説明

ガスボンベ

停止弁(3)によって閉じられることができるガス貯蔵スペース(2)を内部に規定しているガスボンベ(1)が、複合材料でできた硬質壁(4)を具備し、この硬質壁(4)は、強化繊維を含む強化層(5)と、口(9)を介して硬質壁(4)に接続され、硬質壁(4)の内面(6)に対して接触して押圧する際に接着するのに適した可撓性の封止壁(13)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、圧力下でガスを貯蔵するための、合成材料又は複合材料でできたガスボンベである。
【背景技術】
【0002】
複合材料でできた既知のガスボンベは、通常、例えば、鋼又は合成材料ででき、貯蔵されるガスへの非透過性を確実にする内側層と、繊維で強化された複合材料ででき、動作圧力に対するボンベの機械的耐性を確実にする外側層と、ボンベの内側から外側への貫通孔を形成している口と、前記貫通孔を開閉するための弁を受けるための座部とを有する。
【0003】
ボンベ中のガスは、これらの臨界温度が水素又は酸素のように−50℃よりも低ければ、圧縮ガスとして分類され、臨界温度がLPGのように−50℃よりも高ければ、液化ガスとして分類され、また、例えば、アセトン中のアセチレンのように溶解ガスとして分類される。
【0004】
ボンベは、アプリケーションに従って、これらの多くの使用及び基準、及びこれらの試験のために意図されている。ガスボンベの主なアプリケーションとして、我々は、輸送用乗物用の液化ガス又は圧縮ガスの貯蔵、産業用途用の圧縮ガス又は液化ガスの貯蔵、圧縮空気用の保持タンク、人工呼吸装置用の通気性混合物の貯蔵、医薬ガスの貯蔵並びに消火器を引き合いに出すことができる。
【0005】
非透過性であり圧力に機械的耐性のある機能のさまざまな材料の使用のおかげで、複合ガスボンベは、鋼のガスボンベと比較して非常に低い重量/汚染容量比を有する。
【0006】
しかし、複合ガスボンベの比較的複雑な構造、並びに非透過性と、強化層と、口との異なる材料の間の相互作用は、ボンベを封止する問題、合成材料の品質低下の現象、特に、動作時間が延ばされた場合、内側層と、外側層と、口との間の境界領域の問題を含む。
【0007】
このような構造上の封止性の低下は、内側の非透過層と外側の強化層との材料の熱膨張係数の違いによってさらに悪くなり(これらは、表面全体にわたって互いに接続されている)、これは、これらの自由及び独立した熱変形の防止によるこれらの境界で、2つの層の周期的な応力を含む。
【発明の概要】
【0008】
それ故、本発明の目的は、長い動作期間の場合に非透過性を改良し、従来技術を参照して構造上の品質低下の現象を避けるような特徴部分を有する、複合ガスボンベを提供することである。
【0009】
この及び他の目的は、停止弁によって閉じられることができるガス貯蔵スペースを内部に規定しているガスボンベによって達成される。前記ボンベは、
複合材料でできた硬質壁であって、この硬質壁は、強化繊維を含む強化層と、前記硬質壁で形成されたアクセス開口を通ってアクセス可能な内側スペースを規定している内面とを有する、硬質壁と、
前記硬質壁の前記アクセス開口に着脱可能に接続されることができ、前記ガス貯蔵スペースと連通する前記停止弁を受けるように構成された管状の口と、
前記内側スペースに配置され、前記口のみによって前記硬質壁に接続された可撓性の封止壁とを具備し、
前記可撓性の封止壁は、前記ガス貯蔵スペースを内部に規定し、前記硬質壁の前記内面に対して接触して押圧する際に接着するのに適し、前記硬質壁は、前記内側スペースの前記可撓性の壁の完全な膨張を与えるように空気に対して透過性であり、前記内面は、前記強化層とは異なる前記硬質壁の摺動層により形成され、前記可撓性の封止壁と前記硬質壁との間で接触して押圧する際に摺動を与える。
【0010】
可撓性の封止壁と硬質壁との間で接触して押圧する際の動きの自由度、及び硬質壁のアクセス開口のところの単一領域のこれらの接続のおかげで、さまざまな層とボンベの材料と口との間の境界の品質低下の現象を避けることが可能であり、非常に長い動作時間の場合にもまた優れた封止性を維持する。
