説明

ガス分離装置

ガス分離装置を開示する。特に、圧力スイング吸着装置等のガス分離装置用のシール組立体および吸着要素構造を開示する。シール組立体は回転バルブの一部分とすることができ、またシール裏打ち、およびこのシール裏打ちの孔内に配置した浮動シールを設けることができる。浮動シールは、隣接する回転子に向けて圧着してシールするように構成する。バルブ作用は、浮動シールおよび回転子の孔が、それらの間における相対的回転の結果として、整列し、つぎに整列から外れることによって、もたらされる。シール組立体は、2種類のガスチャンバを有し、バルブのシール面上に均衡したシール圧を加えることができ、一方のタイプは、加圧処理ガスを装置内から受容するように構成し、他方のタイプは、別個に制御された加圧ガス源からガスを受容するように構成する。装置内の吸着要素は、巻回積層吸着構体の端部に、改善したスペーサ十字状支持体構体を備えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年1月24日に出願した米国仮出願番号第60/886,486号の恩恵を請求するものであり、これを参考として本明細書に付記する。
【0002】
本発明は、供給ガスから水素を分離するために用いられることができる回転式圧力スイング吸着装置等の、ガス分離装置に関する。とくに、本発明は、このような装置用の、シール組立体および吸着要素の構造に関する。
【背景技術】
【0003】
ガス分離は、ガス混合物を、このガス混合物中に含まれる吸着され難い成分に比べて、より吸着され易い成分を優先的に吸着する吸着材料上を通過させることによって、達成されることができる。このようなプロセスの例としては、温度スイング吸着(temperature swing adsorption: TSA)および圧力スイング吸着(pressure swing adsorption: PSA)がある。PSAは、一般に、吸着材料に対してガス混合物の調和した圧力循環(周期変動)ステップを有する。全体圧力は、吸着床を通過する第1方向の流れの期間中に上昇させ、逆方向の流れの期間中に減少させる。このサイクルを繰り返えすと、吸着が困難な成分は第1方向に集中するとともに、より吸着が容易な成分は逆方向に集中する。
【0004】
既知のPSAにおけるいくつかの例が、特許文献1(米国特許第7037358号)および特許文献2(米国特許第7094275号)に開示されており、これらを参考として付記する。これら特許文献は、例えば、燃料電池に使用するために水素を精製することができるPSA装置を開示する。このことは、依然として、PSA技術の重要な用途である。他の用途としては、例えば、メタンからの二酸化炭素の分離および酸素の精製がある。
【0005】
圧力スイング反応装置(例えば、圧力スイング改質装置)も知られている。PSA装置のように、圧力スイング反応装置は、一般に、ガス混合物の圧力を循環(周期変動)させるように構成する。この圧力循環によって、特に平衡律速反応の反応収率を改善することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7,037,358号明細書
【特許文献2】米国特許第7,094,275号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本明細書は、回転圧力スイング吸着装置等の回転ガス分離装置の実施形態を記載する。回転圧力スイング吸着装置は、例えば、複数の吸着要素を有する回転子と、複数の導管を有する固定子と、回転子と固定子との間に配置するシール組立体を備える回転バルブと、を有することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるシール組立体の第1実施形態は、浮動シールの嵌合部を収容するシール裏打ちを備えており、この浮動シールは、シール裏打ち材に対して移動自在であるとする。このシール裏打ちは、浮動シールを通る流通ポートに整列さする複数の開孔を有する。浮動シールは、シール裏打ちと対面して、シール組立体に対して回転する隣接面に封止係合するシール面を有する。シール裏打ちおよび嵌合させた浮動シールは、処理ガスおよび活性化ガスのそれぞれを受容するための、流体隔離した複数の処理ガスチャンバおよび活性化ガスチャンバを画定する。処理ガスおよび活性化ガスは、浮動シールに封止圧力を加え、このことによって、浮動シールは隣接面に向けて移動する。処理ガスチャンバは、浮動シールを通る流通ポートに流体接続し、活性化ガスチャンバは、活性化ガスの供給源に流体接続することができる。
【0009】
より詳細には、シール裏打ちは、浮動シールの嵌合用の段差部を収容するための、少なくとも1個の段差付き孔を設けることができる。段差付き孔の表面および浮動シールの段差部は、処理ガスチャンバおよび活性ガスチャンバを画定することができる。
【0010】
活性化ガスチャンバのガス圧は、活性化ガスの外部供給源との流体接続により供給することができ、各チャンバの圧力は、別個に制御可能とすることができる。簡単な好適例では、複数の活性化ガスチャンバを全て相互に流体接続することができる。外部供給源からの活性化ガスは、シール裏打ちで開放している加圧ポートを介して活性化ガスチャンバに供給することができる。この加圧ポートまたは複数の加圧ポートは、少なくとも1個の活性ガスチャンバにおけるガス圧を監視して調整するための制御バルブおよび圧力ゲージに効果的に接続することができる。
【0011】
多くの好適な実施形態では、浮動シールを円形とする。このような好適な実施形態のために、段差部は、複数の突起であって、これらの突起相互間に隙間ができるように、その周囲に間隔を置いた複数の突起に分割することができる。さらに、これらの突起のうち少なくとも1個は、処理ガスチャンバおよび活性化ガスチャンバを流体隔離するために、シール裏打ちと浮動シールとの間に配置したシールを設ける。突起は、同一の寸法および形状を有することができるが、ほとんど一般的には、これら突起のうちいくつかは異なる寸法および/または形状を有する。
【0012】
シール組立体は、一般に、浮動シールの段差部における複数の嵌合突起を受けるための複数の孔を、段差付き孔としてシール裏打ちに設けることができる。このことによって、可変の封止圧力を、複数の嵌合部のうち2個またはそれ以上によってシール組立体の周囲に加えることができ、これにより、浮動シールを隣接する回転面に対して十分流体封止することができる。
【0013】
シール組立体の各突起は、一般に、浮動シールのシール面に対面する処理ガスチャンバ面および活性化ガスチャンバ面を有する。突起における処理ガスチャンバ面および活性化ガスチャンバ面の総面積は、対面するシール面の面積と等しくすることができる。他の好適実施形態では、総面積は、対面するシール面の面積と等しくせず、したがって、対面するシール面の面積よりも広くする、または狭くすることができる。さらに、処理ガスチャンバ面の面積と活性化ガスチャンバ面の面積との比を、組立体に対して一定とすることができる。しかし、代案としては、この比を2個またはそれ以上の突起間で変化させることによって組立体周囲に異なる封止圧力を生ずることができる。
【0014】
回転ガス分離装置(例えば、圧力スイング吸着装置)における回転バルブでの封止を生ずるためのシール方法の好適な実施形態も開示する。この方法は、固定子、回転子、および前述したシール組立体を備える回転バルブを備える回転ガス分離装置を設けるステップと、加圧処理ガスを処理ガスチャンバに繰り返し流入させるステップと、シール組立体と回転子との間で圧力均衡化した封止を確立するのに適した圧力で、活性化ガスを活性化ガスチャンバ内に流入させるステップと、を有する。
【0015】
浮動シールに突起を備える上述の好適な実施形態のために、この方法は、固定子、回転子、およびシール組立体を備える回転バルブを備える回転ガス分離装置を設けるステップと、ガス分離装置に使用する処理ガスに基づいて、処理ガスチャンバの表面積および活性化ガスのチャンバの表面積を選択するステップと、加圧処理ガスを処理ガスチャンバに繰り返し流入するステップと、シール組立体と回転子との間で圧力均衡化した封止を確立するのに適した圧力で、活性化ガスを活性化ガスチャンバ内に流入させるステップと、を備えることができる。ローカルなネット閉鎖圧は、シール面の幅にわたって確立されるように、すなわち、ローカルな処理ガス圧の約10%となるように、表面積を選択すると好適である。そして、やはり、これら好適な実施形態における活性化ガスは、外部供給源から供給することができ、活性化ガスチャンバは、同じ圧力で活性化ガスを受容することができる。
【0016】
