説明

ガスタービン用光学イメージングシステム

【課題】ガスタービンエンジン(10)の排出面における温度の2次元分布を再現する方法及びシステムを提供すること。
【解決手段】光送信(52)及び検出(54)ペアは、個々の光線が排出口(16)のセクタ全体にわたってビームの2次元メッシュ(70)を形成するようにして、タービンエンジン(10)の排出口(16)のアニュラス内に配列することができる。光線の吸収に基づいて、光線が通過する排出口(16)のセクタの温度を決定することができる。これらの決定に基づき、タービンエンジン(10)の動作に対応する画像を生成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体的にガスタービンエンジンに関し、より詳細には、タービンエンジンの効率を監視するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最新のガスタービンは、効率的な運転を確保するために監視を行うことができる。ガスタービンを監視する1つの手法は、熱電対(TC、通常は金属製の測定器)の一式をガスタービンの排出アニュラスの回りに配置して、エンジンから出る気相生成物の温度を監視することを含むことができる。典型的には、これらのTCによる絶対及び相対温度測定値は、デジタル制御システム(DCS)に供給され、ガスタービンの吸気及び燃料流量を調節して、エンジンの性能全体を向上させるようにすることができる。
【0003】
TCは、これらのサイズ及び離散的配置に起因して、排出口内の平均温度を正確に推定する能力には限界がある。この欠点を克服する取り組みには、より多くのTCを排出アニュラス内に追加することが含まれていた。しかしながら、排出アニュラスに追加されるTCが増えるにつれて、金属計装レーキ前後の圧力低下が大きくばる。これは、エンジンに対する背圧の増大につながる可能性があり、性能を悪化させる恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,593,573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、監視機器によってエンジンに誘起される背圧を最小限に抑えながら、ガスタービンエンジンの効率及び性能を正確に監視して調整することができる技術並びにシステムに対する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の実施形態において、ガスタービン燃料ノズルは、エンジンを効率的に監視するシステムを含み、該システムは、特定周波数で光を伝送するよう適合されたレーザと、吸収光として光を伝送するよう適合された第1の側部及び吸収光を受け取るように適合された第2の側部を含むイメージング器具と、吸収光を表す画像を生成するよう適合されたイメージングシステムとを有する。
【0007】
第2の実施形態において、タービンシステムは、燃料源を点火して加圧排出ガスを生成するよう適合された燃焼器と、加圧排出ガスを通気するよう適合された排出口と、を備え、排出口が、第1の側部から第2の側部に光を伝送するよう適合されたイメージング器具と、排出口の領域の温度を表す画像を生成するよう適合されたイメージングシステムと、を含む。
【0008】
第3の実施形態において、方法は、タービンの排出口のイメージング器具全体にわたって送信位置から光を伝送する段階と、イメージング器具における受信位置にて伝送された光を受信する段階と、コンバータにおいて光の吸収を測定する段階と、吸収光を表す画像を生成する段階と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本明細書で説明される実施形態のうちの1つによるガスタービンエンジンのブロック図。
【図2】波長可変ダイオードレーザ吸収分光システムのブロック図。
【図3A】図1の波長可変ダイオードレーザ吸収分光システムと共に用いるイメージング器具の概略図。
【図3B】図1の波長可変ダイオードレーザ吸収分光システムと共に用いるイメージング器具の概略図。
【図3C】図1の波長可変ダイオードレーザ吸収分光システムと共に用いるイメージング器具の概略図。
【図3D】図1の波長可変ダイオードレーザ吸収分光システムと共に用いるイメージング器具の概略図。
【図4】図3A〜3Dのイメージング器具全体にわたるレーザ送信及び受信の概略図。
【図5】図1のシステムと共に用いるコリメータの概略図。
【図6】図3A〜3Dのイメージング器具全体にわたる測定タイルの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のこれらの及びその他の特徴、態様並びに利点は、図面全体を通して同じ参照符号が同様の部分を表す添付図面を参照して以下の詳細な説明を読む時、より良好に理解されるようになるであろう。
