説明

ガスタービン燃料チャンバ部品のクリーニング方法

本方法は、鉄溶解試薬としてホスホン酸を含有する化学薬品溶液をガスタービン前方燃焼カンの四次環状チャンバに送達して酸化鉄堆積物を溶解し、それにより内部燃料経路のクリーニングを容易にする。本方法では、流れ配向バッフルを有するクリーニングフランジを四次燃料フランジに取付ける。流れ配向バッフルは、四次燃料オリフィスに入り、四次環状チャンバ内でクリーニング溶液の流れを一方向に差し向ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、酸化鉄腐食生成物の除去、特にクリーニング用化学薬品を搬送してガスタービンの燃料経路内部に発生する腐食付着を除去する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
あるガスタービン、例えばGE Frame 6FA、7FA及び9FAガスタービンは、軟鋼で構成された部品を有する。酸化鉄腐食生成物が、発生し、タービン燃焼ケース、即ち「カン」の燃料経路、即ち燃料通路内部に望ましくない鉄堆積物の付着を引き起こすおそれがある。例えば、図1及び図2は、四次燃料回路を有するGEガスタービン前方燃焼カンの線図である。四次燃料ガス入口オリフィスが、前方燃焼カンの周囲に延在する四次燃料ガス分配環状チャンバに通じている。四次環状チャンバ内の燃料ガスは多数の四次ペグ(例えば、15個のペグ)によって前方燃焼チャンバ中に分配される。酸化鉄腐食生成物は、四次環状チャンバに積もると、四次ペグの燃料ガス流路の閉塞を引き起こすおそれがあり、これが燃焼チャンバの火炎パターンに干渉する可能性がある。この閉塞により効率が低下したり、酸化窒素排出が増加したりすることがある。さらに、四次燃料回路を作動させたとき、トリップを受ける箇所がある。前方ケースの点検により鉄堆積物付着が示されるときは、信頼できる運転を確保するために四次環状チャンバをクリーニングすることが推奨される。構造から明らかなように、四次燃料ガス分配環状チャンバは流路が狭くアクセスしにくい。
【0003】
現在、四次燃料ガス分配環状チャンバを機械的にクリーニングする方法では、燃料ペグを切断し、その後、燃料ペグの穴を介して四次環状通路へのアクセスを確保することにより鉄堆積物をハイドロブラストしようとしている。これは、現場から離れ、燃料ペグの切断及び再取付けの設備を備えた施設でのみ行うことができる。一つには燃料ペグの取外し及び再溶接のために、このクリーニングプロセスは、非常に時間がかかり、通常、燃焼チャンバを処理し、復旧するのに数週間かかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第4810405号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ガスタービンの重要な燃料経路を迅速にクリーニングし、それにより鉄堆積物が燃料ガス流路を閉塞する可能性を排除するクリーニング方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1観点では、本発明は、化学薬品溶液を四次燃料ガス分配環状チャンバに送達して酸化鉄堆積物を溶解し、それにより、内部燃料経路のクリーニングを容易にする方法を提供する。本発明の1実施形態の方法は、ガスタービンの前方燃焼カンの四次燃料ガス分配環状チャンバに蓄積した酸化鉄腐食堆積物をクリーニングする。但し、各前方燃焼カンは、四次燃料フランジ及び四次環状チャンバに通じる四次燃料オリフィスを有する。本方法では、少なくとも1つの前方燃焼カンをガスタービンから取外し、クリーニングフランジを燃焼カンの四次燃料フランジに取付ける。クリーニングフランジは流れ配向バッフルを有し、流れ配向バッフルが、四次燃料オリフィスに入り、かつ四次燃料フランジから四次環状チャンバに通じるスロートの長さを延在し、かくしてバッフルがスロート部をクリーニング溶液入口部分とクリーニング溶液出口部分に分割する。本方法ではまた、クリーニング溶液の溜めとして機能する化学薬品供給貯蔵槽及び供給貯蔵槽からの吸い上げを行う循環ポンプを有する化学クリーニングシステムに燃焼カンを連結する。化学クリーニングシステムには、鉄溶解試薬を含有する組成を有するクリーニング溶液を用いる。本方法ではさらに、クリーニング溶液の流れを、クリーニングフランジを用いて四次燃料フランジ及びスロート部の入口部分に導き、かくしてバッフルが燃焼カンの円周に沿った四次環状チャンバ内でクリーニング溶液流れを一方向に差し向けるようにし、四次環状チャンバを一周するように導いたら、バッフルがクリーニング溶液をスロート部の出口部分に導き、クリーニングフランジを介して燃焼カンから排出させる。最後に、本方法では、クリーニング溶液を化学薬品供給貯蔵槽に戻す。
