた模擬排ガスを冷却するための冷却容器212(ここではガラス容器を用いた)、模擬排ガスを冷却容器212に導入するガス導入管213、冷却容器212の上方に溜まったガスを冷却容器212の外に排出するためのガス排出管214を、同図に示すように接続したものである。
【0072】
冷却容器212中の冷却媒体として、トルエン(5℃、液量100cc)を用いた。ガス導入管の開口部は、トルエンの液面よりも下に位置するようにセットされている。また、模擬排ガスとしては、二酸化炭素(CO2)、二酸化硫黄(SO2)、一酸化窒素(NO)、窒素(N2)を混合器によって混合したものを用いた。図3Bに模擬排ガスの組成を示す。ガス排出管214から排出されるガス中の二酸化硫黄(SO2)、一酸化窒素(NO)の濃度測定は、模擬排ガスを一定速度(1l/h)でトルエンに流通させることにより行った。
【0073】
図3Cにおいて、測定結果を、冷却媒体(トルエン)の温度と、二酸化硫黄(SO2)、一酸化窒素(NO)の溶解量(ppm)(飽和溶解量)との関係を表したグラフとともに示す。図中の2つの曲線は、夫々、二酸化硫黄(SO2)の溶解量(ppm)、及び一酸化窒素(NO)の溶解量(ppm)を、SRK(Soave-Redlich-Kwong)法による計算により求めた理論値をプロットして作成した。条件は、常圧,温度−90℃〜30℃,対象物質トルエンとした。
【0074】
また、同グラフにプロットされた「○」印は、上記測定により得られた実測値であり、二酸化硫黄(SO2)についての溶解量は48(ppm)、一酸化窒素(NO)についての溶解量は0.1(ppm)であった。5℃における二酸化硫黄(SO2)の溶解量の理論値は36(ppm)、一酸化窒素(NO)の溶解量の実測値は0.07(ppm)であり、この装置を用いて測定した場合の、二酸化硫黄(SO2)及び一酸化窒素(NO)の飽和溶解量は、SRK法によって理論的に求めた値と一致することが確認できた。従って、脱水塔17における排ガスから有害ガス成分を除去する機能は、正常に作動していることが示された。また、脱水塔17において、排ガスから有害ガス成分を効率よく分離できることを検証することができた。
【0075】
脱水塔17において排ガスが流通されたDMEは、第5の出口から排出され、DME分離塔20へと導かれる。このDME分離塔20に導かれたDMEは液化又は固化した水分及び有害ガス成分を含んでいる。DMEは、ここで、海水と間接的に熱交換して昇温する(例えば−20℃)。この温度において、水分及び有害ガス成分は液体又は固体であり、DMEは気体となる(第3の工程に相当する)。このため、DMEはDME分離塔20の上方に浮上して他成分と分離する。浮上したDMEは、DME分離塔20の上方から回収され、DME冷却塔18に導かれる。DME冷却塔18には、冷凍機40で冷却された冷媒(液体窒素)が、循環ポンプ19により循環的に供給され、DME冷却塔18において、DME分離塔20から供給されるDMEを冷却し、DMEを液化する。再生されたDMEは、再び脱水塔17に導かれる(第4の工程に相当する)。DMEはこのようにして循環させて再利用され、これにより系全体として冷却媒体が効率よく利用されることになる。
【0076】
次にDME分離塔20内に残留した水分(液体又は固体)及び有害ガス成分は、輸送ポンプ21により成分分離塔22に導かれる。ここで水分及び有害ガス成分は、海水と間接的に熱交換されて昇温する(例えば5℃)。この温度において、水分及び二酸化窒素は液体であり、二酸化硫黄は気体となる(第5の工程に相当する)。昇温して気体となった二酸化硫黄は、成分分離塔22の上方から排出された後、熱交換器11へと導かれ、排ガス発生源10から導かれる排ガス(例えば55℃)を冷却するための冷媒として利用される。このように二酸化硫黄が冷媒として利用されることで、系全体としてのエネルギー消費量が抑えられることになる。
【0077】
この二酸化硫黄は、冷媒として熱交換器11で例えば45℃に加熱され、その後は煙突51に導かれて系外に排出される。また、成分分離塔22内に残留する二酸化硫黄以外の液化水や二酸化窒素等の有害ガス成分は、排水処理装置50へと導かれる。
【0078】
脱水塔17の上方に浮上してくる二酸化炭素を含んだ排ガスは、第4の出口から排出され、リバーシブル熱交換器23へと導かれる。脱水塔17からリバーシブル熱交換器23に導かれた排ガスは、ここで冷却された後、二酸化炭素回収装置30に導かれる。
【0079】
二酸化炭素回収装置30は、排ガス中に含まれている二酸化炭素を、排ガスから分離して回収する装置である。二酸化炭素回収装置30に導かれた排ガスは、二酸化炭素回収装置30において冷凍機40を通って循環されている冷媒(例えば、液体窒素)と間接的に熱交換されて冷却される。二酸化炭素回収装置30からドライアイスとして排出された二酸化炭素は、その後、ドライアイス回収容器60において液化する。二酸化炭素回収装置30の詳細な構成及び機能、ならびに、その二酸化炭素回収装置30及びドライアイス回収容器60を用いた二酸化炭素回収システム70については後述する。
【0080】
液化した二酸化炭素は、二酸化炭素貯留槽121に送られて貯留される。一方、二酸化炭素回収装置30において二酸化炭素が分離された後の排ガスは、リバーシブル熱交換器23に導入されて冷媒として用いられた後、熱交換器11に導かれる。排ガスは熱交換器11において再び冷媒として利用された後、煙突51から系外に大気放出される。ここで大気放出される排ガスは、すでに二酸化炭素が除去されており、ガス中に含まれる二酸化炭素の濃度は非常に低い。
【0081】
ところで、上述した冷凍機40は、タービン式の圧縮機41(窒素昇圧機)、循環窒素圧縮機42、冷媒を膨張させて低温を得る凝縮器43、冷媒である液体窒素とエチレングリコールや別系統で流通される液体窒素とを熱交換させる熱交換器44、等を備え、冷媒としての窒素ガスを冷却する。冷凍機40は、例えば電気エネルギー等のエネルギーによって繰り返し圧縮・膨張させることにより窒素ガスを冷却する。冷却により製造された液体窒素は、熱交換器11に循環されるエチレングリコールの冷却や、DME冷却塔18、二酸化炭素回収装置30などに循環される当該液体窒素とは別系統で流通される液体窒素等の冷媒の冷却に用いられる。
【0082】
以上に説明したように、本実施形態の排ガス処理システムにあっては、石炭焚きボイラ、重油焚きボイラ、製鉄所における高炉、コークス炉、転炉等から排出される窒素酸化物や硫黄酸化物等の有害ガス成分を含んだ排ガスについて、当該排ガスに含まれる水分や有害ガス成分を効率よく除去することができる。また、このように水分や有害ガス成分を効率よく除去しつつ、排ガスに含まれる二酸化炭素を効率よく回収することができる。
【0083】
なお、以上の説明において、排ガスからの除去対象となる有害ガスとしては、例えば、一酸化炭素、一酸化窒素等の他の窒素酸化物(NOX)、一酸化硫黄等の他の硫黄酸化物(SOX)、フッ化水素などのハロゲン化合物等があり、二酸化炭素の固化温度及び有害ガス成分の液化又は固化温度を適切に設定し、上記の冷却媒体として適切なものを選択することにより、これらの有害ガス成分を効率よく除去することができる。すなわち、これら以外の種類の有害ガスを含む排ガスを冷却媒体に流通させて第1の温度に冷却することにより、排ガスに含まれる有害ガスを液化又は固化させて排ガスから分離し、排ガスを前記第1の温度よりも低い第2の温度に冷却することにより、前記排ガスに含まれる二酸化炭素を固化させて前記排ガスから分離する構成からなる排ガスの処理システムを実現することができる。
【0084】
=第2実施形態=
本発明にかかる排ガス処理システムにおいては、脱水塔17のあとに、固液分離装置28を設けてもよい。脱水塔17において排ガスを流通させたことにより、液化又は固化した水分及び有害ガス成分を含むこととなったDMEは、シャーベット状態(スラリー)になっており、この固液分離装置28では、DMEと、当該DMEに含まれる固化物とが分離される。固液分離装置28により分離された後のDMEは、再利用するため、DME分離塔20へと導かれる。この固液分離装置28は、LNG焚きボイラ等から発生する排ガスのように、処理する排ガスに固化物(例えば、水分,NO2)が含まれている場合、好適に使用できる。
【0085】
また、LNG焚きボイラ等から発生する排ガスのように、硫黄酸化物が含まれていない排ガスに関しては、DME分離塔20でDMEを分離した後、成分分離塔22を設ける必要がない。
【0086】
そこで、これらの部分変更を兼ね備えた典型的な例として、LNG焚きボイラ等から発生する排ガスに対する排ガス処理システムの概略的な構成を、本発明の第2の実施形態として、図4に示した。
【0087】
本実施形態において、冷凍/熱交換器44では、LNGの気化熱を利用して、熱交換器11に循環されるエチレングリコールや、DME冷却塔18、二酸化炭素回収装置30などに循環される液体窒素等の冷媒を冷却することができる。例えば、LNGをガス燃料として用いている発電所において、LNGは例えば−150℃〜−165℃の液体の状態で輸送されてLNGタンク61等に貯留される。ここでLNGをガス燃料として使用する際には、大気や海水から気化熱を得て昇温させて気化するが、冷凍/熱交換器44は、この際の気化熱を利用してエチレングリコールや液体窒素等の冷媒を冷却してもよい。つまり排ガスもしくは冷却媒体は、LNGをガス燃料として用いた場合に生じる気化熱を利用して冷却される。なお、LNGの気化熱を利用して排ガスに含まれる二酸化炭素を固化・分離する技術については、例えば、特開平8−12314号公報等に記載されている。
【0088】
<二酸化炭素回収システム>
=第1実施形態=
図5は本発明の一実施形態として説明する二酸化炭素回収システム70の概略的な構成図である。
【0089】
本実施形態の二酸化炭素回収システム70は、二酸化炭素回収装置30とドライアイス回収容器60から構成されている。ここで、二酸化炭素回収装置30は、容器103、冷却装置109、ガス噴射装置110から構成されており、第1の入口106、第1の出口107、第2の出口108を備えている。また、ドライアイス回収容器60は、第2の入口115、第3の入口111、第3の出口112を備えている。
【0090】
容器103は、鉛直に配置される2つの第1の円筒管104と、これら第1の円筒管104の下方に水平に(すなわち、第1の円筒管104に対して垂直に)配置し、第1の円筒管104の夫々の内部と連通する、第2の円筒管105を設ける。ここで、円筒管の材質としては、例えば、SUS304などが挙げられる。一方の第1の円筒管104の上面所定位置には、二酸化炭素を含有するガスを供給する第1の入口106を設ける。また、もう一方の第1の円筒管104の上面所定位置には、二酸化炭素の一部又は全部を除去した後のガスを容器103の外部に排出する第1の出口107を設ける。なお、容器103内に存在するガスが、第1の出口から適切な量だけ排出されているかを確認するために、差圧計124を設けてもよい。さらに、容器103の下面所定位置(第2の円筒管105の下面所定位置)には、容器103の底(第2の円筒管105の底)に溜まる固化した二酸化炭素(以下、ドライアイスとも呼ぶ)を排出するための第2の出口108を設ける。
【0091】
なお、本実施形態では、第1円筒管104を2つ使用しているが、この数は特に限定されず、3つ以上使用してもよい。
【0092】
また、本実施形態では、容器103は、2つの円筒管を含む形状としたが、直方体の形状であっても構わない。直方体の形状の容器を用いる場合は、第1の入口106から供給したガスを容器103内に所定時間以上滞在させるべく、第1の出口107は第1の入口106から所定距離だけ離間させた位置に設けることが好ましい。
【0093】
第1の入口106に連結する配管には、第1のガスの供給量を制御するための手段の一例として制御バルブ113を設ける。また第1の出口107に連結する配管には、ガスの排出量を制御するための手段の一例として制御バルブ114を設ける。また第2の出口108に連結する配管には、排出させるドライアイスの量を制御するための手段の一例として制御バルブ116を設ける。そのため、ドライアイスは、制御バルブ116を開栓すると容器103に設けられている第2の出口108から排出され、ドライアイス回収容器60に備えられている第2の入口115へと供給される。なお、容器103内に存在するドライアイスをドライアイス回収容器60へ供給する場合、真空ポンプを用いてもよい。
【0094】
上記の制御バルブ113,114,116、及び後述のガス噴射装置110のガス噴射口225の全てを閉じることにより、容器103内は完全に密閉した状態となる。
【0095】
容器103を冷却するために、容器103に冷却装置109を設ける。本実施例では、この冷却装置109は、容器103の外部に設ける。具体的には、図5に示すように容器103全体を覆うような形態の冷却装置でもよく、容器103に冷媒流通管などを巻いて容器103を外部から冷却するような形態の冷却装置でもよく、冷却装置109の形態は特に限定されない。冷却装置において使用し得る冷媒としては、二酸化炭素を固化させる温度以下まで冷却させることができる冷媒であることが好ましく、例えば、液体窒素が挙げられる。なお、液体窒素を冷媒として用いる場合、冷媒となる液体窒素は、冷凍機40から供給されるようにする。
【0096】
容器103内で、二酸化炭素が固化する際、容器103の内面により多く付着させるために、容器103の内側面へのドライアイスの接触面積を稼ぐべく、容器103の内側面にスクリュー状のフインを形成させてもよい。
【0097】
ドライアイスを容器103の内面に付着させたままでは、冷却された容器103内面に二酸化炭素が付着できる面積が減少してしまうため、ドライアイスの回収量は減少するとともに、容器103内のガスの通路を塞ぐため、ガスの通過量が減少する。この問題を解決するために、図7に示すガス噴射装置110を設け、これにより、ドライアイスが付着した面に第2のガスを吹き付けることによって、容器103の内面に付着したドライアイスを内面から剥離する。ここで使用し得る第2のガスは、代表的には、圧縮ガス(例えば、圧力0.3MPa以上の窒素又は二酸化炭素)であるが、アセチレンガス又は液化ガスなどの高圧ガスを使用してもよい。また、ここで使用できるガス噴射装置110は、例えば、市販されているガス噴射口(会社名:スプレーイングシステムジャパン株式会社製、製品番号:HHSJ、材質:SUS304)などが挙げられ、容器103のどこに設けてもよい。本実施形態においては、図7に示すように、ガス噴射口225、ガス出口227、及び第2のガスの流量を制御するオリフィス226から構成されているガス噴射装置を用いている。このガス噴射装置は、容器104の壁を貫通して設けられており、容器104の外側のガス噴射口225から第2のガスが供給される。
【0098】
具体例としては、図9に示すように、二酸化炭素貯留槽121(例えば、材質:SUS304、設計圧力:2.35MPa、貯蔵量寸法:(容量2700Kgの場合)高さ3.7m、外径1.7m、保冷構造:真空断熱)内にある液体二酸化炭素の量が所定以上ある場合には、その液体二酸化炭素を高圧ガス貯留槽228(例えば、材質:SUS304、使用圧力:2MPa、厚さ:5mm)へ供給して加熱し、高圧ガス貯留槽228内の圧力が2MPa以上になった時に、ガス噴射口225(例えば、材質:SUS304、噴射角度:90℃、噴射範囲:円形、噴射圧力:1MPa)よりドライアイスが付着した面に二酸化炭素(第2のガス)を吹き付けるような装置が考えられる。この時、ガス噴射口225内外の圧力の差は0.5MPa以下とするのが好ましい。
【0099】
又は、図10に示すように、窒素(気化した窒素や、冷凍機40由来の気化した窒素などを用いる)を含有するガスが含まれているボンベ229内の圧力が1MPa以上になった時に、ガス噴射口225(例えば、材質:SUS304、噴射角度:90℃、噴射範囲:円形、噴射圧力:1MPa)よりドライアイスが付着した面に窒素(第2のガス)を吹き付けるような装置でもよい。この時も、ガス噴射口225内外の圧力の差が0.5MPa以下とするのが好ましい。
【0100】
本実施形態のガス噴射装置110には、その装置内にオリフィス226を設けているので、噴射するガスの圧力はオリフィス前で高められる。そして、このように高圧化されたガスが、オリフィスを通過し、ドライアイスが付着した面に対して広範囲に噴射されるので、ドライアイスを効果よく分離させることができる。
【0101】
また、容器103内において二酸化炭素を効率よく固化するために、容器103内のガスの温度を計測するセンサや、冷却装置109表面の温度を計測するセンサ等の各種センサを容器103に設けてもよい。なお、各センサの出力値は、計測機器又はコンピュータによって制御してもよい。また、容器103の所定位置に小窓を設け、ドライアイスが作製されているか否か目視によって確認してもよい。
【0102】
ドライアイス回収容器60は、第2の円筒管105の内部と連通している。
二酸化炭素貯留槽121は、ドライアイス回収容器60の第2の入口へ供給される液体状の二酸化炭素を貯留する容器であり、かつ、ドライアイス回収容器60の第3の出口112から排出される液体状の二酸化炭素を貯留する容器である。なお、二酸化炭素貯留槽121内の二酸化炭素を加温するために、二酸化炭素貯留槽121の壁面に伝熱管(伝熱器)122を埋設してもよいし、電熱式のヒーター(例えばシリコンゴムヒーター、フッ素樹脂ヒーター)を設けてもよい。伝熱管(伝熱器)122を用いる場合、伝熱管122の上流には伝熱管122に流通させる熱媒体の流量を制御するための手段の一例として制御バルブを設けることが好ましい。なお、上記熱媒体は、例えば乾きガスであることが好ましく、この熱媒体は熱源123から伝熱管122に輸送される。また、伝熱管122は二酸化炭素貯留槽121の壁面に埋設させるのではなく、二酸化炭素貯留槽121の内部に設けてもよい。