この方法は、様々な組成物の供給の流れを処理して、所望の生成ガスを生成するために使用することができる。実用的な好適実施形態に関して、このような所望の生成ガスの1つとして、水素がある。
【0017】
また、圧力スイング吸着装置用の吸着要素であって、それらの構造内に改善されたスペーサ支持体を備える吸着要素も本明細書に開示する。このような吸着要素は、層間を分離して積層した複数の層を備える積層吸着構体を備える。この積層の層自体は、吸着材料および支持体を備える。さらに吸着要素は、積層吸着構体の端部に改善されたスペーサ支持体を備えており、この支持体は、積層吸着構体の端部で積層の層間を貫入させる。
【0018】
積層吸着構体は、一般に、積層体の渦巻き状巻回により構成し、改善されたスペーサ支持体を、その両端部に使用することができる。この改善されたスペーサ支持体は、十字形状にすることができ、エポキシ樹脂で形成することができる。
【0019】
上述の吸着要素は、積層吸着構体を提供し、この積層構体の両端部に液化樹脂(例えば、エポキシ樹脂)を塗布し、この液化樹脂を積層構体の両端部内に貫入させ、さらに樹脂を硬化させることによって、形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明回転ガス分離装置における一実施形態としての圧力スイング装置を示す第1斜視図である。
【図2】図1に示す回転圧力スイング装置の第2斜視図である。
【図3】図1に示す回転圧力スイング装置の第1側面図である。
【図4】図1に示す回転圧力スイング装置の第2側面図である。
【図5】図1に示す回転圧力スイング装置の頂部の平面図である。
【図6】図1に示す回転圧力スイング装置の底部の底面図である。
【図7】図1に示す回転圧力スイング装置の分解斜視図である。
【図8】図1に示す回転圧力スイング装置の回転子の分解斜視図である。
【図9】図1に示す回転圧力スイング装置の断面図であって、図4の9−9線上の断面図である。
【図10】図1に示す回転圧力スイング装置の回転子の第1斜視図である。
【図11】図1に示す回転圧力スイング装置の回転子の第2斜視図である。
【図12】図1に示す回転圧力スイング装置の回転子の輪郭を示す側面図である。
【図13】図1に示す回転圧力スイング装置の回転子の断面図であって、図12の13−13線上の断面図である。
【図14】図1に示す回転圧力スイング装置の回転子における頂部の平面図である。
【図15】図1に示す回転圧力スイング装置の回転子における底部の底面図であって、一部を切除し、図12の15−15線上の断面を示す底面図である。
【図16】本発明による実施形態としての回転圧力スイング装置に使用するのに適した吸着要素の一実施形態の頂端部から見た平面図である。
【図17A】図16に示す吸着要素の、図16の17−17線上の断面図である。
【図17B】図17Aの吸着要素の実施態様における積層構造間のスペーサ十字状支持構造の平面図である。
【図18】本発明による回転圧力スイング装置のいくつかの実施形態における、上部固定子プレートと上部回転子端部プレートとの間に用いる上部シール組立体の実施例の平面図である。
【図19】図18に示す上部バルブ組立体の分解斜視図である。
【図20A】図18に示すような上部バルブ組立体の断面図であって、図18における20−20線上の上部バルブ組立体の断面図である。
【図20B】図18に示すような上部バルブ組立体の断面図であって、図18における20−20線上の上部バルブ組立体の断面図である。
【図21A】回転圧力スイング装置の動作中に、図18に示す上部バルブ組立体の下部に作用する圧力を示す略断面図である。
【図21B】比較用に示す、米国再発行特許第38493号(US RE38493)から再現した従来技術のシール組立体の略断面図である。
【図22】本発明による回転圧力スイング装置のいくつかの実施形態に適合する処理サイクルを受ける吸着要素に関する、無次元圧力対無次元時間のプロット線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
特に説明をしない限り、本明細書で使用する技術的および科学的な用語は、本発明に関連する当業者が共通に理解できるものと同じ意味を有するものとする。文脈上それ以外であることを明示しない限り、単数表記の不定冠詞、冠詞を有するものであっても、複数存在する場合を含むものとする。同様に、文脈上とくに明示しない限り、「または」という文言は、「および」を含むものとする。「含む/有する」という文言は、「備える」ことを意味する。特に明示しない限り、本明細書に記載する全ての特許文献および刊行物は、その全体を参考として付記する。文言の意味または言い回しに矛盾が生じた場合、文言の説明を含む本明細書により規制することになる。「上方」、「下方」、「頂部」、「底部」「垂直」または「水平」等の方向を示す文言は、本明細書において、種々の要素間の関係を説明して明らかにするために使用する。このような文言は、絶対的な方向を示しているわけではない(例えば、「垂直な」コンポーネントは、装置を回転させることによって水平なコンポーネントになることができる)ことを理解されたい。本明細書に詳述する材料、方法および実施形態は一例にすぎず、本発明を限定するものではない。
本明細書に、回転圧力スイング装置の実施形態、本発明による回転圧力スイング装置に使用するコンポーネント(例えば、シール組立体)の実施形態、および回転圧力スイング処理を実施する方法の実施形態を開示する。
【0022】
図1〜15は、本発明回転圧力スイング装置における一実施形態の種々の図を示す。図示する回転圧力スイング装置100は、上部固定子組立体104と下部固定子組立体106との間に配置する回転子組立体102を含む。上部固定子組立体104は、モータ108と、連結装置ハウジング110と、ギアボックス112と、を含む。図9に明示するように、モータ108、連結装置ハウジング110、およびギアボックス112を使用して、回転子組立体112内で回転子116に連結する駆動軸114を回転させることができる。回転子116の下方に、ガイドブッシュ117を車軸114から突出させ、このガイドブッシュ117は、下部固定子組立体106内のスリップリング118内に収容する。いくつかの実施形態では、熱電対等のインジケータを、ガイドブッシュ117に効果的に結合させることができる。インジケータは、動作中に駆動軸114が誤整列状態であるか否かを示すために有用である。例えば、インジケータが熱電対であり、駆動軸114が誤整列状態であると、結果的に生じるガイドブッシュ117上の摩擦によって熱電対が過熱され、この熱電対がアラームをトリガする、および/または信号を送信して、回転圧力スイング装置100を停止させることができる。回転子116は、回転子ハウジング119内に収納する。支持ブラケット120を、この回転ハウジング119の外面に取り付ける。スリップリング118の周囲には、機器ハウジング121を設ける。
【0023】
回転子116は、吸着要素122を回転させるのに有用である。吸着要素が回転して、流体ポートを流れる流体を受容すると、回転子116の回転は、各吸着要素122を通過する流体を循環させる。本発明による回転圧力スイング装置の実施形態を用いて種々のプロセスを実施することができると共に、1個のプロセスの例として、サイクル全体のそれぞれが、高圧吸着段階、および低圧排出段階を含む。さらに、いくつかの実施形態では、高圧吸着段階と低圧排出段階との間に1個またはそれ以上の還流段階を含む。また、実施形態によっては、高圧吸着段階に先立つ1個またはそれ以上の供給加圧段階および/または低圧排出段階に先立つ1個またはそれ以上の生成物パージ段階を含むこともできる。本明細書に開示する回転圧力スイングプロセスに関するその他の詳細は、本明細書の後半の、「例示的な処理仕様」という小見出し以降に記載する。圧力変換器(図示せず)を、典型的な吸着要素122の片方の端部、または両方の端部に設け、処理サイクルを監視しまた較正するためのデータを生成することができる。圧力変換器からの信号を、機器ハウジング121に収容できるようなコントローラに送信することができる。
【0024】
図示した回転圧力スイング装置100の実施形態は、回転子116の回転毎に、3回の完全なPSAサイクルを実施するように構成する。完全なサイクルのそれぞれを形成する流路は、回転圧力スイング装置100の120°の扇状区画を占める。この結果、回転圧力スイング装置の多くの要素を、区画毎に、類似の要素または同一の要素を有する3個一組にして反復する。他の実施形態は、回転毎にPSAサイクルをより多くの回数、またはより少ない回数、例えば、4回、2回または1回実施するように構成することができる。回転毎にPSAサイクルを1回以上含むことは、効率的な生成物生産にとって、また他の処理条件、例えば、圧力負荷を装置の周囲の辺りにより均等に分布させる、および装置の全体的な回転速度を、所定のPSAサイクル速度に減速させる等の他の処理条件にとっても、有利になることができる。