【0011】
本開示は、波長可変ダイオードレーザ技術を使用した、ガスタービンエンジンの排気口の温度測定を記載している。レーザ並びに対応するレーザ検出器は、排気口のセクタにわたってビームの2次元メッシュが形成されるように、タービン排出口のアニュラス内に配列される。レーザから検出器への伝送時に吸収される光の量に基づいて、排出口の温度を決定することができる。更に、画像再構成技術を応用して、ガスタービンエンジンの排出面における温度の2次元分布を再現することができ、排気温度の画像をリアルタイムで再現することができるようにする。レーザは、多くの異なる波長で光を伝送するよう波長調節することができ、排出口内の水蒸気、酸素、及び二酸化炭素の測定を可能にし、排気温度のよりロバストな計算を可能にすることができる。排出口の温度を測定することによって、ガスタービンの圧縮機、燃焼器、又はタービン構成部品の標準以下の性能など、タービンの機能不全を診断することができる。更に、ガスタービンエンジンの調節及び制御のために、測定結果をデジタル制御システムに伝送することができる。
【0012】
ここで図面に移り、最初に図1を参照すると、ガスタービンエンジン10のブロック図が示されている。図示のように、ガスタービンエンジン10は燃焼器12を含む。燃焼器12は、缶アニュラ型燃焼室とすることができ、すなわち、燃焼器12は、アニュラ型及び缶型燃焼器の両方の特性を有することができ、該燃焼器12が外側シェルからなり、幾つかの個々の円筒型燃焼缶を備える。燃焼器12は燃料を受け取り、該燃料を燃料ノズルから加圧下で噴射することができる。燃料は、空気と混合されて燃焼室12内で燃焼することができる。この燃焼により高温の加圧排出ガスが生成される。
【0013】
燃焼器12は、排出ガスをタービン14に通して排気出口16に向かって配向する。例示的な実施形態において、排気出口16は、駆動シャフト18を囲む末広環状通路を含む。更に、燃焼器12からの排出ガスがタービン14を介して排気出口に通過すると、該ガスにより、タービンブレードが、駆動シャフト18をガスタービンエンジン10の軸線に沿って回転させるようにする。図示のように、駆動シャフト18は、圧縮機20を含む、ガスタービンエンジンの種々の構成部品に接続される。
【0014】
駆動シャフト18は、タービン14を圧縮機20に接続してロータを形成する。圧縮機20は、駆動シャフト18に結合されたブレードを含む。従って、タービン14のタービンブレードの回転により、タービン14を圧縮機20に接続する駆動シャフト18が圧縮機20内でブレードを回転させるようにする。更にこれによって、圧縮機20は、吸入口22を介して受け取った空気を加圧するようになる。加圧された空気は燃焼器12に送給されて燃料と混合され、より高効率の燃焼を可能にする。駆動シャフト18はまた、車両、又は発電プラントにおける発電機などの固定負荷、或いは航空機のプロペラとすることができる負荷24に接続される。実際には、負荷24は、ガスタービンエンジン10の回転出力により駆動されるあらゆる好適な装置とすることができる。以下で説明する技術は、エンジン10の性能を損なうことなく、ガスタービンエンジン10の効率の監視を可能にする。
【0015】
図2は、ガスタービンエンジン10の排出口16(すなわち排気出口)と共に波長可変のダイオードレーザ吸収分光法を利用して、ガスタービンエンジン10の排気温度を測定することができる排気測定システム26を示す。排気測定システム26は、レーザコントローラ28、第1のレーザ30、第2のレーザ32、マルチプレクサ34、拡張スイッチ36、イメージ器具38、集約スイッチ40、検出器42、コンバータ44、及びワークステーション46を含むことができる。レーザコントローラ28は、レーザ30及び32に対して制御された電流及び温度を提供し、レーザ30及び32により一定の出力を生成可能にすることができるようになる。1つの実施形態において、レーザコントローラは、コンバータ44からのフィードバック信号によるなど、外部入力によって制御することができるレーザダイオードコントローラとすることができる。
【0016】
1つの実施形態において、レーザ30及び32は赤外線レーザとすることができる。すなわち、レーザ30及び32から伝送される光は、赤外周波数になることができる。1つの実施形態において、第1のレーザ30及び第2のレーザ32は、第1の周波数及び第2の周波数で2つの独立した光ビームを提供することができる。これらの周波数は、第1及び第2の周波数を利用して2つの別個の分子(すなわち分光)遷移にわたってスキャンすることができるように選ぶことができる。すなわち、周波数は、レーザ30及び32の各々がプローブ分子の異なる遷移にアクセスできるように先験的に選ぶことができる。1つの実施形態において、第1のレーザ30は、HO分子の6862cm−1遷移にわたりスキャンすることができ、第2のレーザ32は、HO分子の6673cm−1遷移にわたりスキャンすることができる。別の実施形態においては、第1のレーザ30が排気測定システム26において光を生成するのに利用される唯一のレーザとすることができる。この実施形態では、第1のレーザ30を波長調節し、2つ又はそれ以上の波長で光を伝送することができる。
