説明

ガスセンサ

【課題】ガス検出素子において結露を防止するガスセンサを提供する。
【解決手段】ガスを検出するガス検出素子31と、ガスが取り込まれるガス検出室25を有すると共に、その内壁面に取り付けられたガス検出素子31を収容する素子収容部と、素子収容部の内外へガスを通流させるガス通流部43と、ガス検出室25の内壁面に沿って設けられ、ガス検出室25内を加熱するヒータ51と、を備える水素センサ1であって、ガス検出素子31とガス通流部43との間にガス検出素子31へガスを通流させる通流孔61aを有し、ガス通流部43を通過したガスが、ガス検出素子31に直接当たることを阻止する阻止部材61を備えることを特徴とする水素センサ1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、固体高分子型の燃料電池は、固体高分子膜の両側をアノード(燃料極)とカソード(酸素極)で挟み込んでMEA(Membrane Electrode Assembly:膜電極接合体)を形成し、この膜電極接合体を一対のセパレータで挟んでなる単セルを複数積層して一つの燃料電池スタックを構成している。そして、アノードには水素(燃料ガス)が供給され、カソードには空気(酸化剤ガス)が供給され、アノード及びカソードで電極反応が起こり、燃料電池が発電する。
【0003】
このような燃料電池からは未反応の水素が排出されるので、燃料電池から排出されたオフガスの流路に水素センサを設けて、この水素センサにより、オフガス中の水素濃度の監視がされている。なお、オフガスには電極反応によって生成した水蒸気(水分)が含まれるので、水素センサ内にヒータと除湿材を設け、このヒータと除湿材によって水素センサ内の結露を防止する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−114716号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、水素センサ内にヒータと除湿材を設けた場合でも、ガス検出素子に直接水蒸気(水分)を含むガスが当たることから、ガス検出素子周辺に水蒸気が結露する等で、ガス検出素子に水滴が付着することがある。すなわち、ガス検出素子において結露するおそれがある。このように、ガス検出素子に水滴が付着(結露)すると、ガス検出素子の劣化や液絡によるリーク等で、水素センサがオフガス中の水素濃度を正確に検出することができない、つまり、検出異常を起こすおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、ガス検出素子において結露を防止するガスセンサを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段として、本発明は、ガスを検出するガス検出素子と、ガスが取り込まれるガス検出室を有すると共に、その内壁面に取り付けられた前記ガス検出素子を収容する素子収容部と、前記素子収容部の内外へガスを通流させるガス通流部と、前記ガス検出室の内壁面に沿って設けられ、前記ガス検出室内を加熱するヒータと、を備えるガスセンサであって、前記ガス検出素子と前記ガス通流部との間に前記ガス検出素子へガスを通流させる通流孔を有し、前記ガス通流部を通過したガスが、前記ガス検出素子に直接当たることを阻止する阻止部材を備えることを特徴とするガスセンサである。
【0008】
このようなガスセンサによれば、ガス通流部を通過したガスが、ガス検出素子に直接当たることを阻止する阻止部材を備えることによって、ガス検出素子にガスが直接当たらないことから、ガス検出素子における結露を防止することができる。また、ガス通流部を通過したガスが、阻止部材に当たることで、その阻止部材において水蒸気が結露する等、阻止部材に水滴が付着することから、ガス検出素子における結露を防止することができる。このように、ガス検出素子における結露を防止することができることから、ガスセンサがガス濃度を正確に検出することができる。
【0009】
また、前記阻止部材は、ガスが前記阻止部材に当たることでその阻止部材において結露した水滴を前記ヒータに誘導する誘導部材であることを特徴とするガスセンサである。
【0010】
