説明

ガスケットおよび内燃機関

【課題】シール性および防錆性能を損なうのを防止しつつ、製造作業を容易に行うことができるとともに製造コストを低減することができるガスケットおよび内燃機関を提供する。
【解決手段】オイル通路13dを有する第1オイルパン13と、オイル通路13dに連通する1つ以上のオイル通路14dを有する第2オイルパン14との間に介装されるガスケット39において、オイル通路13dおよびオイル通路14dに対向する内縁と外気に接する外縁とを有する板状の基板39aと、基板39aの外縁に設けられたシール部材39bとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスケットおよび内燃機関に関し、特に、油系流体通路を有する部材の間に介装されるガスケットおよびそのガスケットを備えた内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のガスケットとしては、図6に示すようなものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。図6において、ガスケット1は、鉄製の基板2と、基板2の開口部2i側に設けられた加硫ゴムからなるシール部材3と、シール部材3の外方に設けられた複数のボルト孔4とを備えている。
【0003】
このガスケット1は油系流体通路を有する部材の間に介装されたときに、シール部材3が弾性変形することにより、油系流体通路を開口部2iを介して連通したときに、部材同士を液密的に接続して油系流体通路からオイルが外部に漏出するのを防止するようにしている。
【0004】
また、基板2のシール部材3が設けられていない基板2の外周部は空気に曝されてしまうため、基板2には防錆メッキを施して基板2が錆びてしまうのを防止している。
【特許文献1】特開平7−035240号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来のガスケット1にあっては、基板2に防錆メッキを施しているので、メッキ処理を施す分だけガスケット1の製造作業の工数が増大して製造作業が面倒となってしまうとともに、ガスケット1の製造コストが高くなってしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上述のような従来の問題を解決するためになされたもので、シール性および防錆性能を損なうのを防止しつつ、製造作業を容易に行うことができるとともに製造コストを低減することができるガスケットおよび内燃機関を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るガスケットは、(1)1つ以上の第1の油系流体通路を有する第1の部材と、前記第1の流体通路に連通する1つ以上の第2の油系流体通路を有する第2の部材との間に介装されるガスケットにおいて、前記第1の油系流体通路および前記第2の油系流体通路に対向する内縁と外気に接する外縁とを有する板状の基板と、前記基板の外縁に設けられたシール部材とを備えたものから構成されている。
【0008】
この構成により、油系流体通路に曝されるために錆びの発生し難いガスケットの内縁ではなく、空気に曝されやすい外縁にシール部材を設けたので、ガスケットに防錆メッキを施すのを不要にすることができる。
【0009】
また、ガスケットの外縁にシール部材を設けたので、油系流体通路からオイルが外部に漏出するのを防止して、結合部材同士を液密的に接続するようにしている。
【0010】
この結果、シール性および防錆性能を損なうのを防止しつつ、ガスケットの製造作業を容易に行うことができるとともにガスケットの製造コストを低減することができる。
【0011】
また、本発明に係るガスケットは、(1)において、(2)前記基板が、前記第1の油系流体通路および前記第2の油系流体通路と連通する開口部を有し、前記内縁が前記開口部の外周縁から構成されている。
【0012】
この構成により、基板の内縁が油系流体通路を連通する開口部の外周縁に対向するので、油系流体通路をガスケットの開口部を介して連通したときに、油系流体通路からオイルが外部に漏出するのを防止して、シール性および防錆性能を損なうのを防止しつつ、ガスケットの製造作業を容易に行うことができるとともにガスケットの製造コストを低減することができる。
【0013】
また、本発明に係るガスケットは、(1)において、(3)前記基板が所定方向に延在するように長尺に形成され、前記内縁が前記基板の一側面から構成され、前記外縁が前記基板の他側面から構成されている。
【0014】
この構成により、油系流体通路に対向する基板の内縁が基板の一側面から構成され、外気に接する基板の外縁が基板の他側面から構成されるので、油系流体通路からオイルが外部に漏出するのを防止して、シール性および防錆性能を損なうのを防止しつつ、ガスケットの製造作業を容易に行うことができるとともにガスケットの製造コストを低減することができる。
【0015】
また、本発明に係るガスケットは、(1)〜(3)において、(4)前記基板はボルト孔を有し、前記ボルト孔が前記基板の内縁と外縁の間に設けられるものから構成されている。