【0017】
排気測定システム26は更に、マルチプレクサ34を含むことができる。マルチプレクサ34は、光ファイバーケーブルを介して第1及び第2のレーザ30及び32に光ファイバーにより結合することができる。マルチプレクサ34は、例えば、2つの入力のうちの1つだけを単一の出力ラインに通すことができる2×1パッシブマルチプレクサとすることができる。マルチプレクサ34はまた、N個のレーザを利用する何れかの実施形態においてはN×1マルチプレクサとすることができる。マルチプレクサ34の単一の出力は、圧縮スイッチ36に接続する光ファイバーケーブルとすることができる。
【0018】
拡張スイッチ36は、1×N光学スイッチとすることができ、これによってマルチプレクサ34から受け取った光をN個の別個のシングルモード光ファイバーケーブルに逐次的に加えることができ、ここでNは1よりも大きい任意の整数である。1つの実施形態において、Nは24とすることができる。拡張スイッチ36は、例えばコンバータ44からの制御コマンドを介して制御することができる。これらの制御信号は、マルチプレクサ34から受け取った光をN個の光ファイバーケーブルに加える順序を制御する。拡張スイッチから出るN個の光ファイバーケーブルは、イメージング器具38に結合することができる。
【0019】
イメージング器具に結合されたN個の光ファイバーケーブルは、イメージング器具38に伝送される光の経路を与え、N個の光ファイバーケーブルの各々がイメージング器具38の内側縁部において光コリメータで終端し、器具38全体に伝送することができる円柱ビームを形成できるようにする。この伝送組立体はピッチと呼ぶことができる。器具38全体に伝播した後、光ビームは、イメージングフレーム38の第2の内面上の専用受信コリメータにより取り込むことができる。受信コリメータは、受け取った光ビームをそれぞれの光ファイバーケーブルに集束させ、該光ファイバーケーブルは、例えば400μmのコア径を有するマルチモードファイバーとすることができる。イメージング器具38の受信組立体は、キャッチと呼ぶことができる。1つの実施形態において、送信コリメータの数とイメージング器具38内の受信コリメータの数は同数である。
【0020】
加えて、イメージング器具38は中空とすることができ、イメージング器具38が、イメージング器具38内部に配置されることになる光ファイバーケーブルの大きさにされた電線路を含むことができるようにする。単一電線路は、ピッチ及びキャッチ組立体の光ファイバーケーブルに利用することができる。或いは、ピッチ及びキャッチ組立体の各々に別個の電線路を利用してもよい。
【0021】
キャッチの光ファイバーケーブルは、イメージング器具38の電線路から出て集約スイッチ40に結合される。このようにして、キャッチの光ファイバーケーブルは、ピッチから受け取った光ビームを集約スイッチ40に伝送する。集約スイッチ40は、N×1光学スイッチとすることができ、ここでNは1よりも大きい任意の整数である。集約スイッチ40は、上述の拡張スイッチ36とは逆の手法で動作することができる。すなわち、集約スイッチ40は、N個の光ファイバーケーブルから受け取った光を逐次的に加え、例えばコンバータ44からの制御コマンドに基づいて単一光ファイバーに伝送することができる。これらの制御信号は、イメージング器具38から受け取った光を集約スイッチ40の光ファイバーケーブル出力に加える順序を制御する。集約スイッチ40から出るN個の光ファイバーケーブルは、検出器42に結合することができる。
【0022】
検出器42は、集約スイッチ40から伝送された光信号をアナログ電気信号に変換する。1つの実施形態において、検出器42は、光信号を検出して電気信号に変換するように設計された、増幅可変ゲインインジウムガリウム砒素(InGaAs)検出器とすることができる。これらの電気信号は、コンバータ44に伝送される。
【0023】