【0007】
本発明及びその従来技術に比べた利点は、図面を参照して以下の詳細な説明と特許請求の範囲を読むことで明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図面を参照した本発明の実施形態の以下の説明から、本発明の上記その他の特徴はさらに明らかになり、本発明自体は一層よく理解されるであろう。
【図1】GEガスタービンの前方燃焼カンの線図である。
【図2】図1の前方燃焼カンの拡大断面図であり、四次燃料ガス分配環状チャンバを示す。
【図3】図2の四次燃料ガス分配環状チャンバをクリーニングするのに用いる、本発明の実施形態の化学クリーニングシステムの線図である。
【図4】化学クリーニングシステムの一部分の拡大図であり、化学クリーニングシステムのクリーニングフランジを前方燃焼カンの四次燃料フランジに連結した状態を示す。
【図5】図4のクリーニングフランジの斜視図である。
【0009】
図面全体を通して同じ参照番号は同じ部品を表す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照しながら本発明を説明する。本発明を実施できるように好ましい実施形態について詳細に説明する。本発明をこれらの特定の好ましい実施形態について説明するが、本発明は、これらの好ましい実施形態に限定されるものではない。反対に、本発明は、以下の詳細な説明を考察することから明らかになる数多くの代替物、変更や均等物を含む。
【0011】
単数表現は、文脈上明らかにそうでない場合以外は、複数も含む。同じ特性を示すすべての範囲の上下限の値は、独立に組合せることができ、上下限の値を含む。引用文献はすべて本発明の先行技術として援用する。
【0012】
数量にともなう修飾語「約」は、表示値を含み、文脈で示された意味を持つ(例えば、特定の数量の測定にともなう許容誤差の範囲を含む)。
【0013】
「所望の」又は「所望に応じて」は、後述する事象や状況が起こっても起こらなくてもよく、後述する材料が存在してもしなくてもよいことを意味し、関連する説明は、事象や状況が起こったり材料が存在する場合と、事象や状況が起こらなかったり材料が存在しない場合との両方を包含する。
【0014】
図1及び図2に、ガスタービン、例えばGE Frame6FA、7FA及び9FAガスタービンに用いられる種類の前方燃焼カン10を示す。典型的なガスタービンは、数個の、例えば14個の前方燃焼カン10を有する。前方燃焼カン10は四次燃料回路12を有し、その四次燃料ガス入口オリフィス14が前方燃焼カン10の円周に沿って延在する四次燃料ガス分配環状チャンバ16に通じる。四次環状チャンバ16内の燃料ガスは、複数の四次ペグ18により前方燃焼カン10の燃焼チャンバ中に分配される。前方燃焼カン10及び四次環状チャンバ16の構造は当業者には明らかであり、ここでさらに詳細に説明する必要はない。
【0015】
酸化鉄腐食生成物が、四次環状チャンバ16に積もると、四次ペグ18の燃料ガス流路の閉塞を引き起こすおそれがあることが知られている。これが前方燃焼カン10の燃焼チャンバの火炎パターンに干渉する可能性がある。本発明は、前方燃焼カン10の四次環状チャンバ16からこれらの腐食生成物を除去する方法に関する。本発明によれば、標準手順で前方燃焼カン10をガスタービンから取外し、新規な方法を用いて可搬型クリーニングユニットによって修理施設もしくは現場で前方燃焼カン10をクリーニングする。かくして従来法で要する数週間ではなく、数日間程度で燃焼カン10をクリーニングし、ガスタービンに戻すことができる。本発明の上記実施形態は、前方燃焼カン10をタービンから取外すことを想定しているが、本発明の要旨から逸脱することなく、燃焼カンをタービンにつけたままでクリーニングできることは明らかである。
【0016】
