ガラスラン
【課題】リヤ側コーナー部からフロント方向に斜めに延設される意匠モール部のドアパネルへの保持力を向上させたガラスランを提供する。
【解決手段】ガラスラン10は上辺部11とフロント側縦辺部12とリヤ側縦辺部13とフロント側コーナー部14とリヤ側コーナー部15と意匠モール部30から形成される。意匠モール部30の上端は、リヤ側コーナー部14に一体的に接続されるとともに、意匠モール部30の下部は、リヤ側縦辺部13よりもフロント側に位置するように傾斜して設けられる。意匠モール部30は、取付基部31と意匠リップ部32とを有する。取付基部31の車外側面に合成樹脂製の係止部材40を取付け、取付基部31と意匠リップ部32の間にアウターパネル2aの先端を挿入し、係止部材40によりアウターパネル2aの先端を係止する。
【解決手段】ガラスラン10は上辺部11とフロント側縦辺部12とリヤ側縦辺部13とフロント側コーナー部14とリヤ側コーナー部15と意匠モール部30から形成される。意匠モール部30の上端は、リヤ側コーナー部14に一体的に接続されるとともに、意匠モール部30の下部は、リヤ側縦辺部13よりもフロント側に位置するように傾斜して設けられる。意匠モール部30は、取付基部31と意匠リップ部32とを有する。取付基部31の車外側面に合成樹脂製の係止部材40を取付け、取付基部31と意匠リップ部32の間にアウターパネル2aの先端を挿入し、係止部材40によりアウターパネル2aの先端を係止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用ドアのドアフレームの内周に取付けられ、ドアフレームとドアガラスとの間をシールするガラスラン関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車ドアは図14に示すように、ドア1のベルトラインの上部にドアフレーム2が形成され、リヤドア1bにおいては、ドアフレーム2の上辺部におけるリヤ側に寄った部位の下面から下方にデビジョンバー7が延設されている。そして、リヤドア1bのデビジョンバー7のリヤ側の部分には固定して装着されるクォータードアガラス6が装着され、ドアフレーム2とデビジョンバー7のフロント側にはガラスラン110が嵌めこまれて、ドアガラス5が昇降自在に装着されている。
【0003】
そして、図14に示すように、クォータードアガラス6とドアフレーム2及びデビジョンバー7との間には、クォーターウエザストリップ150が装着されてその間をシールしている。また、ドアフレーム2及びデビジョンバー7には、ガラスラン110が装着されて、ドアガラス5との間をシールしている。
【0004】
しかしながら、この場合には、クォータードアガラス6、クォーターウエザストリップ150及びデビジョンバー7が必要であり、コストも高く、重量も大きくなっている。
そこで、デビジョンバー7を廃止して、ドアフレーム2のみで構成することが考えられるが、その場合には図15に示すように、デザイン等のため、ガラスラン210のリヤ側縦辺部213において、ガラスラン210の車外側カバーリップ226から一体的に意匠モール部230をフロント側に斜めに張り出して設けることが行われている。
【0005】
その場合には、リヤ側縦辺部213と意匠モール部230を形成するために、大型一体成型が必要である。大型一体成型においては、金型構造が複雑となり金型コストが増大するとともに、成形時間も長くなり生産性が低下する。さらに、リヤ側縦辺部213と意匠モール部230が一体的に形成されているため、ドアフレーム2への取付けのときに、リヤ側縦辺部213と意匠モール部230が別々に角度を変えて撓むことができず、柔軟性が悪く、ドアフレーム2への取付の手間がかかることになる。
【0006】
また、図16に示すように、自動車用ドアのガラスラン310において、リヤ側コーナー部315からリヤ側縦辺部313と意匠モール部330をフロント方向に斜めに延設するものが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながらこの場合においても、リヤ側縦辺部313から意匠モール部330を一体に形成しており、成形コストの増大や組付け性の低下が生じている。
【0007】
さらに、図17に示すように、自動車用ドアのガラスラン410において、リヤ側縦辺部413とアウターウエザストリップ460との接続部分で、車外側カバーリップ426を切除して、型成形で車外側カバーリップ426を形成して、アウターウエザストリップ460と一体的に成形するものが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、この場合には、単にアウターウエザストリップ460との接続部分のコーナー部において、リヤ側縦辺部413の車外側カバーリップ426とアウターウエザストリップ460とを接続するのみであり、ドアガラス5の一部を覆うような意匠モール部の全体を形成するものではない。
【0008】
また、図18に示すように、自動車用ドアのガラスラン510において、リヤ側縦辺部513とアウターウエザストリップ560との接続部分で、リヤ側縦辺部513をフロント側に斜めに形成するものが開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
しかしながら、このガラスラン510は、合成樹脂製の取付け部(モール部)520とゴム状弾性体のガラスシールリップ部530を別々に形成し、合体させるものであり、ドアフレーム2への組付け時に取付け部(モール部)520とガラスシールリップ部530の成形と組付けの手間がかかることとなる。
そのため、意匠モール部とリヤ側縦辺部を別々に形成し、ドアフレーム2のパネルに取付けることが考えられるが、意匠モール部のドアフレームのパネルへの保持力が十分でない場合がある
【特許文献1】特開2002−264661号公報
【特許文献2】特開平9−150634号公報
【特許文献3】特開2002−283852号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このため、リヤ側コーナー部からフロント方向に斜めに延設される意匠モール部のドアパネルへの保持力を向上させたガラスランが求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、自動車用ドアのドアフレームの内周に取付けられ、該ドアフレームとドアガラスとの間をシールするガラスランにおいて、
ガラスランは、押出成形で成形されドアフレームの上辺に取付けられる上辺部と、押出成形で成形されドアフレームのフロント側縦辺に取付けられるフロント側縦辺部と、押出成形で成形されドアフレームのリヤ側縦辺に取付けられるリヤ側縦辺部と、型成形で形成され上辺部とフロント側縦辺部を接続するフロント側コーナー部と、型成形で形成され上辺部とリヤ側縦辺部を接続するリヤ側コーナー部と、型成形で形成されリヤ側コーナー部からドアのベルトラインに取付けられたアウターウエザストリップまで延設されドアガラスの車外側に取付けられる意匠モール部から形成され、
意匠モール部の上端は、リヤ側コーナー部の形成時に一体的に接続されるとともに、意匠モール部の下部は、リヤ側縦辺部よりもフロント側に位置するように傾斜して設けられ、意匠モール部は、ドアフレームのアウターパネルに取付けられる取付基部と、取付基部のフロント側の側端から断面略L字形に車外側を取付基部に沿って一体的に形成される意匠リップ部とを有し、
取付基部の車外側面に合成樹脂製の係止部材を取付け、取付基部と意匠リップ部の間にアウターパネルの先端を挿入し、係止部材によりアウターパネルの先端を係止することを特徴とするガラスランである。
【0011】
請求項1の本発明では、ガラスランは、押出成形で成形されドアフレームの上辺に取付けられる上辺部と、押出成形で成形されドアフレームのフロント側縦辺に取付けられるフロント側縦辺部と、押出成形で成形されドアフレームのリヤ側縦辺に取付けられるリヤ側縦辺部と、型成形で形成され上辺部とフロント側縦辺部を接続するフロント側コーナー部と、型成形で形成され上辺部とリヤ側縦辺部を接続するリヤ側コーナー部と、型成形で形成されリヤ側コーナー部からドアのベルトラインに取付けられたアウターウエザストリップまで延設されドアガラスの車外側に取付けられる意匠モール部から形成される。このため、ドアガラスの昇降をドアガラスの周辺を保持するガラスランで保持してシールすることができるとともに、ドアガラスのリヤ側においてその一部をドアフレームのアウターパネルと意匠モール部でカバーして、見栄えを良くすることができる。