このようなガスセンサによれば、阻止部材は、その付着した水滴(結露水)をヒータに誘導するように形成される。このことによって、水滴はヒータの周壁部に集まり、ヒータの熱により、気化される。
このように、結露水が気化されることによって、結露水を水蒸気として外部へ排出することが可能となり、これにより、素子収容部内が結露水で満たされてしまうのを防止することができることから、ガスセンサがガス濃度を正確に検出することができる。
【0011】
また、前記阻止部材は、前記ガス通流部と対向する側が閉塞した有底筒状に形成されると共に、その内部に前記ガス検出素子を収容しつつ、その側部に前記通流孔を備えることを特徴とするガスセンサである。
【0012】
このようなガスセンサによれば、阻止部材が、ガス通流部と対向する側が閉塞した有底筒状に形成されると共に、その内部にガス検出素子を収容しつつ、その側部に通流孔を備えることによって、素子収容部と阻止部材との間に空間が生じる。そして、ガスが、阻止部材に当たりながら、その空間を通ることで、多くの水滴(結露水)が阻止部材に付着する。そして、その水滴は、ヒータの熱によって、気化される。
このように、多くの結露水が気化されることによって、素子収容部内の湿度が低下し、ガス検出素子における結露を防止することができる。このように、ガス検出素子における結露を防止することができることから、ガスセンサがガス濃度を正確に検出することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ガス検出素子において結露を防止するガスセンサを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の一実施形態について、図1から図5を参照して説明する。なお、当該図2及び図3の後記する阻止部材61は、便宜上周方向にずらして記載している。
【0015】
≪水素センサの構成≫
図1から図5に示すように、本実施形態に係る水素センサ1(ガスセンサ)は、ケース10と、ケース10の下面に形成されたハウジング20と、ハウジング20に収容されたガス検出素子31、31と、ハウジング20の開口部24に設けられた積層体40と、ハウジング20内に配置されたヒータ51と、阻止部材61と、を主に備えている。
このような水素センサ1は、例えば、燃料電池システムにおいて燃料電池から排出されたオフガスが流れるオフガス配管105(図2参照)中の水素濃度を検出する場合や、燃料電池システムを搭載した燃料電池自動車の車内の水素濃度を検出する場合に使用される。
【0016】
<ケース>
ケース10は、その外形が直方体形状であって、例えば、ポリフェニレンサルファイド製の容器であり、制御基板11を収容している。ケース10の長手方向の両端にはフランジ部12、12が形成されており、各フランジ12にはカラー13が取り付けられている。そして、図2に示すように、各カラー13に挿入されたボルト14が、オフガスの流れるオフガス配管105に形成された取付座105Aに締結されることで、水素センサ1がオフガス配管105に固定されるようになっている。
制御基板11は、ガス検出素子31、31からの信号に基づいて、水素濃度を算出する機能と、温度湿度センサ(図示しない)が検出したガス検出室25の温度及び湿度に基づいて、ヒータ51の出力を制御する機能と、を備えている。
【0017】
<ハウジング>
ハウジング20は、略有底円筒体であって、オフガス配管105に嵌合している(図2参照)。そして、ハウジング20とオフガス配管105との間には、Oリング21が介設され気密性が高められており、オフガスが漏れないようになっている。
【0018】
このようなハウジング20は、筒状の周壁部22と底壁部23とを有している。そして、底壁部23の中央には円形の貫通孔が形成されており、この貫通孔がオフガスの出入口となる開口部24となっている。また、ハウジング20内がオフガスの取り込まれるガス検出室25となっている(図3参照)。
【0019】
さらに、ハウジング20は、熱伝導性を有する材料、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、エポキシ等の樹脂や、金属から形成されている。これにより、ヒータ51の熱がハウジング20を介して、ガス検出素子31、撥水フィルタ41、防爆フィルタ42に伝導するようになっている。
