説明

ガラスの接着を改善する方法

本発明は、反応射出成形品に清浄剤を塗布することを含む、接着のための支持体を製造する方法に関する。支持体は清浄剤の液体のいくらかまたはすべてを除去するために乾燥させられる。本発明は、また、2つの支持体を一緒に接着する方法に関する。塩基性溶液で1つの支持体の表面を清浄にした後に、下塗剤を清浄にされた表面または第二の支持体に塗布してもよい。その後、接着剤が支持体を一緒に結合するために使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2005年12月30日に出願された米国仮出願第60/755,225号に基づく優先権を主張し、その内容は引用によってここに組み入れられる。
本発明は、ガラスと支持体との間の接着を改善する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
産業界において、接着剤を用いた2つの部品の間の接着、特に(たとえば車両の窓における)ガラスと支持体との間の接着を改善するニーズが引き続き存在する。支持体を作るために反応射出成形(RIM)法を用いることができ、その支持体は次にガラスに接着される場合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
RIM法の1つの欠点は、金型から加工物の正常な分離を保証するために、表面用離型剤のような離型剤を必要とすることである。離型剤は、ガラスへの支持体の接着において用いられる接着剤および/または下塗剤の能力を妨げる傾向がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、反応射出成形部品に清浄剤を塗布することを含む、接着のための支持体を製造する方法に関する。支持体は清浄剤の液体のいくらかまたはすべてを取り除くために乾燥させられる。本発明は、また、2つの支持体を一緒に接着する方法にも関する。1つの支持体の表面を塩基性溶液で清浄にした後に、清浄にされた表面または第二の支持体に下塗剤を塗布してもよい。次に、支持体を一緒に結合するために接着剤が使用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本発明は、第二の部品と結合するための第一の部品を製造する方法を含む。その方法は、比較的塩基性の組成物(たとえば、7以上のpHを有する。)の清浄剤を、第一の部品に塗布することを含む。
【0006】
清浄剤は塩基および塩基のための溶媒を含む。好適な塩基としては、アルカリ金属水酸化物、水酸化アンモニウム、他の塩基、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムが好ましい。塩基を溶解するいかなる溶媒も好適である(たとえば極性溶媒)。低い蒸気圧の溶媒は溶媒の除去を容易にするので、低い蒸気圧を有する溶媒が好ましい。炭化水素およびアルコールは、好ましい種類の溶媒である(たとえばメタノール、プロパノールまたはブタノール)。1つの特に好ましい溶媒は、イソプロパノール(IPA)である。もちろん、それらの物質の組み合わせを溶媒として使用してもよい(たとえば、メタノールとイソプロパノール)。
【0007】
好ましい清浄剤組成物は、イソプロパノールの中に水酸化カリウムを含む。溶媒中の塩基の量は、溶媒中の塩基の溶解限度まで可能であるが、溶媒中の塩基の量は約10.0質量%未満が好ましい。溶媒中の塩基が約0.5質量%〜約5.0質量%の範囲(たとえば約1.5質量%)は、最も好ましい。
【0008】
さらに、清浄剤は、着色剤または蛍光剤を含んでもよい。それらは、清浄剤が塗布された箇所を、および清浄剤が十分に除去されたか否かを、紫外線または他の光源の下で識別するのを助けるために使用することができる。
【0009】
清浄剤の塗布は、モップ塗り(swabbing)、はけ塗り、浸漬、ナイフ塗布(doctor blading)、流し塗り(curtain coating)、ロール塗り(rolling)などのような適切な塗布技術を使用して遂行することができる。1つの実施態様においては、清浄剤は第一の部品の上に噴霧してもよい。別の特定の手法は、清浄剤を含ませた塗布用具(たとえば、布、パッド、ウェットペーパータオル、雑巾、スポンジなどの多孔性の部材)で第一の部品を拭く工程を含む。