【0103】
=第2実施形態=
本実施形態では、容器103を冷却するための冷却装置109を容器103の内部に設ける。例えば、図6に示すように冷媒流通管217を第1の円筒管104の内部に挿入する。具体的には、例えば、長さ900mm×20本、管外表面積7.1m2、材質:銅管(フィン付)のような管として作製すればよい。挿入する冷媒流通管は、容器103の内部に流通させるガスとの間の接触面積を十分に確保するために、容器103の内部において2本に分岐させてもよい。また、第1の円筒管104の内部で蛇行させることによって、ガスとの間の接触面積が十分に確保してもよい。冷媒となる液体窒素は、第1の円筒管104の上面所定位置に設けられた入口218から供給し、出口219から排出させる。冷媒流通管217の上流には、冷媒の流量を制御するための手段の一例として制御バルブ220を設ける。
【0104】
容器103内に供給されたガスは、二酸化炭素が固化する温度まで上記の方法によって冷却されるので、ガスに含まれる二酸化炭素は、容器103内で固化し、容器103の内部にある冷媒流通管217の外面に付着する。このドライアイスを、付着面から剥離するため、容器103にガス噴射装置110を設ける。
【0105】
<二酸化炭素回収方法>
以下、上記いずれかの二酸化炭素回収システムを用いて、二酸化炭素回収装置30からドライアイス回収容器60に供給されたドライアイスを回収する方法について説明する。なお、初期状態では、制御バルブ113,114,116、225は全て閉じられているものとする。
【0106】
まず、冷却装置109を起動させ、容器103内部の冷却を開始する。この際、二酸化炭素が固化する温度まで、容器103の内側面の温度を低下させる。即ち、図8に示すように、二酸化炭素の昇華点は1atmで-78.5℃であるため、容器103内の圧力が1atmの場合、容器103の内側面の温度は少なくとも-78.5℃以下にする。
【0107】
容器103の内側面の温度が上記温度に達した後、制御バルブ113及び制御バルブ114を開いて制御バルブ113から二酸化炭素を含有する第1のガスを供給し、容器103への第1のガスの供給を開始する。ここで容器103を流通する第1のガスは、容器103内において冷却装置109によって冷却され、ガス中に含まれる二酸化炭素が、容器103の内側面においてドライアイスとして析出してくる。二酸化炭素を除去されたガスは、容器103内を移動して制御バルブ114から容器103の外に排出される。
【0108】
次に、ガス噴射装置110を起動させて、ドライアイスが付着した面に第2のガスを吹き付けることによってドライアイスを剥離させ、容器103の底(第2の円筒管の底)へ落とす。落ちたドライアイスは、容器103の底(第2の円筒管の底)に蓄積する。ここで、ガス噴射装置110を起動させる条件としては、例えば、(1)容器103の第1の入口106と第1の出口107に差圧計124を設け、容器103の第1の入口106と第1の出口107との圧力の差がある一定以上となった場合、(2)容器103の底(第2の円筒管105の底)に蓄積されるドライアイスの量がある値より少なかった場合(例えば、二酸化炭素の量が目標値の5%以下だった場合等)、(3)制御バルブ116が開いている場合、などとし、これらに連動してガス噴射装置110を起動させてもよい。また、ドライアイスが第1の円筒管104の下部の内面に蓄積していると、容器103の通路が狭くなり、ガス噴射装置110を起動させても上部に存在するドライアイスを容器103の底(第2の円筒管の底)に落とすことができないので、例えば、第1の円筒管104にガス噴射装置110を3つ設けた場合、ガス噴射装置110の起動は、下段、中段、上段の順に行うことが好ましい。
【0109】
容器103の底(第2の円筒管105の下面)に蓄積させたドライアイスの量が所定量に達したところで、制御バルブ113及び制御バルブ114を閉じる。なお、制御バルブ113及び制御バルブ114を閉じるタイミングとしては、例えば、容器103又は第2の円筒管105の側面に小窓を設け、目視にて、ドライアイスが容器103の底(第2の円筒管105の底)に蓄積したことを確認した時としてもよい。
【0110】
最後に、制御バルブ116を開いて、容器103の底(第2の円筒管105の底)にあるドライアイスを、容器103の外部へ排出し、二酸化炭素を回収する。
【0111】
以上に説明したように、本実施形態の二酸化炭素回収装置30によれば、容器103の内側面に付着したドライアイスを、ガス噴射装置110を用いて剥離させることができるので、効率よくドライアイスを回収することができる。さらに、本実施形態の二酸化炭素回収装置30は、容器103内においてドライアイスを蓄積させることがないので、連続して運転させることができる。
【0112】
次に、上述した二酸化炭素回収装置30によって回収されたドライアイスは、ドライアイス回収容器60の第2の入口115を通じて、ドライアイス回収容器60に入り、そこで蓄積する。
【0113】
次に伝熱管122に熱媒体を流通させ、二酸化炭素貯留槽121内の温度、及び圧力を上昇させ、二酸化炭素貯留槽121に存在する二酸化炭素を液状化させる。
【0114】
次に、二酸化炭素貯留槽121内の液体二酸化炭素を、ドライアイス回収容器60の第3の入口111へ供給し、ドライアイス回収容器60内のドライアイスを液状化させる。この時、図8に示すように、二酸化炭素の三重点は、5.11atm/-56.6℃であるため、ドライアイス回収容器60内のドライアイスを液状化させるにはドライアイス回収容器60内の圧力も5.11atm以上に上昇させていなければならない。そのため、ドライアイス回収容器60内のドライアイスを容易に液状化させるためには、ドライアイス回収容器60内の圧力を、二酸化炭素貯留槽121内の圧力と同一にさせておくことが好ましい。
【0115】
ドライアイス回収容器60内のドライアイスが液状になると、ドライアイス回収容器60内に存在する液体二酸化炭素を、ドライアイス回収容器60の第3の出口112から排出し、二酸化炭素貯留槽121へ供給し、二酸化炭素貯留槽121内において液体二酸化炭素を貯留する。この液体二酸化炭素は、ドライアイス回収容器60内のドライアイスを液状化させるために、再度ドライアイス回収容器60の第3の入口111へ供給してもよい。
【0116】
ここで、二酸化炭素回収システム70を開始させる条件としては、例えば、容器103の底(第2の円筒管105の底)に蓄積されるドライアイスの量が、所定レベル蓄積した場合や、ガス噴射装置110を起動させた直後としてもよい。
【0117】
また、二酸化炭素回収システム70で使用されるドライアイス回収容器60の数は、特に制限されないが、上記のようにドライアイスを液化させる場合は、ドライアイス回収容器60内の圧力を上昇させるため、ドライアイス回収容器の第2の入口115、第3の入口111及び第3の出口112は閉鎖していなければならない。そのため、ドライアイスを容器103内で作製し、そのドライアイスをドライアイス回収容器60内において効率よく液状化させるためにも、ドライアイス回収容器60は1個以上設けることが好ましい。
【0118】
さらに、例えば、制御バルブ113,114,116をそれぞれ電磁バルブとするとともに、各電磁バルブを制御するための制御ラインをコンピュータに接続し、コンピュータのハードウエアや当該ハードウエアで動作する制御ソフトウエアにより、上記電磁バルブを遠隔制御するようにしてもよい。また、上記各種センサの出力値に基づいて、上述したプロセスの全部又は一部を自動で実行させるようにしてもよい。
【0119】
なお、ドライアイス回収容器60を容器103と一体化させ、容器103内において液体二酸化炭素を作製することもできる。この場合、容器内を加圧しなければならないため、容器103の素材は耐圧性であることが要求される。
【0120】
しかしながら、本実施形態のようにドライアイス回収容器60を容器103と別に設けることにより、ドライアイスを液状化させるために容器103を使用する必要がなくなる。従って、容器103内の環境(温度や圧力など)を変更する必要がなくなるため、容器103内において、ドライアイスを連続して分離し、回収することが可能になる。
【0121】
以上、複数の実施形態について説明したが、これらの実施形態の説明は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】二酸化炭素を分離する技術の一つを説明する図である。
【図2】本発明の一実施形態において、排ガス処理システムの概略的な構成を示す図である。
【図3A】本発明の一実施形態において、二酸化硫黄、一酸化窒素等についての冷却媒体への溶解量の測定に用いた装置の構成を示す図である。
【図3B】本発明の一実施形態において、模擬排ガスの組成を示す図である。
【図3C】本発明の一実施形態において、二酸化硫黄、一酸化窒素についての冷却媒体への溶解量の測定結果を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態において、排ガス処理システムの概略的な構成を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態において、ガス処理システムの概略的な構成を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態において、ガス処理システムの概略的な構成を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態において、ガス噴射装置を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態において、二酸化炭素のT−P(温度−圧力)線図を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態において、圧縮ガスを吹き付けるための装置の具体例を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態において、圧縮ガスを吹き付けるための装置の具体例を示す図である。
【符号の説明】
【0123】
10 排ガス発生源/11 熱交換器/12 海水ポンプ/13 凝縮器(コンデンサー)/14 排水槽/15 排水ポンプ/16 排ガスファン/17 脱水塔/18 DME冷却塔/19 循環ポンプ/20 DME分離塔/21 輸送ポンプ/22 成分分離塔/23 リバーシブル熱交換器/28 固液分離装置/30 二酸化炭素回収装置
40 冷凍機/41 窒素昇圧機/42 循環窒素圧縮機/43 凝縮器/44 熱交換器/50 排水処理装置/51 煙突/60 ドライアイス回収容器/61 LNGタンク/70 二酸化炭素回収システム/103 容器/104 第1の円筒管/105 第2の円筒管/106 第1の入口/107 第1の出口/108 第2の出口/109 冷却装置/110 ガス噴射装置/111 第3の入口/112 第3の出口/113 制御バルブ/114 制御バルブ/115 第2の入口/116 制御バルブ/121 二酸化炭素貯留槽/122 伝熱管/123 熱源/124 差圧計/125 制御バルブ/126 制御バルブ/210 装置/211 混合器/212 冷却容器/213 ガス導入管/214 ガス排出管 /217 冷媒流通管/218 液体窒素入口/219 液体窒素出口/220 制御バルブ/225 ガス噴射口/226 オリフィス/227 ガス出口/228 高圧ガス貯留槽/229 ボンベ/1100 冷媒/1101 容器/1102 伝熱管/1103 ガス/1104 捕集容器/1105 ドライアイス/1106 ドライアイス液化装置/1107 液体の二酸化炭素
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスの処理方法及びシステムに関する。また、本発明は、二酸化炭素回収方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
発電所や化学プラント等における石炭焚きボイラ、製鉄所における高炉、コークス炉、転炉等から排出される排ガス中に含まれる硫黄酸化物、窒素酸化物等の有害ガス成分は、例えば、湿式脱硫処理装置や脱硝触媒による脱硝処理装置等を用いて分離・除去されている。また、より効率の高い有害ガス成分の分離・除去方法として、活性炭を用いる、いわゆる物理吸着法が知られている。
【0003】
他方、昨今では大気中の二酸化炭素量が増加し、温室効果と呼ばれている大気温度の上昇との関係が問題となってきている。二酸化炭素発生量の増加の原因は、化石燃料の燃焼により生ずるものが大半である。このため、発電所や化学プラント等においては、環境面から排ガス中に含まれる二酸化炭素をなるべく大気中に排出させないようにすることが求められている。
【0004】
このような中で、例えば石炭焚きボイラ、製鉄所における高炉、コークス炉、転炉等から排出される排ガスの処理に関しては、窒素酸化物や硫黄酸化物等の有害ガス成分を効率よく除去するとともに、二酸化炭素については効率よく回収する必要があり、有害ガス成分の除去と二酸化炭素の回収とを一連の処理として効率よく連続的に行うことができる排ガスの処理システムが必要とされている。
【0005】
また例えばLNG焚きボイラ等から排出される排ガスの処理に関しては、窒素酸化物等の有害ガス成分を効率よく除去するとともに、二酸化炭素についても効率よく回収する必要があり、有害ガス成分の除去と二酸化炭素の回収とを一連の処理として効率よく連続的に行うための仕組みが必要とされている。
【0006】
そしてこれらの排ガスの処理に関しては、窒素酸化物や硫黄酸化物等の有害ガス成分を効率よく除去するとともに、二酸化炭素についても効率よく回収する必要があり、有害ガス成分の除去と二酸化炭素の回収とを一連の処理として効率よく連続的に行うことができる排ガスの処理システムが必要とされている。
【0007】
ここで排ガスに含まれる二酸化炭素を回収する技術において、排ガスから二酸化炭素を分離する技術はそのための要素技術として重要である。そのような技術として、排ガス中の炭酸ガスをドライアイスとして固化・分離し、さらに加熱・加圧することにより液体の二酸化炭素とする技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。同文献に開示されている方法は、例えば図1に示す方法により実施することができる。同図に示す方法では、まずその外側に冷媒1100を流通させた熱交換器の伝熱管1102の内部に、二酸化炭素を分離しようとするガス1103を流通させ、これによりガス中に含まれる二酸化炭素をドライアイス化(固化)し、捕集容器1104に捕集する。そして捕集容器1104に捕集したドライアイス1105を、捕集容器1104からドライアイス液化装置1106に移し、液体の二酸化炭素1107として回収する。なお、捕集したドライアイス1105を液化しているのは貯留や輸送の便宜の為である。
【0008】
図1に示す方法では、ドライアイスを伝熱管1102の内側に析出させている。このため、析出したドライアイスにより伝熱管1102の管路が閉塞されて、装置の連続運転もしくは自動運転が難しいという問題がある。また固化部である捕集容器1104と液化部であるドライアイス液化装置1106とがそれぞれ別体の装置で構成されているため、二酸化炭素を捕集容器1104からドライアイス液化装置1106に搬送する仕組みも必要である。つまり図1に示す方法では、ガス中から二酸化炭素を分離するプロセスを連続的に効率良く運転することができず、とくに火力発電所や製鉄所等の大量の排ガス発生源に適用しようとする場合には、性能面で必ずしも十分であるとはいえない。
【特許文献1】特開2000−317302号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は以上のような背景に鑑みてなされたものであって、窒素酸化物又は硫黄酸化物、あるいはその両方を含むガスから、有害ガス成分を効率よく除去し、かつ、二酸化炭素を効率よく回収することができるガスの処理方法及びシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明にかかるガス処理方法は、二酸化炭素を含有する第1のガスを、二酸化炭素を固化させる温度で冷却することにより、前記第1のガスに含まれる二酸化炭素を固化させ、前記第1のガスが導入された容器の内部の面に付着させて、前記固化した二酸化炭素が付着した前記面に第2のガスを吹き付けることによって、前記固化した二酸化炭素を前記面より分離し、前記第1のガスから除去することを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかるガス処理方法は、窒素酸化物又は硫黄酸化物の一方をさらに含有する前記第1のガスを、二酸化炭素を固化させないが前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を液化又は固化させる第1の温度に冷却することにより前記第1のガスに含まれる窒素酸化物又は硫黄酸化物を液化又は固化させて前記第1のガスから除去する第1の工程と、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を除去した第1のガスを二酸化炭素を固化させる第2の温度に冷却することにより、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を除去した第1のガスに含まれる二酸化炭素を、固化させ、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を除去した第1のガスが供給された容器の内部の面に付着させて、前記固化した二酸化炭素が付着した前記面に第2のガスを吹き付けることによって、前記固化した二酸化炭素を、前記面より分離し、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を除去した第1のガスから除去する第2の工程を含むことを特徴とする。