コンバータ44は、検出器42からの電気信号を受け取り、コンバータ44内のアナログデジタルコンバータ(A/D)を介してアナログ信号をデジタル信号に変換する。コンバータ44は、デジタル信号プロセッサ、マイクロプロセッサ、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ、コンプレックス・プログラマブル・ロジックデバイス、特定用途向け集積回路、及び/又は他の既知の論理回路とすることができる1つ又はそれ以上のプロセッサを含むことができる。プロセッサを利用して、A/Dコンバータからのデジタル信号を処理することができる。これらのデジタル信号に基づいて、プロセッサは、出力信号をレーザコントローラ28に提供する。この出力信号は、例えばのこぎり波とすることができ、該波形は、レーザの変調、周波数、及びタイミングを制御するのにレーザコントローラ28が利用することができる。コンバータ44のプロセッサはまた、拡張スイッチ36及び集約スイッチ40の両方にコマンドを提供することができる。従って、コンバータ44のプロセッサは、レーザの発射をスイッチの作動と同期させる。例えば、プロセッサによりスイッチ36及び40がN個の光ファイバーケーブルを逐次的にスクロールして、レーザコントローラ28により制御される周波数で光を伝送すると、結果として得られる光信号はプロセッサにより変換することができ、その結果として得られる温度データを生成するようになる。この結果として得られる温度データは、例えば、画像再構成により利用され、例えば、ワークステーション46のモニタ上に2次元温度分布を生成することができる。或いは、画像再構成は、コンバータ44において行ってもよい。
【0024】
上述のように、処理されたデジタル信号は、コンバータ44からワークステーション46に伝送することができる。ワークステーション46は、ハードウェア要素(回路を含む)、ソフトウェア要素(コンピュータ可読媒体に格納されたコンピュータコードを含む)、又はハードウェア及びソフトウェア要素両方の組み合わせを含むことができる。ワークステーション46は、例えば、デスクトップコンピュータ、ラップトップ、ノートブックもしくはタブレットコンピュータなどのポータブルコンピュータ、サーバ、或いはコンピュータデバイスの他の何れかのタイプとすることができる。従って、ワークステーションは、例えば、1つ又はそれ以上の「汎用」マイクロプロセッサ、1つ又はそれ以上の特定用途マイクロプロセッサ及び/又はASIS、或いはこのような処理構成要素の何れかの組み合わせなど、1つ又はそれ以上のプロセッサを含むことができる。ワークステーションはまた、メモリを含むことができ、該メモリは、ワークステーションの動作のためのファームウェアのような、1つ又はそれ以上のプロセッサ22により処理されることになる命令又はデータ(すなわち、基本入出力命令又はオペレーティングシステム命令)、及び/又はワークステーション46上で実行可能な種々のプログラム、アプリケーション、又はルーチンを格納することができる。ワークステーション46は更に、ワークステーション46の種々のプログラムの動作に関連する1つ又はそれ以上の画像を表示するためのディスプレイと、ユーザがワークステーション46をインタフェース及び/又は制御可能にすることができる入力構成とを含むことができる。以下で説明するように、ワークステーション46は、ガスタービンエンジン10の排出面における排気温度の2次元分布を再現する画像再構成技術を実施するためのハードウェア及び/又はワークステーションのメモリ内に格納可能であり且つプロセッサにより実行可能なコンピュータコードを含むことができる。
【0025】
図3Aは、図2に関して上記で説明したような、ガスタービンエンジン10と共に利用することができるイメージング器具38の正面図を示す。1つの実施形態において、イメージング器具38は、内径48及び外径50を含むフレームとすることができる。器具38の内径48は、例えば、駆動シャフト18を覆うシュラウドに装着することができる。同様に、器具38の外径50は、例えば、排気出口16のライナに装着することができる。従って、イメージング器具38は、タービンからの排気流をイメージング器具38に流すことができるようにして、排出口16の出口の末広通路内に挿入することができる。1つの実施形態において、イメージング器具38は、排気出口16内のアニュラスの単一のセクタのみを囲むような大きさにすることができるので、ガスタービン10の排気出口16の1つのセクションの温度は、上述のイメージング器具38を用いて調べることができる。従って、排気出口16のアニュラス全体を監視するために、複数の器具38を併用することができる。図3Bは、イメージング器具38の傾いた斜視図を示し、図3C及び3Dは、それぞれ、イメージング器具38の上面図及び側面図を示している。
【0026】
イメージング器具38は、イメージング器具38の外周付近に光学トランスミッタ及び受信器を収容することができる。図4は、これらの光学送信位置52及び光学受信位置54をイメージング器具38と共に示している。光学送信位置52及び光学受信位置54は、イメージング器具38の内径48及び外径50の内側部分に沿って配列することができ、光学送信位置52及び光学受信位置54間の光学ビームの2次元メッシュを形成するようにして配向することができる。1つの実施形態において、光学送信位置52及び光学受信位置54は、イメージング器具38の相対する側部に配置することができる。例えば、送信位置は、イメージング器具38の上側部分の内面上に配置することができ、受信位置は、イメージング器具38の下側部分の内面上に配置することができる。光学送信位置52及び光学受信位置54の位置とは関係なく、位置52及び54は、イメージング器具38全体にわたって伝送を行うことができるようにペアにすることができる。