【0012】
意匠モール部上端は、リヤ側コーナー部の形成時に一体的に接続されるとともに、意匠モール部の下部は、リヤ側縦辺部よりもフロント側に位置するように傾斜して設けられる。このため、意匠モール部とリヤ側コーナー部を一緒に型成形する場合と比べて、リヤ側コーナー部を形成する金型を小さく構造を簡単にすることができ、成形が容易であるとともにコストも低減できる。また、意匠モール部とリヤ側コーナー部が一体であるため、その間に隙間が生ずることがなく、見栄えが向上する。
意匠モール部は、リヤ側縦辺部よりもフロント側に傾斜して形成され、ドアガラスのリヤ側部分を覆うことができる。さらに、ガラスランをドアフレームに取付けるときに、意匠モール部がリヤ側コーナー部を中心にしてリヤ側縦辺部とは別々に、角度を変えることができ、ガラスランをドアフレームに取付ける作業が容易である。
【0013】
意匠モール部は、ドアフレームのアウターパネルに取付けられる取付基部と、取付基部のフロント側の側端から断面略L字形に車外側を取付基部に沿って一体的に形成される意匠リップ部を有する。このため、取付基部と意匠モール部でアウターパネルを挟持して、ドアフレームのアウターパネルに意匠モール部が確実に取付けられ、意匠リップ部がアウターパネルの先端を覆うことができる。
【0014】
取付基部の車外側面に合成樹脂製の係止部材を取付け、取付基部と意匠リップ部の間にアウターパネルの先端を挿入し、係止部材によりアウターパネルの先端を係止する。このため、剛性の高く取付基部から突出した係止部材でアウターパネルの先端を係止することができ、アウターパネルを確実に係止することができる。
【0015】
請求項2の本発明は、係止部材は、板状の係止台部と、係止台部の上面に係止突部を突出して形成し、係止台部の下面に係止脚部を形成し、係止脚部を意匠モール部の取付基部の係止孔に挿入して、係止部材を取付基部に取付けたガラスランである。
【0016】
請求項2の本発明では、係止部材は、板状の係止台部と、係止台部の上面に係止突部を突出して形成したため、係止突部を取付基部から突出させることができ、アウターパネルの先端を係止突部で確実に係止することができる。
係止台部の下面の両端に係止脚部を形成し、係止脚部を意匠モール部の取付基部の係止孔に挿入して、係止部材を取付基部に取付けたため、係止脚部を係止孔に挿入するのみで容易に確実に取付けることができる。
【0017】
請求項3の本発明は、取付基部は、複数の切欠き部が形成され、隣接する一対の切欠き部と切欠き部を跨いで係止部材の係止台部と係止突部が取付けられ、隣接する一対の切欠き部のそれぞれの外側の係止脚部を取付基部に取付けたガラスランである。
【0018】
請求項3の本発明では、取付基部は、複数の切欠き部が形成され、隣接する一対の切欠き部と切欠き部を跨いで係止部材の係止台部と係止突部が取付けられ、隣接する一対の切欠き部のそれぞれの外側の係止脚部を取付基部に取付けられている。このため、一対の切欠き部部分でアウターパネルの先端を幅広く係止することができるとともに、一対の切欠き部部分にドアフレームの補強パネル等を挿入して、係止部材を保持して、より確実に意匠モール部をアウターパネルに取付けることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は上記のように、意匠モール部は、ガラスランの他の部分とは別に形成されて、リヤ側コーナー部の形成時に一体的に接続するとともにリヤ側縦辺部よりもフロント側に傾斜して設けられため、リヤ側コーナー部を形成する金型を小さく構造を簡単にすることができ、成形が容易であるとともにコストも低減でき、ガラスランをドアフレームに取付ける作業が容易である。
取付基部の車外側面に合成樹脂製の係止部材を取付け、取付基部と意匠リップ部の間にアウターパネルの先端を挿入し、係止部材によりアウターパネルの先端を係止するため、剛性の高く取付基部から突出した係止部材でアウターパネルの先端を係止することができ、アウターパネルを確実に係止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態における、ガラスランの全体図である。
【図2】本発明の実施の形態における、ガラスランのリヤ側コーナー部と意匠モール部の正面図である。
【図3】本発明の実施の形態における、ガラスランのリヤ側コーナー部と意匠モール部の背面図である。
【図4】本発明の実施の形態における、ガラスランの上辺部の断面図であり、図1のA−A線に沿った断面図である。
【図5】本発明の実施の形態における、意匠モール部の正面図である。
【図6】本発明の実施の形態における、意匠モール部の背面図である。
【図7】本発明の実施の形態における、意匠モール部の断面図であり、図6のE−E線に沿った断面図である。
【図8】本発明の実施の形態における、意匠モール部の断面図であり、図6のF−F線に沿った断面図である。
【図9】本発明の実施の形態における、意匠モール部の断面図であり、図6のG−G線に沿った断面図である。
【図10】本発明の実施の形態における、ガラスランの意匠モール部とリヤ側縦辺部をドアフレームに取付けた状態の断面図であり、図3のB−B線に沿った断面図である。
【図11】本発明の実施の形態における、ガラスランの意匠モール部とリヤ側縦辺部をドアフレームに取付けた状態の断面図であり、図3のC−C線に沿った断面図である。
【図12】本発明の実施の形態における、ガラスランの意匠モール部とリヤ側縦辺部をドアフレームに取付けた状態の接続部分の断面図であり、図3のD−D線に沿った断面図である。
【図13】本発明の実施の形態における係止部材であり、(a)は、係止部材の平面図であり、(b)は、係止部材の側面図であり、(c)は、(a)のH−H線に沿った断面図である。
【図14】従来の、自動車のリヤドアの側面図である。
【図15】従来のリヤドアに取付けるガラスランの正面図である。
【図16】従来の他のガラスランをリヤ側ドアに取付けたリヤ側部分の正面図である。
【図17】従来の他のガラスランをリヤ側ドアに取付けたリヤ側コーナー部の部分の正面図である。
【図18】従来の他のガラスランをリヤ側ドアに取付けたガラスランと取付部材の分解斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施の形態を図1〜図14に基づき説明する。
本発明を自動車のリヤドア1bで使用する場合を例に取り説明するが、本発明はフロントドア1aについても使用することができる。
図14は従来の自動車のリヤドア1bの側面図である。フロントドアとリヤドア1bの両方のベルトラインよりも上部には、ドアガラス5が昇降可能に設けられている。
リヤドア1bには、デビジョンバー7のフロント側に、上下方向に昇降して、ドア窓を開閉することができるドアガラス5と、デビジョンバー7のリヤ側のドアフレーム2とデビジョンバー7で形成される三角形の部分に固定されたクォータードアガラス6が設けられている。しかし、本発明では、このデビジョンバー7とクォータードアガラス6が廃止されて、リヤドア1bは昇降するドアガラス5のみとなる。
【0022】
本発明の実施の形態に使用するガラスラン10は、図1に示すように、押出成形で形成されドアフレーム2の上辺に取付けられる上辺部11と、押出成形で形成されドアフレーム2のフロント側縦辺に取付けられるフロント側縦辺部12と、押出成形で形成されドアフレームのリヤ側縦辺に取付けられるリヤ側縦辺部13を有する。また、上辺部11と、フロント側縦辺部12と、リヤ側縦辺部13は、直線状または略直線状に形成されたものが使用される。
【0023】
これらの押出成形部分をドアフレーム2に対応した形状となるように、フロント側とリヤ側のそれぞれのコーナー部分において、型成形により成形してそれぞれを接続してコーナー部が形成されている。即ち、型成形で形成され上辺部11とフロント側縦辺部12を接続するフロント側コーナー部14と、型成形で形成され上辺部11とリヤ側縦辺部13を接続するリヤ側コーナー部15が形成されている。上辺部11、フロント側縦辺部12及びリヤ側縦辺部13のそれぞれの断面形状の相違をコーナー部で連続的に変化させることにより接続している。
【0024】
