説明

ガス流量調節器における二次座

流体調節装置が、閉鎖動作が妨げられた際に二次のシールを提供するように構成されたバルブディスク(128)およびバルブポート(136)を備えており、バルブディスク(128)がバルブポート(136)のハウジング(260)部品に直接係合し、二次シールの完全性を最大にするとともに、既存のバルブポートのサイズおよび複雑さを好都合に低減する。バルブポート(136)が、ハウジング(260)およびハウジング(260)内にスライド可能に配置されたカートリッジ(262)を備えている。通常の閉鎖動作においては、バルブディスク(128)が、カートリッジ(262)によって保持された一次座に直接係合する。しかしながら、閉鎖動作が妨げられた際には、カートリッジ(262)がハウジング(260)の中へと押し込まれ、バルブディスク(128)が、カートリッジ(262)の下流の位置でハウジング(260)によって保持された二次座に直接係合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
2007年4月20日付の「Secondary Seat for Gas Regulator」という名称の米国特許仮出願第60/913,121号の優先権の利益が主張され、この米国特許仮出願の全内容が、ここでの言及によって本明細書に明示的に援用される。
【0002】
本発明は、ガス流量調節器に関し、さらに詳しくは、流量調節器を通過する流体の流れを閉じるための一次および二次の座を備える調節弁を有しているガス流量調節器に関する。
【背景技術】
【0003】
典型的なガス分配システムにおけるガス供給の圧力は、システムに対する需要、気候、供給源、および/または他の因子に応じて変動しうる。しかしながら、炉やオーブンなどのガス器具が備えられた最終消費者の施設の多くは、ガスが、所定の圧力に従って、システムに設置することができるガス流量調節器の最大能力以下で届けられることを必要とする。そのようなガス流量調節器は、届けられるガスが最終消費者の施設の要件に合致するように保証するために、これらの分配システムへと組み込まれる。従来からのガス流量調節器は、通常は、送り出されるガスの圧力を検出して制御するために、閉ループ制御のアクチュエータを備えている。
【0004】
閉ループ制御に加えて、従来からのガス流量調節器のいくつかは、安全弁を備えている。安全弁は、例えば流体分配システムの流量調節器または他の何らかの構成要素が故障したときに、過剰な圧力に対する保護を提供するように構成されている。すなわち、送出圧力が所定のしきい値圧力を超えて上昇する場合に、安全弁が開き、ガスの少なくとも一部を大気へと逃がし、系の圧力を低下させる。
【0005】
図1および図1Aが、1つの従来からのガス流量調節器10を示している。流量調節器10は、大まかには、アクチュエータ12および調節弁14を備えている。調節弁14が、導入口16、排出口18、およびスロート11を定めている。導入口16が、例えばガス分配システムからガスを受け取る。排出口18が、例えば1つ以上の器具を有する工場、レストラン、共同住宅、などといった最終消費者の施設へガスを届ける。また、調節弁14は、スロート11によって保持されるバルブポート36を、導入口16と排出口18との間に配置して備えている。ガスは、調節弁14の導入口16と排出口18との間を移動するために、バルブポート36を通過しなければならない。
【0006】
アクチュエータ12が、調節弁14の排出口18の圧力、すなわち出口圧力が、所望の出口圧力または制御圧力に従うことを保証するために、調節弁14へと接続されている。したがって、アクチュエータ12が、バルブ口34およびアクチュエータ口20を介して調節弁14に流体連通している。アクチュエータ12は、調節弁14の出口圧力を検出して調節するための制御アセンブリ22を備えている。具体的には、制御アセンブリ22が、ダイアフラム24と、ピストン32と、バルブディスク28を有する制御アーム26とを備えている。従来からのバルブディスク28は、おおむね円柱形の本体25および本体25に固定されたシールインサート29を備えている。ダイアフラム24が、調節弁14の出口圧力を検出する。さらに制御アセンブリ22は、検出される出口圧力をオフセットするために、制御ばね30をダイアフラム24の上面に係合させて備えている。したがって、所望の出口圧力(制御圧力と称することもできる)が、制御ばね30の選択によって設定される。
【0007】
ダイアフラム24が、制御アーム26へと作用可能に接続され、すなわちピストン32を介してバルブディスク28へと作用可能に接続されており、検出される出口圧力にもとづいて調節弁14の開きを制御する。例えば、最終消費者が、流量調節器10の下流のガス分配システムに需要を生じさせる炉などの器具を作動させると、流出量が増加し、結果として出口圧力が低下する。その結果、ダイアフラム24が、この出口圧力の低下を検出する。これにより、制御ばね30が伸びて、ピストン32および制御アーム26の右側を下方(図1の向きによる)へと動かすことができる。この制御アーム26の変位によって、バルブディスク28がバルブポート36から離れるように動かされ、調節弁14が開かれる。このように構成されることで、器具が、動作に必要とされる需要に応じて、バルブポート36を通って調節弁14の排出口18へとガスを引き出すことができる。
【0008】
図1Aが、従来からの流量調節器10の従来からのバルブポート36を示している。バルブポート36は、大まかには、ハウジング60、カートリッジ62、およびばね64を備えている。カートリッジ62が、バルブポート36が後述のとおり一次のシールならびに後備または二次のシールの両方をもたらすように構成されるように、ハウジング60内にスライド可能に配置される。ばね64が、カートリッジ62を図1Aに示されている位置へと付勢しているが、この位置が、バルブポート36の一次のシールの提供に相当する。
【0009】
ハウジング60は、六角ナット部66と、本体部68と、カーテン部70とを有する中空のおおむね円筒形のハウジングを含んでいる。本体部68が、段差76とリング状の凹所78とを定める内腔74を備えている。リング状の凹所78が、ハウジング60とカートリッジ62との間に気密をもたらすためのOリング83を収容している。さらに本体部68は、図示のとおりに調節弁14へと螺合させるための複数の雄ねじ72を備えている。したがって、ハウジング62のナット部66が、バルブポート36を調節弁14のスロート11へと設置するために、空気式ラチェットなどの工具を係合させるように構成されている。カーテン部70が、1対のレッグ82によってハウジング62の本体部68から離されているプレート80を備えている。プレート80が、例えばゴム面73を備える二次の座71を保持している。このように構成されて、カーテン部70は、ハウジング60に1対の窓84を定めている。窓84が、バルブポート36へと入り調節弁14を通過するガスの流れを可能にしている。
【0010】
図1Aに示した従来からのバルブポート36のカートリッジ62は、カートリッジ62を貫く中央のオリフィス88を定めている中空のおおむね円筒形の部材を含んでいる。カートリッジ62は、第1の部位62aおよび第2の部位62bを備えている。第1の部位62aの直径は、第2の部位62bの直径よりもわずかに小さい。したがって、第1および第2の部位62a、62bの間に段差86が位置している。段差86が、図示の位置においてハウジング60の段差76に当接することで、図1Aに矢印Aで示されている方向のカートリッジ62の変位が制限される。
【0011】