【0027】
光学送信位置52及び光学受信位置54は、シングルモード光ファイバーケーブル(ピッチケーブル)及びマルチモード光ファイバーケーブルにそれぞれ結合することができる。ピッチとしてのシングルモード光ファイバーケーブル及びキャッチとしてのマルチモード光ファイバーケーブルを利用すると、送信及び受信光学素子間のアライメントの維持に役立つことができる。これらのケーブルは、送信位置52への光の伝送を可能にすることができ、受信位置54からの光の伝送を可能にすることができる。ピッチ及びキャッチケーブルは、イメージング器具内の導管又は通路、すなわち電線路を介してイメージング器具38に送給することができる。この導管は、ケーブルを収容するために器具の外周に機械加工することができる。上述のように、ケーブルによって、送信位置52が光学ビーム56を受信位置54に伝送するように、光を送信位置52に伝送できるようになる。次いで、光学ビーム56は、解析のために、上述のような光ファイバーケーブルの第2のセットを介してスイッチ40に伝送することができる。
【0028】
図5は、送信位置52の各々に配置することができる送信コリメータ58と、受信位置54の各々に配置することができる受信コリメータ60とを示している。各コリメータ58及び60は、例えば、約900°F(755°K)の温度のような、タービンエンジン10の排気口16の環境に耐えることができる材料から構成することができる。1つの実施形態において、コリメータ58及び60は、ステンレス鋼から構成することができる。
【0029】
上述のように、光は、送信位置52から受信位置54への光学ビーム56として伝送される。送信コリメータ58及び受信コリメータ60は、この光学ビーム56の伝送に役立つ。例えば、光は、光ファイバーケーブル62Aを介して送信コリメータ58に入ることができる。送信コリメータ58は、光を受け入れることができ、光ファイバーケーブル62Aから発散させることができ、更に、光をコリメートし、すなわち、光を単一方向に送ることができる。送信コリメータ58はまた、反射防止コーティングされた溶融石英プリズム64aを含むことができる。プリズム64Aは、高さが約5から15mmの間で、幅が5から15mmの間とすることができ、例えば、内部反射によりコリメート光の方向を変えることができる。1つの実施形態において、プリズム64Aは、コリメート光の方向を90度変えることができる。
【0030】
第2の反射防止コーティングされた溶融石英プリズム64Bを受信コリメータ60に結合することができる。このプリズム64Bは、構造的にプリズム64Aと同様とすることができ、例えば、プリズム64Bは、コリメート光の方向を90度変えることができる。しかしながら、プリズム64Bは、プリズム64Aとは異なる大きさにすることができる。例えば、プリズム64Bは、プリズム64Aの約2倍の寸法にすることができる。別の実施形態では、プリズム64Bは、高さが約10から30mmの間で、幅が10から30mmの間とすることができる。
【0031】
プリズム64Bの利用により、汎用コリメータ単独と比べて、受信コリメータ60のビーム56受容角度の点で有意な利点をもたらすことができる。例えば、レーザ光は、コリメータ58に入る前に溶融石英材料を通って伝播し、この屈折率(n=1.44)は空気の屈折率(n=1.0)よりも大きいことに起因して、スネルの法則に従って受信コリメータ60によりもたらされる受信の立体角が大きくなるので、コリメータ58及び60は、従来のコリメータの約2倍の大きさの許容ウィンドウを享受することができる。
【0032】
従って、送信及び受信コリメータ58及び60をイメージング器具38と共に利用して、光学ビーム56の送信及び受信を改善することができる。光学ビーム56は、タービンエンジン10の排出口16内のイメージンググリッドと共に利用することができる。このグリッドは、ガスタービンエンジン10の排出口16の位置に対応することができる位置を光学ビーム56に提供することができる。従って、グリッドを利用して、グリッドの各部分の光学ビームにおいて光の吸収レベルを測定することによって、グリッドを通る排出ガスの温度分布を求めることができる。
【0033】