【0016】
この構成により、ボルト孔にボルトを挿通して結合部材を連結したときに、例えば、ボルトをボルト孔に容易に挿入するためにボルト孔に潤滑油を充填した場合に、ボルト孔から潤滑油が漏出し、この潤滑油がガスケットを通して結合部材から外側に漏出してしまうことが考えられる。
【0017】
本発明では、シール部材の内側にボルト孔を設けたので、ボルト孔から潤滑油が漏出した場合であっても、シール部材によって潤滑油が遮断されて結合部材から外側に漏出してしまうのを防止することができる。
【0018】
また、本発明に係るガスケットは、(1)〜(4)において、(5)前記シール部材が加硫ゴムから構成されている。
【0019】
この構成により、安価な構成で、ガスケットの防錆対策とシール性を確保することができ、ガスケットの製造コストをより一層低減することができる。
【0020】
また、本発明に係る(1)〜(5)の何れか1つのガスケットを備えた内燃機関は、(6)前記第1の部材がシリンダブロックから構成され、前記第2の部材がオイルパンから構成される。
【0021】
この構成により、シリンダブロックおよびオイルパンをガスケットを介して結合したときに、ガスケットに防錆メッキを施すのを不要にしてシリンダブロック内に設けられた第1の油系流体通路およびオイルパン内に設けられた第2の油系流体通路からオイルが漏出するのを防止することができる。
【0022】
この結果、ガスケットの製造作業を容易に行うことができるとともにガスケットの製造コストを低減することができるため、その分だけ内燃機関の製造コストも低減することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、シール性および防錆性能を損なうのを防止しつつ、製造作業を容易に行うことができるとともに製造コストを低減することができるガスケットおよび内燃機関を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係るガスケットおよび内燃機関の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0025】
図1〜図5は本発明に係るガスケットを備えたエンジンの一実施の形態を示す図であり、本発明のガスケットを自動車用エンジンに適用した場合を説明するものである。
【0026】
まず、構成を説明する。図1において、エンジン10は、ピストン15、クランクシャフト16、カムシャフト17、オイルジェット33等の複数の被潤滑部材を有している。第1オイルパン13および第2オイルパン14は、被潤滑部材の潤滑のためのオイルが貯留できるよう内部空間を有している。
【0027】
また、エンジン10は、第1オイルパン13および第2オイルパン14に貯留されているオイルで被潤滑部材を潤滑するための潤滑系統として、オイルストレーナ18、オイルポンプ19、オイルフィルタ20および複数のオイル配管21〜30を備えている。
【0028】
オイルストレーナ18は第2オイルパン14の底部に配置されており、オイルストレーナ18はオイル配管21によりオイルポンプ19と接続され、第1オイルパン13および第2オイルパン14の内側に貯留されているオイルを吸入して比較的大きな異物をろ過し、オイルをオイル配管21を通してオイルポンプ19に送出するようになっている。
【0029】
オイルポンプ19は、周知のロータリーポンプから構成されており、第1オイルパン13の内部に配置されたオイル配管21、22によりオイルストレーナ18、オイルフィルタ20とそれぞれ接続されている。
【0030】
また、オイルポンプ19は、図2に示すように、クランクシャフト16と共に回転するようにクランクシャフト16と機械的に結合されたロータ19aを有しており、このロータ19aの回転によりオイルストレーナ18から吸い上げたオイルをオイルフィルタ20に圧送するようになっている。
【0031】
オイルフィルタ20は、第1オイルパン13の外部に着脱可能に装着されており、第1オイルパン13の内部に配置されたオイル配管22によりオイルポンプ19と接続されるとともに、オイル配管23によりエンジン10の被潤滑部材にオイルを供給する他のオイル配管24〜30と接続されている。
【0032】
オイルフィルタ20は、オイル配管22を介してオイルポンプ19から送られたオイルをろ過して、オイル配管23を介してオイル配管24に送出する。オイル配管24に送出されたオイルはエンジン10の被潤滑部材に送られる。
【0033】
オイル配管24から送出されたオイルはオイル配管30を通ってクランクシャフト16を潤滑するようになっており、オイル配管24から送出されたオイルはオイル配管25、26、27を通ってカムシャフト17を潤滑するようになっている。
【0034】
また、オイル配管24から送出されたオイルはオイルジェット33から噴出され、タイミングチェーン32を潤滑するようになっており、オイル配管24から送出されたオイルはオイル配管29、30を通ってチェーンテンショナー31によってタイミングチェーン32に常時適切な張力を与えるための作動油として用いられる。なお、チェーンテンショナー31は、オイルによる油圧と図示しないスプリングによる付勢力を併用している。