さらに、カートリッジ62の第1の部位62aは、外側が面取りされた面92と一次座94とを定める出口端90を備えている。一次座94が、図示のとおりにバルブディスク28が密に係合し、調節弁14を通過するガスの流れを停止させるように構成されている。第2の部位62bは、内側が面取りされた面98と座面95とを定める入り口端96を備えている。座面95が、一次座94がバルブポート36を閉じるための適切なシールをもたらすことができない場合に、二次座71のゴム面73に係合するように構成されている。
【0012】
例えば、使用時に、バルブディスク28が一次シール94に当接してシールを果たそうとするときに、破片または他の何らかの種類の異物が、バルブディスク28と一次シール94との間に引っ掛かる可能性がある。その結果、一次シールが、バルブポート36を通過するガスの流れを停止させることができず、流量調節器10の下流の圧力、すなわち出口圧力が上昇する。この上昇が、ダイアフラム24によって検出され、ダイアフラム24が、バルブディスク28をバルブポート36に向かってさらに押す。この力が、最終的にバルブポート36のばね64の力に打ち勝って、カートリッジ62をハウジング60に対して矢印Aと反対の方向に変位させる。変位が続くことで、カートリッジ62の第2の部位62bの座面95が、カーテン部70のプレート80によって保持されている二次座71のゴム面73に係合する。このように構成されて、カートリッジ62の二次座71が入り口端96を封じ、ハウジング60の窓84を通過するガスの流れを遮断して、調節弁14を通過するガスの流れを阻止する。さらに、Oリング83が、窓84に進入してバルブポート36のカートリッジ62とハウジング60との間を漏れるあらゆるガスの経路を封じる。一方で、ひとたび下流の需要が再び系に加わると、ダイアフラム24が出口圧力の低下を検出し、バルブディスク28をバルブポート36から離れるように動かす。ばね64が、カートリッジ62を付勢して図1Aに示されている位置へと戻し、バルブディスク28と一次座94との間にすでに引っ掛かっていた破片が、おそらくは解放され、調節弁14の下流へと流れる。このようにして、従来からの流量調節器10および従来からのバルブポート36は、一次シールの故障または不具合への後備のための二次シールをもたらしている。
【0013】
さらに、上述のように、図1に示した従来からの流量調節器10は、さらに安全弁として機能する。具体的には、制御アセンブリ22が、安全ばね40および放出弁42を備えている。ダイアフラム24が、その中央部に貫通する開口44を備えており、ピストン32がシールカップ38を備えている。安全ばね40が、ピストン32とダイアフラム24との間に配置され、通常の動作において、ダイアフラム24をシールカップ38へと付勢して、開口44を閉鎖している。例えば制御アーム26の破損などの不具合が生じると、制御アセンブリ22は、もはやバルブディスク28を直接制御することができず、流入する流れによってバルブディスク28が極端な開放位置へと動かされる。これにより、最大量のガスがアクチュエータ12へと流入するようになる。結果として、ガスがアクチュエータ12を満たすにつれて、圧力がダイアフラム24に対して蓄積し、ダイアフラム24をシールカップ38から離れるように押して、開口44を露出させる。その結果、ガスが、ダイアフラム24の開口44を通過し、放出弁42に向かって流れる。放出弁42は、図1に示されるとおり、バルブ栓46およびバルブ栓46を閉鎖位置へと付勢する放出ばね54を備えている。アクチュエータ12において放出弁42に隣接する圧力が所定のしきい値圧力に達すると、バルブ栓46が放出ばね54の付勢に逆らって上方へと変位して開き、ガスを大気へと排出し、流量調節器10内の圧力を下げる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
個々の用途における使用に合わせて流量調節器を選択する際の1つの考慮事項として、所定の出口圧力または制御圧力において流量を最大にすることが挙げられる。しかしながら、構造的な制約ゆえに、従来からのバルブポート36は、オリフィス88の直径をどれだけ大きくできるかに関して、制限されている。例えば、バルブポート36の1つの従来からの実施形態は、8分の7インチ(すなわち、7/8")の最大径を有するオリフィス88を備えることができる。
【0015】
例えば、バルブポート36のハウジング60の寸法は、多くの場合に、バルブポート36を調節弁14へと設置するために使用されるトルクの大きさによって規定される。具体的には、上述のように、バルブポート36を空気式のラチェットによって設置することができる。ねじ山72に隣接するハウジング60の本体部68の側壁が薄すぎると、空気式ラチェットによって生み出されるトルクによって、ハウジング60がせん断されてしまう可能性がある。したがって、ハウジング60の厚さが、カートリッジ62のオリフィス88の直径に影響し、したがって最大流量に影響するが、ハウジング60の側壁の所定の厚さにもとづいて制約される。さらに、上述のように、従来からのポート36は、ハウジング60に二次シールを用いる場合に漏れを防止するOリング83を収容するための凹所78を必要する。凹所78の位置および形状が、ハウジング60の側壁の構造的な完全性をさらに損なう可能性があり、したがってハウジング60の厚さを設計する際に考慮に入れられなければならない。
【0016】
さらに、バルブポート36の流量を最大にするために、窓84を導入口16からのガスの流れの中に実質的に配置しなければならない。したがって、バルブポート36のハウジング60が、カーテン部70および二次座71を保持しているプレート80が充分に調節弁14のスロート11を超えて延びるように寸法付けられる。このように構成されることで、カートリッジ62は、上述のとおり不具合が生じたときに図1Aに示されている位置から座面95が二次座71に係合する位置までスライドするために、適切に寸法付けられなければならない。そのような寸法は、バルブポート36の全体のサイズおよびコストを増大させる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、流体調節装置および/または流体調節装置のためのバルブポートを提供する。流体調節装置は、通常は、アクチュエータおよびバルブ本体を備えている。アクチュエータが、可動のバルブディスクを備えている。バルブポートが、バルブ本体内に配置されている。アクチュエータが、バルブディスクをバルブポートに対して変位させ、バルブ本体を通過する流体の流れを制御する。バルブポートが、カートリッジをハウジング内にスライド可能に配置して備えている。カートリッジが、系に需要が存在していないときにバルブ本体を通過する流れを停止させるための一次のシールをもたらすために、バルブディスクと係合する一次座を備えている。さらに、ハウジングが、後備のシールまたは二次のシールをもたらすための先端部を備えており、バルブディスクと一次座との間に障害物が存在する場合に、カートリッジがハウジングの中へとスライドし、バルブディスクがハウジングの先端部に密に係合して、後備のシールまたは二次のシールがもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】従来からのバルブポートを備えている従来からの流量調節器の側面断面図である。
【図1A】従来からのバルブポートを備えている図1の流量調節器の調節弁について、図1の円I-Aから得た側面断面図である。
【図2】本発明の原理に従って構成されたバルブポートの第1の実施形態を備えている流量調節器の側面断面図である。
【図2A】図2の流量調節器の調節弁について、図2の円II-Aから得た側面断面図であり、一次のシールをもたらしているバルブポートを示している。
【図2B】図2 Aの調節弁の側面断面図であり、二次のシールをもたらしているバルブポートを示している。
【図3】本発明の原理に従って構成されたバルブポートの第2の実施形態の側面断面図である。