光学ビーム56の吸収レベルの測定は、例えば、波長可変ダイオードレーザ吸収分光法(TDLAS)技術を用いることによりコンバータ44のプロセッサにおいて実施することができる。TDLASは、電磁スペクトルの特定波長でのある気体分子によるエネルギーの吸収に依存する。例えば、HO、O及びCOなどの分子種は、離散的な電磁周波数で光を吸収し、すなわち吸収遷移が生じる。吸収遷移を僅かに下回る、又は上回る波長では、伝送光の吸収は本質的に存在しない。従って、ある量の標的分子を含有するガス混合物に光のビームを伝送し、該光のビームを標的分子の吸収遷移の僅かに下から直ぐ上にまでスキャンするよう調整して、光のビームの吸収を測定することによって、ガス中の標的分子の温度を求めることができる。すなわち、所与の周波数の分子によって吸収される光の量は、ガスの温度と、一般に次式で記述されるランベルト・ベールの法則に従う吸収化学種の濃度とに関連することができる。
【0034】
【数1】

【0035】
ここで、Ioはレーザから伝送される光の強度、Iは検出器への入射強度、kνはスペクトル吸収係数、Lは光の経路長である。
【0036】
更に、等式の自然対数をとることによって吸収度を求めることができる。すなわち、これは、
【0037】
【数2】

【0038】
として表すことができる。更に、2つのレーザ周波数ν1及びν2を用いて2つの離散的な分子遷移にアクセスする場合、モル比率X、すなわち化学種濃度、圧力P、及び経路長Lは消去されて、線形ψは1になり、
【0039】
【数3】

【0040】
が残るので、統合吸収度の比は温度だけの関数となる。
【0041】
例えば、6862及び6673cm−1周波数にわたるガスタービン10の排出ガス中の水の分子遷移がスキャンされる場合、結果として得られる光学ビーム56の吸収分布は、光学ビーム56が通過したポイントでの排出ガスの温度計算に必要なデータを提供することができる。すなわち、例えば、タービンエンジン10の排出口16における水の遷移などの測定される遷移は、排気口16の所与の位置における排出ガスの温度検出用に監視することができる。更に、排出ガスの温度は、例えば、ワークステーション46のモニタ上に提示することができる。例えば、ワークステーション46上に排出口16における排出ガスの温度を提示するのに、画像再構成技術を利用することができ、該画像再構成技術は、上述のグリッドにおける光学ビーム56の測定される光吸収に基づくことができる。
【0042】
図6で分かるように、イメージング器具38が光学送信位置52及び光学受信位置54を有して示されており、光学ビーム56は、グリッド70を形成するタイル線68で表されたイメージング器具内のタイル66(すなわち領域)を含み、該グリッドは、ガスタービンエンジン10の排気口16内の温度を測定するよう動作することができる。再構成される温度分布の忠実度は、各タイル66におけるビームの位置及び相対間隔に依存することができる。すなわち、ビーム56の密度が高い場所のタイル66は、より良好な温度分解能を有し、少数のビーム56が存在する場所の空きスペースは、正確度の不確実性が高いことを具現化することになる。これらのタイル66は、各ビーム56からの吸収を、例えばコンバータ44のプロセッサによって決定付けることができるセクタとすることができる。これらの決定の結果は、例えば、イメージングシステムを介してワークステーション46のディスプレイにマッピングすることができる。イメージングシステムは、例えば、ワークステーション46内に配置することができる。或いは、イメージングシステムは、コンバータ44のプロセッサを含むことができる。イメージングシステムの位置とは関係なく、1つ又はそれ以上の画像再構成アルゴリズムを利用するような、画像再構成技術をメージングシステムが利用して、排気口16における温度分布の代表的画像を生成することができる。吸収レベル、これから導出される排気口温度、及びその後に続く結果のマッピングの決定に使用される、1つのこのようなアルゴリズムを以下で説明する。
【0043】
画像再構成アルゴリズム及びレーザメッシュ幾何形状、すなわちタイル66のサイズの選択は、例えば、イメージングシステムにより生成される最終温度画像の忠実性に直接的な影響を及ぼすことができる。図示のように、図6は、タービン排気口16内で画像化される複数のセクタ、すなわちタイル66を含む。破線は光学ビーム56を表し、多角区域を形成する実線は、各ビームからの吸収がマッピングされることになるタイル66を表している。従って、例えば、n個の光学ビーム56とm個のタイル66とが存在することができ、1つの実施形態では、nはmよりも大きい。光学ビーム56とタイル66との関係は、次式で表すことができる。
[P] = ||B||n,m [R][P]
ここで、[P]はn個のビーム全ての吸収度A(上で記載したような)を表すベクトル、[R]は、m個のタイル66の吸収度値のベクトルである。||B||n,mは、各ビーム56の吸収度を特定のタイル66にマッピングするのに用いることができる、n×mの重み値又は基底関数である。例えば、一様、ガウス、又は3次スプライン加重関数など、様々な加重関数を利用して、マッピングされた吸収度に対するタイル66内の種々の位置でのビーム56の影響を調整することができる。