【0011】
さらに、硬質壁のアクセス開口への口の着脱可能な接続のおかげで、摺動層を検査し再生させるために、可撓性の封止壁を交換することや、硬質壁の内側スペースへのアクセスを得ることが可能である。
【0012】
本発明をよりよく理解するために、及びその効果を理解するために、いくつかの非限定的な例の実施の形態が図面を参照して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態に係るガスボンベの長手方向の断面図である。
【図2】図2は、本発明のさらなる一実施の形態に係るガスボンベの部分的な長手方向の断面図である。
【図3】図3は、本発明のさらなる一実施の形態に係るガスボンベの部分的な長手方向の断面図である。
【図4】図4は、図2並びに図3に係るガスボンベを備えたボンベスペースを示している。
【図5】図5は、図2並びに図3に係るガスボンベを備えたボンベスペースを示している。
【図6】図6は、本発明のさらなる一実施の形態に係るガスボンベの部分的な長手方向の断面図である。
【図7】図7は、図6に係るガスボンベを備えたボンベスペースを示している。
【図8】図8は、本発明のさらなる一実施の形態に係るガスボンベの部分的な長手軸方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図を参照すると、ガスボンベ(以下、「ボンベ」と称する)が、全体として参照符号1で示される。
【0015】
ボンベ1は、停止弁3によって閉じられることができるガス貯蔵スペース2を内部に規定している。ボンベ1は、複合材料でできた硬質な外壁4を有する。硬質な外壁4は、強化繊維を含む強化層5と、アクセス開口8を通ってアクセス可能な内側スペース7を規定している内面6とを有する。このようなアクセス開口8は、好ましくは、弁の口を受けるか、弁を直接受けるかの少なくとも一方に適した硬質な外壁4のただ1つの開口を構成している。
【0016】
本発明のここでの説明では、「複合材料」との用語は、同質でない(non-homogeneous)構造を含む材料を意味し、複数の異なる物質の集合(assembly)からなり、厚さゼロの明らかな境界で物理的に分離され、巨視的な構造上のレベルで分離され区別される実質的に異なる物理的及び化学的特性を備えている。特に、複合材料は、天然又は人工素材の繊維を含むことができ、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、ケブラー(登録商標)のような、好ましくは必ずしもではないが合成材料でできたマトリックスに埋封された、アラミド繊維、例えば、ナイロン(登録商標)及びABSのような熱可塑性樹脂、又はエポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂、又はポリエステル樹脂、又は、例えば、アルミニウム、チタン及びこれらの合金のような金属、又は、一般的に炭化ケイ素であるセラミック材料、又はアルミナを含むことができる。
【0017】
一実施の形態によれば、硬質壁4は、好ましくはボンベ1の長軸線Lに沿ってほぼ円筒状に延びている管状部分15と、例えば、球形又は楕円形のキャップ形状であり、管状部分15の下端に接続され、ボンベ1の下側17に内側スペース7を規定している底側部分16と、例えば、オジーヴ(ogive)のような形状であり、管状部分15の上端に接続され、下側17に対向しているボンベ1の上側19に内側スペース7を規定している上側部分18とを有する。
【0018】
ボンベ1は、さらに、硬質壁4のアクセス開口8に着脱可能に接続されることができ、ガス貯蔵スペース2と連通する停止弁3を受けるように構成された管状の口9を有する。
【0019】
一実施の形態によれば、口9は、合成材料又は金属材料でできていることができる。また、口9は、口9への弁10の接続のためにガスケット用の座部を備え、例えば、切頭円錐形(frusto-conical)又は円筒形の雌ねじである弁の座部10と、開口8のところで硬質壁4により形成された対応する口の接続座部12を係合するのに適した雄ねじ、又は差し込み(bayonet)部分である円筒形の接続部分11とを有する。