【0020】
<ガス検出素子>
ガス検出素子31、31は、ガス検出室25に取り込まれたオフガス中の水素濃度を検出する素子であり、ガス検出室25内に配置されている。詳細には、ガス検出素子31、31は、金属製のステー32、32を介してベース33(端子台)に固定されており、ガス検出素子31、31が取り付けられたベース33が、ケース10の下面に固定されている。また、ガス検出素子31、31は、制御基板11と接続されており(図2参照)、制御基板11は、水素濃度を検知するようになっている。なお、ベース33は、ハウジング20と同様に、熱伝導性を有する材料から形成されている。
【0021】
ガス検出素子31の種類及び数並びに配置は、水素濃度の検出方式に応じて決定される。
例えば、水素の検出方式がガス接触燃焼式である場合、ガス検出素子31は検出素子と温度補償素子との対により構成される。そして、水素が各素子に接触し、燃焼した際に発する熱を利用し、検出素子と温度補償素子との間の電気抵抗差に基づいて水素濃度が検出される。
また、水素の検出方式が半導体方式である場合、ガス検出素子31は検出素子と検知素子との対により構成され、水素が各素子表面の酸素と接触・離脱した際に発生する抵抗値に基づいて、水素濃度が検出される。
【0022】
ここで、本実施形態において、ガス検出素子31、31を収容する素子収容部は、ハウジング20と、ベース33と、を備えて構成されている。そして、素子収容部の内壁面は、ハウジング20の内壁面とベース33の下面33a(表面)とを含んで構成され、ハウジング20の内壁面は、周壁面22の内周面22aと底壁面23の底面23aとから構成されている。また、ベース33の下面33aは、ガス検出素子31が取り付けられた取付面に相当する。
【0023】
また、ガス検出室25の温度及び湿度を検出する温度湿度センサ(図示しない)が、ベース33に取り付けられている。そして、温度湿度センサは、制御基板11に接続されており、制御基板11は、ガス検出室25の温度及び湿度に基づいて、ヒータ51の出力を制御するようになっている。
【0024】
<積層体>
積層体40は、撥水フィルタ41と、防爆フィルタ42と、を備え、ガス検出素子31から遠ざかるオフガス配管105に向かって、防爆フィルタ42、撥水フィルタ41の順で積層されることで一体に構成された、2層構造を有する薄型の円盤体である。そして、積層体40は、開口部24に蓋をするようにハウジング20に設けられている。
【0025】
撥水フィルタ41は、ガスを透過しつつ、ガスに含まれる液体を透過しないフィルタであり、例えば、テトラフルオロエチレン膜から構成される。これにより、気体状のオフガスをガス検出室25に取り込みつつ、オフガス中に含まれる液体の水分が撥水フィルタ41ではじかれ、ガス検出室25に侵入しないようになっている。
防爆フィルタ42は、防爆性を確保するためのフィルタであり、例えば、液体状の水を通すことが可能な程度の金属製のメッシュや多孔質から構成される。
【0026】
なお、撥水フィルタ41と、防爆フィルタ42との間に、ヒータ(フィルタ加熱ヒータ)を設ける構成としてもよい。このようにヒータを設ける構成とすると、撥水フィルタ41によって、液体の水分がガス検出室25に浸入することを防止しつつ、ヒータによって、例えば、撥水フィルタ41上の結露水(液体)やこれから滲み出た水、さらに、防爆フィルタ42に付着した水を加熱・気化させることかできる。
【0027】
ここで、本実施形態において、ハウジング20とベース33とを備えて構成される素子収容部の内外へオフガスを通流させるガス通流部43は、ハウジング20の開口部24と、撥水フィルタ41と、防爆フィルタ42と、を備えて構成されている。
なお、ガス通流部43を、ハウジング20の底壁部23に備える構成としているが、ハウジング20の周壁部22に備える構成としてもよい。
【0028】
<ヒータ>
ヒータ51は、ガス検出室25の内壁面に沿って配置された略有底円筒状の電気ヒータである。詳細には、ヒータ51は、筒状の周壁部52と、その中心に開口部53aが形成されたリング状を呈する底壁部53と、を備えている。このようなヒータ51は、例えば、PTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータやセラミックスヒータから構成され、周壁部52と底壁部53とは一体に構成され、一体で発熱するようになっている。