【0025】
図6に明示するように、流体供給混合物は、供給ヘッダー部124を通過して流れ、供給ダクト126から、回転圧力スイング装置100の3個の区画にそれぞれ分配される。供給加圧ダクト128は、各供給ダクト126から分岐する。各供給加圧ダクト128を通過する流れは、供給加圧ダクトバルブ130によって制御することができる。下部回転子組立体106は、回転圧力スイング装置100の3個の区画のそれぞれに、1個の下部還流ダクト132を含むことができる。各下部還流ダクト132を通過する流れは、下部還流ダクトバルブ134によって制御することができる。
【0026】
図示するPSA装置100の実施形態は、一般的に、第1排出ヘッダー部136および第2排出ヘッダー部138を有する。排出ヘッダー部136および138は、下部固定子組立体106の、供給ヘッダー部124が位置する側とは反対側に配置する。第1排出ヘッダー部136は、3個の第1排出ダクト140からの排出物を受容する。第2排出ヘッダー部138は、3個の第2排出ダクト142からの排出物を受容する。回転圧力スイング装置100の3個の区画は、それぞれ第1排出ダクト140および第2排出ダクト142を有する。1区画当たり2個の排出ダクトを有することによって、2回の別個の排出ステップを、サイクル中に、2種類の異なる圧力条件で生じさせることが可能となる。排出圧縮器(図示せず)を利用すると、サイクルあたり2回の排出ステップを有することによって、圧縮器の寸法を減少させることが可能となる。この理由としては、この圧縮器は、第2排出ステップにのみ取り付けることができるからである。
【0027】
上部固定子組立体104の構造を、図5に明示する。生成物は、生成ヘッダー144を経て回転圧力スイング装置100から出る。生成物は、3個の生成ダクト146によって生成ヘッダー144に供給され、各1個の生成ダクト146は、回転圧力スイング装置100の3個の区画に、それぞれ流体接続する。生成加圧ダクト148を、生成ダクト146のそれぞれに接続する。各生成加圧ダクト148を通る流体は、生成加圧ダクトバルブ150によって制御する。生成パージダクト152を生成ヘッダー144に流体接続して、パージ流体を吸着要素122に供給し、ここでパージ流体は生成物流体とすることができる。生成パージダクト152を通る流体は、生成パージダクトバルブ154によって制御することができる。代案としての実施形態では、3個の別個の生成パージダクトバルブを使用して3個の独立した生成パージダクトを制御することができるようにし、装置全体の3個の区画に各1個の生成パージダクトが存在する。上部固定子組立体104は、さらに、上部還流ダクト156を有する。回転圧力スイング装置100の各区画は、3個の上部還流ダクト156を有し、これら上部還流ダクトはそれぞれ上部還流ダクトバルブ158を有する。
【0028】
回転圧力スイング装置100の分解図である図7につき説明すると、上部固定子組立体104は、種々の流体ダクトを流体接続して、回転子116(図8および図9に示す)に対して流入、または流出する流れを生ずる、上部遷移鋳造体160を有する。同様に、下部固定子組立体106は、回転子116(図8および図9に示す)に対して流入または流出する流れを生ずる、種々のダクトを接続する下部遷移鋳造体162を有する。上部遷移鋳造体160の下側および下部遷移鋳造体162の上側に、それぞれ上部ガスケットシール164および下部ガスケットシール166を設ける。上部ガスケットシール164および下部ガスケットシール166は、流体ポートを互いに隔離し、上部遷移鋳造体160および下部遷移鋳造体162と、上部固定子組立体104および下部固定子組立体106との間における接触面での流体漏出を減少させる、またはほぼ排除する。
【0029】
上部固定子組立体104は、上部ガスケットシール164の下側に上部固定子プレート168を有する。同様に、下部固定子組立体106は、下部ガスケットシール166の上側に下部固定子プレート170を有する。上部固定子プレート168および下部固定子プレート170は、ボルト締めすることによってなどして、上部遷移鋳造体160および下部遷移鋳造体162に、それぞれ効率的に連結する。また、上部固定子プレート168および下部固定子プレート170は、回転子ハウジング119にも効率的に連結する。図11に示すように、回転子116は、上部回転子端部プレート172および下部回転子端部プレート174を有する。図14に示すように、上部回転子端部プレート172は、上部回転子開孔176のリングを有する。図15に示すように、下部回転子端部プレート174は、回転子端部プレート174の周囲に環状に配置した複数個の下部回転子開孔178を有する。
【0030】
図9および図13は、回転子116の断面図を示す。図示する実施形態では、上部回転子開孔176の直径は、下部回転子開孔178の直径よりも小さくする。このことは、回転圧力スイング装置100の各端部で生じる、異なるガス組成物の流体流れを最適化するのを助成する。図9に示すように、上部シール組立体179を、上部固定子プレート168と上部回転子端部プレート172との間に配置する。同様に、下部シール組立体180を、下部固定子プレート170と下部回転子端部プレート174との間に配置する。
【0031】
再び、図9および図13につき説明すると、上部回転子開孔176は、上部y−マニホルド181を介して、回転子116内の吸着要素122の頂端部に流体接続する。同様に、下部回転子組立体178は、下部y−マニホルド182を介して、回転子116内の吸着要素122の底端部に接続する。上部y−マニホルド181および下部y−マニホルド182によって、2個の互いに平行な吸着要素122を実質的に1個の要素として機能することを可能にする。例えば、一組の上部回転子開孔176および下部回転子開孔178間の流れを、2個の互いに平行な吸着要素122間で分流させることができる。他の実施形態では、上部回転子開孔176および下部回転子開孔178を、一度に1個の吸着要素122にだけ連通させる、または3個、4個またはそれ以上の数の吸着要素と同時に連通させることができる。
【0032】
詰め込み効率は、1列に配置した少数の比較的大きな吸着要素を使用するよりもむしろ、複数の列に配置した多数の比較的小さな吸着要素122を使用することによって改善することができる。図示する実施形態(例えば、図8参照)では、回転圧力スイング装置100の3個の区画が、それぞれ14対の吸着要素122、すなわち28個の別個の吸着要素を有する。このように、回転圧力スイング装置100は、全体として、42対の吸着要素122、すなわち84個の別個の吸着要素を有する。当然、異なる実施形態としては、異なる空間的配置内に異なる数の吸着要素を有することができる。吸着要素122の配置を選択する場合、回転圧力スイング装置100の多くの設計上の特徴を考慮する。このような特徴としては、上部ガスケットシール164および下部ガスケットシール166の全体的なピッチ円直径、回転速度、ガス流効率および死(停滞)ガス量がある。
【0033】
図8は、回転子116の分解図である。図示のように、リング状に配列した内側タイロッド184および外側タイロッド186が存在する。内側タイロッド184および外側タイロッド186は、それぞれスペーサ鞘192内に部分的に挿入したねじ付きの中心シャフト190を有する。中心シャフト190の両側の端部を、スペーサ鞘192の端部を越えて突出させる。内側タイロッド184および外側タイロッド186は、それらの頂端部および底端部を、それぞれ上部回転子端部プレート172および下部回転子端部プレート174圧着するナット188で固定する。固定後には、スペーサ鞘192の頂端部および底端部は、上部回転子端部プレート172および下部回転子端部プレート174に、それぞれ圧着する。このことによって、望ましくない負荷を吸着要素122に加えることなく、上部回転子端部プレート172および下部回転子端部プレート174の位置および平坦性を精密に制御することができる。
【0034】