【0035】
図2に示すように、エンジン10は、シリンダヘッド11と、シリンダブロック12と、シリンダブロック12の下端部に接続された第1オイルパン13および第2オイルパン14および図示しないシリンダヘッドカバー等から構成される。
【0036】
前述のオイル配管21〜30は、エンジン10を構成するこれら各部材の内部または外部に形成される。具体的には、オイル配管21〜24は第1オイルパン13内部に形成される。
【0037】
また、オイル配管29、30はシリンダブロック12の内部に形成される。一方、オイル配管25はシリンダブロック12の外部に形成されており、一端および他端がシリンダブロック12とシリンダヘッド11とに接続される。また、オイル配管26、28はシリンダヘッド11内部に形成される。また、オイル配管27は図示しないシリンダヘッドカバー内に形成される。
【0038】
第1オイルパン13と第2オイルパン14の接合部にはガスケット39が介装される。具体的には、ガスケット39は、第1オイルパン13のオイル通路13dと、オイル通路13dに連通する第2オイルパン14のオイル通路14dの間に介装されている。
【0039】
ガスケット39は、図3に示すように、略環状の基板39aと、シール部材39bと、シール部材39bの内側に設けられる複数のボルト孔39cと、第1オイルパン13と第2オイルパン14の間のオイルの通路となる開口部39dとを備えており、ガスケット39の形状は、第1オイルパン13と第2オイルパン14との接合部と略同形状となっている。
【0040】
基板39aは、1枚または薄板の積層体の鉄板から構成されている。また、シール部材39bは加硫ゴム等の弾性部材から構成され、基板39aの外縁、すなわち、エンジン10の外周部側に設けられている。
【0041】
シール部材39bは例えば接着等の方法により基板39aの外縁に固定されており、シール部材39bは基板39aの外縁における上下両面および端面を被覆するようになっている。
【0042】
ガスケット39が第1オイルパン13と第2オイルパン14の接合部に装着される前の状態では、シール部材39bの厚さは、基板39aの厚さよりも大きくなっているが、ガスケット39が第1オイルパン13と第2オイルパン14の接合部に装着された状態では、シール部材39bは第1オイルパン13と第2オイルパン14に圧縮されて基板39aより僅かに厚みが大きい状態となる。このため、ガスケット39は、シール部材39bの設けられた基板39aの外縁において第1オイルパン13と第2オイルパン14の接合部との密着状態を保つことができる。
【0043】
また、シリンダブロック12とチェーンカバー34との接合部にはガスケット35が介装されており、シリンダブロック12と第1オイルパン13との接合部にはガスケット36、37が介装されている。
【0044】
このガスケット35、36、37は略帯状すなわち長尺の形状を有し、エンジン10の外部側であるその外縁にシール部材が設けられている。ガスケット35、36、37は同様の構成を有しており、以下、ガスケット35について説明する。
【0045】
ガスケット35は、図4に示すように、略帯状の基板35aと、シール部材35bと、シール部材35bの内側に設けられる複数のボルト孔35cとを備えており、ガスケット35の形状はチェーンカバー34とシリンダブロック12の接合部と略同形状となっている。
【0046】
基板35aは、基板39aと同様に1枚または薄板の積層体の鉄板から構成されている。シール部材35bは加硫ゴム等の弾性部材から構成されており、図4における基板35aの左端縁、すなわち、エンジン10の外部側に位置するように設けられている。
【0047】
シール部材35bは、例えば接着等の方法により基板35aの端縁に固定されており、シール部材35bは基板35aの端縁における上下両面および端面を被覆するようになっている。
【0048】
ガスケット35がシリンダブロック12とチェーンカバー34との接合部に装着される前の状態では、シール部材35bの厚さは、基板35aの厚さよりも大きくなっているが、ガスケット35がシリンダブロック12とチェーンカバー34との接合部に装着された状態では、シール部材35bはシリンダブロック12とチェーンカバー34に圧縮されて基板34aより僅かに厚みが大きい状態となる。このため、ガスケット35は、シール部材35bの設けられたエンジン10の外部側の縁部においてチェーンカバー34とシリンダブロック12の接合部との密着状態を保つことができる。
【0049】
なお、シリンダブロック12とチェーンカバー34との接合部およびシリンダブロック12と第1オイルパン13との接合部に介装するガスケットとして、前述のガスケット39のように環状のものを用いるようにしてもよい。すなわち、部材の接合部に環状のガスケットを用いるか、または長尺に形成された帯状のガスケットを複数用いるかは、接合部の形状等に応じて決定することができる。
【0050】