【0012】
本ガス処理方法は、前記第1の工程において、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物が液化又は固化する温度以下の温度の冷却媒体に、前記第1のガスを流通させることにより、前記第1のガスに含まれる窒素酸化物又は硫黄酸化物を前記第1のガスから除去することを特徴とする。
【0013】
また、本ガス処理方法は、前記第1の工程により前記第1のガスから分離される前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を含む前記冷却媒体を、前記冷却媒体は気化させるが前記窒素酸化物又は硫黄酸化物は気化させない温度に昇温することにより、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物と前記冷却媒体とを分離する第3の工程を含むことを特徴とする。
【0014】
さらに、本ガス処理方法は、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物から分離される前記冷却媒体を、前記第1のガスを流通させる前記冷却媒体として再利用する第4の工程を含むことを特徴とする。
【0015】
本発明にかかるガス処理方法は、窒素酸化物及び硫黄酸化物をさらに含有する前記第1のガスを、二酸化炭素を固化させないが前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を液化又は固化させる第1の温度に冷却することにより前記第1のガスに含まれる窒素酸化物及び硫黄酸化物を液化又は固化させて前記第1のガスから除去する第1の工程と、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を除去した第1のガスを二酸化炭素を固化させる第2の温度に冷却することにより、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を除去した第1のガスに含まれる二酸化炭素を、固化させ、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を除去した第1のガスが供給された容器の内部の面に付着させて、前記固化した二酸化炭素が付着した前記面に第2のガスを吹き付けることによって、前記固化した二酸化炭素を、前記面より分離し、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を除去した第1のガスから除去する第2の工程を含むことを特徴とする。
【0016】
本ガス処理方法は、前記第1の工程において、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物が液化又は固化する温度以下の温度の冷却媒体に、前記第1のガスを流通させることにより、前記第1のガスに含まれる窒素酸化物及び硫黄酸化物を前記第1のガスから除去することを特徴とする。
【0017】
また、本ガス処理方法は、前記第1の工程により前記第1のガスから分離される前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を含む前記冷却媒体を、前記冷却媒体は気化させるが前記窒素酸化物及び硫黄酸化物は気化させない温度に昇温することにより、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物と前記冷却媒体とを分離する第3の工程を含むことを特徴とする。
【0018】
さらに、本ガス処理方法は、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物から分離される前記冷却媒体を、前記第1のガスを流通させる前記冷却媒体として再利用する第4の工程を含むことを特徴とする。
【0019】
また、本ガス処理方法は、前記第1の工程により前記第1のガスから分離される前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を、硫黄酸化物は気化させるが窒素酸化物は気化させない温度に昇温することにより、硫黄酸化物と窒素酸化物とを分離する第5の工程を含むことを特徴とする。
【0020】
本ガス処理方法において、前記冷却媒体は、例えば、ジメチルエーテル、メタノール、エタノール、トルエン、エチルベンゼンのいずれかを含むことを特徴とする。
【0021】
また、本ガス処理方法は、前記容器が、二酸化炭素が固化する温度以下の温度の冷媒を流通させた冷媒流通装置を有し、前記冷媒流通装置の外部に前記第1のガスを接触させることによって前記第1のガスを冷却させることを特徴とする。
【0022】
ここで、前記冷媒流通装置は、例えば管状であり、前記容器の内部に蛇行して設けられていることが好ましい。
【0023】
また、本ガス処理方法において、前記第1の工程は、前記第1のガスに含まれる水分を前記第1のガスから分離する工程を含むことを特徴とする。
【0024】
さらに、本ガス処理方法において、前記第2のガスが、例えば圧縮ガスであることを特徴とする。
【0025】
また、本ガス処理方法において、前記第1のガスは、例えばLNG焚きボイラから排出される排ガスであってもよい。
【0026】
さらに、本ガス処理方法は、前記面より分離した前記固化した二酸化炭素を回収する回収工程をさらに含むことを特徴とする。
【0027】
また、本ガス処理方法は、前記回収工程において、分離した前記固化した二酸化炭素を前記容器から排出して、ドライアイス回収容器へ入れ、前記ドライアイス回収容器を密閉し、二酸化炭素が液体の状態を取り得る圧力以上に前記ドライアイス回収容器の内部を加圧し、液体二酸化炭素を前記ドライアイス回収容器へ導入し、前記ドライアイス回収容器に存在する前記固化した二酸化炭素の一部又は全部を前記液体二酸化炭素に溶解させ、前記溶解した二酸化炭素の一部又は全部を前記ドライアイス回収容器の外に排出し、排出された前記溶解した二酸化炭素を回収することを特徴とする。
【0028】
本ガス処理方法において、前記液体二酸化炭素は、二酸化炭素貯留槽から前記ドライアイス回収容器へ供給され、前記排出された前記溶解した二酸化炭素は、前記二酸化炭素貯留槽へ回収されることを特徴とする。
【0029】
また、本ガス処理方法において、前記二酸化炭素貯留槽内の圧力は、前記ドライアイス回収容器内の圧力と同一であることを特徴とする。
【0030】
さらに、本ガス処理方法において、前記圧力は、5.11atm以上であることを特徴とする。
【0031】
本発明にかかるガス処理装置は、二酸化炭素を含有する第1のガスを、二酸化炭素を固化させる温度で冷却することにより、前記第1のガスに含まれる二酸化炭素を固化させ、前記第1のガスが導入された容器の内部の面に付着させて、前記固化した二酸化炭素が付着した前記面に第2のガスを吹き付けることによって、前記固化した二酸化炭素を前記面より分離し、前記第1のガスから除去することを特徴とする。
【0032】
また、本発明にかかるガス処理装置は、二酸化炭素を含有する第1のガスから前記二酸化炭素を除去するためのガス処理装置であって、二酸化炭素を含有する前記第1のガスを供給するための第1の入口と、前記二酸化炭素の一部又は全部を除去した後の第1のガスを排出するための第1の出口と、固化した二酸化炭素を排出するための第2の出口とを備えた容器と、前記二酸化炭素を固化させるための冷却装置と、前記冷却装置によって固化した二酸化炭素が付着した前記容器の内部の面に第2のガスを吹き付けるためのガス噴射装置を備え、前記容器は、前記第1の入口より供給される前記第1のガスの量を制御するための手段と、前記第1の出口より排出される前記二酸化炭素の一部又は全部を除去した後の第1のガスの量を制御するための手段を備えることを特徴とする。
【0033】
本ガス処理装置において、前記冷却装置は、二酸化炭素が固化する温度以下の温度の冷媒を流通させるための冷媒流通装置であることを特徴とする。
【0034】
ここで、前記冷媒流通装置は、例えば管状であり、前記容器内部に蛇行して設けられていることが好ましい。
【0035】
また、本ガス処理装置において、前記第2のガスは、例えば圧縮ガスであることを特徴とする。
【0036】
さらに、本ガス処理装置において、前記ガス噴射装置は、オリフィスを備えていることを特徴とする。
【0037】
本発明にかかるガス処理システムは、二酸化炭素、及び窒素酸化物又は硫黄酸化物の一方を含有する第1のガスを、二酸化炭素を固化させないが前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を液化又は固化させる第1の温度に冷却することにより、前記第1のガスに含まれる窒素酸化物又は硫黄酸化物を液化又は固化させて前記第1のガスから除去するための第1の装置と、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を除去した第1のガスを、二酸化炭素を固化させる第2の温度で冷却することにより、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を除去した第1のガスに含まれる二酸化炭素を固化させ、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を除去した第1のガスが導入された容器の内部の面に付着させて、前記固化した二酸化炭素が付着した前記面に第2のガスを吹き付けることによって、前記固化した二酸化炭素を前記面より分離し、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を除去した第1のガスから除去するための第2の装置を備えることを特徴とする。
【0038】
また、本発明にかかるガス処理システムは、二酸化炭素、及び窒素酸化物又は硫黄酸化物の一方を含有する第1のガスから前記二酸化炭素、及び窒素酸化物又は硫黄酸化物を除去するためのガス処理システムであって、前記ガス処理システムは、第1の装置と第2の装置を含み、前記第1の装置は、前記二酸化炭素、及び窒素酸化物又は硫黄酸化物を含有する前記第1のガスを供給するための第4の入口と、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物の一部又は全部を除去した後の第1のガスを排出するための第4の出口と、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を排出するための第5の出口を備えた第1の容器と、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を液化又は固化させるための第1の冷却装置を備え、前記第2の装置は、前記第4の出口から排出された前記窒素酸化物又は硫黄酸化物の一部又は全部を除去した後の第1のガスを供給するための第1の入口と、前記二酸化炭素の一部又は全部を除去した後の第1のガスを排出するための第1の出口と、固化した二酸化炭素を排出するための第2の出口を備えた第2の容器と、前記二酸化炭素を固化させるための第2の冷却装置と、第2の冷却装置によって固化した二酸化炭素が付着した前記容器の内部の面に第2のガスを吹き付けるためのガス噴射装置を備え、前記第1の容器は、前記第4の入口より供給される前記第1のガスの量を制御するための手段と、前記第4の出口より排出される前記窒素酸化物又は硫黄酸化物の一部又は全部を除去した後の第1のガスの量を制御するための手段を備え、前記第2の容器は、前記第1の入口より供給される前記窒素酸化物又は硫黄酸化物の一部又は全部を除去した後の第1のガスの量を制御するための手段と、前記第1の出口より排出される前記二酸化炭素の一部又は全部を除去した後の第1のガスの量を制御するための手段を備えることを特徴とする。
【0039】
本ガス処理システムは、前記第1の冷却装置が、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物が液化又は固化する温度以下の温度の冷却媒体に、前記二酸化炭素、及び窒素酸化物又は硫黄酸化物を含有する第1のガスを流通させることにより、前記第1のガスに含まれる窒素酸化物又は硫黄酸化物を前記第1のガスから除去することを特徴とする。
【0040】
また、本ガス処理システムは、前記第1の装置により前記第1のガスから分離される窒素酸化物又は硫黄酸化物を含む前記冷却媒体を、前記冷却媒体については気化させるが前記窒素酸化物及び硫黄酸化物については気化させない温度に昇温することにより前記窒素酸化物又は硫黄酸化物と前記冷却媒体とを分離する装置を含むことを特徴とする。
【0041】
本発明にかかるガス処理システムは、二酸化炭素、窒素酸化物、及び硫黄酸化物を含有する第1のガスを、二酸化炭素を固化させないが前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を液化又は固化させる第1の温度に冷却することにより、前記第1のガスに含まれる窒素酸化物及び硫黄酸化物を液化又は固化させて前記第1のガスから除去するための第1の装置と、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を除去した第1のガスを、二酸化炭素を固化させる第2の温度で冷却することにより、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を除去した第1のガスに含まれる二酸化炭素を固化させ、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を除去した第1のガスが導入された容器の内部の面に付着させて、前記固化した二酸化炭素が付着した前記面に第2のガスを吹き付けることによって、前記固化した二酸化炭素を前記面より分離し、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を除去した第1のガスから除去するための第2の装置を備えることを特徴とする。
【0042】
また、本発明にかかるガス処理システムは、二酸化炭素、窒素酸化物、及び硫黄酸化物を含有する第1のガスから前記二酸化炭素、窒素酸化物、及び硫黄酸化物を除去するためのガス処理システムであって、前記ガス処理システムは、第1の装置と第2の装置を含み、前記第1の装置は、前記二酸化炭素、窒素酸化物、及び硫黄酸化物を含有する前記第1のガスを供給するための第4の入口と、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物の一部又は全部を除去した後の第1のガスを排出するための第4の出口と、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を排出するための第5の出口を備えた第1の容器と、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を液化又は固化させるための第1の冷却装置を備え、前記第2の装置は、前記第4の出口から排出された前記窒素酸化物及び硫黄酸化物の一部又は全部を除去した後の第1のガスを供給するための第1の入口と、前記二酸化炭素の一部又は全部を除去した後の第1のガスを排出するための第1の出口と、固化した二酸化炭素を排出するための第2の出口とを備えた第2の容器と、前記二酸化炭素を固化させるための第2の冷却装置と、第2の冷却装置によって固化した二酸化炭素が付着した前記容器の内部の面に第2のガスを吹き付けるためのガス噴射装置を備え、前記第1の容器は、前記第4の入口より供給される前記第1のガスの量を制御するための手段と、前記第4の出口より排出される前記窒素酸化物及び硫黄酸化物の一部又は全部を除去した後の第1のガスの量を制御するための手段を備え、前記第2の容器は、前記第1の入口より供給される前記窒素酸化物及び硫黄酸化物の一部又は全部を除去した後の第1のガスの量を制御するための手段と、前記第1の出口より排出される前記二酸化炭素の一部又は全部を除去した後の第1のガスの量を制御するための手段を備えることを特徴とする。
【0043】
本ガス処理システムは、前記第1の冷却装置が、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物が液化又は固化する温度以下の温度の冷却媒体に、前記二酸化炭素、窒素酸化物、及び硫黄酸化物を含有する第1のガスを流通させることにより、前記第1のガスに含まれる窒素酸化物及び硫黄酸化物を前記第1のガスから除去することを特徴とする。
【0044】
また、本ガス処理システムは、前記第1の装置により前記第1のガスから分離される窒素酸化物及び硫黄酸化物を含む前記冷却媒体を、前記冷却媒体については気化させるが前記窒素酸化物及び硫黄酸化物については気化させない温度に昇温することにより前記窒素酸化物及び硫黄酸化物と前記冷却媒体とを分離する装置を含むことを特徴とする。
【0045】
さらに、本ガス処理システムは、前記第1のガスが窒素酸化物及び硫黄酸化物を含有し、前記第1の装置により前記第1のガスから分離される窒素酸化物及び硫黄酸化物を硫黄酸化物は気化させるが窒素酸化物は気化させない温度に昇温することにより前記硫黄酸化物と窒素酸化物とを分離する装置を含むことを特徴とする。
【0046】
また、本ガス処理システムは、前記第1のガスから分離される前記冷却媒体を、前記第1のガスを流通させる前記冷却媒体として再利用する装置を含むことを特徴とする。
【0047】