【0010】
その方法は、また、支持体を乾燥させることを含んでもよい。支持体の乾燥は、布、パッド、ウェットペーパータオル、スキージー、雑巾、スポンジなどのような塗布用具を用いる接触工程(たとえば第二の拭く工程)の使用によってのような、清浄剤、清浄剤中の溶媒、またはその両方の一部またはすべてを除去することによって遂行することができる。1つの実施態様においては、塗布用具の第一の部分は清浄剤を塗布するために使用され、塗布用具の第二の部分は支持体を乾燥させるために使用される。その代わりに、対流熱、輻射熱、またはその両方による蒸発のような非接触工程が使用されてもよい。加えてまたはその代わりに、支持体を乾燥させるために溶媒の除去を容易にするために減圧が使用されてもよい。
【0011】
清浄剤の塗布と乾燥の間の時間は、1秒未満から数分(たとえば30分以上)の範囲で変えることができる。たとえば、それらの工程は、それらの工程の間に感知できる時間なしに、直ちに順々に行なってもよい。交替に、1つの工程の完了ともう1つの工程の開始の間に、気づくほどの時間が存在してもよい。1つの実施態様において、乾燥工程は、塗布工程の完了から1分以内に始まる。
【0012】
好ましい実施態様において、その方法は、塗布用具で清浄剤を塗り付け(wipe on)、そして塗布用具で清浄剤を拭き取る(wipe off)ことを含む。その際、塗布用具は、2つの拭く(wipe)工程の間で同一であってもよいし異なっていてもよい。
【0013】
第一の部品は、任意の適切な材料、たとえば金属(たとえば鋼)、セラミックス、プラスチック、複合材料(たとえば繊維または粒子強化材料、積層品など)、それらの組み合わせなどで作ることができる。適切なプラスチックとしては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、天然ゴム、エラストマー熱可塑性樹脂(たとえばポリ塩化ビニルまたは熱可塑性ポリウレタン)、またはそれらの組み合わせが挙げられる。強化された、強化されていない、充填剤入り、および充填剤を含まないプラスチックも、その部品用に使用することができる。第一の部品は望まれる用途において使用するために任意の適した形(たとえば、シート、フィルム、パネル、ブロック、成型品、造形品など)をとることができる。第一の部品の材料は、望まれる色を得るために顔料を含んでもよく、交替に、第一の部品は、塗料のような着色した被覆を含んでもよい。
【0014】
好ましくは、第一の部品は反応射出成形(RHM)法を使用して製造される。より好ましくは、第一の部品の材料は、RIM法から生じるエラストマー材料を含む。たとえば、イソシアネートプレポリマーとポリオールまたはアミンエーテルとの組み合わせは、ポリウレタンまたはポリ尿素を作るのに有用な他の成分と同様に有用であり得る。バイエル・マテリアル・サイエンス社(Bayer Material Science)から商業上入手可能な物質としては、Baydur(登録商標)、Prism(登録商標)、Bayflex(登録商標)、Bayfit(登録商標)およびBaytec(登録商標)の商標で売られているものが挙げられる。同様に、レクチセル社(Recticel)によって提供される物質もまた適している。金型から部品の分離を容易にするために、1つ以上の離型剤をその材料に混ぜてもよい。交替に、表面用離型剤が使用されてもよい(たとえば、RIM法を行う前に、それらは金型に塗布される。)。シリコーン系離型剤、ステアリン酸亜鉛含有離型剤などのような任意の適切な離型剤を使用することができ、たとえばケム・トレンド社(Chem-Trend)(ミシガン州ハウエル)によって提供されるものを例示できる。
【0015】
第二の部品は第一の部品と同一の材料であってもよい。その他に、第二の部品は、任意の適切な材料で作ることができ、たとえば、ガラス、および(メタ)アクリル酸エステルまたはポリカーボネートのような、透明または半透明のプラスチックが挙げられる。好ましくは、第二の部品は、ガラス、特に強化ガラスである。さらに、材料は、色、着色剤、引掻き傷防止剤、紫外線および熱吸収剤、接着促進剤、またはそれらの任意の組み合わせのような1つ以上の添加剤を含有してもよい。第二の部品は、色、硬い被膜、偏向被膜、引掻き傷防止被膜、耐薬品性被膜、反射被膜、輻射線吸収被膜(たとえば紫外線被膜)、またはそれらの任意の組み合わせなどのような1つ以上の被膜で被覆されていてもよい。