図15は、PSA装置100の図示した実施形態用の回転子116内における吸着要素122の配列を示す部分断面を有する。上述したように、吸着要素122は、対にして配列することができる。これら対を、入れ子パターン、格子パターン、放射状パターンで配列することによって、詰め込み効率を改善することができる。例えば、第1ボックス194は、吸着要素122A,122Bの内側対を包囲し、第2ボック196は、吸着要素122C,122Dの外側対を包囲する。側対の吸着要素122および外側対の吸着要素は、隣接する上部回転子開孔176および下部回転子開孔178に連通する。第1ボックス194および第2ボックス196は重なり合う。このように、内側対の吸着要素122Aの一部を、外側対の吸着要素122C,122D間に配置して、外側対の吸着要素122Dの一部を、内側対の吸着要素122A,122B間に配置する。この入れ子構造によって、吸着要素の対を均一にリング状に配列した場合に可能となる詰め込みよりもより緊密な吸着要素122の詰め込みを可能にし、さらに、全ての吸着要素122に対する均一な流体流を可能にする。
【0035】
図9および図13につき説明すると、上部回転子開孔176および下部回転子開孔178のリングと、吸着要素122の互い違いの対との間における連通は、上部y-マニホルド181および下部y-マニホルド182の向きおよび配置によって達成する。とくに、上部y-マニホルド181および下部y-マニホルド182は、互い違いにし、各y-マニホルドは、隣接するy-マニホルドに対してその垂直軸線上で反転させる。上部マニホルド181は、異なる長さの流路183,185を有する。同様に、下部マニホルド182は、異なる長さの流路187,189を有する。上部y-マニホルド181および下部y-マニホルド182は、それぞれ異なる長さの2個の流路を有するので、それらを垂直軸線上で互い違いにして反転させることによって、全ての流路を均一リングに終端させることができる。図9および図13に示す断面図は、この点を示している。図9および図13では、回転子116の左側の吸着要素122A,122Bは内側対を示し、回転子の右側の吸着要素122C,122Dは、外側対を示す。左側の上部y-マニホルド181および下部y-マニホルド182は、駆動軸114に近接する吸着素子122に流入する長い流路、および駆動軸114から離れた吸着素子122に流入する短い流路を有する。一方、右側の上部y-マニホルド181および下部y-マニホルド182は、駆動軸114に近接する吸着要素122に流入する短い流路、および駆動軸114から離れた吸着素子に流入する長い流を有する。この構造の結果、流路185,187の全てが、上部回転子開孔176および下部回転子開孔178に整列した均一リングとして終端する。
【0036】
例示的な吸着要素
図16および図17は、本発明回転圧力スイング装置の実施形態用に使用することに適する吸着素子の一実施形態を示す。図17Aに示すように、吸着要素200は、複数の吸着床を有する。例えば、一実施形態においては、第1放射状吸着体202、第2放射状吸着体204、第3放射状吸着体206、および第4放射状吸着体208を有する。第1放射状吸着体202、第2放射状吸着体204、第3放射状吸着体206、第4放射状吸着体208は、第1マンドレル210、第2マンドレル212、第3マンドレル216および第4マンドレル218のそれぞれに同心円状に巻回する積層シートである。随意的にスペーサを使用して、吸着体を離間させることができる。例えば、3個のエポキシ樹脂製スペーサクロス218は、第1放射状吸着体202と第2放射状吸着体204との間、第2放射状吸着体204と第3放射状吸着体206との間、および第3放射状吸着体206と第4放射状吸着体208との間のそれぞれに配置する。エポキシ樹脂性スペーサクロス218は、圧力変動の結果として生じる積層シートの軸線方向変位を防止することを助成する。吸着要素200は、第1放射状吸着体202に隣接する供給床コネクタ220、および第4放射状吸着体208に隣接する生成床コネクタ222を有する。
【0037】
タイロッド224は、第1マンドレル210、第2マンドレル212、第3マンドレル214、および第4マンドレル216に貫通して、供給床コネクタ220と生成床コネクタ222との間に延在する。タイロッド224の各端部で、ナット226等の締め具を、供給床コネクタ220および生成床コネクタ222の窪み棚227に圧着させる。このようにして、一方のナット226、または両方のナット226を締めることによって、タイロッド224の長さにわたって、吸着要素200の内部コンポーネントに対して圧縮力を加えることができる。ハウジング228は、供給床コネクタ220と生成床コネクタ222との間における吸着要素200の内部コンポーネントの周りに延在する。2個のO−リング230は、供給床コネクタ220および生成床コネクタ222のそれぞれの周囲に配置して、ハウジング228を、供給床コネクタおよび生成床コネクタに対して流体封止することを容易にする。同様に、2個のO−リング232を供給床コネクタおよび生成床コネクタのそれぞれの周囲に配置して、供給床コネクタおよび生成床コネクタを、回転圧力供給スイング装置100の他の部位に対して流体封止することを容易にする。例えば、回転圧力スイング装置100では、供給床コネクタ220および生成床コネクタ222を、下部y−マニホルド182(図9)および上部y−マニホルド181(図9)内にそれぞれ封止することができる。
【0038】
図17Aに示すように、吸着要素の実施形態(例えば、図示する吸着要素200)は、一般に2個またはそれ以上の区画を有する本発明による回転圧力スイング装置100であって、これら区画が、それぞれ異なる吸着材料または異なる組み合わせの吸着材料を含むことができる回転圧力スイング装置100に使用することに適している。本明細書に使用する、用語「吸着材料」は、特定のタイプの吸着材料に言及するものであり、また吸着材料の特定の組み合わせに言及する。吸着材料は、水素含有流体から炭化水素を分離する等の、特定の機能のために選択することができる。例えば、一連の吸着材料を選択し、軽い炭化水素を徐々に吸着し、水素生成物を残すことができる。吸着材料は、最も低い炭化水素親和性を有する吸着材料が、最も高い炭化水素親和性を有する吸着材料よりも、吸着要素の供給口により近接させて配置するよう、炭化水素親和性順に配置することができる。また、吸着材料は、水等の特定の混在物質を吸着する等の、異なる目的のために使用することもできる。各吸着体は、さらに複数の吸着材料の組み合わせを有するものとすることもできる。
【0039】
本明細書に記載する、種々の吸着材料を備える吸着区画は、0よりも大きい任意の密度の吸着材料を備えることができる。しかし、いくつかの実施形態では、吸着材料は、密度が約30%以上、約50%以上、約70%以上、約90%以上、または約95%以上の特定の吸着材料を備える。
【0040】
本発明の実施形態に使用するのに適した異なるタイプの吸着材料としては、以下に限定するものではないが、アルミナ、シリカ、活性炭素、ゼオライト、およびこれらの混合物もしくは派生物がある。これらタイプの吸着材料の多くの異なるバリエーションを利用することができる。例えば、いくつかの本発明の実施形態では、異なる表面積を有する活性炭素を含む。例えば、アルミナ、シリカおよび活性炭素は、増大する親和性を有する。
【0041】
いくつかの本発明による実施形態は、特定の流体成分に対して低親和性を有する、少なくとも1個の吸着材料と、その流体成分に対して中程度の親和性を有する、少なくとも1個の吸着材料と、その流体成分に対して高親和性を有する、少なくとも1個の吸着材料を有するものとする。複数の流体成分(例えば、炭化水素)を吸着するように吸着要素を構成する実施形態では、低親和性吸着材料を使用して最も重い流体成分を吸着することができ、中程度の親和性を有する吸着材料を使用して中程度の重量の流体成分を吸着することができ、さらに、高親和性吸着材料を使用して最も軽い流体成分を吸着することができる。
【0042】
本発明による吸着要素の実施形態のいくつかは、アルミナ、シリカおよび活性炭素を含むものとする。例えば、いくつかの実施態様は、アルミナ、シリカおよび2タイプの活性炭素を有するものとし、炭化水素に対する親和性を増大させる。吸着要素の供給口から吸着要素の出口に向かって順に位置決めするこの組み合わせは、炭化水素および水素を含む流体から炭化水素を分離するのに特に効果的であることを見出した。これら吸着材料は、それぞれ単独で、または混合物の一部として、吸着要素の区画内で使用することができる。例えば、セグメント化した吸着要素は、供給口から出口に向かって以下の順で位置決めし、(1)アルミナを含む部分、(2)アルミナおよびケイ素を含む部分、(3)シリカを含む部分、(4)シリカおよび活性炭素を含む部分、および(5)活性炭素を含む部分、を有することができる。
【0043】