さらに、リヤ側縦辺部13とは別に、型成形で形成されリヤ側コーナー部15からドアのベルトラインに取付けられた後述するアウターウエザストリップ60まで延設されドアガラス5の車外側に取付けられる意匠モール部30が形成されている。意匠モール部30は、リヤ側コーナー部15からリヤ側縦辺部13とは分離してドアガラス5の昇降角度とは異なる角度で形成されている。意匠モール部30の詳細については後述する。
【0025】
ガラスラン10の上辺部11、フロント側縦辺部12及びリヤ側縦辺部13の断面形状と、フロント側コーナー部14とリヤ側コーナー部15の断面形状とは基本的な形状は略同じである。上辺部11の断面形状を例にとり説明する。即ち、その本体は、図4に示すように、車外側側壁21と、車内側側壁22と、底壁23とから断面略コ字状に形成されている。
【0026】
さらに、車外側側壁21の先端付近から車外側シールリップ24が上記本体の断面略コ字状の内側に向けて延設されている。図1と図2に示すように、フロント側縦辺部12、フロント側コーナー部14、上辺部11、リヤ側コーナー部15及びリヤ側縦辺部13は、車外側シールリップ24が連続して形成される。このため、車外側シールリップ24によりドアガラス5の車外側面を連続してシールすることができ、上辺部11、フロント側縦辺部12及びリヤ側縦辺部13におけるシール性を確保している。
【0027】
車内側側壁22の先端から車内側シールリップ25が、車外側シールリップ24と同様に、上記本体の断面略コ字状の内側に向けて延設されて、図3に示すように、フロント側縦辺部12、フロント側コーナー部14、上辺部11、リヤ側コーナー部15及びリヤ側縦辺部13は、車内側シールリップ25が連続して形成される。ドアガラス5の車内側面をシールしている。
【0028】
また、図4に示すように、車外側側壁21の先端外面から車外側側壁21と略平行あるいは若干湾曲して車外側側壁21に沿って車外側カバーリップ26が形成されている。さらに、車内側側壁22の先端外面から車内側側壁22と略平行あるいは若干湾曲して車内側カバーリップ27が形成されている。そして、車外側側壁21と車外側カバーリップ26との間にドアフレーム2のアウターパネル2aの先端が挿入され、車内側側壁22と車内側カバーリップ27との間にドアフレーム2のインナーパネル2bの先端が挿入されている。車外側カバーリップ26は、フロント側縦辺部12、フロント側コーナー部14、上辺部11及びリヤ側コーナー部15まで連続して形成され、リヤ側縦辺部13とは連続せず、後述するように、意匠モール部30の意匠リップ部32と連続している。
【0029】
車外側側壁21の外面から車外側カバーリップ26の内面に向けて車外側保持リップ28、28が形成されている。車内側側壁22の外面から車内側カバーリップ27の内面に向けて車内側保持リップ29が形成されている。
このため、車外側側壁21の車外側保持リップ28、28と車外側カバーリップ26及び車内側側壁22の車内側保持リップ29と車内側カバーリップ27とでそれぞれドアフレーム2のアウターパネル2aとインナーパネル2bの先端を強く挟持してガラスラン10をドアフレーム2に保持して、ドアフレーム2から外れることを防止することができるとともに、ドアフレーム2の先端を覆い、先端部分の見栄えを向上させている。
【0030】
なお、上辺部11とフロント側縦辺部12では、車外側カバーリップ26と車内側カバーリップ27は大きく形成されているが、後述するようにリヤ側縦辺部13では、車外側カバーリップ26と車内側カバーリップ27は小さく形成され、アウターパネル2aとインナーパネル2bの先端を挟持してはいない。
【0031】
また、車外側側壁21と車外側シールリップ24は、車内側側壁22と車内側シールリップ25よりも小さく形成されている。このため、ドアガラス5が閉じたときにドアガラス5をドアフレーム2の車外側に近接して位置させることができ、ドアフレーム2とドアガラス5の段差を小さくして、走行時の気流の流れをスムースにして異音の発生を防止することができる。
【0032】
次に意匠モール部30について説明する。図2、3に示すように、意匠モール部30は、ガラスランの他の部分である上辺部11、フロント側縦辺部12及びリヤ側縦辺部13とは別に型成形で形成されて、リヤ側コーナー部15の型形成時にリヤ側縦辺部13と一緒にリヤ側コーナー部15に一体的に接続される。
【0033】
リヤ側縦辺部13は、ドアフレーム2のリヤ側縦辺に沿って、ドアガラス5のリヤ側端を挟持するようにドアガラス5の昇降角度と同じ角度で下方に向かって延設される。意匠モール部30は、ドアガラス5の車外側面に沿って、リヤ側縦辺部13よりもフロント側に傾斜して設けられる。このため、リヤ側縦辺部13と意匠モール部30はリヤ側コーナー部15の部分の下端から離れて角度を変えて形成されている。
【0034】
これにより、ドアガラス5をドアフレーム2に取付けるときに、アウターパネル2aに沿って、意匠モール部30がリヤ側コーナー部15を中心にしてリヤ側縦辺部13から離れて角度を変えて撓ませることができ、ガラスラン10をドアフレーム2に取付ける作業が容易である。また、ドアガラス5のリヤ側の下部のコーナー部分をアウターパネル2aの先端で覆うことができる。
【0035】
図5〜図12に示すように、意匠モール部30は、ドアフレーム2のアウターパネル2aに取付けられる取付基部31と、取付基部31のフロント側の側端から車外側方向と取付基部31に沿って断面L字形に一体的に形成される意匠リップ部32と、取付基部31の車内側面から延設されドアガラス5の車外側面に当接するシールリップ部34を有する。
【0036】
取付基部31とシールリップ部34との間には取付凹部33が形成され、後述するように取付凹部33にはアウターパネル2aの先端が挿入される。このため、アウターパネル2aの先端を意匠リップ部32と取付基部31で保持することができ、意匠モール部30を確実に保持することができるとともに、アウターパネル2aの先端を覆うことができる。
【0037】
意匠リップ部32は、上端がリヤ側コーナー部15の車外側カバーリップ26と連続して形成され、下端がアウターウエザストリップ60と当接する。このため、フロント側縦辺部12、フロント側コーナー部14、上辺部11及びリヤ側コーナー部15のそれぞれの車外側カバーリップ26と連続して意匠リップ部32がカバーリップを形成し、さらに後述するアウターウエザストリップ60までカバーリップを連続させることができ、ドアガラス5の周囲を取り囲むアウターパネル2aの先端部分を連続した所定の幅のカバーリップで覆うことができ、見栄えがよい。
【0038】
意匠リップ部32の下端は、図5と図6に示すように、フロント側に湾曲して下端コーナー部38を形成し、アウターウエザストリップ60と当接する。アウターウエザストリップ60は、図9に示すように、アウターパネル2aの外面を覆う車外側リップ61と、車外側リップ61の上端から延設されドアガラス5の車外側面に当接するシールリップ62と、車外側リップ61の上端から下方に延設されアウターパネル2aを挟持する取付基部63を有する。
【0039】
下端コーナー部38の先端の意匠リップ部32は、アウターウエザストリップ60の車外側リップ61の先端とは、当接してカバーバンド64にて連結される。このため、ドアフレーム2のリヤ側縦辺部13とドア1のベルトラインとのコーナー部を円弧状のスムースなラインとすることができ、見栄えがよい。
【0040】
意匠モール部30の取付基部31には、図5と図6に示すように、意匠リップ部32が延設された側と反対側の側端から複数の切欠き部35が形成されている。切欠き部35が形成されている部分の断面形状を図7に示す。図8に示すように、切欠き部35と切欠き部35の間には、保持片36が延設されている。2つの切欠き部35を跨いで、取付基部31の上に合成樹脂製の係止部材40が嵌め込まれている。
切欠き部35は、図5と図6に示すように、2つ毎に一対として形成され、その一対の両方の外側に後述する係止部材40を取付ける係止孔39が形成されている。
【0041】
係止部材40は図13に示すように、板状の係止台部41の上面に係止突部42が形成され、係止台部41の下面の両端に係止脚43が形成されて、係止台部41の中央部から横方向に舌状に係止片部44が延設されている。係止部材40の係止脚43は、意匠モール部30の取付基部31の切欠き部35の両側に設けられた係止孔39に挿入され係止部材40が取付けられる。
【0042】
図8に示すように、係止部材40の係止片部44が保持片36の上部に位置する。保持片36には、係止突部37が形成され、係止部材40のずれを防止している。
