説明

ガス器具

【課題】外れやすいもののゴム管をプラグユニットに接続すること自体は可能である。そのため、誤って接続した場合、ゴム管が接続されたものと誤解してガス器具の使用を開始したあとでゴム管が外れるおそれがある。また、故意にゴム管を接続したあと、何らかの方法でゴム管をプラグユニットに固定することも考えられる。
【解決手段】ガス通路を閉鎖する弁体4を設けると共に、継手部材Jをプラグ本体2に接続する際の筒状部材Cの突出によって弁体4を開弁させる可動子33を設け、かつゴム管をプラグ本体2に接続しようとした場合に、カバー3の開口部にゴム管が当たってゴム管の先端が開弁機構に接触することを阻止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス器具に取り付けられ、ガスコードの先端に設けられた継手部材が連結されるプラグユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスコードと呼ばれる強化されたゴム管の先端に継手部材を取り付けると共に、ガス器具側にプラグユニットを設けておき、継手部材をプラグユニットにワンタッチで着脱するようにしたものが知られている。このプラグユニットは通常のゴム管を取り付けるためのプラグより長さが短いため、誤ってプラグユニットにゴム管を接続すると、簡単に外れて使用することができない。ただし、プラグユニットにゴム管を連結して、さらにゴム管の外側からゴム管を締め付けるホース止めを用いれば一見接続されたかのように錯覚してしまう。そして、このようにホース止めで無理矢理ゴム管を留めた状態で使用すると、ゴム管が外れやすく、好ましくない。
【0003】
そこで、プラグユニットを囲繞する筒状のカバー部材をプラグユニットに固定して、誤ってプラグユニットにゴム管を接続しようとしても、カバー部材が邪魔になってホース止めを取り付けることができないようにすることにより、ゴム管が接続できなくするものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−63344号公報(図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載されたものでは、外れやすいもののゴム管をプラグユニットに接続すること自体は可能である。そのため、誤って接続した場合、ゴム管が接続されたものと誤解してガス器具の使用を開始したあとでゴム管が外れるおそれがある。また、故意にゴム管を接続したあと、何らかの方法でゴム管をプラグユニットに固定することも考えられる。ただし、このようにゴム管を固定したとしても確実に固定することはきわめて困難であり、ゴム管を接続したまま使用し続けることは好ましくない。
【0006】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、プラグユニットにゴム管を接続したとしてもガス器具にガスが供給されないようにしてガス器具が使用できなくすることのできるプラグユニットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明によるプラグユニットは、先端に進退自在に筒状部材を有し、連結状態ではこの筒状部材が先端側に所定距離突出する継手部材が連結されるプラグユニットにおいて、プラグユニットの内部に、ガス通路を閉鎖する弁部材を設けると共に、継手部材をプラグユニットに接続する際の筒状部材の突出によって弁部材を開弁させる開弁機構を設け、かつゴム管をプラグユニットに接続しようとした場合にゴム管の先端が開弁機構に接触することを阻止する阻止部材を設けたことを特徴とする。
【0008】
プラグユニットに継手部材を接続すれば筒状部材が開弁機構を作動させて弁部材を開弁させる。これにより、ガスコードから供給されるガスをガス器具側へ流すことができる。ゴム管を接続しようとした際には開弁機構が作動しないので弁部材は開弁されず、したがって、ゴム管から供給されるガスはガス器具側へと流れない。
【0009】
上記開弁機構に、筒状部材の突出により筒状部材に押されて移動する可動子を設け、この可動子に、可動子を戻す操作部を設けて、操作部に対する操作により筒状部材を継手部材側に押すことにより継手部材をプラグユニットから取り外すようにしてもよい。
【0010】
あるいは、弁部材の一部を筒状部材の突出位置に設けて、筒状部材で弁部材を直接押して移動させることにより弁部材を開弁させるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
以上の説明から明らかなように、本発明は、継手部材を接続した場合に弁部材を開弁させ、ゴム管を接続したのでは弁部材が開弁しないようにしたので、誤って、あるいは故意にゴム管をプラグユニットに接続してもガス器具が作動しないので、ゴム管の使用を阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施の形態の構成を示す図
【図2】第1の実施形態におけるプラグユニットの斜視図
【図3】その断面図
【図4】第2の実施形態におけるプラグユニットの斜視図
【図5】その断面図
【図6】第3の実施形態におけるプラグユニットの断面図
【図7】第3の実施形態に用いる弁部材の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1を参照して、ガス器具であるファンヒータFHの裏面にはガスコードが接続されるプラグユニット1が設けられている。図2を参照して、このプラグユニット1にはファンヒータFHに対して所定の回転角度範囲で回転自在に取り付けられたL字状のプラグ本体2が設けられている。図3を合わせて参照して、このプラグ本体2の先端部分を含めて囲うカバー3を設けた。このカバー3の開口部の内周面30の直径は継手部材Jの筒状部材Cの外径より大きく、かつ図示しないゴム管の外径より小さく設定されている。したがって、カバー3には筒状部材Cを挿入することはできるが、ゴム管を挿入することはできない。このようにカバー3が阻止部材として機能するようにした。
【0014】