【0016】
1つの実施態様において、それらの部品の各々の表面は、所望により、清浄剤、接着剤または下塗剤を塗布する前に、前処理をしてもよい。この随意の処理としては、第二の部品のための清浄化および脱脂、プラズマ被膜、別の表面処理(たとえば下塗剤または塗料)の被膜、およびそれらの組み合わせを挙げることができる。
【0017】
それらの部品を一緒に接着するために使用される接着剤は、意図した用途に適した接着剤であればいかなる接着剤でもよい。それは、水系接着剤でもよいし、有機溶媒系接着剤でもよいし、その他の接着剤でもよい。それは、単一成分接着剤でもよいし、多成分接着剤(たとえば二液型接着剤)でもよい。多成分接着剤は、それらの成分を同時に使用してもよいし(たとえばエポキシ)、または順次使用してもよい。それは、空気硬化、水分硬化、熱硬化、輻射線硬化(たとえば赤外線または紫外線)、高周波硬化、溶媒損失硬化、またはその他の方法で硬化することができる。それは、溶融流動性でもよいし、液体でもよいし、フィルムでもよいし、粉末でもよいし、ペーストでもよいし、テープでもよいし、発泡体でもよいし、ゲルでもよいし、それ以外でもよい。それは、感圧接着剤であってもよいし、室温硫化接着剤であってもよいし、ホットメルト接着剤であってもよい。それは、用途によっては、構造用接着剤であってもよい。ここで接着剤という用語の使用は、本発明の範囲から、下塗剤または他の結合剤を排除するようには意図されないことを認識すべきである。
【0018】
別の実施態様においては、接着剤は、接着剤の硬化を開始させるために別個の操作を必要とするキュア・オン・デマンド接着剤であってもよい。たとえば、1つの実施態様においては、これは、組み立て中に破裂するカプセル化された硬化剤を使用することによって達成される。別の実施態様においては、これは、周囲条件に接着剤を曝露するために保護被膜を除去することによって達成される。硬化は、熱、赤外線もしくは紫外線源に、または剪断力などに接着剤を曝露することによって開始することができる。もちろん、キュア・オン・デマンド能力を有していない接着剤を用いる可能性も常にある。
【0019】
ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリオレフィン、エポキシ、エチレン酢酸ビニル、ウレタン、(メタ)アクリル(限定するものではないがシアノアクリレートを含む。)、シラン、シリコーン、チオエーテル、フルオロシリコーン、フルオロカーボン、それらの組み合わせなどのような任意の適切な接着剤の系統群から選択された接着剤を用いることができる。接着剤は、高温エポキシ樹脂、高温アクリル樹脂、ポリイミド、ハイブリッドポリイミド/エポキシ樹脂接着剤、エポキシノボラック/ニトリルゴム接着剤、ポリチオエーテルエポキシなどであってもよい。交替に、有機ボラン/アミン錯体および1種以上のオレフィン性不飽和を有する単量体、オリゴマーまたは重合体を含む接着剤を使用してもよい。その場合は、その錯体は、錯体を解離させる化合物または温度によって解離させられる。典型的な組成物は、発明の名称が「アミン有機ボラン錯体重合開始剤および重合性組成物」の米国特許第6,706,831号明細書およびその関連特許および出願に開示されており、それらは引用によってここに組み入れられる。
【0020】
1つの発明への手法において、高温接着剤、特に主成分が硬化したときに分解せずにまたは部品から離層せずに高温への暴露に耐えることができる樹脂であるような接着剤が用いられる。そのような樹脂の例としては(メタ)アクリル樹脂が挙げられる。好ましい接着剤はポリウレタンから選択されるが、ポリウレタンと混ぜられたケイ素(たとえばシロキサン)すなわちポリウレタン−ケイ素部分を含むポリウレタン接着剤が好ましい。より好ましいポリウレタン接着剤はシリル末端ポリウレタンを含み、最も好ましい接着剤はポリウレタン主鎖にグラフトされたシロキサンを含む。好ましいポリウレタン接着剤としては、ダウ・ケミカル社によってBETASEALTMの商標で販売されているもの、特にBETASEALTM15625が挙げられる。