【0020】
一実施の形態によれば、接続座部12は、強化層5により形成されたねじ、又は、多くの別体の部品で、あるいは、その完成及び硬化の後、強化層5によって形成された開口8の縁部で(例えば、ねじ留め(screw clamping)によって)着脱可能に接続されたモノブロックで、最終的に螺合される本体20を有する。これは、強化層の巻きプロセス及びガスボンベの全体の組み立てを容易にし、スピードアップする。
【0021】
代わって、このような本体20は、強化層の少なくとも部分的な過巻き(over-winding)によって硬質壁に接続されることができる。
【0022】
口9と硬質壁4との間の接続は、開口8の領域でガスの圧力から生じる圧力に耐えるように構成されるが、ガスに対して必ずしも非透過性ではなく、硬質壁4のプログラムされた透過性の領域を形成するように構成されることができる。
【0023】
貯蔵されるように意図されたガスに対して非透過性の膨張バッグのような形状の可撓性の封止壁13が、内側スペース7に配置され、口9を通ってのみ、かつ口9のところでのみ、硬質壁4に接続されている。可撓性の封止壁13は、ガス貯蔵スペース2を内部に規定し、硬質壁4の内面6に接触して押圧する際に接着するのに適している。
【0024】
一実施の形態によれば、非変形状態では、可撓性の封止壁13は、好ましくはボンベ1の長軸線Lに沿って実質的に円筒状に延びている管状部分25と、例えば、球形又は楕円形のキャップのような形状であり、管状部分25の下端に接続され、ボンベ1の下側17にガス貯蔵スペース2を規定している底側部分26と、例えば、ノーズコーン形状であり、管状部分25の上端に接続され、下側17に対向しているボンベ1の上側19にガス貯蔵スペース2を規定している上側部分28とを有する。
【0025】
本発明の一態様によれば、硬質壁4は、内側スペース7に可撓性の封止壁13の完全な膨張を与えるように、空気に対して透過性である。また、内面6は、強化層とは異なる硬質壁の摺動層14によって形成され、この摺動層14は、可撓性の封止壁13と硬質壁4との間で接触して押圧する際に摺動を与える。一実施の形態では、摺動層14は、繊維を含まない。代わりの一実施の形態によれば、摺動層14は、後述されるように、織布(fabric)を含む。
【0026】
可撓性の封止壁と硬質壁との間で接触して押圧する際の動きの自由度、及び硬質壁のアクセス開口のところの単一領域でのこれらの接続のおかげで、さまざまな層とボンベの材料と口との間の境界の品質低下の現象を避けることが可能であり、非常に長い動作時間の場合にもまた優れた封止性を維持する。
【0027】
さらに、硬質壁のアクセス開口への口の着脱可能な接続のおかげで、摺動層を検査し再生させるために、可撓性の封止壁を交換することや、硬質壁の内側スペースへのアクセスを得ることが可能である。
【0028】
硬質な外壁4は、貯蔵されるガスによって加えられる内部圧力に耐える機能を果し、この硬質な外壁4は、マンドレルにエポキシ樹脂で含浸された連続的な炭素繊維のフィラメントを巻き付けることによって製造されることができる。マンドレル自体は、例えば、多くの部品のマンドレルの場合には、溶解、機械的粉砕(crumbling)又は分解によって取り除かれることができる。
【0029】
代わって、強化層5が周囲に巻き付けられたマンドレルは、硬質壁4と一体的にされたままとどまり、例えば、強化層5と摺動層13との間に上述の摺動層14又は中間層(図示されない)であるこれらの層を形成する。
【0030】
強化層5の強化繊維は、4500MPaを超える引張強さ、好ましくは4800MPaないし5200MPaの引張強さと、200GPaを超える弾性率、好ましくは200ないし250GPaの弾性率とを有する。
【0031】
効果的には、強化層5は、50%volないし70%volの範囲内の、好ましくは55%volないし65%volの範囲内の、さらに好ましくは約60%volの強化繊維の(容積測定の)(volumetric)含有量を有する。容積の残りは、マトリックスで形成され、例えば、約5時間、約120度に加熱する熱処理によって硬化されるエポキシ樹脂又はビニルエステル樹脂であることができる。