さらに、本ガス処理システムにおいて、前記冷却媒体は、例えば、ジメチルエーテル、メタノール、エタノール、トルエン、エチルベンゼンのいずれかを含むことを特徴とする。
【0048】
また、本ガス処理システムにおいて、前記第2の冷却装置は、二酸化炭素が固化する温度以下の温度の冷媒を流通させるための冷媒流通装置であることを特徴とする。
【0049】
ここで、前記冷媒流通装置は、例えば管状であり、前記第2の容器内部に蛇行して設けられていることが好ましい。
【0050】
さらに、本ガス処理システムにおいて、前記第2のガスが、例えば、圧縮ガスであることを特徴とする。
【0051】
また、本ガス処理システムにおいて、前記ガス噴射装置は、オリフィスを備えていることを特徴とする。
【0052】
また、本ガス処理システムは、分離した前記固化した二酸化炭素を前記容器又は前記第2の容器から排出して、ドライアイス回収容器へ入れ、前記ドライアイス回収容器を密閉し、二酸化炭素が液体の状態を取り得る圧力以上に前記ドライアイス回収容器の内部を加圧し、液体二酸化炭素を前記ドライアイス回収容器へ供給し、前記ドライアイス回収容器に存在する前記固化した二酸化炭素の一部又は全部を前記液体二酸化炭素に溶解させ、前記溶解した二酸化炭素の一部又は全部を前記ドライアイス回収容器の外に排出するための第3の装置をさらに含むことを特徴とする。
【0053】
さらに、本ガス処理システムは、前述のいずれかに記載のガス処理装置と、前記ガス処理装置から排出された固化した二酸化炭素を回収するドライアイス回収容器を含み、前記ドライアイス回収容器は、第2の出口から排出される前記固化した二酸化炭素を供給するための第2の入口と、液体二酸化炭素を供給するための第3の入口と、前記液体二酸化炭素によって溶解した前記固化した二酸化炭素を排出するための第3の出口と、前記第2の入口より前記固化した二酸化炭素を供給するための供給手段と、前記第3の入口より前記液体二酸化炭素を供給するための液体二酸化炭素供給手段と、前記第3の出口より前記溶解した二酸化炭素を排出するための排出手段と、排出された前記溶解した二酸化炭素を回収するための回収手段とをさらに備えることを特徴とする。
【0054】
また、本ガス処理システムは、前記ガス処理システムから排出された固化した二酸化炭素を回収するドライアイス回収容器をさらに含み、前記ドライアイス回収容器は、第2の出口から排出される前記固化した二酸化炭素を供給するための第2の入口と、液体二酸化炭素を供給するための第3の入口と、前記液体二酸化炭素によって溶解した前記固化した二酸化炭素を排出するための第3の出口と、前記第2の入口より前記固化した二酸化炭素を供給するための供給手段と、前記第3の入口より前記液体二酸化炭素を供給するための液体二酸化炭素供給手段と、前記第3の出口より前記溶解した二酸化炭素を排出するための排出手段と、排出された前記溶解した前記二酸化炭素を回収するための回収手段をさらに備えることを特徴とする。
【0055】
さらに、本ガス処理システムは、前記液体二酸化炭素を供給し、前記溶解した二酸化炭素を貯留するための二酸化炭素貯留槽を備えることを特徴とする。
【0056】
また、本ガス処理システムは、前記二酸化炭素貯留槽の圧力と、前記ドライアイス回収容器内の圧力が同一になるように調節する調節手段を備えることを特徴とする。
【0057】
さらに、本ガス処理システムにおいて、前記圧力は、例えば、5.11atm以上であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0058】
本発明により、窒素酸化物又は硫黄酸化物、あるいはその両方を含むガスから、有害ガス成分を効率よく除去し、かつ、二酸化炭素を効率よく回収することができるガスの処理方法及びシステムを提供することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0059】
以下に、本発明にかかるガスの処理システム(以下、ガス処理システムと称する)の好適な実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。この処理システムは、処理するためのガス中から有害ガスを除去するための有害ガス回収システムと、この有害ガス回収装置で処理されたガスから二酸化炭素を除去するための二酸化炭素回収システムからなる。これらのシステムは、それぞれ独立して設計することができるため、以下に、各システムの構成について、別個に説明する。
【0060】
<有害ガス回収システム及び回収方法>
=第1実施形態=
図2に本発明の第1実施形態として説明するガス処理システムの概略的な構成を示している。このガス処理システムによれば、発電所や化学プラント等における、石炭焚きボイラ・重油焚きボイラ、製鉄所における高炉、コークス炉、転炉等の排ガス発生源10から排出される窒素酸化物や硫黄酸化物等の有害ガス成分を含んだ排ガスについて、当該排ガスに含まれる水分や有害ガス成分を効率よく確実に除去できるだけでなく、排ガスに含まれる二酸化炭素(CO2)を効率よく確実に回収できる。特に、有毒ガスが硫黄酸化物を含んでいる場合に、好適に適用され得る。
【0061】
本実施形態の排ガス処理システムは、まず前プロセスとして、排ガス発生源10から排出される窒素酸化物や硫黄酸化物等の有害ガス成分を含んだ排ガス(ガス)を、熱交換器11及び凝縮器(コンデンサー)13に収容される工業用水に導入することにより室温程度に冷却する。
【0062】
次に第1の工程として室温程度に冷却された排ガスを、脱水塔17において排ガスに含まれる二酸化炭素を液化又は固化させないが、排ガスに含まれる水分、窒素酸化物、及び硫黄酸化物を液化又は固化させるような第1の温度(例えば、−90℃)に冷却することにより、水分、窒素酸化物、及び硫黄酸化物だけを液化又は固化させて、これらを排ガスから分離する。さらに第2の工程として、水分、窒素酸化物、及び硫黄酸化物を除去した排ガスを二酸化炭素回収装置30に導入し、ここで排ガス中に含まれている二酸化炭素を冷却固化させて分離し回収する。回収された二酸化炭素は、その後、ドライアイス回収容器60において液化される。
【0063】
第1の工程においては、例えば排ガス(第1のガスに相当する)を冷却媒体に流通させることによって冷却し、排ガスに含まれる水分、窒素酸化物、及び硫黄酸化物を冷却媒体中で液化又は固化させて媒体と一緒に分離することができる。この場合、分離される有害ガス成分には、冷却媒体が混在しているが、本システムでは、冷却媒体と有害ガス成分との気化温度差を利用する蒸発法により有害ガス成分から冷却媒体を分離して回収し、回収した冷却媒体を再び冷却媒体として再利用することで冷却媒体の有効利用を図っている。
【0064】
この蒸発法においては、加熱エネルギーが必要であるが、冷却媒体として沸点の低いものを採用することによって加熱エネルギーを削減することができる。液化又は固化した有害ガス成分から冷却媒体を分離するためには、冷却媒体は有害ガス成分を液化又は固化させる温度においても固化しない温度範囲を有することが必要である。また、有害ガス成分を効率よく分離できるように、冷却媒体は有害ガス成分を吸収しやすい性質を有している必要がある。さらに、排ガスに含まれる二酸化炭素を効率よく第2の工程で除去できるように、冷却媒体は二酸化炭素が溶けにくい性質を有する必要がある。
【0065】
これらの要求を満たす物質としては、例えばジメチルエーテル(以下、DMEと称する)、無機塩類(塩化ナトリウム、塩化カリウム等)、臭素化合物(臭化リチウム、臭化ブロム等)、エーテル類(ジメチルエーテル、メチルエーテル等)、アルコール類(メタノール、エタノール等)、シリコンオイル類、パラフィン系炭化水素(プロパン、正ブタン等)、オレフィン系炭化水素、トルエン、エチルベンゼン、等がある。なお、冷却媒体から液化もしくは固化した有害ガス成分を分離するためには、冷却媒体と有害ガス成分との沸点差が大きい方が有利である。このような観点から、上記冷却媒体としてはエーテル類、アルコール類が好適であり、例えばジメチルエーテルを用いた場合、−24.9℃以上に加温することにより、ジメチルエーテルは気化し、有害ガス成分は液体状又は固体上のままである。
【0066】
この第1の工程においては、ここで示したように排ガスを冷却媒体に流通させるのではなく、排ガスを冷却媒体を通じた冷媒管などに接触させることにより、排ガスの温度コントロールを行ってもよい。
【0067】
上記システムを用いた、この排ガスの処理システムの具体的な処理プロセスについて順に説明する。まず前処理として、石炭焚きボイラや重油焚きボイラ、製鉄所における高炉、コークス炉、転炉等の排ガス発生源10から排出される、窒素酸化物や硫黄酸化物等の有害ガス成分を含む排ガスが、熱交換器11に導入される。熱交換器11には海水ポンプ12によって供給される海水(例えば25℃)、及び冷凍機40から循環供給されるエチレングリコール等の冷媒が導かれている。排ガス発生源10から導かれる排ガス(例えば55℃)は、熱交換器11を通過することにより上記海水及び冷媒によって室温程度に冷却される。
【0068】
熱交換器において室温程度に冷却された排ガスは、次に凝縮器(コンデンサー)13に導かれる。凝縮器13において、排ガスは当該凝縮器13に収容されている工業用水に導入される。これにより当該排ガスに含まれている水分、水溶性の有害ガス成分(例えば、SO2,NO2の一部)、煤塵等が除去される。排ガスから除去された水分、有害ガス成分、煤塵等を含んだ液化水は、一旦、排水槽14に貯留された後、排水ポンプ15により排水処理装置50に導かれる。
【0069】
一方、凝縮器13を通過した排ガスは、排ガスファン16によって脱水塔17へと導かれる。脱水塔17は、冷却装置(第1の冷却装置に相当する)、第4の入口、第4の出口、第5の出口を備えている。脱水塔17では、排ガスについて更に脱水(除湿)及び有害ガス成分(窒素酸化物や硫黄酸化物等)の除去が行われる。なお、ここで排ガス中の水分を脱水することで、後に行われる排ガス中の二酸化炭素の回収工程において、二酸化炭素を効率よく回収することができる。
【0070】
脱水塔17において、排ガスは脱水塔17の下方側(第4の入口)から導入される。脱水塔17に導入された排ガスは、脱水塔17内に満たされているDMEにバブリング方式により流通される。そしてDMEと熱交換することにより排ガスは冷却される。このときの冷却温度は、排ガス中の水分や窒素酸化物、硫黄酸化物等の有害ガス成分については液化もしくは固化させるが、二酸化炭素については固化させない温度であって、例えば,−90℃である。このような温度に排ガスを冷却することで、有害ガス成分については液化又は固化されて排ガスから分離されるが、二酸化炭素については気体のまま排ガス中に残留することになる。
【0071】
ここで脱水塔17における、有害ガス成分の排ガスからの除去機能を確認すべく、二酸化硫黄(SO2)、一酸化窒素(NO)についての冷却媒体への溶解量を測定した。図3Aにこの測定に用いた装置の構成を示している。この装置210は、模擬排ガスを生成する混合器211、脱水塔17に見立てた模擬排ガスを冷却するための冷却容器212(ここではガラス容器を用いた)、模擬排ガスを冷却容器212に導入するガス導入管213、冷却容器212の上方に溜まったガスを冷却容器212の外に排出するためのガス排出管214を、同図に示すように接続したものである。
【0072】
冷却容器212中の冷却媒体として、トルエン(5℃、液量100cc)を用いた。ガス導入管の開口部は、トルエンの液面よりも下に位置するようにセットされている。また、模擬排ガスとしては、二酸化炭素(CO2)、二酸化硫黄(SO2)、一酸化窒素(NO)、窒素(N2)を混合器によって混合したものを用いた。図3Bに模擬排ガスの組成を示す。ガス排出管214から排出されるガス中の二酸化硫黄(SO2)、一酸化窒素(NO)の濃度測定は、模擬排ガスを一定速度(1l/h)でトルエンに流通させることにより行った。
【0073】
図3Cにおいて、測定結果を、冷却媒体(トルエン)の温度と、二酸化硫黄(SO2)、一酸化窒素(NO)の溶解量(ppm)(飽和溶解量)との関係を表したグラフとともに示す。図中の2つの曲線は、夫々、二酸化硫黄(SO2)の溶解量(ppm)、及び一酸化窒素(NO)の溶解量(ppm)を、SRK(Soave-Redlich-Kwong)法による計算により求めた理論値をプロットして作成した。条件は、常圧,温度−90℃〜30℃,対象物質トルエンとした。
【0074】
また、同グラフにプロットされた「○」印は、上記測定により得られた実測値であり、二酸化硫黄(SO2)についての溶解量は48(ppm)、一酸化窒素(NO)についての溶解量は0.1(ppm)であった。5℃における二酸化硫黄(SO2)の溶解量の理論値は36(ppm)、一酸化窒素(NO)の溶解量の実測値は0.07(ppm)であり、この装置を用いて測定した場合の、二酸化硫黄(SO2)及び一酸化窒素(NO)の飽和溶解量は、SRK法によって理論的に求めた値と一致することが確認できた。従って、脱水塔17における排ガスから有害ガス成分を除去する機能は、正常に作動していることが示された。また、脱水塔17において、排ガスから有害ガス成分を効率よく分離できることを検証することができた。
【0075】
脱水塔17において排ガスが流通されたDMEは、第5の出口から排出され、DME分離塔20へと導かれる。このDME分離塔20に導かれたDMEは液化又は固化した水分及び有害ガス成分を含んでいる。DMEは、ここで、海水と間接的に熱交換して昇温する(例えば−20℃)。この温度において、水分及び有害ガス成分は液体又は固体であり、DMEは気体となる(第3の工程に相当する)。このため、DMEはDME分離塔20の上方に浮上して他成分と分離する。浮上したDMEは、DME分離塔20の上方から回収され、DME冷却塔18に導かれる。DME冷却塔18には、冷凍機40で冷却された冷媒(液体窒素)が、循環ポンプ19により循環的に供給され、DME冷却塔18において、DME分離塔20から供給されるDMEを冷却し、DMEを液化する。再生されたDMEは、再び脱水塔17に導かれる(第4の工程に相当する)。DMEはこのようにして循環させて再利用され、これにより系全体として冷却媒体が効率よく利用されることになる。
【0076】
次にDME分離塔20内に残留した水分(液体又は固体)及び有害ガス成分は、輸送ポンプ21により成分分離塔22に導かれる。ここで水分及び有害ガス成分は、海水と間接的に熱交換されて昇温する(例えば5℃)。この温度において、水分及び二酸化窒素は液体であり、二酸化硫黄は気体となる(第5の工程に相当する)。昇温して気体となった二酸化硫黄は、成分分離塔22の上方から排出された後、熱交換器11へと導かれ、排ガス発生源10から導かれる排ガス(例えば55℃)を冷却するための冷媒として利用される。このように二酸化硫黄が冷媒として利用されることで、系全体としてのエネルギー消費量が抑えられることになる。
【0077】
この二酸化硫黄は、冷媒として熱交換器11で例えば45℃に加熱され、その後は煙突51に導かれて系外に排出される。また、成分分離塔22内に残留する二酸化硫黄以外の液化水や二酸化窒素等の有害ガス成分は、排水処理装置50へと導かれる。
【0078】
脱水塔17の上方に浮上してくる二酸化炭素を含んだ排ガスは、第4の出口から排出され、リバーシブル熱交換器23へと導かれる。脱水塔17からリバーシブル熱交換器23に導かれた排ガスは、ここで冷却された後、二酸化炭素回収装置30に導かれる。
【0079】
二酸化炭素回収装置30は、排ガス中に含まれている二酸化炭素を、排ガスから分離して回収する装置である。二酸化炭素回収装置30に導かれた排ガスは、二酸化炭素回収装置30において冷凍機40を通って循環されている冷媒(例えば、液体窒素)と間接的に熱交換されて冷却される。二酸化炭素回収装置30からドライアイスとして排出された二酸化炭素は、その後、ドライアイス回収容器60において液化する。二酸化炭素回収装置30の詳細な構成及び機能、ならびに、その二酸化炭素回収装置30及びドライアイス回収容器60を用いた二酸化炭素回収システム70については後述する。
【0080】
液化した二酸化炭素は、二酸化炭素貯留槽121に送られて貯留される。一方、二酸化炭素回収装置30において二酸化炭素が分離された後の排ガスは、リバーシブル熱交換器23に導入されて冷媒として用いられた後、熱交換器11に導かれる。排ガスは熱交換器11において再び冷媒として利用された後、煙突51から系外に大気放出される。ここで大気放出される排ガスは、すでに二酸化炭素が除去されており、ガス中に含まれる二酸化炭素の濃度は非常に低い。
【0081】
ところで、上述した冷凍機40は、タービン式の圧縮機41(窒素昇圧機)、循環窒素圧縮機42、冷媒を膨張させて低温を得る凝縮器43、冷媒である液体窒素とエチレングリコールや別系統で流通される液体窒素とを熱交換させる熱交換器44、等を備え、冷媒としての窒素ガスを冷却する。冷凍機40は、例えば電気エネルギー等のエネルギーによって繰り返し圧縮・膨張させることにより窒素ガスを冷却する。冷却により製造された液体窒素は、熱交換器11に循環されるエチレングリコールの冷却や、DME冷却塔18、二酸化炭素回収装置30などに循環される当該液体窒素とは別系統で流通される液体窒素等の冷媒の冷却に用いられる。
【0082】
以上に説明したように、本実施形態の排ガス処理システムにあっては、石炭焚きボイラ、重油焚きボイラ、製鉄所における高炉、コークス炉、転炉等から排出される窒素酸化物や硫黄酸化物等の有害ガス成分を含んだ排ガスについて、当該排ガスに含まれる水分や有害ガス成分を効率よく除去することができる。また、このように水分や有害ガス成分を効率よく除去しつつ、排ガスに含まれる二酸化炭素を効率よく回収することができる。
【0083】