【0021】
本発明と共に使用するのに適した下塗剤は、接着剤に合ったものである。たとえば、BETASEALTMの商標で販売されている下塗剤は、BETASEALTM接着剤と共に使用するのに好まましい。もちろん、複数の下塗剤を利用することができる。
【0022】
理論に束縛されることは望まないが、塩基性清浄剤の塗布は、第一の部品の表面の極性を増加させ、次には、特に第一の部品がプラスチック(たとえばRIMプラスチック)からなる場合には、第一の部品に接着剤または下塗剤が接着する能力を増加させると考えられている。また、清浄剤は、第一の部品(特にプラスチックの部品)の表面の湿潤性を改善し、それはまたその部品に接着する接着剤または下塗剤の能力を増加させるとも考えられている。また、清浄剤は、離型剤の使用によって導入されるかもしれないもののような部品の表面上に存在する任意の酸を中和するとも考えられている。また、最大の利点は、ポリウレタン接着剤と組み合わせてRIM法に従って作られたプラスチック上での清浄剤の使用において見いだされるとも考えられている。
【0023】
本発明は、また、2つの部品を一緒に接着する方法を含む。その方法は、第一の部品に清浄剤を塗布し、次に、第二の部品に第一の部品を接着することを含む。1つの実施態様においては、清浄剤が第一の部品に塗布された後、下塗剤(もし使用されるならば)が第一の部品に塗布される。次に、接着剤は第一の部品に塗布され、次に、第一の部品が第二の部品に接触した状態で置かれる。別の方法では、清浄剤が第一の部品に塗布された後、下塗剤(もし使用されるならば)および接着剤が第二の部品に塗布され、次に、第二の部品が第一の部品に接触した状態で置かれる。第一および第二の部品のいずれかまたは両方に下塗剤(もし使用されるならば)および接着剤を塗布する前に、両方の部品に清浄剤を塗布するような、他の様々な工程の組み合わせもまた、第一の部品を第二の部品と接着するのに適切である。接着剤の硬化時間は利用される接着剤によって決まる。好ましくは、接着剤は、接着部を破損せずに物品を取り扱うことができる程度に十分に硬化させられる。たとえば、接着剤は、約1分間超、約1時間超、約1日間超および/または約1週間超、硬化させられる。2つの部品を一緒に接着する工程は、物品の製造時に(たとえば自動車のOEMにおいて、または部品供給業者において)、または物品のアフターサービス交換または修理(たとえば窓の交換)の一部として行なうことができる。
【0024】
本発明は、また、開示された2つ以上の部品を一緒に接着する方法によって製造された物品に関する。1つの実施態様において、そのような物品としては、RIM部品を含む窓枠に接着された被覆された透明または半透明の車両窓が挙げられる。他の物品としては、枠に接着剤で接着されたレンズ、枠に接着された鏡、枠に接着剤で接着された構造用パネル、枠に接着された遮蔽板、それらの組み合わせなどを挙げることができる。枠は、任意の窓、レンズ、鏡またはその他のものの周囲を完全に囲んでもよいし、その一部だけを囲んでもよい。いったん一緒に接着されたならば、その部品は、窓、遮蔽板、レンズまたは構造物の上に、それらの中に、またはそれらの一部として使用するのための組立部品を、特に、自動車のような輸送車両で使用される組立部品を形成することができる。車両内では、組立部品としては、フロントガラス、サンルーフ、ムーンルーフ、側窓、リヤウインドウなどを挙げることができる。さらに、接着された部品は、使用者を物理的、化学的、および生物学的危険から保護するために使用される透明または半透明の防護壁を形成することもできる。特に、接着された部品は、保護用ヘルメットもしくはスーツの上に遮蔽板を、工業用機械の上に遮蔽板を、反応槽の上に遮蔽板を、または反応槽の中に窓を形成することができる。
【実施例】
【0025】
次の実施例は、本発明をより十分に説明するために提供され、特許請求の範囲を限定するものではない。別段の定めがない限り、部および百分率はすべて質量基準である。