【0029】
周壁部52は、ハウジング20の周壁部22の内周面22aに沿って設けられている。一方、底壁部53は、ハウジング20の底壁部23の底面23aに沿うと共に、ガス通流部43(撥水フィルタ41、防爆フィルタ42)を囲むように、ガス通流部43の周縁に設けられている。
【0030】
そして、ヒータ51は、図示しない配線(電極、端子)を介して、制御基盤11と接続されており、制御基盤11によって、その出力が制御されるようになっている。このようにヒータ51が発熱すれば、その周壁部52の熱が、ガス検出室25内のオフガスに伝導し、オフガス中の水分による結露が防止されるようになっている。
なお、ベース33の下面33aにヒータ51をさらに設け、ヒータ51で素子収容部に取り込まれたガスを加熱する構成としてもよい。
【0031】
さらに、このようにヒータ51が発熱すれば、底壁部53の熱が、ハウジング20の底壁部23を介して、ガス通流部43を構成する撥水フィルタ41及び防爆フィルタ42に伝導し、撥水フィルタ41及び防爆フィルタ42が、その周縁から加熱されるようになっている。
ちなみに、このように結露を防止するようにしても、なお完璧を期すことが要望されており、この要望を下記の阻止部材61で満足させる。
【0032】
<阻止部材>
阻止部材61は、本実施形態では、樹脂材料等よりも熱伝導性が高く、また、さびに強い材料である、例えば、ステンレス鋼(SUS)等からなる金属製の板材であって、ガス通流部43を通過したガスが、ガス検出素子31、31に直接当たることを阻止する部材である。
ガス通流部43を通過してくるガスは、水蒸気のほかに、積層体40(撥水フィルタ41及び防爆フィルタ42)を通過するような微小な液滴を含んでいる場合があるが、そのような微小な液滴は、ガスの流れが、阻止部材61に当たった時に、その表面に付着してガスから分離される。また、ガスに含まれる水蒸気も阻止部材61の表面に凝縮してガスから分離される。
ちなみに、水蒸気は、水滴になった方が、エネルギ的に安定なので、飽和、過飽和の場合は、凝縮しやすい。また、すでに水滴がある場合は、それに吸収された方が、エネルギ的に安定である。このことから、ガスがこの阻止部材61に当たることで、その阻止部材61において水蒸気が結露する等、阻止部材61に水滴が付着する。
また、阻止部材61は、ガス検出室25内に配置されており、詳細には、阻止部材の周縁は、ヒータ51の周壁部52に固定されている(図3参照)。
【0033】
また、阻止部材61は、ガス検出素子31、31とガス通流部43との間にガス検出素子31、31へ、ガス通流部43を通過したガスを通流させる同一の大きさである複数の通流孔61aを備えている(図4参照)。
なお、阻止部材61の通流孔61aの大きさ及び数については、同一及び複数に限定されるものではなく、異なる大きさ及び単数であってもよい。
【0034】
さらに、阻止部材61の通流孔61aの位置は、ガス通流部43と、通流孔61aと、ガス検出素子31、31とが、一直線状に配置されない(重ならない)ように、形成されている(図5参照)。このような位置に通流孔61aが形成されることから、ガス通流部43を通過したガスが、ガス検出素子31、31に直接当たらない構成となっている。
なお、阻止部材61の通流孔61aの位置は、通流孔61aと、ガス検出素子31、31とが、少なくとも一直線状に配置されない(重ならない)ように、形成されればよい。
【0035】
さらにまた、阻止部材61は、逆おわん型に形成され、このように、逆おわん型に形成されることによって、阻止部材61に付着した水滴は、自重により、阻止部材61に沿ってヒータ51に誘導される。
このように水滴が、阻止部材61に沿ってヒータ51に誘導されることによって、ヒータ51の周壁部52に集まることとなり、ヒータ51の熱によって、水滴が気化される。この水滴は、水蒸気として、ガス通流部43を介して、素子収容部の外部へ排出される。