前方燃焼カン10をガスタービンから取外した後、高圧エアを用いて個々の燃焼カン10の四次環状チャンバ16にエアを吹きつけて遊離ゴミを除去する。高圧エア供給部(図示せず)を四次燃料フランジ20に四次燃料入口オリフィス14で取付けることにより、高圧エアを四次環状チャンバ16に供給する。その後、燃焼カン10を図3に示すような化学クリーニングシステム22と連結する。最初、清水でのフラッシングを化学クリーニングシステム22に適用することができる。化学クリーニングシステム22は、クリーニングプロセスで用いるクリーニング溶液のための溜めとして機能する化学薬品供給貯蔵槽24を有する。供給貯蔵槽24は、少なくとも約100ガロンの容量をもつことが望ましく、クリーニング化学薬品を混合するのにも使用することができる。化学薬品溶液供給ライン28のポンプ26は、化学薬品溶液を供給貯蔵槽24から吸い上げ、化学クリーニングシステム22に循環する。1実施形態では、ポンプ26は、米国イリノイ州レイクフォレスト所在のW.W.Grainger社製1.5HP遠心ポンプモデルNo.2WY27(2フィートヘッドで容量140GPM)とすることができる。化学クリーニングシステム22の流量は約20〜約60GPMが望ましい。
【0017】
化学薬品供給ライン28は、クリーニングフランジ30を四次燃料フランジ20に連結することによって第1燃焼カン10に取付ける。クリーニングフランジ30は、化学薬品溶液供給ライン28を受け入れるアダプタ付きのフランジ入口32を有する。クリーニングフランジ30はまた、クリーニング溶液輸送ライン36に連結されるアダプタ付きのフランジ出口34を有する。図4の線図に示すように、クリーニングフランジ30は、流れ配向バッフル40を有し、バッフル40は、四次燃料入口オリフィス14に入り、かつ四次燃料フランジ20から四次環状チャンバ16に通じるスロート部42の長さを延在する。流れ配向バッフル40は、スロート部42をクリーニング溶液入口部分44とクリーニング溶液出口部分46に分割する。矢印Iで示す流れからわかるように、クリーニング溶液は、ポンプ26からフランジ入口32、四次燃料入口オリフィス14に入り、スロート部42の入口部分44を通って流れる。例示した実施形態では、クリーニング溶液が四次環状チャンバ16に入ると、矢印Aで示す流れからわかるように、バッフル40が前方燃焼カン10の円周に沿った四次環状チャンバ16内で時計回り方向に流れを差し向ける。四次環状チャンバ16を1周するように導いたら、矢印Oで示す流れからわかるように、バッフル40によりクリーニング溶液流れをスロート部42の出口部分46に導き、フランジ出口34を介して燃焼カン10から排出させる。図5の斜視図でよくわかるように、クリーニングフランジ30のバッフル40は、バッフル40の長さを変化させるのに用いるバッフル延長手段50を有し、クリーニングフランジ30を四次燃料フランジ20に取付けるとき、バッフル40が四次環状チャンバ16の内壁表面52と接触するようにする。1実施形態では、バッフル延長手段50は、ナット58を受けるように構成された1つ又は2つ以上のスロット56を有するスライド式バッフルプレート54を有し、これを非スライド式バッフルプレート60に摩擦連結する。しかし、適切な工学的判断によって他のバッフル延長手段50を使用できることは当業者には明らかである。
【0018】
1実施形態では、1つ又は2つ以上のガスタービンの複数の燃焼カン10を化学クリーニングシステム22に連結することができる。1実施形態では、図3に示すように複数の燃焼カン10を直列に連結し、第1の燃焼カン10から流れ出たクリーニング溶液を第2の燃焼カン、続いて残りの燃焼カン10に通すようにする。1つ又は2つ以上の燃焼カン10を並列に並べてもよいことが当業者には明らかである。クリーニング溶液は、燃焼カン10を通過した後、化学薬品供給貯蔵槽24に戻される。
【0019】
クリーニング溶液組成物は鉄溶解試薬を含有する。1実施形態では、本組成物は、主なスケール除去及び鉄溶解試薬としてホスホン酸塩又はホスホン酸を含有する。さらに、本組成物は還元剤及び防食剤を含有することが望ましい。所望により、本組成物は、界面活性剤又は湿潤剤及び/又は分散剤を含有することもできる。適当な組成物は、本出願人に譲渡された米国特許第4810405号(その全文をここに援用する)に教示されている。1実施形態では、ホスホン酸としてはヒドロキシエチリデンジホスホン酸(HEDP)が適当であり、還元剤としてはイソアスコルビン酸、亜硫酸ナトリウム又はこれらの混合物が適当であり、防食剤としてはベンゾトリアゾールが適当であり、界面活性剤又は湿潤剤としては両性カルボン酸塩が適当であり、分散剤としてはポリアクリル酸塩が適当である。
【0020】
