説明

ガス・ストリームの精製方法

ガス・ストリーム(12)を、それから酸素を分離する電気的に駆動される一連の酸素分離ゾーン(16、18、20)に導入して酸素を分離する同ガス・ストリーム(12)の精製方法。これらのゾーン(16、18、20)の各々は電解質(34)を有し、これはそれを挟む電極(22、24;26、28;30、32)に対して電源(38、39、40)から電圧を印加すると酸素イオンを伝導する。酸素分離ゾーン(16、18、20)での電極(22、24;26、28;30、32)に対して電源(38、39、40)から印加される電圧は、特定の酸素分離ゾーン(16、18、20)の電解質(34)に流入するイオン電流を限界電流値以下にする値から選ばれる。電源(38、39、40)から上記の方法で電圧を印加することにより、消費電力を全ての酸素分離ゾーン(16、18、20)に同一の電圧を印加した際に消費される電力に比べて削減できる。同ガス・ストリーム(12)は、粗アルゴン塔により得られる粗アルゴン・ストリーム(60)あるいは圧力スイング装置あるいは高分子膜装置から得られる粗窒素ストリーム(90)であってよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、ガス・ストリームから酸素を分離するための一つあるいは複数の酸素イオン導電性電解質を有する電気的に駆動される一連の酸素分離ゾーンに同ガス・ストリームを導入するガス・ストリームの精製方法に関し、より詳しくは、各々の分離ゾーンに電圧を印加して酸素イオン電流を発生させる精製方法に関する。同酸素イオン電流は、それ以上に電圧を上昇しても酸素分離の向上は見られない限界値に達する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
酸素の分離により原料を精製するために電気的に駆動される酸素輸送膜が使用される。このような膜には、通常はガドリウムがドープされたセリアあるいはイットリアで安定化されたジルコニアのようなイオン導体である電解質が使用される。このような電解質が電極で挟まれて、それに対して高温状態で電位を印加すれば、酸素は正極として働く電極上でイオン化して酸素イオンが生成される。同酸素イオンは酸素輸送膜を浸透して負極に到達する。そこで、酸素イオン同士が結合して分子状の二酸素となり、その過程で余剰電子を負極に与える。
【0003】
電気的に駆動される酸素分離装置は粗アルゴン・ストリームの精製に使用されている。粗アルゴンは空気の深冷蒸留によって生成される。深冷蒸留では、空気ストリームは圧縮され、精製され、その露点あるいはその近傍まで冷却される。冷却空気ストリームは蒸留塔に導かれる。同蒸留塔は二基の塔からなる構造を有し、一方は他方に比べて高圧で運転され、これらはコンデンサー/リボイラーにより熱移動可能な関係で互いに結合されている。圧縮され、精製された空気は、高圧塔、次いで低圧塔により順次精製されて、酸素リッチな留分と窒素リッチな留分に分離される。アルゴンを比較的高濃度で含有する蒸気ストリームは低圧塔から抜き出されて、粗アルゴン塔に導かれ、アルゴン・リッチな留分は塔頂から抜き出される。同粗アルゴン塔では、塔頂留分は凝縮された後、一部は還流され、残りは粗アルゴン・ストリームとして抜き出される。
【0004】
米国特許5,557,951では、粗アルゴン・ストリームは気化され加熱される。その結果得られた加熱ストリームは電気的に駆動される酸素輸送用膜を通過して同加熱ストリームから酸素を分離し、それにより精製アルゴン・ストリームを生成する。
【0005】
米国特許5,035,726では、低圧の粗アルゴン・ストリームを加熱し圧縮する。同圧縮ストリームは更に加熱されてから電気的に駆動される酸素輸送用膜を通過して同加熱ストリームから酸素を大量に分離する。その結果得られた精製ガス・ストリームは蒸留塔に送られ、そこで窒素が分離される。液化酸素は同蒸留塔の塔底から抜き出される。
【0006】
米国特許5,454,923は、電極で挟まれた非多孔質の電解質膜からなる電気化学セルを用いて、高温度で更に処理する不活性ガスの精製を開示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電気的に駆動されるどのような酸素輸送用膜装置でも、そこでの電力の使用は、その種の装置の運転が精製プロセスのために経済的に成立するか否かを決定する重要な要素である。この問題は、粗アルゴン・ストリームの精製では特に重要である。なぜならば、空気の深冷精留では消費される電力、特に空気を圧縮するための電力、が主要なコスト項目であるからである。従って、電気的に駆動される酸素分離装置での消費電力および粗アルゴン精製のためのそれの適用は、アルゴンを生成する空気分離プラントの経済性にとって極めて重要である。同様な問題が、例えば吸着層を使用する圧力スイング装置あるいは高分子膜を使用する膜システムで生成した粗窒素ストリームの精製のような他のガス精製システムでも起こる。これらの両装置も空気圧縮のために電力を消費し、従って上記の装置により得られた粗窒素ストリームの精製に使用される電気的に駆動される酸素分離装置でも電力消費は重要な問題である。
後述するように、本発明は特定の能力を有する電気的に駆動される酸素分離装置での電力消費量を最小限にする精製方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要約)