なお、阻止部材の形状は、逆おわん型に限定されるものではなく、水滴がヒータ51に誘導される形状であれば、例えば、花びら型でもよい。
【0036】
≪水素センサの効果≫
このような水素センサ1によれば、主に以下の効果を得ることができる。
(1)ガス通流部43を通過したガスが、ガス検出素子31、31に直接当たることを阻止する阻止部材61を備えることによって、ガス検出素子31、31にガスが直接当たらないことから、ガス検出素子31、31における結露を防止することができる。また、ガス通流部43を通過したガスが、阻止部材61に当たることで、その阻止部材61において水蒸気が結露する等、阻止部材61に水滴が付着することから、ガス検出素子31、31における結露を防止することができる。
(2)そして、阻止部材61は、その結露した水滴(結露水)をヒータ51に誘導するように形成されていることから、水滴はヒータ51の周壁部52に集まり、ヒータ51の熱によって、気化される。このように、結露水が気化されることによって、結露水を水蒸気として外部へ排出することが可能となり、これにより、素子収容部内が結露水で満たされてしまうのを防止することができる。
(3)このようにガス検出素子31、31における結露を防止することができることから、水素センサ1が水素濃度を正確に検出することができる。
【0037】
以上、本発明の好適な一実施形態について説明したが、本発明は、前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、例えば、次のように変更することができる。
【0038】
前記した実施形態では、阻止部材61を、逆おわん型の板材としたが、これに限定されるものではなく、ガス通流部43と対向する側が閉塞した有底筒状に形成されると共に、その内部にガス検出素子31、31を収容しつつ、その側部に連通口71aを備える構成としてもよい(図6、図7参照)。この場合、阻止部材71は、ベース33の下面33aに固定される。
【0039】
このような阻止部材71を備えることによって、素子収容部と阻止部材71との間に空間が生じる(図6参照)。そして、ガスが、阻止部材71に当たりながら、その空間を通ることで、多くの水滴(結露水)が阻止部材71に付着する。そして、その水滴は、ヒータ51の熱によって、気化される。このように、多くの結露水が気化されることによって、素子収容部内の湿度が低下し、ガス検出素子31、31における結露を防止することができる。
【0040】
前記した実施形態では、ハウジング20の開口部24に設けられる積層体40を、撥水フィルタ41と、防爆フィルタ42とからなる2層構造の円盤体としたが、これに限定されるものではなく、例えば、撥水フィルタ41と、防爆フィルタ42とからなる2層構造の円盤体及びフレーム81(脚)と円盤部82とからなる円盤体80としてもよい(図8、図9参照)。この場合、円盤体80は、ハウジング20の底壁面23に固定される。この円盤体80は、ハウジング20と同様に、熱伝導性を有する材料から形成される。
また、この円盤体82を設ける場合には、阻止部材91の通流孔91aの位置は、ガス通流部43と、通流孔91aと、ガス検出素子31、31とが、一直線状に配置されない(重ならない)よう、図10に示すように形成される。
なお、当該図8の阻止部材91は、便宜上周方向にずらして記載している。
【0041】
このようにフレーム81(脚)と円盤部82とからなる円盤体80を設けることによって、ガスが、ガス通流部43の中央部から素子収容部に通流されない、つまり、ガス通流部43の端部から素子収容部に通流される。このことから、ガス通流部43を通過したガスが、阻止部材83の中央部に当たらず、阻止部材83の端部に当たる。このように、ガスが阻止部材83の端部に当たることで、阻止部材83に結露した水滴が、ヒータ51に誘導されやすくなる。そして、水滴はヒータ51の周壁部52に集まり、ヒータ51の熱によって、気化される。このように、結露水が気化されることによって、素子収容部内の湿度が低下し、ガス検出素子31、31における結露を防止することができる。
【0042】
なお、図8では、フレーム81(脚)と円盤部82とからなる円盤体80の上に、撥水フィルタ41と、防爆フィルタ42とからなる円盤体を積層する構成としたが、撥水フィルタ41と、防爆フィルタ42とからなる円盤体の上に、フレーム81(脚)と円盤部82とからなる円盤体80を積層してもよい。