【0032】
摺動層14は、効果的には、エッジ又はステップなしで(好ましい単一のアクセス開口8の縁部の例外を含む)滑らかな露出面を有し、これは、合成材料を含むことができ、好ましくは、例えば、ポリエチレン、ポリエステル、PET(ポリエチレンテレフタラート)、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレンから選択された熱可塑性樹脂であることができる。一実施の形態によれば、摺動層14は、繊維の織布、又は天然又は合成フィラメント、例えば、ポリエステルでできていることができ、内側スペース7でさらに覆われるか直接露出されることができる。
【0033】
代わって、又は、さらに、摺動層14は、流体、例えば、潤滑ゲル又はグリース、あるいは、例えば、硬質壁4と可撓性の封止壁13との間の摩擦係数を減少させるのに適したナノ粒子を含む潤滑パウダーであることができる。
【0034】
摺動層14は、
少なくとも1つの選択的な中間層を備えた強化層5からなるモールドでブロー成形することと、
(例えば、強化層とは異なるモールドによって)摺動層14をモールド成形して、続いて、摺動層14の周囲に強化層5を巻き付けることと、
この場合には、硬質壁4のパイロット製品(semi-worked product)に摺動層14を堆積させる塗装液体又は塗装パウダーで内側スペース7を一時的に充填するために与える含浸塗装との少なくとも1つによって、硬質壁4に固定されることができる。
【0035】
可撓性の封止壁13は、例えば、ゴムでできた変形可能なバッグのように構成され、これは、予め製造され、硬質壁4に(好ましくは着脱可能に)接続されることができる封止壁13−口9のグループを効果的に形成するように、例えば、融着、加硫、共モールド成形(co-moulding)、接着によって、あるいはクリンプ(crimping)又はねじ留めによって機械的に口9に接続された(好ましくは単一の)開口である。既に述べられたように、封止壁13−口9のグループは、着脱可能かつ交換可能であることができる。
【0036】
代わりの一実施の形態によれば、構造上非常に簡単かつ費用効果が高いが多様性はなく、可撓性の封止壁13を備えた口9は、硬質壁4の強化層5の巻き付けの間、マンドレルに直接組み込まれ、このような硬質壁4に不可逆に接続されている。
【0037】
本発明のさらなる態様によれば、硬質壁4の管状部分15は、少なくとも1つの第1の幅広の管状部分21と、第1の幅広の管状部分21に隣接し、第1の幅広の管状部分21よりも幅の狭い少なくとも1つの幅狭の第2の管状部分22とを有する。
【0038】
幅狭の管状部分22に隣接している幅広の管状部分21のおかげで、幅狭の管状部分22にねじ留め又はロックブラケットを受けること、及び、ガスの貯蔵のためのロックブラケットに隣接している領域を利用することが可能である。
【0039】
非円筒形の硬質壁からの可撓性の封止壁の分離、及びこれらの間で接触して押圧する際の摺動が可能なことのおかげで、硬質壁の直径の変化は、封止壁の透過可能な領域を形成することができない。このようにして、封止及び不規則な形状の壁の対比の必要性を調和させることが可能である。
【0040】
効果的には、可撓性の封止壁13の管状部分25は、ガスの圧力によって膨張されない状態では、幅広の管状部分に隣接している幅狭の管状部分がなく、即ち、言い換えれば、非膨張状態では、可撓性の封止壁13の管状部分25の形状は、硬質壁4の管状部分15の外形又は形状に従わない。
【0041】
これは、さまざまな形状の硬質壁を備えたガスボンベの可撓性の封止壁の非常に多くの変形の範囲のないものを製造し、貯蔵し、使用することを可能にする。
【0042】
本発明のさらなる一態様(図3)によれば、幅狭の部分22は、複数の、好ましくは2つの環状のネックを形成し、これらの各々は、それぞれ幅広の管状部分21によって両側に規定されている。
【0043】