本発明は、ガス・ストリームから酸素を分離することによる同ストリームの精製方法を提供する。同方法では、ガス・ストリームは高圧下で運転される電気的に駆動される一連の酸素分離ゾーンに送られ、そこで酸素はガス・ストリームから分離される。酸素の分離によって、精製ガス・ストリームが生成される。各々の電気的に駆動される酸素分離ゾーンは電解質と正極・負極アセンブリーを有しており、正極(cathode:カソード)上で酸素がイオン化され、酸素イオンは電解質膜を通過して負極(anode:アノード)に到達し、そこで酸素イオン同士が再結合して分子状の酸素となるように電解質膜に対して電圧を印加する。これにより、酸素はガス・ストリームから分離されて、精製ガス・ストリームを生成する。
【0009】
酸素はガス・ストリームから電気的に駆動される一連の酸素分離ゾーンで順次分離されるので、それの分圧は順次低下した状態で分離される。各々の電気的に駆動される酸素分離ゾーンは、正極・負極アセンブリーに対して印加される電圧に対する増加関数として酸素を分離することができ、電圧は電気的に駆動される酸素分離ゾーンで発生する酸素イオン電流が限界値に達するまで印加される。酸素イオン電流が限界値に達したならば、更に電圧を上昇させても酸素分離の向上は見られない。印加電圧は電気的に駆動される各々の酸素分離ゾーンで順次低下するので酸素イオン電流の限界値は順次低下する酸素分圧の関数である。各々の酸素分離ゾーンに印加される電圧の値は、酸素イオン電流をそれの限界値に近づける値から選択される。
【0010】
先行技術では、電気的に駆動される酸素分離ゾーンに対して一定の電圧が印加される。しかしながら、ガス・ストリームが分離装置を通過するに従ってそれの酸素量は必ず低下し、その結果酸素分圧は低下する。このような場合には、処理すべきガスが分離膜を通過するに従ってそれの酸素分圧は低下し同一の電圧は必要とはされないので、電圧は最適には印加されない。分離ゾーンに対して独立して電圧を印加し、それによって酸素イオン電流が下流での分離ゾーンで限界値に達するようにすれば、特定の用途に要求される特定の能力の膜での全体的な電力消費が減少する。
【0011】
本発明は粗アルゴン・ストリームから酸素を分離することによる同ガスの精製に適用できる。ガス・ストリームが粗アルゴン・ストリームの場合には、同ストリームは空気の深冷分離プラントでの粗アルゴン塔から抜き出された液化粗アルゴン・ストリームを気化させることによって得られたものであり、同ストリームは酸素を約0.1〜3容量%の濃度で含有している。粗アルゴン・ストリーム中の酸素濃度は好ましくは約0.5〜2容量%である。
【0012】
その他、本発明は圧力スイング吸着装置あるいは膜分離装置から抜き出された粗窒素ストリームを構成するガス・ストリームの精製にも適用できる。このような場合、粗窒素ストリームは酸素を約0.05〜2容量%の濃度で含有できる。より好ましくは、粗窒素ストリーム中の酸素濃度は約0.1〜1容量%であり、最も好ましくは約0.15〜0.5容量%である。
【0013】
酸素イオン電流は同電流限界値の約80〜99.99%であり得る。本発明の運転の好ましい態様では、酸素イオン電流は同電流限界値の少なくとも約95%である。
【0014】
電解質がYSZである場合には、電気的に駆動される酸素分離ゾーンでの高温運転温度は約600〜900°Cである。より好ましい同温度範囲は約650〜800°Cであり、特に好ましくは約700〜800°Cである。
【0015】
電解質は通常の電解質でよく、これは電気的に駆動される各々の酸素分離ゾーン内に設置される。このような場合、各々の同ゾーンは特定の正極・負極アセンブリーによりその範囲が規定され、このアセンブリーに対して電圧が印加される。ここで、これらの電気的に駆動される酸素分離ゾーンは独立して設置されるか、あるいは同一装置内で互いに離れて設置されてよいことを理解されたい。後述するように、これらの分離ゾーンが独立して設置される場合には、最初のゾーンには8YSZを用いることができ、そうすることが有利であろう。ここで、「8YSZ」とは約8モル%のイットリアをドープした、あるいはそれにより安定化されたジルコニアのことである。その後のゾーンには6YSZあるいは3YSZを用いてよい。
【0016】
本発明を粗アルゴン・ストリームの精製に適用する場合には、液化粗アルゴン・ストリームを空気ストリームとの間接的な熱交換により気化させ、これにより空気ストリームを液化し処理される粗アルゴン・ガス・ストリームを生成する。粗アルゴン・ガス・ストリームは、精製ガス・ストリームとの間接的な熱交換により加熱され、精製ガス・ストリームは液化空気ストリームとの間接的な熱交換により液化される。
【0017】
他の方法では、液化粗アルゴン・ストリーム、精製ガス・ストリームおよび液化窒素ストリームは間接的な熱交換を受け、これにより液化粗アルゴン・ストリームを気化させて処理される気化粗アルゴン・ガス・ストリームを生成し、また液化窒素ストリームを気化させ、精製ガス・ストリームを液化する。この結果生成した粗アルゴン・ガス・ストリームは精製ガス・ストリームと更に間接的な熱交換により加熱され、その後精製ガス・ストリームは液化粗アルゴン・ストリームと熱交換を行う。粗アルゴン・ストリームの圧力をブロワーにより精製ガス・ストリームの圧力以上に更に高めて、液化ストリームとガス・ストリームの間の熱交換に関する加熱/冷却曲線のマッチングを向上する。