吸着材料は、本発明による吸着要素の実施形態に種々の形式で組み込むことができる。いくつかの実施態様では、吸着材料は、粒状の形態とする。他の実施態様では、吸着材料は、積層形態とする。本明細書で使用しているように、用語「積層体」は、支持材料、および少なくとも1個の吸着材料、あるいは他の材料(例えば、触媒)から形成した構体に言及するものであり、この構体の上、周囲または内部をガスの混合物が流れて、ガスの吸着、分離および気相化学反応を生ずることができるようにするものである。積層体は、吸着要素内でロール状態にする、堆積する、または他の配列状態にし、所望する表面積および圧力降下を生ずるようにすることができる。一般に、積層体によれば、迅速な循環およびガス交換が可能となる。
【0044】
積層構造は、セグメント化した吸着要素に用いるのに特に適している。ビーズ状または他の粒状の吸着体形態とは異なり、積層体は、一般に、密接した形状にすることができる。例えば、複数の積層部分を形成し、その後、シェル内に端部相互を突き合わせて配置することができる。スペーサを使用して、積層体の層間に一貫した分離を画定することができる。一般に、積層体は、高い表面積対体積比にすることによって、また、吸着材料を支持するために均一で、最小の厚さを有する構造を設けることによって、物質転移抵抗を最小にすることができる。積層体は、限られた量の吸着材料を効率的に使用することができるので、これらの積層体は、寸法、重量およびコストに対しても有益である。さらに、一般に、積層体およびスペーサは、ビーズ化またはペレット化して固めた吸着材料よりもより堅牢な構体を生じ、このことは、PSA用途のような、常習的で過酷な振動および衝撃荷重の特徴が有る用途においては重要である。
【0045】
本発明による回転圧力スイング装置の実施形態における積層体は、例えば、ワイヤメッシュを被覆する固定化吸着材料のシートとすることができる。これらシートの厚さは、吸着材料のタイプに基づいて変化する。例えば、活性化アルミナ積層体の厚みは、約0.165mm(約0.0065インチ)とすることができ、また他の積層体の厚みは、約0.267mm(約0.0105インチ)とすることができる。本発明による吸着要素の実施形態における積層体は、種々の形態、例えば堆積させた形態または渦巻き状に巻回した形態で配置することができる。スペーサ層を、積層間に設けることができる。例えば、いくつかの実施形態のおいては、固定化材料のシート間に巻回したスペーサ材料とした、無被覆ワイヤメッシュを設ける。スペーサ層の厚みは、積層上の吸着材料のタイプに基づいて変化する。例えば、スペーサ層の厚みは、活性化アルミナ積層の場合約0.18mm(約0.007インチ)とし、他の吸着材料で形成した積層の場合、約0.150mm(約0.0059インチ)とすることができる。
【0046】
本発明による回転圧力スイング装置の吸着要素に使用するのに適切な吸着材、触媒および積層構体の他の実施例としては、米国特許第4,702,903号、米国特許第4,801,308号、および米国特許第5,082,473号、および米国特許出願公開第2002/0170436号に記載のものがあり、これら特許文献の全てを参照として本明細書に付記する。
【0047】
積層構体の耐久性に関する最も危惧すべきことは、一般に、1個の積層部の位置が、隣接する積層部の位置に対して変位することである。この変位は、積層構体を通過する流体の流れの方向を繰り返し切り替わることに関連する力に応答して起こり得る。渦巻き状に巻回した積層構体は、部分的に軸方向変位を生じ易く、例えば、この軸方向変位は、積層部の入れ子式リング体が抜き差し(テレスコピック)形態になっていることによって起こり得る。変位は磨損を生じさせ、スペーサおよび/または吸着材料に損傷を与える。連続した磨損は、吸着材料の有効寿命を短くする。
【0048】
いくつかの実施形態においては、支持構体を設け、変位を減少する。支持構体の例としては、図17A,17Bに明示するエポキシ樹脂製のスペーサクロス218がある。このような支持構体を複数個の個別積層構体間に、または各積層構体の一方もしくは両側の端部に位置決めすることができる。支持構体は、一般的に、1個またはそれ以上の細長い部分218a(例えば、スポーク)を有し、このスポークは、起こり得る変位方向、例えば渦巻き巻回積層構体の軸線方向または吸着要素を通過する流体の流れの方向に対して、ほぼ直交するよう積層構体の面を横切って延在する。これら細長い部分は剛性または可撓性を有するものとし、吸着要素全体を通過する流体の流れの乱れを少なくする寸法にすることができる。
【0049】
支持構体は、隣接する積層構体の何れにも結合しない、または一方もしくは両方に結合することができる。図16または図17Aに示すような吸着要素200等の、いくつかの実施形態では、支持構体は、例えば、エポキシ樹脂のような、隣接する積層構体のうち一方または両方に結合することができる接着材料を備える。接着材料は、例えば、吸着材料を活性化させるような、吸着要素全体を加熱することによって活性化させることができる。また、支持構体は、単に、エポキシ樹脂等の接着材料とすることもできる。多くの場合、接着材料は、ゲル状の形態で堆積すること等によって、積層構体の面に適宜塗布しておくことができる。その後、これらの材料は、積層体の変位を対抗するに十分な強度に硬化することができる。
【0050】
好適な実施形態は、スペーサクロス支持構体218を備えており、この構体は、液状エポキシ樹脂を積層構体の端部に十字形状に塗布することによって形成する。テンプレート(型板)を使用し、適切な十字形状218aを形成するためのエポキシ樹脂のビードを塗布する補助とすることができる。エポキシ樹脂は、中心マンドレル210に対して封止を生ずる(以下に詳述する)ように塗布することができる。このように、エポキシ樹脂は、巻回した積層構体の端部内に大幅に侵入することができ、硬化後、このことによって、端部における巻回部の崩れに対する有用な支持を行うことができる。このことは、積層構体自体の実際の巻回部間に支持を設けない、予形成支持体を使用するだけである場合、非常に重要な改善となる。
【0051】
吸着要素200のマンドレル210,212,214,216等のマンドレルは、積層構体の内面に取り付け、軸方向の移動を抑止することができる。このことは、積層構体を所定の位置に保持することを補助する。この取り付けは、接着剤等の、任意の適切な手段によって得られる。さらに、吸着要素ハウジングを使用して、積層構体を所望の位置に保持するための補助とすることができる。例えば、積層構体は、ハウジング内に配置し、つぎにほぼ均一な、同心状の圧縮力をハウジングに加えて積層構体の周囲にハウジングを変形させ、巻回部の軸方向への移動を減少またはほぼ防止することができる。さらに積層構体の移動を減少またはほぼ防止し、ハウジングからガスが流出するのを減少またはほぼ防止するために、セラミック材料等のビーズ材料を、シェルの内周に配置することができる。吸着要素200では、フィルタを配置して、このビーズに接触させることができる。また、シェル内に肩部を組み込む等の他の固定方法を使用することもできる。積層構体をシェルに取り付けることに適したシール剤としては、コネチカット州ロッキーヒルにあるヘンケル社(Henkel Corporation)から入手可能なLOCTITE(登録商標),HYSOL(登録商標),E−120HPエポキシ等のエポキシ樹脂がある。高温用途(例えば、約130℃以上)に対して適したシール剤としては、ニューヨーク州バレーコテージにあるアレムコ・プロダクツ社(Aremco Products, Inc)から入手可能なPYRO−PUTTY(登録商標)がある。
【0052】
本発明による吸着要素のマンドレル、ハウジングおよび他のコンポーネント(例えば、支持構体)は、種々の材料、例えば金属、金属合金(例えば、ステンレス鋼)、セラミックおよび/または高分子材料から形成することができる。いくつかの実施形態では、シェルおよび/またはマンドレルは、室温で、約10〜約1000W/(m・℃)の熱伝導率であって、例えば、約20〜約1000W/(m・℃)または約50〜約1000W/(m・℃)の熱伝導率を有するものとする。積層構体を形成するために使用する吸着材料は、必要であるならば、活性化しておき、つぎにハウジング内に挿入することができる。このような場合、ハウジングおよびマンドレルの双方は、例えば、約250℃またはそれ以上の吸着活性温度に耐え得る十分強固なものとする。低温で活性化させることができる吸着材料に対しては、シェルおよびマンドレルを形成するのに使用する材料は、金属、金属合金、セラミック等以外の材料とすることができる。
【0053】
シールの実施形態