【0026】
清浄剤は、清浄剤が使用されない状況と、および溶媒のみが使用される状況と比較される。重ね剪断接着試験は、SAE J1529試験法に従って行われ、迅速ナイフ接着試験はSAE J1720試験法に従って行われる。
【0027】
重ね剪断試験のために、RIM部品(たとえばRIM法によって製造されたプラスチック支持体)は、清浄剤または純イソプロパノールを含むパッドで拭き、その後フラッシュ乾燥(たとえば清浄剤を除去する雑巾の使用によって)する。その後、1つまたはそれ以上の下塗剤がRIM部品に塗布される。幅約6.3mm、高さ8mmの接着剤ビードを、RIM部品の幅に沿って、端から約6mm〜12mm塗布する。ガラス窓を接着剤の上に置き、試料を23℃、相対湿度50%の条件で7日間、硬化させる。初期硬化の後、試料を、重ね剪断試験に供し、またはさらなる耐候試験条件にさらす。
【0028】
1つの種類の耐候試験としては湿潤老化が挙げられる。これは、試料を初期硬化させ、続いて38℃および相対湿度100%で7日間耐候試験を行うことを含む。別の種類の耐候試験としては熱老化が挙げられる。これは、試料を初期硬化させ、続いて80℃および相対湿度50%で7日間耐候試験を行うことを含む。別の種類の耐候試験は、長期曝露であり、それは、初期硬化の後、試料をSAE J1885条件を利用する耐候試験機(WOM)室内に2000時間曝露することを含む。耐候試験の後、試料を重ね剪断試験に供する。
【0029】
次の4つの異なる清浄剤/下塗剤の系を比較する。
1)イソプロパノール(IPA)およびBETASEAL 43532下塗剤、
2)BETASEAL 43518およびBETASEAL 43520A下塗剤、
3)清浄剤およびBETASEAL 43538下塗剤、および
4)清浄剤および43520A下塗剤。
ただし、清浄剤はイソプロパノール中1.5質量%KOHであった(下記結果中では塩基拭きという。)。
各々の清浄剤/下塗剤の系は、次の5つの異なるRIM部品の上で試験される。
1)3836離型剤と共にRECTICEL LM 161、
2)3771離型剤と共にRECTICEL LM 161、
3)RIM 8離型剤と共にRECTICEL LM 161、
4)3836離型剤と共にRECTICEL LM 30、および
5)RIM 8離型剤と共にRECTICEL LM 30。
ケム・トレンド社製離型剤が使用される。BETASEAL 15625の形態のポリウレタン接着剤が、すべての重ね剪断試験に接着剤として使用される。
【0030】
重ね剪断試験は、インストロン試験機で1インチ/分(2.5cm/分)の引っ張り速度で行なわれる。
各々の清浄剤/下塗剤の4つの試料が、各々、次の一組の条件で行なわれる。
1)初期硬化、
2)熱老化、
3)湿潤老化、および
4)2000時間WOM(言及がなければ)。
各接着剤系について4つの試料の重ね剪断試験の結果は平均され、表1〜4において報告される。
【0031】
【表1】

【0032】
【表2】

【0033】
【表3】

【0034】
【表4】

【0035】
これらの表は、各比較例および清浄剤/下塗剤組み合わせについて接着部の強度をpsi表示で示す。これらの表は、接着度をも、凝集破壊(CF)の百分率として示す。CFにおいては、引っ張った結果、接着剤の内部に分離が生じる。清浄剤の使用は、清浄にされていない支持体の重ね剪断強さより良くないとしても、それに匹敵する重ね剪断強さを示した。更に、清浄剤の使用は、(接着層破損とは対照的に)凝集破壊のより高い百分率の形で破壊モードを改善した。特に清浄剤/下塗剤の組み合わせは、約350psi超、約500psi超、約750psi超の重ね剪断強さを示す。一方、その組み合わせは、少なくともある程度の凝集破壊を示すが、好ましくは約50%超のCF、より好ましくは約75%超のCF、最も好ましくは100%のCFを示す。
【0036】