ボンベのこの特定の構成は、ロッククランプの正確な位置決めを与え、これらがガスボンベ1の長軸線Lの方向に偶然に摺動するのを防ぐ。
【0044】
できるだけ緊密なメンブレン(“tight membrane”)の管状部分15に応力を加え、管状部分15がガスを貯蔵するための利用可能なスペースを最大に利用するような非円筒形の形状を有するという必要性を最も満足させるために、幅狭の部分22、又は、好ましくは複数の幅狭の部分22の全てが、長軸線Lに沿った一定の直径を有する環状の円筒形の中央リング31と、隣接している幅広の管状部分21に中央リング31を接続し、周囲ステップを形成している2つの側方移行リング27とをそれぞれ有する。
【0045】
効果的には、長軸線Lを有する長手軸方向の断面では、側方リング27は、2つの湾曲部を有する形状(図2)、又は円錐の切頭体24の形状(図6)を有し、長手軸方向の延長部L1は、円筒状の中央リング31の長手軸方向の延長部L2よりも短い。幅狭の領域の屈曲応力(flexional stress)を減少させるために、中央リングの長手軸方向の延長部L2に対して、側方リングの長手軸方向の延長部L1の合計よりも短い、即ち、L2<2L1であることが効果的である。
【0046】
幅広の管状の部分21はまた、好ましくは、ボンベ1の長手軸方向Lに沿って一定の直径を備えた少なくとも1つの環状の円筒状のリングを形成している。
【0047】
一実施の形態によれば(図2)、管状部分15は、単一の第1の幅広の部分21と、幅広の部分21に隣接している単一の第2の幅狭の部分22とを形成し、第2の幅狭の部分22は、内側に傾斜を付けられた周囲ステップ23によって、又は、内側に傾斜を付けられた切頭円錐ジョイント24によって第1の幅広の部分21から分離され、既に述べられたような形状であることができる幅狭の部分22の単一の側方リング27により形成される。
【0048】
このようにして、ガスボンベ1は、例えば、ガスで動力が与えられる車両(gas-powered vehicle)であるアプリケーションのボンベのスペースに未使用のスペースを残すことなく、テーパ状の領域に少なくとも1つのロックブラケットによって固定される、ステップを備えたテーパ状の全体形状を有する。
【0049】
本発明のさらなる一態様によれば(図8)、2つの幅狭の部分22は、上側部分と、管状部分15の下側部分とをそれぞれ形成し、これらの間には、幅広の管状部分21が、このような管状部分15の、好ましくはほぼ中央の中間部分を形成するようにして延びている。
【0050】
図面から見られるように、硬質壁4の管状部分15の厚さは、実質的に変化せず、言い換えれば、硬質壁4の内面6は、管状部分15の領域で、その外面30の形状にほぼ従い、この結果、外部スペース状態に対する管状部分15の形状は、ボンベ1の内部のガス貯蔵スペース2の最大化へと移る。
【0051】
本発明のさらなる一態様によれば(図8)、ここまで説明された特徴の単一の、又は全ての組み合わせであることができ、ガスボンベ1の口9は、可撓性の封止壁13によって規定されたガス貯蔵スペース2の内部に突出している雌ねじの内側部分29を有する。
【0052】
ガス貯蔵スペース2の内部に少なくとも部分的に突出しているねじが切られた口9の構成のおかげで、ガスを貯蔵するために、停止弁にねじ留めするために必要な場合には、ボンベの高さの少なくとも一部を利用することが可能である。
【0053】
図4並びに図5は、例えば、車両であるガスアプリケーションのためのボンベスペース−ボンベグループ32の実施の形態を示している。ボンベスペース−ボンベグループ32は、既に説明されたものに従う少なくとも1つのガスボンベ1と、(例えば車両の)アプリケーションの支持構造体に固定されるか支持構造体のところに形成されることができ、このようなガスボンベを少なくとも部分的に受けるように構成された支持及び収容構造体33と、好ましくはクランプ又はロックブラケットであり、支持及び収容構造体33に固定されるか固定されることができ、支持及び収容構造体33にこれらをロックするために、ガスボンベ1の周囲を少なくとも部分的に覆うのに適した少なくとも1つのロック部材34とを有する。このようなロック部材34は、ガスボンベ1の外面30に幅狭の部分22から形成された周囲座部35に受けられた少なくとも一部を有する。さらに、硬質壁4の管状部分15の幅広の部分21の少なくとも一部が、2つのロック部材34の間に、又はロック部材34と支持及び収容構造体33との間に規定されたギャップ36中に延びている(そうでなければ使用されない)。