図18〜図21は、図9に示す上部シール組立体179の実施形態を示す。回転圧力スイング装置100では、上部シール組立体179は、上部固定子プレート168に取り付け、動作中は静止している。他の実施形態では、上部シール組立体179は、上部回転子端部プレート172に固定し、動作中は回転する。下部シール組立体180は、上部シール組立体179の構造に類似しているので、上部シール組立体のみ示し、その詳細を説明する。しかし、両組立体は、回転分配バルブの一部として機能して、圧力スイングサイクル中の適切な時期に種々の吸着要素に対するガスの授受を行い、またこれらガスの漏出に対する適切なシールを行う。回転子がシール組立体間で回転するとき、固定子および回転子における開孔が整列し、つぎに、整列から外ずれることで、バルブ作用を生ずる。
【0054】
図19に示すように、上部シール組立体179は、上側部分300および下側部分302を有する。上側部分300は、「シール裏打ち」と称することもでき、また下側部分302は、「浮動シール」と称することもできる。上側部分300は、上部固定子プレート168の開孔に対応する開孔303(図18および図19では、1個の開孔にのみ符号を付けた)を有する。処理ガスは、回転圧力スイング装置100の動作中に、開孔303を通過して流れる。下側部分302は、ベース306から上方に突出する突起304(図19では、1個のみ符号を付けた)を有する。上側部分300の開孔303に対応する流体ポート307を、下側部分302全体に貫通させる。
【0055】
突起304は、図19に示すように、種々の形状および寸法を有し、上側部分300の底面の、個別に画定した窪み305内に嵌合させることができる。図20Aおよび図20Bは、この関係をより理解し易く示す断面図である。図20Aは、流体ポートを有さない部位における突起304の嵌合状態を示す。図20Bは、流体307が存在する部位での突起304の嵌合状態を示す。図20Aに示すシール面309は、図20Bに示すシール面よりも広い。各図面において、下側部分302は、圧力に応じて、上側部分300に対して垂直方向に自由に移動する。ベース306の下方で、下側部分302は、シール面309における、摩擦で消耗する摩擦消耗部分308を有する。上部回転子端部プレート172とのすべり接触は、シール面309で生じる。突起304は、頂面310および突起型棚部312の両側における基部306の一部を有する。
【0056】
図20Aおよび図20Bに示すように、突起304の頂面310と上側部分300との間に第1チャンバ314が存在する。また、図20Aおよび図20Bは、棚部312と上側部分300との間の第2チャンバ316も示す。第2チャンバ316を実質的にシールし、第2チャンバ内の圧力、別個に制御できるようにする。図19、図20Aおよび図20Bに示すように、内側および外側のベースシール用のO−リング318および320により、下側部分302全体のベース306における内側面および外側面をそれぞれ取り囲む。突起用シールO−リング322(図19では1個にのみ符号を付けた)は、各別個の突起304の側面を囲む。同時に、内側ベースシール用のO−リング318および外側ベースシール用のO−リング320、ならびに突起シール用O−リング322は、第2チャンバ316の図示した部位をシールし、これら部位は、突起304間の隙間で接続される。さらに、各別個の突起の第1チャンバ314は、突起シール用のO−リングおよび上側部分300の底面の別個に画定した窪み間の分割器(図示せず)によって、隣接する突起の上方の第1チャンバからシールする。高圧ガス源(例えば、100psiの窒素)を、加圧ポート324(図18および図19参照)、および第2チャンバ316に、流体接続する。一般に、第2チャンバ316における適切な圧力は、初期設定中に決定するが、場合によっては、決定後もスケジュール設定した間隔で監視する。しかし、オペレータは、継続的またはほぼ継続的に第2チャンバ内の圧力を監視して、必要ならば、加圧ポート324を介して圧力を減少または増加することができる。
【0057】
有利には、十分な閉鎖力をシール面309に加え、材料の大量損失を防ぐと同時に、トルクを増加させてすべり部に過度の磨耗を生じさせ得る摩擦を最小限に抑える。図示の上部シール組立体は、適切な閉鎖力の達成を容易にするいくつかの特徴を有する。図21Aは、回転圧力スイング装置100を動作中の下側部分302の異なる表面上に作用する圧力を示す線図的断面図である。図20Bに断面を示すように、図21Aに示す断面図は、下側部分302の中央を貫通する流体ポート307を示す。矢印326(図21Aでは1個の矢印にのみ符号を付ける)は、「処理(プロセス)圧力」を示し、この「処理(プロセス)圧力」とは、突起304の頂面310に加わる処理ガスの圧力である。この圧力は、処理ガスが第1チャンバ(処理ガスチャンバ)314内に流入し、流体ポート307を経て回転子116内に流入するとき作用する。処理ガスの圧力は、PSAサイクルの異なる段階で大きく変化するので、矢印326で示す処理圧力も変動する。矢印328(図21Aでは1個の矢印にのみ符号を付ける)は、「活性化圧力」を示し、棚部312に対する第2チャンバ(活性化ガスチャンバ)316内のガス圧力である。矢印330(図21Aでは、上向きの矢印の1個および下向きの矢印の1個に符号を付ける)は、「開放圧力」を示し、シール面309および上部回転子端部プレート172に対する圧力であって、処理ガスの漏出によって作用する。図示の実施例では、矢印330の相対的な長さによって示すように、流体ポート307から離れるにつれて開放圧力が減衰する。
【0058】
流体ポート307にすぐ隣接する位置では、開放圧力は、処理圧力とほぼ等しくなる。シール面309のポートから離れた端部では、開放圧力は、回転子ハウジング119内の圧力等の、周囲圧力(P)とほぼ等しくなる。流体ポート307から離れた端部までのシール面309にわたる開放圧力は、種々の輪郭に応じて減少し得る。いくつかの実施例では、図21Aのライン332で示すように、輪郭は直線的である。ライン334および336のそれぞれが示すように、輪郭は凸状輪郭または凹状輪郭とすることもできる。図1〜図19の実施形態では、輪郭は凸状輪郭ライン334と一致する。流体ポート307から離れた端部までのシール面309にわたる全開放圧力は、モデル化して計算することができる。適切なモデルは、例えば、1991年のジョン・ウィレイ・アンド・サンズ社発行のアラン・オー・レベック氏による刊行物「機械的表面シールの原理および設計」(Alan O. Lebeck, Principles and Design of Mechanical Face Seals, John Wiley & Sons, Inc. (1991) )に開示されており、この刊行物を参考として本明細書に付記する。いくつかの実施例では、シール面309の幅に沿った任意の半径での開放圧力(POpening)が、以下の等式(1)で表される。すなわち、
【数1】

等式(1)では、Pは流体ポート307に隣接する圧力であり、Pはシール面309の離れた端部での圧力であり、Rは流体ポート307に隣接する半径であり、Rはシール面の離れた端部での半径である。全開放圧力は、シール面309の幅に沿って、圧力ポート(図示せず)を通る圧力を測定することによって等の、観察に基づいて決めることができる。
【0059】
処理圧力(PProcess)および活性化圧力(PActivation)は共に、ネット閉鎖力(FNetClose)を増加させるが、このことは、これら圧力が、シール面309を下方に押し下げるためである。その一方で、開放圧力(POpening)は、シール面309を上方に押し上げるため、ネット閉鎖力を減少させる。ネット閉鎖力は、以下の等式を使用して計算することができる。すなわち、
【数2】

【数3】

等式(3)では、AProcessは棚部312の面積、AOpeningはシール面309の面積(一般に、AProcess+AOpeningに等しい)、Pは回転子ハウジング内部の圧力に等しい。
【0060】
目標とするネット閉鎖力は、シールの磨耗を減少させる競合要因、トルクを減少させる競合要因、および処理ガス漏出を減少させる競合要因を考慮して計算することができる。例えば、いくつかの実施形態では、目標とするネット閉鎖力は、以下の式にしたがって部分的に(すなわち、各突起部304に対して)計算することができる。すなわち、
【数4】

等式(4)では、シール面309の幅にわたるネット閉鎖力は、処理圧力の10%に設定する。ネット閉鎖力は、ネット閉鎖圧力に、シール面の面積(PProcess+PActivationに等しい)を乗じたものに等しい。一般に、処理圧力は上部シール組立体179の周縁の周りで変化するので、局所的に計算する場合、ネット閉鎖力も変化する。高処理圧力の領域におけるネット閉力は、低処理圧力の領域のそれよりもより大きくなるであろう。