この部分ではドアフレーム2の補強パネル2cの先端は、アウターパネル2aの先端が折れ曲って包み込まれて、係止部材40と意匠モール部30の取付基部31よりも車外側に位置している。
【0043】
図11は、図6に示すように保持片36に部分における断面図である。この部分ではドアフレーム2の補強パネル2cの先端は、係止部材40と意匠モール部30の取付基部31よりも車内側(下側)に位置している。そして図10の場合も図11の場合もアウターパネル2aの先端が折れ曲った先端部分が係止部材40の係止台部41に係止されている。このため、補強パネル2cにより係止部材40が保持されて、係止部材40によりアウターパネル2aの先端が確実に係止される。
【0044】
取付基部31には、複数の切欠き部35が形成され、隣接する一対の切欠き部35と切欠き部35を跨いで係止部材40が取付けられている。係止脚43は、取付基部31の係止孔39に挿入されている。そして、係止突部42は、一対の切欠き部35と切欠き部35の奥に近接して、取付けられている。そのため、一対の切欠き部35の長さに形成された係止突部42でアウターパネル2aの先端を幅広く係止することができる。
【0045】
意匠モール部30の取付基部31の下端部31aは、板状に広がって形成され、クリップ孔31bが形成されている。クリップ孔31bにクリップを挿入して、ドアフレーム2の補強パネル2cに下端部31aを取付けることができる。
【0046】
図7と図8に示すように、取付基部31の下面からフロント方向にシールリップ部34が延設され、ドアガラス5の車外側面に当接する。このため、取付基部31をドアフレーム2のアウターパネル2aに取付けて、シールリップ部34でドアガラス5の表面から雨水等がドアフレーム2内部に進入することを防止できる。
【0047】
シールリップ部34のドアガラスと当接する部分に低摺動部材を設けることができる。低摺動部材は、短繊維の植毛、シリコン樹脂膜のコーティング、ウレタン樹脂膜のコーティング等を使用することができる。この場合には、ドアガラス5の昇降時に、ドアガラス5とシールリップ部34の摺動抵抗を減少させ、ドアガラス5がスムースに摺動して、異音等の発生を防止することができる。
【0048】
次に、図10〜図12に基づき、ガラスラン10のリヤ側縦辺部13と意匠モール部30をドアフレーム2に取付けた状態を説明する。
図12は、リヤ側縦辺部13と意匠モール部30がリヤ側コーナー部15と接続する部分の断面図である。この接続する部分では、リヤ側縦辺部13と意匠モール部30が連続しており、リヤ側縦辺部13の車外側側壁21と意匠モール部30の取付基部31が連続して形成されている。
【0049】
車外側側壁21と取付基部31が連続して形成されている。このため、アウターパネル2aの先端は、リヤ側コーナー部15から連続して意匠モール部30の取付基部31へ当接して、保持されることができる。インナーパネル2bは、リヤ側コーナー部15から連続して車内側側壁22と車内側カバーリップ27で挟持される。
【0050】
図10と図11は意匠モール部30の切欠き部35付近の断面図であり、それぞれ図3のB−B線とC−C線に沿った断面図である。リヤ側縦辺部13と意匠モール部30は分離して取付けられており、リヤ側縦辺部13は、ドアフレーム2のインナーパネル2bに設けられたリテーナ3に取付けられている。車内側側壁22と底壁23がリテーナ3により保持され、車外側側壁21は、補強パネル2cにより保持されている。
【0051】
ドアフレーム2のアウターパネル2aの先端がヘヤピン状に補強パネル2cの先端を包んで形成された先端部2dが、意匠モール部30の取付凹部33に挿入されて、意匠モール部30はドアフレーム2に取付けられている。
意匠モール部30の複数の切欠き部35と切欠き部35の間には、保持片36が形成され、保持片36は補強パネル2cの先端で保持されている。このため取付基部31が安定してドアフレーム2に保持される。
意匠モール部30のシールリップ部34はドアガラス5の車外側面に当接している。
ドアガラス5の車内側は、ガーニッシュ8が取付けられている。ガーニッシュ8でガラスラン10を車内側からカバーして、美観を向上させている。
【0052】
次に、ガラスラン10の製造方法について説明する。
ガラスラン10は、まずその直線部である上辺部11、フロント側縦辺部12及びリヤ側縦辺部13を押出成形により成形し、その後、コーナー部を型成形する。
ガラスラン10の直線部の成形においては、成形材料は、合成ゴム、熱可塑性エラストマー、軟質合成樹脂が使用され、例えば合成ゴムでは、EPDMゴム、熱可塑性エラストマーでは、オレフィン系エラストマー、軟質合成樹脂では、軟質塩化ビニル等が使用される。
合成ゴムの場合は、押出成形後に加硫槽に搬送されて、熱風や高周波等により加熱されて加硫が行われる。熱可塑性エラストマー、軟質合成樹脂の場合は、冷却され固化される。その後所定の長さに切断されて、押出成形部分は製造される。
【0053】
次に、ガラスラン10のフロント側コーナー部14とリヤ側コーナー部15の型成形部分の成形は、上記により製造された押出成形部材を所定寸法に切断して、その切断した押出部分の端部を、型成形部分を成形する金型に挟持して、その金型のキャビティーに、型成形部分を形成するソリッド材を注入する。型成形部分の断面形状は押出成形部分の断面形状と略同じである。成形材料は、押出成形部分に使用した材料と同じ種類のものを使用することが好ましい。熱可塑性エラストマー、軟質合成樹脂の場合は、金型に注入されたときに注入材料は溶融されているため、その熱と圧力とで押出成形部分と型成形部分は一体的に融着される。
【0054】
ガラスラン10の押出成形部がEPDMゴムまたはオレフィン系熱可塑性エラストマーで形成される場合は、ガラスラン10のコーナー部は、オレフィン系熱可塑性エラストマーで形成することが好ましい。この場合は、同種の材料であり、ガラスラン10の直線部分とコーナー部の接着性がよい。また、いずれもオレフィン系の材料であり、耐候性がよく、同時に粉砕処理ができ、リサイクル容易な製品を得ることができる。オレフィン系熱可塑性エラストマーの場合は、加硫が不要のため、製造が容易である。
合成ゴムの場合は、金型に注入した後に金型を加熱して加硫する。このとき、押出成形部分と型成形部分は同じ材料あるいは同種類の材料を使用しているため、加硫接着をすることができ、一体的に固着することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 ドア
2 ドアフレーム
5 ドアガラス
10 ガラスラン
11 上辺部
13 リヤ側縦辺部
15 リヤ側コーナー部
30 意匠モール部
31 取付基部
32 意匠リップ部
34 シールリップ部
60 アウターウエザストリップ
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用ドアのドアフレームの内周に取付けられ、ドアフレームとドアガラスとの間をシールするガラスラン関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車ドアは図14に示すように、ドア1のベルトラインの上部にドアフレーム2が形成され、リヤドア1bにおいては、ドアフレーム2の上辺部におけるリヤ側に寄った部位の下面から下方にデビジョンバー7が延設されている。そして、リヤドア1bのデビジョンバー7のリヤ側の部分には固定して装着されるクォータードアガラス6が装着され、ドアフレーム2とデビジョンバー7のフロント側にはガラスラン110が嵌めこまれて、ドアガラス5が昇降自在に装着されている。
【0003】
そして、図14に示すように、クォータードアガラス6とドアフレーム2及びデビジョンバー7との間には、クォーターウエザストリップ150が装着されてその間をシールしている。また、ドアフレーム2及びデビジョンバー7には、ガラスラン110が装着されて、ドアガラス5との間をシールしている。
【0004】
しかしながら、この場合には、クォータードアガラス6、クォーターウエザストリップ150及びデビジョンバー7が必要であり、コストも高く、重量も大きくなっている。
そこで、デビジョンバー7を廃止して、ドアフレーム2のみで構成することが考えられるが、その場合には図15に示すように、デザイン等のため、ガラスラン210のリヤ側縦辺部213において、ガラスラン210の車外側カバーリップ226から一体的に意匠モール部230をフロント側に斜めに張り出して設けることが行われている。