【図4】本発明の原理に従って構成されたバルブポートの第3の実施形態の一部分の側面断面図である。
【図5】本発明の原理に従って構成されたバルブポートの第4の実施形態の一部分の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図2が、本発明の一実施形態に従って構成されたガス流量調節器100を示している。ガス流量調節器100は、大まかには、アクチュエータ102および調節弁104を備えている。調節弁104は、例えばガス分配システムからガスを受け取るための導入口106と、例えば1つ以上の器具を有する施設へガスを届けるための排出口108とを備えている。アクチュエータ102が、調節弁104へと接続され、制御要素127を有する制御アセンブリ122を備えている。第1の動作モードまたは通常の動作モードにおいて、制御アセンブリ122は、調節弁104の排出口108の圧力、すなわち出口圧力を検出し、出口圧力が所定の制御圧力にほぼ等しくなるように、制御要素127の位置を制御する。さらに、制御アセンブリ122の構成要素のうちの1つの破損など、システムに不具合が生じたときに、流量調節器100は、図1に示した流量調節器10の安全弁42に関して上述した安全機能とおおむね同様の安全機能を果たす。
【0020】
さらに図2を参照すると、調節弁104が、スロート110およびバルブ口112をさらに定めている。スロート110が、導入口106と排出口108との間に配置され、バルブポート136を収容する。バルブ口112が、調節弁104の導入口106および排出口108の軸におおむね垂直な軸に沿って配置された開口114を定めている。バルブポート136が、入り口端150と出口端152との間を延びる細長いオリフィス288(図2Aに特定されている)に沿った流路148を定めている。ガスは、調節弁104の導入口106と排出口108との間を移動するために、バルブポート136のオリフィス288を通過しなければならない。バルブポート136は、調節弁104の動作および流れの特性を個々の用途に合わせてあつらえるために、別の構成を有する別のバルブポートと交換できるよう、調節弁104から取り外すことが可能である。
【0021】
アクチュエータ102が、上述のとおり、ハウジング116および制御アセンブリ122を備えている。ハウジング116は、例えば複数の固定具によって一体に固定される上側ハウジング部品116aおよび下側ハウジング部品116bを含んでいる。下側ハウジング部品116bが、制御空洞118およびアクチュエータ口120を定めている。アクチュエータ口120が、アクチュエータ102と調節弁104との間に流体連通をもたらすように、調節弁104のバルブ口112へと接続される。ここに開示した実施形態においては、流量調節器100が、口112、120を一体に固定するカラー111を備えている。上側ハウジング部品116aが、安全空洞134および排気ポート156を定めている。さらに上側ハウジング部品116aは、後述のとおり制御アセンブリ122の一部を収容するためのタワー部158を定めている。
【0022】
制御アセンブリ122は、ダイアフラムサブアセンブリ121、ディスクサブアセンブリ123、および放出弁142を備えている。ダイアフラムサブアセンブリ121は、ダイアフラム124、ピストン132、制御ばね130、安全ばね140、複合ばね座164、安全ばね座166、制御ばね座160、およびピストンガイド159を備えている。
【0023】
さらに詳しくは、ダイアフラム124が、中央部に貫通する開口144を定めているディスク状のダイアフラムを含んでいる。ダイアフラム124は、可撓な実質的に気密の材料で構成され、外周がハウジング116の上側および下側ハウジング部品116a、116bの間に気密に固定されている。したがって、ダイアフラム124が、安全空洞134を制御空洞118から隔てている。
【0024】
複合ばね座164が、ダイアフラム124の上に配置され、ダイアフラム124の開口144と同心に位置する開口170を定めている。図2に示されているとおり、複合ばね座164は、制御ばね130および安全ばね140を支持している。
【0025】
ここに開示した実施形態のピストン132は、シールカップ部138と、ヨーク172と、ねじ山部174と、案内部175とを有するおおむね細長い棒状の部材を含んでいる。シールカップ部138は、凹状かつおおむねディスク状であり、ピストン132の中央部の周囲に周状に広がっており、ダイアフラム124のすぐ下方に位置している。ヨーク172が、後述のとおりダイアフラムサブアセンブリ121とディスクサブアセンブリ123との間の取り付けを可能にすべくディスクサブアセンブリ123の一部分へとつながるカプラ135を収容するように構成された空洞を備えている。
【0026】
ピストン132の案内部175およびねじ山部174は、ダイアフラム124および複合ばね座164のそれぞれの開口144、170を貫いて配置されている。ピストン132の案内部175が、ピストン132の軸を制御アセンブリ122の他の部分の軸に整列した状態に保つピストンガイド159の空洞に、スライド可能に配置されている。安全ばね140、安全ばね座166、およびナット176が、ピストン132のねじ山部174に配置されている。ナット176が、安全ばね140を、複合ばね座164と安全ばね座166との間に保持している。制御ばね130が、上述のように複合ばね座164の上に配置され、上側ハウジング部品116aのタワー部158内に位置している。制御ばね座160が、タワー部158へとねじ込まれ、制御ばね130を複合ばね座164に対して圧縮している。ここに開示した実施形態においては、制御ばね130および安全ばね140が、圧縮コイルばねを備えている。したがって、制御ばね130は、上側ハウジング部品116aを基礎として、複合ばね座164およびダイアフラム124へと下向きの力を加える。安全ばね140は、複合ばね座164を基礎として、安全ばね座166へと上向きの力を加え、これがピストン132へと加えられる。ここに開示した実施形態においては、制御ばね130によって生み出される力を、タワー部158内の制御ばね座160の位置を調節することによって調節でき、したがって流量調節器100の制御圧力を調節することができる。
【0027】
制御ばね130は、ダイアフラム124によって検出される制御空洞118の圧力に逆らって作用する。すでに述べたように、この圧力は、調節弁104の排出口108に存在する圧力と同じ圧力である。したがって、制御ばね130によって加えられる力が、出口圧力を流量調節器100の所望の圧力または制御圧力に設定する。ダイアフラムサブアセンブリ121は、上述のとおり、ピストン132のヨーク部172およびカプラ135を介してディスクサブアセンブリ123へと作用可能に接続されている。
【0028】
具体的には、ディスクサブアセンブリ123が、制御アーム126およびステムガイド162を備えている。制御アーム126は、ステム178、レバー180、および制御要素127を備えている。ここに開示した実施形態の制御要素127は、座面188を有するバルブディスク128を備えている。バルブディスク128は、例えば図1に関して上述したバルブディスク28と同様であってよい。ステム178、レバー180、およびバルブディスク128は、別々に作られて、制御アーム126を形成すべく組み立てられる。具体的には、ステム178が、先端部178aおよび凹所178bを有するおおむね真っ直ぐな棒であり、ここに開示した実施形態においては、凹所178bがおおむね矩形である。レバー180は、わずかに湾曲した棒であり、支点端180aおよび自由端180bを備えている。支点端180aが、下側ハウジング部品116bによって保持された枢支ピン186を収容する穴184を備えている。さらに、支点端180aは、楕円形の断面を有するナックル187を備えており、このナックル187が、ステム178の凹所178b内に配置される。自由端180bは、ピストン132のヨーク172へと取り付けられたカプラ135の上部135aとピン135bとの間に収容される。このようにして、カプラ135が、ディスクサブアセンブリ123をダイアフラムサブアセンブリ121へと作動可能に接続する。