迅速ナイフ接着試験のために、6.3mm(幅)×6.3mm(高さ)×100mm(長さ)の接着剤ビードを、清浄剤を使用して清浄にされかつ下塗りされたRIM部品の上に置く。接着剤は23℃および相対湿度50%の条件下で7日間硬化させる。その後、硬化したビードを、180°角度でビードの端を引き戻しながら45°角度で支持体まで貫通するようにカミソリ刃で切断する。切込は、支持体の上で3mm毎に入れる。接着度は凝集破壊(CF)の百分率として評価される。CFにおいては、切断および引っ張りの結果として、接着剤の内部に分離が生じる。重ね剪断試験に使用されたのと同一の清浄剤/下塗剤/接着剤/RIM部品の組み合わせを、同一の耐候試験条件で、迅速なナイフ接着試験に使用した。各接着剤および耐候試験条件の試料の1つを迅速ナイフ接着試験に供した。結果を、下記の表5〜8にまとめて示す。
【0037】
【表5】

【0038】
【表6】

【0039】
【表7】

【0040】
【表8】

【0041】
これらの表は、迅速ナイフ試験中に生じた破壊の種類および量を示す。たとえば、100CFは100%の凝集破壊を意味し、そして、スミアは接着層破損が生じたことを意味する。迅速ナイフ接着試験の結果は、RIM部品の組成、離型剤または耐候試験条件にかかわらず、清浄剤の使用が凝集破壊の程度を改善したことを示す。
【0042】
全体として、重ね剪断強さ試験および迅速ナイフ接着試験は、清浄剤が清浄にされていない支持体への接着に匹敵するまたはそれよりも良い重ね剪断強さ有する接着を与え、一方、広範囲のRIM部品および離型剤にわたって凝集破壊の割合の改善も与えることを示す。このように、清浄剤はRIM部品を含むもののようなエラストマー熱可塑性樹脂へのガラスの接着を改善するのに広く適用できる。
【0043】
複数の構成要素または工程の機能または構造が単一の構成要素または工程に組み合わせられてもよいし、または1つの工程または構成要素の機能または構造が複数の工程または構成要素に分離されてもよいことはさらに認識されるであろう。本発明はこれらの組み合わせのすべてを意図する。別段の言及がない限り、ここに描かれた様々な構造の寸法および形状は、本発明を限定するものではなく、他の寸法または形状も可能性がある。複数の構造の構成要素または工程は、単一の統合された構造または工程によっては提供されることができる。その代わりに、単一の統合された構造または工程は、別個の複数の構成要素または工程に分けてもよい。さらに、本発明の特徴は例証された実施態様のたった1つの文脈において記述されてきたかもしれないが、そのような特徴は所与の用途のための他の実施態様の1つ以上の他の特徴と組み合わせられてもよい。本明細書中の独特の構造の製作およびそれの操作もまた本発明に従う方法を構成することは、上記から認識されるであろう。本発明は、また、本明細書中の方法の実施から生じる中間体および最終生成物をも包含する。「含む」または「包含する」の使用は、また、列挙された特徴「から本質的になる」または「からなる」実施態様をも意図する。
【0044】
ここに提供された説明および例証は、本発明、その原理およびその実用化を他の当業者に知らせるために意図されている。当業者は、特定の使用の要件に最も適するように、本発明をその多くの形で適応させ応用してもよい。従って、示された本発明の特定の実施態様は、本発明を網羅したものでもなければ限定したものでもない。したがって、本発明の範囲は、上記の明細書を参照して決定されるべきではなく、むしろ、特許請求の範囲を参照して決定されるべきであり、特許請求の範囲に与えられる均等の範囲も含む。特許出願および刊行物を含むすべての記事および文献の開示は、すべての目的のために引用によって組み入れられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性の第一の支持体に清浄剤を塗布する工程、および第一の支持体から清浄剤の少なくとも一部を除去することによって第一の支持体を乾燥させる工程を含む接着のための支持体を製造する方法であって、清浄剤が少なくとも1つのアルコール中に約0.5質量%〜約5.0質量%の少なくとも1つの水酸化物から本質的になる溶液である、方法。
【請求項2】
前記の塗布する工程が、清浄剤を含む塗布用具で第一の支持体を拭くことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記の乾燥させる工程が塗布用具で第一の支持体を拭くことを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