所望の実施形態では、クリーニング溶液組成物は、GE Water&Process Technologies社(米国ペンシルバニア州トレヴォース所在)から入手できるCleanBlade(登録商標)GTC1002である。CleanBlade(登録商標)GTC1002は、Ferroquest(登録商標)FQ7101及びFerroquest(登録商標)FQ7102を含有し、これらもGE Water&Process Technologies社から入手できる。FQ7101はホスホン酸(HEDP)を7〜13重量%の範囲で含有する。FQ7102は、HEDPを10〜20重量%の範囲、ギ酸を7〜13重量%の範囲及びグリコール酸を1〜5重量%の範囲で含有する。FQ7101は主なクリーニング成分であり、FQ7102は中和用材料である。クリーニング溶液組成物が錆除去の速度をできるだけ大きくし、同時に母材金属の腐食をできるだけ少なくすることが望ましい。残念ながら、実際にはこれら2つの目的は互いに矛盾する。一般に、錆は、本質的にある程度の腐食を引き起こす過程で除去されるからである。したがって、現実的には、スケール除去剤は、腐食を許容できる限度に保ちながら効率的にクリーニング行うことを目指すのが最良である。FQ7101/FQ7102では、pHを6.3〜7.2の高い範囲に維持した場合に比べpHを5.0〜5.5の範囲に維持することでより迅速なクリーニング効果が得られることを確認した。pHを5.0〜5.5の範囲に維持することで通常、四次環状チャンバ16の適当なクリーニングを約3〜5日間で実現することを確認した。化学薬品供給貯蔵槽24での炭素鋼試験片の腐食速度が平均pH5.3で5〜10ミル/年(MPY)の範囲であることを確認した。それに比べて、腐食抑制剤を添加した酸のクリーニング溶液の腐食速度は平均約500MPYとなる。さらに、CleanBlade(登録商標)クリーニング溶液組成物は、クリーニング後の表面にリン酸系不動態保護膜を形成する。
【0021】
最初、化学薬品供給貯蔵槽24を水で満たす。1実施形態では、化学薬品供給貯蔵槽24を80ガロンの水で満たし、水を化学クリーニングシステム22に循環させてシステム22によりクリーニングする四次環状チャンバ16をフラッシングする。その後、20ガロンのCleanBlade(登録商標)GTC1002を化学薬品供給貯蔵槽24に添加して20%溶液とする。しかし、本発明の要旨から逸脱することなく、異なる量の水及びCleanBlade(登録商標)を使用できることは当業者には明らかである。その後、Ferroquest(登録商標)FQ7102をpHが5.0〜7.0、より望ましくは5.0〜5.5になるまで溶液に添加する。pHを定期的、例えば3時間毎にモニターする。1実施形態では、pHが約5.5を超えたら、pHが5.0〜5.5になるまでFQ7102を化学薬品供給貯蔵槽24のクリーニング溶液に添加する。クリーニング溶液の温度を、定期的にモニターし、望ましくは約80°F〜約140°Fの範囲、より望ましくは約100°F〜約120°Fの範囲、最も望ましくは目標温度である120°Fに維持する。温度は化学薬品供給貯蔵槽24内のヒーター70及び燃焼カン10の周囲に巻き付けた断熱カバー(図示せず)で維持することができる。
【0022】
クリーニング溶液の鉄レベルを定期的にモニターする。適当なモニター間隔は12〜24時間毎である。CleanBlade(登録商標)GTC1002は10,000ppmの鉄をFe23として溶液に保持することができる。鉄レベルが9000ppmを上回った場合、例えば25ガロンの溶液を排出し、その後20ガロンの水及び5ガロンのCleanBladeGTC1002を添加することにより、システムをフラッシング(賦活)する必要がある。
【0023】
クリーニング溶液を化学クリーニングシステム22に一定時間、例えば24時間循環させた後、各燃焼カン10の四次環状チャンバ16に通る流れの方向を逆にするように各燃焼カン10を連結し直すことが望ましい。
【0024】
クリーニング溶液を化学クリーニングシステム22に48時間〜120時間循環することが望ましい。しかし、腐食や四次環状チャンバ16に存在する最初の鉄堆積物のレベルに応じて時間を長くしたり、短くしたりできることは当業者には明らかである。一般に、クリーニングはより高温、より低pHでより高速となる。
【0025】
所定の時間後、四次環状チャンバ16を清水及び高圧エアでフラッシングして残留物を完全にクリーニングする。ボアスコープを用いて各ユニットを検査することが望ましい。燃焼カン10に残留する鉄堆積物が不満足なレベルである場合、化学クリーニングシステム22でクリーニング溶液の循環を再開し、少なくともさらに12時間循環することが望ましい。
【0026】