【0029】
ステムガイド162は、おおむね円筒形の外側部162a、おおむね円筒形の内側部162b、および内側部162bと外側部162aとを接続する複数の放射状のウェブ162cを備えている。ステムガイド162の外側部162aが、調節弁104および下側ハウジング部品116bのそれぞれの口112、120内にはまり込むようなサイズおよび構成とされている。内側部162bは、制御アーム126のステム部178をスライド可能に保持するようなサイズおよび構成とされている。したがって、ステムガイド162は、調節弁104、アクチュエータハウジング116、および制御アセンブリ122(より詳しくは、制御アセンブリ122の制御アーム126のステム178)の整列を維持するように機能する。
【0030】
図2は、流量調節器100の下流の系に需要が生じていない通常動作の閉鎖位置にある流量調節器100を示している。したがって、バルブディスク128の座面188が、バルブポート136の出口端152に密に係合している。このように構成されて、ガスは、バルブポート136を通過して流れることがない。この構成は、ハウジング116の制御空洞118の圧力に相当し、ダイアフラム124によって検出される出口圧力が、制御ばね130によって加えられる力よりも大きいために実現される。結果として、出口圧力が、ダイアフラム124およびピストン132を、図示の閉鎖位置へと押す。
【0031】
しかしながら、例えば消費者が炉、ストーブ、などの器具の動作を開始させ、ガス分配システムに動作の需要が加わる場合には、器具が流量調節器100の制御空洞118からガスの流れを引き出し、結果としてダイアフラム124によって検出される圧力が低下する。ダイアフラム124によって検出される圧力が低下するにつれ、ダイアフラム124において制御ばねの力と出口圧力の力との間に力の不釣り合いが生じ、制御ばね130が伸びて、ダイアフラム124およびピストン132をハウジング116に対して下方へと変位させる。これにより、レバー180が枢支ピン186を中心にして時計回り方向に枢動し、これが、ナックル187をステム178の凹所178bに対して回転させる。これにより、バルブディスク128がバルブポート136の出口端152から離れるように動かされ、調節弁104が開かれる。このように構成されて、ガス分配システムは、制御ばね130によって設定される制御圧力で、調節弁104を通って下流の器具へとガスを届けることができる。さらに、ダイアフラムサブアセンブリ121は、調節弁104の出口圧力の検出を続ける。出口圧力が制御圧力にほぼ等しいままである限り、制御アセンブリ122は、バルブディスク128をバルブポート136の出口端152から離れた開放位置に平衡させている。
【0032】
例えば、流出量が増加し、すなわち需要が増加する場合、出口圧力が制御圧力を下回って低下する。ダイアフラムが出口圧力の低下を検出し、ばね130が伸びて、ダイアフラム124およびピストン132を下方へと動かし、制御要素127をバルブポート136から離れるようにさらに動かして、調節弁104をさらに開く。しかしながら、対照的に、流出量が減少し、すなわち需要が減少する場合には、出口圧力が制御ばね130によって設定される制御圧力を上回って増加する。ダイアフラム124が出口圧力の上昇を検出し、制御ばね130の付勢に逆らって上方に移動する。さらに、下流の需要が完全に停止した場合に、ガスが調節弁104を通って流れ続け、バルブディスク128を動かしてバルブポート136の出口端152に係合させるために充分に下流側の圧力を上昇させる。
【0033】
図2Aが、本発明の原理に従って構成されたバルブポート136の一実施形態を示している。バルブポート136は、大まかには、ハウジング260、カートリッジ262、およびばね264を備えている。カートリッジ262が、図2Aに示されている第1の位置と図2Bに示されている第2の位置との間でスライド可能にハウジング260内に配置されている。このように構成されて、バルブポート136は、後述されるとおり一次のシールならびに後備または二次のシールの両方をもたらすように構成されている。ばね264が、カートリッジ262を図2Aに示されている第1の位置へと付勢しているが、この位置が、一次のシールをもたらすための位置に相当する。
【0034】
ハウジング260が、先端部265と、六角ナット部266と、本体部268と、カーテン部270とを有するおおむね円筒形のハウジングを含んでいる。先端部265、ナット部266、および本体部268が協働し、あるいは組み合わせにおいて、内部空洞274を定めている。内部空洞274は、第1の部位274aおよび第2の部位274bを備えている。第1の部位274aの直径は、第2の部位274bの直径よりも小さい。したがって、本体部268が、第1および第2の部位274a、274bの間に位置する段差面276を備えている。
【0035】
第1の部位274aは、ハウジング260の先端部265からナット部266を貫いて長手方向に延び、内部空洞274の第2の部位274bを終端としている。第2の部位274bは、第1の部位274aの終端からハウジング260のカーテン部270まで長手方向に延びている。カーテン部270が、1対のレッグ282によってハウジング262の本体部268から離間したプレート280を備えている。ここに開示した実施形態のプレート280は、ばね座271として機能する中実な円板を備えている。このように構成されて、カーテン部270が、ハウジング260にバルブポート136へのガスの流入を可能にする1対の窓284を定めている。
【0036】
さらに、本体部268は、図示のとおりに調節弁104のスロート110へと螺合させるための複数の雄ねじ272をさらに備えている。したがって、ハウジング262のナット部266が、バルブポート136を調節弁104へと設置するために、空気式ラチェットなどの工具を係合させるように構成されている。
【0037】
図2、図2A、および図2Bに開示されているバルブポート136のカートリッジ262は、導管部262aおよびフランジ部262bを備えている。導管部262aは、おおむね円筒形であって、流れの経路148に沿った細長い中央オリフィス288を定めている。中央オリフィス288は、調節弁104の導入口116と排出口118との間の流体の流れを受け入れるように構成されている。さらに、導管部262aは、バルブポート136の出口端152と、外側が面取りされた面292とを保持している。出口端152が、例えば図2Aに示されるとおり、通常の動作の状態において調節弁104を通過するガスの流れを停止させるべくバルブディスク128が密に係合するように構成された一次の座294として機能する。
【0038】
フランジ部262bは、導管部262aの周囲を周状に広がる丈夫なディスク状の部材である。フランジ部262bは、ストッパ面285およびストッパ面285の反対側のばね座面287を備えている。圧縮コイルばねを備えることができるばね264が、カートリッジ262のフランジ部262bのばね座面287とハウジング260のカーテン部270のばね座271との間に保持されている。したがって、ばね264が、カートリッジ262を、カートリッジ262の出口端152がハウジング260の先端部265を超えて外へと延びる図2および図2Aに示されている第1の位置へと付勢している。この位置において、ストッパ面285がハウジング260の段差面276に当接し、ばね264から離れる方向のカートリッジ262の変位を制限している。