【0005】
その場合には、リヤ側縦辺部213と意匠モール部230を形成するために、大型一体成型が必要である。大型一体成型においては、金型構造が複雑となり金型コストが増大するとともに、成形時間も長くなり生産性が低下する。さらに、リヤ側縦辺部213と意匠モール部230が一体的に形成されているため、ドアフレーム2への取付けのときに、リヤ側縦辺部213と意匠モール部230が別々に角度を変えて撓むことができず、柔軟性が悪く、ドアフレーム2への取付の手間がかかることになる。
【0006】
また、図16に示すように、自動車用ドアのガラスラン310において、リヤ側コーナー部315からリヤ側縦辺部313と意匠モール部330をフロント方向に斜めに延設するものが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながらこの場合においても、リヤ側縦辺部313から意匠モール部330を一体に形成しており、成形コストの増大や組付け性の低下が生じている。
【0007】
さらに、図17に示すように、自動車用ドアのガラスラン410において、リヤ側縦辺部413とアウターウエザストリップ460との接続部分で、車外側カバーリップ426を切除して、型成形で車外側カバーリップ426を形成して、アウターウエザストリップ460と一体的に成形するものが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、この場合には、単にアウターウエザストリップ460との接続部分のコーナー部において、リヤ側縦辺部413の車外側カバーリップ426とアウターウエザストリップ460とを接続するのみであり、ドアガラス5の一部を覆うような意匠モール部の全体を形成するものではない。
【0008】
また、図18に示すように、自動車用ドアのガラスラン510において、リヤ側縦辺部513とアウターウエザストリップ560との接続部分で、リヤ側縦辺部513をフロント側に斜めに形成するものが開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
しかしながら、このガラスラン510は、合成樹脂製の取付け部(モール部)520とゴム状弾性体のガラスシールリップ部530を別々に形成し、合体させるものであり、ドアフレーム2への組付け時に取付け部(モール部)520とガラスシールリップ部530の成形と組付けの手間がかかることとなる。
そのため、意匠モール部とリヤ側縦辺部を別々に形成し、ドアフレーム2のパネルに取付けることが考えられるが、意匠モール部のドアフレームのパネルへの保持力が十分でない場合がある
【特許文献1】特開2002−264661号公報
【特許文献2】特開平9−150634号公報
【特許文献3】特開2002−283852号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このため、リヤ側コーナー部からフロント方向に斜めに延設される意匠モール部のドアパネルへの保持力を向上させたガラスランが求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、自動車用ドアのドアフレームの内周に取付けられ、該ドアフレームとドアガラスとの間をシールするガラスランにおいて、
ガラスランは、押出成形で成形されドアフレームの上辺に取付けられる上辺部と、押出成形で成形されドアフレームのフロント側縦辺に取付けられるフロント側縦辺部と、押出成形で成形されドアフレームのリヤ側縦辺に取付けられるリヤ側縦辺部と、型成形で形成され上辺部とフロント側縦辺部を接続するフロント側コーナー部と、型成形で形成され上辺部とリヤ側縦辺部を接続するリヤ側コーナー部と、型成形で形成されリヤ側コーナー部からドアのベルトラインに取付けられたアウターウエザストリップまで延設されドアガラスの車外側に取付けられる意匠モール部から形成され、
意匠モール部の上端は、リヤ側コーナー部の形成時に一体的に接続されるとともに、意匠モール部の下部は、リヤ側縦辺部よりもフロント側に位置するように傾斜して設けられ、意匠モール部は、ドアフレームのアウターパネルに取付けられる取付基部と、取付基部のフロント側の側端から断面略L字形に車外側を取付基部に沿って一体的に形成される意匠リップ部とを有し、
取付基部の車外側面に合成樹脂製の係止部材を取付け、取付基部と意匠リップ部の間にアウターパネルの先端を挿入し、係止部材によりアウターパネルの先端を係止することを特徴とするガラスランである。
【0011】
請求項1の本発明では、ガラスランは、押出成形で成形されドアフレームの上辺に取付けられる上辺部と、押出成形で成形されドアフレームのフロント側縦辺に取付けられるフロント側縦辺部と、押出成形で成形されドアフレームのリヤ側縦辺に取付けられるリヤ側縦辺部と、型成形で形成され上辺部とフロント側縦辺部を接続するフロント側コーナー部と、型成形で形成され上辺部とリヤ側縦辺部を接続するリヤ側コーナー部と、型成形で形成されリヤ側コーナー部からドアのベルトラインに取付けられたアウターウエザストリップまで延設されドアガラスの車外側に取付けられる意匠モール部から形成される。このため、ドアガラスの昇降をドアガラスの周辺を保持するガラスランで保持してシールすることができるとともに、ドアガラスのリヤ側においてその一部をドアフレームのアウターパネルと意匠モール部でカバーして、見栄えを良くすることができる。
【0012】
意匠モール部上端は、リヤ側コーナー部の形成時に一体的に接続されるとともに、意匠モール部の下部は、リヤ側縦辺部よりもフロント側に位置するように傾斜して設けられる。このため、意匠モール部とリヤ側コーナー部を一緒に型成形する場合と比べて、リヤ側コーナー部を形成する金型を小さく構造を簡単にすることができ、成形が容易であるとともにコストも低減できる。また、意匠モール部とリヤ側コーナー部が一体であるため、その間に隙間が生ずることがなく、見栄えが向上する。
意匠モール部は、リヤ側縦辺部よりもフロント側に傾斜して形成され、ドアガラスのリヤ側部分を覆うことができる。さらに、ガラスランをドアフレームに取付けるときに、意匠モール部がリヤ側コーナー部を中心にしてリヤ側縦辺部とは別々に、角度を変えることができ、ガラスランをドアフレームに取付ける作業が容易である。
【0013】
意匠モール部は、ドアフレームのアウターパネルに取付けられる取付基部と、取付基部のフロント側の側端から断面略L字形に車外側を取付基部に沿って一体的に形成される意匠リップ部を有する。このため、取付基部と意匠モール部でアウターパネルを挟持して、ドアフレームのアウターパネルに意匠モール部が確実に取付けられ、意匠リップ部がアウターパネルの先端を覆うことができる。
【0014】
取付基部の車外側面に合成樹脂製の係止部材を取付け、取付基部と意匠リップ部の間にアウターパネルの先端を挿入し、係止部材によりアウターパネルの先端を係止する。このため、剛性の高く取付基部から突出した係止部材でアウターパネルの先端を係止することができ、アウターパネルを確実に係止することができる。
【0015】
請求項2の本発明は、係止部材は、板状の係止台部と、係止台部の上面に係止突部を突出して形成し、係止台部の下面に係止脚部を形成し、係止脚部を意匠モール部の取付基部の係止孔に挿入して、係止部材を取付基部に取付けたガラスランである。
【0016】
請求項2の本発明では、係止部材は、板状の係止台部と、係止台部の上面に係止突部を突出して形成したため、係止突部を取付基部から突出させることができ、アウターパネルの先端を係止突部で確実に係止することができる。
係止台部の下面の両端に係止脚部を形成し、係止脚部を意匠モール部の取付基部の係止孔に挿入して、係止部材を取付基部に取付けたため、係止脚部を係止孔に挿入するのみで容易に確実に取付けることができる。
【0017】
請求項3の本発明は、取付基部は、複数の切欠き部が形成され、隣接する一対の切欠き部と切欠き部を跨いで係止部材の係止台部と係止突部が取付けられ、隣接する一対の切欠き部のそれぞれの外側の係止脚部を取付基部に取付けたガラスランである。
【0018】