【0054】
図7は、さらなるボンベスペース−ボンベグループ32を示している。支持及び収容構造体33は、互いに傾斜している側壁と、(例えば強化停止部(reinforcing stay)又は強化チューブである)機能要素37による中断部(interruption)との少なくとも一方を有し、ボンベ1は、幅広の部分及び幅狭の部分21、22の存在のおかげで支持及び収容構造体33の形状に適合している。
【0055】
もちろん、当業者は、起こりうる特定の必要性を満足するために、本発明に係る複合材料でできたガスボンベ並びにボンベスペース−ガスボンベグループにさらなる変更並びに変形をもたらすことができる。それらの全ては、以下の特許請求の範囲によって規定されるような本発明の保護の範囲によってカバーされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
停止弁(3)によって閉じられることができるガス貯蔵スペース(2)を内部に規定しているガスボンベ(1)であって、
複合材料でできた硬質壁(4)であって、この硬質壁(4)は、強化繊維を含む強化層(5)と、前記硬質壁(4)に形成されたアクセス開口(8)を通ってアクセス可能な内側スペース(7)を規定している内面(6)とを有する、硬質壁(4)と、
前記硬質壁(4)の前記アクセス開口(8)に接続され、前記ガス貯蔵スペース(2)と連通する前記停止弁(3)を受けるように構成された管状の口(9)と、
前記内側スペース(7)に配置され、前記口(9)のみによって前記硬質壁(4)に接続された可撓性の封止壁(13)とを具備し、
前記可撓性の封止壁(13)は、前記ガス貯蔵スペース(2)を内部に規定し、前記硬質壁(4)の前記内面(6)に対して接触して押圧する際に接着するのに適し、
前記硬質壁(4)は、前記内側スペース(7)の前記可撓性の壁(13)の完全な膨張を与えるように空気に対して透過性であり、前記内面(6)は、前記強化層(5)とは異なる前記硬質壁(4)の摺動層(14)により形成され、前記可撓性の封止壁(13)と前記硬質壁(4)との間で接触して押圧する際に摺動を与えるガスボンベ(1)。
【請求項2】
前記口(9)は、前記開口(8)で前記硬質壁(4)から形成された口の接続座部(12)を着脱可能に係合するのに適したボンベ接続部分(11)を有する請求項1のガスボンベ(1)。
【請求項3】
前記口(9)は、初めに、別個の本体(20)から形成され、そして、前記硬質壁(4)と接続された口の接続座部(12)を着脱可能に係合するのに適したボンベ接続部分(11)を有する請求項1のガスボンベ(1)。
【請求項4】
前記強化層(5)の強化繊維は、4500MPaを超える引張強さと、200GPaを超える弾性係数とを有し、
前記強化層(5)は、50%volないし70%volの範囲内の、好ましくは55%volないし65%volの範囲内の、さらに好ましくは約60%volの強化繊維の含有量を含む請求項1ないし3のいずれか1のガスボンベ(1)。
【請求項5】
前記内面(6)は、前記アクセス開口(8)の縁部を除いて、滑らかで、エッジ又はステップがない請求項1ないし4のいずれか1のガスボンベ(1)。
【請求項6】
前記摺動層(14)は、ポリエチレン、PET、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレンを含むグループから選択された熱可塑性樹脂の合成材料を含む請求項1ないし5のいずれか1のガスボンベ(1)。
【請求項7】
前記摺動層(14)は、
前記硬質壁(4)と前記可撓性の封止壁(13)との間の摩擦係数を減少させるのに適したナノ粒子を含む潤滑パウダーと、
潤滑流体と、
潤滑グリースと、
潤滑油と、