【0044】
所与のタイル66内の吸収度を計算するために、最小二乗手法を利用することができ、次式となる。
[R] = (||B||||B||)-[P]
次いで、この吸収度をイメージングシステムが利用して、例えば、上記の最小二乗法により求められた吸収度に基づいて、グリッド70の各タイル66についての温度を表す画像を生成することができる。従って、タイル66内のビーム56の数は、温度画像全体としてワークステーション46上に表示するためイメージングシステムによって生成される温度画像に影響を及ぼす可能性がある。すなわち、排出面における実際の温度の最大及び/又は最小の場所は、各ビーム56の位置に基づくことができる。従って、ビーム56は、ビーム56の位置決めを温度測定に最適化することができるように、タービンエンジン10の状態の先験的認識を用いて最初に位置付けることができる。
【0045】
本発明の特定の特徴のみを本明細書で例示し説明してきたが、当業者であれば、多くの変更形態及び変形が想起されるであろう。従って、本発明の真の精神の範囲内にあるこのような修正形態及び変更全ては、添付の請求項によって保護されるものとする点を理解されたい。
【符号の説明】
【0046】
10 ガスタービンエンジン
12 燃焼器
14 タービン
16 排出口
18 駆動シャフト
20 圧縮機
22 吸気口
24 負荷
26 排気測定システム
28 レーザコントローラ
30 第1のレーザ
32 第2のレーザ
34 マルチプレクサ
36 拡張スイッチ
38 イメージング器具
40 集約スイッチ
42 検出器
44 コンバータ
46 ワークステーション
48 内径
50 外径
52 送信位置
54 受信位置
56 光学ビーム
58 送信コリメータ
60 受信コリメータ
62A 光ファイバーケーブル
62B 光ファイバーケーブル
64A プリズム
64B プリズム
66 タイル
68 タイル線
70 グリッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの効率的監視システム(26)であって、
特定周波数で光を伝送するよう適合されたレーザ(30)と、
吸収光として光を伝送するよう適合された第1の側部(50)と、前記吸収光を受け取るように適合された第2の側部(48)とを含む器具(38)と、
前記受け取った吸収光に基づいてエンジン(10)の状態を解析するように適合されたプロセッサ(44)と、
を備えるシステム。
【請求項2】
前記レーザ(30)が波長可変ダイオードレーザである、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
第2の特定周波数で光を伝送するよう適合された第2のレーザ(32)を備える、
請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
光を受け取り、該光を前記第1の側部(50)に逐次的に加えるように適合されたスイッチ(36)を備える、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の側部(50)が、前記光を吸収光として伝送するよう適合された複数の送信位置(52)を含む、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記複数の送信位置(52)の各々がコリメータ(58)を含む、
請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
各コリメータ(58)がシリカプリズム(60A)を含む、
請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記第2の側部(48)が、前記吸収光を受け取るように適合された複数の受信位置(54)を含む、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記複数の受信位置(54)の各々がコリメータ(60)を含む、
請求項5に記載のシステム。
【請求項10】
前記各コリメータ(60)がシリカプリズム(62B)を含む、
請求項6に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−255635(P2010−255635A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−98360(P2010−98360)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】