【0018】
更に他の方法では、本発明は空気深冷分離プラントでの主熱交換器により液化粗アルゴン・ストリームの気化と生成物ストリームの液化を行う。粗アルゴン・ストリームは、精製ガス・ストリームとの間接的な熱交換により加熱でき、その後精製ガス・ストリームは主熱交換器により液化される。空気深冷分離プラントで精留される空気ストリームは圧縮され精製された後に主熱交換器で冷却でき、また同プラントからの酸素および窒素の生成物ストリームは主熱交換器により加熱できる。
【0019】
本発明を粗窒素ストリームの精製に適用する場合には、粗ガス・ストリームおよび精製ガス・ストリームは間接的な熱交換により前者は加熱され後者は冷却される。電気的に駆動される酸素分離装置が運転を開始する期間中あるいは保全措置を受けている期間中には、圧力スイング吸着装置あるいは膜分離装置を通常能力よりも低い能力で運転して設計能力で運転する場合に比べて高純度の粗窒素ストリームを生成してよい。
【0020】
本発明が粗アルゴン・ストリームの精製あるいは粗窒素ストリームの精製に適用されるいずれの場合でも、電気的に駆動される酸素分離ゾーンでの処理に先立ち、ガス・ストリームを更に加熱するための補助的な加熱器を装備して温度を調整してよい。
【0021】
本発明のいずれの実施態様においても、ガス・ストリームから分離された酸素はパージ・ガスと共に装置から抜き出してよい。本発明が粗窒素ストリームの精製を包含するプロセスに適用された場合には、精製処理を受けるガス・ストリームをパージ・ガスの一部として使用してよい。
【0022】
(図面の簡単な説明)
本明細書は、本発明の出願人が自己の発明と考えている主題を明確に指摘する特許請求の範囲により締め括っているが、本発明は下記の添付図面の参照により更によく理解されるものと考えられる。
【0023】
図1は本発明による酸素分離装置を説明する模式図である。
【0024】
図2は印加電圧とイオン電流の関係を示す図であり、ここで、イオン電流は電気的に駆動される酸素分離装置での限界イオン電流に対する相対値である。
【0025】
図3は、図1に示す酸素分離装置の粗アルゴン・ストリームの精製への適用を説明する模式図である。
【0026】
図4は図3に示す実施態様の他の例を示す模式図である。
【0027】
図5は図4に示す実施態様の他の例を示す模式図である。
【0028】
図6は、図1に示す酸素分離装置の粗窒素ストリームの精製への適用を説明する模式図である。
【0029】
添付図の説明において、不必要な重複を避けるために、異なる説明あるいは記載が必要とはされない同様の部品およびストリームに対して同じ記号を用いている。
【0030】
(発明の詳細な説明)
図1は電気的に駆動される酸素分離装置10を示している。同装置はガス・ストリーム12を処理してそれから酸素を分離することにより精製ガス・ストリーム14を生成するように設計されている。酸素は電気的に駆動される酸素分離ゾーン16、18および20内で分離される。これらのゾーンは各々が正極および負極22、24;26、28および30、32を有する正極・負極アセンブリーで範囲が決められている。図示されてはいないが当業界での専門家には知られているように、同正極・負極アセンブリーには通常型の集電装置が装備されているであろう。これらの電極および集電装置は全て多孔質であり、電解質34を挟んでいる。同電解質は、後述するように、独立した区分を有してよい。同正極・負極アセンブリーおよび電解質34はケーシング34内に設置され、電解質34の両側に通路36および37を形成する。本明細書(特許請求の範囲を含む)内で使用される「正極・負極アセンブリー」との用語は、多孔質の正極、負極およびこれらに関連する多孔質の集電装置を有している。
【0031】
正極および負極22、24;26、28および30、32は導電性材料で形成されているのでそのように称されている。通常型の集電装置は各電極の外層をなしており、これにより直流電源38、39および40に連結されている。図示されているように、通路36内を通過するガス・ストリーム12内の酸素を正極22、26および30ならびに電解質34内に存在する細孔の連結点でイオン化してその結果発生する酸素イオンが電解質34を通過して負極24、28および32に到達するように、正極および負極22、24;26、28および30、32に電源38、39および40からの異なった電圧を印加する。負極24、28および32ならびに電解質34内に存在する細孔の連結点で酸素イオン同士が結合して分子状の二酸素となる。その結果発生する遊離電子は正極22、26および30を通過して電源38、39および40に戻る。酸素は、電気的に駆動される酸素分離装置10から酸素を一掃除去するために通路37により導入されるパージ・ガス42と共に同装置10から抜き出される。同パージ・ガスとして窒素ガスあるいは酸素濃度が約21%未満の他の不活性ガスを用いてよい。他の抜き出し方法、例えば減圧下で抜き出す方法、を採用してよい。パージ・ガス・ストリーム42は酸素含有のパージ・ガス・ストリーム44として排出される。
【0032】