熱可塑性の第一の支持体が離型剤と共に反応射出成形部品を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
清浄剤が、イソプロパノール中の水酸化カリウムから本質的になる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
清浄剤が、イソプロパノール中に約1.5質量%の水酸化カリウムを溶かした溶液から本質的になる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
反応射出成形部品が、少なくとも1つのイソシアネートプレポリマーと少なくとも1つのポリオールエーテルとの反応生成物である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
清浄剤を塗布した後に第一の支持体に下塗剤を塗布することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
表面用離型剤をその上に有する反応射出成形品を、イソプロパノール中に約1.5質量%の水酸化物を溶かした溶液から本質的になる清浄剤と接触させる工程を含む、接着のための支持体を製造する方法。
【請求項10】
接触させる工程が、清浄剤を含む塗布用具で前記成形品を拭くことを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
部品の表面を乾燥させる工程をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記の乾燥させる工程が塗布用具で前記成形品を拭くことを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
清浄にされた表面に下塗剤を塗布する工程をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
反応射出成形部品がポリウレタンを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つの水酸化物と少なくとも1つのアルコールから本質的になる塩基性溶液で第一の支持体の表面を清浄にする工程(ただし、第一の支持体は離型剤を含む反応射出成形部品である。)、
前記の清浄にされた表面または第二の支持体に下塗剤を塗布する工程(ただし、第二の支持体は透明なグラスパネルを含む。)、
第一の支持体と第二の支持体とを接着剤で結合する工程
を含む2つの支持体を接着する方法。
【請求項16】
前記の清浄にする工程が、前記塩基性溶液を含む塗布用具で前記表面を拭くことを含み、そして塗布用具で前記表面を拭くことによって前記表面を乾燥させることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記塩基性溶液が、イソプロパノール中の約1.5質量%の水酸化カリウムから本質的になる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記反応射出成形部品が、少なくとも1つのイソシアネートプレポリマーと少なくとも1つのポリオールエーテルまたはアミンエーテルとの反応生成物である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記反応射出成形部品がポリウレタンまたはポリ尿素を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記接着剤がポリウレタンを含む、請求項19に記載の方法。

【公表番号】特表2009−522417(P2009−522417A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548819(P2008−548819)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2006/062498
【国際公開番号】WO2007/079366
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】