なお、以上の説明において、排ガスからの除去対象となる有害ガスとしては、例えば、一酸化炭素、一酸化窒素等の他の窒素酸化物(NOX)、一酸化硫黄等の他の硫黄酸化物(SOX)、フッ化水素などのハロゲン化合物等があり、二酸化炭素の固化温度及び有害ガス成分の液化又は固化温度を適切に設定し、上記の冷却媒体として適切なものを選択することにより、これらの有害ガス成分を効率よく除去することができる。すなわち、これら以外の種類の有害ガスを含む排ガスを冷却媒体に流通させて第1の温度に冷却することにより、排ガスに含まれる有害ガスを液化又は固化させて排ガスから分離し、排ガスを前記第1の温度よりも低い第2の温度に冷却することにより、前記排ガスに含まれる二酸化炭素を固化させて前記排ガスから分離する構成からなる排ガスの処理システムを実現することができる。
【0084】
=第2実施形態=
本発明にかかる排ガス処理システムにおいては、脱水塔17のあとに、固液分離装置28を設けてもよい。脱水塔17において排ガスを流通させたことにより、液化又は固化した水分及び有害ガス成分を含むこととなったDMEは、シャーベット状態(スラリー)になっており、この固液分離装置28では、DMEと、当該DMEに含まれる固化物とが分離される。固液分離装置28により分離された後のDMEは、再利用するため、DME分離塔20へと導かれる。この固液分離装置28は、LNG焚きボイラ等から発生する排ガスのように、処理する排ガスに固化物(例えば、水分,NO2)が含まれている場合、好適に使用できる。
【0085】
また、LNG焚きボイラ等から発生する排ガスのように、硫黄酸化物が含まれていない排ガスに関しては、DME分離塔20でDMEを分離した後、成分分離塔22を設ける必要がない。
【0086】
そこで、これらの部分変更を兼ね備えた典型的な例として、LNG焚きボイラ等から発生する排ガスに対する排ガス処理システムの概略的な構成を、本発明の第2の実施形態として、図4に示した。
【0087】
本実施形態において、冷凍/熱交換器44では、LNGの気化熱を利用して、熱交換器11に循環されるエチレングリコールや、DME冷却塔18、二酸化炭素回収装置30などに循環される液体窒素等の冷媒を冷却することができる。例えば、LNGをガス燃料として用いている発電所において、LNGは例えば−150℃〜−165℃の液体の状態で輸送されてLNGタンク61等に貯留される。ここでLNGをガス燃料として使用する際には、大気や海水から気化熱を得て昇温させて気化するが、冷凍/熱交換器44は、この際の気化熱を利用してエチレングリコールや液体窒素等の冷媒を冷却してもよい。つまり排ガスもしくは冷却媒体は、LNGをガス燃料として用いた場合に生じる気化熱を利用して冷却される。なお、LNGの気化熱を利用して排ガスに含まれる二酸化炭素を固化・分離する技術については、例えば、特開平8−12314号公報等に記載されている。
【0088】
<二酸化炭素回収システム>
=第1実施形態=
図5は本発明の一実施形態として説明する二酸化炭素回収システム70の概略的な構成図である。
【0089】
本実施形態の二酸化炭素回収システム70は、二酸化炭素回収装置30とドライアイス回収容器60から構成されている。ここで、二酸化炭素回収装置30は、容器103、冷却装置109、ガス噴射装置110から構成されており、第1の入口106、第1の出口107、第2の出口108を備えている。また、ドライアイス回収容器60は、第2の入口115、第3の入口111、第3の出口112を備えている。
【0090】
容器103は、鉛直に配置される2つの第1の円筒管104と、これら第1の円筒管104の下方に水平に(すなわち、第1の円筒管104に対して垂直に)配置し、第1の円筒管104の夫々の内部と連通する、第2の円筒管105を設ける。ここで、円筒管の材質としては、例えば、SUS304などが挙げられる。一方の第1の円筒管104の上面所定位置には、二酸化炭素を含有するガスを供給する第1の入口106を設ける。また、もう一方の第1の円筒管104の上面所定位置には、二酸化炭素の一部又は全部を除去した後のガスを容器103の外部に排出する第1の出口107を設ける。なお、容器103内に存在するガスが、第1の出口から適切な量だけ排出されているかを確認するために、差圧計124を設けてもよい。さらに、容器103の下面所定位置(第2の円筒管105の下面所定位置)には、容器103の底(第2の円筒管105の底)に溜まる固化した二酸化炭素(以下、ドライアイスとも呼ぶ)を排出するための第2の出口108を設ける。
【0091】
なお、本実施形態では、第1円筒管104を2つ使用しているが、この数は特に限定されず、3つ以上使用してもよい。
【0092】
また、本実施形態では、容器103は、2つの円筒管を含む形状としたが、直方体の形状であっても構わない。直方体の形状の容器を用いる場合は、第1の入口106から供給したガスを容器103内に所定時間以上滞在させるべく、第1の出口107は第1の入口106から所定距離だけ離間させた位置に設けることが好ましい。
【0093】
第1の入口106に連結する配管には、第1のガスの供給量を制御するための手段の一例として制御バルブ113を設ける。また第1の出口107に連結する配管には、ガスの排出量を制御するための手段の一例として制御バルブ114を設ける。また第2の出口108に連結する配管には、排出させるドライアイスの量を制御するための手段の一例として制御バルブ116を設ける。そのため、ドライアイスは、制御バルブ116を開栓すると容器103に設けられている第2の出口108から排出され、ドライアイス回収容器60に備えられている第2の入口115へと供給される。なお、容器103内に存在するドライアイスをドライアイス回収容器60へ供給する場合、真空ポンプを用いてもよい。
【0094】
上記の制御バルブ113,114,116、及び後述のガス噴射装置110のガス噴射口225の全てを閉じることにより、容器103内は完全に密閉した状態となる。
【0095】
容器103を冷却するために、容器103に冷却装置109を設ける。本実施例では、この冷却装置109は、容器103の外部に設ける。具体的には、図5に示すように容器103全体を覆うような形態の冷却装置でもよく、容器103に冷媒流通管などを巻いて容器103を外部から冷却するような形態の冷却装置でもよく、冷却装置109の形態は特に限定されない。冷却装置において使用し得る冷媒としては、二酸化炭素を固化させる温度以下まで冷却させることができる冷媒であることが好ましく、例えば、液体窒素が挙げられる。なお、液体窒素を冷媒として用いる場合、冷媒となる液体窒素は、冷凍機40から供給されるようにする。
【0096】
容器103内で、二酸化炭素が固化する際、容器103の内面により多く付着させるために、容器103の内側面へのドライアイスの接触面積を稼ぐべく、容器103の内側面にスクリュー状のフインを形成させてもよい。
【0097】
ドライアイスを容器103の内面に付着させたままでは、冷却された容器103内面に二酸化炭素が付着できる面積が減少してしまうため、ドライアイスの回収量は減少するとともに、容器103内のガスの通路を塞ぐため、ガスの通過量が減少する。この問題を解決するために、図7に示すガス噴射装置110を設け、これにより、ドライアイスが付着した面に第2のガスを吹き付けることによって、容器103の内面に付着したドライアイスを内面から剥離する。ここで使用し得る第2のガスは、代表的には、圧縮ガス(例えば、圧力0.3MPa以上の窒素又は二酸化炭素)であるが、アセチレンガス又は液化ガスなどの高圧ガスを使用してもよい。また、ここで使用できるガス噴射装置110は、例えば、市販されているガス噴射口(会社名:スプレーイングシステムジャパン株式会社製、製品番号:HHSJ、材質:SUS304)などが挙げられ、容器103のどこに設けてもよい。本実施形態においては、図7に示すように、ガス噴射口225、ガス出口227、及び第2のガスの流量を制御するオリフィス226から構成されているガス噴射装置を用いている。このガス噴射装置は、容器104の壁を貫通して設けられており、容器104の外側のガス噴射口225から第2のガスが供給される。
【0098】
具体例としては、図9に示すように、二酸化炭素貯留槽121(例えば、材質:SUS304、設計圧力:2.35MPa、貯蔵量寸法:(容量2700Kgの場合)高さ3.7m、外径1.7m、保冷構造:真空断熱)内にある液体二酸化炭素の量が所定以上ある場合には、その液体二酸化炭素を高圧ガス貯留槽228(例えば、材質:SUS304、使用圧力:2MPa、厚さ:5mm)へ供給して加熱し、高圧ガス貯留槽228内の圧力が2MPa以上になった時に、ガス噴射口225(例えば、材質:SUS304、噴射角度:90℃、噴射範囲:円形、噴射圧力:1MPa)よりドライアイスが付着した面に二酸化炭素(第2のガス)を吹き付けるような装置が考えられる。この時、ガス噴射口225内外の圧力の差は0.5MPa以下とするのが好ましい。
【0099】
又は、図10に示すように、窒素(気化した窒素や、冷凍機40由来の気化した窒素などを用いる)を含有するガスが含まれているボンベ229内の圧力が1MPa以上になった時に、ガス噴射口225(例えば、材質:SUS304、噴射角度:90℃、噴射範囲:円形、噴射圧力:1MPa)よりドライアイスが付着した面に窒素(第2のガス)を吹き付けるような装置でもよい。この時も、ガス噴射口225内外の圧力の差が0.5MPa以下とするのが好ましい。
【0100】
本実施形態のガス噴射装置110には、その装置内にオリフィス226を設けているので、噴射するガスの圧力はオリフィス前で高められる。そして、このように高圧化されたガスが、オリフィスを通過し、ドライアイスが付着した面に対して広範囲に噴射されるので、ドライアイスを効果よく分離させることができる。
【0101】
また、容器103内において二酸化炭素を効率よく固化するために、容器103内のガスの温度を計測するセンサや、冷却装置109表面の温度を計測するセンサ等の各種センサを容器103に設けてもよい。なお、各センサの出力値は、計測機器又はコンピュータによって制御してもよい。また、容器103の所定位置に小窓を設け、ドライアイスが作製されているか否か目視によって確認してもよい。
【0102】
ドライアイス回収容器60は、第2の円筒管105の内部と連通している。
二酸化炭素貯留槽121は、ドライアイス回収容器60の第2の入口へ供給される液体状の二酸化炭素を貯留する容器であり、かつ、ドライアイス回収容器60の第3の出口112から排出される液体状の二酸化炭素を貯留する容器である。なお、二酸化炭素貯留槽121内の二酸化炭素を加温するために、二酸化炭素貯留槽121の壁面に伝熱管(伝熱器)122を埋設してもよいし、電熱式のヒーター(例えばシリコンゴムヒーター、フッ素樹脂ヒーター)を設けてもよい。伝熱管(伝熱器)122を用いる場合、伝熱管122の上流には伝熱管122に流通させる熱媒体の流量を制御するための手段の一例として制御バルブを設けることが好ましい。なお、上記熱媒体は、例えば乾きガスであることが好ましく、この熱媒体は熱源123から伝熱管122に輸送される。また、伝熱管122は二酸化炭素貯留槽121の壁面に埋設させるのではなく、二酸化炭素貯留槽121の内部に設けてもよい。
【0103】
=第2実施形態=
本実施形態では、容器103を冷却するための冷却装置109を容器103の内部に設ける。例えば、図6に示すように冷媒流通管217を第1の円筒管104の内部に挿入する。具体的には、例えば、長さ900mm×20本、管外表面積7.1m2、材質:銅管(フィン付)のような管として作製すればよい。挿入する冷媒流通管は、容器103の内部に流通させるガスとの間の接触面積を十分に確保するために、容器103の内部において2本に分岐させてもよい。また、第1の円筒管104の内部で蛇行させることによって、ガスとの間の接触面積が十分に確保してもよい。冷媒となる液体窒素は、第1の円筒管104の上面所定位置に設けられた入口218から供給し、出口219から排出させる。冷媒流通管217の上流には、冷媒の流量を制御するための手段の一例として制御バルブ220を設ける。
【0104】
容器103内に供給されたガスは、二酸化炭素が固化する温度まで上記の方法によって冷却されるので、ガスに含まれる二酸化炭素は、容器103内で固化し、容器103の内部にある冷媒流通管217の外面に付着する。このドライアイスを、付着面から剥離するため、容器103にガス噴射装置110を設ける。
【0105】
<二酸化炭素回収方法>
以下、上記いずれかの二酸化炭素回収システムを用いて、二酸化炭素回収装置30からドライアイス回収容器60に供給されたドライアイスを回収する方法について説明する。なお、初期状態では、制御バルブ113,114,116、225は全て閉じられているものとする。
【0106】
まず、冷却装置109を起動させ、容器103内部の冷却を開始する。この際、二酸化炭素が固化する温度まで、容器103の内側面の温度を低下させる。即ち、図8に示すように、二酸化炭素の昇華点は1atmで-78.5℃であるため、容器103内の圧力が1atmの場合、容器103の内側面の温度は少なくとも-78.5℃以下にする。
【0107】
容器103の内側面の温度が上記温度に達した後、制御バルブ113及び制御バルブ114を開いて制御バルブ113から二酸化炭素を含有する第1のガスを供給し、容器103への第1のガスの供給を開始する。ここで容器103を流通する第1のガスは、容器103内において冷却装置109によって冷却され、ガス中に含まれる二酸化炭素が、容器103の内側面においてドライアイスとして析出してくる。二酸化炭素を除去されたガスは、容器103内を移動して制御バルブ114から容器103の外に排出される。
【0108】
次に、ガス噴射装置110を起動させて、ドライアイスが付着した面に第2のガスを吹き付けることによってドライアイスを剥離させ、容器103の底(第2の円筒管の底)へ落とす。落ちたドライアイスは、容器103の底(第2の円筒管の底)に蓄積する。ここで、ガス噴射装置110を起動させる条件としては、例えば、(1)容器103の第1の入口106と第1の出口107に差圧計124を設け、容器103の第1の入口106と第1の出口107との圧力の差がある一定以上となった場合、(2)容器103の底(第2の円筒管105の底)に蓄積されるドライアイスの量がある値より少なかった場合(例えば、二酸化炭素の量が目標値の5%以下だった場合等)、(3)制御バルブ116が開いている場合、などとし、これらに連動してガス噴射装置110を起動させてもよい。また、ドライアイスが第1の円筒管104の下部の内面に蓄積していると、容器103の通路が狭くなり、ガス噴射装置110を起動させても上部に存在するドライアイスを容器103の底(第2の円筒管の底)に落とすことができないので、例えば、第1の円筒管104にガス噴射装置110を3つ設けた場合、ガス噴射装置110の起動は、下段、中段、上段の順に行うことが好ましい。
【0109】
容器103の底(第2の円筒管105の下面)に蓄積させたドライアイスの量が所定量に達したところで、制御バルブ113及び制御バルブ114を閉じる。なお、制御バルブ113及び制御バルブ114を閉じるタイミングとしては、例えば、容器103又は第2の円筒管105の側面に小窓を設け、目視にて、ドライアイスが容器103の底(第2の円筒管105の底)に蓄積したことを確認した時としてもよい。
【0110】
最後に、制御バルブ116を開いて、容器103の底(第2の円筒管105の底)にあるドライアイスを、容器103の外部へ排出し、二酸化炭素を回収する。
【0111】
以上に説明したように、本実施形態の二酸化炭素回収装置30によれば、容器103の内側面に付着したドライアイスを、ガス噴射装置110を用いて剥離させることができるので、効率よくドライアイスを回収することができる。さらに、本実施形態の二酸化炭素回収装置30は、容器103内においてドライアイスを蓄積させることがないので、連続して運転させることができる。
【0112】
次に、上述した二酸化炭素回収装置30によって回収されたドライアイスは、ドライアイス回収容器60の第2の入口115を通じて、ドライアイス回収容器60に入り、そこで蓄積する。
【0113】
次に伝熱管122に熱媒体を流通させ、二酸化炭素貯留槽121内の温度、及び圧力を上昇させ、二酸化炭素貯留槽121に存在する二酸化炭素を液状化させる。
【0114】
次に、二酸化炭素貯留槽121内の液体二酸化炭素を、ドライアイス回収容器60の第3の入口111へ供給し、ドライアイス回収容器60内のドライアイスを液状化させる。この時、図8に示すように、二酸化炭素の三重点は、5.11atm/-56.6℃であるため、ドライアイス回収容器60内のドライアイスを液状化させるにはドライアイス回収容器60内の圧力も5.11atm以上に上昇させていなければならない。そのため、ドライアイス回収容器60内のドライアイスを容易に液状化させるためには、ドライアイス回収容器60内の圧力を、二酸化炭素貯留槽121内の圧力と同一にさせておくことが好ましい。
【0115】
ドライアイス回収容器60内のドライアイスが液状になると、ドライアイス回収容器60内に存在する液体二酸化炭素を、ドライアイス回収容器60の第3の出口112から排出し、二酸化炭素貯留槽121へ供給し、二酸化炭素貯留槽121内において液体二酸化炭素を貯留する。この液体二酸化炭素は、ドライアイス回収容器60内のドライアイスを液状化させるために、再度ドライアイス回収容器60の第3の入口111へ供給してもよい。
【0116】
ここで、二酸化炭素回収システム70を開始させる条件としては、例えば、容器103の底(第2の円筒管105の底)に蓄積されるドライアイスの量が、所定レベル蓄積した場合や、ガス噴射装置110を起動させた直後としてもよい。
【0117】