図示される実施態様では、電解質34は筒状の形状(肉厚:約0.5mm、外形:約6.3mm、全長:91cm)を有し、約160cmの表面積を提供する。正極22、26および30は50質量%のランタンストロンチウムマンガナイト(La0.8Sr0.2MnO3±δ)および50質量%のイットリア安定化ジルコニア(Zr0.850.151.925)の混合物から製作される。各々の正極の厚さは約10〜30ミクロン、平均細孔径は10ミクロン、空隙率は約40%である。この点に関して、平均細孔径は走査型電子顕微鏡写真の画像処理によって測られる。集電装置は銀製でよく、またそれの厚さは約50〜100ミクロン、平均細孔径は約10ミクロン、空隙率は約40%でよい。負極24、28および32は50質量%のランタンストロンチウムマンガナイト(La0.8Sr0.2MnO3±δ)および50質量%のイットリア安定化ジルコニア(Zr0.850.151.925)の混合物から製作される。各々の負極の厚さは約20ミクロン、平均細孔径は約5ミクロン、空隙率は約40%である。
【0033】
電解質は、正極・負極アセンブリー22、24;26、28および30、32により同一形状の3部位46、48および50に分割されており、各々は約1cmのギャップ52および54により互いから離れている。この点からすれば、これらのギャップはスペーサであり、YSZで製作され、ガラスによる密封、ロウ付けその他の接合/密封技術により部位46、48および50に連結される。図示されているように、ケーシング35は独立した3部位により製作でき、電解質の両側にガス・ストリーム12およびパージ・ガス・ストリーム42の通路のための流通コネクションを有している。更に、電解質34は部位46、48および50により構成されると図示されているが、本発明が採用してもよい実施態様では、電解質34は電気的に駆動される酸素分離ゾーン16、18および20で共通であってもよく、この場合にはそれらの間にはギャップは存在しない。
【0034】
電解質34に印加される実際の電圧は、ガス・ストリームから酸素を除去するために、負極および正極での酸素分圧の相違に起因するネルンスト電位よりも高く設定する必要がある。
ネルンスト電位は以下の式により与えられる。
【数1】


上式において、Rはガス定数、Tはケルビン温度、Fはファラデー定数、pOは酸素分圧である。
【0035】
印加可能な電圧の限界値は、電気化学的な還元反応により電解質34を破損する可能性のある電圧値である。電気化学的な還元反応により電解質34は電子導体となる可能性があり、それが起こればその酸素イオンの導電効率は低下する。更に、このような還元反応により、定温膨張も起こる可能性があり、それが起これば電解質34を破損させるに十分な応力がその内部に発生する。典型的には、最高電圧は2Vである。しかしながら、後述するように、電気的に駆動される酸素分離ゾーン16、18および20ならびに電解質34の部位46、48および50の各々に印加される電圧は絶対的な限界値よりも遥かに低い値に設定する必要がある。
【0036】
図2は印加電圧とイオン電流の関係を示すグラフであり、ここで、イオン電流は電解質34での限界イオン電流に対する相対値である。イオン電流は、電解質34の単位面積を通過するイオンのフラックスの尺度であり、電流を測るための導体を通過する電子のフラックスに類似している。図2に示す印加電圧(Vapplied)の挙動は以下の式で表される。
【数2】


上式において、Rはガス定数、Tはケルビン温度、Fはファラデー定数、Iは電流である(Iionic…イオン電流,Ilimit…限界電流)。
【0037】
印加電圧の増加に伴い、限界イオン電流が存在する点に達する。それ以上に電圧を増加させても酸素分離の向上は見られない。このようなイオン電流の限界値は酸素分圧によって変わる。従って、酸素分圧が低下するに従い、限界イオン電流値も低下し、それ故、本発明によれば印加すべき電圧も低下する。例えば、酸素を2%含有するアルゴン・ストリームの場合、限界電流値に達することなく2ボルトの電圧を印加できる。しかしながら、アルゴン・ストリームから酸素が分離されてそれの濃度が100ppmにまで低下したならば、約0.6ボルトの電圧が印加されたならば電流は限界値にまで達し得る。限界電流値および電流を限界値にまで上昇できる電圧の特定の値は、温度、電解質のいずれかの側の酸素分圧、電解質のいずれかの側の雰囲気の組成、電気化学的反応の性能、電解質のサイズ、電解質のいずれかの側の電極の微細構造および限界電流値を起因する特定の電気化学反応機構といった因子を包含する複雑な関数である。
【0038】
限界電圧値を正確に決定することの複雑さにより、電気的に駆動される酸素分離装置10においては、電気的に駆動される酸素分離ゾーン16、18および20の各々に印加すべき特定の電圧値は実験により最もよく決定できる。このような実験では、特定のゾーンの下流側に酸素分析器を設置し、酸素濃度の低下がもはや観察されなくなるまで連続的に印加電圧を上昇させる。限界電圧に達するまで電圧を上昇させる工程の数あるいはサイズは、言うまでもなくこの種の実験の正確さ次第である。例えば、0.01ボルトの刻みで電圧を上昇させると限界電圧値を1%以内の誤差で決定でき、0.001ボルトの刻みの場合は0.1%以内の誤差で決定できることになろう。
【0039】