【0061】
図21Aは上部回転子端部プレート172を示し、矢印338(図21Aでは、上向きの矢印の1個および下向きの矢印の1個に符号を付ける)は、等式(4)による、シール面309に対する、および上部回転子端部プレート172に対するネット閉鎖力を表す。上部回転子端部プレート172とシール面309との間の間隙は、開放圧力矢印330およびネット閉鎖圧力矢印338の空間を作るために誇張してある。
【0062】
目標とするネット閉鎖力を達成するために調整することができる変数としては、活性化圧力と、活性化領域面積に対する処理領域面積の比がある。一般に、活性化圧力は、上部シール組立体179の全周縁の周りで同一となるよう設定する。しかし、処理圧力は、一般に、上部シール組立体179の周縁における異なる場所毎に変化する。局所的に目標とするネット閉鎖力を達成するために、活性化領域面積に対する処理領域面積の比を変化させることができる。図18および図19に示す上部シール組立体179では、各突起304は、組立体の周囲における個別の位置を表し、この位置において、活性化領域面積に対する処理領域面積の比は、目標とするネット閉鎖力を得るために変化させることができる。上述したように、各突起304の上方の第1チャンバ314は、第1チャンバ314から隣接する突起の上方の第1チャンバからシールされる。図19に示すように、突起304の寸法および表面積は、大きく変化する。代案として、いくつかの実施形態では、平均的なネット閉鎖力のみを考慮する。すなわち、目標とするネット閉鎖力は、上部シール組立体179の周縁の周りで一定に設定することができる(すなわち、各突起304に対して同じであり、PProcessは変化しない)。
【0063】
これらの実施形態では、シール面309の表面積は、上部シール組立体179の周縁の周りで一定に維持することができ、AProcess(頂面310の面積)とAActivation(棚部312の面積)との合計に等しくすることができる。しかし、図20Aおよび図20Bで示すように、これら領域の面積は、接触圧力を制御し、またトルクおよび磨耗に対して最適化するための変数として使用することができる。したがって、特定の実施形態(例えば、図20B参照)は、AProcessとAActivationとの合計よりも小さい面積のシール面309を有することができる(すなわち、摩擦消耗部分308の幅は、図21Aのベース306よりも狭くする)。他のそれほど好適ではない実施形態では、シール面309の面積は、AProcessとAActivationとの合計よりも大きくすることができる(すなわち、摩擦消耗部分308の幅を、図21Aのベース306よりも広くする)。さらに、シール面の面積は、シール組立体の周縁の周りで変化させることができる。
【0064】
種々の材料を、本発明による上部シール組立体179の実施形態に使用することができる。材料の特性、例えば熱膨張係数、剛性(弾性率および厚さ)、および熱伝導率等を考慮することは有用である。一般的に、下側部分302全体の剛性は、経時的に安定した動作を助成する。しかし、上部回転子端部プレート172の平坦性における不完全さに適応するために、若干のコンプライアンス(弾性)を有するのが望ましい。いくつかの実施形態では、下側部分302は、流体ポート307の周囲の領域ではより剛性の高いものとし、流体ポートから離れるにつれて剛性を低下させる。例えば、摩擦消耗部308上方における下側部分302は、流体ポート307の周囲ではより厚いクロス部材を有し、流体ポートから離れた領域ではより薄いクロス部材を有するハニカム構造とすることができる。いくつかの実施形態では、摩擦消耗部分308は、充填したポリテトラフルオロエチレン等の高分子材料または複数の高分子材料で形成し、下側部分302の残りの部分は、炭素鋼等の金属、金属合金、またはその組み合わせで形成する。摩擦消耗部分308は、エポキシ樹脂を使用する等の、任意の適した手段によって下側部分302の残りの部分と結合することができる。上側部分300および他の周囲の構体は、金属または金属合金等の適した材料で形成することができる。例えば、上側部分300は、炭素鋼で形成することができ、他の周辺部(例えば、上部回転子端部プレート172)は、鋳鉄で形成することができる。
【0065】
上述したシール組立体は、処理ガス由来ではないガス圧力は、シール組立体に対して均衡のとれた圧力を得るためも使用できる点で、特に従来技術の設計と異なっている。従来技術の設計では、代わりに、スプリング等の機械装置使用していた。本発明、および従来技術設計のどちらにおいても、シール組立体の周囲に可変の均衡のとれた圧力を得るために処理ガスを採用していることに注目されたい。しかし、閉鎖力が、シール組立体の周縁におけるいずれの場所においても常に適切であることを確実にするために、一般に、さらなる一定の均衡のとれた圧力を提供する。従来の技術設計では、これらの一定の圧力は、スプリングによってもたらされた。本発明では、これらの一定の圧力は、処理ガス以外のガスによっても得ることができる。
【0066】
このことは、米国再発行特許第38493号(US RE38493)から再現して図21Bに例示し、機械スプリングを採用して一定の均一な圧力をもたらす従来技術の回転分配バルブの設計を示す。(図21Bにおいて、米国再発行特許だい38493号で表示された元の参照符号を付けて示していることに注目されたい。このように、単に図21Bにおける参照符号は、本明細書における他の図面の参照符号と一致しない。)図21Bでは、固定子36および流体転移スリーブ710は、本発明においてシール組立体179が実施する機能と同様の圧力均衡バルブ機能を果たす。いずれの実施形態においても、処理ガスを採用して、(図21Bにおける)回転子40および(図21Aにおける)上部回転子端部プレート172に可変の均一な圧力をもたらす。しかし、図21Aでは外部から供給する活性化ガスを使用してシール組立体179の棚部312に付加的な均衡圧力を加える一方で、図21Bの従来技術の実施形態では、機械的圧縮スプリング730を採用する。
【0067】
図21Bにおけるスプリング730によって加える圧力または図21Aにおける活性化ガスによって加える圧力は、一般に、所定の処理用途に対しては一定である。しかし、前者では、スプリングによってもたらされた圧力は、シールの摩耗に伴って(すなわち、摩擦消耗部分308/シール面309の摩耗に伴って)徐々に変化するであろう。後者の利点は、活性化ガスによって加わる圧力は、シールが摩耗しても変化しないことにある。
【0068】
さらに、図21Bにおけるスプリングによって加える圧力または図21Aにおける活性化ガスによって加える圧力は、一般に所定の処理用途に対しては一定であるが、それにも関わらず、後者は、必要であるならば、外部から供給する活性化ガスの圧力を変化させることによって、この加える圧力を変化させることが可能である。しかし、前者においては、この加える圧力を変化させるためには、PSA装置を分解してスプリング730を取り替えなければならない。このように、本発明のシール組立体は、用途の条件を変化させる上でより大きな融通性を有する(すなわち、供給ガスを異なる圧力で供給する、または異なる組成を有するようにすると、その結果、種々のPSA段階中に異なる圧力が求められる)。
【0069】
処理仕様の例
PSA処理は、1個のサイクル内に吸着要素に一連の段階で処理を施すことができる。上述したように、回転圧力スイング装置の回転子の各完全な一回転は、1回または1回以上の完全PSAサイクルの段階を通して、各吸着要素を遷移させることができる。1回のサイクルに含まれる段階は、処理目的にしたがって大きく変化する。さらに、段階の順番および段階の持続期間は、修正することもできる。本発明による回転圧力スイング装置の実施形態は、種々のサイクルに対応する。説明上、図1〜図15に示す実施形態に対応する1回のこのようなサイクルを以下に説明する。図1〜図15の圧力スイング装置100を、水素精製に使用すると、以下に記載するサイクルを使用して、約90%の精製物を生産することができる。
【0070】
図22は、本明細書に開示する例示的なサイクルを施す吸着要素に対する無次元圧力対無次元時間をプロットしたグラフである。段階の順番を、表1に記す。
【表1】

生成は、供給ガスを吸着要素に通過させて、生成ガスを生成する。この段階は、高圧で実施する。均衡化段階は、いくらかの加圧エネルギーを保存することを含む。各均衡化段階は、1個の吸着要素内の高圧ガスが、他の吸着要素内に流れることができるように、2個の吸着要素間に流路を開放することを含む。このことは、生成の後で高圧吸着要素を部分的に減圧し、さらに生成に先立って低圧吸着要素を部分的に加圧する。均衡化の後で、吸着要素をパージして、その後、大気中に排出する。排出した後、吸着要素を生成ガスでパージして、その後、再び均衡化を実施する。続いて、逆充填(Backfill)段階および加圧段階を実施して、吸着要素に生成圧力を加える。