また、二酸化炭素回収システム70で使用されるドライアイス回収容器60の数は、特に制限されないが、上記のようにドライアイスを液化させる場合は、ドライアイス回収容器60内の圧力を上昇させるため、ドライアイス回収容器の第2の入口115、第3の入口111及び第3の出口112は閉鎖していなければならない。そのため、ドライアイスを容器103内で作製し、そのドライアイスをドライアイス回収容器60内において効率よく液状化させるためにも、ドライアイス回収容器60は1個以上設けることが好ましい。
【0118】
さらに、例えば、制御バルブ113,114,116をそれぞれ電磁バルブとするとともに、各電磁バルブを制御するための制御ラインをコンピュータに接続し、コンピュータのハードウエアや当該ハードウエアで動作する制御ソフトウエアにより、上記電磁バルブを遠隔制御するようにしてもよい。また、上記各種センサの出力値に基づいて、上述したプロセスの全部又は一部を自動で実行させるようにしてもよい。
【0119】
なお、ドライアイス回収容器60を容器103と一体化させ、容器103内において液体二酸化炭素を作製することもできる。この場合、容器内を加圧しなければならないため、容器103の素材は耐圧性であることが要求される。
【0120】
しかしながら、本実施形態のようにドライアイス回収容器60を容器103と別に設けることにより、ドライアイスを液状化させるために容器103を使用する必要がなくなる。従って、容器103内の環境(温度や圧力など)を変更する必要がなくなるため、容器103内において、ドライアイスを連続して分離し、回収することが可能になる。
【0121】
以上、複数の実施形態について説明したが、これらの実施形態の説明は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】二酸化炭素を分離する技術の一つを説明する図である。
【図2】本発明の一実施形態において、排ガス処理システムの概略的な構成を示す図である。
【図3A】本発明の一実施形態において、二酸化硫黄、一酸化窒素等についての冷却媒体への溶解量の測定に用いた装置の構成を示す図である。
【図3B】本発明の一実施形態において、模擬排ガスの組成を示す図である。
【図3C】本発明の一実施形態において、二酸化硫黄、一酸化窒素についての冷却媒体への溶解量の測定結果を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態において、排ガス処理システムの概略的な構成を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態において、ガス処理システムの概略的な構成を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態において、ガス処理システムの概略的な構成を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態において、ガス噴射装置を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態において、二酸化炭素のT−P(温度−圧力)線図を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態において、圧縮ガスを吹き付けるための装置の具体例を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態において、圧縮ガスを吹き付けるための装置の具体例を示す図である。
【符号の説明】
【0123】
10 排ガス発生源/11 熱交換器/12 海水ポンプ/13 凝縮器(コンデンサー)/14 排水槽/15 排水ポンプ/16 排ガスファン/17 脱水塔/18 DME冷却塔/19 循環ポンプ/20 DME分離塔/21 輸送ポンプ/22 成分分離塔/23 リバーシブル熱交換器/28 固液分離装置/30 二酸化炭素回収装置
40 冷凍機/41 窒素昇圧機/42 循環窒素圧縮機/43 凝縮器/44 熱交換器/50 排水処理装置/51 煙突/60 ドライアイス回収容器/61 LNGタンク/70 二酸化炭素回収システム/103 容器/104 第1の円筒管/105 第2の円筒管/106 第1の入口/107 第1の出口/108 第2の出口/109 冷却装置/110 ガス噴射装置/111 第3の入口/112 第3の出口/113 制御バルブ/114 制御バルブ/115 第2の入口/116 制御バルブ/121 二酸化炭素貯留槽/122 伝熱管/123 熱源/124 差圧計/125 制御バルブ/126 制御バルブ/210 装置/211 混合器/212 冷却容器/213 ガス導入管/214 ガス排出管 /217 冷媒流通管/218 液体窒素入口/219 液体窒素出口/220 制御バルブ/225 ガス噴射口/226 オリフィス/227 ガス出口/228 高圧ガス貯留槽/229 ボンベ/1100 冷媒/1101 容器/1102 伝熱管/1103 ガス/1104 捕集容器/1105 ドライアイス/1106 ドライアイス液化装置/1107 液体の二酸化炭素
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素を含有する第1のガスを、二酸化炭素を固化させる温度で冷却することにより、前記第1のガスに含まれる二酸化炭素を固化させ、前記第1のガスが導入された容器の内部の面に付着させて、前記固化した二酸化炭素が付着した前記面に第2のガスを吹き付けることによって、前記固化した二酸化炭素を前記面より分離し、前記第1のガスから除去することを特徴とする、ガス処理方法。
【請求項2】
窒素酸化物又は硫黄酸化物の一方をさらに含有する前記第1のガスを、二酸化炭素を固化させないが前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を液化又は固化させる第1の温度に冷却することにより前記第1のガスに含まれる窒素酸化物又は硫黄酸化物を液化又は固化させて前記第1のガスから除去する第1の工程と、
前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を除去した第1のガスを二酸化炭素を固化させる第2の温度に冷却することにより、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を除去した第1のガスに含まれる二酸化炭素を、固化させ、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を除去した第1のガスが供給された容器の内部の面に付着させて、前記固化した二酸化炭素が付着した前記面に第2のガスを吹き付けることによって、前記固化した二酸化炭素を、前記面より分離し、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を除去した第1のガスから除去する第2の工程と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のガス処理方法。
【請求項3】
前記第1の工程において、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物が液化又は固化する温度以下の温度の冷却媒体に、前記第1のガスを流通させることにより、前記第1のガスに含まれる窒素酸化物又は硫黄酸化物を前記第1のガスから除去することを特徴とする、請求項2に記載のガス処理方法。
【請求項4】
前記第1の工程により前記第1のガスから分離される前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を含む前記冷却媒体を、前記冷却媒体は気化させるが前記窒素酸化物又は硫黄酸化物は気化させない温度に昇温することにより、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物と前記冷却媒体とを分離する第3の工程を含むことを特徴とする、請求項3に記載のガス処理方法。
【請求項5】
前記窒素酸化物又は硫黄酸化物から分離される前記冷却媒体を、前記第1のガスを流通させる前記冷却媒体として再利用する第4の工程を含むこと、
を特徴とする、請求項4に記載のガス処理方法。
【請求項6】
窒素酸化物及び硫黄酸化物をさらに含有する前記第1のガスを、二酸化炭素を固化させないが前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を液化又は固化させる第1の温度に冷却することにより前記第1のガスに含まれる窒素酸化物及び硫黄酸化物を液化又は固化させて前記第1のガスから除去する第1の工程と、
前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を除去した第1のガスを二酸化炭素を固化させる第2の温度に冷却することにより、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を除去した第1のガスに含まれる二酸化炭素を、固化させ、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を除去した第1のガスが供給された容器の内部の面に付着させて、前記固化した二酸化炭素が付着した前記面に第2のガスを吹き付けることによって、前記固化した二酸化炭素を、前記面より分離し、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を除去した第1のガスから除去する第2の工程と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のガス処理方法。
【請求項7】
前記第1の工程において、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物が液化又は固化する温度以下の温度の冷却媒体に、前記第1のガスを流通させることにより、前記第1のガスに含まれる窒素酸化物及び硫黄酸化物を前記第1のガスから除去することを特徴とする、請求項6に記載のガス処理方法。
【請求項8】
前記第1の工程により前記第1のガスから分離される前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を含む前記冷却媒体を、前記冷却媒体は気化させるが前記窒素酸化物及び硫黄酸化物は気化させない温度に昇温することにより、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物と前記冷却媒体とを分離する第3の工程を含むことを特徴とする、請求項6に記載のガス処理方法。
【請求項9】
前記窒素酸化物及び硫黄酸化物から分離される前記冷却媒体を、前記第1のガスを流通させる前記冷却媒体として再利用する第4の工程を含むこと、
を特徴とする、請求項8に記載のガス処理方法。
【請求項10】
前記第1の工程により前記第1のガスから分離される前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を、硫黄酸化物は気化させるが窒素酸化物は気化させない温度に昇温することにより、硫黄酸化物と窒素酸化物とを分離する第5の工程を含むことを特徴とする、請求項6〜9のいずれかに記載のガス処理方法。
【請求項11】
前記冷却媒体が、ジメチルエーテル、メタノール、エタノール、トルエン、エチルベンゼンのいずれかを含むことを特徴とする、請求項3〜5又は7〜10のいずれかに記載のガス処理方法。
【請求項12】
前記容器が、二酸化炭素が固化する温度以下の温度の冷媒を流通させた冷媒流通装置を有し、
前記冷媒流通装置の外部に前記第1のガスを接触させることによって前記第1のガスを冷却させること、
を特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載のガス処理方法。
【請求項13】
前記冷媒流通装置は管状であり、前記容器の内部に蛇行して設けられていることを特徴とする、請求項12に記載のガス処理方法。
【請求項14】
前記第1の工程は、前記第1のガスに含まれる水分を前記第1のガスから分離する工程を含むことを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載のガス処理方法。
【請求項15】
前記第2のガスが、圧縮ガスであることを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載のガス処理方法。
【請求項16】
前記第1のガスが、LNG焚きボイラから排出される排ガスであることを特徴とする、請求項1〜15のいずれかに記載のガス処理方法。
【請求項17】
前記面より分離した前記固化した二酸化炭素を回収する回収工程をさらに含むことを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載のガス処理方法。
【請求項18】
前記回収工程において、
分離した前記固化した二酸化炭素を前記容器から排出して、ドライアイス回収容器へ入れ、
前記ドライアイス回収容器を密閉し、
二酸化炭素が液体の状態を取り得る圧力以上に前記ドライアイス回収容器の内部を加圧し、
液体二酸化炭素を前記ドライアイス回収容器へ導入し、
前記ドライアイス回収容器に存在する前記固化した二酸化炭素の一部又は全部を前記液体二酸化炭素に溶解させ、
前記溶解した二酸化炭素の一部又は全部を前記ドライアイス回収容器の外に排出し、
排出された前記溶解した二酸化炭素を回収する、
ことを特徴とする、請求項17に記載のガス処理方法。
【請求項19】
前記液体二酸化炭素は、二酸化炭素貯留槽から前記ドライアイス回収容器へ供給され、
前記排出された前記溶解した二酸化炭素は、前記二酸化炭素貯留槽へ回収されること、
を特徴とする、請求項18に記載のガス処理方法。
【請求項20】
前記二酸化炭素貯留槽内の圧力は、前記ドライアイス回収容器内の圧力と同一であることを特徴とする、請求項19に記載のガス処理方法。
【請求項21】
前記圧力が、5.11atm以上であることを特徴とする、請求項18〜20のいずれかに記載のガス処理方法。
【請求項22】
二酸化炭素を含有する第1のガスを、二酸化炭素を固化させる温度で冷却することにより、前記第1のガスに含まれる二酸化炭素を固化させ、前記第1のガスが導入された容器の内部の面に付着させて、前記固化した二酸化炭素が付着した前記面に第2のガスを吹き付けることによって、前記固化した二酸化炭素を前記面より分離し、前記第1のガスから除去すること、
を特徴とするガス処理装置。
【請求項23】
二酸化炭素を含有する第1のガスから前記二酸化炭素を除去するためのガス処理装置であって、
二酸化炭素を含有する前記第1のガスを供給するための第1の入口と、前記二酸化炭素の一部又は全部を除去した後の第1のガスを排出するための第1の出口と、固化した二酸化炭素を排出するための第2の出口とを備えた容器と、
前記二酸化炭素を固化させるための冷却装置と、
前記冷却装置によって固化した二酸化炭素が付着した前記容器の内部の面に第2のガスを吹き付けるためのガス噴射装置と、
を備え、
前記容器は、
前記第1の入口より供給される前記第1のガスの量を制御するための手段と、
前記第1の出口より排出される前記二酸化炭素の一部又は全部を除去した後の第1のガスの量を制御するための手段と、
を備えることを特徴とするガス処理装置。
【請求項24】
前記冷却装置が、二酸化炭素が固化する温度以下の温度の冷媒を流通させるための冷媒流通装置であることを特徴とする、請求項23に記載のガス処理装置。
【請求項25】
前記冷媒流通装置は管状であり、前記容器内部に蛇行して設けられていることを特徴とする、請求項24に記載のガス処理装置。
【請求項26】
前記第2のガスが、圧縮ガスであることを特徴とする、請求項23〜25のいずれかに記載のガス処理装置。
【請求項27】
前記ガス噴射装置が、オリフィスを備えていることを特徴とする、請求項23〜26のいずれかに記載のガス処理装置。
【請求項28】
二酸化炭素、及び窒素酸化物又は硫黄酸化物の一方を含有する第1のガスを、二酸化炭素を固化させないが前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を液化又は固化させる第1の温度に冷却することにより、前記第1のガスに含まれる窒素酸化物又は硫黄酸化物を液化又は固化させて前記第1のガスから除去するための第1の装置と、
前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を除去した第1のガスを、二酸化炭素を固化させる第2の温度で冷却することにより、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を除去した第1のガスに含まれる二酸化炭素を固化させ、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を除去した第1のガスが導入された容器の内部の面に付着させて、前記固化した二酸化炭素が付着した前記面に第2のガスを吹き付けることによって、前記固化した二酸化炭素を前記面より分離し、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を除去した第1のガスから除去するための第2の装置と、
を備えることを特徴とするガス処理システム。
【請求項29】
二酸化炭素、及び窒素酸化物又は硫黄酸化物の一方を含有する第1のガスから前記二酸化炭素、及び窒素酸化物又は硫黄酸化物を除去するためのガス処理システムであって、
前記ガス処理システムは、第1の装置と第2の装置を含み、
前記第1の装置は、
前記二酸化炭素、及び窒素酸化物又は硫黄酸化物を含有する前記第1のガスを供給するための第4の入口と、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物の一部又は全部を除去した後の第1のガスを排出するための第4の出口と、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を排出するための第5の出口とを備えた第1の容器と、