好ましくは、印加電圧は、酸素イオン電流が限界酸素イオン電流の80〜99.9%の範囲内になるような値から選ぶことができる。しかしながら、どのような実施態様でも、電解質に流入する酸素イオン電流はそれの限界値の少なくとも95%となることが好ましい。
【0040】
計算結果の一例を紹介すると、電源38により、ゾーン16内の正極22と負極アセンブリー24の間に1.5ボルトの電圧を印加した場合を考えてみよう。アルゴン・ストリームあるいは粗窒素ストリームが約1.8%の酸素を含有するまで精製されると仮定すると、ゾーン16内ではかなりな量の酸素が分離され、その結果ゾーン16を去りゾーン18内に流入するストリームは約1000ppmの酸素を含有することになろう。電源39により、ゾーン18内の正極26と負極28の間に1ボルトの電圧を印加すると、ゾーン18を去るストリームは約100ppmの酸素を含有することになろう。電源40により、正極30と負極32の間に0.5ボルトの電圧を印加すると、精製ガス・ストリームは約10ppmの酸素を含有することになろう。理解できるように、もし1.5ボルトの電圧を電気化学装置10全域にわたって印加したならば10倍もの電力を消費したことになろう。
【0041】
ガス・ストリーム12に酸素がかなりな濃度で存在する場合には、電解質34の電気化学的性能は、電解質34と正極・負極アセンブリーの電気化学的性能によって決まる。このような場合には、電解質34は高いイオン導電性を有していることが好ましい。同電解質は8モル%のイットリアでドープされたジルコニア(8YSZ、Zr0.8520.1481.926)で製作することが好ましい。ガドリウムでドープされたセリア、ランタンストロンチウムガドリウム酸化マグネシウムのような他の材料も8YSZよりも更に高いイオン導電性を有しているので電解質34に使用可能である。しかしながら、これらの材料はコストが高いことと強度が低いので、実際の装置ではこのような不利な面は高い電気化学的性能という利点を上回る。
【0042】
電解質の抵抗は酸素分圧の関数であり、正極内の抵抗(Rcathode)は下式で与えられるように酸素分圧(pO)の指数に比例する。
【数3】


ここで「n」は1以上4以下の数値であり実験により決められる。
アルゴン・ストリーム中の酸素濃度が低下するに従い、電気化学的性能は電極の抵抗値にますます強く依存するようになり、特に粗アルゴンに直接的に接触し電解質の電気化学的性能に対する依存性が相対的に低い正極ではこのような現象が見られる。このような条件下では、たとえば6モル%のイットリアでドープされたジルコニア(6YSZ、Zr0.8860.1141.943)あるいは3モル%のイットリアでドープされたジルコニア(3YSZ、Zr0.9420.0581.971)のようなイオン導電性はより低いが強度が改善されている材料の使用が有利である。このようにして、粗アルゴン・ストリームの精製に適用される電気的に駆動される酸素分離装置10においては、電解質34の部位46は8モル%のイットリアでドープされたジルコニア(8YSZ)で、また部位48および50は6あるいは3モル%のイットリアでドープされたジルコニアで製作できる。
【0043】
YSZ製の電解質が用いられる場合には、同膜は好ましくは約600〜900°C、より好ましくは約650〜850°C、最も好ましくは約700〜800°Cの温度下で運転される。
【0044】
図3は空気分離装置によって生成した液化粗アルゴン・ストリーム60を精製する酸素の精製装置に適用された電気的に駆動される酸素分離装置10を示している。このような空気分離装置では、空気ストリームは圧縮され、精製され、その露点あるいはその近傍まで冷却される。冷却空気ストリームはより高圧で運転される蒸留塔(粗酸素蒸留塔)の底部に送られ、塔底ストリームと窒素リッチな塔頂ストリームに分離される。塔頂ストリームは凝縮されてからより低圧で運転される蒸留塔で更に精製されて酸素リッチな塔底ストリームと窒素リッチな塔頂ストリームに分離される。酸素リッチな液化塔底ストリームは高圧塔からの塔頂ストリームの凝縮のために使用され、また高圧塔により分離された液化粗酸素ストリームは膨張されてから低圧塔の塔頂ストリームの凝縮のために使用される。アルゴンを約5〜25%の濃度で含有するベーパー・ストリームが低圧塔から抜き出され、粗アルゴン塔の底部に送られる。同粗アルゴン塔はストリッピング塔として働き、ベーパー・ストリームが塔内を上昇し下降する液相と接触する過程でベーパー内のアルゴン濃度は上昇する。これによって、同液相は塔内を下降する過程でそれの酸素濃度は更に上昇する。生成物ストリームはアルゴン塔の塔頂から液体として抜き出すことができ、これが液化粗アルゴン・ストリーム60となる。同塔塔底からの液化ストリームは低圧塔に戻される。
【0045】
液化粗アルゴン・ストリーム60は好ましくは酸素を約0.1〜3容量%、より好ましくは約0.5〜2容量%の濃度で含有する。このような酸素濃度範囲が好ましい理由は、液化粗アルゴン・ストリームは典型的には酸素を約3容量%の濃度で含有しており、その濃度はわずかの蒸留段数の増加により比較的低費用で低下できるからである。酸素濃度を低下すれば、電気的に駆動される酸素分離装置10が必要とする電力量を削減できる。
【0046】