【0039】
図2Aおよび図2Bは、Oリング283などの気密シールをカートリッジ262のストッパ面285とハウジング260のばね座面276との間に配置して備えることができるバルブポート136の一実施形態を示している。必須でないが、そのようなOリング283は、カートリッジ262が図2Aに示されるとおりの第1の位置にあるときに、カートリッジ262とハウジング260との間にさらなるシールをもたらすことができる。Oリング283は、カートリッジ262が第2の位置(図2Bに示されるとおり、カートリッジ262のフランジ部262bがハウジング260の段差面276から離れる方向に移動して、段差面276から離れ、カートリッジ262の出口端152がハウジング260の先端部265へと引き込まれている)にあるときには、シールの機能をもたらさない。
【0040】
上述のように、バルブポート136のこの実施形態のハウジング160は、先端部265を備えている。先端部265は、大まかには、内部空洞274の第1の部位274aおよびカートリッジ262の出口端152に隣接してハウジング260のナット部266から延びている隆起部を備えている。先端部265が、第1の円錐台形部分265aと第1の円錐台形部分265aの内側に同心に配置された第2の円錐台形部分265bとを備えている。第1の円錐台形部分265aは、第1の角度αでハウジング260のナット部266から離れる方向に収束している。第2の円錐台形部分265bは、第2の角度βでハウジング260のナット部266から離れる方向に収束している。ここに開示した実施形態においては、第1の角度αが、第2の角度βよりも大きい。しかしながら、別の実施形態においては、第1の角度αが第2の角度βに等しくてもよく、さらには第2の角度βよりも小さくてもよい。いずれにせよ、第2の円錐台形部分265bは、第1の円錐台形部分265aよりもさらにナット部266から離れるように延びているおかげで、特定の不具合の状況下でバルブディスク128が係合するように構成された二次の座267を定めている。
【0041】
例えば、動作中に、流量調節器100がバルブディスク128を一次座294に密着させようとするときに、破片または他の何らかの種類の異物(図2Bにおいて、参照番号101によって確認できる)が、バルブディスク128と一次座294との間に引っ掛かる可能性がある。その結果、ガスがバルブポート136を通過して流れ続け、流量調節器100の下流の圧力、すなわち出口圧力が上昇する。この上昇が、ダイアフラム124によって検出され、ダイアフラム124が、バルブディスク128をバルブポート136に向かってさらに押す。この力が、最終的にバルブポート136のばね264の力に打ち勝って、カートリッジ262をハウジング260に対して変位させる。変位が続くことで、カートリッジ262が、図2Bに示されているとおり第2の位置へと押し込まれ、カートリッジ262の出口端152が先端部265へと引き込まれ、バルブディスク128が二次の座267に係合する。このように構成されて、バルブディスク128が二次の座267に密着し、カートリッジ262を通過するガスの流れを阻止し、したがって調節弁104を通過するガスの流れを阻止する。
【0042】
このように、図2、図2A、および図2Bに示した実施形態の流量調節器100およびバルブポート136は、カートリッジ262の下流のハウジング260上に二次の座267を好都合に提供する。ハウジング260のこの部位は、調節弁104へと直接接続され、図1および図1Aに関して上述した従来からのバルブポート36のカーテン部70によって支持されている従来からの二次座71を上回る構造的な完全性を有している。
【0043】
さらに、バルブポート136のハウジング260の二次座267は、バルブディスク128が二次座267に係合しているときのカートリッジ262とハウジング260との間の漏れの経路の可能性を排除している。対照的に、図1および図1Aに示した従来からのバルブポート36のカートリッジ62が二次の弁座71に密に係合する場合には、カートリッジ62とハウジング60との間の漏れを阻止するために、Oリング83が必要である。さらに、従来からのバルブポート36のOリング83は、凹所78を必要とする。上述のとおり、凹所78は、とくには空気式ラチェットなどの工具による設置に関して、ハウジング60の構造的な完全性に悪影響を及ぼす。具体的には、Oリング83、したがって凹所78を備えるために、ハウジング60の側壁(Oリング83および凹所78がないならば、薄くすることができる)に厚さが必要である。この従来からのハウジング60の厚い側壁が、オリフィス88の最大径を制限し、したがってバルブポート36の最大流量を制限する。結果として、従来からのバルブポート36について可能な流量の範囲が小さくなる。
【0044】
本発明のバルブポート136を、Oリング283を備えてもよいとして説明したが、バルブポート136は、そのようなOリング283も、ハウジング260の強度を損なう凹所も、必要としない。例えば、Oリング283が、カートリッジ262の半径方向外向きの側壁の周囲には配置されず、フランジ部262bのストッパ面285とハウジング260の段差面276との間に配置される。そのように配置され、Oリング283は、従来からのバルブポート36の凹所78およびOリング83が従来からのハウジング60の厚さに影響を及ぼす様相では、ハウジング260の側壁の厚さに影響を及ぼさない。
【0045】
さらに、Oリング283は、例えばカートリッジ262が図2および図2Aに示した通常の動作位置にある場合に限り、カートリッジ262とハウジング260との間に気密のシールを提供する。バルブディスク128が、図2Bに示されるとおりにカートリッジ262をハウジング260内へと移動させ、二次座267に係合するとき、Oリング283はシールの機能を提供しない。実際のところ、上述したとおり、バルブポート136の別の実施形態は、このような気密のシールを必要としない。
【0046】
したがって、本発明のこの実施形態のバルブポート136は、従来からのバルブポート36のOリング83と同様の気密なシールを必要としないため、より大きな範囲の流量をもたらし、より具体的には、より大きな最大流量をもたらす。例えば、図3が、本発明の原理に従って構成されたバルブポート236の第2の実施形態を示している。バルブポート236は、図2Aおよび図2Bに関して上述したバルブポート136に類似している。
【0047】
具体的には、図3に示したバルブポート236は、ハウジング360、カートリッジ362、およびばね364を備えている。カートリッジ362が、図2Aおよび図2Bに関して上述したカートリッジ262と同様に、ハウジング360内にスライド可能に配置されている。このように構成されて、バルブポート236は、一次のシールならびに後備または二次のシールの両方をもたらすように構成されている。ばね364が、カートリッジ362を図3に示されている位置へと付勢しているが、この位置が、一次のシールをもたらすための位置に相当する。
【0048】
ハウジング360が、先端部365と、六角ナット部366と、本体部368と、カーテン部370とを有するおおむね円筒形のハウジングを含んでいる。先端部365、ナット部366、および本体部368が協働し、あるいは組み合わせにおいて、内部空洞374を定めている。内部空洞374は、第1の部位374aおよび第2の部位374bを備えている。図3に示したバルブポート236の実施形態においては、第1の部位374aの直径が、第2の部位374bの直径よりもごくわずかに小さい。したがって、本体部368が、第1および第2の部位374a、374bの間に位置する段差面376を備えている。
【0049】