前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を液化又は固化させるための第1の冷却装置と、
を備え、
前記第2の装置は、
前記第4の出口から排出された前記窒素酸化物又は硫黄酸化物の一部又は全部を除去した後の第1のガスを供給するための第1の入口と、前記二酸化炭素の一部又は全部を除去した後の第1のガスを排出するための第1の出口と、固化した二酸化炭素を排出するための第2の出口とを備えた第2の容器と、
前記二酸化炭素を固化させるための第2の冷却装置と、
第2の冷却装置によって固化した二酸化炭素が付着した前記容器の内部の面に第2のガスを吹き付けるためのガス噴射装置と、
を備え、
前記第1の容器は、
前記第4の入口より供給される前記第1のガスの量を制御するための手段と、
前記第4の出口より排出される前記窒素酸化物又は硫黄酸化物の一部又は全部を除去した後の第1のガスの量を制御するための手段と、
を備え、
前記第2の容器は、
前記第1の入口より供給される前記窒素酸化物又は硫黄酸化物の一部又は全部を除去した後の第1のガスの量を制御するための手段と、
前記第1の出口より排出される前記二酸化炭素の一部又は全部を除去した後の第1のガスの量を制御するための手段と、
を備えることを特徴とするガス処理システム。
【請求項30】
前記第1の冷却装置は、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物が液化又は固化する温度以下の温度の冷却媒体に、前記二酸化炭素、及び窒素酸化物又は硫黄酸化物を含有する第1のガスを流通させることにより、前記第1のガスに含まれる窒素酸化物又は硫黄酸化物を前記第1のガスから除去することを特徴とする、請求項29に記載のガス処理システム。
【請求項31】
前記第1の装置により前記第1のガスから分離される窒素酸化物又は硫黄酸化物を含む前記冷却媒体を、前記冷却媒体については気化させるが前記窒素酸化物及び硫黄酸化物については気化させない温度に昇温することにより前記窒素酸化物又は硫黄酸化物と前記冷却媒体とを分離する装置を含むことを特徴とする、請求項30に記載のガス処理システム。
【請求項32】
二酸化炭素、窒素酸化物、及び硫黄酸化物を含有する第1のガスを、二酸化炭素を固化させないが前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を液化又は固化させる第1の温度に冷却することにより、前記第1のガスに含まれる窒素酸化物及び硫黄酸化物を液化又は固化させて前記第1のガスから除去するための第1の装置と、
前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を除去した第1のガスを、二酸化炭素を固化させる第2の温度で冷却することにより、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を除去した第1のガスに含まれる二酸化炭素を固化させ、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を除去した第1のガスが導入された容器の内部の面に付着させて、前記固化した二酸化炭素が付着した前記面に第2のガスを吹き付けることによって、前記固化した二酸化炭素を前記面より分離し、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を除去した第1のガスから除去するための第2の装置と、
を備えることを特徴とするガス処理システム。
【請求項33】
二酸化炭素、窒素酸化物、及び硫黄酸化物を含有する第1のガスから前記二酸化炭素、窒素酸化物、及び硫黄酸化物を除去するためのガス処理システムであって、
前記ガス処理システムは、第1の装置と第2の装置を含み、
前記第1の装置は、
前記二酸化炭素、窒素酸化物、及び硫黄酸化物を含有する前記第1のガスを供給するための第4の入口と、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物の一部又は全部を除去した後の第1のガスを排出するための第4の出口と、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を排出するための第5の出口とを備えた第1の容器と、
前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を液化又は固化させるための第1の冷却装置と、
を備え、
前記第2の装置は、
前記第4の出口から排出された前記窒素酸化物及び硫黄酸化物の一部又は全部を除去した後の第1のガスを供給するための第1の入口と、前記二酸化炭素の一部又は全部を除去した後の第1のガスを排出するための第1の出口と、固化した二酸化炭素を排出するための第2の出口とを備えた第2の容器と、
前記二酸化炭素を固化させるための第2の冷却装置と、
第2の冷却装置によって固化した二酸化炭素が付着した前記容器の内部の面に第2のガスを吹き付けるためのガス噴射装置と、
を備え、
前記第1の容器は、
前記第4の入口より供給される前記第1のガスの量を制御するための手段と、
前記第4の出口より排出される前記窒素酸化物及び硫黄酸化物の一部又は全部を除去した後の第1のガスの量を制御するための手段と、
を備え、
前記第2の容器は、
前記第1の入口より供給される前記窒素酸化物及び硫黄酸化物の一部又は全部を除去した後の第1のガスの量を制御するための手段と、
前記第1の出口より排出される前記二酸化炭素の一部又は全部を除去した後の第1のガスの量を制御するための手段と、
を備えることを特徴とするガス処理システム。
【請求項34】
前記第1の冷却装置は、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物が液化又は固化する温度以下の温度の冷却媒体に、前記二酸化炭素、窒素酸化物、及び硫黄酸化物を含有する第1のガスを流通させることにより、前記第1のガスに含まれる窒素酸化物及び硫黄酸化物を前記第1のガスから除去することを特徴とする、請求項33に記載のガス処理システム。
【請求項35】
前記第1の装置により前記第1のガスから分離される窒素酸化物及び硫黄酸化物を含む前記冷却媒体を、前記冷却媒体については気化させるが前記窒素酸化物及び硫黄酸化物については気化させない温度に昇温することにより前記窒素酸化物及び硫黄酸化物と前記冷却媒体とを分離する装置を含むことを特徴とする、請求項34に記載のガス処理システム。
【請求項36】
前記第1のガスが窒素酸化物及び硫黄酸化物を含有し、
前記第1の装置により前記第1のガスから分離される窒素酸化物及び硫黄酸化物を硫黄酸化物は気化させるが窒素酸化物は気化させない温度に昇温することにより前記硫黄酸化物と窒素酸化物とを分離する装置を含むことを特徴とする、請求項32〜35のいずれかに記載のガス処理システム。
【請求項37】
前記第1のガスから分離される前記冷却媒体を、前記第1のガスを流通させる前記冷却媒体として再利用する装置を含むことを特徴とする、請求項31又は35に記載のガス処理システム。
【請求項38】
前記冷却媒体が、ジメチルエーテル、メタノール、エタノール、トルエン、エチルベンゼンのいずれかを含むことを特徴とする、請求項30、31、34、35又は37のいずれかに記載のガス処理システム。
【請求項39】
前記第2の冷却装置が、二酸化炭素が固化する温度以下の温度の冷媒を流通させるための冷媒流通装置であることを特徴とする、請求項29〜31、33〜35のいずれかに記載のガス処理システム。
【請求項40】
前記冷媒流通装置は管状であり、前記第2の容器内部に蛇行して設けられていることを特徴とする、請求項39に記載のガス処理システム。
【請求項41】
前記第2のガスが、圧縮ガスであることを特徴とする、請求項28〜40のいずれかに記載のガス処理システム。
【請求項42】
前記ガス噴射装置が、オリフィスを備えていることを特徴とする、請求項29〜31、33〜35、39又は40のいずれかに記載のガス処理システム。
【請求項43】
分離した前記固化した二酸化炭素を前記容器又は前記第2の容器から排出して、ドライアイス回収容器へ入れ、前記ドライアイス回収容器を密閉し、二酸化炭素が液体の状態を取り得る圧力以上に前記ドライアイス回収容器の内部を加圧し、液体二酸化炭素を前記ドライアイス回収容器へ供給し、前記ドライアイス回収容器に存在する前記固化した二酸化炭素の一部又は全部を前記液体二酸化炭素に溶解させ、前記溶解した二酸化炭素の一部又は全部を前記ドライアイス回収容器の外に排出するための第3の装置をさらに含むことを特徴とする、請求項28〜42のいずれかに記載のガス処理システム。
【請求項44】
請求項22〜27のいずれかに記載のガス処理装置と、
前記ガス処理装置から排出された固化した二酸化炭素を回収するドライアイス回収容器と、
を含むガス処理システムであって
前記ドライアイス回収容器は、
第2の出口から排出される前記固化した二酸化炭素を供給するための第2の入口と、
液体二酸化炭素を供給するための第3の入口と、
前記液体二酸化炭素によって溶解した前記固化した二酸化炭素を排出するための第3の出口と、
前記第2の入口より前記固化した二酸化炭素を供給するための供給手段と、
前記第3の入口より前記液体二酸化炭素を供給するための液体二酸化炭素供給手段と、
前記第3の出口より前記溶解した二酸化炭素を排出するための排出手段と、
排出された前記溶解した二酸化炭素を回収するための回収手段と、
をさらに備えることを特徴とするガス処理システム。
【請求項45】
前記ガス処理システムから排出された固化した二酸化炭素を回収するドライアイス回収容器をさらに含み、
前記ドライアイス回収容器は、
第2の出口から排出される前記固化した二酸化炭素を供給するための第2の入口と、
液体二酸化炭素を供給するための第3の入口と、
前記液体二酸化炭素によって溶解した前記固化した二酸化炭素を排出するための第3の出口と、
前記第2の入口より前記固化した二酸化炭素を供給するための供給手段と、
前記第3の入口より前記液体二酸化炭素を供給するための液体二酸化炭素供給手段と、
前記第3の出口より前記溶解した二酸化炭素を排出するための排出手段と、
排出された前記溶解した前記二酸化炭素を回収するための回収手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項28〜42のいずれかに記載のガス処理システム。
【請求項46】
前記液体二酸化炭素を供給し、前記溶解した二酸化炭素を貯留するための二酸化炭素貯留槽を備えること、
を特徴とする請求項43〜45のいずれかに記載のガス処理システム。
【請求項47】
前記二酸化炭素貯留槽の圧力と、前記ドライアイス回収容器内の圧力が同一になるように調節する調節手段を備えることを特徴とする、請求項46に記載のガス処理システム。
【請求項48】
前記圧力が、5.11atm以上であることを特徴とする、請求項43又は47に記載のガス処理システム。
【請求項1】
二酸化炭素を含有する第1のガスを、二酸化炭素を固化させる温度で冷却することにより、前記第1のガスに含まれる二酸化炭素を固化させ、前記第1のガスが導入された容器の内部の面に付着させて、前記固化した二酸化炭素が付着した前記面に第2のガスを吹き付けることによって、前記固化した二酸化炭素を前記面より分離し、前記第1のガスから除去することを特徴とする、ガス処理方法。
【請求項2】
窒素酸化物又は硫黄酸化物の一方をさらに含有する前記第1のガスを、二酸化炭素を固化させないが前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を液化又は固化させる第1の温度に冷却することにより前記第1のガスに含まれる窒素酸化物又は硫黄酸化物を液化又は固化させて前記第1のガスから除去する第1の工程と、
前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を除去した第1のガスを二酸化炭素を固化させる第2の温度に冷却することにより、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を除去した第1のガスに含まれる二酸化炭素を、固化させ、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を除去した第1のガスが供給された容器の内部の面に付着させて、前記固化した二酸化炭素が付着した前記面に第2のガスを吹き付けることによって、前記固化した二酸化炭素を、前記面より分離し、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を除去した第1のガスから除去する第2の工程と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のガス処理方法。
【請求項3】
前記第1の工程において、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物が液化又は固化する温度以下の温度の冷却媒体に、前記第1のガスを流通させることにより、前記第1のガスに含まれる窒素酸化物又は硫黄酸化物を前記第1のガスから除去することを特徴とする、請求項2に記載のガス処理方法。
【請求項4】
前記第1の工程により前記第1のガスから分離される前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を含む前記冷却媒体を、前記冷却媒体は気化させるが前記窒素酸化物又は硫黄酸化物は気化させない温度に昇温することにより、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物と前記冷却媒体とを分離する第3の工程を含むことを特徴とする、請求項3に記載のガス処理方法。
【請求項5】
前記窒素酸化物又は硫黄酸化物から分離される前記冷却媒体を、前記第1のガスを流通させる前記冷却媒体として再利用する第4の工程を含むこと、
を特徴とする、請求項4に記載のガス処理方法。
【請求項6】
窒素酸化物及び硫黄酸化物をさらに含有する前記第1のガスを、二酸化炭素を固化させないが前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を液化又は固化させる第1の温度に冷却することにより前記第1のガスに含まれる窒素酸化物及び硫黄酸化物を液化又は固化させて前記第1のガスから除去する第1の工程と、
前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を除去した第1のガスを二酸化炭素を固化させる第2の温度に冷却することにより、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を除去した第1のガスに含まれる二酸化炭素を、固化させ、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を除去した第1のガスが供給された容器の内部の面に付着させて、前記固化した二酸化炭素が付着した前記面に第2のガスを吹き付けることによって、前記固化した二酸化炭素を、前記面より分離し、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を除去した第1のガスから除去する第2の工程と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のガス処理方法。
【請求項7】
前記第1の工程において、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物が液化又は固化する温度以下の温度の冷却媒体に、前記第1のガスを流通させることにより、前記第1のガスに含まれる窒素酸化物及び硫黄酸化物を前記第1のガスから除去することを特徴とする、請求項6に記載のガス処理方法。
【請求項8】
前記第1の工程により前記第1のガスから分離される前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を含む前記冷却媒体を、前記冷却媒体は気化させるが前記窒素酸化物及び硫黄酸化物は気化させない温度に昇温することにより、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物と前記冷却媒体とを分離する第3の工程を含むことを特徴とする、請求項6に記載のガス処理方法。
【請求項9】
前記窒素酸化物及び硫黄酸化物から分離される前記冷却媒体を、前記第1のガスを流通させる前記冷却媒体として再利用する第4の工程を含むこと、
を特徴とする、請求項8に記載のガス処理方法。
【請求項10】
前記第1の工程により前記第1のガスから分離される前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を、硫黄酸化物は気化させるが窒素酸化物は気化させない温度に昇温することにより、硫黄酸化物と窒素酸化物とを分離する第5の工程を含むことを特徴とする、請求項6〜9のいずれかに記載のガス処理方法。
【請求項11】
前記冷却媒体が、ジメチルエーテル、メタノール、エタノール、トルエン、エチルベンゼンのいずれかを含むことを特徴とする、請求項3〜5又は7〜10のいずれかに記載のガス処理方法。
【請求項12】
前記容器が、二酸化炭素が固化する温度以下の温度の冷媒を流通させた冷媒流通装置を有し、
前記冷媒流通装置の外部に前記第1のガスを接触させることによって前記第1のガスを冷却させること、
を特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載のガス処理方法。