液化粗アルゴン・ストリーム60は熱交換器62内で空気ストリーム64との間接的な熱交換により気化し、これにより同空気ストリーム64は液化する。この結果の気化粗アルゴン・ストリーム66は熱交換器68に送られガス・ストリーム12を生成する。同ガス・ストリーム12は電気的に駆動される酸素分離装置10に送られ、そこで精製ガス・ストリーム14に精製される。同精製ガス・ストリーム14は熱交換器68内で気化粗アルゴン・ストリーム66と熱交換し、その結果精製処理されるガス・ストリーム12の温度は電気的に駆動される酸素分離装置10の運転温度かそれの近傍になる。熱交換器68内を通過した精製ガス・ストリーム14は、熱交換の結果外気温あるいはそれの近傍にまで冷却される。精製ガス・ストリーム14は次いで熱交換器70に送られ、そこで高圧蒸留塔から抜き出すことができる液化空気ストリーム72との間接的な熱交換により液化する。電気的に駆動される酸素分離装置10内に流入するガス・ストリーム12の温度を正確に調整するために補助的な加熱器74を装備してよい。上述したように、電気的に駆動される酸素分離装置10にパージ・ガスのストリーム42を流入させて分離された酸素を抜き出す。
【0047】
図4は図3に示す実施態様の代案を示している。同図において、不必要な重複を避けるために図3に示す同様の部品に対して同じ記号を用いている。図4に示すように、液化粗アルゴン・ストリーム60は熱交換器78内で液化窒素ストリーム76と熱交換して気化し、次いで精製ガス・ストリーム14を液化する。精製ガス・ストリーム14は液化粗アルゴン・ストリーム60よりも低圧であり、従ってそのままでは両者間に熱的なミスマッチが存在し、液化粗アルゴン・ストリーム60を気化できないかもしれない。しかし、ブロワー80を追加して熱交換器78で気化した粗アルゴン・ストリーム66の圧力をわずかに上昇させれば、液化粗アルゴン・ストリーム60は要求されるように液化窒素ストリーム76により気化し、全プロセスの経済性を損ないかねないほどの大量の液化窒素を必要とすることなく精製ガス・ストリーム14を液化する。
【0048】
図5は更に他の実施態様を示している。液化粗アルゴン・ストリーム60および精製ガス・ストリーム14は空気深冷分離プラントの主熱交換器82に送られ、そこで液化粗アルゴン・ストリーム60は気化し、また精製ガス・ストリーム14はその後熱交換器68で更に冷却されて液化する。主熱交換器82には従来方式により窒素および酸素の生成物ストリームのための通路84および86が装備され、これを通過する過程で加熱される。例えば、窒素の生成物ストリーム84として空気深冷分離プラントでの低圧蒸留塔の塔頂から抜き出されるストリームで構成されてよく、また酸素の生成物ストリーム86は低圧蒸留塔の塔底から抜き出される液化あるいは気化酸素ストリームを使用してよい。更に、圧縮され精製された空気ストリーム88のための通路も装備されており、同ストリームは主熱交換器82内でそれの露点あるいはその近傍まで冷却されてから空気精留のために高圧蒸留塔の塔底付近に送られる。液化粗アルゴン・ストリーム60および精製ガス・ストリーム14の流量は主熱交換器82を通過する他のストリームに比べて低いので、以下に述べる操作は既存の主熱交換器の改造によりそれの性能を著しく損なうことなく実施できる。随意的に、精製ガス・ストリーム14と液化粗アルゴン・ストリーム60の間の熱交換に関する加熱/冷却曲線のマッチングを向上する目的でブロワー80を設けてよい。
【0049】
図3、4および5に示される実施態様では、図示される各ガス・ストリームは、地上高さでアルゴン塔から抜き出される液化粗アルゴン・ストリーム60内に液頭を与える場所にアルゴン塔を設置することにより、熱交換器群を通過するに十分なほどの圧力を与えられている。
【0050】
図6は圧力スイング吸着装置あるいは膜分離装置により得られた粗窒素ストリーム90を処理して酸素を精製する装置に適用された電気的に駆動される酸素分離装置10を示している。当業界ではよく知られているように、圧力スイング吸着装置には炭素系のモレキュラーシーブ物質で構成されてよい吸着剤を充填するための複数の吸着層が装備されている。空気は圧縮された後に1基の吸着層を通過し、これにより空気中の酸素を吸着して粗窒素ストリーム82を生成する。この過程で、少なくとも1基の他の吸着層は稼動を止めて、その中に充填された吸着剤から酸素をより低圧下で脱着することによりそれを再生する。再生は、更に他の吸着層での圧力を均一化し、生成物の一部を用いて再生されるべき吸着層のパージを包含し得る各種のパージ操作により部分的に実施できる。同吸着層が完全に再生されたならば、生成物を生成するために稼動状態に戻してよい。膜分離装置では、圧縮された空気ストリームは高分子膜に接触される。このような膜の材料は、窒素よりも酸素の方を速く通過させる物質から選ばれ、それによって酸素リッチな通過ストリームと粗窒素ストリーム82となる窒素が濃縮されたストリームを生成する。
【0051】
粗窒素ストリーム90は熱交換器92内で精製ガス・ストリーム14との間接的な熱交換によりガス・ストリーム12を生成する。同ガス・ストリーム12は電気的に駆動される酸素分離装置10に送られ、そこで精製ガス・ストリーム14に精製される。このような熱交換を受けたガス・ストリーム12の温度は電気的に駆動される酸素分離装置10の運転温度かそれの近傍になる。ガス・ストリーム12の温度を電気的に駆動される酸素分離装置10の運転温度に調整するために最終的な加熱を行う補助的な加熱器94を装備してよい。熱交換器92を通過した精製ガス・ストリーム14は、そこでの熱交換により周囲温度かそれの近傍まで冷却される。更に、精製ガス・ストリーム12の一部を電気的に駆動される酸素分離装置10から浸透した酸素を一掃除去するためのパージ・ガス42として使用してよい。