第1の部位374aは、ハウジング360の先端部365からナット部366を貫いて長手方向に延び、内部空洞374の第2の部位374bを終端としている。第2の部位374bは、第1の部位374aの終端からハウジング360のカーテン部370まで長手方向に延びている。カーテン部370が、1対のレッグ382によってハウジング362の本体部368から離間したプレート380を備えている。ここに開示した実施形態のプレート380は、ばね座371として機能する中実な円板を備えている。このように構成されて、カーテン部370が、ハウジング360にバルブポート236へのガスの流入を可能にする1対の窓384を定めている。
【0050】
さらに、本体部368は、例えば図2に示されるとおりに調節弁104のスロート110へと螺合させるための複数の雄ねじ372をさらに備えている。したがって、ハウジング362のナット部366が、バルブポート236を調節弁104へと設置するために、空気式ラチェットなどの工具を係合させるように構成されている。
【0051】
図3に開示のバルブポート236のカートリッジ362は、導管部362aおよびフランジ部362bを備えている。導管部362aは、おおむね円筒形であって、流れの経路148に沿った細長い中央オリフィス388を定めている。中央オリフィス388は、調節弁104の導入口116と排出口118との間の流体の流れを受け入れるように構成されている。さらに、導管部362aは、バルブポート236の出口端152(図2に関して上述したとおり)と、外側が面取りされた面392とを保持している。出口端152が、調節弁104を通過するガスの流れを停止させるべくバルブディスク128が密に係合するように構成された一次の座394として機能する。
【0052】
フランジ部362bは、フロー部362aの周囲を周状に広がる丈夫なディスク状の部材である。フランジ部362bは、ストッパ面385およびストッパ面385の反対側のばね座面387を備えている。圧縮コイルばねを備えることができるばね364が、カートリッジ362のフランジ部362bのばね座面387とハウジング360のカーテン部370のばね座371との間に保持されている。したがって、ばね364が、カートリッジ362を、図3に示されている位置へと付勢している。ストッパ面385がハウジング360の段差面376に当接し、ばね364から離れる方向のカートリッジ362の変位を制限している。
【0053】
図3は、カートリッジ362とハウジング360との間に配置される気密シールを含んでいないバルブポート236の実施形態を示している。そのような気密シールは、図2、図2A、および図2Bに示したバルブポート136の先の実施形態に関して上述したとおり、不要である。
【0054】
すでに述べたように、バルブポート236のこの実施形態のハウジング360は、先端部365を備えている。先端部365は、大まかには、内部空洞374の第1の部位374aおよびバルブポート236の出口端152に隣接してハウジング360のナット部366から延びている隆起部を備えている。先端部365が、第1の円錐台形部分365aと第1の円錐台形部分365aの内側に同心に配置された第2の円錐台形部分365bとを備えている。第1の円錐台形部分365aは、第1の角度αでハウジング360のナット部366から離れる方向に収束している。第2の円錐台形部分365bは、第2の角度βでハウジング360のナット部366から離れる方向に収束している。ここに開示した実施形態においては、第1の角度αが、第2の角度βよりも大きい。しかしながら、別の実施形態においては、第1の角度αが第2の角度βに等しくてもよく、さらには第2の角度βよりも小さくてもよい。いずれにせよ、第2の円錐台形部分365bが、第1の円錐台形部分365aよりもさらにナット部366から離れるように延びているおかげで、図2、図2A、および図2Bに示したバルブポート136の先の実施形態に関して上述したのと同様に、特定の不具合の状況下(破片がバルブディスク128と一次座394との間に引っ掛かった場合など)でバルブディスク128が係合するように構成された二次の座367を定めている。
【0055】
したがって、バルブポート236のこの実施形態のオリフィス388の直径は、図2、図2A、および図2Bに関して上述したバルブポート136のオリフィス288の直径よりも大きい。さらには、バルブポート236のこの実施形態のオリフィス388の直径は、図1および図1Aに関して上述した従来からのバルブポート36のオリフィス88の直径よりも好都合に大きい。このように構成されて、図3に示した実施形態のバルブポート236は、バルブポート136の先の実施形態ならびに従来からのバルブポート36の流量に比べ、大幅に大きい流量を有する。
【0056】
図3に示したバルブポート236のオリフィス388の直径が大きいと言うことは、カートリッジ362の導管部362aならびにハウジング360の先端部365の直径が大きいことを意味する。それでも、図3に示した実施形態のカートリッジ362およびハウジング360は、図2、図2A、および図2Bに関して上述したバルブポート136のカートリッジ262およびハウジング260と同様の様相で動作する。
【0057】
一実施形態において、図3に示したバルブポート236の実施形態のオリフィス388は、約1と8分の3インチ(すなわち、1と3/8")という最大径を有することができる。これは、カートリッジ362の半径方向外側の表面とハウジング360との間にOリングを収容するための凹所を設ける必要がなくなる(これが、ハウジング360の側壁の全体の厚さを減らすことにつながる)ことによって可能にされている。
【0058】
このように、本発明は、二次のシールの機能を果たしつつ、流量が大きく、かつ構造的な完全性も向上した汎用的なバルブポートを好都合に提供する。以上では、本発明に従って構成されたバルブポート136、236の種々の実施形態を、第1および第2の円錐台形部分265a、265b、365a、365bを備える先端部265、365を有しているハウジング260、360と、外側が面取りされたただ1つの面292、392を一次座294、394に隣接して備えている出口端152を有しているカートリッジ262、362とを含むものとして説明したが、別の実施形態は、別の幾何学的構成を備えることができる。
【0059】
例えば、図4が、本発明の原理に従って構成され、ハウジング460およびカートリッジ462を備えているバルブポート436の1つの別の実施形態の一部分の断面を示している。ハウジング460およびカートリッジ462は、図2〜3に関して上述したばね264、364などのばねと協働するように配置されるように構成されている。
【0060】
ハウジング460が、先端部465、ナット部466、および本体部468を備えている。さらにハウジング460は、図2〜3に関して上述したカーテン部270、370と同様のカーテン部を備えることができる。ハウジング460の先端部465は、大まかには、バルブポート436の出口端152の周囲を周状に延びるビードを備えている。先端部465は、ゴム製ビード、鋼製ビード、またはおおむね任意の材料で構成されたビードを備えることができる。さらに先端部465が、Oリングをハウジング460のナット部466へと取り付けて備えてもよい。
【0061】
図4は、カートリッジ462の導管部462aのみを示している。導管部462aは、おおむね円筒形であって、流れの経路148に沿った細長い中央オリフィス488を定めている。さらに、導管部462aは、バルブポート436の出口端152を保持している。出口端152が、調節弁104を通過するガスの流れを停止させるべくバルブディスク128が密に係合するように構成された一次の座494として機能する。カートリッジ462の出口端152のこの特定の実施形態は、外側が面取りされた第1および第2の面492a、492bを、平坦面492cによって隔てて備えている。外側が面取りされた第1の面492aが、平坦面492cに対して角度αに配置されている。外側が面取りされた第2の面492bは、平坦面492cに対して角度βに配置されている。ここに開示した実施形態においては、角度αが角度βよりも大きい。しかしながら、別の実施形態においては、角度αが角度βよりも小さくても、あるいは角度βに等しくてもよい。