したがって、本発明の実施にあたっては、クリーニング溶液を前方燃焼カンの四次環状チャンバ16に通して循環させるポンプ回路を有する化学クリーニングシステム22を設け、チャンバ16の内部を一周するようにクリーニング溶液流れを方向付けるクリーニングフランジ30を用いる。このクリーニング構成のさらなる利点として、複数の燃焼カン10を一緒につなぎ、すべて同時にクリーニングできる。このようにして、1個のGEガスタービンから外した一式14個の前方燃焼カン10を一緒につなぎ、数日間以内の1回の機能停止の間にクリーニングすることができる。本発明の技術的及び商業的利点は、ガスタービン運転者にとって停止時間を減らすという観点からみて多大である。別の利点は、クリーニング溶液のpHが中性に近いので、標準方法で溶液を放出することが可能なことである。
【0027】
以上、本発明を代表的な実施形態について例示し、説明したが、本発明の要旨から逸脱することなく、種々の変更や置換が可能であり、本発明は上述した詳細に限定されるものではない。したがって、本発明のさらなる変更や均等物は、普通の実験のみで当業者が想起することができ、このような変更や均等物はすべて特許請求の範囲に規定された本発明の要旨に入るものとみなされる。
【符号の説明】
【0028】
10 燃焼カン
12 四次燃料回路
14 四次燃料ガス入口オリフィス
16 四次環状チャンバ
18 四次ペグ
20 四次燃料フランジ
22 化学クリーニングシステム
24 化学薬品供給貯蔵槽
26 ポンプ
28 化学薬品溶液供給ライン
30 クリーニングフランジ
32 フランジ入口
34 フランジ出口
36 溶液輸送ライン
40 流れ配向バッフル
42 スロート
44 クリーニング溶液入口部分
46 クリーニング溶液出口部分
50 バッフル延長手段
52 内壁表面
54 スライド式バッフルプレート
56 スロット
58 ナット
60 非スライド式バッフルプレート
70 ヒーター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンの前方燃焼カンの四次燃料ガス分配環状チャンバに蓄積する酸化鉄腐食堆積物をクリーニングする方法であって、各前方燃焼カンが四次燃料フランジ及び四次環状チャンバに通じる四次燃料入口オリフィスを有しており、当該方法が、
クリーニングフランジを少なくとも1つの前方燃焼カンの四次燃料フランジに取付け、ここでクリーニングフランジが流れ配向バッフルを有し、流れ配向バッフルが、四次燃料入口オリフィスに入り、かつ四次燃料フランジから四次環状チャンバに通じるスロート部の長さを延在し、流れ配向バッフルがスロート部をクリーニング溶液入口部分とクリーニング溶液出口部分に分割し、
燃焼カンを、クリーニング溶液の溜めとして機能する化学薬品供給貯蔵槽及び供給貯蔵槽からの吸い上げを行う循環ポンプを有する化学クリーニングシステムに連結し、
化学クリーニングシステムを鉄溶解試薬を含有する組成を有するクリーニング溶液で満たし、
クリーニング溶液の流れを、クリーニングフランジを用いて四次燃料フランジ及びスロート部の入口部分を介して四次環状チャンバに導き、この際前記バッフルが燃焼カンの円周に沿った四次環状チャンバ内で流れを一方向に差し向けるようにし、四次環状チャンバを一周するように導いたら、前記バッフルがクリーニング溶液をスロート部の出口部分に導き、クリーニングフランジを介して燃焼カンから排出させ、
クリーニング溶液を化学薬品供給貯蔵槽に戻す
工程を含む方法。
【請求項2】
さらに、クリーニング溶液の流れを四次環状チャンバに導く前に、ガスタービンから前方燃焼カンを取外す工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
さらに、クリーニング溶液を循環させる前に、高圧エアを用いて四次環状チャンバにエアを吹きつけて遊離ゴミを除去し、四次環状チャンバを清水でフラッシングする工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
クリーニングフランジが燃焼カンへのクリーニング溶液を受け入れるフランジ入口と、クリーニング溶液を燃焼カンから外に出すフランジ出口とを有する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
さらに、バッフルが四次環状チャンバの内壁表面と接触するようにクリーニングフランジのバッフルの長さをバッフル延長手段で調節する工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