【0052】
例示される運転モードでは、粗窒素ストリームは好ましくは酸素を約0.5容量%の濃度で含有し、熱交換器92により約700°Cにまで加熱される。電気的に駆動される酸素分離装置10が約700°Cの温度で運転される場合には、大気中への放熱を勘案して運転温度よりも50°C高いストリーム温度を必要としこれは粗窒素ストリーム100scfh当たり約113ワットの電力に相当する。このような運転条件下では、粗窒素ストリーム100scfh当たり約93ワットの電力を必要とするので、最終温度調整用の補助的な加熱器94は安定した運転温度を維持するために粗窒素ストリーム100scfh当たり約20ワットの電力を必要とする。
【0053】
粗窒素ストリーム90は好ましくは酸素を好ましくは約0.05〜2容量%、より好ましくは約0.1〜1容量%、最も好ましくは約0.15〜0.5容量%の濃度で含有する。計算結果によれば、粗窒素ストリームが酸素を約1.5容量%の濃度で含有する場合に電気的に駆動される酸素分離装置10の消費電力は最少となることが示されている。また、全システム(圧力スイング装置を含む)の投資コストは粗窒素ストリームが酸素を約0.15容量%の濃度で含有する場合に最少となる。全体として、粗窒素ストリームが酸素を約0.15〜0.5容量%の濃度で含有する場合に、10,000scfhの処理能力のシステムの全コストは最少となる。
【0054】
電気的に駆動される酸素分離装置10が運転開始の状態のときには、圧力スイング吸着装置あるいは膜分離装置はより低い能力で運転され、従ってこの場合には粗窒素ストリーム90の生成量は低くその純度は高い状態となる。これによって、電気的に駆動される酸素分離装置10が昇温されている間でも顧客に生成物を提供できる。大半の圧力スイング吸着装置では、運転開始期間中には約30%の能力で粗窒素ストリーム90を生成し、このときのその酸素濃度は約50ppmである。更に、圧力スイング吸着装置あるいは膜分離装置は、電気的に駆動される酸素分離ゾーン16、18および20が保全措置を施されている場合にも上述のモードで運転できる。
【0055】
本発明は好ましい実施態様により説明してきたが、当業界の専門家は認識しているように、本発明の精神と範囲を逸脱することなく数多くの変更、削除および追加が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明による酸素分離装置を説明する模式図である。
【図2】印加電圧とイオン電流の関係を示す図であり、ここで、イオン電流は電気的に駆動される酸素分離装置での限界イオン電流に対する相対値である。
【図3】図1に示す酸素分離装置の粗アルゴン・ストリームの精製への適用を説明する模式図である。
【図4】図3に示す実施態様の他の例を示す模式図である。
【図5】図4に示す実施態様の他の例を示す模式図である。
【図6】図1に示す酸素分離装置の粗窒素ストリームの精製への適用を説明する模式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む、ガス・ストリームから酸素を分離して同ガス・ストリームを精製する方法:
該ガス・ストリームを高温で運転され電気的に駆動される一連の酸素分離ゾーンに導入してそれから酸素を分離し、それにより精製ガス・ストリームを生成する;
電解質と正極・負極アセンブリーを有する各々の電気的に駆動される酸素分離ゾーンにおいて、酸素イオンが同電解質を通過した後に再結合して分子状の酸素となるように電解質膜に対して電圧を印加することにより酸素を同ガス・ストリームから分離する;
酸素はガス・ストリームから電気的に駆動される一連の酸素分離ゾーンで順次分離されるので、それの分圧は順次低下した状態で分離される;
各々の電気的に駆動される酸素分離ゾーンは、正極・負極アセンブリーに対して印加される電圧に対する増加関数として酸素を分離することができ、電圧は電気的に駆動される酸素分離ゾーンで発生する酸素イオン電流がそれ以上電圧を上昇させても酸素分離の向上は見られない限界値に達し、酸素イオン電流の限界値は印加電圧が電気的に駆動される各々の酸素分離ゾーンで順次低下するので順次低下する酸素分圧の関数である;および
各々の酸素分離ゾーンに印加される電圧の値は、酸素イオン電流をそれの限界値に近づける値から選択される。
【請求項2】
該ガス・ストリームが空気の深冷分離プラントでの粗アルゴン塔から抜き出された液化粗アルゴン・ストリームを気化させることによって得られ、酸素を約0.1〜3容量%の濃度で含有している粗アルゴン・ストリームであることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項3】
該ガス・ストリームが空気の深冷分離プラントでの粗アルゴン塔から抜き出された液化粗アルゴン・ストリームを気化させることによって得られ、酸素を約0.5〜2容量%の濃度で含有している粗アルゴン・ストリームであることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項4】