請求項3の本発明では、取付基部は、複数の切欠き部が形成され、隣接する一対の切欠き部と切欠き部を跨いで係止部材の係止台部と係止突部が取付けられ、隣接する一対の切欠き部のそれぞれの外側の係止脚部を取付基部に取付けられている。このため、一対の切欠き部部分でアウターパネルの先端を幅広く係止することができるとともに、一対の切欠き部部分にドアフレームの補強パネル等を挿入して、係止部材を保持して、より確実に意匠モール部をアウターパネルに取付けることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は上記のように、意匠モール部は、ガラスランの他の部分とは別に形成されて、リヤ側コーナー部の形成時に一体的に接続するとともにリヤ側縦辺部よりもフロント側に傾斜して設けられため、リヤ側コーナー部を形成する金型を小さく構造を簡単にすることができ、成形が容易であるとともにコストも低減でき、ガラスランをドアフレームに取付ける作業が容易である。
取付基部の車外側面に合成樹脂製の係止部材を取付け、取付基部と意匠リップ部の間にアウターパネルの先端を挿入し、係止部材によりアウターパネルの先端を係止するため、剛性の高く取付基部から突出した係止部材でアウターパネルの先端を係止することができ、アウターパネルを確実に係止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態における、ガラスランの全体図である。
【図2】本発明の実施の形態における、ガラスランのリヤ側コーナー部と意匠モール部の正面図である。
【図3】本発明の実施の形態における、ガラスランのリヤ側コーナー部と意匠モール部の背面図である。
【図4】本発明の実施の形態における、ガラスランの上辺部の断面図であり、図1のA−A線に沿った断面図である。
【図5】本発明の実施の形態における、意匠モール部の正面図である。
【図6】本発明の実施の形態における、意匠モール部の背面図である。
【図7】本発明の実施の形態における、意匠モール部の断面図であり、図6のE−E線に沿った断面図である。
【図8】本発明の実施の形態における、意匠モール部の断面図であり、図6のF−F線に沿った断面図である。
【図9】本発明の実施の形態における、意匠モール部の断面図であり、図6のG−G線に沿った断面図である。
【図10】本発明の実施の形態における、ガラスランの意匠モール部とリヤ側縦辺部をドアフレームに取付けた状態の断面図であり、図3のB−B線に沿った断面図である。
【図11】本発明の実施の形態における、ガラスランの意匠モール部とリヤ側縦辺部をドアフレームに取付けた状態の断面図であり、図3のC−C線に沿った断面図である。
【図12】本発明の実施の形態における、ガラスランの意匠モール部とリヤ側縦辺部をドアフレームに取付けた状態の接続部分の断面図であり、図3のD−D線に沿った断面図である。
【図13】本発明の実施の形態における係止部材であり、(a)は、係止部材の平面図であり、(b)は、係止部材の側面図であり、(c)は、(a)のH−H線に沿った断面図である。
【図14】従来の、自動車のリヤドアの側面図である。
【図15】従来のリヤドアに取付けるガラスランの正面図である。
【図16】従来の他のガラスランをリヤ側ドアに取付けたリヤ側部分の正面図である。
【図17】従来の他のガラスランをリヤ側ドアに取付けたリヤ側コーナー部の部分の正面図である。
【図18】従来の他のガラスランをリヤ側ドアに取付けたガラスランと取付部材の分解斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施の形態を図1〜図14に基づき説明する。
本発明を自動車のリヤドア1bで使用する場合を例に取り説明するが、本発明はフロントドア1aについても使用することができる。
図14は従来の自動車のリヤドア1bの側面図である。フロントドアとリヤドア1bの両方のベルトラインよりも上部には、ドアガラス5が昇降可能に設けられている。
リヤドア1bには、デビジョンバー7のフロント側に、上下方向に昇降して、ドア窓を開閉することができるドアガラス5と、デビジョンバー7のリヤ側のドアフレーム2とデビジョンバー7で形成される三角形の部分に固定されたクォータードアガラス6が設けられている。しかし、本発明では、このデビジョンバー7とクォータードアガラス6が廃止されて、リヤドア1bは昇降するドアガラス5のみとなる。
【0022】
本発明の実施の形態に使用するガラスラン10は、図1に示すように、押出成形で形成されドアフレーム2の上辺に取付けられる上辺部11と、押出成形で形成されドアフレーム2のフロント側縦辺に取付けられるフロント側縦辺部12と、押出成形で形成されドアフレームのリヤ側縦辺に取付けられるリヤ側縦辺部13を有する。また、上辺部11と、フロント側縦辺部12と、リヤ側縦辺部13は、直線状または略直線状に形成されたものが使用される。
【0023】
これらの押出成形部分をドアフレーム2に対応した形状となるように、フロント側とリヤ側のそれぞれのコーナー部分において、型成形により成形してそれぞれを接続してコーナー部が形成されている。即ち、型成形で形成され上辺部11とフロント側縦辺部12を接続するフロント側コーナー部14と、型成形で形成され上辺部11とリヤ側縦辺部13を接続するリヤ側コーナー部15が形成されている。上辺部11、フロント側縦辺部12及びリヤ側縦辺部13のそれぞれの断面形状の相違をコーナー部で連続的に変化させることにより接続している。
【0024】
さらに、リヤ側縦辺部13とは別に、型成形で形成されリヤ側コーナー部15からドアのベルトラインに取付けられた後述するアウターウエザストリップ60まで延設されドアガラス5の車外側に取付けられる意匠モール部30が形成されている。意匠モール部30は、リヤ側コーナー部15からリヤ側縦辺部13とは分離してドアガラス5の昇降角度とは異なる角度で形成されている。意匠モール部30の詳細については後述する。
【0025】
ガラスラン10の上辺部11、フロント側縦辺部12及びリヤ側縦辺部13の断面形状と、フロント側コーナー部14とリヤ側コーナー部15の断面形状とは基本的な形状は略同じである。上辺部11の断面形状を例にとり説明する。即ち、その本体は、図4に示すように、車外側側壁21と、車内側側壁22と、底壁23とから断面略コ字状に形成されている。
【0026】
さらに、車外側側壁21の先端付近から車外側シールリップ24が上記本体の断面略コ字状の内側に向けて延設されている。図1と図2に示すように、フロント側縦辺部12、フロント側コーナー部14、上辺部11、リヤ側コーナー部15及びリヤ側縦辺部13は、車外側シールリップ24が連続して形成される。このため、車外側シールリップ24によりドアガラス5の車外側面を連続してシールすることができ、上辺部11、フロント側縦辺部12及びリヤ側縦辺部13におけるシール性を確保している。
【0027】
車内側側壁22の先端から車内側シールリップ25が、車外側シールリップ24と同様に、上記本体の断面略コ字状の内側に向けて延設されて、図3に示すように、フロント側縦辺部12、フロント側コーナー部14、上辺部11、リヤ側コーナー部15及びリヤ側縦辺部13は、車内側シールリップ25が連続して形成される。ドアガラス5の車内側面をシールしている。
【0028】
また、図4に示すように、車外側側壁21の先端外面から車外側側壁21と略平行あるいは若干湾曲して車外側側壁21に沿って車外側カバーリップ26が形成されている。さらに、車内側側壁22の先端外面から車内側側壁22と略平行あるいは若干湾曲して車内側カバーリップ27が形成されている。そして、車外側側壁21と車外側カバーリップ26との間にドアフレーム2のアウターパネル2aの先端が挿入され、車内側側壁22と車内側カバーリップ27との間にドアフレーム2のインナーパネル2bの先端が挿入されている。車外側カバーリップ26は、フロント側縦辺部12、フロント側コーナー部14、上辺部11及びリヤ側コーナー部15まで連続して形成され、リヤ側縦辺部13とは連続せず、後述するように、意匠モール部30の意匠リップ部32と連続している。
【0029】
車外側側壁21の外面から車外側カバーリップ26の内面に向けて車外側保持リップ28、28が形成されている。車内側側壁22の外面から車内側カバーリップ27の内面に向けて車内側保持リップ29が形成されている。
このため、車外側側壁21の車外側保持リップ28、28と車外側カバーリップ26及び車内側側壁22の車内側保持リップ29と車内側カバーリップ27とでそれぞれドアフレーム2のアウターパネル2aとインナーパネル2bの先端を強く挟持してガラスラン10をドアフレーム2に保持して、ドアフレーム2から外れることを防止することができるとともに、ドアフレーム2の先端を覆い、先端部分の見栄えを向上させている。