また、フレーム81(脚)と円盤部82とからなる円盤体80を設ける場合は、撥水フィルタ41と、防爆フィルタ42とからなる円盤体を、中心に開口部が形成されたリング状としてもよい。
また、このフレーム81(脚)の個数については、図9では4個のものを図示したが、特に限定されず、複数個あってもよい。
【0043】
前記した実施形態では、素子収容部内の湿度を低下させるために、ガス検出室25内をヒータ51によって加熱したが、さらに、水素センサ1内に除湿材を設けることで、湿度の低下を促進させることができる。
【0044】
前記した実施形態では、水素の濃度を検出するガスセンサとしたが、本発明は、これに限定されるものではなく、例えば、一酸化炭素やメタン等の可燃性ガスの濃度を検出するガスセンサであってもよい。
【0045】
前記した実施形態では、本発明を、燃料電池自動車に適用することとして説明したが、これに限定されるものではなく、燃料として水素を用いる他の乗り物(陸・海・空)にも適用できるし、また、乗り物以外にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本実施形態に係る水素センサの平面図である。
【図2】図1に示す水素センサのX1−X1線断面図である。
【図3】図2に示すX1−X1線断面図の要部を拡大したものである。
【図4】(a)本実施形態に係る阻止部材の平面図である。(b)本実施形態に係る阻止部材の斜視図である。
【図5】本実施形態に係る阻止部材のガス通流部と、通流孔と、ガス検出素子との位置関係を示す図である。
【図6】変形例に係る水素センサの要部の断面図である。
【図7】変形例に係る阻止部材の斜視図である。
【図8】変形例に係る水素センサの要部の断面図である。
【図9】フレームを備える円盤体の斜視図である。
【図10】変形例に係る阻止部材のガス通流部と、通流孔と、ガス検出素子との位置関係を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
1 水素センサ(ガスセンサ)
20 ハウジング(素子収容部)
22a 内周面(内壁面)
23a 底面(内壁面)
24 開口部
25 ガス検出室
31 ガス検出素子
33 ベース(素子収容部)
33a 下面(内壁面)
41 撥水フィルタ
42 防爆フィルタ
43 ガス通流部
51 ヒータ
61、71、91 阻止部材
61a、71a、91a 通流孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスを検出するガス検出素子と、
ガスが取り込まれるガス検出室を有すると共に、その内壁面に取り付けられた前記ガス検出素子を収容する素子収容部と、
前記素子収容部の内外へガスを通流させるガス通流部と、
前記ガス検出室の内壁面に沿って設けられ、前記ガス検出室内を加熱するヒータと、を備えるガスセンサであって、
前記ガス検出素子と前記ガス通流部との間に前記ガス検出素子へガスを通流させる通流孔を有し、前記ガス通流部を通過したガスが、前記ガス検出素子に直接当たることを阻止する阻止部材を備える
ことを特徴とするガスセンサ。
【請求項2】
前記阻止部材は、ガスが前記阻止部材に当たることでその阻止部材において結露した水滴を前記ヒータに誘導する誘導部材である
ことを特徴とする請求項1に記載のガスセンサ。
【請求項3】
前記阻止部材は、前記ガス通流部と対向する側が閉塞した有底筒状に形成されると共に、その内部に前記ガス検出素子を収容しつつ、その側部に前記通流孔を備える
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のガスセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−2197(P2010−2197A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−158912(P2008−158912)
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】