該ガス・ストリームが圧力スイング吸着装置あるいは膜分離装置から抜き出され酸素を約0.05〜2容量%の濃度で含有している粗窒素ストリームであることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項5】
該ガス・ストリームが圧力スイング吸着装置あるいは膜分離装置から抜き出され酸素を約0.1〜1容量%の濃度で含有している粗窒素ストリームであることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項6】
該ガス・ストリームが圧力スイング吸着装置あるいは膜分離装置から抜き出され酸素を約0.15〜0.5容量%の濃度で含有している粗窒素ストリームであることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項7】
酸素イオン電流が同電流限界値の約80〜99.99%であることを特徴とする請求項2あるいは4の方法。
【請求項8】
酸素イオン電流が少なくとも同電流限界値の約95%であることを特徴とする請求項7の方法。
【請求項9】
該電解質がYSZから製作され、該高温が約600〜900°Cの範囲内であることを特徴とする請求項2あるいは4の方法。
【請求項10】
該高温が約650〜800°Cの範囲内であることを特徴とする請求項2あるいは4の方法。
【請求項11】
該高温が約700〜800°Cの範囲内であることを特徴とする請求項3あるいは6の方法。
【請求項12】
該電気的に駆動される酸素分離ゾーンが独立して設置され;
該電気的に駆動される酸素分離ゾーンの最初のゾーンの電解質は8YSZから製作され、その後のゾーンの電解質は6YSZあるいは3YSZから製作されていることを特徴とする請求項2あるいは4の方法。
【請求項13】
液化粗アルゴン・ストリームを空気との間接的な熱交換により気化させ、これにより空気ストリームを液化し処理される粗アルゴン・ガス・ストリームを生成する方法において、
同粗アルゴン・ガス・ストリームは、精製ガス・ストリームとの間接的な熱交換により加熱され、そして
同精製ガス・ストリームは液化空気ストリームとの間接的な熱交換により液化されることを特徴とする請求項2の方法。
【請求項14】
液化粗アルゴン・ストリーム、精製ガス・ストリームおよび液化窒素ストリームが間接的な熱交換を受け、これにより同液化粗アルゴン・ストリームを気化させて処理される気化粗アルゴン・ガス・ストリームを生成し、また同液化窒素ストリームを気化させ、同精製ガス・ストリームを液化する方法において、
同粗アルゴン・ガス・ストリームは同精製ガス・ストリームと更に間接的な熱交換により加熱され、その後同精製ガス・ストリームは同液化粗アルゴン・ストリームと熱交換を行い、そして
同粗アルゴン・ストリームの圧力をブロワーにより同精製ガス・ストリームの圧力以上に更に高めることを特徴とする請求項2の方法。
【請求項15】
空気深冷分離プラントでの主熱交換器により液化粗アルゴン・ストリームの気化と生成物ストリームの液化を行い、そして
同粗アルゴン・ストリームは、精製ガス・ストリームとの間接的な熱交換により加熱され、その後精製ガス・ストリームが主熱交換器により液化されることを特徴とする請求項2の方法。
【請求項16】
空気深冷分離プラントで精留される空気ストリームが圧縮され精製された後に主熱交換器で冷却され、また同プラントからの酸素および窒素の生成物ストリームは主熱交換器により加熱されることを特徴とする請求項15の方法。
【請求項17】
該粗ガス・ストリームおよび精製ガス・ストリームは間接的な熱交換により前者は加熱され後者は冷却されることを特徴とする請求項4の方法。
【請求項18】
該電気的に駆動される酸素分離装置が運転を開始する期間中あるいは保全措置を受けている期間中に、該圧力スイング吸着装置あるいは膜分離装置を通常能力よりも低い能力で運転して設計能力で運転する場合に比べて高純度の粗窒素ストリームを生成することを特徴とする請求項4あるいは17の方法。
【請求項19】
該ガス・ストリームから分離された酸素は同ガス・ストリームの一部により構成されるパージ・ガスと共に電気的に駆動される酸素分離装置から抜き出されることを特徴とする請求項1、2、4、13、14、15あるいは17の方法。
【請求項20】
該ガス・ストリームから分離された酸素はパージ・ガスと共に電気的に駆動される酸素分離装置から抜き出されることを特徴とする請求項1、2、4、13、14、15あるいは17の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−538533(P2008−538533A)
【公表日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−507822(P2008−507822)
【出願日】平成18年4月19日(2006.4.19)
【国際出願番号】PCT/US2006/014639
【国際公開番号】WO2006/115916
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(392032409)プラクスエア・テクノロジー・インコーポレイテッド (119)
【Fターム(参考)】