また、チェーンカバー34の背面側、すなわちシリンダブロック側の面にはオイルポンプ19がボルトにより取り付けられており、チェーンカバー34の2つのオイル通路34dとオイルポンプ19の2つのオイル通路19dとの間には、これら2つのオイル通路34d、19dに連通する2つの開口部38dを備えるガスケット38が介装されている。
【0051】
ガスケット38は、図5に示すように、略環状の基板38aと、シール部材38bと、シール部材38bの内側に設けられる複数のボルト孔38cと、2つの開口部38dとを備えおり、ガスケット38はチェーンカバー34とシリンダブロック12の接合部と略同形状に形成されている。
【0052】
基板38aは基板39aと同様に1枚または薄板の積層体の鉄板から構成されており、シール部材38bは加硫ゴム等の弾性部材から構成され、例えば接着等の方法により基板38aの外縁に固定されている。
【0053】
シール部材38bは基板38aの外縁における上下両面および端面を被覆するようになっており、ガスケット38がチェーンカバー34とオイルポンプ19との接合部に装着される前の状態では、シール部材38bの厚さは、基板38aの厚さよりも大きくなっているが、ガスケット38がチェーンカバー34とオイルポンプ19との接合部に装着された状態では、シール部材38bはチェーンカバー34とオイルポンプ19に圧縮されて基板38aより僅かに厚みが大きい状態となる。このため、ガスケット38は、シール部材38bの設けられた基板38aの外縁においてチェーンカバー34とオイルポンプ19との接合部との密着状態を保つことができる。
【0054】
次に、作用について説明する。
【0055】
クランクシャフト16が回転すると、クランクシャフト16に結合されたオイルポンプ19のロータ19aが回転される。オイルポンプ19は、オイル配管21を介してオイルストレーナ18から吸い上げたオイルをオイル配管22を介してオイルフィルタ20に圧送する。
【0056】
オイルフィルタ20を出たオイルは、オイル配管23、24を通って、ピストン15、クランクシャフト16、カムシャフト17、オイルジェット33等の複数の被潤滑部材に供給される。
【0057】
本実施の形態では、ガスケット35〜39は、シリンダブロック12、第1オイルパン13、第2オイルパン14、およびチェーンカバー34の接続部に介装されており、シール部35b〜39bがシリンダブロック12、第1オイルパン13、第2オイルパン14およびチェーンカバー34のそれぞれの接合部に圧縮した状態でシリンダブロック12、第1オイルパン13、第2オイルパン14およびチェーンカバー34をそれぞれ結合しているため、エンジン10内からオイルが外部に漏れるのを防止することができる。
【0058】
また、本実施の形態においては、ガスケット39は、オイル通路13dおよびオイル通路14dに対向する内縁と外気に接する外縁とを有する板状の基板39aと、基板39aの外縁に設けられたシール部材39bとを有する。
【0059】
このため、オイル通路13d、14dに曝されるために錆びの発生し難いガスケット39の内縁ではなく、空気に曝されやすい外縁にシール部材38bが設けられるので、ガスケット39に防錆メッキを施すのを不要にすることができる。
【0060】
また、ガスケット39の外縁にシール部材39bを設けたので、オイル通路13d、14dからオイルが外部に漏出するのを防止して、第1オイルパン13と第2オイルパン14を液密的に接続するようにしている。このため、シール性および防錆性能を損なうのを防止しつつ、ガスケット39の製造作業を容易に行うことができるとともにガスケット39の製造コストを低減することができる。
【0061】
また、本実施の形態では、基板39aが、オイル通路13dおよびオイル通路14dと連通する開口部39dを有し、基板39aの内縁が開口部39dの外周縁から構成されている。
【0062】
このため、基板39aの内縁がオイル通路13d、14dに連通する開口部39dの外周縁に対向するので、オイル通路13d、14dをガスケットの開口部39dを介して連通したときに、オイル通路13d、14dからオイルが外部に漏出するのを防止して、シール性および防錆性能を損なうのを防止しつつ、ガスケットの製造作業を容易に行うことができるとともにガスケットの製造コストを低減することができる。
【0063】
また、ガスケット38のように、2つのオイル通路34dを有するチェーンカバー34と、オイル通路に連通する2つのオイル通路19dを有するオイルポンプ19との間に介装され、内縁にオイル通路34dおよびオイル通路19dに連通する2つの開口部38dが設けられるとともに、外縁にシール部材38bが設けられるようにしても、ガスケット39と同様にガスケット38に防錆メッキを施すのを不要にすることができる。
【0064】
また、ガスケット35のように、基板35aが所定方向に延在するように長尺に形成され、形状を略帯状としてエンジン10の外側の端縁にシール部材35bを有するようにした場合、すなわち、内縁が基板35aの一側面から構成され、外縁が基板35aの他側面から構成されるようにした場合も、ガスケット39と同様にガスケット35に防錆メッキを施すのを不要にすることができる。
【0065】