【請求項13】
前記冷媒流通装置は管状であり、前記容器の内部に蛇行して設けられていることを特徴とする、請求項12に記載のガス処理方法。
【請求項14】
前記第1の工程は、前記第1のガスに含まれる水分を前記第1のガスから分離する工程を含むことを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載のガス処理方法。
【請求項15】
前記第2のガスが、圧縮ガスであることを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載のガス処理方法。
【請求項16】
前記第1のガスが、LNG焚きボイラから排出される排ガスであることを特徴とする、請求項1〜15のいずれかに記載のガス処理方法。
【請求項17】
前記面より分離した前記固化した二酸化炭素を回収する回収工程をさらに含むことを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載のガス処理方法。
【請求項18】
前記回収工程において、
分離した前記固化した二酸化炭素を前記容器から排出して、ドライアイス回収容器へ入れ、
前記ドライアイス回収容器を密閉し、
二酸化炭素が液体の状態を取り得る圧力以上に前記ドライアイス回収容器の内部を加圧し、
液体二酸化炭素を前記ドライアイス回収容器へ導入し、
前記ドライアイス回収容器に存在する前記固化した二酸化炭素の一部又は全部を前記液体二酸化炭素に溶解させ、
前記溶解した二酸化炭素の一部又は全部を前記ドライアイス回収容器の外に排出し、
排出された前記溶解した二酸化炭素を回収する、
ことを特徴とする、請求項17に記載のガス処理方法。
【請求項19】
前記液体二酸化炭素は、二酸化炭素貯留槽から前記ドライアイス回収容器へ供給され、
前記排出された前記溶解した二酸化炭素は、前記二酸化炭素貯留槽へ回収されること、
を特徴とする、請求項18に記載のガス処理方法。
【請求項20】
前記二酸化炭素貯留槽内の圧力は、前記ドライアイス回収容器内の圧力と同一であることを特徴とする、請求項19に記載のガス処理方法。
【請求項21】
前記圧力が、5.11atm以上であることを特徴とする、請求項18〜20のいずれかに記載のガス処理方法。
【請求項22】
二酸化炭素を含有する第1のガスを、二酸化炭素を固化させる温度で冷却することにより、前記第1のガスに含まれる二酸化炭素を固化させ、前記第1のガスが導入された容器の内部の面に付着させて、前記固化した二酸化炭素が付着した前記面に第2のガスを吹き付けることによって、前記固化した二酸化炭素を前記面より分離し、前記第1のガスから除去すること、
を特徴とするガス処理装置。
【請求項23】
二酸化炭素を含有する第1のガスから前記二酸化炭素を除去するためのガス処理装置であって、
二酸化炭素を含有する前記第1のガスを供給するための第1の入口と、前記二酸化炭素の一部又は全部を除去した後の第1のガスを排出するための第1の出口と、固化した二酸化炭素を排出するための第2の出口とを備えた容器と、
前記二酸化炭素を固化させるための冷却装置と、
前記冷却装置によって固化した二酸化炭素が付着した前記容器の内部の面に第2のガスを吹き付けるためのガス噴射装置と、
を備え、
前記容器は、
前記第1の入口より供給される前記第1のガスの量を制御するための手段と、
前記第1の出口より排出される前記二酸化炭素の一部又は全部を除去した後の第1のガスの量を制御するための手段と、
を備えることを特徴とするガス処理装置。
【請求項24】
前記冷却装置が、二酸化炭素が固化する温度以下の温度の冷媒を流通させるための冷媒流通装置であることを特徴とする、請求項23に記載のガス処理装置。
【請求項25】
前記冷媒流通装置は管状であり、前記容器内部に蛇行して設けられていることを特徴とする、請求項24に記載のガス処理装置。
【請求項26】
前記第2のガスが、圧縮ガスであることを特徴とする、請求項23〜25のいずれかに記載のガス処理装置。
【請求項27】
前記ガス噴射装置が、オリフィスを備えていることを特徴とする、請求項23〜26のいずれかに記載のガス処理装置。
【請求項28】
二酸化炭素、及び窒素酸化物又は硫黄酸化物の一方を含有する第1のガスを、二酸化炭素を固化させないが前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を液化又は固化させる第1の温度に冷却することにより、前記第1のガスに含まれる窒素酸化物又は硫黄酸化物を液化又は固化させて前記第1のガスから除去するための第1の装置と、
前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を除去した第1のガスを、二酸化炭素を固化させる第2の温度で冷却することにより、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を除去した第1のガスに含まれる二酸化炭素を固化させ、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を除去した第1のガスが導入された容器の内部の面に付着させて、前記固化した二酸化炭素が付着した前記面に第2のガスを吹き付けることによって、前記固化した二酸化炭素を前記面より分離し、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を除去した第1のガスから除去するための第2の装置と、
を備えることを特徴とするガス処理システム。
【請求項29】
二酸化炭素、及び窒素酸化物又は硫黄酸化物の一方を含有する第1のガスから前記二酸化炭素、及び窒素酸化物又は硫黄酸化物を除去するためのガス処理システムであって、
前記ガス処理システムは、第1の装置と第2の装置を含み、
前記第1の装置は、
前記二酸化炭素、及び窒素酸化物又は硫黄酸化物を含有する前記第1のガスを供給するための第4の入口と、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物の一部又は全部を除去した後の第1のガスを排出するための第4の出口と、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を排出するための第5の出口とを備えた第1の容器と、
前記窒素酸化物又は硫黄酸化物を液化又は固化させるための第1の冷却装置と、
を備え、
前記第2の装置は、
前記第4の出口から排出された前記窒素酸化物又は硫黄酸化物の一部又は全部を除去した後の第1のガスを供給するための第1の入口と、前記二酸化炭素の一部又は全部を除去した後の第1のガスを排出するための第1の出口と、固化した二酸化炭素を排出するための第2の出口とを備えた第2の容器と、
前記二酸化炭素を固化させるための第2の冷却装置と、
第2の冷却装置によって固化した二酸化炭素が付着した前記容器の内部の面に第2のガスを吹き付けるためのガス噴射装置と、
を備え、
前記第1の容器は、
前記第4の入口より供給される前記第1のガスの量を制御するための手段と、
前記第4の出口より排出される前記窒素酸化物又は硫黄酸化物の一部又は全部を除去した後の第1のガスの量を制御するための手段と、
を備え、
前記第2の容器は、
前記第1の入口より供給される前記窒素酸化物又は硫黄酸化物の一部又は全部を除去した後の第1のガスの量を制御するための手段と、
前記第1の出口より排出される前記二酸化炭素の一部又は全部を除去した後の第1のガスの量を制御するための手段と、
を備えることを特徴とするガス処理システム。
【請求項30】
前記第1の冷却装置は、前記窒素酸化物又は硫黄酸化物が液化又は固化する温度以下の温度の冷却媒体に、前記二酸化炭素、及び窒素酸化物又は硫黄酸化物を含有する第1のガスを流通させることにより、前記第1のガスに含まれる窒素酸化物又は硫黄酸化物を前記第1のガスから除去することを特徴とする、請求項29に記載のガス処理システム。
【請求項31】
前記第1の装置により前記第1のガスから分離される窒素酸化物又は硫黄酸化物を含む前記冷却媒体を、前記冷却媒体については気化させるが前記窒素酸化物及び硫黄酸化物については気化させない温度に昇温することにより前記窒素酸化物又は硫黄酸化物と前記冷却媒体とを分離する装置を含むことを特徴とする、請求項30に記載のガス処理システム。
【請求項32】
二酸化炭素、窒素酸化物、及び硫黄酸化物を含有する第1のガスを、二酸化炭素を固化させないが前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を液化又は固化させる第1の温度に冷却することにより、前記第1のガスに含まれる窒素酸化物及び硫黄酸化物を液化又は固化させて前記第1のガスから除去するための第1の装置と、
前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を除去した第1のガスを、二酸化炭素を固化させる第2の温度で冷却することにより、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を除去した第1のガスに含まれる二酸化炭素を固化させ、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を除去した第1のガスが導入された容器の内部の面に付着させて、前記固化した二酸化炭素が付着した前記面に第2のガスを吹き付けることによって、前記固化した二酸化炭素を前記面より分離し、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を除去した第1のガスから除去するための第2の装置と、
を備えることを特徴とするガス処理システム。
【請求項33】
二酸化炭素、窒素酸化物、及び硫黄酸化物を含有する第1のガスから前記二酸化炭素、窒素酸化物、及び硫黄酸化物を除去するためのガス処理システムであって、
前記ガス処理システムは、第1の装置と第2の装置を含み、
前記第1の装置は、
前記二酸化炭素、窒素酸化物、及び硫黄酸化物を含有する前記第1のガスを供給するための第4の入口と、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物の一部又は全部を除去した後の第1のガスを排出するための第4の出口と、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を排出するための第5の出口とを備えた第1の容器と、
前記窒素酸化物及び硫黄酸化物を液化又は固化させるための第1の冷却装置と、
を備え、
前記第2の装置は、
前記第4の出口から排出された前記窒素酸化物及び硫黄酸化物の一部又は全部を除去した後の第1のガスを供給するための第1の入口と、前記二酸化炭素の一部又は全部を除去した後の第1のガスを排出するための第1の出口と、固化した二酸化炭素を排出するための第2の出口とを備えた第2の容器と、
前記二酸化炭素を固化させるための第2の冷却装置と、
第2の冷却装置によって固化した二酸化炭素が付着した前記容器の内部の面に第2のガスを吹き付けるためのガス噴射装置と、
を備え、
前記第1の容器は、
前記第4の入口より供給される前記第1のガスの量を制御するための手段と、
前記第4の出口より排出される前記窒素酸化物及び硫黄酸化物の一部又は全部を除去した後の第1のガスの量を制御するための手段と、
を備え、
前記第2の容器は、
前記第1の入口より供給される前記窒素酸化物及び硫黄酸化物の一部又は全部を除去した後の第1のガスの量を制御するための手段と、
前記第1の出口より排出される前記二酸化炭素の一部又は全部を除去した後の第1のガスの量を制御するための手段と、
を備えることを特徴とするガス処理システム。
【請求項34】
前記第1の冷却装置は、前記窒素酸化物及び硫黄酸化物が液化又は固化する温度以下の温度の冷却媒体に、前記二酸化炭素、窒素酸化物、及び硫黄酸化物を含有する第1のガスを流通させることにより、前記第1のガスに含まれる窒素酸化物及び硫黄酸化物を前記第1のガスから除去することを特徴とする、請求項33に記載のガス処理システム。
【請求項35】
前記第1の装置により前記第1のガスから分離される窒素酸化物及び硫黄酸化物を含む前記冷却媒体を、前記冷却媒体については気化させるが前記窒素酸化物及び硫黄酸化物については気化させない温度に昇温することにより前記窒素酸化物及び硫黄酸化物と前記冷却媒体とを分離する装置を含むことを特徴とする、請求項34に記載のガス処理システム。
【請求項36】
前記第1のガスが窒素酸化物及び硫黄酸化物を含有し、
前記第1の装置により前記第1のガスから分離される窒素酸化物及び硫黄酸化物を硫黄酸化物は気化させるが窒素酸化物は気化させない温度に昇温することにより前記硫黄酸化物と窒素酸化物とを分離する装置を含むことを特徴とする、請求項32〜35のいずれかに記載のガス処理システム。
【請求項37】
前記第1のガスから分離される前記冷却媒体を、前記第1のガスを流通させる前記冷却媒体として再利用する装置を含むことを特徴とする、請求項31又は35に記載のガス処理システム。
【請求項38】
前記冷却媒体が、ジメチルエーテル、メタノール、エタノール、トルエン、エチルベンゼンのいずれかを含むことを特徴とする、請求項30、31、34、35又は37のいずれかに記載のガス処理システム。
【請求項39】
前記第2の冷却装置が、二酸化炭素が固化する温度以下の温度の冷媒を流通させるための冷媒流通装置であることを特徴とする、請求項29〜31、33〜35のいずれかに記載のガス処理システム。
【請求項40】
前記冷媒流通装置は管状であり、前記第2の容器内部に蛇行して設けられていることを特徴とする、請求項39に記載のガス処理システム。
【請求項41】
前記第2のガスが、圧縮ガスであることを特徴とする、請求項28〜40のいずれかに記載のガス処理システム。
【請求項42】
前記ガス噴射装置が、オリフィスを備えていることを特徴とする、請求項29〜31、33〜35、39又は40のいずれかに記載のガス処理システム。
【請求項43】
分離した前記固化した二酸化炭素を前記容器又は前記第2の容器から排出して、ドライアイス回収容器へ入れ、前記ドライアイス回収容器を密閉し、二酸化炭素が液体の状態を取り得る圧力以上に前記ドライアイス回収容器の内部を加圧し、液体二酸化炭素を前記ドライアイス回収容器へ供給し、前記ドライアイス回収容器に存在する前記固化した二酸化炭素の一部又は全部を前記液体二酸化炭素に溶解させ、前記溶解した二酸化炭素の一部又は全部を前記ドライアイス回収容器の外に排出するための第3の装置をさらに含むことを特徴とする、請求項28〜42のいずれかに記載のガス処理システム。
【請求項44】
請求項22〜27のいずれかに記載のガス処理装置と、
前記ガス処理装置から排出された固化した二酸化炭素を回収するドライアイス回収容器と、
を含むガス処理システムであって
前記ドライアイス回収容器は、
第2の出口から排出される前記固化した二酸化炭素を供給するための第2の入口と、
液体二酸化炭素を供給するための第3の入口と、
前記液体二酸化炭素によって溶解した前記固化した二酸化炭素を排出するための第3の出口と、
前記第2の入口より前記固化した二酸化炭素を供給するための供給手段と、
前記第3の入口より前記液体二酸化炭素を供給するための液体二酸化炭素供給手段と、
前記第3の出口より前記溶解した二酸化炭素を排出するための排出手段と、
排出された前記溶解した二酸化炭素を回収するための回収手段と、
をさらに備えることを特徴とするガス処理システム。
【請求項45】
前記ガス処理システムから排出された固化した二酸化炭素を回収するドライアイス回収容器をさらに含み、
前記ドライアイス回収容器は、
第2の出口から排出される前記固化した二酸化炭素を供給するための第2の入口と、
液体二酸化炭素を供給するための第3の入口と、
前記液体二酸化炭素によって溶解した前記固化した二酸化炭素を排出するための第3の出口と、
前記第2の入口より前記固化した二酸化炭素を供給するための供給手段と、
前記第3の入口より前記液体二酸化炭素を供給するための液体二酸化炭素供給手段と、
前記第3の出口より前記溶解した二酸化炭素を排出するための排出手段と、
排出された前記溶解した前記二酸化炭素を回収するための回収手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項28〜42のいずれかに記載のガス処理システム。
【請求項46】
前記液体二酸化炭素を供給し、前記溶解した二酸化炭素を貯留するための二酸化炭素貯留槽を備えること、
を特徴とする請求項43〜45のいずれかに記載のガス処理システム。
【請求項47】
前記二酸化炭素貯留槽の圧力と、前記ドライアイス回収容器内の圧力が同一になるように調節する調節手段を備えることを特徴とする、請求項46に記載のガス処理システム。
【請求項48】
前記圧力が、5.11atm以上であることを特徴とする、請求項43又は47に記載のガス処理システム。
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図8】
【図9】
【図10】
【図1】
【図5】
【図6】
【図7】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図8】
【図9】
【図10】
【図1】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2007−69058(P2007−69058A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−255560(P2005−255560)
【出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
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