カバー3の内部には継手部材Jをプラグ本体2に接続する際に、筒状部材Cにより押されて移動する可動子32が内蔵されている。この可動子32の外周面には等間隔で4個の操作部32aが突設されている。各操作部32aはカバー3に設けたスリット31を通って外部に突出しており、外部から操作部32aに触れることができると共に可動子32が移動する際のガイドとなっている。
【0015】
可動子32から図において上方に延びるアーム32bが設けられている。このアーム32bは先端が湾曲して、弁軸4に接触している。また弁軸4との接触面に対して反対側の面には突起32cが形成されている。そして、このアーム32bの先端をカバーするガード33が設けられており、さらにこのガード33の内面には突起33aが設けられている。
【0016】
一方、弁軸4の端部には弁部材である弁体41が取り付けられており、バネの付勢力により通常は閉弁状態で保持されている。継手部材Jをプラグ本体2に取り付ける際に、筒状部材Cが継手部材Jから突出する。すると可動子32は図において上方に押し上げられる。可動子32に対して一体に形成されているアーム32bも同時に上方に移動する。すると、アーム32bに設けた突起32cがガード33の突起33aに当接してアーム32bを図において右側に撓ませる。すると、アーム32bの撓みによって弁軸4が図において右側に押し込まれる。弁軸4の先端には弁体41が固定されているので、弁軸4の移動によって弁体41は開弁する。
【0017】
継手部材Jをプラグ本体2から外す際には、操作部32aを指で挟むことによって可動子32を図において下げる。すると、可動子32に押されて筒状部材Cが継手部材J側に戻され、継手部材Jがプラグ本体2から外れる。
【0018】
上記の構成の他、図4および図5に示す構成を採用しても良い。このものでは下カバー5aと上カバー5bとでプラグ本体2を囲み、内部に第1の可動子6と第2の可動子7とを内蔵した。なお、下カバー5aの開口部の内周面50の直径は上記の実施形態と同じく、ゴム管の外径より小さく設定しているので、下カバー5aが阻止部材として機能する。
【0019】
上記第2の可動子7には例えば4本の脚部71を設けておき、筒状部材Cに押されて第1の可動子6が上昇すると、第1の可動子6が脚部71の下端に当接して、第2の可動子7を押し上げるようにした。また、第2の可動子7の上面には操作部72が設けられており、第2の可動子7が押し上げられると、操作部72が上カバー5bから突出するようにした。
【0020】
第2の可動子7には弁軸4が連結されており、第2の可動子7が押し上げられると弁軸4の先端の弁体41が引き上げられて開弁するようにした。なお、継手部材Jを外す際には突出している操作部72を押し戻すことにより第2の可動子7および第1の可動子6を押し下げ、第1の可動子6で筒状部材Cを継手部材J側に押し戻すようにした。
【0021】
第3の実施の形態として、図6および図7に示す構成を採用しても良い。この構成では、図7に示すような弁体8を弁部材として用いた。この弁体8は円筒状の摺動部83とこの摺動部83の中心に位置する弁体部82とが4本の支持部84で相互に連結されている。また、プラグ本体2の先端部21を別部材として、この先端部21に突設した4本の連結棒22を介してプラグ本体2と先端部21とを連結した。
【0022】
図示のように、この連結棒22が支持部84の相互間に位置するように、プラグ本体2と先端部21とで弁体8を挟むと、弁体8は図示のように、プラグ本体2と先端部21との間に形成された隙間内を往復移動できる。そして、通常はバネの付勢力により弁体部82が閉弁状態になるようにした。
【0023】
継手部材Jを連結する際、筒状部材Cが突出すると、摺動部83に筒状部材Cが当接して、弁体8を図において上方に押し上げる。その結果、弁体部82は開弁状態にある。なお、摺動部83の外周を保護部材81で覆った。この保護部材81はゴム管より細く形成しているので、継手部材Jを取り付ける際に筒状部材Cは保護部材81内に入り込むことができるが、ゴム管は保護部材81に当接して摺動部83に接触することができない。すなわち、この保護部材81が阻害部材として機能する。そして、この実施の形態では、連結状態の筒状部材Cは露出しているので、継手部材Jを取り外す際には、筒状部材Cを直接把持して継手部材J側にスライドさせればよい。
【0024】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0025】
1 プラグユニット
2 プラグ本体
3 カバー
4 弁軸
5a 下カバー
5b 上カバー
6 可動子
7 可動子
8 弁体
32 可動子
41 弁体
C 筒状部材
FH ファンヒータ
J 継手部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に進退自在に筒状部材を有し、連結状態ではこの筒状部材が先端側に所定距離突出する継手部材が連結されるプラグユニットにおいて、プラグユニットの内部に、ガス通路を閉鎖する弁部材を設けると共に、継手部材をプラグユニットに接続する際の筒状部材の突出によって弁部材を開弁させる開弁機構を設け、かつゴム管をプラグユニットに接続しようとした場合にゴム管の先端が開弁機構に接触することを阻止する阻止部材を設けたことを特徴とするプラグユニット。
【請求項2】
上記開弁機構に、筒状部材の突出により筒状部材に押されて移動する可動子を設け、この可動子に、可動子を戻す操作部を設けて、操作部に対する操作により筒状部材を継手部材側に押すことにより継手部材をプラグユニットから取り外すようにしたことを特徴とするプラグユニット。
【請求項3】
弁部材の一部を筒状部材の突出位置に設けて、筒状部材で弁部材を直接押して移動させることにより弁部材を開弁させることを特徴とする請求項1に記載のプラグユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−210037(P2010−210037A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−57921(P2009−57921)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】