また、本実施の形態においては、ガスケット35、38、39は、シール部材35b、38b、39bの内側にボルト孔35c、38c、39cを設けているため、ボルトをボルト孔35c、38c、39cに容易に挿入するためにボルト孔35c、38c、39cにオイルを充填した場合に、ボルト孔35c、38c、39cからオイルが漏出し、このオイルがガスケット35、38、39を通して結合部材から外側に漏出してしまうことが考えられる。
【0066】
しかしながら、本実施の形態ではシール部材35b、38b、39bの内側、すなわち、基板35a、38a、39aの内縁と外縁の間にボルト孔35c、38c、39cを設けたので、ボルト孔35c、38c、39cからオイルが漏出した場合であっても、シール部材35b、38b、39bによってオイルが遮断されてオイルが漏出してしまうのを防止することができる。
【0067】
また、本実施の形態においては、シール部材35b、38b、39bを加硫ゴムから構成したので、安価な構成で、ガスケット35、38、39の防錆対策とシール性を確保することができ、ガスケット35、38、39の製造コストをより一層低減することができる。
【0068】
以上説明したように、本発明は、シール性および防錆性能を損なうのを防止しつつ、製造作業を容易に行うことができるとともに製造コストを低減することができるという作用効果を奏するものであり、油系流体通路を有する部材の間に介装されるガスケットおよびそのガスケットを備えた内燃機関全般に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明に係るガスケットを備えたエンジンの一実施の形態を示す図であり、潤滑系統を示すエンジンの斜視図である。
【図2】本発明に係るガスケットを備えたエンジンの一実施の形態を示す図であり、エンジンの構成部材およびこれら構成部材の接合部に用いられるガスケットの斜視図である。
【図3】本発明に係るガスケットを備えたエンジンの一実施の形態を示す図であり、(a)は第1オイルパンと第2オイルパンとの接合部に介装されるガスケットの平面図、(b)は図3(a)のA−A矢視断面図である。
【図4】本発明に係るガスケットを備えたエンジンの一実施の形態を示す図であり、(a)はシリンダブロックとチェーンカバーとの接合部に介装されるガスケットの平面図、(b)は図4(a)のA−A矢視断面図である。
【図5】本発明に係るガスケットを備えたエンジンの一実施の形態を示す図であり、(a)はチェーンカバーとオイルポンプとの接合部に介装されるガスケットの平面図、(b)は図5(a)のA−A矢視断面図である。
【図6】従来のガスケットの平面図である。
【符号の説明】
【0070】
10 エンジン(内燃機関)
11 シリンダヘッド
12 シリンダブロック(部材)
13 第1オイルパン(部材)
13d オイル通路(油系流体通路)
14 第2オイルパン(部材)
14d オイル通路(油系流体通路)
34 チェーンカバー(部材)
35、36、37、38、39 ガスケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の第1の油系流体通路を有する第1の部材と、前記第1の流体通路に連通する1つ以上の第2の油系流体通路を有する第2の部材との間に介装されるガスケットにおいて、
前記第1の油系流体通路および前記第2の油系流体通路に対向する内縁と外気に接する外縁とを有する板状の基板と、前記基板の外縁に設けられたシール部材とを備えたことを特徴とするガスケット。
【請求項2】
前記基板が、前記第1の油系流体通路および前記第2の油系流体通路と連通する開口部を有し、前記内縁が前記開口部の外周縁から構成されることを特徴とする請求項1に記載のガスケット。
【請求項3】
前記基板が所定方向に延在するように長尺に形成され、前記内縁が前記基板の一側面から構成され、前記外縁が前記基板の他側面から構成されることを特徴とする請求項1に記載のガスケット。
【請求項4】
前記基板はボルト孔を有し、前記ボルト孔が前記基板の内縁と外縁の間に設けられることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のガスケット。
【請求項5】
前記シール部材が加硫ゴムからなることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のガスケット。
【請求項6】
請求項1〜請求項5に記載のガスケットを備えた内燃機関であって、
前記第1の部材がシリンダブロックから構成され、前記第2の部材がオイルパンから構成されることを特徴とする内燃機関。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−232308(P2008−232308A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−73773(P2007−73773)
【出願日】平成19年3月21日(2007.3.21)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】