【0062】
図5が、本発明に従って構成されたバルブポート536のさらに別の実施形態を示している。上述したバルブポート136、236、436と同様に、バルブポート536は、ハウジング560およびカートリッジ562を備えている。ハウジング560およびカートリッジ562は、図2〜3に関して上述したばね264、364などのばねと協働するように配置されるように構成されている。
【0063】
ハウジング560が、先端部565、ナット部566、および本体部568を備えている。さらにハウジング560は、図2〜3に関して上述したカーテン部270、370と同様のカーテン部を備えることができる。ハウジング560の先端部565は、大まかには、バルブポート536の出口端152の周囲を周状に延びるただ1つの円錐台形状の突起を備えている。
【0064】
図5は、カートリッジ562の導管部562aのみを示している。導管部562aは、おおむね円筒形であって、流れの経路148に沿った細長い中央オリフィス588を定めている。さらに、導管部562aは、バルブポート536の出口端152を保持している。出口端152が、調節弁104を通過するガスの流れを停止させるべくバルブディスク128が密に係合するように構成された一次の座594として機能する。カートリッジ562の出口端152のこの特定の実施形態は、外側が面取りされた面592aおよび平坦面592bを備えている。外側が面取りされた面592aが、平坦面592bに対して角度αに配置されている。さらに、図5に示されているとおり、バルブポート536は、Oリング583などの気密シールを、カートリッジ562とハウジング560との間に配置して備えてもよい。しかしながら、図2、図2A、および図2Bに関して説明したバルブポート136に関して上述したとおり、バルブポート536がバルブディスク128と一緒に二次のシールをもたらすとき、そのような気密シールを必要とせずに漏れの経路が封じられる。なぜならば、バルブディスク128が、実際にカートリッジ562の上流のハウジング560の先端部565に対して密着するからである。
【0065】
このように、図2〜5に示したバルブポート136、236、436、および536の種々の構成要素の特定の形状にかかわらず、バルブポート136、236、436、および536は、実質的に同様の様相で機能して、バルブポート136、236、436、および536の出口端152における一次シールと、それぞれのハウジング260、360、460、および560の先端部165、265、465、および565に対する二次のシールとを、好都合に提供する。この構成の少なくとも1つの利点として、図1および図1Aに関して上述した従来からのバルブポート36に比べ、先端部265、364、465、565の上部からカーテン部270、370、470、および570の底部までのハウジングの寸法がよりコンパクトである点が挙げられる。この寸法の低減は、バルブポート136、236、436、536の全体の材料、重量、梱包、およびコストを少なくするうえで役に立つ。
【0066】
なお、本明細書において説明した流量調節器100は、本発明の原理を取り入れた流体制御装置のあくまでも一例にすぎない。制御弁などの他の流体制御装置も、本発明の構造および/または利点からの恩恵を被ることが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導入口、排出口、および前記導入口と前記排出口との間に位置するスロートを定めているバルブ本体、
前記バルブ本体に配置され、第1の着座位置と第2の着座位置との間を前記バルブ本体に対して変位するように構成されたバルブディスク、
前記バルブ本体の前記スロートに配置されるバルブポートであって、ハウジングおよびカートリッジを備えており、該ハウジングが、前記バルブ本体に固定され、空洞を定めており、前記カートリッジが、当該バルブポートを流体が通過できるようにする細長いオリフィスを定めるとともに、前記ハウジングの前記空洞に配置されて、前記ハウジングから突き出す第1の位置と前記ハウジングへと引き込まれる第2の位置との間を変位するように構成されているバルブポート、
前記カートリッジによって保持され、前記バルブディスクが前記第1の着座位置にありかつ前記カートリッジが前記第1の位置にあるときに、前記バルブディスクと密に係合して前記バルブポートを通過する流体の流れを停止させる一次座、および
前記カートリッジの出口端の付近の位置において前記ハウジングによって保持され、前記バルブディスクが前記第2の位置にありかつ前記カートリッジが前記第2の位置にあるときに、前記バルブディスクと密に係合して前記バルブポートを通過する流体の流れを停止させる二次座
を備えている流体調節装置。
【請求項2】
前記バルブポートの前記カートリッジが、入り口端および出口端を、前記細長いオリフィスが該入り口端と該出口端との間を延びるように備えており、
前記ハウジングが、前記カートリッジの前記出口端の付近に配置された環状の突起を備えている請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記カートリッジの前記出口端が、該カートリッジが前記第1の位置にあるときに前記ハウジングの前記環状の突起を超えて突き出し、該カートリッジが前記第2の位置にあるときに前記ハウジングの中へと引き込まれる請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記二次座が、前記ハウジングの前記環状の突起によって保持されている請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記一次座および二次座のそれぞれが、前記カートリッジの前記入り口端とは反対側の位置に配置されている請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記バルブポートが、前記ハウジングと前記カートリッジとの間に配置されて前記カートリッジを前記第1の位置へと付勢するコイルばねをさらに備えている請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記ハウジングが、前記コイルばねが係合するばね座、および該ばね座の付近に配置されて流体が前記バルブポートを通って流れることができるようにする少なくとも1つの窓を備えている請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記ハウジングの前記環状の突起が、円錐台形状の先端部を備えている請求項2に記載の装置。
【請求項9】
前記バルブポートの前記ハウジングが、前記バルブ本体の前記スロートへと着脱可能にねじ込まれる請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記ハウジングの前記空洞が、段差面を定めており、前記カートリッジが、前記段差面と平行なストッパ面を定めており、該ストッパ面が、該カートリッジが前記第1の位置にあるときに前記ストッパ面に係合するように構成されている請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記バルブポートが、前記ハウジングの前記空洞の前記段差面と前記カートリッジのフランジ部の前記ストッパ面との間に配置されたOリングをさらに備えており、該Oリングが、前記カートリッジが前記第1の位置にあるときに該カートリッジと前記ハウジングとの間に流体を漏らさないシールをもたらすように構成されている請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記バルブ本体へと接続されたアクチュエータをさらに備えており、