【0071】
本発明の原理を適用することが可能な多くのあり得る実施形態を考慮すると、図示の実施形態は、本発明の好適例でしかなく、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではないことを認識されたい。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転ガス分離装置の回転バルブに使用するためのシール組立体において、シール裏打ちと、前記シール裏打ちに対して移動可能な嵌合する浮動シールとを備え、前記シール裏打ちは、前記浮動シールに貫通する流通ポートに整列する複数の開孔を有し、前記浮動シールは、前記シール組立体に対して回転する隣接面に封止係合するよう、前記シール裏打ちに対向するシール面を有し、前記シール裏打ちおよび嵌合浮動シールは、前記浮動シールに封止圧力を加えるため、処理ガスおよび活性化ガスのそれぞれを受けるよう、流体分離した処理ガスチャンバおよび活性化ガスチャンバを画定し、各処理ガスチャンバを、前記浮動シールを通る流通ポートに流体接続し、各活性化ガスチャンバを、活性化ガス源に流体接続したことを特徴とするシール組立体。
【請求項2】
請求項1に記載の組立体において、前記シール裏打ちは、前記浮動シールの嵌合段差部分を収容するための、少なくとも1個の段差付き孔を有することを特徴とする組立体。
【請求項3】
請求項1に記載の組立体において、前記処理ガスチャンバおよび前記活性化ガスチャンバは、前記段差付き孔の表面および前記浮動シールの前記段差部の表面により画定することを特徴とする組立体。
【請求項4】
請求項1に記載の組立体において、各活性ガスチャンバは、活性化ガスの外部供給源に流体接続可能としたことを特徴とする組立体。
【請求項5】
請求項4に記載の組立体において、活性化ガスチャンバは、全て相互に流体接続したことを特徴とする組立体。
【請求項6】
請求項5に記載の組立体において、さらに、前記シール裏打ちに開口する加圧ポートであって、活性化ガス受容チャンバに流体接続した、該加圧ポートを備える組立体。
【請求項7】
請求項3に記載の組立体において、前記浮動シールを円形とし、前記段差部は、周方向に間隔をあけて配置する複数の突起であって、該突起間に間隙を有する突起に分割したことを特徴とする組立体。
【請求項8】
請求項7に記載の組立体において、さらに、前記シール裏打ちと前記浮動シールとの間に配置して、前記処理ガスチャンバおよび前記活性化ガスチャンバを流体隔離する複数のシールを設けた組立体。
【請求項9】
請求項7に記載の組立体において、前記突起の少なくともいくつかは、異なる形状および異なる寸法を有することを特徴とする組立体。
【請求項10】
請求項9に記載の組立体において、前記シール裏打ちの前記段差付孔は、前記浮動シールの前記段差部における前記突起を収容するための複数の孔を備えることを特徴とする組立体。
【請求項11】
請求項9に記載の組立体において、各突起は、前記浮動シールの前記シール面に向かい合う処理ガスチャンバ表面および活性化ガスチャンバ表面を有することを特徴とする組立体。
【請求項12】
請求項11に記載の組立体において、突起における、前記処理ガスチャンバ表面の面積、および前記活性化ガスチャンバ表面の面積の合計が、対向する前記シール面の面積と等しくすることを特徴とする組立体。
【請求項13】
請求項11に記載の組立体において、前記処理ガスチャンバ表面の面積の、前記活性化ガスチャンバ表面の面積に対する比が、2個またはそれ以上の突起間で異なることを特徴とする組立体。
【請求項14】
請求項1の前記シール組立体を備える回転バルブを備える回転ガス分離装置。
【請求項15】
請求項1の前記シール組立体を備える回転バルブを備える回転圧力スイング吸着装置。
【請求項16】
回転ガス分離装置内の回転バルブに封止を生ずるシール方法において、
固定子、回転子、および請求項1の前記シール組立体を備える回転バルブを備える回転ガス分離装置を設けるステップと、
加圧処理ガスを前記処理ガスチャンバ内に周期的に流すステップと、
前記シール組立体と前記回転子との間に圧力均衡化した封止を確立するのに適した圧力で、前記活性化ガスチャンバ内に活性化ガスを流すステップと、
を有する方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、前記ガス分離装置は、圧力スイング吸着装置とすることを特徴とする方法。
【請求項18】
回転ガス分離装置の回転バルブに封止を行うシール方法において、固定子、回転子、および請求項11の前記シール組立体を備える回転バルブを備える回転ガス分離装置を設けるステップと、
前記ガス分離装置に使用する前記処理ガス圧力に基づいて、各突起に対する処理ガスチャンバ表面積および活性化ガスチャンバ表面積を選択するステップと、
前記処理ガスチャンバ内に加圧処理ガスを周期的に流すステップと、
前記シール組立体と前記回転子との間に圧力均衡化した封止を確立するのに適した圧力で、前記活性化ガスチャンバ内に活性化ガスを流すステップと、
を有する方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法において、ローカルなネット閉鎖圧を、前記シール面の幅にわたって、前記ローカル処理ガス圧の約10%となるように発生することを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項18に記載の方法において、前記活性化ガスを、外部源から供給することを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項18に記載の方法において、前記活性化ガスチャンバの全てが、同じ圧力で活性化ガスを受容することを特徴とする方法。
【請求項22】
圧力スイング吸着装置用の吸着要素において、
複数の積層の層間にセパレーションを有する積層を備える積層吸着構体であって、前記積層の層は、吸着材料および支持体を有する、該積層吸着構体と、
前記積層吸着構体の端部に設けたスペーサ支持体であって、前記積層吸着構体の前記端部で前記積層の層間に貫入する、該スペーサ支持体と、
を備える吸着要素。
【請求項23】
請求項22に記載の吸着要素において、前記積層吸着構体は、前記積層体の渦巻き状巻回により構成したことを特徴とする吸着要素。
【請求項24】
請求項22に記載の吸着要素において、前記スペーサ支持体は、十字形状を有することを特徴とする吸着要素。
【請求項25】
請求項22に記載の吸着要素において、前記スペーサ支持体は、エポキシ樹脂で形成したことを特徴とする吸着要素。
【請求項26】
請求項23に記載の吸着要素において、前記巻回した積層吸着構体の両側の端部にスペーサ支持体を設けた吸着要素。
【請求項27】
請求項22に記載の前記吸着要素を形成する方法において、
前記積層吸着構体を設けるステップと、
液体樹脂を前記積層構体の前記端部に塗布するステップと、
前記液体樹脂を前記積層構体の前記端部内に貫入させるステップと、
前記レジンを硬化させるステップと、
を有する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【図21A】
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【図21B】
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【図22】
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【公表番号】特表2010−516453(P2010−516453A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−546623(P2009−546623)
【出願日】平成20年1月23日(2008.1.23)
【国際出願番号】PCT/CA2008/000148
【国際公開番号】WO2008/089564
【国際公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(509208273)ジーベック アドソープション インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】