【0030】
なお、上辺部11とフロント側縦辺部12では、車外側カバーリップ26と車内側カバーリップ27は大きく形成されているが、後述するようにリヤ側縦辺部13では、車外側カバーリップ26と車内側カバーリップ27は小さく形成され、アウターパネル2aとインナーパネル2bの先端を挟持してはいない。
【0031】
また、車外側側壁21と車外側シールリップ24は、車内側側壁22と車内側シールリップ25よりも小さく形成されている。このため、ドアガラス5が閉じたときにドアガラス5をドアフレーム2の車外側に近接して位置させることができ、ドアフレーム2とドアガラス5の段差を小さくして、走行時の気流の流れをスムースにして異音の発生を防止することができる。
【0032】
次に意匠モール部30について説明する。図2、3に示すように、意匠モール部30は、ガラスランの他の部分である上辺部11、フロント側縦辺部12及びリヤ側縦辺部13とは別に型成形で形成されて、リヤ側コーナー部15の型形成時にリヤ側縦辺部13と一緒にリヤ側コーナー部15に一体的に接続される。
【0033】
リヤ側縦辺部13は、ドアフレーム2のリヤ側縦辺に沿って、ドアガラス5のリヤ側端を挟持するようにドアガラス5の昇降角度と同じ角度で下方に向かって延設される。意匠モール部30は、ドアガラス5の車外側面に沿って、リヤ側縦辺部13よりもフロント側に傾斜して設けられる。このため、リヤ側縦辺部13と意匠モール部30はリヤ側コーナー部15の部分の下端から離れて角度を変えて形成されている。
【0034】
これにより、ドアガラス5をドアフレーム2に取付けるときに、アウターパネル2aに沿って、意匠モール部30がリヤ側コーナー部15を中心にしてリヤ側縦辺部13から離れて角度を変えて撓ませることができ、ガラスラン10をドアフレーム2に取付ける作業が容易である。また、ドアガラス5のリヤ側の下部のコーナー部分をアウターパネル2aの先端で覆うことができる。
【0035】
図5〜図12に示すように、意匠モール部30は、ドアフレーム2のアウターパネル2aに取付けられる取付基部31と、取付基部31のフロント側の側端から車外側方向と取付基部31に沿って断面L字形に一体的に形成される意匠リップ部32と、取付基部31の車内側面から延設されドアガラス5の車外側面に当接するシールリップ部34を有する。
【0036】
取付基部31とシールリップ部34との間には取付凹部33が形成され、後述するように取付凹部33にはアウターパネル2aの先端が挿入される。このため、アウターパネル2aの先端を意匠リップ部32と取付基部31で保持することができ、意匠モール部30を確実に保持することができるとともに、アウターパネル2aの先端を覆うことができる。
【0037】
意匠リップ部32は、上端がリヤ側コーナー部15の車外側カバーリップ26と連続して形成され、下端がアウターウエザストリップ60と当接する。このため、フロント側縦辺部12、フロント側コーナー部14、上辺部11及びリヤ側コーナー部15のそれぞれの車外側カバーリップ26と連続して意匠リップ部32がカバーリップを形成し、さらに後述するアウターウエザストリップ60までカバーリップを連続させることができ、ドアガラス5の周囲を取り囲むアウターパネル2aの先端部分を連続した所定の幅のカバーリップで覆うことができ、見栄えがよい。
【0038】
意匠リップ部32の下端は、図5と図6に示すように、フロント側に湾曲して下端コーナー部38を形成し、アウターウエザストリップ60と当接する。アウターウエザストリップ60は、図9に示すように、アウターパネル2aの外面を覆う車外側リップ61と、車外側リップ61の上端から延設されドアガラス5の車外側面に当接するシールリップ62と、車外側リップ61の上端から下方に延設されアウターパネル2aを挟持する取付基部63を有する。
【0039】
下端コーナー部38の先端の意匠リップ部32は、アウターウエザストリップ60の車外側リップ61の先端とは、当接してカバーバンド64にて連結される。このため、ドアフレーム2のリヤ側縦辺部13とドア1のベルトラインとのコーナー部を円弧状のスムースなラインとすることができ、見栄えがよい。
【0040】
意匠モール部30の取付基部31には、図5と図6に示すように、意匠リップ部32が延設された側と反対側の側端から複数の切欠き部35が形成されている。切欠き部35が形成されている部分の断面形状を図7に示す。図8に示すように、切欠き部35と切欠き部35の間には、保持片36が延設されている。2つの切欠き部35を跨いで、取付基部31の上に合成樹脂製の係止部材40が嵌め込まれている。
切欠き部35は、図5と図6に示すように、2つ毎に一対として形成され、その一対の両方の外側に後述する係止部材40を取付ける係止孔39が形成されている。
【0041】
係止部材40は図13に示すように、板状の係止台部41の上面に係止突部42が形成され、係止台部41の下面の両端に係止脚43が形成されて、係止台部41の中央部から横方向に舌状に係止片部44が延設されている。係止部材40の係止脚43は、意匠モール部30の取付基部31の切欠き部35の両側に設けられた係止孔39に挿入され係止部材40が取付けられる。
【0042】
図8に示すように、係止部材40の係止片部44が保持片36の上部に位置する。保持片36には、係止突部37が形成され、係止部材40のずれを防止している。
この部分ではドアフレーム2の補強パネル2cの先端は、アウターパネル2aの先端が折れ曲って包み込まれて、係止部材40と意匠モール部30の取付基部31よりも車外側に位置している。
【0043】
図11は、図6に示すように保持片36に部分における断面図である。この部分ではドアフレーム2の補強パネル2cの先端は、係止部材40と意匠モール部30の取付基部31よりも車内側(下側)に位置している。そして図10の場合も図11の場合もアウターパネル2aの先端が折れ曲った先端部分が係止部材40の係止台部41に係止されている。このため、補強パネル2cにより係止部材40が保持されて、係止部材40によりアウターパネル2aの先端が確実に係止される。
【0044】
取付基部31には、複数の切欠き部35が形成され、隣接する一対の切欠き部35と切欠き部35を跨いで係止部材40が取付けられている。係止脚43は、取付基部31の係止孔39に挿入されている。そして、係止突部42は、一対の切欠き部35と切欠き部35の奥に近接して、取付けられている。そのため、一対の切欠き部35の長さに形成された係止突部42でアウターパネル2aの先端を幅広く係止することができる。
【0045】
意匠モール部30の取付基部31の下端部31aは、板状に広がって形成され、クリップ孔31bが形成されている。クリップ孔31bにクリップを挿入して、ドアフレーム2の補強パネル2cに下端部31aを取付けることができる。
【0046】
図7と図8に示すように、取付基部31の下面からフロント方向にシールリップ部34が延設され、ドアガラス5の車外側面に当接する。このため、取付基部31をドアフレーム2のアウターパネル2aに取付けて、シールリップ部34でドアガラス5の表面から雨水等がドアフレーム2内部に進入することを防止できる。
【0047】
シールリップ部34のドアガラスと当接する部分に低摺動部材を設けることができる。低摺動部材は、短繊維の植毛、シリコン樹脂膜のコーティング、ウレタン樹脂膜のコーティング等を使用することができる。この場合には、ドアガラス5の昇降時に、ドアガラス5とシールリップ部34の摺動抵抗を減少させ、ドアガラス5がスムースに摺動して、異音等の発生を防止することができる。
【0048】
次に、図10〜図12に基づき、ガラスラン10のリヤ側縦辺部13と意匠モール部30をドアフレーム2に取付けた状態を説明する。
図12は、リヤ側縦辺部13と意匠モール部30がリヤ側コーナー部15と接続する部分の断面図である。この接続する部分では、リヤ側縦辺部13と意匠モール部30が連続しており、リヤ側縦辺部13の車外側側壁21と意匠モール部30の取付基部31が連続して形成されている。
【0049】
車外側側壁21と取付基部31が連続して形成されている。このため、アウターパネル2aの先端は、リヤ側コーナー部15から連続して意匠モール部30の取付基部31へ当接して、保持されることができる。インナーパネル2bは、リヤ側コーナー部15から連続して車内側側壁22と車内側カバーリップ27で挟持される。
【0050】