該アクチュエータが、前記バルブディスクへと作用可能に接続され、前記バルブ本体の前記排出口の圧力の変化に応答して前記バルブディスクを前記第1および第2の着座位置の間で変位させるように構成されたダイアフラムを備えている請求項1に記載の装置。
【請求項13】
導入口、排出口、および前記導入口と前記排出口との間に位置するスロートを定めているバルブ本体、
前記バルブ本体に配置され、第1の着座位置と第2の着座位置との間を前記バルブ本体に対して変位するように構成されたバルブディスク、
前記バルブ本体の前記スロートに配置されるバルブポートであって、ハウジングおよび該ハウジング内に第1の位置と第2の位置との間をスライドできるように配置されたカートリッジを備えており、該カートリッジが、入り口端、出口端、および前記入り口端と前記出口端との間を延びていて、当該バルブポートを通過する流れの経路に沿って流体を流すことができる細長いオリフィスを定めているバルブポート、
前記バルブポートによって保持され、前記バルブディスクが前記第1の着座位置にありかつ前記カートリッジが前記第1の位置にあるときに、前記バルブディスクと密に係合して前記バルブポートを通過する流体の流れを停止させるように構成された一次座、および
前記バルブポートによって保持され、前記バルブディスクが前記第2の着座位置にありかつ前記カートリッジが前記第2の位置にあるときに、前記バルブディスクと密に係合して前記バルブポートを通過する流体の流れを停止させるように構成された二次座
を備えており、
前記一次および二次座が、前記流れの経路に沿った前記カートリッジの前記入り口端の下流の位置に配置されている流体調節装置。
【請求項14】
前記カートリッジの前記出口端が、前記一次座を保持しており、前記ハウジングが、前記二次座を保持している請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記ハウジングが、前記カートリッジの前記出口端の付近に位置する環状の突起を備えており、該環状の突起が、前記二次座を保持している請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記バルブポートが、前記ハウジングと前記カートリッジとの間に配置されて前記カートリッジを前記第1の位置へと付勢するコイルばねをさらに備えている請求項13に記載の装置。
【請求項17】
前記ハウジングが、前記コイルばねが係合するばね座、および該ばね座の付近に配置されて流体が前記バルブポートを通って流れることができるようにする少なくとも1つの窓を備えている請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記バルブポートの前記ハウジングが、前記バルブ本体の前記スロートへと着脱可能にねじ込まれる請求項13に記載の装置。
【請求項19】
前記ハウジングが、空洞を備えており、
前記カートリッジが、前記空洞に配置されており、
前記空洞が、段差面を定めており、
前記カートリッジが、前記段差面と平行なストッパ面を定めており、該ストッパ面が、該カートリッジが前記第1の位置にあるときに前記ストッパ面に係合するように構成されている請求項13に記載の装置。
【請求項20】
前記バルブポートが、前記空洞の前記段差面と前記カートリッジの前記ストッパ面との間に配置されたOリングをさらに備えており、該Oリングが、前記カートリッジが前記第1の位置にあるときに該カートリッジと前記ハウジングとの間に流体を漏らさないシールをもたらすように構成されている請求項18に記載の装置。
【請求項21】
前記バルブ本体へと接続されたアクチュエータをさらに備えており、
該アクチュエータが、前記バルブディスクへと作用可能に接続され、前記バルブ本体の前記排出口の圧力の変化に応答して前記バルブディスクを前記第1および第2の着座位置の間で変位させるように構成されたダイアフラムを備えている請求項13に記載の装置。
【請求項22】
バルブ本体およびアクチュエータを備えており、該アクチュエータが、前記バルブ本体に配置されたバルブディスクを含んでおり、該バルブディスクが、前記バルブ本体を通過する流体の流れを制御すべく前記バルブ本体に対して変位するように構成されている流体調節装置において使用されるように構成されたバルブポートであって、
空洞および環状の突起を備えているハウジング、
前記ハウジングの内部に配置され、入り口端と、出口端と、前記入り口端と前記出口端との間を延びていて、当該バルブポートを通って流体を流すことができるオリフィスとを備えており、前記出口端を前記環状の突起の付近の位置において前記ハウジングを超えて突き出させる第1の位置と前記出口端を前記ハウジングの中へと引き込む第2の位置との間を前記ハウジングに対して変位するように構成されているカートリッジ、
前記ハウジングと前記カートリッジの前記入り口端との間に配置され、前記カートリッジを前記第1の位置へと付勢するばね、
前記カートリッジの前記出口端によって保持され、前記カートリッジが前記第1の位置にあるときに、前記アクチュエータの前記バルブディスクと密に係合して当該バルブポートを通過する流体の流れを停止させるように構成された一次座、および
前記カートリッジの前記出口端の付近の位置において前記ハウジングの前記環状の突起によって保持され、前記カートリッジが前記第2の位置にあるときに、前記アクチュエータの前記バルブディスクと密に係合して当該バルブポートを通過する流体の流れを停止させるように構成された二次座
を備えているバルブポート。
【請求項23】
前記ハウジングが、前記ばねが係合するばね座、および該ばね座の付近に配置されて流体が当該バルブポートを通って流れることができるようにする少なくとも1つの窓を備えている請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記ハウジングの前記環状の突起が、前記二次座を保持している円錐台形状の先端部を備えている請求項22に記載の装置。
【請求項25】
前記ハウジングの前記空洞が、段差面を定めており、前記カートリッジが、前記段差面と平行なストッパ面を定めており、該ストッパ面が、該カートリッジが前記第1の位置にあるときに前記ストッパ面に係合するように構成されている請求項22に記載の装置。
【請求項26】
前記バルブポートが、前記ハウジングの前記空洞の前記段差面と前記カートリッジのフランジ部の前記ストッパ面との間に配置されたOリングをさらに備えており、該Oリングが、前記カートリッジが前記第1の位置にあるときに該カートリッジと前記ハウジングとの間に流体を漏らさないシールをもたらすように構成されている請求項25に記載の装置。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−525262(P2010−525262A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504282(P2010−504282)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/060857
【国際公開番号】WO2008/131246
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(591055436)フィッシャー コントロールズ インターナショナル リミテッド ライアビリティー カンパニー (183)
【Fターム(参考)】