潤滑ゲルとからなるグループから選択された物質を含む請求項1ないし6のいずれか1のガスボンベ(1)。
【請求項8】
前記摺動層(14)は、前記摺動層(14)のモールド成形、続いて、前記摺動層(14)の周囲に前記強化層(5)を巻き付けることによって前記強化層(5)に固定されている請求項1ないし7のいずれか1のガスボンベ(1)。
【請求項9】
前記摺動層(14)は、前記強化層(5)を含むモールドでブロー成形によって前記強化層(5)に固定されている請求項1ないし8のいずれか1のガスボンベ(1)。
【請求項10】
前記摺動層(14)は、噴霧によって前記強化層(5)に固定されている請求項1ないし9のいずれか1のガスボンベ(1)。
【請求項11】
前記摺動層(14)は、含浸塗装によって前記強化層(5)に固定されている請求項1ないし10のいずれか1のガスボンベ(1)。
【請求項12】
前記可撓性の封止壁(13)は、予め製造され、前記硬質壁(4)に可逆に接続されることができる封止壁(13)−口(9)のグループを形成するように、前記口(9)に接続された開口と共に変形可能なバッグを形成している請求項1ないし11のいずれか1のガスボンベ(1)。
【請求項13】
前記可撓性の封止壁(13)は、
加硫による接合と、
共モールド成形による接合と、
接着と、
クリンプ又はねじ留めによる機械的な接合とを含むグループから選択された接続手段によって前記口(9)に接続されている請求項1ないし12のいずれか1のガスボンベ(1)。
【請求項14】
前記可撓性の封止壁(13)に対する前記口(9)は、このような硬質壁(4)に不可逆に接続されている請求項1のガスボンベ(1)。
【請求項15】
前記摺動層(14)は、織布を含む請求項1ないし14のいずれか1のガスボンベ(1)。
【請求項16】
前記硬質壁(4)は、少なくとも1つの幅広の第1の管状部分(21)と、前記第1の管状部分(21)に隣接し、前記第1の管状部分(21)よりも幅の狭い少なくとも1つの幅狭の第2の管状部分(22)とを備えた管状部分(15)を有する請求項1ないし15のいずれか1のガスボンベ(1)。
【請求項17】
前記可撓性の封止壁(13)は、収縮状態では、前記硬質壁(4)の前記管状部分(15)の形状と不適合であり、膨張状態では、前記硬質壁(4)の形状に適合する形状を有する請求項15のガスボンベ(1)。
【請求項18】
請求項16又は17の少なくとも1つのガスボンベ(1)と、
アプリケーションの支持構造体に固定されることができ、前記ガスボンベ(1)を少なくとも部分的に収容するように構成された支持及び収容構造体(33)と、
前記支持及び収容構造体(33)に固定され、前記支持及び収容構造体(33)にこれらをロックするように、前記ガスボンベ(1)の周囲を少なくとも部分的に覆うのに適した少なくとも1つのロック部材(34)とを具備し、
前記ロック部材(34)は、前記幅狭の部分(22)によって形成された前記ガスボンベ(1)の周囲座部(35)に部分的に受けられ、前記幅広の部分(21)は、前記ロック部材(34)及び前記支持及び収容構造体(33)によって規定されたギャップ(36)に延びているボンベスペース−ガスボンベグループ(32)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−503313(P2013−503313A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528509(P2012−528509)
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【国際出願番号】PCT/IT2010/000364
【国際公開番号】WO2012/020435
【国際公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【出願人】(511286388)
【氏名又は名称原語表記】FABER INDUSTRIE S.p.A
【住所又は居所原語表記】Via dell’Industria,23−I−33043 Cividale del Friuli,UDINE−Italy
【Fターム(参考)】