さらに、1つ又は2つ以上のガスタービンの複数の燃焼カンを化学クリーニングシステムに同時に連結する工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
2つ以上の燃焼カンを直列に連結する、請求項6記載の方法。
【請求項8】
鉄溶解試薬がホスホン酸である、請求項1記載の方法。
【請求項9】
鉄溶解試薬がヒドロキシエチリデンジホスホン酸である、請求項8記載の方法。
【請求項10】
さらに、クリーニング溶液のpHをpH5.0〜5.5に維持する工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
さらに、クリーニング溶液の温度を約100°F〜約120°Fの範囲に維持する工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
さらに、定期的にクリーニング溶液の一部を排出し、その後水及びクリーニング溶液を添加することによりクリーニング溶液の鉄レベルを9000ppm未満に維持する工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項13】
さらに、定期的に四次環状チャンバに通る流れの方向を逆にする工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項14】
さらに、化学クリーニングシステム内でクリーニング溶液を48時間〜120時間循環する工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項15】
さらに、クリーニング溶液を循環した後、四次環状チャンバを清水及び高圧エアでフラッシングして残留物を除去する工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項16】
ガスタービンの前方燃焼カンの四次燃料ガス分配環状チャンバに蓄積する酸化鉄腐食堆積物をクリーニングする方法であって、各前方燃焼カンが四次燃料フランジ及び四次環状チャンバに通じる四次燃料入口オリフィスを有しており、当該方法が、
ガスタービンから複数の前方燃焼カンを取外し、
クリーニングフランジを燃焼カンの四次燃料フランジに取付け、ここでクリーニングフランジが流れ配向バッフルを有し、流れ配向バッフルが、四次燃料入口オリフィスに入り、かつ四次燃料フランジから四次環状チャンバに通じるスロート部の長さを延在し、前記バッフルがスロート部をクリーニング溶液入口部分とクリーニング溶液出口部分に分割し、
燃焼カンを、クリーニング溶液の溜めとして機能する化学薬品供給貯蔵槽及び供給貯蔵槽からの吸い上げを行う循環ポンプを有する化学クリーニングシステムに連結し、
化学クリーニングシステムを鉄溶解試薬を含有する組成を有するクリーニング溶液で満たし、クリーニング溶液がホスホン酸を含有し、
クリーニング溶液の流れを、クリーニングフランジを用いて四次燃料フランジ及びスロート部の入口部分を介して複数の前方燃焼カンの四次環状チャンバに導き、この際前記バッフルが燃焼カンの円周に沿った四次環状チャンバ内で流れを一方向に差し向けるようにし、四次環状チャンバを一周するように導いたら、前記バッフルがクリーニング溶液をスロート部の出口部分に導き、クリーニングフランジを介して燃焼カンから排出させ、
クリーニング溶液を化学薬品供給貯蔵槽に戻す
工程を含む方法。
【請求項17】
さらに、クリーニング溶液のpHをpH5.0〜5.5に維持する工程を含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
さらに、クリーニング溶液の温度を約100°F〜約120°Fの範囲に維持する工程を含む、請求項16記載の方法。
【請求項19】
さらに、定期的にクリーニング溶液の一部を排出し、その後水及びクリーニング溶液を添加することによりクリーニング溶液の鉄レベルを9000ppm未満に維持する工程を含む、請求項16記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2013−507561(P2013−507561A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533191(P2012−533191)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【国際出願番号】PCT/US2010/048622
【国際公開番号】WO2011/043899
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】