図10と図11は意匠モール部30の切欠き部35付近の断面図であり、それぞれ図3のB−B線とC−C線に沿った断面図である。リヤ側縦辺部13と意匠モール部30は分離して取付けられており、リヤ側縦辺部13は、ドアフレーム2のインナーパネル2bに設けられたリテーナ3に取付けられている。車内側側壁22と底壁23がリテーナ3により保持され、車外側側壁21は、補強パネル2cにより保持されている。
【0051】
ドアフレーム2のアウターパネル2aの先端がヘヤピン状に補強パネル2cの先端を包んで形成された先端部2dが、意匠モール部30の取付凹部33に挿入されて、意匠モール部30はドアフレーム2に取付けられている。
意匠モール部30の複数の切欠き部35と切欠き部35の間には、保持片36が形成され、保持片36は補強パネル2cの先端で保持されている。このため取付基部31が安定してドアフレーム2に保持される。
意匠モール部30のシールリップ部34はドアガラス5の車外側面に当接している。
ドアガラス5の車内側は、ガーニッシュ8が取付けられている。ガーニッシュ8でガラスラン10を車内側からカバーして、美観を向上させている。
【0052】
次に、ガラスラン10の製造方法について説明する。
ガラスラン10は、まずその直線部である上辺部11、フロント側縦辺部12及びリヤ側縦辺部13を押出成形により成形し、その後、コーナー部を型成形する。
ガラスラン10の直線部の成形においては、成形材料は、合成ゴム、熱可塑性エラストマー、軟質合成樹脂が使用され、例えば合成ゴムでは、EPDMゴム、熱可塑性エラストマーでは、オレフィン系エラストマー、軟質合成樹脂では、軟質塩化ビニル等が使用される。
合成ゴムの場合は、押出成形後に加硫槽に搬送されて、熱風や高周波等により加熱されて加硫が行われる。熱可塑性エラストマー、軟質合成樹脂の場合は、冷却され固化される。その後所定の長さに切断されて、押出成形部分は製造される。
【0053】
次に、ガラスラン10のフロント側コーナー部14とリヤ側コーナー部15の型成形部分の成形は、上記により製造された押出成形部材を所定寸法に切断して、その切断した押出部分の端部を、型成形部分を成形する金型に挟持して、その金型のキャビティーに、型成形部分を形成するソリッド材を注入する。型成形部分の断面形状は押出成形部分の断面形状と略同じである。成形材料は、押出成形部分に使用した材料と同じ種類のものを使用することが好ましい。熱可塑性エラストマー、軟質合成樹脂の場合は、金型に注入されたときに注入材料は溶融されているため、その熱と圧力とで押出成形部分と型成形部分は一体的に融着される。
【0054】
ガラスラン10の押出成形部がEPDMゴムまたはオレフィン系熱可塑性エラストマーで形成される場合は、ガラスラン10のコーナー部は、オレフィン系熱可塑性エラストマーで形成することが好ましい。この場合は、同種の材料であり、ガラスラン10の直線部分とコーナー部の接着性がよい。また、いずれもオレフィン系の材料であり、耐候性がよく、同時に粉砕処理ができ、リサイクル容易な製品を得ることができる。オレフィン系熱可塑性エラストマーの場合は、加硫が不要のため、製造が容易である。
合成ゴムの場合は、金型に注入した後に金型を加熱して加硫する。このとき、押出成形部分と型成形部分は同じ材料あるいは同種類の材料を使用しているため、加硫接着をすることができ、一体的に固着することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 ドア
2 ドアフレーム
5 ドアガラス
10 ガラスラン
11 上辺部
13 リヤ側縦辺部
15 リヤ側コーナー部
30 意匠モール部
31 取付基部
32 意匠リップ部
34 シールリップ部
60 アウターウエザストリップ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用ドアのドアフレームの内周に取付けられ、該ドアフレームとドアガラスとの間をシールするガラスランにおいて、
該ガラスランは、押出成形で成形され上記ドアフレームの上辺に取付けられる上辺部と、押出成形で成形され上記ドアフレームのフロント側縦辺に取付けられるフロント側縦辺部と、押出成形で成形され上記ドアフレームのリヤ側縦辺に取付けられるリヤ側縦辺部と、型成形で形成され上記上辺部と上記フロント側縦辺部を接続するフロント側コーナー部と、型成形で形成され上記上辺部と上記リヤ側縦辺部を接続するリヤ側コーナー部と、型成形で形成され該リヤ側コーナー部から上記ドアのベルトラインに取付けられたアウターウエザストリップまで延設され上記ドアガラスの車外側に取付けられる意匠モール部から形成され、
上記意匠モール部の上端は、上記リヤ側コーナー部の形成時に一体的に接続されるとともに、上記意匠モール部の下部は、上記リヤ側縦辺部よりもフロント側に位置するように傾斜して設けられ、上記意匠モール部は、上記ドアフレームのアウターパネルに取付けられる取付基部と、該取付基部のフロント側の側端から断面略L字形に車外側を上記取付基部に沿って一体的に形成される意匠リップ部とを有し、上記取付基部の車外側面に合成樹脂製の係止部材を取付け、上記取付基部と上記意匠リップ部の間に上記アウターパネルの先端を挿入し、上記係止部材により上記アウターパネルの先端を係止することを特徴とするガラスラン。
【請求項2】
上記係止部材は、板状の係止台部と、該係止台部の上面に係止突部を突出して形成し、上記係止台部の下面の両端に係止脚部を形成し、該係止脚部を上記意匠モール部の取付基部の係止孔に挿入して、上記係止部材を上記取付基部に取付けた請求項1に記載のガラスラン。
【請求項3】
上記取付基部は、複数の切欠き部が形成され、隣接する一対の該切欠き部と切欠き部を跨いで上記係止部材の係止台部と係止突部が取付けられ、隣接する一対の上記切欠き部のそれぞれの外側の上記係止脚部を上記取付基部に取付けた請求項2に記載のガラスラン。
【請求項1】
自動車用ドアのドアフレームの内周に取付けられ、該ドアフレームとドアガラスとの間をシールするガラスランにおいて、
該ガラスランは、押出成形で成形され上記ドアフレームの上辺に取付けられる上辺部と、押出成形で成形され上記ドアフレームのフロント側縦辺に取付けられるフロント側縦辺部と、押出成形で成形され上記ドアフレームのリヤ側縦辺に取付けられるリヤ側縦辺部と、型成形で形成され上記上辺部と上記フロント側縦辺部を接続するフロント側コーナー部と、型成形で形成され上記上辺部と上記リヤ側縦辺部を接続するリヤ側コーナー部と、型成形で形成され該リヤ側コーナー部から上記ドアのベルトラインに取付けられたアウターウエザストリップまで延設され上記ドアガラスの車外側に取付けられる意匠モール部から形成され、
上記意匠モール部の上端は、上記リヤ側コーナー部の形成時に一体的に接続されるとともに、上記意匠モール部の下部は、上記リヤ側縦辺部よりもフロント側に位置するように傾斜して設けられ、上記意匠モール部は、上記ドアフレームのアウターパネルに取付けられる取付基部と、該取付基部のフロント側の側端から断面略L字形に車外側を上記取付基部に沿って一体的に形成される意匠リップ部とを有し、上記取付基部の車外側面に合成樹脂製の係止部材を取付け、上記取付基部と上記意匠リップ部の間に上記アウターパネルの先端を挿入し、上記係止部材により上記アウターパネルの先端を係止することを特徴とするガラスラン。
【請求項2】
上記係止部材は、板状の係止台部と、該係止台部の上面に係止突部を突出して形成し、上記係止台部の下面の両端に係止脚部を形成し、該係止脚部を上記意匠モール部の取付基部の係止孔に挿入して、上記係止部材を上記取付基部に取付けた請求項1に記載のガラスラン。
【請求項3】
上記取付基部は、複数の切欠き部が形成され、隣接する一対の該切欠き部と切欠き部を跨いで上記係止部材の係止台部と係止突部が取付けられ、隣接する一対の上記切欠き部のそれぞれの外側の上記係止脚部を上記取付基部に取付けた請求項2に記載のガラスラン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−131336(P2012−131336A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284731(P2010−284731)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】
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